JPWO2010032688A1 - 多層成形品の製造方法、及び、多層成形品のための金型セット - Google Patents
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Abstract
Description
また、一次成形品と二次成形品との間に中間層を設ける構成では、第2樹脂の注入時に、第2樹脂の熱が一次成形品に直接伝わらず中間層によって緩衝された状態で伝わるので、一次成形品が第2樹脂から受ける熱で再溶融して偏在化する現象が抑制されるという効果も奏される。
また、一次成形品が再溶融する現象も、単に一次成形品と二次成形品との間に中間層を設けただけでは、十分には阻止しきれず、十分阻止するには一次成形品を厚めにしておく必要があり、多層成形品の厚さを十分に小さくできないという課題もあった。
中間層を挟んで配置された第1樹脂層及び第2樹脂層を備えた多層成形品の製造方法であって、
前記中間層の片面に前記第1樹脂層が融着された一次成形品を提供する第1工程と、
前記中間層の他面に配置されたキャビティに樹脂を注入して前記第2樹脂層を形成する第2工程と、を有し、
前記中間層または前記第1樹脂層の外周部に、多層成形品の外部に突出し、且つ、前記一次成形品の支持型と接当する突出片を形成しておき、
前記第2工程では、前記樹脂が前記突出片に面した流路を経て前記キャビティに注入される点にある。
中間層を挟んで配置された第1樹脂層及び第2樹脂層を備えた多層成形品のための金型セットであって、
前記中間層の片面に前記第1樹脂層が融着された一次成形品を支持可能な第1金型と、
前記中間層の他面側に樹脂を受け入れるキャビティを形成する第2金型と、を備え、
前記第1金型は、前記第1金型と前記第2金型を型締めした際に、前記中間層または前記第1樹脂層の外周部に形成された突出片を支持する支持部を備えており、
前記キャビティに樹脂を注入するための流路が前記突出片に面した箇所を含むように設けてある点にある。
以下、本発明に係る多層成形用金型について説明する。
本発明に係る多層成形用金型は、図に部分のみを示した多層成形機に備えられるものであって、図1〜図4に示すように、第1可動型1Aと第2可動型1B(いずれも第1金型の一例)、および、第1固定型3と第2固定型7(第2金型の一例)を備えている。
図1は可動型1A,1Bが固定型3,7から離間された或る状態を示す。図2に示すように、第1固定型3と第1可動型1Aとが型締めされると第1樹脂を受け入れる第1キャビティ2が形成される。他方、第2固定型7と第2可動型1Bとが型締めされると第2樹脂を受け入れる第2キャビティ6が形成される。図3は第1樹脂と第2樹脂の注入が完了した状態を示し、図4は可動型1A,1Bを再び離間させることで型開きした状態を示す。
基体シート12bの材質としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂等から選択される単層シート、または上記の中から選択された2種以上の樹脂による積層シートまたは共重合シートなどを使用することができる。また、基体シート12bの剥離性を高めるために、基体シート12bと加飾部の間にアミノアルキド系樹脂などからなる離型層を形成してもよい。基体シート12bの厚みとしては、5〜500μmが好ましい。
図柄層の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などなどの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。
接着層は融着させる対象の樹脂と親和性の高い材質を選択すべきである。接着層の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。
また、加飾フィルム12の剥離保護層や図柄層と第2樹脂の双方をPMMAとすれば、両部材の表面どうしがPMMAの熱によって溶融して一体化するので加飾フィルム12に接着層を設ける必要がなくなる。
本実施形態では、成形済みの加飾シート5をロボット装置15によって第1固定型3に設置する。一方、第2固定型7においては、フィルム送り出し装置13によって一定長さの加飾フィルム12を送り出し、同時に、フィルム巻き取り装置14によって一定長さの加飾フィルム12を巻き取ることで、加飾フィルム12を第2固定型7に対向させる(図1を参照)。尚、加飾フィルム12はクランプ16によって第2固定型7の縁部に押え付け、加熱装置(不図示)によって加飾フィルム12を加熱するとともに、吸引装置(不図示)によって加飾フィルム12を第2固定型7の凹部に密着させる。このとき、第2固定型7と対向する可動型1には、第1樹脂層4と同第1樹脂層4の上面に融着された加飾シート5とからなる一次成形品F1が保持されている。
