JPWO2010050223A1 - 糖類を製造する方法及びエタノール製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、樹皮を原料とし、比較的穏和な条件下で、より少ないエネルギーでリグノセルロースの酵素糖化を促進可能な前処理方法を提供する。樹皮原料をアルカリ化合物水溶液に浸漬するアルカリ処理工程、該アルカリ処理された樹皮を機械的に微細化する微細化処理工程、及び該微細化処理樹皮を酵素で糖化する酵素糖化工程を有することを特徴とする、樹皮原料から糖類を製造する方法及びエタノール製造方法。

Description

本発明は、樹皮原料から糖類を製造する方法、及びエタノールを製造する方法に関する。
本願は、2008年10月30日に、日本に出願された特願2008−279367号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
樹木は細胞分裂が活発な形成層を境界にその内側の木部と外側の樹皮に分けられる。樹皮は総樹木重量の約10〜15%を占め、若いユーカリでは、樹皮は木部と比べてリグニン含量が比較的に低く、可溶性成分を多く含み柔軟である。さらに、樹皮は死んだ組織の外樹皮と生きている組織の内樹皮に分けられる。
外樹皮は主に周皮あるいはコルク層からなり、木材組織を機械的損傷から守るとともに、温度と湿度の変動を小さくしている。
内樹皮は師要素、柔細胞および厚壁細胞からなり、師要素は液体と栄養素の運搬の機能を持ち、柔細胞はデンプン等の栄養素貯蔵の機能を持ち、内樹皮の師要素間に介在する。厚壁細胞は支持組織として機能し、木部の年輪と同じように層状に観察され、形によって靭皮繊維とスクレレイドとに区別される。
樹皮組織は、大きく分けて、繊維、コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質からなる。樹皮の繊維は、木部の繊維と化学的に似ており、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンからなる。コルク細胞及び柔細胞を含む微細物質には多量の抽出成分が存在し、コルク細胞の壁にはスベリン類が、微細物質画分にはポリフェノール類が多い。このように、樹皮は木部と異なり多くの有用な可溶性成分を含有し、その量は乾燥質量の20〜40%に達し、しかも繊維画分には木部と同様な繊維質を有しているという優れた性質を有している。しかし、樹皮は、材木用途では使用されず、製紙工程のパルプ化の際には、わずかに混入してもパルプの品質を低下させるため、枝や根とともに植林地で肥料として土壌に戻されるか、製材工場又はチップ工場で剥皮され焼却されており、木質系バイオマスとして有効利用されていない。
現在、製紙用パルプ原料としてマツ、アカシア、ユーカリなどが植林されている。その中でユーカリは500種類以上あり、生長が早く伐採期間が7年から10年と短く、乾燥地帯でも生育するため、製紙用材以外にも緑化目的などでも世界中に広く植林されている。
一方、地球温暖化防止の観点から化石燃料由来のCO排出削減のため、バイオマスの有効利用が注目されている。しかし、近年、トウモロコシ等の食品系バイオマスからのバイオエタノールの製造は食品価格の上昇を引き起こし、発展途上国では食糧不足などの重大な問題を引き起こしている。そこで食料と競合しない木質系バイオマス、すなわちリグノセルロースからのバイオエタノールの製造が注目されている。
リグノセルロースを利用する際には、セルロースを単糖であるグルコース等に分解する糖化が重要な段階となる。
現在、リグノセルロースから単糖を生成する方法として基本的には、酸加水分解法、超臨界水による加水分解法、そして酵素糖化法の三つの方法がよく知られている。
酸加水分解法は酸の濃度によって、希酸法と濃酸法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。希酸法では、温度、圧力がともに高く、添加した酸により装置が腐食してしまう。さらに生成した糖類と酸を分離するのが困難で経済的に有効な酸回収方法がない等の問題がある。また、濃酸法は、比較的に温度及び圧力が低いため、安価な反応装置材料が利用でき、グルコースの収率も高い。しかし、希酸法と同様に生成した糖類から経済的に有効な酸の分離・回収法がないため、多量の廃酸が発生するという問題がある。
一方、亜臨界状態又は超臨界状態の水を用いてセルロースを加水分解処理する超臨界法が提案されている(特許文献3、特許文献4)。超臨界法では、超臨界水の特徴を利用し、短時間でセルロースを完全にオリゴ糖や単糖に分解することが可能であるが、高温、高圧下で反応を行うため、装置が高価になってしまうこと、超臨界水による装置の腐食等の問題がある。
酵素糖化法においては、リグノセルロース中のリグニン及びヘミセルロースがセルロースと結合しており、酵素のセルロースへの接触を阻害しているため、グルコース収率が低くなってしまう。そこで、通常、酵素による分解性を促進するため、酵素糖化に先立って加圧熱水処理、蒸煮及び爆砕による物理的前処理、酸やアルカリによる化学的前処理が施される。
加圧熱水処理は128〜205℃、1〜2MPaという高温高圧条件でリグノセルロースを処理する方法が提案されている(特許文献5)。
また、100〜500℃、飽和蒸気圧〜50MPaという高温高圧条件でリグノセルロースを処理する方法が提案されている(特許文献6)。
蒸煮処理としては、158〜225℃、0.5〜3MPaという高温高圧条件で処理する方法が提案されている(特許文献7)。
また、爆砕処理としては、蒸煮処理と同程度の条件下でリグノセルロースを保持した後、瞬時に常圧に戻す方法が提案されている(特許文献8)。
上記した各方法は、いずれも高温高圧で処理することが必要であり、反応装置が高価であり、高温高圧にするための投入エネルギーが大きいという問題がある。
酸処理法としては、リグノセルロースを0.1〜5%希硫酸で140〜230℃の高温で処理した後、叩解機で湿式粉砕する方法が提案されている(特許文献9)。
アルカリ処理法としては、バイオマスを2〜30%の水酸化カルシウムで処理する方法(特許文献10)が提案されている。その他アルカリ処理法としては多数の方法が提案されている(特許文献11〜14)。
上記の各提案は、あらかじめリグノセルロースを数mmから数百μmまで粉砕する必要があり、さらに高温高圧下で処理するため、処理に要するエネルギーが大きく、かつ反応装置が高価となる問題がある。一般的に粒径を小さくすればする程、粉砕に多量のエネルギーを要する。しかしながらこれらの提案には粉砕工程に必要なエネルギー量についての記述がない。
現在、様々なバイオマスの前処理法が検討されているが、多くの前処理方法はバイオマスを数mm以下程度まで粉砕しなければ、続く糖化工程での糖化効率が大きく低下するという問題がある。しかし、バイオマスを数mm以下程度まで粉砕するとバイオエタノール製造に要するエネルギーがバイオマスから得られるエネルギーを上回ってしまい、バイオマスからバイオエタノールを製造しても、COの排出削減とはならないという大きな問題がある。
特開2006−75007号公報 特開2006−246711号公報 特開平5−31000号公報 特開平10−327900号公報 特開2006−136263号公報 特開2007−20555号公報 特開平10−117800号公報 特開昭59−204997号公報 特開2007−124933号公報 特許3493026号公報 特公昭63−28597号公報 特開昭59−192093号公報 特開昭59−192094号公報 特開2008−092910号公報
前記したようなリグノセルロースの酵素糖化のための前処理方法は、高温高圧条件であったり、機械的粉砕に大量のエネルギーを要するなど、コスト面で問題があった。
さらに、木部と比べてリグニン含量が低く、可溶性成分を多量に含む樹皮を酵素糖化によって糖類の原料とする為に最適化された方法は考案されていなかった。
即ち、本発明は、樹皮を原料とし、比較的穏和な条件下で、より少ないエネルギーでリグノセルロースの酵素糖化を促進可能な前処理方法を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、木部と比べてリグニン含量が低く、可溶性成分を多量に含む樹皮に注目し、以下の各技術手段を選択し採用することによって、より少ないエネルギーで原料樹皮を糖化し、及び、エタノールを製造可能とするものである。
(1)樹皮原料から糖類を製造する方法であって、樹皮原料をアルカリ化合物水溶液に浸漬するアルカリ処理工程、該アルカリ処理された樹皮を機械的に微細化する微細化処理工程、及び該微細化処理樹皮を酵素で糖化する酵素糖化工程を有することを特徴とする、糖類を製造する方法。
