JP4619831B2 - リグノセルロースの前処理方法 - Google Patents

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本発明はリグノセルロースの前処理方法に関する。
近年再生可能資源であるバガスや稲わら、木材チップなどの天然系の資源からエタノールを製造し、エネルギーや化学原料として利用する試みが内外で進められている。原料としては種々のバイオマスが使用されるが、将来的に有用な資源として木質バイオマスのようなリグノセルロースが注目されている。リグノセルロースは、植物の茎葉等の主成分であり、主にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成されている。セルロースは、木材の50%程度の含有量であり、グルコースが直鎖状に結合した比較的安定な高分子である。ヘミセルロースは、木材の20〜30%程度の含有量であり、結合がセルロースのように規則的でなく、加水分解しやすい。リグニンは、木材の20〜30%程度の含有量であり、主にベンゼン核を有する不定形の高分子である。
木質バイオマスのようなリグノセルロースからエタノールを製造するには、まず酸やアルカリでヘミセルロースを加水分解し、ヘミセルロース由来の糖液を得る。ヘミセルロースを構成する糖は、主にキシロース、アラビノースといった五炭糖と、グルコース、ガラクトース、マンノースといった六炭糖であり、これらの量比率は木質系バイオマスの種類によって異なっている。
次いで、上記のヘミセルロース由来の糖を得た後の残渣をさらに酸や酵素で処理しセルロース由来の糖を得るが、この処理に希硫酸を用いるとグルコース収率が40%程度と低いことに加え、ギ酸やレブリン酸、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)などの糖の過分解物質が生じやすく、これらの過分解物質はエタノールへの発酵に悪影響を与える。上記の酸やアルカリ処理に代わる方法として酵素による加水分解が研究されているが、酵素反応を有効に行うための前処理は、原料によって適切な方法を選定する必要がある。
リグノセルロース原料に共通する性質の一つに、ヘミセルロースとセルロースの加水分解条件に差があることが挙げられる。ヘミセルロースは比較的酸やアルカリで分解されやすく、90%以上の高い回収率で糖が得られるのに対し、セルロースの分解はより厳しい条件で行われ、糖の過分解がほぼ同じ速度で生じてしまうため糖の回収率が低くなる。そこで、まず酵素加水分解の前処理を兼ねた一次加水分解でヘミセルロース由来の糖をできるだけ回収する方法が望ましい。
一次加水分解法としてよく研究されているのは酸またはアルカリを用いる方法である。酵素加水分解の前処理としてはいずれも効果があるが、一次加水分解でヘミセルロース由来の糖を得ようとする場合、アルカリ条件下では糖の過分解が進みやすいため、酸を用いた処理が有利である。ヘミセルロース原料に対する一次加水分解処理として、苛性ソーダ蒸煮、酸化条件下での石灰処理も報告されているが、いずれもヘミセルロース由来の糖の収率は低い。
一方、酸を用いる一次加水分解処理では、糖は回収できるが原料によっては酵素加水分解の前処理として不十分な場合がある。例えば、木材の中でも広葉樹を酸や爆砕で一次処理した後の残渣は比較的容易に酵素で糖化されるが、針葉樹はリグニンを含む構造が広葉樹より強固なため、一次処理した後の残渣をそのまま使用すると酵素加水分解率は低い。国内で有効利用が望まれている廃建材はスギ、ツガ、マツなどの針葉樹が主体であるため、針葉樹に対する前処理方法の確立は特に国内において重要である。
このような観点から、一次処理した残渣を酵素加水分解に供する前に二次処理を行い、酵素加水分解率を高める方法も研究されている。例えば、オゾン、過酸化水素、亜塩素酸ナトリウムなどによる処理が報告されている。しかし、これら薬品の使用はコストが大きいだけでなく、後段の発酵において微生物に阻害的に働く場合が懸念されるので、発酵前に除去する工程を設ける必要がある。
