JP2004002642A - 合成樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】HFC−245faを含み、ポリオールなどの発泡体原料との相溶性が良好な発泡剤および前記発泡剤を用いた合成樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物または更にグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物または更にグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂発泡体を製造する方法および発泡剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオールとポリイソシアネート化合物とを触媒と発泡剤の存在下に反応させて、合成樹脂発泡体を製造することは広く行われている。得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどがある。
【0003】
上記ポリウレタン発泡体などの合成樹脂発泡体の製造に使用される発泡剤として、これまでトリクロロフルオロメタン(CFC−11)が主に使用されてきた。
【0004】
近年、ある種のフロンが、大気中に放出されると成層圏のオゾン層を破壊し、その結果、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されてきた。このため、オゾン層破壊の危険性の高いフロンについては、国際的な取り決めによって使用が制限されている。上記CFC−11は、この使用制限の対象となっている。この点から、オゾン層を破壊しない又はその危険性の低い新たな発泡剤の開発が必要となっていた。
【0005】
現在は、オゾン層に対する影響が小さいフロンとして、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)がCFC−11の代替として使用されている。
【0006】
しかしながら、この物質も分子中に塩素原子を含むので、依然としてオゾン層を破壊する危険性がある。
【0007】
特許文献1、特許文献2等には、塩素を含まずオゾン層を破壊する危険性のないフッ素化炭化水素を用いて発泡体を製造する方法が、開示されている。また、特許文献3には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)をプラスチック発泡体製造用発泡剤として使用することが記載されている。
【0008】
HFC−245faは、沸点15℃の不燃性の化合物であり、水素原子を含むフッ素化炭化水素であることから、オゾン層破壊のおそれはないものと考えられている。更に、HFC−245faは、沸点がCFC−11やHCFC−141bに近く、しかも、不燃性であるので、HCFC−141bに代わる発泡剤の非常に有力な候補として注目を集めている。
【0009】
HFC−245faの沸点(15℃)は、許容範囲ではあるものの、CFC−11(沸点24℃)やHCFC−141b(沸点32℃)に比べるとやや低い。そのため、環境温度が高い場合には、蒸発が早いので発泡体の製造が難しくなる。また、ポリオールに対する溶解性が必ずしも高くはなく、HFC−245faとポリオールとを含むプレミックスは、相分離を生じることがある。発泡剤の沸点が低い場合や、ポリオールに対する溶解性が低い場合には、ポリオールとイソシアネート化合物とを混合反応させて発泡体を製造する時に、混合不良、未反応成分の残留、ボイドと呼ばれる粗泡などが生じ易く、結果、硬質ウレタンフォームに要求される物性である強度や熱伝導率を悪化させることとなる。さらに、HFC−245fa自身または発泡体原料との混合品(特にポリオールとの混合物であるプレミックス)が、気象条件によってはかなり高い蒸気圧を持つので、ハンドリングが難しい。また、開放系の状態では、発泡剤のロスが多くなるという問題もある。更に、運搬時や貯蔵時の容器として、これまでにない耐圧性を持つものが必要となる。
【0010】
このように、HFC−245faをHCFC−141bの代替品として有効に使用するために、その沸点、溶解性等を制御する技術の開発が望まれる。
【0011】
【特許文献1】特開平2−29440号公報
【0012】
【特許文献2】特開平2−235982号公報
【0013】
【特許文献3】特開平5−239251号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点を鑑み成されたものであって、HFC−245faを含み、ポリオールなどの発泡体原料との相溶性が良好な発泡剤および前記発泡剤を用いた合成樹脂発泡体の製造方法を提供することを主な目的とする。
【0015】
本発明は、適度な沸点を有する発泡剤および前記発泡剤を用いた合成樹脂発泡体の製造方法を提供することも目的とする。
【0016】
本発明は、オゾン層を破壊する危険性が低い発泡剤および前記発泡剤を用いた合成樹脂発泡体の製造方法を提供すること主な目的とする。
【0017】
本発明は、優れた断熱性または機械的強度を有する合成樹脂発泡体の製造方法を提供することも目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、特定の組成を有する発泡剤を用いると、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明は、以下の合成樹脂発泡体の製造方法および発泡剤に係るものである。
1.有機化合物系発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、有機化合物系発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
2.有機化合物系発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと前記ハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、ハロゲン含有化合物を50モル未満含む上記1に記載の方法。
3.ポリオールと有機化合物系発泡剤とを混合する工程を有し、得られた混合物の蒸気圧全圧が、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記混合物と同一であるポリオールと発泡剤の混合物の蒸気圧全圧に対して、90%以下である上記1または2に記載の方法。
4.有機化合物系発泡剤が、更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む混合物である上記1または2に記載の方法。
5.ポリオールと有機化合物系発泡剤とを含むプレミックスを調製する工程を有し、得られたプレミックスの蒸気圧全圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含まない以外は前記プレミックスと同一の組成であるプレミックスの蒸気圧全圧に比して、96%以下である上記4に記載の方法。
6.ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
7.ハロゲン含有化合物の割合が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、50モル未満である上記6に記載の発泡剤。
8.1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとハロゲン含有化合物が、これら2成分の混合物の沸点が17〜35℃程度となるような比で含まれている上記6または7に記載の発泡剤。
9.更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む上記6または7に記載の発泡剤。
10.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であるプレミックス。
11.発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと前記ハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、前記ハロゲン含有化合物の割合が、50モル未満である上記10に記載のプレミックス。
12.プレミックスの蒸気圧全圧が、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記プレミックスと同一であるプレミックスの蒸気圧全圧に対して、90%以下である上記10または11に記載のプレミックス。
13.発泡剤が、更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含むことを特徴とする上記11または12に記載のプレミックス。
14.プレミックスの蒸気圧全圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含まない以外は前記プレミックスと同一組成であるプレミックスの蒸気圧全圧に比して、96%以下である上記13に記載のプレミックス。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機化合物系発泡剤(以下、単に「発泡剤」ということがある)の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤として、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物を使用することを特徴とする製造方法に係る。
【0021】
また、本発明は、発泡剤として、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)とを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤に係る。以下、HFC−245faと前記ハロゲン含有化合物からなる混合物を「混合発泡剤」ということがある。
【0022】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0023】
ハロゲン含有化合物は、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子を少なくとも1種含む化合物である。オゾン層を破壊する危険性が全くなくなるという点においては、ハロゲン原子としてFのみを含むハロゲン含有化合物が好ましい。
【0024】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、オゾン層を破壊する能力が実質的にゼロであることが好ましい。このようなハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロゲン原子としてフッ素および/またはヨウ素を含む化合物などを例示することができる。臭素または塩素含有化合物であっても、沸点の比較的高い物質は蒸発し難いので、オゾン層を破壊する可能性は低くなる。実際、オゾン層の破壊を回避するため規制されているCFC(クロロフルオロ炭化水素)は、炭素数が3までである。したがって、本発明において用いるハロゲン含有化合物には、炭素数が4以上のクロロフルオロアルカンが含まれる。
【0025】
本発明において用いるハロゲン含有化合物の沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上であり、好ましくは25℃以上程度、より好ましくは35〜140℃程度である。
【0026】
*ハロゲン化炭化水素
ハロゲン化炭化水素としては、直鎖または分枝状のハロゲン化炭化水素、環式ハロゲン化炭化水素などを例示できる。ハロゲン化炭化水素としては、直鎖または分枝状のハロゲン化脂肪族炭化水素、脂環式ハロゲン化炭化水素が好ましい。また、ハロゲン化炭化水素は、全ての水素がハロゲン原子によって置換されたパーハロゲン化炭化水素であってもよく、含水素ハロゲン化炭化水素であってもよい。また、ハロゲン化炭化水素は、飽和炭化水素であっても、不飽和炭化水素であってもよい。
【0027】
ハロゲン化炭化水素の炭素数は、沸点が15℃以上であれば特に制限されないが、通常4以上、好ましくは4〜7程度、より好ましくは4〜6程度である。または、4〜9程度であってもよい。
【0028】
ハロゲン化炭化水素の沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは30〜140℃程度、より好ましくは40〜120℃程度である。
【0029】
ハロゲン化脂肪族炭化水素の具体例として、例えば3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ1−ヘキセン(CH2=CH(CF2)3CF3、沸点58℃)などのハイドロフルオロアルケン;
パーフルオロヘキセン(C6F12、沸点46℃、49℃または51℃)、パーフルオロノネン(C9F18)などのパーフルオロアルケン;
パーフルオロヘキサン(C6F14、沸点58℃)などのパーフルオロアルカン;
1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン(CF2HCF2CF2CF2H 沸点44℃)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(CF3CF2CFHCFHCF3 沸点54℃)、2−トリフルオロメチル−1,1,1,2,3,4,5,5,5−ナノフルオロペンタン(C6F12H2、沸点53℃)、2−トリフルオロメチル−1,1,1,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(C6F13H、沸点62℃)、C3F7H(沸点56℃)などのハイドロフルオロアルカン;
1,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロシクロブタン(c−C4F6H2、沸点63℃)、2,3,3,4,4,5,5−ペンタフルオロシクロペンタン(c−C5F7H3、沸点83℃)などのハイドロフルオロシクロアルカン;
1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,2,3,4−テトラクロロブタン(CF2ClCFClCFClCF2Cl、沸点134℃)、2,3−ジクロロオクタフルオロブタン(CF3CFClCFClCF3、沸点63℃)、1,4−ジクロロオクタフルオロブタン(CF2ClCF2CF2CF2Cl、沸点66℃)などのクロロフルオロアルカン;
1−クロロ1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン(CF2ClCF2CF2CF2H、沸点50℃)、1−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン(CF2ClCF2CF2CF2CF2CF2H、沸点78℃)などのハイドロクロロフルオロアルカン;
1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン(−CFClCFClCF2CF2−、沸点60℃)などのクロロフルオロシクロアルカン;
1−アイオドナノフルオロブタン(CF2ICF2CF2CF3、沸点67℃)などのアイオドフルオロアルカン;
1−ブロモプロパン(CH2BrCH2CH3、沸点71℃)などのハイドロブロモアルカンなどを例示できる。