(2)微細化処理が、レファイナー、グラインダーから選択される装置による磨砕処理であることを特徴とする、(1)に記載の糖類を製造する方法。
(3)樹皮原料から糖類を製造する方法であって、樹皮原料をアルカリ化合物水溶液と共に、ニーダー、二軸押出機、二軸ミキサーから選択される装置に供給してアルカリ処理と混練処理を同時に行うことにより微細化する微細化処理工程、及び該微細化処理樹皮を酵素で糖化する酵素糖化工程を有することを特徴とする、糖類を製造する方法。
(4)樹皮原料を、アルカリ処理の前に、破砕機により破砕し、前記破砕処理された樹皮の保水率が250〜2000%であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の糖類を製造する方法。
(5)樹皮原料を、アルカリ処理工程の前に、一軸破砕機を用いて破砕処理することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の糖類を製造する方法。
(6)前記アルカリ化合物が水酸化カルシウムであり、アルカリ処理後に樹皮とアルカリ液とを分離し、アルカリ液または該アルカリ液から再生した水酸化カルシウムを、アルカリ処理工程に戻すことを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の糖類を製造する方法。
(7)前記樹皮原料が、ユーカリ属に属する樹種であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の糖類を製造する方法。
(8)(1)〜(7)のいずれかの記載の方法によって製造された糖類をエタノール発酵させる発酵工程を有することを特徴とする、エタノール製造方法。
(9)前記発酵工程から得られる残渣を機械的処理した後、さらに糖化し、発酵することを特徴とする、(8)に記載のエタノール製造方法。
(10)(7)の方法によって製造された糖類をエタノール発酵させる際に、発酵残渣から得られる無機分を焼成して酸化カルシウムとし、これを消和してアルカリ処理工程で使用することを特徴とする、エタノール製造方法。
本発明により、より少ないエネルギーで、樹皮原料を効率的に酵素糖化可能とし、さらにエタノールを製造する方法が提供されるので、従来、木質系資源として工業的に未利用であった樹皮からバイオエタノールを製造する途を拓くものである。
本発明の糖化工程におけるカルシウム再利用の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の糖化工程におけるカルシウム再利用の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の糖化工程におけるカルシウム再利用の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の糖化工程におけるカルシウム再利用の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の糖化工程におけるカルシウム再利用の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の糖化発酵工程の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の糖化発酵工程の一実施形態を示すフローチャートである。
以下、本発明について詳述する。
本発明の糖類及びエタノール製造方法においては、原料として木本植物の樹皮を使用する。樹皮原料としては、特に限定されないが、樹皮が厚く、かつ、糖分(セルロース)が多いという理由で、ユーカリ(Eucalyptus)属に属する樹木の樹皮を使用することが好ましい。前記ユーカリ属に属する樹種(ユーカリ)としては、グランディス(grandis)種、グロブラス(globulus)種、ナイテンス(nitens)種、カマルドレンシス(camaldulensis)種、デグラプタ(deglupta)種、ビミナリス(viminalis)種、ユーロフィラ(Urophylla)種、ダニアイ(dunnii)種、及びこれらの交雑種等が挙げられる。
なお、ユーカリの樹皮には、無機成分としてシュウ酸カルシウムが多量に含まれるため、本発明の糖化やエタノール発酵工程において、カルシウム成分を回収し、再利用することが可能なので、本発明の樹皮原料として特に好適である。
本発明においては、樹皮原料を、アルカリ化合物水溶液に浸漬するアルカリ処理工程、該アルカリ処理された樹皮を、機械的に微細化する微細化処理工程、及び該微細化処理樹皮を、酵素で糖化する酵素糖化工程からなる各工程に従って、糖類を製造する。
樹皮原料は、入手できる状態のままで原料とすることができる。搬送時の取り扱い性等を考慮して数十cmから数cmに裁断乃至粉砕されている状態のものであればそのままアルカリ処理工程に用いることができる。樹皮原料が大きい場合、断裁機、チッパー、破砕機、ハンマークラッシャー等の機械的処理により形状や大きさを整えれば良い。樹皮原料は微細である方が後の糖化工程において糖化効率を高めることができるが、本発明の方法では、アルカリ処理工程において処理された樹皮を機械的処理する方が、より少ないエネルギー量で微細化可能であるため、アルカリ処理前の乾燥樹皮原料は微粉砕する必要はない。
アルカリ処理工程におけるアルカリ化合物の樹皮原料に対する添加量は、樹皮を柔化せしめる量であれば特に限定されない。例えば、乾燥樹皮100質量部に対して0.1質量部以上、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは6〜20質量部である。
アルカリ処理工程の処理温度は、樹皮を柔化せしめる温度であれば特に限定されないが、好ましくは10℃〜300℃、さらに好ましくは25℃〜95℃、最も好ましくは60〜95℃である。10℃未満の場合ではアルカリとしての効果が低下するおそれがある。
また、アルカリ処理工程は、簡易な設備で実施することができ、投入エネルギーも削減できるという点で、常圧下で行うことが特に好ましい。
アルカリ処理時間は、原料を柔軟化せしめ、原料の糖化性を促進せしめるに十分な時間であれば特に限定されないが、好ましくは1分〜72時間、さらに好ましくは3分〜8時間、もっとも好ましくは5分〜1時間である。
本発明においては、樹皮原料をアルカリ化合物水溶液に浸漬し、さらに必要に応じて加熱してアルカリ処理を行う。
なお、本発明においてアルカリ化合物水溶液への浸漬とは、水にアルカリ化合物が予め溶解した状態でもよく、また、樹皮原料とアルカリ化合物を同時に水に投入してもよく、樹皮原料とアルカリ化合物を予め混合した後、さらに水に浸漬してもよい。いずれにしても、最終的に樹皮原料がアルカリ化合物水溶液に浸漬された状態となればよい。
アルカリ化合物水溶液のアルカリ化合物濃度は0.05質量%以上、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは1〜4質量%である。
アルカリ処理工程で使用するアルカリ化合物としては、樹皮を柔化させ得るものであれば特に限定されない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アンモニア、あるいはこれらの2以上の混合物などを用いることができる。
また、アルカリ化合物として水酸化カルシウムも使用できる。水酸化カルシウムは、他のアルカリ化合物と比較して安価であり、また、溶解度が低いため、沈殿として回収し再使用することが容易である。さらに、洗浄などで希薄溶液となった場合でも、二酸化炭素で中和すると炭酸カルシウムとなって沈殿するため、カルシウム分の回収が容易である。
水酸化カルシウムの場合は、アルカリ水溶液と言っても、溶解度が低いため、溶解していない固形分も同時に存在していることが必要である。
水酸化カルシウムの添加量は、樹皮原料を柔軟化せしめ、糖化を促進せしめる量であればよい。好ましくは乾燥樹皮原料100質量部に対して0.1〜50質量部である。0.1質量部未満の場合は、原料のアルカリ処理による糖化促進の効果が十分でないおそれがあり、50質量部を超えた場合には、効果が頭打ちとなる。同様の理由で、より好ましくは、5〜25質量部である。
水の添加量は、乾燥樹皮原料1質量部に対して5〜20質量部が好適である。水の添加量が20質量部より多いと、加熱のために必要なエネルギーが多くなり、エネルギー収支が悪化する。水の添加量が5質量部未満の場合は、樹皮原料と水酸化カルシウムとの接触が不十分となり、十分な糖化促進効果が得られないおそれがある。なお、水酸化カルシウムは溶解度が1.7g/Lと低いため、アルカリ処理工程においては、水酸化カルシウム水溶液が、原料樹皮及び固体の水酸化カルシウム接触するように対流する状態にすることが重要である。
