JP5624051B2 - アゾ化合物、インク組成物及び着色体 - Google Patents

アゾ化合物、インク組成物及び着色体 Download PDF

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Description

本発明は、新規なアゾ化合物又はその塩、これを含有するインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及びこれらにより着色された着色体に関する。
各種のカラー記録方法における代表的方法の1つとして、インクジェットプリンタを用いる記録方法、すなわちインクジェット記録方法が挙げられる。この記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため音の発生が少なく静かであり、また、小型化や高速化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等用のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そして、これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与える(印字濃度が高い)こと、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。さらに、形成される記録画像には、耐水性、耐光性、耐オゾン性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
上記の耐オゾン性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガスが、記録紙上や記録紙中で色素に作用し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスの他にも、この種の作用を持つ酸化性ガスとしては、NOx、SOx等が挙げられる。しかし、これらの酸化性ガスの中でもオゾンガスがインクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主原因物質とされている。
写真画質が得られるインクジェット専用紙の表面には、一般にインク受容層が設けられる。このインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質を得る目的で色素の滲みを少なくするために、多孔性白色無機物等の材料が用いられることが多い。このようなインクジェット専用紙において、オゾンガスによる記録画像の変退色が顕著に見られる。この酸化性ガス、特にオゾンガスによる変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾン性の向上はインクジェット記録方法における最も重要な課題の1つとなっている。
今後、インクを用いた記録(印刷)方法におけるインクジェット記録方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐光性、耐オゾン性、耐湿性、耐水性等の各種堅牢性の更なる向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の色素から調製されているが、イエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色等の色相を有する色素は、単色で用いられることは当然ながら、他色の色素との配合により異なる色相を表現すること、すなわち調色用色素としても用いられることがある重要な色素の1つである。このため、印字濃度が高いこと、各種の堅牢性に優れることと共に、光への暴露時等における退色に際して、イエロー、マゼンタ、ブラック等の各色相での退色バランスに優れることも要求される。退色バランスが悪い色素を用いた場合、退色した記録画像における特定の色相のみが強調されて画像全体の色彩が大きく変化することにより、画像品質が著しく損なわれる。したがって、この退色バランスにすぐれることも、該色素の重要な性能の1つである。
特許文献1には、水性ブラックインク組成物に含有するトリアジン染料が開示されている。
また、特許文献2及び3には、イエロー〜レッド色、又は茶色の色相を有するアゾ化合物、及びこれを含有するインク組成物が開示されている。
また、特許文献4及び5には、架橋基を有するイエロー色の色素である水溶性アゾ化合物が開示されている。
しかし、市場の要求を満足する色素は未だ見出されていない。
特開2002−332426号公報 国際公開2006/001274号パンフレット 特開2005−298636号公報 国際公開2008/142989号パンフレット 特開2009−84345号公報
本発明は、印字濃度が高く、耐光性に優れた記録画像を与えるイエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色の色相を有する色素と、該色素を含有するインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上述したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩が、上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)
下記式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩、
Figure 0005624051
[式(1)中、
からRはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ジC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
Xは、2価の架橋基を表す。]
2)
Xが、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基である上記1)に記載のアゾ化合物又はその塩、
3)
からRがそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;である上記1)又は2)に記載のアゾ化合物又はその塩、
4)
からRの少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
5)
からRがそれぞれ独立に、水素原子、C1−C4アルキル基、又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、且つRからRの少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
からRがそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C4アルキル基である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
6)
Xが、C1−C8アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基で置換されたN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
7)
上記式(1)で表されるアゾ化合物が下記式(2)で表されるアゾ化合物である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
Figure 0005624051
[式(2)中、RからR及びXは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
8)
及びRの少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、
及びRの少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、
からRがC1−C4アルキル基である上記1)乃至7)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
9)
からRがC1−C4アルキル基であり、
Xが、C2−C4アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC2−C6アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基で置換されたN−C2−C3アルキル−C2−C3アルキレンジアミノ基;アミノC2−C3アルコキシC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基;m−又はp−キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;である上記1)乃至8)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
10)
及びRの一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、
及びRの一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、
からRがメチル基であり、
Xが、1,2−エチレンジアミノ基;1,3−プロピレンジアミノ基;1,4−ブチレンジアミノ基;1−カルボキシペンチレン−1,5−ジアミノ基;N−2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミノ基;アミノエトキシエトキシエチルアミノ基、m−キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;である上記1)乃至9)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
11)
上記1)乃至10)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩を少なくとも1種類、色素として含有するインク組成物、
12)
上記11)に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法、
13)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記12)に記載のインクジェット記録方法、
14)
上記情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記13)に記載のインクジェット記録方法、
15)
上記11)に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
16)
a)上記1)乃至10)のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
b)上記11)に記載のインク組成物、又は、
c)上記12)に記載のインクジェット記録方法、のいずれかによって着色された着色体、
に関する。
本発明のアゾ化合物又はその塩は、水溶解性に優れ、インク組成物を製造する過程等でのメンブランフィルタによる濾過性が良好である。また、これを含有するインク組成物をインクジェット記録用インクとして用いることにより、印字濃度が高く、耐光性に優れたイエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色の色相を有する記録物が提供できる。
