JP2004051671A - 低い蒸気圧を有する発泡剤、プレミックスおよび発泡体の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた断熱性、機械的強度を有する合成樹脂発泡体の製造方法であって、オゾン層を破壊する危険性がなく、難燃性で適度な沸点を持ち、発泡体原料との相溶性が良好な発泡剤を用いる方法を提供する。
【解決手段】発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、発泡剤として、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とからなる混合物を使用することを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、発泡剤として、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とからなる混合物を使用することを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂発泡体を製造する方法、発泡剤およびプレミックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオールとポリイソシアネート化合物とを触媒と発泡剤の存在下に反応させて、合成樹脂発泡体を製造することは広く行われている。得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどがある。
【0003】
上記ポリウレタン発泡体などの合成樹脂発泡体の製造に使用される発泡剤として、これまでトリクロロフルオロメタン(CFC−11)が主に使用されてきた。
【0004】
近年、ある種のフロンが、大気中に放出されると成層圏のオゾン層を破壊し、その結果、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されてきた。このため、オゾン層破壊の危険性の高いフロンについては、国際的な取り決めによって使用が制限されている。上記CFC−11は、この使用制限の対象となっている。この点から、オゾン層を破壊しない又はその危険性の低い新たな発泡剤の開発が必要となっていた。
【0005】
現在は、オゾン層に対する影響が小さいフロンとして、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)がCFC−11の代替として使用されている。
【0006】
しかしながら、この物質も分子中に塩素原子を含むので、依然としてオゾン層を破壊する危険性がある。
【0007】
特開平2−29440号公報、特開平2−235982号公報等には、塩素を含まずオゾン層を破壊する危険性のないフッ素化炭化水素を用いて発泡体を製造する方法が、開示されている。また、特開平5−239251号公報には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)をプラスチック発泡体製造用発泡剤として使用することが開示されている。
【0008】
HFC−245faは、沸点15℃の不燃性の化合物であり、水素原子を含むフッ素化炭化水素であることから、オゾン層破壊のおそれはないものと考えられている。更に、HFC−245faは、沸点がCFC−11やHCFC−141bに近く、しかも、不燃性であるので、HCFC−141bに代わる発泡剤の非常に有力な候補として注目を集めている。
【0009】
HFC−245faの沸点(15℃)は、許容範囲ではあるものの、CFC−11(沸点24℃)やHCFC−141b(沸点32℃)に比べるとやや低い。そのため、環境温度が高い場合には、蒸発が早いので発泡体の製造が難しくなる。また、ポリオールに対する溶解性が必ずしも高くはなく、HFC−245faとポリオールとを含むプレミックスは、相分離を生じることがある。このため使用できるポリオールが限定されるという問題点がある。
【0010】
発泡剤の沸点が低い場合、ポリオールに対する溶解性が低い場合には、ポリオールとイソシアネート化合物とを混合反応させて発泡体を製造する時に、混合不良、未反応成分の残留、ボイドと呼ばれる粗泡などが生じ易く、結果、硬質ウレタンフォームに要求される物性である強度や熱伝導率を悪化させることとなる。さらに、HFC−245fa自身または発泡体原料との混合品(特にポリオールとの混合物であるプレミックス)が、気象条件によってはかなり高い蒸気圧を持つので、ハンドリングが難しい。更に、運搬時や貯蔵時の容器として、これまでにない耐圧性を持つものが必要となる。
【0011】
このように、HFC−245faをHCFC−141bの代替品として有効に使用するために、その沸点、溶解性等を制御する技術の開発が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、HFC−245faの発泡剤としての性能は維持したままで、HFC−245faの有する課題を解決または低減した発泡剤、該発泡剤を含むプレミックスおよび該発泡剤を使用した合成樹脂発泡体の製造方法を提供することを主な目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術における上記の如き問題点を鑑みて研究を重ねた結果、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどの合成樹脂発泡体を製造する方法において、特定の発泡剤を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、以下の発泡体の製造方法、発泡剤およびプレミックスに係るものである。
1.発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤を含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
2.発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤の総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む上記1に記載の方法。
3.(a) フッ素含有界面活性剤、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールとを混合する工程を有し、
得られた(a)〜(c)を含む混合物の蒸気圧が、前記混合物と同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記1または2に記載の方法。
4.フッ素含有界面活性剤が、
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]
上記式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
6.1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの配合量が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤の総量に対して、50重量%以上である上記5に記載の発泡剤。
7.(a) フッ素含有界面活性剤、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールを含むプレミックスとした時の蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記5または6に記載の発泡剤。
8.フッ素含有界面活性剤が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記5〜7のいずれかに記載の発泡剤:
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。
9.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤であるプレミックス。
10.発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤との総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である上記9に記載のプレミックス。
11.プレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比のポリオールと1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンからなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記9または10に記載のプレミックス。
