JP2015159755A - リグノセルロース含有バイオマスからのエタノール製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性の高いリグノセルロースを含有するバイオマスからエタノール製造方法を提供する。【解決手段】(1)リグノセルロース系原料にアルカリ処理を施す化学的処理工程、(2)前記化学的処理を施したリグノセルロース原料を第一固液分離装置により固形分と液体分に分離する第一固液分離工程、(3)前記第一固液分離工程で分離された固形分に酵素及び発酵微生物を同時に作用させて糖化及び発酵を併行して行う併行糖化発酵工程、並びに(4)前記併行糖化発酵工程又は前記発酵工程から排出された処理懸濁液を第二固液分離装置で固形分と液体分に分離する第二固液分離工程を含む、前記第二固液分離工程で分離された固形分を前記併行糖化発酵工程又は前記糖化工程へ循環させるリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノール製造する方法において、化学的処理したリグノセルロース原料を固液分離して分離した液体分(排水)を糖化の原料として利用する方法に関する。
リグノセルロース原料から糖を製造する技術は、この糖を微生物の発酵基質として用いることによりガソリンの代替燃料となるアルコールや、コハク酸や乳酸などの化成品原料を製造することができることから、循環型社会の形成に有益な技術である。
植物系バイオマス中の多糖類から発酵基質となる単糖や小糖類を製造する方法として酵素やその酵素を生産する微生物を用いて加水分解する酵素糖化法がある。しかし、植物由来のリグノセルロースには、リグニン等の不純物が含まれているため糖化を行う前に糖化に適した原料とするための前処理を施すことが望ましい。リグノセルロースに糖化に適した原料とするための前処理を施す方法として、リグノセルロースを過酸化水素水で処理する方法(特許文献1)、リグノセルロースを酸処理する方法(特許文献2)等が報告されている。しかし、これらの前処理で使用したアルカリ、酸等の廃液を処理するために中和処理等を行う必要があり製造コストが上昇するという問題がある。また、パルプ製造工程でリグノセルロース原料をサルファイト蒸解し、パルプとサルファイト黒液を分離し、サルファイト黒液を発酵してエタノールを製造する方法が報告されている(特許文献3)。しかし、これらのアルカリ処理、酸糖処理により発生する廃液やパルプ製造工程で発生する黒液等をエタノール製造工程で利用し、エタノール生産性を高める方法については報告されていない。もし、エタノール製造工程で排出される廃液を利用し、エタノール生産性を高めることができれば、エタノール製造に要するコストの削減が可能となる。
特開2007−074992号公報 特開2007−104983号公報 特開2009−213389号公報
本発明の課題は、リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノールを製造する方法において、リグノセルロースをアルカリ処理した後に発生する不要な排水をエタノール製造工程内で利用し、エタノール生産効率を高める方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した。そしてリグノセルロース系原料をアルカリ処理を施した後、固形分を酵素で糖化発酵処理した後、処理懸濁液を固液分離装置で固形分(残渣)と液体分に分離し、分離された固形分を前記糖化発酵工程へ循環させるエタノール製造方法に着目した。そして、当該エタノール製造方法おいて、アルカリ処理を施した後に固液分離工程で分離された液体分(排水)を、前述の糖化発酵工程へ循環させる固形分と混合することにより、エタノールの「生産性が高まることを見出した。下記発明を完成した。
(1)(1)リグノセルロース系原料にアルカリ処理を施す化学的処理工程、(2)前記化学的処理を施したリグノセルロース原料を第一固液分離装置により固形分と液体分に分離する第一固液分離工程、(3)前記第一固液分離工程で分離された固形分に酵素及び発酵微生物を同時に作用させて糖化及び発酵を併行して行う併行糖化発酵工程、又は前記第一固液分離工程で分離された固形分を酵素で糖化する酵素糖化工程、及び前記糖化工程から排出された処理液に発酵微生物を作用させて発酵を行う発酵工程、並びに(4)前記併行糖化発酵工程又は前記発酵工程から排出された処理懸濁液を第二固液分離装置で固形分と液体分に分離する第二固液分離工程を含み、前記第二固液分離工程で分離された固形分を前記併行糖化発酵工程又は前記糖化工程へ循環させるリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法において、前記第一固液分離工程で分離された液体分の少なくとも一部を前記第二固液分離工程で分離された固形分と混合して前記併行糖化発酵工程又は前記糖化工程へ循環させることを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
(2)前記アルカリ処理が、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して5〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%の水酸化ナトリウムを添加し、加熱する処理であることを特徴とする(1)に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
