JP5840610B2 - 非引火性溶媒および表面処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、非引火性溶媒およびそれを含むフッ素系表面処理剤に関する。
従来、各種基材表面には、撥水性、撥油性およびフラックス等の溶媒(2−プロパノール:IPA)に対する撥IPA性を付与するためのフッ素系重合体、特に多くの場合パーフルオロアルキル基を有するフッ素系重合体を乾燥性溶媒中に含む表面処理剤が適用される。この表面処理剤に使用される溶媒は、乾燥性が良好であって、かつフッ素系重合体の溶剤となり得るものである。フッ素系重合体は、本質的に通常の有機溶媒に対する溶解性が貧しいことから、フッ素系重合体の溶剤は、実質的にフッ素系溶媒である。
これまで使用されてきたフッ素系溶媒の典型例は、いわゆるフロン溶剤であり、たとえばジクロロペンタフルオロプロパンおよびジクロロフルオロエタン等のハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などである。しかし、HCFCはオゾン破壊係数を有するため、先進国においては2020年に生産が全廃されることが決まっている。また、代替フロンとして使用されてきたトリデカフルオロヘキサンやデカフルオロペンタン等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロヘキサン等のパーフルオロカーボン(PFC)(特許文献1参照)も、温暖化係数が高いため、地球温暖化防止の目的から京都議定書の規制対象物質となっている。
そこで、上記に代わり得るフッ素系溶媒として近年開発が進められているものの1つに、ハイドロフルオロエーテル(HFE)がある。すでに、(パーフルオロブトキシ)メタン(C49OCH3)、(パーフルオロブトキシ)エタン(C49OC25)、2,2,2−トリフルオロエトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CF3CH2OCF2CF2H)などの市販品もある。HFEは、非引火性で、かつ乾燥性も良好であり、化学的および熱的安定性に優れ、オゾン破壊係数がゼロで地球温暖化効果が比較的小さい等の利点を有する。しかしながら、これらHFEは非常に高価である。
一方、安価に入手し得るフッ素系重合体の溶剤として、ベンゼン骨格を有するフッ素系溶媒、たとえばビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどがある。しかしながら、これらのベンゼン骨格を有するフッ素系溶媒のほとんどは引火性である。
この引火性のベンゼン骨格を有するフッ素系溶媒を、非引火性フッ素系溶媒と混合してフッ素系重合体の溶剤とする開示がある。たとえば、1,3−ジ(トリフルオロメチル)ベンゼンを上記HFE、HFCなどとの混合溶媒として全溶媒中5重量%または49.75重量%の量で含ませた例がある(特許文献2参照)。
このベンゾトリフルオライド類を含む場合には、その濃度が高くなると引火性が発現するとして50重量%を超えては含まれないことが開示されている(特許文献3参照)。この文献には、具体的に、いずれも非引火性のHFEとHFCとの混合物は引火点をもたない(比較例3)が、50重量%を超えてベンゾトリフルオライド類を含ませた場合、具体的にはHFE(3%)、HFC(42%)および1,3−ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン(55%)の組成物は、引火点(20℃)をもつことが示されている(比較例2)。
特開2001−262171号公報 特開2009−57530号公報 特開2008−38108号公報
表面処理剤が引火性で、消防法上危険物に該当する場合には、取り扱い場所や保管場所および保管数量に非常に大きく制限を受けるだけではなく、使用設備を防爆対応することが義務付けられ、莫大な経済的負担が必要となる。このため、表面処理剤の大部分を占める溶媒は、安価でかつ非引火性であることが望まれる。
本発明は、フッ素系重合体の溶剤として使用することができる、安価で、環境への負荷が少ない非引火性溶媒、さらには該溶媒の使用により安価に提供され得る、各種基材表面に撥水性、撥油性および撥IPA性を充分に付与し得る環境への負荷が少ないフッ素系表面処理剤の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討するうちに、汎用のビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(引火点26℃)を、特にHFEの1つであるCF3CH2OCF2CF2H(引火点なし)と混合して用いた場合には、引火性のビス(トリフルオロメチル)ベンゼンが非引火性のCF3CH2OCF2CF2Hより多量(質量比)であっても、両者の混合物であれば引火点をもたないすなわち非引火性であることを見出した。特に、引火性のビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの割合が混合物の大部分を占める90質量%以上としても、両者の混合物であれば非引火性であるという、先に述べた当業者の技術常識を覆す知見を得ている。さらに、この混合溶媒は、最終の全溶媒中20質量%までであれば、他の溶媒、通常、非引火性溶媒を加えても非引火性であることが確認できた。また、これらの混合溶媒は、含フッ素化合物を含ませて表面処理剤とした場合でも、その特異な非引火性を維持していた。そこで、以下のような本発明を提供する。
