JP2012122032A - インク組成物、及び記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐オゾン性および耐ブロンズ性に優れ、高い印刷濃度を付与することができるインク組成物を提供し、それらを用いた記録方法によって記録された記録物を提供する。
【解決手段】少なくとも、式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩と、式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩の少なくとも1種と、を含んでなることを特徴とするインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び該記録方法によって記録された記録物。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録に好適なインク組成物、特に、耐オゾン性、耐添加剤析出性、および耐目詰まり性に優れたインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び該記録方法によって記録された記録物に関する。
インクジェット記録用の優れたシアン色等の画像を発色させるためのインク組成物として、フタロシアニン系化合物を用いたインク組成物が広く利用されている。また、昨今、このような画像を発色させるインク組成物を、マゼンタ及びイエローインク組成物とともに用いて印刷し、複数色からなる画像(カラー画像)を室内等において掲示することが普及している。
しかし、このフタロシアニン系化合物を用いたインク組成物では、フタロシアニン系化合物が空気中に存在するオゾン、窒素酸化物、硫黄酸化物のような酸化性ガス、特にオゾンによって変褪色するという問題があった。
このような変褪色を防止するために、例えば、銅フタロシアニン系化合物と、イミダゾール誘導体と、酸化防止剤、糖、4位に水酸基又はアミノ基を有するナフタレン−1−スルホン酸の何れかを含んでなるシアンインク組成物が、耐光性を向上させる手段として開示されている(特許文献1)。
しかしながら、本発明者らの種々の調査・研究の結果から、上記に記載されているような対策を用いても、耐オゾン性、耐添加剤析出性、および耐目詰まり性に優れるインク組成物を得ることが出来ないことが判明した。
国際公開第WO99/50363号パンフレット
そこで、本発明は、上記のような事情を考慮してなされたものであって、その目的とするところは、耐オゾン性、耐添加剤析出性、および耐目詰まり性に優れるインク組成物を提供すること、それらを用いたインクジェット記録方法及び該記録方法によって記録された記録物を提供することである。
本発明者らは、高い耐オゾン性を有するインクジェットインク組成物について詳細に検討したところ、下記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物と、下記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩の少なくとも1種と、を含むインク組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち上記課題は以下の発明により解決された。
(適用例1)
下記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩と、下記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩の少なくとも1種と、を含んでなることを特徴とするインク組成物。
Figure 2012122032
(式(1)中、
破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環であり、
EはC2−C12アルキレンを表し、
Xは、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Fはフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。)
Figure 2012122032
(式中、xは1以上の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を示し、R1及びR2は同一であっても異なっていても良い。)
Figure 2012122032
(式中、yは1以上の整数を示し、R3及びR4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を示し、R3及びR4は同一であっても異なっていても良い。)
(適用例2)
前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環がそれぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環であり、
Eが直鎖C2−C4アルキレンであり、
Xが、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;であり、
Rが水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;であり、
基Fがフェニル基;又は、Rが水素原子であるピリジル基;であり、
aが1又は2の整数である、適用例1に記載のインク組成物。
(適用例3)
前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が、それぞれ独立に2位及び3位で縮環したピリジン環であり、
Eが、エチレンであり、
Xが、置換基としてスルホ基を0又は1つ有しても良いスルホアニリノ基;若しくは、置換基としてスルホ基を2つ有する、スルホナフチルアミノ基であり、
Rが水素原子、スルホ基、又はカルボキシ基であり、
基Fがフェニル基、又は、Rが水素原子であるピリジル基であり、
aが1の整数であり、
bが平均値で0.00以上3.90未満であり、
cが平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である適用例1又は2に記載のインク組成物。
(適用例4)
前記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩が、スルホ基を2つ以上有する、適用例1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
(適用例5)
前記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩が、1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸、及びナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸のリチウム塩からなる群より選択される少なくとも1種である、適用例1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
(適用例6)
前記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩をインク組成物全量に対して
0.1〜10質量%含んでなる、適用例1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
(適用例7)
更に、下記式(2)で表される化合物を含んでなる、適用例1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
Figure 2012122032
(式(2)中、
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
1〜Z4は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、特にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、各々はさらに置換基を有してもよい。)
(適用例8)
更に、ノニオン系界面活性剤を含んでなる、適用例1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
(適用例9)
更に、浸透促進剤を含んでなる、適用例1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
(適用例10)
インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として適用例1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
(適用例11)
適用例1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は適用例10に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
本発明を詳細に説明する。本発明のインクに含有されるポルフィラジン系化合物は、前記式(1)で表される。
すなわち、テトラベンゾポルフィラジン(通常、フタロシアニンと呼ばれているもの)の4つのベンゾ(ベンゼン)環0個を超えて3個以下を含窒素複素芳香環に置き換えたものである。なお、本明細書においては、便宜上、「本発明のポルフィラジン系化合物又はその塩」の両者を含めて、以下「本発明のポルフィラジン系化合物」と簡略して記載する。
前記式(1)中、破線で表される環A乃至D(環A、B、C及びDの4つの環)における含窒素複素芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環及びピリダジン環等の窒素原子を1又は2個含む含窒素複素芳香環が挙げられる。これらの中ではピリジン環又はピラジン環が好ましく、ピリジン環がより好ましい。含窒素複素芳香環の個数が増えるにしたがって、耐オゾン性は向上するが、ブロンズ性は生じやすくなる傾向にあり、含窒素複素芳季環の個数は耐オゾン性とブロンズ性を考慮しながら適宜調節し、バランスの良い比率を選択すれば良い。
含窒素複素芳香環の個数は複素環の種類にもよるので一概には言えないが、通常平均値で、0.00を超えて3.00以下、好ましくは0.20以上2.00以下、より好ましくは0.50以上1.75以下,更に好ましくは0.75以上1.50以下の範囲である。
残りの環A乃至Dはベンゼン環であり、環A乃至Pにおけるベンゼン環は、同様に、通常平均値で、1.00以上4.00未満、好ましくは2.00以上3.80以下、より好ましくは2.25以上3.50以下、更に好ましくは2.50以上3.25以下である。なお、本発明のポルフィラジン系化合物は、環A乃至Dの含窒素複素芳香環の個数を平均値で表していることから明らかなように,複数の化合物の混合物である。
また、本明細書においては特に断りの無い限り、該含窒素複素芳香環の個数は、小数点以下3桁目を四捨五入して2桁目までを記載する。但し、例えば含窒素複素芳香環や個数が1.375、ベンゼン環の個数が2.625のとき、両者を四捨五入すると前者が1.38、後者が2.63となり、両者の合計が環A乃垂Dの合計の4.00を超えてしまう。
このような場合には、便宜上、含窒素複素芳香韓側の小数点以下3桁目は切り捨て、ベンゼン環側のみ四捨五入することにより、前者を1.37、後者を2.63として記載する。また、式(1)におけるb及び,Cについても、後述する通り、原則として小数点以下3桁目を四捨五入して2桁目までを記載するが、同様の場合においては、b側の小数点以下3桁目を切り捨て、C側のみ四捨五入して記載する。
前記式(1)中、Eにおけるアルキレンとしては、直鎖、分岐鎖又は環状アルキレンが挙げられ、直鎖又は環状が好ましく、直鎖がより好ましい。炭素数の範囲は通常C2−C12、好ましくはC2−C6、より好ましくはC2−C4、さらに好ましくはC2−C3が挙げられる。
