JPWO2010084526A1 - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
非水電解質二次電池は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極4と、負極5と、正極4と負極5との間に介在された多孔質絶縁層6と、非水電解液とを有している。正極4の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。非水電解質二次電池は、通常作動状態での充電終止電圧が、4.3V以上である。
Description
本発明は、非水電解質二次電池及びその製造方法に関し、特に、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池及びその製造方法に関する。
近年、移動体通信機器、及び携帯電子機器の主電源として利用される非水電解質二次電池は、起電力が高く、高エネルギー密度である,という特徴を有する。非水電解質二次電池において用いられる正極活物質の材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、及びニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を用いた非水電解質二次電池(即ち、リチウムイオン二次電池)では、充電終止電圧(ここで、「充電終止電圧」とは、安全に充電を行うことが可能な充電電圧の最高値をいう)の高電圧化が検討されている。これにより、高容量の非水電解質二次電池を提供することが可能である。
ここで、非水電解質二次電池において、正極活物質として、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、充放電サイクル特性及び熱安定性の低下を伴うことなく、充電終止電圧の高電圧化(例えば4.3V以上)を試みる。
特許文献1には、LiCoO2からなる正極活物質を用い、且つ充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性が低下する(即ち、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する)要因は、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊によるものと推測されている。
そこで、特許文献1に記載の技術では、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質のうち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊を低減し、充放電サイクル特性の低下の防止を試みる。また、他方のリチウム遷移金属複合酸化物として、熱安定性の高いリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、熱安定性の低下の防止を図る。
特開2006−164934号公報
特開平5−182692号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じる、即ち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない。
前記に鑑み、本発明の目的は、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止することである。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池であって、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、負極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、多孔質絶縁層の引っ張り伸び率は、3.0%以上であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極は、正極活物質を含む正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、所定温度で熱処理が施された正極であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体は、鉄を含有しアルミニウムを主に含むことが好ましい。
このようにすると、圧延後に施す熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体中に含有される鉄量は、1.20重量%以上1.70重量%以下であることが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、正極を準備する工程(a)と、負極を準備する工程(b)と、工程(a)及び工程(b)の後に、正極及び負極を、該正極と該負極との間に多孔質絶縁層を介して捲回する、又は積層する工程(c)とを備え、工程(a)は、正極集電体上に、正極活物質及び結着剤を含む正極合剤スラリーを塗布乾燥させる工程(a1)と、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延する工程(a2)と、工程(a2)の後に、所定温度の下、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、熱処理を施す工程(a3)とを含み、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法によると、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高いことが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、正極集電体は、鉄を含有するアルミニウムからなることが好ましい。
このようにすると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池及びその製造方法によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
1 電池ケース
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
本件発明者らは、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池(以下、単に「電池」と称すこともある)において、充放電サイクル特性が低下する要因について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一化されずに不均一化するため、充放電反応が不均一化する。そのため、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する(即ち、充放電サイクル特性が低下する)。
充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる要因は、次のように推測される。充電終止電圧を高めるに伴い、充電による正極合剤層の膨張が大きくなるため、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生する。正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生した状態で、充放電サイクルが繰り返されると、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。
上記から判るように、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止するには、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となることを防止することが必要であり、正極に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じることが必要である(そのため、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない)。
そこで、本件発明者らは、正極に対して講じる充放電サイクル特性の低下防止対策について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。これは、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないことによるものと考えられる。
さらに、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充電終止電圧を高めても、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生することを防止することができるため、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないものと推測される。
そこで、本発明は、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下の防止を図るものである。
ところで、本件出願人が、圧壊によって非水電解質二次電池が潰された場合に電池内部で短絡が発生する要因について、検討したところ、次のことが判った。電極群を構成する正極、負極、及びセパレータのうち、引っ張り伸び率の最も小さい正極が優先的に破断するため、正極の破断部がセパレータを突き破って、正極と負極とが短絡するので、電池内部で短絡が発生する。
そこで、本件出願人が、正極の引っ張り伸び率を高める方法について、検討したところ、次のことを見出した。正極集電体上に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、正極集電体の軟化温度よりも高い温度で熱処理を施すことにより、正極の引っ張り伸び率を高めることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する技術を、特願2007−323217号(PCT/JP2008/002114)の出願明細書に開示している。特願2007−323217号に開示された技術では、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断することはないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
以下に、圧延後に熱処理を施さなかった正極、及び圧延後に熱処理を施した正極の各々が引っ張られて伸びるメカニズムについて、考察する。
圧延後に熱処理を施さなかった正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に大きなクラックが発生すると同時に、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極が伸びるに連れて、正極合剤層に発生する引っ張り応力が増加し、正極集電体に印加される引っ張り応力が増加する。正極合剤層に大きなクラックが発生すると、正極集電体に印加される引っ張り応力が、大きなクラックの発生した箇所に集中する。そのため、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。
一方、圧延後に熱処理を施した正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に多数の微小なクラックを発生しながら、正極は伸び続け、その後、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極集電体に印加される引っ張り応力が、多数の微小なクラックの発生した箇所に分散する。そのため、クラックの発生が正極集電体に及ぼす影響は小さく、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断されることはない。そのため、クラックの発生後も、正極は伸び続け、分散した引っ張り応力の大きさが、ある大きさXを超えた時点で正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。ここで、「ある大きさX」とは、多数の微小なクラックが発生した正極合剤層が両面に形成された正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさをいう。例えば、「ある大きさX」とは、正極集電体のみを引っ張って伸ばした場合に正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさに近い大きさをいう。
このように、圧延後に熱処理を施さなかった正極と、圧延後に熱処理を施した正極とは、引っ張られて伸びるメカニズムが異なるため、圧延後に熱処理を施した正極は、圧延後に熱処理を施さなかった正極に比べて、引っ張り伸び率が高くなる。
また、上記から判るように、正極は、正極集電体の両面に正極合剤層が形成された構成であるため、正極の引っ張り伸び率は、正極集電体の引っ張り伸び率のみによって規制されるものではない。
さらに、本件出願人は、正極の引っ張り伸び率を高めることを目的に行う熱処理は、圧延後に施すことが必要である,ことを見出した。圧延前に熱処理を施しても、熱処理の際に、正極の引っ張り伸び率を高めることは可能なものの、その後に行う圧延の際に、正極の引っ張り伸び率が低下するため、最終的には、正極の引っ張り伸び率を高めることはできない。なお、両電極を積層する又は捲き取る際の電極材料の集電体からの脱落、又は電極材料の集電体に対する接着性の低下を抑制することを目的に、例えば、正極及び負極とこれら両電極間に介装されるべき多孔質絶縁層とを積層する前又は捲き取る前に、結着剤の再結晶化温度よりも高い温度で結着剤の分解温度より低い温度で、正極及び負極のいずれか一方の電極を熱処理する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、本件出願人が、圧延後に施す熱処理について検討したところ、次のことが判った。熱処理温度が高い場合、及び/又は熱処理時間が長い場合、高温の熱処理により、及び/又は長時間の熱処理により、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることは可能なものの、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されるため、電池の容量の低下を招くという問題が新たに発生する。
そこで、本件出願人が、熱処理温度を低くする、及び/又は熱処理時間を短くする手段について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制しながら、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高める技術を、特願2007−323217号の出願明細書に開示している。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
