JP2007314602A - 新規トリスアゾ化合物及びそれを含有する水性インキ組成物 - Google Patents

新規トリスアゾ化合物及びそれを含有する水性インキ組成物 Download PDF

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祥博 猿渡
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Abstract

【課題】インクジェット記録用黒色水性インク等の色素として有用な、耐光性に優れた高純度のトリスアゾ染料、及びその染料を含有する耐光性、耐ガス性、保存安定性に優れ、高品質な画像が保たれる印刷物を作成できる黒色水性インク組成物を提供すること。
【解決手段】式(1):
【化1】
Figure 2007314602

[式中、Ar及びArは各々独立に置換基を有してもよいフェニル基もしくはナフチル基を示し、Rは−NH、−NHCO−Rであり、ただし、Rは置換基を有してもよい炭素数C〜C10のアルキル基、もしくは置換基を有してもよいフェニル基を示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示す。]
で表される水溶性トリスアゾ染料。
【選択図】なし

Description

本発明は、筆記具用水性インクやインクジェット記録用水性インクの色素として有用なトリスアゾ化合物及び水性インキ組成物に関する。
インクジェット記録は、微細なノズルからインク組成物を微細な小滴として吐出し、文字や画像を記録媒体面に記録する方法である。この分野では常に高速性・高精細性が求められており、且つ印刷物に対する高堅牢性及び長期間のインク性能の安定性、安全性等、総合的な要求品質は高度化する一方である。このように印刷物への要求品質が高度化する中で、従来インク用色素として用いられてきた染料では、印刷物の濃度、耐水性、耐光性等の堅牢性が不十分であり、インクジェット用インクとして必要とされる多くの要求品質を同時に満足させることは非常に困難な状況にある。
そうした中で、印刷用インクの色素として顔料を用いることで、印刷物の濃度や耐水性、耐光性等の諸堅牢性を満たそうとする試みも多くなってきた。しかしながら顔料系インクにおいては染料系のそれと比較して色相の透明性が得られにくいため、写真品質の画像においてはその描画品質が染料系には及ばないのが現状である。更にインクとして長期の経時安定性についても問題があることも事実である。
近年のインクジェット記録における高画質化は銀塩写真にも匹敵するほどの水準に達しているが、そのレベルを達成するためには専用紙の存在が不可欠である。この専用紙はコーティング材料として、多孔質シリカやアルミナ等の超微粒子が一般的に用いられ、インクがこの超微粒子が形成する細孔に浸透しながら定着することで、滲みのない高画質な画像を得ることができる。ところがこのような表面処理を施したメディアにおいては普通紙上に比べ、活性ガスの影響や光の影響を非常に受けやすく、そのために画質の劣化を招くという現象が生じている。
特に問題となる耐ガス性とは、酸化作用を持つオゾンガスが記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質でのにじみを少なくする為に、白色無機顔料等による多孔質の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られている。この酸化性ガスによる変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上は最も重要な課題の1つとなっている。
一方で、ボールペンやマーカー等の筆記具に用いられるインクにおいても、インクジェット記録と同様に筆跡に対する高濃度化や高耐水化、更にはインクの経時安定性が必要である。色素の溶解性が良好でない場合、筆記具のペン先もしくは中綿等で染料が析出することで筆記感が悪くなり、最悪の場合筆記不能に陥る。また、人が直接使用するものであることから使用される色素自体に高い安全性が求められる。
一般に染料は主成分の他に、多種類の不純物を含んでおり、その一つ一つを分析して他の成分との相互作用を調べることは困難をともなう場合が多い。しかし、不純物の量が多ければそれだけお互いに相互作用する確率が大きくなり、それはインクとしたときに変質していく度合い、つまり保存安定性や耐光性等の堅牢性の低下として現れる。
他方でボールペン等の筆記用具を使用する環境においては、対象となるメディアが一般のノートやプレインペーパーであるため、ガスや光に対してはあまり影響を考慮しなくても良いが、人が使うことを前提とすることから、汗や不用意に接触の及ぶ水分に対し強い堅牢性を有しなければならない状況が想定される。また良好な筆記安定性を得るためには染料が安定に溶解していることが不可欠であり、筆記具用染料には、この高い耐水性と高い溶解性(溶解安定性)の両立という、相反する性能を1つの構造に備えなければならない。
このようにインクジェット記録に用いられる色素と筆記具に用いられる色素の間には、その使用環境や、インクの吐出メカニズムの違い、更にはそれぞれに求められる性能にも若干の相違があるために、一つの染料骨格で両者の要求する性能を満足させることは非常に困難である。
特許文献1(特開平6−220377号公報)には、下記式(a)で表されるジスアゾ染料が開示されている:
Figure 2007314602
(式中、Aは(アシル)アミノ基、ヒドロキシル基、COOM基およびSOM基からなる具から選ばれる一種または二種以上の置換基を一個以上有していてもよいフェニル基またはナフチル基を表し、X及びYは炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシ基を表し、XとYの炭素数の和は3以上で、但し一方がHの時は2以上を表し、ZはH、置換基を有してもよいフェニル基、CHCOOM又はCCOOMを表し、nは0又は1を表し、MはH、アルカリ金属、NHおよび有機アミンから選ばれる。)
この染料は、インクジェット記録及び筆記用具記録の両方に印字品位が良好であり、印字濃度、耐水性、耐光性および安定性が優れていると記載している。
特許文献2(特開2002−535434号公報)には、下記式(b)で表されるジスアゾ染料が開示されている:
Figure 2007314602
(式中、mは1、2または3であり;
XはHまたはSOHであり;
およびRは場合により置換されているアルキル、および場合により置換されているアルコキシから各々独立して選択され;そして
およびRは各々独立してH、場合により置換されているアルキル、または場合により置換されているアリールであるが;
ただし:
(i)RおよびRの少なくとも一方は−OH基を有しており;そして
(ii)XがHの場合は、RおよびRの少なくとも一方は場合により置換されているアルキルである。)
この染料は、インクジェット記録について、インキの諸特性、例えば耐水性、耐光性および長期保存安定性などが優れていると記載されている。
上記2件の特許文献に記載されている染料は、耐光性や耐ガス性(特に、耐オゾン性)について十分ではない。
特許文献3(特開2005−2271号公報)には、下記式(c)で表されるトリスアゾ染料が開示されている。:
Figure 2007314602
(前記式中、Rは置換基を有するフェニル基または置換基を有するナフチル基を表し、Rは置換基を有するフェニレン基または置換基を有するナフチレン基を表し、Rは少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環の複素環基を表す。)
このトリスアゾ染料は、光やオゾンにさらされても高品質な画像を保つことができ、耐アルバム保存性および耐湿性に優れた印刷物を作成することが可能な黒色水性インク組成物を提供することができると記載されている。上記の特許文献に記載されている染料は、耐水性について十分ではなく、その他の特性についても改良の余地がある。
