JPWO2009093500A1 - 水溶性アゾ化合物又はその塩、インク組成物及び着色体 - Google Patents
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Abstract
インクジェット記録に適する高い鮮明性をもつ色相を有し、且つ記録物の各種堅牢性が高く、インク組成物を調製した時のインク組成物の保存安定性に優れたイエロー色素として、下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩を提供する。また、この水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物を提供する。[式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、mは1〜3の整数を表し、Aは下記式(2)〜(5)のいずれか1つで表されるアミン残基を表す。][式(2)中、xは1〜3の整数を表す。][式(3)中、yは1〜11の整数を表す。]
Description
本発明は水溶性のアゾ化合物又はその塩、これを含有するインク組成物、及びこれにより着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの吐出方式が各種開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため、音の発生がなく静かであり、また小型化、高速化、カラー化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の染料を水性媒体に溶解したインクが使用されている。また、これらのインクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、形成される記録画像には、耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢度が求められている。
インクジェットプリンタのノズル詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに色素が結晶化し析出することに由来するものが多い。よって、インクを蒸発乾燥させた場合においても結晶が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の1つである。また、この理由により、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質の1つである。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の染料を水性媒体に溶解したインクが使用されている。また、これらのインクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、形成される記録画像には、耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢度が求められている。
インクジェットプリンタのノズル詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに色素が結晶化し析出することに由来するものが多い。よって、インクを蒸発乾燥させた場合においても結晶が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の1つである。また、この理由により、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質の1つである。
ところで、コンピュータのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラーで記録するには、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が用いられ、これにより記録画像がカラーで表現される。CRT(ブラウン管)ディスプレイ等におけるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を減法混色画像でできるだけ忠実に再現するには、インクに使用される各色素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準に近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれる。また、インクは長期の保存に対して安定であり、上記のように記録画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢度に優れていることが求められる。ここで、耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つSOxガス、NOxガス、オゾンガス等の酸化性ガスが、被記録材上又は記録紙中で、記録画像の色素(染料)と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。特に、オゾンガスは、インクジェット記録画像の退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象は、インクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はこの分野における重要な技術的課題である。
水溶性及び鮮明性に優れたインクジェット記録用の黄色色素としては、C.I.(カラーインデックス)ダイレクトイエロー132が挙げられ、特許文献1〜3にその使用例が開示されている。
また、インクジェット記録用の高堅牢性のアゾ系黄色色素が特許文献4及び5に開示されている。
また、インクジェット記録用の高堅牢性のアゾ系黄色色素が特許文献4及び5に開示されている。
C.I.ダイレクトイエロー132は、その色相、鮮明性、耐光性等の各種の堅牢性、及び保存安定性の全てにおいて十分な性能を有するわけではない。また、特許文献4に記載の黄色色素は、耐光性は非常に高いレベルにあるが、耐オゾン性がまだ十分な性能を有するわけではない。また、水溶性が低くインクの長期保存安定性が良好でない。よって、堅牢性、インクの保存安定性、さらには色濃度、色相、鮮明性等に関して一層の向上が図られた黄色色素の開発が求められていた。
本発明は、水に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相及び鮮明性を有し、色濃度が高く、且つ記録画像の耐水性、耐湿性等の各種堅牢性、特に耐ガス性及び耐光性に優れた水溶性の黄色色素(化合物)及びそれを含有する保存安定性の良いインク組成物を提供することを目的とする。
本発明は、水に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相及び鮮明性を有し、色濃度が高く、且つ記録画像の耐水性、耐湿性等の各種堅牢性、特に耐ガス性及び耐光性に優れた水溶性の黄色色素(化合物)及びそれを含有する保存安定性の良いインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定の式で表される水溶性ジスアゾ化合物及びそれを色素として含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)
下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩、
[式(1)中、
R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、
mは1〜3の整数を表し、
基Aは下記式(2)〜(5)のいずれか1つで表されるアミン残基を表す。]
[式(2)中、xは1〜3の整数を表す。]
[式(3)中、yは1〜11の整数を表す。]
1)
下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩、
R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、
mは1〜3の整数を表し、
基Aは下記式(2)〜(5)のいずれか1つで表されるアミン残基を表す。]
2)
式(1)のR1及びR2が共に水素原子であり、mが2である上記1)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
3)
式(1)の基Aが、式(2)又は(3)で表される上記2)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
4)
式(1)の基Aが、式(4)で表される上記2)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
5)
上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を、色素として含有するインク組成物、
6)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記5)に記載のインク組成物、
7)
インクジェット記録用である上記5)又は6)に記載のインク組成物、
8)
上記5)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法。
9)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記8)に記載のインクジェット記録方法、
10)
上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記9)に記載のインクジェット記録方法、