−非水電解質二次電池の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ(多孔質絶縁層)6を介して捲回された電極群8が、非水電解液と共に、電池ケース1内に収容されている。電池ケース1の開口1aは、ガスケット3を介して、封口板2によって封口されている。正極4に取り付けられた正極リード4aは、正極端子を兼ねる封口板2に接続され、負極5に取り付けられた負極リード5aは、負極端子を兼ねる電池ケース1に接続されている。電極群8の上端には上部絶縁板7aが配置され、電極群8の下端には下部絶縁板7bが配置されている。
−電極群の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
図2に示すように、正極集電体4Aの両面に、正極合剤層4Bが形成され、負極集電体5Aの両面に、負極合剤層5Bが形成され、正極4と負極5との間に、セパレータ6が介在されている。
正極4は、圧延後に熱処理が施された正極である。また、正極4の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
非水電解質二次電池は、通常作動状態での充電終止電圧が、4.3V以上である。
正極集電体4Aは、鉄を含有しアルミニウムを主に含む。正極集電体4A中に含有される鉄量は、1.20重量%以上1.70重量%以下であることが好ましい。ここで、「鉄を含有しアルミニウムを主に含む」正極集電体とは、副成分として鉄を含み主成分としてアルミニウムを含み、鉄よりもアルミニウムを多く含む正極集電体である。
負極5の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、セパレータ6の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
ここで、「引っ張り伸び率」とは、引っ張る前の正極に対して、破断される直前の正極が伸びた割合をいう。引っ張り伸び率の測定方法は、具体的には例えば、次に示す通りである。正極を用いて作製された幅15mm,長さ20mmの測定用正極において、測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張り、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)と、破断される直前の測定用正極の長さとから、引っ張り伸び率を求める。
なお、正極4を構成する正極合剤層4Bは、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。正極活物質、結着剤、及び導電剤の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、負極5を構成する負極集電体5Aの材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、又はニッケル等が挙げられる。負極5を構成する負極合剤層5Bは、負極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。負極活物質の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、セパレータ6の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、非水電解液に含まれる非水溶媒、及び電解質等の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
−正極の作製−
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
ここで、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高い温度である。また、所定温度は、結着剤の分解温度よりも低い温度であることが好ましい。
−負極の作製−
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
−電池の作製−
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
本実施形態によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
ここで、負極5及びセパレータ6の引っ張り伸び率も、正極4と同様に3.0%以上であることが好ましい。その理由は、次に示す通りである。第1に例えば、正極及びセパレータの引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、負極の引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、負極が優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。第2に例えば、正極及び負極の引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、セパレータの引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、セパレータが優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。
さらに、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することを目的に、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、正極集電体として、鉄を含有せず純度の高いアルミニウムからなる正極集電体を用いてもよい。
また、本実施形態では、電極群として、図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ6を介して捲回された電極群8を用いた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電極群として、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極群を用いてもよい。
なお、本発明が奏する効果として、既述の通り、本発明の目的を達成する効果の他に、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する効果を、特に挙げたが、その他の効果として、異物が混入した電池内部で短絡が発生することを防止する効果、又は正極及び負極をセパレータを介して捲回する(又は積層する)際に、正極が切れることを防止する効果等を挙げることができる。
また、本発明における充電終止電圧の範囲として、下限値を4.3V以上と規定する一方、上限値を規定しないが、上限値としては、例えば、4.5V以下が挙げられる。その理由は、次に示す通りである。充電終止電圧を4.3V以上4.5V以下の範囲内に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることができる。一方、充電終止電圧を4.5V超に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることは困難である。
以下に、正極の引っ張り伸び率と、圧壊によって潰された電池内部で発生する短絡との関係について、表1に示す。表1は、電池1〜5の各々における、正極の引っ張り伸び率、及び圧壊試験の結果(即ち、短絡深さ)を示す。
電池1〜4は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、正極として、同一温度(詳細には280℃)の下、相異なる熱処理時間(電池1:10秒,電池2:20秒,電池3:120秒,電池4:180秒)の間、圧延後に熱処理が施された正極を用いた電池である。一方、電池5は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、圧延後に熱処理が施されなかった正極を用いた電池である。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった電池5の場合、正極の引っ張り伸び率は1.5%であるのに対し、圧延後に熱処理が施された電池1〜4の場合、正極の引っ張り伸び率は3.0%以上(電池1:3.0%,電池2:5.0%,電池3:6.0%,電池4:6.5%)に高めることができる。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった電池5の場合、短絡深さは5mmであるのに対し、圧延後に熱処理が施された電池1〜4の場合、短絡深さは8mm以上(電池1:8mm,電池2:9mm,電池3:10mm,電池4:10mm)に深めることができる。
表1から判るように、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができ、これにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
なお、電池1〜5の作製方法は、以下に示す通りである。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
次に、導電剤として正極活物質100.0vol%に対して4.5vol%のアセチレンブラックと、N−メチルピロリドン(NMP)の溶剤に結着剤として正極活物質100.0vol%に対して4.7vol%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させた溶液と、正極活物質としてLiNi0.82Co0.15Al0.03O2とを混合し、正極合剤スラリーを得た。この正極合剤スラリーを、正極集電体として厚さ15μmの日本製箔株式会社製アルミニウム箔(A8021H−H18−15RK)の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、厚さ0.157mmの正極用板を得た。この正極用板に対し、280℃の下、10秒間、−30℃の低湿度処理を施した熱風により熱処理を施した。次に、この正極用板を幅57mm、長さ564mmに裁断して、厚さ0.157mm、幅57mm、長さ564mmの正極を作製した。
(負極の作製)
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
次に、負極活物質として100重量部の鱗片状人造黒鉛に、結着剤としてスチレンブタジエンゴムを3重量部とカルボキシメチルセルロースを1重量%含む水溶液100重量部とを加えて混合し、負極合剤スラリーを得た。この負極合剤スラリーを、負極集電体として厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、厚さ0.156mmの負極用板を得た。この負極用板に対し、窒素雰囲気中、190℃の下、8時間、熱風により熱処理を施した。次に、この負極用板を、幅58.5mm、長さ750mmに裁断して、厚さ0.156mm、幅58.5mm、長さ750mmの負極を作製した。負極の引っ張り伸び率は5%(即ち、3.0%以上)である。
(非水電解液の調製)
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5重量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5重量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
(円筒型電池の作製)
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
このように、280℃(即ち、正極集電体の軟化温度よりも高い温度)の下、10秒間、熱処理が施された正極を有する電池を作製し、作製した電池を電池1と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
また、正極の引っ張り伸び率の測定方法は、以下に示す通りである。
<正極の引っ張り伸び率の測定>
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
また、圧壊試験における短絡深さの測定方法は、以下に示す通りである。
<圧壊試験>
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
本発明は、充放電サイクル特性の低下を防止することができるため、充電終止電圧が4.3V以上に高められた非水電解質二次電池及びその製造方法に有用である。
本発明は、非水電解質二次電池及びその製造方法に関し、特に、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池及びその製造方法に関する。
近年、移動体通信機器、及び携帯電子機器の主電源として利用される非水電解質二次電池は、起電力が高く、高エネルギー密度である,という特徴を有する。非水電解質二次電池において用いられる正極活物質の材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、及びニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を用いた非水電解質二次電池(即ち、リチウムイオン二次電池)では、充電終止電圧(ここで、「充電終止電圧」とは、安全に充電を行うことが可能な充電電圧の最高値をいう)の高電圧化が検討されている。これにより、高容量の非水電解質二次電池を提供することが可能である。
ここで、非水電解質二次電池において、正極活物質として、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、充放電サイクル特性及び熱安定性の低下を伴うことなく、充電終止電圧の高電圧化(例えば4.3V以上)を試みる。
特許文献1には、LiCoO2からなる正極活物質を用い、且つ充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性が低下する(即ち、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する)要因は、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊によるものと推測されている。
そこで、特許文献1に記載の技術では、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質のうち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊を低減し、充放電サイクル特性の低下の防止を試みる。また、他方のリチウム遷移金属複合酸化物として、熱安定性の高いリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、熱安定性の低下の防止を図る。