また、セルロースやヘミセルロースを含む木材等のリグノース原料を加水分解する前に微粉砕処理する前処理方法も報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照。)。同様にリグノース原料を微粉砕してから酵素加水分解を行った後、再度固形物残渣を粉砕する方法も報告されている(例えば、特許文献4参照。)。また、アルカリ加水分解処理と機械的粉砕処理とを組み合わせた前処理方法についても報告されている(特許文献5参照。)。
特開昭55−9758号公報 特開昭59−91893号公報 特開昭63−137690公報 特開昭63−137692公報 特開昭55−45306公報
上述のようにリグノセルロース原料をボールミル等で微粉砕処理する前処理方法は、工程が少なくてすむ反面、投入エネルギーをかなり高くしないと前処理としての効果が得られない。また、アルカリ条件下での加水分解では糖の過分解が進みやすいという問題があった。さらに、ヘミセルロース由来の糖の収率についてはほとんど言及されていない。
本発明は、上述の背景技術の問題点を鑑みてなされたものであり、リグノセルロース原料を酵素加水分解する際の前処理方法であって、糖の過分解を抑え低コストで収率よく糖を得るためのリグノセルロースの前処理方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、リグノセルロース原料にまず酸加水分解処理を施し、固液分離して酸で比較的容易に回収できるヘミセルロース由来の糖を得た後、固形残渣に湿式粉砕処理を行うことにより、続く酵素加水分解の効率を高めることができる前処理方法を見いだすに至った。
すなわち本発明は、リグノセルロースの酵素加水分解の前処理方法であって、リグノセルロース原料を酸処理する酸処理工程と、前記酸処理工程の反応物を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離工程の残渣を湿式粉砕処理する粉砕処理工程とを含むことを特徴とするリグノセルロースの前処理方法である。
本発明によれば、酸でヘミセルロースを加水分解した残渣について粉砕処理することによって、低コストで酵素加水分解における糖の収率を向上させ、続く発酵でのエタノール収率の向上を達成することが可能となる。
本発明によると、酸加水分解による一次処理に引き続き二次処理に過酸化水素等の薬剤を用いる前処理方法に比べ、着色廃水の量が低減できる。また、一次加水分解で一部未反応のヘミセルロース由来の糖(キシロースなど)の回収量も二次処理に薬剤を用いる方法より多く、原料に含まれる糖をより有効に利用することができる。
さらに本発明の前処理方法における粉砕処理工程は湿式粉砕であるため、粉塵爆発や火災の危険がなく、また、熱による変性で糖成分の一部が分解することも殆どない。
希硫酸等の酸による反応で、ヘミセルロース由来の糖が溶出していること、及びリグニンの一部が溶出していることにより、残渣が柔らかくなっているため、少ない投入エネルギーで、酵素加水分解の効果を大きく高めることができる。
本発明のリグノセルロースの酵素加水分解の前処理方法は、リグノセルロース原料を希硫酸処理する酸処理工程と、酸処理工程の反応物を固液分離する固液分離工程と、固液分離工程の残渣を湿式粉砕処理する粉砕処理工程とを含む。図1は、リグノセルロースを原料とし、本発明の前処理方法を含むエタノールの製造方法の一例をフローチャートで示したものである。
原料のリグノセルロースは、まず酸処理工程において主に原料中のヘミセルロースを加水分解し、続く固液分離工程で糖液と残渣とに分離される。残渣は、粉砕処理工程において粉砕された(以上、本発明における前処理)後、酵素加水分解工程において糖へと加水分解され発酵によってエタノールが製造される。一方、固液分離工程で回収された糖液からも、中和された後発酵によってエタノールが製造される。
本発明に用いられる原料のリグノセルロースは、特に限定されないが、例えば木材、稲わら、籾殻、バガスなどが利用できる。特に国内では発生量が多く、収集ルートが確立している廃建材を用いることが望ましい。廃建材は主に木造家屋の解体によって発生し、用いられている樹種としては、杉、松、栂などの針葉樹の比率が高い。
