本発明は、部品圧着領域をその縁部に有する基板、特に液晶ガラスパネル基板やプラズマディスプレイパネル基板などに代表される基板の部品圧着領域に部品を押圧して圧着する部品圧着装置及び方法に関する。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)パネル基板やプラズマディスプレイパネル(PDP)基板等の基板(以下、「パネル基板」とする)に、電子部品、機械部品、光学部品等の部品、フレキシブルプリント配線基板(FPC基板)等の基板、あるいはCOG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)、ICチップ、TCP(Tape Carrier Package)等の半導体パッケージの部品などが圧着して実装されることで、ディスプレイ装置の製造が行われている。
このようなパネル基板(例えば、液晶ディスプレイ基板)に対する部品実装装置(部品実装ライン)においては、部品保持装置により保持されたパネル基板1の1辺あるいは2辺の縁部に形成されたそれぞれの端子部(部品圧着領域)に対して、異方性導電膜(ACF)シートを貼り付けるACF貼り付け工程を行うACF貼り付け装置、それぞれの端子部においてACFシートを介してTCP等の部品を圧着ユニットにより仮圧着する部品仮圧着工程を行う部品仮圧着装置、端子部に仮圧着された部品を、仮圧着により高い圧力と温度で加圧しながら加熱してACFシートを介して圧着して実装する本圧着工程を行う本圧着装置、及びパネル基板をその下面側より保持して、それぞれの装置にて作業可能に順次搬送する基板搬送装置を備えている。このような構成の従来の部品実装ラインにおいて、パネル基板を基板搬送装置により順次搬送させながら、それぞれの装置において所定の工程を施すことで、パネル基板のそれぞれの端子部に対する部品の実装が行われる。
近年、このような従来の部品実装ラインにおいて取り扱われるパネル基板は、例えば携帯電話向けの比較的小型のパネル基板からパーソナルコンピュータ向けの比較的大型のパネル基板などというように様々なサイズのものが取り扱われる。また、取り扱われるパネル基板の種類に応じて、その端子部における部品の圧着位置の配置も異なる。このような様々な種類のパネル基板に対する部品の圧着に対応するために、例えば、特許第3275744号公報(文献1)及び特開2006−287011号公報(文献2)のように、圧着ヘッドとこの圧着動作の際にパネル基板の端子部を下側から支持するバックアップステージとを、パネル基板の端子部沿いに移動させて、パネル基板の種類に応じた部品の圧着位置の相違に対応できるような構成が採用されている。
特に文献2では、圧着ヘッドとバックアップステージとが一対とされた圧着ユニットを複数台配列させて、パネル基板の仕様に応じて圧着ユニットの配置位置や使用台数を任意に選択できるような構成が採用されている。しかしながら、文献2の構成では、複数の圧着ユニットに対して設けられている1台のユニット位置調整手段により、1台のみの圧着ユニットの配置を調整することができるのみであり、同時に複数の圧着ユニットの配置を調整することはできない。そのため、部品実装ラインにて取り扱われるパネル基板の種類が変わる毎に、ユニット位置調整手段によりそれぞれの圧着ユニットの位置を順次調整して、新たな種類のパネル基板の圧着位置の配置に対応することとなる。すなわち、文献2の構成では、このようなそれぞれの圧着ユニットの位置調整には当然に時間を要することとなる。
一方、近年、パネル基板の仕様もさらに多様化する傾向にあり、パネル基板の長辺側の端子部と短辺側の端子部とでは、部品の圧着位置の配置ピッチや個数が異なるようなパネル基板も少なくない。しかしながら、文献2の構成を有する従来の装置では、このようなパネル基板に対しては、長辺側の端子部への部品圧着を実施した後、短辺側の端子部への部品圧着を行う毎に、それぞれの圧着ユニットの配置位置を調整する必要があり、効率的な部品圧着を行うことができない。そのため、長辺側の端子部に対する部品圧着を行う長辺側本圧着装置と、短辺側の端子部に対する部品圧着を行う短辺側本圧着装置というように、別々の圧着装置を部品実装ラインに備えさせることで、このようなパネル基板に対する部品圧着に対応している。
さらに、仮に複数の圧着ユニットに対して複数のユニット位置調整手段により、それぞれの圧着ユニットの配置を調整するような構成を考えるような場合であっても、それぞれの圧着ユニットの配置変更の迅速化の観点からは、装置構成をより小型化かつ簡素化を図ることが望まれる。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、部品装着領域をその縁部に有する基板に対する部品圧着において、圧着ヘッドと縁部支持部材とを備える複数の圧着ユニットの配置を容易かつ迅速に変更することができ、基板の縁部の部品圧着位置の配置に応じた効率的な部品圧着を行うことができる部品圧着装置及び方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、基板の縁部の部品圧着領域に部品を押圧して圧着する部品圧着装置において、
基板に対して垂直な方向である押圧方向に移動することで、基板の部品圧着領域に部品を押圧する押圧体と、押圧体による押圧の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材とを備える一列に配列された複数の圧着ユニットと、
複数の押圧体を一体的に押圧方向に移動させる共通の押圧体移動装置と、
複数の圧着ユニットに個別に備えられ、基板の縁部沿いに圧着ユニットを、それぞれ独立した動作にて平行移動させて圧着ユニットの配置を変更させる複数のユニット移動装置とを備える、部品圧着装置を提供する。
本発明の第2態様によれば、各々の圧着ユニットは、
押圧方向に押圧体の進退移動を案内する押圧体案内部材と、
押圧体案内部材および縁部支持部材が設けられ、押圧体案内部材を介して押圧体を支持するユニット支持部材と、
ユニット支持部材に設けられ、かつ押圧方向沿いに押圧体を進退移動させるための力および部品を基板に圧着するための力を、押圧体に付与する押圧駆動部とをさらに備え、
押圧駆動部により縁部支持台に向けて動作されるそれぞれの押圧体の動作速度を、複数の圧着ユニットにて共通して規制する規制部材を有する共通の動作速度規制装置を、共通の押圧体移動装置として備える、第1態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第3態様によれば、動作速度規制装置において、規制部材は、押圧体が縁部支持台に向かう方向にて直接的または間接的に押圧体と係合可能であって、
動作速度規制装置は、押圧方向沿いに規制部材を進退移動させる規制部材移動装置とを備え、
それぞれのユニット移動装置による圧着ユニットの基板の縁部沿いの平行移動は、規制部材と押圧体との直接的または間接的な係合が解除された状態にて行われる、第2態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第4態様によれば、それぞれの圧着ユニットにおいて、ユニット支持部材の一方側に配置された押圧駆動部にその一端が回動可能に接続され、ユニット支持部材の他方側に配置された押圧体にその他端が回動可能に接続され、一端と他端との間にてユニット支持部材に回動可能に支持されたレバー部材をさらに備え、
レバー部材は、ユニット支持部材による支持位置を支点とし、一端を押圧駆動部による力が付与される力点とし、他端を付与された力を押圧体に作用させる作用点とする、第3態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第5態様によれば、それぞれの圧着ユニットにおいて、押圧方向沿いの押圧体の進退動の軸上に押圧駆動部が配置され、進退移動の軸上にて規制部材が押圧駆動部と係合されることにより、押圧体の動作速度の規制が行われる、第3態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第6態様によれば、それぞれの圧着ユニットを基板の縁部沿いの方向に移動可能に支持するとともに、動作速度規制装置を支持する支持フレームと、
支持フレームを複数の圧着ユニットとともに一体的に基板の縁部沿いの方向に進退移動させる移動装置とをさらに備える、第2態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第7態様によれば、基板を保持して、部品が圧着される縁部を、縁部支持部材上あるいはその上方に配置させるように基板の移動を行う基板保持装置と、
基板の縁部の部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置情報を有し、圧着位置情報に基づいてそれぞれのユニット移動装置を制御して、複数の圧着ユニットの配置を複数の部品の圧着位置に合致させるように、それぞれ独立した動作にて複数の圧着ユニットを基板の縁部沿いに平行移動させるとともに、基板保持装置を制御して、それぞれの圧着位置における縁部を縁部支持部材上あるいはその上方に配置させる制御装置とをさらに備える、第1態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第8態様によれば、それぞれの押圧体を一体的に昇降させることで、それぞれの押圧体を押圧方向に進退移動させる共通の押圧体昇降装置を、共通の押圧体移動装置として備える、第1態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第9態様によれば、基板に対する圧着動作を行う圧着ユニットが配置される圧着動作実施領域と、圧着動作実施領域の両端側に隣接して配置され、圧着動作を行わない圧着ユニットが配置される退避領域とにおいて、基板の縁部沿いの平行移動を案内可能にそれぞれの圧着ユニットを支持する案内支持部材をさらに備える、第8態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第10態様によれば、基板の縁部の部品圧着領域に複数の部品を押圧して圧着する部品圧着方法において、
基板の部品圧着領域に部品を押圧する押圧体と、押圧体による圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材が設けられたユニット支持部材と、ユニット支持部材に設けられ、かつ基板に対して垂直な方向である押圧方向沿いに押圧体を進退移動させるための力を、押圧体に付与する押圧駆動部とを備え、一列に配列された複数の圧着ユニットを、基板の縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように縁部沿いの方向にそれぞれ独立して移動させて、それぞれの位置決めを行い、
基板の縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上あるいはその上方に配置し、
その後、それぞれの圧着ユニットの押圧駆動部にて、押圧体を進退移動させるための力を発生させて、縁部支持台に向けて押圧体を動作させるとともに、押圧体が縁部支持台に向かう方向にて、複数の圧着ユニットにて共通の規制部材を直接的または間接的にそれぞれの押圧体に係合させながら共通の規制部材の移動速度を制御することにより、それぞれの押圧体の動作速度を共通して規制し、
それぞれの押圧体が部品と当接する際に、押圧体と共通の記載部材との係合を解除して、それぞれの押圧体により縁部に対して複数の部品を圧着する、部品圧着方法を提供する。
本発明の第11態様によれば、基板の縁部における複数の部品の圧着位置と、複数の圧着ユニットとの位置決めを行う際に、それぞれの圧着ユニットを基板の縁部沿いの方向に移動可能に支持するとともに、共通の規制部材を支持する支持フレームを、基板の縁部沿いの方向に複数の圧着ユニットとともに一体的に移動させる、第10態様に記載の部品圧着方法を提供する。
本発明の第12態様によれば、基板の第1縁部と第2縁部の部品圧着領域に複数の部品を押圧して圧着する部品圧着方法において、
基板の部品圧着領域に部品を圧着する押圧体と、圧着の際に基板の第1縁部又は第2縁部を支持する縁部支持部材とを備える一列に配置された複数の圧着ユニットを、基板の第1縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように第1縁部沿いにそれぞれ独立して平行移動させて、それぞれの位置決めを行い、
その後、第1縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上あるいはその上方に配置して、複数の押圧体を共通の押圧体昇降装置により一体的に下降させることにより第1縁部に対して複数の部品を圧着し、
その後、第1縁部と縁部支持部材とを離間させ、基板の第2縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように、複数の圧着ユニットを第2縁部沿いにそれぞれ独立して平行移動させて、それぞれの位置決めを行い、
その後、第2縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上あるいはその上方に配置し、複数の押圧体を共通の押圧体昇降装置により一体的に下降させることにより第2縁部に対して複数の部品を圧着する、部品圧着方法を提供する。
本発明の第13態様によれば、基板の第1縁部あるいは第2縁部に対する圧着動作を行う際に、部品の圧着処理を行う複数の圧着ユニットの縁部支持部材により第1縁部あるいは第2縁部を支持可能に、圧着処理を行う複数の圧着ユニットを圧着動作実施領域に配置させるとともに、部品の圧着処理を行わない複数の圧着ユニットの縁部支持部材により第1縁部あるいは第2縁部の支持が行われないように、圧着処理を行わない複数の圧着ユニットを、圧着動作実施領域の少なくとも一端側に位置された退避領域に配置させる、第12態様に記載の部品圧着方法を提供する。
本発明の一の態様によれば、部品圧着装置において、基板の部品圧着領域に部品を押圧する押圧体と、基板に対して垂直な方向である押圧方向に押圧体の進退動作を案内する押圧体案内部材および押圧体による圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材が設けられたユニット支持部材と、ユニット支持部材に設けられ、かつ押圧方向沿いに押圧体を進退移動させるための力および部品を圧着するための力を押圧体に付与する押圧駆動部とを備える複数の圧着ユニットと、複数の圧着ユニットに個別に備えられ、基板の縁部沿いの方向に圧着ユニットをそれぞれ独立した動作にて移動させて圧着ユニットの配置を変更させる複数のユニット移動装置とを備える構成が採用されている。このような構成により、基板の部品圧着領域における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動装置によりそれぞれの圧着ユニットを個別に独立した並列動作にて(それぞれ独立した動作にて)基板の縁部沿いの方向に移動させて、圧着ユニットの配置を部品圧着位置と合致させるように変更可能に動作させることができる。
また、押圧駆動部により縁部支持台に向けて動作されるそれぞれの押圧体の動作速度を規制する動作速度規制装置を、それぞれの圧着ユニットに個別に備えさせるのではなく、複数の圧着ユニットにて共通して規制する共通の動作速度規制装置として備えさせた構成が採用されている。これにより、押圧駆動部を用いた押圧体への力の伝達を確実に圧着のための圧力として生じさせることを可能としながら、押圧方向への押圧体の動作速度を規制して、適切な動作速度にて押圧体を部品に当接させることができる。さらに、このような動作速度規制装置を複数の圧着ユニットにて共通の装置として備えさせていることにより、それぞれの圧着ユニットの小型化および構造の簡素化を図ることができ、圧着ユニットの配置変更を容易かつ迅速に行うことができる。したがって、基板の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した圧着動作を効率的に実現することができる。
本発明の他の態様によれば、部品圧着装置において、基板の部品圧着領域に部品を圧着する押圧体と、その圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材とを備える一列に配置された複数の圧着ユニットと、複数の圧着ユニットに個別に備えられ、縁部沿いに圧着ユニットを平行移動させて圧着ユニットの配置を変更させる複数のユニット移動装置とを備える構成が採用されている。このような構成により、基板の部品圧着領域における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動装置によりそれぞれの圧着ユニットを個別に独立した並列動作にて(それぞれ独立した動作にて)平行移動させて、圧着ユニットの配置を部品圧着位置と合致させるように変更可能に動作させることができる。したがって、基板の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した圧着動作を効率的に実現することができる。
また、複数の押圧体を個別ではなく、一体的に昇降させることで、それぞれの押圧体を押圧方向に一体的に進退移動させる共通の押圧体昇降装置を備える構成が採用されている。これにより、それぞれの圧着ユニットの小型化および構造の簡素化を図ることができ、それぞれの圧着ユニットの平行移動による配置変更を容易かつ迅速に行うことができる。したがって、基板の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した圧着動作を効率的に実現することができる。
また、部品が圧着される第1縁部と第2縁部を有する基板の互いに直交する第1縁部と第2縁部の部品圧着領域に複数の部品を押圧して圧着する部品圧着方法において、基板の部品圧着領域に部品を圧着する押圧体と、圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材とを備える一列に配置された複数の圧着ユニットを、基板の第1縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように第1縁部沿いにそれぞれ独立して平行移動させて、それぞれの位置決めを行い、その後、第1縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上あるいはその上方に配置して、複数の押圧体を共通の押圧体昇降装置により一体的に下降させることにより第1縁部に対して複数の部品を圧着することができる。その後、第1縁部と縁部支持部材とを離間させて、さらに、基板の第2縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように、複数の圧着ユニットを第2縁部沿いにそれぞれ独立して平行移動させて、それぞれの位置決めを行い、その後、第2縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上に配置し、複数の押圧体を共通の押圧体昇降装置により一体的に下降させることにより第2縁部に対して複数の部品を圧着することができる。このような部品圧着方法によれば、基板において第1縁部の部品圧着位置と第2縁部の部品圧着位置とで、その配置や個数が相違するような場合であっても、圧着動作が行われる縁部の仕様に応じてそれぞれの圧着ユニットの配置を効率的かつ迅速に変更することができる。また、複数の押圧体を下降させる際に、個別の昇降装置を用いるのではなく、共通の押圧体昇降装置を用いて一体的な下降動作を行っているため、圧着ユニットの構造の簡素化および軽量化が可能となり、それぞれの圧着ユニットの平行移動を効率的に行うことが可能となる。したがって、特に第1縁部と第2縁部とで互いに異なる部品圧着位置の配置に対応した部品圧着を効率的に実現することができる。
本発明のこれらの態様と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1は、本発明の第1実施形態にかかる部品実装ラインにて取り扱われるパネル基板の外観図であり、
図2は、第1実施形態のアウターリードボンディング工程(水平搬送)の模式説明図であり、
図3は、第1実施形態の本圧着装置の外観図であり、
図4は、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図であり、
図5Aは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T1−T2)であり、
図5Bは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T2)であり、
図5Cは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T3)であり、
図5Dは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T3−T4)であり、
図6は、(A)の圧着ヘッドの押圧力の時間変化を示すグラフ、(B)の規制部材とレバーとの接触関係の時間変化を示すグラフ、(C)の圧着ヘッドの高さ位置の時間変化を示すグラフの時間的な相関性を示すグラフであり、
図7は、第1実施形態の本圧着方法の手順を示すフローチャートであり、
図8は、パネル基板の長辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図9は、パネル基板の短辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図10は、両端部にたわみが生じたパネル基板をバックアップステージにより保持している状態を示す模式図であり、
図11は、第1実施形態の水平搬送におけるTCPの垂れ下がり状態を説明する模式説明図であり、
図12は、本発明の第2実施形態の縦型搬送の状態を示す模式説明図であり、
図13は、第2実施形態のアウターリードボンディング工程(縦型搬送)の模式説明図であり、
図14Aは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T1−T2に相当)であり、
図14Bは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T2に相当)であり、
図14Cは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T3に相当)であり、
図14Dは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T3−T4に相当)であり、
図15は、第1および第2実施形態の変形例にかかる本圧着装置の外観図(水平搬送)であり、
図16は、図15の変形例の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(水平搬送)であり、
図17は、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(縦型搬送)であり、
図18は、別の変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(縦型搬送)であり、
図19は、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(規制構造の変形例)であり、
図20は、別の変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(規制構造の変形例)であり、
図21は、さらに別の変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(規制構造の変形例)であり、
図22Aは、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り)であり、
図22Bは、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り)であり、
図23は、本発明の第3実施形態にかかる本実施形態の部品実装ラインの模式平面図であり、
図24は、第3実施形態の本圧着装置のY軸方向から見た模式正面図であり、
図25Aは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図であり、
図25Bは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(パネル基板配置状態)であり、
図25Cは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(本圧着動作実施状態)であり、
図25Dは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り、パネル基板配置状態)であり、
図25Eは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り、本圧着動作実施状態)であり、
図26は、1枚のパネル基板の長辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図27は、1枚のパネル基板の短辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図28は、2枚のパネル基板の長辺側端子部に対して変形例にかかる本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図29は、2枚のパネル基板の短辺側端子部に対して変形例にかかる本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図である。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる部品圧着装置及び部品圧着方法を説明するにあたって、まず、これらの部品圧着装置及び方法において取り扱われるパネル基板1の形態と、このパネル基板1に対して施される圧着処理(あるいは実装処理)の概要について、パネル基板1の外観を示す図1を用いて説明する。
まず、図1に示すように、本第1実施形態において取り扱われる基板は、液晶ディスプレイ(LCD)パネル基板やプラズマディスプレイパネル(PDP)基板等に代表される基板(以降、「パネル基板」という。)1であり、方形状における互いに隣接する2辺の縁部に、部品が実装される部品実装領域R1が配置された端子部2を有している。なお、このようなパネル基板1は、一般的に長方形状を有しており、それぞれの端子部2は、長辺側端子部(図1における図示奥側の端子部であり、第1縁部の一例である)と短辺側端子部(図1における図示手前側の端子部であり、第2縁部の一例である)として形成されている。また、それぞれの端子部2には複数の端子電極2aが形成されており、これらの端子電極2aにそれぞれの部品が圧着されて実装されることで電気的に接続されることになる。また、パネル基板1における縁部の内側の領域は、画像や文字情報などの映像が表示される表示領域となっている。なお、パネル基板1は、主にガラス材料により形成されており、その厚さが例えば0.5mm以下となるような薄型化が図られて来ている。
このような構造のパネル基板1に対して、本第1実施形態の部品圧着方法を含む部品実装工程の手順を示す説明図を図2に示す。図2に示すように、部品実装工程を行う装置に搬入されたパネル基板1に対して、まず、接合部材配置工程の一例であるACF貼り付け工程S100にて、それぞれの端子部2の端子電極2aに接合部材としてACFシート3の貼り付けを行い、その後、部品圧着工程の一例である部品仮圧着工程S200にて、ACFシート3を介して部品として例えばTCP4をそれぞれの端子電極2aに仮圧着する。さらにその後、本圧着工程S300にて、仮圧着された状態のそれぞれのTCP4をさらに圧着して実装する。なお、この本圧着工程S300は、パネル基板1の長辺側端子部に対する本圧着工程S310と、パネル基板1の短辺側端子部に対する本圧着工程S320とに分けて行われる。このようなパネル基板1に対するTCP4の実装工程は、アウターリードボンディング工程と呼ばれている。
次に、このようなアウターリードボンディング工程の本圧着工程を行う部品圧着装置の一例である本圧着装置100の構成を示す模式図を図3に示す。
本圧着装置100は、パネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧しながら加熱することで、ACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aにTCP4を本圧着、すなわち熱圧着(実装)する複数の圧着ユニット10(例えば4台の圧着ユニット10)と、移載(搬入)されるパネル基板1を保持するステージ11と、ステージ11に保持されたパネル基板1の端子部2に仮圧着されたそれぞれのTCP4とそれぞれの圧着ユニット10との位置合わせを行うパネル基板保持装置12を備えている。なお、パネル基板保持装置12は、パネル基板1を図示X軸方向又はY軸方向に移動させる機能(XY移動機能)と、X軸方向及びY軸方向を含む平面(水平平面)内においてパネル基板1を回転させる機能(θ回転機能)と、Z軸方向にパネル基板1を昇降させる機能(昇降機能)とを有している。このような機能によりパネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2をそれぞれの圧着ユニット10と位置合わせすることが可能となっている。また、本圧着装置100には、このような位置合わせを行うために、パネル基板1の端子部2の位置を認識する認識カメラ(図示しない)が備えられている。なお、図3において、X軸方向とY軸方向はパネル基板1の大略表面沿いの方向となっており、パネル基板1の搬送方向がX軸方向であり、X軸方向に直交する方向がY軸方向であり、図示鉛直方向がZ軸方向となっている。