12.フッ素含有界面活性剤が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記9〜11のいずれかに記載のプレミックス:
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下「HFC−245fa」ということがある)とフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤に係る。
【0017】
以下、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤からなる混合物を「混合発泡剤」ということがある。また、発泡剤とポリオールとの混合物を「プレミックス」ということがある。
【0018】
本発明の発泡剤の沸点は、1気圧において、通常15℃以上程度であり、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度である。
【0019】
フッ素含有界面活性剤としては、例えば、以下の式(I)〜(III)で示される化合物を例示することができる。
【0020】
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]
【0021】
一般式(I)において、nは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。
【0022】
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示す。aは1〜4が好ましく、bは1〜4が好ましい。
【0023】
Rは、水素原子または低級アルキル基を示す。Rで示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜4程度であり、好ましくは1〜2程度である。
【0024】
式(I)で示される化合物としては、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7H、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2C4F8H)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0025】
一般式(II)において、mは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。
【0026】
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す。cは1〜4が好ましく、dは1〜4が好ましい。
【0027】
一般式(II)で示される化合物としては、HO[CH (CH2C4F9)CH2O]6H、HO[CH (CH2C2F5)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0028】
一般式(III)において、nは、通常1〜3程度であり、1〜2程度が好ましい。mは、通常4〜15程度であり、好ましくは4〜10程度である。
【0029】
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示す。R1で示されるF含有アルキルの炭素数は、通常10〜20程度であり、好ましくは12〜18程度である。
【0030】
R2は、Hまたは低級アルキル基を示す。R2で示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜2程度である。
【0031】
一般式(III)で示される化合物としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のユニダインDS−401, DS−403;デュポン社製のゾニールFSO, FSNなどを例示できる。
【0032】
フッ素含有界面活性剤としては、HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤とポリオールとを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないフッ素含有界面活性剤が好ましい。フッ素含有界面活性剤とHFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い程、ポリオールと発泡剤の混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロス、即ち発泡剤の飛散量を低減することができる。
【0033】
フッ素含有界面活性剤としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、フッ素含有界面活性剤が全く不燃である必要はなく、不燃性であるHFC−245faとの混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。フッ素含有界面活性剤は、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスとした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、フッ素含有界面活性剤の難燃性は、特に制限されない。難燃性のフッ素含有界面活性剤を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。「危険物第4類、3石の難燃性」とは、引火点が70℃以上200℃未満の引火性を有する液体であることを意味する。なお、液体であるかどうかは、1気圧、20℃において判断する。「危険物第4類、3石以上の難燃性」とは、引火点が、70℃以上の引火性液体であることを意味する。
【0034】
HFC−245faとフッ素含有界面活性剤との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、30℃程度において、(a)フッ素含有界面活性剤、(b)HFC−245faおよび(c)ポリオールからなる混合物の蒸気圧が、前記混合物と同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下程度、好ましくは80%以下程度、より好ましくは70%以下程度となるようにHFC−245faとフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。例えば、(a)フッ素含有界面活性剤:A重量部、(b)HFC−245fa:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなる発泡剤の場合を例に挙げると、前記(a)〜(c)からなる発泡剤の蒸気圧は、(b)HFC−245faに対する(c)ポリオールの重量組成比がB:Cである(b)と(C)の混合物の蒸気圧に対して、90%以下程度、好ましくは80%以下程度、より好ましくは70%以下程度となるようにHFC−245faとフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。
【0035】
なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤の合計量が、20〜70重量部程度である混合物を用いる。
【0036】
または、発泡剤とポリオールの混合物であるプレミックスの沸点(プレミックスの蒸気圧が1気圧になる温度)が、15℃以上程度、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度になるように、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤との比を設定しポリオールと混合するのが好ましい。
【0037】
本発明の発泡剤におけるHFC−245faの配合量は、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤との総量に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65〜99重量%程度、より好ましくは75〜98重量%程度である。
【0038】