本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては特に断りがない限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
また、以下の本明細書においては特に断りがない限り、「本発明のアゾ化合物又はその塩」の両者を含めて「本発明の(アゾ)化合物」と便宜上、簡略して記載する。
本発明のアゾ化合物は、イエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色を呈する水溶性の色素であり、各種の記録用、特にインクジェット記録用インクに含有する色素として好適に用いることができる。本発明のアゾ化合物は、上記式(1)で表される。
上記式(1)中、RからRにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
からRにおけるC1−C4アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。好ましい具体例としてはメチル、エチルが挙げられ、メチルが特に好ましい。
上記RからRにおけるC1−C4アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。好ましい具体例としてはメトキシ、エトキシが挙げられ、メトキシが特に好ましい。
上記RからRにおける、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、C1−C4アルコキシ基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に2つ以上の酸素原子が置換しないものが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等のC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ等のカルボキシC1−C4アルコキシ基;2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
からRにおけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、ブチルカルボニルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノ、t−ブチルカルボニルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
からRにおける、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、2−カルボキシエチルカルボニルアミノ、3−カルボキシプロピルカルボニルアミノ等のカルボキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;等が挙げられる。カルボキシ基の置換数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。
からRにおけるモノC1−C4アルキルウレイド基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。該C1−C4アルキルの置換位置は特に制限されないが、「N’」に置換するのが好ましい。
本明細書において、「モノC1−C4アルキルウレイド基」とは、「C1−C4アルキルNH−CO−NH−」基又は「HN−CO−N(C1−C4アルキル)−」基を意味し、R及びRが結合するベンゼン環において、該ベンゼン環に直接結合する窒素原子を「N」、この窒素原子とカルボニル(CO)基を介して結合する窒素原子を「N’」として記載する。したがって、該C1−C4アルキルの置換位置としては前者が「N’」、後者が「N」である。
具体例としては、N’−エチルウレイド、N’−プロピルウレイド、N’−ブチルウレイド等の直鎖のもの;N’−イソプロピルウレイド、N’−イソブチルウレイド、N’−t−ブチルウレイド等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
からRにおけるジC1−C4アルキルウレイド基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。該C1−C4アルキルの置換位置は特に制限されず、上記「モノC1−C4アルキルウレイド基」における置換位置に準じて「N」及び「N’」に1つずつ、又は「N’」に2つ置換したものが挙げられるが、後者が好ましい。また、2つの該C1−C4アルキルは、同一であっても異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、N’,N’−ジメチルウレイド、N’,N’−ジエチルウレイド、N’,N’−ジプロピルウレイド、N’,N’−ジブチルウレイド等の直鎖のもの;N’,N’−ジイソプロピルウレイド、N’,N’−ジイソブチルウレイド等の分岐のもの;等が挙げられる。
からRにおける、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基としては、上記モノC1−C4アルキルウレイド基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に窒素原子とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。
具体例としては、N’−2−ヒドロキシエチルウレイド、N’−3−ヒドロキシプロピルウレイド等のN’−モノ(ヒドロキシC1−C4アルキル)ウレイド基;N’−2−スルホエチルウレイド、N’−3−スルホプロピルウレイド等のN’−モノ(スルホC1−C4アルキル)ウレイド基;N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−カルボキシエチルウレイド、N’−3−カルボキシプロピルウレイド、N’−4−カルボキシブチルウレイド等のN’−モノ(カルボキシC1−C4アルキル)ウレイド基;等が挙げられる。
からRにおける、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基としては、上記ジC1−C4アルキルウレイド基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは2つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に窒素原子とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、N’,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ウレイド、N’,N’−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ウレイド、N’,N’−ジ(3−ヒドロキシプロピル)ウレイド等のN’,N’−ジ(ヒドロキシC1−C4アルキル)ウレイド基;N’,N’−ジ(3−スルホプロピル)ウレイド等のN’,N’−ジ(スルホC1−C4アルキル)ウレイド基;N’,N’−ジ(カルボキシメチル)ウレイド等のN’,N’−ジ(カルボキシC1−C4アルキル)ウレイド基;等が挙げられる。
からRにおける、ベンゼン環が、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が特に好ましい。)、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1又は2つ有するものが挙げられる。置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一であるものが好ましい。
具体例としては、2−クロロベンゾイルアミノ、4−クロロベンゾイルアミノ、2,4−ジクロロベンゾイルアミノ等のハロゲン原子置換ベンゾイルアミノ基;2−メチルベンゾイルアミノ、3−メチルベンゾイルアミノ、4−メチルベンゾイルアミノ等のC1−C4アルキル置換ベンゾイルアミノ基;2−ニトロベンゾイルアミノ、4−ニトロベンゾイルアミノ、3,5−ジニトロベンゾイルアミノ等のニトロ置換ベンゾイルアミノ基;2−スルホベンゾイルアミノ、4−スルホベンゾイルアミノ等のスルホ置換ベンゾイルアミノ基;2−カルボキシベンゾイルアミノ、4−カルボキシベンゾイルアミノ、3,5−ジカルボキシベンゾイルアミノ等のカルボキシ置換ベンゾイルアミノ基;等が挙げられる。
からRにおける、ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ有するものが挙げられる。置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよい。
具体例としては、2−クロロフェニルスルホニルアミノ、4−クロロフェニルスルホニルアミノ等のハロゲン原子置換フェニルスルホニルアミノ基;2−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−t−ブチルフェニルスルホニルアミノ等のC1−C4アルキル置換フェニルスルホニルアミノ基;2−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−ニトロフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ等のニトロ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−スルホフェニルスルホニルアミノ、4−スルホフェニルスルホニルアミノ等のスルホ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ、4−カルボキシフェニルスルホニルアミノ等のカルボキシ置換フェニルスルホニルアミノ基;等が挙げられる。
上記のうち、RからRとしては、水素原子;ハロゲン原子;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;スルホ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;が好ましい。これらの中でも、水素原子、メチル、エチル、t−ブチル、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ;がより好ましい。特に好ましくは水素原子、メチル、3−スルホプロポキシが挙げられる。
上記式(1)において、RからRとしては、少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であるものが好ましい。
また、RからRがそれぞれ独立に、水素原子、C1−C4アルキル基、又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、且つRからRの少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、RからRがそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C4アルキル基であるものがより好ましい。
また、R及びRの少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、R及びRの少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、RからRがC1−C4アルキル基であるものがさらに好ましい。
