JP5910367B2 - リグノセルロース含有バイオマスからのエタノール製造方法 - Google Patents

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本発明は、リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノール製造する方法において、製造工程内で分離した残渣(未分解繊維)に吸着している酵素を回収し長期間にわたり循環利用することを可能とするリグノセルロース系バイオマスからのエタノール製造方法に関する。
糖化に適した処理を施したリグノセルロース原料から糖を製造する技術は、この糖を微生物の発酵基質として用いることによりガソリンの代替燃料となるアルコールや、プラスチック原料となるコハク酸や乳酸などの化成品原料を製造することができることから、循環型社会の形成に有益な技術である。
植物系バイオマスに含まれる多糖類から発酵基質となる単糖や小糖類を製造する方法として酵素やその酵素を生産する微生物を用いて加水分解する酵素糖化法がある。リグニンを除去していないリグノセルロース材料は、リグニンを除去したリグノセルロース材料と比べて酵素によって分解されにくく、糖化されずに樹脂、金属などの不純物と一緒に糖化液中に残渣として残る。糖化に用いる酵素が残渣に吸着すると糖化効率が低下するため好ましくない。もし、残渣に吸着した酵素を効率良く回収し、再利用することができれば酵素コストが低減しエタノール生産効率の向上につながる。
酵素の回収率の改善を目的として界面活性剤を添加して処理する方法(特許文献1)が報告されている。また、残渣への酵素の吸着機能は、pHを5〜7に高めることで低減可能な場合があること、温度を5℃に下げることで低減できる報告もあることが記載されている(非特許文献1)。しかし、前記方法では、酵素の回収率が不十分であったり、薬品添加による酵素の失活や、処理工程付加に伴うコストアップ及び後の発酵段階における微生物への悪影響などが懸念される。また、pHを一定の範囲に維持したり、温度を低温で行う方法では培養条件を変更する必要性が生じ、最適な製造条件により製造が実施できなくなる等のデメリットがある。
従って、エタノール製造工程の製造条件に影響を与えず、簡易な方法で酵素が吸着した残渣から酵素を効率的に回収する方法の開発が望まれている。
特開昭63−87994号公報 Scott,C.D.,Rothrock,D.S.,Appl.Biochem.Biotechnol.,45/46,pp.641−653(1994)
本発明の課題は、リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノールを製造する方法において、製造工程内で分離した残渣(未分解繊維)に吸着している酵素を効率的に回収し長期間にわたり製造工程内を循環利用する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、リグノセルロース原料からエタノールを製造する方法において、製造工程内で分離された残渣に水溶性塩類を含む水溶液を添加し電気伝導度を5〜30mS/cmに調製することにより残渣に吸着している酵素を容易に遊離できることを見出した。また、前記懸濁液を固液分離することにより、残渣を除去した後の液体留分を含有する液体留分を酵素糖化あるいは併行糖化発酵で用いる酵素含有液として循環することにより効率的にエタノールを製造できることを見出し、下記発明を完成した。
(1)リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化によって生成する糖類を基質とする微生物を用いた発酵を同時に行う一次併行糖化発酵工程、一次併行糖化発酵工程から排出された処理懸濁液を残渣と液体留分に分離する固液分離工程、固液分離工程で分離された液体留分を減圧蒸留により発酵生成物と発酵生成物を除去した濃縮液に分離する蒸留工程、蒸留工程で分離した発酵生成物を除去した濃縮液を一次残渣分離装置により酵素含有液として回収される液体留分と残渣に分離する一次残渣分離工程、一次残渣分離工程で分離された残渣に酢酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムからなる水溶性塩類を含む水溶液を添加し残渣を含む懸濁液の電気伝導度を5〜30mS/cmに調整することにより残渣から酵素を遊離させる酵素回収工程、酵素回収工程で酵素を遊離させた後の残渣を含む懸濁液を二次残渣分離装置により液体留分と残渣に分離する二次残渣分離工程、二次残渣分離工程で残渣を除去した後の液体留分を一次併行糖化発酵工程で用いる酵素含有液として循環する工程、を有することを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノールの製造方法。
(2)前記一次併行糖化発酵工程に加えて、リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化によって生成する糖類を基質とする微生物を用いた発酵を同時に行う二次併行糖化発酵工程を有しており、前記二次残渣分離工程で残渣から分離された前記液体留分を前記一次併行糖化発酵工程へ循環せず、二次併行糖化発酵工程で用いる酵素含有液として供給し、二次併行糖化発酵工程から排出される処理液から追加の発酵生成物を回収することを特徴とする(1)項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノールの製造方法。
(3)リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化工程、酵素糖化工程から排出された酵素糖化処理液を固液分離により残渣と液体留分に分離する固液分離工程、固液分離工程で分離された液体留分を糖類を発酵基質とする微生物を用いた発酵を行う発酵工程、発酵工程で得られた培養液を減圧蒸留により発酵生成物と発酵生成物を除去した濃縮液に分離する蒸留工程、蒸留工程で分離した発酵生成物を除去した濃縮液を一次残渣分離装置により酵素含有液として回収される液体留分と残渣に分離する一次残渣分離工程、一次残渣分離工程で分離された残渣に酢酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムからなる水溶性塩類を添加して残渣を含む懸濁液の電気伝導度を5〜30mS/cmに調整することにより残渣から酵素を遊離させる酵素回収工程、酵素回収工程で酵素を遊離させたのちの残渣を含む懸濁液を二次残渣分離装置により液体留分と残渣に分離する二次残渣分離工程、二次残渣分離工程で残渣を除去した後の液体留分を前記酵素糖化工程で用いる酵素含有液として循環する工程、を有することを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
