JP5979728B2 - 水性黒色インク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び着色体 - Google Patents

水性黒色インク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び着色体 Download PDF

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Description

本発明は、水性黒色インク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び着色体に関する。
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ、記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため音の発生が少なく静かであり、また、小型化、高速化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等用のインク及びインクジェットプリント用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そして、これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。更に、形成される画像には、耐水性、耐光性等の画像堅牢性、色再現性が求められており、また、単に画像堅牢性が高いだけでなくそれぞれの色のバランスが重要となる。
近年のインクジェット技術の発達により、インクジェット印刷における印刷スピードの向上がめざましい。このため、商業印刷やオフィス環境での主用途である普通紙へのドキュメントの印刷に、電子トナーを用いたレーザープリンタと同じ様に、インクジェットプリンタを用いる動きがある。インクジェットプリンタは記録紙の種類を選ばない、機械の価格が比較的安いという利点があり、特にSOHO等の小〜中規模オフィス環境での普及が進んでいる。このように普通紙への印刷を用途としてインクジェットプリンタを使用する場合、印刷物に求められる品質の中でも発色性や耐水性がより重視される傾向がある。これらの性能を満たすため、顔料インクを用いるという方法が提案されている。しかし、顔料インクは溶液ではなく固体の顔料を分散させた分散液であるために、顔料インクを用いるとそのインクの保存安定性が不良であるという問題や、プリンターヘッドのノズルが詰まるという問題等が染料インクと比較して起こりやすい。また、顔料インクを使用した場合、印刷画像の耐擦性が低いことも問題とされることが多い。染料インクの場合、色素成分である染料はインク中に溶解しているため、このような顔料インクであるがゆえに生じる問題は比較的起こりにくいとされる。しかし、染料インクは特に発色性、耐光性、耐水性において顔料インクと比較して一般に著しく劣るため、その改良が強く望まれている。
更に、商業印刷分野で求められる性能の1つとしては、特に可視光領域外の近赤外光領域での光の吸収性(反射特性)が挙げられる。これは、近赤外光センサー等の様々なセンサーの読み取りの対応をする必要があるためである。
また、普通紙への印刷を目的とするインク組成物に求められる性能としては、上記の他に色再現性(発色性、すなわち彩度や明度)、保存安定性、耐オゾンガス性(酸化性ガス耐性)、耐湿性等が挙げられるが、そのいずれにおいても十分に満足できるインク組成物は未だ提案されていない。
したがって、今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録用に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐光性、耐オゾンガス性、耐水性、耐湿性、センサー読み取り対応の更なる向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の染料から調製されているが、それらのうち黒色インクはモノカラー画像及びフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。しかし、濃色域と淡色域との双方において色相がニュートラルで且つ色濃度が高く、堅牢性にも優れた色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているが、まだ十分な性能を有するものが少ない。そのため、一般には複数の多様な色素を混合して黒色インクを調製することが行われている。しかし、複数の色素を混合してインクを調製すると、単一色素でインクを調製した場合に比べて、メディア(被記録材)によって色相が異なる、光やオゾンガスによる色素の分解、水による滲みによって特に変色が大きくなる等の問題が起こりやすい。
黒色インク用の染料として提案されている色素の多くはアゾ色素であり、そのうちC.I.Direct Black 19等のアゾ色素については、画像の光学濃度が低い、耐水性、耐光性、及び耐オゾンガス性が十分でない等の問題がある。また、同様に数多く提案されているアゾ含金色素は、耐光性が良好なものもあるが、金属イオンを含むため生物への安全性や環境に対し好ましくないこと、耐オゾンガス性が極めて弱いこと等の問題がある。これら多くのものが提案されているが、市場の要求を十分に満足する製品を提供するには至っていない。
黒色染料に色調整用の染料を更に配合した黒色インクとしては、例えば特許文献1〜3のもの等が提案されているが、市場の要求を十分に満足する製品を提供するには至っていない。
また、本発明で使用する染料は特許文献4〜5に記載されている。しかし、これらは特定の受容層を設けた特殊用紙や電子写真用用紙への適用を想定したものであり、普通紙に印刷した場合の効果は、十分であるとは言えない。したがって本発明は、上記特定の受容層を設けた特殊用紙や電子写真用用紙のみならず、普通紙においても十分な特性(例えば耐湿性等)を有することを課題とし、実現するものである。
インクジェット記録用染料インクに適したブラックの着色剤としては、例えば上記のC.I.Direct Black 19や特許文献6に記載の本願式(1)の化合物等が知られている。
特公平7−122044号公報 特許第3178200号公報 特開平9−255906号公報 特開平10−60336号公報 特開平11−5932号公報 国際公開2006/051850号
本発明は、印字濃度が高く、また、近赤外光領域の反射率が低く、近赤外光の吸収性に優れた水性黒色インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上述したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、黒色インクの色素成分として特定の染料であるC.I. Acid Black 2を使用することにより、色相が向上し、更に各種の特性が良好であり、特に近赤外光領域のセンサー対応を向上させた水性黒色インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1)
色素成分として、(i)C.I. Acid Black 2を含有する水性黒色インク組成物、
2)
更に、色素成分として、(ii)分子内にアゾ結合(−N=N−)を3つ以上有する染料を含有する上記1)に記載の水性黒色インク組成物、
3)
上記分子内にアゾ結合(−N=N−)を3つ以上有する染料が下記式(1)で表される黒色染料又はその塩である上記2)に記載の水性黒色インク組成物、
Figure 0005979728