また、R及びRの一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、R及びRの一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、RからRがメチル基であるものが特に好ましい。
からRの置換位置は特に制限されないが、これらが置換するそれぞれのベンゼン環において、トリアジン環に結合する窒素原子の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を4位として、RからRが2位、RからRが5位に置換するのが好ましい。
上記式(1)中、Xは2価の架橋基を表す。
架橋基としては、式(1)で表される化合物が水に対して溶解性を示す範囲で、2価のものであれば特に制限されない。ここで、水に対する式(1)で表される化合物の溶解性としては、1リットルの水に対して式(1)で表される化合物が通常5g以上、好ましくは10g以上、より好ましくは25g以上、さらに好ましくは50g以上、特に好ましくは100g以上、それぞれ溶解するのがよい。
具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の2価の原子(好ましくは2価のヘテロ原子);それぞれC1−C8の、アルキレンジアミノ基、アルキレンジオキシ基、又はアルキレンジチオ基;N,N’−ヒドラジンジイル基;アミノアルコキシアルキルアミノ基等の酸素原子に2つのアルキルアミノ基が置換したもの;及び、アミノアルコキシアルコキシアルキルアミノ基等の、エーテル結合を1つ以上含むアルキレンオキシド鎖の末端に、アミノ基及びアルキルアミノ基が1つずつ置換したもの;等が挙げられる。
Xにおける、これらの2価の架橋基は、炭素原子の置換基として、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアルコキシ基よりなる群から選択される基を;また、窒素原子の置換基として、アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよいアルキル基を;それぞれ有していてもよい。
Xにおける2価の架橋基としては、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基が好ましい。
なお、これらの2価の架橋基はいずれもアミノ基を2つ有する「ジアミノ」基である。したがって、例えばピペラジン−1,4−ジイル等の一部の基を除き、該「ジアミノ」のうち、いずれか1つの窒素原子で架橋する(すなわち、N,N−ジイルとなる)場合、又は異なる2つの窒素原子で架橋する(すなわち、N,N’−ジイルとなる)場合の両者を含む。これらのうち、「N,N’−ジイル」となる後者の場合が特に好ましい。
XにおけるC1−C8アルキレンジアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては通常C1−C8、好ましくはC2−C8、より好ましくはC2−C6、さらに好ましくはC2−C4である。
具体例としては、エチレンジアミノ、1,3−プロピレンジアミノ、1,4−ブチレンジアミノ、1,5−ペンチレンジアミノ、1,6−ヘキシレンジアミノ、1,7−ヘプチレンジアミノ、1,8−オクチレンジアミノ等の直鎖のもの;2−メチル−1,3−プロピレンジアミノ、3−メチル−1,4−ブチレンジアミノ、4−メチル−1,6−ヘキシレンジアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
Xにおけるヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基としては、上記C1−C8アルキレンジアミノ基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は特に制限されないが、好ましくは1つ又は2つである。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレンジアミノ、2−ヒドロキシ−1,4−ブチレンジアミノ、3−ヒドロキシ−1,6−ヘキシレンジアミノ等のヒドロキシ置換C1−C8アルキレンジアミノ基;1−カルボキシエチレンジアミノ、1−カルボキシ−1,3−プロピレンジアミノ、1−カルボキシ−1,4−ブチレンジアミノ、1−カルボキシ−1,5−ペンチレンジアミノ、1,5−ジカルボキシ−1,5−ペンチレンジアミノ等のカルボキシ置換C1−C8アルキレンジアミノ基;等が挙げられる。
XにおけるN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基とは、C1−C6アルキレンジアミノ基の一方の窒素原子が、C1−C4アルキル基で置換されたものを意味する。本明細書においては、ジアミノ基のうちC1−C4アルキル基で置換された窒素原子を「N」と表記し、必要に応じて他方の窒素原子を「N’」と表記する。アルキレン部分の炭素数の範囲としては通常C1−C6、好ましくはC2−C4、特に好ましくはC2又はC3である。
該C1−C4アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。
具体例としては、N−メチルエチレンジアミノ基、N−エチルエチレンジアミノ基、N−プロピルエチレンジアミノ基、N−ブチルエチレンジアミノ基といったN−直鎖C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;N−イソプロピルエチレンジアミノ基、N−イソブチルエチレンジアミノ基、N−sec−ブチルエチレンジアミノ基、N−t−ブチルエチレンジアミノ基等のN−分岐鎖C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;等が挙げられる。
Xにおける、アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基とは、上記N−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基における、N−C1−C4アルキル基のアルキル部分の任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。置換基の位置は特に制限されないが、窒素原子とヒドロキシ基とが同一の炭素原子に置換しないものが好ましい。アルキレン部分の炭素数の範囲としては、好ましいものも含めて上記N−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基におけるのと同じ範囲が挙げられる。また、アルキル部分の炭素数の範囲としては通常C1−C4、好ましくはC2−C4、より好ましくはC2−C3である。
該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミノ基、N−(3−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミノ基、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミノ基、N−(4−ヒドロキシブチル)エチレンジアミノ基等のN−ヒドロキシ置換C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;N−(カルボキシメチル)エチレンジアミノ基、N−(2−カルボキシエチル)エチレンジアミノ基、N−(3−カルボキシプロピル)エチレンジアミノ基、N−(4−カルボキシブチル)エチレンジアミノ基等のN−カルボキシ置換C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;等が挙げられる。
Xにおける、アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては、通常、アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基、好ましくはアミノC2−C4アルコキシC2−C4アルキルアミノ基が挙げられ、特に好ましくはアミノC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基が挙げられる。具体例としては、アミノエトキシエチルアミノ、アミノエトキシプロピルアミノ、アミノプロポキシプロピルアミノ、アミノエトキシペンチルアミノ等が挙げられる。
Xにおける、アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては、通常、アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基、好ましくはアミノC2−C4アルコキシC2−C4アルコキシC2−C4アルキルアミノ基が挙げられ、特に好ましくはアミノC2−C3アルコキシC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基が挙げられる。
具体例としては、アミノエトキシエトキシエチルアミノ、アミノエトキシプロポキシエチルアミノ、アミノエトキシブトキシエチルアミノ等の直鎖のもの;アミノエトキシ(2−メチルエトキシ)エチルアミノ、アミノエトキシ(2−メチルプロポキシ)エチルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
Xにおけるキシリレンジアミノ基としては、例えば、o−、m−、及びp−キシリレンジアミノ基が挙げられ、m−又はp−キシリレンジアミノ基が好ましい。
Xにおける、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基としては、ピペラジン環の環構成原子の任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、2−メチルピペラジン−1,4−ジイル基、2−エチルピペラジン−1,4−ジイル基、2,5−ジメチルピペラジン−1,4−ジイル基、2,6−ジメチルピペラジン−1,4−ジイル基、2,5−ジエチルピペラジン−1,4−ジイル基、2−メチル−5−エチルピペラジン−1,4−ジイル基;等が挙げられる。
Xにおけるフェニレンジアミノ基としては、o−、m−、及びp−フェニレンジアミノ基が挙げられ、m−又はp−フェニレンジアミノ基が好ましい。
上記のうち、Xとしては、C1−C8アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシで置換されたN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;が好ましく挙げられる。
より好ましくは、C2−C4アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC2−C6アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基で置換されたN−C2−C3アルキル−C2−C3アルキレンジアミノ基;アミノC2−C3アルコキシC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基;m−又はp−キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;が挙げられる。
さらに好ましくは、C1−C8アルキレンジアミノ基;キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;が挙げられる。