【0030】
また、以下の化合物も、ハロゲン化脂肪族炭化水素として例示できる。
2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)などのハイドロフルオロアルケン;
パーフルオロ−1−ブテン(CF2=CFCF2CF3) などのパーフルオロアルケン;
パーフルオロシクロブタン(c−C4F8)などのパーフルオロシクロアルカン;
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−トリデカフルオロペンタン(H(CF2)6F、沸点72℃)などのハイドロフルオロアルカン;
2−ブロモブタン(CH3CHBrCH2CH3、沸点91℃)などのハイドロブロモアルカン。
【0031】
これらの中では、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ1−ヘキセン、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,2,3,4−テトラクロロブタン、2,3−ジクロロオクタフルオロブタン、1,4−ジクロロオクタフルオロブタン、1−クロロ1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン、2−ブロモブタンなどが好ましい。
【0032】
*ハロゲン化アルコール
ハロゲン化アルコールとしては、直鎖状または分枝状ハロゲン化脂肪族アルコールなどを例示できる。ハロゲン化アルコールは、全ての水素原子がハロゲン原子によって置換されたパーハロゲン化アルコールであってもよく、含水素ハロゲン化アルコールであってもよい。
【0033】
ハロゲン化アルコールの炭素数は、沸点が15℃以上であれば特に制限されないが、通常2以上、好ましくは2〜5程度、より好ましくは2〜4程度である。
【0034】
ハロゲン化アルコールの沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは40〜130℃程度、より好ましくは50〜120℃程度である。
【0035】
ハロゲン化アルコールの具体例として、例えば、1,1,1−トリフルオロエタノール(CF3CH2OH、沸点74℃)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパノール(CF3CF2CH2OH、沸点82℃)、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(CF2HCF2CH2OH、沸点110℃)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタノール(CF3CF2CH2CH2OH、沸点100℃)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロブタノール(CF3CFHCF2CH2OH、沸点114℃) 、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−オール(CF3CH(OH)CF3、沸点59℃)などのハイドロフルオロアルコールなどを例示できる。
【0036】
これらの中では、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−オールなどが好ましい。
【0037】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、不燃性であることが好ましい。しかしながら、ハロゲン含有化合物が全く不燃である必要は必ずしもない。混合発泡剤としたときに、不燃となればよい。または、ポリオールなどの合成樹脂原料とのプレミックスとした時に、実質不燃となればよい。「プレミックスが実質的に不燃である」とは、プレミックスの気相組成が不燃性であることをいう。不燃性の評価は、米国における冷媒の燃焼性評価方法(ASHRAE法)に準じるものとする。ASHRAE法については、ASHRAE STANDARD 34−2001、ASTM Designatiion:E681−94に記載されている。上記方法により可燃性であると判断されるハロゲン含有化合物としては、1,1,1−トリフルオロエタノール、1,1,2,2−テトラフルオロプロパノールなどを例示することができる。
【0038】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、HFC−245faとの相溶性が高いことが好ましい。本発明において用いるハロゲン含有化合物は、合成樹脂の原料、特にポリオールとの相溶性が高いものが好ましい。例えば、ハロゲン含有化合物とポリオールとを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置後も相分離しないハロゲン含有化合物が好ましい。ポリオールに対する相溶性が高く、HFC−245faとも相溶性が高いハロゲン含有化合物を用いると、ポリオールと発泡剤の混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロスも低減できる。
【0039】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、それ自身単独で発泡剤として使用できる化合物も好ましい。このようなハロゲン含有化合物としては、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタンなどを例示することができる。また、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ1−ヘキセン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,2,3,4−テトラクロロブタン、2,3−ジクロロオクタフルオロブタン、1,4−ジクロロオクタフルオロブタン、1−クロロ1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン、2−ブロモブタンなども例示することができる。ハロゲン含有化合物自身が発泡剤である場合には、本発明の発泡剤の添加量は、HFC−245faを単独で発泡剤として使用する場合の添加量と同程度とすることができる。即ち、発泡剤中に占めるHFC−245faの割合を低下させることができる。よって、本発明の発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの蒸気圧においてHFC−245faの分圧を下げる効果がより大きくなる。また、実際に発泡させた場合、ハロゲン含有化合物自身が、発泡剤として働き、発泡体中に凝縮物として残存したりする懸念がなくなる。
【0040】
HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合割合は、ハロゲン含有化合物の種類、用途、処方などに応じて任意に選択できるが、混合発泡剤の沸点(蒸気圧が1気圧(約0.1MPaになる温度)が、17〜35℃程度になる割合が好ましく、20〜32℃程度になる割合が特に好ましい。
【0041】
本発明の製造方法では、予め発泡剤とポリオールとを混合してプレミックスとしてもよい。また、プレミックスには発泡剤、ポリオール以外にも発泡用触媒、安定剤、整泡剤、難燃剤等が含まれていてもよい。ポリオールとHFC−245faとハロゲン含有化合物を含む混合物(プレミックス)の蒸気圧全圧は、特に制限されないが、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記混合物と同一であるポリオールと発泡剤の混合物の蒸気圧全圧に対して、90%以下程度、好ましくは80%以下程度、さらに好ましくは70%以下程度となるような混合比でHFC−245faとハロゲン含有化合物とポリオールとを混合するのが好ましい。なお、蒸気圧の比較には、通常20℃〜40℃程度において測定した値を用いる。また、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faとハロゲン含有化合物の合計量が、20〜70重量部程度であるプレミックスを用いる。
【0042】
混合発泡剤とポリオールとの混合物の蒸気圧は、特に制限されないが、17℃で1気圧以下程度、より好ましくは20℃で1気圧以下程度、さらに好ましくは24℃で1気圧以下程度になるような比で、HFC−245faとハロゲン含有化合物とを調製しポリオールと混合するのが好ましい。
【0043】
HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合割合は、特に制限されず、ハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、両者の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物は、通常50モル未満程度、好ましくは15〜50モル程度、より好ましくは20〜45モル程度、特に好ましくは25〜40モル程度である。
【0044】
本発明の発泡剤は、更にグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含んでいてもよい。即ち、本発明の発泡剤は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと沸点が15℃以上のハイドロフルオロエーテルとグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であってもよい。
【0045】
HFC245faは、HCFC141bと比較するとポリオールへの溶解性が低い。グリコール系化合物とフッ素含有界面活性剤は、相溶化剤として作用するので、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を用いることにより、発泡剤のポリオールへの相溶性が改善される。相溶性が改善されるとプレミックスから発泡剤が揮発することによるロスを低下できるとともに、プレミックスの蒸気圧を低減できる。
【0046】
*グリコール系化合物
本発明において用いるグリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール化合物、プロピレングリコール化合物、ブチレングリコール化合物などのアルキレングリコールを例示することができる。アルキレングリコールは、通常炭素数2〜4程度のアルキレン基を有し、好ましくは炭素数2〜3程度のアルキレン基を有する。
【0047】
エチレングリコール化合物としては、以下の式(A)〜式(C)で示される化合物などを例示することができる。
式(A) CaH2a+1(OCH2CH2O)b CcH2c+1
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3,4]、
式(B) CdH2d+1CO(OCH2CH2O)eCO CfH2f+1
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3,4]および
式(C) CiH2i+1CO(OCH2CH2O)jCkH2k+1
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3,4]。
【0048】
式(A)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールなどを例示できる。
【0049】
式(B)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールモノフォルメート、エチレングリコールジフォルメート、ジエチレングリコールモノフォルメート、ジエチレングリコールジフォルメート、トリエチレングリコールモノフォルメート、トリエチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノプロピオネート、エチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールモノプロピオネート、ジエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールモノプロピオネート、トリエチレングリコールジプロピオネートなどを例示できる。
【0050】
式(C)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールメチルエーテルフォルメート、エチレングリコールエチルエーテルフォルメート、エチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネートなどを例示できる。
【0051】
エチレングルコール系化合物としては、式(A)においてaおよびcが1以上であるジエーテル化合物、式(B)においてdおよびfが1以上であるジエステル化合物、式(C)においてkおよびiが1以上であるエーテルエステル化合物などが好ましく、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノnブチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジnブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどがより好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノnブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルも好適に用いることができる。
【0052】
プロピレングリコール化合物としては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−メトキシー1−プロパノール、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の化合物が挙げられる。特にトリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテートが好ましい。
【0053】
グリコール化合物としては、例えば、ブチレングリコールジアセテートなども例示することができる。
【0054】
グリコール化合物としては、HFC245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC245fa、ハロゲン含有化合物、グリコール化合物、ポリオールなどを含むプレミックスを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないグリコール化合物が好ましい。HFC245faおよび/またはポリオールとの相溶性の点においては、具体名を上述した化合物を好ましく使用できる。HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高いグリコール化合物である程、ポリオール、発泡剤などを含むプレミックスを開放系に置いた時の発泡剤のロス(飛散量)を低減することができる。また、プレミックスの蒸気圧も低下できる。
【0055】