11)
上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物若しくはその塩、又は上記5)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物で着色された着色体、
12)
着色がインクジェットプリンタによりなされた上記11)に記載の着色体、
13)
上記5)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
式(1)のR1及びR2が共に水素原子であり、mが2である上記1)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
3)
式(1)の基Aが、式(2)又は(3)で表される上記2)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
4)
式(1)の基Aが、式(4)で表される上記2)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
5)
上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を、色素として含有するインク組成物、
6)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記5)に記載のインク組成物、
7)
インクジェット記録用である上記5)又は6)に記載のインク組成物、
8)
上記5)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法。
9)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記8)に記載のインクジェット記録方法、
10)
上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記9)に記載のインクジェット記録方法、
11)
上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物若しくはその塩、又は上記5)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物で着色された着色体、
12)
着色がインクジェットプリンタによりなされた上記11)に記載の着色体、
13)
上記5)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
本発明の上記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩は、従来品と比較して水に対する溶解性に極めて優れる。また、インク組成物を製造する過程での、例えばメンブランフィルタに対する濾過性が良好であるという特徴を有し、インクジェット記録紙上で非常に鮮明で、明度及び色濃度の高い黄色色相を与える。また、この化合物を含有する本発明のインク組成物は、長期間保存後の結晶析出、物性変化、色相変化等もなく、従来品と比較して貯蔵安定性が極めて良好である。そして、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用した印刷物は、被記録材(例えば紙、フィルム等)を選択することなく黄色色相として理想的な色相であり、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。さらに、写真画質用インクジェット専用紙やフィルムのような多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録しても、耐水性、耐湿性等の各種堅牢性、特に耐ガス性及び耐光性が良好であり、写真調の記録画像の長期保存安定性に優れている。このように、式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩は、インク用、特にインクジェット記録用のインク用の黄色色素として極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては特に断りがない限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。また、本発明の水溶性アゾ化合物又はその塩は、水溶性の黄色色素である。
また、以下の説明においては特に断りがない限り、煩雑さを避けるため、「本発明の水溶性アゾ化合物又はその塩」の両者を含めて「本発明の水溶性アゾ化合物」と便宜上記載する。
本発明の水溶性アゾ化合物は下記式(1)で表される。
また、以下の説明においては特に断りがない限り、煩雑さを避けるため、「本発明の水溶性アゾ化合物又はその塩」の両者を含めて「本発明の水溶性アゾ化合物」と便宜上記載する。
本発明の水溶性アゾ化合物は下記式(1)で表される。
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、mは1〜3の整数を表し、基Aは下記式(2)〜(5)のいずれか1つで表されるアミン残基を表す。
R1及びR2における炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。好ましい具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、1−メチルプロピル、t−ブチル等の分岐鎖のもの;が挙げられる。より好ましくはメチルである。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。好ましい具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、1−メチルプロポキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;が挙げられる。より好ましくはメトキシである。
R1及びR2の組み合わせとしては、水素原子、メチル、メトキシから選択される任意の組み合わせが好ましく、少なくとも一方が水素原子である化合物がより好ましく、両者が共に水素原子である化合物がさらに好ましい。
mは通常1〜3の整数であり、好ましくは2である。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。好ましい具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、1−メチルプロポキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;が挙げられる。より好ましくはメトキシである。
R1及びR2の組み合わせとしては、水素原子、メチル、メトキシから選択される任意の組み合わせが好ましく、少なくとも一方が水素原子である化合物がより好ましく、両者が共に水素原子である化合物がさらに好ましい。
mは通常1〜3の整数であり、好ましくは2である。
上記式(1)における基Aが上記式(2)で表される場合、式(2)中のxは1〜3の整数を表す。xは好ましくは2である。
上記式(1)における基Aが上記式(3)で表される場合、式(3)中のyは1〜11の整数を表す。yは好ましくは1〜6の整数、より好ましくは3〜6の整数、さらに好ましくは4〜6の整数、特に好ましくは5である。
上記式(1)における基Aとして、上記式(2)〜(5)はいずれも好ましいが、上記式(2)〜(4)で表される場合がより好ましく、上記式(2)又は(3)で表される場合がさらに好ましく、上記式(2)で表される場合が特に好ましい。また、上記R1、R2、m、及び基Aについて、好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士等についても同様である。
上記式(1)で表される化合物は、遊離酸、あるいはその塩としても存在する。上記式(1)で表される化合物の塩としては、無機又は有機の陽イオンとの塩が挙げられる。無機陽イオンの塩の具体例としては、アルカリ金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等との塩が挙げられる。また、有機陽イオンの塩の具体例としては、例えば下記式(6)で表される4級アンモニウム化合物との塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、Z1〜Z4におけるC1−C4アルキル基の例としては、メチル、エチル等が挙げられ、同じくヒドロキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等が挙げられ、さらにヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル、3−(ヒドロキシエトキシ)ブチル、2−(ヒドロキシエトキシ)ブチル等が挙げられる。
上記塩のうち好ましいものは、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいものは、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩である。
当業者においては明らかなように、上記式(1)で表される化合物の塩は、以下の方法等により容易に得ることができる。