(式(1)中、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルスルホニル基、ホスホ基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基及び(C1〜C4)アルコキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又はフェニルスルホニルアミノ基(ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい)を表す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、(C1〜C4)アルキル基(ヒドロキシ基及び(C1〜C4)アルコキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい)、(C1〜C4)アルコキシ基(ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、又はフェニルスルホニルアミノ基(ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい)を表す。nは0又は1を表す。)
4)
上記式(1)中、Rがカルボキシ基又はスルホ基であり、Rが水素原子であり、Rがニトロ基、カルボキシ基、又はスルホ基であり、nが1である上記3)に記載の水性黒色インク組成物、
5)
がスルホ基であり、Rの置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しパラ位であり、Rの置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しオルト位である上記3)又は4)に記載の水性黒色インク組成物、
6)
がスルホ基であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子、カルボキシ基、又はスルホ基であり、Rが水素原子である上記3)乃至5)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
7)
上記式(1)で表される黒色染料が、下記式(2)で表される黒色染料である上記3)に記載の水性黒色インク組成物、
Figure 0005979728
(式(2)中、Rはスルホ基であり、Rの置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しパラ位であり、Rの置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しオルト位である。)
8)
更に、色素成分として、(iii)C.I. Direct Yellow 86、132、及び142、C.I. Direct Orange 17及び39、C.I. Direct Red 80、84、及び227、C.I. Direct Brown 106及び195、C.I. Acid Orange 95、C.I. Acid Red 249及び254から選択される1又は2以上の染料を含有する上記2)乃至7)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
9)
色素成分の総質量中、前記(i)を20〜70質量%、前記(ii)を20〜70質量%、前記(iii)を5〜50質量%含有する上記8)に記載の水性黒色インク組成物、
10)
更に、水溶性有機溶剤を含有する上記1)乃至9)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
11)
更に、尿素を含有する上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物、
12)
上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を用いるインクジェット記録方法、
13)
インクジェット記録方法における被記録材が情報伝達用シートである上記12)に記載のインクジェット記録方法、
14)
上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
15)
上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物で着色された着色体、
に関する。
本発明により、印字濃度が高く、また、近赤外光領域の反射率が低く、近赤外光の吸収性に優れた水性黒色インク組成物が提供できた。
本発明を詳細に説明する。
本発明の水性黒色インク組成物は、色素成分として、(i)C.I. Acid Black 2を含有する。この化合物を含有することによって、従来の黒色インク組成物と比較して、色相及び、特に近赤外光領域でのセンサー対応を、格段に向上することができる。
C.I.Acid Black 2はWATER BLACK R−455,R−510としてオリエント化学工業株式会社より入手することができる。
本発明の水性黒色インク組成物は、色素成分として、C.I. Acid Black 2以外の様々な染料を配合して、色調の調整をすることができるが、特に分子内にアゾ結合(−N=N−)を3つ以上有する染料(ii)が好ましい。該染料を使用した場合、発色性、耐水性、耐光性に非常に優れる水性黒色インク組成物とすることができる。また、該染料として分子内にアゾ結合(−N=N−)を3つ以上有する黒色染料を用いる場合が好ましく、更には、アゾ結合(−N=N−)を4つ以上有する黒色染料を用いる場合、より高い発色性、耐水性、耐光性を実現できる。更に、当該黒色染料として、上記式(1)で表される黒色染料を用いた場合には、発色性と耐光性、耐オゾン性、耐水性との高いレベルでの両立を図ることができ、非常に優れた水性黒色インク組成物を実現することができる。
上記式(1)で表される黒色染料において、特に炭素数の記載のないアルキル基、アルコキシ基、アシル基等における炭素数は、本発明の効果を達成しうる範囲で特に限定は無いが、通常炭素数1〜20程度であり、好ましくは炭素数1〜10程度である。更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、又は脂肪族のアシル基の場合は炭素数1〜4程度であり、芳香族のアシル基の場合は炭素数7〜11程度であり、具体的にはベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
上記式(1)におけるR、R、R、R、及びRにおいて、N−アルキルアミノスルホニル基の例としては、例えば、N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−(n−ブチル)アミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジ(n−プロピル)アミノスルホニル基等が挙げられる。
上記式(1)におけるR、R、R、R、及びRにおいて、ヒドロキシ基で置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルスルホニル基の例としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ヒドロキシエチルスルホニル、2−ヒドロキシプロピルスルホニル等が挙げられる。
上記式(1)におけるR、R、R、R、及びRにおいて、アシル基の例としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ベンゾイル、ナフトイル等が挙げられる。
上記式(1)におけるRからRにおいて、ヒドロキシ基及び(C1〜C4)アルコキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、2−エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、n−プロポキシプロピル、イソプロポキシブチル、n−プロポキシブチル等が挙げられる。
