JP2005023259A - 不燃性組成物および合成樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
不燃性組成物および合成樹脂発泡体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】地球温暖化能が小さく環境影響は小さく、気体の熱伝導率も小さく、発泡剤、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒として有用であるＨＦＥ−２５４ｐｃ（可燃性）を不燃化した不燃性混合物および該不燃性混合物を発泡剤として使用する発泡体の製造方法の提供。
【解決手段】ヒドロフルオロエーテルＨＦＥ−２５４ｐｃ（ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３）に不燃性のヒドロフルオロエーテル類（不燃性ＨＦＥ）を混合物し不燃とした不燃性組成物および該発泡剤を用いる発泡体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ヒドロフルオロエーテルＨＦＥ−２５４ｐｃ（ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３）に不燃性のヒドロフルオロエーテル類（不燃性ＨＦＥ）を混合物し不燃とした不燃性組成物および該発泡剤を用いる発泡体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡剤、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒として有用な不燃性組成物に関する。また、本発明は、該不燃性組成物を発泡剤として用いた発泡体製造用プレミックスおよびポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体の製造方法である。
【０００２】
【従来の技術】
従来、発泡剤として、トリクロロモノフルオロメタン（ＣＦＣ−１１）、ジクロロモノフルオロエタン（ＨＣＦＣ−１４１ｂ）などが広く用いられていた。しかしこのＣＦＣ類、ＨＣＦＣ類は、成層圏のオゾン層を破壊し、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘され、現在、その製造が禁止もしくは制限されている。
【０００３】
このような問題に対応するために、大気中に放出された場合にもオゾン層を破壊しないＣＦＣ類、ＨＣＦＣ類の代替化合物が求められている。発泡剤用途の代替化合物として、ハイドロカーボン系（ＨＣ系）、ヒドロフルオロカーボン系（ＨＦＣ系）、ヒドロフルオロエーテル系（ＨＦＥ系）等が数多く提案されている。
【０００４】
ＨＣ系の利点として、地球温暖化や成層圏のオゾン層破壊等の影響は少ないが、これらの多くは可燃性であり、安全性が懸念されている。また、シクロペンタン等が提案されているが、その気体の熱伝導率が高いので、冷蔵庫等の断熱用ポリウレタンフォームの発泡剤として使用した場合、断熱性能が低くなる。このことは、消費電力の増加を導き、間接的に地球温暖化に影響することになる。
【０００５】
ＨＦＣ系は塩素原子、沃素原子、臭素原子等のオゾンを破壊する原子を含まないので、オゾン層への影響はゼロに近い。しかし、不燃性のＨＦＣの多くは大気寿命が長く、地球温暖化への影響が懸念されている。
【０００６】
ＨＦＥ系も塩素原子、沃素原子、臭素原子等のオゾンを破壊する原子を含まないので、オゾン層への影響はゼロに近い。また、推算によると水素を複数持つＨＦＥは大気中のＯＨラジカルとの反応性が比較的早く大気寿命が短いので、地球温暖化への影響も少ない。しかし、ＨＦＥを単独で使用した場合、必要とする性能が十分に発揮されない場合がある。
【０００７】
特許文献１、特許文献２および特許文献３には硬質ポリウレタンフォームの製造法として、発泡剤にフッ素化エーテルの１種類または多数の該当エーテルまたは他の発泡剤との混合発泡剤を用いる方法が開示されている。この中に１，１，２，２−テトラフルオロエチルメチルエーテル（以下、ＨＦＥ−２５４ｐｃ）が発泡剤として使用可能なことが例示され、他の発泡剤との組み合わせも提案されているが、ＨＦＥ−２５４ｐｃは可燃性であり、その使用において不燃化する方法については述べられていない。
【０００８】
【特許文献１】
特開平３−９３８４１号公報
【０００９】
【特許文献２】
特開平４−３５９９３６号公報
【００１０】
【特許文献３】
特開平４−２８７２９号公報
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
ＨＦＥ−２５４ｐｃは地球温暖化能が小さく環境影響は小さく、気体の熱伝導率も小さいので、発泡剤、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒として有用であるが、可燃性であるため使用範囲が制限される。本発明の課題は、ＨＦＥ−２４５ｐｃをその物性を落とさないように不燃化することにある。特にＨＦＥ−２５４ｐｃは発泡剤として優れており、発泡剤、ポリオール、触媒、界面活性剤、整泡剤およびその他添加剤を混合したプレミックスとポリイソシアネートを混合撹拌することによりポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームの製造において良好な発泡体を与えるが、発泡剤やプレミックスが可燃性であるため、その実施においては、貯蔵、輸送の設備の問題、製造工程を防爆設備にする必要性などの問題がある。また、特に建築などによく用いられる現場でのスプレー発泡などの使用法には不向きである。本発明は、ＨＦＥ−２５４ｐｃを発泡剤として使用するための、不燃性混合物を提供することを課題とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。ヒドロフルオロエーテルＨＦＥ−２５４ｐｃ（ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３）に不燃性のヒドロフルオロエーテル類（不燃性ＨＦＥ）を混合物し不燃とした不燃性組成物および該発泡剤を用いることにより上記の課題を解決することに成功した。
【００１３】