これらのうち、好ましい具体例としては、1,2−エチレンジアミノ;1,3−プロピレンジアミノ;1,4−ブチレンジアミノ;1−カルボキシペンチレン−1,5−ジアミノ;N−2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミノ;アミノエトキシエトキシエチルアミノ;m−キシリレンジアミノ;又は、ピペラジン−1,4−ジイル;が挙げられる。
上記式(1)において、それぞれ置換位置が特定されていない4つのスルホ基の置換位置は、特に制限されない。1つのアゾ結合を有するベンゼン環に置換したスルホ基は、該アゾ結合の置換位置を1位として、2位、3位、又は4位、好ましくは4位に置換するのがよい。
上記式(1)で表される本発明のアゾ化合物として好ましいものが上記式(2)で表される化合物であり、より好ましいものが下記式(3)で表される化合物である。
Figure 0005624051
式(3)におけるRからR及びXは、式(1)又は式(2)におけるものと具体例、及び好ましいもの等を含めて同じ意味を表す。
上記の式(1)乃至式(3)におけるRからR、式(1)におけるRからRの置換位置、及び式(1)及び式(2)における置換位置が特定されていないスルホの置換位置等について、好ましいもの同士を組み合わせたものはより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせたものはさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
上記式(1)乃至式(3)で表されるアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。なお、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとし、また、下記式(4)乃至(20)において適宜使用されるRからR及びXは、それぞれ式(1)におけるのと同じ意味を表す。
まず、下記式(4)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これと下記式(5)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(6)で表される化合物を得る。
式(6)で表される化合物の他の合成方法としては、以下の方法が挙げられる。すなわち、下記式(4)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これとアニリンのメチル−ω−スルホン酸誘導体とを常法によりカップリング反応させた後、アルカリ条件下で加水分解して下記式(7)で表される化合物を得る。得られた式(7)で表される化合物を発煙硫酸等で処理してスルホ化することにより、式(6)で表される化合物を得ることができる。また、式(6)で表される化合物の中には、市販品として購入できるもの(例えばC.I.アシッドイエロー9)もある。
Figure 0005624051
Figure 0005624051
Figure 0005624051
Figure 0005624051
次いで、得られた式(6)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(8)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(9)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
Figure 0005624051
一方、上記式(6)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(10)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(11)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
Figure 0005624051
同様にして、上記式(6)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(12)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(13)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
Figure 0005624051
同様にして、上記式(6)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(14)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(15)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
Figure 0005624051
得られた上記式(9)で表される化合物とハロゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌルとを常法により縮合反応させ、下記式(16)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
次いで、得られた上記式(16)で表される化合物と式(11)で表される化合物とを常法により縮合反応させ、下記式(17)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
同様にして、得られた上記式(13)で表される化合物とハロゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌルとを常法により縮合反応させ、下記式(18)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
次いで、得られた上記式(18)で表される化合物と式(15)で表される化合物とを常法により縮合反応させ、下記式(19)で表される化合物を得る。
Figure 0005624051
そして、得られた式(17)で表される化合物と式(19)で表される化合物と下記式(20)で表される架橋基Xに対応する化合物とを常法により縮合反応させることにより、上記式(1)で表される本発明のアゾ化合物を得ることができる。
Figure 0005624051
式(1)で表される本発明のアゾ化合物の好適な具体例として、特に限定されるものではないが、下記表1乃至22に示す化合物等が挙げられる。
各表においてスルホ基、カルボキシ基等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
Figure 0005624051
Figure 0005624051
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Figure 0005624051
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Figure 0005624051
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Figure 0005624051
Figure 0005624051
Figure 0005624051
Figure 0005624051
上記式(4)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜20℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
式(4)で表される化合物のジアゾ化物と式(5)で表される化合物とのカップリング反応も、それ自体公知の反応条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ酸性から弱酸性のpH値、例えばpH1〜6で反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液は酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、塩基の添加によって反応液を上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酢酸ナトリウム等の酢酸塩;アンモニア、有機アミン;等が使用できる。式(4)の化合物と式(5)の化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(6)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜25℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
式(6)で表される化合物のジアゾ化物と、式(8)、式(10)、式(12)、又は式(14)で表される化合物とのカップリング反応も、それ自体公知の反応条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ酸性から弱酸性のpH値、例えばpH1〜6で反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液は酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、塩基の添加によって反応液を上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(6)の化合物と、式(8)、式(10)、式(12)、又は式(14)の化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(9)又は上記式(13)で表される化合物とハロゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌルとの縮合反応は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ弱酸性から中性のpH値、例えばpH3〜8で反応を行うことが有利である。反応の進行により反応系内は酸性化してしまうため、塩基の添加によって上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(9)又は式(13)の化合物とハロゲン化シアヌルとは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(11)で表される化合物と上記式(16)で表される化合物との縮合反応、又は上記式(15)で表される化合物と上記式(18)で表される化合物との縮合反応は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、10〜80℃、好ましくは25〜70℃の温度、且つ弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜9で反応を行うことが有利である。pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(11)で表される化合物と式(16)で表される化合物、又は式(15)で表される化合物と式(18)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(17)で表される化合物と上記式(19)で表される化合物と上記式(20)で表される化合物との縮合反応は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、50〜100℃、好ましくは60〜95℃の温度、且つ中性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH7〜10で行うことが有利である。pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(17)で表される化合物1当量と式(19)で表される化合物1当量とに対し、式(20)で表される化合物は0.4〜0.6当量、好ましくは0.5当量を用いる。