アルカリ浸漬された樹皮を機械的に微細化する微細化処理工程は、特に限定されないが、具体的には、レファイナー、グラインダーなどによって樹皮を磨砕処理する。
上記の磨砕処理とは、アルカリ処理された樹皮原料を剪断力により磨砕する処理である。装置としては、パルプ製造に使用されるグラインダー、レファイナーが使用可能である。グラインダーとしてはストーン型、石臼型のいずれでもよい。
また、レファイナーとしては、木材から機械パルプを製造する際に用いられる各種高濃度レファイナー機を使用することができる。レファイナーの型としては、固定板と回転する1枚のディスクにより磨砕するシングルディスクレファイナー、2枚の逆回転するディスクにより磨砕するダブルディスクレファイナー、固定板を挟んで両側の回転するディスクにより磨砕するツインディスクレファイナーが使用できる。また、回転板が平板ではなく円錐型であるコニカルディスクレファイナーも使用できる。
また、メディア攪拌式湿式粉砕装置も使用できる。この装置は、粉砕容器に挿入した攪拌機を高速で回転させて、粉砕容器内に充填したメディアと繊維状セルロースを攪拌して剪断応力を発生させて粉砕する装置であり、例えばサンドグラインダーが代表的な装置である。
アルカリ処理に引き続く微細化処理を行う代わりに、樹皮原料を、アルカリ化合物水溶液と共に混練機によりアルカリ処理と混練処理を同時に行うことにより微細化しても良い。
上記の混練処理とは、樹皮をアルカリ化合物の水溶液と混合しながら物理的に力を加えることで微細化することであり、混練処理で用いる装置は、ニーダー、ディスパーザー、エクストルーダー、ミキサー等が使用できるが、この中でも混練を主目的としているニーダーと呼ばれている装置が好ましく、特に二軸ニーダーが好適に用いられる。
特に、ユーカリ樹皮は柔らかいため、アルカリ化合物の存在下で、ニーダー等により処理するだけで簡単に微細化することが可能である。
混練処理による微細化処理工程の場合、アルカリ化合物の樹皮原料に対する添加量は、樹皮を柔化可能な量であれば特に限定されず、条件に応じて変動するため、必要に応じて適宜選択可能である。
例えば、アルカリ化合物として水酸化ナトリウムを使用した場合には、乾燥樹皮100質量部に対して0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。また30質量部を越えて使用しても、効果は頭打ちとなり、薬品、洗浄水の無駄となるおそれがある。
混練処理による微細化処理工程の場合、樹皮に対するアルカリ水溶液の添加量比率は、乾燥樹皮1gに対する水溶液のmlで表示すると、1〜6の範囲が好適である。添加量比率が1未満の場合、樹皮に対するアルカリ処理が十分に行われず糖化率が劣るおそれがあり、また、繊維化に必要な機械エネルギーも大きくなる。添加量比率が6を越えた場合には、加熱に必要な熱エネルギーが増大して非効率となるおそれがある。
混練処理による微細化処理工程において使用するアルカリ化合物の水溶液のアルカリ濃度は、5〜30%であることが好適である。5%未満の場合、反応が十分に完了していないという問題があり、30%を超えた場合には過分解という問題がある。
混練処理による微細化処理工程の処理温度は、樹皮を柔化することができる温度であれば特に限定されないが、好ましくは25〜300℃、さらに好ましくは90〜200℃である。25℃未満の場合、反応が十分に完了しない可能性があり、300℃を超えた場合には過分解という問題がある。
混練処理による微細化処理工程の処理時間は、樹皮を柔化せしめるに十分な時間であれば、特に限定されないが、好ましくは30秒〜10分の範囲である。
混練処理によって微細化処理された樹皮は、微細であるほど後の糖化効率が高くなるが、所要エネルギー量も多くなるため、繊維の大きさは適度な範囲とすることが好ましい。具体的には、繊維の平均繊維長が2〜4mm、かつ平均繊維径が100〜400μmであることが好ましい。
以上のような磨砕や混練などの微細化処理を行うことによって、後の糖化工程における糖類の収率の向上を図ることができる。なお樹皮原料はアルカリ処理によって柔化されているため、前記微細化処理に要する投入エネルギーは収率の向上と比較すれば問題にならない程度である。
本発明において、樹皮原料は、上記アルカリ処理工程および微細化処理工程を経た後、あるいは、アルカリ処理と混練処理による微細化処理を経た後、必要に応じて、濃縮及び/又は洗浄、pH調整等を行った後、糖化酵素による酵素糖化工程によって糖化処理を行う。
酵素糖化処理工程では、微細化された樹皮中のセルロース成分が糖化酵素に糖化される。
酵素糖化処理工程は、通常のリグノセルロース系バイオマスの糖化処理方法で採用されている酵素の種類や、反応時間、反応温度等の反応条件を採用して行われる。
なお、本発明における酵素糖化工程は、糖化と同時にアルコール発酵または乳酸発酵する糖化・発酵工程であっても良い。以下、糖化と同時に発酵する方法を糖化・発酵と称する。
糖化工程で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤には、上記した各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多く、市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム属(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス属(Trametes)、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
糖化反応のpHは4〜7が好ましい。反応温度は30〜60℃が好ましく、35〜50℃がさらに好ましい。反応工程は、連続式が好ましいが、バッチ方式でもよい。糖化時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は0.5〜72時間、さらに好ましくは2〜48時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、0.5〜48時間、さらに好ましくは1〜24時間である。
なお、糖化工程の原料の濃度は、10〜30質量%であることが好ましい。10質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって、原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
なお、酵素糖化工程の前に、樹皮原料に対して、予め殺菌を行うことが好ましい。樹皮原料中に雑菌が混入していると、後の工程で酵素による糖化を行う際に、雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌工程は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
本発明においては、樹皮原料を、アルカリ処理工程の前に、破砕機により破砕し、前記破砕処理された樹皮の保水率が250〜2000%とすることが好ましく、280〜400%とすることがさらに好ましい。保水率を250%以上にまで破砕すれば、アルカリ薬品の浸透性が早くなり、アルカリ処理の時間を短縮できる。2000%を越える程の破砕をすると破砕のエネルギーが大きすぎる。
また、上記の樹皮の保水率は、以下のように測定する。
破砕処理物を105±3℃で恒量まで乾燥し、100gの試料を採取し、1000gの水に5分間浸漬した。5分後に全量を1mm穴スクリーン(150mm径、開孔面積率4.2%)でろ別して破砕処理物に保水された水の質量を求め、保水率(=保水量(g)/100g×100)を算出する。
本発明においては、樹皮原料を、アルカリ処理工程の前に、一軸破砕機を用いて破砕処理することが、糖化効率を高める上で好ましい。
一軸破砕機とは、回転ロータ一に取り付けられた回転刃と、前記回転刃に対して原料を押圧するプッシャと、前記プッシャに取り付けられた固定刃を有し、前記回転刃と固定刃の間で原料を破砕する装置である。
樹皮原料は、一軸破砕機を用いて処理した場合、比較的少ない投入エネルギーで樹皮を繊維状にすることが可能である。繊維状とされた樹皮は、微細であるほど後の糖化効率が高くなるが、微細化のための所要エネルギー量も多くなるため、繊維の大きさは適度な範囲とすることが好ましい。具体的には、繊維分布として、繊維長3mm以上の繊維の割合が全体の20%以上であることが好適である。さらに繊維長3mm以上の繊維の割合が20%以上、かつ、繊維長10mm以下の割合が50%以下であることが好ましい。最も好ましくは、繊維長3mm以上の繊維の割合が20%以上、10mm以上の繊維の割合が10%以下である。
本発明の糖類を製造する方法においては、前記アルカリ処理工程で使用するアルカリ化合物を水酸化カルシウムとし、アルカリ処理後に樹皮とアルカリ液とを分離して、前記アルカリ液をアルカリ処理工程に戻すことがさらに好ましい。
アルカリ処理後に樹皮とアルカリ液とを分離する方法としては、アルカリ処理した後に脱液して濃縮する。濃縮する方法としては、フィルター等を用いた常圧下での濾過のほか、加圧濾過、吸引濾過や、遠心分離手段を適宜用いることができる。
分離された液分には、溶解している水酸化カルシウム分の他、固形分としての水酸化カルシウムも存在する。本発明の場合、投入した水酸化カルシウムに対して20〜70質量%程度が脱液中に存在する。この液分はそのままアルカリ処理の工程に循環して投入できる(図1参照)。
前記の循環によって、水酸化カルシウムを含む液分が、アルカリ処理工程で再利用されることによって、水酸化カルシウム及び水の使用量の節減が可能となる。なお、水酸化カルシウムは濃縮後の固形分(樹皮分)に付着して先送りされるため、再利用の際には水酸化カルシウムを追加する必要がある。また、必要に応じて、循環する工程の途中で濾過等により有機分を除去してからアルカリ処理工程に戻してもよい。
更に、場合によっては、分離された液分から、焼成等を経て、水酸化カルシウムを再生しても良い(図2参照)。
上記濃縮を終えた樹皮は、図3のように、前述の通り機械的手段によって微細化処理を施すものとする。具体的には樹皮をレファイナーやグラインダーなどによって磨砕処理することが好ましい。
前記磨砕処理に際しては、必要に応じて水を供給しても良い。例えば、レファイナー処理の場合、樹皮絶乾固形分1質量部に対して、水は2質量部以上存在することが好ましい。より好ましくは、水が5〜20質量部である。
なお、図4のように、アルカリ処理後に直ちに磨砕処理を行い、その後に濃縮処理を行っても良い。その場合、磨砕により発生する新たな繊維表面からもアルカリが浸透することになり、アルカリ処理の効果としては増大する反面、微細繊維が発生すると濃縮の効率が下がる危険性もある。
なお、水酸化カルシウムによってアルカリ処理された後、さらに、アルカリ液を分離された樹皮、もしくはそれに引き続き磨砕された樹皮を、水で洗浄する洗浄工程を設けることが好ましい。洗浄処理は、処理物に水を加えて、アルカリ処理物に付着した水酸化カルシウムを洗い流し、又は水に溶解させて排出する。洗浄工程では、フォールウォッシャー、濃縮洗浄機、パルプ洗浄装置等により、洗浄を行うことが可能である。また、この工程の排出液には、水酸化カルシウム分の他、樹皮原料に含まれるシュウ酸カルシウム分も排出される。これらカルシウム分の溶解度は低いので、固液分離することにより、かなりの部分が固形分として回収でき、これを焼成して酸化カルシウムとし、消和して水酸化カルシウムとして再利用することが可能となる。
ここにおいて、固液分離前に、二酸化炭素をスラリーに供給して液を中和し、カルシウム固形分の回収を促進しても良い(図1、図2参照)。
また、上記の固液分離工程で分離した水酸化カルシウムを含む液分の一部または全部を、二酸化炭素により中和する中和工程を設けることにより、中和して回収することができる。中和により生成した炭酸カルシウムは、沈殿槽等で沈殿させて回収される。回収された炭酸カルシウムからさらに水酸化カルシウムを再生し、本発明のアルカリ処理工程において再利用することができる。
炭酸カルシウムを除去した液分は、アルカリ処理工程及び洗浄工程において使用する水として再利用することができる。また、環境負荷が低くなるため廃棄することもできる。
中和工程に使用する二酸化炭素は、気体でも固体でもよく、また液体に溶解した状態であってもよい。
なお、本発明の前処理を行った原料を糖化し、さらに発酵によってエタノールを製造する場合には、副産物として二酸化炭素が発生するため、この二酸化炭素を回収して中和に用いることがさらに好ましい。
水酸化カルシウムによるアルカリ処理工程後に磨砕処理を行わなかった場合には、図5のように、洗浄処理後に磨砕処理を行っても良い。この方法の場合、洗浄工程における樹皮分と液分の分離が容易であるという利点がある。また、一方において、磨砕処理時のアルカリ濃度が低くなる可能性もある。
本発明においては、前記糖類の製造方法により製造された糖類をエタノール発酵させる発酵工程を設けることによって、エタノールを製造することができる。
本発明の発酵工程においては、前工程に得られたグルコースなどを微生物により発酵させて、発酵生成物を得る。
発酵工程の原料の濃度は、10〜30質量%であることが好ましい。10質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって、原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
本発明において、発酵用の微生物としては酵母などが用いられ、培地などを同時に添加しても良い。酵母としては、例えばサッカロミセス・セラビシエなどが使用できる。
また、微生物は固定化しておいてもよい。微生物を固定化しておくと、次工程に微生物を液と共に送り出して再回収するという工程を省くことができるか、少なくとも回収工程にかかる負担を軽減することができるし、微生物をロスするリスクを軽減することもできる。また、微生物を固定化するほどでのメリットはないが、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
なお、本発明においては、発酵工程の後で蒸留工程を設けることが可能である。蒸留工程では、減圧蒸留装置により発酵生成物が蒸留分離される。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪化する。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度とすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
なお、前述したように、糖化と発酵を同一の工程で行うことも可能である。同一の工程とする場合には、セルロース分解酵素、及び発酵に必要な微生物を投入することで、糖化と発酵を同時に行うことが可能となる。
この場合の反応条件はpHが4〜7が好ましい。温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。糖化・発酵反応は連続式が好ましいが、バッチ方式でも良い。糖化・発酵反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
なお、本発明においては、糖化工程と発酵工程を連続して行う場合の両者一連の工程と、糖化と発酵を同時に行う糖化・発酵工程の両方を総称して糖化発酵(工程)と称することもある。
前記した発酵工程において、セルロースに由来する六炭糖、即ち、グルコースと、ヘミセルロースに由来する五炭糖、即ち、マンノース、ガラクトースなどがアルコール発酵されるが、五炭糖は未反応のまま残留するものもある。このような場合、五炭糖をより確実に発酵する酵素も添加するか、あるいは、別工程で処理しても良い。
本発明のエタノール製造方法においては、糖化発酵工程から得られる残渣を機械的処理した後、さらに糖化し、発酵させることが可能である。
残渣の機械的処理は、任意の機械的手段によって、残渣をさらに磨砕して、糖化発酵に適した状態にすることである。磨砕処理に用いられる装置としては、グラインダー、レファイナー等、アルカリ処理工程の直後に行う機械的処理における磨砕処理(最初の磨砕処理)で用いられるものと同様の装置が使用可能である。発酵後の残渣は既に柔軟になっているため、上記の中でも特にレファイナーの使用が好ましい。また、最初の磨砕処理においてレファイナー処理を採用した場合、発酵残渣の磨砕処理としては最初の磨砕処理より磨砕の度合いを高めることが好ましい。最初の磨砕処理、残渣の磨砕処理のいずれも同じレファイナーで行う場合には、残渣の機械処理は最初の前処理に比較して、刃のクリアランスを0.1mm以上狭くすることが好ましい。
前記の残渣処理工程の機械的処理工程の前後少なくともいずれかにおいて、アルカリ処理を行うことが可能である。
アルカリ処理については、前述した樹皮原料のアルカリ処理の場合と同様な薬品、処理条件が可能である。
酵素糖化の効率という観点から、糖化と発酵を同時に行う糖化・発酵工程を採用することは大きな利点がある。以下、この方法の場合における残渣の機械的処理について説明する。
糖化・発酵処理工程から得られた残渣を機械的処理したものを、さらに糖化・発酵させる場合、一回目の糖化・発酵工程(第一糖化発酵工程)とは別の糖化・発酵工程(第二糖化発酵工程)を設けて発酵させる第一実施形態(図6参照)と、残渣を機械的処理したものを一回目の糖化・発酵工程(第一糖化発酵工程)に返送する第二実施形態(図7参照)が存在する。