具体例としてはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等の直鎖のもの;2−メチルエチレン等の分岐鎖のもの;シクロプロピレンジイル、1,2−又は1,3−シクロペンチレンジイル、1,2−、1,3−又は1,4−等の各シクロヘキシレンジイル等の環状のもの;等が挙げられる。好ましくはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、又はヘキシレンであり、より好ましくはエチレン、プロピレン、又はブチレンであり、さらに好ましくはエチレン又はプロピレンであり、特に好ましくはエチレンである。
前記式(1)中、Xは、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基を表す。これらのアニリノ基及びナフチルアミノ基におけるスルホ、カルボキシ及びホスホノの置換数は、いずれも1つである。
具体例としては、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノといったスルホアニリノ基;2−カルボキシアニリノ、3−カルボキシアニリノ、4−カルボキシアニリノといったカルボキシアニリノ基;2−ホスホノアニリノ、3−ホスホノアニリノ、4−ホスホノアニリノといったホスホノアニリノ基;3−スルホ1−ナフチルアミノ、6−スルホ−1−ナフチルアミノ、8−スルホ−1−ナフチルアミノ、1−スルホ−2−ナフチルアミノ、3−スルホ−2−ナフチルアミノ、4−スルホ−2−ナフチルアミノ、5−スルホ−2−ナフチルアミノ、6−スルホ−2−ナフチルアミノ、7−スルホ−2−ナフチルアミノ、8−スルホ−2−ナフチルアミノ等の、スルホナフチルアミノ基;等が挙げられる。
なお「ホスホノ」はリン酸基[−P(0)(OH)2]を章味する。
前記Xとしては、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基,ホスホノアニリノ基、又はスルホナフチルアミノ基が好ましく、スルホアニリノ基が特に好ましい。
Xにおける前記スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ−基、カルボキシナフチルアミノ−基又はホスホノナフチルアミノ−基は、置換基として、スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバ毛イル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ−基;モノC1−C4アルキルアミノ−基;ジC1−C4アルキルアミノ−基;モノアリールアミノ−基;ジアリールアミノ−基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ−基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;及びC1−C6アルキルチオ基;よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の基をさらに有する。ここで挙げた、スルホ基からC1−C6アルキルチオ革までの20基の群を、以下、本明細書においては「20基の置換基の群」と簡略して記載する。前記20基の置換基の群から選択される基のXにおける置換数は、通常0〜4つ、好ましくは0〜3つ、より好ましくは0〜2つ、さらに好ましくは0又は1つである。前記20基の置換基の群から選択される基の置換位置は、特に制限されないが、該アニリノ基及びナフチルアミノ−基における炭素原子、すなわち前者であればベンゼン環上、後者であればナフタレン環上に置換するのが好ましい。
前記20基の置換基の群におけるC1−C6アルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のものが挙げられ、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。
炭素数の範囲としては通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3のものが挙げられる。
具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−へキシロキシといった直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、イソペンチロキシ、イソへキシロキシ等の分岐鎖のもの;シクロプロポキシ、シクロペントキシ、シクロへキシロキシ等の環状のもの;等が挙げられる。このうちではメトキシ又はエトキシが好ましく、メトキシが特に好ましい。
前記20基の置換基の群におけるモノC1−C4アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、その炭素数の範囲は通常C1−C4、好ましくはC1−C3である。具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノといった直鎖のもの;イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノといった分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中ではメチルアミノが好ましい。
前記20基の置換基の群におけるジC1−C4アルキルアミノ−基としては、前記モノアルキルアミノ基で挙げたアルキル部分を、独立に2つ有するジアルキルアミノ基が挙げられる。具体例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ等が挙げられる。これらの中ではジメチルアミノが好ましい。
前記20基の置換基の群におけるモノアリールアミノ基としては、モノC6−C10芳香族アミノ基、好ましくはフェニルアミノ基又はナフチルアミノ基、より好ましくはフェニルアミノ基が挙げられる。
前記20基の置換基の群におけるジアリールアミノ基としては、前記モノアリールアミノ基で挙げたアリールを、独立に2つ有するジアリールアミノ基が挙げられる。好ましくは同一のアリール、より好ましくはフェニルを2つ有するものが挙げうれ、具体例としてはジフェニルアミノが挙げられる。
前記20基の置換基の群におけるC1−C3アルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルカルボニルアミノ(アセチルアミノ)、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノといった直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノといった分岐鎖のもの;が挙げられる。これらの中ではアセチルアミノが好ましい。
前記20基の置換基の群におけるC1−C6アルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のC1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3アルキル基が挙げられる。直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−へキシルといった直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、イソへキシル等の分岐鎖のもの;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル等の環状のもの;等が挙げられる。これらの中ではメチルが好ましい。
前記20基の置換基の群におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
前記20基の置換基の群におけるC1−C6アルキルスルホニル基としては、直鎖又は分岐鎖のC1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3アルキルスルホニル基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メタンスルホニル(メチルスルホニル)、エタンスルホニル(エチルスルホニル)、n−プロパンスルホニル(n−プロピルスルホニル)、n−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニル、n−へキシルスルホニル等の直鎖のもの;イソプロピルスルホニル、イソブチルスルホニル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中ではメチルスルホニルが好ましい。
前記20基の置換基の群におけるC1−C6アルキルチオ基としては、直鎖又は分岐鎖のC1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3アルキルチオ基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−へキシルチオ等の直鎖のもの;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、t−ブチルチオ、イソペンチルチオ、イソへキシルチオ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中ではメチルチオが好ましい。
Xがスルホアニリノ基のとき、前記20基の置換基の群のうち、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基が好ましく、スルホ基が特に好ましい。
Xがカルボキシアニリノ基のとき、前記20基の置換基の群のうち、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基が好ましい。
Xがホスホノアニリノ基のとき、前記20基の置換基の群から選択される基は、有しないものが好ましい。
Xがスルホナフチルアミノ−基のとき、前記20基の置換基の群のうち、スルホ基、及びヒドロキシ基が好ましい。
Xがカルボキシナフチルアミノ−基、又はホスホノナフチルアミノ−基のとき、前記20基の置換基の群から選択される基は、有しないものが好ましい。
前記式(1)におけるXの具体例としては、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノ、2,4−ジスルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ等のスルホアニリノ基がさらに0又は1つのスルホ基を有するもの;2−カルボキシ4−スルホアニリノ、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのカルボキシ基を有するもの(又は、カルボキシアニリノ基がさらに1つのスルホ基を有するもの);4−メトキシ−2−スルホアニリノ、4−エトキシ−2−スルホアニリノ、4−エトキシ−6−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのCl−C6アルコキシ基を有するもの;3−アミノ−4−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのアミノ基を有するもの;4−メチルアミノ−5−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのモノC1−C4アルキルアミノ基を有するもの;4−ジメチルアミノ−5−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのジC1−C4アルキルアミノ基を有するもの;2−メチル−5−スルホアニリノ、3−メチル−6−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのC1−C6アルキル基を有するもの;4−アニリノ−3−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのアリールアミノ基を有するもの;4−アセチルアミノ−2−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのC1−C3アルキルカルボニルアミノ基を有するもの;2−クロロ−5−スルホアニリノ、3,5−ジクロロ−4−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1又は2つのハロゲン原子を有するもの;4−メチルスルホニル−2−スルホアニリノ、4−メチルスルホニル−5−スルホアニリノ、4−へキシルスルホニル−2−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのC1−C6アルキルスルホニル基を有するもの;4−メチルチオ−2−スルホアニリノ、4−へキシルチオ−2−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基がさらに1つのC1−C6アルキルチオ基を有するもの;3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−スルホアニリノ、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−3−スルホアニリノ、2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホアニリノ、3−メチルー6−メトキシ−4−スルホアニリノ、2−ヒドロキシ−3−アセチルアミノ−5−スルホアニリノ等の、スルホアニリノ基が前記20基の置換基の群から選択される2種類の基を、さらに2つ有するもの;2−カルボキシアニリノ、3−カルボキシアニリノ、4−カルボキシアニリノ、3,5−ジカルボキシアニリノ等の、カルボキシアニリノ基がさらに0又は1つのカルボキシ基を有するもの;4−スルファモイル−2−カルボキシアニリノ等の、カルボキシアニリノ基がさらに1つのスルファモイル基を有するもの;3−カルボキシ4−ヒドロキシアニリノ等の、カルボキシアニリノ基がさらに1つのヒドロキシ基を有するもの;4−ヒドロキシ−3−スルホ5−カルボキシアニリノ等の、カルボキシアニリノ基が前記20基の置換基の群から選択される2種類の基を、さらに2つ有するもの;2−ホスホノアニリノ、3−ホスホノアニリノ、4−ホスホノアニリノ等のホスホノアニリノ基;4,8−ジスルホ2−ナフチルアミノ、1,5−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、3,6−ジスルホ−1−ナフチルアミノ、5,7−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、6,8−ジスルホ2−ナフチルアミノ、3,6,8−トリスルホ−1−ナフチルアミノ、3,6,8−トリスルホ−2−ナフチルアミノ等の、スルホナフチルアミノ基がさらに1又は2つのスルホ基を有するもの;5−ヒドロキシ−7−スルホ−2−ナフチルアミノ等の、スルホナフチルアミノ基がさらに1つのヒドロヰシ基を有するもの;3,6−ジスルホ−8−ヒドロキシ−1−ナフチルアミノ、8−クロロ−3,6−ジスルホナフタレン−1−イルアミノ、6−ニトロ−4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ等の、スルホナフチルアミノ基が前記20基の置換基の群から選択される2種類の基を、さらに2つ有するもの;等があげられる。
これらのうち、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノ、2,4−ジスルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、3,6−ジスルホ−1−ナフチルアミノ、5,7−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、6,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、3,6,8−トリスルホ−1−ナフチルアミノが好ましく、4−スルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、又は3,6,8−トリスルホ−1−ナフチルアミノがより好ましく、2,5−ジスルホアニリノがさらに好ましい。
前記式(1)中、Rは、水素原子、スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノC6−C10アリールアミノ基;ジC6−C10アリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又は、アルキルチオ基;を表す。
前記RにおけるC1−C6アルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のC1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3アルキル基が挙げられる。直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−へキシロキシといった直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、イソペンチロキシ、イソへキシロキシ等の分岐鎖のもの;シクロプロポキシ、シクロペントキシ、シクロへキシロキシ等の環状のもの;等が挙げられる。これらの中ではメトキシ又はエトキシが好ましく、メトキシが特に好ましい。
前記RにおけるモノCl−C4アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、その炭素数の範囲は通常C1−C4、好ましくはC1−C3である。具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
前記RにおけるジC1−C4アルキルアミノ基としては、前記モノアルキルアミノ基で挙げたアルキル部分を、独立に2つ有するジアルキルアミノ基が挙げられる。具体例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ等が挙げられる。
前記RにおけるモノC6−C10アリールアミノ基としては、モノC6−C10芳香族アミノ基、好ましくはフェニルアミノ基又はナフチルアミノ基、より好ましくはフェニルアミノ基が挙げられる。
前記RにおけるジC6−C10アリールアミノ基としては、前記モノアリールアミノ基で挙げたアリールを、独立に2つ有するジアリ−ルアミノ基が挙げられる。好ましくは同一のアリール、より好ましくはフェニルを2つ有するものが挙げられ、具体例としてはジフェニルアミノが挙げられる。
前記RにおけるC1−C3アルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルカルボニルアミノ(アセチルアミノ)、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノといった直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノといった分岐鎖のもの;が挙げられる。
前記RにおけるC1−C6アルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のC1−C6、好ましくはCl−C4、より好ましくはC1−C3アルキル基が挙げられる。直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−へキシルといった直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、Ssec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、イソへキシル等の分岐鎖のもの;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル等の環状のもの;等が挙げられる。これらの中ではメチルが好ましい。
前記Rにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
前記RにおけるC1−C6アルキルスルホニル基としては、直鎖又は分岐鎖のC1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3アルキルスルホニル基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メタンスルホニル(メチルスルホニル)、エタンスルホニル(エチルスルホニル)、n−プロパンスルホニル(n−プロピルスルホニル)、n−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニル、n−へキシルスルホニル等の直鎖のもの;イソプロピルスルホニル、イソブチルスルホニル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
前記RにおけるC1−C6アルキルチオ基としては、直鎖又は分岐鎖のC1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはCl−C3アルキルチオ基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−へキシルチオ等の直鎖のもの;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、t−ブチルチオ、イソペンチルチオ、イソへキシルチオ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
前記式(1)中、基Fは、フェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表す。6員含窒素複素芳香環基としては、窒素原子を1つ含む含窒素複素芳香環基が挙げられる。具体例としては、ピリジルが挙げられる。
該6員含窒素複素芳香環における、「a」でその数を表されるアルキレンとの結合位置は特に制限されないが、窒素原子に隣接する炭素原子で結合するのが好ましい。すなわち、基Fがピリジルのとき、窒素原子の置換位置を1位として、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルが挙げられ、窒素原子に隣接する炭素原子で結合するもの、すなわち2−ピリジルが好ましい。
前記式(1)中、基Fがフェニル基のとき、前記Rのうち、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、C1−C6アルコキシ基、C1−C6アルキル基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、メトキシ基、メチル基、フッ素原子、塩素原子がより好ましく、水素原子、スルホ基、カルボキシ基がさらに好ましい。
前記式(1)中、基Fが6員含窒素複素芳香環基のとき、前記Rのうち、水素原子、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
前記式(1)中、基FにおけるRの置換位置は特に制限されない。
基Fがフェニル基のとき、「(CH2)a」との結合位置を1位として、Rの置換位置は2位、3位、又は4位が挙げられ、4位が好ましい。
また、基Fが6員含窒素複素芳香環基、好ましくはピリジルのとき、「(CH2)a」及びRの結合位置は、ピリジン環の窒素原子を1位として、前者が2位、後者が3位、4位、5位、又は6位の組み合わせが挙げられ、前者が2位、後者が4位の組み合わせが好ましい。
前記式(1)中、aは、「(CH2)」の繰返し数、すなわちアルキレンの長さを表し、通常1−6の整数、好ましくは1−4、より好ましくは1−3、さらに好ましくは1−2、特に好ましくは1の整数である。
前記式(1)におけるb、C及び、b及びcの和は、いずれも平均値であこる。bは0.00以上3.90未満であり、Cは0.10以上4.00未満であり、b及びcの和は平均値で1.00以上4.00未満である。このとき、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環は、平均値で0.00を超えて3.00以下、同様にベンゼン環は1.00以上4.00未満である。
好ましくはA乃至Dにおける含窒素複素芳香環が0.20以上2.00以下、ベンゼン環が2.00以上3.80以下のとき、bが0.00以上3.40以下であり、cが0.40以上2.00以下、b及びcの和は、2.00以上3.80以下である。