(3)前記化学的処理の前に破砕処理を行うことを特徴とする(1)または(2)に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
(4)前記化学的処理の後に磨砕処理を行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
(5)工程(3)が、併行糖化発酵工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
(6)工程(3)が、糖化工程及び発酵工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
本発明により、リグノセルロース系原料にアルカリ処理を施した後の固液分離装置で分離した液体分(排水)を糖化後の固液分離装置で分離された固形分と混合し糖化工程へ循環させることにより、エタノール生産性が高まる。
本発明のリグノセルロースからのエタノールの製造方法を実施するための装置を示す図である。 本発明のリグノセルロースからのエタノールの製造方法を実施するための装置を示す図である。
1:アルカリ処理液移送ライン
2:固形分移送ライン
3:液体分(排水)移送ライン
4:磨砕処理後固形分移送ライン
5:併行糖化発酵槽排出口
6:液体分移送ライン
7:固形分循環ライン
8:排水循環ライン
9:糖化槽排出口
10:発酵槽排出口
I:破砕装置
CO:加熱処理装置
R:磨砕装置
BR1:併行糖化発酵槽
RE:糖化槽
F:発酵槽
S1:第一固液分離装置
S2:第二固液分離装置
WT:排水タンク
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
<リグノセルロース系原料>
本発明の方法で原料として使用するリグノセルロース系原料としては、次のものがある。木質系としては、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、木本性植物の切株から発生した萌芽、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられる。草本系としては、ケナフ、稲藁、麦わら、コーンコブ、バガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣及び廃棄物(例えば、EFB: Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。
また、バイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ、スラッジ、下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。
前記木質系のリグノセルロース系原料としては、ユーカリ(Eucalyptus)属植物、アカシア(Acacia)属植物、ヤナギ(Salix)属植物、ポプラ属植物、スギ(Cryptomeria)属植物等が利用できるが、ユーカリ属植物、アカシア属、ヤナギ属植物が原料として大量に採取し易いため好ましい。特に、ユーカリ属植物としては、Eucalyptus globulus、Eucalyptus pelita、アカシア属としては、Acacia mangium、Acacia auriculiforimis、アカシアハイブリッド(Acacia mangiumとAcacia auriculiforimisの交雑種)、ヤナギ属植物としては、Salix schweriniiを用いるのが好ましい。
木本性植物由来のリグノセルロース系原料の中では、林地残材(樹皮、枝葉を含む)、樹皮を用いるのが好ましい。例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
<機械的処理>
本発明では、前記リグノセルロース原料に機械的処理を施すことができる。機械的処理としては、切断、裁断、破砕、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の化学的処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、切出し装置、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー、ボールミル等を用いることができる。
前記機械的処理の前工程又は後工程として、異物(石、ゴミ、金属、プラステック等のリグノセルロース以外の異物)を除去するための洗浄などによる異物除去工程を導入することもできる。
原料を洗浄する方法としては、例えば、原料に水を噴射して原料に混合されている異物を除く方法、あるいは、原料を水中に浸漬し異物を沈降させて取り除く方法等が挙げられる。また、メタルトラップ等の装置を用いて、異物を原料から分離する方法が挙げられる。
原料に異物が含まれていると、リファイナーのディスク(プレート)等の機械的処理で用いる装置の部品を破損させる可能性があるし、配管が詰まる等の製造工程内でトラブルを起こす等の問題が発生するため、異物除去工程を導入することが望ましい。
<化学的処理>