すなわち、本発明は、１，１，２，２−テトラフルオロエチルメチルエーテル（ＨＦＥ−２５４ｐｃ）と不燃性のヒドロフルオロエーテル類とを混合した不燃性組成物である。
【００１４】
上記、不燃性のヒドロフルオロエーテル類は、一般式（１）
ＣａＨｂＦｃ−Ｏ−ＣｄＨｅＦｆ （１）
（式中、ａ＋ｄが２〜６、ｂ＋ｅ＞１かつｂ＋ｅ＜ｃ＋ｆ となるような水素原子とフッ素原子の組み合わせを示す）で表される不燃性ヒドロフルオロエーテルよりなる群からから選択される少なくとも１種類の化合物である。
【００１５】
また、本発明は、発泡剤と１種以上のポリオール、触媒及びその他添加剤を含むプレミックスであって、発泡剤として上記の不燃性組成物を用いることを特徴とする発泡体製造用プレミックスである。このプレミックスとポリイソシアネートを反応させることにより、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を製造できる。
【００１６】
さらに本発明は、発泡剤の存在下で、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を製造する方法において、発泡剤として上記の不燃性組成物を用いることを特徴とする発泡体の製造方法である。
【００１７】
一般に、発泡剤とポリオールとの相溶性が高いと良好なフォームを得やすく、逆に相溶性が低いと良好なフォームを得にくい。ＨＦＥ−２５４ｐｃはポリオールへの溶解性が高いが可燃性であり、不燃性ＨＦＥは不燃性ではあるが相対的にポリオールへの相溶性が低い化合物であるが、ＨＦＥ−２５４ｐｃと不燃性ＨＦＥとを混合することにより得られる混合ＨＦＥは、混合組成を調整することにより、不燃かつ相溶性の高いものとなる。該ＨＦＥ−２５４ｐｃ／不燃性ＨＦＥ混合物を発泡剤として用いて製造した硬質ウレタンフォーム発泡体は発泡過程で蒸気圧の差もなく均一で微細なセルをもった良好なものが得られた。
【００１８】
また、このＨＦＥ−２５４ｐｃ／不燃性ＨＦＥ混合物は、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒等の用途でも使用可能である。
【００１９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による不燃性混合組成物を詳細に説明する。
【００２０】
本発明の原料化合物であるＨＦＥ−２４５ｐｃは商業的に入手可能であり、例えばダイキン化成品販売株式会社より購入することができる。
【００２１】
本発明による不燃性混合発泡剤はＨＦＥ−２５４ｐｃに不燃性ＨＦＥを混合し、その混合物が不燃性を示す混合組成物である。ＨＦＥ−２５４ｐｃの沸点は３７℃であるが、混合する不燃性ＨＦＥの沸点がＨＦＥ２５４−ｐｃよりも低いか高いかによって蒸気組成が変わってくるので、不燃となる混合組成が違ってくる。たとえば、ＨＦＥ−２５４ｐｃとＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の低い不燃性ＨＦＥを用いる場合、不燃性となる混合組成は、ＨＦＥ−２５４ｐｃが７０から１重量％及び不燃性ＨＦＥ−２３６ｐｃが３０から９９重量％からなる組成、好ましくはＨＦＥ−２５４ｐｃが４０から５重量％及び不燃性ＨＦＥが６０から９５重量％からなる組成である。
【００２２】
本発明で用いられるＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の低い不燃性ＨＦＥ系発泡剤は、特に限定されないが、ＣＦ３ＣＨＦＯＣＦ３（ＨＦＥ−２２７ｍｅ），ＣＦ３ＣＨＦＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２３６ｍｅ），ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＦ３（ＨＦＥ−２３６ｍｆ）， ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２３６ｐｃ），ＣＦ３ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−２４５ｍｃ），ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２４５ｍｆ），ＣＦ３ＣＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−２４７ｍｃｃ），ＣＦ３ＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（３３８ｍｃ−ｆ），（ＣＦ３）２ＣＦＯＣＨ３（ＨＦＥ−３４７ｍｍｙ）等が挙げられ、これらの群より少なくとも１種類選ばれる。
【００２３】
また、ＨＦＥ−２５４ｐｃとＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の高い不燃性ＨＦＥを用いる場合、不燃性となる混合組成は、ＨＦＥ−２５４ｐｃが５０から１重量％及び不燃性ＨＦＥが５０から９９重量％からなる組成、好ましくはＨＦＥ−２５４ｐｃが３０から５重量％及び不燃性ＨＦＥが７０から９５重量％からなる組成である。
【００２４】
本発明で用いられるＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の高い不燃性ＨＦＥ系発泡剤は、特に限定されないが、ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ２Ｆ（ＨＦＥ−２４５ｐｃ），ＣＨ２ＦＣＦ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２４５ｑｃ），ＣＦ３ＣＦ２ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−３４７ｍｃｆ），ＣＦ３ＣＨＦＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｍｅｃ），ＣＨＦ２ＣＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｐｃｃ），ＣＨＦ２ＣＦ２ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−３５６ｐｃｆ），ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３４７ｐｃ−ｆ），ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３５６ｍｆ−ｆ），ＣＨ２ＦＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３５６ｑｃ−ｆ），（ＣＦ３）２ＣＨＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｍｍｚ），ＨＦＥ−７１００（３Ｍ社製）等が挙げられ、これらの群より少なくとも１種類選ばれる。