また、本圧着装置100(あるいは部品実装ライン)には、それぞれの工程を行う装置間にてパネル基板1の搬入および搬出を行う基板搬送装置20が備えられている。基板搬送装置20は、パネル基板1の下面を真空吸着手段(図示しない)により解除可能に吸着保持するパネル保持部21と、パネル保持部21の昇降動作を行う昇降部22と、パネル保持部21及び昇降部22を図示X軸方向に沿って移動させることで、パネル基板1の各装置間の搬送を行う移動装置23とを備えている。なお、本第1実施形態においては、パネル保持部21が真空吸着手段によりパネル基板1の保持を行うような場合を例として説明するが、このような場合に代えて、機械的なチャック手段を有するパネル保持部によりパネル基板1が保持されるような場合であってもよい。
また、本圧着装置100には、それぞれの圧着ユニット10等の構成部の動作制御を互いの動作と関連付けながら統括的に行う制御装置19が備えられている。この制御装置19により、各々の圧着ユニット10等の個別的あるいは統括的な動作制御が行われながら、本圧着装置100に搬入されるパネル基板1に対する本圧着工程が行われる。
ここで、本圧着装置100が備える圧着ユニット10の模式側面図を図4に示し、図3及び図4を参照しながら、本圧着装置100および圧着ユニット10の構成について、さらに詳細に説明する。
図3に示すように、本圧着装置100は、複数の圧着ユニット10として、例えば合計4台の圧着ユニット10をX軸方向に一列に配列して備えている。各圧着ユニット10は、パネル基板1の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧して圧着する押圧体の一例である圧着ヘッド31と、この圧着ヘッド31による圧着動作の際に、パネル基板1の端子部2をその下面側から支持する縁部支持部材の一例であるバックアップステージ32を備えている。
図3及び図4に示すように、各圧着ユニット10において、バックアップステージ32は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有する柱状体であるユニットフレーム33の下部に固定されており、圧着ヘッド31がZ軸方向に配置されたLMガイド34(押圧体案内部材の一例)を介してその昇降動作を案内可能にユニットフレーム33(ユニット支持部材の一例)の上部に取り付けられている。なお、本第1実施形態では、バックアップステージ32はユニットフレーム33の下部に固定されるような構成について説明するが、このような場合に代えて、例えば、バックアップステージ32が上下方向に可動式として昇降可能にユニットフレーム33に支持され、バックアップステージ昇降部によりバックアップステージ32の昇降動作が行われるような場合であっても良い。
図3及び図4に示すように、本圧着装置100の基台フレーム13上には、2本のLMガイド35がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド(案内支持部材の一例)35を介して、4台の圧着ユニット10におけるユニットフレーム33がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム13に支持されている。また、図4に示すように、各圧着ユニット10のユニットフレーム33の下部には、圧着ユニット10のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ(ユニット移動装置の一例である)36が備えられている。すなわち、4台の圧着ユニット10は、個別に圧着ヘッド31とバックアップステージ32とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ36が駆動されることにより、2本のLMガイド35に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。ここで、「それぞれ独立した移動」とは、1台の圧着ユニット10の移動が、自身が備えるユニット移動用モータ36の駆動により行われ、他の1台の圧着ユニット10の移動が、それ自身が備えるユニット移動用モータ36の駆動により行われ、両者の移動速度や移動のタイミングを個別に設定することが可能な移動のことである。なお、それぞれの圧着ユニット10が互いに接触することを防止する等、安全制御の実施のために、両者の移動制御が関連付けられるような場合であってもよい。
また、図4に示すように、各圧着ユニット10は、ほぼ水平に配置されるパネル基板1に対して垂直な方向(Z軸方向)である押圧方向Dに沿って、圧着ヘッド31を進退移動、すなわち昇降動作させるための力を圧着ヘッド31に付与するとともに、TCP4に当接された状態の圧着ヘッド31に対して本圧着のための力を付与する押圧駆動部である流体圧シリンダの一例の加圧ユニット(例えば、エアシリンダ)37が備えられている。この加圧ユニット37は、Y軸方向にてユニットフレーム33を間に挟んで圧着ヘッド31と対向して配置され、ユニットフレーム33に固定されている。すなわち、図4において、ユニットフレーム33の図示左側に圧着ヘッド31が配置され、ユニットフレーム33の図示右側に加圧ユニット37が配置されている。
また、図4に示すように、それぞれの圧着ユニット10において、加圧ユニット37にて発生された力を、圧着ヘッド31に機械的に伝達するための手段として、リンク機構が採用されている。具体的には、リンク機構は、ユニットフレーム33の上部先端に回動可能にそのほぼ中央付近にて支持されたレバー38(レバー部材の一例)が、その図示左端にて、圧着ヘッド31の上部と回動可能に接続され、その図示右端にて、加圧ユニット37の内部のピストンに連結されたロッド37aの端部と回動可能に接続されることにより構成されている。なお、レバー38は、大略Y軸方向に沿って配置されており、その支持位置や接続位置における回動は、YZ平面内にて行うことが可能とされている。リンク機構がこのように構成されていることにより、加圧ユニット37のロッド37aとレバー38との接続位置C1を「力点」とし、圧着ヘッド31とレバー38との接続位置C2を「作用点」とし、ユニットフレーム33によるレバー38の支持位置C3を「支点」として、加圧ユニット37にて発生された力を、レバー38を介して、圧着ヘッド31に伝達することが可能となっている。すなわち、加圧ユニット37にて発生されたZ軸方向沿いに作用する力の方向を、レバー38にて反転させながら、レバー38を通して圧着ヘッド31にこの力を伝達し、圧着ヘッド31を押圧方向Dに沿って動作させることが可能に構成されている。このようにユニットフレーム33の上部に支持されたレバー38を用いて、ユニットフレーム33の一方の側に配置されかつ支持位置C3より低い位置に配置された加圧ユニット37にて発生された力を、ユニットフレーム33の他方の側に配置されかつ支持位置C3より低い位置に配置された圧着ヘッド31に伝達可能な構成が採用されていることにより、圧着ユニット10全体を低くコンパクトな構造とすることができるとともに、圧着ユニット10における荷重バランスを良好なものにすることができる。したがって、圧着ユニット10の小型化かつ低重心化を図ることができ、X軸方向における圧着ユニット10の移動の迅速化あるいは効率化を図ることができる。
また、図4に示すように、それぞれの圧着ユニット10が備える加圧ユニット37は、圧力発生源39に導圧管等を介して接続されており、圧力制御部40により制御されながら所望の力(圧力)を生成することができるように、圧縮空気の供給量が制御される。
また、図3及び図4に示すように、基台フレーム13上には、剛体部材により形成された大略門型形状を有する門型フレーム41がX軸方向に沿って固定されており、この門型フレーム41の内側に4台の圧着ユニット10が配列されている。さらに、この門型フレーム41には、支持位置C3回りのレバー38の回動動作を、レバー38と当接して規制することで、圧着ヘッド31の押圧方向D沿いの動作を規制可能なヘッド動作規制装置42(動作速度規制装置および押圧体移動装置の一例)が設けられている。ヘッド動作規制装置42は、門型フレーム41の内側にてX軸方向に延在して配置され、4台の圧着ユニット10のレバー38の接続位置C1における端部38aの上部と当接可能な棒状部材である1本の規制部材43と、この規制部材43を昇降動作(押圧方向D沿いに進退移動)させる規制部材昇降装置44とを備えている。なお、規制部材43は1本としたが、圧着ユニット10との当接による動作規制に悪影響がなければ、規制部材43を複数本の分割構造としても良い。
このような構成のヘッド動作規制装置42を用いて、規制部材昇降装置44により下降された規制部材43にて、レバー38の端部38aの上部と規制部材43の下部とを当接させ、この当接状態にて、加圧ユニット37により加圧力をレバー38に伝達するとともに、規制部材昇降装置42により規制部材43を所望の速度にて上昇させることで、レバー38の端部38aの上昇速度を、上記所望の速度に規制することができる。特に、加圧ユニット37のように流体の圧力にてレバー38を動作させるような構成では、レバー38の動作速度を迅速に制御することが困難である。そのため、本第1実施形態では、レバー38の動作速度を確実に制御するために、ヘッド動作規制装置42を採用している。このようにレバー38の動作速度を規制することで、レバー38の支持位置C3回りの回動速度を規制することが可能となり、その結果、圧着ヘッド31がバックアップツール32へと向かう方向の動作速度(下降速度)を高速から低速への切り替え等を含む所定の速度に規制することができる。なお、規制部材43はその下部においてレバー38の端部38aと当接される構成となっているため、圧着ヘッド31がバックアップツール32へと向かう動作が行われる場合に動作速度の規制が行われることになる。また、規制部材昇降装置42により規制部材43を上昇させて、レバー38の端部38aから離間させることにより、レバー38の動作規制を解除することができる。すなわち、規制部材昇降装置42により規制部材43を、レバー38との当接位置と、レバー38から離間された退避位置との間で進退移動させることが可能となっている。これにより、レバー38を通して圧着ヘッド31に加圧ユニット37の加圧力が直接伝達可能となり、パネル基板1にACF3を介して実装される部品であるTCP4への圧着ヘッド31の当接の直後に、TCP4の圧着の為の所望の加圧力の伝達を確実に行うことができる。また、図3に示すように、このようなヘッド動作規制装置42は、それぞれの圧着ユニット10に個別に備えられているのではなく、4台の圧着ユニット10に共通して1台のヘッド動作規制装置42が備えられている。このように共通した1台のヘッド動作規制装置42を備えさせることにより、個々の圧着ユニット10の構成の簡素化および小型化を図ることができるとともに、圧着ヘッド31の動作速度を規制する規制部材昇降装置42の規制部材43と圧着ユニット10とを離間可能な構成とすることで、圧着ユニット10のX軸方向沿いの移動の迅速化等を図ることができる。
また、それぞれのユニット移動用モータ36による圧着ユニット10のX軸方向の移動位置の情報は制御装置19に取得され、制御装置19にて互いに圧着ユニット10同士が干渉することがないように、移動制御が行われる。また、ヘッド動作規制装置42によりそれぞれの圧着ヘッド31の一体的あるいは個々に独立した動作速度の規制、および圧力制御部40による加圧力の制御は、制御装置19により統括的に行われる。
次に、このような構成の圧着ユニット10における圧着動作について、図5A〜図5Dに示す模式説明図と、図6(A)〜(C)に示すグラフを用いて説明する。なお、図6(A)は圧着ヘッドの押圧力の変化を示すグラフであり、図6(B)は規制部材43とレバー38との接触関係の変化を示すグラフであり、図6(C)は圧着ヘッド31の高さ位置の変化を示すグラフである。
まず、図5Aに示す状態(時間T1−T2)では、レバー38と規制部材43とが互いに離間された状態(すなわち、規制部材43が退避位置に位置された状態)にあり、さらに圧着ヘッド31は高さ位置H1に位置されて、バックアップツール32上に配置されたパネル基板1およびTCP4から離間された状態にある(図6(A)参照)。このような状態においては、それぞれの圧着ユニット10のX軸方向の移動、すなわちそれぞれの圧着ユニット10の配置ピッチ等の変更を行うことが可能となっている。
次に、図5Bおよび図6(C)に示すように時間T2において、規制部材昇降装置44により下降された規制部材43と、レバー38の端部38aとを当接させる(すなわち、規制部材43を当接位置に位置させる。図6(B)参照)。この当接とともに、加圧ユニット37にて加圧力を発生させる。このように加圧力が発生されてレバー38に加圧力が伝達されても、規制部材43がレバー38と当接することによりレバー38の動作が規制されているため、圧着ヘッド31が急激に下降されることが確実に防止されている。
その後、時間T2から時間T3に向けて、規制部材昇降装置44により規制部材43が所定の速度にて上昇されることにより、圧着ヘッド31がパネル基板1へTCP4を圧着する方向に下降される。なお、このような所定の速度は、一定の速度である場合のみに限られるものではなく、例えば図6(C)から明らかなように高速から低速への速度切り替えがなされるような場合であってもよい。このように規制部材43が徐々に上昇されることにより、規制部材43に倣ってレバー38が回動され、その結果、圧着ヘッド31が高さ位置H1からパネル基板1のTCP4に向かう方向である押圧方向Dに沿って規制された速度にて下降される(図6(C)参照)。
やがて時間T3に達すると、図5Cに示すように、圧着ヘッド31が高さ位置H2にまで下降され、バックアップツール32上に配置されているパネル基板1の端子部2に仮圧着されているTCP4に圧着ヘッド31の下部先端(当接面または押圧面)が当接する。この当接により圧着ヘッド31の下降動作が実質的に制限される(ただし、押圧により僅かな下降は生じる)ため、加圧ユニット37により付加されている力がTCP4に対する押圧力となって生じる(図6(A)参照)。また、それとともに、図5Dに示すように、所定の速度(例えば、TCP4に圧着ヘッド31の下部先端が当接する前に高速から低速への速度切り替えされた後の速度)にて上昇が継続されている規制部材43が、圧着ヘッド31の下降位置の制限によりその回動動作が制限されているレバー38の端部38aから離間される(図6(B)参照)。
時間T4に向けて、圧着ヘッド31のTCP4をパネル基板1に押圧する押圧力が上昇し、やがて所定の押圧力Fに達し、押圧力FにてTCP4がパネル基板1に押圧されて本圧着動作が行われる。なお、この本圧着動作の際には、図示しないヒータ(圧着ヘッド31に内蔵)により加熱が行われる。
時間T4に達すると、本圧着動作が完了し、加圧ユニット37により逆向きに圧着ヘッド31が動作(すなわち上昇)されて、圧着ヘッド31がTCP4より離間され、時間T5にて図5Aに示す状態に戻される。このような一連の動作が行われることにより、パネル基板1へのTCP4の本圧着動作が行われる。
次に、本圧着装置100において、パネル基板1に対するTCP4の本圧着動作が行われる手順の詳細について説明する。この説明にあたって、本圧着動作の手順を示すフローチャートを図7に示し、パネル基板1の長辺側端子部2Aに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図8(A)、(B)に示し、短辺側端子部2Bに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図9(A)、(B)に示す。
図7のフローチャートのステップS1において、本圧着装置100のパネル基板保持装置12に1枚のパネル基板1が搬入されて、ステージ11により保持される。このパネル基板1は、図8(A)に示すように、X軸方向沿いの端子部を長辺側端子部2Aとして、Y軸方向沿いの端子部を短辺側端子部2Bとした姿勢にてステージ11に保持される。また、長辺側端子部2Aには間隔ピッチP1にて3個のTCP4が仮圧着されており、短辺側端子部2Bには間隔ピッチP2にて2個のTCP4が仮圧着されている。なお、間隔ピッチP1とP2は互いに異なっている。
次に、この搬入されたパネル基板1の識別情報と関連付けられて、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける部品圧着位置情報(第1圧着位置情報)が制御装置19にて取得される(ステップS2)。部品圧着位置情報には、長辺側端子部2AにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP1、さらに圧着されるTCP4の個数の情報などが含まれている。さらにこのような情報の中には、TCP4の種類及び熱圧着の加熱温度や加圧力の情報が含まれるような場合であってもよい。また、部品圧着位置情報の取得は、制御装置19の外部より入力されるような場合であってもよく、あるいは制御装置19の記憶部等に予め記憶されており、パネル基板1の識別情報あるいは予め選択されているパネル基板1の生産情報に基づいて記憶部等から読み出されるような場合であってもよい。
制御装置19において、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報が取得されると、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、それぞれの圧着ユニット10の配置が調整される(ステップS3)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(3個)の情報に基づいて、4台の圧着ユニット10の中から本圧着動作のために使用される3台の圧着ユニット10が選択される。このとき、4台の圧着ユニット10の中央側に位置される圧着ユニット10から順次選択される。選択された3台の圧着ユニット10は、その配列における略中央付近の領域である圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった1台の圧着ユニット41は、圧着動作実施領域Q1の両側において隣接する領域であるいずれかの退避領域Q2に位置されるように、それぞれの圧着ユニット10が備えるユニット移動用モータ36の駆動により、それぞれの圧着ユニット10がLMガイド35により案内されながら、それぞれ独立してX軸方向沿いに移動される。このように本圧着動作を実施する3台の圧着ユニット10を圧着動作実施領域Q1に位置させ、本圧着動作を実施しない1台の圧着ユニット10を退避領域Q2に位置させることにより、本圧着動作を実施しない1台の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉を防止して、確実に本圧着動作を実施することができる。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP1及びその位置の情報に基づいて、選択された3台の圧着ユニット10の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により個別に調整される。なお、このようなそれぞれの圧着ユニット10の移動は、規制部材43がレバー38より離間された状態(すなわち規制部材43が退避位置に位置された状態)にて行われる(図5A参照)。
このようにそれぞれの圧着ユニット10の配置調整、すなわち位置および配置間隔の調整が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1の移動が行われて、選択された3台の圧着ユニット10におけるそれぞれのバックアップステージ32上に、パネル基板1の3箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の長辺側端子部2Aが配置される(図5A、図8(A)及び(B)参照)。図8(A)および(B)に示すように、退避領域Q2に位置された1台の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、図5Bに示すように、加圧ユニット37およびヘッド動作規制装置42によりレバー38の規制しながらのレバー38の回動動作が行われてそれぞれの圧着ヘッド31が下降され、図5Cに示すように、圧着ヘッド31の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに図5D及び図6に示すように、加圧ユニット37により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける3箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して3個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS4)。その後、それぞれの加圧ユニット37によりそれぞれの圧着ヘッド31が上昇され、図5Aに示すような状態となる。
なお、上述の説明では、バックアップステージ32が固定式である場合についての本圧着動作について説明したが、図22Aおよび図22Bに示すように、バックアップステージ32が可動式であって昇降可能な構成が採用される場合であってもよい。このような構成が採用される場合には、バックアップステージ32の上方にパネル基板1の長辺側端子部2Aを配置した後、このパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に圧着ヘッド31を動作させるとともに、バックアップステージ昇降部73によりバックアップステージ32をパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット10については、パネル基板1の支持高さ位置である圧着高さ位置よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置)にバックアップステージ32を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット10とTCP4およびパネル基板1との干渉を防止することができる。そのため、例えば、圧着動作を行わない圧着ユニット10を退避領域Q2ではなく圧着動作実施領域Q1に位置させるような場合であっても、この圧着ユニット10とパネル基板1との干渉を防止することが可能となる。
次に、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ32から離間されるように移動され、保持されているパネル基板1がXY平面内においてθ回転移動されて、パネル基板1の短辺側端子部2BがX軸方向沿いとなるような姿勢とされる(ステップS5)。
次に、制御装置19において、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける部品圧着位置情報(第2圧着位置情報)が取得される(ステップS6)。この部品圧着位置情報には、短辺側端子部2BにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP2、さらに圧着されるTCP4の個数(2個)の情報などが含まれている。なお、本第1実施形態の手順の例としては、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報と、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報とが別々に取得されるような場合について説明するが、このような場合に代えて、両情報が同時に取得されるような場合であってもよい。
次に、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、図9(A)および(B)に示すように、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に対応して、それぞれの圧着ユニット10の配置が調整される(ステップS7)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(2個)の情報に基づいて、4台の圧着ユニット10の中から本圧着動作のために使用される2台の圧着ユニット10として、4台の圧着ユニット41の中央に位置される2台の圧着ユニット10が選択される。選択された2台の圧着ユニット10は、圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった両側の2台の圧着ユニット10は、それぞれの退避領域Q2に1台ずつ位置されるように、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により、それぞれの圧着ユニット10がLMガイド35により案内されながら、X軸方向沿いに移動される。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP2及びその位置の情報に基づいて、選択された2台の圧着ユニット10の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により調整される。なお、このようなそれぞれの圧着ユニット10の移動は、規制部材43がレバー38より離間された状態にて行われる(図5A参照)。
それぞれの圧着ユニット10の配置調整が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1の移動が行われて、選択された2台の圧着ユニット10におけるそれぞれのバックアップステージ32上に、2箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置される。ここで、図9(A)及び(B)は、バックアップステージ32上にパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置されている状態を示す。図9(A)及び(B)に示すように、退避領域Q2に位置された42の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、加圧ユニット37およびヘッド動作規制装置42によりレバー38を介してそれぞれの圧着ヘッド31が、規制された動作速度にて下降され、圧着ヘッド31の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに加圧ユニット37により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける2箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して2個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS8)。その後、加圧ユニット37によりそれぞれの圧着ヘッド31が上昇される。
なお、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作と同様に、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作についても、図22Aおよび図22Bに示すように、バックアップステージ32が可動式として昇降可能な構成が採用される場合であってもよい。この場合には、バックアップステージ32の上方にパネル基板1の短辺側端子部2Bを配置した後、このパネル1基板の短辺側端子部2Bに近づく方向に、圧着ヘッド31及びバックアップステージ32を動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット10については、圧着位置(支持高さ位置)よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置あるいは退避高さ位置)にバックアップステージ32を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット10とTCP4及びパネル基板1との干渉を防止することができる。
短辺側端子部2Bに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ32から離間されるように移動されて、本圧着装置100からパネル基板1が搬出される(ステップS9)。