上記式(1)で表される本発明のアゾ化合物の塩は、無機又は有機陽イオンとの塩である。そのうち無機塩の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属塩;及びアンモニウム塩;が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩である。
また、有機陽イオンの塩としては、例えば下記式(21)で表される4級アンモニウムイオンとの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明のアゾ化合物の遊離酸、及びそれらの各種の塩が混合物であってもよい。例えばナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混合物等、いずれの組み合わせを用いてもよい。塩の種類によって溶解性等の物性が異なる場合もあり、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること;又は複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させること;等により目的に適う物性を有する混合物を得ることも好ましく行われる。
Figure 0005624051
上記式(21)においてZ、Z、Z、Zは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくはC1−C4アルキル基)、ヒドロキシアルキル基(好ましくはヒドロキシC1−C4アルキル基)、及びヒドロキシアルコキシアルキル基(好ましくはヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基)よりなる群から選択される基を表し、少なくとも1つは水素原子以外の基である。
式(21)におけるZ乃至Zのアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基(好ましくはヒドロキシエトキシC1−C4アルキル基)が挙げられる。上記のうち、好ましい具体例としては、水素原子;メチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等が挙げられる。
上記式(21)として好ましい化合物のZ、Z、Z、Zの組み合わせの具体例を下記表23に示す。
Figure 0005624051
式(1)で表される本発明のアゾ化合物の所望の塩を合成する方法としては、式(1)で表される化合物の合成反応における最終工程の終了後、所望の無機塩又は有機の4級アンモニウム塩を反応液に加えて塩析する方法;該反応液に塩酸等の鉱酸を加えて反応液から該アゾ化合物を遊離酸の形で単離した後、得られた遊離酸を、必要に応じて水、酸性の水、水性有機媒体等で洗浄して、付着した無機塩等の不純物を除去し、再度、水性の媒体中(好ましくは水中)で、該遊離酸に所望の無機塩基又は上記の4級アンモニウム塩に対応する有機塩基を加えて塩形成する方法;等が挙げられる。このような方法により、目的とするアゾ化合物の塩を、溶液又は析出固体の状態として得ることができる。ここで、酸性の水とは、例えば、硫酸、塩酸等の鉱酸や酢酸等の有機酸を水に溶解し、酸性にしたものをいう。また、水性有機媒体とは、いずれも水と混和可能な、有機物質及び/又は有機溶剤等と、水との混和物をいう。
この水と混和可能な有機物質や有機溶剤としては、後述する水溶性有機溶剤等が挙げられる。
式(1)で表される本発明のアゾ化合物を所望の塩とする際に用いる無機塩の例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウムイオンのハロゲン塩;水酸化アンモニウム(アンモニア水)等のアンモニウムイオンの水酸化物;等が挙げられる。
また、有機陽イオンの塩の例としては、ジエタノールアミン塩酸塩、トリエタノールアミン塩酸塩等の、上記式(21)で表される4級アンモニウムイオンのハロゲン塩等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、色素として本発明のアゾ化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする。本発明のアゾ化合物は、イエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色と広範な色相を呈する化合物を含む。このため、2種類以上の本発明の化合物を配合して望みの色相に調色してもよいし、単一の化合物を使用して、例えばオレンジインクやレッドインク等を調製することもできる。
本発明のインク組成物は、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色、さらには、筆記用インク、及び、特にインクジェット記録用インク組成物の製造に適している。
本発明のアゾ化合物を含む反応液、例えば該化合物の合成反応における最終工程の反応液等は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することもできる。また、該反応液から該化合物を、例えば晶析、スプレー乾燥等の方法により単離した後、必要に応じて乾燥し、得られた該化合物を使用してインク組成物を調製することもできる。本発明のインク組成物は、本発明のアゾ化合物を色素として、該インク組成物の総質量中に通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有する。
本発明のインク組成物は、上記式(1)で表される化合物を水又は水性媒体(水溶性有機物質や水溶性有機溶剤と、水との混和液)等に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。このインク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、不純物として含有する金属陽イオンの塩化物、例えば塩化ナトリウム;硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム;等の無機不純物の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。この場合、例えば塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムとの総含有量は、本発明のアゾ化合物の総質量中に1質量%以下程度である。下限は検出機器の検出限界以下、すなわち0%でもよい。無機不純物の少ない該化合物を製造する方法としては、例えばそれ自体公知の逆浸透膜を用いる方法;本発明の化合物又はその塩の乾燥品あるいはウェットケーキを、水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のC1−C4アルカノール(必要に応じて水を含有してもよい)等に加えて懸濁精製し、固体を濾過分取し、乾燥する等の方法;により脱塩処理すればよい。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、必要に応じて水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、本発明のインク組成物における染料の溶解、乾燥の防止(湿潤状態の保持)、粘度の調整、浸透の促進、表面張力の調整、消泡等の効果を目的として使用され、本発明のインク組成物中には含有する方が好ましい。
インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等の公知の添加剤が挙げられる。
上記の水溶性有機溶剤の含有量は、本発明のインク組成物の総質量に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は同様に0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのがよい。前記以外の残部は水である。
本発明で使用し得る水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;又はジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール;グリセリン;モノ、ジ、又はトリエチレングリコール;ジプロピレングリコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;及びブチルカルビトール;であり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。防腐防黴剤の他の具体例としては、例えば、アーチケミカル社製 商品名プロクセルRTMGXL(S)、プロクセルRTMXL−2(S)等が好ましく挙げられる。
なお、本明細書において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸類;等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物等が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、例えば水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも尿素を使用するのが好ましい。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;等が挙げられる。
市販品としては、例えば、いずれも日信化学社製の商品名サーフィノールRTM104、82、465;オルフィンRTMSTG;等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物等が必要に応じて用いられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。なお、本発明のインク組成物の表面張力は通常25〜70mN/m、好ましくは25〜60mN/mである。また、本発明のインク組成物の粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明のインク組成物を製造するにあたり、インク調製剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。該組成物を調製するにあたり、用いる水はイオン交換水又は蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。さらに、必要に応じてメンブランフィルタ等を用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよい。特に、本発明のインク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルタの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは、0.5〜0.1μmである。
