JP5637254B2 - 木質系バイオマスからのエタノール製造方法。 - Google Patents

木質系バイオマスからのエタノール製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、木質系バイオマスを原料とするエタノール製造方法であって、エネルギー効率および収率を向上可能なエタノール製造方法に関する。
セルロースを含む木質系バイオマスを原料とし、酵素や微生物を添加して、糖化や糖化発酵を行って糖液や発酵液を得る方法は多く実施されている。
古くは、エタノールの生産は、基質としてのセルロースに対してセルラーゼを反応させてセルロースを酵素的にグルコースへ糖化する工程、次にグルコースをエタノール酵母によってエタノールを生ずる工程が用いられていた。しかし、この方法では、糖化が進行するに従って糖化反応が遅くなる欠点があり、特許文献1〜3では糖化と発酵を同時に行う方法が開示されている。以下、本明細書で「糖化発酵」と言う場合には、糖化と発酵を同一容器で同時に進行する方法を指す。特許文献1には、糖化発酵においてセロビオースも発酵する酵母を用いる技術が開示されている。特許文献2には糖化発酵工程の前に、ベータ−グルコシダーゼなどを含むセルラーゼによる糖化工程で糖液を得る技術が開示されている。
特許文献3には、糖化発酵の残渣をメタン発酵させ、メタンガスを熱エネルギーとして利用する技術が開示されている。
特許文献4は、糖化発酵ではないが、糖化し発酵した残渣を水熱ガス化して生成した合成ガスから触媒反応でエタノールを回収する技術が開示されている。
特許文献3や4のように、発酵残渣を利用する技術は開示されているが、糖化や発酵とは全く違う工程が入り、製造ラインが複雑となり実用化するに当たってのコスト面での負荷が大きい。
糖化発酵法によれば、糖化と発酵を別工程で行う方に比べて糖化収率は向上するのであるが、それでも、本発明者らの研究によれば、糖化収率は70%程度にとどまっている。
特開平5−207885号公報 特開2002−186938号公報 特開2008−104452号公報 特開2005−168335号公報 特開昭63−137692号公報
本発明における課題は、木質バイオマスからのエタノール製造時に、酵素糖化とエタノール発酵を同時に行う糖化発酵工程を採用するに際して、更に、糖化収率即ちエタノール収率を向上する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、糖化発酵工程から得られる残渣を、機械的処理して糖化発酵することで、工程全体に投入するエネルギーを削減でき、エタノール収率も向上することを見いだし、下記発明を完成した。
即ち、上記課題を解決するため、本発明は以下の(1)〜(4)の方法を採用する。
(1) 木質バイオマスを前処理した後、酵素糖化及びエタノール発酵する第一糖化発酵工程と、該工程から得られる残渣をアルカリ処理し機械的処理した後、糖化発酵する第二糖化発酵工程を有することを特徴とする木質バイオマスからのエタノール製造方法。
(2) 木質バイオマスを前処理した後、酵素糖化及びエタノール発酵する第一糖化発酵工程と、該工程から得られる残渣をアルカリ処理し機械的処理した後、第一糖化発酵工程に返送することを特徴とする木質バイオマスからのエタノール製造方法。
(3) 前記残渣処理工程の機械的処理が、磨砕処理であることを特徴とする(1)または(2)に記載のエタノール製造方法。
(4) 前記残渣処理工程のアルカリ処理が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、硫化物、炭酸塩または亜硫酸塩から選択された1種以上の薬品の水溶液に浸漬させるアルカリ処理であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエタノール製造方法。
本発明により、木質バイオマスからのエタノール製造時に、実用化の際のコスト面での負荷が少ない方法、かつ、投入エネルギーを増やすことなく、収率をより向上させることを可能とする有望な技術が提供される。
本発明の第一実施形態を示すフロー図。 本発明の第二実施形態を示すフロー図。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明が対象とする木質バイオマスは、木材からなるバイオマスのことであり、樹木の伐採や造材のときに発生する林地残材、間伐材、製材工場等から発生する樹皮、のこ屑、木材チップ、おがくず、街路樹の剪定枝等、建築廃材等が一般的である。なお、本発明においては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ等も木質バイオマスに含まれるものとする。
前述の木質バイオマスの中でも、木材の樹皮は、現在ほとんど有効利用されておらず、製材工場やチップ工場で均一な品質のものが大量に入手可能であり、木材の木部部分より柔軟かつ可溶性成分が多いため、糖化発酵処理原料として適しているため特に好ましい。
例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属またはアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