特開平06−220377号公報 特開2002−535434号公報 特開2005−2271号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、インクジェット記録用黒色水性インク等の色素として有用な、耐光性に優れた高純度のトリスアゾ染料、及びその染料を含有する耐光性、耐ガス性、保存安定性に優れ、適度な耐水性を示し、高品質な画像が保たれる印刷物を作成できる黒色水性インク組成物を提供することにある。
本発明は、式(1)に表す構造からなることを特徴とする水溶性トリスアゾ染料を提供するものであり、このことにより本発明の目的が達成できる。
Figure 2007314602
[式中、Ar及びArは各々独立に置換基を有してもよいフェニル基もしくはナフチル基を示し、Rは−NH、−NHCO−Rであり、ただし、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、もしくは置換基を有してもよいフェニル基を示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示す。]
上記水溶性トリスアゾ染料は、好ましくは下記式(2)を有する:
Figure 2007314602
[式中、R、MおよびMは前記と同意義であり、
〜Rはカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アシル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン基、フェノキシ基、ニトロ基を示し、
〜Rはカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アシル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン基、フェノキシ基、ニトロ基を示す。]
前記水溶性トリスアゾ染料は、より好ましくは下記式(3)で表される:
Figure 2007314602
[式中、R、M、M、R〜RおよびR〜Rは前記と同意義である。]
前記水溶性トリスアゾ染料は、更に好ましくは下記式(4)で表される:
Figure 2007314602
[式中、R、MおよびMは前記と同意義であり、
はH、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、
10、R11はカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基を示す。]
本発明は、また、上記の水溶性トリスアゾ染料および別の水溶性染料を含有する水溶性着色剤組成物を提供する。
上記の別の水溶性染料は、水溶性黄色染料または水溶性茶色染料であってもよい。
上記の水溶性黄色染料または水溶性茶色染料は、好ましくはC.I.ダイレクト イエロー 85,86,132,142,173、C.I.アシッド ブラウン 3,6,17,25,26,27,36,44,45,49,83,84,98,282,289,355からなる群から選択される1種または2種以上である。
本発明は、また、上記水溶性トリスアゾ染料を含んでなる水性インク組成物を提供する。
本発明は、更に、上記の水溶性着色剤組成物を含有する水性インク組成物も提供する。
水性インク組成物は、更に、含窒素系有機溶剤を含んでも良く、ノニオン系界面活性剤を含んでもよい。
本発明は、耐光性、耐ガス性に優れた水溶性トリスアゾ化合物を高純度で提供でき、染料としてインクジェット記録用黒色水性インク等に用いた場合には、溶解安定性に優れると共に、その記録画像は耐光性、耐水性が良好で、高い印字濃度を示す。
本発明によるトリスアゾ染料は、下記式(1)の構造を有する:
Figure 2007314602
[式中、Ar及びArは各々独立に置換基を有してもよいフェニル基もしくはナフチル基を示し、
は−NH、−NHCO−Rであり、ただし、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、もしくは置換基を有してもよいフェニル基を示し、を示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示す。]
Ar及びAr中の置換基は、互いに独立していてよく、具体的にはカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アシル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン基、フェノキシ基、ニトロ基であってよい。炭素数1〜10のアルキル基は、更に置換基を有してもよく、具体的にはハロゲン、アルコキシ基、水酸基等の置換基を有してもよいアルキル基であって、アルキル基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。炭素数1〜10のアルコキシ基も、更に、ハロゲン、アルコキシ基、水酸基等の置換基を有してもよく、アルコキシ基の具体例としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等があげられる。フェニル基も置換基(特に、アルキル基(例えば、炭素数1〜10のアルキル基)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基)、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、フッ素等)を有してもよい。アルキルスルホニル基は、更に置換基(特に、ハロゲン、アルコキシ基、水酸基等)を有してもよく、アルキルスルホニルのアルキルは、炭素数1〜8のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、isoプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、isoペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。フェニルスルホニル基は更に置換基(特に、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等)を有してもよい。アシル基の例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチルリル、バレリル、ピバロイル等が挙げられる。カルバモイル基はアルキル基、または、フェニル基で置換されていても良く、そのアルキル基もしくはフェニル基はアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン等で置換されていても良い。アシルアミノ基は、置換基(例えば、アルキル基(好ましくは、炭素数2〜10))を有してもよく、ホルムアミノ、アセトアミノ、N−メチルアセトアミノ、N−フェニルベンズアミノ等が例示される。ハロゲン基は、具体的にはF、Cl、Br、I等である。フェノキシ基は、置換基(例えば、アルキル基(例えば、炭素数1〜8のアルキル基)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜8のアルコキシ基)、水酸基等)を有してもよい。置換基の数は、特に限定的ではないが、Ar及びArがフェニル基の場合は、最大3個までであり、ナフチル基の場合は、最大5個までである。
上記式中、Rに記載する置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基の置換基は、ハロゲン、アルコキシ基、水酸基等が挙げられ、炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。Rにおけるフェニル基に有してもよい置換基としては、アルキル基(炭素数1〜8)、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン等が挙げられる。この記載中のハロゲンは、F、Cl、Br、I等が挙げられ、アルコキシ基中のアルキル基の炭素数は1〜8個である。
とMはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示し、アルカリ金属としては、具体的にはLi、Na、K等であり、有機アンモニウムとしては、具体的にはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等アルカノールアミンから得られるカチオン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなどが挙げられる。
上記水溶性トリスアゾ染料は、好ましくは下記式(2)を有する:
Figure 2007314602
この式(2)は、式(1)において、Ar及びArが共に置換基を有するフェニル基の場合であって、その際の置換基R〜Rは前記Ar及びArで説明した置換基と同じである。
前記水溶性トリスアゾ染料は、より好ましくは下記式(3)を有する:
Figure 2007314602
この式(3)では、式(2)でナフタレン基に結合する−SOの位置が近接するアゾ基のメタ位である場合である。
前記水溶性トリスアゾ染料は、更に好ましくは下記式(4)を有する:
Figure 2007314602
この式(4)では、式(3)を更に特定したものであり、置換基R〜R11は、互いに独立していてよく、具体的にはカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基であってよい。炭素数1〜10のアルキル基は、更に置換基を有してもよく、具体的にはハロゲン、アルコキシ基、水酸基等の置換基を有してもよいアルキル基であって、アルキル基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。炭素数1〜10のアルコキシ基も、更に、ハロゲン、アルコキシ基、水酸基等の置換基を有してもよく、アルコキシ基の具体例としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等があげられる。
本発明のトリスアゾ化合物(水溶性染料)は、周知の方法、例えば[細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日 技報堂発行)第396〜409頁参照]に記載の方法を参照して、ジアゾ化・カップリング工程を経て製造することができる。
例えば、本発明のトリスアゾ化合物は、式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。
式(5)
Figure 2007314602
(式中、Arは前記と同意義。)
で表されるアミン成分をジアゾ化し、得られたジアゾニウム塩と式(6)
Figure 2007314602
(式中、R12=炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
で表されるジアルコキシアニリンとをカップリング反応をして、下記式(7)の示された化合物を得る。
Figure 2007314602
を得る。
一方で、式(8)
Figure 2007314602
(式中、Arは前記と同意義。)
で表されるアミン成分をジアゾ化し、H酸、European K酸から選ばれるカップラー成分とカップリング反応を行ない、式(9)で示される化合物を得る。
Figure 2007314602
(式中、Rは前記と同意義。)
ここで、RがNH以外のN−置換基アミノ基の場合においては、更に対応する反応置換基を作用させて形成しておく。尚、本明細書においては、
Figure 2007314602
の構造の化合物の慣用名をEuropean K酸と記載する。
更に式(7)で表されるモノアゾ化合物をジアゾ化して、式(9)で表されるモノアゾ化合物とカップリング反応を行ない、式(10)で表される化合物が製造される。
Figure 2007314602
最後に保護基R12を加水分解により除去し、式(1)に表されるトリスアゾ化合物を得ることができる。ここでカップリング反応は基本的に水系で行なうことができるが、各構成成分が溶解しない場合や、反応が進みにくい場合には各種溶剤(例えば、酢酸、プロピオン酸、アルコール類、DMF、DMSO等)を用いて反応を行なうことができる。
更に脱塩精製することにより、式(1)に示される本発明のトリスアゾ化合物を得ることもできる。例えば、限外ろ過膜及び逆浸透膜等を用いることにより、無機塩や低分子の不純物を取り除くことができる。
上記骨格を構築することにより、青味〜緑味の発色性の良い黒色系染料を得ることができる。ここで式(1)から解るように、主骨格には H酸、European K酸を用いているために最低でも一分子中に2個のスルホン基を持つことになる。これ以外にスルホン基もしくはカルボキシル基を1つ持つ化合物の場合(例えば、下記に示す化合物例8の化合物)、水に対する溶解性が10%未満である場合がある。ところがこれにグリコール系を主とする溶剤を適量(例えば10%)混ぜ合わせることにより、溶解性が格段に向上し、濃厚な染料溶液を得ることが可能となる。このようなグリコール系溶剤としては、例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。更に添加された溶剤との相互作用により、水中で10%未満の溶解性しか示さない化合物が溶剤を適量添加するだけで、更なる高濃度(例えば15%)の条件下でも安定に溶解し存続することが可能である。これを可能にしたものがビス(2-ヒドロキシエトキシ)フェニレン基の存在であると推測される。
また、式(1)のような骨格、特に式(2)のトリスアゾ染料(請求項2)を有した場合、オゾンやNOx等の活性ガスや光に対し、高い堅牢性を示すことが判明した。特にこのような堅牢性に関する試験を行なうと、退色に関して強いものであっても変色に対して具体的に論じられることは希であった。従来は一般的に、色相の反射濃度のみで堅牢性の善し悪しを決定しがちであり、その中では色相の変化が吟味されることはなかった。例えば、従来技術に示した染料においては、即ち黒系色の色素に光やガスを作用させると色相が低下するのみならず、茶系色に変色する場合が多く観測される。ところが本発明の式(1)の構造を有する染料を構築した場合、たとえ退色した場合においても、元の類似の色相が保持されており、色相が茶系色等の明確な変色することが少ない。このようにインクジェット用途等のように、カラー全体の色彩バランスの重要な用途においては、たとえ、退色を起こしても、変色を起こさず、全体の色彩バランスを保つと言うことは重要である。
また式(2)で表されるトリスアゾ染料のように、European K酸またはH酸を骨格に用いた水溶性トリスアゾ染料であると、発色性が良好であり、インクジェット用途に好適である。
更に、トリスアゾ化合物を合成し終えた時点で、2つのヒドロキシエトキシ基は保護する製造工程を用いた場合、生成したトリスアゾ染料は、水に対する溶解性はあまり高くない。このため、水系の反応液から目的とする主成分を単離する事は極めて容易であり、高純度の化合物が単離できる利点がある。このため、保護基を加水分解して式(2)の化合物、特に式(3)のトリスアゾ染料(請求項3)に変換し、インク化もしくは高濃度リキッド化した際には常に安定した物性値を示すことになり、製品としての信頼性も増すばかりでなく、高純度で単離できることから不純物を含まない環境にも安全な化合物を提供できることも大きな特徴となっている。更に水溶性トリスアゾ染料が式(3)で表されるEuropean K酸を骨格に用いた水溶性トリスアゾ染料であると、染料純度向上し、更に耐オゾン性が改善されて好ましい。(請求項3)