【００２５】
本発明で得られた組成物は、発泡剤とポリオールとの相溶性はそれらの種類により異なるが、一般に、フッ素を多く含む不燃性ＨＦＥ単独の場合、ポリオールとの相溶性が低い。本発明で得られた組成物はＨＦＥ−２５４ｐｃと不燃性ＨＦＥを混合しているので、不燃性ＨＦＥ単独に比べて、ポリオールとの相溶性が優れているが、更にポリオールとの相溶性を増すために界面活性剤や可溶化剤を使用することも可能である。また、界面活性剤の使用を好まない場合は発泡直前に本組成物をポリオール混合し、硬質ポリウレタンフォームを製造することも出来る。
【００２６】
本発明の組成物を用いて硬質ウレタンフォームの製造には、本組成物とポリオール、ポリイソシアネート、触媒、水、界面活性剤、整泡剤を混合、反応させることによって目的が達成できるが、イソシアネートには、芳香族、環状脂肪族、鎖状脂肪族系等のものが包含され、一般には２官能のものが使用される。このようなものとしては、例えば、トリレンジイドシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンイソシアネート等が挙げられる。これらのものは単独又は混合物の形で用いられる。
【００２７】
ポリオールには、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、多価アルコール、水酸基含有ジエチレン系ポリマー等が包含されるが、ポリエーテル系ポリオールの使用が好ましい。また、ポリエーテル系ポリオールを主成分とし、ポリエステル系ポリオール等の他のポリオールを含むポリオールの使用も可能である。
【００２８】
ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びそれら変性体の他、糖、多価アルコール、アルカノールアミン等の活性水素を含む化合物をイニシエータにして、これに、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、ブチレンオキシド等の環状エーテルを付加したものが好ましく使用される。
【００２９】
ポリエステル系ポリオールには、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が包含される。
【００３０】
ポリオールとしては、通常、その水酸基価が１００〜１０００のものが使用される。
【００３１】
触媒には、有機金属系触媒と有機アミン系触媒が包含される。有機金属触媒としては、有機スズ化合物が好ましく使用され、スタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート等が挙げられる。有機アミン系触媒としては、第３級アミン、例えば、トリエチレンジアミン、Ｎ−エチルモルホリン、ビス（２−ジメチルアミノエチル）エーテル、Ｎ，Ｎ‘，Ｎ’−トリエチルエタノールアミン等が挙げられる。
【００３２】
その他添加剤としては、整泡剤、難燃剤、安定剤など硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレート発泡体の諸物性を向上させるための添加剤が挙げられる。
【００３３】
整泡剤としては、通常有機ケイ素化合物系の界面活性剤が用いられ、東レシリコーン（株）製ＳＨ−１９３、ＳＨ−１９５、ＳＨ−２００またはＳＲＸ−２５３等、信越シリコーン（株）製Ｆ−２３０、Ｆ−３０５、Ｆ−３４１、Ｆ−３４８等、日本ユニカー（株）製Ｌ−５４４、Ｌ−５３１０、Ｌ−５３２０、Ｌ−５４２０、Ｌ−５７２０または東芝シリコーン（株）製ＴＦＡ−４２００、ＴＦＡ−４２０２等が挙げられる。
【００３４】
難燃剤としては、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームに使用されるリン酸エステルであり、トリス（２−クロロエチル）ホスフェート、トリス（２−クロロプロピル）ホスフェート、トリス（ブトキシエチル）ホスフェート、トリスメチルホスフェート、トリスエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス（イソプロピルフェニル）ホスフェート等が挙げられる。
【００３５】
含フッ素エーテルは、水分を含んだ状態で長期間保存すると、一部分解する欠点を有する。したがって、本発明の不燃性組成物も水分との共存下で保存する場合、部分的に分解してしまう可能性がある。また、本発明の不燃性組成物を発泡用プレミックス（発泡剤、一種以上のポリオール、触媒、その他添加物）の発泡剤としての使用するにあたり、該プレミックスに水を含む状態で保存する場合においても、分解してしまう可能性がある。特に発泡用プレミックスの場合、水を添加して使用する場合があるので、留意する必要がある。
【００３６】
そこで、本発明の不燃性組成物に必要に応じて安定剤を添加することにより、分解反応を抑えることができる。かかる安定剤としては、ニトロ基含有化合物、エポキシ基含有化合物、炭素炭素二重結合含有化合物、フェノール類化合物、ベンゾフェノン類化合物、ヒドロキノン類化合物、ベンゾトリアゾール類化合物、カーボネート類化合物から選ばれ、単独で添加してもよく２種以上を併用してもよい。 これらの化合物は、その特徴して、水酸基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、炭素炭素二重結合等を有し、これらの官能基が含フッ素エーテルを安定化させると推察される。
【００３７】