より好ましくは、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が0.50以上1.75以下、ベンゼン環が2.25以上3.50以下のとき、bが0.35以上3.05以下であり、cが0.45以上1.90以下、b及びcの和は、2.25以上3.50以下である。
更に好ましくは、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が0.75以上1.50以下、ベンゼン環が2.50以上3.25以下のとき、bが0.70以上2.75以下であり、cが0.50以上1.80以下、b及びcの和は、2.50以上3.25以下であるcbが大きくなるにつれて、耐オゾン性は向上する傾向にあるが、ブロンズが生じやすくなる傾向にあり、耐オゾン性とブロンズ性を考慮しながら、b、cの数を適宜調節し、バランスの良い比率を選択すれば良い。
なお、b及びcでそれぞれの置換数を表される非置換スルファモイル基及び置換スルファモイル基はいずれも、環A乃至Dがベンゼン環である場合に、該ベンゼン環上に置換する基であり、環A乃至Dが6員環の含窒素複素芳香環である場合には置換しない。
なお、本明細書においては、b、c及び、b及びcの和は、いずれも小数点以下3桁日を四捨五入して、2桁目までを記載する。
上記環A乃至D、E、X、R、基F、a、b及びcにおいて、好ましいもの同士を組合せたポルフィラジン系化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組合せたポルフィラジン系化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものの組合せ等についても同様である。
前記式(1)で表される本発明のポルフィラジン系化合物は、分子内に有するスルホ、カルボキシ及びホスホノ等を利用して塩を形成することも可能である。塩を形成するとき、そのカウンターカチオンは、無機金属、アンモニア(NH3)又は有機塩基の各カチオンと塩を形成するのが好ましい。
無機金属としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
有機塩基としては、特に有機アミンが挙げられ、例えばメチルアミン、エチルアミン等のC1−C3アルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノノールアミン等のモノ−、ジ−又はトリ−C1−C4アルカノールアミン類が挙げられる。
上記のもののカウンターカチオンを利用した塩のうち、好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ−、ジ−又はトリ−C1−C4アルカノールアミンとの塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明のポルフィラジン系化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能、特に堅牢性に関する性能等が変化する場合もある。このため目的とするインクの性能等に応じて、塩の種類を選択することも好ましく行われる。
前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩として、特に好ましい化合物は、下記(イ)〜(ヘ)の組み合わせを有する化合物である。
(イ)環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環としては、それぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環が好ましい。
(ロ)Eとしては、直鎖C2−C4アルキレンが好ましい。
(ハ)Xとしては、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;が好ましい。
(ニ)Rとしては、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;がこのましい。
(ホ)基Fとしては、フェニル基;又は、Rが水素原子であるピリジル基が好ましい。
(ヘ)aとしては、1又は2が好ましい。
前記式(1)で表される本発明のポルフィラジン系化合物における、環A乃至D、E、X、R、及び基Fの具体例、a、b及びcの数を下記表1に示す。
下記の例は、本発明のポルフィラジン系化合物を具体的に説明するために代表例を示すものであり、本発明は下記の例に限定されるものではない。
また、環A乃至Dの含窒素複素芳香環がピリジン環のとき、後記するように窒素原子の位置異性体等が存在し、ポルフィラジン系化合物合成の際には異性体の混合物として得られる。これら異性体は単難が困難であり、また分析による異性体の特定も困難である。このため通常混合物のまま使用する。本発明のポルフィラジン系化合物は、このような混合物をも含むものである。本明細書においては、これらの異性体等を区別することなく、構造式で表示する場合は、便宜的に代表的な一つの構造式を記載する。なお、表中のb及びcの数については、煩雑さを避けるため、小数点以下2桁目を四捨五入して1桁日までを記載した。なお、表1中、「2,3−ピリド」は2位及び3位でポルフィラジン環に縮環したピリジン環を、「ベンゾ」はポルフィラジン環に縮環したベンゼン環を、「2−ピリジル」は、ピリジン環の窒素原子を1位として、「(CH2)a」との結合位置が2位であることを、それぞれ意味する。また、Rにおける「4−クロロ」等については、基Fがフェニル基のときは「(CH2)a」との結合位置を1位とした場合;基Fがピリジルのときはピリジン環の窒素原子を1位とした場合;におけるRの置換位置をそれぞれ表す。
Figure 2012122032
Figure 2012122032
Figure 2012122032
Figure 2012122032
本発明のポルフィラジン系化合物は、通常、他の色素を配合することなく用いることができるが、場合により、本発明の効果を阻害しない範囲で公知のシアン系色素と配合して使用してもよい。
公知のシアン系色素と配合して使用する場合、配合する色素としてはC.I.ナンバーが付与されているトリフェニルメタン系色素やフタロシアニン系色素などを用いることができるが、フタロシアニン系色素が好ましい。
前記式(1)で表される本発明のポルフィラジン系化合物の製造方法を説明する。
前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物は、下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物と、下記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア存在下で反応させることたより繰ることができる。
下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物は、いずれも公知の方法又はそれに準じて、下記式(5)で表される化合物を合成した後、これをクロロスルホニル化することにより得ることができる。
Figure 2012122032
Figure 2012122032
即ち、下記式(5)で表される化合物は、例えば、国際公開第2007/091631号及び国際公開第2007/116933号パンフレットに開示された公知の方法に準じて合成することができる。これらの公知文献は、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数が1未満の化合物に関する製造方法を開示していない。しかし、公知のニトリル法又はワイラー法にて合成を行う際に、反応原料として使用する含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体と、フタル酸誘導体の配合比率を変化させることにより、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数が1未満である式(5)で表される化合物も合成することができる。
なお、得られる式(5)で表される化合物は、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の置換位置、及び含窒素複素芳香環中の窒素原子の置換位置に関する位置異性体の混合物となることも、前記公知文献に記載の通りである。
Figure 2012122032
式(5)中、環A乃至Dは前記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
式(3)で表されるポルフィラジン化合物は、式(5)で表される化合物の合成におけるのと同じ前記国際公開パンフレットに開示された公知の方法に従って、式(5)で表される化合物をクロロスルホニル化することにより得ることができる。式(3)におけるスロロスルホニル基は、環A乃至Dにおけるベンゼン環上に導入された環A乃至Dが含窒素複素芳香環基に相当する場合には導入されない。ベンゼン環上には通常1つのクロロスルホニル基が導入されるので、式(3)におけるnの数は、環A乃至Dにおけるベンゼン環の数以下である。従って、式(3)におけるクロロスルホニル基の数「n」は、式(3)で表されるポルフィラジン化合物のベンゼン環の数に対応して1.00以上4.00未満である。
式(3)で表されるポルフィラジン化合物の別の合成方法としては、予めスルホ基を有するスルホフタル酸とキノリン酸等の含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とを縮合閉環させることにより、スルホ基を有するポルフィラジン化合物を合成し、その後、該スルホ基を、塩化チオニル等の適当な塩素化剤でクロロスルホニル基へと変換する方法が挙げられる。この場合、合成原料であるスルホフタル酸のスルホ基の置換位置が3位のものと4位のものとを選択することにより、式(3)で表されるポルフィラジン化合物上に導入されるスルホ基の置換位置を制御することができる。即ち、3−スルホフタル酸を用いれば下記式(4)における「α」位に、又、4−スルホフタル酸を用いれば同様に「β」位に、それぞれ選択的にスルホ基を導入することができる。なお本明細書においては特に断りの無い限り、「ポルフィラジン環のα位」又は「ポルフィラジン環のβ位」との用語は、下記式(6)における相当する位置を意味する。
Figure 2012122032
一方、前記式(4)で表される有機アミンも、公知の方法で製造することができる。
例えば、Xに対応する置換アニリン又は置換ナフチルアミン類0.9〜1.2モルと、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1モルを、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物により、反応液をおおよそpHl〜5に調整し、0〜40℃、2〜12時間の条件下に反応させて、1次縮合物を得る。次いで、「H2N−(CH2)a−F−R」なるアミン0.9〜1.5モルを加え、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物により、反応液をおおよそpH5〜10に調整し、5〜80℃、0.5〜12時間反応させることにより2次縮合物を得る。得られた2次縮合物1モルと、Eに対応するアルキレンジアミン類(「H2N−E−NH2」なるアミン)1〜50モルとを、おおよそpH9〜12、5〜90℃、0.5〜8時間反応させることにより、前記式(4)で表される有機アミンが得られる。各線合反応のpH調整には、通常水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;等が用いられる。なお、縮合の順序はシアヌルクロライドと縮合する各種化合物の反応性に応じて適宜決めるのが良く、前記の順序に限定されない。
式(3)で表されるポルフィラジン化合物と、式(4)で表される有機アミンとの反応は、アンモニア存在下に、水溶媒中で、おおよそpH8〜10、5〜70℃、1〜20時間反応させることにより行われ、目的の式(1)で表される本発明のポルフィラジン系化合物が得られる。反応に用いられる「アンモニア」は、通常アンモニア水を意味する。しかし、中和や分解により、アンモニアを発生する化学物質であれば、これを用いることができる。アンモニアを発生する化学物質としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩の様に中和によりアンモニアを発生するもの;尿素等の熱分解によりアンモニアを発生するもの;アンモニアガス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。該「アンモニア」としてはアンモニア水が好ましく、市販品として入手できる濃アンモニア水(通常は、およそ28%のアンモニア水として市販されている)、又はこれを必要に応じて水により希釈して使用すれば良い。
