JP2014168942A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブラックインクと、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを含むカラーインクとをDuty30%以下で記録媒体に付着させ、無彩色画像を記録するインクジェット記録方法であって、ブラックインクの付着量とカラーインクの付着量との質量比は、0.05:0.95〜0.20:0.80であり、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクは、いずれも70%以上の下記式で定義される残存OD値率を有する。
(残存OD値率)=100×(空隙型インク受容層を有する記録媒体におけるDuty100%の単色画像の、所定の環境下での120時間放置後のOD値)/(単色画像の放置前のOD値)
【選択図】なし
Description
ブラックインクと、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを含むカラーインクと、をDuty30%以下で記録媒体に付着させ、無彩色画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記ブラックインクの付着量と前記カラーインクの付着量との質量比(ブラックインクの付着量:カラーインクの付着量)は、0.05:0.95〜0.20:0.80であり、
前記シアンインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記マゼンタインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記イエローインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記ブラックインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記残存OD値率は、下記式(A)で定義される、
インクジェット記録方法。
式(A):(残存OD値率)=100×(空隙型インク受容層を有する記録媒体におけるDuty100%の単色画像を、23℃、50%RH、オゾン濃度5ppmの環境下で120時間放置した後のOD値)/(単色画像の前記放置前のOD値)
〔2〕
前記ブラックインクの前記残存OD値率は、前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクのいずれの前記残存OD値率よりも低い、前項〔1〕に記載のインクジェット記録方法。
〔3〕
前記イエローインクの前記残存OD値率は、前記ブラックインク、前記シアンインク、及び前記マゼンタインクのいずれの前記残存OD値率よりも高い、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェット記録方法。
〔4〕
前記ブラックインクの付着量と前記カラーインクの付着量との前記質量比(ブラックインクの付着量:カラーインクの付着量)は、0.05:0.95〜0.15:0.85である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔5〕
前記ブラックインクは、下記式1で表される化合物、下記式2で表される化合物、下記式3で表される化合物、下記式4で表される化合物、及び下記式5で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいN’−C1−C4アルキルウレイド基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいフェニルアミノ基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいベンゾイルアミノ基;又はベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいフェニルスルホニルアミノ基;をそれぞれ表し、
A1は、下記式21又は下記式22で表される一価の置換複素環基であり、
B1は、置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基であり、
B1が置換フェニル基の場合は、ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;アミノ基;モノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;アセチルアミノ基;及びベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいベンゾイルアミノ基;よりなる群から選択される置換基を有し、
Bが置換ナフチル基の場合は、ヒドロキシ基;スルホ基;C1−C4アルコキシ基;及びベンゼン環がメチル基、ニトロ基又は塩素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニルオキシ基;よりなる群から選択される置換基を有する。
Mは、H、アルカリ金属、NH4を表す。)
Xは2価の架橋基を表す。2価の架橋基としては、特に限定されないが、例えば、C1−C8のアルキレンジアミノ基;フェニレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;又はC1−C4アルキル基若しくはC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基が好ましい。このなかでも、ピペラジン−1,4−ジイル基がより好ましい。
Mは、H、アルカリ金属、NH4を表す。)
〔6〕
前記シアンインクは、下記式6で表される化合物、及び下記式7で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、前項〔1〕〜〔5〕に記載のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
EはC2−C12アルキレンを表し、