グリコール化合物としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、グリコール化合物が全く不燃である必要はなく、HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。グリコール化合物としては、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスとした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、グリコール化合物の難燃性は、特に制限されない。なお、危険物第4類、3石以上程度の難燃性とは、1気圧、20℃で液体の化合物の発火点が100℃以上程度で、引火点が70℃以上程度であることを意味する。難燃性のグリコール化合物を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの引火点は110℃であり、エチレングリコールジアセテートの引火点は96℃であり、ともに20℃において液体である。従って、これらのグリコール化合物は、危険物第4類、3石以上の難燃性を有している。
【0056】
本発明において用いるグリコール化合物の沸点は、特に制限されないが、通常85〜300℃程度であり、好ましくは120〜250℃程度である。
【0057】
*フッ素含有界面活性剤
本発明において用いるフッ素含有界面活性剤としては、例えば、以下の式(D)〜式(F)で示される化合物などを例示することができる。
式(D) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、Rfaは、−(CF2)a’H (a’=1〜8)または −(CF2)b’F (b’=1〜8)を示し、Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(E) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、Rfbは、−(CF2)c’H (c’=1〜8) または−(CF2)d’F (d’=1〜8)を示す]、
式(F) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。
【0058】
一般式(D)において、nは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。Rfaは、−(CF2)a’H (a’=1〜8)または −(CF2)b’F (b’=1〜8)を示す。a’は1〜4が好ましく、b’は1〜4が好ましい。Rは、水素原子または低級アルキル基を示す。Rで示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜4程度であり、好ましくは1〜2程度である。
【0059】
式(D)で示される化合物としては、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7H、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2C4F8H)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0060】
一般式(E)において、mは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。Rfbは、−(CF2)c’H (c’=1〜8) または−(CF2)d’F (d’=1〜8)を示す。c’は1〜4が好ましく、d’は1〜4が好ましい。
【0061】
一般式(E)で示される化合物としては、HO[CH(CH2C4F9)CH2O]6H、HO[CH (CH2C2F5)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0062】
一般式(F)において、nは、通常1〜3程度であり、1〜2程度が好ましい。mは、通常4〜15程度であり、好ましくは4〜10程度である。R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示す。R1で示されるF含有アルキルの炭素数は、通常10〜20程度であり、好ましくは12〜18程度である。R1で示されるF含有アルキルのフッ素原子の数は、通常10〜40程度であり、好ましくは12〜34程度である。R2は、Hまたは低級アルキル基を示す。R2で示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜2程度である。
【0063】
一般式(F)で示される化合物としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のユニダインDS−401, DS−403;デュポン社製のゾニールFSO, FSNなどを例示できる。
【0064】
フッ素含有界面活性剤としては、HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC−245faとハロゲン含有化合物とフッ素含有界面活性剤とポリオールとを含むプレミックスを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないフッ素含有界面活性剤が好ましい。HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高いフッ素含有界面活性剤である程、ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスを開放系に置いた時の発泡剤のロス、即ち発泡剤の飛散量を低減することができる。
【0065】
フッ素含有界面活性剤としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、フッ素含有界面活性剤が全く不燃である必要はなく、HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。フッ素含有界面活性剤は、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスの状態とした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、フッ素含有界面活性剤の難燃性は、特に制限されない。難燃性のフッ素含有界面活性剤を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。
【0066】
本発明において用いるフッ素含有界面活性剤の沸点は、特に制限されないが、通常100〜300℃程度であり、好ましくは120〜250℃程度である。
【0067】
発泡剤中のHFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、HFC245fa、ハロゲン含有化合物、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの蒸気圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの蒸気圧に対して、通常96%以下程度であり、好ましくは70〜94%程度であり、より好ましくは70〜90%程度となるようにHFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。プレミックスの蒸気圧の比較には、通常20℃〜40℃程度の何れかの温度における値を用い、また、同一温度における値を比較する。より具体的な例を挙げると、(a) グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤:A重量部、(b)HFC−245fa:B重量部、(c)ポリオール:C重量部および(d) ハロゲン含有化合物:D重量部からなるプレミックスの場合、前記(a)〜(d)を含むプレミックスの蒸気圧が、前記(b)〜(d)を含むプレミックスの蒸気圧に対して、96%以下程度、好ましくは94%以下程度、より好ましくは90%以下程度となるようにHFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の合計量が、20〜70重量部程度であるプレミックスを用いる。
【0068】
または、HFC−245fa、ハロゲン含有化合物、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの沸点、即ちプレミックスの蒸気圧が1気圧(約0.1MPa)になる温度が、通常15℃以上程度、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度になるように、HFC−245fa、ハロゲン含有化合物、フッ素含有界面活性剤などの混合比を設定すればよい。
【0069】
グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む本発明の発泡剤において、HFC−245faとハロゲン含有化合物は、HFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との総量に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65〜99重量%程度、より好ましくは75〜98重量%程度である。
【0070】
HFC245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の混合割合は、発泡剤の沸点が、17〜35℃程度になる割合が好ましく、18〜30℃になる割合がより好ましい。
【0071】
HFC245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC−245faとハロゲン含有化合物との混合比率は、HFC−245faとハロゲン含有化合物の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物が、通常50モル未満程度、好ましくは15〜50モル程度、より好ましくは20〜45モル程度、特に好ましくは25〜40モル程度である。
【0072】
グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の添加量は、HFC−245faとハロゲン含有化合物の合計重量に対して通常1〜49重量%程度、好ましくは1〜35重量%程度、特に好ましくは2〜25重量%程度である。
【0073】
本発明の発泡剤は、他の発泡剤を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独で使用することは勿論、他の発泡剤と併用してもよい。併用できる発泡剤としては、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどの低沸点ハロゲン化炭化水素;空気、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどを例示できる。低沸点ハロゲン化炭化水素としては、例えば1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなども例示できる。低沸点ハロゲン化炭化水素は、特に制限されないが、その沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常−30〜0℃程度である。他の発泡剤の添加量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に制限されないが、添加する場合には、全発泡剤中におけるHFC−245faとハロゲン含有化合物との合計は、通常20重量%以上程度、好ましくは40重量%以上程度であり、60〜95重量%程度がより好ましい。上述したような他の発泡剤は、発泡時にプレミックスに混合されて使用されることが多い。
【0074】
本発明の発泡剤は、水を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、水と併用することができる。水の割合は、ハロゲン含有化合物とHFC−245faと水の合計を100モルとしたときに、水が60モル以下となる程度まで加えることができる。この範囲内とすることによって、より確実に高断熱性発泡体を得ることができる。
【0075】
本発明発泡剤は、必要に応じて、公知の分解抑制剤を配合していてもよい。このような分解抑制剤としては、ニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;α−メチルスチレン、p−イソプロペニルトルエンなどの芳香族炭化水素;イソプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;1,2−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリンなどのエポキシ化合物;p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール;クロロ酢酸イソプロピルエステルのようなクロロ酢酸エステル化合物などのフェノール化合物などを例示できる。分解抑制剤の配合割合は、抑制剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、ハロゲン含有化合物とHFC−245faとの合計100重量部に対して、通常0.05〜5重量部程度である。分解抑制剤は、予め、本発明で用いる発泡剤と混合していても良く、或いは発泡時に別々に添加しても良い。
【0076】
本発明の発泡剤の使用量は、用いるハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、ハロゲン含有化合物とHFC−245faの合計量が、通常1〜60重量部程度、好ましくは10〜50重量部程度、より好ましくは20〜45重量部程度である。発泡剤にグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤が含まれる場合は、発泡剤の合計量が、ポリオール100重量部に対して、通常1〜70重量部程度、好ましくは10〜60重量部程度、より好ましくは20〜55重量部程度である。
【0077】
本発明の製造方法では、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、合成樹脂発泡剤を製造する。本発明の方法により得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体などを例示できる。
【0078】
ポリオール、ポリイソシアネート化合物などの発泡剤以外の原料は、特に制限されず、公知のものを使用することができる。これらのものとしては、以下のものを例示することができる。
【0079】
ポリイソシアネート化合物は、例えば「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック71〜98頁、日刊工業新聞社」に記載されている脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の有機イソシアネートをいずれも使用することができる。最も一般的に使用されているポリイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)等を例示できる。主に2,4−TDI/2,6−TDIの重量比が80/20程度の混合物や65/35程度の混合物が、使用されており、本発明においても好適に使用できる。また、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合物をホスゲン化することにより得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製−MDI)も使用されており、本発明においても好適に使用できる。