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じる、即ち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない。
前記に鑑み、本発明の目的は、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止することである。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池であって、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、負極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、多孔質絶縁層の引っ張り伸び率は、3.0%以上であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極は、正極活物質を含む正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、所定温度で熱処理が施された正極であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体は、鉄を含有しアルミニウムを主に含むことが好ましい。
このようにすると、圧延後に施す熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体中に含有される鉄量は、1.20重量%以上1.70重量%以下であることが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、正極を準備する工程(a)と、負極を準備する工程(b)と、工程(a)及び工程(b)の後に、正極及び負極を、該正極と該負極との間に多孔質絶縁層を介して捲回する、又は積層する工程(c)とを備え、工程(a)は、正極集電体上に、正極活物質及び結着剤を含む正極合剤スラリーを塗布乾燥させる工程(a1)と、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延する工程(a2)と、工程(a2)の後に、所定温度の下、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、熱処理を施す工程(a3)とを含み、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法によると、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高いことが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、正極集電体は、鉄を含有するアルミニウムからなることが好ましい。
このようにすると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池及びその製造方法によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
本件発明者らは、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池(以下、単に「電池」と称すこともある)において、充放電サイクル特性が低下する要因について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一化されずに不均一化するため、充放電反応が不均一化する。そのため、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する(即ち、充放電サイクル特性が低下する)。
充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる要因は、次のように推測される。充電終止電圧を高めるに伴い、充電による正極合剤層の膨張が大きくなるため、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生する。正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生した状態で、充放電サイクルが繰り返されると、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。
上記から判るように、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止するには、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となることを防止することが必要であり、正極に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じることが必要である(そのため、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない)。
そこで、本件発明者らは、正極に対して講じる充放電サイクル特性の低下防止対策について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。これは、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないことによるものと考えられる。
さらに、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充電終止電圧を高めても、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生することを防止することができるため、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないものと推測される。
そこで、本発明は、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下の防止を図るものである。
ところで、本件出願人が、圧壊によって非水電解質二次電池が潰された場合に電池内部で短絡が発生する要因について、検討したところ、次のことが判った。電極群を構成する正極、負極、及びセパレータのうち、引っ張り伸び率の最も小さい正極が優先的に破断するため、正極の破断部がセパレータを突き破って、正極と負極とが短絡するので、電池内部で短絡が発生する。
そこで、本件出願人が、正極の引っ張り伸び率を高める方法について、検討したところ、次のことを見出した。正極集電体上に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、正極集電体の軟化温度よりも高い温度で熱処理を施すことにより、正極の引っ張り伸び率を高めることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する技術を、特願2007−323217号(PCT/JP2008/002114)の出願明細書に開示している。特願2007−323217号に開示された技術では、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断することはないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
以下に、圧延後に熱処理を施さなかった正極、及び圧延後に熱処理を施した正極の各々が引っ張られて伸びるメカニズムについて、考察する。
圧延後に熱処理を施さなかった正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に大きなクラックが発生すると同時に、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極が伸びるに連れて、正極合剤層に発生する引っ張り応力が増加し、正極集電体に印加される引っ張り応力が増加する。正極合剤層に大きなクラックが発生すると、正極集電体に印加される引っ張り応力が、大きなクラックの発生した箇所に集中する。そのため、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。
一方、圧延後に熱処理を施した正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に多数の微小なクラックを発生しながら、正極は伸び続け、その後、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極集電体に印加される引っ張り応力が、多数の微小なクラックの発生した箇所に分散する。そのため、クラックの発生が正極集電体に及ぼす影響は小さく、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断されることはない。そのため、クラックの発生後も、正極は伸び続け、分散した引っ張り応力の大きさが、ある大きさXを超えた時点で正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。ここで、「ある大きさX」とは、多数の微小なクラックが発生した正極合剤層が両面に形成された正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさをいう。例えば、「ある大きさX」とは、正極集電体のみを引っ張って伸ばした場合に正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさに近い大きさをいう。
このように、圧延後に熱処理を施さなかった正極と、圧延後に熱処理を施した正極とは、引っ張られて伸びるメカニズムが異なるため、圧延後に熱処理を施した正極は、圧延後に熱処理を施さなかった正極に比べて、引っ張り伸び率が高くなる。
また、上記から判るように、正極は、正極集電体の両面に正極合剤層が形成された構成であるため、正極の引っ張り伸び率は、正極集電体の引っ張り伸び率のみによって規制されるものではない。
さらに、本件出願人は、正極の引っ張り伸び率を高めることを目的に行う熱処理は、圧延後に施すことが必要である,ことを見出した。圧延前に熱処理を施しても、熱処理の際に、正極の引っ張り伸び率を高めることは可能なものの、その後に行う圧延の際に、正極の引っ張り伸び率が低下するため、最終的には、正極の引っ張り伸び率を高めることはできない。なお、両電極を積層する又は捲き取る際の電極材料の集電体からの脱落、又は電極材料の集電体に対する接着性の低下を抑制することを目的に、例えば、正極及び負極とこれら両電極間に介装されるべき多孔質絶縁層とを積層する前又は捲き取る前に、結着剤の再結晶化温度よりも高い温度で結着剤の分解温度より低い温度で、正極及び負極のいずれか一方の電極を熱処理する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、本件出願人が、圧延後に施す熱処理について検討したところ、次のことが判った。熱処理温度が高い場合、及び/又は熱処理時間が長い場合、高温の熱処理により、及び/又は長時間の熱処理により、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることは可能なものの、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されるため、電池の容量の低下を招くという問題が新たに発生する。
そこで、本件出願人が、熱処理温度を低くする、及び/又は熱処理時間を短くする手段について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制しながら、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高める技術を、特願2007−323217号の出願明細書に開示している。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
−非水電解質二次電池の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ(多孔質絶縁層)6を介して捲回された電極群8が、非水電解液と共に、電池ケース1内に収容されている。電池ケース1の開口1aは、ガスケット3を介して、封口板2によって封口されている。正極4に取り付けられた正極リード4aは、正極端子を兼ねる封口板2に接続され、負極5に取り付けられた負極リード5aは、負極端子を兼ねる電池ケース1に接続されている。電極群8の上端には上部絶縁板7aが配置され、電極群8の下端には下部絶縁板7bが配置されている。
−電極群の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
図2に示すように、正極集電体4Aの両面に、正極合剤層4Bが形成され、負極集電体5Aの両面に、負極合剤層5Bが形成され、正極4と負極5との間に、セパレータ6が介在されている。
正極4は、圧延後に熱処理が施された正極である。また、正極4の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
非水電解質二次電池は、通常作動状態での充電終止電圧が、4.3V以上である。
正極集電体4Aは、鉄を含有しアルミニウムを主に含む。正極集電体4A中に含有される鉄量は、1.20重量%以上1.70重量%以下であることが好ましい。ここで、「鉄を含有しアルミニウムを主に含む」正極集電体とは、副成分として鉄を含み主成分としてアルミニウムを含み、鉄よりもアルミニウムを多く含む正極集電体である。
負極5の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、セパレータ6の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
ここで、「引っ張り伸び率」とは、引っ張る前の正極に対して、破断される直前の正極が伸びた割合をいう。引っ張り伸び率の測定方法は、具体的には例えば、次に示す通りである。正極を用いて作製された幅15mm,長さ20mmの測定用正極において、測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張り、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)と、破断される直前の測定用正極の長さとから、引っ張り伸び率を求める。