Xは、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Fはフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。)
〔7〕
前記マゼンタインクは、下記式8で表される化合物、下記式9で表される化合物、及び下記式10で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、前項〔1〕〜〔6〕に記載のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔8〕
前記イエローインクは、下記式11で表される化合物、下記式12で表される化合物、及び下記式13で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、前項〔1〕〜〔7〕に記載のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
本実施形態のインクジェット記録方法は、ブラックインクと、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを含むカラーインクと、をDuty30%以下で記録媒体に付着させ、無彩色画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記ブラックインクの付着量と前記カラーインクの付着量との質量比(ブラックインクの付着量:前記カラーインクの付着量)は、0.05:0.95〜0.20:0.80であり、前記シアンインクは、70%以上の残存OD値率を有し、前記マゼンタインクは、70%以上の残存OD値率を有し、前記イエローインクは、70%以上の残存OD値率を有し、及び前記ブラックインクは、70%以上の残存OD値率を有し、前記残存OD値率(残存光学濃度率)は、下記式(A)で定義される。
式(A):(残存OD値率)=100×(空隙型インク受容層を有する記録媒体におけるDuty100%の単色画像の、23℃、50%RH、オゾン濃度5ppmの環境下、120時間放置後のOD値)/(単色画像の放置前のOD値)
本実施形態において「Duty」とは、下式で算出される値をいう。下記式中、「実印字ドット数」は単位面積当たりの実印字ドット数をいう。また、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位長さ当たりの解像度をいう。
(Duty(%))=(実印字ドット数)/(縦解像度×横解像度)×100
(2−1.空隙型インク受容層を有する記録媒体)
本実施形態のインクジェット記録方法における前記残存OD値率は、空隙型インク受容層を有する記録媒体に記録されたDuty100%の単色画像で定義される。本実施形態において、「空隙型インク受容層」とは、アルミナ、シリカ等の多孔質無機粒子と水溶性樹脂(バインダー)とを含むインク受容層をいう。
本実施形態のインクジェット記録方法で用いることのできる記録媒体は、上記の空隙型インク受容層を有する記録媒体に限定されず、例えば、紙、厚紙、膨潤型インク受容層を有する記録媒体、繊維製品、皮革、シートまたはフィルム、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等が挙げられる。なお、膨潤型受容層とは、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンあるいはポリエチレンオキサイド等の親水性ポリマー(水溶性樹脂)を主体として構成されるものであり、親水性ポリマーがインクにより膨潤することでインクを受容する。
本実施形態のインクジェット記録方法において、無彩色画像とは、特に限定されないが、例えば、L*a*b*空間において、a*値が−10以上10以下の範囲内にあり、かつ、b*値が−10以上10以下の範囲内にある画像であることが好ましく、a*値が−5以上5以下の範囲内にあり、かつ、b*値が−5以上5以下の範囲内にある画像であることがより好ましい。a*値及びb*値が上記範囲であることにより、色相がより優れる無彩色画像を得ることができる。なお、色相の測定は、実施例に記載の方法により行なうことができる。
ブラックインクの付着量とカラーインクの付着量との質量比(ブラックインクの付着量:カラーインクの付着量)は、0.05:0.95〜0.20:0.80であり、0.05:0.95〜0.15:0.85であることが好ましい。ブラックインクの付着量とカラーインクの付着量の一方が多いことによりインクの会合性が向上し、それにより記録画像の耐オゾン性が向上し、ひいては褪色しにくい記録物が得られる。さらに、付着量の質量比が上記範囲内であることにより、カラーインクの会合性が向上し、耐オゾン性に優れるだけでなく、粒状性及び色相にもより優れる無彩色画像を得ることができる。
残存OD値率(以下、「ROD」ともいう。)は、空隙型インク受容層を有する記録媒体におけるDuty100%の単色画像を作製し、この単色画像のOD値と、この単色画像を23℃、50%RH、オゾン濃度5ppmの環境下で120時間放置した後のOD値とを測定し、それらのOD値から下記式(A)により求めることができる。なお、空隙型インク受容層を有する記録媒体としては、特に限定されず、上記〔2.記録媒体〕で述べたものと同様のものが挙げられる。また、OD値の測定は、反射濃度計(商品名:Spectrolino、Gretag社製)を用いて行なうことができる。
式(A): (残存OD値率)=100×(放置後のOD値)/(放置前のOD値)
ROD(C)>ROD(K)
ROD(M)>ROD(K)
ROD(Y)>ROD(K)
ROD(Y)>ROD(K)
ROD(Y)>ROD(C)
ROD(Y)>ROD(M)
本実施形態で用いるインクに含めることのできる染料、その他添加剤について以下列記する。
ブラックインク用染料としては、特に限定されないが、例えば、以下に列記するブラックインク用染料1〜4を用いることができる。
ブラックインク用染料1は、下記式1で表される化合物である。
ブラックインク用染料2は、下記式2で表される化合物である。