例えば、後述する実施例1におけるアセトン800部を加える前の反応液、あるいは式(1)で表される化合物を含むウェットケーキ又は式(1)で表される化合物の乾燥品等を溶解した水溶液に食塩を加えて塩析し、析出固体を濾過することにより、上記式(1)で表される化合物のナトリウム塩をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解した後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過することにより、上記式(1)で表される化合物の遊離酸を得ることができ、あるいは式(1)で表される化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩との混合物を得ることもできる。
さらに、式(1)で表される化合物の遊離酸のウェットケーキを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、又は上記式(6)で表される化合物の水酸化物等を添加してアルカリ性にすれば、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、又は4級アンモニウム塩を得ることもできる。遊離酸のモル数に対して、加える上記の塩のモル数を制限することにより、例えばリチウムとナトリウムとの混塩等、さらにはリチウム、ナトリウム、及びアンモニウムの混塩等も調製することが可能である。上記式(1)で表される化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため、目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
例えば、後述する実施例1におけるアセトン800部を加える前の反応液、あるいは式(1)で表される化合物を含むウェットケーキ又は式(1)で表される化合物の乾燥品等を溶解した水溶液に食塩を加えて塩析し、析出固体を濾過することにより、上記式(1)で表される化合物のナトリウム塩をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解した後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過することにより、上記式(1)で表される化合物の遊離酸を得ることができ、あるいは式(1)で表される化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩との混合物を得ることもできる。
さらに、式(1)で表される化合物の遊離酸のウェットケーキを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、又は上記式(6)で表される化合物の水酸化物等を添加してアルカリ性にすれば、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、又は4級アンモニウム塩を得ることもできる。遊離酸のモル数に対して、加える上記の塩のモル数を制限することにより、例えばリチウムとナトリウムとの混塩等、さらにはリチウム、ナトリウム、及びアンモニウムの混塩等も調製することが可能である。上記式(1)で表される化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため、目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
本発明の上記式(1)で表される化合物は、例えば次のようにして製造することができる。なお、下記式(AA)〜(K)において適宜使用されるR1、R2、m、x、及びyは、それぞれ上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
特開2004−75719号公報に記載の例を参考にして、下記式(AA)で表される化合物を重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いてメチル−ω−スルホン酸誘導体(B)に変換する。次いで、常法により、下記式(C)で表されるアミノナフタレンスルホン酸類をジアゾ化し、先に得られた式(B)のメチル−ω−スルホン酸誘導体と0〜15℃、pH2〜4でカップリング反応を行い、引き続き、80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(D)で表される化合物を得る。
特開2004−75719号公報に記載の例を参考にして、下記式(AA)で表される化合物を重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いてメチル−ω−スルホン酸誘導体(B)に変換する。次いで、常法により、下記式(C)で表されるアミノナフタレンスルホン酸類をジアゾ化し、先に得られた式(B)のメチル−ω−スルホン酸誘導体と0〜15℃、pH2〜4でカップリング反応を行い、引き続き、80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(D)で表される化合物を得る。
次に、下記式(E)で表されるアゾ化合物(ケムコインターナショナル製として市販品を入手できる)1当量とハロゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌルとを、温度0〜20℃、pH5〜7の弱酸性条件下で縮合することにより、下記式(F)で表される化合物を得る。続いて、上記で得られた式(D)で表される化合物1当量と式(F)で表される化合物とを、温度20〜50℃、pH6〜7の弱酸性条件下で縮合することにより、下記式(G)で表される化合物を得る。
さらに、得られた上記式(G)で表される化合物中の塩素原子を、好ましくは75〜90℃、pH7〜9の条件下に、下記式(H)〜(K)で表される化合物で置換することにより、上記式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物を得ることができる。
上記式(AA)で表される化合物としては、アニリン、3−メチルアニリン、2−メチルアニリン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、2、5−ジメチルアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、2、5−ジメトキシアニリン等が挙げられ、その中でもアニリン、3−メチルアニリン、2−メトキシアニリンが好ましい。上記式(C)で表される化合物としては、2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸、2−アミノナフタレン−5,7−ジスルホン酸、2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸、2−アミノナフタレン−6−スルホン酸等が挙げられる。
また、上記式(H)で表される化合物としては、アミノメチルスルホン酸、タウリン、ホモタウリン等が挙げられ、その中でもタウリンが好ましい。上記式(I)で表される化合物としては、グリシン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。上記式(J)で表される化合物としては、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸等が挙げられ、その中でも3−アミノベンゼンスルホン酸が好ましい。上記式(K)で表される化合物としては、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸等が挙げられる。
また、上記式(H)で表される化合物としては、アミノメチルスルホン酸、タウリン、ホモタウリン等が挙げられ、その中でもタウリンが好ましい。上記式(I)で表される化合物としては、グリシン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。上記式(J)で表される化合物としては、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸等が挙げられ、その中でも3−アミノベンゼンスルホン酸が好ましい。上記式(K)で表される化合物としては、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸等が挙げられる。
次に、本発明の色素の好ましい具体例を下記表1に示す。表1において、スルホ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
本発明の上記式(1)で表される化合物は、カップリング反応後、塩酸等の鉱酸の添加により固体の遊離酸として単離することができ、得られた遊離酸の固体を水又は塩酸水等の酸性水で洗浄すること等により、不純物として含有する無機塩、例えば塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等を除去することができる。
上記のようにして得られる本発明の水溶性アゾ化合物の遊離酸を、水性媒体中で所望の無機又は有機塩基と処理することにより、対応する該化合物の塩の溶液を得ることができる。なお、水性媒体とは、通常の場合、水溶性の有機溶剤と水との混合溶液を意味する。
無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、あるいは水酸化アンモニウム(アンモニア水)等が挙げられる。
有機塩基の例としては、上記式(6)で表される4級アンモニウムの塩、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンの塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のようにして得られる本発明の水溶性アゾ化合物の遊離酸を、水性媒体中で所望の無機又は有機塩基と処理することにより、対応する該化合物の塩の溶液を得ることができる。なお、水性媒体とは、通常の場合、水溶性の有機溶剤と水との混合溶液を意味する。