本発明に用いられるリグノセルロース原料は、あらかじめ破砕機を用いて1〜20mm、特に5〜10mmのサイズに破砕することが好ましい。破砕後のチップサイズはできるだけ小さい方が糖化の効率が高くなるが、破砕のための所要エネルギーも大きくなる。そこで適正なチップサイズが存在する。この破砕工程は酸加水分解後の粉砕処理工程とは異なり、一次加水分解である酸処理工程において原料と硫酸や蒸気の接触を良くしヘミセルロースから糖を回収しやすくするためである。
次いで、リグノセルロース原料を酸処理する。用いる酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸又はそれらの混合物が挙げられるが、このうち硫酸、特に希硫酸が好ましい。さらに、本発明における酸処理は、加熱しながら行うことが好ましい。反応に用いられる硫酸濃度は0.1〜5%、特に0.5〜3%が好ましい。反応温度は140〜230℃、特に160〜210℃の範囲が望ましい。反応時間は1〜20分、特に5〜10分であることが好ましい。硫酸濃度、反応温度および反応時間が上記の範囲内であると、酸処理工程においてヘミセルロースを効率的に加水分解し、糖を回収することができる。
次に上記酸処理工程の反応物は、固液分離工程においてろ液と固形物残渣とに分離される。残渣は続く粉砕処理工程に供される。ろ液はヘミセルロース由来の糖を含んでおり、後述のように発酵によってエタノールが製造される。固液分離の方法はろ過、遠心分離などを用いることができるが、エネルギー消費の小さいろ過を用いることが好ましい。
上記固液分離工程の固形物残渣は、粉砕処理工程において湿式粉砕される。この残渣は、希硫酸による加水分解反応でヘミセルロース由来の糖が溶出していること、およびリグニンの一部が溶出していることにより柔らかくなっている。従って少ない投入エネルギーで粉砕しても、続く酵素加水分解の効果を大きく高めることができる。
粉砕処理工程に用いられる粉砕機は、湿式で叩解効果が得られる粉砕機であればいずれの形式でもよいが、特にボールミル,スタンプミル,リファイナーが好ましい。
本粉砕処理工程は湿式粉砕であるため、粉塵爆発や火災の危険がなく、また熱による変性で糖成分の一部が分解することもほとんどない。
上記したように、リグノセルロースを前処理することにより、その後の酵素加水分解、発酵によるエタノール生成を低コストで効率よく行うことができる。
上記のように粉砕処理工程において粉砕された残渣は酵素加水分解に供されて糖が製造される。酵素加水分解の酵素としては、セルラーゼが用いられる。すなわち、粉砕された残渣を懸濁した液にセルラーゼを添加し、攪拌しながら、例えばpH4〜6、30〜60℃、10〜120時間反応させる。
この酵素による加水分解液にはセルロース由来の糖であるグルコースが含まれる。この糖液に窒素、リンを含む栄養源とエタノール発酵微生物を添加し、糖をエタノールに変換する。
一方、上記固液分離工程のろ液にはヘミセルロース由来の糖であるグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース等が含まれる。さらに、本発明の前処理方法では酸処理工程における糖の過分解物の生成が抑えられるが、このろ液には糖の過分解物であるフルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、レブリン酸、ギ酸等がある程度の量は含まれている。これらは微生物による発酵を阻害するため、前処理が必要である。例えば、石灰を加えて加温する方法はフルフラール、HMFの一部除去も行われる方法として知られている。石灰で中和したろ液には窒素、リンを含む栄養源とエタノール発酵微生物を添加し、糖をエタノールに変換する。
上記のように本発明のリグノセルロースの前処理方法を用いると、酸加水分解処理工程においてヘミセルロース由来の糖を効率的に回収でき、さらに固液分離した残渣を湿式粉砕することにより酵素加水分解の収率を向上させることができる。従って、低コストでリグノセルロースを原料とする合計糖収量が増加し、これによって糖を発酵させて製造するエタノールの収率をも向上させることができる。
