本発明は光ディスク等の光情報記録媒体に対して記録および/または再生を行う際に使用される光学ヘッド、およびそのような光学ヘッドを備えた光ディスク装置に関するものである。
光ディスクの大容量化に伴い、その記録および/または再生に用いる光学ヘッドの光源の短波長化と対物レンズの高NA(開口数:Numerical Aperture)化が進んでいる。しかし、高NA化に伴い、光ディスクの光透過層の厚み変化による球面収差の影響が顕著になってくる。
例えばDVDで用いられている波長650nm、対物レンズのNA0.60の場合、光透過層の厚み変化10μmに対して、約10mλの球面収差が発生する。しかし次世代の光ディスクに用いられる波長400nm程度、対物レンズのNA0.85程度の場合には、光透過層の厚み変化10μmに対して、約100mλの球面収差が発生する。そのため、このような光ディスク用の光学ヘッドには、球面収差を補正する手段が必要となる。
特許文献1に、コリメートレンズをコリメートレンズ用アクチュエータに搭載し、光透過層の厚み誤差に起因する球面収差を打ち消すように、光源と対物レンズの間に配置されたコリメートレンズを移動する光ディスク装置の方式が示されている。この光ディスク装置について図18を用いて説明する。
図18に従来の光学ヘッドの構成を示す。図18において、101は光源、102は偏光ビームスプリッタ、103は1/4波長板、104はコリメートレンズ、106は対物レンズ、107はマルチレンズ、108は受光素子、109は対物レンズ106を駆動する2軸アクチュエータ、110はコリメートレンズ104を駆動するコリメートレンズ用アクチュエータであり、これらが光学ヘッド120を構成している。
光源101から出射されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ102を透過して、コリメートレンズ104に入射する。コリメートレンズ104に入射したレーザ光は、光ディスク130の光透過層131の厚さが規定値通りの場合には、コリメートレンズ104によって平行光とされる。コリメートレンズ104はコリメートレンズ用アクチュエータ110に搭載されており、このコリメートレンズ用アクチュエータ110によって、レーザ光の光軸に沿って前後に移動可能となっている。
コリメートレンズ104を透過したレーザ光は、1/4波長板103を透過する際に円偏光状態となり、対物レンズ106に入射する。対物レンズ106によって集光され光ディスク130の情報記録面に入射したレーザ光は、情報記録面で反射されて戻り光となる。この戻り光は、元の光路をたどって対物レンズ106を透過した後、1/4波長板103に入射する。戻り光は1/4波長板103を透過することにより、往路の偏光方向に対して90度回転された直線偏光となり、その後、コリメートレンズ104によって収束光とされた後、偏光ビームスプリッタ102によって反射される。偏光ビームスプリッタ102によって反射された戻り光は、マルチレンズ107を介して受光素子108に入射し、検出される。
光学ヘッド120を用いて光ディスク130の情報記録面上に光を集光して記録再生を行うとき、光ディスク130の光透過層131の厚み誤差によって発生する主な収差は、デフォーカスによるものと球面収差によるものである。デフォーカスについては、フォーカスサーボにより補正される。すなわち、受光素子108からのフォーカスサーボに基づいて、2軸アクチュエータ109により対物レンズ106を光軸方向に動かすことでデフォーカスが補正され、情報記録面上に焦点が合わされる。
一方、球面収差については、対物レンズ106に入射するレーザ光を発散光あるいは収束光とすることにより、光透過層131の厚さに応じて発生する球面収差と逆極性の球面収差を発生させることで補正を行う。具体的にはコリメートレンズ用アクチュエータ110により、コリメートレンズ104を光軸方向に前後に動かすことで、対物レンズ106に入射するレーザ光を発散光あるいは収束光とし、対物レンズ106で逆極性の球面収差を発生させ、光透過層131の厚み誤差に起因する球面収差をキャンセルするようにしている。このように、この光学ヘッド120においては、対物レンズ106を透過して情報記録面に焦点を結んだときは、球面収差がキャンセルされた状態になっている。
このように、コリメートレンズを光軸方向に移動させて対物レンズに入射するレーザ光を発散光あるいは収束光とする方法は、BD(Blu-ray Disc)等の高密度光ディスク用の光学ヘッドに用いられている。尚、2層の光透過層131を有するBDでは、光透過層間の距離は、各光透過層の厚さのバラツキも含めて最大30μmである。
特開平11−259906号公報
光ディスクにおいてさらなる大容量化を図るため、情報記録面について、2層を超える多層構造とすることが考えられている。この場合、新たな情報記録面を従来の2層の情報記録面の間に形成することは、各情報記録面間の距離が小さくなりすぎることに伴う様々な課題が生じるため現実的ではない。従って、2層を超える情報記録面を有する多層構造の光ディスクにおいては、最も厚い光透過層の情報記録面と最も薄い光透過層の情報記録面との面間距離は、前記30μmを超えることになる。情報記録面を多層化した場合、複数の情報記録面に対して情報の記録および/または再生を行うことになる。しかし、情報記録面毎に光透過層の厚さが異なるため、対物レンズの最適基材厚(残存収差が最小となる光透過層厚)からずれた情報記録面では、最適基材厚から所定の情報記録面までの光透過層の厚さに応じて、球面収差が発生する。
球面収差は、対物レンズの最適基材厚から所定の情報記録面までの光透過層の厚さに比例して大きくなる。情報記録面を多層化し、その光透過層の間隔を大きく変化させると、補正すべき3次の球面収差も増大する。従って、従来の光学ヘッドにおいて、コリメートレンズを光軸方向に移動させて前記球面収差を補正しようとすると、コリメートレンズの移動範囲が非常に大きくなる。
例えば、光源の波長λ=408nm、対物レンズのNA=0.85、対物レンズの焦点距離1.3mm、コリメートレンズの焦点距離19.0mm、対物レンズの最適基材厚(残存収差が最小となる光ディスク光透過層厚)85.5μmとした場合、光透過層の厚さが50μmから125μmまで変化する光ディスクを記録または再生する場合の、コリメートレンズの移動範囲(対物レンズに近づく方向を正(+)とする)を図19に示す。
図19より光透過層の厚さが50μmから125μmまで変化する場合、球面収差を補正するためのコリメートレンズの移動範囲は8mm以上となる。このように、多層化されて光透過層の厚さの変化が大きい光ディスクに用いる光学ヘッドにおいては、コリメートレンズの移動範囲を確保するために、光ヘッドのサイズを大きくする必要がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、光透過層の厚さの変化が大きい、即ち、最も厚い光透過層の情報記録面と最も薄い光透過層の情報記録面との面間距離が30μmを超えるような、例えば多層構造の光ディスクに対しても、コリメートレンズの移動範囲をより低減した光学ヘッドおよびそのような光学ヘッドを備えた光ディスク装置を提供することを目的としている。
本発明の第1態様における光学ヘッドは、光源と、前記光源から出射された光束の発散度および/または収束度を可変するカップリングレンズと、光透過層の厚さが異なる3つ以上の情報記録面を有する光情報記録媒体に前記光束を集光させる対物レンズと、前記カップリングレンズと前記対物レンズとの間に固定された発散収束度拡大部材とを具備し、前記発散収束度拡大部材に入射する光束の直径D1、および、前記発散収束度拡大部材から出射される光束の直径D2が、式(1)を満たすことを特徴としている。
