JP6433099B2 - インク組成物、これを用いるインクジェット記録方法、及び着色体 - Google Patents
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Description
従来、万年筆、フェルトペン等用のインク及びインクジェットプリント用インクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そしてこれらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。更に、形成される画像には耐水性、耐光性等の画像堅牢性、色再現性、演色性が求められており、また単に画像堅牢性が高いだけでなくそれぞれの色のバランスが重要となる。
また、インクの性能としては、長期の保存に対して安定であり、記録画像の濃度が高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢性に優れることが求められる。
ここで、耐湿性とは記録後の画像を形成する色素が、主に大気中に含まれる周囲環境中の過剰な水分により変色したり、画像外部に滲みだしたりする現象に対する耐性である。近年、様々な環境に展示されるインクジェット記録物においては、重要な課題とされているが市場の要求を十分に満たすインクは、未だ開発されていない。
また、耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つガス(酸化性ガスとも呼ばれる)が、被記録材上又は被記録材中で、記録画像の色素(染料)と反応し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。酸化性ガスの中でも特にオゾンガスは、インクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はこの分野における重要な技術的課題である。
文献1のもの等が提案されている。このインク組成物は、色相が黒色として非常に良好で
あり、印刷物の画像堅牢性についても大きく改良がなされたインク組成物であるが、特に
耐オゾン性についてさらなる改善が要望されており、未だ市場の要求を十分に満足する製
品を提供するに至っていない。
1)
(A)下記式(1)で表される色素、(B)水溶媒中での極大吸収波長(λmax)が340nm以上440nm未満、半値幅が150nm以上300nm未満であって、かつ分子量が150以上1800未満である色素を含有するインク組成物、
R1、R2、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;ホスホ基;ニトロ基;ウレイド基;(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基、若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;アシル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;スルホ基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたN−アルキルアミノスルホニル基;アルキルスルホニル基;スルホ基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたアルキルスルホニル基;アシルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又はハロゲン原子、(C1〜C4)アルキル基、及びニトロ基からなる群より選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を、
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基、若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群より選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;(C1〜C4)アルキルチオ基;スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;アシルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又はハロゲン原子、(C1〜C4)アルキル基、及びニトロ基よりなる群より選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を、
nは0または1をそれぞれ表す。]
2)
式(1)において、
R1乃至R7のうち、少なくとも3以上はスルホ基、又はカルボキシ基である、上記1)に記載のインク組成物、
3)
式(1)において、
R1、及びR2が、それぞれ独立に、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;又はヒドロキシ基;であり、
R3、及びR4が、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;カルボキシ基;スルホ基;スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;又はスルホ基、若しくはカルボキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルチオ基;であり、
R5乃至R7が、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;スルホ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基;又は(C1〜C4)アルコキシ基;であり、
nが1である、上記1)又は2)に記載のインク組成物、
4)
上記式(1)において、
R1がカルボキシ基、又はスルホ基であり、
R2が水素原子であり、
R3がスルホ基であり、
R4が水素原子であり、
R5が水素原子、カルボキシ基又はスルホ基であり、
R6がカルボキシ基又はスルホ基であり、
R7が水素原子であり、
nが1である、上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
5)
上記成分(B)が、下記式(2)で表される染料である、上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物、
R101、及びR102は、それぞれ独立に、水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシ基、若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキル基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換された(C1〜C4)アルコキシ基;(C1〜C4)アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ(C1〜C5)アルキルアミノ基;ビス(カルボキシ(C1〜C5)アルキル)アミノ基;(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、若しくは(C1〜C4)アルコキシ基で置換された(C1〜C4)アルキルカルボニルアミノ基;フェニルアミノ基;ベンゼン環がカルボキシ基、スルホ基、及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又はウレイド基;を表し、