無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、あるいは水酸化アンモニウム(アンモニア水)等が挙げられる。
有機塩基の例としては、上記式(6)で表される4級アンモニウムの塩、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンの塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の色素は、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色、さらには、筆記用インク及びインクジェット記録用インク組成物の製造に適している。
本発明の水溶性アゾ化合物を含む反応液(例えば後述する実施例1における、アセトン800部を投入する前の反応液等)は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することもできる。また、反応液から該化合物を例えば晶析、スプレー乾燥等の方法により単離した後、必要に応じて乾燥し、得られた該化合物を使用してインク組成物を調製することもできる。本発明のインク組成物は、本発明の水溶性アゾ化合物を色素として、該インク組成物の総質量中に通常0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%含有する。
本発明の水溶性アゾ化合物を含む反応液(例えば後述する実施例1における、アセトン800部を投入する前の反応液等)は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することもできる。また、反応液から該化合物を例えば晶析、スプレー乾燥等の方法により単離した後、必要に応じて乾燥し、得られた該化合物を使用してインク組成物を調製することもできる。本発明のインク組成物は、本発明の水溶性アゾ化合物を色素として、該インク組成物の総質量中に通常0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%含有する。
本発明のインク組成物は、上記式(1)で表される化合物を水及び/又は水溶性有機溶剤(水と混和可能な有機溶剤)等の水性媒体に溶解し、必要に応じインク調整剤を添加したものである。このインク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム等)、硫酸塩(硫酸ナトリウム等)の無機不純物の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。この場合、例えば塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムとの総含有量は、本発明の水溶性アゾ化合物の総質量中に1質量%以下程度である。無機不純物の少ない該化合物を製造するには、例えばそれ自体公知の逆浸透膜による方法で脱塩処理すればよい。その他の方法として、本発明の化合物又はその塩の乾燥品又はウェットケーキを、メタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、固体を濾取し、乾燥することによっても脱塩処理が可能である。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、必要に応じて、本発明の効果を害しない範囲内において水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等として使用され、本発明のインク組成物中には含有する方が好ましい。その他のインク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、分散安定剤等の公知の添加剤が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤はインク全体に対して0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのがよい。上記以外の残部は水である。
本発明で使用し得る水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ、又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、ソルビン酸ソーダ、酢酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。防腐防黴剤の他の具体例としては、例えば、アベシア社製 商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルXL−2(S)等が好ましく挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、ソルビン酸ソーダ、酢酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。防腐防黴剤の他の具体例としては、例えば、アベシア社製 商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルXL−2(S)等が好ましく挙げられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物等が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。尿素を使用するのが好ましい。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレンアルコール系、他の具体例として例えば、日信化学社製 商品名サーフィノール104、82、465、オルフィンSTG等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物等が必要に応じて用いられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。なお、本発明のインク組成物の表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。また、本発明のインク組成物の粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明のインク組成物を製造するにあたり、添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。該組成物を調製するにあたり、用いる水はイオン交換水や蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。さらに、必要に応じてメンブランフィルタ等を用いて精密濾過を行い、夾雑物を除いてもよい。特に、インクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合には精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは0.5〜0.1μmである。
本発明の水溶性アゾ化合物を含有するインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。また、本発明のインク組成物は、インクジェットプリンタのノズル付近における乾燥によっても結晶析出は起こりにくく、この理由によりプリンタヘッドの閉塞もまた起こりにくい。さらに、本発明のインク組成物をインクジェット記録に用いた場合、水、光、オゾンや酸化窒素ガス、及び摩擦に対する良好な耐性を有する、高品質で色濃度の高い黄色の印捺物が得られる。
インクジェットプリンタにおいて、高精細な画像を供給することを目的に、高濃度のインクと低濃度のインクとの2種類のインクが1台のプリンタに装填されたものもある。その場合、本発明の水溶性アゾ化合物を用いて高濃度のインク組成物と低濃度のインク組成物とをそれぞれ調製し、それらをインクセットとして使用してもよい。また、どちらか一方だけに該化合物を用いてもよい。また、本発明の水溶性アゾ化合物と公知の黄色色素とを併用してもよい。また、他の色、例えばブラックインクの調色用、あるいはマゼンタ色素やシアン色素と混合して、レッドインクやグリーンインクを調製する目的で本発明の色素を用いることもできる。
本発明の着色体とは、本発明の水溶性アゾ化合物又は該化合物を含有するインク組成物等により着色された物質のことである。着色体の材質には特に制限はなく、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等、着色されるものであればなんでもよく、これらに限定されない。着色法としては、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタを使用したインクジェット記録方法等が挙げられるが、インクジェット記録方法が好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。
このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。
これらの中でも空気中の酸化作用を持つガス、すなわちオゾンガスや酸化窒素ガス等に対して影響を受けやすいとされているのが、上記の多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等を基材表面に塗工したインクジェット専用紙である。