本発明の前処理方法によると、従来のように一次加水分解後の二次処理に過酸化水素等の薬剤を用いる方法に比べ、着色廃水の量が低減できる。また、一次加水分解である酸加水分解で一部未反応であったヘミセルロース由来の糖の回収量も、二次処理に薬剤を用いる方法より多く、原料に含まれる糖をより有効に利用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1〜6)
酸処理工程:原料としてスギ材を用い、加水分解機として回分式加水分解機(処理量:400g/バッチ)を用い、硫酸濃度1%、反応温度170℃、反応時間10分で一次加水分解を行い、原料(乾物)100gあたり20gの単糖が得られた。固形分回収率は75%であった。
固液分離工程:一次加水分解後、吸引ろ過で固液分離を行った。得られた残渣を水でよく洗浄し、粉砕工程用の原料とした。
粉砕工程:スタンプミル(日陶株式会社製、型式:ANS143)に上記の残渣80g(湿潤重量)を入れ、粉砕時間を変えて粉砕を行った。各実施例における粉砕時間を表1に示す。
Figure 0004619831
酵素加水分解工程:200mLの三角フラスコに、粉砕した残渣を固形物として2.5g投入し、これに緩衝液とイオン交換水とを残渣の付着水分と合わせて50mlになるように添加した。緩衝液としては0.2mol/Lの酢酸ナトリウムを用い、反応液のpHを4.5に調整した。ここにセルラーゼ(SPEZYME GC 220、ジェネンコア・インターナショナルジャパン・リミテッド)を残渣の固形物1gに対して0.4g添加した。これを反応温度45℃、100rpmで振とうし、 分間酵素加水分解を行った。
分析:酵素加水分解後の加水分解液中の単糖をHPLCで分離、定量した。HPLCのカラムとしてはBIO−RAD社のHPX−87Pを使用した。加水分解液中の単糖濃度と仕込み基質濃度とから、基質100g(乾物)あたりの単糖収量を計算した。酵素加水分解は仕込み基質濃度を全て5w/v%で実施したので、基質100gあたりの単糖収量S2は下式で求められる。
基質100g(乾物)あたりの単糖収量S2[g]=加水分解液中の単糖濃度[g/L]x(100/5)x(100/1000)
希硫酸による一次加水分解における原料100g(乾物)あたりの単糖収量S1も同様の計算により算出した。
さらに、酵素加水分解で得られた単糖を原料100g(乾物)あたりに換算するため、希硫酸による一次加水分解での固形分回収率R1を考慮し、原料からのトータルの単糖収量ΣSを以下の式で計算した。
原料(乾物)あたりの単糖収量ΣS[g/100g]=S1+R1xS2
(比較例1)
一次加水分解の残渣を粉砕処理を行わずにそのまま酵素加水分解工程に用いたこと以外は上記の実施例と同様にして単糖を得た。
(比較例2)
スギ原木をスタンプミルで60分処理し、酸加水分解を行わずにそのまま上記と同様の酵素加水分解反応を実施して単糖を得た。
実施例1〜6および比較例1〜2における酵素加水分解で得られた単糖収量S2すなわち基質(粉砕残渣)重量あたりの単糖収量の経時変化を図2に示す。
実施例1〜6のように一次加水分解残渣に対して粉砕処理を行うことにより、原木に対して粉砕を行った比較例2の場合よりも大幅に単糖収量が向上することがわかった。また、比較例1のように一次加水分解残渣を粉砕処理しなかった場合と比較して、単糖収率が向上した。実施例2〜6のように粉砕時間が30分以上の場合には、比較例1と比べて1.5倍程度単糖収率が増加した。
さらに、実施例2と比較例1との酸処理工程における糖収量S1および固形分回収率R1、酵素加水分解における糖収量S2、ならびに合計糖収量ΣSを表2に示す。
Figure 0004619831
実施例2のように30分粉砕処理を行った場合、比較例1のように粉砕処理を行わない場合と比較して、単糖収量S2が大幅に向上したことによって合計糖収量ΣSを約20%向上することができた。
(実施例7〜9)