本発明の発泡剤は、他の発泡剤を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独で使用することは勿論、他の発泡剤と併用してもよい。併用し得る発泡剤としては、例えばHFC134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)などのハロゲン化炭化水素;空気、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどを例示できる。このような発泡剤は沸点が0℃以下と低く、通常は発泡体の製造の際、発泡時に添加されて使用されることが多く、プレミックスの状態で保存されることは少ない。他の発泡剤を使用する場合、全発泡剤中のフッ素含有界面活性剤とHFC−245faの総量の割合は、20重量%以上程度、特に40重量%以上程度が好ましい。
【0039】
本発明の発泡剤は、水を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独使用しても良く、水と併用してもよい。多くの場合、混合発泡剤は、水と併用される。これは、水を加えることにより発泡時に炭酸ガスが生成し、炭酸ガスが発泡に寄与するためである。しかし、多量に水を加えすぎると、発泡体の断熱性能等を低下させるおそれがある。水の添加量は、HFC−245faと水の総量に対して、通常60モル%以下程度である。この範囲内とすることによって、より確実に高断熱性発泡体を製造することができる。
【0040】
また、本発明発泡剤は、必要に応じて、分解抑制剤を配合していてもよい。分解抑制剤としては、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;α−メチルスチレン、p−イソプロペニルトルエンなどの芳香族炭化水素;イソプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;1,2−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリンなどのエポキシ化合物;p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール化合物;クロロ酢酸イソプロピルエステルなどのクロロ酢酸エステル化合物などを好ましいものとして例示できる。
【0041】
分解抑制剤の配合割合は、抑制剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤の合計量100重量部に対して、通常0.05〜5重量部程度である。分解抑制剤は、予め発泡剤と混合しておいても良く、または発泡時に別々に添加しても良い。
【0042】
本発明の発泡剤の使用量は、組成などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faが通常1〜60重量部程度、好ましくは10〜50重量部程度、より好ましくは20〜45重量部程度含まれる。
【0043】
本発明の製造方法では、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する。得られる合成樹脂発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体などを例示できる。
【0044】
ポリオール、ポリイソシアネート化合物などの発泡剤以外の原料は、特に制限されず、公知のものを使用することができる。これらのものとしては、以下のものを例示することができる。
【0045】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック71〜98頁、日刊工業新聞社」に記載されている脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の有機イソシアネートなどをいずれも使用することができる。最も一般的に使用されているポリイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)等を例示でき、中でも2,4−TDI/2,6−TDIの重量比が80/20程度の混合物、65/35程度の混合物などが特に一般的に使用されており、本発明においても好適に使用できる。また、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合物をホスゲン化することにより得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製−MDI)も一般的に使用されており、本発明においても好適に使用できる。
【0046】
ポリオールとしては、例えば、「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック99〜117頁、日刊工業新聞社」等に記載されているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0047】
ポリエーテルポリオールは、例えば、活性水素原子を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応などによって得ることができる。例えば、開始剤としてエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルコジット、トリレンジアミン、ソルビトール、しょ糖などを使用し、アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを使用して、両者を反応させて得られる官能基数が2〜8程度で水酸基価が300〜800mgKOH/g程度のポリエーテルポリオールを使用することができる。
【0048】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸とグリコールまたはトルオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール;カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルおよびポリカーボネートジオールなどを例示でき、このうち官能基数が2〜4程度で水酸基価が250〜500mgKOH/g程度のポリエステルポリオールを好適に使用することができる。
【0049】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合は、適宜決定することができるが、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対するポリオール中の活性水素は、通常1〜3当量程度である。
【0050】
本発明の製造方法では、発泡剤および触媒の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを発泡させて合成樹脂発泡体を製造する。このような触媒としては、3級アミン、有機金属化合物等、それらの混合物などの公知の触媒を使用することができる。触媒の使用量は、ポリオール100重量部に対して、通常0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度である。
【0051】
触媒として使用できる3級アミンとして、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N, N, N’, N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンなどのジアミン類;トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾールなどの環状アミン類;ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類等が挙げられる。また、有機金属化合物としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテートなどが挙げられる。
【0052】
本発明の製造方法では、当該分野において公知の添加剤(例えば整泡剤など)を用いてもよい。整泡剤として、例えば、シリコーン系界面活性剤等が例示でき、より具体的には、ポリシロキサン−ポリアルキレンブロックコポリマー、メチルポリシロキサンをベースにした界面活性剤などを例示することができる。整泡剤の添加量は、ポリオール100重量部に対して、通常0.1〜10重量部程度である。
【0053】
