JPWO2010079687A1 - 電子部品用樹脂付着防止剤、それを含む電子部材および電子部品 - Google Patents

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Abstract

生体及び環境への影響が少ないポリフルオロアルキル基等を有する不飽和化合物から導かれる重合単位を有し、従来のポリフルオロアルキル基の炭素数が8以上の不飽和化合物から導かれる重合体を含む場合と同等の樹脂付着防止性能を示す電子部品用樹脂付着防止剤、電子部材および電子部品の提供。少なくとも下記式(a)で表される化合物から導かれる重合単位を含有する重合体を、溶媒中に含む電子部品用樹脂付着防止剤。CH2=C(R1)−COO−Rf1式(a)式(a)中、R1:水素原子又はメチル基、Rf1:主鎖の炭素数が2〜5であり、フッ素原子を4つ以上含み、主鎖末端基がCF3であるポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルコキシアルキル基である。

Description

本発明は、電子部品の被覆に用いられる樹脂が、目的外の部分に浸入及び付着することを防止するために、電子部品の封止時に前処理剤として用いられる電子部品用樹脂付着防止剤、それを含む電子部材および電子部品に関する。
従来、基板に搭載された電子部品素子の表面は、防湿及び保護の目的からエポキシ樹脂等による被覆がなされてきた。また、ここでエポキシ樹脂が電子部品のリードや電極に付着すると接触不良や半田づけに障害を起こすので、リードや電極に樹脂が付着するのを防ぐために付着防止剤の塗布が行われてきた。
付着防止剤としては、従来、種々のものが用いられている。例えば、シリコーン系のものやフッ素系のものが挙げられる。しかし、シリコーン系の付着防止剤は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の付着防止性が低いばかりでなく、半田特性が悪く、リード線に残ったシリコーン系付着防止剤が導電不良を生じさせ得る欠点を有している。これに対して、フッ素系の付着防止剤は表面張力が低く付着防止力が優れ、かつ半田特性も優れている(特許文献1等参照)。
また、付着防止剤はリード線上の特性、つまり金属表面での特性が注目されているが、最近の表面実装形の電子部品素子にはリード線が存在しない。これに対してフッ素系の付着防止剤は表面張力が低いので、セラミックパッケージ表面上でも優れた付着防止力を発揮する。そのためフッ素系の付着防止剤は非常に有効である。
一方、米国環境保護庁(USEPA)が、野生動物や人の血液を含め、種々の環境から検出されるパーフロオロオクタン酸(PFOA)の安全性に関する予備リスク調査報告書を2003年3月に公開した。報告書では、PFOAの発生の恐れがあるパーフルオロアルキル基の炭素数が8であるものについて、生体及び環境への影響が指摘された。そして、2006年1月には、PFOAとその類縁物質、及びこれらの前駆体物質の環境中への排出削減と製品中の含有量削減計画への参加をフッ素樹脂メーカー等に提唱している。
ここで対象になる構造としては、下記に示される炭素数が8の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有する化合物などが挙げられる。
CH=CH−COO−(CH−(CF
CH=C(CH)−COO−(CH−(CF
特開平07−018243号公報
このような状況において、PFOAの発生の恐れを減らすために、パーフルオロアルキル基の炭素数を6以下に短くしたもの、具体的には、前記式中の(CFFを、(CF)Fまたは(CF)Fなどに置換した化合物を代替品として用いることが考えられる。しかし、炭素数が8の直鎖状のパーフルオロアルキル基を、そのまま6以下にしただけの場合は、重合体中のパーフルオロアルキル基に起因する疎水性、疎油性などの性能は著しく低下する。これは、(CFFの持つ結晶性が、炭素数の減少により失われるためと考えられる。
本発明は、生体及び環境への影響が少ないポリフルオロアルキル基等を有する不飽和化合物から導かれる重合単位を有する重合体を被膜成分として含み、従来の炭素数が8以上で直鎖状のパーフルオロアルキル基を持つ不飽和化合物から導かれる重合単位を有する重合体を含む場合と同等の樹脂付着防止性能を示す電子部品用樹脂付着防止剤、それを含む電子部材および電子部品の提供を目的とする。
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の含フッ素構造をもつ化合物(重合体)を選択することで、PFOAの発生の恐れがある化合物を使用しなくとも、十分な性能を有する電子部品用樹脂付着防止剤が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の電子部品用樹脂付着防止剤を提供する。