D1>D2・・・(1)
上記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記複数の情報記録面の内、最も厚い光透過層の情報記録面と最も薄い光透過層の情報記録面との面間距離は、30μmを超えて構成してもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記対物レンズを駆動するアクチュエータの可動部に固定され、前記対物レンズと一体で駆動されてもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、入射光束が略平行光である場合に、出射光が略平行光となるアフォーカルレンズであってもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面が正のパワーを持ち、前記対物レンズに対向する面が負のパワーを持つ屈折型レンズであってもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面と、前記対物レンズに対向する面とのうち、少なくとも一つの面が非球面形状を有してもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記光源の波長の変動に伴って発生する前記対物レンズの色収差を補正する色収差補正機能を備えてもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面が正のパワーを持つ回折面で、前記対物レンズに対向する面が負のパワーを持つ屈折面であってもよい。
前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面が凸面であり、前記対物レンズに対向する面が凹面である屈折型レンズであり、前記光源の波長変動に伴って発生する前記対物レンズの色収差を補正する色収差補正機能を前記凸面又は前記凹面に備えることもできる。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、2枚のレンズを貼り合わせてなるレンズであり、前記カップリングレンズに対向する側が正のパワーを持つ第1のレンズ、前記対物レンズに対向する側が負のパワーを持つ第2のレンズで、かつ前記第1のレンズの硝材のアッベ数ν1、および、前記第2のレンズの硝材のアッベ数ν2が、式(2)を満たすように構成してもよい。
ν1>ν2・・・(2)
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記第1のレンズの硝材のアッベ数ν1、および、前記第2のレンズの硝材のアッベ数ν2が、式(3)および式(4)を満たすように構成してもよい。
ν1≧50・・・(3)
ν2≦35・・・(4)
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面と、前記対物レンズに対向する面と、2枚のレンズの貼り合わせ面とのうち、少なくとも一つの面が非球面形状を有してもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材に入射する光束の直径D1、および、発散収束度拡大部材から出射される光束の直径D2が、式(5)を満たすように構成してもよい。
D1×0.99≧D2≧D1×0.8・・・(5)
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記カップリングレンズを光軸方向に移動させる駆動手段をさらに具備し、前記カップリングレンズの光軸方向の位置を変化させることで、前記光源から出射された光束の発散度および/または収束度を変化させてもよい。
前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記光源とは別設される第2光源と、
前記対物レンズに隣接して配置され、前記第2光源から出射された光束を前記光情報記録媒体とは異なる第2光情報記録媒体に集光させる第2対物レンズと、をさらに備えることもできる。
前記第2対物レンズは、前記対物レンズを駆動するアクチュエータの可動部に固定され、前記対物レンズと一体で駆動されるように構成してもよい。
また、本発明の第2態様における光ディスク装置は、光学ヘッドと、光ディスクを回転駆動するための光ディスク駆動部と、前記光学ヘッド及び前記光ディスク駆動部を制御する制御部とを具備した光ディスク装置であって、前記光学ヘッドが前記第1態様のいずれか一つに規定される光学ヘッドであることを特徴としている。
本発明の第1態様における光学ヘッドおよび第2態様における光ディスク装置によれば、例えば、情報記録面の多層化により光透過層の厚さ変化が大きい光ディスクに用いる光学ヘッドにおいても、よりコンパクトなサイズを実現できるという優れた効果が得られる。
また、光源の波長の変動に伴って発生する対物レンズの色収差を補正する色収差補正機能を、さらに備えることができるという効果が得られる。
本発明の第1の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図
図1に示す光学ヘッドにて情報の記録再生が行われる光ディスクの構造を模式的に示す図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動する機構の概略構成図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動する機構の概略構成図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動したときの光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動したときの光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動したときの光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズの構造を模式的に示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズから出射される光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズから出射される光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズから出射される光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドにおける、光透過層の厚さとコリメートレンズ移動量の関係を示す図
本発明の第2の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図
図8に示す光学ヘッドにおける入射角変換ホログラムの構造を模式的に示す図
本発明の第3の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図
図10に示す光学ヘッドにおける入射角変換組みレンズの構造を模式的に示す図
本発明の第2の実施の形態における光学ヘッドに備わる発散収束度拡大部材の変形例を示す図