式(4)で表される有機アミンの使用量は、通常式(3)で表されるポルフィラジン化合物1モルに対して、理論値[目的とする式(1)で表されるポルフィラジン系化合物におけるcの値を得るのに必要な、計算上の式(4)で表される有機アミンのモル数]の1モル以上であるが、用いる有機アミンの反応性、反応条件により異なり、これらに限定されるものではない。
通常は前記理論値の1〜3モル、好ましくは1〜2モル程度である。
また前記式(1)で表される本発明のポルフィラジン系化合物は、前記式(3)と、式(4)で表される化合物とから特に無水条件を必要としない反応条件下にて合成される。このため式(3)におけるクロロスルホニル基が一部、反応系内に混在する水により加水分解を受けてスルホン酸へと変換された化合物が副生し、この結果、該副生物が、目的とする式(1)で表されるポルフィラジン系化合物に混入することが理論上考えられる。
しかしながら質量分析において無置換スルファモイル基とスルホ基とを識別することは困難であり、本発明においては式(4)で表される有機アミンと反応させたもの以外の式(3)におけるクロロスルホニル基については、全て無置換スルファモイル基へと変換されたものとして記載する。
さらに前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物は一部、2価の連結基(L)を介して銅ポルフィラジン環(Pz)か2量体(例えばPz−L−Pz)又は3量体を形成した不純物が副生し、反応生成物中に混入することもある。
前記Lで表される2価の連結基としては−SO2−、−SO2−NH−SO2−等があり、3量体の場合にはこれら2つのLが組み合わされた副生成物が形成される場合も有る。
上記のようにして得られる本発明のポルフィラジン系化合物は、その合成反応における最終工程の反応液から、酸析又は塩析等により析出する固体を濾過分離等により、固体として単離することができる。塩析は、例えば酸性〜アルカリ性、好ましくはpHl〜11の範囲で行うことが好ましい。塩析の際の温度は特に限定されないが、通常40〜80℃、好ましくは50〜70℃に加熱後、塩化ナトリウム等を加えて塩析するのが好ましい。
前記の方法で合成される、本発明のポルフィラジン系化合物は、遊離酸又はその塩として得られる。該ポルフィラジン系化合物を遊離酸として単離する方法としては、例えば酸析が挙げられる。また、塩として単離する方法としては、塩析するか、塩析によって所望の塩が得られないときには、例えば得られた塩を遊離酸に変換した後、所望の有機又は無機の塩基を加えて造塩する方法、又は公知の塩交換法等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、下記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩の少なくとも1種を含有する。これにより、ベタ印刷した場合であっても、耐オゾン性、耐添加剤析出性、および耐目詰まり性に優れるインク組成物を得ることができる。即ち、本発明においては、上記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物と、下記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩の少なくとも1種と、を含有するインク組成物であれば、シアンインク組成物は勿論のこと、例えば、ブラックインク組成物等のシアンとは異なる色のインク組成物であっても、耐オゾン性、耐添加剤析出性、および耐目詰まり性に優れたインク組成物となる。これら各種のインク組成物を作製するためには、従来公知の他の染料と併用することができる。ここで、耐添加剤析出性に優れるとは、インク組成物を用いて印刷した印刷部における、スルホ基を有する芳香族化合物の析出が軽減される、又は無いことを意味する。
Figure 2012122032
(式中、xは1以上の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を示し、R1及びR2は同一であっても異なっていても良い。)
Figure 2012122032
(式中、yは1以上の整数を示し、R3及びR4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を示し、R3及びR4は同一であっても異なっていても良い。)
本発明のインク組成物は、作用の詳細は不明であるが、下記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩を選択的に用いることにより、当該芳香族化合物の水溶性を向上させることができ、その結果として、当該芳香族化合物の記録媒体表面への析出を防止・抑止する効果が発現し、耐目詰まり性にも優れるのではないかと考えられる。
上記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩としては、分子構造中にスルホ基を少なくとも1つ有する芳香族化合物のリチウム塩であればいかなるものでも良いが、スルホ基を2つ以上有するもの、特に、1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸、及びナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸のリチウム塩からなる群より選択される少なくとも1種が、得られる印刷物の耐オゾン性の改善の点で好ましい。
上記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩は、塩の形で添加され、インク組成物中に含有されることも可能であり、また、該スルホ基を有する芳香族化合物と塩基とが別々に添加され、インク組成物中に含有されることも可能である。
上記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩の含有量は、該スルホ基を有する芳香族化合物又はその塩の種類、染料の種類、溶媒成分の種類等により適宜決定されるが、インク組成物全質量に対し、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。
本発明のインク組成物においては、ポルフィラジン系化合物と、前記スルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩と、の含有比率(質量基準;前者:後者)は、効果的に耐ガス性を向上し且つインクの信頼性を確保する点で、1:0.1〜1:10、特に、1:0.2〜1:5の範囲内にあることが好ましい。
本発明で好適に用いられる式(7)で表されるフタロシアニン系化合物について詳しく述べる。
Figure 2012122032
前記式(7)において、X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、−SO−Zまたは−SO2−Zを表し、特に−SO2−Zが好ましい。
Zは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、特にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、各々はさらに置換基を有してもよい。
中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、さらに置換アルキル基、置換アリール基が好ましく、置換アルキル基が最も好ましい。
Zが表すアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。Zが表すシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。Zが表すアルケニル基は、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。Zが表すアラルキル基は、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。Zが表すアリール基は、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。Zが表すヘテロ環基としては、芳香族ヘテロ環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。
これらは置換基を有していても良く、置換基の例としては、後述のZ、Y1、Y2、Y3およびY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、またはスルホン基を表し、各々はさらに置換基を有していてもよい。
中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホン基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基およびスルホン基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8及びZがさらに置換基を有することが可能な基であるときは、特に限定はされないが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基およびイオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホン基、4級アンモニウム基、スルホニルスルファモイル基およびアシルスルファモイル基)が好ましく、中でもヒドロキシ基、スルファモイル基、イオン性親水性基が特に好ましい。
1〜a4は、4≦a1+a2+a3+a4≦8、好ましくは4≦a1+a2+a3+a4≦6を満たし、かつそれぞれ独立に1または2の整数を表す。特に好ましくはa1=a2=a3=a4=1の場合である。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。
Mとして好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。また、水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく挙げられる。さらに、ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。なかでも、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
また、式(7)で表されるフタロシアニン化合物は、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)または3量体を形成してもよく、そのとき複数個存在するMは、それぞれ同一であっても異なるものであってもよい。
Lで表される2価の連結基は、オキシ基−O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニル基−SO2−、イミノ基−NH−、メチレン基−CH2−、及びこれらを組み合わせて形成される基が好ましい。
1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7およびY8の少なくとも1つは、イオン性親水性基またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホン基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO2 -+)、および4級アンモニウム基(−N+RR’R”X-)、アシルスルファモイル基(−SO2+-COR)、スルホニルカルバモイル基(−CON+-SO2R)、スルホニルスルファモイル基(−SO2+-SO2R)等が含まれる。好ましくは、スルホン基、カルボキシル基および4級アンモニウム基であり、特にスルホン基が好ましい。スルホン基、カルボキシル基、アシルスルファモイル基、スルホニルカルバモイル基およびスルホニルスルファモイル基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アンモニウムイオン、有機カチオン(例、テトラメチルグアニジニウムイオン)、有機及び/又は無機アニオン(例、ハロゲンイオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン)が含まれる。なお、上記カッコ内のXは、水素原子または対イオン、R、R’、R”は置換基を表す。