第一実施形態の場合、第一糖化・発酵工程および第二糖化・発酵工程は、夫々独立して、バッチ処理あるいは連続処理のいずれでも可能である。
第二実施形態の場合、第一糖化・発酵工程がバッチ式であれば、第二糖化・発酵工程もバッチ式で、一回目の糖化・発酵工程の1番目のロットの残渣は、第二糖化・発酵工程で処理された後、2番目の第一糖化・発酵工程のロットに混合され、以後同様に続けられる。従って、新たに第一糖化・発酵工程のロットに供給される前処理物の量は、混合される残渣を含めて、ほぼ同一の量が毎ロット処理されるように調整される。また、数回のロットを終えたら、残渣を廃棄することが必要になる。連続処理でも同様で、第一糖化・発酵工程、第二糖化・発酵工程をともに連続処理とすることが好ましく、適宜のタイミングで残渣を廃棄する必要がある。残渣を適宜廃棄するのは、セルロース以外の有機物が次第に蓄積し、糖化反応を阻害することを防止するためである。
第一実施形態の場合、機械的処理を施された残渣は第二糖化・発酵工程に送られ、第一糖化・発酵工程と同様に糖化発酵が行われ、処理後に濾過して固液分離する。液体分は蒸留工程に輸送し、固体分は最終の残渣として廃棄、焼成あるいはリグニン回収などに供される。
糖化、発酵の手順や形態がいかなる方式であっても、アルカリ処理として水酸化カルシウムを用いる場合には、発酵残渣を焼成するか、残渣から無機分を分離して焼成することにより、酸化カルシウムが得られる。これを消和して水酸化カルシウムとし、アルカリ処理工程で使用することが可能である。また、樹皮がユーカリである場合には、樹皮中のシュウ酸カルシウムも残渣として残るので、残渣を焼成すれば酸化カルシウムが多量に得られるという利点がある。
特に前述した糖化・発酵工程を採用し、かつ、残渣の磨砕処理を行う方法においては、前述の第二糖化・発酵工程の残渣を焼成処理する方法が最も合理的である。
以下、樹皮原料をアルカリ処理工程、微細化処理工程、酵素糖化工程により糖類を製造する方法、及び、アルカリ混練処理工程、酵素糖化処理工程により糖類を製造する方法について、実施例と比較例により具体的に説明する。
なお、本発明の各実施例、比較例において、%は、特に断りがない限り全ての質量によるものである。
<実施例1>
[アルカリ処理]
ユーカリ・グロブラスの樹皮を約4cm角に切断したものを原料樹皮とした。
絶乾600g相当の上記原料樹皮を、60gの水酸化ナトリウムと樹皮に含まれる水分を含めて合計3000gとなるようなアルカリ水溶液に、温度25℃で17時間浸漬してアルカリ処理を施したのち、40メッシュのスクリーンを用いて固液分離した。
[微細化処理]
上記アルカリ処理物を、レファイナー(熊谷理機工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー,本発明実施例及び比較例で用いるレファイナーは以下全て同様とする)を用いて、クリアランス1mm、投入速度100g/分の条件で磨砕した。
この時の磨砕に要したレファイナーの消費電力を、電力積算計を用いて計測した。なお、消費電力は実際に樹皮を磨砕するのに要した消費電力から、空転(樹皮を磨砕せずにレファイナーを動作させることと定義)に要する消費電力を差し引いて求めた。
[洗浄処理]
上記微細化処理物に対し10Lの純水を添加し、1分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて洗浄物と洗浄液をろ別した。
ろ別して得た洗浄物を、420メッシュの濾布で作成した袋に投入した後、遠心分離機で脱水を行った。
[酵素糖化処理]
上記で脱水した洗浄物を、以下の反応液組成にて、30℃20時間条件で酵素糖化処理を行った。
酵素糖化により生成したグルコース量をバイオセンサーBF4(王子計測機器製)にて測定し、その結果を表1に示す。
(反応液組成)
5%樹皮(絶乾樹皮換算)
5%セルラーゼ(Multifect CX10L,ジェネンコア協和社製)
50mM酢酸緩衝液(pH4.5)
<実施例2>
温度95℃のアルカリ水溶液に90分浸漬してアルカリ処理を行った以外は、実施例1と同様にして、磨砕処理、糖化処理を行って、消費電力及びグルコース量を求めた。その結果を表1に示す。
<比較例1>
約2×4cm角に切断したユーカリ・グロブラスの木部を用いて、実施例1と同様にしてアルカリ処理、磨砕処理、糖化処理を行って、消費電力及びグルコース量を求めた。その結果を表1に示す。
<比較例2>
約2×4cm角に切断したユーカリ・グロブラスの木部を用いて、実施例2と同様にしてアルカリ処理、磨砕処理、糖化処理を行って、消費電力及びグルコース量を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2010050223
表1より、原料として樹皮を用いた場合には、木部を用いた場合と比較してアルカリ処理によって磨砕に要する動力が大幅に削減されることが示された。また、アルカリ処理による酵素糖化の促進効果は、樹皮を用いた場合には、木部を用いた場合と比較して、より大きいことが示された。
<実施例3>
[アルカリ処理]
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラス樹皮1000gに対し、2.5%炭酸ナトリウム溶液2Lを添加し、オートクレーブにて140℃、2分間のアルカリ処理を行った。
[洗浄処理]
上記アルカリ処理物に対し10Lの純水を添加し、1分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて洗浄物と洗浄液をろ別した。
ろ別して得た洗浄物を、420メッシュの濾布で作成した袋に投入した後、遠心分離機で脱水を行った。
[繊維長・繊維径の測定]
洗浄して得られる洗浄物の一部を採取し、ハイブリッドマイクロスコープ(Hirox社製SH−4500)で画像を撮影し、画像データを画像処理・解析ソフトウェア(株式会社アイスペック製 IOMate2007)にて二値化処理を行って形状を抽出し、形状特徴計測により周囲長をおよび垂直・水平方向フェレ径を測定した。繊維長は周囲長を2で割った値で算出し、平均繊維径は円形度が0.4未満の粒子に対し、垂直・水平方向フェレ径の小さい値を用いることによって算出した。各繊維長の割合は測定に用いた繊維全体の個数に対する各繊維長の繊維の個数の割合で示した。上記平均繊維長、平均繊維長を表2に示す。
[微細化処理]
上記脱水した洗浄物を、レファイナー(熊谷理機工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)を用いて、クリアランス1mm、投入速度100g/分の条件で磨砕し、磨砕処理物を得た。
[酵素糖化処理]
絶乾1g相当の上記磨砕処理物を45mlの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)に投入した後、3mlのセルラーゼ(ジェネンコア協和社製、Multifect CX10L)を添加した。最終容量を50mlに調整し、50℃、反応時間18時間の酵素糖化処理を行った。酵素糖化処理後、420メッシュのスクリーンにて酵素処理物と酵素処理液をろ別した。酵素処理物はさらに追加で100mlの水で洗浄し、洗浄水は酵素処理液と混合し、容量を計測した後に、酵素処理液中に含まれる糖量をフェノール硫酸法により測定し、原料樹皮固形分1000gあたりの糖量を算出した。なお、フェノール硫酸法の定量方法は、「還元糖の定量法」(福井作蔵著 学会出版センター)を参考とした。上記糖量を表2に示す。
<実施例4>
2.5%炭酸ナトリウム溶液7Lを添加してアルカリ処理を行った他は、実施例3と同様にして酵素糖化処理を行った。また、平均繊維長、平均繊維長を測定した。その結果を表2に示す。
<実施例5>
[アルカリ混練処理]
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、二軸式ニーダー(栗本鐵工所製、KRC−S2)を用いて、以下の条件でアルカリ混練処理を行った。
二軸式ニーダーに風乾100g/分の樹皮を投入し、2.5%炭酸ナトリウム溶液を200ml/分の速度で同時に投入(絶乾樹皮に対しアルカリ化合物12.5%を投入)し、二軸式ニーダー本体温度140℃として処理を行った。
[洗浄処理]
上記アルカリ混練処理物3000gに対し10Lの純水を添加し、1分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて洗浄物と洗浄液をろ別した。
得られた洗浄物は420メッシュの濾布で作成した袋に投入した後、遠心分離機で脱水を行った。
以降、実施例3に記載の方法で繊維長・繊維径を測定し、酵素糖化処理を行い、糖量を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2010050223