本発明の第1〜第3の実施の形態における光学ヘッドと、CD/DVD用光学ヘッドとを一体的に構成した、本発明の第4の実施形態における2レンズ光学ヘッドを示す図
2レンズ光学ヘッドにおける各レンズを光ディスクのシーク中心線に沿って配置した図
2レンズ光学ヘッドにおける各レンズを光ディスクのシーク中心線に直交するタンジェンシャル方向上に配置した図
本発明の第5の実施の形態における光ディスク装置の概略構成図
図13に示すCD/DVD用光学ヘッドの構成を示す図
従来の光学ヘッドの概略構成図
従来の光学ヘッドにおける、光透過層の厚さとコリメートレンズ移動量の関係を示す図。
符号の説明
1 半導体レーザ、 2 偏光ビームスプリッタ、 3 1/4波長版、
4 コリメートレンズ、 5 反射ミラー、 6 対物レンズ、
7 検出レンズ、 8 受光素子、 9 2軸アクチュエータ、
10,11,12 光学ヘッド、 16 ステッピングモータ、
17 スクリューシャフト、 18 レンズホルダ、
19 ガイド、 20 入射角変換レンズ、
21 入射角変換ホログラム、 22 入射角変換組レンズ、
30 光ディスク、 31,32,33,34 情報記録面、
35 光ディスク駆動部、 36 制御部、 40 光学ヘッド、
50 光ディスク装置、 101 光源、
102 偏光ビームスプリッタ、 103 1/4波長板、
104 コリメートレンズ、 106 対物レンズ、
107 マルチレンズ、 108 受光素子、
109 2軸アクチュエータ、
110 コリメートレンズ用アクチュエータ、 120 光学ヘッド、
130 光ディスク、 131 光透過層。
以下、本発明の実施形態である光学ヘッドおよび光ディスク装置について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態について、図1から図7を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。図1において、1は光源の一例に相当する半導体レーザ、2は偏光ビームスプリッタ、3は1/4波長板、4はカップリングレンズの一例に相当するコリメートレンズ、5は反射ミラー、6は対物レンズ、7は検出レンズ、8は受光素子、9は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ、20は発散収束度拡大部材の一例に相当する入射角変換レンズ、16はコリメートレンズ4を駆動するステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はコリメートレンズ4を保持するレンズホルダであり、これらが光学ヘッド10を構成している。
30は複数の透明基板(光透過層)を有し光情報記録媒体に相当する光ディスクである。光ディスク30は、図2に示すように、光入射面側(対物レンズ6側)から情報記録面31、32、33、34が形成されており、前記光入射面からそれぞれの情報記録面までの光透過層の厚さが、d1、d2、d3、d4となっている。尚、光ディスク30は、上述した多層構造の光ディスクに相当することから、最も厚い光透過層の情報記録面34と最も薄い光透過層の情報記録面31との面間距離は、バラツキも含めると30μmを超える。又、本実施形態では、光ディスク30は、4つの情報記録面を有するが、これに限定するものではなく、3つ以上の情報記録面を有する光ディスクである。
次に、光ディスク30に対して情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド10の動作について詳細に説明する。半導体レーザ1から出射された直線偏光のレーザ光は、偏光ビームスプリッタ2を透過し、1/4波長板3で円偏光に変換された後、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、反射ミラー5で反射して、入射角変換レンズ20を透過し、対物レンズ6によって、光透過層越しに光ディスク30の情報記録面31〜34の何れかに光スポットとして集光される。
情報記録面31〜34の何れかで反射したレーザ光は、再び対物レンズ6、入射角変換レンズ20を透過し、反射ミラー5で反射され、コリメートレンズ4を透過し、1/4波長板3で往路とは異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ2で反射され、検出レンズ7によって、受光素子8に導かれる。受光素子8で検出されたレーザ光は、光電変換された後演算されて、光ディスク30の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と偏心に追従するためのトラッキング誤差信号を生成する。2軸アクチュエータ9は、このフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号によって、回転する光ディスク30の情報トラックに光スポットが追従するよう対物レンズ6を2軸方向に駆動する。
コリメートレンズ4はレンズホルダ18に保持され、レーザ光の光軸に沿って移動可能となっている。情報記録面31〜34の光透過層の厚さに応じて、さらにそれらの光透過層の厚さが規定値から外れている場合に、光透過層の厚さ変化に伴う球面収差を補正するように、コリメートレンズ4によって対物レンズ6に入射するレーザ光は発散光あるいは収束光とされ、対物レンズ6で逆極性の球面収差を発生させ、球面収差の補正を行う。
図3A及び図3Bは、コリメートレンズ4を光軸方向に駆動する機構の概略構成図である。図3A及び図3Bにおいて、16はステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はレンズホルダ、19はガイドである。図3Bに示すように、ステッピングモータ16を駆動してスクリューシャフト17を回転させることにより、コリメートレンズ4とコリメートレンズ4を保持するレンズホルダ18がガイド19に沿ってコリメートレンズ4の光軸方向に移動可能となっている。
図4A〜図4Cは、コリメートレンズ4を光軸方向に駆動した時の光束の状態を示す図である。光ディスク30の光透過層の厚みの違いによって発生する球面収差は、対物レンズ6に入射するレーザ光の発散収束度を変え、光透過層の厚みの違いによって発生する球面収差と逆極性の球面収差を発生させることで、補正することが可能である。
従って、例えばコリメートレンズ4の出射光が略平行光となる図4Aを基準として、図4Bのように、コリメートレンズ4を光源側に移動することによって、コリメートレンズ4の出射光は発散光となり、光ディスク30の光透過層が厚くなった場合に発生する球面収差を補正できる。一方、図4Cのように、コリメートレンズ4を対物レンズ6側に移動することによって、コリメートレンズ4の出射光は収束光となり、光ディスク30の光透過層が薄くなった場合に発生する球面収差を補正できる。
ここで、コリメートレンズ4を光軸方向に移動する手段としては、上述のステッピングモータ16を使用する方法に限らず、例えば磁気回路や圧電素子の駆動によるアクチュエータ等、いかなる手段によるものでも可能であり、上記の方法に限定されるものではない。
なお、ステッピングモータを用いた場合は、コリメートレンズの光軸方向の位置をモニタする必要がないため、システムを簡素化できるというメリットがあり、一方、磁気回路や圧電素子の駆動によるアクチュエータは駆動部分が小さいため、光学ヘッドの小型化に適しているというメリットがある。