本第1実施形態によれば、本圧着装置100において、パネル基板1の端子部2にTCP4を本圧着する圧着ヘッド31と、その本圧着の際にパネル基板1の端子部2を支持するバックアップステージ32とを備える一列に配置された複数の圧着ユニット10と、複数の圧着ユニット10に個別に備えられ、X軸方向沿いに圧着ユニット10を平行移動させて圧着ユニット10の配置を変更させる複数のユニット移動用モータ36とが備えられていることにより、パネル基板1の部品圧着位置情報、すなわち端子部2における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動用モータ36によりそれぞれの圧着ユニット10を個別に平行移動させて、圧着ユニット10の配置を部品圧着位置の配置と合致させることができる。したがって、パネル基板1の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した本圧着動作を効率的に実施することができる。
また、パネル基板1において、長辺側端子部2Aと短辺側端子部2Bとで、TCP4の圧着位置、間隔ピッチ、及び圧着されるTCP4の個数が異なるような場合であっても、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を行った後、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作を実施し、その後、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を行った後、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作を実施することで、それぞれの端子部2A、2Bの仕様に応じた部品圧着を確実かつ効率的に実施することができる。そのため、長辺側用の圧着ユニット及び短辺側用の圧着ユニットとしてそれぞれ専用の圧着ユニットを備えなくても、1台の本圧着装置100により長辺側端子部2A及び短辺側端子部2Bのそれぞれの圧着位置に応じた圧着ピッチに合わせるようにそれぞれの圧着ユニットの位置に迅速に切り替えを行い、パネル基板への部品圧着を効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット10において、ユニット移動用モータ36が個別に備えられていることにより、このようなそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を迅速かつ効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット10において、押圧方向D沿いの圧着ヘッド31の進退移動および押圧動作は、加圧ユニット37にて発生された力を、リンク機構を介して圧着ヘッド31に伝達することにより行われる。このようなリンク機構としては、ユニットフレーム33に回動可能に支持されたレバー38を用いて、加圧ユニット37からレバー38の一端に付加された力を、テコの原理を用いてレバー38の他端に接続された圧着ヘッド31に伝達することにより行われる。さらに、加圧ユニット37にて発生された力により、圧着ヘッド31の急激な移動を防止するために、レバー38の端部38aと規制部材43とを当接させて、規制部材昇降装置44による規制部材43の移動速度に圧着ヘッド31の動作速度を倣わすような構成が採用されている。そのため、圧着ヘッド31の動作(下降動作)を確実に制御しながらTCP4に当接させることができ、適切な押圧力にて本圧着動作を行うことができる。
さらに、このようなヘッド動作規制装置42を複数の圧着ユニット10にて共通の装置として備えさせていることにより、それぞれの圧着ユニット10の小型化および構造の簡素化を図ることができ、圧着ユニット10の配置変更を容易かつ迅速に行うことができる。特に、圧着ヘッド31を動作させる力を発生する手段として、電動モータ等ではなく、流体圧シリンダ(加圧ユニット37)を採用することにより、個々の圧着ユニット10をコンパクトな構造とすることができる。さらに、このような流体圧シリンダの動作を制御(規制)する装置をそれぞれの圧着ユニットに個別に備えさせるのではなく、共通の1台の装置と備えさせることにより、それぞれの圧着ユニット10をさらにコンパクトな構造として、その軽量化を図ることができる。したがって、ユニット移動用モータ36による移動性を良好なものとすることができる。
また、4台の圧着ヘッド31のうちの複数の圧着ヘッド31が選択される場合には、中央側に位置される圧着ヘッド31から順次選択されるようにすることで、このような共通のヘッド動作規制装置42による動作速度の規制が行われながら、TCP4の圧着動作が行われる際に、ヘッド動作規制装置42の構造に対する荷重バランスを良好なものとすることができ、パネル基板1に対するTCP4の圧着品質をより安定させることができる。
また、各圧着ユニット10において、圧着ヘッド31とバックアップステージ32とが一対とされ、互いの配置関係が保たれた状態にてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整のための移動が行われるような構成が採用されていることにより、どのような位置に移動されても圧着ヘッド31の圧着面(あるいは押圧面)とバックアップステージ32のパネル基板1の支持面との平行度(平行関係)を一定に保つことができる。したがって、本圧着工程における圧着精度(実装精度)を向上させることができる。
また、パネル基板1に対する本圧着動作が行われる選択された圧着ユニット10を圧着動作実施領域Q1に位置させて、本圧着動作を行わない選択されなかった圧着ユニット10を退避領域Q2に位置させるようにして、本圧着動作を実施する際に、圧着動作実施領域Q1に位置されているバックアップステージ32のみにより端子部2の支持を行わせることができる。例えば、図10に示すように、パネル基板1の両端部においてたわみWが生じているような場合にあっては、このようなたわみが生じている両端部近傍をバックアップステージ32により支持してしまうと、中央付近の端子部においてバックアップステージ32よりの浮き上がりが生じる恐れがある。このような浮き上がりを確実に防止するために、図10に示すように部品圧着位置が位置されている中央部付近のみを支持させることで、本圧着動作をより確実に実施することができる。なお、バックアップステージ32が可動式として昇降可能な構成であるような場合には、バックアップステージ32をパネル基板1から離間する方向、すなわち下方に位置(下降位置あるいは支持解除高さ位置)に移動させるようにして、本圧着動作を実施する際に、圧着動作を行う圧着ユニット10のバックアップステージ32のみにより端子部2の支持を行わせて、同様の効果を得ることができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる本圧着装置及び方法について以下に説明する。
上記第1実施形態の本圧着装置100では、パネル基板1がほぼ水平方向沿いの姿勢にてその搬送や本圧着動作が行われている。ここで、このような上記第1実施形態のパネル基板1の搬送方法を「水平搬送」と呼ぶものとする。この水平搬送が行われる場合、図11の模式図に示すように、仮圧着工程にてパネル基板1の端子部2に仮圧着された状態のTCP4の端部が、そのフレキシブル性により下方に向けて垂れ下がることになる。このようなTCP4の垂れ下がりを防止して確実な本圧着動作を行うためには、例えば、ステージ11やバックアップステージ32等に、TCP4の外方端部を支持するための支持部材を補助的に装備させるなどの対応が必要となる。また、近年、益々パネル基板の大型化の傾向が顕著となりつつあり、このようなアウターリードボンディング工程が行われる各装置において、パネル基板1のθ回転領域を確保するために、平面的な装置サイズの大型化を避けることは難しいという実情が存在する。
このような水平搬送の課題を改良すべく、本第2実施形態では、パネル基板1を垂直方向、すなわちXZ平面沿いに配置して、その搬送や本圧着動作などを行う構成(以降、「縦型搬送」とする。)が採用されている。図12に示すように、縦型搬送を採用することにより、パネル基板1に仮圧着されたTCP4に垂れ下がり等の現象が生じないようにすることができる。
このような本第2実施形態の縦型搬送が採用されたアウターリードボンディング工程の手順を示す説明図を図13に示す。図13に示すように、部品実装工程を行う装置に搬入されたパネル基板1に対して、まず、ACF貼り付け工程S500にて、それぞれの端子部2の端子電極2aに接合部材としてACFシート3の貼り付けを行い、その後、部品仮圧着工程S600にて、ACFシート3を介してTCP4をそれぞれの端子電極2aに仮圧着し、さらにその後、本圧着工程S700にて、仮圧着された状態のそれぞれのTCP4をさらに圧着して実装する。なお、この本圧着工程S700は、パネル基板1の長辺側端子部に対する本圧着工程S710と、パネル基板1の短辺側端子部に対する本圧着工程S720とに分けて行われる。各工程において、パネル基板1が縦型の姿勢にてその搬送および所定の動作が施される点を除いては、基本的に上記第1実施形態の水平搬送のアウターリードボンディング工程と同様である。
次に、本第2実施形態の縦型搬送のアウターリードボンディング工程の本圧着工程を行う本圧着装置200の構成について、圧着ユニット210および関連する構成を中心として説明する。図14A〜図14Dは、本圧着動作を説明するための圧着ユニット210の模式図であり、ぞれぞれの図は、上記第1実施形態の図5A〜図5Dに対応する状態の図である。また、以降の説明においては、その機能および構成が上記第1実施形態の圧着ユニット10と実質的に同じ構成部材には、同じ参照符号を付すことでその説明を省略するものとする。
本圧着装置200においては、複数の圧着ユニット210として、例えば4台の圧着ユニット210がX軸方向に沿って一列に配列して備えられている。図14Aに示すように、圧着ユニット210は、その押圧方向DがY軸方向となるように圧着ユニット210の配置が、上記第1実施形態と比してパネル基板1の搬送方向に対して直交する方向に90度回転されて実質的に水平面上に配置されている点を除いては、実質的に上記第1実施形態の圧着ユニット10と同じ構成を有している。
具体的には、図14Aに示すように、各圧着ユニット210は、圧着ヘッド31と、バックアップステージ32を備えており、バックアップステージ32は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有する柱状体であるユニットフレーム33の上部側面に固定されており、圧着ヘッド31がY軸方向に配置されたLMガイド34を介してその移動動作を案内可能にユニットフレーム33の上面に取り付けられている。また、本圧着装置200の基台フレーム13上には、大略L字状の断面を有する支持フレーム221が固定されている。この支持フレーム221の内側上面および側面のそれぞれの2本ずつのLMガイド35がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド35を介して、4台の圧着ユニット210のユニットフレーム33がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム13に支持されている。また、図14Aに示すように、各圧着ユニット210のユニットフレーム33の図示右側下部には、圧着ユニット210のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ36が備えられている。すなわち、4台の圧着ユニット210は、個別に圧着ヘッド31とバックアップステージ32とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ36が駆動されることにより、4本のLMガイド35に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。
また、図14Aに示すように、各圧着ヘッド31は、ほぼ垂直に配置されるパネル基板1に対して垂直な方向(Y軸方向)である押圧方向Dに沿って、圧着ヘッド31を進退移動、すなわち水平移動動作させるための力を圧着ヘッド31に付与するとともに、TCP4に当接された状態の圧着ヘッド31に対して本圧着のための力を付与する加圧ユニット37が備えられている。図14Aにおいて、ユニットフレーム33の図示上方側に圧着ヘッド31が配置され、ユニットフレーム33の図示下方側に加圧ユニット37が配置されている。
また、図14Aに示すように、それぞれの圧着ユニット210において、加圧ユニット37にて発生された力を、圧着ヘッド31に機械的に伝達するための手段として、リンク機構が採用されている。リンク機構は、上記第1実施形態と同様にユニットフレーム33の図示左側端部に回動可能にそのほぼ中央付近にて支持されたレバー38が、その図示上端にて、圧着ヘッド31の左側端部と回動可能に接続され、その図示下端にて、加圧ユニット37の内部のピストンに連結されたロッド37aの端部と回動可能に接続されることにより構成されている。なお、レバー38は、大略Z軸方向に沿って配置されており、その支持位置や接続位置における回動は、YZ平面内にて行うことが可能とされている。
また、図14Aに示すように、支持フレーム221には、剛体部材により形成された大略門型形状を有する門型フレーム41がXY平面に沿って配置された状態で固定されており、この門型フレーム41の内側に4台の圧着ユニット210が配列されている。さらに、この門型フレーム41には、門型フレーム41の内側にてX軸方向に延在して配置され、4台の圧着ユニット210のレバー38の端部38aの図示左側端部と当接可能な規制部材43と、この規制部材43をY軸方向に沿って移動させる規制部材昇降装置44とを備えるヘッド動作規制装置42が設けられている。
このような構成の本第2実施形態の本圧着装置200において、図14Aに示すように、バックアップステージ32に接するようにパネル基板を配置し、その後、図14Bに示すように、規制部材43によりレバー38の回動を規制しながら、加圧ユニット37にて加圧力を生じさせて、レバー38を介して圧着ヘッド31を押圧方向D、すなわちパネル基板1に部品であるTCP4を圧着する方向であるY軸方向沿いにバックアップステージ32に向かうように動作させる。やがて、図14Cに示すように、圧着ヘッド31がパネル基板1に仮圧着されたTCP4に当接し、圧着ヘッド31がTCP4を押圧してパネル基板1への本圧着動作が行われる。それとともに、図14Dに示すように、規制部材43はレバー38から離間されて、動作速度の規制が解除され、加圧ユニット37の加圧力がレバー38を介して圧着ヘッド31を所定の押圧力にてパネル基板1へTCP4を押圧する。その後、本圧着動作が完了すると、加圧ユニット37により圧着ヘッド31がTCP4から離間する方向に動作される。また、それぞれの圧着ユニット210のX軸方向沿いの移動、すなわち配置ピッチの変更は、図14Aに示すように、規制部材43が、それぞれのレバー38から離間された状態にて行われる。
上記第2実施形態のように、パネル基板1の縦型搬送が行われるような構成が採用される場合であっても、それぞれの圧着ユニット210をY軸方向に寝かした状態、すなわち、それぞれの圧着ヘッド31の押圧方向DがY軸方向に配置されるように、それぞれの圧着ユニット210を配置させることにより、縦型搬送の利点を得ながら上記第1実施形態と同様な効果を得ることができる本圧着装置200を実現することができる。特に、このような縦型搬送が採用される場合には、Y軸方向における装置幅は装置構成部材の大きさ(幅)により決定されることになるが、パネル基板1の縦型搬送に伴い、特に大型のパネル基板の搬送方向に直交する水平方向の装置幅が小さくなり、またそれぞれの圧着ユニット210の小型化および構成の簡素化を図ることにより、さらにパネル基板の搬送方向に直交する水平方向の装置幅の小型化を実現することができる。
(変形例)
次に、上記第1及び第2実施形態の本圧着装置の様々な変形例について図面を用いて説明する。なお、以降の説明において、上記第1及び第2実施形態の本圧着装置が有する構成要素と実質的に同一の構成要素には、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記第1実施形態では、ヘッド動作規制装置42を支持するための構造として、門型フレーム41を採用したが、このような門型フレーム41に代えて、図15および図16の本圧着装置300の模式図に示すように、それぞれの圧着ユニット10のY軸方向後方側に配置された支持フレーム351を用いることもできる。
このような支持フレーム351を用いた構成を採用することにより、それぞれの圧着ユニット10の配列方向に支持フレーム351が配置されない構成とすることができる。したがって、それぞれの圧着ユニット10の移動範囲に制約を無くすことができ、配置ピッチ変更のための移動の自由度を高めることができる。また、支持フレーム351を支持する基台フレーム13を、支持フレーム351をX軸方向に進退移動させる移載軸(すなわち移動装置)とするような場合(図示せず)には、支持フレーム351とともにそれぞれの圧着ユニット10を一体的にX軸方向に移動させることで、X軸方向におけるそれぞれの圧着ユニット10の実質的な移動範囲の拡大を行い、パネル基板1の搬送方向であるX軸方向に、特に支持フレーム351のX軸方向の幅を超えて大型化されたパネル基板1に対する部品の圧着作業に、支持フレーム351の大型化対応をすることなく、対応することが可能となる。また、このような支持フレームと基台フレームとの相対的な進退移動の構成は、水平搬送の本圧着装置だけでなく、縦型搬送の本圧着装置にも適用することができる。
これに対して、門型フレーム41を用いた構成では、規制部材43を通じて門型フレーム41に外力(レバー38の動作速度規制により生じる力)が付与されても、比較的フレームに反り等が発生し難く、より精確にレバー38の動作速度を規制することができる。
また、このように、門型フレームではなく、支持フレームにヘッド動作規制装置を固定するような構成は、上記第2実施形態のように縦型搬送を採用する本圧着装置にも適用することができる。
具体的には、図17の本圧着装置400の模式図に示すように、支持フレーム441をY軸方向に延在させて、ヘッド動作規制装置42を支持させるような構成を採用することができる。
また、図18の本圧着装置500の模式図に示すように、支持フレーム541上に配置された2本のLMガイド35のみにより、それぞれの圧着ユニット210のX軸方向の移動が案内されるような構成を採用することもできる。特に、圧着ユニット210が小型であり軽量化が図られているような場合には、このような構成に対応することが可能である。
また、上記第1および第2実施形態の本圧着装置では、加圧ユニットにて生じた加圧力を、レバー38を用いたリンク機構を用いて、ユニットフレームを挟んで反対側に配置されている圧着ヘッドに伝達するような構成について説明したが、本発明はこのような構成のみに限定されるものではない。このような構成に代えて、例えば、図19の本圧着装置600の模式図に示すような構成を採用することができる。
具体的には、図19に示すように、本圧着装置600において、圧着ヘッド631の押圧方向D沿いの動作軸(昇降軸)と同軸上に加圧ユニット627を配置し、加圧ユニット627のピストン627bに連結された下方側ロッド627aを直接的に圧着ヘッド631に接続する。さらに、ピストン627bに連結された上方側ロッド627cの上端部に形成された係合部627dの下部を、規制部材643の上部に係合可能とすることで、ヘッド動作規制装置642の規制部材昇降装置644により圧着ヘッド631の動作速度を規制可能としている。
このような同軸上における圧着ヘッド631の動作速度の規制を行う構成では、同軸上にて規制のための力が作用することとなり、力学上のバランスを良好なものとすることができる。一方、上記第1実施形態のように、レバー38を用いたような構成を採用すれば、圧着ユニットの高さを低く抑えることができ、装置の小型化や低重心化を図ることができ、それぞれの圧着ユニットの移動を迅速かつ容易に行うことができるという利点がある。なお、図19の本圧着装置600では、門型フレーム641が採用されており、図20に示す本圧着装置700では、支持フレーム741が採用されている。
また、図19に示す規制部材643と上方側ロッド627cの係合部627dとの係合関係は、その他様々な構成を適用することができ、例えば、図21の本圧着装置800の模式図に示すように、上方側ロッド827cの端部が貫通さるように形成され、その内部にて係合部827dと同軸上にて係合されるような規制部材843を有するヘッド動作規制装置842を採用することもできる。このような構成では、規制部材843の規制位置も含めて門型フレーム641の上部梁の面内で圧着ヘッド631の動作速度および位置による反力を受けることができ、ほぼ完全に同軸上のみにおいて力を作用させることができるため、力学なバランスをさらに良好にすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる部品圧着装置および部品圧着方法について説明する。まず、このような本第3実施形態の部品圧着装置および方法が用いられるアウターリードボンディング工程について、アウターリードボンディング工程を行う部品実装装置の一例である部品実装ライン100の構成を示す模式平面図を図23に示す。
図23に示すように部品実装ライン300は、パネル基板1に対してACF貼り付け工程を行うACF貼り付け装置320と、ACFシート3が貼り付けられた状態のパネル基板1に対してTCP4等の部品の部品仮圧着工程を行う部品仮圧着装置330と、パネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2に仮圧着されたTCP4を本圧着して実装する本圧着工程(本第3実施形態の部品圧着工程の一例である)を行う本圧着装置(本第3実施形態の部品圧着装置の一例である)340と、それぞれの装置間のパネル基板1の搬送を行う基板搬送装置350とを備えている。なお、それぞれの装置には、パネル基板1を保持する2つのステージを有するパネル基板保持装置が備えられており、予め設定されたサイズ以下のパネル基板1を2枚同時に保持した状態にて、それぞれの工程を実施することが可能となっている。また、予め設定されたサイズを超えるパネル基板1に対しては、例えば2つのステージのうちの一方のステージにより1つのパネル基板1を保持した状態にて、それぞれの工程を実施することも可能となっている。
ACF貼り付け装置320は、テープ供給部321よりテープ回収部322へ送り出されるテープ状のACFシート3を所定の長さに切断してパネル基板1の端子部2に貼り付ける2台の圧着ユニット323と、基板搬送装置350より搬送されるパネル基板1が移載されるとともにその保持を行い、保持されたパネル基板1の端子部2と圧着ユニット323との位置決めを行う基板保持装置の一例であるパネル基板保持装置324を備えている。パネル基板保持装置324は、パネル基板1を保持する2つのステージ324a及び324bを備えており、それぞれのステージ324a及び324bに保持されたパネル基板1を図示X軸方向又はY軸方向に移動させる機能(XY移動機能)と、X軸方向及びY軸方向を含む平面(水平平面)内においてパネル基板1を回転させる機能(θ回転機能)と、Z軸方向にパネル基板1を昇降させる機能(昇降機能)とを有しており、このような機能によりパネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2をそれぞれの圧着ユニット323と位置合わせすることが可能となっている。また、ACF貼り付け装置320には、このような位置合わせを行うために、パネル基板1の端子部2の位置を認識する2台の認識カメラ326が備えられている。また、それぞれの圧着ユニット323によるACF貼付動作は、パネル基板1の端子部2がその下方側からバックアップツール325により支持されて行われる。なお、図23において、X軸方向とY軸方向はパネル基板1の大略表面沿いの方向となっており、パネル基板1の搬送方向がX軸方向であり、X軸方向に直交する方向がY軸方向であり、図示鉛直方向がZ軸方向となっている。
部品仮圧着装置330は、カセット内に収容された状態の複数のTCP4を供給するTCP供給カセット部(図示しない)と、TCP供給カセット部から供給されるTCP4を、ACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aに仮圧着する複数の仮圧着ヘッド(実装ヘッドあるいは押圧体の一例)332と、パネル基板1が移載されるとともにその保持を行う2つのステージ333a及び333bと、それぞれのステージ333a及び333bに保持されたパネル基板1の端子部2と仮圧着ヘッド332との位置決めを行うパネル基板保持装置333とを備えている。部品仮圧着装置330には、仮圧着ヘッド332が4台備えられており、それぞれの仮圧着ヘッド332が回転可能に同心円上に均等に配置され、円周上における図23の上方の位置であるTCP供給位置と、下方の位置である仮圧着位置とに順次それぞれの仮圧着ヘッド332が配置されるようないわゆるロータリー方式が採用されている。また、部品仮圧着装置330には、パネル基板1の端子部2及び仮圧着ヘッド332に吸着保持されたTCP4の位置を認識するための2台の認識カメラ334と、TCP供給位置において仮圧着ヘッド332に吸着保持されるTCP4の保持姿勢を認識するためのプリセンタカメラ336とがさらに備えられている。なお、パネル基板保持装置333は、XY移動機能、θ回転機能、及び昇降機能を有している。また、それぞれの仮圧着ヘッド332による部品仮圧着動作は、パネル基板1の端子部2がその下方側からバックアップツール335により支持された状態で行われる。
本圧着装置340は、パネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧しながら加熱することで、ACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aにTCP4を本圧着、すなわち熱圧着(実装)する複数の圧着ユニット341と、移載されるパネル基板1を保持する2つのステージ343a及び343bと、それぞれのステージ343a及び343bに保持されたパネル基板1の端子部2に仮圧着されたそれぞれのTCP4とそれぞれの圧着ユニット341との位置合わせを行うパネル基板保持装置343を備えている。なお、パネル基板保持装置343は、XY移動機能、θ回転機能、及び昇降機能を有している。また、このような位置合わせを行うために、2枚のパネル基板1のそれぞれの位置の認識を行う2台の認識カメラ344が備えられている。なお、圧着ユニット341を含む本圧着装置340の詳細な構成については後述するものとする。
基板搬送装置350は、パネル基板1の下面を真空吸着手段(図示しない)により解除可能に吸着保持するパネル保持部351と、パネル保持部351の昇降動作を行う昇降部(図示しない)と、パネル保持部351及び昇降部を図示X軸方向に沿って移動させることで、パネル基板1の各装置間の搬送を行う移動装置353とを備えている。また、基板搬送装置350において、パネル保持部351は、それぞれの工程間、すなわちそれぞれの装置間に個別に配置されており、装置間におけるパネル基板1の受け渡しのための搬送を、互いに独立して行うことが可能となっている。なお、本第3実施形態においては、パネル保持部351が真空吸着手段によりパネル基板1の保持を行うような場合を例として説明するが、このような場合に代えて、機械的なチャック手段を有するパネル保持部によりパネル基板1が保持されるような場合であってもよい。
また、部品実装ライン300には、それぞれの装置320、330、340、及び350の動作制御を互いの動作と関連付けながら統括的に行う制御装置319が備えられている。この制御装置319により、各々の装置における個別的な動作制御が行われながら、上流側の装置から下流側の装置へと順次パネル基板1の搬送制御が行われて、複数のパネル基板1に対する部品実装動作が行われる。なお、制御装置319の制御方式としては、集中制御方式が採用される場合であってよく、あるいは、各々の装置に個別に備えられ、互いの装置間でパネル基板1の搬送制御信号のやり取りを行うような制御方式が採用されるような場合であってもよい。
次に、このような構成を有する部品実装ライン300における部品実装動作について説明する。なお、以降に説明するそれぞれの動作は、制御装置319により制御されて行われる。
まず、パネル基板1が図23に示す部品実装ライン300に搬入される。搬入されたパネル基板1は、基板搬送装置350のパネル保持部351により保持され、その保持状態にて移動装置353により図示X軸方向に搬送されて、ACF貼り付け装置320のパネル基板保持装置324上に載置される。パネル基板保持装置324において載置されたパネル基板1の下面が吸着保持されると、基板搬送装置350のパネル保持部351による吸着保持が解除される。