本発明では、リグノセルロース原料にアルカリ処理を施す化学的処理工程を実施する。化学的処理の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品である。他の例は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理である。アルカリ処理を施す化学的処理工程はまた、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による処理と組み合わせることも可能である。
化学的処理は、前記機械的処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが好適である。
化学的処理で使用する化学薬品の添加量は、状況に応じて任意に調整可能である。薬品コスト低下の面から、またセルロースの溶出・過分解による収率低下防止の面から、リグノセルロース系原料の絶乾100質量部に対して50質量部以下であることが望ましい。化学的処理における薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によって任意に設定可能であるが、処理時間20〜90分、処理温度80〜200℃が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理時間は70分以下、処理温度は180℃以下であることが好ましい。
化学的処理(アルカリ処理)として、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加することもできる。リグノセルロースに亜硫酸ナトリウムを前記の添加量で単独で添加して加熱処理すると、加水分解中に酢酸等の有機酸が生成するためpHの低下が起こり加水分解液が酸性となる。加水分解液が酸性の条件下で加水分解を継続すると加水分解で生成されたキシロースがフルフラールに変換するという問題が発生する。フルフラールは、エタノール発酵の阻害物質となるため可能な限り生成させないことが望ましい。また、発酵基質であるキシロースの収率が低下するため結果としてエタノール生産効率が低下する。本発明では、リグノセルロース原料に前記の添加量で亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤としてアルカリを添加して加熱処理することにより、加水分解中のpHが中性〜弱アルカリ性に維持される。そのため、フルフラールの生成及びキシロースの収率低下を抑制することができる。また、加熱処理後(加水分解後)のリグノセルロースを含む水溶液のpHが4.0〜7.0(中性〜弱アルカリ性)となるため、加水分解処理後の廃液あるいは加水分解物を中和するための薬品の使用量を低減できるというメリットがある。
前記pH調整剤として用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの薬品に特に限定されない。
前記、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加して加熱処理を行う場合の加熱処理温度は、80〜230℃が好ましく、120〜200℃がさらに好ましい。また、加熱処理時間は、10〜300分で行うことができるが、30〜120分が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理温度は、180℃以下、処理時間は120分以下であることが好ましい。
<第一固液分離>
図1に示す方法では、加熱処理装置COで化学的処理(アルカリ処理)が施されたリグノセルロース原料は、ライン1から固液分離装置S1へ移送されて固形分と液体分(排水)に分離する。固液分離装置S1において、通常はリグノセルロース原料に対して洗浄水が添加されながら固液分離が行われる。固液分離工程で分離された固形分(原料)はライン2を経由して糖化発酵槽BR1へ移送されて糖化発酵の原料として用いられる。一方、固液分離工程で分離された液体分(排水)はライン3から排水タンクWTへ移送されてタンク内に保管される。排水には、化学的処理で使用した薬品や化学的処理によりリグノセルロースから溶出された成分(糖類、リグニン等)が含まれている。
固液分離装置S1としては、スクリュープレス、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス、スクリーン等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いても良い。
固液分離工程において、原料に対する洗浄水の供給量は、原料1kgに対して洗浄水10〜300kgが望ましく、原料1kgに対して洗浄水50〜200kgがさらに望ましい。洗浄水としては、水、酸性水等、原料に悪影響を及ぼさない水溶液であれば特に制限なく用いることができる。
固液分離工程の前に、洗浄ドレーナー等の洗浄装置を用いても良い。洗浄ドレーナーを用いることにより、化学的処理によりリグノセルロースから溶出した不純物(リグニン等)を含む化学薬品を連続的に効率よく除去することができる。
(磨砕処理)