(4)前記リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化工程、酵素糖化工程から排出された酵素糖化処理液を固液分離により残渣と液体留分に分離する固液分離工程、固液分離工程で分離された液体留分を糖類を発酵基質とする微生物を用いた発酵を行う発酵工程からなる工程の他に、リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化によって生成する糖類を基質とする微生物を用いた発酵を同時に行う併行糖化発酵工程を有しており、前記二次残渣分離工程で残渣を除去した後の液体留分を前記酵素糖化工程へ循環せず、併行糖化発酵工程で用いる酵素含有液として供給し、併行糖化発酵工程から排出される処理液から追加の発酵生成物を回収することを特徴とする(3)項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノールの製造方法。
本発明により、製造工程内で分離された残渣に吸着している酵素を残渣から容易に遊離させ、残渣を除去した後の液体留分を酵素含有液として糖化工程又は併行糖化発酵工程に循環させてることにより、酵素コストが低減でき、エタノール生産性が向上することが可能となる。
本発明のリグノセルロースからのエタノールの製造方法を実施するための装置を示す図である。 本発明のリグノセルロースからのエタノールの製造方法を実施するための装置を示す図である。 本発明のリグノセルロースからのエタノールの製造方法を実施するための装置を示す図である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
<リグノセルロース系原料>
本発明の方法で原料として使用するリグノセルロース系原料としては、木質系として、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系としてケナフ、稲藁、麦わら、バガスなどの農産廃棄物、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。なお、本発明におけるリグノセルロース系原料としては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ等も利用可能である。
前記木質系のリグノセルロース系原料の中でも、林地残材(樹皮、枝葉を含む)、樹皮が好ましい。例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
<機械的処理>
本発明では、前記リグノセルロース原料に機械的処理を施すことができる。機械的処理としては、破砕、裁断、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の化学的処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー等を用いることができる。
前記機械的処理の前工程又は後工程として、異物(石、ゴミ、金属、プラステック等のリグノセルロース以外の異物)を除去するための洗浄などによる異物除去工程を導入することもできる。
原料を洗浄する方法としては、例えば、原料に水を噴射して原料に混合されている異物を除く方法、あるいは、原料を水中に浸漬し異物を沈降させて取り除く方法等が挙げられる。また、メタルトラップ等の装置を用いて、異物を原料から分離する方法が挙げられる。
原料に異物が含まれていると、リファイナーのディスク(プレート)等の機械的処理で用いる装置の部品を破損させる可能性があるし、配管が詰まる等の製造工程内でトラブルを起こす等の問題が発生するため、異物除去工程を導入することが望ましい。
<化学的処理>
前記、機械的処理を施したリグノセルロース原料を次に化学的処理する。化学的処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品、又は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
化学的処理は、前記機械的処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが好適である。
化学的処理で使用する薬品の添加量は、状況に応じて任意に調整可能であるが、薬品コスト低下の面から、またセルロースの溶出・過分解による収率低下防止の面から、リグノセルロース系原料の絶乾100質量部に対して50質量部以下であることが望ましい。化学的処理における薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によって任意に設定可能であるが、処理時間20〜90分、処理温度80〜200℃が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理時間は70分以下、処理温度は180℃以下であることが好ましい。
化学処理として、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加することもできる。リグノセルロースに亜硫酸ナトリウムを前記の添加量で単独で添加して加熱処理すると、加水分解中に酢酸等の有機酸が生成するためpHの低下が起こり加水分解液が酸性となる。加水分解液が酸性の条件下で加水分解を継続すると加水分解で生成されたキシロースがフルフラールに変換するという問題が発生する。フルフラールは、エタノール発酵の阻害物質となるため可能な限り生成させないことが望ましい。また、発酵基質であるキシロースの収率が低下するため結果としてエタノール生産効率が低下する。本発明では、リグノセルロース原料に前記の添加量で亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤としてアルカリを添加して加熱処理することにより、加水分解中のpHが中性〜弱アルカリ性に維持されるため、フルフラールの生成及びキシロースの収率低下を抑制することができる。また、加熱処理後(加水分解後)のリグノセルロースを含む水溶液のpHが4.0〜7.0(中性〜弱アルカリ性)となるため、加水分解処理後の廃液あるいは加水分解物を中和するための薬品の使用量を低減できるというメリットがある。