酸処理工程:原料として再生ボード用廃建材を用い、加水分解機として連続式加水分解機(処理量:50kg/時間)を用い、硫酸濃度1%、反応温度170℃、反応時間10分で一次加水分解を行い、原料(乾物)100gあたり21gの単糖が得られた。固形分回収率は70%であった。
固液分離工程:一次加水分解後、トレイフィルター(処理量:固形物として18kg/バッチ)で固液分離を行った。得られた残渣を水でよく洗浄し、粉砕工程用の原料とした。
粉砕工程:ボールミル(CMT株式会社製、型式:TI−200、容量50mL/ポット、ポット数2)に上記の残渣25g/ポット(湿潤重量)を入れ、粉砕時間を変えて粉砕を行った。各実施例における粉砕時間を表3に示す。
Figure 0004619831
酵素加水分解工程:200mLの三角フラスコに、粉砕した残渣を固形物として2.5g投入し、これに緩衝液とイオン交換水とを残渣の付着水分と合わせて50mLになるように添加した。緩衝液としては0.2mol/Lの酢酸ナトリウムを用い、反応液のpHを4.5に調整した。ここにセルラーゼ(SPEZYME GC 220、ジェネンコア・インターナショナルジャパン・リミテッド)を残渣の固形物1gに対して0.08g添加した。これを反応温度45℃、100rpmで振とうし、110時間酵素加水分解を行った。
分析は、実施例1〜6の場合と同様に行った。
(比較例3)
一次加水分解の残渣を粉砕処理を行わずにそのまま酵素加水分解工程に用いたこと以外は上記の実施例と同様にして単糖を得た。
実施例7〜9と比較例3との酸処理工程における糖収量S1および固形分回収率R1、酵素加水分解における糖収量S2、ならびに合計糖収量ΣSを表4に示す。
Figure 0004619831
実施例7〜9、比較例3のいずれについても、一次加水分解により原料100g(乾物)あたり21gの単糖が得られ、固形分回収率は70%であった。ボールミルで10分間粉砕するだけで(実施例7)、粉砕処理を行わなかった場合(比較例3)に比べて、基質当たりの単糖収量が約1.8倍に増加した。原料あたりの糖収量で比較すると、約37%の増加となった。実施例9では、この増加傾向がさらに著しかった。
本発明のリグノセルロースの前処理方法は、木質バイオマスを原料とする糖化およびエタノールの製造に有用である。
リグノセルロースを原料とし、本発明の前処理方法を含むエタノールの製造方法の一例をフローチャートで示したものである。 実施例1〜6および比較例1〜2における酵素加水分解で得られた、基質重量あたりの単糖収量の経時変化を示す。

Claims (7)

  1. リグノセルロースの酵素加水分解の前処理方法であって、リグノセルロース原料を酸処理する酸処理工程と、前記酸処理工程の反応物を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離工程の残渣を湿式粉砕処理する粉砕処理工程とを含むことを特徴とするリグノセルロースの前処理方法。
  2. 前記酸処理を、希硫酸を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロースの前処理方法。
  3. 前記酸処理工程において、希硫酸の濃度が0.1〜5%であることを特徴とする請求項2に記載のリグノセルロースの前処理方法。
  4. 前記酸処理工程において、反応温度が140〜230℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロースの前処理方法。
  5. 前記酸処理工程において、反応時間が1〜20分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロースの前処理方法。
  6. 前記リグノセルロース原料が廃建材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリグノセルロースの前処理方法。
  7. リグノセルロースを、酸処理前に破砕処理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリグノセルロースの前処理方法。

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