固液分離工程で分離された固形分(原料)を磨砕処理装置Rで磨砕処理しても良い。磨砕処理装置としては、レファイナー、ボールミル等が挙げられる。レファイナーを用いる場合は、固液分離工程で分離された固形分(リグノセルロース原料)をレファイナーのディスク(プレート)のクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲で磨砕することが好ましく、0.1〜1.0mmの範囲で磨砕することがさらに好ましい。使用するレファイナーとしては、シングルディスクレファイナー、ダブルディスクレファイナー等を使用することができ相対するディスクのクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲に設定できるレファイナーであれば特に制限なく使用することができる。ディスクのクリアランスが2.0mmを超えると糖化または併行糖化発酵で得られる糖収率が添加するため好ましくない。一方、ディスクのクリアランスが0.1mmより低いとレファイナーで磨砕処理した後の加水分解物(固形分)の収率が低下するため好ましくない。また、ディスクのクリアランスが0.1mmより低いとレファイナーの運転に要する電気消費量が増大するため好ましくない。
レファイナーのディスク(プレート)の材質、ディスクの型、ディスク面の刃の型、ディスク面に対する刃の方向等のディスクの形状については効果が得られる材質、形状であれば、特に制限なく使用することができる。
磨砕処理を行った場合は、磨砕処理した原料を水溶液と固形分に固液分離しても良い。固液分離する方法としては、例えば、スクリュープレス、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いて水溶液と固形分に分離することができ、水溶液と固形分に分離することができる装置であれば制限なく使用することができる。
前記の前処理(機械的処理、化学的処理、磨砕処理等)が施された原料を糖化または併行糖化発酵を行う前に殺菌処理を行うことが好ましい。リグノセルロース系原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下するという問題が発生する。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
前記前処理(機械的処理、化学的処理、磨砕処理等)が施されたリグノセルロース原料が、糖化工程又は併行糖化発酵工程へ供給される。
<糖化工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、糖化工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素(セルラーゼ、ヘミセルラーゼ)により糖化(セルロース→グルコース、ヘミセルロース→グルコース、キシロース)される。
<併行糖化発酵工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、さらに酵母等の微生物と混合されて併行糖化発酵工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素により糖化され、生成された糖類が発酵微生物(酵母など)によりエタノールに発酵される。
糖化工程又は併行糖化発酵工程で用いるリグノセルロース系原料の懸濁濃度は、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
糖化工程又は併行糖化発酵で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス(Trametes)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
糖化工程又は併行糖化発酵工程での反応液のpHは3.5〜10.0の範囲に維持することが好ましく、4.0〜7.5の範囲に維持することがより好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程での反応液の温度は、酵素の至適温度の範囲内であれば特に制限はなく、25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。反応は、連続式が好ましいが、セミバッチ式、バッチ式でも良い。反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
併行糖化発酵工程では、糖類(六炭糖、五炭糖)が発酵できる発酵微生物を用いる。発酵微生物としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、キャンディダ・シハタエ(Candida shihatae)、パチソレン・タノフィルス(Pachysolen tannophilus)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)等の酵母やザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等の細菌が挙げられる。また、遺伝子組換技術を用いて作製した遺伝子組換微生物(酵母、細菌等)を用いることもできる。遺伝子組換微生物としては、六炭糖と五炭糖を同時に発酵できる微生物を特に制限なく用いることができる。
微生物は固定化しておいても良い。微生物を固定化しておくと、次工程で微生物を分離して再回収する工程を省くことができるため、少なくとも回収工程に要する負担を軽減することができ、微生物のロスが軽減できるというメリットがある。また、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