R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいN’−C1−C4アルキルウレイド基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいフェニルアミノ基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいベンゾイルアミノ基;又はベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいフェニルスルホニルアミノ基;をそれぞれ表し、
A1は、下記式21又は下記式22で表される一価の置換複素環基であり、
B1は、置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基であり、
B1が置換フェニル基の場合は、ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;アミノ基;モノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;アセチルアミノ基;及びベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいベンゾイルアミノ基;よりなる群から選択される置換基を有し、
Bが置換ナフチル基の場合は、ヒドロキシ基;スルホ基;C1−C4アルコキシ基;及びベンゼン環がメチル基、ニトロ基又は塩素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニルオキシ基;よりなる群から選択される置換基を有する。
Mは、H、アルカリ金属、NH4を表す。)
ブラックインク用染料3は、下記式3で表される化合物である。
ブラックインク用染料4は、下記式4で表される化合物である。
ブラックインク用染料5は、下記式5で表される化合物である。
Xは2価の架橋基を表す。2価の架橋基としては、特に限定されないが、例えば、C1−C8のアルキレンジアミノ基;フェニレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;又はC1−C4アルキル基若しくはC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基が好ましい。このなかでも、ピペラジン−1,4−ジイル基がより好ましい。
Mは、H、アルカリ金属、NH4を表す。)
シアンインク用染料としては、特に限定されないが、例えば、以下に列記するシアンインク用染料1〜3を用いることができる。
シアンインク用染料1は、下記式6で表される化合物である。
シアンインク用染料2は、下記式7で表される化合物である。このなかでも後述する環A〜Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環であり、残り2.80がベンゼン環であるものが好ましい。
EはC2−C12アルキレンを表し、
Xは、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Fはフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。)
マゼンタインク用染料としては、特に限定されないが、例えば、以下に列記するマゼンタインク用染料1〜3を用いることができる。
マゼンタインク用染料1は、下記式8で表される化合物である。
マゼンタインク用染料2は、下記式9で表される化合物である。
マゼンタインク用染料3は、下記式10で表される化合物である。
イエローインク用染料としては、特に限定されないが、例えば、以下に列記するイエローインク用染料1〜3を用いることができる。
イエローインク用染料1は、下記式11で表される化合物である。
イエローインク用染料2は、下記式12で表される化合物である。
イエローインク用染料3は、下記式13で表される化合物である。
本実施形態で用いる各インクは、水、湿潤剤、浸透剤、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有することができる。本実施形態で用いる各インクは、これらの成分を含有していると、その特性がさらに向上する場合がある。
水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる傾向にある。
湿潤剤を含有することで、インクジェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥を防止することができる。湿潤剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール;グリセリン;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
浸透剤を含有することで、紙面での乾燥速度を速くすることができる。浸透剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル等のグリコール系エーテルを挙げることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
防腐剤・防かび剤としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
防錆剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
キレート化剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)、イミノジコハク酸及びそれらの塩類等が挙げられる。
各インクは、染料、及び必要に応じてその他の添加成分を均一に混合し、フィルタで不溶解物を除去することにより調製することができる。調整方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
下記の実施例、比較例、及び参考例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔ブラックインク用染料〕