上記式(1)におけるRからRにおいて、ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ、2−ヒドロキシエトキシエトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等が挙げられる。
上記式(1)におけるRからRにおいて、アシルアミノ基の例としては、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、ベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等が挙げられる。
上記式(1)におけるRからRにおいて、アルキルスルホニルアミノ基の例としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、プロピルスルホニルアミノ等が挙げられる。
上記式(1)におけるRからRにおいて、ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいフェニルスルホニルアミノ基の例としては、例えば、ベンゼンスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ、クロロベンゼンスルホニルアミノ、ニトロベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。
上記式(1)における好ましいR及びRは、水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−メチルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、メチルスルホニル基、ヒドロキシエチルスルホニル基、ホスホ基、ニトロ基、アセチル基、ベンゾイル基、ウレイド基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等であり、より好ましくは、水素原子、塩素原子、シアノ基、スルファモイル基、アセチル基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基であり、更に好ましくは、水素原子、カルボキシ基、スルホ基である。
更に好ましいRは、カルボキシ基又はスルホ基であり、スルホ基が特に好ましい。Rは水素原子が特に好ましい。
置換位置は、Rの置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しパラ位であり、Rの置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しオルト位であることが好ましい。
上記式(1)における好ましいR及びRは、水素原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基、アセチルアミノ基等であり、より好ましくは、水素原子、カルボキシ基、スルホ基、メチル基、メトキシ基、3−スルホプロポキシ基であり、更に好ましくは、水素原子、スルホ基、メチル基、3−スルホプロポキシ基である。また、Rがスルホ基、Rが水素原子の組み合わせ、あるいはRが3−スルホプロポキシ基、Rがメチル基の組み合わせが特に好ましく、前者が最も好ましい。
上記式(1)における好ましいRからRは、水素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、N−メチルアミノスルホニル基、N−フェニルアミノスルホニル基、メチルスルホニル基、ヒドロキシエチルスルホニル基、ホスホ基、ニトロ基、アセチル基、ベンゾイル基、ウレイド基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基、カルボキシメトキシ基、2−カルボキシエトキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等であり、より好ましくは、水素原子、塩素原子、シアノ基、スルファモイル基、アセチル基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基であり、更に好ましくは、水素原子、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基である。
特に好ましいRは水素原子、カルボキシ基、又はスルホ基であり、特に好ましいRはニトロ基、カルボキシ基、又はスルホ基であり、特に好ましいRは水素原子である。また、Rが水素原子、Rがスルホ基、Rが水素原子の組み合わせ、あるいはRがスルホ基、Rがニトロ基、Rが水素原子の組み合わせが特に好ましく、前者が最も好ましい。
上記式(1)で表される黒色染料について、RからRは上記好ましいものとして挙げた置換基同士の組み合わせはより好ましく、好ましい置換基とより好ましい置換基との組み合わせは更に好ましく、より好ましい置換基同士を組み合わせたものは最も好ましい。
上記式(1)で表される黒色染料として最もこの好ましいものは、上記式(2)で表される黒色染料であり、特に発色性、耐光性、耐オゾンガス性、耐水性に効果を有する。
上記式(1)で表される黒色染料、上記式(2)で表される黒色染料のいずれもその塩としても使用し得る。
上記式(1)又は(2)で表される化合物の塩としては、それぞれ独立して無機又は有機の陽イオンの塩を意味する。そのうち無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩、及びアンモニウム塩である。また、有機の陽イオンの塩としては、例えば下記式(3)で示される化合物の塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005979728
上記式(3)において、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表し、少なくとも1つは水素原子以外の基である。
上記式(3)におけるZ、Z、Z、及びZのアルキル基としては、(C1〜C4)アルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられる。
ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、これらのうちではヒドロキシエトキシ−(C1〜C4)アルキル基が好ましい。
特に好ましいものとしては、水素原子;メチル;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ−(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられる。
上記式(3)におけるZ、Z、Z、及びZの具体例を下記表1に示す。
Figure 0005979728
有機陽イオンの塩として好ましいものとしては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩が挙げられる。
上記の無機及び有機陽イオンの塩のうち、特に好ましいものは、リチウム及びナトリウムの塩である。
上記式(1)で表される黒色染料は、例えば次のような方法で合成することができる。各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すこととする。
まず、下記式(4)で表される化合物とp−トルエンスルホニルクロリドとのアルカリ存在下での反応により得られる下記式(5)で表される化合物を常法によりジアゾ化する。
Figure 0005979728
(式中、nは上記式(1)と同じ意味を有する。)
Figure 0005979728
(式中、nは上記式(1)と同じ意味を有する。)
次いで、得られたジアゾ化合物と4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸とを酸性下でカップリング反応させ、下記式(6)で表される化合物を得る。