<発酵工程>
糖化工程と発酵工程を別の反応槽で行う場合は、前記糖化工程後の処理液は、発酵工程へ移送し発酵微生物を用いて発酵を行う。発酵微生物としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、キャンディダ・シハタエ(Candida shihatae)、パチソレン・タノフィルス(Pachysolen tannophilus)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)等の酵母やザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等の細菌、等が挙げられる。また、遺伝子組換技術を用いて作製した遺伝子組換微生物(酵母、細菌等)を用いることもできる。遺伝子組換微生物としては、六炭糖と五炭糖を同時に発酵できる微生物を特に制限なく用いることができる。
微生物は固定化しておいても良い。微生物を固定化しておくと、次工程で微生物を分離して再回収するという工程を省くことができるため、少なくとも回収工程に要する負担を軽減することができ、微生物をロスが軽減できるというメリットがある。また、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
<第二固液分離工程>
図1に示す方法では、併行糖化発酵槽BR1から排出された培養液は、ライン5を経由して固液分離装置S2へ移送されて液体分(濾液)と固形分(残渣)に分離される。固液分離装置S2で分離された固形分はライン7を経由して併行糖化発酵槽BR1へ循環される。一方、固液分離装置S2で分離された液体分は、ライン6をから蒸留工程へ移送されて発酵生成物(エタノール等)が蒸留分離される。
図2に示す方法では、糖化槽REから排出された処理液は、ライン9から発酵槽Fへ移送され発酵が行われる。発酵槽Fから排出された培養液は、ライン10を経由して固液分離装置S2へ移送されて液体分(濾液)と固形分(残渣)に分離される。固液分離装置S2で分離された固形分はライン7を経由して糖化槽REへ循環される。固液分離装置S2で分離された固形分に水溶液(水、培地等)を添加して循環してもよい。一方、固液分離装置S2で分離された液体分は、ライン6をから蒸留工程へ移送されて発酵生成物(エタノール等)が蒸留分離される。
固液分離装置S2としては、スクリュープレス、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いることができる。固液分離で用いるメッシュサイズは、1.25〜600メッシュが好ましく、60〜600メッシュがさらに好ましい。
本発明では、図1(又は図2)に示すように、前記「第一固液分離」において第一固液分離装置S1で分離された排水(排水タンクWT内に保管)の少なくとも一部をライン8を経由してライン7に添加する。そして第二固液分離装置S2から分離された固形分と混合し、併行糖化発酵槽BR1(図2の場合は、糖化槽RE)へ循環させる。以上の操作により、原料への酵素(セルラーゼ)の吸着が排水に含まれる成分の作用により抑制されてエタノール生産性を高めることができる。また、排水には、糖類が含まれており、エタノール生成の原料となることによりエタノール生産性が高まる。
第二固液分離装置S2で分離された固形分(固形分懸濁液)の容量10に対して容量1〜5の排水をライン8からライン7に供給し混合することが望ましい。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す製造フローで実施した。
[前処理]
チップ状のユーカリ・グロブラスの林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
[化学的処理]
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、170℃で1時間加熱した。
[第一固液分離]
図1に示すように、化学的処理した原料懸濁液を、固液分離装置S1:スクリュープレス(富国工業株式会社製SHX−200 x 1500L、スクリーンサイズ1.2mm)で固形分と液体分(排水)に分離した。固形分をライン2を経由してリファイナー(磨砕装置R)へ移送した。一方、液体分(排水)をライン3を経由して排水タンクWTへ移送した。
[磨砕処理]
固液分離した固形分に水を添加し原料懸濁液とし、この原料懸濁液をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)でディスク(プレート)のクリアランスを1.0mmに設定し磨砕した。次に60メッシュ(250um)のスクリーンを用いて磨砕処理後の原料懸濁液を固液分離(脱水)することにより溶液の電気伝導度が30uS/cmになるまで水で洗浄した。固液分離後の固形分(原料)をライン4より併行糖化発酵槽BR1へ移送し併行糖化発酵を行った。
[併行糖化発酵]
予め、液体培地(グルコース30g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、pH5.6)50Lで、酵母Saccharomyces cerevisiae(市販酵母、商品名:aurivin: Mauri Yeast Australia Pty Limited)を、30℃で24時間培養した。