・K1:上記式1−1においてMがLiのものと、MがNaのものを8:2で混合した混合物を使用した。
・K2:上記式2−1においてMがLiのものを使用した。
・K3:上記式5−1においてMがLiのものを使用した。
・K4:上記式3−1においてMがLiのものを使用した。
・K5:下記構造式で表される化合物を使用した。
・K7:C.I.ダイレクトイエロー132を使用した。
〔シアンインク用染料〕
・C1:上記式7−1において環A〜環Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環のものを使用した(詳細は後述)。
・C2:上記表1の化合物Fを使用した。
・C3:C.I.ダイレクトブルー199を使用した。
〔マゼンタインク用染料〕
・M1:上記式10−1においてMがNaとNH4の混合物を使用した。
・M2:上記式8−2で表される化合物を使用した。
・M3:下記構造式で表される化合物を使用した。
・Y1:上記式12−1においてMがNaのものを使用した。
・Y2:上記式11−1においてMがKのものを使用した。
・Y3:C.I.ダイレクトイエロー173を使用した。
〔湿潤剤〕
・プロピレングリコール
・トリエチレングリコール
・グリセリン〔浸透剤〕
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル〔pH調整剤〕
・トリエタノールアミン
(工程1)
下記式における環A〜Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環である化合物(C1)の合成について以下に例示する。
まず、スルホラン375部に、無水フタル酸31.11部、キノリン酸15.04部、尿素108部、塩化銅(II)10.1部、及びモリブデン酸アンモニウム1.5部を加え、200℃まで昇温し、同温度で5時間反応させた。反応終了後65℃まで冷却し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)50部を加え、析出固体を濾過分離した。得られた固体をDMF50部で洗浄し、ウェットケーキA75.1部を得た。得られたウェットケーキAをDMF450部に加え、110℃に昇湿し、同温度で一時間反応させた。析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄しウェットケーキBを得た。得られたウェットケーキBを5%塩酸450部中に加え、60℃に昇温し、同温度で1時間撹拌した。析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄しウェットケーキCを得た。得られたウェットケーキCを5%アンモニア水450部中に加え、60℃で1時間撹拌し、析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄し、ウェットケーキD78.6部を得た。得られたウェットケーキDを80℃で乾燥し、目的化合物24.9部を青色固体として得た。
上記式で表されるポルフィラジン系化合物[上記式における環A〜Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環である色材C]の合成
下記の表2及び表3に示す材料及び組成のブラックインク(K−01、K−02、K−11)、シアンインク(C−01、C−02、C−11)、マゼンタインク(M−01、M−11)、及びイエローインク(Y−01、Y−02、Y−11)を調製した。具体的には、各材料を均一に混合し、フィルタで不溶解物を除去することにより、各インクを調製した。なお、下記の表2及び表3中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
(残存OD値率)=100×(空隙型インク受容層を有する記録媒体におけるDuty100%の単色画像の、23℃、50%RH、オゾン濃度5ppmの環境下における120時間放置後のOD値)/(単色画像の放置前のOD値)
測定条件:光源フィルタなし、光源:D50、視野角2度
〔色相評価〕
実施例及び比較例のインクについて、インクジェットプリンターEP-803A(セイコーエプソン社製)を用い、インクジェット専用記録媒体(写真用紙<光沢>:型番KA450PSK(セイコーエプソン株式会社製)、60°光沢度=41)にプリンタードライバー上でモノクロ印刷設定を指定してDuty30%とDuty5%で印刷を行った。得られた印刷物に対して、分光光度計(商品名:i1、Xrite製)を用いて測色を行い、以下の基準にて評価した。
(判定基準)
○:a*値が−5以上5以下の範囲内にあり、かつ、b*値が−5以上5以下の範囲内にある。
△:a*値が−10以上−5未満、5超過10以下の範囲内にあり、かつ、b*値が−10以上−5未満、5超過10以下の範囲内にある。
×:a*値及びb*値の少なくとも一方が、−10以上10以下の範囲内にない。
上記色相評価において得られた印刷物を、目視により観察し、下記の基準にて粒状性を評価した。
(判定基準)
○:画像にざらつき感が見られない。
×:画像にざらつき感が見られる。
上記色相評価において得られた印刷物のOD値(D0)を反射濃度計(商品名:Spectrolino、Gretag社製)を用いて測定した。その後、印刷物をオゾンウェザーメーター(商品名:OMS―L、スガ試験機株式会社製)を使用し、温度が23℃、湿度が50%RH、オゾン濃度5ppmの条件下で120時間曝露した。曝露後、印刷物のOD値(D)を、反射濃度計(商品名:Spectrolino、Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により、耐オゾン性を評価した。
ROD(%)=(D/D0)×100
測定条件:光源フィルタなし、光源:D50、視野角2度
(判定基準)
○:RODが75%以上
△:RODが70%以上75%未満
×:RODが70%未満
Claims (8)