インクジェット専用紙として代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン(株)製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製、商品名画彩 写真仕上げPro;等がある。
本発明のインク組成物は上記の酸化作用を持つガスへの耐性が優れているため、このような被記録材への記録においても変退色の小さい優れた記録画像を与える。また、普通紙にも当然用いることができる。
このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。
これらの中でも空気中の酸化作用を持つガス、すなわちオゾンガスや酸化窒素ガス等に対して影響を受けやすいとされているのが、上記の多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等を基材表面に塗工したインクジェット専用紙である。
インクジェット専用紙として代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン(株)製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製、商品名画彩 写真仕上げPro;等がある。
本発明のインク組成物は上記の酸化作用を持つガスへの耐性が優れているため、このような被記録材への記録においても変退色の小さい優れた記録画像を与える。また、普通紙にも当然用いることができる。
本発明のインクジェット記録方法で被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物が充填された容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填し、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と共に、マゼンタインク、シアンインク、必要に応じて、グリーンインク、ブルー(又はバイオレット)インク、レッドインク、ブラックインク等を併用し得る。この場合、各色のインクは、それぞれの容器に注入され、それらの容器を、インクジェットプリンタの所定位置に装填して使用する。
インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等を利用したものがある。本発明のインクジェット記録方法は、いかなる方式であっても使用が可能である。
インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等を利用したものがある。本発明のインクジェット記録方法は、いかなる方式であっても使用が可能である。
本発明のインク組成物は、鮮明な黄色であり、特にインクジェット専用紙や光沢紙に記録した画像の鮮明度、及び色濃度が高く、インクジェット記録方法に適した色相を有する。また、その記録画像の堅牢度、特に耐湿性、耐光性、及び耐オゾンガス性が非常に高いことを特徴とする。
本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、分離することがなく、保存安定性が極めて高い。また、本発明のインク組成物をインクジェット記録に使用した場合、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による結晶析出は非常に起こりにくく、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合;オンデマンド式インクジェットプリンタにより断続的に使用する場合;等においても、物理的性質の変化を起こさない。
本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、分離することがなく、保存安定性が極めて高い。また、本発明のインク組成物をインクジェット記録に使用した場合、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による結晶析出は非常に起こりにくく、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合;オンデマンド式インクジェットプリンタにより断続的に使用する場合;等においても、物理的性質の変化を起こさない。
以下に本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準であり、また、反応温度は同様に内温である。実施例における各反応及び晶析等の操作は、特に断りのない限り、撹拌下に行った。
なお、合成した各化合物のλmax(最大吸収波長)は、pH7〜8の水溶液中での300〜800nmの範囲での測定値を示した。また、実施例で得た本発明の水溶性アゾ化合物はいずれもナトリウム塩であるが、便宜上、その化学構造式は遊離酸として示した。しかし、上述した通り、遊離酸あるいはナトリウム塩以外のアルカリ金属塩等をも適当な方法を用いることにより容易に得ることが可能であり、本発明は本実施例に限定されるものではない。
なお、合成した各化合物のλmax(最大吸収波長)は、pH7〜8の水溶液中での300〜800nmの範囲での測定値を示した。また、実施例で得た本発明の水溶性アゾ化合物はいずれもナトリウム塩であるが、便宜上、その化学構造式は遊離酸として示した。しかし、上述した通り、遊離酸あるいはナトリウム塩以外のアルカリ金属塩等をも適当な方法を用いることにより容易に得ることが可能であり、本発明は本実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(工程1)
2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸30.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸300部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、アニリン9.3部を、130部の水、10.4部の重亜硫酸ナトリウム、及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH2〜4で5時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに100部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾取することにより、下記式(7)で表される化合物100部をウェットケーキとして得た。
(工程1)
2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸30.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸300部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、アニリン9.3部を、130部の水、10.4部の重亜硫酸ナトリウム、及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH2〜4で5時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに100部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾取することにより、下記式(7)で表される化合物100部をウェットケーキとして得た。
(工程2)
250部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールTD90(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル12.9部を添加して0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。
続いて下記式(8)で表される化合物25.0部を水200部に溶解し、この溶液に上記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH5〜7、0〜15℃で6時間撹拌し、反応液を得た。
250部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールTD90(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル12.9部を添加して0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。
続いて下記式(8)で表される化合物25.0部を水200部に溶解し、この溶液に上記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH5〜7、0〜15℃で6時間撹拌し、反応液を得た。
(工程3)
上記(工程1)で得られた上記式(7)で表される化合物100部のウェットケーキを水300部に溶解し、上記(工程2)で得られた反応液に30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH6〜7、25〜50℃で6時間撹拌し、タウリン26.3部を加え、pH7〜9、75〜90℃で3時間撹拌した。得られた反応液を20〜25℃まで冷却後、この反応液にアセトン800部を加え、20〜25℃で1時間撹拌した。その後、析出固体を濾取することによりウェットケーキ120.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより、下記式(9)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:382nm)50.0部を得た。