具体的には、ニトロ基含有化合物としては、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン等の化合物が、エポキシ基含有化合物としては、１，２−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、アクリル酸グリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル等の化合物が、炭素炭素二重結合含有化合物としては、α−メチルスチレン、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アリルグリシジルエーテルイソプレン、アロオシメン、アミレン、１，４−ヘキサジエン、グリシジルメタクリレート、ジエチルグリコールモノメタクリレート、ビニルトルエン、メタクリル酸メチル等の化合物が挙げられる。
【００３８】
また、フェノール類化合物としては、２，６−ジ−ｔ−ブチル−ｐ−クレゾール、ｐ−ｔ−ブチルフェノール、ｐ−クレゾール、ｐ−メトキシフェノール、ｔ−ブチルカテコール、イソオイゲノール、オイゲノール、チモール、ブチルヒドロキシアニソール等の化合物が、ベンゾフェノン類化合物としては、ｔ−ブチルクロロベンゾフェノン、イソアミルベンゾフェノン等の化合物が、ヒドロキノン類化合物としては、２，５−ジ−ｔ−アミルハイドロキノン、２，５−ジ−ｔ−ブチルハイドロキノン等の化合物が、ベンゾトリアゾール類化合物としては、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシメチルフェニルベンゾトリアゾール、２−（３’，５’−ジ−ｔ−ブチル−２’−ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾール等の化合物が、カーボネート類化合物としては、プロピレンカーボネート、１，２−ブチレンカーボネート、スチレンカーボネート等の化合物が挙げられる。
【００３９】
発泡剤に添加する安定剤の量はポリオール、触媒、整泡剤、難燃剤の種類、組成、および水分添加量に依存するが、発泡剤に対して０．００１〜１０重量％、好ましくは０．０５〜５重量％である。０．００１重量％より少なくした場合は安定効果が認められなくなり、また１０重量％よりも多量に使用した場合には発泡剤の特性を損なう為いずれも好ましくない。
【００４０】
本発明の発泡剤の使用割合は、ポリオール１００重量部当たり、５〜５０重量部、好ましくは１５〜３０重量部であり、このような量の発泡剤の使用により、２０ｋｇ／ｍ３以上、特に、３０〜８０ｋｇ／ｍ３の密度を有する硬質ウレタンフォームを得ることができる。
【００４１】
原料混合物の反応温度は、１５〜９０℃、好ましくは２０〜６０℃、より好ましくは２０〜３５℃である。
【００４２】
硬質ポリウレタンフォームの製造方法には、従来公知の各種の方法が包含され、本発明における硬質ポリウレタンフォームは、ワンショット法やプレポリマー法で製造することができる。また、そのフォームを得る際の発泡方法としては、現場発泡、スラブ発泡、注入発泡（充填法、モールド法）、ラミネート発泡、スプレー発泡等の各種の発泡方法を採用することができる。
【００４３】
また、本組成物はこれらの用途の他、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒等の用途でも使用可能である。
【００４４】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「実施例１」
ＨＦＥ−２５４ｐｃに難燃性ＨＦＥを混合し、表１に示す組成物を調製した。なお、難燃性ＨＦＥは、ＳｙｎＱｕｅｓｔＬａｂｓ．Ｉｎｃ．、ダイキン化成品販売（株）、住友スリーエム（株）より購入した。ＪＩＳ Ｋ２２６５に従い、測定温度８０℃まではタグ密閉式、測定温度８１℃以上はクリーブランド開放式で引火点の測定を行った。（○：引火点あり、×：引火点なし）を表１に示した。
【００４５】
【表１】
【００４６】
「実施例２」
シュークロース系ポリオール４５０Ｓ（ＯＨ価４５０：旭硝子（株）製）１００重量部、シリコーン系整泡剤Ｆ−３３８（信越化学（株）製）２．５重量部、水０．５重量部、Ｎ，Ｎ−ジメチルシクロヘキシルアミン（ゲルタイム５０秒とするための必要量）、発泡剤（コア密度が２７．５〜３２．５ｋｇ／ｍ３となるための必要量）からなる混合液（３２〜４５部）を調製し均一となるよう攪拌した。これにポリメチレンポリフェニルイソシアネートＰＡＩ１３５（ＭＤ化成（株）製）を混合し、２００×３００×１８０ｍｍの木製の鋳型に投入して発泡体を製造した。表２に使用した発泡剤と製造した発泡体の外観を示す（○：良好、△：やや不良、×：不良）。
【００４７】
【表２】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡剤、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒として有用な不燃性組成物に関する。また、本発明は、該不燃性組成物を発泡剤として用いた発泡体製造用プレミックスおよびポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体の製造方法である。
【０００２】
【従来の技術】
従来、発泡剤として、トリクロロモノフルオロメタン（ＣＦＣ−１１）、ジクロロモノフルオロエタン（ＨＣＦＣ−１４１ｂ）などが広く用いられていた。しかしこのＣＦＣ類、ＨＣＦＣ類は、成層圏のオゾン層を破壊し、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘され、現在、その製造が禁止もしくは制限されている。
【０００３】
このような問題に対応するために、大気中に放出された場合にもオゾン層を破壊しないＣＦＣ類、ＨＣＦＣ類の代替化合物が求められている。発泡剤用途の代替化合物として、ハイドロカーボン系（ＨＣ系）、ヒドロフルオロカーボン系（ＨＦＣ系）、ヒドロフルオロエーテル系（ＨＦＥ系）等が数多く提案されている。
【０００４】
ＨＣ系の利点として、地球温暖化や成層圏のオゾン層破壊等の影響は少ないが、これらの多くは可燃性であり、安全性が懸念されている。また、シクロペンタン等が提案されているが、その気体の熱伝導率が高いので、冷蔵庫等の断熱用ポリウレタンフォームの発泡剤として使用した場合、断熱性能が低くなる。このことは、消費電力の増加を導き、間接的に地球温暖化に影響することになる。
【０００５】
ＨＦＣ系は塩素原子、沃素原子、臭素原子等のオゾンを破壊する原子を含まないので、オゾン層への影響はゼロに近い。しかし、不燃性のＨＦＣの多くは大気寿命が長く、地球温暖化への影響が懸念されている。