前記pH調整剤として用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの薬品に特に限定されない。
前記、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜50質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜5質量%のアルカリを添加して加熱処理を行う場合の加熱処理温度は、80〜200℃が好ましく、120〜180℃がさらに好ましい。また、加熱処理時間は、10〜300分で行うことができるが、30〜120分が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理温度は、180℃以下、処理時間は120分以下であることが好ましい。
(磨砕処理)
本発明では、前記化学処理により得られたリグノセルロース原料をレファイナーのディスク(プレート)のクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲で磨砕することが好ましく、0.1〜1.0mmの範囲がさらに好ましい。使用するレファイナーとしては、シングルディスクレファイナー、ダブルディスクレファイナー等を使用することができ相対するディスクのクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲に設定できるレファイナーであれば特に制限なく使用することができる。ディスクのクリアランスが2.0mmを超えると糖化または併行糖化発酵で得られる糖収率が添加するため好ましくない。一方、ディスクのクリアランスが0.1mmより低いとレファイナーで磨砕処理した後の加水分解物(固形分)の収率が低下するため好ましくない。また、ディスクのクリアランスが0.1mmより低いとレファイナーの運転に要する電気消費量が増大するため好ましくない。
レファイナーのディスク(プレート)の材質、ディスクの型、ディスク面の刃の型、ディスク面に対する刃の方向等のディスクの形状については効果が得られる材質、形状であれば、特に制限なく使用することができる。
前記の磨砕処理が施されているリグノセルロース系原料を水溶液と固形分に固液分離し、固形分を糖化または併行糖化発酵の原料として用いる。固液分離する方法としては、例えば、スクリュープレス等を用いて水溶液と固形分に分離することができ、水溶液と固形分に分離することができる装置であれば制限なく使用することができる。
前記の固形分離後の原料を用いて糖化または併行糖化発酵を行う前に殺菌処理を行うことが好ましい。リグノセルロース系バイオマス原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
前記前処理が施されているリグノセルロース原料が、糖化工程又は一次併行糖化発酵工程へ供給される。
<糖化工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、糖化工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素(セルラーゼ、ヘミセルラーゼ)により糖化(セルロース→グルコース、ヘミセルロース→グルコース、キシロース)される。
<一次併行糖化発酵工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、さらに酵母等の微生物と混合されて併行糖化発酵工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素により糖化され、生成された糖類が発酵微生物(酵母など)によりエタノールに発酵される。
糖化工程又は併行糖化発酵工程で用いるリグノセルロース系原料の懸濁濃度は、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
糖化工程又は併行糖化発酵で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス(Trametes)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
糖化工程又は併行糖化発酵工程での反応液のpHは3.5〜10.0の範囲に維持することが好ましく、4.0〜7.5の範囲に維持することがより好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程での反応液の温度は、酵素の至適温度の範囲内であれば特に制限はなく、25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。反応は、連続式が好ましいが、セミバッチ式、バッチ式でも良い。反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
併行糖化発酵工程では、糖類(六炭糖、五炭糖)が発酵できる発酵微生物を用いる。発酵微生物としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、キャンディダ・シハタエ(Candida shihatae)、パチソレン・タノフィルス(Pachysolen tannophilus)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)等の酵母やザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等の細菌が挙げられる。また、遺伝子組換技術を用いて作製した遺伝子組換微生物(酵母、細菌等)を用いることもできる。遺伝子組換微生物としては、六炭糖と五炭糖を同時に発酵できる微生物を特に制限なく用いることができる。