(1)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンと(2)CF3CH2OCF2CF2Hとを、(1)/(2)=70/30〜97/3の質量比で、かつ両者の合計で溶媒全量中80質量%以上の量で含む非引火性溶媒。
上記(1)/(2)質量比は、特に好ましくは80/20〜96.25/3.75である。
上記非引火性溶媒は、溶媒全量中20質量%以下の量で、上記(1)および(2)以外の溶媒成分を含むことができる。
この場合、非引火性溶媒中の(1)以外の引火性溶媒成分の量は、溶媒全量中1質量%以下であることが好ましい。
(2)以外の非引火性溶媒成分としては、ハイドロフルオロエーテルが好ましい。
上記のような非引火性溶媒と、溶質としての含フッ素化合物とを含む表面処理剤。
上記含フッ素化合物は、含フッ素重合体またはポリフルオロアルキル基含有のリン酸エステル化合物であることが好ましい。
表面処理剤の溶質濃度は20質量%以下であることが好ましい。
表面処理剤の動粘度は、1.0×10−5/s以下であることが好ましい。
本発明の表面処理剤は、はんだ用フラックス這い上がり防止剤、潤滑オイルの染み出し防止剤、防水・防湿コーティング剤、電子部品用樹脂付着防止剤等および離型剤に使用することができる。
本発明では、上記のような表面処理剤で被覆された基材も提供することができる。
本発明は、含フッ素重合体の溶剤として、安価な非引火性溶媒を提供し得る。また、各種基材表面に撥水性、撥油性および撥IPA性を充分に付与することができるとともに、非引火性で、環境的にも経済的にも優れたフッ素系表面処理剤の提供を可能とした。
本発明で使用される(1)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンは、別名キシレンヘキサフルオライドとも称され、市販品として入手可能である。以下、「XHF」とも記す。なお、XHFは、位置異性体であるo−XHF(1,2−ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)、m−XHF(1,3−ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)およびp−XHF(1,4−ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)のいずれか1種でもよく、これら2種以上の混合物でも構わない。本発明において、XHFとしては、m−XHFが好ましい。
また、本発明で使用される(2)CF3CH2OCF2CF2H(2,2,2−トリフルオロエトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン)は、物質名HFE-347pc-fとしても扱われ、市販品として入手可能である。以下、「HFE−347」とも記す。なお、HFE−347は、製品カタログなどでCF3CH2OCF2CHF2と記載されることもある。
本発明の非引火性溶媒において、上記(1)/(2)の質量比は、ましくは70/30〜97/3、より好ましくは80/20〜96.25/3.75、特に好ましくは85/15〜96.25/3.75である。このようにXHFを50質量%以上の量で含むにも拘わらず溶媒が非引火性を示すことは知られていない。上記(1)/(2)の質量比により高価なHFE−347の使用量を著しく低減することができる。
本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記特定成分(1)および(2)の混合溶媒に、他の溶媒成分を加えることができる。その場合、(1)および(2)の合計質量が、溶媒全量中の80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。これらの範囲では、非引火性溶媒の溶質の含フッ素化合物の溶解性が良好で、高価な他の溶剤たとえばHFEなどの使用量が抑えられる。
他の溶媒成分が、(1)以外の引火性を有する溶媒成分である場合には、溶媒全量中20質量%以下であって引火性に影響を与えない範囲であれば特に限定されないが、好適範囲としては、溶媒全量中1質量%以下である。
溶質の含フッ素化合物の均一溶解性から、他の溶媒成分としては、(2)以外の非引火性溶媒であるHFCおよびHFEなどが好ましく用いられる。特にHFEが好ましい。
(2)以外のHFEとしては、具体的に以下のものが挙げられる。
613OCH3
613OC25
37OCH3
37OC25
CF2HCF2CH2OCF2CF2
CF3(OCF2CF2n(OCF2mOCF2
817OCH3
715OCH3
49OCH3
49OC25