本発明は、下記式(a)で表される化合物から導かれる重合単位を有する重合体を、溶媒中に含む電子部品用樹脂付着防止剤である。
CH2=C(R1)−COO−Rf1 (a)
式(a)中、
1:水素原子又はメチル基、
Rf1:主鎖の炭素数が2〜5であり、フッ素原子を4つ以上含み、主鎖末端基がCFであるポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルコキシアルキル基である。
上記重合体において、上記重合単位の含有量が50質量%以上であるのが好ましい。
本発明において、付着を防止する樹脂がエポキシ樹脂であるのが好ましい。
本発明は、表面の少なくとも一部に、上記式(a)で表される化合物から導かれる重合単位を含有する重合体を含む被膜を有する電子部材を提供し、さらには該電子部材を含む電子部品も提供する。
本発明は、電子部材の表面の少なくとも一部に、上記電子部品用樹脂付着剤を塗布し、上記式(a)で表される化合物から導かれる重合単位を含有する重合体を含む被膜を形成し、その後、封止用樹脂からなる被膜を形成する工程を含む、電子部品の製造方法も提供しうる。
本発明は、上記式(a)で特定される化合物から導かれる重合単位を有する重合体を使用することで、生体及び環境への影響が少ないポリフルオロアルキルを有する不飽和化合物を用いながらも、従来の炭素数が8以上で直鎖状のパーフルオロアルキル基を持つ不飽和化合物から導かれる重合単位を有する重合体と同等の性能を有する電子部品用樹脂付着防止剤の提供を可能とする。
本発明の電子部品用樹脂付着防止剤(以下、「樹脂付着防止剤」ともいう。)の必須成分である重合体(以下、「本発明の重合体」ともいう。)は、下記式(a)で表される化合物から導かれる重合単位を有する。なお、本明細書において式(a)で表される化合物を化合物(a)とも記す。他の式で表される化合物も同様に表記することがある。
CH2=C(R1)−COO−Rf1 (a)
式(a)中、
1:水素原子又はメチル基、
Rf1:主鎖の炭素数が2〜5であり、フッ素原子を4つ以上含み、主鎖末端基がCFであるポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルコキシアルキル基である。
ポリフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の2個以上または全部がフッ素原子に置換された部分フルオロ置換またはパーフルオロ置換アルキル基を意味する。また、ポリフルオロアルコキシアルキル基とは、上記ポリフルオロアルキル基中の1箇所以上の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基を意味する。
上記Rf1は、アルキル基の水素原子の4個ないし全部がフッ素原子に置換されたポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルコキシアルキル基である。
Rf1における「主鎖の炭素数」とは、Rf1の基中の最長の炭素原子鎖の炭素原子数を意味する。
Rf1で示されるポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルコキシアルキル基は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよい。主鎖の炭素数が2〜5のアルキル基で、直鎖構造のものとしては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などが挙げられ、分岐構造のものとしては、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、2,2−ジイソプロピルエチル基、イソヘキシル基などが挙げられる。主鎖の炭素数が2〜5のアルコキシアルキル基は、上記アルキル基中に少なくとも1つの酸素が挿入された基であり、たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシなどの炭素数が1〜3のアルコキシを少なくとも1つ有するアルキルである。
Rfは、基中にフッ素原子を4つ以上有し、かつ末端にCF構造を有することを満たすアルキル基またはアルコキシアルキル基におけるフッ素原子の置換位置などに特に制限はない。
Rf1がポリフルオロアルキル基である場合は、主鎖の炭素数が2〜4である構造が好ましく、2〜3である構造が特に好ましい。