製造条件は、常法に従えば良い。例えば、原料を均一に混合できる装置であれば、如何なるものを用いても良く、具体的には、ミキサー、発泡機などを用いて、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、その他の添加剤などの各原料をよく混合し、成形することによって、目的とする発泡体とすることができる。発泡剤及びその他の添加剤は、ポリオール成分に予め溶解してプレミックスとして用いと、均一な発泡体を得易くなるが、これに限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物に予め溶解してもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明によると、HFC−245faの発泡剤としての性能は維持したままで、ポリオールに対する溶解性が改善された発泡剤を得ることができる。即ち、本発明によると、発泡剤としてHFC−245faを単独で用いた場合と同等の断熱性、機械的強度などを有する合成樹脂発泡体を得ることができる。
【0055】
本発明の発泡剤は、オゾン層を破壊する危険性がない。
【0056】
本発明によると、適度な沸点を有する発泡剤を得ることができる。
【0057】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロスをHFC−245faとポリオールとの混合物の場合よりも低減することができる。
【0058】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)は、適度な蒸気圧を有するので、HFC−245faとポリオールからなる混合物よりもハンドリングしやすい。
【0059】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)は、運搬時、貯蔵時などの容器として従来のものを使用でき、特に耐圧性の高い容器を用いる必要はない。
【0060】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0061】
なお、以下の実施例において用いたポリオールおよび発泡剤は次のとおりである。
ポリオールA:水酸基価300 mgKOH/gのポリエステルポリオール
ポリオールB:水酸基価440 mgKOH/gのポリエーテルポリオール
混合発泡剤A:HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7HとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤B:HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2C4F8H)CH2O]6HとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤C:HO[CH (CH2C4F9)CH2O]6H とHFC−245faとの混合物
混合発泡剤D:ダイキン工業株式会社製、ユニダインDS401とHFC−245faとの混合物
なお、混合発泡剤A〜DにおけるHFC−245faの割合は、いずれも90重量%である。
【0062】
実施例1:ポリオールとの相溶性
容量50mlのスクリュー栓付ガラス瓶に、各混合発泡剤10gと各ポリオール20gとを合計30gを入れ、振とう機で10分間振とうした後、室温で5時間静置し、分離の有無を肉眼にて確認した。表1に結果を示す。なお、判定は次の基準でおこなった。
○;均一溶解し、分離なし。 △;分離しないが均一になり難い。×;分離。
【0063】
【表1】
【0064】
表1の結果から明らかなように、混合発泡剤A〜Dは、実際に使用される混合割合においてポリオールと良好な相溶性を示し、安定したプレミックスを形成することが確認された。
【0065】
混合発泡剤A〜Dに含まれるフッ素含有界面活性剤は、いずれも危険物第4類、3石以上の難燃性を有するか、または非危険物である。HFC−245faは非危険物であるので、混合発泡剤A〜Dは、難燃性であると判断される。
【0066】
実施例2〜5:プレミックスの飛散性
混合発泡剤A, B, CまたはDとポリオールBとをそれぞれ重量比47:100(フッ素含有界面活性剤:HFC−245fa:ポリオールの重量比=7:40:100)で混合し、シャーレーに入れ40℃で1時間放置し、飛散量を比較した。比較例として、HFC−245faとポリオールBとを重量比で40:100にした場合の飛散量を測定し、この時の量を1として相対値を求めた。結果を以下に示す。
【0067】
実施例2:混合発泡剤A 0.60
実施例3:混合発泡剤B 0.65
実施例4:混合発泡剤C 0.70
実施例5:混合発泡剤D 0.74
混合発泡剤を用いることにより、大幅に飛散量を抑制できた。即ち、プレミックスを開放系においた時のロスを大幅に低減できた。
【0068】
実施例6〜9および比較例1:プレミックスの蒸気圧
混合発泡剤A, B, CまたはDとポリオールBをそれぞれ重量比で47:100で混合し金属容器に封入し空気を排除し、20℃と30℃で蒸気圧を測定した。比較例1としてHFC−245faとポリオールBを重量比で40:100にした場合の蒸気圧を上記と同様にして測定した。その結果を以下の表に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
混合発泡剤を用いることにより、HFC−245faを単独で用いた場合に比べて、大幅にプレミックスの蒸気圧を低下することができた。また、20℃における蒸気圧が、0.101MPa以下であることから明らかなように、プレミックスの沸点を20℃以上とすることができた。
【0071】
実施例10〜11および比較例2
ポリオールB100部に対して、シリコーン系整泡剤1.5重量部、水1重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンおよび表3に記載の発泡剤を混合し、激しく攪拌した。触媒であるN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンは、ライズタイムを70秒とするための必要量を加えた。得られた攪拌混合物と粗製ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業製 MR−100)112重量部とを混合し、激しく攪拌して発泡させ、硬質ポリウレタン発泡体を得た。なお、発泡剤の使用量は、発泡体のコア密度が 25±1kg/m3となるよう調整した。
【0072】
得られた発泡体について、発泡1日後、−20℃又は室温条件(25℃)で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表3に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A 9514に準じた。
【0073】
【表3】
【0074】
表3の結果から明らかなように、本発明の発泡剤を用いることによって、優れた特性を持つポリウレタン発泡体を得ることができることが確認された。即ち、本発明の発泡剤を用いるとHFC−245faを単独で用いた場合と同程度の熱伝導率および圧縮強度を有する発泡体を得ることができた。また、熱伝導率変化率および強度変化率についても、HFC−245faを単独で用いた場合と同程度の値を示した。
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂発泡体を製造する方法、発泡剤およびプレミックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオールとポリイソシアネート化合物とを触媒と発泡剤の存在下に反応させて、合成樹脂発泡体を製造することは広く行われている。得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどがある。
【0003】
上記ポリウレタン発泡体などの合成樹脂発泡体の製造に使用される発泡剤として、これまでトリクロロフルオロメタン(CFC−11)が主に使用されてきた。
【0004】
近年、ある種のフロンが、大気中に放出されると成層圏のオゾン層を破壊し、その結果、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されてきた。このため、オゾン層破壊の危険性の高いフロンについては、国際的な取り決めによって使用が制限されている。上記CFC−11は、この使用制限の対象となっている。この点から、オゾン層を破壊しない又はその危険性の低い新たな発泡剤の開発が必要となっていた。
【0005】
現在は、オゾン層に対する影響が小さいフロンとして、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)がCFC−11の代替として使用されている。
【0006】
しかしながら、この物質も分子中に塩素原子を含むので、依然としてオゾン層を破壊する危険性がある。
【0007】