<前処理>
本発明においては、上記の木質バイオマスに前処理を行って、木質バイオマス中のセルロースを糖化発酵処理可能な状態とする。
前処理は、原料として使用する木質バイオマスの種類等に応じ、機械的処理、化学的処理、その他任意の処理を取ることが可能である。
前記機械的処理は、破砕、裁断、磨砕等の任意の機械的手段により、原料の木質バイオマスを次工程の糖化発酵処理に適した大きさや状態にすることである。その手段や使用する機械装置については特に限定されないが、たとえば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー等が好適に使用可能である。
前記化学的処理は、酸やアルカリ等の薬品の水溶液、もしくは熱水等に浸漬して、次工程の糖化発酵処理に適した状態にすることである。
化学的処理に使用する薬品等については特に限定されないが、たとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、硫化物、炭酸塩または亜硫酸塩から1種以上選択されたものであり、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、硫化ナトリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等から選択された1種以上の薬品の水溶液に浸漬してなるアルカリ処理等が化学処理として好適である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
なお、化学的処理に使用する薬品添加量は、状況に応じて任意に調整可能であるが、使用する木質バイオマスの絶乾質量に対して50%以下であることが、薬品コスト低下の面から、またセルロースの溶出・過分解による収率低下防止の面からもさらに望ましい。
なお、これらの木質バイオマスの前処理である機械的処理及び化学的処理は、いずれか片方でもよく、必要に応じて両方行っても良い。一般的には機械的処理工程の後化学的処理を行うことが好適である。
なお、本発明の前処理工程における化学的処理工程において、薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によって任意に設定可能であるが、処理時間30分〜1時間、処理温度80〜130℃が好ましい。なお、処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出または過分解が起こる場合もあるため、処理時間が1時間以下、処理温度が130℃以下であることが好ましい。
<糖化発酵>
以下、本発明の木質系バイオマスの糖化発酵システムを、図面を参照して具体的に説明する。ただし、本発明は例示した図面のみに限定される訳ではない。
図1は、本発明の木質系バイオマスの糖化発酵システムの第一実施形態を示す工程図である。図1に示すシステムにおいて、前処理された木質バイオマス原料は経路(イ)を経由して第一糖化発酵工程に供給され、ここでセルロース分解酵素と、アルコール酵母及び培地が第一糖化発酵工程に供給されてセルロースの糖化とアルコール発酵とが同時に行われる。
次いで、濾過装置により液分離を行い、液体分は、経路(ロ)を経由して減圧蒸留装置からなる蒸留分離工程に送られて生成アルコール留分と蒸留残渣留分とに分離され、生成アルコール留分は経路(ニ)を経由してアルコール貯槽に送られる。

なお、図示してないが、工程の前に、原料として使用する木質系バイオマスに対して、あらかじめ殺菌を行うことが好ましい。木質系バイオマス原料中に雑菌が混入していると、後の工程で酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌工程は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
第一糖化発酵工程では、前処理された原料に適度な水分と酵素、発酵に必要なアルコール酵母等の微生物を投入し、攪拌分散させて木質バイオマスの繊維をほぐしてスラリー状とし、酵素により可溶化したグルコースなどを微生物により発酵させて、発酵生成物を得る。
原料の濃度は、10〜30質量%であることが好ましい。10質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって、原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
糖化発酵工程で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤には、上記した各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多く、市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム属(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス属(Trametes)、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