次に、入射角変換レンズ20の機能について詳細に説明する。入射角変換レンズ20は、図5に示すように、コリメートレンズ4側の面(第1面)が凸のパワーを持ち、対物レンズ6側の面(第2面)が凹のパワーを持ち、平行光が入射した場合に光束径の異なる平行光を出射する、いわゆるアフォーカルレンズとして機能する。又、入射角変換レンズ20が前記アフォーカルレンズとして機能することを他の方法にて表現すると、入射角変換レンズ20に入射する光束の直径をD1、入射角変換レンズ20から出射される光束の直径をD2としたとき、D1>D2の関係を有する、と言える。
本実施の形態における入射角変換レンズ20の仕様は、「表1」の通りである。
なお入射角変換レンズ20は、入射角変換レンズ自身で発生する球面収差を低減するため、上述の仕様の如く、入射面(第1面)と出射面(第2面)の少なくとも一つの面を非球面形状とすることが好ましい。
この入射角変換レンズ20の機能について、図6A〜図6Cを用いて説明する。
図6A〜図6Cは入射角変換レンズ20に、それぞれ平行光、発散光、収束光が入射した場合の、出射光の状態を示す図である。入射角変換レンズ20は平行光が入射した場合、図6Aに示すように光束径の異なる平行光を出射する。
しかし図6Bのように、入射角変換レンズ20に発散光が入射した場合、出射される発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ1は、入射した発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ2よりも大きくなる。一方、図6Cのように、入射角変換レンズ20に収束光が入射した場合、出射される収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ3は、入射した収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ4よりも大きくなる。
すなわち入射角変換レンズ20は、平行光が入射したときには入射光束径とは異なる出射光束径にて平行光を出射し、発散光が入射したときにはこれをより発散させて発散光として出射し、収束光が入射したときにはこれをより収束させて収束光として出射する。このように、入射角変換レンズ20は、入射光の発散収束度をより拡大して出射する機能を備える。
一方、上述のようにコリメートレンズ4を光軸方向に移動させることで、入射角変換レンズ20に対して、発散光、平行光、収束光を入射させることができる。又、対物レンズ6は、平行光が入射した場合を基準として、発散光が入射したときには、より遠い位置に焦点を結び、逆に、収束光が入射したときには、より近い位置に焦点を結ぶ特性を有する。
したがって、上述のように入射光の発散、収束度をより拡大する機能を有する入射角変換レンズ20を対物レンズ6の入射側に配置することで、コリメートレンズ4の移動により形成した発散光及び収束光は、さらに発散又は収束されて対物レンズ6に入射される。よって、コリメートレンズ4の移動量が従来と同じであっても、対物レンズ6の焦点距離を大きく変化させることができる。即ち、光ディスクにおける情報記録面間の距離が従来と同じであれば、本実施形態により、コリメートレンズ4の移動量を従来に比べて小さくすることができることがわかる。
図7は、本実施の形態における、補正すべき光透過層の厚さとコリメートレンズの移動量の関係を、計算によって求めた結果である。横軸に補正する光透過層の厚さをとり、縦軸はコリメートレンズ4の移動量を示している。なお、計算に用いた各パラメータの具体的な数値は以下の通りである。
半導体レーザ1の波長 λ=408nm
対物レンズ6のNA NA=0.85
対物レンズ6の焦点距離 fol=1.3mm
コリメートレンズ4の焦点距離置 fcl=19.0mm
情報記録面間の各光透過層の厚さ d1=50μm
d2=75μm
d3=100μm
d4=125μm
コリメートレンズ4の移動量は、対物レンズ6の最適基材厚(残存収差が最小となる光ディスク光透過層の厚さ)が85.5μmである場合を基準とし、対物レンズに近づく方向を正(+)とした。
図7より、光ディスク30のd1の光透過層の厚さを補正するのに、本実施の形態のコリメートレンズ4では+3.65mmの移動量が必要であり、d4の光透過層の厚さを補正するのに、本実施の形態のコリメートレンズ4では−3.47mmの移動量が必要となる。すなわち、コリメートレンズ4の移動範囲は約7.1mmとなり、波線で示した従来例に対して約1mm小さいことがわかる。これは、入射角変換レンズ20によって、対物レンズ6に入射する光線の発散収束度がより大きくなったため、コリメートレンズ4の単位移動量あたりに発生する球面収差量が大きくなったことを示している。
ここで光学ヘッド10のサイズをより小さくするために、図1に示すように、入射角変換レンズ20は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ9に搭載されることが好ましい。なお、入射角変換レンズ20はアフォーカルレンズであるため、対物レンズ6に対する光軸ずれによるコマ収差はほとんど発生せず、2軸アクチュエータ9に搭載する場合に位置調整が容易であり好適である。
以上のように、本実施の形態における光学ヘッド10は、入射角変換レンズ20を備えているので、コリメートレンズ4の可動範囲を小さくでき、コンパクトなサイズの光学ヘッドを実現できた。
(実施の形態2)
次に本発明の別の実施の形態について、図8と図9を用いて説明する。なお実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、以下その説明を省略する。
図8は本発明の別の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。図8において、1は光源の一例に相当する半導体レーザ、2は偏光ビームスプリッタ、3は1/4波長板、4はカップリングレンズの一例に相当するコリメートレンズ、5は反射ミラー、6は対物レンズ、7は検出レンズ、8は受光素子、9は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ、21は発散収束度拡大部材の一例に相当する入射角変換ホログラム、16はコリメートレンズ4を駆動するステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はコリメートレンズ4を保持するレンズホルダであり、これらが光学ヘッド11を構成している。また、30は、複数の透明基板(光透過層)を有し光情報記録媒体に相当する光ディスクであり、最も厚い光透過層の情報記録面34と最も薄い光透過層の情報記録面31との面間距離が前記30μmを超える光ディスクである。
なお光ディスク30の情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド11の動作については、実施の形態1で示した光学ヘッド10の動作と同じであるため、詳細な説明については省略する。
実施の形態1の光学ヘッド10と本実施の形態の光学ヘッド11の違いは、入射角変換レンズ20と入射角変換ホログラム21の違いである。入射角変換ホログラム21は、図9に示すように、コリメートレンズ4側の面(第1面)が凸のパワーを持った回折面21a、対物レンズ6側の面(第2面)が凹のパワーを持った屈折面21bとなっている。回折面21aは同心円状の複数の輪帯からなる回折構造21cを有し、半導体レーザ1の波長において最大の回折効率が得られるように構成されている。