特開平2−29440号公報、特開平2−235982号公報等には、塩素を含まずオゾン層を破壊する危険性のないフッ素化炭化水素を用いて発泡体を製造する方法が、開示されている。また、特開平5−239251号公報には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)をプラスチック発泡体製造用発泡剤として使用することが開示されている。
【0008】
HFC−245faは、沸点15℃の不燃性の化合物であり、水素原子を含むフッ素化炭化水素であることから、オゾン層破壊のおそれはないものと考えられている。更に、HFC−245faは、沸点がCFC−11やHCFC−141bに近く、しかも、不燃性であるので、HCFC−141bに代わる発泡剤の非常に有力な候補として注目を集めている。
【0009】
HFC−245faの沸点(15℃)は、許容範囲ではあるものの、CFC−11(沸点24℃)やHCFC−141b(沸点32℃)に比べるとやや低い。そのため、環境温度が高い場合には、蒸発が早いので発泡体の製造が難しくなる。また、ポリオールに対する溶解性が必ずしも高くはなく、HFC−245faとポリオールとを含むプレミックスは、相分離を生じることがある。このため使用できるポリオールが限定されるという問題点がある。
【0010】
発泡剤の沸点が低い場合、ポリオールに対する溶解性が低い場合には、ポリオールとイソシアネート化合物とを混合反応させて発泡体を製造する時に、混合不良、未反応成分の残留、ボイドと呼ばれる粗泡などが生じ易く、結果、硬質ウレタンフォームに要求される物性である強度や熱伝導率を悪化させることとなる。さらに、HFC−245fa自身または発泡体原料との混合品(特にポリオールとの混合物であるプレミックス)が、気象条件によってはかなり高い蒸気圧を持つので、ハンドリングが難しい。更に、運搬時や貯蔵時の容器として、これまでにない耐圧性を持つものが必要となる。
【0011】
このように、HFC−245faをHCFC−141bの代替品として有効に使用するために、その沸点、溶解性等を制御する技術の開発が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、HFC−245faの発泡剤としての性能は維持したままで、HFC−245faの有する課題を解決または低減した発泡剤、該発泡剤を含むプレミックスおよび該発泡剤を使用した合成樹脂発泡体の製造方法を提供することを主な目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術における上記の如き問題点を鑑みて研究を重ねた結果、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどの合成樹脂発泡体を製造する方法において、特定の発泡剤を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、以下の発泡体の製造方法、発泡剤およびプレミックスに係るものである。
1.発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤を含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
2.発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤の総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む上記1に記載の方法。
3.(a) フッ素含有界面活性剤、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールとを混合する工程を有し、
得られた(a)〜(c)を含む混合物の蒸気圧が、前記混合物と同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記1または2に記載の方法。
4.フッ素含有界面活性剤が、
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]
上記式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
6.1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの配合量が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤の総量に対して、50重量%以上である上記5に記載の発泡剤。
7.(a) フッ素含有界面活性剤、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールを含むプレミックスとした時の蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記5または6に記載の発泡剤。
8.フッ素含有界面活性剤が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記5〜7のいずれかに記載の発泡剤:
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。
9.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤であるプレミックス。
10.発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤との総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である上記9に記載のプレミックス。
11.プレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比のポリオールと1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンからなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記9または10に記載のプレミックス。
12.フッ素含有界面活性剤が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記9〜11のいずれかに記載のプレミックス:
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下「HFC−245fa」ということがある)とフッ素含有界面活性剤とを含む混合物であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤に係る。
【0017】
以下、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤からなる混合物を「混合発泡剤」ということがある。また、発泡剤とポリオールとの混合物を「プレミックス」ということがある。
【0018】
本発明の発泡剤の沸点は、1気圧において、通常15℃以上程度であり、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度である。
【0019】
フッ素含有界面活性剤としては、例えば、以下の式(I)〜(III)で示される化合物を例示することができる。
【0020】
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]
【0021】
一般式(I)において、nは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。
【0022】
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示す。aは1〜4が好ましく、bは1〜4が好ましい。
【0023】
Rは、水素原子または低級アルキル基を示す。Rで示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜4程度であり、好ましくは1〜2程度である。
【0024】
式(I)で示される化合物としては、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7H、HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2C4F8H)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0025】
一般式(II)において、mは通常3〜30程度であり、好ましくは3〜10程度である。
【0026】
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す。cは1〜4が好ましく、dは1〜4が好ましい。
【0027】
