JP7054657B2 - アゾ化合物、インク組成物、記録方法及び着色体 - Google Patents
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Description
今後、インクジェット記録の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録画像には、耐光性、耐ガス性、耐湿性、耐水性、耐ブロンジング性等のさらなる向上が強く求められている。特に、黒色画像として演色性に優れることが必要とされている。光源の種類により色相が変化して見える現象を演色性というが、一般に黒色の染色物や記録物においてこの現象が起こりやすい。染色加工の分野では、演色性を改良する方法として長波長に吸収のある化合物を使用することが一般的であり、例えば特許文献6にそれら方法が開示されている。
1)
下記式(1)で表されるアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩。
2)
上記式(1)において、mが1又は2の整数を表し、nが1~4の整数を表し、R1が水素原子、ヒドロキシル基、スルホ基、又はカルボキシル基を表し、R2が(C1~C4)アルキルチオ基、ヒドロキシル基、スルホ基およびカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルキルチオ基;(C1~C4)アルコキシル基、ヒドロキシル基、(C1~C4)アルコキシル基、スルホ基およびカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルコキシル基;を表し、R3及びR4がそれぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、スルホ基、(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ基、ハロゲン原子、(C1~C4)アルキル基、(C1~C4)アルキルチオ基、ヒドロキシル基、スルホ基およびカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルキルチオ基;(C1~C4)アルコキシル基、ヒドロキシル基、(C1~C4)アルコキシル基、スルホ基およびカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルコキシル基;を表し、R5~R8がそれぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、アセチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、(C1~C4)アルキル基、(C1~C4)アルコキシル基、ヒドロキシル基、(C1~C4)アルコキシ基、スルホ基およびカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルコキシル基;(C1~C4)アルキルスルホニル基、又はヒドロキシル基、スルホ基およびカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルキルスルホニル基;を表す、1)に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩。また、破線で表される環が存在しない場合はベンゼン環、破線で表される環が存在する場合はナフタレン環であり、ナフタレン環である場合、置換基R5~R8はそれぞれ、ナフタレン環の任意の位置に置換できる。
3)
上記式(1)において、mが1又は2の整数を表し、nが1~4の整数を表し、R1がヒドロキシル基、スルホ基、又はカルボキシル基を表し、R2がヒドロキシル基、スルホ基およびカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルキルチオ基;を表し、R3及びR4がそれぞれ独立して、(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ基、(C1~C4)アルキル基、(C1~C4)アルコキシル基、ヒドロキシル基、(C1~C4)アルコキシル基、スルホ基およびカルボキシル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1~C4)アルコキシル基;を表し、R5~R8は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、スルホ基、ハロゲン原子、ニトロ基、スルファモイル基、(C1~C4)アルコキシル基、(C1~C4)アルキルスルホニル基、を表す、請求項1又は2に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩。また、破線で表される環が存在しない場合はベンゼン環、破線で表される環が存在する場合はナフタレン環であり、ナフタレン環である場合、置換基R5~R8はそれぞれ、ナフタレン環の任意の位置に置換できる。
4)
上記式(1)において、mが1又は2の整数を表し、nが1~4の整数を表し、R1がスルホ基を表し、R2がスルホ(C1~C4)アルキルチオ基、を表し、R3及びR4がそれぞれ独立して、(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ基、(C1~C4)アルキル基、(C1~C4)アルコキシ基、を表し、R5~R8がそれぞれ独立して、水素原子、スルホ基、塩素原子、ニトロ基、(C1~C4)アルコキシル基を表す、1)~3)のいずれか一項に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩。また、破線で表される環が存在しない場合はベンゼン環、破線で表される環が存在する場合はナフタレン環であり、ナフタレン環である場合、置換基R5~R8はそれぞれ、ナフタレン環の任意の位置に置換できる。
5)
上記式(1)において、mが2の整数を表し、nが1~4の整数を表し、R1がスルホ基を表し、R2がスルホ(C1~C4)アルキルチオ基、を表し、R3及びR4が(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ基を表し、R5~R8がそれぞれ独立して、水素原子、スルホ基、ニトロ基を表す、1)~4)のいずれか一項に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩。また、破線で表される環は存在しない。
6)
1)~5)のいずれか一項に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩を、色素として少なくとも1種類含むインク組成物。
7)
水溶性有機溶剤をさらに含む6)に記載のインク組成物。
8)
6)又は7)に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
9)
記録メディアがシート状記録メディアである8)に記載のインクジェット記録方法。
10)
シート状記録メディアが多孔性白色無機物を含むインク受容層を有する9)に記載のインクジェット記録方法。
11)
6)又は7)に記載のインク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ。
12)
a)1)~5)のいずれか一項に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩、
b)6)又は7)に記載のインク組成物、
のいずれかによって着色された着色体。