この入射角変換ホログラム21も、実施の形態1で示した入射角変換レンズ20と同様、入射角変換ホログラム21に発散光が入射した場合、出射される発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなり、入射角変換ホログラム21に収束光が入射した場合、出射される収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなる。
すなわち入射角変換ホログラム21は、入射光の発散収束度をより拡大して出射する機能を備え、コリメートレンズ4の単位移動量あたりに発生する球面収差量を大きくする効果がある。よって、入射角変換ホログラム21も、入射角変換ホログラム21に入射する光束の直径をD1、入射角変換ホログラム21から出射される光束の直径をD2としたとき、D1>D2の関係を有する。
したがって、入射角変換ホログラム21は、入射角変換レンズ20が有する上述した効果と同様の効果、つまりコリメートレンズ4の移動量を従来に比べて小さくすることができ、光学ヘッドの小型化に寄与することができる。
ところで記録パワーと再生パワーの切り替え時や周囲温度の変化などによって、レーザ光源の波長は変動する。ここで、レーザ光の波長が短いほど、波長変動に伴う対物レンズの材料の屈折率変動による、最良像点位置の変動による影響が大きくなる。従って、特に記録型の光学ヘッドにおいては、波長の変動によって生じる最良像点位置の変動を補正するための色収差補正機能を備えることが一般的である。
本実施の形態の入射角変換ホログラム21は、半導体レーザ1の基準波長408nmの平行光が入射した場合には、凸の回折パワーと凹の屈折パワーが等しく、アフォーカルレンズとして機能するが、レーザ光の波長が長くなった場合には、回折面21aでの回折角が大きくなって凸のパワーが強くなり、平行光が入射した場合に収束光を出射するレンズとして機能する。一方、レーザ光の波長が短くなった場合には、回折面21aでの回折角が小さくなって凹のパワーが強くなり、平行光が入射した場合に発散光を出射するレンズとして機能する。これは対物レンズ6で発生する最良像点位置の変動を相殺するように機能し、いわゆる色収差補正の効果を持つ。つまり、回折面21aに形成した前記回折構造21cが色収差補正機能を奏する。
尚、前記回折構造21cは、色収差補正機能を奏するための条件である凸のパワーを有し、その凸のパワー量は、対物レンズ6にて発生する色収差を打ち消すのに必要な量である。又、入射角変換ホログラム21は、図9に示すように、コリメートレンズ4側の面は平面であり、対物レンズ6側の面は凹面にて形成している。尚、仮に、凸のパワーを有する回折構造21cを対物レンズ6側の前記凹面に形成しても、回折構造21cによる色収差補正機能を得ることはできる。しかしながら、入射角変換ホログラム21に入射する光束の直径D1と出射される光束の直径D2とが等しくなるため、入射光の発散収束度を拡大する効果が得られなくなる。よって、図9に示すような片面が平面である入射角変換ホログラム21の形状では、コリメートレンズ4側の平面に回折構造21cを形成する必要がある。但し、後述するように、色収差補正機能を有する発散収束度拡大部材の形状は、入射角変換ホログラム21の形状に限定されるものではない。
以上のように、本実施の形態における光学ヘッド11は、入射角変換ホログラム21を備えているので、コリメートレンズ4の可動範囲を小さくでき、コンパクトなサイズの光学ヘッドを実現できる。また、入射角変換ホログラム21は色収差補正の機能も備えるため、記録または再生性能に優れた光学ヘッドを実現できる。
なお、本実施の形態における入射角変換ホログラム21は、実施の形態1における入射角変換レンズに比べて薄型かつ軽量に構成することが可能であるため、2軸アクチュエータ6の小型化および高速駆動により適しているという特徴を備える。
上述したように、入射角変換ホログラム21では、コリメートレンズ4側の面は平面にて、対物レンズ6側の面は凹面にて形成され、色収差補正機能を発揮する回折構造21cは、コリメートレンズ4側の平面に形成されている。しかしながら、発散収束度拡大部材は、以下に説明するような形状を採ることもでき、そのような形状を採ることで、色収差補正機能を有し、かつ、アフォーカルレンズとしてのより大きなアフォーカル倍率を得ることが可能となる。
上述したように、色収差補正機能を発揮するための回折構造21cによる凸のパワー量は、使用される対物レンズにて発生する色収差量によって決定される。例えば、対物レンズにて発生する色収差量が0.5μm/nmであり、これを略ゼロとするために発散収束度拡大部材に形成する回折構造21cによる凸のパワーは、ほぼ一義に決定される。一方、上述したようにコリメートレンズ4の移動量を低減し光学ヘッドの小型化を図るために、当該発散収束度拡大部材がアフォーカルレンズとして機能するためには、当該発散収束度拡大部材における凸のパワーと凹のパワーとが等しくなければならない。ここで上述の例のように、色収差補正機能を発揮する回折構造21cが入射角変換ホログラム21のコリメートレンズ4側の平面に形成されている場合、入射角変換ホログラム21の厚さを1mm程度とすると、入射角変換ホログラム21に入射する光束の直径をD1、入射角変換ホログラム21から出射される光束の直径をD2としたとき、上述の値の色収差を打ち消すためのD2/D1の値は、0.95程度となる。
上述の観点からすれば、発散収束度拡大部材におけるD2/D1の値は、補正すべき色収差量にて決定されてしまうと思われるが、以下に説明するように発散収束度拡大部材を形成することで、D2/D1の値を適宜に設定して、コリメートレンズ4の移動量をさらに低減し光学ヘッドのさらなる小型化を図ることが可能となる。
即ち、コリメートレンズ4の移動量をさらに低減して光学ヘッドのさらなる小型化を図るためには、前記D2/D1の値をさらに小さくしなければならない。例えば、D2/D1の値が上述の値よりも小さい、例えばD2/D1=0.8である発散収束度拡大部材を形成したい場合、入射角変換ホログラム21の厚さは現実的な値を採らざるを得ないことから、上述の例のように補正すべき色収差量が0.5μm/nmであれば、回折構造21cによる凸のパワー量はほぼ一義的に決定される。よって、図12に示すように、コリメートレンズ4側の面を、所定の凸のパワー量を有するように凸面23aに形成する。そして、アフォーカルレンズとして機能させるため当該発散収束度拡大部材における凸のパワーと凹のパワーとは等しくなければならないことから、対物レンズ6側の面について、回折構造21cによる凸のパワーと凸面23aによる凸のパワーとの和に対してパワー量の絶対値でほぼ等しい凹のパワー量を有する凹面23bに形成する。このようにして、図12に示すような発散収束度拡大部材23が形成される。
尚、該発散収束度拡大部材23では、コリメートレンズ4側の凸面23aに回折構造21cを形成しているが、回折構造21cは、コリメートレンズ4側、対物レンズ6側のいずれに形成してもよい。例えば、上述の例にて、対物レンズ6側の面に回折構造21cを設けるとすると、対物レンズ6側の面は、回折構造21cによる凸のパワーを有することから、コリメートレンズ4側の面について、回折構造21cによる凸のパワーと凹面23bによる凹のパワーとの和に対してパワー量の絶対値でほぼ等しい凸のパワー量を有する凸面23aに形成する。即ち、発散収束度拡大部材における凹面による凹のパワー、凸面による凸のパワー、及び回折構造21cによる凸のパワーにより、結果的に当該発散収束度拡大部材がアフォーカルレンズとして機能する、つまり凹のパワーと凸のパワーとが等しくなるように、発散収束度拡大部材の形状を決めればよい。