微生物は固定化しておいても良い。微生物を固定化しておくと、次工程で微生物を分離して再回収する工程を省くことができるため、少なくとも回収工程に要する負担を軽減することができ、微生物のロスが軽減できるというメリットがある。また、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
<固液分離工程>
糖化工程又は併行糖化発酵工程から排出された培養液は、固液分離装置へ移送し液体分(濾液)と固形分(残渣)に分離することができる。固液分離を行う装置としては、スクリュープレス、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いることができる。
回収された固形分(残渣)は糖化工程又は併行糖化発酵工程へ移送し糖化又は糖化発酵の原料として用いることもできる。
<発酵工程>
糖化工程と発酵工程を別の反応槽で行う場合は、前記固液分離工程で分離された液体分(濾液)は、発酵工程へ移送し発酵微生物を用いて発酵を行う。発酵微生物としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、キャンディダ・シハタエ(Candida shihatae)、パチソレン・タノフィルス(Pachysolen tannophilus)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)等の酵母やザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等の細菌、等が挙げられる。また、遺伝子組換技術を用いて作製した遺伝子組換微生物(酵母、細菌等)を用いることもできる。遺伝子組換微生物としては、六炭糖と五炭糖を同時に発酵できる微生物を特に制限なく用いることができる。
微生物は固定化しておいても良い。微生物を固定化しておくと、次工程で微生物を分離して再回収するという工程を省くことができるため、少なくとも回収工程に要する負担を軽減することができ、微生物をロスが軽減できるというメリットがある。また、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
前記発酵工程で発酵処理された処理液、又は併行糖化発酵工程で処理された処理液(固液分離工程を行った場合は、固液分離工程で分離された液体分)は、蒸留工程へ移送し減圧蒸留装置により発酵生成物(エタノール等)を蒸留分離することができる。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪くなる。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度にすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
<一次残渣分離工程>
図1及び図2に示す製造工程では、蒸留後の発酵生成物(エタノール等)を分離した後の蒸留残液は、一次残渣分離工程へ移送され、一次残渣分離装置C1で液体留分と残渣に分離される。一次残渣分離装置C1で分離された液体留分はライン7(及び培養液保管タンクT)を経由して一次併行糖化発酵槽BR1に循環される。また、図3に示す製造工程では、一次残渣分離工程(残渣分離装置C1)で分離された液体留分はライン3を経由して二次併行糖化発酵槽BR2(前記、一次併行糖化発酵工程とは異なる併行糖化発酵工程)へ移送される。二次併行糖化発酵工程では、新しいリグノセルロース原料を添加して糖化発酵させることもできるし、キシロース等の五炭糖の発酵を目的とした発酵を行うこともできる。
一次残渣分離工程で分離された液体留分には酵素が含まれており、糖化工程、一次併行糖化発酵工程又は二次併行糖化発酵工程へ循環し酵素含有液として再利用することができる。一方、一次残渣分離工程で分離された残渣には、酵素、リグニン、発酵微生物が含まれている。リグニンは、燃焼原料として回収しエネルギーとして利用することもできるし、リグニンを回収し有効利用することもできる。また、発酵微生物(酵母など)を残渣から分離して、糖化又は併行糖化発酵工程で再利用することもできる。
本発明では、一次残渣分離工程で分離された残渣を酵素回収工程へ移送する。
<酵素回収工程>
酵素回収工程へ移送された残渣は、酵素回収タンクETに供給されて水が添加される。この残渣懸濁液に水溶性塩類を添加し、残渣懸濁液の電気伝導度が最終的に5〜30ms/cmの範囲になるように調製することが好ましく、5〜25ms/cmの範囲になるように調製することがさらに好ましい。水溶性塩類を添加してから残渣懸濁液を攪拌あるいは静置することができるが、酵素回収率を上げるために攪拌することが望ましい。残渣懸濁液に水溶性塩類を添加してからの処理時間は、5〜180分が好ましく、10〜60分がさらに好ましい。電気伝導度を5〜30mS/cmの範囲に維持することによりリグノセルロース原料に吸着している酵素が残渣から遊離される。前記水溶性塩類で処理した後の残渣懸濁液は、二次残渣分離工程へ移送される。
酵素回収工程で用いる水溶性塩類としては、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、等の水溶性塩類が挙げられる。
本発明では、一次残渣分離工程の前のラインで予め水溶性塩類を添加することもできる。例えば、前記固液分離工程で用いる固液分離装置に水溶性塩類を含む水溶液を供給して固液分離することもできるし、固液分離工程の前に洗浄装置(洗浄ドレーナー等)を導入し、前記洗浄装置で用いる洗浄水として水溶性塩類を含む水溶液を用いることもできる。前記洗浄装置を導入した場合、洗浄に使用した後の排水(水溶性塩類を含む水溶液)を工程内で再利用することもできる。
<二次残渣分離工程>
前記酵素回収工程で水溶性塩類で処理した後の残渣懸濁液は、二次残渣分離工程へ移送され二次残渣分離装置C2により残渣と液体留分に分離される。図1及び図2に示す製造工程では、酵素を含む液体留分はライン8(及び培養液保管タンクT)を経由して一次併行糖化発酵槽BR1へ移送することができる。図3に示す製造工程では、二次残渣分離工程(二次残渣分離装置C2)で分離された液体留分はライン8aを経由して二次併行糖化発酵槽BR2(前記、一次併行糖化発酵工程とは異なる併行糖化発酵工程)へ移送される。二次併行糖化発酵工程では、新しいリグノセルロース原料を添加して糖化発酵させることもできるし、キシロース等の五炭糖の発酵を目的とした発酵を行うこともできる。