更に本発明における式(4)に示すトリスアゾ化合物においては、一方の芳香環のジアゾ結合に対して、カルボキシル基やスルホン基を持ち(好ましくはアゾ基に対して、オルト位に置換)、他方の芳香環がジ(ヒドロキシエトキシ基)を有するフェニルアゾ−European K酸に基づくものである組み合わせのアゾ結合を含む構造であるため、順次行われるカップリング合成上において不純物を生じにくい官能基の配置となっており、そのため非常に高純度であり、また水素結合が強く、紙に対し安定化しやすい構造である。このため、染料としてインクジェット記録用インキに用いた場合、高い印字濃度と高い堅牢性(耐光性、耐水性及び安定性についての堅牢性)が更に向上する。特に水溶性トリスアゾ染料が式(4)で表される水溶性トリスアゾ染料であることが印字濃度が高くなり好ましい。(請求項4)
式(1)に示した化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、具体的に下記の構造が挙げられる。また下記式は遊離酸の形で例示されるものが挙げられるが、勿論これらのものに限定されるものではない。
Figure 2007314602
化合物例1
Figure 2007314602
化合物例2
Figure 2007314602
化合物例3
Figure 2007314602
化合物例4
Figure 2007314602
化合物例5
Figure 2007314602
化合物例6
Figure 2007314602
化合物例7
Figure 2007314602
化合物例8
Figure 2007314602
化合物例9
Figure 2007314602
化合物例10
Figure 2007314602
化合物例11
Figure 2007314602
化合物例12
Figure 2007314602
化合物例13
Figure 2007314602
化合物例14
Figure 2007314602
化合物例15
Figure 2007314602
化合物例16
Figure 2007314602
化合物例17
Figure 2007314602
化合物例18
Figure 2007314602
化合物例19
Figure 2007314602
化合物例20
Figure 2007314602
化合物例21
Figure 2007314602
化合物例22
Figure 2007314602
化合物例23
Figure 2007314602
化合物例24
Figure 2007314602
化合物例25
Figure 2007314602
化合物例26
Figure 2007314602
化合物例27
Figure 2007314602
化合物例28
Figure 2007314602
化合物例29
Figure 2007314602
化合物例30
Figure 2007314602
化合物例31
Figure 2007314602
化合物例32
Figure 2007314602
化合物例33
Figure 2007314602
化合物例34
Figure 2007314602
化合物例35
Figure 2007314602
化合物例36
Figure 2007314602
化合物例37
Figure 2007314602
化合物例38
本明細書では、トリスアゾ化合物の水溶性基(スルホン基及びカルボキシル基)の具体例は遊離酸の形で示されているが、水中ではアルカリ金属やアミンと塩(またはアンモニウム塩)等塩を形成して溶解している。アルカリ金属としては、例えば、Na、K、Li等があり、アミンの例としては、例えば、アンモニア、ヒドロキシルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジブチルアミン、アリルアミンのようなアルキル置換アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、−(3−アミノプロピル)ジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミン、N−(2−シアノエチル)ジエタノールアミン、N,N−ジベンジル−2−アミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ビス(カルボキシメチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、m−トリルジエタノールアミン、p−トリルジエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、N−フェニルジイソプロパノールアミン及びそれらの混合物等が挙げられる。水溶性基(スルホン基及びカルボキシル基)のHがH(遊離酸)、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムの混合系でもよい。例えば、染料が完全にアンモニウム塩もしくは置換アンモニウム塩の形であることは必須ではなく、アルカリ金属とアンモニウム塩もしくは置換アンモニウム塩を混合したものも有効である。更に、このようにして得られる本発明のトリスアゾ化合物(染料)は不純物の極めて少ない高純度品であり、このことはインクジェット用用途では重要である、得られたトリスアゾ染料のHPLC(高速液体クロマトグラフィー法)による純度が約85%以上であることが好ましく、約90%以上が更に良好であり、インキの経時安定性が向上する。
本発明のインク組成物は、水又は、水と水溶性有機溶剤からなる水性媒体中に、少なくとも前記の式(1)で表される染料を含有し、必要に応じ、保湿剤、粘度調整剤、pH調整剤やその他の添加剤を含んでなることができる。
インク組成物の調製に用いられる水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールおよびジアセトンアルコール等の1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のアルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの(炭素数1〜4)アルキルエーテル;エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテートのようなグリコールのモノアセテート;N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;乳酸エチル等の乳酸エステル;γ−ブチロラクトン、またはジメチルスルホキシド等があげられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物中には、色調調整のための補色染料として黄色着色剤または茶色着色剤を含有することができる。
好適な黄色着色剤は、黄色(イエロー)を示すことができる染料であればいかなるものでも良いが、具体的には、例えば、C.I.アシッドイエロー 1,2,3,4,5,6,7,7:1,8,
9,9:1,10,11,11:1,12,13,14,15,16,17,17:1,18,19,20,21,22,23,23:1,24,25,25:1,26,27,28,29,29:1,30,31,32,33,34,35,36,37,38,38:1,39,40,41,42,42:1,43,44,45,46,47,48,49,49:1,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,65:1,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112,113,114,114:1,115,116,117,118,119,119:1,120,121,122,123,124,125,126,127,127:1,128,128:1,129,130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,158:1,159,159:1,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200,201,202,203,204,205,206,207,208,209210,211,212,213,214,215,215;1,216,217,218,219,219:1,220,221,222,223,224,225,226,227,228,229,230,231,232,233,234,235,236,237,238,239,240,241,242,243,244,245,246,247,248,250,251,252,253,254,255,256,257,258,259,260,261,262等;