Rf1がポリフルオロアルコキシアルキル基の場合、該アルコキシ基は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルコキシ基であることが好ましい。
上記のような構造のRf1を有する化合物(a)から導かれる重合体は、樹脂付着防止剤として優れた性能を有する。ここで、Rfには含まれない構造として、主鎖の炭素数が6、フッ素原子数が9である−(CH−(CFFや、主鎖の炭素数が2、フッ素原子数が3である−CH−CFが挙げられる。Rfに代えて、これら基をもつ化合物の場合、いずれの化合物から導かれる重合体も、本発明の重合体に比べ、樹脂付着防止剤としての性能に劣る。この理由は定かではないが、主鎖の炭素数の増加に伴うポリフルオロアルキル基の柔軟性の増加や、フッ素原子数の減少に伴う表面自由エネルギーの上昇などが、単独でまたは複合して影響しているのではないかと考えられる。
Rf1は直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよいが、Rf1を嵩高くし、重合体のガラス転移点(Tg)や融点(Tm)を高くする観点からは分岐構造が好ましい。特に分岐部分がRf1基の末端部分に存在する場合が好ましい。
Rf1として好ましい構造は以下のものが挙げられる。
−CH−C
−CH(CF
−CHCF(CF
−CH(CFCF
−CH(CH(CF
−CH(CF(CF
−CH−CF(CF)−OC
−CH−(CF−CF(CF
−(CH−CF(CF(CF
このようなRf1基を含む好ましい化合物(a)の具体例を表1に示すが、化合物(a)はこれらに限定されるものではない。
上記のような化合物(a)から導かれる重合単位は、次のように表すことができる。以下、この重合単位を重合単位(A)と称することがある。
ここでのRおよびRf1は、式(a)と同様である。
本発明の重合体は、上記重合単位(A)の1種からなる単独重合体であってもよく、重合単位(A)の2種以上からなる共重合体であってもよい。また、重合単位(A)以外の重合単位を1種又は2種以上含有する共重合体であってもよい。この場合、本発明の重合体における、上記重合単位(A)の含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。本発明の重合体における重合単位(A)の質量比率が上記範囲内であると、本発明の樹脂付着防止剤の樹脂付着防止性能がより良好だからである。なお本発明において、重合体における各重合単位の質量比率は、重合に使用した原料がすべて重合単位を構成するとみなした値である。したがって、たとえば重合単位(A)の質量比率(全重合単位質量に対する、そこに含まれる重合単位(A)の質量の百分率)は、実質的に、重合に使用した化合物(a)質量の重合原料化合物の全質量に対する割合として求められる。重合体における他の重合単位の質量比率も同様に求められる。
他の重合単位としては、たとえば化合物(a)以外のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(化合物(b))から導かれる重合単位(B)、後述するさらに他の重合性化合物(c)から導かれる重合単位(C)が挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方またはどちらか一方を意味する。
上記化合物(b)を、以下にいくつか例示するが、化合物(b)はこれらに限定されるものではない。
CH=C(CH)−COO−CH−CF
CH=C(CH)−COO−(CH−(CF
CH=C(CH)−COO−(CH−(CF
CH=C(CH)−COO−(CH−(CFCF(CF
他の重合性化合物(c)は、(メタ)アクリレートと重合体を形成し得る他の化合物であれば特に限定されない。化合物(c)としては、例えばパーフルオロアルキル基を持たず、重合性の基を有する化合物が挙げられる。
具体的には、スチレン系化合物(c1)、上記化合物(a)及び化合物(b)以外の(メタ)アクリル酸系化合物(c2)及びさらに他の重合性化合物(c3)が挙げられる。このような化合物(c)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
上記(c1)としては、下記式で表わされるスチレン系化合物が挙げられる。
式中、R2:−H、CH、−Cl、−CHO、−COOH、−CH2Cl、−CH2NH2、−CH2N(CH32、−CH2N(CH33Cl、−CH2NH3Cl、−CH2CN、−CH2COOH、−CH2N(CH2COOH)2、−CH2SH、−CH2SO3Na又は−CH2OCOCH3である。
上記化合物(c2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−クロロアクリル酸及び下記式で表わされる(メタ)アクリレートが挙げられる。