酵素を含む液体留分(濾液)を連続的に工程内を循環することにより工程内の酵素活性を長期にわたって高い水準に維持することができる。
一次残渣分離工程、又は二次残渣分離工程で用いる残渣分離装置(一次残渣分離装置、二次残渣分離装置)としては、遠心分離機、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス、スクリーン等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いることができる。
二次残渣分離工程で分離された酵素を含む液体留分を一次併行糖化発酵槽BR1へ移送する前に濾液を一時的に保管するための培養液保管タンクTに保管しても良い。また、図3に示す装置のように二次併行糖化発酵槽BR2により二次併行糖化発酵を行う場合においても、二次併行糖化発酵後の培養液をライン4を経由して一次併行糖化発酵槽BR1へ移送する前に培養液を一時的に保管するための培養液保管タンクTに保管しても良い。
二次併行糖化発酵を行う場合、二次発酵で生成された発酵生成物を回収するために、二次併行糖化発酵工程の後に蒸留工程を設置しても良い。また、二次併行糖化発酵槽から排出された培養液に含まれる残渣を除去するために、二次併行糖化発酵工程の後に固液分離を行って残渣を除去することもできる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
[実験例1]
[前処理]
チップ状のユーカリ・グロブラスの林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを添加後、水を添加し水溶液の容量を8Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、170℃で1時間加熱した。加熱処理後の原料懸濁液をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)でディスク(プレート)のクリアランスを1.0mmし磨砕した。次に20メッシュ(847μm)のスクリーンを用いて磨砕処理後の原料懸濁液を固液分離(脱水)することにより溶液の電気伝導度が30μS/cmになるまで水で洗浄した。固液分離後の固形分を原料として併行糖化発酵を行った。
図1に示す製造フローで実施した。
[一次併行糖化発酵]
予め、液体培地(グルコース30g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、pH5.6)50Lで酵母としてSaccharomyces cerevisiae (市販酵母、商品名:商品名:Maurivin: Mauri Yeast Australia Pty Limited)を30℃で24時間培養した。
図1に示す糖化発酵槽BR1にポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/Lとなるように各々を添加後,水を添加し最終容量を0.8mに調整した。酵母菌体を含む培養液を糖化発酵槽BR1に添加し24時間培養した。酵母の密度が、1x10/mlに増殖した時点で、市販セルラーゼ溶液(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)50L、及び原料100kg(乾燥重量)を糖化発酵槽BR1に添加した。次に、糖化発酵槽BR1に水を添加し培養液の最終容量を1mに調製した。培養液のpHを5.0に調整し30℃で一次併行糖化発酵を開始した。糖化発酵槽BR1内での培養液の滞留時間(原料懸濁液が糖化発酵槽BR1を通過する時間:糖化発酵槽BR1の容量/流速)を20時間に設定し糖化発酵行った。すなわち、糖化発酵を開始した時点から、固形分濃度(乾燥重量当たり)が10質量%の原料懸濁液(原料を水に懸濁)を流速50L/hで糖化発酵槽BR1の原料供給口1から連続的に添加した。一方、原料供給開始と同時に糖化発酵槽BR1の培養液排出口2より原料懸濁液を50L/hで排出し、固液分離工程へ移送した。また、前記セルラーゼ溶液を2.5L/hで培養槽Aに連続的に添加した。尚、連続運転中に培養液が減少した場合、自動的に培地を添加することにより培養液の最終容量を1mに維持した。培養中の培養液のpHを5.0に維持した。
[固液分離]
前記一次併行糖化発酵工程から排出された原料懸濁液を、スクリュープレス(富国工業株式会社製SHX−200 x 1500L、スクリーンサイズ1.2mm)で固液分離して固形分(残渣)と液体分(濾液)を分離した。
[エタノール蒸留]
前記固液分離で分離した液体分を減圧蒸留装置EV(エバポールCEP−1、大川原製作所)で蒸留温度:40℃、加熱温度:80℃、供給液量:95L/hの条件でエタノールを含む水溶液と濃縮液に分離した。
[一次残渣分離]
減圧蒸留装置EVから分離された濃縮液をデカンタ式遠心機(IHI製、HS−204L形)で回転数4500rpm、差速5.0rpmで運転し、固形分(残渣)と液体分(濾液)に分離した。液体分はライン7を経由して培養液保管タンクTへ移送した。一方、残渣を酵素回収タンクETへ移送した。
[酵素回収]
酵素回収タンクET内で残渣の固形分濃度が10質量%になるように水を添加し、残渣を水に懸濁させた。次に残渣懸濁液を攪拌しながら酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)を添加し、残渣懸濁液の電気伝導度が5.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度67mM)。残渣懸濁液を60分間放置し、二次残渣分離工程へ移送した。
[二次残渣分離]
酵素回収タンクから移送された残渣懸濁液をデカンタ式遠心機(IHI製、HS−204L形)で回転数4500rpm、差速5.0rpm で運転し、固形分(残渣)と液体分(濾液)に分離した。液体分はライン8を経由して培養液保管タンクTへ移送した。培養液保管タンクTに蓄積された液体分を一次併行糖化発酵槽BR1へ循環した。
<酵素回収率の測定>
二次残渣分離装置(デカンタ式遠心機C2)で分離した液体分の一部を採取し液体分に含まれる酵素活性(β−グルコシダーゼ活性)を測定した。