尚、凸面と凹面とを比べると、凸面の方が有効領域の面積が大きいことから、回折構造21cの製作上の観点からは、凸面に回折構造21cを形成するのが容易であることから好ましい。
(実施の形態3)
次に本発明の別の実施の形態について、図10と図11を用いて説明する。なお実施の形態1および実施の形態2と同一の構成要素については、同一の符号を付して、以下その説明を省略する。
図10は本発明の別の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。図10において、1は光源の一例に相当する半導体レーザ、2は偏光ビームスプリッタ、3は1/4波長板、4はカップリングレンズの一例に相当するコリメートレンズ、5は反射ミラー、6は対物レンズ、7は検出レンズ、8は受光素子、9は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ、22は発散収束度拡大部材の一例に相当する入射角変換組レンズ、16はコリメートレンズ4を駆動するステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はコリメートレンズ4を保持するレンズホルダであり、これらが光学ヘッド12を構成している。また、30は複数の透明基板(光透過層)を有し光情報記録媒体に相当する光ディスクであり、最も厚い光透過層の情報記録面34と最も薄い光透過層の情報記録面31との面間距離が前記30μmを超える光ディスクである。
実施の形態1の光学ヘッド10、実施の形態2の光学ヘッド11と本実施の形態の光学ヘッド12の違いは、入射角変換組レンズ22である。入射角変換組レンズ22は、図11に示すように、コリメートレンズ4側(入射側)の凸レンズ22a(硝材:VC78、アッベ数55)と、対物レンズ6側(出射側)の凹レンズ22b(硝材:FD15、アッベ数30)とを貼り合わせて構成される。
この入射角変換組レンズ22も、発散光が入射した場合、出射される発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなり、収束光が入射した場合、出射される収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなる。
すなわち入射角変換組レンズ22は、入射光の発散収束度をより拡大して出射する機能を備え、コリメートレンズ4の単位移動量あたりに発生する球面収差量を大きくする効果がある。よって、入射角変換組レンズ22も、入射角変換組レンズ22に入射する光束の直径をD1、入射角変換組レンズ22から出射される光束の直径をD2としたとき、D1>D2の関係を有する。
したがって、入射角変換組レンズ22は、入射角変換レンズ20が有する上述した効果と同様の効果、つまりコリメートレンズ4の移動量を従来に比べて小さくすることができ、光学ヘッドの小型化に寄与することができる。
また、本実施の形態の入射角変換組レンズ22は、半導体レーザ1の基準波長408nmの平行光が入射した場合には、凸レンズ22aのパワーと、凹レンズ22bのパワーが等しく、アフォーカルレンズとして機能するが、レーザ光の波長が長くなった場合には、分散の大きい(アッベ数の小さい)凹レンズのパワーがより小さくなり、平行光が入射した場合に収束光を出射するレンズとして機能する。一方、レーザ光の波長が短くなった場合には、分散の大きい(アッベ数が小さい)凹レンズのパワーがより大きくなり、平行光が入射した場合に発散光を出射するレンズとして機能する。これは対物レンズ6で発生する最良像点位置の変動を相殺するように機能し、いわゆる色収差補正の効果を持つ。
なお、入射角変換組レンズ22が色収差補正の機能を備えるためには、凹レンズ22bに用いる硝材の分散が、凸レンズ22aに用いる硝材の分散よりも大きいことが条件となる。具体的には、凸レンズ22aはアッベ数50以上の低分散材料、凹レンズ22bはアッベ数35以下の高分散材料を用いることが好ましい。
以上のように、本実施の形態における光学ヘッド12は、入射角変換組レンズ22を備えているので、コリメートレンズ4の可動範囲を小さくでき、コンパクトなサイズの光学ヘッドを実現できる。また、入射角変換組レンズ22は色収差補正の機能も備えるため、記録または再生性能に優れた光学ヘッドを実現できる。
なお、実施の形態1から実施の形態3においては、2軸アクチュエータ9の可動部に搭載した入射角変換レンズ20、入射角変換ホログラム21、入射角変換組レンズ22のいずれかを用いてコリメートレンズ4の可動範囲を低減した光学ヘッドの形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
すなわち本発明は、発散収束度拡大部材として、コリメートレンズと対物レンズの間に固定され、コリメートレンズから出射されて、対物レンズに入射する光束のマージナル光線の光軸に対する傾斜角を拡大する機能を有するものであれば適用可能である。例えば、入射面と出射面の両方に回折構造を備えていてもよい。また、これら発散収束度拡大部材が2軸アクチュエータ上ではなく、光学ヘッド上に固定されていてもよい。
なお、発散収束度拡大部材が、コリメートレンズから出射されて対物レンズに入射する光束のマージナル光線の光軸に対する傾斜角を拡大する機能を有する条件は、発散収束度拡大部材に入射する光束の直径をD1、発散収束度拡大部材から出射される光束の直径をD2とすると、
D1>D2
である。ただし、入射光束径D1と出射光束径D2の差が小さい場合は、傾斜角の拡大効果が小さいため、
D1×0.99≧D2
程度とすることが好ましい。一方、入射光束径D1に対する出射光束径D2が小さければ小さいほど、傾斜角の拡大効果は大きくなる。しかしながら、対物レンズと光ディスクの間隔(作動距離)を確保するために、対物レンズの焦点距離はある程度確保する必要があり、対物レンズの有効径は大幅に小さくすることはできない。すなわち、発散収束度拡大部材の出射光束径D2に対して入射光束径D1が大きいと、コリメートレンズ4の有効径及び外径が大きくなるため、逆に光学系全体が大きくなる。従って、実質的には、
D2≧D1×0.8
程度とすることが好ましい。以上のように、発散収束度拡大部材に入射する光束の直径D1および出射される光束の直径D2は、
D1×0.99≧D2≧D1×0.8
の範囲にあることが好ましい。
さらに、球面収差を補正するために駆動するカップリングレンズは、実施の形態1から実施の形態3に示したコリメートレンズ4をステッピングモータ16を用いて光軸方向に駆動する形態に限らず、例えば、2組のレンズ群の光軸方向の間隔を変えることにより、対物レンズに入射する光束の発散度および/または収束度を変化させる、いわゆるビームエキスパンダのような光学素子についても適用可能であることは明らかである。
(第4の実施の形態)
実施の形態1〜3にて説明したように、コリメートレンズ4と対物レンズ6との間に、例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を配置することで、コリメートレンズ4の移動量を低減し光学ヘッドの小型化を図ることができる。一方、発散収束度拡大部材を用いずにコリメートレンズ4の移動量を減少させる方法としては、対物レンズ6の焦点距離を大きくする方法がある。