一般式(II)で示される化合物としては、HO[CH (CH2C4F9)CH2O]6H、HO[CH (CH2C2F5)CH2O]6Hなどが好ましい。
【0028】
一般式(III)において、nは、通常1〜3程度であり、1〜2程度が好ましい。mは、通常4〜15程度であり、好ましくは4〜10程度である。
【0029】
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示す。R1で示されるF含有アルキルの炭素数は、通常10〜20程度であり、好ましくは12〜18程度である。
【0030】
R2は、Hまたは低級アルキル基を示す。R2で示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜2程度である。
【0031】
一般式(III)で示される化合物としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のユニダインDS−401, DS−403;デュポン社製のゾニールFSO, FSNなどを例示できる。
【0032】
フッ素含有界面活性剤としては、HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤とポリオールとを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないフッ素含有界面活性剤が好ましい。フッ素含有界面活性剤とHFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い程、ポリオールと発泡剤の混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロス、即ち発泡剤の飛散量を低減することができる。
【0033】
フッ素含有界面活性剤としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、フッ素含有界面活性剤が全く不燃である必要はなく、不燃性であるHFC−245faとの混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。フッ素含有界面活性剤は、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスとした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、フッ素含有界面活性剤の難燃性は、特に制限されない。難燃性のフッ素含有界面活性剤を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。「危険物第4類、3石の難燃性」とは、引火点が70℃以上200℃未満の引火性を有する液体であることを意味する。なお、液体であるかどうかは、1気圧、20℃において判断する。「危険物第4類、3石以上の難燃性」とは、引火点が、70℃以上の引火性液体であることを意味する。
【0034】
HFC−245faとフッ素含有界面活性剤との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、30℃程度において、(a)フッ素含有界面活性剤、(b)HFC−245faおよび(c)ポリオールからなる混合物の蒸気圧が、前記混合物と同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下程度、好ましくは80%以下程度、より好ましくは70%以下程度となるようにHFC−245faとフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。例えば、(a)フッ素含有界面活性剤:A重量部、(b)HFC−245fa:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなる発泡剤の場合を例に挙げると、前記(a)〜(c)からなる発泡剤の蒸気圧は、(b)HFC−245faに対する(c)ポリオールの重量組成比がB:Cである(b)と(C)の混合物の蒸気圧に対して、90%以下程度、好ましくは80%以下程度、より好ましくは70%以下程度となるようにHFC−245faとフッ素含有界面活性剤との比を設定するのが好ましい。
【0035】
なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤の合計量が、20〜70重量部程度である混合物を用いる。
【0036】
または、発泡剤とポリオールの混合物であるプレミックスの沸点(プレミックスの蒸気圧が1気圧になる温度)が、15℃以上程度、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度になるように、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤との比を設定しポリオールと混合するのが好ましい。
【0037】
本発明の発泡剤におけるHFC−245faの配合量は、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤との総量に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65〜99重量%程度、より好ましくは75〜98重量%程度である。
【0038】
本発明の発泡剤は、他の発泡剤を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独で使用することは勿論、他の発泡剤と併用してもよい。併用し得る発泡剤としては、例えばHFC134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)などのハロゲン化炭化水素;空気、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどを例示できる。このような発泡剤は沸点が0℃以下と低く、通常は発泡体の製造の際、発泡時に添加されて使用されることが多く、プレミックスの状態で保存されることは少ない。他の発泡剤を使用する場合、全発泡剤中のフッ素含有界面活性剤とHFC−245faの総量の割合は、20重量%以上程度、特に40重量%以上程度が好ましい。
【0039】
本発明の発泡剤は、水を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独使用しても良く、水と併用してもよい。多くの場合、混合発泡剤は、水と併用される。これは、水を加えることにより発泡時に炭酸ガスが生成し、炭酸ガスが発泡に寄与するためである。しかし、多量に水を加えすぎると、発泡体の断熱性能等を低下させるおそれがある。水の添加量は、HFC−245faと水の総量に対して、通常60モル%以下程度である。この範囲内とすることによって、より確実に高断熱性発泡体を製造することができる。
【0040】
また、本発明発泡剤は、必要に応じて、分解抑制剤を配合していてもよい。分解抑制剤としては、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;α−メチルスチレン、p−イソプロペニルトルエンなどの芳香族炭化水素;イソプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;1,2−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリンなどのエポキシ化合物;p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール化合物;クロロ酢酸イソプロピルエステルなどのクロロ酢酸エステル化合物などを好ましいものとして例示できる。
【0041】
分解抑制剤の配合割合は、抑制剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、HFC−245faとフッ素含有界面活性剤の合計量100重量部に対して、通常0.05〜5重量部程度である。分解抑制剤は、予め発泡剤と混合しておいても良く、または発泡時に別々に添加しても良い。
【0042】
本発明の発泡剤の使用量は、組成などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faが通常1〜60重量部程度、好ましくは10〜50重量部程度、より好ましくは20〜45重量部程度含まれる。
【0043】
本発明の製造方法では、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する。得られる合成樹脂発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体などを例示できる。