図1に示す糖化発酵槽BR1にポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/Lとなるように各々を添加後,水を添加し最終容量を0.8mに調整した。酵母菌体を含む培養液を糖化発酵槽BR1に添加し24時間培養した。酵母の密度が、1x10/mlに増殖した時点で、市販セルラーゼ溶液(マルティフェクトCX10L、ジェネンコア社製)50L、及び原料100kg(乾燥重量)を糖化発酵槽BR1に添加した。次に、糖化発酵槽BR1に水を添加し培養液の最終容量を1mに調製した。培養液のpHを5.0に調整し30℃で一次併行糖化発酵を開始した。糖化発酵槽BR1内での培養液の滞留時間(原料懸濁液が糖化発酵槽BR1を通過する時間:糖化発酵槽BR1の容量/流速)を20時間に設定し糖化発酵行った。すなわち、糖化発酵を開始した時点から、固形分濃度(乾燥重量当たり)が10質量%の原料懸濁液(原料を水に懸濁)を流速50L/hで糖化発酵槽BR1の原料供給口から連続的に添加した。一方、原料供給開始と同時に糖化発酵槽BR1の排出口5より原料懸濁液を50L/hで排出し、固液分離装置Sへ移送した。また、前記セルラーゼ溶液を2.5L/hで糖化発酵槽BR1に連続的に添加した。尚、連続運転中に培養液が減少した場合、自動的に培地を添加することにより培養液の最終容量を1mに維持した。培養中の培養液のpHを5.0に維持した。
[第二固液分離]
前記一次併行糖化発酵工程から排出された原料懸濁液を、固液分離装置S2:スクリュープレス(富国工業株式会社製SHX−200 x 1500L、スクリーンサイズ1.2mm)で固液分離して固形分(残渣A)と液体分(濾液)を分離した。分離した固形分Aに水を添加し固形分濃度15質量%の懸濁液とし、この懸濁液をライン7を経由して併行糖化発酵槽BR1へ循環した。一方、固液分離後の液体分はライン6を経由して蒸留工程へ移送した。
[排水の循環]
前記排水タンクWT内の液体分(排水)をライン8を経由してライン7へ連続的に供給した。ライン7を流れる固形分濃度15質量%の懸濁液の容量10に対して容量1の排水をライン8からライン7に供給し混合させた。
[エタノール濃度の測定]
一次併行糖化発酵を開始してから60時間後に糖化発酵槽BR1の排出口に接続されているライン5より懸濁液を採取し、懸濁液に含まれるエタノール濃度をグルコースセンサー(王子計測機器製BF−400型)で測定した。結果を表1に示す。
[酵素回収率の測定]
一次併行糖化発酵を開始してから60時間後に糖化発酵槽BR1の排出口に接続されているライン5より懸濁液を採取し、懸濁液を10,000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後の上清ベーター−グルコシダーゼ活性を下記の方法で測定し、酵素回収率を算出した。結果を表1に示す。
<ベーターグルコシダーゼ活性の測定>
ベーターグルコシダーゼ活性の測定は、次のように行った。1.25mM 4−Methyl−umberiferyl−glucosideを含む125mM酢酸緩衝液(pH5.0)16ulに、酵素液(被検液)4ul加え、37℃、10分間反応を行った。その後、500mM glycine−NaOH緩衝液(pH10.0)100ulを添加して反応を停止させ、350nmの励起光での460nmの蛍光強度を測定した。酵素回収率は下記の計算式から算出した。
<酵素回収率の算出>
酵素回収率は、得られたベーターグルコシダーゼ活性の値から下記の計算式により算出した。

酵素回収率(%)=(上清の酵素量/一次併行糖化発酵槽で添加した酵素量)×100
[実施例2]
実施例1の[排水の循環]において、ライン7を流れる固形分濃度15質量%の懸濁液の容量10に対して容量3の排水をライン8からライン7に供給し混合させた。それ以外の操作は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の[排水の循環]において、ライン7を流れる固形分濃度15質量%の懸濁液の容量10に対して容量5の排水をライン8からライン7に供給し混合させた。それ以外の操作は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、排水を循環させない試験を比較例1とした。結果を表1に示す。
Figure 2015159755
アルカリ処理後の排水を固液分離後の残渣と混合して糖化発酵槽へ循環させた試験(実施例1〜3)では、排水を残渣と混合しない試験(比較例1)と比較し、糖化発酵槽から排出される懸濁液に含まれるエタノール濃度、及び酵素回収率が高かった。以上の結果からが原料(及び残渣)に吸着した酵素がアルカリ処理後の排水(無機塩類等含有)を添加することにより遊離された結果、エタノール生産性が向上したものと推測される。
[実施例4]