なお、正極4を構成する正極合剤層4Bは、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。正極活物質、結着剤、及び導電剤の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、負極5を構成する負極集電体5Aの材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、又はニッケル等が挙げられる。負極5を構成する負極合剤層5Bは、負極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。負極活物質の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、セパレータ6の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、非水電解液に含まれる非水溶媒、及び電解質等の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
−正極の作製−
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
ここで、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高い温度である。また、所定温度は、結着剤の分解温度よりも低い温度であることが好ましい。
−負極の作製−
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
−電池の作製−
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
本実施形態によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
ここで、負極5及びセパレータ6の引っ張り伸び率も、正極4と同様に3.0%以上であることが好ましい。その理由は、次に示す通りである。第1に例えば、正極及びセパレータの引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、負極の引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、負極が優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。第2に例えば、正極及び負極の引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、セパレータの引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、セパレータが優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。
さらに、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することを目的に、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、正極集電体として、鉄を含有せず純度の高いアルミニウムからなる正極集電体を用いてもよい。
また、本実施形態では、電極群として、図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ6を介して捲回された電極群8を用いた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電極群として、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極群を用いてもよい。
なお、本発明が奏する効果として、既述の通り、本発明の目的を達成する効果の他に、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する効果を、特に挙げたが、その他の効果として、異物が混入した電池内部で短絡が発生することを防止する効果、又は正極及び負極をセパレータを介して捲回する(又は積層する)際に、正極が切れることを防止する効果等を挙げることができる。
また、本発明における充電終止電圧の範囲として、下限値を4.3V以上と規定する一方、上限値を規定しないが、上限値としては、例えば、4.5V以下が挙げられる。その理由は、次に示す通りである。充電終止電圧を4.3V以上4.5V以下の範囲内に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることができる。一方、充電終止電圧を4.5V超に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることは困難である。
以下に、正極の引っ張り伸び率と、圧壊によって潰された電池内部で発生する短絡との関係について、表1に示す。表1は、電池1〜5の各々における、正極の引っ張り伸び率、及び圧壊試験の結果(即ち、短絡深さ)を示す。
電池1〜4は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、正極として、同一温度(詳細には280℃)の下、相異なる熱処理時間(電池1:10秒,電池2:20秒,電池3:120秒,電池4:180秒)の間、圧延後に熱処理が施された正極を用いた電池である。一方、電池5は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、圧延後に熱処理が施されなかった正極を用いた電池である。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった電池5の場合、正極の引っ張り伸び率は1.5%であるのに対し、圧延後に熱処理が施された電池1〜4の場合、正極の引っ張り伸び率は3.0%以上(電池1:3.0%,電池2:5.0%,電池3:6.0%,電池4:6.5%)に高めることができる。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった電池5の場合、短絡深さは5mmであるのに対し、圧延後に熱処理が施された電池1〜4の場合、短絡深さは8mm以上(電池1:8mm,電池2:9mm,電池3:10mm,電池4:10mm)に深めることができる。
表1から判るように、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができ、これにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
なお、電池1〜5の作製方法は、以下に示す通りである。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
次に、導電剤として正極活物質100.0vol%に対して4.5vol%のアセチレンブラックと、N−メチルピロリドン(NMP)の溶剤に結着剤として正極活物質100.0vol%に対して4.7vol%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させた溶液と、正極活物質としてLiNi0.82Co0.15Al0.03O2とを混合し、正極合剤スラリーを得た。この正極合剤スラリーを、正極集電体として厚さ15μmの日本製箔株式会社製アルミニウム箔(A8021H−H18−15RK)の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、厚さ0.157mmの正極用板を得た。この正極用板に対し、280℃の下、10秒間、−30℃の低湿度処理を施した熱風により熱処理を施した。次に、この正極用板を幅57mm、長さ564mmに裁断して、厚さ0.157mm、幅57mm、長さ564mmの正極を作製した。
(負極の作製)
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
次に、負極活物質として100重量部の鱗片状人造黒鉛に、結着剤としてスチレンブタジエンゴムを3重量部とカルボキシメチルセルロースを1重量%含む水溶液100重量部とを加えて混合し、負極合剤スラリーを得た。この負極合剤スラリーを、負極集電体として厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、厚さ0.156mmの負極用板を得た。この負極用板に対し、窒素雰囲気中、190℃の下、8時間、熱風により熱処理を施した。次に、この負極用板を、幅58.5mm、長さ750mmに裁断して、厚さ0.156mm、幅58.5mm、長さ750mmの負極を作製した。負極の引っ張り伸び率は5%(即ち、3.0%以上)である。
(非水電解液の調製)
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5重量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5重量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
(円筒型電池の作製)
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
このように、280℃(即ち、正極集電体の軟化温度よりも高い温度)の下、10秒間、熱処理が施された正極を有する電池を作製し、作製した電池を電池1と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
また、正極の引っ張り伸び率の測定方法は、以下に示す通りである。
<正極の引っ張り伸び率の測定>
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
また、圧壊試験における短絡深さの測定方法は、以下に示す通りである。
<圧壊試験>
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
本発明は、充放電サイクル特性の低下を防止することができるため、充電終止電圧が4.3V以上に高められた非水電解質二次電池及びその製造方法に有用である。
1 電池ケース
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
本発明は、非水電解質二次電池及びその製造方法に関し、特に、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池及びその製造方法に関する。
近年、移動体通信機器、及び携帯電子機器の主電源として利用される非水電解質二次電池は、起電力が高く、高エネルギー密度である,という特徴を有する。非水電解質二次電池において用いられる正極活物質の材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、及びニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を用いた非水電解質二次電池(即ち、リチウムイオン二次電池)では、充電終止電圧(ここで、「充電終止電圧」とは、安全に充電を行うことが可能な充電電圧の最高値をいう)の高電圧化が検討されている。これにより、高容量の非水電解質二次電池を提供することが可能である。
ここで、非水電解質二次電池において、正極活物質として、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、充放電サイクル特性及び熱安定性の低下を伴うことなく、充電終止電圧の高電圧化(例えば4.3V以上)を試みる。
特許文献1には、LiCoO2からなる正極活物質を用い、且つ充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性が低下する(即ち、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する)要因は、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊によるものと推測されている。
そこで、特許文献1に記載の技術では、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質のうち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊を低減し、充放電サイクル特性の低下の防止を試みる。また、他方のリチウム遷移金属複合酸化物として、熱安定性の高いリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、熱安定性の低下の防止を図る。
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じる、即ち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない。
前記に鑑み、本発明の目的は、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止することである。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池であって、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、負極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、多孔質絶縁層の引っ張り伸び率は、3.0%以上であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極は、正極活物質を含む正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、所定温度で熱処理が施された正極であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体は、鉄を含有しアルミニウムを主に含むことが好ましい。
このようにすると、圧延後に施す熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体中に含有される鉄量は、1.20重量%以上1.70重量%以下であることが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、正極を準備する工程(a)と、負極を準備する工程(b)と、工程(a)及び工程(b)の後に、正極及び負極を、該正極と該負極との間に多孔質絶縁層を介して捲回する、又は積層する工程(c)とを備え、工程(a)は、正極集電体上に、正極活物質及び結着剤を含む正極合剤スラリーを塗布乾燥させる工程(a1)と、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延する工程(a2)と、工程(a2)の後に、所定温度の下、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、熱処理を施す工程(a3)とを含み、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法によると、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高いことが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、正極集電体は、鉄を含有するアルミニウムからなることが好ましい。