式(7)で表されるフタロシアニン化合物は、イオン性親水性基またはイオン性親水性基を置換基として有する基が一分子中に少なくとも1つ存在しているので、水性媒体中に対する溶解性または分散性が良好となる。このような観点から、式(7)で表されるフタロシアニン化合物は、一分子中にイオン性親水性基を少なくとも2個有するものが好ましく、複数個のイオン性親水性基の少なくとも1個がスルホン基であるものがより好ましく、その中でも一分子中にスルホン基を少なくとも2個有するものが最も好ましい。
上記式(7)において、フタロシアニン化合物の分子量は750〜3000の範囲が好ましく、さらに995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
但し、本発明における式(7)で表されるフタロシアニン化合物が、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)または3量体を形成する場合において、好ましい分子量、例えば特に好ましい分子量は、上記記載の特に好ましい分子量(995〜1800の範囲)の2倍(2量体の場合)、または3倍(3量体の場合)である。ここで、上記2または3量体の好ましい分子量は、連結基Lを含んだ値である。
上記式(7)で表されるフタロシアニン化合物として特に好ましい化合物は、下記(イ)〜(へ)の組み合わせを有する化合物である。
(イ)X1〜X4に関しては、それぞれ独立に、−SO2−Zが好ましい。
(ロ)Zに関しては、それぞれ独立に、置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、置換アルキル基が最も好ましい。
(ハ)Y1〜Y8に関しては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、およびスルホン基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ニ)a1〜a4は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、特にa1=a2=a3=a4=1であることが好ましい。
(ホ)Mは、Cu、Ni、Zn、またはAlであることが好ましく、中でもCuであることが最も好ましい。
(ヘ)フタロシアニン化合物の分子量は、750〜2500の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
前記式(7)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明で用いる式(7)で表される化合物の中では、下記式(2)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2012122032
式中、MおよびZ1〜Z4は式(7)におけるZと同義であり、好ましい例も同じである。但し、4つのZのうち少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。
上記化合物のうち、式(2)におけるMがCuであり、イオン性親水性基を置換基として有するZ1〜Z4が、スルホアルキル基である化合物がより好ましく、さらにはスルホン基が塩の状態であり、塩を形成する対カチオンがリチウムカチオンである化合物が好ましい。
本発明で用いることのできる上記式(2)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば下記式(8)で表されるフタロニトリル化合物及び/又は下記式(9)で表されるジイミノイソインドリン誘導体とM−(Y)dで示される金属誘導体を反応させることにより合成される。前記金属誘導体の具体例としては塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
Figure 2012122032
このようにして得られる上記式(2)で表される化合物は通常、R1(SO2−Z1)、R2(SO2−Z2)、R3(SO2−Z3)、R4(SO2−Z4)の導入位置が異なる異性体である下記式(2−1)〜(2−4)で表される化合物の混合物となっている。
さらに、置換基の異なる2種類以上の式(8)及び/又は式(9)を用いて染料を調製する場合には、上記式(2)で表される化合物は、置換基の種類、位置が異なる染料混合物となっている。
Figure 2012122032
本発明に用いるシアン染料の例としては、特開2002−249677号、同2003−213167号、同2003−213168号公報のほか、特開2004−2670号公報に記載の該当する構造の化合物を挙げることができるが、特に好ましいものは下記表に挙げるものである。表5に記載の化合物については、上記公報に記載の方法で合成できる。もちろん、出発化合物、色素中間体および合成方法について、これらに限定されるものではない。
Figure 2012122032
染料の含有量は、式(7)で表される化合物の種類、溶媒成分の種類等により決められるが、インク組成物全重量に対し、好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%の範囲である。0.1質量%以上とすることで、記録媒体上での発色性又は画像濃度を確保でき、10質量%以下とすることで、インク組成物の粘度調整が容易となり吐出信頼性や目詰まり抑制等の特性が容易に確保できる。
本発明のインク組成物は、さらに蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及び/又は糖類から選ばれる保湿剤を含むことができる。保湿剤を含むことにより、インクジェット記録方式において、水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。また、水溶性有機溶剤であれば、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させたりすることなく粘度を容易に変更したりすることができる。水溶性有機溶剤は、溶質を溶解する能力を持つ媒体を指しており、有機性で蒸気圧が水より小さい水溶性の溶媒から選ばれる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトニルアセトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエチル等のエステル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チオジグリコール等が望ましい。また、糖類は、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。保湿剤は、インク組成物全量に対して5〜50質量%、より好ましくは、5〜30質量%、さらに好ましくは、5〜20質量%の範囲で添加されることが好ましい。5質量%以上であれば、保湿性が得られ、また、50質量%以下であれば、インクジェット記録に用いられる粘度に調整しやすい。
また、本発明のインク組成物には、溶剤として含窒素系有機溶剤を含んでなることが好ましい。含窒素系有機溶剤としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン,2−ピロリドン,N−メチル−2−ピロリドン,ε−カプロラクタム等が挙げられ、中でも、2−ピロリドンが好適に用いられることができる。それらは、単独または2種以上併用して用いられることもできる。その含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは、1〜5質量%である。その含有量を、0.5質量%以上とすることで、添加することによる本発明の色材の溶解性向上を図ることができ、10質量%以下とすることで、インク組成物が接する各種部材との耐材料性を悪化させることがない。
また、本発明のインク組成物には、インクの速やかな定着(浸透性)を得ると同時に、1ドットの真円度を保つのに効果的な添加剤として、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、サーフィノール(登録商標)465、サーフィノール104、オルフィン(登録商標)STG(以上、日信化学工業(株)製、商品名)等が挙げられる。その添加量は0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2質量%である。添加量を0.1質量%以上とすることで、十分な浸透性を得ることができ、また、5質量%以下とすることで、画像のにじみの発生を防止し易い。
さらに、ノニオン系界面活性剤に加えて、浸透促進剤として、グリコールエーテル類を添加することにより、より浸透性が増すとともに、カラー印刷を行った場合の隣合うカラーインクとのブリードが減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。
本発明に用いられるグリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。その添加量は3〜30質量%、好ましくは5〜15質量%である。添加量が3質量%未満であると、ブリード防止の効果が得られない。また、30質量%を越えると画像ににじみが発生するばかりか、油状分離が起きるためにこれらのグリコールエーテル類の溶解助剤が必要となり、それに伴ってインクの粘度が上昇し、インクジェットヘッドでは吐出が難しくなる。
さらに、本発明のインク組成物には、必要に応じて、トリエタノールアミンやアルカリ金属の水酸化物等のpH調整剤、尿素およびその誘導体等のヒドロトロピー剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防カビ剤、防錆剤等が添加されてもよい。
本発明のインク組成物の調製方法としては、たとえば、各成分を十分混合溶解し、孔径0.8μmのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法などがある。
次に、上述のインク組成物を用いた本発明の記録方法について説明する。本発明の記録方法はインク組成物をノズルから液滴として吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方式が好適に使用できるが、一般の筆記具用、記録計、ペンプロッター等の用途にも使用できることは言うまでもない。
インクジェット記録方式としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子を利用して液滴を吐出させる方法(圧電素子の機械的変形により液滴を形成する方法)や、熱エネルギーを利用する方法(インクを加熱することで発生した気泡により液的を形成する方法)において優れた画像記録を行うことが可能である。
以下に、次に、本発明の実施例と比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
本発明の実施例で使用する前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物の代表例として色材A、色材B、色材Cの合成方法を示す。本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。また、反応、晶析等の各操作は、特に断りの無い限り、いずれも撹拌下に行った。また、合成反応に使用した、「商品名 レオコール(登録商標)TD−90、及びTD−50」は、いずれもライオン株式会社製の界面活性剤である。なお、1回の合成反応で目的とする化合物の必要量が得られなかったときは、必要量が得られるまで、同じ反応を繰り返して行った。