しかしながら、焦点距離の大きい対物レンズ6は直径が大きいため、光学ヘッドの小型化に反するとともに、対物レンズの重量が増し対物レンズ等を駆動するアクチュエータの動作性能上、不利となる。したがって、上述のように例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設けることは、対物レンズ等を駆動するアクチュエータの動作性能上の観点からも有効である。特に、入射角変換ホログラム21や入射角変換組レンズ22のように、発散収束度拡大部材に色収差補正機能を持たせることで、別途、色収差補正用の光学素子を設ける必要がなくなり、さらに有効である。
さらにまた、本発明の第4の実施の形態として、図13に示すように、CD(コンパクトディスク)及びDVD(デジタルバーサタイルディスク)用の光学ヘッド13Aと、上述した第1〜第3の実施の形態におけるBD用の光学ヘッド13Bとを一体的に構成した2レンズ光学ヘッド13を構成することもできる。
図13に示す2レンズ光学ヘッド13では、CD/DVD用光学ヘッド13Aと、BD用光学ヘッド13Bとを別々に独立して配置し一体的に構成してもよいし、例えば、CD/DVD用光学ヘッド13Aに備わる対物レンズ、並びに、BD用光学ヘッド13Bに備わる対物レンズ6及び発散収束度拡大部材を駆動するアクチュエータを共用するようにして一つの可動部にて一体で駆動してもよい。
又、図13に示すCD/DVD用光学ヘッド13Aは、例えば図17に示す光学ヘッド220の構成を有することができる。この場合、光源201は第2光源に相当し、対物レンズ206は第2対物レンズに相当し、また、202は偏光ビームスプリッタ、203は1/4波長板、204はコリメートレンズ、207はマルチレンズ、208は受光素子、209は対物レンズ206を駆動する2軸アクチュエータである。又、230は光ディスク、231は光透過層である。
尚、図13では、2レンズ光学ヘッド13において光学ヘッド13Aを右側、光学ヘッド13Bを左側に図示しているが、便宜上そのように図示したまでであり、実際の配置とは無関係であり、又、図示の形状、サイズ等も実際とは相違する。
上述のように2レンズ光学ヘッドを構成することもできるが、例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設ける代わりに、コリメートレンズの移動量低減のために大きな直径を有する対物レンズを設けた、図14及び図15に示す2レンズ光学ヘッド14では、以下に説明するような問題が生じる。即ち、上述したように、大きな対物レンズによる重量増のため、対物レンズ駆動用アクチュエータの動作性能が低下する。さらに、CD/DVD用光学ヘッド14Aにおける対物レンズ14A−1と、BD用光学ヘッド14Bにおける対物レンズ14B−1との中心間距離L1は、図13に示す2レンズ光学ヘッド13における中心間距離Lよりも大きくなり、以下に説明するように、例えばトラッキング制御等、光ディスクに対する情報の読み書きに関して問題が生じる。
2レンズ光学ヘッド14において、CD/DVD用光学ヘッド14Aにおける対物レンズ14A−1、及び、BD用光学ヘッド14Bにおける対物レンズ14B−1の配置は、図14に示すように、光ディスク30のシーク中心線30aに沿ってそれらを並設する方法と、図15に示すように、対物レンズ14A−1を光ディスク30のシーク中心線30a上に配置し対物レンズ14B−1をシーク中心線30aに直交するタンジェンシャル方向30bに配置する方法とがある。図14に示す配置方法では、大きな前記中心間距離L1のために、2レンズ光学ヘッド14のサイズが大型化してしまう。よって、例えばBD用光学ヘッド14Bが光ディスク30の内周側トラックにアクセスしようとしたとき、CD/DVD用光学ヘッド14Aが光ディスク回転用のモータに干渉する恐れがある。又、図15に示す配置方法では、前記中心間距離L1が大きいため、対物レンズ14B−1はシーク中心線30aからの位置ズレが大きくなる。一方、光ディスク30のトラックの曲率は、外周側トラックでは比較的に緩やかであり、内周側トラックではきつくなる。よって、対物レンズ14B−1を有するBD用光学ヘッド14Bが外周側トラックにアクセスしたときと、内周側トラックにアクセスしたときとでは、トラック角度30cに差異が発生する。該トラック角度30cの相違に起因して、BD用光学ヘッド14Bに備わる光検出器で検出される光束パターンは変化することから、トラッキング性能が劣化してしまうという問題がある。
上述のように例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設けることで、コリメートレンズ4の移動量を低減して光学ヘッドの小型化を図れ、かつ対物レンズ6の直径を大きくする必要もなくなる。よって、第1〜第3の実施の形態におけるBD用の光学ヘッド13Bを備えた2レンズ光学ヘッド13では、前記中心間距離Lを、従来と同等若しくはそれ未満とすることができる。したがって、図14及び図15を参照して説明したような問題は、本実施形態の光学ヘッドでは発生しない。このように、例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設けることは、例えばトラッキング制御等、光ディスクに対する情報の読み書きに関する観点においても有効である。
(実施の形態5)
図16は本発明の一実施の形態における光ディスク装置の概略構成図である。
図16において、50は光ディスク装置全体を表しており、光ディスク装置50の内部に光ディスク駆動部35、制御部36、光学ヘッド40を備える。また30は透明基板を持つ光ディスクである。
光ディスク駆動部35は光ディスク30を回転駆動する機能を有し、光学ヘッド40は実施の形態1から実施の形態4で述べたいずれかの光学ヘッドである。制御部36は光ディスク駆動部35と光学ヘッド40の駆動および制御を行う機能を有すると共に、光学ヘッド40で受光された制御信号、情報信号の信号処理を行う機能と、情報信号を光ディスク装置50の外部と内部でインタフェースさせる機能を有する。
光ディスク装置50は、実施の形態1から実施の形態34で述べたいずれかの光学ヘッドを搭載しており、コリメートレンズの移動範囲が縮小されているので、本実施の形態における光ディスク装置50は、情報記録面の多層化により光透過層の厚さ変化が大きい光ディスクに用いる場合にも、よりコンパクトなサイズを実現できるという優れた効果が得られる。特に、実施の形態2と実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドを搭載している場合は、コリメートレンズの移動範囲が縮小されているという効果に加えて、色収差補正機能も備えるので、本実施の形態における光ディスク装置50は、コンパクトなサイズに加えて、記録または再生性能に優れるという顕著な効果が得られる。
なお、上述した様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
又、2006年3月20日に出願された、日本国特許出願No.特願2006−076315号の明細書、図面、特許請求の範囲、及び要約書の開示内容の全ては、参考として本明細書中に編入されるものである。
本発明の光学ヘッドは、情報記録面の多層化により光透過層の厚さ変化が大きい光ディスクに用いる場合でも、光学ヘッドをコンパクトに構成可能であり、また色収差補正機能も備えるので、光ディスク装置の小型化、軽量化および高精度化ができ、高性能な光ディスク装置を安価に提供できる。
本発明は光ディスク等の光情報記録媒体に対して記録および/または再生を行う際に使用される光学ヘッド、およびそのような光学ヘッドを備えた光ディスク装置に関するものである。