このようにすると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池及びその製造方法によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
本件発明者らは、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池(以下、単に「電池」と称すこともある)において、充放電サイクル特性が低下する要因について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一化されずに不均一化するため、充放電反応が不均一化する。そのため、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する(即ち、充放電サイクル特性が低下する)。
充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる要因は、次のように推測される。充電終止電圧を高めるに伴い、充電による正極合剤層の膨張が大きくなるため、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生する。正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生した状態で、充放電サイクルが繰り返されると、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。
上記から判るように、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止するには、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となることを防止することが必要であり、正極に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じることが必要である(そのため、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない)。
そこで、本件発明者らは、正極に対して講じる充放電サイクル特性の低下防止対策について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。これは、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないことによるものと考えられる。
さらに、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充電終止電圧を高めても、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生することを防止することができるため、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないものと推測される。
そこで、本発明は、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下の防止を図るものである。
ところで、本件出願人が、圧壊によって非水電解質二次電池が潰された場合に電池内部で短絡が発生する要因について、検討したところ、次のことが判った。電極群を構成する正極、負極、及びセパレータのうち、引っ張り伸び率の最も小さい正極が優先的に破断するため、正極の破断部がセパレータを突き破って、正極と負極とが短絡するので、電池内部で短絡が発生する。
そこで、本件出願人が、正極の引っ張り伸び率を高める方法について、検討したところ、次のことを見出した。正極集電体上に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、正極集電体の軟化温度よりも高い温度で熱処理を施すことにより、正極の引っ張り伸び率を高めることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する技術を、特願2007−323217号(PCT/JP2008/002114)の出願明細書に開示している。特願2007−323217号に開示された技術では、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断することはないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
以下に、圧延後に熱処理を施さなかった正極、及び圧延後に熱処理を施した正極の各々が引っ張られて伸びるメカニズムについて、考察する。
圧延後に熱処理を施さなかった正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に大きなクラックが発生すると同時に、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極が伸びるに連れて、正極合剤層に発生する引っ張り応力が増加し、正極集電体に印加される引っ張り応力が増加する。正極合剤層に大きなクラックが発生すると、正極集電体に印加される引っ張り応力が、大きなクラックの発生した箇所に集中する。そのため、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。
一方、圧延後に熱処理を施した正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に多数の微小なクラックを発生しながら、正極は伸び続け、その後、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極集電体に印加される引っ張り応力が、多数の微小なクラックの発生した箇所に分散する。そのため、クラックの発生が正極集電体に及ぼす影響は小さく、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断されることはない。そのため、クラックの発生後も、正極は伸び続け、分散した引っ張り応力の大きさが、ある大きさXを超えた時点で正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。ここで、「ある大きさX」とは、多数の微小なクラックが発生した正極合剤層が両面に形成された正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさをいう。例えば、「ある大きさX」とは、正極集電体のみを引っ張って伸ばした場合に正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさに近い大きさをいう。
このように、圧延後に熱処理を施さなかった正極と、圧延後に熱処理を施した正極とは、引っ張られて伸びるメカニズムが異なるため、圧延後に熱処理を施した正極は、圧延後に熱処理を施さなかった正極に比べて、引っ張り伸び率が高くなる。
また、上記から判るように、正極は、正極集電体の両面に正極合剤層が形成された構成であるため、正極の引っ張り伸び率は、正極集電体の引っ張り伸び率のみによって規制されるものではない。
さらに、本件出願人は、正極の引っ張り伸び率を高めることを目的に行う熱処理は、圧延後に施すことが必要である,ことを見出した。圧延前に熱処理を施しても、熱処理の際に、正極の引っ張り伸び率を高めることは可能なものの、その後に行う圧延の際に、正極の引っ張り伸び率が低下するため、最終的には、正極の引っ張り伸び率を高めることはできない。なお、両電極を積層する又は捲き取る際の電極材料の集電体からの脱落、又は電極材料の集電体に対する接着性の低下を抑制することを目的に、例えば、正極及び負極とこれら両電極間に介装されるべき多孔質絶縁層とを積層する前又は捲き取る前に、結着剤の再結晶化温度よりも高い温度で結着剤の分解温度より低い温度で、正極及び負極のいずれか一方の電極を熱処理する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、本件出願人が、圧延後に施す熱処理について検討したところ、次のことが判った。熱処理温度が高い場合、及び/又は熱処理時間が長い場合、高温の熱処理により、及び/又は長時間の熱処理により、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることは可能なものの、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されるため、電池の容量の低下を招くという問題が新たに発生する。
そこで、本件出願人が、熱処理温度を低くする、及び/又は熱処理時間を短くする手段について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制しながら、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高める技術を、特願2007−323217号の出願明細書に開示している。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
−非水電解質二次電池の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ(多孔質絶縁層)6を介して捲回された電極群8が、非水電解液と共に、電池ケース1内に収容されている。電池ケース1の開口1aは、ガスケット3を介して、封口板2によって封口されている。正極4に取り付けられた正極リード4aは、正極端子を兼ねる封口板2に接続され、負極5に取り付けられた負極リード5aは、負極端子を兼ねる電池ケース1に接続されている。電極群8の上端には上部絶縁板7aが配置され、電極群8の下端には下部絶縁板7bが配置されている。
−電極群の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
図2に示すように、正極集電体4Aの両面に、正極合剤層4Bが形成され、負極集電体5Aの両面に、負極合剤層5Bが形成され、正極4と負極5との間に、セパレータ6が介在されている。
正極4は、圧延後に熱処理が施された正極である。また、正極4の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
非水電解質二次電池は、通常作動状態での充電終止電圧が、4.3V以上である。
正極集電体4Aは、鉄を含有しアルミニウムを主に含む。正極集電体4A中に含有される鉄量は、1.20重量%以上1.70重量%以下であることが好ましい。ここで、「鉄を含有しアルミニウムを主に含む」正極集電体とは、副成分として鉄を含み主成分としてアルミニウムを含み、鉄よりもアルミニウムを多く含む正極集電体である。
負極5の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、セパレータ6の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
ここで、「引っ張り伸び率」とは、引っ張る前の正極に対して、破断される直前の正極が伸びた割合をいう。引っ張り伸び率の測定方法は、具体的には例えば、次に示す通りである。正極を用いて作製された幅15mm,長さ20mmの測定用正極において、測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張り、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)と、破断される直前の測定用正極の長さとから、引っ張り伸び率を求める。
なお、正極4を構成する正極合剤層4Bは、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。正極活物質、結着剤、及び導電剤の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、負極5を構成する負極集電体5Aの材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、又はニッケル等が挙げられる。負極5を構成する負極合剤層5Bは、負極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。負極活物質の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、セパレータ6の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、非水電解液に含まれる非水溶媒、及び電解質等の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
−正極の作製−
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
ここで、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高い温度である。また、所定温度は、結着剤の分解温度よりも低い温度であることが好ましい。
−負極の作製−
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
−電池の作製−
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
本実施形態によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
ここで、負極5及びセパレータ6の引っ張り伸び率も、正極4と同様に3.0%以上であることが好ましい。その理由は、次に示す通りである。第1に例えば、正極及びセパレータの引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、負極の引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、負極が優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。第2に例えば、正極及び負極の引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、セパレータの引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、セパレータが優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。
さらに、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することを目的に、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、正極集電体として、鉄を含有せず純度の高いアルミニウムからなる正極集電体を用いてもよい。