C.I.ダイレクトイエロー 1,2,3,4,5,6,6:1,7,8,8:1,9,9;1,10,11,12,13,14,15,16,
16:1,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,34:1,35,36,37,38,39,40,41,41:1,42,43,44,44:1,45,46,47,48,49,50,50:1,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,105:1,106,107,107:1,108,109,110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,133,134,135,136,137,137:1,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,148:1,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,171,172,173,174,176,177等;
C.I.リアクティブイエロー 1,2,3,4,6,7,11,12,13,14,15,16,17,18,22,23,24,25,26,27,37,42等;C.I.フードイエロー 3,4;C.I.ソルベントイエロー 15,19,21,30,109等が挙げられるが、その中でも、C.I.アシッドイエロー23;C.I.ダイレクトイエロー 50,55,85,86,132,173が発色性および耐目詰り性等のインクの信頼性を確保しやすいので好ましい。また、上記効果に加え、更に耐光性を良好に保つためにC.I.ダイレクトイエロー 85,86,132,142,173が特に好ましい。
好適な茶色着色剤は、茶色(ブラウン)を示すことができる染料であればいかなるものでも良いが、具体的には、例えば、C.I.アシッド ブラウン 1,2,3,4,5,6,7,7:1,10,
11,12,13,14,15,16,17,18,19,19:1,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,88:1,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,106,107,107:1,108,108:1,109,110,110:1,111,112,112:1,113,113:1,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,188:1,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200,201,202,203,204,205,206,207,208,209,210,211,212,213,214,215,216,216:1,217,218,219,220,221,222,223,224,225,226,226:1,227,228,229,230,231,232,233,234,235,236,237,238,239,240,241,242,243,244,245,246,247,248,249,250,251,252,253,254,255,256,257,258,259,260,261,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,278,279,280,281,282,282:1,283,284,285,286,287,288,289,290,291,292,293,294,295,296,297,298,298:1,299,300,301,302,303,304,305,306,307,308,309,310,311,312,313,314,315,316,317,318,319,320,321,322,323,324,324:1,325,326,327,328,329,330,331,332,332:1,333,334,335,336,337,338,339,340,341,342,343:1,344,345,346,347,348,349,350,351,352,353,354,355,356,357,358,359,360,361,362,363,364,365,366,367,368,369,370,371,372,373,374,375,376,377,378,379,380,381,382,383,384,385,386,387,388,389,390,391,392,393,394,395,396,397,398,399,400,401,402,403,404,405,406,407,408,409,410,411,412,413,414,415,416,417,418,419,420,421,422,423,424,425,426,427,428,429,430,431,432,433,434,435,436,437,438,439,440,441,442,443,444,445,446,447,448,449,450,451,452,453,454,455,456,457,458,459,460,461,462,463,464,465,466,467,468,469,470,471,472,473,474等;
またC.I.ダイレクト ブラウン 1,1:2,2,3,4,6,6:1,7,8,9,10,11,11:1,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,25:1,26,27,29,30,31,31:1,32,33,33:1,34,35,36,37,38,39,40,41,42,44,44:1,45,46,46,1,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,61:1,62,63,65,66,67,68,69,70,73,74,74:1,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,95:1,96,97,98,99,100,100:1,101,102,103,104,105,106,106:1,107,108,109,110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200,201,202,203,204,205,206,207,208,209,210,211,212,213,214,215,216,217,218,219,2201,221,222,223,224,225,226,227,228,229,230,231,232,233,234,235,236,237,238,239,240,241,242,243,244,245,246,247,248,249,250等が挙げられる。C.I.アシッド ブラウン 3,6,17,25,26,27,36,44,45,49,83,84,98,282,289,355が発色性および耐目詰り性等のインクの信頼性を確保しやすいので好ましい。