およびこれらの混合物。
上記例示中、添字mおよびnは各々1〜20の整数を表し、アルキル骨格基は直鎖または分岐の態様を含む。
(2)以外の非引火性溶媒は、溶媒全量中20質量%以下であれば特に限定されないが、環境への影響および高価なHFEなどの使用量を抑えることから10質量%以下がより好ましい。
本発明において、「引火性」とは、以下の手順で引火点測定を実施し引火点を持つことと定義する。各引火点測定方法はJIS−K−2265に定められている方法に従うものとする。
<引火点の測定手順>
(a)タグ密閉法による引火点測定の実施。
(b)(a)において、引火点が80℃以下の温度で引火点が測定できない場合にあっては、クリーブランド開放法による引火点測定の実施。
本発明の表面処理剤は、上記のような非引火性溶媒と、溶質とから形成される。ここで、溶媒とは、室温において動粘度が1.0×10-5/s未満の液体成分と定義し、溶質とは、室温において固体もしくは動粘度が1.0×10-5/s以上の液体成分と定義する。
本発明に係る表面処理剤は、溶質として少なくとも含フッ素化合物を含む。この含フッ素化合物は、通常、ポリフルオロアルキル基を含有する化合物であり、具体的には、該基を含有する含フッ素重合体または含フッ素リン酸エステルが挙げられる。
含フッ素重合体は、少なくともポリフルオロアルキル基含有化合物(a)から導かれる構成単位を含む。この化合物(a)は、典型的に(メタ)アクリル酸化合物であり、具体的には(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリルアミドなどである。
化合物(a)としては、下記構造が挙げられる。
CH2=CR−COX−Q−Rf
該式中のRは水素原子またはメチル基であり、Xは−O−または−NH−であり、Qは単結合または2価の連結基であり、Rfは炭素数1〜20のポリフルオロアルキル基である。2価の連結基としては炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」の語は、アクリルおよびメタクリルの両方またはどちらか一方を意味する。このような化合物(a)を具体的に(メタ)アクリル酸エステルで例示すれば、
CH2=CH−COO−(CH2n−(CF2F、
CH2=C(CH3)−COO−(CH2n−(CF2
(上記例示中、添字nは0〜4、添字mは1〜16の整数である。)
などが挙げられるが、化合物(a)は、これらに限定されるものではない。
これらのうちでも、mが1〜6であるものが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸エステルは、表面処理剤に求める性能により適宜選択できる。例えば、撥水性を特に重視する場合はメタクリル酸エステルが好ましく、撥油性や撥IPA性を特に重視する場合や、被膜の耐熱性を特に重視する場合は、アクリル酸エステルである場合が好ましい。
含フッ素重合体は、化合物(a)から導かれる構成単位を、通常50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有する。なお本発明において、重合体における構成単位の質量%は、重合に使用した原料化合物がすべて構成単位を構成するとみなした値である。
含フッ素重合体が、化合物(a)のみの重合体である場合には、化合物(a)の1種の単独重合体でも2種以上の共重合体でもよい。
また、含フッ素重合体が共重合体である場合には、他の化合物(b)から導かれる構成単位を1種または複数種含むことができる。化合物(b)は、通常、ポリフルオロアルキル基を含有しない化合物であり、たとえば(メタ)アクリル酸、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、反応性を有する官能基を含む化合物、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有化合物、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有化合物、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有化合物、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸などのカルボキシル基含有化合物などであるが、これらに限られない。
含フッ素リン酸エステルとしては、下記構造が挙げられる。
(Rf−Q−O−)r−P(O)(OM)s
該式中のRfは炭素数1〜20のポリフルオロアルキル基であり、Qは単結合または2価の連結基であり、Mは水素原子、アンモニウム基、置換アンモニウム基またはアルカリ金属原子であり、rは1〜3の整数であり、sは0〜2の整数であり、r+sは3である。2価の連結基としてはOH基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。
含フッ素リン酸エステルの具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
F(CF2m-CH2CH2-P(O)(OH)2