上記(工程1)で得られた上記式(7)で表される化合物100部のウェットケーキを水300部に溶解し、上記(工程2)で得られた反応液に30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH6〜7、25〜50℃で6時間撹拌し、タウリン26.3部を加え、pH7〜9、75〜90℃で3時間撹拌した。得られた反応液を20〜25℃まで冷却後、この反応液にアセトン800部を加え、20〜25℃で1時間撹拌した。その後、析出固体を濾取することによりウェットケーキ120.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより、下記式(9)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:382nm)50.0部を得た。
[実施例2]
実施例1の(工程1)で使用した2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸30.3部の代わりに2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸30.3部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(10)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:382nm)50.5部を得た。
実施例1の(工程1)で使用した2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸30.3部の代わりに2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸30.3部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(10)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:382nm)50.5部を得た。
[実施例3]
実施例1の(工程1)で使用したアニリン9.3部の代わりに3−メチルアニリン10.7部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(11)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:384nm)50.0部を得た。
実施例1の(工程1)で使用したアニリン9.3部の代わりに3−メチルアニリン10.7部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(11)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:384nm)50.0部を得た。
[実施例4]
実施例1の(工程1)で使用した2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸30.3部の代わりに2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸30.3部を使用し、実施例1の(工程3)で使用したタウリン26.3部の代わりに3−アミノベンゼンスルホン酸60.0部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(12)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:378nm)24.5部を得た。
実施例1の(工程1)で使用した2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸30.3部の代わりに2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸30.3部を使用し、実施例1の(工程3)で使用したタウリン26.3部の代わりに3−アミノベンゼンスルホン酸60.0部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(12)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:378nm)24.5部を得た。
[実施例5〜7]
[(A)インクの調製]
上記実施例1、2、及び4で得られた本発明の水溶性アゾ化合物を色素成分として使用し、下記表2に示した組成比で各成分を混合して本発明のインク組成物を得、それぞれ0.45μmのメンブランフィルタで濾過することにより夾雑物を除き、インクを得た。なお、水はイオン交換水を使用し、インク組成物のpHがおよそ9となるように水酸化ナトリウム水溶液で調整後、総量が100部になるように水を加えた。実施例1、2、及び4で得られた化合物を使用したインクの調製を、それぞれ実施例5、6、及び7とする。
[(A)インクの調製]
上記実施例1、2、及び4で得られた本発明の水溶性アゾ化合物を色素成分として使用し、下記表2に示した組成比で各成分を混合して本発明のインク組成物を得、それぞれ0.45μmのメンブランフィルタで濾過することにより夾雑物を除き、インクを得た。なお、水はイオン交換水を使用し、インク組成物のpHがおよそ9となるように水酸化ナトリウム水溶液で調整後、総量が100部になるように水を加えた。実施例1、2、及び4で得られた化合物を使用したインクの調製を、それぞれ実施例5、6、及び7とする。
[比較例1]
色素成分として各実施例で得られたアゾ化合物の代わりに、インクジェット用黄色色素として従来から広く用いられているC.I.ダイレクトイエロー132を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、比較用のインクを調製した。これを比較例1とする。
なお、比較例1で使用したC.I.ダイレクトイエロー132は、水溶液の状態で市販されているため、該水溶液をヤマト科学(株)社製、商品名Fine Oven DF42を用いて60℃で2週間乾燥することにより得られた乾燥状態の化合物を使用した。後記する(G)溶解性試験等においても、この化合物を使用して試験を行った。
色素成分として各実施例で得られたアゾ化合物の代わりに、インクジェット用黄色色素として従来から広く用いられているC.I.ダイレクトイエロー132を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、比較用のインクを調製した。これを比較例1とする。
なお、比較例1で使用したC.I.ダイレクトイエロー132は、水溶液の状態で市販されているため、該水溶液をヤマト科学(株)社製、商品名Fine Oven DF42を用いて60℃で2週間乾燥することにより得られた乾燥状態の化合物を使用した。後記する(G)溶解性試験等においても、この化合物を使用して試験を行った。
[比較例2]
色素成分として各実施例で得られたアゾ化合物の代わりに、特許文献4のExample2に記載の方法にて合成した下記式(13)で表される化合物のナトリウム塩を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、比較用のインクを調製した。用いた比較用化合物の構造式を以下に示す。これを比較例2とする。なお、比較例2で調製したインクはゲル化を生じ、通常の方法ではインクジェットプリントができなかった。このため、得られたゲル状のインクを加熱することにより、生じたゲルを溶解し、溶液状態である間にインクジェットプリントを行い、得られた試験片を各評価試験に用いた。このインクは、室温への冷却により、再度、ゲル化を生じた。
色素成分として各実施例で得られたアゾ化合物の代わりに、特許文献4のExample2に記載の方法にて合成した下記式(13)で表される化合物のナトリウム塩を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、比較用のインクを調製した。用いた比較用化合物の構造式を以下に示す。これを比較例2とする。なお、比較例2で調製したインクはゲル化を生じ、通常の方法ではインクジェットプリントができなかった。このため、得られたゲル状のインクを加熱することにより、生じたゲルを溶解し、溶液状態である間にインクジェットプリントを行い、得られた試験片を各評価試験に用いた。このインクは、室温への冷却により、再度、ゲル化を生じた。
[(B)インクジェットプリント]
インクジェットプリンタとしてキヤノン社製 商品名:PIXUS ip4100を用いて、インクジェット専用紙にインクジェット記録を行った。使用したインクジェット専用紙は、日本ヒューレット・パッカード(株)製、 アドバンスフォト用紙(光沢)である。インクジェット記録の際、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、実施例5乃至7、比較例1及び2のそれぞれのインクで着色された黄色の印字物を得た。
耐湿性試験は、未印字部と印字部とを有する印刷物を用いて行った。耐光性試験及び耐オゾンガス性試験は、試験前の印字物の反射濃度D値が0.7〜1.0の範囲の部分で反射濃度の測定を行った。また、反射濃度は測色システム(SpectroEye、GretagMacbeth社製)を用いて測定した。
記録画像の各種試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