反応条件はpHが4〜7が好ましい。温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。糖化発酵反応は、連続式が好ましいが、バッチ方式でも良い。糖化発酵反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
次に、発酵および蒸留について説明する。
発酵用に用いられる微生物としては酵母などが用いられ、培地などを同時に添加しても良い。酵母としては、特許文献3、4などに記載される周知の酵母、例えばサッカロミセス・セラビシエなどが使用できる。
また、微生物は固定化しておいてもよい。微生物を固定化しておくと、次工程に微生物を液と共に送り出して再回収するという工程を省くことができるか、少なくとも回収工程にかかる負担を軽減することができるし、微生物をロスするリスクを軽減することもできる。また、微生物を固定化するほどでのメリットはないが、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
蒸留工程では、減圧蒸留装置により発酵生成物が蒸留分離される。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪化する。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度とすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
前記した糖化発酵工程において、セルロースに由来する六炭糖、即ち、グルコースと、ヘミセルロースに由来する五炭糖、即ち、マンノース、ガラクトースなどがアルコール発酵されるが、五炭糖は未反応のまま残留するものもある。このような場合、五炭糖をより確実に発酵する酵素も添加するか、あるいは、別工程で処理しても良い。
本発明においては、糖化発酵工程の前に予備的に糖化のみを行う予備糖化工程を設置することもできる。このような予備糖化工程における原料の濃度、使用する酵素及びその量については糖化発酵工程で説明した条件を採用することができる。たとえば、pHは4〜7が好ましい。反応温度は30〜60℃が好ましく、35〜50℃がさらに好ましい。反応工程は、連続式が好ましいが、バッチ方式でもよい。糖化時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は0.5〜72時間、さらに好ましくは2〜48時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、0.5〜48時間、さらに好ましくは1〜24時間である。
<残渣の機械処理>
第一糖化発酵処理工程より得られた発酵液から固液分離して得られた残渣は、さらに機械的処理を加えて第二糖化発酵工程で糖化発酵させる。これを本発明の第一実施形態とし、図1参照にフローを記載した。また、機械的処理された残渣を第一糖化発酵工程に返送する形態が本発明の第二実施形態であり、フローを図2に示した。
第一実施形態の場合、第一糖化発酵工程および第二糖化発酵工程は、夫々独立して、バッチ処理あるいは連続処理のいずれでも可能である。
第二実施形態の場合、第一糖化発酵工程がバッチ式であれば、第二糖化発酵工程もバッチ式で、第一糖化発酵工程の1番目のロットの残渣は、第二糖化発酵工程で処理された後、2番目の第一糖化発酵工程のロットに混合され、以後同様に続けられる。従って、新たに第一糖化発酵工程のロットに供給される前処理物の量は、混合される残渣を含めて、ほぼ同一の量が毎ロット処理されるように調整される。また、数回のロットを終えたら、残渣を廃棄することが必要になる。連続処理でも同様で、第一糖化発酵工程、第二糖化発酵工程をともに連続処理とすることが好ましく、適宜のタイミングで残渣を廃棄する必要がある。
残渣の機械的処理は、任意の機械的手段によって、残渣をさらに細かくして、糖化発酵に適した状態にすることである。具体的には残渣を切断するか剪断力により磨砕する処理が必要である。装置としては、パルプ製造に使用されるグラインダー、レファイナー、ニーダーが使用可能である。グラインダーとしてはストーン型、石臼型のいずれでもよい。
レファイナーとしては、木材から機械パルプを製造する際に用いられる各種高濃度レファイナー機を使用することができる。レファイナーの型としては、固定板と回転する1枚のディスクにより磨砕するシングルディスクレファイナー、2枚の逆回転するディスクにより磨砕するダブルディスクレファイナー、固定板を挟んで両側の回転するディスクにより磨砕するツインディスクレファイナーが使用できる。また、回転板が平板ではなく円錐型であるコニカルディスクレファイナーも使用できる。
また、メディア攪拌式湿式粉砕装置も使用できる。この装置は、粉砕容器に挿入した攪拌機を高速で回転させて、粉砕容器内に充填したメディアと繊維状セルロースを攪拌して剪断応力を発生させて粉砕する装置であり、例えばサンドグラインダーが代表的な装置である。