次に、パネル基板保持装置324により保持されたパネル基板1のXY移動が行われて、長辺側の端子部2と圧着ユニット323との位置合わせが行われ、その後、圧着ユニット323によりACFシート3が長辺側の端子部2に貼り付けられる(ACF貼り付け工程)。なお、この位置決めされた状態においては、長辺側端子部2はその下面側よりバックアップツール325により直接支持された状態とされているため、ACFシート3の確実な貼り付け動作を行うことができる。その後、パネル基板保持装置324によるそれぞれのステージ324a、324bのθ回転が行われて、短辺側の端子部2と圧着ユニット323との位置合わせが行われて、圧着ユニット323によりACFシート3が短辺側の端子部2に貼り付けられる。ACF貼り付け工程が完了すると、基板搬送装置350のパネル保持部351がパネル基板1の下面を吸着保持するとともに、パネル基板保持装置324による吸着保持が解除されて、パネル基板1が基板搬送装置350に受け渡される。その後、基板搬送装置350により、ACFシート3が貼り付けられた状態のパネル基板1が部品仮圧着装置330へ搬送される。
基板仮圧着装置330においては、基板搬送装置350により搬送されたパネル基板1が、パネル基板保持装置333のそれぞれのステージ333a、333b上に載置されて受け渡される。一方、TCP供給位置に位置されている仮圧着ヘッド332にTCP4が供給されて、TCP4が仮圧着ヘッド332に吸着保持された状態とされる。その後、それぞれの仮圧着ヘッド332の回転移動が行われ、TCP4を吸着保持した仮圧着ヘッド332が仮圧着位置に位置される。それとともに、パネル基板保持装置333によりパネル基板1の各種移動が行われることにより、長辺側の端子部2の一の端子電極2aと仮圧着ヘッド332との位置合わせが行われ、その後、仮圧着ヘッド332が下降されることにより、TCP4がACFシート3を介して端子電極2aに仮圧着される。同様な動作が順次繰り返されて、それぞれの端子電極2aにTCP4が仮圧着される(部品仮圧着工程)。長辺側の端子部2に対するTCP4の仮圧着が完了すると、パネル基板保持装置333によりパネル基板1のθ回転が行われ、短辺側の端子部2と仮圧着ヘッド332との位置合わせが行われ、短辺側の端子部2のそれぞれの端子電極2aへのTCP4の仮圧着が順次行われる。部品仮圧着工程が完了すると、基板搬送装置350のパネル保持部351がパネル基板1の下面を吸着保持するとともに、パネル基板保持装置333による吸着保持が解除されて、パネル基板1が基板搬送装置350に受け渡される。その後、基板搬送装置350により、TCP4が仮圧着された状態のパネル基板1が本圧着装置340へ搬送される。
本圧着装置340において、基板搬送装置350により搬送されたパネル基板1が、パネル基板保持装置343のそれぞれのステージ343a、343b上に載置されて受け渡される。その後、パネル基板保持装置343により、パネル基板1の長辺側端子部2とそれぞれの圧着ユニット341との位置合わせが行われ、その後、それぞれの圧着ユニット341により、仮付け状態にあるそれぞれのTCP4がACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aに押圧されながら加熱されて、熱圧着によるTCP4の実装が行われる(本圧着工程)。なお、この圧着ユニット341によるそれぞれのTCP4の押圧は、圧着ユニット341の押圧面に汚れなどが付着しないように、保護テープ(図示せず)を介して行われる。また、圧着ユニット341よりACFシート3に熱が付与されることによりACFシート3が熱硬化される。本圧着工程が完了すると、基板搬送装置350のパネル保持部351がパネル基板1の下面を吸着保持するとともに、パネル基板保持装置343による吸着保持が解除されて、パネル基板1が基板搬送装置350に受け渡される。その後、基板搬送装置350により、それぞれのTCP4が実装された状態のパネル基板1が搬送されて、部品実装ライン300より搬出される。部品実装ライン300においては、基板搬送装置350により複数のパネル基板1が順次搬送され、それぞれの装置において所定の工程が施されることにより、アウターリードボンディング工程が行われる。なお、パネル基板1の辺の縁部に部品であるTCP4を実装する場合を例として示したが、本発明はこのような場合についてのみ限定されるものではなく、例えば、COF(Chip On Film)基板にICチップなどの部品を実装するような場合であっても良い。この場合、COF基板は、パネル基板1のように方形状における互いに隣接する2辺の縁部に部品実装領域が配置されるような場合のみに限られず、種々の位置関係にある複数の部品実装領域が配置されるような場合であっても良い。
次に、部品実装ライン300において、部品圧着工程の一例である本圧着工程が行われる本圧着装置340の構成について、さらに詳細に説明する。この説明にあたって、Y軸方向から見た本圧着装置340の模式正面図を図24に示し、X軸方向から見た模式側面図を図25Aに示す。
図23、図24及び図25Aに示すように、本圧着装置340は、複数の圧着ユニット341として、合計6台の圧着ユニット341をX軸方向に一列に配列して備えている。各圧着ユニット341は、パネル基板1の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧して圧着する圧着ヘッド(押圧体の一例)361と、この圧着ヘッド361による圧着動作の際に、パネル基板1の端子部2をその下面側から支持する縁部支持部材の一例であるバックアップステージ362を備えている。
図25Aに示すように、各圧着ユニット341において、バックアップステージ362は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有するユニットフレーム363の下部に固定されており、圧着ヘッド361がZ軸方向に配置されたLMガイド364を介してその昇降動作を案内可能にユニットフレーム363の上部に取り付けられている。なお、バックアップステージ362はユニットフレーム363の下部に固定されるような構成のみに限られず、このような場合に代えて、例えば、図25D及び図25Eに示すように、バックアップステージ362が上下方向に可動式として昇降可能にユニットフレーム363に支持され、バックアップステージ昇降部373によりバックアップステージ362の昇降動作が行われるような場合であっても良い。
図24及び図25Aに示すように、本圧着装置340の基台フレーム372上には、2本のLMガイド365がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド(案内支持部材の一例である)365を介して、6台の圧着ユニット341におけるユニットフレーム363がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム372に支持されている。また、図25Aに示すように、各圧着ユニット341のユニットフレーム363の下部には、圧着ユニット341のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ(ユニット移動装置の一例である)366が備えられている。すなわち、6台の圧着ユニット341は、個別に圧着ヘッド361とバックアップステージ62とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ366が駆動されることにより、LMガイド365に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。ここで、「それぞれ独立した移動」とは、1台の圧着ユニット341の移動が、自身が備えるユニット移動用モータ366の駆動により行われ、他の1台の圧着ユニット341の移動が、それ自身が備えるユニット移動用モータ366の駆動により行われ、両者の移動速度や移動のタイミングを個別に設定することが可能な移動のことである。なお、それぞれの圧着ユニット341が互いに接触することを防止する等、安全制御の実施のために、両者の移動制御が関連付けられるような場合であってもよい。
図25Aに示すように、本圧着装置340の基台フレーム372には、6台の圧着ヘッド361を一体的に昇降させる1台の共通のヘッド昇降装置367(共通の押圧体移動装置の一例)が備えられている。共通のヘッド昇降装置367は、その昇降駆動力をカムフォロア374介してそれぞれの昇降フレーム368に伝達し、さらにこのそれぞれの昇降フレーム368を介して圧着ヘッド361に伝達することで、それぞれの圧着ヘッド361の圧着動作における昇降の速度及び位置を駆動動作する。また、それぞれの昇降フレーム368は、それぞれのユニットフレーム363にZ軸方向に配置されたLMガイド375を介してその昇降動作を案内可能にユニットフレーム363に支持されている。なお、複数の圧着ヘッド361を一体的に昇降させる1台の共通のヘッド昇降装置367が備えられるような構成について説明したが、このような場合に代えて、複数の圧着ヘッド361のそれぞれにヘッド昇降装置を設けて個々に独立して昇降させるような構成を採用してもよい。
また、図25Aに示すように、各圧着ヘッド361は、圧着ヘッド361における圧着動作のための加圧力を生成する加圧ユニット(例えば、エアシリンダ)369を内蔵している。各加圧ユニット369は、圧力発生源370に導圧管等を介して接続されており、圧力制御部371により制御されながら所望の加圧力を生成することができるように、圧縮空気の供給量が制御される。
また、それぞれのユニット移動用モータ366による圧着ユニット341のX軸方向の移動位置の情報は制御装置319に取得され、制御装置319にて互いに圧着ユニット341同士が干渉することがないように、移動制御が行われる。また、ヘッド昇降装置367によりそれぞれの圧着ヘッド361の一体的あるいは個々に独立した昇降動作、及び圧力制御部371により加圧力の制御は、制御装置319により統括的に制御される。なお、一部の圧着ユニット341が圧着動作を行わない場合は、圧着動作を行わない圧着ユニット341の圧着ヘッド361の動作アクチュエータである加圧ユニット369をパネル基板1へTCP4の圧着を行う方向とは反対方向へ動作させるあるいは位置させても良い。
次に、このような構成を有する部品実装ラインの本圧着装置340において、パネル基板1に対するTCP4の本圧着動作が行われる手順の詳細について説明する。なお、本圧着装置340における本圧着動作の手順は、上記第1実施形態における図7のフローチャートに示す手順と同様である。また、パネル基板1の長辺側端子部2Aに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図26(A)、(B)に示し、短辺側端子部2Bに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図27(A)、(B)に示す。なお、以下の本圧着動作の手順の説明においては、パネル基板保持装置343が備える2つのステージ343a、343bのうちの1つのステージ343aのみにパネル基板1が保持されて、このパネル基板1に対して本圧着動作が行われる場合を例として説明する。
図7のフローチャートのステップS1において、本圧着装置340のパネル基板保持装置343に1枚のパネル基板1が搬入されて、ステージ343aにより保持される。このパネル基板1は、図26(A)に示すように、X軸方向沿いの端子部を長辺側端子部2Aとして、Y軸方向沿いの端子部を短辺側端子部2Bとした姿勢にてステージ343aに保持される。また、長辺側端子部2Aには間隔ピッチP1にて3個のTCP4が仮圧着されており、短辺側端子部2bには間隔ピッチP2にて2個のTCP4が仮圧着されている。なお、間隔ピッチP1とP2は互いに異なっている。
次に、この搬入されたパネル基板1の識別情報と関連付けられて、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける部品圧着位置情報(第1圧着位置情報)が制御装置319にて取得される(ステップS2)。部品圧着位置情報には、長辺側端子部2AにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP1、さらに圧着されるTCP4の個数の情報などが含まれている。さらにこのような情報の中には、TCP4の種類及び熱圧着の加熱温度や加圧力の情報が含まれるような場合であってもよい。また、部品圧着位置情報の取得は、制御装置319の外部より入力されるような場合であってもよく、あるいは制御装置319の記憶部等に予め記憶されており、パネル基板1の識別情報に基づいて記憶部等から読み出されるような場合であってもよい。
制御装置319において、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報が取得されると、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、それぞれの圧着ユニット341の配置が調整される(ステップS3)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(3個)の情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の中から本圧着動作のために使用される3台の圧着ユニット341が選択される。このとき、6台の圧着ユニット341の中央側に位置される圧着ユニット341から順次選択される。選択された3台の圧着ユニット341は、その配列における略中央付近の領域である圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった両側の3台の圧着ユニット341は、圧着動作実施領域Q1の両側において隣接する領域である退避領域Q2に位置されるように、それぞれの圧着ユニット341が備えるユニット移動用モータ366の駆動により、それぞれの圧着ユニット341がLMガイド365により案内されながら、それぞれ独立してX軸方向沿いに移動される。このように本圧着動作を実施する3台の圧着ユニット341を圧着動作実施領域Q1に位置させ、本圧着動作を実施しない3台の圧着ユニット341をその両側に配置された退避領域Q2に位置させることにより、本圧着動作を実施しない3台の圧着ユニット341とパネル基板1との干渉を防止して、確実に本圧着動作を実施することができる。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP1及びその位置の情報に基づいて、選択された3台の圧着ユニット341の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ366の駆動により調整される。
このようにそれぞれの圧着ユニット341の配置調整が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1の移動が行われて、選択された3台の圧着ユニット341におけるそれぞれのバックアップステージ362上あるいはその上方に、3箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の長辺側端子部2Aが配置される。ここで、図25B、並びに図26(A)及び(B)は、バックアップステージ362上にパネル基板1の長辺側端子部2Aが配置されている状態の例を示す図である。図26(A)及び(B)に示すように、退避領域Q2に位置された3台の圧着ユニット341とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、図25Cに示すように、ヘッド昇降装置367により昇降フレーム368を介してそれぞれの圧着ヘッド361が下降され、圧着ヘッド361の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに加圧ユニット369により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける3箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して3個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS4)。その後、ヘッド昇降装置367によりそれぞれの圧着ヘッド362が上昇される。なお、バックアップステージ362が固定式である場合についての本圧着動作について説明したが、バックアップステージ362が可動式として昇降可能な構成が採用される場合には、バックアップステージ362の上方にパネル基板1の長辺側端子部2Aを配置した後、このパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に、圧着ヘッド361及びバックアップステージ362を動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット341については、パネル基板1の支持高さ位置である圧着高さ位置よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置)にバックアップステージ362を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット341とTCP4及びパネル基板1との干渉を防止することができる。そのため、例えば、圧着動作を行わない圧着ユニット341を退避領域Q2ではなく圧着動作実施領域Q1に位置させるような場合であっても、この圧着ユニット341とパネル基板1との干渉を防止することが可能となる。
長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ362から離間されるように移動され、保持されているパネル基板1がXY平面内においてθ回転移動されて、パネル基板1の短辺側端子部2BがX軸方向沿いとなるような姿勢とされる(ステップS5)。
次に、制御装置319において、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける部品圧着位置情報(第2圧着位置情報)が取得される(ステップS6)。この部品圧着位置情報には、短辺側端子部2BにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP2、さらに圧着されるTCP4の個数(2個)の情報などが含まれている。なお、本第3実施形態の手順の例としては、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報と、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報とが別々に取得されるような場合について説明するが、このような場合に代えて、両情報が同時に取得されるような場合であってもよい。
次に、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、それぞれの圧着ユニット341の配置が調整される(ステップS7)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(2個)の情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の中から本圧着動作のために使用される2台の圧着ユニット341として、6台の圧着ユニット341の中央に位置される2台の圧着ユニット341が選択される。選択された2台の圧着ユニット341は、圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった両側の4台の圧着ユニット341は、それぞれの退避領域Q2に2台ずつ位置されるように、それぞれのユニット移動用モータ366の駆動により、それぞれの圧着ユニット341がLMガイド365により案内されながら、X軸方向沿いに移動される。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP2及びその位置の情報に基づいて、選択された2台の圧着ユニット341の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ366の駆動により調整される。
それぞれの圧着ユニット341の配置調整が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1の移動が行われて、選択された2台の圧着ユニット341におけるそれぞれのバックアップステージ362上あるいはその上方に、2箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置される。ここで、図27(A)及び(B)は、バックアップステージ362上にパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置されている状態を示す。図27(A)及び(B)に示すように、退避領域Q2に位置された4台の圧着ユニット341とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、ヘッド昇降装置367により昇降フレーム368を介してそれぞれの圧着ヘッド361が下降され、圧着ヘッド361の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに加圧ユニット369により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける2箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して2個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS8)。その後、ヘッド昇降装置367によりそれぞれの圧着ヘッド362が上昇される。なお、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作と同様に、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作についても、バックアップステージ362が可動式として昇降可能な構成が採用される場合には、バックアップステージ362の上方にパネル基板1の短辺側端子部2Bを配置した後、このパネル1基板の短辺側端子部2Bに近づく方向に、圧着ヘッド361及びバックアップステージ362を動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット341については、圧着位置(支持高さ位置)よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置あるいは退避高さ位置)にバックアップステージ362を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット341とTCP4及びパネル基板1との干渉を防止することができる。
短辺側端子部2Bに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ362から離間されるように移動されて、本圧着装置340からパネル基板1が搬出される(ステップS9)。
本第3実施形態によれば、本圧着装置340において、パネル基板1の端子部2にTCP4を本圧着する圧着ヘッド361と、その本圧着の際にパネル基板1の端子部2を支持するバックアップステージ362とを備える一列に配置された複数の圧着ユニット341と、複数の圧着ユニット341に個別に備えられ、X軸方向沿いに圧着ユニット341を平行移動させて圧着ユニット341の配置を変更させる複数のユニット移動用モータ366とが備えられていることにより、パネル基板1の部品圧着位置情報、すなわち端子部2における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動用モータ366によりそれぞれの圧着ユニット341を個別に平行移動させて、圧着ユニット341の配置を部品圧着位置の配置と合致させることができる。したがって、パネル基板1の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した本圧着動作を効率的に実施することができる。
また、パネル基板1において、長辺側端子部2Aと短辺側端子部2Bとで、TCP4の圧着位置、間隔ピッチ、及び圧着されるTCP4の個数が異なるような場合であっても、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット341の配置調整を行った後、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作を実施し、その後、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット341の配置調整を行った後、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作を実施することで、それぞれの端子部2A、2Bの仕様に応じた部品圧着を確実かつ効率的に実施することができる。そのため、長辺側用の圧着ユニット及び短辺側用の圧着ユニットとしてそれぞれ専用の圧着ユニットを備えなくても、1台の本圧着装置340により長辺側端子部2A及び短辺側端子部2Bのそれぞれの圧着位置に応じた圧着ピッチに合わせるようにそれぞれの圧着ユニットの位置に迅速に切り替えを行い、パネル基板への部品圧着を効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット341において、ユニット移動用モータ366が個別に備えられていることにより、このようなそれぞれの圧着ユニット341の配置調整を迅速かつ効率的に行うことができる。
一方、それぞれの圧着ユニット341には、圧着ヘッド361の昇降動作を行う昇降装置を個別に備えさせることなく、6台の圧着ヘッド361を一体的に昇降させる共通の1台のヘッド昇降装置367を備えさせるような構成が採用されていることがより好ましい。このような構成を採用することにより、個々の圧着ユニット341を簡単な構造として、その軽量化を図ることができ、ユニット移動用モータ366による移動性を良好なものとすることができる。
また、6台の圧着ヘッド341のうちの複数の圧着ヘッド341が選択される場合には、中央側に位置される圧着ヘッド341から順次選択されるようにすることで、このような共通のヘッド昇降装置367による昇降動作が行われ、TCP4の圧着動作が行われる際に、ヘッド昇降装置367の構造に対する荷重バランスを良好なものとすることができ、パネル基板1に対するTCP4の圧着品質をより安定させることができる。
また、各圧着ユニット341において、圧着ヘッド361とバックアップステージ362とが一対とされ、互いの配置関係が保たれた状態にてそれぞれの圧着ユニット341の配置調整のための移動が行われるような構成が採用されていることにより、どのような位置に移動されても圧着ヘッド361の圧着面(あるいは押圧面)とバックアップステージ362のパネル基板1の支持面との平行度(平行関係)を一定に保つことができる。したがって、本圧着工程における圧着精度(実装精度)を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本第3実施形態の変形例にかかる本圧着方法について、図28(A)、(B)及び図29(A)、(B)に示す模式説明図を用いて以下に説明する。
上記実施形態の説明では、本圧着装置340に搬入されるパネル基板1が1枚である場合について説明したが、本変形例では2枚のパネル基板1が本圧着装置340に搬入される場合について説明する。
図28(A)及び(B)に示すように、搬入された2枚のパネル基板1は、パネル基板保持装置343のそれぞれのステージ343a、343bに個別に保持される。それぞれのパネル基板1の長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の配置調整が行われる。具体的には、1枚のパネル基板1に対して3台の圧着ユニット341が選択されてその配置調整が行われる。その後、パネル基板保持装置343によりそれぞれのパネル基板1が移動されて、圧着ユニット341との位置決めが行われ、それぞれのバックアップステージ362上に長辺側端子部2Aが配置される。この状態が図28(A)及び(B)に示す状態である。その後、それぞれの圧着ヘッド361により長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が行われる。
長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が完了すると、それぞれのパネル基板1がバックアップステージ362上から退避され、その後、それぞれのパネル基板1のθ回転移動が行われ、短辺側端子部2BがX軸方向沿いに配置される。それぞれのパネル基板1の短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の配置調整が行われる。具体的には、1枚のパネル基板1に対して2台の圧着ユニット341が選択されて、選択されなかった両端の2台の圧着ユニット341は、退避領域Q2に移動されるように、それぞれの配置調整が行われる。その後、パネル基板保持装置343によりそれぞれのパネル基板1が移動されて、圧着ユニット341との位置決めが行われ、それぞれのバックアップステージ362上に短辺側端子部2Bが配置される。この状態が図29(A)及び(B)に示す状態である。その後、それぞれの圧着ヘッド361により短辺側端子部2Aに対する本圧着動作が行われる。その後、それぞれのパネル基板1は、本圧着装置340から搬出される。なお、バックアップステージ362が可動式として昇降可能な構成を有する場合には、上述の選択されなかった両端の2台の圧着ユニット341について、バックアップステージ362をパネル基板1から離れる方向に退避(例えば下降)させて、これら2台の圧着ユニット341について圧着動作が行われないようにすることもできる。