また、本実施形態では、電極群として、図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ6を介して捲回された電極群8を用いた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電極群として、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極群を用いてもよい。
なお、本発明が奏する効果として、既述の通り、本発明の目的を達成する効果の他に、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する効果を、特に挙げたが、その他の効果として、異物が混入した電池内部で短絡が発生することを防止する効果、又は正極及び負極をセパレータを介して捲回する(又は積層する)際に、正極が切れることを防止する効果等を挙げることができる。
また、本発明における充電終止電圧の範囲として、下限値を4.3V以上と規定する一方、上限値を規定しないが、上限値としては、例えば、4.5V以下が挙げられる。その理由は、次に示す通りである。充電終止電圧を4.3V以上4.5V以下の範囲内に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることができる。一方、充電終止電圧を4.5V超に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることは困難である。
<参考例>
以下に、正極の引っ張り伸び率と、圧壊によって潰された電池内部で発生する短絡との関係について、表1に示す。表1は、参考例の電池1〜5の各々における、正極の引っ張り伸び率、及び圧壊試験の結果(即ち、短絡深さ)を示す。
以下に、正極の引っ張り伸び率と、圧壊によって潰された電池内部で発生する短絡との関係について、表1に示す。表1は、参考例の電池1〜5の各々における、正極の引っ張り伸び率、及び圧壊試験の結果(即ち、短絡深さ)を示す。
参考例の電池1〜4は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、正極として、同一温度(詳細には280℃)の下、相異なる熱処理時間(電池1:10秒,電池2:20秒,電池3:120秒,電池4:180秒)の間、圧延後に熱処理が施された正極を用いた電池である。一方、参考例の電池5は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、圧延後に熱処理が施されなかった正極を用いた電池である。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった参考例の電池5の場合、正極の引っ張り伸び率は1.5%であるのに対し、圧延後に熱処理が施された参考例の電池1〜4の場合、正極の引っ張り伸び率は3.0%以上(電池1:3.0%,電池2:5.0%,電池3:6.0%,電池4:6.5%)に高めることができる。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった参考例の電池5の場合、短絡深さは5mmであるのに対し、圧延後に熱処理が施された参考例の電池1〜4の場合、短絡深さは8mm以上(電池1:8mm,電池2:9mm,電池3:10mm,電池4:10mm)に深めることができる。
表1から判るように、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができ、これにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
なお、参考例の電池1〜5の作製方法は、以下に示す通りである。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
次に、導電剤として正極活物質100.0vol%に対して4.5vol%のアセチレンブラックと、N−メチルピロリドン(NMP)の溶剤に結着剤として正極活物質100.0vol%に対して4.7vol%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させた溶液と、正極活物質としてLiNi0.82Co0.15Al0.03O2とを混合し、正極合剤スラリーを得た。この正極合剤スラリーを、正極集電体として厚さ15μmの日本製箔株式会社製アルミニウム箔(A8021H−H18−15RK)の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、厚さ0.157mmの正極用板を得た。この正極用板に対し、280℃の下、10秒間、−30℃の低湿度処理を施した熱風により熱処理を施した。次に、この正極用板を幅57mm、長さ564mmに裁断して、厚さ0.157mm、幅57mm、長さ564mmの正極を作製した。
(負極の作製)
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
次に、負極活物質として100重量部の鱗片状人造黒鉛に、結着剤としてスチレンブタジエンゴムを3重量部とカルボキシメチルセルロースを1重量%含む水溶液100重量部とを加えて混合し、負極合剤スラリーを得た。この負極合剤スラリーを、負極集電体として厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、厚さ0.156mmの負極用板を得た。この負極用板に対し、窒素雰囲気中、190℃の下、8時間、熱風により熱処理を施した。次に、この負極用板を、幅58.5mm、長さ750mmに裁断して、厚さ0.156mm、幅58.5mm、長さ750mmの負極を作製した。負極の引っ張り伸び率は5%(即ち、3.0%以上)である。
(非水電解液の調製)
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5重量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5重量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
(円筒型電池の作製)
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
このように、280℃(即ち、正極集電体の軟化温度よりも高い温度)の下、10秒間、熱処理が施された正極を有する電池を作製し、作製した電池を電池1と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
また、正極の引っ張り伸び率の測定方法は、以下に示す通りである。
<正極の引っ張り伸び率の測定>
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
また、圧壊試験における短絡深さの測定方法は、以下に示す通りである。
<圧壊試験>
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
本発明は、充放電サイクル特性の低下を防止することができるため、充電終止電圧が4.3V以上に高められた非水電解質二次電池及びその製造方法に有用である。
1 電池ケース
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
本発明は、非水電解質二次電池及びその製造方法に関し、特に、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池及びその製造方法に関する。
近年、移動体通信機器、及び携帯電子機器の主電源として利用される非水電解質二次電池は、起電力が高く、高エネルギー密度である,という特徴を有する。非水電解質二次電池において用いられる正極活物質の材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、及びニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を用いた非水電解質二次電池(即ち、リチウムイオン二次電池)では、充電終止電圧(ここで、「充電終止電圧」とは、安全に充電を行うことが可能な充電電圧の最高値をいう)の高電圧化が検討されている。これにより、高容量の非水電解質二次電池を提供することが可能である。
ここで、非水電解質二次電池において、正極活物質として、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、充放電サイクル特性及び熱安定性の低下を伴うことなく、充電終止電圧の高電圧化(例えば4.3V以上)を試みる。
特許文献1には、LiCoO2からなる正極活物質を用い、且つ充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性が低下する(即ち、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する)要因は、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊によるものと推測されている。
そこで、特許文献1に記載の技術では、2種のリチウム遷移金属複合酸化物が混合されてなる正極活物質のうち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、非水電解液の分解、又はLiCoO2の結晶構造の破壊を低減し、充放電サイクル特性の低下の防止を試みる。また、他方のリチウム遷移金属複合酸化物として、熱安定性の高いリチウム遷移金属複合酸化物を用いる。これにより、熱安定性の低下の防止を図る。
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じる、即ち、一方のリチウム遷移金属複合酸化物として、LiCoO2に少なくともZrとMgとの双方を含有させたリチウム遷移金属複合酸化物を用いるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない。
前記に鑑み、本発明の目的は、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止することである。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池であって、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、負極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、多孔質絶縁層の引っ張り伸び率は、3.0%以上であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極は、正極活物質を含む正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、所定温度で熱処理が施された正極であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体は、鉄を含有しアルミニウムを主に含むことが好ましい。
このようにすると、圧延後に施す熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、正極集電体中に含有される鉄量は、1.20質量%以上1.70質量%以下であることが好ましい。
前記の目的を達成するために、本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、正極と負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、正極を準備する工程(a)と、負極を準備する工程(b)と、工程(a)及び工程(b)の後に、正極及び負極を、該正極と該負極との間に多孔質絶縁層を介して捲回する、又は積層する工程(c)とを備え、工程(a)は、正極集電体上に、正極活物質及び結着剤を含む正極合剤スラリーを塗布乾燥させる工程(a1)と、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延する工程(a2)と、工程(a2)の後に、所定温度の下、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、熱処理を施す工程(a3)とを含み、正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上であることを特徴とする。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法によると、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高いことが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法において、正極集電体は、鉄を含有するアルミニウムからなることが好ましい。
このようにすると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池及びその製造方法によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
本件発明者らは、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池(以下、単に「電池」と称すこともある)において、充放電サイクル特性が低下する要因について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一化されずに不均一化するため、充放電反応が不均一化する。そのため、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、電池の容量が低下する(即ち、充放電サイクル特性が低下する)。
充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる要因は、次のように推測される。充電終止電圧を高めるに伴い、充電による正極合剤層の膨張が大きくなるため、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生する。正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生した状態で、充放電サイクルが繰り返されると、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となる。
上記から判るように、充電終止電圧を4.3V以上に高めた非水電解質二次電池において、充放電サイクル特性の低下を防止するには、充放電サイクルが繰り返されるに伴い、正極の断面形状が波打った形状となることを防止することが必要であり、正極に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じることが必要である(そのため、特許文献1に記載の技術のように、正極活物質に対して、充放電サイクル特性の低下防止対策を講じるだけでは、充放電サイクル特性の低下を充分に防止することはできない)。