以上の処理の中でも、糖化発酵処理後の残渣は既に柔軟になっているため、レファイナーが好ましい。例えば、第一糖化発酵工程の前の前処理(最初の前処理)においてレファイナー処理を採用した場合、残渣の前処理としては最初の前処理より磨砕の度合いを高めることが好ましい。最初の前処理、残渣の機械処理のいずれも同じレファイナーで行う場合には、残渣の機械処理は最初の前処理に比較して、刃のクリアランスを0.1mm以上狭くすることが好ましい。
前記の残渣処理工程の機械的処理工程の前後少なくともいずれかにおいて、化学的処理を行うことが可能である。
化学的処理については最初の前処理の場合と同様な薬品、処理条件が可能である。
機械的処理を施された残渣は第二糖化発酵工程に送られ、第一糖化発酵工程と同様に糖化発酵が行われ、処理後に濾過して固液分離する。液体分は蒸留工程に輸送し、固体分は最終の残渣として廃棄、燃焼あるいはリグニン回収などに供される。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
尚、以下に示す各実施例において、%は、特に断りがない限りは全ての質量によるものである。エタノール濃度はバイオセンサー(王子計測機器)で測定し、エタノール生産量を算出した。また、前処理、及び残渣処理に要したレファイナー電力量は電力積算計を用いて計測した。所要動力は実際に原料を磨砕するのに要した消費電力から空転動力に要した電力を差し引いた電力として求めた。空転動力は原料を磨砕せずにレファイナーを動作させるのに要した電力と定義する。酵母はSaccharomyces cerevisiaeを用い、下記組成の液体培地で30℃、24時間培養し酵母菌体を遠心分離して集菌したものを用いた。市販セルラーゼはジェネンコア社製GC220(セロビオヒドロラーゼ活性100U/mL、ベータグルコシダーゼ活性200U/mL)を用いた。
<前培養液体培地組成>
グルコース 30g/L
ポリペプトン 5g/L
酵母エキス 3g/L
麦芽エキス 3g/L
pH 5.6
<実施例1>
チップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工社製、SC-15)に20mmの丸穴スクリーンを取り付けて破砕したものを木質バイオマス原料とした。
10Lのステンレスバケツを用い、上記原料絶乾500gを、10%炭酸ナトリウム溶液1.3Lと混和し、総容量が5Lになるように水を添加した後、100℃にて30分間加熱処理を施しアルカリ処理を行った。
アルカリ処理後、40メッシュのスクリーンにて固液分離したのち、処理物をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)を用い、クリアランス0.5mmで磨砕した。
前記磨砕処理物に5Lの純水を添加し、10分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて固液分離して洗浄された前処理物(これを前処理物Aとする)を得た。
前処理物Aを反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ200mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第一糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定した。
前記第一糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して発酵残渣を得た。前記残渣を上記レファイナーによりクリアランス0.3mmで処理し、空の反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整し、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地350mLで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ70mLを添加して30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第二糖化発酵)を行い、糖化発酵液のエタノール濃度を測定し、第一糖化発酵処理で得られたエタノール量との合計量を算出した。
<実施例2>
発酵残渣をクリアランス0.2mmでレファイナー処理した他は、実施例1と同様にして、エタノール生産量を算出した。
<実施例3>
発酵残渣をクリアランス0.1mmでレファイナー処理した他は、実施例1と同様にして、エタノール生産量を算出した。
<比較例1>
チップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を、一軸破砕機(西邦機工社製、SC-15)に20mmの丸穴スクリーンを取り付けて破砕したものを木質バイオマス原料とした。
上記原料絶乾500gを、10%炭酸ナトリウム溶液1.3Lと混和し、総容量が5Lになるように水を添加した後、100℃にて30分間加熱処理を施しアルカリ処理を行った。
アルカリ処理後、40メッシュのスクリーンにて固液分離したのち、処理物をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)を用い、クリアランス0.5mmで磨砕した。