インクジェットプリンタとしてキヤノン社製 商品名:PIXUS ip4100を用いて、インクジェット専用紙にインクジェット記録を行った。使用したインクジェット専用紙は、日本ヒューレット・パッカード(株)製、 アドバンスフォト用紙(光沢)である。インクジェット記録の際、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、実施例5乃至7、比較例1及び2のそれぞれのインクで着色された黄色の印字物を得た。
耐湿性試験は、未印字部と印字部とを有する印刷物を用いて行った。耐光性試験及び耐オゾンガス性試験は、試験前の印字物の反射濃度D値が0.7〜1.0の範囲の部分で反射濃度の測定を行った。また、反射濃度は測色システム(SpectroEye、GretagMacbeth社製)を用いて測定した。
記録画像の各種試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
[(C)印刷物の色濃度]
インクジェット専用紙にプリントした画像のうち、最も反射濃度が高い部分について上記測色システムを用いてイエロー濃度Dy値を測定した。評価基準は以下の通りである。
Dy値が1.70以上・・・・・・・・・・・・・・○
Dy値が1.70未満1.60以上・・・・・△
Dy値が1.60未満・・・・・・・・・・・・・・×
結果を表3に示す。
インクジェット専用紙にプリントした画像のうち、最も反射濃度が高い部分について上記測色システムを用いてイエロー濃度Dy値を測定した。評価基準は以下の通りである。
Dy値が1.70以上・・・・・・・・・・・・・・○
Dy値が1.70未満1.60以上・・・・・△
Dy値が1.60未満・・・・・・・・・・・・・・×
結果を表3に示す。
[(D)耐湿性試験]
インクジェット専用紙にプリントした試験片を恒温恒湿器IG400(ヤマト科学(株)社製)を用いて30℃、80%RHで7日間放置し、試験前後の印字部の色素の未印字部への滲みを目視により判定した。評価基準は以下の通りである。
色素の未印字部への滲みがほとんど見られない・・○
色素の未印字部への滲みがやや見られる・・・・・・・△
色素の未印字部への滲みがかなり見られる・・・・・・×
結果を表3に示す。
インクジェット専用紙にプリントした試験片を恒温恒湿器IG400(ヤマト科学(株)社製)を用いて30℃、80%RHで7日間放置し、試験前後の印字部の色素の未印字部への滲みを目視により判定した。評価基準は以下の通りである。
色素の未印字部への滲みがほとんど見られない・・○
色素の未印字部への滲みがやや見られる・・・・・・・△
色素の未印字部への滲みがかなり見られる・・・・・・×
結果を表3に示す。
[(E)キセノン耐光性試験]
インクジェット専用紙にプリントした試験片をホルダーに設置して、キセノンウェザオメータXL75(スガ試験機(株)社製)を用い、温度24℃、湿度60%RH、0.36W/平方メートル照度で168時間照射した。
試験後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色し、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が80%以上・・・・・・・・・・・○
色素残存率が70%以上80%未満・・・△
色素残存率が70%未満・・・・・・・・・・・×
結果を表3に示す。
インクジェット専用紙にプリントした試験片をホルダーに設置して、キセノンウェザオメータXL75(スガ試験機(株)社製)を用い、温度24℃、湿度60%RH、0.36W/平方メートル照度で168時間照射した。
試験後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色し、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が80%以上・・・・・・・・・・・○
色素残存率が70%以上80%未満・・・△
色素残存率が70%未満・・・・・・・・・・・×
結果を表3に示す。
[(F)耐オゾンガス性試験]
インクジェット専用紙にプリントした試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機(株)社製)を用いてオゾン濃度40ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に8時間放置した後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色した。測定後、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が90%以上・・・・・・・・・・・・○
色素残存率が70%以上90%未満・・・△
色素残存率が70%未満・・・・・・・・・・・・×
結果を表3に示す。
インクジェット専用紙にプリントした試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機(株)社製)を用いてオゾン濃度40ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に8時間放置した後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色した。測定後、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が90%以上・・・・・・・・・・・・○
色素残存率が70%以上90%未満・・・△
色素残存率が70%未満・・・・・・・・・・・・×
結果を表3に示す。
[(G)溶解性試験]
実施例5乃至7、比較例1及び2で使用した各化合物について、水に対する溶解性を試験した。水はイオン交換水を用い、pH8付近、室温(25℃)で試験を行った。溶解性は以下の基準で評価した。
100g/L以上の水溶性を有する・・・・・・・・・・・・・・・○
50g/L以上100g/L未満の水溶性を有する・・・・△
50g/L未満の水溶性を有する・・・・・・・・・・・・・・・・×
結果を表4に示す。
実施例5乃至7、比較例1及び2で使用した各化合物について、水に対する溶解性を試験した。水はイオン交換水を用い、pH8付近、室温(25℃)で試験を行った。溶解性は以下の基準で評価した。
100g/L以上の水溶性を有する・・・・・・・・・・・・・・・○
50g/L以上100g/L未満の水溶性を有する・・・・△
50g/L未満の水溶性を有する・・・・・・・・・・・・・・・・×
結果を表4に示す。
[(H)インクの保存安定性試験]
実施例5乃至7、比較例1及び2で調製した各インクについて、密閉容器に保管して室温(18〜28℃)で1ヶ月間の保存安定性を確認した。評価は目視で行い、以下の基準で評価した。
1ヶ月保存後に沈殿もゲル化も無い・・・・・・・・・・・・・○
1ヶ月保存後に沈殿が発生又はインクがゲル化・・・・×
結果を表4に示す。
実施例5乃至7、比較例1及び2で調製した各インクについて、密閉容器に保管して室温(18〜28℃)で1ヶ月間の保存安定性を確認した。評価は目視で行い、以下の基準で評価した。
1ヶ月保存後に沈殿もゲル化も無い・・・・・・・・・・・・・○
1ヶ月保存後に沈殿が発生又はインクがゲル化・・・・×
結果を表4に示す。
表3及び表4の結果より明らかなように、C.I.ダイレクトイエロー132を用いた比較例1は、色濃度や耐湿性試験では優れた結果を示したが、(E)耐光性試験で反射濃度の残存率が70%以上80%未満であり、また(F)耐オゾン性試験においても反射濃度の残存率が70%以上90%未満と、これらの堅牢性に問題があることが判明した。さらに、(G)溶解性試験についても50g/L以上100g/L未満であり、実施例5乃至7よりも劣ることが判明した。
また、比較例2は、色濃度や耐湿性試験では優れた結果を示し、(E)耐光性試験においても反射濃度の残存率は80%以上と良好であった。しかし、(F)耐オゾン性試験で反射濃度の残存率が70%以上90%未満であり、耐オゾン性に問題があることが判明した。また、(G)溶解性試験においても50g/L以上100g/L未満であり、実施例5乃至7よりも水溶性が劣り、インクの長期保存安定性試験後にはゲル化するという現象が見られ、これは実使用に耐え得るものではない。
これに対して実施例5乃至7は、いずれも(G)溶解性試験において100g/L以上と優れた水溶性を示し、またインクの長期保存安定性も良好であった。また、実施例5乃至7は、色濃度及び耐湿性試験においても良好な結果を示した。また、(E)耐光性試験ではいずれも80%以上の反射濃度残存率を有しており、耐光性に優れていることが判明した。さらに、(F)耐オゾン性試験においても90%以上の反射濃度残存率を有しており、従来品と比較してこれらの堅牢性に優れていることが判明した。
また、比較例2は、色濃度や耐湿性試験では優れた結果を示し、(E)耐光性試験においても反射濃度の残存率は80%以上と良好であった。しかし、(F)耐オゾン性試験で反射濃度の残存率が70%以上90%未満であり、耐オゾン性に問題があることが判明した。また、(G)溶解性試験においても50g/L以上100g/L未満であり、実施例5乃至7よりも水溶性が劣り、インクの長期保存安定性試験後にはゲル化するという現象が見られ、これは実使用に耐え得るものではない。
これに対して実施例5乃至7は、いずれも(G)溶解性試験において100g/L以上と優れた水溶性を示し、またインクの長期保存安定性も良好であった。また、実施例5乃至7は、色濃度及び耐湿性試験においても良好な結果を示した。また、(E)耐光性試験ではいずれも80%以上の反射濃度残存率を有しており、耐光性に優れていることが判明した。さらに、(F)耐オゾン性試験においても90%以上の反射濃度残存率を有しており、従来品と比較してこれらの堅牢性に優れていることが判明した。