表2より、ニーダーによってアルカリ混練処理工程によって樹皮のアルカリ処理と微細化処理を同時に行った場合には、オートクレーブによるアルカリ処理とレファイナーによる微細化処理を逐次行った場合よりも、同量のアルカリ化合物水溶液に対して得られる糖量が増加することが判明した。
<実施例6>
[破砕処理]
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)を用いて以下の条件で破砕した。
一軸破砕機のホッパーに、絶乾質量で25kg相当の樹皮を投入し、20mmの丸穴スクリーンを取り付けて運転を行った。
この時の破砕に要した一軸破砕機の消費電力を、電力積算計を用いて計測した。
なお、消費電力は、樹皮を破砕した時に計測された消費電力から、空転(樹皮を破砕せずに一軸破砕機を動作させることと定義)に要した消費電力を差し引いて求めた。
樹皮破砕に要した消費電力は、5.3kWh/t−BDであった。
[繊維長・アスペクト比測定]
該破砕処理物を、光学顕微鏡で画像を撮影し画像データを画像処理・解析ソフトウェア(ナノシステム株式会社製NanoHunter NS2k−Pro)にて二値化処理を行って形状を抽出し、形状特徴計測により、最大長及びアスペクト比を測定した。各繊維長の割合は、測定に用いた繊維全体の面積に対する各繊維長の繊維の面積の割合で示した。なお、繊維化されていない樹皮は、その繊維方向の最大長を繊維長とした。
破砕処理物は高度に繊維化されており、画像解析によりアスペクト比を算出したところ、長径3mm以上で、かつアスペクト比100以上の繊維の割合が0.85であった。
[保水率の測定]
該破砕処理物を105±3℃で恒量まで乾燥し、100gの試料を採取し、1000gの水に5分間浸漬した。5分後に全量を1mm穴スクリーン(150mm径、開孔面積率4.2%)でろ別して破砕処理物に保水された水の質量を求め、保水率(=保水量(g)/100g×100)を算出した。
[アルカリ処理]
絶乾1kg相当の上記破砕処理物を、12.5%水酸化カルシウム溶液1Lと混和し、総容量が10Lになるように水を添加した後、90℃にて20分間加熱処理することによりアルカリ処理を施したのち、40メッシュのスクリーンを用いてアルカリ処理物とアルカリ液をろ別した。
アルカリ添加量は、処理する破砕処理物の絶乾質量に対するアルカリ質量の比率として示した。
[洗浄処理]
前記ろ別したアルカリ処理物に10Lの純水を添加し、1分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて洗浄物と洗浄液をろ別した。得られた洗浄物は420メッシュの濾布で作成した袋に投入した後、遠心分離機で脱水を行った。
[磨砕による微細化処理]
前記脱水した洗浄物を、レファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)を用いてクリアランス1mm、投入速度100g/分の条件で磨砕し、磨砕処理物を得た。
電力積算計を用いて計測した磨砕処理に要したレファイナーの消費電力は、50kWh/t−BDであった。
[酵素糖化処理]
絶乾1g相当の上記磨砕処理物を、45mlの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)に投入した後、3mlのセルラーゼ(ジェネンコア協和社製、Multifect CX10L)を添加した。最終容量を50mlに調整し、50℃、反応時間18時間の酵素糖化処理を行った。
酵素糖化処理後、得られた処理物を、420メッシュの濾布で作成した袋に投入した後、遠心分離機で脱水を行い、酵素処理物と酵素処理液をろ別した。さらに酵素処理物に100mlの水を加えて洗浄し、洗浄水は酵素処理液と混合し、容量を計測した後に、酵素処理液中に含まれる糖量をフェノール硫酸法により測定し、原料樹皮固形分1000gあたりの糖量を算出した。その結果得られた糖量を表3に示す。
<比較例3>
原料として、10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの木部を用いた以外は、すべて実施例6と同様に、破砕処理、アルカリ処理、洗浄処理、磨砕処理、酵素糖化処理を行った。
実施例6と同様に、破砕処理の消費電力、画像解析によるアスペクト比、磨砕処理消費電力、原料1000gから得られる糖量を求め、その結果を実施例6と比較して表3に表した。
<実施例7>
[破砕処理]
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、二軸破砕機(近畿工業製、RRC−930E)を用いて以下の条件で破砕した。
二軸破砕機のホッパーに、絶乾質量で25kg相当の樹皮を投入し、20mmの丸穴スクリーンを取り付けて運転を行った。
この時の破砕に要した二軸破砕機の消費電力を、電力積算計を用いて計測した。
なお、消費電力は、樹皮を破砕した時に計測された消費電力から、空転(樹皮を破砕せずに一軸破砕機を動作させることと定義)に要した消費電力を差し引いて求めた。
電力積算計を用いて計測した破砕処理に要した二軸破砕機の消費電力は、13.5kWh/t−BDであった。
以下、実施例6と同様にして破砕処理物の保水率の測定、アルカリ処理、洗浄処理、磨砕処理、酵素糖化処理を行い、原料樹皮1000gあたりの糖量を算出した。その結果得られた糖量を表3に示す。
Figure 2010050223
表3より、原料として木部を用いた場合、樹皮と比較して破砕処理及び磨砕処理において12〜25倍程度の電力が必要であり、また、原料1000gから得られる糖量も樹皮に比べて大きく下回った。
また、木部を樹皮と同条件で破砕処理した処理物は、小塊状のものが多く含まれ繊維化されておらず、アスペクト比100以上の粒子の割合が0.2であった。
以下、アルカリ処理工程には水酸化カルシウム水溶液を用い、アルカリ処理後に樹皮とアルカリ液とを分離し、アルカリ液または該アルカリ液から再生した水酸化カルシウムを、アルカリ処理工程に戻すカルシウム循環工程を有する糖類製造方法について、実施例8〜10により詳述する。
<実施例8>
[破砕処理]
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工製,SC−15)を用いて以下の条件で破砕した。
一軸破砕機のホッパーに、含水率30.8質量%の樹皮217g(絶乾質量で150g相当)の樹皮を投入し、丸穴φ20mmのスクリーンを使用して運転を行った。
この時の破砕に要した一軸破砕機の消費電力を、電力積算計を用いて計測した。
なお、消費電力は樹皮を破砕するときに計測された消費電力から、空転(樹皮を破砕せずに一軸破砕機を動作させることと定義)に要する消費電力を差し引いて求めた。
樹皮破砕に要した消費電力は、樹皮乾燥質量1t当たり6.0kWhと計算された。
[アルカリ処理(1バッチ目)]
上記の破砕樹皮に、水酸化カルシウム粉末を18.8g(対絶乾樹皮12.5質量%)を加えて良く混合した後、1283gのイオン交換水を加えた。これも良く混合した後、90℃にて40分間保持してアルカリ処理を施した。
処理後、420メッシュの濾布合成繊維メッシュを用いて、遠心分離機により、固形分であるアルカリ処理物と液分とを分離する濃縮処理を行った。
アルカリ処理濃縮物(Wet)は586gで、水分は73.2質量%であった。また、液の量は933gであった。
[酵素糖化処理(1バッチ目)]
上記アルカリ処理物を、以下の反応液組成で、50℃20時間条件で1バッチ目の酵素糖化を行った(循環0回目)。
生成した糖類をフェノール硫酸法により定量した。
得られた糖収率(g−全糖/g−原料BD)の結果を表4に示す。
(反応液組成)
4%樹皮(絶乾樹皮換算)
4%セルラーゼ(「Multifect CX10L」,ジェネンコア協和社製)
100mM酢酸緩衝液(pH5.0)
[循環工程]
前記と同様に一軸破砕された樹皮217gに13.5g(対絶乾樹皮9質量%)の水酸化カルシウム粉末を加え、良く混合した。これに、前記1バッチ目で遠心分離された液933gの全量を加え、更にイオン交換水を362g添加して、良く混合した後、90℃にて40分間保持して2バッチ目のアルカリ処理を施した。処理後、アルカリ処理物を420メッシュの濾布で作成した袋に投入した後、遠心分離機で脱水を行い、固形分であるアルカリ処理物と液分とを分離する濃縮処理を行った。アルカリ処理濃縮物(Wet)は589gで、水分は72.8質量%であった。また、液の量は936gであった。
以下は、アルカリ処理濃縮物を1バッチ目の酵素処理と同様の条件で、2バッチ目の酵素処理を行った。この時の糖収率も表4に記載した。
<実施例9>
[洗浄]