なお製造例にて合成した本発明のポルフィラジン系化合物は、全て前記のように異性体等を含む混合物であり、収量についても該異性体等を含む。また、特に断りの無い限り、本発明のポルフィラジン系化合物における非置換及び置換スルファモイル基の置換位置は、いずれもポルフィラジン環のα位及びβ位に置換したものの混合物である。
また、製造例で得た本発明にかかるポルフィラジン系化合物について最大吸収波長(λmax)を測定したものは、いずれもpH7〜9の水溶液中での測定値を記載した。この際のpHの調整は、水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
[製造例1]
(工程1)
上記式(5)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環で表される化合物の合成。
スルホラン375部に、無水フタル酸31.11部、キノリン酸15.04部、尿素108部、塩化銅(II)10.1部、及びモリブデン酸アンモニウム1.5部を加え、200℃まで昇温し、同温度で5時間反応させた。反応終了後65℃まで冷却し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)50部を加え、析出固体を濾過分離した。得られた固体をDMF50部で洗浄し、ウェットケーキ75.1部を得た。得られたウェットケーキをDMF450部に加え、110℃に昇湿し、同温度で一時間反応させた。析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄しウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%塩酸450部中に加え、60℃に昇温し、同温度で1時間撹拌した。析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄しウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%アンモニア水450部中に加え、60℃で1時間撹拌し、析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄し、ウェットケーキ78.6部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、目的化合物24.9部を青色固体として得た。
(工程2)
上記式(3)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環であり、nが2.80である化合物の合成。
室温下、クロロスルホン酸46.2部中に、60℃を超えないように実施例1(工程1)で得た式(5)の化合物5.8部を徐々に加えた後、140℃で4時間反応させた。得られた反応液を70℃まで冷却し、塩化チオニル17.9部を30分間で滴下し、70℃でさらに3時間反応させた。反応液を30℃以下に冷却し、氷水800部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水200部で洗浄することにより、目的化合物のウェットケーキ38.2部を得た。
(工程3)
下記式(10)で表される有機アミンの合成。
Figure 2012122032
氷水100部中に塩化シアヌール18.4部、商品名 レオコールTD−90(0.05部)を加え10℃以下で30分間攪拌した。次に2,5−ジスルホアニリン(純度88.4%の市販品を使用)31.7部を加え10%水酸化ナトリウム水溶液でpH2.0〜3.0としながら0〜10℃で2時間、25〜30℃で1時間反応を行った。次に反応液にべンジルアミン10.9部加え、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0〜8.0としながら25〜30℃で1時間、30〜40度で1時間反応を行い、2次縮合物を含む反応液を得た。
氷120部にエチレンジアミン60.1部を加えた水溶液に上記のようにして得た2次縮合物を含む反応液を徐々に加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に氷150部、濃塩酸200部を加え、pH1.0に調整した。このとき液量は700部であった。この反応液に塩化ナトリウム140部を加え、一晩攪拌し固体を析出させた。析出固体を濾過分離しウェットケーキ70.0部を得た。得られたウェットケーキを水280部に加え、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0として溶解させた。このとき液量は360部であった。この溶液を濃塩酸でpHl.0に調整し、塩化ナトリウム70部を加え、1晩撹拌し固体を析出させた。析出固体を濾過分離しウェットケーキ60.3部を得た。得られたウェットケーキをメタノール255部、水45部の混合溶媒中に加え、50℃で1時間撹拌した後、析出固体を濾過分離しウェットケーキ50.3部を得た。得られたウェットケーキを乾燥させ、目的とする式(10)で表される有機アミン15.3部の白色粉末を得た。
(工程4)
下記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物[下記式(11)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環である色材A]の合成。
Figure 2012122032
氷水200部中に製造例1(工程2)で得たウェットケーキ38.2部を加え、5℃以下で撹拌懸濁した。10分後、10℃以下を保持しながら、製造例1(工程3)で得た式(10)の有機アミン7.4部を28%アンモニア水1.5部及び水40部の混合液に溶解した溶液をこの懸濁液に加え、28%アンモニア水でpH9.0を保持しながら反応させた。同pHを保持したまま、20℃まで昇温し、同温度でさらに一晩反応させた。
この時の液量は300部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム55.0部を加え10分撹拝した後、濃塩酸にてpHl.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ27.1部を得た。得られたウェットケーキを水191部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶硬でpH9.0に調整することにより溶液とした。このときの液量は270部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム54部を加え30分攪拌した後、濃塩酸にてpH4.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ21.4部を得た。得られたウェットケーキにイソプロピルアルコール160部及び水40部の混合液に加えて50℃で1時間攪拌した後、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキ15.7部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物の遊離酸11.2部を青色粉末として得た。
λmax:605nm。
[製造例2]
(工程1)
上記式(5)における環A乃至Dのうち1.37が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.63がベンゼン環で表される化合物の合成。
スルホラン375部に、無水フタル酸29.16部、キノリン酸17.23部、尿素108部、塩化銅(II)10.1部、及びモリブデン酸アンモニウム1.5部を加え、200℃まで昇温し、同温度で5時間反応させた。反応終了後65℃まで冷却し、DMF50部を加え、析出固体を濾過分離した。得られた固体をDMF50部で洗浄し、ウェットケーキ75.1部を得た。得られたウェットケーキをDMF450部に加え、110℃に昇湿し、同温度で一時間反応させた。析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄しウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%塩酸450部中に加え、60℃に昇温し、同温度で1時間撹拌した。析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%アンモニア水450部中に加え、60℃で1時間撹拌し、析出固体を濾過分離し、水200部で洗浄し、ウェットケーキ78.6部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、目的化合物23.1部を青色固体として得た。
(工程2)
上記式(3)における環A乃至Dのうち1.37が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.63がベンゼン環であり、nが2.63である化合物の合成。
室温下、クロロスルホン酸46.2部中に、60℃を超えないように製造例2(工程1)で得た式(5)の化合物5.8部を徐々に加えた後、140℃で4時間反応させた。得られた反応液を70℃まで冷却し、塩化チオニル17.9部を30分間で滴下し、70℃でさらに3時間反応させた。反応液を30℃以下に冷却し、氷水800部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水200部で洗浄することにより、目的化合物のウェットケーキ33.0部を得た。
(工程3)
上記式(10)で表される有機アミンの合成。
製造例1(工程3)と同様にして、式(10)で表される有機アミンを得た。
(工程4)
上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物[上記式(11)における環A乃至Dのうち1.37が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.63がベンゼン環である色材B]の合成。
氷水200部中に製造例2(工程2)で得たウェットケーキ33.0部を加え、5℃以下で撹拌懸濁した。10分後、10℃以下を保持しながら、製造例2(工程3)で得た式(10)の有機アミン7.4部を28%アンモニア水1部及び水40部の混合液に溶解した溶液をこの懸濁液に加え、28%アンモニア水でpH9.0を保持しながら反応させた。同pHを保持したまま、20℃まで昇温し、同温度でさらに一晩反応させた。
この時の液量は300部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム55.0部を加え10分撹拝した後、濃塩酸にてpHl.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ31.2部を得た。得られたウェットケーキを水240部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶硬でpH9.0に調整することにより溶液とした。このときの液量は280部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム55部を加え30分攪拌した後、濃塩酸にてpHl.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ25.1部を得た。得られたウェットケーキを水40部及びイソプロピルアルコール160部の混合液に加えて50℃で1時間攪拌した後、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキ30.0部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物の遊離酸10.4部を青色粉末として得た。
λmax:604nm。
[製造例3]
(工程1)
上記式(5)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環で表される化合物の合成。
製造例1(工程1)と同様にして、目的化合物を得た。
(工程2)
上記式(3)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環であり、nが2.80である化合物の合成。