Figure 0005979728
(式中、nは上記式(1)と同じ意味を有する。)
次いで、下記式(7)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と上記式(6)で表される化合物とをカップリング反応させ、下記式(8)で表される化合物を得る。
Figure 0005979728
(式中、R及びRは上記式(1)と同じ意味を有する。)
Figure 0005979728
(式中、R、R、及びnは上記式(1)と同じ意味を有する。)
次いで、上記式(8)で表される化合物をアルカリ条件下、加水分解し、下記式(9)で表される化合物を得る。
Figure 0005979728
(式中、R、R、及びnは上記式(1)と同じ意味を有する。)
そして、下記式(10)で表されるモノアゾ化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と上記式(9)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、上記式(1)又は(2)で表される黒色染料又はその塩を得ることができる。
Figure 0005979728
(式中、R〜Rは上記式(1)と同じ意味を有する。)
上記式(10)で表されるモノアゾ化合物は、常法により合成できる。例えば、下記式(11)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(12)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、上記式(10)で表されるモノアゾ化合物を得ることができる。
Figure 0005979728
(式中、R〜Rは上記式(1)と同じ意味を有する。)
Figure 0005979728
(式中、R及びRは上記式(1)と同じ意味を有する。)
あるいは、下記式(13)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(14)で表される化合物とをカップリング反応させることにより、下記式(15)で表される化合物を得た後、この化合物を酸又はアルカリで加水分解することにより、上記式(15)で表されるモノアゾ化合物を得ることができる。
Figure 0005979728
(式中、R及びRは上記式(1)と同じ意味を有する。)
Figure 0005979728
(式中、R〜Rは上記式(1)と同じ意味を有する。)
Figure 0005979728
(式中、R〜Rは上記式(1)と同じ意味を有する。)
上記式(4)で表される化合物とp−トルエンスルホニルクロリドとのエステル化反応はそれ自体公知の方法で実施される。水又は水溶性有機溶剤中、例えば20〜100℃、好ましくは30〜80℃の温度、且つ、中性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは中性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH7〜10で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩等が使用できる。上記式(4)で表される化合物とp−トルエンスルホニルクロリドとは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(5)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜15℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
上記式(5)で表される化合物のジアゾ化物と4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸とのカップリングはそれ自体公知の条件で実施される。水又は水溶性有機溶剤中、例えば−5〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値で行うことが有利である。カップリング浴は酸性化するが、好ましくは酸性から弱酸性のpH値、例えばpH1〜4で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア、有機アミン等が使用できる。上記式(5)で表される化合物と4−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(7)で表される化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
上記式(7)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(6)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水溶性有機溶剤中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度、且つ、弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア、有機アミン等が使用できる。上記式(7)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(6)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(8)で表される化合物の加水分解による上記式(9)で表される化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。有利には水性アルカリ性媒質中で加熱する方法であり、例えば上記式(8)で表される化合物を含有する溶液に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを加えてpHを9.5以上とした後、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は上述したものを用いることができる。
上記式(10)で表される化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、例えば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
上記式(10)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(9)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水溶性有機溶剤中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度、且つ、弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア、有機アミン等が使用できる。上記式(10)で表される化合物のジアゾ化物と上記式(9)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
上記式(1)又は(2)で表される黒色染料は、カップリング反応後、鉱酸の添加により遊離酸の形で単離することができ、これから水又は酸性化した水による洗浄により無機塩を除去することができる。次に、この様にして得られる低い塩含有率を有する酸型染料は、水性媒体中で所望の無機又は有機の塩基により中和することで、対応する塩の溶液とすることができる。無機の塩基の例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。有機の塩基の例としては、有機アミン、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(1)で表される化合物の好適な具体例を表2〜4に挙げる。ただし、上記式(1)で表される化合物としては、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 0005979728