β−グルコシダーゼ活性の測定は、1.25mM 4−Methyl−umberiferyl−glucosideを含む125mM酢酸緩衝液(pH5.0)16μlに、酵素液4μl加え、37℃、10分間反応を行った後、500mM glycine−NaOH緩衝液(pH10.0)100μlを添加して反応を停止させ、350nmの励起光での460nmの蛍光強度を測定することで行った。酵素回収率は下記の計算式から算出した。
酵素回収率(%)=(残渣から回収した酵素量/一次併行糖化発酵槽で添加した酵素量) ×100
結果を表1に示す。
[実験例2]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が10.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度129mM)以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例3]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が15.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度198mM)以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例4]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が20.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度254mM)以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例5]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が25.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度318mM)以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例6]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が30.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度369mM)以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
[実験例7]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加しない実験を実施した。残渣懸濁液の電気伝導度は0.2mS/cmであった。結果を表1に示す。
Figure 0005910367
表1に示すように、残渣懸濁液の酢酸ナトリウムで電気伝導度を5〜30mS/cmに調製した試験(実験例1〜6)では、酢酸ナトリウムを添加しない試験(実験例7)と比較し酵素回収率が顕著に高かった。以上の結果からエタノール製造工程で分離された残渣を含む水溶液に酢酸ナトリウムを添加し電気伝導度を5〜30mS/cmに調製することにより残渣に吸着している酵素を容易に回収することができることが判明した。回収した酵素を工程内で循環させることにより糖化発酵工程で再利用できる。
[実験例8]
図2に示す製造フローで実施した。
[前処理]
実験例1と同様の方法で前処理を実施し、固液分離後の固形分を原料として糖化及び発酵を別々の工程で行った(糖化と発酵は別の培養槽で行った)。
[糖化]
糖化槽REに市販セルラーゼ溶液(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)50L、原料100kg(乾燥重量)、及び水を添加し糖化槽RE内の原料懸濁液の最終容量を1mに調整した。前記原料懸濁液のpHを5.0に調整し30℃で糖化を開始した。原料懸濁液の糖化槽RE内での滞留時間(原料懸濁液が糖化槽REを通過する時間:糖化槽の容量/流速)を20時間に設定し糖化を行った。すなわち、糖化を開始した時点から、固形分濃度(乾燥重量当たり)が10質量%の原料懸濁液(原料を水に懸濁)を流速50L/hで糖化槽REの原料供給口1から連続的に添加した。一方、原料供給開始と同時に糖化槽REの排出口2より原料懸濁液を50L/hで排出し、発酵工程へ移送した。また、前記セルラーゼ溶液を2.5L/hで培養槽Aに連続的に添加した。尚、連続運転中に原料懸濁液の容量が減少した場合、自動的に水を添加することにより酵素処理液の最終容量を1mに維持した。酵素処理中の酵素処理液のpHを5.0に維持した。
[発酵]
予め、液体培地(グルコース30g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、pH5.6)50Lで酵母としてSaccharomyces cerevisiae (市販酵母、商品名:商品名:Maurivin: Mauri Yeast Australia Pty Limited)を30℃で24時間培養した。
発酵槽Fにポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/Lとなるように各々を添加後,水を添加し最終容量を0.8mに調整した。酵母菌体を含む培養液を発酵槽Fに添加し、次に水を添加し発酵槽Fの培地の最終容量を1mに調整後、24時間、30℃で培養した(培養液のpH5.0)。培養液中の酵母の密度が、1x10/mlに増殖した時点で、前記糖化工程で分離した液体分を発酵槽Fへ移送した。発酵槽F内での培養液の滞留時間(培養液が発酵槽Fを通過する時間:発酵槽Fの容量/流速)を20時間に設定し発酵を行った。すなわち、発酵を開始した時点から、培養液を流速50L/hで発酵槽Fの供給口9から連続的に添加した。一方、培養液の供給開始と同時に発酵槽Fの排出口10より培養液を50L/hで排出しエタノール蒸留工程へ移送した。尚、連続運転中に発酵槽F内の培養液の容量が減少した場合、自動的に培地を添加することにより培養液の最終容量を1mに維持した。培養中の培養液のpHを5.0に維持した。
[固液分離]
前記発酵工程から排出された原料懸濁液を、スクリュープレス(富国工業株式会社製SHX−200 x 1500L、スクリーンサイズ1.2mm)で固液分離して固形分(残渣)と液体分(濾液)を分離した。