【0044】
ポリオール、ポリイソシアネート化合物などの発泡剤以外の原料は、特に制限されず、公知のものを使用することができる。これらのものとしては、以下のものを例示することができる。
【0045】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック71〜98頁、日刊工業新聞社」に記載されている脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の有機イソシアネートなどをいずれも使用することができる。最も一般的に使用されているポリイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)等を例示でき、中でも2,4−TDI/2,6−TDIの重量比が80/20程度の混合物、65/35程度の混合物などが特に一般的に使用されており、本発明においても好適に使用できる。また、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合物をホスゲン化することにより得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製−MDI)も一般的に使用されており、本発明においても好適に使用できる。
【0046】
ポリオールとしては、例えば、「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック99〜117頁、日刊工業新聞社」等に記載されているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0047】
ポリエーテルポリオールは、例えば、活性水素原子を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応などによって得ることができる。例えば、開始剤としてエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルコジット、トリレンジアミン、ソルビトール、しょ糖などを使用し、アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを使用して、両者を反応させて得られる官能基数が2〜8程度で水酸基価が300〜800mgKOH/g程度のポリエーテルポリオールを使用することができる。
【0048】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸とグリコールまたはトルオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール;カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルおよびポリカーボネートジオールなどを例示でき、このうち官能基数が2〜4程度で水酸基価が250〜500mgKOH/g程度のポリエステルポリオールを好適に使用することができる。
【0049】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合は、適宜決定することができるが、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対するポリオール中の活性水素は、通常1〜3当量程度である。
【0050】
本発明の製造方法では、発泡剤および触媒の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを発泡させて合成樹脂発泡体を製造する。このような触媒としては、3級アミン、有機金属化合物等、それらの混合物などの公知の触媒を使用することができる。触媒の使用量は、ポリオール100重量部に対して、通常0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度である。
【0051】
触媒として使用できる3級アミンとして、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N, N, N’, N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンなどのジアミン類;トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾールなどの環状アミン類;ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類等が挙げられる。また、有機金属化合物としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテートなどが挙げられる。
【0052】
本発明の製造方法では、当該分野において公知の添加剤(例えば整泡剤など)を用いてもよい。整泡剤として、例えば、シリコーン系界面活性剤等が例示でき、より具体的には、ポリシロキサン−ポリアルキレンブロックコポリマー、メチルポリシロキサンをベースにした界面活性剤などを例示することができる。整泡剤の添加量は、ポリオール100重量部に対して、通常0.1〜10重量部程度である。
【0053】
製造条件は、常法に従えば良い。例えば、原料を均一に混合できる装置であれば、如何なるものを用いても良く、具体的には、ミキサー、発泡機などを用いて、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、その他の添加剤などの各原料をよく混合し、成形することによって、目的とする発泡体とすることができる。発泡剤及びその他の添加剤は、ポリオール成分に予め溶解してプレミックスとして用いと、均一な発泡体を得易くなるが、これに限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物に予め溶解してもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明によると、HFC−245faの発泡剤としての性能は維持したままで、ポリオールに対する溶解性が改善された発泡剤を得ることができる。即ち、本発明によると、発泡剤としてHFC−245faを単独で用いた場合と同等の断熱性、機械的強度などを有する合成樹脂発泡体を得ることができる。
【0055】
本発明の発泡剤は、オゾン層を破壊する危険性がない。
【0056】
本発明によると、適度な沸点を有する発泡剤を得ることができる。
【0057】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロスをHFC−245faとポリオールとの混合物の場合よりも低減することができる。
【0058】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)は、適度な蒸気圧を有するので、HFC−245faとポリオールからなる混合物よりもハンドリングしやすい。
【0059】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)は、運搬時、貯蔵時などの容器として従来のものを使用でき、特に耐圧性の高い容器を用いる必要はない。
【0060】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0061】
なお、以下の実施例において用いたポリオールおよび発泡剤は次のとおりである。
ポリオールA:水酸基価300 mgKOH/gのポリエステルポリオール
ポリオールB:水酸基価440 mgKOH/gのポリエーテルポリオール
混合発泡剤A:HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2CF3)CH2O]7HとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤B:HO[CH2C(CH3)(CH2OCH2C4F8H)CH2O]6HとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤C:HO[CH (CH2C4F9)CH2O]6H とHFC−245faとの混合物
混合発泡剤D:ダイキン工業株式会社製、ユニダインDS401とHFC−245faとの混合物
なお、混合発泡剤A〜DにおけるHFC−245faの割合は、いずれも90重量%である。
【0062】
実施例1:ポリオールとの相溶性
容量50mlのスクリュー栓付ガラス瓶に、各混合発泡剤10gと各ポリオール20gとを合計30gを入れ、振とう機で10分間振とうした後、室温で5時間静置し、分離の有無を肉眼にて確認した。表1に結果を示す。なお、判定は次の基準でおこなった。