前記磨砕処理物に再度5Lの純水を添加し、10分間攪拌した後、40メッシュのスクリーンにて固液分離して洗浄された前処理物を得た。
前記前処理物を濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ200mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(一次糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定して得られたエタノール量を算出した。
<比較例2>
アルカリ処理後の処理物をクリアランス0.3mmでレファイナー処理した他は、比較例1と同様にして、エタノール生産量を算出した。
<比較例3>
アルカリ処理後の処理物をクリアランス0.2mmでレファイナー処理した他は、比較例1と同様にして、エタノール生産量を算出した。
<比較例4>
アルカリ処理後の処理物をクリアランス0.1mmでレファイナー処理した他は、比較例1と同様にして、エタノール生産量を算出した。
以上、実施例及び比較例の結果を表1に示す。
<比較例5>
発酵残渣のレファイナー処理において、0.3mmのクリアランスでの処理を行わず、そのまま第二糖化発酵させた以外は実施例1と同様に行った。
Figure 0005637254
表1から、木質バイオマスの酵素発酵工程後の残渣は、電力をほとんど使用することなく機械処理することが可能であり、機械処理後に再度糖化発酵処理することで、全体のエタノール収量が向上することが判明した。
また、酵素糖化前の木質バイオマスの機械処理は、レファイナーのクリアランスが小さいほど電力を消費し、0.1mmでは816wh/gであったが、前処理繊維をクリアランス0.5mmで処理し、発酵残渣をクリアランス0.1mmで処理すれば電力量は合計228wh/gに抑えることができ、エタノール生産量も増加した。これは、発酵処理によって繊維が細片化するため電力量が削減でき、発酵残渣の機械処理によりセルロースが露出しエタノール収率が向上したためと考えられる。
<実施例4>
第一糖化工程終了までは、実施例1と同様に行なった。
第一糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して発酵残渣を得た。この発酵残渣を上記レファイナーによりクリアランス0.3mmで処理した(これを残渣処理物Bという)。
一方、再度、実施例1と同様に第一糖化工程の前の前処理物Aを得た。前処理物Aと残渣処理物Bを反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1.35Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ270mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第一糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定した。
<比較例6>
第一糖化工程終了までは、実施例1と同様に行なった。
第一糖化発酵処理後、420メッシュのスクリーンにて固液分離して発酵残渣を得た(これを発酵残渣Cという)。
一方、再度、実施例1と同様に第一糖化工程の前の前処理物Aを得た。前処理物Aと発酵残渣Cを反応容器に入れ、水を加えて濃度8%に調整したのち、ポリペプトン3g/L、酵母エキス2g/L、麦芽エキス2g/Lとなるようにそれぞれ添加し、前記液体培地1.35Lで前培養後の酵母菌体及び市販セルラーゼ270mLを添加し、30℃、24時間条件で糖化発酵処理(第一糖化発酵処理)し、糖化発酵液のエタノール濃度を測定した。
以上の実施例4、比較例6の結果を表2に示す。
Figure 0005637254

Claims (4)

  1. 木質バイオマスを前処理した後、酵素糖化及びエタノール発酵する第一糖化発酵工程と、該工程から得られる残渣をアルカリ処理し機械的処理した後、糖化発酵する第二糖化発酵工程を有することを特徴とする木質バイオマスからのエタノール製造方法。
  2. 木質バイオマスを前処理した後、酵素糖化及びエタノール発酵する第一糖化発酵工程と、該工程から得られる残渣をアルカリ処理し機械的処理した後、第一糖化発酵工程に返送することを特徴とする木質バイオマスからのエタノール製造方法。
  3. 前記残渣処理工程の機械的処理が、磨砕処理であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエタノール製造方法。
  4. 前記残渣処理工程のアルカリ処理が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、硫化物、炭酸塩または亜硫酸塩から選択された1種以上の薬品の水溶液に浸漬させるアルカリ処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエタノール製造方法。
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