[エタノール蒸留]
固液分離工程で分離した液体分を実験例1と同様の方法でエタノールを含む水溶液と濃縮液に分離した。
[一次残渣分離]
実験例1と同様の方法で実施した。
[酵素回収]
実験例1と同様の方法で試験した。すなわち、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が5.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度67mM)。
[二次残渣分離]
実験例1と同様の方法で実施した。
<酵素回収率の測定>
実験例1と同様の方法で実施した。
結果を表2に示す。
[実験例9]
実験例8において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が10.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度129mM)以外は全て実験例8と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実験例10]
実験例8において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が15.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度198mM)以外は全て実験例8と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実験例11]
実験例8において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が20.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度254mM)以外は全て実験例8と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実験例12]
実験例8において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が25.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度318mM)以外は全て実験例8と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実験例13]
実験例8において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が30.0mS/cmとなるように調製した(酢酸ナトリウム:最終濃度369mM)以外は全て実験例8と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
[実験例14]
実験例8において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムを添加しない実験を実施した。残渣懸濁液の電気伝導度は0.2mS/cmであった。結果を表2に示す。
Figure 0005910367
表2に示すように、糖化と発酵を別の反応槽で行った試験においても残渣懸濁液の電気伝導度を酢酸ナトリウムで5〜30mS/cmに調製した試験(実験例8〜13)では、酢酸ナトリウムを添加しない試験(実験例14)と比較し酵素回収率が顕著に高かった。以上の結果からエタノール製造工程で分離された残渣を含む水溶液に酢酸ナトリウムを添加し電気伝導度を5〜30mS/cmに調製することにより残渣に吸着している酵素を容易に回収することができる。また、回収した酵素を工程内で循環させることにより糖化工程で再利用できる。
[実験例15]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムの代替として塩化ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が5.0mS/cmとなるように調製した(塩化ナトリウム:最終濃度41.6mM)。それ以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実験例16]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムの代替として塩化ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が10.0mS/cmとなるように調製した(塩化ナトリウム:最終濃度83.6mM)。それ以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実験例17]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムの代替として塩化ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が15.0mS/cmとなるように調製した(塩化ナトリウム:最終濃度124.8mM)。それ以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実験例18]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムの代替として塩化ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が20.0mS/cmとなるように調製した(塩化ナトリウム:最終濃度164.6mM)。それ以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実験例19]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムの代替として塩化ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が25.0mS/cmとなるように調製した(塩化ナトリウム:最終濃度207.4mM)。それ以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実験例20]