本発明のアゾ化合物を含有するインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。また、本発明のインク組成物は、インクジェットプリンタのノズル付近における乾燥に対しても固体析出は起こりにくく、この理由によりヘッドの閉塞もまた起こりにくい。さらに、本発明のインク組成物をインクジェット記録に用いた場合、水、湿度、光、オゾン、酸化窒素ガス、及び摩擦に対する良好な耐性を有する、高品質で印字濃度の高いイエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色の記録物が得られる。
本発明のインク組成物は、上記インク調製剤等の各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。また、本発明のインク組成物の色相を微調整する目的で、本発明のアゾ化合物以外に、種々の色相を有する他の色素を、本発明の効果が阻害されない範囲で混合してもよい。その場合は、それぞれ公知のイエロー(例えばC.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132等)、オレンジ(例えばC.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトオレンジ29、C.I.ダイレクトオレンジ49等)、ブラウン、スカーレット、レッド(例えばC.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド84等)、マゼンタ、バイオレット、ブルー、ネイビー、シアン、グリーン、その他の色の色素を混合して用いることができる。
本発明のアゾ化合物の1つの用途として、調色色素としての利用が挙げられる。本発明のアゾ化合物は、イエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色の色相が得られるため、本発明のアゾ化合物を調色色素として用いて他の色相の色素と配合することにより、多様な色相のインクを調製することも可能である。そのような一例として、ブラックインクの色相の微調整や、高品位とされる無彩色のブラック〜グレー色を再現する目的で、ブラック色素と本発明のアゾ化合物とを配合することが挙げられる。
本発明のアゾ化合物をブラックインクの調色に用いる場合、配合相手となるブラック色素としてはどのようなものを用いてもよく、例えば下記表24に記載の公知の化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005624051
上記公知のブラック色素以外にも、例えば、国際公開03/106572号パンフレットの各実施例に記載の色素;国際公開2005/052065号パンフレットの各実施例に記載の色素;特開2005−220338号公報の表1乃至6に記載の色素;及び、特開2007−314602号公報の化合物例1乃至38に記載の色素;等を、本発明のアゾ化合物と配合し、ブラックインクを調製することもできる。
インクジェットプリンタにおいて、高精細な画像を供給することを目的に、ブラックインクについて、高濃度のインク(濃ブラックインク)と低濃度のインク(淡ブラックインク)との2種類以上のブラックインクが1台のプリンタに装填されたものもある。その場合、本発明のアゾ化合物のみを色素として含有するインク組成物;又は該化合物と他のブラック色素とを配合したブラックインク組成物;について高濃度のインク組成物と、低濃度のインク組成物とをそれぞれ調製し、それらをインクセットとして使用してもよい。
また、どちらか一方だけに該化合物を使用、又は配合してもよい。また、本発明の水溶性アゾ化合物の他にも、公知のイエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色の色素等を併用したインク組成物を用いてもよい。公知色素の例としては、上記のC.I.ナンバーが付与された色素等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物が充填された容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、これをインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行う方法である。本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と共に、マゼンタインク、シアンインク、必要に応じて、グリーンインク、ブルー(又はバイオレット)インク、レッドインク、及びブラックインク等を併用し得る。この場合、各色のインクは、それぞれの容器に注入され、それらの容器を、インクジェットプリンタの所定位置に装填して使用する。
インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等を利用したものがある。本発明のインクジェット記録方法は、いかなる方式であっても使用が可能である。
本発明のインクジェット記録方法に用いる被記録材としては、本発明のインク組成物により着色される物質であれば、その材質には特に制限はない。具体例としては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、これらの中では情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等の、インク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物(通常はその微粒子)を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。
このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。
これらの中でも、空気中の酸化作用を持つガス、すなわちオゾンガスや酸化窒素ガス等に対して影響を受けやすいとされているのが、上記の多孔性白色無機物を基材表面に塗工したインクジェット専用紙である。
インクジェット専用紙として代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製、商品名光沢プロ[プラチナグレード]、プロフェッショナルフォトペーパー、及び写真用紙光沢ゴールド;セイコーエプソン(株)製、商品名写真用紙クリスピアRTM(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製、商品名画彩 写真仕上げPro;等がある。
本発明のインク組成物は、上記の酸化作用を持つガスへの耐性が優れているため、このような被記録材への記録においても変退色の小さい優れた記録画像を与える。また、普通紙にも当然用いることができる。
本発明の着色体とは、
a)本発明のアゾ化合物又はその塩、
b)本発明のインク組成物、又は、
c)本発明のインクジェット記録方法、のいずれかにより着色された物質を意味する。着色体の材質には特に制限はなく、例えば上記の被記録材等が挙げられる。
着色方法としては、例えば、浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタを使用したインクジェット記録方法等が挙げられ、上記c)に記載の通り、インクジェット記録方法が好ましい。
本発明のインク組成物は、イエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色であり、各種の記録用途、例えば筆記用具、インクジェット記録用のインク、特にインクジェット記録用インクとして好適に用いられる。普通紙にも使用できるが、特にインクジェット専用紙や光沢紙に記録した画像の印字濃度が高く、また、ブロンジング現象(色素が金属様の光沢を呈してぎらつく現象。記録画像の品位を著しく劣化させる。)を生じず、インクジェット記録方法に適した色相を有する。また、その記録画像の耐水性、耐光性、耐湿性等の各種堅牢性、特に耐オゾン性が非常に高いこと、及び光暴露下での退色バランスに優れるという特徴を有する。
本発明のインク組成物は、貯蔵中に沈澱、分離することがなく、保存安定性が極めて高い。また、本発明のアゾ化合物は水溶解性に優れるため、これを含有する本発明のインク組成物をインクジェット記録に使用した場合、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体析出は非常に起こりにくく、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は、連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合;又はオンデマンド式インクジェットプリンタにより断続的に使用する場合;等のいずれにおいても、物理的性質の変化を起こさない。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
各合成反応及び晶析等の操作は、特に断りのない限り、いずれも撹拌下に行った。
実施例中の各化学式においても、スルホ、カルボキシ等の酸性官能基は、遊離酸の形で表記した。
合成反応におけるpH値及び反応温度は、いずれも反応系内における測定値を記載した。
合成した化合物の最大吸収波長(λmax)はpH7〜8の水溶液中で測定し、測定した化合物については実施例中に、その測定値を記載した。
[実施例1]
(工程1)
水200部に下記式(22)で表されるモノアゾ化合物(C.I.アシッドイエロー9)35.7部を加え、水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を、0〜10℃に保った5%塩酸300部中に30分間かけて滴下した後、20℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
Figure 0005624051
一方、260部の水中に、3−メチルアニリン10.7部、重亜硫酸水素ナトリウム10.4部、及び35%ホルマリン水溶液8.6部を加え、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体水溶液を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、炭酸水素ナトリウムの添加によりpH4〜5に調整しながら5時間反応させた。反応液に35%塩酸100部を添加した後、70〜80℃でさらに5時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分取することにより、下記式(23)で表される化合物120部をウェットケーキとして得た。
Figure 0005624051
(工程2)
水200部に上記式(22)で表されるモノアゾ化合物(C.I.アシッドイエロー9)35.7部を加え、水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を、35%塩酸31.3部を水200部で希釈した水溶液中に、0〜10℃を保ちながら30分間かけて滴下した後、20℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行った。得られた反応液にスルファミン酸0.4部を添加し、5分間撹拌してジアゾ反応液を調製した。