本変形例にように、パネル基板保持装置343に2枚のパネル基板1が保持されてその本圧着動作が行われるような場合であっても、長辺側端子部2Aと短辺側端子部2Bとの部品圧着位置の相違に対応して本圧着動作を確実かつ効率的に実施することができる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2007年12月4日に出願された日本国特許出願No.2007−313718号、No.2007−313722号、およびNo.2007−313727号の明細書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明は、部品圧着領域をその縁部に有する基板、特に液晶ガラスパネル基板やプラズマディスプレイパネル基板などに代表される基板の部品圧着領域に部品を押圧して圧着する部品圧着装置及び方法に関する。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)パネル基板やプラズマディスプレイパネル(PDP)基板等の基板(以下、「パネル基板」とする)に、電子部品、機械部品、光学部品等の部品、フレキシブルプリント配線基板(FPC基板)等の基板、あるいはCOG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)、ICチップ、TCP(Tape Carrier Package)等の半導体パッケージの部品などが圧着して実装されることで、ディスプレイ装置の製造が行われている。
このようなパネル基板(例えば、液晶ディスプレイ基板)に対する部品実装装置(部品実装ライン)においては、部品保持装置により保持されたパネル基板1の1辺あるいは2辺の縁部に形成されたそれぞれの端子部(部品圧着領域)に対して、異方性導電膜(ACF)シートを貼り付けるACF貼り付け工程を行うACF貼り付け装置、それぞれの端子部においてACFシートを介してTCP等の部品を圧着ユニットにより仮圧着する部品仮圧着工程を行う部品仮圧着装置、端子部に仮圧着された部品を、仮圧着により高い圧力と温度で加圧しながら加熱してACFシートを介して圧着して実装する本圧着工程を行う本圧着装置、及びパネル基板をその下面側より保持して、それぞれの装置にて作業可能に順次搬送する基板搬送装置を備えている。このような構成の従来の部品実装ラインにおいて、パネル基板を基板搬送装置により順次搬送させながら、それぞれの装置において所定の工程を施すことで、パネル基板のそれぞれの端子部に対する部品の実装が行われる。
近年、このような従来の部品実装ラインにおいて取り扱われるパネル基板は、例えば携帯電話向けの比較的小型のパネル基板からパーソナルコンピュータ向けの比較的大型のパネル基板などというように様々なサイズのものが取り扱われる。また、取り扱われるパネル基板の種類に応じて、その端子部における部品の圧着位置の配置も異なる。このような様々な種類のパネル基板に対する部品の圧着に対応するために、例えば、特許第3275744号公報(文献1)及び特開2006−287011号公報(文献2)のように、圧着ヘッドとこの圧着動作の際にパネル基板の端子部を下側から支持するバックアップステージとを、パネル基板の端子部沿いに移動させて、パネル基板の種類に応じた部品の圧着位置の相違に対応できるような構成が採用されている。
特許第3275744号公報
特開2006−287011号公報
特に文献2では、圧着ヘッドとバックアップステージとが一対とされた圧着ユニットを複数台配列させて、パネル基板の仕様に応じて圧着ユニットの配置位置や使用台数を任意に選択できるような構成が採用されている。しかしながら、文献2の構成では、複数の圧着ユニットに対して設けられている1台のユニット位置調整手段により、1台のみの圧着ユニットの配置を調整することができるのみであり、同時に複数の圧着ユニットの配置を調整することはできない。そのため、部品実装ラインにて取り扱われるパネル基板の種類が変わる毎に、ユニット位置調整手段によりそれぞれの圧着ユニットの位置を順次調整して、新たな種類のパネル基板の圧着位置の配置に対応することとなる。すなわち、文献2の構成では、このようなそれぞれの圧着ユニットの位置調整には当然に時間を要することとなる。
一方、近年、パネル基板の仕様もさらに多様化する傾向にあり、パネル基板の長辺側の端子部と短辺側の端子部とでは、部品の圧着位置の配置ピッチや個数が異なるようなパネル基板も少なくない。しかしながら、文献2の構成を有する従来の装置では、このようなパネル基板に対しては、長辺側の端子部への部品圧着を実施した後、短辺側の端子部への部品圧着を行う毎に、それぞれの圧着ユニットの配置位置を調整する必要があり、効率的な部品圧着を行うことができない。そのため、長辺側の端子部に対する部品圧着を行う長辺側本圧着装置と、短辺側の端子部に対する部品圧着を行う短辺側本圧着装置というように、別々の圧着装置を部品実装ラインに備えさせることで、このようなパネル基板に対する部品圧着に対応している。
さらに、仮に複数の圧着ユニットに対して複数のユニット位置調整手段により、それぞれの圧着ユニットの配置を調整するような構成を考えるような場合であっても、それぞれの圧着ユニットの配置変更の迅速化の観点からは、装置構成をより小型化かつ簡素化を図ることが望まれる。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、部品装着領域をその縁部に有する基板に対する部品圧着において、圧着ヘッドと縁部支持部材とを備える複数の圧着ユニットの配置を容易かつ迅速に変更することができ、基板の縁部の部品圧着位置の配置に応じた効率的な部品圧着を行うことができる部品圧着装置及び方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、基板の縁部の部品圧着領域に部品を押圧して圧着する部品圧着装置において、
基板に対して垂直な方向である押圧方向に移動することで、基板の部品圧着領域に部品を押圧する押圧体と、押圧体による押圧の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材とを備える一列に配列され、かつ基板の縁部沿いに平行移動可能な複数の圧着ユニットと、
複数の押圧体を一体的に押圧方向に移動させる共通の押圧体移動装置とを備え、
各々の圧着ユニットは、
押圧方向に押圧体の進退移動を案内する押圧体案内部材と、
押圧体案内部材および縁部支持部材が設けられ、押圧体案内部材を介して押圧体を支持するユニット支持部材と、
ユニット支持部材に設けられ、かつ押圧方向沿いに押圧体を進退移動させるための力および部品を基板に圧着するための力を、押圧体に付与する押圧駆動部とをさらに備え、
押圧駆動部により縁部支持台に向けて動作されるそれぞれの押圧体の動作速度を、複数の圧着ユニットにて共通して規制する規制部材を有する共通の動作速度規制装置を、共通の押圧体移動装置として備える、部品圧着装置を提供する。
本発明の第2態様によれば、複数の圧着ユニットに個別に備えられ、基板の縁部沿いに圧着ユニットを、それぞれ独立した動作にて平行移動させて圧着ユニットの配置を変更させる複数のユニット移動装置をさらに備える、第1態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第3態様によれば、動作速度規制装置において、規制部材は、押圧体が縁部支持台に向かう方向にて直接的または間接的に押圧体と係合可能であって、
動作速度規制装置は、押圧方向沿いに規制部材を進退移動させる規制部材移動装置とを備え、
それぞれのユニット移動装置による圧着ユニットの基板の縁部沿いの平行移動は、規制部材と押圧体との直接的または間接的な係合が解除された状態にて行われる、第2態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第4態様によれば、それぞれの圧着ユニットにおいて、ユニット支持部材の一方側に配置された押圧駆動部にその一端が回動可能に接続され、ユニット支持部材の他方側に配置された押圧体にその他端が回動可能に接続され、一端と他端との間にてユニット支持部材に回動可能に支持されたレバー部材をさらに備え、
レバー部材は、ユニット支持部材による支持位置を支点とし、一端を押圧駆動部による力が付与される力点とし、他端を付与された力を押圧体に作用させる作用点とする、第3態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第5態様によれば、それぞれの圧着ユニットにおいて、押圧方向沿いの押圧体の進退移動の軸上に押圧駆動部が配置され、進退移動の軸上にて規制部材が押圧駆動部と係合されることにより、押圧体の動作速度の規制が行われる、第3態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第6態様によれば、それぞれの圧着ユニットを基板の縁部沿いの方向に移動可能に支持するとともに、動作速度規制装置を支持する支持フレームと、
支持フレームを複数の圧着ユニットとともに一体的に基板の縁部沿いの方向に進退移動させる移動装置とをさらに備える、第2態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第7態様によれば、基板を保持して、部品が圧着される縁部を、縁部支持部材上あるいはその上方に配置させるように基板の移動を行う基板保持装置と、
基板の縁部の部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置情報を有し、圧着位置情報に基づいてそれぞれのユニット移動装置を制御して、複数の圧着ユニットの配置を複数の部品の圧着位置に合致させるように、それぞれ独立した動作にて複数の圧着ユニットを基板の縁部沿いに平行移動させるとともに、基板保持装置を制御して、それぞれの圧着位置における縁部を縁部支持部材上あるいはその上方に配置させる制御装置とをさらに備える、第2態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第8態様によれば、基板に対する圧着動作を行う圧着ユニットが配置される圧着動作実施領域と、圧着動作実施領域の両端側に隣接して配置され、圧着動作を行わない圧着ユニットが配置される退避領域とにおいて、ユニット移動装置による基板の縁部沿いの平行移動を案内可能にそれぞれの圧着ユニットを支持する案内支持部材をさらに備える、第2態様に記載の部品圧着装置を提供する。
本発明の第9態様によれば、基板の縁部の部品圧着領域に複数の部品を押圧して圧着する部品圧着方法において、
基板の部品圧着領域に部品を押圧する押圧体と、押圧体による圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材が設けられたユニット支持部材と、ユニット支持部材に設けられ、かつ基板に対して垂直な方向である押圧方向沿いに押圧体を進退移動させるための力を、押圧体に付与する押圧駆動部とを備え、一列に配列された複数の圧着ユニットを、基板の縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように縁部沿いの方向にそれぞれ独立して移動させて、それぞれの位置決めを行い、
基板の縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上あるいはその上方に配置し、
その後、それぞれの圧着ユニットの押圧駆動部にて、押圧体を進退移動させるための力を発生させて、縁部支持台に向けて押圧体を動作させるとともに、押圧体が縁部支持台に向かう方向にて、複数の圧着ユニットにて共通の規制部材を直接的または間接的にそれぞれの押圧体に係合させながら共通の規制部材の移動速度を制御することにより、それぞれの押圧体の動作速度を共通して規制し、
それぞれの押圧体が部品と当接する際に、押圧体と共通の規制部材との係合を解除して、それぞれの押圧体により縁部に対して複数の部品を圧着する、部品圧着方法を提供する。
本発明の第10態様によれば、基板の縁部における複数の部品の圧着位置と、複数の圧着ユニットとの位置決めを行う際に、それぞれの圧着ユニットを基板の縁部沿いの方向に移動可能に支持するとともに、共通の規制部材を支持する支持フレームを、基板の縁部沿いの方向に複数の圧着ユニットとともに一体的に移動させる、第9態様に記載の部品圧着方法を提供する。
本発明の一の態様によれば、部品圧着装置において、基板の部品圧着領域に部品を押圧する押圧体と、基板に対して垂直な方向である押圧方向に押圧体の進退動作を案内する押圧体案内部材および押圧体による圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材が設けられたユニット支持部材と、ユニット支持部材に設けられ、かつ押圧方向沿いに押圧体を進退移動させるための力および部品を圧着するための力を押圧体に付与する押圧駆動部とを備える複数の圧着ユニットと、複数の圧着ユニットに個別に備えられ、基板の縁部沿いの方向に圧着ユニットをそれぞれ独立した動作にて移動させて圧着ユニットの配置を変更させる複数のユニット移動装置とを備える構成が採用されている。このような構成により、基板の部品圧着領域における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動装置によりそれぞれの圧着ユニットを個別に独立した並列動作にて(それぞれ独立した動作にて)基板の縁部沿いの方向に移動させて、圧着ユニットの配置を部品圧着位置と合致させるように変更可能に動作させることができる。
また、押圧駆動部により縁部支持台に向けて動作されるそれぞれの押圧体の動作速度を規制する動作速度規制装置を、それぞれの圧着ユニットに個別に備えさせるのではなく、複数の圧着ユニットにて共通して規制する共通の動作速度規制装置として備えさせた構成が採用されている。これにより、押圧駆動部を用いた押圧体への力の伝達を確実に圧着のための圧力として生じさせることを可能としながら、押圧方向への押圧体の動作速度を規制して、適切な動作速度にて押圧体を部品に当接させることができる。さらに、このような動作速度規制装置を複数の圧着ユニットにて共通の装置として備えさせていることにより、それぞれの圧着ユニットの小型化および構造の簡素化を図ることができ、圧着ユニットの配置変更を容易かつ迅速に行うことができる。したがって、基板の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した圧着動作を効率的に実現することができる。
本発明の他の態様によれば、部品圧着装置において、基板の部品圧着領域に部品を圧着する押圧体と、その圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材とを備える一列に配置された複数の圧着ユニットと、複数の圧着ユニットに個別に備えられ、縁部沿いに圧着ユニットを平行移動させて圧着ユニットの配置を変更させる複数のユニット移動装置とを備える構成が採用されている。このような構成により、基板の部品圧着領域における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動装置によりそれぞれの圧着ユニットを個別に独立した並列動作にて(それぞれ独立した動作にて)平行移動させて、圧着ユニットの配置を部品圧着位置と合致させるように変更可能に動作させることができる。したがって、基板の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した圧着動作を効率的に実現することができる。
また、複数の押圧体を個別ではなく、一体的に昇降させることで、それぞれの押圧体を押圧方向に一体的に進退移動させる共通の押圧体昇降装置を備える構成が採用されている。これにより、それぞれの圧着ユニットの小型化および構造の簡素化を図ることができ、それぞれの圧着ユニットの平行移動による配置変更を容易かつ迅速に行うことができる。したがって、基板の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した圧着動作を効率的に実現することができる。
また、部品が圧着される第1縁部と第2縁部を有する基板の互いに直交する第1縁部と第2縁部の部品圧着領域に複数の部品を押圧して圧着する部品圧着方法において、基板の部品圧着領域に部品を圧着する押圧体と、圧着の際に基板の縁部を支持する縁部支持部材とを備える一列に配置された複数の圧着ユニットを、基板の第1縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように第1縁部沿いにそれぞれ独立して平行移動させて、それぞれの位置決めを行い、その後、第1縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上あるいはその上方に配置して、複数の押圧体を共通の押圧体昇降装置により一体的に下降させることにより第1縁部に対して複数の部品を圧着することができる。その後、第1縁部と縁部支持部材とを離間させて、さらに、基板の第2縁部における部品圧着領域に圧着される複数の部品の圧着位置に合致させるように、複数の圧着ユニットを第2縁部沿いにそれぞれ独立して平行移動させて、それぞれの位置決めを行い、その後、第2縁部の複数の圧着位置を縁部支持部材上に配置し、複数の押圧体を共通の押圧体昇降装置により一体的に下降させることにより第2縁部に対して複数の部品を圧着することができる。このような部品圧着方法によれば、基板において第1縁部の部品圧着位置と第2縁部の部品圧着位置とで、その配置や個数が相違するような場合であっても、圧着動作が行われる縁部の仕様に応じてそれぞれの圧着ユニットの配置を効率的かつ迅速に変更することができる。また、複数の押圧体を下降させる際に、個別の昇降装置を用いるのではなく、共通の押圧体昇降装置を用いて一体的な下降動作を行っているため、圧着ユニットの構造の簡素化および軽量化が可能となり、それぞれの圧着ユニットの平行移動を効率的に行うことが可能となる。したがって、特に第1縁部と第2縁部とで互いに異なる部品圧着位置の配置に対応した部品圧着を効率的に実現することができる。
本発明のこれらの態様と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1は、本発明の第1実施形態にかかる部品実装ラインにて取り扱われるパネル基板の外観図であり、
図2は、第1実施形態のアウターリードボンディング工程(水平搬送)の模式説明図であり、
図3は、第1実施形態の本圧着装置の外観図であり、
図4は、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図であり、
図5Aは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T1−T2)であり、
図5Bは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T2)であり、
図5Cは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T3)であり、
図5Dは、第1実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(時間T3−T4)であり、
図6は、(A)の圧着ヘッドの押圧力の時間変化を示すグラフ、(B)の規制部材とレバーとの接触関係の時間変化を示すグラフ、(C)の圧着ヘッドの高さ位置の時間変化を示すグラフの時間的な相関性を示すグラフであり、
図7は、第1実施形態の本圧着方法の手順を示すフローチャートであり、
図8は、パネル基板の長辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図9は、パネル基板の短辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図10は、両端部にたわみが生じたパネル基板をバックアップステージにより保持している状態を示す模式図であり、
図11は、第1実施形態の水平搬送におけるTCPの垂れ下がり状態を説明する模式説明図であり、
図12は、本発明の第2実施形態の縦型搬送の状態を示す模式説明図であり、
図13は、第2実施形態のアウターリードボンディング工程(縦型搬送)の模式説明図であり、
図14Aは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T1−T2に相当)であり、
図14Bは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T2に相当)であり、
図14Cは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T3に相当)であり、
図14Dは、第2実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(図6の時間T3−T4に相当)であり、
図15は、第1および第2実施形態の変形例にかかる本圧着装置の外観図(水平搬送)であり、
図16は、図15の変形例の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(水平搬送)であり、
図17は、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(縦型搬送)であり、
図18は、別の変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(縦型搬送)であり、
図19は、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(規制構造の変形例)であり、
図20は、別の変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(規制構造の変形例)であり、
図21は、さらに別の変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(規制構造の変形例)であり、
図22Aは、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り)であり、
図22Bは、変形例にかかる本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り)であり、
図23は、本発明の第3実施形態にかかる本実施形態の部品実装ラインの模式平面図であり、
図24は、第3実施形態の本圧着装置のY軸方向から見た模式正面図であり、
図25Aは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図であり、
図25Bは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(パネル基板配置状態)であり、
図25Cは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(本圧着動作実施状態)であり、
図25Dは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り、パネル基板配置状態)であり、
図25Eは、第3実施形態の本圧着装置のX軸方向から見た模式側面図(バックアップステージ昇降部有り、本圧着動作実施状態)であり、
図26は、1枚のパネル基板の長辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図27は、1枚のパネル基板の短辺側端子部に対して本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図28は、2枚のパネル基板の長辺側端子部に対して変形例にかかる本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図であり、
図29は、2枚のパネル基板の短辺側端子部に対して変形例にかかる本圧着動作を実施している状態の模式説明図であり、(A)は模式平面図、(B)は模式正面図である。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる部品圧着装置及び部品圧着方法を説明するにあたって、まず、これらの部品圧着装置及び方法において取り扱われるパネル基板1の形態と、このパネル基板1に対して施される圧着処理(あるいは実装処理)の概要について、パネル基板1の外観を示す図1を用いて説明する。
まず、図1に示すように、本第1実施形態において取り扱われる基板は、液晶ディスプレイ(LCD)パネル基板やプラズマディスプレイパネル(PDP)基板等に代表される基板(以降、「パネル基板」という。)1であり、方形状における互いに隣接する2辺の縁部に、部品が実装される部品実装領域R1が配置された端子部2を有している。なお、このようなパネル基板1は、一般的に長方形状を有しており、それぞれの端子部2は、長辺側端子部(図1における図示奥側の端子部であり、第1縁部の一例である)と短辺側端子部(図1における図示手前側の端子部であり、第2縁部の一例である)として形成されている。また、それぞれの端子部2には複数の端子電極2aが形成されており、これらの端子電極2aにそれぞれの部品が圧着されて実装されることで電気的に接続されることになる。また、パネル基板1における縁部の内側の領域は、画像や文字情報などの映像が表示される表示領域となっている。なお、パネル基板1は、主にガラス材料により形成されており、その厚さが例えば0.5mm以下となるような薄型化が図られて来ている。
このような構造のパネル基板1に対して、本第1実施形態の部品圧着方法を含む部品実装工程の手順を示す説明図を図2に示す。図2に示すように、部品実装工程を行う装置に搬入されたパネル基板1に対して、まず、接合部材配置工程の一例であるACF貼り付け工程S100にて、それぞれの端子部2の端子電極2aに接合部材としてACFシート3の貼り付けを行い、その後、部品圧着工程の一例である部品仮圧着工程S200にて、ACFシート3を介して部品として例えばTCP4をそれぞれの端子電極2aに仮圧着する。さらにその後、本圧着工程S300にて、仮圧着された状態のそれぞれのTCP4をさらに圧着して実装する。なお、この本圧着工程S300は、パネル基板1の長辺側端子部に対する本圧着工程S310と、パネル基板1の短辺側端子部に対する本圧着工程S320とに分けて行われる。このようなパネル基板1に対するTCP4の実装工程は、アウターリードボンディング工程と呼ばれている。
次に、このようなアウターリードボンディング工程の本圧着工程を行う部品圧着装置の一例である本圧着装置100の構成を示す模式図を図3に示す。
本圧着装置100は、パネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧しながら加熱することで、ACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aにTCP4を本圧着、すなわち熱圧着(実装)する複数の圧着ユニット10(例えば4台の圧着ユニット10)と、移載(搬入)されるパネル基板1を保持するステージ11と、ステージ11に保持されたパネル基板1の端子部2に仮圧着されたそれぞれのTCP4とそれぞれの圧着ユニット10との位置合わせを行うパネル基板保持装置12を備えている。なお、パネル基板保持装置12は、パネル基板1を図示X軸方向又はY軸方向に移動させる機能(XY移動機能)と、X軸方向及びY軸方向を含む平面(水平平面)内においてパネル基板1を回転させる機能(θ回転機能)と、Z軸方向にパネル基板1を昇降させる機能(昇降機能)とを有している。このような機能によりパネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2をそれぞれの圧着ユニット10と位置合わせすることが可能となっている。また、本圧着装置100には、このような位置合わせを行うために、パネル基板1の端子部2の位置を認識する認識カメラ(図示しない)が備えられている。なお、図3において、X軸方向とY軸方向はパネル基板1の大略表面沿いの方向となっており、パネル基板1の搬送方向がX軸方向であり、X軸方向に直交する方向がY軸方向であり、図示鉛直方向がZ軸方向となっている。
また、本圧着装置100(あるいは部品実装ライン)には、それぞれの工程を行う装置間にてパネル基板1の搬入および搬出を行う基板搬送装置20が備えられている。基板搬送装置20は、パネル基板1の下面を真空吸着手段(図示しない)により解除可能に吸着保持するパネル保持部21と、パネル保持部21の昇降動作を行う昇降部22と、パネル保持部21及び昇降部22を図示X軸方向に沿って移動させることで、パネル基板1の各装置間の搬送を行う移動装置23とを備えている。なお、本第1実施形態においては、パネル保持部21が真空吸着手段によりパネル基板1の保持を行うような場合を例として説明するが、このような場合に代えて、機械的なチャック手段を有するパネル保持部によりパネル基板1が保持されるような場合であってもよい。