CH2=C(R1)−COO−R3
式中、R1:H又はCH3、R3:−CH3、−CH2CH2N(CH32、−(CH2mH(m=2〜20の整数)、−CH2CH(CH32、−CH2−C(CH32−OCO−Ph(「Ph」はフェニル基を意味する。以下同様である。)、−CH2Ph、−CH2CHOPh、−CH2N(CH33Cl、−(CH2CH2O)mCH3(m=2〜20の整数)、−(CH22−NCO、又は以下の基である。
化合物(c2)としては、下記式で表わされる(メタ)アクリルアミドも挙げられる。
CH2=C(R1)−CONH−R4
式中、R1:H又はCH3、R4:−Cm2m+1(m=2〜20の整数)又は−Hである。
化合物(c2)としては、さらに、(メタ)アクリル酸ジエステル、さらに下記各式で示される化合物等の(メタ)アクリル酸ポリエステルなどが挙げられる。
上記式中のRは、(メタ)アクリロイルオキシ基である。
また、重合性化合物(c3)としては、上記(c1)及び(c2)以外のビニル化合物、例えば塩化ビニル(CH2=CHCl)、アクリロニトリル(CH2=CHCN)、以下のようなエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
化合物(c)としては、上記以外にも、重合性の官能基を複数有する化合物であっても構わない。以下には、ビニル基、エポキシ基を3以上有する具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の重合体が、上記のような他の重合単位(B)および/または(C)を含有する場合、重合体におけるこれら他の重合単位全量での質量が50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
他の重合単位が上記範囲内であると、樹脂付着防止性能を維持しつつ、重合体原料に基づくコストダウンが図れると考えられる。さらに、重合単位(B)を上記範囲内で含むと、重合体の耐溶剤性の向上も図れると考えられる。
本発明の重合体が重合単位(B)を有する場合は、本発明の重合体を構成する前記重合単位(A)及び重合単位(B)の合計量が、前記重合体において50質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。この場合、重合単位(A)の質量比率が重合単位(B)の質量比率を上回っていることが好ましい。
本発明の重合体は、重合単位(C)を、その種類によっても異なるが、重合体において50質量%以下で含むことができるが、10質量%以下であることがより好ましい。
本発明の重合体の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)で1×103〜1×107であることが好ましく、1×105〜1×106であることが好ましい。分子量がこのような範囲であると、樹脂付着防止性能を十分に発揮することができるからである。一方、分子量が大きすぎると本発明の重合体の溶媒への溶解性が悪くなる傾向がある。
本発明の重合体は、上記のような重合単位(A)とともに、任意に、重合単位(B)および/または重合単位(C)を含んでよいこと以外は、重合形態など特に制限されない。共重合体である場合の重合形態は特に制限されず、ランダム、ブロック、グラフトなどのいずれでもよいがランダム重合体であることが好ましい。
重合体の製造方法も特に限定されず、各種の公知の方法を採用し得る。例えば、各化合物中の不飽和基に基づき付加重合させることができる。重合に際しては、公知の不飽和化合物の付加重合条件を適宜に採択して行うことができる。例えば重合開始源として有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等の通常の開始剤が利用できる。
本発明の樹脂付着防止剤は、被膜成分として上記のような特定の重合体を含み、該重合体を溶媒中に含む液状形態である。
本発明の樹脂付着防止剤の製造方法も限定されない。例えば本発明の重合体を公知の溶媒に溶解させて得ることができる。また、例えば化合物(a)を溶媒に添加し、この溶媒を重合媒体とする溶液重合によって本発明の重合体を製造し、本発明の重合体を含む前記溶媒を得て、これを本発明の樹脂付着防止剤とすることもできる。乳化重合させることで本発明の重合体を含む溶液を得て、これを本発明の樹脂付着防止剤とすることもできる。ここで得られた本発明の重合体を分離し、他の溶媒に溶解させてもよい。また、重合原料の化合物が、塩化ビニルなどのガスである場合には、圧力容器を用いて、加圧下に連続供給してもよい。