Xはスルホ基、又はカルボキシ基を有する置換アミノ基を表す。]
6)
式(2)において、
Xがスルホ基、又はカルボキシ基で置換された脂肪族アミノ基である
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物、
7)
上記式(2)において、
R101、及びR102がメチル基であり、Xがスルホエチルアミノ基である上記5)又は6)に記載のインク組成物、
8)
更に(C)水溶性有機溶剤を含有する上記1)乃至7)いずれか一項に記載のインク組成物、
9)
上記成分(C)が、2−ピロリドン、グリセリン系溶剤及びグリコール系溶剤からなる群から選択される1又は2以上の水溶性有機溶剤である上記8)に記載のインク組成物、
10)
インク組成物における色素分の総量中、上記成分(A)の含有率が40質量%以上である上記1)乃至9)のいずれか一項に記載のインク組成物、
11)
インクジェット記録用である上記1)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物、
12)
上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法、
13)
被記録材が情報伝達用シートである上記12)に記載のインクジェット記録方法、
14)
情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである上記13)に記載のインクジェット記録方法、
15)
上記12)乃至14)のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体、
16)
上記1)乃至上記11)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
さらにマゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで高発色、耐湿性、耐光性、耐オゾンガス性、及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
本発明のインク組成物は、成分(A)として上記式(1)で表される色素を含有する。この化合物を含有することによって、従来のインク組成物と比較して、発色性、及び耐湿性の両者を、格段に向上することができる。なおこの化合物は国際公開2006/051850号に記載の方法によって得ることができる。
R3及びR4として好ましいものは、一方がスルホ基、カルボキシ基、又はスルホ(C1〜C4)アルコキシ基であり、他方が水素原子、スルホ基又は(C1〜C4)アルキル基の場合であり、より好ましくは、一方がスルホ基で他方が水素原子の場合である。
R5、R6及びR7として好ましいものは、いずれか1つが、スルホ基、カルボキシ基、(C1〜C4)アルコキシ基、又はハロゲン原子であり、スルホ基がより好ましい。
nは0又は1の何れでもよいが、1がより好ましい。
極大吸収波長(λmax)が340nm未満の場合、インク組成物の彩度の低下が少なく、また、440nm以上の場合も同様である。
このうち化合物番号25の色素が、特に好ましいものである。
例えば、式(1)の化合物の合成反応における、最終工程終了後の反応液、あるいは式(1)の化合物の塩を含む水溶液等に、例えばアセトンや(C1〜C4)アルコール等の水溶性有機溶剤を加える方法;塩化ナトリウムを加えて塩析する方法;等の方法によって析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のナトリウム塩等をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物の遊離酸を、あるいは式(1)の化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩の混合物を得ることもできる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキ又はその乾燥固体を水に溶解後、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩を添加し、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜、例えばpH1〜3に調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のアンモニウム塩を得ることができる。添加する塩化アンモニウムの量又は/及びpHを適宜調整することにより、式(1)の化合物のアンモニウム塩と式(1)の化合物のナトリウム塩との混合物;又は式(1)の化合物の遊離酸とアンモニウム塩との混合物;等を得ることもできる。
また、後記するように上記反応終了後の反応液に、鉱酸(例えば塩酸、硫酸等)を加えて直接遊離酸の固体を得ることもできる。この場合には、式(1)の化合物の遊離酸のウェットケーキを水に加えて撹拌し、例えば、水酸化カリウム;水酸化リチウム;アンモニア水;又は式(3)の有機4級アンモニウムの水酸化物;等を添加して造塩することにより、各々添加した化合物に応じたカリウム塩;リチウム塩;アンモニウム塩;又は4級アンモニウム塩;等を得ることもできる。遊離酸のモル数に対して、加える上記の水酸化物等のモル数を制限することにより、例えばリチウム塩とナトリウム塩との混塩等;さらにはリチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混塩等;も調製することが可能である。上記式(1)の化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
調色用色素としては、イエロー(例えばC.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー161等)、オレンジ(例えばC.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトオレンジ29、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ49等)、ブラウン、スカーレット(例えばC.I.ダイレクトレッド89等)、レッド(例えばC.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド84、C.I.ダイレクトレッド225、C.I.ダイレクトレッド226等)、マゼンタ(例えばC.I.ダイレクトレッド227等)、バイオレット、ブルー、ネイビー、シアン(例えばC.I.ダイレクトブルー199、C.I.アシッドブルー249等)、グリーン(例えばアシッドグリーン1)、ブラック(例えばC.I.アシッドブラック2)等種々の色相を有する他の色素が挙げられる。
上記水性インク組成物の調整において用いられる水溶性有機溶剤(成分(C))としては、特に限定されるものではなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の(C1〜C4)アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,2−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等を用いることができる。