また、本圧着装置100には、それぞれの圧着ユニット10等の構成部の動作制御を互いの動作と関連付けながら統括的に行う制御装置19が備えられている。この制御装置19により、各々の圧着ユニット10等の個別的あるいは統括的な動作制御が行われながら、本圧着装置100に搬入されるパネル基板1に対する本圧着工程が行われる。
ここで、本圧着装置100が備える圧着ユニット10の模式側面図を図4に示し、図3及び図4を参照しながら、本圧着装置100および圧着ユニット10の構成について、さらに詳細に説明する。
図3に示すように、本圧着装置100は、複数の圧着ユニット10として、例えば合計4台の圧着ユニット10をX軸方向に一列に配列して備えている。各圧着ユニット10は、パネル基板1の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧して圧着する押圧体の一例である圧着ヘッド31と、この圧着ヘッド31による圧着動作の際に、パネル基板1の端子部2をその下面側から支持する縁部支持部材の一例であるバックアップステージ32を備えている。
図3及び図4に示すように、各圧着ユニット10において、バックアップステージ32は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有する柱状体であるユニットフレーム33の下部に固定されており、圧着ヘッド31がZ軸方向に配置されたLMガイド34(押圧体案内部材の一例)を介してその昇降動作を案内可能にユニットフレーム33(ユニット支持部材の一例)の上部に取り付けられている。なお、本第1実施形態では、バックアップステージ32はユニットフレーム33の下部に固定されるような構成について説明するが、このような場合に代えて、例えば、バックアップステージ32が上下方向に可動式として昇降可能にユニットフレーム33に支持され、バックアップステージ昇降部によりバックアップステージ32の昇降動作が行われるような場合であっても良い。
図3及び図4に示すように、本圧着装置100の基台フレーム13上には、2本のLMガイド35がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド(案内支持部材の一例)35を介して、4台の圧着ユニット10におけるユニットフレーム33がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム13に支持されている。また、図4に示すように、各圧着ユニット10のユニットフレーム33の下部には、圧着ユニット10のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ(ユニット移動装置の一例である)36が備えられている。すなわち、4台の圧着ユニット10は、個別に圧着ヘッド31とバックアップステージ32とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ36が駆動されることにより、2本のLMガイド35に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。ここで、「それぞれ独立した移動」とは、1台の圧着ユニット10の移動が、自身が備えるユニット移動用モータ36の駆動により行われ、他の1台の圧着ユニット10の移動が、それ自身が備えるユニット移動用モータ36の駆動により行われ、両者の移動速度や移動のタイミングを個別に設定することが可能な移動のことである。なお、それぞれの圧着ユニット10が互いに接触することを防止する等、安全制御の実施のために、両者の移動制御が関連付けられるような場合であってもよい。
また、図4に示すように、各圧着ユニット10は、ほぼ水平に配置されるパネル基板1に対して垂直な方向(Z軸方向)である押圧方向Dに沿って、圧着ヘッド31を進退移動、すなわち昇降動作させるための力を圧着ヘッド31に付与するとともに、TCP4に当接された状態の圧着ヘッド31に対して本圧着のための力を付与する押圧駆動部である流体圧シリンダの一例の加圧ユニット(例えば、エアシリンダ)37が備えられている。この加圧ユニット37は、Y軸方向にてユニットフレーム33を間に挟んで圧着ヘッド31と対向して配置され、ユニットフレーム33に固定されている。すなわち、図4において、ユニットフレーム33の図示左側に圧着ヘッド31が配置され、ユニットフレーム33の図示右側に加圧ユニット37が配置されている。
また、図4に示すように、それぞれの圧着ユニット10において、加圧ユニット37にて発生された力を、圧着ヘッド31に機械的に伝達するための手段として、リンク機構が採用されている。具体的には、リンク機構は、ユニットフレーム33の上部先端に回動可能にそのほぼ中央付近にて支持されたレバー38(レバー部材の一例)が、その図示左端にて、圧着ヘッド31の上部と回動可能に接続され、その図示右端にて、加圧ユニット37の内部のピストンに連結されたロッド37aの端部と回動可能に接続されることにより構成されている。なお、レバー38は、大略Y軸方向に沿って配置されており、その支持位置や接続位置における回動は、YZ平面内にて行うことが可能とされている。リンク機構がこのように構成されていることにより、加圧ユニット37のロッド37aとレバー38との接続位置C1を「力点」とし、圧着ヘッド31とレバー38との接続位置C2を「作用点」とし、ユニットフレーム33によるレバー38の支持位置C3を「支点」として、加圧ユニット37にて発生された力を、レバー38を介して、圧着ヘッド31に伝達することが可能となっている。すなわち、加圧ユニット37にて発生されたZ軸方向沿いに作用する力の方向を、レバー38にて反転させながら、レバー38を通して圧着ヘッド31にこの力を伝達し、圧着ヘッド31を押圧方向Dに沿って動作させることが可能に構成されている。このようにユニットフレーム33の上部に支持されたレバー38を用いて、ユニットフレーム33の一方の側に配置されかつ支持位置C3より低い位置に配置された加圧ユニット37にて発生された力を、ユニットフレーム33の他方の側に配置されかつ支持位置C3より低い位置に配置された圧着ヘッド31に伝達可能な構成が採用されていることにより、圧着ユニット10全体を低くコンパクトな構造とすることができるとともに、圧着ユニット10における荷重バランスを良好なものにすることができる。したがって、圧着ユニット10の小型化かつ低重心化を図ることができ、X軸方向における圧着ユニット10の移動の迅速化あるいは効率化を図ることができる。
また、図4に示すように、それぞれの圧着ユニット10が備える加圧ユニット37は、圧力発生源39に導圧管等を介して接続されており、圧力制御部40により制御されながら所望の力(圧力)を生成することができるように、圧縮空気の供給量が制御される。
また、図3及び図4に示すように、基台フレーム13上には、剛体部材により形成された大略門型形状を有する門型フレーム41がX軸方向に沿って固定されており、この門型フレーム41の内側に4台の圧着ユニット10が配列されている。さらに、この門型フレーム41には、支持位置C3回りのレバー38の回動動作を、レバー38と当接して規制することで、圧着ヘッド31の押圧方向D沿いの動作を規制可能なヘッド動作規制装置42(動作速度規制装置および押圧体移動装置の一例)が設けられている。ヘッド動作規制装置42は、門型フレーム41の内側にてX軸方向に延在して配置され、4台の圧着ユニット10のレバー38の接続位置C1における端部38aの上部と当接可能な棒状部材である1本の規制部材43と、この規制部材43を昇降動作(押圧方向D沿いに進退移動)させる規制部材昇降装置44とを備えている。なお、規制部材43は1本としたが、圧着ユニット10との当接による動作規制に悪影響がなければ、規制部材43を複数本の分割構造としても良い。
このような構成のヘッド動作規制装置42を用いて、規制部材昇降装置44により下降された規制部材43にて、レバー38の端部38aの上部と規制部材43の下部とを当接させ、この当接状態にて、加圧ユニット37により加圧力をレバー38に伝達するとともに、規制部材昇降装置42により規制部材43を所望の速度にて上昇させることで、レバー38の端部38aの上昇速度を、上記所望の速度に規制することができる。特に、加圧ユニット37のように流体の圧力にてレバー38を動作させるような構成では、レバー38の動作速度を迅速に制御することが困難である。そのため、本第1実施形態では、レバー38の動作速度を確実に制御するために、ヘッド動作規制装置42を採用している。このようにレバー38の動作速度を規制することで、レバー38の支持位置C3回りの回動速度を規制することが可能となり、その結果、圧着ヘッド31がバックアップツール32へと向かう方向の動作速度(下降速度)を高速から低速への切り替え等を含む所定の速度に規制することができる。なお、規制部材43はその下部においてレバー38の端部38aと当接される構成となっているため、圧着ヘッド31がバックアップツール32へと向かう動作が行われる場合に動作速度の規制が行われることになる。また、規制部材昇降装置42により規制部材43を上昇させて、レバー38の端部38aから離間させることにより、レバー38の動作規制を解除することができる。すなわち、規制部材昇降装置42により規制部材43を、レバー38との当接位置と、レバー38から離間された退避位置との間で進退移動させることが可能となっている。これにより、レバー38を通して圧着ヘッド31に加圧ユニット37の加圧力が直接伝達可能となり、パネル基板1にACF3を介して実装される部品であるTCP4への圧着ヘッド31の当接の直後に、TCP4の圧着の為の所望の加圧力の伝達を確実に行うことができる。また、図3に示すように、このようなヘッド動作規制装置42は、それぞれの圧着ユニット10に個別に備えられているのではなく、4台の圧着ユニット10に共通して1台のヘッド動作規制装置42が備えられている。このように共通した1台のヘッド動作規制装置42を備えさせることにより、個々の圧着ユニット10の構成の簡素化および小型化を図ることができるとともに、圧着ヘッド31の動作速度を規制する規制部材昇降装置42の規制部材43と圧着ユニット10とを離間可能な構成とすることで、圧着ユニット10のX軸方向沿いの移動の迅速化等を図ることができる。
また、それぞれのユニット移動用モータ36による圧着ユニット10のX軸方向の移動位置の情報は制御装置19に取得され、制御装置19にて互いに圧着ユニット10同士が干渉することがないように、移動制御が行われる。また、ヘッド動作規制装置42によりそれぞれの圧着ヘッド31の一体的あるいは個々に独立した動作速度の規制、および圧力制御部40による加圧力の制御は、制御装置19により統括的に行われる。
次に、このような構成の圧着ユニット10における圧着動作について、図5A〜図5Dに示す模式説明図と、図6(A)〜(C)に示すグラフを用いて説明する。なお、図6(A)は圧着ヘッドの押圧力の変化を示すグラフであり、図6(B)は規制部材43とレバー38との接触関係の変化を示すグラフであり、図6(C)は圧着ヘッド31の高さ位置の変化を示すグラフである。
まず、図5Aに示す状態(時間T1−T2)では、レバー38と規制部材43とが互いに離間された状態(すなわち、規制部材43が退避位置に位置された状態)にあり、さらに圧着ヘッド31は高さ位置H1に位置されて、バックアップツール32上に配置されたパネル基板1およびTCP4から離間された状態にある(図6(A)参照)。このような状態においては、それぞれの圧着ユニット10のX軸方向の移動、すなわちそれぞれの圧着ユニット10の配置ピッチ等の変更を行うことが可能となっている。
次に、図5Bおよび図6(C)に示すように時間T2において、規制部材昇降装置44により下降された規制部材43と、レバー38の端部38aとを当接させる(すなわち、規制部材43を当接位置に位置させる。図6(B)参照)。この当接とともに、加圧ユニット37にて加圧力を発生させる。このように加圧力が発生されてレバー38に加圧力が伝達されても、規制部材43がレバー38と当接することによりレバー38の動作が規制されているため、圧着ヘッド31が急激に下降されることが確実に防止されている。
その後、時間T2から時間T3に向けて、規制部材昇降装置44により規制部材43が所定の速度にて上昇されることにより、圧着ヘッド31がパネル基板1へTCP4を圧着する方向に下降される。なお、このような所定の速度は、一定の速度である場合のみに限られるものではなく、例えば図6(C)から明らかなように高速から低速への速度切り替えがなされるような場合であってもよい。このように規制部材43が徐々に上昇されることにより、規制部材43に倣ってレバー38が回動され、その結果、圧着ヘッド31が高さ位置H1からパネル基板1のTCP4に向かう方向である押圧方向Dに沿って規制された速度にて下降される(図6(C)参照)。
やがて時間T3に達すると、図5Cに示すように、圧着ヘッド31が高さ位置H2にまで下降され、バックアップツール32上に配置されているパネル基板1の端子部2に仮圧着されているTCP4に圧着ヘッド31の下部先端(当接面または押圧面)が当接する。この当接により圧着ヘッド31の下降動作が実質的に制限される(ただし、押圧により僅かな下降は生じる)ため、加圧ユニット37により付加されている力がTCP4に対する押圧力となって生じる(図6(A)参照)。また、それとともに、図5Dに示すように、所定の速度(例えば、TCP4に圧着ヘッド31の下部先端が当接する前に高速から低速への速度切り替えされた後の速度)にて上昇が継続されている規制部材43が、圧着ヘッド31の下降位置の制限によりその回動動作が制限されているレバー38の端部38aから離間される(図6(B)参照)。
時間T4に向けて、圧着ヘッド31のTCP4をパネル基板1に押圧する押圧力が上昇し、やがて所定の押圧力Fに達し、押圧力FにてTCP4がパネル基板1に押圧されて本圧着動作が行われる。なお、この本圧着動作の際には、図示しないヒータ(圧着ヘッド31に内蔵)により加熱が行われる。
時間T4に達すると、本圧着動作が完了し、加圧ユニット37により逆向きに圧着ヘッド31が動作(すなわち上昇)されて、圧着ヘッド31がTCP4より離間され、時間T5にて図5Aに示す状態に戻される。このような一連の動作が行われることにより、パネル基板1へのTCP4の本圧着動作が行われる。
次に、本圧着装置100において、パネル基板1に対するTCP4の本圧着動作が行われる手順の詳細について説明する。この説明にあたって、本圧着動作の手順を示すフローチャートを図7に示し、パネル基板1の長辺側端子部2Aに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図8(A)、(B)に示し、短辺側端子部2Bに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図9(A)、(B)に示す。
図7のフローチャートのステップS1において、本圧着装置100のパネル基板保持装置12に1枚のパネル基板1が搬入されて、ステージ11により保持される。このパネル基板1は、図8(A)に示すように、X軸方向沿いの端子部を長辺側端子部2Aとして、Y軸方向沿いの端子部を短辺側端子部2Bとした姿勢にてステージ11に保持される。また、長辺側端子部2Aには間隔ピッチP1にて3個のTCP4が仮圧着されており、短辺側端子部2Bには間隔ピッチP2にて2個のTCP4が仮圧着されている。なお、間隔ピッチP1とP2は互いに異なっている。
次に、この搬入されたパネル基板1の識別情報と関連付けられて、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける部品圧着位置情報(第1圧着位置情報)が制御装置19にて取得される(ステップS2)。部品圧着位置情報には、長辺側端子部2AにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP1、さらに圧着されるTCP4の個数の情報などが含まれている。さらにこのような情報の中には、TCP4の種類及び熱圧着の加熱温度や加圧力の情報が含まれるような場合であってもよい。また、部品圧着位置情報の取得は、制御装置19の外部より入力されるような場合であってもよく、あるいは制御装置19の記憶部等に予め記憶されており、パネル基板1の識別情報あるいは予め選択されているパネル基板1の生産情報に基づいて記憶部等から読み出されるような場合であってもよい。
制御装置19において、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報が取得されると、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、それぞれの圧着ユニット10の配置が調整される(ステップS3)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(3個)の情報に基づいて、4台の圧着ユニット10の中から本圧着動作のために使用される3台の圧着ユニット10が選択される。このとき、4台の圧着ユニット10の中央側に位置される圧着ユニット10から順次選択される。選択された3台の圧着ユニット10は、その配列における略中央付近の領域である圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった1台の圧着ユニット41は、圧着動作実施領域Q1の両側において隣接する領域であるいずれかの退避領域Q2に位置されるように、それぞれの圧着ユニット10が備えるユニット移動用モータ36の駆動により、それぞれの圧着ユニット10がLMガイド35により案内されながら、それぞれ独立してX軸方向沿いに移動される。このように本圧着動作を実施する3台の圧着ユニット10を圧着動作実施領域Q1に位置させ、本圧着動作を実施しない1台の圧着ユニット10を退避領域Q2に位置させることにより、本圧着動作を実施しない1台の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉を防止して、確実に本圧着動作を実施することができる。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP1及びその位置の情報に基づいて、選択された3台の圧着ユニット10の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により個別に調整される。なお、このようなそれぞれの圧着ユニット10の移動は、規制部材43がレバー38より離間された状態(すなわち規制部材43が退避位置に位置された状態)にて行われる(図5A参照)。
このようにそれぞれの圧着ユニット10の配置調整、すなわち位置および配置間隔の調整が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1の移動が行われて、選択された3台の圧着ユニット10におけるそれぞれのバックアップステージ32上に、パネル基板1の3箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の長辺側端子部2Aが配置される(図5A、図8(A)及び(B)参照)。図8(A)および(B)に示すように、退避領域Q2に位置された1台の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、図5Bに示すように、加圧ユニット37およびヘッド動作規制装置42によりレバー38の規制しながらのレバー38の回動動作が行われてそれぞれの圧着ヘッド31が下降され、図5Cに示すように、圧着ヘッド31の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに図5D及び図6に示すように、加圧ユニット37により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける3箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して3個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS4)。その後、それぞれの加圧ユニット37によりそれぞれの圧着ヘッド31が上昇され、図5Aに示すような状態となる。
なお、上述の説明では、バックアップステージ32が固定式である場合についての本圧着動作について説明したが、図22Aおよび図22Bに示すように、バックアップステージ32が可動式であって昇降可能な構成が採用される場合であってもよい。このような構成が採用される場合には、バックアップステージ32の上方にパネル基板1の長辺側端子部2Aを配置した後、このパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に圧着ヘッド31を動作させるとともに、バックアップステージ昇降部73によりバックアップステージ32をパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット10については、パネル基板1の支持高さ位置である圧着高さ位置よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置)にバックアップステージ32を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット10とTCP4およびパネル基板1との干渉を防止することができる。そのため、例えば、圧着動作を行わない圧着ユニット10を退避領域Q2ではなく圧着動作実施領域Q1に位置させるような場合であっても、この圧着ユニット10とパネル基板1との干渉を防止することが可能となる。
次に、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ32から離間されるように移動され、保持されているパネル基板1がXY平面内においてθ回転移動されて、パネル基板1の短辺側端子部2BがX軸方向沿いとなるような姿勢とされる(ステップS5)。
次に、制御装置19において、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける部品圧着位置情報(第2圧着位置情報)が取得される(ステップS6)。この部品圧着位置情報には、短辺側端子部2BにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP2、さらに圧着されるTCP4の個数(2個)の情報などが含まれている。なお、本第1実施形態の手順の例としては、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報と、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報とが別々に取得されるような場合について説明するが、このような場合に代えて、両情報が同時に取得されるような場合であってもよい。
次に、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、図9(A)および(B)に示すように、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に対応して、それぞれの圧着ユニット10の配置が調整される(ステップS7)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(2個)の情報に基づいて、4台の圧着ユニット10の中から本圧着動作のために使用される2台の圧着ユニット10として、4台の圧着ユニット41の中央に位置される2台の圧着ユニット10が選択される。選択された2台の圧着ユニット10は、圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった両側の2台の圧着ユニット10は、それぞれの退避領域Q2に1台ずつ位置されるように、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により、それぞれの圧着ユニット10がLMガイド35により案内されながら、X軸方向沿いに移動される。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP2及びその位置の情報に基づいて、選択された2台の圧着ユニット10の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により調整される。なお、このようなそれぞれの圧着ユニット10の移動は、規制部材43がレバー38より離間された状態にて行われる(図5A参照)。
それぞれの圧着ユニット10の配置調整が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1の移動が行われて、選択された2台の圧着ユニット10におけるそれぞれのバックアップステージ32上に、2箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置される。ここで、図9(A)及び(B)は、バックアップステージ32上にパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置されている状態を示す。図9(A)及び(B)に示すように、退避領域Q2に位置された42の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、加圧ユニット37およびヘッド動作規制装置42によりレバー38を介してそれぞれの圧着ヘッド31が、規制された動作速度にて下降され、圧着ヘッド31の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに加圧ユニット37により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける2箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して2個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS8)。その後、加圧ユニット37によりそれぞれの圧着ヘッド31が上昇される。
なお、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作と同様に、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作についても、図22Aおよび図22Bに示すように、バックアップステージ32が可動式として昇降可能な構成が採用される場合であってもよい。この場合には、バックアップステージ32の上方にパネル基板1の短辺側端子部2Bを配置した後、このパネル1基板の短辺側端子部2Bに近づく方向に、圧着ヘッド31及びバックアップステージ32を動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット10については、圧着位置(支持高さ位置)よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置あるいは退避高さ位置)にバックアップステージ32を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット10とTCP4及びパネル基板1との干渉を防止することができる。
短辺側端子部2Bに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ32から離間されるように移動されて、本圧着装置100からパネル基板1が搬出される(ステップS9)。
本第1実施形態によれば、本圧着装置100において、パネル基板1の端子部2にTCP4を本圧着する圧着ヘッド31と、その本圧着の際にパネル基板1の端子部2を支持するバックアップステージ32とを備える一列に配置された複数の圧着ユニット10と、複数の圧着ユニット10に個別に備えられ、X軸方向沿いに圧着ユニット10を平行移動させて圧着ユニット10の配置を変更させる複数のユニット移動用モータ36とが備えられていることにより、パネル基板1の部品圧着位置情報、すなわち端子部2における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動用モータ36によりそれぞれの圧着ユニット10を個別に平行移動させて、圧着ユニット10の配置を部品圧着位置の配置と合致させることができる。したがって、パネル基板1の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した本圧着動作を効率的に実施することができる。