【0080】
ポリオールとしては、例えば、「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック99〜117頁、日刊工業新聞社」等に記載されているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0081】
ポリエーテルポリオールは、例えば、活性水素原子を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応によって得ることができる。開始剤として、例えば、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルコジット、トリレンジアミン、ソルビトール、しょ糖などを使用し、アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを使用して、両者を反応させて得られる官能基数が2〜8程度で水酸基価が300〜800mgKOH/g程度のものを好適に使用することができる。
【0082】
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸とグリコール若しくはトルオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール、カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルおよびポリカーボネートジオールなどのうち、官能基数が2〜4程度で水酸基価が250〜500mgKOH/g程度のものを好適に使用することができる。
【0083】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合は、適宜決定することができるが、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対して、ポリオール中の活性水素が、通常1〜3当量程度となる割合を例示できる。
【0084】
本発明の製造方法では、ポリオールとポリイソシアネートとの反応における触媒を用いてもよい。このような触媒としては、3級アミン、有機金属化合物、それらの混合物などの公知の触媒を使用することができる。触媒の添加量は、触媒の種類などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、通常0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度である。
【0085】
触媒として使用できる3級アミンとして、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類;トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾールなどの環状アミン類;ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類等が挙げられる。N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンもジアミン類として例示できる。また、有機金属化合物としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテートなどが挙げられる。
【0086】
本発明の製造方法では、当該分野において公知の添加剤(例えば、整泡剤など)を使用してもよい。整泡剤としては、例えば、シリコーン系、含フッ素系界面活性剤等が例示でき、より具体的には、ポリシロキサン−ポリアルキレンブロックコポリマー、メチルポリシロキサンをベースにした界面活性剤などを使用することができる。上記含フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーなどを例示することができる。整泡剤の添加量は、整泡剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、通常0.1〜10重量部程度である。
【0087】
製造条件は、常法に従えば良い。例えば、原料を均一に混合できる装置であれば、如何なるものを用いてもよく、より具体的には、ミキサー、発泡機などを用いて、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、その他の添加剤などの各原料をよく混合して、成形することによって、目的とする発泡体とすることができる。発泡剤及びその他の添加剤は、ポリオール成分に予め溶解してプレミックスとして用いると、均一な発泡体を得易くなるが、これに限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物に予め溶解することもできる。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリオールに対する相溶性が高い発泡剤を提供できる。特に、グリコール化合物および/またはフッ素含有界面活性剤を含む発泡剤は、ポリオールとの相溶性が極めて優れたものである。
【0089】
本発明において用いる発泡剤は、運搬時や貯蔵時の容器として従来のものを使用することができる程度の適度な沸点を有するので、特に耐圧性の高い容器を用いる必要はない。また、開放系であっても、プレミックスから発泡剤が気化することによるロスを抑制できる。
【0090】
本発明で用いる発泡剤は、炭素数3以下のCFC(クロロフルオロカーボン)またはHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)のみからなる発泡剤に比して、オゾン層を破壊する危険性が少ない。さらに、ハロゲン化炭化水素として塩素原子や臭素原子を含まないハロゲン含有化合物を用いた場合には、発泡剤はオゾン層を破壊する危険性が全くない。
【0091】
本発明の製造方法によると、優れた断熱性または機械的強度を有する合成樹脂発泡体を得ることができる。
【0092】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明をより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0093】
なお、以下の実施例において用いたポリオールおよび発泡剤は次のとおりである。
ポリオールA:水酸基価300 mgKOH/gの芳香族系ポリエステルポリオール
ポリオールB:水酸基価440 mgKOH/gの芳香族系ポリエーテルポリオール
ハロゲン含有化合物A:1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(CF3CF2CHFCHFCF3、沸点54℃)
ハロゲン含有化合物B:1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン(−CFClCFClCF2CF2−、沸点60℃)および
ハロゲン含有化合物C:1,1,1−トリフルオロエタノール(CF3CH2OH、沸点74℃)
ハロゲン含有化合物D:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−オール(CF3CHOHCF3、 沸点59℃)。
【0094】
参考例1:ハロゲン含有化合物とポリオールとの相溶性
容量50mlのスクリュー栓付ガラス瓶に、上記のハロゲン含有化合物のいずれか10gとポリオール20gとを合計30gを入れ、振とう機で10分間振とうした後、0℃または25℃において5時間静置し、分離の有無を肉眼にて確認した。表1に結果を示す。なお、判定は次の基準でおこなった。
○;均一溶解し、分離なし △;分離しないが均一化しにくい ×;分離
【0095】
【表1】
【0096】
表1の結果から明らかなように、本発明で用いるハロゲン含有化合物は、実際に使用される混合割合においてポリオールとより良好な相溶性を示し、安定したプレミックスを形成することが確認された。
【0097】
実施例1〜5及び比較例1:混合発泡剤の蒸気圧
HFC−245faと上記のハロゲン含有化合物A〜Dのそれぞれを、表2に記載されているモル比で混合して発泡剤を調製した。得られた各発泡剤について、20℃で蒸気圧を測定した。結果を以下の表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
表2から明らかなように、混合発泡剤の蒸気圧は、20℃でもほぼ1気圧であった。
【0100】
実施例5〜8及び比較例2
HFC−245faと各種のハロゲン含有化合物とを表3に記載されている割合で混合して、発泡剤を調製した。得られた各発泡剤について、24℃で蒸気圧を測定した。結果を以下の表3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
表3から明らかなように、混合発泡剤の蒸気圧は、24℃でもほぼ1気圧に抑制されていた。
【0103】
比較例3
ポリオールA100重量部とHFC−245fa35重量部(0.26モル/ポリオールA 100g)とを混合してプレミックスを調製した。得られたプレミックスの24℃における蒸気圧を測定した。結果を表4に示す。
【0104】
実施例9〜11
HFC−245faとB,C,Dのハロゲン含有化合物とを表4に記載されている割合で混合して、混合発泡剤を調製した。得られた混合発泡剤とポリオールAとを混合してプレミックスを調製した。この時、ポリオールに対する各混合発泡剤のモル量は、比較例3において用いたポリオールに対するHFC−245faのモル量(0.26モル/ポリオールA 100g) と同一にした。得られたプレミックスの24℃における蒸気圧を測定した。
【0105】
【表4】
【0106】
実施例12〜13および比較例4
ポリオールB 100重量部に対し、シリコーン系整泡剤1.5重量部、水1重量部、触媒としてN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンをライズタイム70秒とするための必要量および表5に示す発泡剤を混合し、激しく攪拌した。
【0107】
得られた攪拌混合物と粗製ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業製 MR−100)112重量部とを混合、激しく攪拌して発泡させ、硬質ポリウレタン発泡体を得た。なお、発泡剤の使用量は、発泡体のコア密度が 25±1kg/m3となるよう調整した。
【0108】
得られた発泡体について、発泡1日後、−20℃又は室温(25〜25℃)条件で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表5に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A 9514に準じた。
【0109】
【表5】
【0110】
表5から明らかなように、比較例4と同程度の熱伝導率および圧縮強度を有する発泡体が得られた。また、寸法変化率、熱伝導変化率および強度変化率についても、比較例4と同程度の発泡体が得られた。このように、本発明の混合発泡剤を用いることによって、優れた特性を持つポリウレタン発泡体を得ることができた。
【0111】
実施例14
実施例9において調製したプレミックスに、ジエチレングリコールモノエチルアセテートを混合し、混合後のプレミックスの蒸気圧を実施例9と同様の方法を用いて測定した。ジエチレングリコールモノエチルアセテートの添加量は、実施例9のプレミックスに含まれるHFC245faとハロゲン化炭化水素の合計量: 100重量部に対して14重量部の割合とした。蒸気圧は0.78MPaであり、実施例9のプレミックスの蒸気圧に比較して、約11%低下した。
【0112】
実施例15
実施例9において調製したプレミックスに、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7Hを混合し、混合後のプレミックスの蒸気圧を実施例9と同様の方法を用いて測定した。HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7Hの添加量は、実施例9のプレミックスに含まれるHFC245faとハロゲン化炭化水素の合計量: 100重量部に対して、14重量部とした。蒸気圧は0.84MPaであり、実施例9のプレミックスの蒸気圧に比較して6%低下した。
【0113】
実施例16
実施例10において調製したプレミックスに、エチレングリコールジアセテートを混合し、混合後のプレミックスの蒸気圧を実施例10と同様の方法を用いて測定した。エチレングリコールジアセテートの添加量は、実施例10のプレミックスに含まれるHFC245faとハロゲン化アルコールの合計量: 100重量部に対して、14重量部とした。蒸気圧は0.83MPaであり、実施例10のプレミックスの蒸気圧に比較して約10%低下した。
【0114】
実施例17
表6に示す発泡剤を用いた以外は、実施例13〜15と同様にして、硬質ポリウレタン発泡体を得た。得られた発泡体について、発泡1日後、−20℃又は室温(20〜25℃)で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表6に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A 9514に準じた。
【0115】
【表6】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂発泡体を製造する方法および発泡剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオールとポリイソシアネート化合物とを触媒と発泡剤の存在下に反応させて、合成樹脂発泡体を製造することは広く行われている。得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどがある。
【0003】
上記ポリウレタン発泡体などの合成樹脂発泡体の製造に使用される発泡剤として、これまでトリクロロフルオロメタン(CFC−11)が主に使用されてきた。
【0004】
近年、ある種のフロンが、大気中に放出されると成層圏のオゾン層を破壊し、その結果、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されてきた。このため、オゾン層破壊の危険性の高いフロンについては、国際的な取り決めによって使用が制限されている。上記CFC−11は、この使用制限の対象となっている。この点から、オゾン層を破壊しない又はその危険性の低い新たな発泡剤の開発が必要となっていた。
【0005】
現在は、オゾン層に対する影響が小さいフロンとして、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)がCFC−11の代替として使用されている。
【0006】
しかしながら、この物質も分子中に塩素原子を含むので、依然としてオゾン層を破壊する危険性がある。
【0007】
特許文献1、特許文献2等には、塩素を含まずオゾン層を破壊する危険性のないフッ素化炭化水素を用いて発泡体を製造する方法が、開示されている。また、特許文献3には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)をプラスチック発泡体製造用発泡剤として使用することが記載されている。