【０００６】
ＨＦＥ系も塩素原子、沃素原子、臭素原子等のオゾンを破壊する原子を含まないので、オゾン層への影響はゼロに近い。また、推算によると水素を複数持つＨＦＥは大気中のＯＨラジカルとの反応性が比較的早く大気寿命が短いので、地球温暖化への影響も少ない。しかし、ＨＦＥを単独で使用した場合、必要とする性能が十分に発揮されない場合がある。
【０００７】
特許文献１、特許文献２および特許文献３には硬質ポリウレタンフォームの製造法として、発泡剤にフッ素化エーテルの１種類または多数の該当エーテルまたは他の発泡剤との混合発泡剤を用いる方法が開示されている。この中に１，１，２，２−テトラフルオロエチルメチルエーテル（以下、ＨＦＥ−２５４ｐｃ）が発泡剤として使用可能なことが例示され、他の発泡剤との組み合わせも提案されているが、ＨＦＥ−２５４ｐｃは可燃性であり、その使用において不燃化する方法については述べられていない。
【０００８】
【特許文献１】
特開平３−９３８４１号公報
【０００９】
【特許文献２】
特開平４−３５９９３６号公報
【００１０】
【特許文献３】
特開平４−２８７２９号公報
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
ＨＦＥ−２５４ｐｃは地球温暖化能が小さく環境影響は小さく、気体の熱伝導率も小さいので、発泡剤、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒として有用であるが、可燃性であるため使用範囲が制限される。本発明の課題は、ＨＦＥ−２４５ｐｃをその物性を落とさないように不燃化することにある。特にＨＦＥ−２５４ｐｃは発泡剤として優れており、発泡剤、ポリオール、触媒、界面活性剤、整泡剤およびその他添加剤を混合したプレミックスとポリイソシアネートを混合撹拌することによりポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームの製造において良好な発泡体を与えるが、発泡剤やプレミックスが可燃性であるため、その実施においては、貯蔵、輸送の設備の問題、製造工程を防爆設備にする必要性などの問題がある。また、特に建築などによく用いられる現場でのスプレー発泡などの使用法には不向きである。本発明は、ＨＦＥ−２５４ｐｃを発泡剤として使用するための、不燃性混合物を提供することを課題とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。ヒドロフルオロエーテルＨＦＥ−２５４ｐｃ（ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３）に不燃性のヒドロフルオロエーテル類（不燃性ＨＦＥ）を混合物し不燃とした不燃性組成物および該発泡剤を用いることにより上記の課題を解決することに成功した。
【００１３】
すなわち、本発明は、１，１，２，２−テトラフルオロエチルメチルエーテル（ＨＦＥ−２５４ｐｃ）と不燃性のヒドロフルオロエーテル類とを混合した不燃性組成物である。
【００１４】
上記、不燃性のヒドロフルオロエーテル類は、一般式（１）
ＣａＨｂＦｃ−Ｏ−ＣｄＨｅＦｆ （１）
（式中、ａ＋ｄが２〜６、ｂ＋ｅ＞１かつｂ＋ｅ＜ｃ＋ｆ となるような水素原子とフッ素原子の組み合わせを示す）で表される不燃性ヒドロフルオロエーテルよりなる群からから選択される少なくとも１種類の化合物である。
【００１５】
また、本発明は、発泡剤と１種以上のポリオール、触媒及びその他添加剤を含むプレミックスであって、発泡剤として上記の不燃性組成物を用いることを特徴とする発泡体製造用プレミックスである。このプレミックスとポリイソシアネートを反応させることにより、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を製造できる。
【００１６】
さらに本発明は、発泡剤の存在下で、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を製造する方法において、発泡剤として上記の不燃性組成物を用いることを特徴とする発泡体の製造方法である。
【００１７】
一般に、発泡剤とポリオールとの相溶性が高いと良好なフォームを得やすく、逆に相溶性が低いと良好なフォームを得にくい。ＨＦＥ−２５４ｐｃはポリオールへの溶解性が高いが可燃性であり、不燃性ＨＦＥは不燃性ではあるが相対的にポリオールへの相溶性が低い化合物であるが、ＨＦＥ−２５４ｐｃと不燃性ＨＦＥとを混合することにより得られる混合ＨＦＥは、混合組成を調整することにより、不燃かつ相溶性の高いものとなる。該ＨＦＥ−２５４ｐｃ／不燃性ＨＦＥ混合物を発泡剤として用いて製造した硬質ウレタンフォーム発泡体は発泡過程で蒸気圧の差もなく均一で微細なセルをもった良好なものが得られた。
【００１８】
また、このＨＦＥ−２５４ｐｃ／不燃性ＨＦＥ混合物は、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒等の用途でも使用可能である。
【００１９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による不燃性混合組成物を詳細に説明する。
【００２０】
本発明の原料化合物であるＨＦＥ−２４５ｐｃは商業的に入手可能であり、例えばダイキン化成品販売株式会社より購入することができる。
【００２１】
本発明による不燃性混合発泡剤はＨＦＥ−２５４ｐｃに不燃性ＨＦＥを混合し、その混合物が不燃性を示す混合組成物である。ＨＦＥ−２５４ｐｃの沸点は３７℃であるが、混合する不燃性ＨＦＥの沸点がＨＦＥ２５４−ｐｃよりも低いか高いかによって蒸気組成が変わってくるので、不燃となる混合組成が違ってくる。たとえば、ＨＦＥ−２５４ｐｃとＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の低い不燃性ＨＦＥを用いる場合、不燃性となる混合組成は、ＨＦＥ−２５４ｐｃが７０から１重量％及び不燃性ＨＦＥ−２３６ｐｃが３０から９９重量％からなる組成、好ましくはＨＦＥ−２５４ｐｃが４０から５重量％及び不燃性ＨＦＥが６０から９５重量％からなる組成である。
【００２２】