Figure 0005979728
Figure 0005979728
本発明の水性黒色インク組成物は、(i)C.I. Acid Black 2を0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜4質量%含有し、水を主要な媒体とするインク組成物である。また、(ii)黒色染料として上記式(1)又は(2)で表される化合物を含有する場合には、0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有する。
本発明の水性黒色インク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、C.I. Acid Black 2や上記式(1)、(2)で表される化合物としては、金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば1質量%以下(対染料原体)程度である。無機物の少ない染料を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法、あるいは染料の乾燥品又はウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過分取、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。
本発明の水性黒色インク組成物は、色調調整を目的として、更に他の色相を有する染料(iii)を含有してもよい。他の染料としては、染料の被記録材への染着性の観点から、反応染料、酸性染料、又は直接染料が好ましく、直接染料がより好ましい。
本発明の水性黒色インク組成物が含有してもよい反応染料の具体例としては、例えば、C.I.Reactive Yellow 2、3、18、81、84、85、95、99、102等のイエロー系の染料;C.I.Reactive Orange 5、9、12、13、35、45、99等のオレンジ系の染料;C.I.Reactive Brown 2、8、9、17、33等のブラウン系の染料;C.I.Reactive Red 3、3:1、4、13、24、29、31、33、125、151、206、218、226、245等のレッド系の染料;C.I.Reactive Violet 1、24等のバイオレット系の染料;C.I.Reactive Blue 2、5、10、13、14、15、15:1、49、63、71、72、75、162、176等のブルー系の染料;C.I.Reactive Green 5、8、19等のグリーン系の染料;C.I.Reactive Black 1、8、23、39等のブラック系の染料;等が挙げられる。
本発明の水性黒色インク組成物が含有してもよい酸性染料の具体例としては、例えば、C.I.Acid Yellow 1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、40:1、42、44、49、59、59:1、61、65、72、73、79、99、104、110、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、219:1、220、230、232、235、241、242、246等のイエロー系の染料;C.I. Acid Orange 3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168等のオレンジ系の染料;C.I.Acid Brown 2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413等のブラウン系の染料;C.I.Acid Red 1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、97:1、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、264、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415等のレッド系の染料;C.I.Acid Violet 17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126等のバイオレット系の染料;C.I.Acid Blue 1、7、9、15、23、25、40、61:1、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、127:1、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、277:1、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350等のブルー系の染料;C.I.Acid Green 1、9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109等のグリーン系の染料;C.I.Acid Black 1、2、3、24、24:1、26、31、50、52、52:1、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222等のブラック系の染料;等が挙げられる。
本発明の水性黒色インク組成物が含有してもよい直接染料の具体例としては、例えば、C.I. Direct Yellow 8、11、12、21、28、33、39、44、49、50、85、86、87、88、89、98、100、110、132、142、144、146等のイエロー系の染料;C.I. Direct Orange17、26、39、102等のオレンジ系の染料;C.I.Direct Red2、4、6、9、17、23、26、28、31、39、54、55、57、62、63、64、65、68、72、75、76、79、80、81、83、83:1、84、89、92、95、99、111、141、173、180、184、207、211、212、214、218、221、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247等のレッド系の染料;C.I.Direct Violet 7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101等のバイオレット系の染料;C.I.Direct Blue 1、15、22、25、41、76、77、80、86、87、90、98、106、108、120、158、163、168、199、200、201、202、226等のブルー系の染料;C.I.Direct Brown 106、125、195等のブラウン系の染料;C.I.Direct Black 17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195等のブラック系の染料;等が挙げられる。
これら調色用の染料のうち、C.I. Direct Yellow 86、132、142;C.I. Direct Orange 17、39;C.I. Direct Red 80、84、227;C.I. Direct Brown 106、125、195;C.I. Direct Orange 95;C.I. Direct Red 249、254;から選択される1又は2以上の染料を含有する場合、本発明の水性黒色インク組成物は更に色再現性の幅を広げられ、好適である。