本発明の水性インク組成物は、式(1)の化合物を水または水溶性有機溶媒(有機溶剤又は水と混和可能な有機溶剤含有水)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。本発明の水性インク組成物のpHは5〜11程度に調製することが好ましい。この水性インク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、インク組成物としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば0.1質量%以下(対色素原体)程度である。無機物の少ない染料化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は染料化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。
本発明のインク組成物は、更に蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及び/又は糖類から選ばれる保湿剤を含むことができる。保湿剤を含むことにより、インクジェット記録方式において、水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。また、水溶性有機溶剤であれば、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させることなく粘度を容易に変更することができる。
保湿剤は、インク組成物全量に対して5〜50重量%、より好ましくは、5〜30重量%、更に好ましくは、5〜20重量%の範囲で添加される。5重量%以上であれば、保湿性が得られ、また、50重量%以下であれば、インクジェット記録に用いられる粘度に調整しやすい。
水溶性有機溶剤は、溶質を溶解する能力を持つ媒体を指しており、有機性で蒸気圧が水より小さい、前記の水溶性溶剤から選択できる。また、糖類は、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。
また、本発明のインク組成物には、溶剤として含窒素系有機溶剤を含んでなることが好ましい。含窒素系有機溶剤としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン,2−ピロリドン,N−メチル−2−ピロリドン,ε−カプロラクタム、尿素等が挙げられ、単独または2種以上併用して用いられる。その含有量は、0.5〜10重量%が好ましく、更に好ましくは、1〜5重量%である。その含有量が、0.5重量%より少ない場合には、添加することによる本発明の色材の溶解性向上が少ないという問題があり、10重量%より多い場合には、インク組成物が接する各種部材との耐材料性を悪化させるという問題がある。
また、本発明のインク組成物には、インクの速やかな定着(浸透性)を得るのと同時に、1ドットの真円度を保つのに効果的な添加剤として、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には、サーフィノール465、サーフィノール104、オルフィンSTG(以上、日信化学社製、商品名)等が挙げられる。その添加量は0.05〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。添加量が0.05重量%未満であると、十分な浸透性が得られず、また、3重量%を越えると画像ににじみが発生し、画像品質の低下を招くため好ましくない。
更に、浸透促進剤として、グリコールエーテル類を添加することにより、より浸透性が増すとともに、カラー印刷を行った場合の隣合うカラーインクとの境界のブリードが減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。
更に、本発明のインク組成物には、必要に応じて、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、酸化防止剤、界面活性剤等があげられる。
前記防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02〜1.00重量%使用するのが好ましい。
防腐剤としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤として、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等があげられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア水、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、酢酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等があげられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。また水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
本発明のインク組成物の調製方法としては、たとえば、各成分を十分混合溶解し、孔径0.8μmのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法等がある。
次に、上述のインク組成物を用いた本発明の記録方法について説明する。本発明の記録方法はインク組成物を微細孔から液滴として吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方式がとりわけ好適に使用できるが、一般の筆記具用、記録計、ペンプロッター等の用途にも使用できることは言うまでもない。
インクジェット記録方式としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)や熱エネルギーを利用する方法においては優れた画像記録を行うことが可能である。
本発明のインキは、良好な溶解性、および優れた経時溶解安定性を示し、筆記具用、スタンプ用等のような各種のインキとしても用いることができる。特に、ボールペン等の筆記具用インキ組成物として使用した場合に、記録・筆記特性が良好で、筆跡ムラのない筆記ができ、また、速記した場合に文字がかすれることはない。
以下に、本発明を実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、こ
れらに限定されない。実施例中、「部」は、特に指示しない限り、重量に基づく。
化合物例3の合成
1Lのビーカーに水60部、アントラニル酸13.7部及び35%HCl 25部を入れ、氷浴中に設置した。砕氷100部を添加後、36%NaNO 21部を反応液の温度 −3℃以下を保つよう滴下した。0℃以下で撹拌しジアゾ液を得た。一方で、1Lのビーカーにメタノール350部及び2,5−ビス(2−アセトキシエトキシ)アニリン29.7部を入れ、40℃に加熱して完溶させた後、冷却浴に浸して、−1℃まで冷却した。これに先に調整したジアゾ液を滴下した後、7℃で一晩撹拌し、析出物を濾取して目的とするモノアゾ化合物(A)を得た。
Figure 2007314602
1Lのビーカーに水500部、European K酸31.9部及び炭酸ソーダ2部を入れ、40℃に加熱して完溶させた後、1μm−メンブランフィルターを通し、European K酸の溶解液を調整した。一方で、2Lのビーカーに水300部、2−アミノ安息香酸メチル15.1部及び35%HCl 26部を入れ、これに36%−NaNO 21部を滴下して、0℃で撹拌してジアゾ液を得た。脱亜硝はスルファミン酸にて行なった。このジアゾ液に先に調整した。European K酸溶解液を滴下した後、0〜2℃で30分撹拌した。これに10%NaCOを滴下して、pH3以下を保ちながら撹拌し、更に6℃で一晩撹拌した。塩析・酸析を行なった後、析出物を濾取して目的とするモノアゾ化合物(B)を得た。