○;均一溶解し、分離なし。 △;分離しないが均一になり難い。×;分離。
【0063】
【表1】
【0064】
表1の結果から明らかなように、混合発泡剤A〜Dは、実際に使用される混合割合においてポリオールと良好な相溶性を示し、安定したプレミックスを形成することが確認された。
【0065】
混合発泡剤A〜Dに含まれるフッ素含有界面活性剤は、いずれも危険物第4類、3石以上の難燃性を有するか、または非危険物である。HFC−245faは非危険物であるので、混合発泡剤A〜Dは、難燃性であると判断される。
【0066】
実施例2〜5:プレミックスの飛散性
混合発泡剤A, B, CまたはDとポリオールBとをそれぞれ重量比47:100(フッ素含有界面活性剤:HFC−245fa:ポリオールの重量比=7:40:100)で混合し、シャーレーに入れ40℃で1時間放置し、飛散量を比較した。比較例として、HFC−245faとポリオールBとを重量比で40:100にした場合の飛散量を測定し、この時の量を1として相対値を求めた。結果を以下に示す。
【0067】
実施例2:混合発泡剤A 0.60
実施例3:混合発泡剤B 0.65
実施例4:混合発泡剤C 0.70
実施例5:混合発泡剤D 0.74
混合発泡剤を用いることにより、大幅に飛散量を抑制できた。即ち、プレミックスを開放系においた時のロスを大幅に低減できた。
【0068】
実施例6〜9および比較例1:プレミックスの蒸気圧
混合発泡剤A, B, CまたはDとポリオールBをそれぞれ重量比で47:100で混合し金属容器に封入し空気を排除し、20℃と30℃で蒸気圧を測定した。比較例1としてHFC−245faとポリオールBを重量比で40:100にした場合の蒸気圧を上記と同様にして測定した。その結果を以下の表に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
混合発泡剤を用いることにより、HFC−245faを単独で用いた場合に比べて、大幅にプレミックスの蒸気圧を低下することができた。また、20℃における蒸気圧が、0.101MPa以下であることから明らかなように、プレミックスの沸点を20℃以上とすることができた。
【0071】
実施例10〜11および比較例2
ポリオールB100部に対して、シリコーン系整泡剤1.5重量部、水1重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンおよび表3に記載の発泡剤を混合し、激しく攪拌した。触媒であるN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンは、ライズタイムを70秒とするための必要量を加えた。得られた攪拌混合物と粗製ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業製 MR−100)112重量部とを混合し、激しく攪拌して発泡させ、硬質ポリウレタン発泡体を得た。なお、発泡剤の使用量は、発泡体のコア密度が 25±1kg/m3となるよう調整した。
【0072】
得られた発泡体について、発泡1日後、−20℃又は室温条件(25℃)で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表3に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A 9514に準じた。
【0073】
【表3】
【0074】
表3の結果から明らかなように、本発明の発泡剤を用いることによって、優れた特性を持つポリウレタン発泡体を得ることができることが確認された。即ち、本発明の発泡剤を用いるとHFC−245faを単独で用いた場合と同程度の熱伝導率および圧縮強度を有する発泡体を得ることができた。また、熱伝導率変化率および強度変化率についても、HFC−245faを単独で用いた場合と同程度の値を示した。
Claims (12)
- 発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤を含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤の総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む請求項1に記載の方法。
- (a) フッ素含有界面活性剤、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールとを混合する工程を有し、
得られた(a)〜(c)を含む混合物の蒸気圧が、前記混合物と同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である請求項1または2に記載の方法。 - フッ素含有界面活性剤が、
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]
上記式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
- 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの配合量が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤の総量に対して、50重量%以上である請求項5に記載の発泡剤。
- (a) フッ素含有界面活性剤、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールを含むプレミックスとした時の蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である請求項5または6に記載の発泡剤。
- フッ素含有界面活性剤が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項5〜7のいずれかに記載の発泡剤:
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。 - 発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤とを含む発泡剤であるプレミックス。
- 発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとフッ素含有界面活性剤との総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である請求項9に記載のプレミックス。
- プレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比のポリオールと1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンからなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である請求項9または10に記載のプレミックス。
- フッ素含有界面活性剤が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項9〜11のいずれかに記載のプレミックス:
式(I) HO[CH2C(R)(CH2OCH2Rfa)CH2O]nH
[式中、nは3〜30であり、
Rfaは、−(CF2)aH (a=1〜8)または −(CF2)bF (b=1〜8)を示し、
Rは、Hまたは低級アルキル基を示す]、
式(II) HO[CH (CH2Rfb)CH2O]mH
[式中、mは3〜30であり、
Rfbは、−(CF2)cH (c=1〜8) または−(CF2)dF (d=1〜8)を示す]、および
式(III) R1O[CH(R0)(CH2)laO]lbR2
[式中、R0は、HまたはCH3を示し、
R1は、F含有アルキルまたはその置換体を示し、
R2は、Hまたは低級アルキル基を示し、la=1〜3、lb=4〜15である]。
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---|---|---|---|---|
WO2004060947A1 (ja) * | 2002-12-27 | 2004-07-22 | Daikin Industries, Ltd. | 合成樹脂発泡体の製造方法 |
JP2006328202A (ja) * | 2005-05-25 | 2006-12-07 | Asahi Glass Co Ltd | 軟質ポリウレタンフォームおよびその製造方法、該軟質ポリウレタンフォームを用いた自動車用シート |
-
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