他の染料(iii)を含有する場合、(I)色素成分の総質量中、上記(i)を20〜70質量%、上記(ii)を20〜70質量%、(iii)を5〜50質量%含有する場合が好ましく、更には、上記(i)を30〜60質量%、上記(ii)を30〜60質量%、(iii)を5〜20質量%含有する場合が特に好ましい。
本発明の水性黒色インク組成物は水を媒体として調製され、本発明の効果を害しない範囲内において必要に応じ、水溶性有機溶剤(水と混和可能な有機溶剤)やインク調製剤を適宜含有してもよい。なお、インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる点で、pH6〜10が好ましく、pH7〜10がより好ましい。また、着色組成物の表面張力としては、25〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。更に、着色組成物の粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。
上記水性黒色インク組成物の調製において用いられる水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマー、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル;γーブチロラクトン;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。これら水溶性有機溶剤の中で、好ましくは2−ピロリドン、イソプロピルアルコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチルカルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールであり、更に好ましくは、2−ピロリドン、イソプロピルアルコール、グリセリン、ブチルカルビトールである。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明の水性黒色インク組成物の総量に対し、水溶性溶剤の好ましい含有率は0〜50質量%であり、更に好ましくは25〜50質量%である。
上記水性黒色インク組成物の調製において用いられるインク調製剤としては、例えば、防黴剤、防腐剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、酸化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。
防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、及びその塩等が挙げられる。これらは水性黒色インク組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤として、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;酢酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、スルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等が挙げられる。特に尿素を含有する場合は、本発明の好ましい態様の一つである。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール等のアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノールRTM104、105、82、420、440、465、オルフィンRTMSTG等);等が挙げられる。このうち、サーフィノールRTM420、440、465は好ましく用いられ、サーフィノールRTM440は特に好ましく用いられる。なお、本明細書中において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。
本発明の水性黒色インク組成物の製造において、添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。水性黒色インク組成物の調製に用いる水は、イオン交換水、蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。また、必要に応じインク組成物の調製後に、メンブランフィルター等を用いて精密濾過を行って、インク組成物中の夾雑物を除いてもよい。特に、本発明の水性黒色インク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合には、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過に使用するフィルターの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは0.8〜0.1μmである。
本発明の水性黒色インク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記具用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、該インク組成物を含有してなるインクジェット用インクとして用いることが、特に好ましく、後述する本発明のインクジェット記録方法において好適に使用される。
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、本発明の水性黒色インク組成物をインクジェット用インクとして記録を行うことを特徴とする。本発明のインクジェット記録方法においては、本発明の水性黒色インク組成物を用いて被記録材に記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を用いることができる。なお、インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の着色体は、本発明の水性黒色インク組成物で着色されたものであり、より好ましくは本発明の水性黒色インク組成物を用いてインクジェットプリンタによって着色されたものである。着色され得るものとしては、例えば、紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸又は塗工することにより、あるいは多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の染料を吸収し得る多孔性白色無機物をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。代表的な市販品としては、ピクトリコ(旭硝子(株)製)、プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー、光沢ゴールド、プラチナグレード(いずれもキヤノン(株)製)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙、写真用紙クリスピア(高光沢)(いずれもセイコーエプソン(株)製)、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙、アドバンストフォトペーパー(いずれも日本ヒューレット・パッカード(株)製)、フォトライクQP(コニカ(株)製)、画彩写真仕上げPro(富士フィルム(株)製)等がある。なお、普通紙、上質紙、コート紙も当然に使用できる。
これらのうち、特に多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録した画像がオゾンガスによって変退色が大きくなることが知られているが、本発明の水性黒色インク組成物は耐オゾンガス性も優れているため、このような被記録材への記録の際にも効果を発揮する。