以下の図8〜図12に示す第二実施形態では、主に第一実施形態の構成と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明を省略する。
第二実施形態で用いる多層成形用金型は、図8に示すように、第1固定型33と第2固定型37(第2金型の一例)と一対の可動型31(第1金型の一例)とを備えているが、第一実施形態とは逆に、固定型33,37が凸状のオス型、一対の可動型31が凹状のメス型となっている。
図9に示すように、第1固定型33と第1可動型31Aとを型締めすると第1樹脂を受け入れる第1キャビティ32が形成され、第2固定型37と第2可動型31Bとを型締めすると第2樹脂を受け入れる第2キャビティ36が形成される。
本実施形態においては、図8に示すように、第1可動型31Aにおいては、フィルム送り出し装置13によって一定長さの加飾フィルム12を送り出し、同時に、フィルム巻き取り装置14によって一定長さの加飾フィルム12を巻き取ることで、加飾フィルム12を第1可動型31Aに対向させ、クランプ16によって型31Aの縁部に押え付け、加熱装置によって加飾フィルム12を加熱するとともに、吸引装置によって加飾フィルム12を第1可動型31Aの凹部に密着させる。このとき、第1可動型31Aと対向する第1固定型33には、ロボット装置15によって加飾シート35が保持されている。他方の可動型31には、前工程で成形された一次成形品F1(第1樹脂層34と加飾シート35)が保持されている。
第三実施形態で用いる多層成形用金型は、図13〜図18に示すように、一対の可動型51A,51B(第1金型の一例)、および、第1固定型52と第2固定型53(第2金型の一例)を備えている。図13〜図18は第1樹脂と第2樹脂を注入した後の状態を示す。第三実施形態は加飾シート56のみを用い、加飾フィルム12は用いない例を示す。図示しないが、上記の実施形態と同様に、一対の可動型51A,51Bは回転盤9に支持され、第1固定型52と第2固定型53は固定盤8に支持されている。
他方、第2固定型53に対して、前工程で注入/成形された一次成形品F1を保持した第2可動型51Bを型締めすると、一次成形品F1の加飾シート56と第2固定型53の間に第2キャビティ64が形成される。図17と図18は、この第2キャビティ64に第2樹脂(65)が注入され、二次成形品F2が得られた状態を示す。
図18に示すように、可動型51と第2固定型53との間に、加飾シート56の突出片56aを収容可能な補助キャビティ71が形成され、第2樹脂を注入する第2ゲート66は、第2樹脂が必ず補助キャビティ71を介して第2キャビティ64に注入される位置に設けてある。
しかも、型締めに際して、図13及び図14に示すように、突出片56aにおける第3流路部分60に重複していない両側部分56c、56dが、第1可動型51Aと第1固定型52との間で挟持固定されている。このため、第1ゲート57から第1キャビティ54に第1樹脂を注入して加飾シート56の下面に一次成形品55を成形する際に、第1樹脂が他方側の側面62bとの間の隙間に入り込む虞は無い。
以下の図22〜図29に示す第四実施形態では、主に第一実施形態の構成と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明を省略する。
この多層成形用金型によって作製される二次成形品F2から不要部を削除した完成品の外観を図29(a)に略示している。図29(a)のB−B断面を示す図29(b)から分かるように、この多層成形用金型によって作製される二次成形品F2は、最も内側の第1樹脂層44、第1樹脂層44の外側に位置する加飾シート45(中間層の一例)、その外側の第2樹脂層23、最も外側に位置する加飾フィルム12を有する。
第1樹脂層44は不透明であり、その中央付近には矩形の窓が形成されている。加飾シート45と、第2樹脂層23と、加飾フィルム12とには窓は形成されていないが、透明な樹脂で構成されている。したがって、この二次成形品F2を例えば携帯電話の表示用パネルなどに適用した場合、第1樹脂層44の矩形窓から液晶画面(不図示)などを透視できることになる。