【0008】
HFC−245faは、沸点15℃の不燃性の化合物であり、水素原子を含むフッ素化炭化水素であることから、オゾン層破壊のおそれはないものと考えられている。更に、HFC−245faは、沸点がCFC−11やHCFC−141bに近く、しかも、不燃性であるので、HCFC−141bに代わる発泡剤の非常に有力な候補として注目を集めている。
【0009】
HFC−245faの沸点(15℃)は、許容範囲ではあるものの、CFC−11(沸点24℃)やHCFC−141b(沸点32℃)に比べるとやや低い。そのため、環境温度が高い場合には、蒸発が早いので発泡体の製造が難しくなる。また、ポリオールに対する溶解性が必ずしも高くはなく、HFC−245faとポリオールとを含むプレミックスは、相分離を生じることがある。発泡剤の沸点が低い場合や、ポリオールに対する溶解性が低い場合には、ポリオールとイソシアネート化合物とを混合反応させて発泡体を製造する時に、混合不良、未反応成分の残留、ボイドと呼ばれる粗泡などが生じ易く、結果、硬質ウレタンフォームに要求される物性である強度や熱伝導率を悪化させることとなる。さらに、HFC−245fa自身または発泡体原料との混合品(特にポリオールとの混合物であるプレミックス)が、気象条件によってはかなり高い蒸気圧を持つので、ハンドリングが難しい。また、開放系の状態では、発泡剤のロスが多くなるという問題もある。更に、運搬時や貯蔵時の容器として、これまでにない耐圧性を持つものが必要となる。
【0010】
このように、HFC−245faをHCFC−141bの代替品として有効に使用するために、その沸点、溶解性等を制御する技術の開発が望まれる。
【0011】
【特許文献1】特開平2−29440号公報
【0012】
【特許文献2】特開平2−235982号公報
【0013】
【特許文献3】特開平5−239251号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点を鑑み成されたものであって、HFC−245faを含み、ポリオールなどの発泡体原料との相溶性が良好な発泡剤および前記発泡剤を用いた合成樹脂発泡体の製造方法を提供することを主な目的とする。
【0015】
本発明は、適度な沸点を有する発泡剤および前記発泡剤を用いた合成樹脂発泡体の製造方法を提供することも目的とする。
【0016】
本発明は、オゾン層を破壊する危険性が低い発泡剤および前記発泡剤を用いた合成樹脂発泡体の製造方法を提供すること主な目的とする。
【0017】
本発明は、優れた断熱性または機械的強度を有する合成樹脂発泡体の製造方法を提供することも目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、特定の組成を有する発泡剤を用いると、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明は、以下の合成樹脂発泡体の製造方法および発泡剤に係るものである。
1.有機化合物系発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、有機化合物系発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
2.有機化合物系発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと前記ハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、ハロゲン含有化合物を50モル未満含む上記1に記載の方法。
3.ポリオールと有機化合物系発泡剤とを混合する工程を有し、得られた混合物の蒸気圧全圧が、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記混合物と同一であるポリオールと発泡剤の混合物の蒸気圧全圧に対して、90%以下である上記1または2に記載の方法。
4.有機化合物系発泡剤が、更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む混合物である上記1または2に記載の方法。
5.ポリオールと有機化合物系発泡剤とを含むプレミックスを調製する工程を有し、得られたプレミックスの蒸気圧全圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含まない以外は前記プレミックスと同一の組成であるプレミックスの蒸気圧全圧に比して、96%以下である上記4に記載の方法。
6.ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
7.ハロゲン含有化合物の割合が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、50モル未満である上記6に記載の発泡剤。
8.1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとハロゲン含有化合物が、これら2成分の混合物の沸点が17〜35℃程度となるような比で含まれている上記6または7に記載の発泡剤。
9.更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む上記6または7に記載の発泡剤。
10.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であるプレミックス。
11.発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと前記ハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、前記ハロゲン含有化合物の割合が、50モル未満である上記10に記載のプレミックス。
12.プレミックスの蒸気圧全圧が、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記プレミックスと同一であるプレミックスの蒸気圧全圧に対して、90%以下である上記10または11に記載のプレミックス。
13.発泡剤が、更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含むことを特徴とする上記11または12に記載のプレミックス。
14.プレミックスの蒸気圧全圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含まない以外は前記プレミックスと同一組成であるプレミックスの蒸気圧全圧に比して、96%以下である上記13に記載のプレミックス。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機化合物系発泡剤(以下、単に「発泡剤」ということがある)の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤として、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物を使用することを特徴とする製造方法に係る。
【0021】
また、本発明は、発泡剤として、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)とを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤に係る。以下、HFC−245faと前記ハロゲン含有化合物からなる混合物を「混合発泡剤」ということがある。
【0022】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0023】
ハロゲン含有化合物は、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子を少なくとも1種含む化合物である。オゾン層を破壊する危険性が全くなくなるという点においては、ハロゲン原子としてFのみを含むハロゲン含有化合物が好ましい。
【0024】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、オゾン層を破壊する能力が実質的にゼロであることが好ましい。このようなハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロゲン原子としてフッ素および/またはヨウ素を含む化合物などを例示することができる。臭素または塩素含有化合物であっても、沸点の比較的高い物質は蒸発し難いので、オゾン層を破壊する可能性は低くなる。実際、オゾン層の破壊を回避するため規制されているCFC(クロロフルオロ炭化水素)は、炭素数が3までである。したがって、本発明において用いるハロゲン含有化合物には、炭素数が4以上のクロロフルオロアルカンが含まれる。
【0025】
本発明において用いるハロゲン含有化合物の沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上であり、好ましくは25℃以上程度、より好ましくは35〜140℃程度である。
【0026】
*ハロゲン化炭化水素
ハロゲン化炭化水素としては、直鎖または分枝状のハロゲン化炭化水素、環式ハロゲン化炭化水素などを例示できる。ハロゲン化炭化水素としては、直鎖または分枝状のハロゲン化脂肪族炭化水素、脂環式ハロゲン化炭化水素が好ましい。また、ハロゲン化炭化水素は、全ての水素がハロゲン原子によって置換されたパーハロゲン化炭化水素であってもよく、含水素ハロゲン化炭化水素であってもよい。また、ハロゲン化炭化水素は、飽和炭化水素であっても、不飽和炭化水素であってもよい。
【0027】
ハロゲン化炭化水素の炭素数は、沸点が15℃以上であれば特に制限されないが、通常4以上、好ましくは4〜7程度、より好ましくは4〜6程度である。または、4〜9程度であってもよい。
【0028】
ハロゲン化炭化水素の沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは30〜140℃程度、より好ましくは40〜120℃程度である。
【0029】
ハロゲン化脂肪族炭化水素の具体例として、例えば3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ1−ヘキセン(CH2=CH(CF2)3CF3、沸点58℃)などのハイドロフルオロアルケン;
パーフルオロヘキセン(C6F12、沸点46℃、49℃または51℃)、パーフルオロノネン(C9F18)などのパーフルオロアルケン;
パーフルオロヘキサン(C6F14、沸点58℃)などのパーフルオロアルカン;
1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン(CF2HCF2CF2CF2H 沸点44℃)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(CF3CF2CFHCFHCF3 沸点54℃)、2−トリフルオロメチル−1,1,1,2,3,4,5,5,5−ナノフルオロペンタン(C6F12H2、沸点53℃)、2−トリフルオロメチル−1,1,1,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(C6F13H、沸点62℃)、C3F7H(沸点56℃)などのハイドロフルオロアルカン;
1,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロシクロブタン(c−C4F6H2、沸点63℃)、2,3,3,4,4,5,5−ペンタフルオロシクロペンタン(c−C5F7H3、沸点83℃)などのハイドロフルオロシクロアルカン;
1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,2,3,4−テトラクロロブタン(CF2ClCFClCFClCF2Cl、沸点134℃)、2,3−ジクロロオクタフルオロブタン(CF3CFClCFClCF3、沸点63℃)、1,4−ジクロロオクタフルオロブタン(CF2ClCF2CF2CF2Cl、沸点66℃)などのクロロフルオロアルカン;
1−クロロ1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン(CF2ClCF2CF2CF2H、沸点50℃)、1−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン(CF2ClCF2CF2CF2CF2CF2H、沸点78℃)などのハイドロクロロフルオロアルカン;
1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン(−CFClCFClCF2CF2−、沸点60℃)などのクロロフルオロシクロアルカン;
1−アイオドナノフルオロブタン(CF2ICF2CF2CF3、沸点67℃)などのアイオドフルオロアルカン;
1−ブロモプロパン(CH2BrCH2CH3、沸点71℃)などのハイドロブロモアルカンなどを例示できる。
【0030】
また、以下の化合物も、ハロゲン化脂肪族炭化水素として例示できる。
2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)などのハイドロフルオロアルケン;
パーフルオロ−1−ブテン(CF2=CFCF2CF3) などのパーフルオロアルケン;
パーフルオロシクロブタン(c−C4F8)などのパーフルオロシクロアルカン;
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−トリデカフルオロペンタン(H(CF2)6F、沸点72℃)などのハイドロフルオロアルカン;
2−ブロモブタン(CH3CHBrCH2CH3、沸点91℃)などのハイドロブロモアルカン。
【0031】
これらの中では、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ1−ヘキセン、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,2,3,4−テトラクロロブタン、2,3−ジクロロオクタフルオロブタン、1,4−ジクロロオクタフルオロブタン、1−クロロ1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン、2−ブロモブタンなどが好ましい。
【0032】
*ハロゲン化アルコール
ハロゲン化アルコールとしては、直鎖状または分枝状ハロゲン化脂肪族アルコールなどを例示できる。ハロゲン化アルコールは、全ての水素原子がハロゲン原子によって置換されたパーハロゲン化アルコールであってもよく、含水素ハロゲン化アルコールであってもよい。
【0033】
ハロゲン化アルコールの炭素数は、沸点が15℃以上であれば特に制限されないが、通常2以上、好ましくは2〜5程度、より好ましくは2〜4程度である。
【0034】
ハロゲン化アルコールの沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常15℃以上程度であり、好ましくは40〜130℃程度、より好ましくは50〜120℃程度である。
【0035】