実験例1において、酵素回収タンクで酢酸ナトリウムの代替として塩化ナトリウムを添加することにより残渣懸濁液の電気伝導度が30.0mS/cmとなるように調製した(塩化ナトリウム:最終濃度251.2mM)。それ以外は全て実験例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
[実験例21]
実験例1において、酵素回収タンクで塩化ナトリウムを添加しない実験を実施した。残渣懸濁液の電気伝導度は0.2mS/cmであった。結果を表3に示す。
Figure 0005910367
表3に示すように、残渣懸濁液の電気伝導度を塩化ナトリウムで5〜30mS/cmに調製した試験(実験例15〜20)では、塩化ナトリウムを添加しない試験(実験例21)と比較し酵素回収率が顕著に高かった。以上の結果からエタノール製造工程で分離された残渣を含む水溶液に塩化ナトリウムを添加し電気伝導度を5〜30mS/cmに調製することにより残渣に吸着している酵素を容易に回収することができることが判明した。
本発明により、エタノール製造工程で分離された残渣に吸着している酵素を容易に回収することができるため酵素コストが低減でき、エタノール生産効率が向上する。
1:原料供給口
2:一次併行糖化発酵槽排出口
3:二次併行糖化発酵槽供給口
4:二次併行糖化発酵槽排出口
5:残渣移送ライン
6:水溶液塩類処理液移送ライン
7:一次残渣分離後液体留分移送ライン
8:二次残渣分離後液体留分移送ライン
8a:二次残渣分離後液体留分移送ライン
9:固形分移送ライン
10:発酵槽排出口
BR1:一次併行糖化発酵槽
BR2:二次併行糖化発酵槽
RE:糖化槽
F:発酵槽
S:固液分離装置
EV:減圧蒸留装置
C1:一次残渣分離装置
C2:二次残渣分離装置
ET:酵素回収タンク
T:培養液保管タンク

Claims (4)

  1. リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化によって生成する糖類を基質とする微生物を用いた発酵を同時に行う一次併行糖化発酵工程、一次併行糖化発酵工程から排出された処理懸濁液を残渣と液体留分に分離する固液分離工程、固液分離工程で分離された液体留分を減圧蒸留により発酵生成物と発酵生成物を除去した濃縮液に分離する蒸留工程、蒸留工程で分離した発酵生成物を除去した濃縮液を一次残渣分離装置により酵素含有液として回収される液体留分と残渣に分離する一次残渣分離工程、一次残渣分離工程で分離された残渣に酢酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムからなる水溶性塩類を含む水溶液を添加し残渣を含む懸濁液の電気伝導度を5〜30mS/cmに調整することにより残渣から酵素を遊離させる酵素回収工程、酵素回収工程で酵素を遊離させた後の残渣を含む懸濁液を二次残渣分離装置により液体留分と残渣に分離する二次残渣分離工程、二次残渣分離工程で残渣を除去した後の液体留分を一次併行糖化発酵工程で用いる酵素含有液として循環する工程、を有することを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノールの製造方法。
  2. 前記一次併行糖化発酵工程に加えて、リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化によって生成する糖類を基質とする微生物を用いた発酵を同時に行う二次併行糖化発酵工程を有しており、前記二次残渣分離工程で残渣から分離された前記液体留分を前記一次併行糖化発酵工程へ循環せず、二次併行糖化発酵工程で用いる酵素含有液として供給し、二次併行糖化発酵工程から排出される処理液から追加の発酵生成物を回収することを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース系原料からのエタノールの製造方法。
  3. リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化工程、酵素糖化工程から排出された酵素糖化処理液を固液分離により残渣と液体留分に分離する固液分離工程、固液分離工程で分離された液体留分を糖類を発酵基質とする微生物を用いた発酵を行う発酵工程、発酵工程で得られた培養液を減圧蒸留により発酵生成物と発酵生成物を除去した濃縮液に分離する蒸留工程、蒸留工程で分離した発酵生成物を除去した濃縮液を一次残渣分離装置により酵素含有液として回収される液体留分と残渣に分離する一次残渣分離工程、一次残渣分離工程で分離された残渣に酢酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムからなる水溶性塩類を添加して残渣を含む懸濁液の電気伝導度を5〜30mS/cmに調整することにより残渣から酵素を遊離させる酵素回収工程、酵素回収工程で酵素を遊離させたのちの残渣を含む懸濁液を二次残渣分離装置により液体留分と残渣に分離する二次残渣分離工程、二次残渣分離工程で残渣を除去した後の液体留分を前記酵素糖化工程で用いる酵素含有液として循環する工程、を有することを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
  4. 前記リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化工程、酵素糖化工程から排出された酵素糖化処理液を固液分離により残渣と液体留分に分離する固液分離工程、固液分離工程で分離された液体留分を糖類を発酵基質とする微生物を用いた発酵を行う発酵工程からなる工程の他に、リグノセルロース系原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化によって生成する糖類を基質とする微生物を用いた発酵を同時に行う併行糖化発酵工程を有しており、前記二次残渣分離工程で残渣を除去した後の液体留分を前記酵素糖化工程へ循環せず、併行糖化発酵工程で用いる酵素含有液として供給し、併行糖化発酵工程から排出される処理液から追加の発酵生成物を回収することを特徴とする請求項3に記載のリグノセルロース系原料からのエタノールの製造方法。
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