図22では、第1固定型182の凹部には、予め電鋳によって作製された加飾シート45が係止されており、第2固定型183の凹部には、加飾フィルム12が配置されて、クランプ16による固定が可能になっている。
尚、図22には、クランプ16のうちで加飾フィルム12を第2固定型183の凹部の上方で固定している箇所と凹部の下方で固定している箇所との2箇所のみが図示されているが、実際には、図28に例示するように、クランプ16は概して矩形枠状を呈しているので、第2固定型183の凹部を取り囲む矩形の縁の全周において加飾フィルム12を固定することができる。このクランプ16に関する構成は本明細書に記された全ての実施形態に共通する。
第1固定型182と第1可動型181Aとの型締めでは、図23の上部に示すように、第1固定型182に係止された加飾シート45と第1可動型181Aとの間に、第1樹脂を受け入れる第1キャビティ132が形成される。第1キャビティ132に第1樹脂を注入すれば、加飾シート45の内面に第1樹脂が融着され、加飾シート45と第1樹脂層44とからなる一次成形品F1が得られる(第1工程の一例)。図23では既に第1樹脂層44が注入された状態が示されている。
また、第2樹脂を注入するための第2ゲート139は、第2樹脂が必ず第1突出片45aのある第1補助キャビティ136aの領域を介して第2キャビティ136に注入されるような位置に設けてある。
図26に示すように、第2突出片45bは、第1固定型182と第1可動型181Aとを型締めしたときに、第1可動型181Aに形成されている第2補助キャビティ132aの一部に収容される。
この状態では、第1可動型181Aの凸部には成形された一次成形品F1が支持され、第2可動型181Bの凸部には成形済みの二次成形品F2が支持されている。
二次成形品F2を第2固定型183から取り出し、図25に示すように、回転盤9を180°回転させることで、図22からの工程を繰り返すことが可能になる。
図24の取り出した二次成形品F2に対して突出片45a,45bの切除操作などの処理を行うと、図29に示す外観の二次成形品F2(完成品)が得られる。
先ず、図23及び図26に示すように、第1固定型182と第1可動型181Aとの型締めによって、両型182,181Aの間に、第1ゲート138と第1キャビティ132とを互いに連通させる連通流路140が形成される。連通流路140は、第1ゲート138の出口に直接連通した直線状の第1流路部分140Aと、第1キャビティ132と直接連通した直線状の第2流路部分140Bとからなる。第2流路部分140Bと第1流路部分140Aとは互いに略平行に延びるが、互いにクランク状に連結されている。その連結の境界に相当する第1固定型182の内面には、第1樹脂の進入方向に沿って固定盤8側に階段状に引っ込む引退部182Xが形成されている。そして、加飾シート45の第2突出片45bの先端は、この引退部182Xに押し当てられるように対向配置されることで、第1樹脂の流れによる加飾シート45の浮きや「めくれ」等が防止されている。引退部182Xは加飾シート45の厚さを上回る深さを備えている。
第4流路部分142Dには、第2樹脂の進入方向に沿って、第2可動型181Bの中心線寄りに階段状に引っ込む引退部142X(段差状の凹部の一例)が形成されている。そして、加飾シート45の第1突出片45aの先端は、この引退部142Xに押し当てられるように対向配置されることで、第2樹脂の流れによる加飾シート45の浮きや「めくれ」等が防止されている。引退部142Xは加飾シート45の厚さを上回る深さを備えている。
(1)上記各実施の形態では、一次樹脂層4、34、55と加飾シート5、35、56とを保持する金型1、31、51に対して、加飾シート5、35、56に形成しておいた突出片5a、35a、56aを接触させ、突出片5a、35a、56aと金型1、31、51に組み合わせる別の金型7、37、53とで挟まれた空間を介して第2樹脂を注入させる構成を例示した。しかし、これらの構成に代えて、二次成形品F2の外部に突出するような突出片を第1樹脂層4、34、55に形成しておき、第1樹脂層4、34、55と加飾シート5、35、56とを保持する金型1、31、51に、第1樹脂層4、34、55の突出片を接触させ、突出片と金型1、31、51に組み合わせる別の金型7、37、53とで挟まれた空間を介して第2樹脂を注入させる構成としてもよい。
3、33、52、182 第1固定型