一方、40〜50℃の温水300部に、特開2004−083492号公報に記載の方法で得た下記式(24)で表される化合物24.0部及び25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5〜6に調整し、水溶液を得た。この水溶液に上記で得られたジアゾ反応液を、15〜25℃で30分間かけて滴下した。滴下中は炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH5〜6に保持した。滴下後、同温度、同pHで2時間撹拌した後、35%塩酸の添加によりpH0〜1に調整した。得られた液を65℃に加熱し、同温度で2時間撹拌した後、室温まで冷却し、析出した固体を濾過分取することにより、下記式(25)で表される化合物を含むウェットケーキ130部を得た。
Figure 0005624051
Figure 0005624051
(工程3)
水300部に上記(工程1)で得られた式(23)で表される化合物を含むウェットケーキ50部を25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH8〜9として溶解した。この溶液にライオン(株)社製、商品名:レオコールRTMTD90(界面活性剤、以下「レオコールRTMTD90」と省略)0.48部を加えた後、5〜10℃で塩化シアヌル7.3部を添加した。添加後、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6〜7に保持しながら5〜10℃で6時間撹拌した。
一方、水150部に上記(工程2)で得られた式(25)で表される化合物を含むウェットケーキ51部を25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7〜8として溶解し、溶液を得た。この溶液を上記反応液に添加した後、65〜70℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6〜7に保持しながら7時間撹拌した。次にm−キシリレンジアミン2.6部を添加した後、90〜95℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を7〜8に保持しながら18時間撹拌した。
得られた反応液を20〜30℃まで冷却後、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。
このウェットケーキを水600部に溶解した。この溶液にメタノール50部、次いで2−プロパノール800部を加え、30分間撹拌した。析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水400部に溶解し、2−プロパノール1000部を添加し、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより、下記式(26)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:440nm)25.2部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例2]
水200部に上記実施例1において得られた式(26)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩6.3部及び塩化リチウム23.1部を添加し、撹拌溶解して塩交換反応を行った。この液に2−プロパノール300部を添加し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水100部に溶解し、2−プロパノール400部を添加し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水80部に溶解し、2−プロパノール400部を添加し、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより、式(26)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:438nm)4.1部をナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。
[実施例3]
上記実施例1の(工程3)において、m−キシリレンジアミン2.6部を使用する代わりにピペラジン1.7部を使用する以外は実施例1と同様にして、下記式(27)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:435nm)25.3部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例4]
上記実施例2において、式(26)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩6.3部を使用する代わりに式(27)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩6.8部を使用する以外は実施例2と同様にして、式(27)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:433nm)5.3部をナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。
[実施例5]
上記実施例1の(工程3)において、m−キシリレンジアミン2.6部を使用する代わりにリジン一塩酸塩3.3部を使用する以外は実施例1と同様にして、下記式(28)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:438nm)10.2部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例6]
上記実施例1の(工程3)において、m−キシリレンジアミン2.6部を使用する代わりにエチレンジアミン1.3部を使用する以外は実施例1と同様にして、下記式(29)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:446nm)24.3部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例7]
水250部に上記実施例1の(工程2)で得られた式(25)で表される化合物を含むウェットケーキ65部を25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7〜8として溶解した。この溶液にレオコールRTMTD90(0.10部)を加えた後、15〜25℃で塩化シアヌル3.8部を添加した。添加後、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を5〜6に保持しながら15〜25℃で2時間撹拌した。次に、この反応液を60〜65℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6〜7に保持しながら5時間撹拌した。
次に、m−キシリレンジアミン1.5部を添加した後、90〜95℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を8〜9に保持しながら16時間撹拌した。
得られた反応液を20〜30℃まで冷却後、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。このウェットケーキを水400部に溶解した。この溶液にメタノール50部、次いで2−プロパノール800部を加え、30分間撹拌した。析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水200部に溶解し、2−プロパノール800部を添加し、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより、下記式(30)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:449nm)19.2部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例8]
上記実施例2において、式(26)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩6.3部を使用する代わりに式(30)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩6.2部を使用する以外は実施例2と同様にして塩交換反応を行い、式(30)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:447nm)4.8部をナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。
[実施例9]
上記実施例7において、m−キシリレンジアミン1.5部を使用する代わりにピペラジン0.89部を使用する以外は実施例7と同様にして、下記式(31)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:436nm)13.5部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例10]
上記実施例2において、式(26)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩6.3部を使用する代わりに式(31)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩6.9部を使用する以外は実施例2と同様にして、式(31)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:434nm)4.6部をナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。
[実施例11]
上記実施例7において、m−キシリレンジアミン1.5部を使用する代わりにリジン一塩酸塩1.9部を使用する以外は実施例7と同様にして、下記式(32)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:450nm)7.3部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例12]
上記実施例7において、m−キシリレンジアミン1.5部を使用する代わりにエチレンジアミン0.63部を使用する以外は実施例7と同様にして、下記式(33)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:456nm)14.5部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例13]
上記実施例7において、m−キシリレンジアミン1.5部を使用する代わりに1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン1.5部を使用する以外は実施例7と同様にして、式(1)におけるXがアミノエトキシエトキシエチルアミノに相当する下記式(34)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:454nm)18.3部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例14]
上記実施例7において、m−キシリレンジアミン1.5部を使用する代わりに2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール1.1部を使用する以外は実施例7と同様にして、式(1)におけるXがN−2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミノに相当する下記式(35)で表される本発明のアゾ化合物(λmax:457nm)16.9部をナトリウム塩として得た。