本発明で用いられるＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の低い不燃性ＨＦＥ系発泡剤は、特に限定されないが、ＣＦ３ＣＨＦＯＣＦ３（ＨＦＥ−２２７ｍｅ），ＣＦ３ＣＨＦＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２３６ｍｅ），ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＦ３（ＨＦＥ−２３６ｍｆ）， ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２３６ｐｃ），ＣＦ３ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−２４５ｍｃ），ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２４５ｍｆ），ＣＦ３ＣＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−２４７ｍｃｃ），ＣＦ３ＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（３３８ｍｃ−ｆ），（ＣＦ３）２ＣＦＯＣＨ３（ＨＦＥ−３４７ｍｍｙ）等が挙げられ、これらの群より少なくとも１種類選ばれる。
【００２３】
また、ＨＦＥ−２５４ｐｃとＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の高い不燃性ＨＦＥを用いる場合、不燃性となる混合組成は、ＨＦＥ−２５４ｐｃが５０から１重量％及び不燃性ＨＦＥが５０から９９重量％からなる組成、好ましくはＨＦＥ−２５４ｐｃが３０から５重量％及び不燃性ＨＦＥが７０から９５重量％からなる組成である。
【００２４】
本発明で用いられるＨＦＥ−２５４ｐｃよりも沸点の高い不燃性ＨＦＥ系発泡剤は、特に限定されないが、ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ２Ｆ（ＨＦＥ−２４５ｐｃ），ＣＨ２ＦＣＦ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２４５ｑｃ），ＣＦ３ＣＦ２ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−３４７ｍｃｆ），ＣＦ３ＣＨＦＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｍｅｃ），ＣＨＦ２ＣＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｐｃｃ），ＣＨＦ２ＣＦ２ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−３５６ｐｃｆ），ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３４７ｐｃ−ｆ），ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３５６ｍｆ−ｆ），ＣＨ２ＦＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３５６ｑｃ−ｆ），（ＣＦ３）２ＣＨＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｍｍｚ），ＨＦＥ−７１００（３Ｍ社製）等が挙げられ、これらの群より少なくとも１種類選ばれる。
【００２５】
本発明で得られた組成物は、発泡剤とポリオールとの相溶性はそれらの種類により異なるが、一般に、フッ素を多く含む不燃性ＨＦＥ単独の場合、ポリオールとの相溶性が低い。本発明で得られた組成物はＨＦＥ−２５４ｐｃと不燃性ＨＦＥを混合しているので、不燃性ＨＦＥ単独に比べて、ポリオールとの相溶性が優れているが、更にポリオールとの相溶性を増すために界面活性剤や可溶化剤を使用することも可能である。また、界面活性剤の使用を好まない場合は発泡直前に本組成物をポリオール混合し、硬質ポリウレタンフォームを製造することも出来る。
【００２６】
本発明の組成物を用いて硬質ウレタンフォームの製造には、本組成物とポリオール、ポリイソシアネート、触媒、水、界面活性剤、整泡剤を混合、反応させることによって目的が達成できるが、イソシアネートには、芳香族、環状脂肪族、鎖状脂肪族系等のものが包含され、一般には２官能のものが使用される。このようなものとしては、例えば、トリレンジイドシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンイソシアネート等が挙げられる。これらのものは単独又は混合物の形で用いられる。
【００２７】
ポリオールには、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、多価アルコール、水酸基含有ジエチレン系ポリマー等が包含されるが、ポリエーテル系ポリオールの使用が好ましい。また、ポリエーテル系ポリオールを主成分とし、ポリエステル系ポリオール等の他のポリオールを含むポリオールの使用も可能である。
【００２８】
ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びそれら変性体の他、糖、多価アルコール、アルカノールアミン等の活性水素を含む化合物をイニシエータにして、これに、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、ブチレンオキシド等の環状エーテルを付加したものが好ましく使用される。
【００２９】
ポリエステル系ポリオールには、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が包含される。
【００３０】
ポリオールとしては、通常、その水酸基価が１００〜１０００のものが使用される。
【００３１】
触媒には、有機金属系触媒と有機アミン系触媒が包含される。有機金属触媒としては、有機スズ化合物が好ましく使用され、スタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート等が挙げられる。有機アミン系触媒としては、第３級アミン、例えば、トリエチレンジアミン、Ｎ−エチルモルホリン、ビス（２−ジメチルアミノエチル）エーテル、Ｎ，Ｎ‘，Ｎ’−トリエチルエタノールアミン等が挙げられる。