ハロゲン化アルコールの具体例として、例えば、1,1,1−トリフルオロエタノール(CF3CH2OH、沸点74℃)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパノール(CF3CF2CH2OH、沸点82℃)、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(CF2HCF2CH2OH、沸点110℃)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタノール(CF3CF2CH2CH2OH、沸点100℃)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロブタノール(CF3CFHCF2CH2OH、沸点114℃) 、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−オール(CF3CH(OH)CF3、沸点59℃)などのハイドロフルオロアルコールなどを例示できる。
【0036】
これらの中では、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−オールなどが好ましい。
【0037】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、不燃性であることが好ましい。しかしながら、ハロゲン含有化合物が全く不燃である必要は必ずしもない。混合発泡剤としたときに、不燃となればよい。または、ポリオールなどの合成樹脂原料とのプレミックスとした時に、実質不燃となればよい。「プレミックスが実質的に不燃である」とは、プレミックスの気相組成が不燃性であることをいう。不燃性の評価は、米国における冷媒の燃焼性評価方法(ASHRAE法)に準じるものとする。ASHRAE法については、ASHRAE STANDARD 34−2001、ASTM Designatiion:E681−94に記載されている。上記方法により可燃性であると判断されるハロゲン含有化合物としては、1,1,1−トリフルオロエタノール、1,1,2,2−テトラフルオロプロパノールなどを例示することができる。
【0038】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、HFC−245faとの相溶性が高いことが好ましい。本発明において用いるハロゲン含有化合物は、合成樹脂の原料、特にポリオールとの相溶性が高いものが好ましい。例えば、ハロゲン含有化合物とポリオールとを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置後も相分離しないハロゲン含有化合物が好ましい。ポリオールに対する相溶性が高く、HFC−245faとも相溶性が高いハロゲン含有化合物を用いると、ポリオールと発泡剤の混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロスも低減できる。
【0039】
本発明において用いるハロゲン含有化合物は、それ自身単独で発泡剤として使用できる化合物も好ましい。このようなハロゲン含有化合物としては、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタンなどを例示することができる。また、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ1−ヘキセン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,2,3,4−テトラクロロブタン、2,3−ジクロロオクタフルオロブタン、1,4−ジクロロオクタフルオロブタン、1−クロロ1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキサン、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン、2−ブロモブタンなども例示することができる。ハロゲン含有化合物自身が発泡剤である場合には、本発明の発泡剤の添加量は、HFC−245faを単独で発泡剤として使用する場合の添加量と同程度とすることができる。即ち、発泡剤中に占めるHFC−245faの割合を低下させることができる。よって、本発明の発泡剤とポリオールとを含むプレミックスの蒸気圧においてHFC−245faの分圧を下げる効果がより大きくなる。また、実際に発泡させた場合、ハロゲン含有化合物自身が、発泡剤として働き、発泡体中に凝縮物として残存したりする懸念がなくなる。
【0040】
HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合割合は、ハロゲン含有化合物の種類、用途、処方などに応じて任意に選択できるが、混合発泡剤の沸点(蒸気圧が1気圧(約0.1MPaになる温度)が、17〜35℃程度になる割合が好ましく、20〜32℃程度になる割合が特に好ましい。
【0041】
本発明の製造方法では、予め発泡剤とポリオールとを混合してプレミックスとしてもよい。また、プレミックスには発泡剤、ポリオール以外にも発泡用触媒、安定剤、整泡剤、難燃剤等が含まれていてもよい。ポリオールとHFC−245faとハロゲン含有化合物を含む混合物(プレミックス)の蒸気圧全圧は、特に制限されないが、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記混合物と同一であるポリオールと発泡剤の混合物の蒸気圧全圧に対して、90%以下程度、好ましくは80%以下程度、さらに好ましくは70%以下程度となるような混合比でHFC−245faとハロゲン含有化合物とポリオールとを混合するのが好ましい。なお、蒸気圧の比較には、通常20℃〜40℃程度において測定した値を用いる。また、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faとハロゲン含有化合物の合計量が、20〜70重量部程度であるプレミックスを用いる。
【0042】
混合発泡剤とポリオールとの混合物の蒸気圧は、特に制限されないが、17℃で1気圧以下程度、より好ましくは20℃で1気圧以下程度、さらに好ましくは24℃で1気圧以下程度になるような比で、HFC−245faとハロゲン含有化合物とを調製しポリオールと混合するのが好ましい。
【0043】
HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合割合は、特に制限されず、ハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、両者の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物は、通常50モル未満程度、好ましくは15〜50モル程度、より好ましくは20〜45モル程度、特に好ましくは25〜40モル程度である。
【0044】
本発明の発泡剤は、更にグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含んでいてもよい。即ち、本発明の発泡剤は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと沸点が15℃以上のハイドロフルオロエーテルとグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であってもよい。
【0045】
HFC245faは、HCFC141bと比較するとポリオールへの溶解性が低い。グリコール系化合物とフッ素含有界面活性剤は、相溶化剤として作用するので、グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を用いることにより、発泡剤のポリオールへの相溶性が改善される。相溶性が改善されるとプレミックスから発泡剤が揮発することによるロスを低下できるとともに、プレミックスの蒸気圧を低減できる。
【0046】
*グリコール系化合物
本発明において用いるグリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール化合物、プロピレングリコール化合物、ブチレングリコール化合物などのアルキレングリコールを例示することができる。アルキレングリコールは、通常炭素数2〜4程度のアルキレン基を有し、好ましくは炭素数2〜3程度のアルキレン基を有する。
【0047】
エチレングリコール化合物としては、以下の式(A)〜式(C)で示される化合物などを例示することができる。
式(A) CaH2a+1(OCH2CH2O)b CcH2c+1
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3, 4、c=0, 1, 2, 3,4]、
式(B) CdH2d+1CO(OCH2CH2O)eCO CfH2f+1
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3, 4、f=0, 1, 2, 3,4]および
式(C) CiH2i+1CO(OCH2CH2O)jCkH2k+1
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3, 4、k=0, 1, 2, 3,4]。
【0048】
式(A)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールなどを例示できる。
【0049】
式(B)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールモノフォルメート、エチレングリコールジフォルメート、ジエチレングリコールモノフォルメート、ジエチレングリコールジフォルメート、トリエチレングリコールモノフォルメート、トリエチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノプロピオネート、エチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールモノプロピオネート、ジエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールモノプロピオネート、トリエチレングリコールジプロピオネートなどを例示できる。
【0050】
式(C)で示されるエチレングリコール化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールメチルエーテルフォルメート、エチレングリコールエチルエーテルフォルメート、エチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネートなどを例示できる。
【0051】
エチレングルコール系化合物としては、式(A)においてaおよびcが1以上であるジエーテル化合物、式(B)においてdおよびfが1以上であるジエステル化合物、式(C)においてkおよびiが1以上であるエーテルエステル化合物などが好ましく、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノnブチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジnブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどがより好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノnブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルも好適に用いることができる。
【0052】
プロピレングリコール化合物としては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−メトキシー1−プロパノール、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の化合物が挙げられる。特にトリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテートが好ましい。
【0053】
グリコール化合物としては、例えば、ブチレングリコールジアセテートなども例示することができる。
【0054】
グリコール化合物としては、HFC245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC245fa、ハロゲン含有化合物、グリコール化合物、ポリオールなどを含むプレミックスを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないグリコール化合物が好ましい。HFC245faおよび/またはポリオールとの相溶性の点においては、具体名を上述した化合物を好ましく使用できる。HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高いグリコール化合物である程、ポリオール、発泡剤などを含むプレミックスを開放系に置いた時の発泡剤のロス(飛散量)を低減することができる。また、プレミックスの蒸気圧も低下できる。
【0055】
グリコール化合物としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、グリコール化合物が全く不燃である必要はなく、HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。グリコール化合物としては、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスとした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、グリコール化合物の難燃性は、特に制限されない。なお、危険物第4類、3石以上程度の難燃性とは、1気圧、20℃で液体の化合物の発火点が100℃以上程度で、引火点が70℃以上程度であることを意味する。難燃性のグリコール化合物を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの引火点は110℃であり、エチレングリコールジアセテートの引火点は96℃であり、ともに20℃において液体である。従って、これらのグリコール化合物は、危険物第4類、3石以上の難燃性を有している。
【0056】
本発明において用いるグリコール化合物の沸点は、特に制限されないが、通常85〜300℃程度であり、好ましくは120〜250℃程度である。
【0057】
*フッ素含有界面活性剤
本発明において用いるフッ素含有界面活性剤としては、例えば、以下の式(D)〜式(F)で示される化合物などを例示することができる。
式(D) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、Rfaは、−(CF2)a’H (a’=1〜8)または −(CF2)b’F (b’=1〜8)を示し、Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(E) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、Rfbは、−(CF2)c’H (c’=1〜8) または−(CF2)d’F (d’=1〜8)を示す]、
式(F) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。
【0058】