そこで、本件発明者らは、正極に対して講じる充放電サイクル特性の低下防止対策について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。これは、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないことによるものと考えられる。
さらに、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充電終止電圧を高めても、正極合剤層と正極集電体との界面に歪みが発生することを防止することができるため、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならないものと推測される。
そこで、本発明は、充電終止電圧が4.3V以上の非水電解質二次電池において、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクル特性の低下の防止を図るものである。
ところで、本件出願人が、圧壊によって非水電解質二次電池が潰された場合に電池内部で短絡が発生する要因について、検討したところ、次のことが判った。電極群を構成する正極、負極、及びセパレータのうち、引っ張り伸び率の最も小さい正極が優先的に破断するため、正極の破断部がセパレータを突き破って、正極と負極とが短絡するので、電池内部で短絡が発生する。
そこで、本件出願人が、正極の引っ張り伸び率を高める方法について、検討したところ、次のことを見出した。正極集電体上に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延した後、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体に対し、正極集電体の軟化温度よりも高い温度で熱処理を施すことにより、正極の引っ張り伸び率を高めることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する技術を、特願2007−323217号(PCT/JP2008/002114)の出願明細書に開示している。特願2007−323217号に開示された技術では、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断することはないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
以下に、圧延後に熱処理を施さなかった正極、及び圧延後に熱処理を施した正極の各々が引っ張られて伸びるメカニズムについて、考察する。
圧延後に熱処理を施さなかった正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に大きなクラックが発生すると同時に、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極が伸びるに連れて、正極合剤層に発生する引っ張り応力が増加し、正極集電体に印加される引っ張り応力が増加する。正極合剤層に大きなクラックが発生すると、正極集電体に印加される引っ張り応力が、大きなクラックの発生した箇所に集中する。そのため、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。
一方、圧延後に熱処理を施した正極を引っ張って伸ばした場合、正極合剤層に多数の微小なクラックを発生しながら、正極は伸び続け、その後、正極が破断する。この要因は、次のように考えられる。正極集電体に印加される引っ張り応力が、多数の微小なクラックの発生した箇所に分散する。そのため、クラックの発生が正極集電体に及ぼす影響は小さく、クラックの発生と同時に、正極集電体が破断されることはない。そのため、クラックの発生後も、正極は伸び続け、分散した引っ張り応力の大きさが、ある大きさXを超えた時点で正極集電体が破断し、延いては、正極が破断する。ここで、「ある大きさX」とは、多数の微小なクラックが発生した正極合剤層が両面に形成された正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさをいう。例えば、「ある大きさX」とは、正極集電体のみを引っ張って伸ばした場合に正極集電体が破断されるのに必要とされる大きさに近い大きさをいう。
このように、圧延後に熱処理を施さなかった正極と、圧延後に熱処理を施した正極とは、引っ張られて伸びるメカニズムが異なるため、圧延後に熱処理を施した正極は、圧延後に熱処理を施さなかった正極に比べて、引っ張り伸び率が高くなる。
また、上記から判るように、正極は、正極集電体の両面に正極合剤層が形成された構成であるため、正極の引っ張り伸び率は、正極集電体の引っ張り伸び率のみによって規制されるものではない。
さらに、本件出願人は、正極の引っ張り伸び率を高めることを目的に行う熱処理は、圧延後に施すことが必要である,ことを見出した。圧延前に熱処理を施しても、熱処理の際に、正極の引っ張り伸び率を高めることは可能なものの、その後に行う圧延の際に、正極の引っ張り伸び率が低下するため、最終的には、正極の引っ張り伸び率を高めることはできない。なお、両電極を積層する又は捲き取る際の電極材料の集電体からの脱落、又は電極材料の集電体に対する接着性の低下を抑制することを目的に、例えば、正極及び負極とこれら両電極間に介装されるべき多孔質絶縁層とを積層する前又は捲き取る前に、結着剤の再結晶化温度よりも高い温度で結着剤の分解温度より低い温度で、正極及び負極のいずれか一方の電極を熱処理する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、本件出願人が、圧延後に施す熱処理について検討したところ、次のことが判った。熱処理温度が高い場合、及び/又は熱処理時間が長い場合、高温の熱処理により、及び/又は長時間の熱処理により、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めることは可能なものの、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されるため、電池の容量の低下を招くという問題が新たに発生する。
そこで、本件出願人が、熱処理温度を低くする、及び/又は熱処理時間を短くする手段について、鋭意検討を重ねたところ、次のことを見出した。正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができる。
本件出願人は、上記の知見に基づいて、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、熱処理の際に溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制しながら、正極の引っ張り伸び率を所定率以上に高める技術を、特願2007−323217号の出願明細書に開示している。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池について、図1、及び図2を参照しながら説明する。
−非水電解質二次電池の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。
図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ(多孔質絶縁層)6を介して捲回された電極群8が、非水電解液と共に、電池ケース1内に収容されている。電池ケース1の開口1aは、ガスケット3を介して、封口板2によって封口されている。正極4に取り付けられた正極リード4aは、正極端子を兼ねる封口板2に接続され、負極5に取り付けられた負極リード5aは、負極端子を兼ねる電池ケース1に接続されている。電極群8の上端には上部絶縁板7aが配置され、電極群8の下端には下部絶縁板7bが配置されている。
−電極群の構成−
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池における電極群の構成を模式的に示す拡大断面図である。
図2に示すように、正極集電体4Aの両面に、正極合剤層4Bが形成され、負極集電体5Aの両面に、負極合剤層5Bが形成され、正極4と負極5との間に、セパレータ6が介在されている。
正極4は、圧延後に熱処理が施された正極である。また、正極4の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
非水電解質二次電池は、通常作動状態での充電終止電圧が、4.3V以上である。
正極集電体4Aは、鉄を含有しアルミニウムを主に含む。正極集電体4A中に含有される鉄量は、1.20質量%以上1.70質量%以下であることが好ましい。ここで、「鉄を含有しアルミニウムを主に含む」正極集電体とは、副成分として鉄を含み主成分としてアルミニウムを含み、鉄よりもアルミニウムを多く含む正極集電体である。
負極5の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、セパレータ6の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。
ここで、「引っ張り伸び率」とは、引っ張る前の正極に対して、破断される直前の正極が伸びた割合をいう。引っ張り伸び率の測定方法は、具体的には例えば、次に示す通りである。正極を用いて作製された幅15mm,長さ20mmの測定用正極において、測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張り、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)と、破断される直前の測定用正極の長さとから、引っ張り伸び率を求める。
なお、正極4を構成する正極合剤層4Bは、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。正極活物質、結着剤、及び導電剤の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、負極5を構成する負極集電体5Aの材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、又はニッケル等が挙げられる。負極5を構成する負極合剤層5Bは、負極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む。負極活物質の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、セパレータ6の材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。また、非水電解液に含まれる非水溶媒、及び電解質等の各材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、特願2007−323217号の出願明細書に開示された材料と同様の材料を用いることができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
−正極の作製−
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
まず、正極活物質、結着剤、及び導電剤等を含む正極合剤スラリーを調製する。次に、正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、所定厚さの正極用板を得る。次に、正極用板(即ち、圧延され、且つ正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体)に対し、所定温度で熱処理を施す。次に、正極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの正極を作製する。
ここで、所定温度は、正極集電体の軟化温度よりも高い温度である。また、所定温度は、結着剤の分解温度よりも低い温度であることが好ましい。
−負極の作製−
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
まず、負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを調製する。次に、負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させる。次に、負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、所定厚さの負極用板を得る。次に、負極用板を、所定幅、所定長さに裁断し、所定厚さ、所定幅、所定長さの負極を作製する。
−電池の作製−
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
まず、図1に示すように、正極集電体(図2:4A参照)に正極リード4aを取り付け、負極集電体(図2:5A参照)に負極リード5aを取り付ける。次に、正極4と負極5とを、それらの間にセパレータ6を介して捲回し、電極群8を構成する。次に、電極群8の上端に上部絶縁板7aを配置する一方、電極群8の下端に下部絶縁板7bを配置する。次に、負極リード5aを電池ケース1に溶接すると共に、正極リード4aを封口板2に溶接して、電極群8を電池ケース1内に収容する。次に、電池ケース1内に非水電解液を注液する。次に、電池ケース1の開口1aを、ガスケット3を介して、封口板2によって封口することにより、電池を作製する。
本実施形態によると、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることにより、充放電サイクルを繰り返しても、正極の断面形状が波打った形状とならない。そのため、全領域に亘って、正極と負極間の距離が均一に確保されるため、充放電反応が均一化する。そのため、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量が低下することはなく、充放電サイクル特性の低下を防止することができる。
さらに、正極として、引っ張り伸び率が3.0%以上に高められた正極を用いることにより、圧壊によって電池が潰されることがあっても、正極が優先的に破断されることがないため、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
特に、電池内部で短絡が発生した場合、短絡時に発生する熱エネルギー量は、充電終止電圧を高めるに連れて多くなるため、熱暴走に至る虞が高くなる。即ち、充電終止電圧が4.3V以上の電池は、一般的な電池(例えば、充電終止電圧が4.2Vの電池)に比べて、短絡時に発生する熱エネルギー量が多いため、熱暴走に至る虞が高い。そのため、充電終止電圧が4.3V以上の電池内部で短絡が発生することを防止することにより、熱暴走に至る虞を大幅に低減することができる。