実施例8の1バッチ目のアルカリ処理物と同様のものを作成し、これにイオン交換水4570gを加え、5分間攪拌後、40メッシュの合成繊維メッシュを用いて、遠心分離機により、固形分であるアルカリ処理物と液分とを分離することで洗浄処理を行った。固形分である洗浄処理物(Wet)は579gであり、水分は73.9質量%であった。排出液は4580gであった。
洗浄処理後の樹皮を、1バッチ目の酵素処理と同様の条件で酵素処理を行った。これについても、糖収率を表4に記載した。
また洗浄排出液について、炭酸ガスを吹き込み、沈殿物を得た。沈殿物を850℃で焼成して酸化カルシウムとし、更に消和して水酸化カルシウムを再生した。水酸化カルシウムは約8g再生された。
<実施例10>
実施例8の1バッチ目のアルカリ処理濃縮物と同様のものを作成した。この処理物にイオン交換水921gを加え、レファイナー(熊谷理機工業製)を使用し、クリアランス0.5mm条件で磨砕処理した。
上記磨砕物に、イオン交換水を3650g加え、実施例9の洗浄処理と同様に洗浄処理を行い、酵素処理も同様に行った。糖収率は表4に記載した。
また、この時の洗浄排出液について、実施例9と同様に水酸化カルシウムの再生を行った。この際には、水酸化カルシウムの再生量は約11gであった。
即ち、磨砕処理後に洗浄液からカルシウムを回収すると、カルシウムの収率が増加しており、このことは、樹皮中に存在するシュウ酸カルシウムの一部が洗浄液に混入するためと推定され、カルシウムの利用効率は更に向上していることが解る。
Figure 2010050223
以上の実施例8から解るように、濃縮工程で排出する液を、アルカリ処理工程に使用することにより、2回目のバッチでは、水酸化カルシウムの使用量が1バッチ目より少なくても、同様のアルカリ処理効果を果たしており、水酸化カルシウム削減率は約28%であった。また2バッチ目では新たな追加水は1バッチ目に比較して大幅に減少できた。
洗浄の効果としては、理由は定かではないが、酵素処理時の糖化率の向上にも寄与している可能性があり、また、洗浄液からもカルシウムを回収する場合には、カルシウムの約8割が回収して使用できることになる。
以下、本発明のエタノール製造方法について、実施例11〜20により詳述する。
なお、実施例11〜20において、エタノール濃度はバイオセンサー(王子計測機器)で測定し、エタノール生産量を算出した。また、前処理、及び残渣処理に要したレファイナーの消費電力を、電力積算計を用いて計測した。なお、消費電力は実際に原料を磨砕するのに要した消費電力から空転(樹皮を磨砕せずにレファイナーを動作させることと定義)要する消費電力を差し引いた電力を差し引いて求めた。
また、実施例11〜20において、酵母はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) を用い、下記組成の液体培地で30℃、24時間培養し酵母菌体を遠心分離して集菌したものを用いた。
(前培養液体培地組成)
グルコース 30g/L
ポリペプトン 5g/L
酵母エキス 3g/L
麦芽エキス 3g/L
pH 5.6
また、実施例11〜20において、市販セルラーゼはジェネンコア社製GC220(セロビオヒドロラーゼ活性100U/mL、ベータグルコシダーゼ活性200U/mL)を用いた。
<実施例11>
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工社製、SC-15)に20mmの丸穴スクリーンを取り付けて破砕したものを原料とした。
上記原料絶乾500gを、10%炭酸ナトリウム溶液1.3Lと混和し、総容量が5Lになるように水を添加した後、100℃にて30分間加熱処理を施しアルカリ処理を行った。
アルカリ処理後、40メッシュのスクリーンにて固液分離したのち、処理物をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)を用い、クリアランス0.5mmで磨砕した。
前記磨砕処理物に再度5Lの純水を添加し、10分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて固液分離して洗浄された前処理物を得た。
前記前処理物を濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1Lで前培養後の酵母菌体、及び市販セルラーゼ200mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(一次糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定して得られたエタノール量を算出した。以上の結果を表5に示す。
<実施例12>
アルカリ処理後の処理物をクリアランス0.3mmでレファイナー処理した他は、実施例11と同様にして、エタノール生産量を算出した。以上の結果を表5に示す。
<実施例13>
アルカリ処理後の処理物をクリアランス0.2mmでレファイナー処理した他は、実施例11と同様にして、エタノール生産量を算出した。以上の結果を表5に示す。
<実施例14>
アルカリ処理後の処理物をクリアランス0.1mmでレファイナー処理した他は、実施例11と同様にして、エタノール生産量を算出した。以上の結果を表5に示す。
<実施例15>
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工社製、SC-15)に20mmの丸穴スクリーンを取り付けて破砕したものを原料とした。
10Lのステンレスバケツを用い、上記原料絶乾500g相当を、10%炭酸ナトリウム溶液1.3Lと混和し、総容量が5Lになるように水を添加した後、100℃にて30分間加熱処理を施しアルカリ処理を行った。
アルカリ処理後、40メッシュのスクリーンにて固液分離したのち、処理物をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)を用い、クリアランス0.5mmで磨砕した。
前記磨砕処理物に5Lの純水を添加し、10分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて固液分離して洗浄された前処理物(これを前処理物Aとする)を得た。
前処理物Aを反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ200mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第一糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定した。
前記第一糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して発酵残渣を得た。前記残渣を上記レファイナーによりクリアランス0.3mmで処理し、空の反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整し、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地350mLで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ70mLを添加して30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第二糖化発酵)を行い、糖化発酵液のエタノール濃度を測定し、第一糖化発酵処理で得られたエタノール量との合計量を算出した。以上の結果を表5に示す。
<実施例16>
発酵残渣をクリアランス0.2mmでレファイナー処理した他は、実施例15と同様にして、エタノール生産量を算出した。以上の結果を表5に示す。
<実施例17>
発酵残渣をクリアランス0.1mmでレファイナー処理した他は、実施例15と同様にして、エタノール生産量を算出した。以上の結果を表5に示す。
<実施例18>
発酵残渣のレファイナー処理において、0.3mmのクリアランスでの処理を行わず、そのまま第二糖化発酵させた以外は、実施例15と同様にエタノール生産量を算出した。以上の結果を表5に示す。
Figure 2010050223
表5から、樹皮原料の酵素発酵工程後の残渣は、電力をほとんど使用することなく機械処理することが可能であり、機械処理後に再度糖化発酵処理することで、全体のエタノール収量が向上することが判明した。
また、酵素糖化前の樹皮原料の機械処理は、レファイナーのクリアランスが小さいほど電力を消費し、0.1mmでは816wh/gであったが、前処理繊維をクリアランス0.5mmで処理し、発酵残渣をクリアランス0.1mmで処理すれば電力量は合計224wh/gに抑えることができ、エタノール生産量も増加した。これは、発酵処理によって繊維が細片化するため電力量が削減でき、発酵残渣の機械処理によりセルロースが露出しエタノール収率が向上したためと考えられる。