実施例1の[化学的処理]において、原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化カルシウム150gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、120℃で1時間加熱した。それ以外の操作は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例2の[化学的処理]において、原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化カルシウム150gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、120℃で1時間加熱した。それ以外の操作は全て実施例2と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例3の[化学的処理]において、原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化カルシウム150gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、120℃で1時間加熱した。それ以外の操作は全て実施例3と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
Figure 2015159755
アルカリ処理後の排水を固液分離後の残渣と混合して糖化発酵槽へ循環させた試験(実施例4〜6)では、排水を残渣と混合しない試験(比較例1)と比較し、糖化発酵槽から排出される懸濁液に含まれるエタノール濃度、及び酵素回収率が高かった。以上の結果からが原料(及び残渣)に吸着した酵素がアルカリ処理後の排水(無機塩類等含有)を添加することにより遊離された結果、エタノール生産性が向上したものと推測される。
[実施例7]
実施例1の[化学的処理]において、原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化ナトリウム200gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、120℃で1時間加熱した。それ以外の操作は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実施例8]
実施例2の[化学的処理]において、原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化ナトリウム200gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、120℃で1時間加熱した。それ以外の操作は全て実施例2と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実施例9]
実施例3の[化学的処理]において、原料1kg(絶乾重量)に対して水酸化ナトリウム200gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、120℃で1時間加熱した。それ以外の操作は全て実施例3と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
Figure 2015159755
アルカリ処理後の排水を固液分離後の残渣と混合して糖化発酵槽へさせた試験(実施例7〜9)では、排水を固液分離後の残渣と混合しない試験(比較例1)と比較し、糖化発酵槽から排出される懸濁液に含まれるエタノール濃度、及び酵素回収率が高かった。以上の結果からが原料(及び残渣)に吸着した酵素がアルカリ処理後の排水(無機塩類等含有)を添加することにより遊離された結果、エタノール生産性が向上したものと推測される。
[実施例10]
図2に示す製造フローで実施した。
[前処理]
実施例1と同様の方法で前処理を実施し、固液分離後の固形分を原料として糖化及び発酵を別々の工程で行った(糖化と発酵は別の培養槽で行った)。
[糖化]
糖化槽REに市販セルラーゼ溶液(マルティフェクトCX10、ジェネンコア社製)50L、原料100kg(乾燥重量)、及び水を添加し糖化槽RE内の原料懸濁液の最終容量を1mに調整した。前記原料懸濁液のpHを5.0に調整し30℃で糖化を開始した。原料懸濁液の糖化槽RE内での滞留時間(原料懸濁液が糖化槽REを通過する時間:糖化槽の容量/流速)を20時間に設定し糖化を行った。すなわち、糖化を開始した時点から、固形分濃度(乾燥重量当たり)が10質量%の原料懸濁液(原料を水に懸濁)を流速50L/hで糖化槽REの原料供給口4から連続的に添加した。一方、原料供給開始と同時に糖化槽REの排出口9より原料懸濁液を50L/hで排出し、発酵工程へ移送した。また、前記セルラーゼ溶液を2.5L/hで糖化槽REに連続的に添加した。尚、連続運転中に原料懸濁液の容量が減少した場合、自動的に水を添加することにより酵素処理液の最終容量を1mに維持した。酵素処理中の酵素処理液のpHを5.0に維持した。
[発酵]
予め、液体培地(グルコース30g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、pH5.6)50Lで、酵母Saccharomyces cerevisiae (市販酵母、商品名:商品名:Maurivin: Mauri Yeast Australia Pty Limited)を、30℃で24時間培養した。