7、37、53、183 第2固定型
2、32、54、132 第1キャビティ
6、36、64、136 第2キャビティ
4、34、44 第1樹脂層
23、43 第2樹脂層
5、35、56 加飾シート(加飾層、中間層)
5a、35a、45a、45b、56a 突出片
5b、35b 縁部
11、39、66、138、139 ゲート
12 加飾フィルム(加飾層)
16 クランプ
17 固定手段
19、38、71、132a、136a 補助キャビティ
142X 引退部(段差状の凹部)
F1 一次成形品
F2 二次成形品
また、一次成形品と二次成形品との間に中間層を設ける構成では、第2樹脂の注入時に、第2樹脂の熱が一次成形品に直接伝わらず中間層によって緩衝された状態で伝わるので、一次成形品が第2樹脂から受ける熱で再溶融して偏在化する現象が抑制されるという効果も奏される。
また、一次成形品が再溶融する現象も、単に一次成形品と二次成形品との間に中間層を設けただけでは、十分には阻止しきれず、十分阻止するには一次成形品を厚めにしておく必要があり、多層成形品の厚さを十分に小さくできないという課題もあった。
加飾シートを挟んで配置された第1樹脂層及び第2樹脂層を備えた多層成形品の製造方法であって、
前記加飾シートの片面に前記第1樹脂層が融着された一次成形品を提供する第1工程と、
前記加飾シートの他面に配置されたキャビティに樹脂を注入して前記第2樹脂層を形成する第2工程と、を有し、
前記加飾シートの外周部に、多層成形品の外部に突出し、且つ、前記一次成形品の支持型と接当する突出片を形成しておき、
前記第2工程では、前記樹脂が前記突出片に面した流路を経て前記キャビティに注入される点にある。
加飾シートを挟んで配置された第1樹脂層及び第2樹脂層を備えた多層成形品のための金型セットであって、
前記加飾シートの片面に前記第1樹脂層が融着された一次成形品を支持可能な第1金型と、
前記加飾シートの他面側に樹脂を受け入れるキャビティを形成する第2金型と、を備え、
前記第1金型は、前記第1金型と前記第2金型を型締めした際に、前記加飾シートの外周部に形成された突出片を支持する支持部を備えており、
前記キャビティに樹脂を注入するための流路が前記突出片に面した箇所を含むように設けてある点にある。
以下、本発明に係る多層成形用金型について説明する。
本発明に係る多層成形用金型は、図に部分のみを示した多層成形機に備えられるものであって、図1〜図4に示すように、第1可動型1Aと第2可動型1B(いずれも第1金型の一例)、および、第1固定型3と第2固定型7(第2金型の一例)を備えている。
図1は可動型1A,1Bが固定型3,7から離間された或る状態を示す。図2に示すように、第1固定型3と第1可動型1Aとが型締めされると第1樹脂を受け入れる第1キャビティ2が形成される。他方、第2固定型7と第2可動型1Bとが型締めされると第2樹脂を受け入れる第2キャビティ6が形成される。図3は第1樹脂と第2樹脂の注入が完了した状態を示し、図4は可動型1A,1Bを再び離間させることで型開きした状態を示す。
基体シート12bの材質としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂等から選択される単層シート、または上記の中から選択された2種以上の樹脂による積層シートまたは共重合シートなどを使用することができる。また、基体シート12bの剥離性を高めるために、基体シート12bと加飾部の間にアミノアルキド系樹脂などからなる離型層を形成してもよい。基体シート12bの厚みとしては、5〜500μmが好ましい。
図柄層の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などなどの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。
接着層は融着させる対象の樹脂と親和性の高い材質を選択すべきである。接着層の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。
また、加飾フィルム12の剥離保護層や図柄層と第2樹脂の双方をPMMAとすれば、両部材の表面どうしがPMMAの熱によって溶融して一体化するので加飾フィルム12に接着層を設ける必要がなくなる。