Figure 2007314602
3Lのビーカーに水650部、及びモノアゾ化合物(B)を入れ、これを撹拌しながら20%NaOH 4部を滴下し、45℃に加熱して溶解した。この溶解液を冷却浴中にて0℃に冷却しておいた。一方で、500mlのビーカーにDMF300部及びモノアゾ化合物(A)を入れ、50℃に加熱して溶解した。冷却後、36%NaNO 21部を添加した後、35%HCl 26部を滴下した。20℃で15分撹拌しジアゾ懸濁液を得た。このジアゾ懸濁液と20%NaOH53部を先に調整しておいたモノアゾ化合物(A)の溶解液に同時に滴下した。この反応液のpHは8〜10を保つように調整しながら反応させた。9℃で一晩撹拌した後、析出物を濾取してトリスアゾ化合物(C)を得た。このプレスケーキを水750部に溶解し、粒状水酸化ナトリウム20部を加えてpHを11.5に調整しながら50℃で50分撹拌し保護基を鹸化した。40℃まで冷却した後、35%HCl 25部を滴下してpH3.9とし、45℃に加熱して析出物を濾取して粗生成物を得た。これを水に溶解して逆浸透膜(日東電工社製、NTR−7430)にて脱塩処理を行ない、処理液を凍結乾燥法により乾燥して目的とする化合物例3をナトリウム塩として得た(HPLC純度:97.7%、λmax=630.4nm)。化合物例3の変異原性は陰性であった。下記の表1に染料純度と最大吸収波長を示す。
Figure 2007314602
化合物例6の合成
まず、実施例1とほぼ同様な方法で、モノアゾ化合物(A)を得た。
1Lのビーカーに水800部、H酸31.9部及び炭酸ソーダ2部を入れ、40℃に加熱して完溶させた後、1μm−メンブランフィルターを通しH酸の溶解液を調整した。一方で、1Lのビーカーに水100部、酢酸2−(2−アミノフェノキシ)エチル19.5部及び35%HCl 26部を入れ、これに36%NaNO 21部を滴下して、0℃で撹拌してジアゾ液を得た。脱亜硝はスルファミン酸にて行なった。このジアゾ液に先に調整したH酸溶解液を滴下した後、10%NaCOを滴下して、pH4以下を保ちながら撹拌し、更に11℃で一晩撹拌した。塩析を行なった後、析出物を濾取して目的とするモノアゾ化合物(D)を得た。
Figure 2007314602
2L−ビーカーに水400部、及びモノアゾ化合物(D)33.8部を入れ、これを撹拌しながら水酸化リチウム2.3部を添加し、45℃に加熱して溶解した。この溶解液を冷却浴中にて−3℃に冷却しておいた。一方で、1L−ビーカーにDMF250部及びモノアゾ化合物(A)31.3部を入れ、50℃に加熱して溶解した。冷却後、36%NaNO 15部を添加した後、35%HCl 20部を滴下した。15℃で20分撹拌しジアゾ懸濁液を得た。このジアゾ懸濁液と水酸化リチウムを先に調整しておいたモノアゾ化合物(D)の溶解液に同時に添加した。この反応液のpHは8〜9を保つように調整しながら反応させた。3℃で一晩撹拌した後、塩化リチウム120部を添加してしばらく撹拌し、生じた析出物を濾取してトリスアゾ化合物(E)を得た。このプレスケーキを水600部に溶解し、水酸化リチウム 30部を加えてpHを11.0に調整しながら55℃で40分撹拌し保護基を鹸化した。40℃まで冷却した後、35%HCl 44部を滴下して、pH5.2とし、析出物を濾取して粗生成物を得た。これを水に溶解して逆浸透膜(日東電工社製、NTR−7430)にて脱塩処理を行ない、処理液を凍結乾燥法により乾燥して目的とする化合物例6をナトリウム塩として得た(HPLC純度:91.9%、λmax=645.7nm)。化合物例6の変異原性は陰性であった。下記の表1に染料純度と最大吸収波長を示す。
Figure 2007314602
化合物例8の合成
まず、実施例1とほぼ同様な方法でモノアゾ化合物(A)を得た。
2Lのビーカーに水1000部、European K酸63.9部及び炭酸ソーダ4部を入れ、40℃に加熱して完溶させた後、1μm−メンブレンフィルターを通し、European K酸の溶解液を調整した。一方で、5Lのビーカーに水 500部、4−n−ブチルアニリン29.8部及び35%HCl 51部を入れ、これに36%NaNO 42部を滴下して 0℃で撹拌してジアゾ液を得た。脱亜硝はスルファミン酸にて行なった。このジアゾ液に先に調整してEuropean K酸溶解液を滴下した後、10%NaCOを滴下して、pH3以下を保ちながら撹拌し、更に6℃で一晩撹拌した。塩析を行なった後、析出物を濾取して目的とするモノアゾ化合物(F)を得た。
Figure 2007314602
5Lのビーカーに水600部、及び化合物(F)75.9部を入れ、水酸化リチウム9.7部を添加し溶解した。これに塩化ベンゾイル21.9部及び水酸化リチウム6.5部を添加した後、30℃で60分撹拌した。塩化ベンゾイルを加える際にはpHを8〜8.5に調整しつつ36℃以下で反応を行なった。ベンゾイル化反応で原料となるモノアゾ化合物(F)の消失を確認した後、水酸化リチウム5.9部を添加してpH11.0以下に調整しながら40℃で90分撹拌した。この反応液を冷却浴中にて−3℃に冷却しておいた。一方で、1L−ビーカーにDMF350部及び化合物(A)48.2部を入れ、40℃に加熱して溶解した。冷却後、36%NaNO 23部を添加した後、35%HCl 37部を滴下した。20℃で15分撹拌しジアゾ懸濁液を得た。このジアゾ懸濁液と水酸化リチウム 11部を先に調整しておいたベンゾイル化反応液に同時に添加した。この反応液のpHは 8〜9を保つように調整しながら反応させた。4℃で一晩撹拌した後、塩化リチウム 140部を加えてしばらく撹拌した後、析出物を濾取してトリスアゾ化合物(G)を得た。このプレスケーキを水700部に入れ、水酸化リチウム27部を加え、pHを11.2に調整しながら50℃で6時間撹拌し保護基を鹸化した。塩化リチウム60部を加えてしばらく撹拌した後、析出物を濾取して粗生成物を得た。これを水に溶解して逆浸透膜(日東電工社製、NTR−7430)にて脱塩処理を行ない、処理液を凍結乾燥法により乾燥して目的とする化合物例8をリチウム塩として得た(HPLC純度:98.2%、λmax=586.4nm)。化合物例8の変異原性は陰性であった。下記の表1に染料純度と最大吸収波長を示す。
Figure 2007314602
これらと類似の合成処方により、本発明の種々のトリスアゾ錯体化合物の合成が可能である。
Figure 2007314602
実施例1および比較例1
実施例においては、下記の表に示す化合物例と比較化合物例とについて、下記に示すインキ組成でインキを製造し、下記の操作で試験片を作成した。この試験片を用い、下記の評価方法で、耐水性、耐光性、耐オゾン性を評価した。
(1)インキ組成物の製造
インキ組成
染料 3g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5g
グリセリン 5g
トリエチレングリコール 1.5g
オルフィンSTD(日信化学工業社製) 0.2g
水 36.3g
上記の組成を混合し、染料を溶解し、インクを調整した。
(2)試験片の製造
得られたインキ組成物を1μm−メンブレンフィルターにて濾過したものを専用インクカートリッジに充填し、インクジェットプリンター(商品名:EM−900C、セイコーエプソン社製)にて、PPC用紙(商品名:Xerox P、ゼロックス社製)及びインクジェット用光沢専用紙(KA420PSK、セイコーエプソン社製)に印刷した。
(3)試験評価
試験片に対する試験方法と評価基準を明記する。
OD値
上記印刷試験片(PPC)のベタ塗り部分をマクベス濃度計(商品名:TR927)にて測定し、その白色光反射濃度の値をOD値とした。
耐水性
上記印刷試験片(PPC)を一晩風乾した後、水道流水中に 60秒間浸漬させたもののOD値の残存率を%で表示した。
残存率が95%以上のもの :◎