発酵槽Fにポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/Lとなるように各々を添加後,水を添加し最終容量を0.8mに調整した。酵母菌体を含む培養液を発酵槽Fに添加し、次に水を添加し発酵槽Fの培地の最終容量を1mに調整後、24時間、30℃で培養した(培養液のpH5.0)。培養液中の酵母の密度が、1x10/mlに増殖した時点で、前記糖化工程で分離した液体分を発酵槽Fへ移送した。発酵槽F内での培養液の滞留時間(培養液が発酵槽Fを通過する時間:発酵槽Fの容量/流速)を20時間に設定し発酵を行った。すなわち、発酵を開始した時点から、培養液を流速50L/hで発酵槽Fの供給口から連続的に添加した。一方、培養液の供給開始と同時に発酵槽Fの排出口10より培養液を50L/hで排出し、固液分離装置Sへ移送した。また、前記セルラーゼ溶液を2.5L/hで糖化槽REに連続的に添加した。尚、連続運転中に培養液が減少した場合、自動的に培地を添加することにより培養液の最終容量を1mに維持した。培養中の培養液のpHを5.0に維持した。
[固液分離]
実施例1と同様の方法で実施した。
[排水の循環]
実施例1と同様の方法で実施した。
[エタノール濃度の測定]
実施例1と同様の方法で実施した。結果を表4に示す。
[酵素回収率の測定]
実施例1と同様の方法で実施した。結果を表4に示す。
[実施例11]
実施例10の[排水の循環]において、ライン7を流れる固形分濃度15質量%の懸濁液の容量10に対して容量3の排水をライン8からライン7に供給し混合させた。それ以外の操作は全て実施例10と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
[実施例12]
実施例10の[排水の循環]において、ライン7を流れる固形分濃度15質量%の懸濁液の容量10に対して容量5の排水をライン8からライン7に供給し混合させた。それ以外の操作は全て実施例10と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
[比較例2]
実施例10において、排水を循環させない試験を比較例2とした。結果を表4に示す。
Figure 2015159755
アルカリ処理後の排水を固液分離後の残渣と混合して糖化発酵槽へ循環させた試験(実施例10〜12)では、排水を残渣と混合しない試験(比較例2)と比較し、糖化発酵槽から排出される懸濁液に含まれるエタノール濃度、及び酵素回収率が高かった。以上の結果からが原料(及び残渣)に吸着した酵素がアルカリ処理後の排水(無機塩類等含有)を添加することにより遊離された結果、エタノール生産性が向上したものと推測される。
本発明により、アルカリ処理後の固液分離で分離された液体分(排水)を糖化発酵の原料及び残渣と混合することによりエタノール生産性を向上することが可能となる。

Claims (6)

  1. (1) リグノセルロース系原料にアルカリ処理を施す化学的処理工程、
    (2) 前記化学的処理を施したリグノセルロース原料を第一固液分離装置により固形分と液体分に分離する第一固液分離工程、
    (3) 前記第一固液分離工程で分離された固形分に酵素及び発酵微生物を同時に作用させて糖化及び発酵を併行して行う併行糖化発酵工程、又は
    前記第一固液分離工程で分離された固形分を酵素で糖化する酵素糖化工程、及び前記糖化工程から排出された処理液に発酵微生物を作用させて発酵を行う発酵工程、並びに
    (4) 前記併行糖化発酵工程又は前記発酵工程から排出された処理懸濁液を第二固液分離装置で固形分と液体分に分離する第二固液分離工程
    を含み、前記第二固液分離工程で分離された固形分を前記併行糖化発酵工程又は前記糖化工程へ循環させるリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法において、
    前記第一固液分離工程で分離された液体分の少なくとも一部を前記第二固液分離工程で分離された固形分と混合して前記併行糖化発酵工程又は前記糖化工程へ循環させることを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
  2. 前記アルカリ処理が、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して5〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%の水酸化ナトリウムを添加し、加熱する処理であることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
  3. 前記化学的処理の前に破砕処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
  4. 前記化学的処理の後に磨砕処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
  5. 工程(3)が、併行糖化発酵工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
  6. 工程(3)が、糖化工程及び発酵工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
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