【００３２】
その他添加剤としては、整泡剤、難燃剤、安定剤など硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレート発泡体の諸物性を向上させるための添加剤が挙げられる。
【００３３】
整泡剤としては、通常有機ケイ素化合物系の界面活性剤が用いられ、東レシリコーン（株）製ＳＨ−１９３、ＳＨ−１９５、ＳＨ−２００またはＳＲＸ−２５３等、信越シリコーン（株）製Ｆ−２３０、Ｆ−３０５、Ｆ−３４１、Ｆ−３４８等、日本ユニカー（株）製Ｌ−５４４、Ｌ−５３１０、Ｌ−５３２０、Ｌ−５４２０、Ｌ−５７２０または東芝シリコーン（株）製ＴＦＡ−４２００、ＴＦＡ−４２０２等が挙げられる。
【００３４】
難燃剤としては、硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームに使用されるリン酸エステルであり、トリス（２−クロロエチル）ホスフェート、トリス（２−クロロプロピル）ホスフェート、トリス（ブトキシエチル）ホスフェート、トリスメチルホスフェート、トリスエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス（イソプロピルフェニル）ホスフェート等が挙げられる。
【００３５】
含フッ素エーテルは、水分を含んだ状態で長期間保存すると、一部分解する欠点を有する。したがって、本発明の不燃性組成物も水分との共存下で保存する場合、部分的に分解してしまう可能性がある。また、本発明の不燃性組成物を発泡用プレミックス（発泡剤、一種以上のポリオール、触媒、その他添加物）の発泡剤としての使用するにあたり、該プレミックスに水を含む状態で保存する場合においても、分解してしまう可能性がある。特に発泡用プレミックスの場合、水を添加して使用する場合があるので、留意する必要がある。
【００３６】
そこで、本発明の不燃性組成物に必要に応じて安定剤を添加することにより、分解反応を抑えることができる。かかる安定剤としては、ニトロ基含有化合物、エポキシ基含有化合物、炭素炭素二重結合含有化合物、フェノール類化合物、ベンゾフェノン類化合物、ヒドロキノン類化合物、ベンゾトリアゾール類化合物、カーボネート類化合物から選ばれ、単独で添加してもよく２種以上を併用してもよい。 これらの化合物は、その特徴して、水酸基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、炭素炭素二重結合等を有し、これらの官能基が含フッ素エーテルを安定化させると推察される。
【００３７】
具体的には、ニトロ基含有化合物としては、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン等の化合物が、エポキシ基含有化合物としては、１，２−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、アクリル酸グリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル等の化合物が、炭素炭素二重結合含有化合物としては、α−メチルスチレン、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アリルグリシジルエーテルイソプレン、アロオシメン、アミレン、１，４−ヘキサジエン、グリシジルメタクリレート、ジエチルグリコールモノメタクリレート、ビニルトルエン、メタクリル酸メチル等の化合物が挙げられる。
【００３８】
また、フェノール類化合物としては、２，６−ジ−ｔ−ブチル−ｐ−クレゾール、ｐ−ｔ−ブチルフェノール、ｐ−クレゾール、ｐ−メトキシフェノール、ｔ−ブチルカテコール、イソオイゲノール、オイゲノール、チモール、ブチルヒドロキシアニソール等の化合物が、ベンゾフェノン類化合物としては、ｔ−ブチルクロロベンゾフェノン、イソアミルベンゾフェノン等の化合物が、ヒドロキノン類化合物としては、２，５−ジ−ｔ−アミルハイドロキノン、２，５−ジ−ｔ−ブチルハイドロキノン等の化合物が、ベンゾトリアゾール類化合物としては、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシメチルフェニルベンゾトリアゾール、２−（３’，５’−ジ−ｔ−ブチル−２’−ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾール等の化合物が、カーボネート類化合物としては、プロピレンカーボネート、１，２−ブチレンカーボネート、スチレンカーボネート等の化合物が挙げられる。
【００３９】
発泡剤に添加する安定剤の量はポリオール、触媒、整泡剤、難燃剤の種類、組成、および水分添加量に依存するが、発泡剤に対して０．００１〜１０重量％、好ましくは０．０５〜５重量％である。０．００１重量％より少なくした場合は安定効果が認められなくなり、また１０重量％よりも多量に使用した場合には発泡剤の特性を損なう為いずれも好ましくない。
【００４０】
本発明の発泡剤の使用割合は、ポリオール１００重量部当たり、５〜５０重量部、好ましくは１５〜３０重量部であり、このような量の発泡剤の使用により、２０ｋｇ／ｍ３以上、特に、３０〜８０ｋｇ／ｍ３の密度を有する硬質ウレタンフォームを得ることができる。
【００４１】
原料混合物の反応温度は、１５〜９０℃、好ましくは２０〜６０℃、より好ましくは２０〜３５℃である。
【００４２】
硬質ポリウレタンフォームの製造方法には、従来公知の各種の方法が包含され、本発明における硬質ポリウレタンフォームは、ワンショット法やプレポリマー法で製造することができる。また、そのフォームを得る際の発泡方法としては、現場発泡、スラブ発泡、注入発泡（充填法、モールド法）、ラミネート発泡、スプレー発泡等の各種の発泡方法を採用することができる。
【００４３】
また、本組成物はこれらの用途の他、冷媒、溶剤、洗浄剤、熱伝媒体、作動流体、反応溶媒、塗料用溶剤、抽出剤、水切り剤、乾燥剤、エアースプレー溶媒等の用途でも使用可能である。
【００４４】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「実施例１」