本発明の樹脂付着防止剤を形成する溶媒は、本発明の重合体を溶解又は分散できるものであればよく、特に限定されず、各種有機溶媒、水又はこれらの混合媒体などが挙げられる。例えば、アルコール以外の極性溶媒やフッ素系溶媒を用いることができる。アルコール以外の極性溶媒としては、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル系(酢酸エチルなど)、エーテル系(テトラヒドロフランなど)が挙げられる。フッ素系溶媒としては、ハイドロフルオロカーボン(HFC)又はハイドロフルオロエーテル(HFE)が挙げられる。中でもフッ素系溶媒が好ましい。使用可能なフッ素系溶媒の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
m-キシレンヘキサフルオリド(以下、m-XHFと記す。)
p-キシレンヘキサフルオリド
CF3CH2CF2CH3
CF3CH2CF2
613OCH3
613OC25
37OCH3
37OC25
613
CF2HCF2CH2OCF2CF2
CF3CFHCFHCF2CH3
CF3(OCF2CF2n(OCF2mOCF2
817OCH3
715OCH3
49OCH3
49OC25
49CH2CH3
CF3CH2OCF2CF2CF2
(上記例示中、m、nは各々1〜20の整数を表す。)
本発明の樹脂付着防止剤は、本発明の重合体を0.1〜20質量%で含有することが好ましく、1〜5質量%で含有することがより好ましい。本発明の樹脂付着防止剤における本発明の重合体の濃度がこの範囲内であると、付着防止性能が十分に発揮でき、本発明の樹脂付着防止剤の安定性も良好である。
本発明の樹脂付着防止剤における本発明の重合体の濃度は最終的濃度であればよく、例えば本発明の樹脂付着防止剤を重合組成物として直接調製する場合には、重合直後の重合組成物の重合体濃度(固形分濃度)が20質量%を超えていてもなんら差し支えない。高濃度の重合組成物は、最終的に上記好ましい濃度となるように適宜に希釈することができる。
本発明の樹脂付着防止剤は、その組成物としての安定性、樹脂付着防止性能又は外観等に悪影響を与えない範囲であれば、前記した以外の他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、例えば被膜表面の腐食を防止するためのpH調整剤、防錆剤、組成物を希釈して使用する場合に液中の重合体の濃度管理をする目的や未処理部品との区別をするための染料、染料の安定剤、難燃剤、消泡剤、又は帯電防止剤等が挙げられる。
本発明の樹脂付着防止剤を用いて付着を防止する樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等、電子部品に用いられる各種樹脂が挙げられる。中でもエポキシ樹脂が好ましい。
本発明において、電子部材とは、1個の電子部品に完成される前のパーツの段階のものであり、リード線、内部回路などのことをいう。
また、電子部品とは、上記電子部材を含むものであり、コンデンサー、抵抗器、スイッチ、ICチップなどのことをいう。
本発明の樹脂付着防止剤は、上記エポキシ樹脂等の付着を防止したい電子部材の一部に塗布して被膜を形成して利用することができる。該被膜は、本発明の樹脂付着防止剤から溶媒が除去されて形成されるものであり、主として、本発明の重合体からなるものである。ここで、主としてとは、該被膜が、本発明の重合体のみから形成されていてもよく、前記のように悪影響を与えない範囲で他の成分を含んでいてもよいことを意味する。該被膜における、本発明の重合体の含有量は、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。また、本発明の樹脂付着防止剤を目的及び用途に応じて、任意の濃度に希釈し、電子部材の表面の一部に被覆することができる。被覆方法としては一般的な被覆加工方法が採用できる。例えば浸漬塗布、スプレー塗布又はローラー等による塗布等の方法がある。
本発明の樹脂付着防止剤の塗布後は、溶媒の沸点以上の温度で乾燥を行うことがより好ましい。無論、被処理部品の材質などにより加熱乾燥が困難な場合には、加熱を回避して乾燥すべきである。なお、熱処理の条件は、塗布する組成物の組成や、塗布面積等に応じて選択すればよい。
封止用樹脂からなる被膜の形成を防止したい箇所(電子部材の表面など)に、主として本発明の重合体からなる被膜を形成し、その後、封止用樹脂からなる被膜を形成する工程を具備する製造方法によって電子部品を得ることができる。このような工程を具備する製造方法により、封止用樹脂からなる被膜の形成箇所の制御を簡便に行うことができる。
本発明は、上記のように表面の少なくとも一部に、本発明の重合体を含む被膜を有する電子部材、さらにはこれを含む電子部品を提供する。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断わりのない限り、以下の実施例の記載において「%」で表示されるものは「質量%」を表すものとする。