本発明のインクジェット記録方法で被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法では、本発明の水性黒色インク組成物、公知公用のマゼンタインク組成物、シアンインク組成物、イエローインク組成物、必要に応じて、グリーンインク組成物、ブルー(又はバイオレット)インク組成物、及びレッド(又はオレンジ)インク組成物と併用される。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その容器を、本発明の水性黒色インク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定位置に装填されて使用される。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタや加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンタ等が挙げられる。
本発明の水性黒色インク組成物は、普通紙及びインク受容層を有する情報伝達用シートといった被記録材上で非常に鮮明で、彩度及び印字濃度が高く、理想的な色相の黒色の記録画像を与える。このため、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。また、本発明の水性黒色インク組成物は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極めて良好である。
本発明の水性黒色インク組成物は、インクジェット記録用、筆記具用として用いられ、特にインクジェットインクとして使用しても、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもない。また、本発明の水性黒色インク組成物は、連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合においても、又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
更に、本発明の水性黒色インク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐水性、耐湿性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性、特に耐水性、耐オゾンガス性が良好であり、この理由から、写真調の画像の長期保存安定性にも優れている。また、従来のインクと比較して、普通紙上での彩度、明度、及び印字濃度等の発色性、演色性、特に近赤外光領域のセンサー対応特性及び発色性の高さにも優れている。
このように、本発明の水性黒色インク組成物は、各種の記録インク用途、特にインクジェット記録用のインク用途に極めて有用である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準であり、また、反応温度は内温である。また、実施例中で得た化合物の各構造式において、カルボキシ基、スルホ基等の酸性官能基は、遊離酸の形で記載した。また、実施例1〜3は、式(1)で表される化合物の合成例である。
[(A)黒色染料の合成]
[実施例1]
(工程1)
2−アミノ−5−ナフトール−1,7−ジスルホン酸20.1部とp−トルエンスルホニルクロリド12.6部とをpH8.0〜8.5、70℃で1時間反応させた後、酸性にて塩析し、濾過分取することにより、下記式(16)で表される化合物を得た。この式(16)で表される化合物28.4部を水300部中に、炭酸ナトリウムでpH6.0〜8.0に調製しながら溶解し、35%塩酸18.7部の添加後、0〜5℃とし、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.7部を添加し、ジアゾ化した。
Figure 0005979728
このジアゾ懸濁液に、4−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン−1,7−ジスルホン酸19.1部を水200部に懸濁した液を添加した後、10〜20℃で溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて2.4〜2.8に保持しながら12時間撹拌した。次いで、pH値を炭酸ナトリウムにて7.0〜8.5として溶解し、下記式(17)で表されるモノアゾ化合物を含む溶液を得た。
Figure 0005979728
(工程2)
水150部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム14.4部を溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸18.8部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.6部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液を、上記反応にて得られた上記式(17)で表されるモノアゾ化合物を含む溶液に10〜20℃、溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、15〜30℃で2時間、pH8.0〜9.0で撹拌し、塩化ナトリウムの添加により塩析し、濾過分取することで、下記式(18)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 0005979728
上記で得られたウェットケーキを水400部に溶解し、70℃に加熱後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜11.0に保持しながら1時間撹拌した。室温まで冷却後、35%塩酸によりpH7.0〜8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過分取して下記式(19)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 0005979728
(工程3)
水170部に下記式(20)で表される化合物17.0部を水酸化リチウムの添加によりpH7.0〜8.0として溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸17.4部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液8.7部を添加しジアゾ化した。
Figure 0005979728
このジアゾ懸濁液を、水400部に下記式(19)で表される化合物を含むウェットケーキを溶解させた溶液に、10〜25℃、溶液のpH値を水酸化リチウムにて8.0〜9.0に保持しながら滴下した。滴下終了後、15〜30℃で2時間、pH8.0〜9.0で撹拌し、塩化リチウムの添加により塩析し、濾過分取した。得られたウェットケーキを水400部に溶解し、2−プロパノール1000部の添加により晶析、濾過分取した。更に、得られたウェットケーキを水300部に溶解後、2−プロパノール900部の添加により晶析し、濾過分取、乾燥して下記式(21)で表されるアゾ化合物(表2におけるNo.1の化合物)49.0部をリチウム塩として得た。この化合物のpH9の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は590nmであり、室温における水に対する溶解度は100g/L以上であった。
Figure 0005979728
[実施例2]
実施例1の(工程2)における4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム14.4部を2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム14.4部とする以外は実施例1と同様にして、下記式(22)で表されるアゾ化合物(表2におけるNo.3の化合物)47.0部をリチウム塩として得た。この化合物のpH9での水溶液中での最大吸収波長(λmax)は592nmであり、室温における水に対する溶解度は100g/L以上であった。