また、パネル基板1において、長辺側端子部2Aと短辺側端子部2Bとで、TCP4の圧着位置、間隔ピッチ、及び圧着されるTCP4の個数が異なるような場合であっても、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を行った後、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作を実施し、その後、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を行った後、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作を実施することで、それぞれの端子部2A、2Bの仕様に応じた部品圧着を確実かつ効率的に実施することができる。そのため、長辺側用の圧着ユニット及び短辺側用の圧着ユニットとしてそれぞれ専用の圧着ユニットを備えなくても、1台の本圧着装置100により長辺側端子部2A及び短辺側端子部2Bのそれぞれの圧着位置に応じた圧着ピッチに合わせるようにそれぞれの圧着ユニットの位置に迅速に切り替えを行い、パネル基板への部品圧着を効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット10において、ユニット移動用モータ36が個別に備えられていることにより、このようなそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を迅速かつ効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット10において、押圧方向D沿いの圧着ヘッド31の進退移動および押圧動作は、加圧ユニット37にて発生された力を、リンク機構を介して圧着ヘッド31に伝達することにより行われる。このようなリンク機構としては、ユニットフレーム33に回動可能に支持されたレバー38を用いて、加圧ユニット37からレバー38の一端に付加された力を、テコの原理を用いてレバー38の他端に接続された圧着ヘッド31に伝達することにより行われる。さらに、加圧ユニット37にて発生された力により、圧着ヘッド31の急激な移動を防止するために、レバー38の端部38aと規制部材43とを当接させて、規制部材昇降装置44による規制部材43の移動速度に圧着ヘッド31の動作速度を倣わすような構成が採用されている。そのため、圧着ヘッド31の動作(下降動作)を確実に制御しながらTCP4に当接させることができ、適切な押圧力にて本圧着動作を行うことができる。
さらに、このようなヘッド動作規制装置42を複数の圧着ユニット10にて共通の装置として備えさせていることにより、それぞれの圧着ユニット10の小型化および構造の簡素化を図ることができ、圧着ユニット10の配置変更を容易かつ迅速に行うことができる。特に、圧着ヘッド31を動作させる力を発生する手段として、電動モータ等ではなく、流体圧シリンダ(加圧ユニット37)を採用することにより、個々の圧着ユニット10をコンパクトな構造とすることができる。さらに、このような流体圧シリンダの動作を制御(規制)する装置をそれぞれの圧着ユニットに個別に備えさせるのではなく、共通の1台の装置と備えさせることにより、それぞれの圧着ユニット10をさらにコンパクトな構造として、その軽量化を図ることができる。したがって、ユニット移動用モータ36による移動性を良好なものとすることができる。
また、4台の圧着ヘッド31のうちの複数の圧着ヘッド31が選択される場合には、中央側に位置される圧着ヘッド31から順次選択されるようにすることで、このような共通のヘッド動作規制装置42による動作速度の規制が行われながら、TCP4の圧着動作が行われる際に、ヘッド動作規制装置42の構造に対する荷重バランスを良好なものとすることができ、パネル基板1に対するTCP4の圧着品質をより安定させることができる。
また、各圧着ユニット10において、圧着ヘッド31とバックアップステージ32とが一対とされ、互いの配置関係が保たれた状態にてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整のための移動が行われるような構成が採用されていることにより、どのような位置に移動されても圧着ヘッド31の圧着面(あるいは押圧面)とバックアップステージ32のパネル基板1の支持面との平行度(平行関係)を一定に保つことができる。したがって、本圧着工程における圧着精度(実装精度)を向上させることができる。
また、パネル基板1に対する本圧着動作が行われる選択された圧着ユニット10を圧着動作実施領域Q1に位置させて、本圧着動作を行わない選択されなかった圧着ユニット10を退避領域Q2に位置させるようにして、本圧着動作を実施する際に、圧着動作実施領域Q1に位置されているバックアップステージ32のみにより端子部2の支持を行わせることができる。例えば、図10に示すように、パネル基板1の両端部においてたわみWが生じているような場合にあっては、このようなたわみが生じている両端部近傍をバックアップステージ32により支持してしまうと、中央付近の端子部においてバックアップステージ32よりの浮き上がりが生じる恐れがある。このような浮き上がりを確実に防止するために、図10に示すように部品圧着位置が位置されている中央部付近のみを支持させることで、本圧着動作をより確実に実施することができる。なお、バックアップステージ32が可動式として昇降可能な構成であるような場合には、バックアップステージ32をパネル基板1から離間する方向、すなわち下方に位置(下降位置あるいは支持解除高さ位置)に移動させるようにして、本圧着動作を実施する際に、圧着動作を行う圧着ユニット10のバックアップステージ32のみにより端子部2の支持を行わせて、同様の効果を得ることができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる本圧着装置及び方法について以下に説明する。
上記第1実施形態の本圧着装置100では、パネル基板1がほぼ水平方向沿いの姿勢にてその搬送や本圧着動作が行われている。ここで、このような上記第1実施形態のパネル基板1の搬送方法を「水平搬送」と呼ぶものとする。この水平搬送が行われる場合、図11の模式図に示すように、仮圧着工程にてパネル基板1の端子部2に仮圧着された状態のTCP4の端部が、そのフレキシブル性により下方に向けて垂れ下がることになる。このようなTCP4の垂れ下がりを防止して確実な本圧着動作を行うためには、例えば、ステージ11やバックアップステージ32等に、TCP4の外方端部を支持するための支持部材を補助的に装備させるなどの対応が必要となる。また、近年、益々パネル基板の大型化の傾向が顕著となりつつあり、このようなアウターリードボンディング工程が行われる各装置において、パネル基板1のθ回転領域を確保するために、平面的な装置サイズの大型化を避けることは難しいという実情が存在する。
このような水平搬送の課題を改良すべく、本第2実施形態では、パネル基板1を垂直方向、すなわちXZ平面沿いに配置して、その搬送や本圧着動作などを行う構成(以降、「縦型搬送」とする。)が採用されている。図12に示すように、縦型搬送を採用することにより、パネル基板1に仮圧着されたTCP4に垂れ下がり等の現象が生じないようにすることができる。
このような本第2実施形態の縦型搬送が採用されたアウターリードボンディング工程の手順を示す説明図を図13に示す。図13に示すように、部品実装工程を行う装置に搬入されたパネル基板1に対して、まず、ACF貼り付け工程S500にて、それぞれの端子部2の端子電極2aに接合部材としてACFシート3の貼り付けを行い、その後、部品仮圧着工程S600にて、ACFシート3を介してTCP4をそれぞれの端子電極2aに仮圧着し、さらにその後、本圧着工程S700にて、仮圧着された状態のそれぞれのTCP4をさらに圧着して実装する。なお、この本圧着工程S700は、パネル基板1の長辺側端子部に対する本圧着工程S710と、パネル基板1の短辺側端子部に対する本圧着工程S720とに分けて行われる。各工程において、パネル基板1が縦型の姿勢にてその搬送および所定の動作が施される点を除いては、基本的に上記第1実施形態の水平搬送のアウターリードボンディング工程と同様である。
次に、本第2実施形態の縦型搬送のアウターリードボンディング工程の本圧着工程を行う本圧着装置200の構成について、圧着ユニット210および関連する構成を中心として説明する。図14A〜図14Dは、本圧着動作を説明するための圧着ユニット210の模式図であり、ぞれぞれの図は、上記第1実施形態の図5A〜図5Dに対応する状態の図である。また、以降の説明においては、その機能および構成が上記第1実施形態の圧着ユニット10と実質的に同じ構成部材には、同じ参照符号を付すことでその説明を省略するものとする。
本圧着装置200においては、複数の圧着ユニット210として、例えば4台の圧着ユニット210がX軸方向に沿って一列に配列して備えられている。図14Aに示すように、圧着ユニット210は、その押圧方向DがY軸方向となるように圧着ユニット210の配置が、上記第1実施形態と比してパネル基板1の搬送方向に対して直交する方向に90度回転されて実質的に水平面上に配置されている点を除いては、実質的に上記第1実施形態の圧着ユニット10と同じ構成を有している。
具体的には、図14Aに示すように、各圧着ユニット210は、圧着ヘッド31と、バックアップステージ32を備えており、バックアップステージ32は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有する柱状体であるユニットフレーム33の上部側面に固定されており、圧着ヘッド31がY軸方向に配置されたLMガイド34を介してその移動動作を案内可能にユニットフレーム33の上面に取り付けられている。また、本圧着装置200の基台フレーム13上には、大略L字状の断面を有する支持フレーム221が固定されている。この支持フレーム221の内側上面および側面のそれぞれの2本ずつのLMガイド35がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド35を介して、4台の圧着ユニット210のユニットフレーム33がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム13に支持されている。また、図14Aに示すように、各圧着ユニット210のユニットフレーム33の図示右側下部には、圧着ユニット210のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ36が備えられている。すなわち、4台の圧着ユニット210は、個別に圧着ヘッド31とバックアップステージ32とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ36が駆動されることにより、4本のLMガイド35に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。
また、図14Aに示すように、各圧着ヘッド31は、ほぼ垂直に配置されるパネル基板1に対して垂直な方向(Y軸方向)である押圧方向Dに沿って、圧着ヘッド31を進退移動、すなわち水平移動動作させるための力を圧着ヘッド31に付与するとともに、TCP4に当接された状態の圧着ヘッド31に対して本圧着のための力を付与する加圧ユニット37が備えられている。図14Aにおいて、ユニットフレーム33の図示上方側に圧着ヘッド31が配置され、ユニットフレーム33の図示下方側に加圧ユニット37が配置されている。
また、図14Aに示すように、それぞれの圧着ユニット210において、加圧ユニット37にて発生された力を、圧着ヘッド31に機械的に伝達するための手段として、リンク機構が採用されている。リンク機構は、上記第1実施形態と同様にユニットフレーム33の図示左側端部に回動可能にそのほぼ中央付近にて支持されたレバー38が、その図示上端にて、圧着ヘッド31の左側端部と回動可能に接続され、その図示下端にて、加圧ユニット37の内部のピストンに連結されたロッド37aの端部と回動可能に接続されることにより構成されている。なお、レバー38は、大略Z軸方向に沿って配置されており、その支持位置や接続位置における回動は、YZ平面内にて行うことが可能とされている。
また、図14Aに示すように、支持フレーム221には、剛体部材により形成された大略門型形状を有する門型フレーム41がXY平面に沿って配置された状態で固定されており、この門型フレーム41の内側に4台の圧着ユニット210が配列されている。さらに、この門型フレーム41には、門型フレーム41の内側にてX軸方向に延在して配置され、4台の圧着ユニット210のレバー38の端部38aの図示左側端部と当接可能な規制部材43と、この規制部材43をY軸方向に沿って移動させる規制部材昇降装置44とを備えるヘッド動作規制装置42が設けられている。
このような構成の本第2実施形態の本圧着装置200において、図14Aに示すように、バックアップステージ32に接するようにパネル基板を配置し、その後、図14Bに示すように、規制部材43によりレバー38の回動を規制しながら、加圧ユニット37にて加圧力を生じさせて、レバー38を介して圧着ヘッド31を押圧方向D、すなわちパネル基板1に部品であるTCP4を圧着する方向であるY軸方向沿いにバックアップステージ32に向かうように動作させる。やがて、図14Cに示すように、圧着ヘッド31がパネル基板1に仮圧着されたTCP4に当接し、圧着ヘッド31がTCP4を押圧してパネル基板1への本圧着動作が行われる。それとともに、図14Dに示すように、規制部材43はレバー38から離間されて、動作速度の規制が解除され、加圧ユニット37の加圧力がレバー38を介して圧着ヘッド31を所定の押圧力にてパネル基板1へTCP4を押圧する。その後、本圧着動作が完了すると、加圧ユニット37により圧着ヘッド31がTCP4から離間する方向に動作される。また、それぞれの圧着ユニット210のX軸方向沿いの移動、すなわち配置ピッチの変更は、図14Aに示すように、規制部材43が、それぞれのレバー38から離間された状態にて行われる。
上記第2実施形態のように、パネル基板1の縦型搬送が行われるような構成が採用される場合であっても、それぞれの圧着ユニット210をY軸方向に寝かした状態、すなわち、それぞれの圧着ヘッド31の押圧方向DがY軸方向に配置されるように、それぞれの圧着ユニット210を配置させることにより、縦型搬送の利点を得ながら上記第1実施形態と同様な効果を得ることができる本圧着装置200を実現することができる。特に、このような縦型搬送が採用される場合には、Y軸方向における装置幅は装置構成部材の大きさ(幅)により決定されることになるが、パネル基板1の縦型搬送に伴い、特に大型のパネル基板の搬送方向に直交する水平方向の装置幅が小さくなり、またそれぞれの圧着ユニット210の小型化および構成の簡素化を図ることにより、さらにパネル基板の搬送方向に直交する水平方向の装置幅の小型化を実現することができる。
(変形例)
次に、上記第1及び第2実施形態の本圧着装置の様々な変形例について図面を用いて説明する。なお、以降の説明において、上記第1及び第2実施形態の本圧着装置が有する構成要素と実質的に同一の構成要素には、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記第1実施形態では、ヘッド動作規制装置42を支持するための構造として、門型フレーム41を採用したが、このような門型フレーム41に代えて、図15および図16の本圧着装置300の模式図に示すように、それぞれの圧着ユニット10のY軸方向後方側に配置された支持フレーム351を用いることもできる。
このような支持フレーム351を用いた構成を採用することにより、それぞれの圧着ユニット10の配列方向に支持フレーム351が配置されない構成とすることができる。したがって、それぞれの圧着ユニット10の移動範囲に制約を無くすことができ、配置ピッチ変更のための移動の自由度を高めることができる。また、支持フレーム351を支持する基台フレーム13を、支持フレーム351をX軸方向に進退移動させる移載軸(すなわち移動装置)とするような場合(図示せず)には、支持フレーム351とともにそれぞれの圧着ユニット10を一体的にX軸方向に移動させることで、X軸方向におけるそれぞれの圧着ユニット10の実質的な移動範囲の拡大を行い、パネル基板1の搬送方向であるX軸方向に、特に支持フレーム351のX軸方向の幅を超えて大型化されたパネル基板1に対する部品の圧着作業に、支持フレーム351の大型化対応をすることなく、対応することが可能となる。また、このような支持フレームと基台フレームとの相対的な進退移動の構成は、水平搬送の本圧着装置だけでなく、縦型搬送の本圧着装置にも適用することができる。
これに対して、門型フレーム41を用いた構成では、規制部材43を通じて門型フレーム41に外力(レバー38の動作速度規制により生じる力)が付与されても、比較的フレームに反り等が発生し難く、より精確にレバー38の動作速度を規制することができる。
また、このように、門型フレームではなく、支持フレームにヘッド動作規制装置を固定するような構成は、上記第2実施形態のように縦型搬送を採用する本圧着装置にも適用することができる。
具体的には、図17の本圧着装置400の模式図に示すように、支持フレーム441をY軸方向に延在させて、ヘッド動作規制装置42を支持させるような構成を採用することができる。
また、図18の本圧着装置500の模式図に示すように、支持フレーム541上に配置された2本のLMガイド35のみにより、それぞれの圧着ユニット210のX軸方向の移動が案内されるような構成を採用することもできる。特に、圧着ユニット210が小型であり軽量化が図られているような場合には、このような構成に対応することが可能である。
また、上記第1および第2実施形態の本圧着装置では、加圧ユニットにて生じた加圧力を、レバー38を用いたリンク機構を用いて、ユニットフレームを挟んで反対側に配置されている圧着ヘッドに伝達するような構成について説明したが、本発明はこのような構成のみに限定されるものではない。このような構成に代えて、例えば、図19の本圧着装置600の模式図に示すような構成を採用することができる。
具体的には、図19に示すように、本圧着装置600において、圧着ヘッド631の押圧方向D沿いの動作軸(昇降軸)と同軸上に加圧ユニット627を配置し、加圧ユニット627のピストン627bに連結された下方側ロッド627aを直接的に圧着ヘッド631に接続する。さらに、ピストン627bに連結された上方側ロッド627cの上端部に形成された係合部627dの下部を、規制部材643の上部に係合可能とすることで、ヘッド動作規制装置642の規制部材昇降装置644により圧着ヘッド631の動作速度を規制可能としている。
このような同軸上における圧着ヘッド631の動作速度の規制を行う構成では、同軸上にて規制のための力が作用することとなり、力学上のバランスを良好なものとすることができる。一方、上記第1実施形態のように、レバー38を用いたような構成を採用すれば、圧着ユニットの高さを低く抑えることができ、装置の小型化や低重心化を図ることができ、それぞれの圧着ユニットの移動を迅速かつ容易に行うことができるという利点がある。なお、図19の本圧着装置600では、門型フレーム641が採用されており、図20に示す本圧着装置700では、支持フレーム741が採用されている。
また、図19に示す規制部材643と上方側ロッド627cの係合部627dとの係合関係は、その他様々な構成を適用することができ、例えば、図21の本圧着装置800の模式図に示すように、上方側ロッド827cの端部が貫通さるように形成され、その内部にて係合部827dと同軸上にて係合されるような規制部材843を有するヘッド動作規制装置842を採用することもできる。このような構成では、規制部材843の規制位置も含めて門型フレーム641の上部梁の面内で圧着ヘッド631の動作速度および位置による反力を受けることができ、ほぼ完全に同軸上のみにおいて力を作用させることができるため、力学なバランスをさらに良好にすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる部品圧着装置および部品圧着方法について説明する。まず、このような本第3実施形態の部品圧着装置および方法が用いられるアウターリードボンディング工程について、アウターリードボンディング工程を行う部品実装装置の一例である部品実装ライン100の構成を示す模式平面図を図23に示す。
図23に示すように部品実装ライン300は、パネル基板1に対してACF貼り付け工程を行うACF貼り付け装置320と、ACFシート3が貼り付けられた状態のパネル基板1に対してTCP4等の部品の部品仮圧着工程を行う部品仮圧着装置330と、パネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2に仮圧着されたTCP4を本圧着して実装する本圧着工程(本第3実施形態の部品圧着工程の一例である)を行う本圧着装置(本第3実施形態の部品圧着装置の一例である)340と、それぞれの装置間のパネル基板1の搬送を行う基板搬送装置350とを備えている。なお、それぞれの装置には、パネル基板1を保持する2つのステージを有するパネル基板保持装置が備えられており、予め設定されたサイズ以下のパネル基板1を2枚同時に保持した状態にて、それぞれの工程を実施することが可能となっている。また、予め設定されたサイズを超えるパネル基板1に対しては、例えば2つのステージのうちの一方のステージにより1つのパネル基板1を保持した状態にて、それぞれの工程を実施することも可能となっている。
ACF貼り付け装置320は、テープ供給部321よりテープ回収部322へ送り出されるテープ状のACFシート3を所定の長さに切断してパネル基板1の端子部2に貼り付ける2台の圧着ユニット323と、基板搬送装置350より搬送されるパネル基板1が移載されるとともにその保持を行い、保持されたパネル基板1の端子部2と圧着ユニット323との位置決めを行う基板保持装置の一例であるパネル基板保持装置324を備えている。パネル基板保持装置324は、パネル基板1を保持する2つのステージ324a及び324bを備えており、それぞれのステージ324a及び324bに保持されたパネル基板1を図示X軸方向又はY軸方向に移動させる機能(XY移動機能)と、X軸方向及びY軸方向を含む平面(水平平面)内においてパネル基板1を回転させる機能(θ回転機能)と、Z軸方向にパネル基板1を昇降させる機能(昇降機能)とを有しており、このような機能によりパネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2をそれぞれの圧着ユニット323と位置合わせすることが可能となっている。また、ACF貼り付け装置320には、このような位置合わせを行うために、パネル基板1の端子部2の位置を認識する2台の認識カメラ326が備えられている。また、それぞれの圧着ユニット323によるACF貼付動作は、パネル基板1の端子部2がその下方側からバックアップツール325により支持されて行われる。なお、図23において、X軸方向とY軸方向はパネル基板1の大略表面沿いの方向となっており、パネル基板1の搬送方向がX軸方向であり、X軸方向に直交する方向がY軸方向であり、図示鉛直方向がZ軸方向となっている。
部品仮圧着装置330は、カセット内に収容された状態の複数のTCP4を供給するTCP供給カセット部(図示しない)と、TCP供給カセット部から供給されるTCP4を、ACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aに仮圧着する複数の仮圧着ヘッド(実装ヘッドあるいは押圧体の一例)332と、パネル基板1が移載されるとともにその保持を行う2つのステージ333a及び333bと、それぞれのステージ333a及び333bに保持されたパネル基板1の端子部2と仮圧着ヘッド332との位置決めを行うパネル基板保持装置333とを備えている。部品仮圧着装置330には、仮圧着ヘッド332が4台備えられており、それぞれの仮圧着ヘッド332が回転可能に同心円上に均等に配置され、円周上における図23の上方の位置であるTCP供給位置と、下方の位置である仮圧着位置とに順次それぞれの仮圧着ヘッド332が配置されるようないわゆるロータリー方式が採用されている。また、部品仮圧着装置330には、パネル基板1の端子部2及び仮圧着ヘッド332に吸着保持されたTCP4の位置を認識するための2台の認識カメラ334と、TCP供給位置において仮圧着ヘッド332に吸着保持されるTCP4の保持姿勢を認識するためのプリセンタカメラ336とがさらに備えられている。なお、パネル基板保持装置333は、XY移動機能、θ回転機能、及び昇降機能を有している。また、それぞれの仮圧着ヘッド332による部品仮圧着動作は、パネル基板1の端子部2がその下方側からバックアップツール335により支持された状態で行われる。
本圧着装置340は、パネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧しながら加熱することで、ACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aにTCP4を本圧着、すなわち熱圧着(実装)する複数の圧着ユニット341と、移載されるパネル基板1を保持する2つのステージ343a及び343bと、それぞれのステージ343a及び343bに保持されたパネル基板1の端子部2に仮圧着されたそれぞれのTCP4とそれぞれの圧着ユニット341との位置合わせを行うパネル基板保持装置343を備えている。なお、パネル基板保持装置343は、XY移動機能、θ回転機能、及び昇降機能を有している。また、このような位置合わせを行うために、2枚のパネル基板1のそれぞれの位置の認識を行う2台の認識カメラ344が備えられている。なお、圧着ユニット341を含む本圧着装置340の詳細な構成については後述するものとする。
基板搬送装置350は、パネル基板1の下面を真空吸着手段(図示しない)により解除可能に吸着保持するパネル保持部351と、パネル保持部351の昇降動作を行う昇降部(図示しない)と、パネル保持部351及び昇降部を図示X軸方向に沿って移動させることで、パネル基板1の各装置間の搬送を行う移動装置353とを備えている。また、基板搬送装置350において、パネル保持部351は、それぞれの工程間、すなわちそれぞれの装置間に個別に配置されており、装置間におけるパネル基板1の受け渡しのための搬送を、互いに独立して行うことが可能となっている。なお、本第3実施形態においては、パネル保持部351が真空吸着手段によりパネル基板1の保持を行うような場合を例として説明するが、このような場合に代えて、機械的なチャック手段を有するパネル保持部によりパネル基板1が保持されるような場合であってもよい。
また、部品実装ライン300には、それぞれの装置320、330、340、及び350の動作制御を互いの動作と関連付けながら統括的に行う制御装置319が備えられている。この制御装置319により、各々の装置における個別的な動作制御が行われながら、上流側の装置から下流側の装置へと順次パネル基板1の搬送制御が行われて、複数のパネル基板1に対する部品実装動作が行われる。なお、制御装置319の制御方式としては、集中制御方式が採用される場合であってよく、あるいは、各々の装置に個別に備えられ、互いの装置間でパネル基板1の搬送制御信号のやり取りを行うような制御方式が採用されるような場合であってもよい。
次に、このような構成を有する部品実装ライン300における部品実装動作について説明する。なお、以降に説明するそれぞれの動作は、制御装置319により制御されて行われる。
まず、パネル基板1が図23に示す部品実装ライン300に搬入される。搬入されたパネル基板1は、基板搬送装置350のパネル保持部351により保持され、その保持状態にて移動装置353により図示X軸方向に搬送されて、ACF貼り付け装置320のパネル基板保持装置324上に載置される。パネル基板保持装置324において載置されたパネル基板1の下面が吸着保持されると、基板搬送装置350のパネル保持部351による吸着保持が解除される。
次に、パネル基板保持装置324により保持されたパネル基板1のXY移動が行われて、長辺側の端子部2と圧着ユニット323との位置合わせが行われ、その後、圧着ユニット323によりACFシート3が長辺側の端子部2に貼り付けられる(ACF貼り付け工程)。なお、この位置決めされた状態においては、長辺側端子部2はその下面側よりバックアップツール325により直接支持された状態とされているため、ACFシート3の確実な貼り付け動作を行うことができる。その後、パネル基板保持装置324によるそれぞれのステージ324a、324bのθ回転が行われて、短辺側の端子部2と圧着ユニット323との位置合わせが行われて、圧着ユニット323によりACFシート3が短辺側の端子部2に貼り付けられる。ACF貼り付け工程が完了すると、基板搬送装置350のパネル保持部351がパネル基板1の下面を吸着保持するとともに、パネル基板保持装置324による吸着保持が解除されて、パネル基板1が基板搬送装置350に受け渡される。その後、基板搬送装置350により、ACFシート3が貼り付けられた状態のパネル基板1が部品仮圧着装置330へ搬送される。