Figure 0005624051
[実施例15]
[(A)インクの調製]
下記表25に記載の各成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルタで濾過することにより試験用のインクを得た。この際、水はイオン交換水を使用し、インク組成物のpHがpH=8〜9になるように、水酸化リチウム水溶液を用いて調整し、総量100.0部となるように適宜、水を加えた。インク中の色素として実施例3で得られた化合物を用いたインクの調製を、実施例15とする。同様にして、実施例4、6、8、及び10で得られた化合物を使う以外は、実施例15と同じ方法で調製したインクをそれぞれ、実施例16、17、18、及び19とする。これらのうち、ナトリウム塩として得た化合物を使用したインクの調製については、上記pHの調整を水酸化ナトリウム水溶液で行ったため、下記表25中の「水+水酸化リチウム水溶液」は、「水+水酸化ナトリウム水溶液」と読み替えるものとする。
なお、下記表25中、「界面活性剤」としては、日信化学(株)社製、商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。
Figure 0005624051
[比較例1]
実施例3で得られた本発明のアゾ化合物の代わりに、特許文献3に記載の下記式(36)で表される化合物を使用する以外は実施例15と同様にして、比較用のインクを得た。このインクの調製を比較例1とする。
Figure 0005624051
[比較例2]
実施例3で得られた本発明のアゾ化合物の代わりに、特許文献1に開示された下記式(37)で表される化合物を使用し、pHを調整する際に水酸化ナトリウム水溶液を用いる以外は実施例15と同様にして、比較用のインクを得た。このインクの調製を比較例2とする。
Figure 0005624051
[比較例3]
実施例3で得られた本発明のアゾ化合物の代わりに、特許文献1に開示された下記式(38)で表される化合物を使用し、pHを調整する際に水酸化ナトリウム水溶液を用いる以外は実施例15と同様にして、比較用のインクを得た。このインクの調製を比較例3とする。
Figure 0005624051
[(B)インクジェット記録]
実施例15乃至19、及び比較例1乃至3で得られたインクをそれぞれ使用し、Canon社製インクジェットプリンタ、商品名PIXUSRTMiP4500を用いて、下記2種類の光沢紙にそれぞれインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、80%、60%、40%、20%、10%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの記録物を得た。印字濃度試験には光沢紙1を、また、耐光性試験には光沢紙2をそれぞれ試験片として用いた。
光沢紙1:富士フィルム社製、商品名 画彩 写真仕上げPro
光沢紙2:セイコーエプソン社製、商品名 写真用紙クリスピア 高光沢
[(C)記録画像の測色]
各種の試験及びその評価は、X−rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて試験片を測色することにより行った。測色は、濃度基準にDIN、視野角2°、光源D65の条件で行った。
[(D)印字濃度試験]
上記測色システムを用いて光沢紙1にインクジェット記録した画像の100%濃度階調部の濃度スペクトル(Spectrum D)を測定し、380〜720nmの各10nmずつの波長における印字濃度ODをそれぞれ得た。得られた印字濃度ODの中で、最も高い数値が得られたOD値を、以下評価基準によって評価した。結果を下記表26に示す。なお、得られたOD値は大きい方が優れる。
A:最高OD値が2.55以上
B:最高OD値が2.50以上で2.55未満
C:最高OD値が2.50未満
[(E)耐光性試験]
スガ試験機(株)社製、商品名 低温サイクルキセノンウエザオメーター XL75に、光沢紙2にインクジェット記録を行った各試験片を設置し、放射照度を10万Lux、湿度60%RH、温度24℃の条件下、120時間照射を行った。キセノン光の暴露前と暴露後の各試験片の記録画像について、上記測色条件下にてCIEのL、a、bを測定し、下記式により色差ΔEを算出し、以下評価基準によって評価した。結果を下記表26に示す。得られた色差ΔEは小さい方が、変色が少ないことを意味し優れる。
下記計算式中、ΔL、Δa、Δbは、それぞれ暴露前後のL、a、bの差をそれぞれ意味する。
なお、耐光性試験は、試験前後のプリント画像の60%濃度の階調部を測色することにより評価した。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2
A:ΔEが30未満
B:ΔEが30以上35未満
C:ΔEが35以上
Figure 0005624051
表26の結果より明らかなように、実施例15乃至19のインクを使用して得られた記録画像は、全ての試験項目で最高の結果を示した。
具体的には、比較例1乃至3は印字濃度において、各実施例より1ランク又は2ランクほど劣ることが明らかとなった。また、耐光性において、各実施例は比較例2及び3より優れた性能を有することが判明した。
したがって、本発明のアゾ化合物、及びこれを含有するインク組成物は、耐光性及び印字濃度において、従来の化合物より極めて優れるため、各種の記録用、特にインクジェット記録用のイエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色のインク用途に好適である。
本発明のアゾ化合物、及び該化合物を含有する本発明のインク組成物は、イエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色の筆記用具等の各種記録用途、特にインクジェット記録用途に好適である。

Claims (15)

  1. 下記式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩。
    Figure 0005624051
    [式(1)中、
    からRはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ジC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
    Xは、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基を表す。]
  2. からRがそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;である請求項に記載のアゾ化合物又はその塩。
  3. からRの少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基である請求項1又は2に記載のアゾ化合物又はその塩。
  4. からRがそれぞれ独立に、水素原子、C1−C4アルキル基、又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、且つRからRの少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
    からRがそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C4アルキル基である請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
  5. Xが、C1−C8アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基で置換されたN−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;である請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
  6. 前記式(1)で表されるアゾ化合物が下記式(2)で表されるアゾ化合物である請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
    Figure 0005624051
  7. 及びRの少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、
    及びRの少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、
    からRがC1−C4アルキル基である請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
  8. からRがC1−C4アルキル基であり、
    Xが、C2−C4アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC2−C6アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基で置換されたN−C2−C3アルキル−C2−C3アルキレンジアミノ基;アミノC2−C3アルコキシC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基;m−又はp−キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;である請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
  9. 及びRの一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、
    及びRの一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、
    からRがメチル基であり、
    Xが、1,2−エチレンジアミノ基;1,3−プロピレンジアミノ基;1,4−ブチレンジアミノ基;1−カルボキシペンチレン−1,5−ジアミノ基;N−2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミノ基;アミノエトキシエトキシエチルアミノ基、m−キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;である請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩を少なくとも1種類、色素として含有するインク組成物。
  11. 請求項10に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  12. 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 請求項10に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
  15. a)請求項1乃至のいずれか一項に記載のアゾ化合物又はその塩、
    b)請求項10に記載のインク組成物、又は、
    c)請求項11に記載のインクジェット記録方法、のいずれかによって着色された着色体。
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