残存率が85〜95%のもの:○
残存率が70〜85%のもの:△
残存率が70%未満のもの :×
耐光性
上記印刷試験片(光沢専用紙)を耐光性測定用試料ホルダーにセットし、耐光性試験機(キセノンウェザオメーター 商品名:Ci2000、ATLAS社製)にて光照射して、試料のOD値(初期OD値が1付近を測定)の残存率を%で表示した。
耐光性試験機の測定条件は
照射強度;36W/m(300〜400nm)
フィルター(inner/outer);ボロシリケート/ソーダライム
チャンバー温度;24℃
チャンバー湿度;55%
とし、試料の表面には厚さ2mmのソーダライムガラスを設置し、試料とガラスの間に2mmの空気層を設けるようにした。
上記条件において、15MJ/mの光照射を行なった後のOD値において
残存率が95%以上のもの :◎
残存率が85〜95%のもの:○
残存率が70〜85%のもの:△
残存率が70%未満のもの :×
耐オゾン性
上記印刷紙(光沢専用紙)を耐オゾン性試験器内にて、オゾン雰囲気に暴露し、試料のOD値の減衰率を%で表示した。
耐光性試験機の測定条件は、オゾン発生装置(舞フレンドMF−3、大進工業研究所製)によって生成されるオゾン気流を試験片を吊し掛けた耐オゾン性試験器(60×20×50cm)に吹き込み、試験片をオゾン気流に5時間暴露させた。
残存率が90%以上のもの :◎
残存率が75〜90%のもの:○
残存率が60〜75%のもの:△
残存率が60%未満のもの :×
溶解安定性
試験化合物が15%、ジエチレングリコール10%をそれぞれ含む水溶液を作成し、室温で保存した。
試料調整後一ヶ月以上異常なし:○
試料調整後一ヶ月以内に少量の残渣が見られる:△
試料調整直後に試験化合物が析出する、もしくは溶解しない:×
C.I.フードブラック2のジスアゾ染料を比較化合物1として、化合物例と同様に評価して、表2に示した。
Figure 2007314602
特開平6−220377号公報に記載の下記式(I)のジスアゾ染料を比較化合物2として、化合物例と同様に評価して、表2に示した。
Figure 2007314602
特開2005−2271号公報に記載の下記式(J)のジスアゾ染料を比較化合物3として、化合物例と同様に評価して、表2に示した。
Figure 2007314602
Figure 2007314602
実施例2および3においては水性ボールペン用黒色インキついて説明する。
実施例2
成分 配合量(重量部)
イオン交換水 71.8
プロピレングリコール 20.0
化合物例3(Na塩) 8.0
界面活性剤(ユニダインDS−401) 0.1
防腐防黴剤 0.1
上記配合による水性ボールペン用黒色インキを作成し、筆記性能を調べたところ、長期間スムーズに筆記でき、筆跡の耐光性および耐水性は良好であった。
実施例3
成分 配合量(重量部)
イオン交換水 71.8
プロピレングリコール 20.0
化合物例6(Na塩) 8.0
界面活性剤(ユニダインDS−401) 0.1
防腐防黴剤 0.1
上記配合による水性ボールペン用黒色インキを作成し、筆記性能を調べたところ、長期間スムーズに筆記でき、筆跡の耐光性および耐水性は良好であった。
比較例2
比較例2おいては実施例2の化合物例3に代えて、比較化合物例1を用い、その他は実施例3と同様に、水性ボールペン用黒色インキを作成し、評価した。
実施例4および5においてはマーキングペン用黒色インキについて説明する。
実施例4
成分 配合量(重量部)
イオン交換水 69.8
エチレングリコール 10.0
ジエチレングリコール 10.0
化合物例3(Na塩) 10.0
防腐防黴剤 0.2
上記配合によるマーキングペン用黒色インキを作成し、筆記性能を調べたところ、長期間スムーズに筆記でき、筆跡の耐光性、耐水性は良好であった。
実施例5
成分 配合量(重量部)
イオン交換水 69.8
エチレングリコール 10.0
ジエチレングリコール 10.0
化合物例8(Na塩) 10.0
防腐防黴剤 0.2
上記配合によるサインペン用黒色インキを作成し、筆記性能を調べたところ、長期間スムーズに筆記でき、筆跡の耐光性、耐水性は良好であった。
比較例3
比較例3においては実施例4の化合物例3に代えて、比較化合物例1を用い、その他は実施例4と同様に、マーキングペン用黒色インキを作成し、評価した。
Figure 2007314602

Claims (11)

  1. 式(1):
    Figure 2007314602
    [式中、Ar及びArは各々独立に置換基を有してもよいフェニル基もしくはナフチル基を示し、Rは−NH、−NHCO−Rであり、ただし、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、もしくは置換基を有してもよいフェニル基を示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示し、MはH、NH、アルカリ金属、有機アンモニウムを示す。]
    で表される水溶性トリスアゾ染料。
  2. 前記水溶性トリスアゾ染料が下記式(2):
    Figure 2007314602
    [式中、R、MおよびMは前記と同意義であり、
    〜Rはカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アシル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン基、フェノキシ基、ニトロ基を示し、
    〜Rはカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アシル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン基、フェノキシ基、ニトロ基を示す。]
    を有する請求項1記載の水溶性トリスアゾ染料。
  3. 前記水溶性トリスアゾ染料が下記式(3):
    Figure 2007314602
    [式中、R、M、M、R〜RおよびR〜Rは前記と同意義である。]
    を有する請求項1記載の水溶性トリスアゾ染料。
  4. 前記水溶性トリスアゾ染料が下記式(4):
    Figure 2007314602
    [式中、R、MおよびMは前記と同意義であり、
    はH、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、
    10、R11はカルボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基を示す。]
    を有する請求項1記載の水溶性トリスアゾ染料。
  5. 請求項1〜4記載いずれかに記載の水溶性トリスアゾ染料および別の水溶性染料を含有する水溶性着色剤組成物。
  6. 前記別の水溶性染料が水溶性黄色染料または水溶性茶色染料である請求項5記載の水溶性着色剤組成物。
  7. 前記水溶性黄色染料または水溶性茶色染料が、C.I.ダイレクト イエロー 85,86,132,142,173、C.I.アシッド ブラウン 3,6,17,25,26,27,36,44,45,49,83,84,98,282,289,355からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項6記載の水溶性着色剤組成物。
  8. 請求項1〜4の水溶性トリスアゾ染料を含んでなることを特徴とする水性インク組成物。
  9. 請求項5〜7の水溶性着色剤組成物を含んでなることを特徴とする水性インク組成物。
  10. 更に、含窒素系有機溶剤を含んでなる、請求項8または9のいずれか一項に記載の黒色水性インク組成物。
  11. 更に、ノニオン系界面活性剤を含んでなる、請求項10記載の黒色水性インク組成物。
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