本実施形態では、成形済みの加飾シート5をロボット装置15によって第1固定型3に設置する。一方、第2固定型7においては、フィルム送り出し装置13によって一定長さの加飾フィルム12を送り出し、同時に、フィルム巻き取り装置14によって一定長さの加飾フィルム12を巻き取ることで、加飾フィルム12を第2固定型7に対向させる(図1を参照)。尚、加飾フィルム12はクランプ16によって第2固定型7の縁部に押え付け、加熱装置(不図示)によって加飾フィルム12を加熱するとともに、吸引装置(不図示)によって加飾フィルム12を第2固定型7の凹部に密着させる。このとき、第2固定型7と対向する可動型1には、第1樹脂層4と同第1樹脂層4の上面に融着された加飾シート5とからなる一次成形品F1が保持されている。
以下の図8〜図12に示す第二実施形態では、主に第一実施形態の構成と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明を省略する。
第二実施形態で用いる多層成形用金型は、図8に示すように、第1固定型33と第2固定型37(第2金型の一例)と一対の可動型31(第1金型の一例)とを備えているが、第一実施形態とは逆に、固定型33,37が凸状のオス型、一対の可動型31が凹状のメス型となっている。
図9に示すように、第1固定型33と第1可動型31Aとを型締めすると第1樹脂を受け入れる第1キャビティ32が形成され、第2固定型37と第2可動型31Bとを型締めすると第2樹脂を受け入れる第2キャビティ36が形成される。
本実施形態においては、図8に示すように、第1可動型31Aにおいては、フィルム送り出し装置13によって一定長さの加飾フィルム12を送り出し、同時に、フィルム巻き取り装置14によって一定長さの加飾フィルム12を巻き取ることで、加飾フィルム12を第1可動型31Aに対向させ、クランプ16によって型31Aの縁部に押え付け、加熱装置によって加飾フィルム12を加熱するとともに、吸引装置によって加飾フィルム12を第1可動型31Aの凹部に密着させる。このとき、第1可動型31Aと対向する第1固定型33には、ロボット装置15によって加飾シート35が保持されている。他方の可動型31には、前工程で成形された一次成形品F1(第1樹脂層34と加飾シート35)が保持されている。
第三実施形態で用いる多層成形用金型は、図13〜図18に示すように、一対の可動型51A,51B(第1金型の一例)、および、第1固定型52と第2固定型53(第2金型の一例)を備えている。図13〜図18は第1樹脂と第2樹脂を注入した後の状態を示す。第三実施形態は加飾シート56のみを用い、加飾フィルム12は用いない例を示す。図示しないが、上記の実施形態と同様に、一対の可動型51A,51Bは回転盤9に支持され、第1固定型52と第2固定型53は固定盤8に支持されている。
他方、第2固定型53に対して、前工程で注入/成形された一次成形品F1を保持した第2可動型51Bを型締めすると、一次成形品F1の加飾シート56と第2固定型53の間に第2キャビティ64が形成される。図17と図18は、この第2キャビティ64に第2樹脂(65)が注入され、二次成形品F2が得られた状態を示す。
図18に示すように、可動型51と第2固定型53との間に、加飾シート56の突出片56aを収容可能な補助キャビティ71が形成され、第2樹脂を注入する第2ゲート66は、第2樹脂が必ず補助キャビティ71を介して第2キャビティ64に注入される位置に設けてある。
しかも、型締めに際して、図13及び図14に示すように、突出片56aにおける第3流路部分60に重複していない両側部分56c、56dが、第1可動型51Aと第1固定型52との間で挟持固定されている。このため、第1ゲート57から第1キャビティ54に第1樹脂を注入して加飾シート56の下面に一次成形品55を成形する際に、第1樹脂が他方側の側面62bとの間の隙間に入り込む虞は無い。
以下の図22〜図29に示す第四実施形態では、主に第一実施形態の構成と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明を省略する。
この多層成形用金型によって作製される二次成形品F2から不要部を削除した完成品の外観を図29(a)に略示している。図29(a)のB−B断面を示す図29(b)から分かるように、この多層成形用金型によって作製される二次成形品F2は、最も内側の第1樹脂層44、第1樹脂層44の外側に位置する加飾シート45(中間層の一例)、その外側の第2樹脂層23、最も外側に位置する加飾フィルム12を有する。