基板仮圧着装置330においては、基板搬送装置350により搬送されたパネル基板1が、パネル基板保持装置333のそれぞれのステージ333a、333b上に載置されて受け渡される。一方、TCP供給位置に位置されている仮圧着ヘッド332にTCP4が供給されて、TCP4が仮圧着ヘッド332に吸着保持された状態とされる。その後、それぞれの仮圧着ヘッド332の回転移動が行われ、TCP4を吸着保持した仮圧着ヘッド332が仮圧着位置に位置される。それとともに、パネル基板保持装置333によりパネル基板1の各種移動が行われることにより、長辺側の端子部2の一の端子電極2aと仮圧着ヘッド332との位置合わせが行われ、その後、仮圧着ヘッド332が下降されることにより、TCP4がACFシート3を介して端子電極2aに仮圧着される。同様な動作が順次繰り返されて、それぞれの端子電極2aにTCP4が仮圧着される(部品仮圧着工程)。長辺側の端子部2に対するTCP4の仮圧着が完了すると、パネル基板保持装置333によりパネル基板1のθ回転が行われ、短辺側の端子部2と仮圧着ヘッド332との位置合わせが行われ、短辺側の端子部2のそれぞれの端子電極2aへのTCP4の仮圧着が順次行われる。部品仮圧着工程が完了すると、基板搬送装置350のパネル保持部351がパネル基板1の下面を吸着保持するとともに、パネル基板保持装置333による吸着保持が解除されて、パネル基板1が基板搬送装置350に受け渡される。その後、基板搬送装置350により、TCP4が仮圧着された状態のパネル基板1が本圧着装置340へ搬送される。
本圧着装置340において、基板搬送装置350により搬送されたパネル基板1が、パネル基板保持装置343のそれぞれのステージ343a、343b上に載置されて受け渡される。その後、パネル基板保持装置343により、パネル基板1の長辺側端子部2とそれぞれの圧着ユニット341との位置合わせが行われ、その後、それぞれの圧着ユニット341により、仮付け状態にあるそれぞれのTCP4がACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aに押圧されながら加熱されて、熱圧着によるTCP4の実装が行われる(本圧着工程)。なお、この圧着ユニット341によるそれぞれのTCP4の押圧は、圧着ユニット341の押圧面に汚れなどが付着しないように、保護テープ(図示せず)を介して行われる。また、圧着ユニット341よりACFシート3に熱が付与されることによりACFシート3が熱硬化される。本圧着工程が完了すると、基板搬送装置350のパネル保持部351がパネル基板1の下面を吸着保持するとともに、パネル基板保持装置343による吸着保持が解除されて、パネル基板1が基板搬送装置350に受け渡される。その後、基板搬送装置350により、それぞれのTCP4が実装された状態のパネル基板1が搬送されて、部品実装ライン300より搬出される。部品実装ライン300においては、基板搬送装置350により複数のパネル基板1が順次搬送され、それぞれの装置において所定の工程が施されることにより、アウターリードボンディング工程が行われる。なお、パネル基板1の辺の縁部に部品であるTCP4を実装する場合を例として示したが、本発明はこのような場合についてのみ限定されるものではなく、例えば、COF(Chip On Film)基板にICチップなどの部品を実装するような場合であっても良い。この場合、COF基板は、パネル基板1のように方形状における互いに隣接する2辺の縁部に部品実装領域が配置されるような場合のみに限られず、種々の位置関係にある複数の部品実装領域が配置されるような場合であっても良い。
次に、部品実装ライン300において、部品圧着工程の一例である本圧着工程が行われる本圧着装置340の構成について、さらに詳細に説明する。この説明にあたって、Y軸方向から見た本圧着装置340の模式正面図を図24に示し、X軸方向から見た模式側面図を図25Aに示す。
図23、図24及び図25Aに示すように、本圧着装置340は、複数の圧着ユニット341として、合計6台の圧着ユニット341をX軸方向に一列に配列して備えている。各圧着ユニット341は、パネル基板1の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧して圧着する圧着ヘッド(押圧体の一例)361と、この圧着ヘッド361による圧着動作の際に、パネル基板1の端子部2をその下面側から支持する縁部支持部材の一例であるバックアップステージ362を備えている。
図25Aに示すように、各圧着ユニット341において、バックアップステージ362は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有するユニットフレーム363の下部に固定されており、圧着ヘッド361がZ軸方向に配置されたLMガイド364を介してその昇降動作を案内可能にユニットフレーム363の上部に取り付けられている。なお、バックアップステージ362はユニットフレーム363の下部に固定されるような構成のみに限られず、このような場合に代えて、例えば、図25D及び図25Eに示すように、バックアップステージ362が上下方向に可動式として昇降可能にユニットフレーム363に支持され、バックアップステージ昇降部373によりバックアップステージ362の昇降動作が行われるような場合であっても良い。
図24及び図25Aに示すように、本圧着装置340の基台フレーム372上には、2本のLMガイド365がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド(案内支持部材の一例である)365を介して、6台の圧着ユニット341におけるユニットフレーム363がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム372に支持されている。また、図25Aに示すように、各圧着ユニット341のユニットフレーム363の下部には、圧着ユニット341のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ(ユニット移動装置の一例である)366が備えられている。すなわち、6台の圧着ユニット341は、個別に圧着ヘッド361とバックアップステージ62とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ366が駆動されることにより、LMガイド365に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。ここで、「それぞれ独立した移動」とは、1台の圧着ユニット341の移動が、自身が備えるユニット移動用モータ366の駆動により行われ、他の1台の圧着ユニット341の移動が、それ自身が備えるユニット移動用モータ366の駆動により行われ、両者の移動速度や移動のタイミングを個別に設定することが可能な移動のことである。なお、それぞれの圧着ユニット341が互いに接触することを防止する等、安全制御の実施のために、両者の移動制御が関連付けられるような場合であってもよい。
図25Aに示すように、本圧着装置340の基台フレーム372には、6台の圧着ヘッド361を一体的に昇降させる1台の共通のヘッド昇降装置367(共通の押圧体移動装置の一例)が備えられている。共通のヘッド昇降装置367は、その昇降駆動力をカムフォロア374介してそれぞれの昇降フレーム368に伝達し、さらにこのそれぞれの昇降フレーム368を介して圧着ヘッド361に伝達することで、それぞれの圧着ヘッド361の圧着動作における昇降の速度及び位置を駆動動作する。また、それぞれの昇降フレーム368は、それぞれのユニットフレーム363にZ軸方向に配置されたLMガイド375を介してその昇降動作を案内可能にユニットフレーム363に支持されている。なお、複数の圧着ヘッド361を一体的に昇降させる1台の共通のヘッド昇降装置367が備えられるような構成について説明したが、このような場合に代えて、複数の圧着ヘッド361のそれぞれにヘッド昇降装置を設けて個々に独立して昇降させるような構成を採用してもよい。
また、図25Aに示すように、各圧着ヘッド361は、圧着ヘッド361における圧着動作のための加圧力を生成する加圧ユニット(例えば、エアシリンダ)369を内蔵している。各加圧ユニット369は、圧力発生源370に導圧管等を介して接続されており、圧力制御部371により制御されながら所望の加圧力を生成することができるように、圧縮空気の供給量が制御される。
また、それぞれのユニット移動用モータ366による圧着ユニット341のX軸方向の移動位置の情報は制御装置319に取得され、制御装置319にて互いに圧着ユニット341同士が干渉することがないように、移動制御が行われる。また、ヘッド昇降装置367によりそれぞれの圧着ヘッド361の一体的あるいは個々に独立した昇降動作、及び圧力制御部371により加圧力の制御は、制御装置319により統括的に制御される。なお、一部の圧着ユニット341が圧着動作を行わない場合は、圧着動作を行わない圧着ユニット341の圧着ヘッド361の動作アクチュエータである加圧ユニット369をパネル基板1へTCP4の圧着を行う方向とは反対方向へ動作させるあるいは位置させても良い。
次に、このような構成を有する部品実装ラインの本圧着装置340において、パネル基板1に対するTCP4の本圧着動作が行われる手順の詳細について説明する。なお、本圧着装置340における本圧着動作の手順は、上記第1実施形態における図7のフローチャートに示す手順と同様である。また、パネル基板1の長辺側端子部2Aに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図26(A)、(B)に示し、短辺側端子部2Bに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図27(A)、(B)に示す。なお、以下の本圧着動作の手順の説明においては、パネル基板保持装置343が備える2つのステージ343a、343bのうちの1つのステージ343aのみにパネル基板1が保持されて、このパネル基板1に対して本圧着動作が行われる場合を例として説明する。
図7のフローチャートのステップS1において、本圧着装置340のパネル基板保持装置343に1枚のパネル基板1が搬入されて、ステージ343aにより保持される。このパネル基板1は、図26(A)に示すように、X軸方向沿いの端子部を長辺側端子部2Aとして、Y軸方向沿いの端子部を短辺側端子部2Bとした姿勢にてステージ343aに保持される。また、長辺側端子部2Aには間隔ピッチP1にて3個のTCP4が仮圧着されており、短辺側端子部2bには間隔ピッチP2にて2個のTCP4が仮圧着されている。なお、間隔ピッチP1とP2は互いに異なっている。
次に、この搬入されたパネル基板1の識別情報と関連付けられて、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける部品圧着位置情報(第1圧着位置情報)が制御装置319にて取得される(ステップS2)。部品圧着位置情報には、長辺側端子部2AにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP1、さらに圧着されるTCP4の個数の情報などが含まれている。さらにこのような情報の中には、TCP4の種類及び熱圧着の加熱温度や加圧力の情報が含まれるような場合であってもよい。また、部品圧着位置情報の取得は、制御装置319の外部より入力されるような場合であってもよく、あるいは制御装置319の記憶部等に予め記憶されており、パネル基板1の識別情報に基づいて記憶部等から読み出されるような場合であってもよい。
制御装置319において、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報が取得されると、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、それぞれの圧着ユニット341の配置が調整される(ステップS3)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(3個)の情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の中から本圧着動作のために使用される3台の圧着ユニット341が選択される。このとき、6台の圧着ユニット341の中央側に位置される圧着ユニット341から順次選択される。選択された3台の圧着ユニット341は、その配列における略中央付近の領域である圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった両側の3台の圧着ユニット341は、圧着動作実施領域Q1の両側において隣接する領域である退避領域Q2に位置されるように、それぞれの圧着ユニット341が備えるユニット移動用モータ366の駆動により、それぞれの圧着ユニット341がLMガイド365により案内されながら、それぞれ独立してX軸方向沿いに移動される。このように本圧着動作を実施する3台の圧着ユニット341を圧着動作実施領域Q1に位置させ、本圧着動作を実施しない3台の圧着ユニット341をその両側に配置された退避領域Q2に位置させることにより、本圧着動作を実施しない3台の圧着ユニット341とパネル基板1との干渉を防止して、確実に本圧着動作を実施することができる。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP1及びその位置の情報に基づいて、選択された3台の圧着ユニット341の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ366の駆動により調整される。
このようにそれぞれの圧着ユニット341の配置調整が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1の移動が行われて、選択された3台の圧着ユニット341におけるそれぞれのバックアップステージ362上あるいはその上方に、3箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の長辺側端子部2Aが配置される。ここで、図25B、並びに図26(A)及び(B)は、バックアップステージ362上にパネル基板1の長辺側端子部2Aが配置されている状態の例を示す図である。図26(A)及び(B)に示すように、退避領域Q2に位置された3台の圧着ユニット341とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、図25Cに示すように、ヘッド昇降装置367により昇降フレーム368を介してそれぞれの圧着ヘッド361が下降され、圧着ヘッド361の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに加圧ユニット369により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける3箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して3個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS4)。その後、ヘッド昇降装置367によりそれぞれの圧着ヘッド362が上昇される。なお、バックアップステージ362が固定式である場合についての本圧着動作について説明したが、バックアップステージ362が可動式として昇降可能な構成が採用される場合には、バックアップステージ362の上方にパネル基板1の長辺側端子部2Aを配置した後、このパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に、圧着ヘッド361及びバックアップステージ362を動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット341については、パネル基板1の支持高さ位置である圧着高さ位置よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置)にバックアップステージ362を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット341とTCP4及びパネル基板1との干渉を防止することができる。そのため、例えば、圧着動作を行わない圧着ユニット341を退避領域Q2ではなく圧着動作実施領域Q1に位置させるような場合であっても、この圧着ユニット341とパネル基板1との干渉を防止することが可能となる。
長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ362から離間されるように移動され、保持されているパネル基板1がXY平面内においてθ回転移動されて、パネル基板1の短辺側端子部2BがX軸方向沿いとなるような姿勢とされる(ステップS5)。
次に、制御装置319において、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける部品圧着位置情報(第2圧着位置情報)が取得される(ステップS6)。この部品圧着位置情報には、短辺側端子部2BにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP2、さらに圧着されるTCP4の個数(2個)の情報などが含まれている。なお、本第3実施形態の手順の例としては、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報と、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報とが別々に取得されるような場合について説明するが、このような場合に代えて、両情報が同時に取得されるような場合であってもよい。
次に、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、それぞれの圧着ユニット341の配置が調整される(ステップS7)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(2個)の情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の中から本圧着動作のために使用される2台の圧着ユニット341として、6台の圧着ユニット341の中央に位置される2台の圧着ユニット341が選択される。選択された2台の圧着ユニット341は、圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった両側の4台の圧着ユニット341は、それぞれの退避領域Q2に2台ずつ位置されるように、それぞれのユニット移動用モータ366の駆動により、それぞれの圧着ユニット341がLMガイド365により案内されながら、X軸方向沿いに移動される。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP2及びその位置の情報に基づいて、選択された2台の圧着ユニット341の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ366の駆動により調整される。
それぞれの圧着ユニット341の配置調整が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1の移動が行われて、選択された2台の圧着ユニット341におけるそれぞれのバックアップステージ362上あるいはその上方に、2箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置される。ここで、図27(A)及び(B)は、バックアップステージ362上にパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置されている状態を示す。図27(A)及び(B)に示すように、退避領域Q2に位置された4台の圧着ユニット341とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、ヘッド昇降装置367により昇降フレーム368を介してそれぞれの圧着ヘッド361が下降され、圧着ヘッド361の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに加圧ユニット369により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける2箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して2個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS8)。その後、ヘッド昇降装置367によりそれぞれの圧着ヘッド362が上昇される。なお、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作と同様に、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作についても、バックアップステージ362が可動式として昇降可能な構成が採用される場合には、バックアップステージ362の上方にパネル基板1の短辺側端子部2Bを配置した後、このパネル1基板の短辺側端子部2Bに近づく方向に、圧着ヘッド361及びバックアップステージ362を動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット341については、圧着位置(支持高さ位置)よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置あるいは退避高さ位置)にバックアップステージ362を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット341とTCP4及びパネル基板1との干渉を防止することができる。
短辺側端子部2Bに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置343によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ362から離間されるように移動されて、本圧着装置340からパネル基板1が搬出される(ステップS9)。
本第3実施形態によれば、本圧着装置340において、パネル基板1の端子部2にTCP4を本圧着する圧着ヘッド361と、その本圧着の際にパネル基板1の端子部2を支持するバックアップステージ362とを備える一列に配置された複数の圧着ユニット341と、複数の圧着ユニット341に個別に備えられ、X軸方向沿いに圧着ユニット341を平行移動させて圧着ユニット341の配置を変更させる複数のユニット移動用モータ366とが備えられていることにより、パネル基板1の部品圧着位置情報、すなわち端子部2における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動用モータ366によりそれぞれの圧着ユニット341を個別に平行移動させて、圧着ユニット341の配置を部品圧着位置の配置と合致させることができる。したがって、パネル基板1の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した本圧着動作を効率的に実施することができる。
また、パネル基板1において、長辺側端子部2Aと短辺側端子部2Bとで、TCP4の圧着位置、間隔ピッチ、及び圧着されるTCP4の個数が異なるような場合であっても、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット341の配置調整を行った後、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作を実施し、その後、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット341の配置調整を行った後、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作を実施することで、それぞれの端子部2A、2Bの仕様に応じた部品圧着を確実かつ効率的に実施することができる。そのため、長辺側用の圧着ユニット及び短辺側用の圧着ユニットとしてそれぞれ専用の圧着ユニットを備えなくても、1台の本圧着装置340により長辺側端子部2A及び短辺側端子部2Bのそれぞれの圧着位置に応じた圧着ピッチに合わせるようにそれぞれの圧着ユニットの位置に迅速に切り替えを行い、パネル基板への部品圧着を効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット341において、ユニット移動用モータ366が個別に備えられていることにより、このようなそれぞれの圧着ユニット341の配置調整を迅速かつ効率的に行うことができる。
一方、それぞれの圧着ユニット341には、圧着ヘッド361の昇降動作を行う昇降装置を個別に備えさせることなく、6台の圧着ヘッド361を一体的に昇降させる共通の1台のヘッド昇降装置367を備えさせるような構成が採用されていることがより好ましい。このような構成を採用することにより、個々の圧着ユニット341を簡単な構造として、その軽量化を図ることができ、ユニット移動用モータ366による移動性を良好なものとすることができる。
また、6台の圧着ヘッド341のうちの複数の圧着ヘッド341が選択される場合には、中央側に位置される圧着ヘッド341から順次選択されるようにすることで、このような共通のヘッド昇降装置367による昇降動作が行われ、TCP4の圧着動作が行われる際に、ヘッド昇降装置367の構造に対する荷重バランスを良好なものとすることができ、パネル基板1に対するTCP4の圧着品質をより安定させることができる。
また、各圧着ユニット341において、圧着ヘッド361とバックアップステージ362とが一対とされ、互いの配置関係が保たれた状態にてそれぞれの圧着ユニット341の配置調整のための移動が行われるような構成が採用されていることにより、どのような位置に移動されても圧着ヘッド361の圧着面(あるいは押圧面)とバックアップステージ362のパネル基板1の支持面との平行度(平行関係)を一定に保つことができる。したがって、本圧着工程における圧着精度(実装精度)を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本第3実施形態の変形例にかかる本圧着方法について、図28(A)、(B)及び図29(A)、(B)に示す模式説明図を用いて以下に説明する。
上記実施形態の説明では、本圧着装置340に搬入されるパネル基板1が1枚である場合について説明したが、本変形例では2枚のパネル基板1が本圧着装置340に搬入される場合について説明する。
図28(A)及び(B)に示すように、搬入された2枚のパネル基板1は、パネル基板保持装置343のそれぞれのステージ343a、343bに個別に保持される。それぞれのパネル基板1の長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の配置調整が行われる。具体的には、1枚のパネル基板1に対して3台の圧着ユニット341が選択されてその配置調整が行われる。その後、パネル基板保持装置343によりそれぞれのパネル基板1が移動されて、圧着ユニット341との位置決めが行われ、それぞれのバックアップステージ362上に長辺側端子部2Aが配置される。この状態が図28(A)及び(B)に示す状態である。その後、それぞれの圧着ヘッド361により長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が行われる。
長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が完了すると、それぞれのパネル基板1がバックアップステージ362上から退避され、その後、それぞれのパネル基板1のθ回転移動が行われ、短辺側端子部2BがX軸方向沿いに配置される。それぞれのパネル基板1の短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に基づいて、6台の圧着ユニット341の配置調整が行われる。具体的には、1枚のパネル基板1に対して2台の圧着ユニット341が選択されて、選択されなかった両端の2台の圧着ユニット341は、退避領域Q2に移動されるように、それぞれの配置調整が行われる。その後、パネル基板保持装置343によりそれぞれのパネル基板1が移動されて、圧着ユニット341との位置決めが行われ、それぞれのバックアップステージ362上に短辺側端子部2Bが配置される。この状態が図29(A)及び(B)に示す状態である。その後、それぞれの圧着ヘッド361により短辺側端子部2Aに対する本圧着動作が行われる。その後、それぞれのパネル基板1は、本圧着装置340から搬出される。なお、バックアップステージ362が可動式として昇降可能な構成を有する場合には、上述の選択されなかった両端の2台の圧着ユニット341について、バックアップステージ362をパネル基板1から離れる方向に退避(例えば下降)させて、これら2台の圧着ユニット341について圧着動作が行われないようにすることもできる。
本変形例にように、パネル基板保持装置343に2枚のパネル基板1が保持されてその本圧着動作が行われるような場合であっても、長辺側端子部2Aと短辺側端子部2Bとの部品圧着位置の相違に対応して本圧着動作を確実かつ効率的に実施することができる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2007年12月4日に出願された日本国特許出願No.2007−313718号、No.2007−313722号、およびNo.2007−313727号の明細書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。