この水溶性有機溶剤としては、2−ピロリドン、グリセリン系溶剤、グリコール系溶剤からなる群から選択される1又は2以上の水溶性有機溶剤である場合が好ましい。
グリセリン系溶剤とは、脂肪族炭化水素、又はエーテルの3つの炭素原子にヒドロキシ基が置換したものであって、上記例のうち、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)等がこれに該当する。
グリコール系溶剤とは、脂肪族炭化水素、又はエーテルの2つの炭素原子にヒドロキシ基が置換したものであって、上記例のうち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,2−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル等がこれに該当する。
これらのうち、より好ましくは2−ピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,2−へキシレングリコールである。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明の水性インク組成物はインクジェット記録用、筆記具用として用いられ、特にインクジェットインクとして使用しても、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもない。また、本発明の水性インク組成物は連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合においても、又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
さらに、本発明の水性インク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐湿性、耐水性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性、特に耐湿性が良好であり、この理由から、写真調の画像の長期保存安定性にも優れている。また、従来のインクと比較して、普通紙上での彩度、明度、及び印字濃度等の発色性、演色性、特に近赤外光領域のセンサー対応特性および発色性の高さにも優れている。
このように、本発明の水性インク組成物は、各種の記録インク用途、特にインクジェット記録用のインク用途に極めて有用である。
本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
下記の各式において、スルホ基は、遊離酸の形で表記した。
なお、以下の実施例で合成した本発明のアゾ化合物は、水に対していずれも100g/リットル以上の溶解性を示した。
(A)成分として下記式(4)の化合物、(B)成分として下記式(5)の化合物を用い、下記表7に示した組成比で各成分を混合し、固形分が溶解するまでおおよそ1時間攪拌した後、0.45μmのメンブランフィルター(商品名、セルロースアセテート系濾紙、アドバンテック社製)で濾過することにより試験用の黒色インク組成物を調製した。尚、下記式(4)の化合物は国際公開2006/051850号に記載の化合物(21)、下記式(5)の化合物は国際公開2006/001274号に記載の化合物(11)であり、それぞれ文献記載の方法を追試することにより得た。
比較対象の黒色インク組成物として、上記式(5)の色素を用いず、水酸化ナトリウム+イオン交換水を増量する以外は、実施例1と同様にして比較用のインクを調製した。このインクを用いて行った下記各種の試験を比較例1とする。
比較対象の黒色インク組成物として、成分(B)の代わりにC.I.Acid Yellow 23を用いる以外は実施例1と同様にして比較例用のインクを調整した。このインクを用いて行った下記各種の試験を比較例2とする。尚、C.I.AcidYellow23は市販のものを使用した。
比較対象の黒色インク組成物として、成分(A)の代わりに下記式(6)で表される化合物を用いる以外は実施例1と同様にして比較例用のインクを調整した。このインクを用いて行った下記各種の試験を比較例3とする。
上記実施例1、比較例1乃至3で得られたそれぞれのインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名 EPSON社 PX−105 )により、下記の印刷用紙にインクジェット記録を行った。
光沢紙1:EPSON社製 商品名 クリスピア
印刷の際は、色相評価用試験片として、反射濃度が100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%の10段階の階調が得られるように画像パターンを作り、濃黒色〜淡黒色のグラデーションの記録物を得て、これを試験片とし以下の評価試験を実施した。また、耐湿性評価用試験片として、反射濃度が100%及び0%の格子状の画像パターンを作り、黒色及び白色の格子状の記録物を得て、これを試験片とし以下の評価試験を実施した。いずれの印刷時もグレースケールモードを用いているため、黒色記録液以外のイエロー、シアン、マゼンタの各記録液は併用されていない。
本発明の水性インク組成物による記録画像につき、記録画像の濃度変化は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名 SpectroEye を用い測定した。測色する際は、いずれも光源にD65、濃度基準にDIN NB、視野角2°の条件で行なった。
実施例1、及び比較例1乃至3のインクを用いて得られた各記録画像は、印刷後24時間自然乾燥し、上記の測色機を用いて100%におけるDk値を測色し、以下の基準で評価を行った。得られる評価としては、数値が高いものが発色性良好であることを示し、優れている。
結果を下記表8に示す。
実施例1、及び比較例1乃至3のインクを用いて得られた各記録画像は、印刷後24時間自然乾燥し、ヤマト科学(株)社製 Humidic Chamber IG400を用いて30℃、90%RHの条件下で各試験片を168時間放置した。試験終了後、目視にて上記の試験片を確認し、以下の基準で評価を行った。得られる評価としては、滲みが少ないものが耐湿性良好であることを示し、優れている。
結果を下記表9に示す。
△:有色格子の周辺に若干の滲みが見える
×:明らかな滲みが見える
Claims (11)
- 前記式(2)において、
R101、及びR102がメチル基であり、Xがスルホエチルアミノ基である請求項1に記載のインク組成物。 - 更に(C)水溶性有機溶剤を含有する請求項1または2いずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記成分(C)が、2−ピロリドン、グリセリン系溶剤及びグリコール系溶剤からなる群から選択される1又は2以上の水溶性有機溶剤である請求項3に記載のインク組成物。
- インク組成物における色素分の総量中、前記成分(A)の含有率が40質量%以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
- 被記録材が情報伝達用シートである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項7乃至9のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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