<実施例19>
第一糖化工程終了までは、実施例15と同様に行なった。
第一糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して発酵残渣を得た(これを発酵残渣Cという)。
一方、再度、実施例15と同様に第一糖化工程の前の前処理物Aを得た。前処理物Aと発酵残渣Cを反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1.35Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ270mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第一糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定した。
以上の実施例19結果を表6に示す。
<実施例20>
第一糖化工程終了までは、実施例15と同様に行なった。
第一糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して発酵残渣を得た。この発酵残渣を上記レファイナーによりクリアランス0.3mmで処理した(これを残渣処理物Bという)。
一方、再度、実施例15と同様に第一糖化工程の前の前処理物Aを得た。前処理物Aと残渣処理物Bを反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1.35Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ270mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第一糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定した。以上の実施例20の結果を表6に示す。
Figure 2010050223
<実施例21>
[破砕処理]
10cmスクリーンを通過したチップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工製,SC−15)を用いて以下の条件で破砕した。
一軸破砕機のホッパーに、含水率30.8質量%の樹皮723g(絶乾質量で500g相当)の樹皮を投入し、丸穴φ20mmのスクリーンを使用して運転を行った。一軸破砕機で破砕された樹皮を10Lのステンレスバケツに取った。
[アルカリ処理]
上記の破砕樹皮に、水酸化カルシウム粉末を62.5g(対絶乾樹皮12.5質量%)を加えて良く混合した後、総量が5Lとなるように水を加えた。これも良く混合した後、90℃にて40分間保持してアルカリ処理を施した。
処理後、40メッシュの合成繊維メッシュを用いて、遠心脱水により、固形分であるアルカリ処理物と液分とを分離する濃縮処理を行った。
アルカリ処理濃縮物(Wet)は約1.9kgで、水分は73.2質量%であった。また、液の量は3.1kgであった。この液をろ液(a)として保管した。
[磨砕処理]
上記アルカリ処理濃縮物をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)を用い、クリアランス0.5mmで磨砕した。
前記磨砕処理物に5Lの純水を添加し、10分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて固液分離して洗浄された前処理物(これを前処理物(b)とする)を得た。また、分離された液はろ液(c)として保管した。
[糖化・発酵処理]
前処理物(b)を反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ200mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第一糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定した。
前記第一糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して発酵残渣を得た。分離された液は蒸留工程で蒸留し、エタノールを得た。
前記残渣を上記レファイナーによりクリアランス0.3mmで処理し、空の反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整し、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地350mLで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ70mLを添加して30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第二糖化発酵)を行い、糖化発酵液のエタノール濃度を測定し、第一糖化発酵処理で得られたエタノール量との合計量を算出した。
前記第二糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して最終残渣を得た。分離された液は前記の蒸留工程に送り蒸留した。
[残渣およびろ液処理]
蒸留工程でエタノールを分留した後に、固液分離し、液分は第一糖化発酵工程に戻し、固形分は最終残渣とともに焼成して酸化カルシウムを得た。
一方、前記ろ液(a)(c)には炭酸ガスを吹き込み、生成した沈殿を最終残渣とともに焼成した。得られた酸化カルシウムは約92gであった。この量は、投入した水酸化カルシウムから想定される量よりはるかに多く、樹皮のシュウ酸カルシウムも大部分が酸化カルシウムとして回収されたと推定される。
樹皮原料をより少ないエネルギーで効率的に酵素糖化可能とし、さらにエタノールを製造する方法が提供されることによって、従来、木質系資源として工業的に未利用であった樹皮からバイオエタノールを製造することが可能である。

Claims (10)

  1. 樹皮原料から糖類を製造する方法であって、樹皮原料をアルカリ化合物水溶液に浸漬するアルカリ処理工程、該アルカリ処理された樹皮を機械的に微細化する微細化処理工程、及び該微細化処理樹皮を酵素で糖化する酵素糖化工程を有することを特徴とする、糖類を製造する方法。
  2. 微細化処理が、レファイナー、グラインダーから選択される装置による磨砕処理であることを特徴とする、請求項1に記載の糖類を製造する方法。
  3. 樹皮原料から糖類を製造する方法であって、樹皮原料をアルカリ化合物水溶液と共に、ニーダー、二軸押出機、二軸ミキサーから選択される装置に供給してアルカリ処理と混練処理を同時に行うことにより微細化する微細化処理工程、及び該微細化処理樹皮を酵素で糖化する酵素糖化工程を有することを特徴とする、糖類を製造する方法。
  4. 樹皮原料を、アルカリ処理の前に、破砕機により破砕し、前記破砕処理された樹皮の保水率が250〜2000%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の糖類を製造する方法。
  5. 樹皮原料を、アルカリ処理工程の前に、一軸破砕機を用いて破砕処理することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の糖類を製造する方法。
  6. 前記アルカリ化合物が水酸化カルシウムであり、アルカリ処理後に樹皮とアルカリ液とを分離し、アルカリ液または該アルカリ液から再生した水酸化カルシウムを、アルカリ処理工程に戻すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の糖類を製造する方法。
  7. 前記樹皮原料が、ユーカリ属に属する樹種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の糖類を製造する方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかの記載の方法によって製造された糖類をエタノール発酵させる発酵工程を有することを特徴とする、エタノール製造方法。
  9. 前記発酵工程から得られる残渣を機械的処理した後、さらに糖化し、発酵することを特徴とする、請求項8に記載のエタノール製造方法。
  10. 請求項7の方法によって製造された糖類をエタノール発酵させる際に、発酵残渣から得られる無機分を焼成して酸化カルシウムとし、これを消和してアルカリ処理工程で使用することを特徴とする、エタノール製造方法。
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