一般式(D)において、nは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。Rfaは、−(CF2)a’H (a’=1〜8)または −(CF2)b’F (b’=1〜8)を示す。a’は1〜4が好ましく、b’は1〜4が好ましい。Rは、水素原子または低級アルキル基を示す。Rで示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜4程度であり、好ましくは1〜2程度である。
【0059】
式(D)で示される化合物としては、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7H、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2C4F8H)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0060】
一般式(E)において、mは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。Rfbは、−(CF2)c’H (c’=1〜8) または−(CF2)d’F (d’=1〜8)を示す。c’は1〜4が好ましく、d’は1〜4が好ましい。
【0061】
一般式(E)で示される化合物としては、HO[CH(CH2C4F9)CH2O]6H、HO[CH (CH2C2F5)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0062】
一般式(F)において、nは、通常1〜3程度であり、1〜2程度が好ましい。mは、通常4〜15程度であり、好ましくは4〜10程度である。R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示す。R1で示されるF含有アルキルの炭素数は、通常10〜20程度であり、好ましくは12〜18程度である。R1で示されるF含有アルキルのフッ素原子の数は、通常10〜40程度であり、好ましくは12〜34程度である。R2は、Hまたは低級アルキル基を示す。R2で示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜2程度である。
【0063】
一般式(F)で示される化合物としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のユニダインDS−401, DS−403;デュポン社製のゾニールFSO, FSNなどを例示できる。
【0064】
フッ素含有界面活性剤としては、HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC−245faとハロゲン含有化合物とフッ素含有界面活性剤とポリオールとを含むプレミックスを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないフッ素含有界面活性剤が好ましい。HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高いフッ素含有界面活性剤である程、ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスを開放系に置いた時の発泡剤のロス、即ち発泡剤の飛散量を低減することができる。
【0065】
フッ素含有界面活性剤としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、フッ素含有界面活性剤が全く不燃である必要はなく、HFC−245faとハロゲン含有化合物との混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。フッ素含有界面活性剤は、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスの状態とした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、フッ素含有界面活性剤の難燃性は、特に制限されない。難燃性のフッ素含有界面活性剤を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。
【0066】
本発明において用いるフッ素含有界面活性剤の沸点は、特に制限されないが、通常100〜300℃程度であり、好ましくは120〜250℃程度である。
【0067】
発泡剤中のHFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、HFC245fa、ハロゲン含有化合物、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの蒸気圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を除いた以外は前記プレミックスと同じ重量組成比のプレミックスの蒸気圧に対して、通常96%以下程度であり、好ましくは70〜94%程度であり、より好ましくは70〜90%程度となるようにHFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。プレミックスの蒸気圧の比較には、通常20℃〜40℃程度の何れかの温度における値を用い、また、同一温度における値を比較する。より具体的な例を挙げると、(a) グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤:A重量部、(b)HFC−245fa:B重量部、(c)ポリオール:C重量部および(d) ハロゲン含有化合物:D重量部からなるプレミックスの場合、前記(a)〜(d)を含むプレミックスの蒸気圧が、前記(b)〜(d)を含むプレミックスの蒸気圧に対して、96%以下程度、好ましくは94%以下程度、より好ましくは90%以下程度となるようにHFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の合計量が、20〜70重量部程度であるプレミックスを用いる。
【0068】
または、HFC−245fa、ハロゲン含有化合物、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤、ポリオールなどを含むプレミックスの沸点、即ちプレミックスの蒸気圧が1気圧(約0.1MPa)になる温度が、通常15℃以上程度、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度になるように、HFC−245fa、ハロゲン含有化合物、フッ素含有界面活性剤などの混合比を設定すればよい。
【0069】
グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む本発明の発泡剤において、HFC−245faとハロゲン含有化合物は、HFC−245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤との総量に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65〜99重量%程度、より好ましくは75〜98重量%程度である。
【0070】
HFC245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の混合割合は、発泡剤の沸点が、17〜35℃程度になる割合が好ましく、18〜30℃になる割合がより好ましい。
【0071】
HFC245faとハロゲン含有化合物とグリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤におけるHFC−245faとハロゲン含有化合物との混合比率は、HFC−245faとハロゲン含有化合物の合計を100モルとした時に、ハロゲン含有化合物が、通常50モル未満程度、好ましくは15〜50モル程度、より好ましくは20〜45モル程度、特に好ましくは25〜40モル程度である。
【0072】
グリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤の添加量は、HFC−245faとハロゲン含有化合物の合計重量に対して通常1〜49重量%程度、好ましくは1〜35重量%程度、特に好ましくは2〜25重量%程度である。
【0073】
本発明の発泡剤は、他の発泡剤を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独で使用することは勿論、他の発泡剤と併用してもよい。併用できる発泡剤としては、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどの低沸点ハロゲン化炭化水素;空気、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどを例示できる。低沸点ハロゲン化炭化水素としては、例えば1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなども例示できる。低沸点ハロゲン化炭化水素は、特に制限されないが、その沸点は、1気圧(約0.1MPa)において、通常−30〜0℃程度である。他の発泡剤の添加量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に制限されないが、添加する場合には、全発泡剤中におけるHFC−245faとハロゲン含有化合物との合計は、通常20重量%以上程度、好ましくは40重量%以上程度であり、60〜95重量%程度がより好ましい。上述したような他の発泡剤は、発泡時にプレミックスに混合されて使用されることが多い。
【0074】
本発明の発泡剤は、水を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、水と併用することができる。水の割合は、ハロゲン含有化合物とHFC−245faと水の合計を100モルとしたときに、水が60モル以下となる程度まで加えることができる。この範囲内とすることによって、より確実に高断熱性発泡体を得ることができる。
【0075】
本発明発泡剤は、必要に応じて、公知の分解抑制剤を配合していてもよい。このような分解抑制剤としては、ニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;α−メチルスチレン、p−イソプロペニルトルエンなどの芳香族炭化水素;イソプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;1,2−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリンなどのエポキシ化合物;p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール;クロロ酢酸イソプロピルエステルのようなクロロ酢酸エステル化合物などのフェノール化合物などを例示できる。分解抑制剤の配合割合は、抑制剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、ハロゲン含有化合物とHFC−245faとの合計100重量部に対して、通常0.05〜5重量部程度である。分解抑制剤は、予め、本発明で用いる発泡剤と混合していても良く、或いは発泡時に別々に添加しても良い。
【0076】
本発明の発泡剤の使用量は、用いるハロゲン含有化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、ハロゲン含有化合物とHFC−245faの合計量が、通常1〜60重量部程度、好ましくは10〜50重量部程度、より好ましくは20〜45重量部程度である。発泡剤にグリコール系化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤が含まれる場合は、発泡剤の合計量が、ポリオール100重量部に対して、通常1〜70重量部程度、好ましくは10〜60重量部程度、より好ましくは20〜55重量部程度である。
【0077】
本発明の製造方法では、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、合成樹脂発泡剤を製造する。本発明の方法により得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体などを例示できる。
【0078】
ポリオール、ポリイソシアネート化合物などの発泡剤以外の原料は、特に制限されず、公知のものを使用することができる。これらのものとしては、以下のものを例示することができる。
【0079】
ポリイソシアネート化合物は、例えば「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック71〜98頁、日刊工業新聞社」に記載されている脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の有機イソシアネートをいずれも使用することができる。最も一般的に使用されているポリイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)等を例示できる。主に2,4−TDI/2,6−TDIの重量比が80/20程度の混合物や65/35程度の混合物が、使用されており、本発明においても好適に使用できる。また、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合物をホスゲン化することにより得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製−MDI)も使用されており、本発明においても好適に使用できる。
【0080】
ポリオールとしては、例えば、「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック99〜117頁、日刊工業新聞社」等に記載されているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0081】
ポリエーテルポリオールは、例えば、活性水素原子を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応によって得ることができる。開始剤として、例えば、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルコジット、トリレンジアミン、ソルビトール、しょ糖などを使用し、アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを使用して、両者を反応させて得られる官能基数が2〜8程度で水酸基価が300〜800mgKOH/g程度のものを好適に使用することができる。
【0082】
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸とグリコール若しくはトルオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール、カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルおよびポリカーボネートジオールなどのうち、官能基数が2〜4程度で水酸基価が250〜500mgKOH/g程度のものを好適に使用することができる。
【0083】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合は、適宜決定することができるが、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対して、ポリオール中の活性水素が、通常1〜3当量程度となる割合を例示できる。