以上の結果から、実施例5乃至7は比較例1より耐光性、耐オゾン性において優れ、且つ比較例2よりも耐オゾン性に優れ、インクとした際にゲル化を生じることなく、保存安定も良好であると言える。
[実施例8]
実施例1の(工程3)で使用したタウリン26.3部の代わりに6−アミノヘキサン酸27.6部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(14)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:378nm)49.0部を得た。
実施例1の(工程3)で使用したタウリン26.3部の代わりに6−アミノヘキサン酸27.6部を使用する以外は実施例1と同様の方法で、下記式(14)で表される本発明の水溶性アゾ化合物(λmax:378nm)49.0部を得た。
[実施例9]
実施例1、2、又は4で得られた化合物の代わりに実施例8で得られた化合物を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、上記「(A)インクの調製」の方法に従い、インクを調製した。このインクの調製を実施例9とする。
実施例1、2、又は4で得られた化合物の代わりに実施例8で得られた化合物を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、上記「(A)インクの調製」の方法に従い、インクを調製した。このインクの調製を実施例9とする。
[比較例3]
色素成分として各実施例で得られたアゾ化合物の代わりに、特許文献5のExample1に記載の下記式(15)で表されるDye1のナトリウム塩を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、比較用のインクを調製した。用いた比較用化合物の構造式を以下に示す。これを比較例3とする。
色素成分として各実施例で得られたアゾ化合物の代わりに、特許文献5のExample1に記載の下記式(15)で表されるDye1のナトリウム塩を用いる以外は実施例5乃至7と同様にして、比較用のインクを調製した。用いた比較用化合物の構造式を以下に示す。これを比較例3とする。
[(I)インクジェットプリント(2)]
上記「(B)インクジェットプリント」と同様にして、実施例9、比較例1及び3のそれぞれのインクで着色された黄色の印字物を得た。なお、比較例2で調製したインクは、上記の通りゲル化するため、印字物を調製しなかった。
得られた各印字物につき、試験条件及び評価(基準)を下記(J)乃至(L)とする以外は、該(J)乃至(L)に相当する上記の各評価試験と同様にして、記録画像の各種試験及び評価を行った。
上記「(B)インクジェットプリント」と同様にして、実施例9、比較例1及び3のそれぞれのインクで着色された黄色の印字物を得た。なお、比較例2で調製したインクは、上記の通りゲル化するため、印字物を調製しなかった。
得られた各印字物につき、試験条件及び評価(基準)を下記(J)乃至(L)とする以外は、該(J)乃至(L)に相当する上記の各評価試験と同様にして、記録画像の各種試験及び評価を行った。
[(J)耐湿性試験(2)]
インクジェット専用紙にプリントした試験片を恒温恒湿器IG400(ヤマト科学(株)社製)を用いて30℃、80%RHで6日間放置し、試験前後の印字部の色素の未印字部への滲みを目視により判定した。評価基準は以下の通りである。
色素の未印字部への滲みがほとんど見られない・・○
色素の未印字部への滲みがやや見られる・・・・・・・△
色素の未印字部への滲みがかなり見られる・・・・・・×
結果を表5に示す。
インクジェット専用紙にプリントした試験片を恒温恒湿器IG400(ヤマト科学(株)社製)を用いて30℃、80%RHで6日間放置し、試験前後の印字部の色素の未印字部への滲みを目視により判定した。評価基準は以下の通りである。
色素の未印字部への滲みがほとんど見られない・・○
色素の未印字部への滲みがやや見られる・・・・・・・△
色素の未印字部への滲みがかなり見られる・・・・・・×
結果を表5に示す。
[(K)キセノン耐光性試験(2)]
インクジェット専用紙にプリントした試験片をホルダーに設置して、キセノンウェザオメータXL75(スガ試験機(株)社製)を用い、温度24℃、湿度60%RH、0.36W/平方メートル照度で120時間照射した。
試験後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色し、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が90%以上・・・・・・・・・・・・○
色素残存率が80%以上90%未満・・・△
色素残存率が80%未満・・・・・・・・・・・・×
結果を表5に示す。
インクジェット専用紙にプリントした試験片をホルダーに設置して、キセノンウェザオメータXL75(スガ試験機(株)社製)を用い、温度24℃、湿度60%RH、0.36W/平方メートル照度で120時間照射した。
試験後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色し、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が90%以上・・・・・・・・・・・・○
色素残存率が80%以上90%未満・・・△
色素残存率が80%未満・・・・・・・・・・・・×
結果を表5に示す。
[(L)耐オゾンガス性試験(2)]
インクジェット専用紙にプリントした試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機(株)社製)を用いてオゾン濃度40ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に16時間放置した後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色した。測定後、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が85%以上・・・・・・・・・・・○
色素残存率が80%以上85%未満・・・△
色素残存率が80%未満・・・・・・・・・・・×
結果を表5に示す。
インクジェット専用紙にプリントした試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機(株)社製)を用いてオゾン濃度40ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に16時間放置した後、上記の測色システムを用いて反射濃度を測色した。測定後、反射濃度の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が85%以上・・・・・・・・・・・○
色素残存率が80%以上85%未満・・・△
色素残存率が80%未満・・・・・・・・・・・×
結果を表5に示す。
表5の結果から明らかなように、実施例9はキセノン耐光性及び耐オゾンガス性のいずれにおいても各比較例より極めて優れることが確認された。
このように、本発明の水溶性アゾ化合物はインクジェット記録用のインク組成物を調製するのに適しており、各種の堅牢性、特に耐光性、耐オゾンガス性に極めて優れ、また水溶解性が高く、長期に保存した場合にも沈殿やゲル化を生ずることなく保存安定性が良好である。さらに、本発明のアゾ化合物は高い色濃度を有し、良好で鮮明な色相である。これらの特徴から、本発明のアゾ化合物は各種の記録用インク色素、特にインクジェットインク用の黄色色素として非常に有用な化合物であることが明らかである。
Claims (13)
- 式(1)のR1及びR2が共に水素原子であり、mが2である請求項1に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
- 式(1)の基Aが、式(2)又は(3)で表される請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
- 式(1)の基Aが、式(4)で表される請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を、色素として含有するインク組成物。
- 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項5に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用である請求項5又は6に記載のインク組成物。
- 請求項5乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 前記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項9に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物若しくはその塩、又は請求項5乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物で着色された着色体。
- 着色がインクジェットプリンタによりなされた請求項11に記載の着色体。
- 請求項5乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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