以下の実施例で使用する化合物を表2および表3に示す。使用した化合物は、市場から試薬として入手することができるもしくは、既知の合成法によって容易に合成できるものである。
(実施例1〜12)
密閉容器に、表4及び表5に記載の仕込み比(質量部)及び濃度となるように各化合物、重合溶剤(m−XHF)、開始剤(V-601)をそれぞれ仕込み、70℃で18時間以上反応を行った後、メタノールで再沈殿して重合体を取り出した。数回メタノールで洗浄した後、減圧乾燥機で乾燥させ実施重合体1〜12を得た。得られた重合物をm-XHFに溶解させ1質量%濃度の溶液を調整し、樹脂付着防止剤1〜12を得た。
(比較例1〜9)
密閉容器に、表6に記載の仕込み比(質量部)及び濃度となるように各化合物、重合溶剤(m−XHF)、開始剤(和光純薬工業株式会社製、V-601)をそれぞれ仕込み、70℃で18時間以上反応を行った後、メタノールで再沈殿して重合体を取り出した。数回メタノールで洗浄した後、減圧乾燥機で乾燥させ比較重合体1〜9を得た。得られた重合物をm-XHFに溶解させ1質量%濃度の溶液を調整し、比較組成物1〜9を得た。
上記で得られた樹脂付着防止剤1〜12及び比較組成物1〜9について、以下の性能を評価した。評価結果を表8および表9に示す。
[接触角の測定]
樹脂付着防止剤1〜12及び比較組成物1〜9を常温とし、各々にガラス板を浸漬した。そして1分後に取り出し約110℃で5分間乾燥させ、樹脂付着防止剤又は比較組成物の被膜を有する各ガラス板を得た。
次に各々の種類の被膜を形成した各ガラス板の被膜上にn-ヘキサデカン(n-HD)を滴下し、接触角を測定した。接触角の測定には自動接触角計OCA−20[dataphysics社製]を用いた。
[樹脂付着防止性能の評価]
長さが約5cmの錫めっきしたリード線を8本用意し、各々のリード線の3cm以上の部分を樹脂付着防止剤1〜12及び比較組成物1〜9の各々に1分間浸漬し、被膜を形成した。
次に、約110℃で5分間乾燥させた後、よく撹拌したエポキシ樹脂組成物にリード線の被膜形成部分の2cmを浸漬した。そして、1mm/sのスピードで引き上げ、約25度の室内で垂直な状態で保持した。
表8および表9中、エポキシ樹脂組成物が全く垂れず、浸漬した2cmの部分にエポシキ樹脂組成物が付着したままであったものを「×」、これに対してエポキシ樹脂組成物がリード線の末端まで落ちきったものを「○」、半分以上落ちてきたが末端まで落ちなかったものを「△」とした。
なお、ここで使用したエポキシ樹脂組成物(ペルノックス株式会社)は、下記表7に示す主剤、希釈剤および硬化剤を表7中の比率(質量部)で配合して調合したものを用いた。上記評価は、エポキシ樹脂組成物を配合後、1時間以内に行った。
従来、樹脂付着防止性能は、撥油性と相関があると考えられていた。そのため、撥油性の指標となるn-HDの接触角の高いものほど良好と考えられていた。しかしながら、本発明により、樹脂付着防止性能は撥油性だけに依存するものでないことを明らかとなった。また、特定の含フッ素構造を選択することで、PFOAの発生の恐れのある化合物を使用しなくとも、十分な性能を有する電子部品用樹脂付着防止剤が得られることを見出した。このことは、本発明が生体及び環境へのリスクが大きく低下させながらも、高い性能を有する樹脂付着防止剤の提供を可能にしたことを示す。

Claims (5)

  1. 少なくとも下記式(a)で表される化合物から導かれる重合単位を含有する重合体を、溶媒中に含む電子部品用樹脂付着防止剤。
    CH2=C(R1)−COO−Rf1 式(a)
    式(a)中、
    1:水素原子又はメチル基、
    Rf1:主鎖の炭素数が2〜5であり、フッ素原子を4つ以上含み、主鎖末端基がCFであるポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルコキシアルキル基である。
  2. 前記重合体における前記重合単位の含有量が50質量%以上である、請求項1に記載の樹脂付着防止剤。
  3. 付着を防止する樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1または2に記載の樹脂付着防止剤。
  4. 表面の少なくとも一部に、請求項1に記載の式(a)で表される化合物から導かれる重合単位を含有する重合体を含む被膜を有する電子部材。
  5. 請求項4に記載の電子部材を含む電子部品。
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