便宜上、本明細書においては、「アゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩」の全てを含めて「アゾ化合物」と以下、簡略して記載する場合がある。互変異性体としては、例えば下記式(2)で表される構造等が挙げられる。なお、式(2)中、m、n、R1~R8は、上記式(1)におけるものと同じで良い。
各表においてスルホ基、カルボキシ基等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。尚、下記式中のAcはアセチル基を表す。
a)上記1)~5)のいずれか一項に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩、
b)上記6)又は7)に記載の水性インク組成物を含む、
のいずれかによって着色された着色体も含まれる。
[実施例1]
(工程1)
水90部に上記実施例1(工程1)にて得られた式(12)で表される化合物のウェットケーキ全量を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0~7.0として水溶液を得た。35%塩酸17.1部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液11.1部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸7.7部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水165部に特許-6218381に記載の方法で得られる下記式(11)の化合物16.5部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0~5.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを3.0~3.5に保持しながら3時間反応させた。この液に塩化ナトリウムを添加し、析出した固体をろ過分取し、下記式(13)で表される化合物を含むウェットケーキを130.5部得た。
アセトニトリル70部に下記式(14)で表される1,5-ジヒドロキシナフタレン8.3部を加え、そこにクロロスルホン酸12.6部を添加し約20時間反応させた。反応後に析出した固体をろ過分取し、ウェットケーキを得た。
水100部中に上記にて得られたウェットケーキを添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH8.0~9.0として下記式(15)で表される化合物を含む水溶液120部を得た。
水100部に上記実施例1(工程2)にて得られた式(13)で表される化合物のウェットケーキ16.5部を添加し撹拌して溶解した。35%塩酸3.3部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.3部を添加し、約30分撹拌した。ここにスルファミン酸0.6部を添加し5分間撹拌しジアゾ反応液を得た。一方、上記実施例1(工程3)にて得られた式(15)で表される化合物を含む水溶液20.5部に、上記で得たジアゾ反応液を15~30℃、約30分間かけて滴下した。この際、15%炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを8.0~9.0に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応した。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体をろ過分離し、ウェットケーキ18.5部を得た。得られたウェットケーキを水50部に溶解し、メタノール140部を添加し、析出した固体をろ過分取した。得られたウェットケーキを再度水50部に溶解後、2-プロパノール550部を添加した。析出した固体をろ過分離し、乾燥することにより本発明の下記式(16)で表される化合物を黒色粉末として5.9部ナトリウム塩として得た。
λmax:741nm。
前記実施例1で得られた本発明のアゾ化合物[式(16)]を色素として用い、下記表6に示した組成を混合して溶液とすることにより、本発明のインク組成物を得た。得られたインク組成物を0.45μmのメンブランフィルターで濾過して夾雑物を除き、試験用のインクを調製した。なお、この試験用インクのpHは8.0~9.5の範囲であった。また、下記表6中、「界面活性剤」は、日信化学株式会社製の商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。実施例1で得た化合物を使用したインクの調製を実施例2とする。
実施例1で得た本発明の化合物のかわりに、国際公開-2017/051923号(実施例1)に記載の色素を用いる以外は、実施例2と同様にして比較用のインクを調製した。このインクの調製を比較例1とする。比較例1に用いた化合物の構造式を下記式(17)に示す。
実施例1で得た本発明の化合物のかわりに、特許-4517174(実施例15)に記載の色素を用いる以外は、実施例2と同様にして比較用のインクを調製した。このインクの調製を比較例2とする。比較例2に用いた化合物の構造式を下記式(18)に示す。
実施例2、比較例1及び2で調製した各インクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:PIXUSRTM ip7230)を用いて、下記の2種類の光沢紙にインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの記録物を得た。得られた記録物を試験片として用い、下記する試験を行った。
光沢紙2:キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド(GL-101)
光沢紙3:セイコーエプソン株式会社製、商品名:写真用紙クリスピア
光沢紙4:セイコーエプソン株式会社製、商品名:PM写真用紙
光沢紙5:ブラザー工業株式会社製、商品名:BP71G
光沢紙6:富士フィルム株式会社製、商品名:画彩 写真仕上げPro
各種の試験及びその評価は、X-rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて試験片を測色することにより行った。測色は、濃度基準にDIN NB、視野角2度、光源D50および光源Cの条件で行った。記録画像の試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
色差が3.5未満 ・・・・・・・・・○
色差が3.5以上 ・・・・・・・・・×
色差(ΔE)=(ΔL*+Δa*+Δb*)1/2
Claims (8)
- 請求項1に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩を、色素として少なくとも1種類含むインク組成物。
- 水溶性有機溶剤をさらに含む請求項2に記載のインク組成物。
- 請求項2又は3に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
- 記録メディアがシート状記録メディアである請求項4に記載のインクジェット記録方法。
- シート状記録メディアが多孔性白色無機物を含むインク受容層を有する請求項5に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項2又は3に記載のインク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ。
- a)請求項1に記載のアゾ化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩、
b)請求項2又は3に記載のインク組成物、
のいずれかによって着色された着色体。
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