Figure 0005979728
[実施例3]
(工程1)
水100部に4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム11.5部を溶解し、ここに0〜5℃で35%塩酸14.1部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液8.6部を添加しジアゾ化した。このジアゾ懸濁液に水100部に、特許文献4の実施例2に記載の方法によって得られた下記式(23)で表される化合物12.3部を水酸化ナトリウムの添加によりpH5.0〜6.0として溶解した溶液を、10〜15℃に保持しながら滴下した。滴下終了後、炭酸ナトリウムの添加により1時間かけpH6.0〜7.0とした後、15〜20℃で2時間、pH6.0〜7.0で撹拌した。塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過分取することで、下記式(24)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 0005979728
Figure 0005979728
(工程2)
実施例1の(工程3)における上記式(20)で表される化合物17.0部の代わりに上記反応で得られた上記式(24)で表される化合物を含むウェットケーキを用いる以外は実施例1と同様にして、下記式(25)で表されるアゾ化合物(表4におけるNo.16の化合物)50.1部をリチウム塩として得た。この化合物のpH9の水溶液中での最大吸収波長(λmax)は615nmであり、室温における水に対する溶解度は100g/L以上であった。
Figure 0005979728
[(B)黒色インク組成物の調製]
[実施例4〜6]
下記表5に示した組成比で各成分を混合し、固形分が溶解するまでおおよそ1時間撹拌した後、0.45μmのメンブランフィルター(商品名、セルロースアセテート系濾紙、アドバンテック社製)で濾過することにより、試験用の水性黒色インク組成物を調製した。染料としては、下記実施例4〜6に記載の組み合わせで調製した。
Figure 0005979728
[実施例4]
C.I. Acid Black 2(X=2.5部)
実施例1で合成した化合物(X=2.5部)
合計X=5.0部
[実施例5]
C.I. Acid Black 2(X=2.5部)
実施例1で合成した化合物(X=2.0部)
C.I.Direct Orange 39(X=0.5部)
合計X=5.0部
[実施例6]
C.I. Acid Black 2(X=2.0部)
実施例1で合成した化合物(X=2.5部)
C.I.Direct Orange 39(X=0.5部)
合計X=5.0部
これら水性黒色インク組成物は、貯蔵中、沈殿分離が生ぜず、また長期間保存後においても物性の変化は生じなかった。
比較例1、2として、実施例4〜6と同様に比較例用の染料を表5に示した組成比で混合し、同様の方法で比較例用の水性黒色インク組成物を作成した。
[比較例1]
実施例1で合成した化合物(X=3.0)
C.I.Direct Red 80(X=1.0)
C.I.Direct Orange 39(X=1.0)
合計X=5.0部
[比較例2]
C.I.Direct Black 19(X=5.0部)
合計X=5.0部
[(C)インクジェットプリント]
上記実施例4〜6、比較例1、2で得られたそれぞれの水性黒色インク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名:Canon社 IP4100)により、上質普通紙(三菱製紙社 DL9084)にインクジェット記録を行った。
印刷の際は、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの黒色印字物を得た。印刷時はグレースケールモードを用いているため、黒色記録液以外のイエロー、シアン、マゼンタの各記録液は併用されていない。以下に記す試験方法のうち、測色機を用いて評価する項目である印字濃度評価では、印刷物の印刷濃度(反射濃度D値)を測色する際に、このD値が最も高い部分を用いた。また、分光光度計を用いて近赤外領域の反射率を評価する際も同様に、印刷物のD値が最も高い階調部分を用いて測定を行った。
[(D)記録画像の評価]
上記実施例4〜6、比較例1、2で得られたそれぞれの水性黒色インク組成物による記録画像につき、印字濃度(DB値)、反射率(%)の2点について評価を行った。その結果を表6に示した。試験方法は下記に示す。
1)印字濃度(DB値)評価
記録画像の印字濃度(DB値)はGRETAG・SPM50(GRETAG社製)を用いて測色し、反射濃度DB値を算出した。以下に判定基準を示す。
○:DB値>1.60
△:1.60≧DB値>1.30
×:DB値≦1.30
2)反射率評価
記録画像の反射率は、紫外可視近赤外分光光度計UV3150(島津製作所株式会社製)を用いて測定し、近赤外光領域の反射率%を算出した。なお、反射率1は700nmの反射率、反射率2は800nmの反射率、反射率3は900nmの反射率を測定したものである。以下に判定基準を示す。
○:反射率≦25%
△:25%<反射率≦50%
×:反射率>50%
Figure 0005979728
表6より、本発明の水性黒色インク組成物は印字濃度が高く、従来の水性黒色インク組成物(比較例)と比較して近赤外光領域の反射率が低く、近赤外光の吸収性が優れていることがわかる。
本発明の水性黒色インク組成物は、印字濃度、センサー対応特性に優れる。したがって、インクジェット記録用、筆記具用黒色インク液として好適に用いられる。

Claims (9)

  1. 色素成分として、(i)C.I. Acid Black 2、及び(ii)下記式(2)で表される黒色染料を含有する水性黒色インク組成物。
    Figure 0005979728
    (式(2)中、Rはスルホ基であり、Rの置換位置がアゾ基に対しオルト位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しパラ位であり、Rの置換位置がアゾ基に対しパラ位の場合、ニトロ基の置換位置がアゾ基に対しオルト位である。)
  2. 更に、色素成分として、(iii)C.I. Direct Yellow 86、132、及び142、C.I. Direct Orange 17及び39、C.I. Direct Red 80、84、及び227、C.I. Direct Brown 106及び195、C.I. Acid Orange 95、C.I. Acid Red 249及び254から選択される1又は2以上の染料を含有する請求項に記載の水性黒色インク組成物。
  3. 色素成分の総質量中、前記(i)を20〜70質量%、前記(ii)を20〜70質量%、前記(iii)を5〜50質量%含有する請求項に記載の水性黒色インク組成物。
  4. 更に、水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物。
  5. 更に、尿素を含有する請求項1乃至のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を用いるインクジェット記録方法。
  7. インクジェット記録方法における被記録材が情報伝達用シートである請求項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の水性黒色インク組成物で着色された着色体。
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