(F(CF2m-CH2CH22P(O)(OH)
F(CF2m-CH2CH(OH)CH2O-P(O)(OH)2
(F(CF2m-CH2CH(OH)CH2O)2P(O)(OH)
F(CF2m-CH2CH2O-P(O)(OH)2
(F(CF2m-CH2CH2O)2-P(O)(OH)
上記例示中、添字mは1〜16の整数であり、好ましくは1〜6である。
含フッ素リン酸エステルは、表面処理剤として金属表面を処理する場合に特に好適である。また、離型剤として用いる場合にも特に好適である。
本発明の表面処理剤は、上記溶媒に溶解もしくは分散させることが可能で、本発明の目的を損なわず、安定性、性能および外観等に悪影響を与えない範囲であれば上記のような含フッ素化合物以外にも他の溶質を特に制限なく含むことができる。
たとえば、ジメチルメチルシリコーンやポリエチレングリコールアルキルアミンなどが挙げられる。さらに、被膜表面の腐食を防止するためのpH調整剤、防錆剤、表面処理剤を希釈して使用する場合に液中の重合体の濃度管理をする目的や未処理部品との区別をするための染料、染料の安定剤、難燃剤、消泡剤および帯電防止剤等の他の成分が挙げられる。
本発明の表面処理剤は、溶質濃度が20質量%以下であることが好ましい。この溶質とは、表面処理剤における溶質全体、すなわち上記含フッ素化合物だけでなく、他の溶質および他の成分も含むことを意味する。
本発明の表面処理剤の含フッ素化合物の濃度は、用途によって適宜設定されることが好ましい。防水・防湿コート剤では、1〜20質量%であるのが好ましい。潤滑オイルの染み出し防止剤や電子部品用樹脂付着防止剤では、1〜5質量%であるのが好ましい。はんだ用フラックス這い上がり防止剤では、濃度が0.01〜1質量%であるのが好ましい。離型剤では、0.1〜10質量%であるのが好ましい。
上記含フッ素化合物の濃度は、各用途での最終的な濃度であればよい。各用途に供するには高濃度、たとえばはんだ用フラックス這い上がり防止剤である場合の1質量%を超えていてもなんら差し支えなく、希釈等により適宜調整すればよい。また、含フッ素化合物が含フッ素重合体である場合には、重合体を高濃度(固形分濃度)で含む重合溶液をそのまま各用途での好適濃度に希釈して使用することができる。
溶質全量中の含フッ素化合物の量は、用途により異なっていても構わない。例えば、防水・防湿コート剤、潤滑オイルの染み出し防止剤、電子部品用樹脂付着防止剤およびはんだ用フラックス這い上がり防止剤では、溶質成分の90質量%以上が含フッ素化合物であることが好ましいが、離型剤では、含フッ素化合物が溶質成分の50質量%以下であっても構わない。
本発明の表面処理剤の動粘度は、1.0×10-5/s未満であることが好ましく、より好ましくは5.0×10-6/s以下である。これらの動粘度範囲であれば、表面処理剤の作業性が良好である。
本発明の表面処理剤は、撥水性、撥油性および撥IPA性等の性能を付与したい部分に塗布して被膜を形成して利用することができる。該被膜は、本発明の表面処理剤から溶媒が除去されて形成されるものであり、主として、本発明の溶質成分からなるものである。被覆方法としては一般的な被覆加工方法が採用できる。例えば浸漬塗布、スプレー塗布、ローラー塗布等の方法がある。
本発明の表面処理剤の塗布後は、溶媒の沸点以上の温度で乾燥を行うことが好ましい。無論、被処理部品の材質などにより加熱乾燥が困難な場合には、加熱を回避して乾燥すべきである。なお、熱処理の条件は、塗布する表面処理剤の組成や、塗布面積等に応じて選択すればよい。
本発明の表面処理剤は、各種材料の処理に適用可能であるが、中でも精密機器部品や摺動部品(モーター、時計、HDD)、電気部品(電子回路や基板、電子部品等)および各種樹脂製系のモールドの処理に用いるのが好ましい。中でも、本発明の表面処理剤を、はんだ用フラックス這い上がり防止剤、潤滑オイルのにじみ出し防止剤、防水コート剤、防湿コート剤、電子部品用樹脂付着防止剤および離型剤として用いることが好ましい。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例で使用した化合物は、市場から試薬として入手することができるものまたは既知の合成法によって容易に合成できるものである。また、以下の実施例において、特に断わりのない限り「%」で表示されるものは「質量%」を表すものとする。
(合成例1)含フッ素重合体1(C6FMA/HEMA共重合体)の合成
密閉容器に、CH2=C(CH3)-COO-CH2CH2(CF26F(C6FMA)を294質量部、CH2=C(CH3)-COO-CH2CH2OH(HEMA)を6質量部、m−XHFを299質量部および開始剤(ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオナート,和光純薬工業,V−601)を1質量部、それぞれ仕込み、70℃で18時間反応させた。
反応後の重合溶液に、m-XHFを加えて希釈し、含フッ素重合体濃度20%のm-XHF溶液を得た。
(実施例1〜4および比較例1〜6)表面処理剤の調製
表面処理剤の調製に使用した溶媒成分を表1に示す。