製造例1(工程2)と同様にして、目的化合物のウェットケーキを得た。
(工程3)
上記式(10)で表される有機アミンの合成。
製造例1(工程3)と同様にして、式(10)で表される有機アミンを得た。
(工程4)
上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物[上記式(11)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環である色材C]の合成。
氷水200部中に製造例3(工程2)で得たウェットケーキ38.2部を加え、5℃以下で撹拌懸濁した。10分後、10℃以下を保持しながら、製造例3(工程3)で得た式(10)の有機アミン3.7部を28%アンモニア水1.5部及び水40部の混合液に溶解した溶液をこの懸濁液に加え、28%アンモニア水でpH9.0を保持しながら反応させた。同pHを保持したまま、20℃まで昇温し、同温度でさらに一晩反応させた。
この時の液量は300部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム60部を加え30分撹拝した後、濃塩酸にてpH5.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ24.2部を得た。得られたウェットケーキを水200部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶硬でpH9.0に調整することにより溶液とした。このときの液量は250部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム50部を加え30分攪拌した後、濃塩酸にてpH4.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ22.3部を得た。得られたウェットケーキにイソプロピルアルコール160部及び水40部の混合液に加えて50℃で1時間攪拌した後、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキ14.4部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物の遊離酸10.8部を青色粉末として得た。
λmax:602nm。
[実施例1〜8及び比較例1〜4]
実施例1〜8及び比較例1〜4のインク組成物を表6に示す配合割合で各成分を混合して溶解させ、孔径1μmのメンブランフィルターにて加圧濾過を行なって、各インク組成物を調製した。
Figure 2012122032
なお、表6中に示すインク組成物の各成分はインク組成物全量に対する各成分の質量%を示し、残量は水である。また、表中のA〜Cは、製造例1〜3のポルフィラジン系化合物のNa塩であり、表中の色材D〜Fは、上記表5における化合物F〜Hである。
上記の実施例1〜8及び比較例1〜4に記載のインク組成物を、インクジェットプリンターPM−G800(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、これの専用カートリッジ(Cyan室)に充填して、記録媒体に印刷し、各評価を行なった。得られた結果を表7に示す。
《耐オゾン性評価》
上記のカートリッジを用い、OD(Optical Density)が、1.0になるようにDutyを調整して写真用紙クリスピア(商品名、セイコーエプソン株式会社製、型番:KA450SCKR)に印刷を行って得られた印刷物を、オゾンウエザーメーターOMS−H型(商品名、(株)スガ試験機製)を用い、24℃、相対湿度60%RH、オゾン濃度5ppmの条件下にて、印刷物を所定時間(40,60,80時間)曝露した。ここで、「duty」とは、下記式で算出される値である。
duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
曝露後、それぞれの印刷物のODを、反射濃度計Spectrolino(商品名、GRETAG MACBETH社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により、評価した。
ROD(%)=(D/D0)×100
D:曝露試験後のOD
0:曝露試験前のOD
(但し、測定条件は、Filter:Red,光源:D50,視野角:2度)
[判定基準]
評価A:RODが90%以上
評価B:RODが80%以上90%未満
評価C:RODが70%以上80%未満
評価D:RODが70%未満
≪耐添加剤析出性試験≫
Duty100%で真用紙クリスピア(商品名、セイコーエプソン株式会社製、型番:KA450SCKR)に印刷を行って得た印刷物を、25℃、50%RHの環境に2週間、4週間、6週間放置した。放置後、印刷物を目視観察し、印刷部表面に析出物の発生が認められるかどうかを見た。
[判定基準]
評価A:析出物なし。
評価B:印刷部が僅かに白っぽく見える部分はあるが、析出物として明確には認められない。
評価C:印刷部が白っぽくなるが、析出物は認識できない。
評価D:印刷部が明確に白く、析出物の発生が容易に確認出来る。
《耐目詰り性》
上記の実施例及び比較例に記載のインク組成物をインクジェットプリンターPM−G800(セイコーエプソン株式会社製)に充填し、10分間連続して印刷し、ノズルからインクが吐出していることを確認後、印刷を停止した。ヘッドにキャップをせずに、40℃、25%RHの環境でプリンタを2週間放置した。放置後、ノズルのクリーニング操作を行い、その後印刷を行った。カスレ、抜けの不良印刷がなくなるまでのクリーニング操作の回数で、そのインクの目詰まり特性を評価した。
[判定基準]
評価A:1〜5回のクリーニング操作でカスレ、抜けの不良印刷がなくなる場合。
評価B:6〜10回のクリーニング操作でカスレ、抜けの不良印刷がなくなる場合。
評価C:11〜15回のクリーニング操作でカスレ、抜けの不良印刷がなくなる場合。
評価D:16回以上のクリーニング操作によってもカスレ、抜けの不良印刷がなくならない場合。
Figure 2012122032

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩と、下記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩の少なくとも1種と、を含んでなることを特徴とするインク組成物。
    Figure 2012122032
    (式(1)中、
    破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環であり、
    EはC2−C12アルキレンを表し、
    Xは、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
    Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
    基Fはフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
    aは1以上6以下の整数を表し、
    bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
    cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
    且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。)
    Figure 2012122032
    (式中、xは1以上の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を示し、R1及びR2は同一であっても異なっていても良い。)
    Figure 2012122032
    (式中、yは1以上の整数を示し、R3及びR4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を示し、R3及びR4は同一であっても異なっていても良い。)
  2. 前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
    環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環がそれぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環であり、
    Eが直鎖C2−C4アルキレンであり、
    Xが、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;であり、
    Rが水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;であり、
    基Fがフェニル基;又は、Rが水素原子であるピリジル基;であり、
    aが1又は2の整数である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
    環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が、それぞれ独立に2位及び3位で縮環したピリジン環であり、
    Eが、エチレンであり、
    Xが、置換基としてスルホ基を0又は1つ有しても良いスルホアニリノ基;若しくは、置換基としてスルホ基を2つ有する、スルホナフチルアミノ基であり、
    Rが水素原子、スルホ基、又はカルボキシ基であり、
    基Fがフェニル基、又は、Rが水素原子であるピリジル基であり、
    aが1の整数であり、
    bが平均値で0.00以上3.90未満であり、
    cが平均値で0.10以上4.00未満であり、
    且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩が、スルホ基を2つ以上有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩が、1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸、及びナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸のリチウム塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 前記式(12)又は(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物のリチウム塩をインク組成物全量に対して
    0.1〜10質量%含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 更に、下記式(2)で表される化合物を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
    Figure 2012122032
    (式(2)中、
    Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
    1〜Z4は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、特にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、各々はさらに置換基を有してもよい。)
  8. 更に、ノニオン系界面活性剤を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のイン
    ク組成物。
  9. 更に、浸透促進剤を含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
  10. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は請求項10に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
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