第1樹脂層44は不透明であり、その中央付近には矩形の窓が形成されている。加飾シート45と、第2樹脂層23と、加飾フィルム12とには窓は形成されていないが、透明な樹脂で構成されている。したがって、この二次成形品F2を例えば携帯電話の表示用パネルなどに適用した場合、第1樹脂層44の矩形窓から液晶画面(不図示)などを透視できることになる。
図22では、第1固定型182の凹部には、予め電鋳によって作製された加飾シート45が係止されており、第2固定型183の凹部には、加飾フィルム12が配置されて、クランプ16による固定が可能になっている。
尚、図22には、クランプ16のうちで加飾フィルム12を第2固定型183の凹部の上方で固定している箇所と凹部の下方で固定している箇所との2箇所のみが図示されているが、実際には、図28に例示するように、クランプ16は概して矩形枠状を呈しているので、第2固定型183の凹部を取り囲む矩形の縁の全周において加飾フィルム12を固定することができる。このクランプ16に関する構成は本明細書に記された全ての実施形態に共通する。
第1固定型182と第1可動型181Aとの型締めでは、図23の上部に示すように、第1固定型182に係止された加飾シート45と第1可動型181Aとの間に、第1樹脂を受け入れる第1キャビティ132が形成される。第1キャビティ132に第1樹脂を注入すれば、加飾シート45の内面に第1樹脂が融着され、加飾シート45と第1樹脂層44とからなる一次成形品F1が得られる(第1工程の一例)。図23では既に第1樹脂層44が注入された状態が示されている。
また、第2樹脂を注入するための第2ゲート139は、第2樹脂が必ず第1突出片45aのある第1補助キャビティ136aの領域を介して第2キャビティ136に注入されるような位置に設けてある。
図26に示すように、第2突出片45bは、第1固定型182と第1可動型181Aとを型締めしたときに、第1可動型181Aに形成されている第2補助キャビティ132aの一部に収容される。
この状態では、第1可動型181Aの凸部には成形された一次成形品F1が支持され、第2可動型181Bの凸部には成形済みの二次成形品F2が支持されている。
二次成形品F2を第2固定型183から取り出し、図25に示すように、回転盤9を180°回転させることで、図22からの工程を繰り返すことが可能になる。
図24の取り出した二次成形品F2に対して突出片45a,45bの切除操作などの処理を行うと、図29に示す外観の二次成形品F2(完成品)が得られる。
先ず、図23及び図26に示すように、第1固定型182と第1可動型181Aとの型締めによって、両型182,181Aの間に、第1ゲート138と第1キャビティ132とを互いに連通させる連通流路140が形成される。連通流路140は、第1ゲート138の出口に直接連通した直線状の第1流路部分140Aと、第1キャビティ132と直接連通した直線状の第2流路部分140Bとからなる。第2流路部分140Bと第1流路部分140Aとは互いに略平行に延びるが、互いにクランク状に連結されている。その連結の境界に相当する第1固定型182の内面には、第1樹脂の進入方向に沿って固定盤8側に階段状に引っ込む引退部182Xが形成されている。そして、加飾シート45の第2突出片45bの先端は、この引退部182Xに押し当てられるように対向配置されることで、第1樹脂の流れによる加飾シート45の浮きや「めくれ」等が防止されている。引退部182Xは加飾シート45の厚さを上回る深さを備えている。
第4流路部分142Dには、第2樹脂の進入方向に沿って、第2可動型181Bの中心線寄りに階段状に引っ込む引退部142X(段差状の凹部の一例)が形成されている。そして、加飾シート45の第1突出片45aの先端は、この引退部142Xに押し当てられるように対向配置されることで、第2樹脂の流れによる加飾シート45の浮きや「めくれ」等が防止されている。引退部142Xは加飾シート45の厚さを上回る深さを備えている。
(1)上記各実施の形態では、一次樹脂層4、34、55と加飾シート5、35、56とを保持する金型1、31、51に対して、加飾シート5、35、56に形成しておいた突出片5a、35a、56aを接触させ、突出片5a、35a、56aと金型1、31、51に組み合わせる別の金型7、37、53とで挟まれた空間を介して第2樹脂を注入させる構成を例示した。しかし、これらの構成に代えて、二次成形品F2の外部に突出するような突出片を第1樹脂層4、34、55に形成しておき、第1樹脂層4、34、55と加飾シート5、35、56とを保持する金型1、31、51に、第1樹脂層4、34、55の突出片を接触させ、突出片と金型1、31、51に組み合わせる別の金型7、37、53とで挟まれた空間を介して第2樹脂を注入させる構成としてもよい。