溶媒成分(1)/(2)の質量比を95/5、90/10、85/15、80/20、50/50と変化させた混合溶媒について、前述の引火点測定を行い、引火性の有無を試験したところ、いずれも非引火性であった。
合成例1で得られた含フッ素重合体溶液を、各所定量の溶媒で重合体濃度0.2%に希釈した。得られた各表面処理剤中の溶媒組成を表2に示す。
上記で得られた各表面処理剤について、前述の引火点測定を行い、引火性の有無を試験した。結果を表2に示す。表2に示すとおり、m-XHFとHFE-347とで特定される混合溶媒は、引火性のm-XHFを多量に含んでいても非引火性である。
実施例1〜4の表面処理剤について、以下のとおり接触角、動粘度および密度を測定した。結果を表3に示す。
[接触角の測定]
実施例1〜4の各表面処理剤に室温でガラス板を1分間浸漬した後、室温で乾燥させ、各処理剤の被膜を有する各ガラス板を得た。
次に各ガラス板の被膜上に、水、IPAまたはn-ヘキサデカン(n-HD)を滴下し、接触角を測定した。
接触角の測定には、自動接触角計OCA−20[dataphysics社製]を用いた。
[動粘度の測定]
各表面処理剤について、ウベローデ粘度計を用いて、25℃での動粘度を測定した。
[比重測定]
各表面処理剤について、室温での比重を標準比重計(浮ひょう)を用いて測定した。
合成例1で得られた含フッ素重合体溶液を、溶媒成分(1)/(2)の質量比を75/25とした混合溶媒で表4に記載の濃度に希釈した。得られた表面処理剤5〜8について、実施例1〜4と同様に接触角、動粘度および密度を測定した。結果を表4に示す。なお、表面処理剤8について前述の引火点測定を行い、引火性の有無を試験したところ、非引火性であった。
含フッ素重合体1と同様にして、含フッ素重合体2および含フッ素重合体3を合成した。各重合体における化合物の仕込み比を表5に示す。
表5における化合物(a1)〜化合物(b2)の構造を表6に示す。
前記重合体2の溶液を、溶媒成分(1)/(2)の質量比を90/10とした混合溶媒で重合体濃度0.2%に希釈した。これを表面処理剤9とする。重合体3も同じ条件で希釈したものを表面処理剤10とする。また、含フッ素リン酸エステルである化合物(P1)と添加剤である化合物(Z1)を含む表面処理剤11を調製した。各表面処理剤について表7にまとめて示す。
化合物(P1):(F(CF2)6-CH2CH(OH)CH2O)2P(O)(OH)
化合物(Z1):C1837N((C24O)xH)(C24O)yH (x+yは平均20)
表面処理剤9〜11について、実施例1〜4と同様に接触角、動粘度および密度を測定した。結果を表8に示す。
以上の結果から、本発明では、撥水性、撥油性および撥IPA性が、各種基材への表面処理に十分な性能であるとともに、引火性を有さず、かつ環境への悪影響が低いにもかかわらず、経済的メリットが非常に高い表面処理剤の提供を可能にした。

Claims (14)

  1. (1)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンと(2)CF3CH2OCF2CF2Hとを、(1)/(2)=70/30〜97/3の質量比で、かつ両者の合計で溶媒全量中80質量%以上の量で含む非引火性溶媒。
  2. 前記(1)/(2)質量比が80/20〜96.25/3.75である請求項1に記載の非引火性溶媒。
  3. 前記(2)以外の非引火性溶媒成分としてハイドロフルオロエーテルを含む請求項1または2に記載の非引火性溶媒。
  4. 前記(1)以外の引火性溶媒成分の溶媒全量中の量が1質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の非引火性溶媒。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の非引火性溶媒と、溶質としての含フッ素化合物とを含む表面処理剤。
  6. 前記含フッ素化合物が、含フッ素重合体またはポリフルオロアルキル基含有のリン酸エステル化合物である請求項5に記載の表面処理剤。
  7. 溶質濃度が20質量%以下である請求項5または6に記載の表面処理剤。
  8. 動粘度が1.0×10−5/s以下である請求項5〜7のいずれかに記載の表面処理剤。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の表面処理剤を使用したはんだ用フラックス這い上がり防止剤。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載の表面処理剤を使用した潤滑オイルの染み出し防止剤。
  11. 請求項5〜8のいずれかに記載の表面処理剤を使用した防水・防湿コーティング剤。
  12. 請求項5〜8のいずれかに記載の表面処理剤を使用した電子部品用樹脂付着防止剤。
  13. 請求項5〜8のいずれかに記載の表面処理剤を使用した離型剤。
  14. 請求項5〜8のいずれかに記載の表面処理剤で被覆された基材。
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