ここで、負極5及びセパレータ6の引っ張り伸び率も、正極4と同様に3.0%以上であることが好ましい。その理由は、次に示す通りである。第1に例えば、正極及びセパレータの引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、負極の引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、負極が優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。第2に例えば、正極及び負極の引っ張り伸び率が3.0%以上であっても、セパレータの引っ張り伸び率が3.0%未満であれば、圧壊によって電池が潰されると、セパレータが優先的に破断されて、電池内部で短絡が発生する。
さらに、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いることにより、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理温度を低くする、及び/又は正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めるのに必要とされる熱処理時間を短くすることができるため、圧延後に施す熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、熱処理の際に、溶融された結着剤によって、正極活物質が被覆されることを抑制することを目的に、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、正極集電体として、鉄を含有せず純度の高いアルミニウムからなる正極集電体を用いてもよい。
また、本実施形態では、電極群として、図1に示すように、正極4及び負極5がセパレータ6を介して捲回された電極群8を用いた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電極群として、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極群を用いてもよい。
なお、本発明が奏する効果として、既述の通り、本発明の目的を達成する効果の他に、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止する効果を、特に挙げたが、その他の効果として、異物が混入した電池内部で短絡が発生することを防止する効果、又は正極及び負極をセパレータを介して捲回する(又は積層する)際に、正極が切れることを防止する効果等を挙げることができる。
また、本発明における充電終止電圧の範囲として、下限値を4.3V以上と規定する一方、上限値を規定しないが、上限値としては、例えば、4.5V以下が挙げられる。その理由は、次に示す通りである。充電終止電圧を4.3V以上4.5V以下の範囲内に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることができる。一方、充電終止電圧を4.5V超に高めた場合、電池の容量を効果的に高めることは困難である。
<参考例>
以下に、正極の引っ張り伸び率と、圧壊によって潰された電池内部で発生する短絡との関係について、表1に示す。表1は、参考例の電池1〜5の各々における、正極の引っ張り伸び率、及び圧壊試験の結果(即ち、短絡深さ)を示す。
以下に、正極の引っ張り伸び率と、圧壊によって潰された電池内部で発生する短絡との関係について、表1に示す。表1は、参考例の電池1〜5の各々における、正極の引っ張り伸び率、及び圧壊試験の結果(即ち、短絡深さ)を示す。
参考例の電池1〜4は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、正極として、同一温度(詳細には280℃)の下、相異なる熱処理時間(電池1:10秒,電池2:20秒,電池3:120秒,電池4:180秒)の間、圧延後に熱処理が施された正極を用いた電池である。一方、参考例の電池5は、正極集電体として、鉄を含有しアルミニウムを主に含む正極集電体を用い、圧延後に熱処理が施されなかった正極を用いた電池である。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった参考例の電池5の場合、正極の引っ張り伸び率は1.5%であるのに対し、圧延後に熱処理が施された参考例の電池1〜4の場合、正極の引っ張り伸び率は3.0%以上(電池1:3.0%,電池2:5.0%,電池3:6.0%,電池4:6.5%)に高めることができる。
表1に示すように、圧延後に熱処理が施されなかった参考例の電池5の場合、短絡深さは5mmであるのに対し、圧延後に熱処理が施された参考例の電池1〜4の場合、短絡深さは8mm以上(電池1:8mm,電池2:9mm,電池3:10mm,電池4:10mm)に深めることができる。
表1から判るように、圧延後に施す熱処理により、正極の引っ張り伸び率を3.0%以上に高めることができ、これにより、圧壊によって潰された電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
なお、参考例の電池1〜5の作製方法は、以下に示す通りである。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
(電池1)
(正極の作製)
まず、平均粒子径が10μmのLiNi0.82Co0.15Al0.03O2を準備した。
次に、導電剤として正極活物質100.0vol%に対して4.5vol%のアセチレンブラックと、N−メチルピロリドン(NMP)の溶剤に結着剤として正極活物質100.0vol%に対して4.7vol%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させた溶液と、正極活物質としてLiNi0.82Co0.15Al0.03O2とを混合し、正極合剤スラリーを得た。この正極合剤スラリーを、正極集電体として厚さ15μmの日本製箔株式会社製アルミニウム箔(A8021H−H18−15RK)の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に正極合剤スラリーが塗布乾燥された正極集電体を圧延し、厚さ0.157mmの正極用板を得た。この正極用板に対し、280℃の下、10秒間、−30℃の低湿度処理を施した熱風により熱処理を施した。次に、この正極用板を幅57mm、長さ564mmに裁断して、厚さ0.157mm、幅57mm、長さ564mmの正極を作製した。
(負極の作製)
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
まず、平均粒子径が約20μmになるように、鱗片状人造黒鉛を粉砕及び分級した。
次に、負極活物質として100質量部の鱗片状人造黒鉛に、結着剤としてスチレンブタジエンゴムを3質量部とカルボキシメチルセルロースを1質量%含む水溶液100質量部とを加えて混合し、負極合剤スラリーを得た。この負極合剤スラリーを、負極集電体として厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥させた。次に、両面に負極合剤スラリーが塗布乾燥された負極集電体を圧延し、厚さ0.156mmの負極用板を得た。この負極用板に対し、窒素雰囲気中、190℃の下、8時間、熱風により熱処理を施した。次に、この負極用板を、幅58.5mm、長さ750mmに裁断して、厚さ0.156mm、幅58.5mm、長さ750mmの負極を作製した。負極の引っ張り伸び率は5%(即ち、3.0%以上)である。
(非水電解液の調製)
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5質量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
非水溶媒として体積比が1:3となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した混合溶媒に、電池の充放電効率を高める添加剤として5質量%のビニレンカーボネートを添加すると共に、電解質として非水溶媒に対するモル濃度が1.4mol/m3となるようにLiPF6を溶解し、非水電解液を調製した。
(円筒型電池の作製)
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
まず、正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル製の負極リードを取り付けた。次に、正極と負極とを、それらの間にポリエチレン製のセパレータ(引っ張り伸び率が8%(即ち、3.0%以上)のセパレータ)を介して捲回し、電極群を構成した。次に、電極群の上端に上部絶縁板を配置する一方、電極群の下端に下部絶縁板を配置した。次に、負極リードを電池ケースに溶接すると共に、正極リードを内圧作動型の安全弁を有する封口板に溶接して、電極群を電池ケース内に収容した。次に、減圧方式により、電池ケース内に非水電解液を注液した。最後に、電池ケースの開口を、ガスケットを介して、封口板によって封口することにより、電池を作製した。
このように、280℃(即ち、正極集電体の軟化温度よりも高い温度)の下、10秒間、熱処理が施された正極を有する電池を作製し、作製した電池を電池1と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
(電池2)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、20秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池2と称する。
(電池3)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、120秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池3と称する。
(電池4)
(正極の作製)において、正極用板に対し、280℃の下、180秒間、熱処理を施したこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池4と称する。
(電池5)
(正極の作製)において、圧延後に正極用板に対し熱処理を施さなかったこと以外は、電池1と同様に電池を作製し、作製した電池を電池5と称する。
また、正極の引っ張り伸び率の測定方法は、以下に示す通りである。
<正極の引っ張り伸び率の測定>
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
まず、充電を行った各電池1〜5を分解し、正極を取り出した。取り出した正極を、幅15mm,長さ20mmに裁断し、測定用正極を作製した。測定用正極の一端を固定する一方、測定用正極の他端を長さ方向に沿って20mm/minの速度で引っ張った。そして、破断される直前の測定用正極の長さを測定し、この長さと、引っ張る前の測定用正極の長さ(即ち、20mm)とから、正極の引っ張り伸び率を求めた。
また、圧壊試験における短絡深さの測定方法は、以下に示す通りである。
<圧壊試験>
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
まず、電池温度が30℃の下、直径が6mmの丸棒を、充電を行った各電池1〜5に接触させて、丸棒を0.1mm/secの速度で電池の深さ方向に沿って移動させて、各電池1〜5を圧壊した。そして、圧壊によって潰された各電池1〜5の内部で短絡が発生した時の深さ方向の変形量(即ち、短絡深さ)を求めた。
本発明は、充放電サイクル特性の低下を防止することができるため、充電終止電圧が4.3V以上に高められた非水電解質二次電池及びその製造方法に有用である。
1 電池ケース
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
1a 開口
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
4a 正極リード
4A 正極集電体
4B 正極合剤層
5 負極
5a 負極リード
5A 負極集電体
5B 負極合剤層
6 セパレータ(多孔質絶縁層)
7a 上部絶縁板
7b 下部絶縁板
8 電極群
Claims (8)
- 正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、
通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上である。 - 請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
前記負極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、
前記多孔質絶縁層の引っ張り伸び率は、3.0%以上である。 - 請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
前記正極は、前記正極活物質を含む正極合剤スラリーが塗布乾燥された前記正極集電体を圧延した後、前記正極合剤スラリーが塗布乾燥された前記正極集電体に対し、所定温度で熱処理が施された正極である。 - 請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
前記正極集電体は、鉄を含有しアルミニウムを主に含む。 - 請求項4に記載の非水電解質二次電池において、
前記正極集電体中に含有される鉄量は、1.20重量%以上1.70重量%以下である。 - 正極集電体上に正極活物質及び結着剤を含む正極合剤層が形成された正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在された多孔質絶縁層と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記正極を準備する工程(a)と、
前記負極を準備する工程(b)と、
前記工程(a)及び前記工程(b)の後に、前記正極及び前記負極を、該正極と該負極との間に前記多孔質絶縁層を介して捲回する、又は積層する工程(c)とを備え、
前記工程(a)は、
前記正極集電体上に、前記正極活物質及び前記結着剤を含む正極合剤スラリーを塗布乾燥させる工程(a1)と、
前記正極合剤スラリーが塗布乾燥された前記正極集電体を圧延する工程(a2)と、
前記工程(a2)の後に、前記正極合剤スラリーが塗布乾燥された前記正極集電体に対し、所定温度で熱処理を施す工程(a3)とを含み、
前記正極の引っ張り伸び率は、3.0%以上であり、
通常作動状態での充電終止電圧は、4.3V以上である。 - 請求項6に記載の非水電解質二次電池の製造方法において、
前記所定温度は、前記正極集電体の軟化温度よりも高い。 - 請求項6に記載の非水電解質二次電池の製造方法において、
前記正極集電体は、鉄を含有しアルミニウムを主に含む。
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