【0084】
本発明の製造方法では、ポリオールとポリイソシアネートとの反応における触媒を用いてもよい。このような触媒としては、3級アミン、有機金属化合物、それらの混合物などの公知の触媒を使用することができる。触媒の添加量は、触媒の種類などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、通常0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度である。
【0085】
触媒として使用できる3級アミンとして、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類;トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾールなどの環状アミン類;ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類等が挙げられる。N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンもジアミン類として例示できる。また、有機金属化合物としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテートなどが挙げられる。
【0086】
本発明の製造方法では、当該分野において公知の添加剤(例えば、整泡剤など)を使用してもよい。整泡剤としては、例えば、シリコーン系、含フッ素系界面活性剤等が例示でき、より具体的には、ポリシロキサン−ポリアルキレンブロックコポリマー、メチルポリシロキサンをベースにした界面活性剤などを使用することができる。上記含フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーなどを例示することができる。整泡剤の添加量は、整泡剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、通常0.1〜10重量部程度である。
【0087】
製造条件は、常法に従えば良い。例えば、原料を均一に混合できる装置であれば、如何なるものを用いてもよく、より具体的には、ミキサー、発泡機などを用いて、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、その他の添加剤などの各原料をよく混合して、成形することによって、目的とする発泡体とすることができる。発泡剤及びその他の添加剤は、ポリオール成分に予め溶解してプレミックスとして用いると、均一な発泡体を得易くなるが、これに限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物に予め溶解することもできる。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリオールに対する相溶性が高い発泡剤を提供できる。特に、グリコール化合物および/またはフッ素含有界面活性剤を含む発泡剤は、ポリオールとの相溶性が極めて優れたものである。
【0089】
本発明において用いる発泡剤は、運搬時や貯蔵時の容器として従来のものを使用することができる程度の適度な沸点を有するので、特に耐圧性の高い容器を用いる必要はない。また、開放系であっても、プレミックスから発泡剤が気化することによるロスを抑制できる。
【0090】
本発明で用いる発泡剤は、炭素数3以下のCFC(クロロフルオロカーボン)またはHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)のみからなる発泡剤に比して、オゾン層を破壊する危険性が少ない。さらに、ハロゲン化炭化水素として塩素原子や臭素原子を含まないハロゲン含有化合物を用いた場合には、発泡剤はオゾン層を破壊する危険性が全くない。
【0091】
本発明の製造方法によると、優れた断熱性または機械的強度を有する合成樹脂発泡体を得ることができる。
【0092】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明をより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0093】
なお、以下の実施例において用いたポリオールおよび発泡剤は次のとおりである。
ポリオールA:水酸基価300 mgKOH/gの芳香族系ポリエステルポリオール
ポリオールB:水酸基価440 mgKOH/gの芳香族系ポリエーテルポリオール
ハロゲン含有化合物A:1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(CF3CF2CHFCHFCF3、沸点54℃)
ハロゲン含有化合物B:1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン(−CFClCFClCF2CF2−、沸点60℃)および
ハロゲン含有化合物C:1,1,1−トリフルオロエタノール(CF3CH2OH、沸点74℃)
ハロゲン含有化合物D:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−オール(CF3CHOHCF3、 沸点59℃)。
【0094】
参考例1:ハロゲン含有化合物とポリオールとの相溶性
容量50mlのスクリュー栓付ガラス瓶に、上記のハロゲン含有化合物のいずれか10gとポリオール20gとを合計30gを入れ、振とう機で10分間振とうした後、0℃または25℃において5時間静置し、分離の有無を肉眼にて確認した。表1に結果を示す。なお、判定は次の基準でおこなった。
○;均一溶解し、分離なし △;分離しないが均一化しにくい ×;分離
【0095】
【表1】
【0096】
表1の結果から明らかなように、本発明で用いるハロゲン含有化合物は、実際に使用される混合割合においてポリオールとより良好な相溶性を示し、安定したプレミックスを形成することが確認された。
【0097】
実施例1〜5及び比較例1:混合発泡剤の蒸気圧
HFC−245faと上記のハロゲン含有化合物A〜Dのそれぞれを、表2に記載されているモル比で混合して発泡剤を調製した。得られた各発泡剤について、20℃で蒸気圧を測定した。結果を以下の表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
表2から明らかなように、混合発泡剤の蒸気圧は、20℃でもほぼ1気圧であった。
【0100】
実施例5〜8及び比較例2
HFC−245faと各種のハロゲン含有化合物とを表3に記載されている割合で混合して、発泡剤を調製した。得られた各発泡剤について、24℃で蒸気圧を測定した。結果を以下の表3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
表3から明らかなように、混合発泡剤の蒸気圧は、24℃でもほぼ1気圧に抑制されていた。
【0103】
比較例3
ポリオールA100重量部とHFC−245fa35重量部(0.26モル/ポリオールA 100g)とを混合してプレミックスを調製した。得られたプレミックスの24℃における蒸気圧を測定した。結果を表4に示す。
【0104】
実施例9〜11
HFC−245faとB,C,Dのハロゲン含有化合物とを表4に記載されている割合で混合して、混合発泡剤を調製した。得られた混合発泡剤とポリオールAとを混合してプレミックスを調製した。この時、ポリオールに対する各混合発泡剤のモル量は、比較例3において用いたポリオールに対するHFC−245faのモル量(0.26モル/ポリオールA 100g) と同一にした。得られたプレミックスの24℃における蒸気圧を測定した。
【0105】
【表4】
【0106】
実施例12〜13および比較例4
ポリオールB 100重量部に対し、シリコーン系整泡剤1.5重量部、水1重量部、触媒としてN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンをライズタイム70秒とするための必要量および表5に示す発泡剤を混合し、激しく攪拌した。
【0107】
得られた攪拌混合物と粗製ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業製 MR−100)112重量部とを混合、激しく攪拌して発泡させ、硬質ポリウレタン発泡体を得た。なお、発泡剤の使用量は、発泡体のコア密度が 25±1kg/m3となるよう調整した。
【0108】
得られた発泡体について、発泡1日後、−20℃又は室温(25〜25℃)条件で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表5に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A 9514に準じた。
【0109】
【表5】
【0110】
表5から明らかなように、比較例4と同程度の熱伝導率および圧縮強度を有する発泡体が得られた。また、寸法変化率、熱伝導変化率および強度変化率についても、比較例4と同程度の発泡体が得られた。このように、本発明の混合発泡剤を用いることによって、優れた特性を持つポリウレタン発泡体を得ることができた。
【0111】
実施例14
実施例9において調製したプレミックスに、ジエチレングリコールモノエチルアセテートを混合し、混合後のプレミックスの蒸気圧を実施例9と同様の方法を用いて測定した。ジエチレングリコールモノエチルアセテートの添加量は、実施例9のプレミックスに含まれるHFC245faとハロゲン化炭化水素の合計量: 100重量部に対して14重量部の割合とした。蒸気圧は0.78MPaであり、実施例9のプレミックスの蒸気圧に比較して、約11%低下した。
【0112】
実施例15
実施例9において調製したプレミックスに、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7Hを混合し、混合後のプレミックスの蒸気圧を実施例9と同様の方法を用いて測定した。HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7Hの添加量は、実施例9のプレミックスに含まれるHFC245faとハロゲン化炭化水素の合計量: 100重量部に対して、14重量部とした。蒸気圧は0.84MPaであり、実施例9のプレミックスの蒸気圧に比較して6%低下した。
【0113】
実施例16
実施例10において調製したプレミックスに、エチレングリコールジアセテートを混合し、混合後のプレミックスの蒸気圧を実施例10と同様の方法を用いて測定した。エチレングリコールジアセテートの添加量は、実施例10のプレミックスに含まれるHFC245faとハロゲン化アルコールの合計量: 100重量部に対して、14重量部とした。蒸気圧は0.83MPaであり、実施例10のプレミックスの蒸気圧に比較して約10%低下した。
【0114】
実施例17
表6に示す発泡剤を用いた以外は、実施例13〜15と同様にして、硬質ポリウレタン発泡体を得た。得られた発泡体について、発泡1日後、−20℃又は室温(20〜25℃)で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表6に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A 9514に準じた。
【0115】
【表6】
Claims (14)
- 発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと前記ハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、ハロゲン含有化合物を50モル未満含む請求項1に記載の方法。
- ポリオールと発泡剤とを混合する工程を有し、得られた混合物の蒸気圧全圧が、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記混合物と同一であるポリオールと発泡剤の混合物の蒸気圧全圧に対して、90%以下である請求項1または2に記載の方法。
- 発泡剤が、更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む混合物である請求項1または2に記載の方法。
- ポリオールと発泡剤とを含むプレミックスを調製する工程を有し、得られたプレミックスの蒸気圧全圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含まない以外は前記プレミックスと同一の組成であるプレミックスの蒸気圧全圧に比して、96%以下である請求項4に記載の方法。
- ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
- ハロゲン含有化合物の割合が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、50モル未満である請求項6に記載の発泡剤。
- 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとハロゲン含有化合物が、これら2成分の混合物の沸点が17〜35℃程度となるような比で含まれている請求項6または7に記載の発泡剤。
- 更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含む請求項6または7に記載の発泡剤。
- 発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、
発泡剤が、ハロゲン化炭化水素およびハロゲン化アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であって、沸点が15℃以上であるハロゲン含有化合物と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であるプレミックス。 - 発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと前記ハロゲン含有化合物との合計を100モルとしたときに、前記ハロゲン含有化合物の割合が、50モル未満である請求項10に記載のプレミックス。
- プレミックスの蒸気圧全圧が、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを単独で含み、ポリオールに対する発泡剤のモル比が前記プレミックスと同一であるプレミックスの蒸気圧全圧に対して、90%以下である請求項10または11に記載のプレミックス。
- 発泡剤が、更に、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含むことを特徴とする請求項11または12に記載のプレミックス。
- プレミックスの蒸気圧全圧が、グリコール化合物及び/又はフッ素含有界面活性剤を含まない以外は前記プレミックスと同一組成であるプレミックスの蒸気圧全圧に比して、96%以下である請求項13に記載のプレミックス。
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WO2004060947A1 (ja) * | 2002-12-27 | 2004-07-22 | Daikin Industries, Ltd. | 合成樹脂発泡体の製造方法 |
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