- ブラックインクと、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを含むカラーインクと、をDuty30%以下で記録媒体に付着させ、無彩色画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記ブラックインクの付着量と前記カラーインクの付着量との質量比(ブラックインクの付着量:カラーインクの付着量)は、0.05:0.95〜0.20:0.80であり、
前記シアンインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記マゼンタインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記イエローインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記ブラックインクは、70%以上の残存OD値率を有し、
前記残存OD値率は、下記式(A)で定義される、
インクジェット記録方法。
式(A):(残存OD値率)=100×(空隙型インク受容層を有する記録媒体におけるDuty100%の単色画像を、23℃、50%RH、オゾン濃度5ppmの環境下で120時間放置した後のOD値)/(単色画像の前記放置前のOD値) - 前記ブラックインクの前記残存OD値率は、前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクのいずれの前記残存OD値率よりも低い、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記イエローインクの前記残存OD値率は、前記ブラックインク、前記シアンインク、及び前記マゼンタインクのいずれの前記残存OD値率よりも高い、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ブラックインクの付着量と前記カラーインクの付着量との前記質量比(ブラックインクの付着量:カラーインクの付着量)は、0.05:0.95〜0.15:0.85である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ブラックインクは、下記式1で表される化合物、下記式2で表される化合物、下記式3で表される化合物、下記式4で表される化合物、及び下記式5で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいN’−C1−C4アルキルウレイド基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいフェニルアミノ基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいベンゾイルアミノ基;又はベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいフェニルスルホニルアミノ基;をそれぞれ表し、
A1は、下記式21又は下記式22で表される一価の置換複素環基であり、
B1は、置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基であり、
B1が置換フェニル基の場合は、ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;アミノ基;モノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;アセチルアミノ基;及びベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいベンゾイルアミノ基;よりなる群から選択される置換基を有し、
Bが置換ナフチル基の場合は、ヒドロキシ基;スルホ基;C1−C4アルコキシ基;及びベンゼン環がメチル基、ニトロ基又は塩素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニルオキシ基;よりなる群から選択される置換基を有する。
Mは、H、アルカリ金属、NH4を表す。)
Xは2価の架橋基を表す。2価の架橋基としては、特に限定されないが、例えば、C1−C8のアルキレンジアミノ基;フェニレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;又はC1−C4アルキル基若しくはC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基が好ましい。このなかでも、ピペラジン−1,4−ジイル基がより好ましい。
Mは、H、アルカリ金属、NH4を表す。) - 前記シアンインクは、下記式6で表される化合物、及び下記式7で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、請求項1〜5に記載のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
EはC2−C12アルキレンを表し、
Xは、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Fはフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。) - 前記マゼンタインクは、下記式8で表される化合物、下記式9で表される化合物、及び下記式10で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、請求項1〜6に記載のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
X2は、NH2、OH又はClを表す。Mは、H、アルカリ金属、NH4を表す。)
- 前記イエローインクは、下記式11で表される化合物、下記式12で表される化合物、及び下記式13で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む、請求項1〜7に記載のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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