ＨＦＥ−２５４ｐｃに難燃性ＨＦＥを混合し、表１に示す組成物を調製した。なお、難燃性ＨＦＥは、ＳｙｎＱｕｅｓｔＬａｂｓ．Ｉｎｃ．、ダイキン化成品販売（株）、住友スリーエム（株）より購入した。ＪＩＳ Ｋ２２６５に従い、測定温度８０℃まではタグ密閉式、測定温度８１℃以上はクリーブランド開放式で引火点の測定を行った。（○：引火点あり、×：引火点なし）を表１に示した。
【００４５】
【表１】
「実施例２」
シュークロース系ポリオール４５０Ｓ（ＯＨ価４５０：旭硝子（株）製）１００重量部、シリコーン系整泡剤Ｆ−３３８（信越化学（株）製）２．５重量部、水０．５重量部、Ｎ，Ｎ−ジメチルシクロヘキシルアミン（ゲルタイム５０秒とするための必要量）、発泡剤（コア密度が２７．５〜３２．５ｋｇ／ｍ３となるための必要量）からなる混合液（３２〜４５部）を調製し均一となるよう攪拌した。これにポリメチレンポリフェニルイソシアネートＰＡＩ１３５（ＭＤ化成（株）製）を混合し、２００×３００×１８０ｍｍの木製の鋳型に投入して発泡体を製造した。表２に使用した発泡剤と製造した発泡体の外観を示す（○：良好、△：やや不良、×：不良）。
【００４７】
【表２】
Claims (9)
- １，１，２，２−テトラフルオロエチルメチルエーテル（ＨＦＥ−２５４ｐｃ）と不燃性のヒドロフルオロエーテル類とを混合した不燃性組成物。
- 不燃性のヒドロフルオロエーテル類が、一般式（１）
ＣａＨｂＦｃ−Ｏ−ＣｄＨｅＦｆ （１）
（式中、ａ＋ｄが２〜６、ｂ＋ｅ＞１かつｂ＋ｅ＜ｃ＋ｆ となるような水素原子とフッ素原子の組み合わせを示す）で表される不燃性ヒドロフルオロエーテルよりなる群からから選択される少なくとも１種類の化合物である請求項１に記載の不燃性組成物。 - １，１，２，２−テトラフルオロエチルメチルエーテル（ＨＦＥ−２５４ｐｃ）７０〜１重量％とＨＦＥ−２４５ｐｃよりも沸点の低い不燃性ヒドロフルオロエーテル類が３０〜９９重量％である請求項１または請求項２に記載の不燃性組成物。
- ＨＦＥ−２４５ｐｃよりも沸点の低い不燃性のヒドロフルオロエーテル類が、ＣＦ３ＣＨＦＯＣＦ３（ＨＦＥ−２２７ｍｅ）、ＣＦ３ＣＨＦＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２３６ｍｅ）、ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＦ３（ＨＦＥ−２３６ｍｆ）、 ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２３６ｐｃ）、ＣＦ３ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−２４５ｍｃ）、ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２４５ｍｆ）、ＣＦ３ＣＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−２４７ｍｃｃ）、ＣＦ３ＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（３３８ｍｃ−ｆ）、（ＣＦ３）２ＣＦＯＣＨ３（ＨＦＥ−３４７ｍｍｙ）よりなる群から選択される少なくとも１種の化合物である請求項３に記載の不燃性組成物。
- １，１，２，２−テトラフルオロエチルメチルエーテル（ＨＦＥ−２５４ｐｃ）５０〜１重量％とＨＦＥ−２４５ｐｃよりも沸点の高い不燃性ヒドロフルオロエーテル類が５０〜９９重量％である請求項１または請求項２に記載の不燃性組成物。
- ＨＦＥ−２４５ｐｃよりも沸点の高い不燃性のヒドロフルオロエーテル類がＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ２Ｆ（ＨＦＥ−２４５ｐｃ）、ＣＨ２ＦＣＦ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−２４５ｑｃ）、ＣＦ３ＣＦ２ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−３４７ｍｃｆ）、ＣＦ３ＣＨＦＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｍｅｃ）、ＣＨＦ２ＣＦ２ＣＦ２ＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｐｃｃ）、ＣＨＦ２ＣＦ２ＣＨ２ＯＣＨＦ２（ＨＦＥ−３５６ｐｃｆ）、ＣＨＦ２ＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３４７ｐｃ−ｆ）、ＣＦ３ＣＨ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３５６ｍｆ−ｆ）、ＣＨ２ＦＣＦ２ＯＣＨ２ＣＦ３（ＨＦＥ−３５６ｑｃ−ｆ）、（ＣＦ３）２ＣＨＯＣＨ３（ＨＦＥ−３５６ｍｍｚ）、Ｃ４Ｆ９ＯＣＨ３（ＨＦＥ−７１００；３Ｍ社製）よりなる群から選択される少なくとも１種の化合物である請求項５に記載の不燃性組成物。
- 発泡剤と１種以上のポリオール、触媒及びその他添加剤を含むプレミックスであって、発泡剤として請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の不燃性組成物を用いることを特徴とするポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体製造用プレミックス。
- 発泡剤の存在下で、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を製造する方法において、発泡剤として請求項１乃至請求項６のいずれか１項に記載の不燃性組成物を用いることを特徴とするポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体の製造方法。
- 発泡剤と１種以上のポリオール、触媒及びその他添加剤を含むプレミックスとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を製造する方法において、プレミックスとして請求項７に記載のプレミックスを用いることを特徴とするポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体の製造方法。
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