3、33、52、182 第1固定型
7、37、53、183 第2固定型
2、32、54、132 第1キャビティ
6、36、64、136 第2キャビティ
4、34、44 第1樹脂層
23、43 第2樹脂層
5、35、56 加飾シート(加飾層、中間層)
5a、35a、45a、45b、56a 突出片
5b、35b 縁部
11、39、66、138、139 ゲート
12 加飾フィルム(加飾層)
16 クランプ
17 固定手段
19、38、71、132a、136a 補助キャビティ
142X 引退部(段差状の凹部)
F1 一次成形品
F2 二次成形品
加飾シートを挟んで配置された第1樹脂層及び第2樹脂層を備えた多層成形品のための金型セットであって、
前記加飾シートの片面に前記第1樹脂層が融着された一次成形品を支持可能な第1金型と、
前記加飾シートの他面側に樹脂を受け入れるキャビティを形成する第2金型と、を備え、
前記第1金型は、前記第1金型と前記第2金型を型締めした際に、前記加飾シートの外周部に形成された突出片を接触する状態で支持する支持部を備えており、
前記キャビティに樹脂を注入するための流路が前記突出片に面した箇所を含むように設けてある点にある。
Claims (11)
- 中間層を挟んで配置された第1樹脂層及び第2樹脂層を備えた多層成形品の製造方法であって、
前記中間層の片面に前記第1樹脂層が融着された一次成形品を提供する第1工程と、
前記中間層の他面に配置されたキャビティに樹脂を注入して前記第2樹脂層を形成する第2工程と、を有し、
前記中間層または前記第1樹脂層の外周部に、多層成形品の外部に突出し、且つ、前記一次成形品の支持型と接当する突出片を形成しておき、
前記第2工程では、前記樹脂が前記突出片に面した流路を経て前記キャビティに注入される製造方法。 - 前記第2工程では、前記突出片の縁部を固定した状態で前記樹脂の注入が行われる請求項1に記載の製造方法。
- 前記第2工程では、前記突出片に面した前記流路が前記キャビティに沿って接続された状態で、前記突出片の延出方向に沿って樹脂が注入される請求項1に記載の製造方法。
- 前記第2工程では、第1金型に支持された前記中間層と第2金型の内面に配置した加飾フィルムとの間に前記キャビティが形成されており、前記加飾フィルムを前記第2金型に固定するクランプが前記突出片の基端部と接する位置に設けられた状態で樹脂が注入される請求項3に記載の製造方法。
- 前記第2工程では、前記中間層に形成された前記突出片の先端が前記支持型に設けられた段差状の凹部に退避された状態で樹脂が注入される請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 中間層を挟んで配置された第1樹脂層及び第2樹脂層を備えた多層成形品のための金型セットであって、
前記中間層の片面に前記第1樹脂層が融着された一次成形品を支持可能な第1金型と、
前記中間層の他面側に前記第2樹脂層のためのキャビティを形成する第2金型と、を備え、
前記第1金型は、前記第1金型と前記第2金型を型締めした際に、前記中間層または前記第1樹脂層の外周部に形成された突出片を支持する支持部を備えており、
前記キャビティに樹脂を注入するための流路が前記突出片に面した箇所を含むように設けてある金型セット。 - 前記突出片の縁部を固定する固定手段を備えている請求項6に記載の金型セット。
- 前記固定手段は、前記型締めに基づいて前記縁部を挟持固定するように前記第1金型と前記第2金型とに設けられた押付け部である請求項7に記載の金型セット。
- 前記突出片に面した前記流路の箇所が前記キャビティの入口部に対して直線状に接続されている請求項6に記載の金型セット。
- 第1金型に支持された前記中間層と第2金型の内面に配置した加飾フィルムとの間に前記キャビティが形成されており、前記加飾フィルムを前記第2金型に固定するクランプが前記突出片の基端部と接する位置に設けられている請求項9に記載の金型セット。
- 前記中間層に形成された前記突出片の先端を受け入れる段差状の凹部が前記第1金型に設けられている請求項6から10のいずれか一項に記載の金型セット。
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