光ディスクの大容量化に伴い、その記録および/または再生に用いる光学ヘッドの光源の短波長化と対物レンズの高NA(開口数:Numerical Aperture)化が進んでいる。しかし、高NA化に伴い、光ディスクの光透過層の厚み変化による球面収差の影響が顕著になってくる。
例えばDVDで用いられている波長650nm、対物レンズのNA0.60の場合、光透過層の厚み変化10μmに対して、約10mλの球面収差が発生する。しかし次世代の光ディスクに用いられる波長400nm程度、対物レンズのNA0.85程度の場合には、光透過層の厚み変化10μmに対して、約100mλの球面収差が発生する。そのため、このような光ディスク用の光学ヘッドには、球面収差を補正する手段が必要となる。
特許文献1に、コリメートレンズをコリメートレンズ用アクチュエータに搭載し、光透過層の厚み誤差に起因する球面収差を打ち消すように、光源と対物レンズの間に配置されたコリメートレンズを移動する光ディスク装置の方式が示されている。この光ディスク装置について図18を用いて説明する。
図18に従来の光学ヘッドの構成を示す。図18において、101は光源、102は偏光ビームスプリッタ、103は1/4波長板、104はコリメートレンズ、106は対物レンズ、107はマルチレンズ、108は受光素子、109は対物レンズ106を駆動する2軸アクチュエータ、110はコリメートレンズ104を駆動するコリメートレンズ用アクチュエータであり、これらが光学ヘッド120を構成している。
光源101から出射されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ102を透過して、コリメートレンズ104に入射する。コリメートレンズ104に入射したレーザ光は、光ディスク130の光透過層131の厚さが規定値通りの場合には、コリメートレンズ104によって平行光とされる。コリメートレンズ104はコリメートレンズ用アクチュエータ110に搭載されており、このコリメートレンズ用アクチュエータ110によって、レーザ光の光軸に沿って前後に移動可能となっている。
コリメートレンズ104を透過したレーザ光は、1/4波長板103を透過する際に円偏光状態となり、対物レンズ106に入射する。対物レンズ106によって集光され光ディスク130の情報記録面に入射したレーザ光は、情報記録面で反射されて戻り光となる。この戻り光は、元の光路をたどって対物レンズ106を透過した後、1/4波長板103に入射する。戻り光は1/4波長板103を透過することにより、往路の偏光方向に対して90度回転された直線偏光となり、その後、コリメートレンズ104によって収束光とされた後、偏光ビームスプリッタ102によって反射される。偏光ビームスプリッタ102によって反射された戻り光は、マルチレンズ107を介して受光素子108に入射し、検出される。
光学ヘッド120を用いて光ディスク130の情報記録面上に光を集光して記録再生を行うとき、光ディスク130の光透過層131の厚み誤差によって発生する主な収差は、デフォーカスによるものと球面収差によるものである。デフォーカスについては、フォーカスサーボにより補正される。すなわち、受光素子108からのフォーカスサーボに基づいて、2軸アクチュエータ109により対物レンズ106を光軸方向に動かすことでデフォーカスが補正され、情報記録面上に焦点が合わされる。
一方、球面収差については、対物レンズ106に入射するレーザ光を発散光あるいは収束光とすることにより、光透過層131の厚さに応じて発生する球面収差と逆極性の球面収差を発生させることで補正を行う。具体的にはコリメートレンズ用アクチュエータ110により、コリメートレンズ104を光軸方向に前後に動かすことで、対物レンズ106に入射するレーザ光を発散光あるいは収束光とし、対物レンズ106で逆極性の球面収差を発生させ、光透過層131の厚み誤差に起因する球面収差をキャンセルするようにしている。このように、この光学ヘッド120においては、対物レンズ106を透過して情報記録面に焦点を結んだときは、球面収差がキャンセルされた状態になっている。
このように、コリメートレンズを光軸方向に移動させて対物レンズに入射するレーザ光を発散光あるいは収束光とする方法は、BD(Blu-ray Disc)等の高密度光ディスク用の光学ヘッドに用いられている。尚、2層の光透過層131を有するBDでは、光透過層間の距離は、各光透過層の厚さのバラツキも含めて最大30μmである。
特開平11−259906号公報
光ディスクにおいてさらなる大容量化を図るため、情報記録面について、2層を超える多層構造とすることが考えられている。この場合、新たな情報記録面を従来の2層の情報記録面の間に形成することは、各情報記録面間の距離が小さくなりすぎることに伴う様々な課題が生じるため現実的ではない。従って、2層を超える情報記録面を有する多層構造の光ディスクにおいては、最も厚い光透過層の情報記録面と最も薄い光透過層の情報記録面との面間距離は、前記30μmを超えることになる。情報記録面を多層化した場合、複数の情報記録面に対して情報の記録および/または再生を行うことになる。しかし、情報記録面毎に光透過層の厚さが異なるため、対物レンズの最適基材厚(残存収差が最小となる光透過層厚)からずれた情報記録面では、最適基材厚から所定の情報記録面までの光透過層の厚さに応じて、球面収差が発生する。
球面収差は、対物レンズの最適基材厚から所定の情報記録面までの光透過層の厚さに比例して大きくなる。情報記録面を多層化し、その光透過層の間隔を大きく変化させると、補正すべき3次の球面収差も増大する。従って、従来の光学ヘッドにおいて、コリメートレンズを光軸方向に移動させて前記球面収差を補正しようとすると、コリメートレンズの移動範囲が非常に大きくなる。
例えば、光源の波長λ=408nm、対物レンズのNA=0.85、対物レンズの焦点距離1.3mm、コリメートレンズの焦点距離19.0mm、対物レンズの最適基材厚(残存収差が最小となる光ディスク光透過層厚)85.5μmとした場合、光透過層の厚さが50μmから125μmまで変化する光ディスクを記録または再生する場合の、コリメートレンズの移動範囲(対物レンズに近づく方向を正(+)とする)を図19に示す。
図19より光透過層の厚さが50μmから125μmまで変化する場合、球面収差を補正するためのコリメートレンズの移動範囲は8mm以上となる。このように、多層化されて光透過層の厚さの変化が大きい光ディスクに用いる光学ヘッドにおいては、コリメートレンズの移動範囲を確保するために、光ヘッドのサイズを大きくする必要がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、光透過層の厚さの変化が大きい、即ち、最も厚い光透過層の情報記録面と最も薄い光透過層の情報記録面との面間距離が30μmを超えるような、例えば多層構造の光ディスクに対しても、コリメートレンズの移動範囲をより低減した光学ヘッドおよびそのような光学ヘッドを備えた光ディスク装置を提供することを目的としている。
本発明の第1態様における光学ヘッドは、光源と、前記光源から出射された光束の発散度および/または収束度を可変するカップリングレンズと、光透過層の厚さが異なる3つ以上の情報記録面を有する光情報記録媒体に前記光束を集光させる対物レンズと、前記カップリングレンズと前記対物レンズとの間に固定された発散収束度拡大部材とを具備し、前記発散収束度拡大部材に入射する光束の直径D1、および、前記発散収束度拡大部材から出射される光束の直径D2が、式(1)を満たすことを特徴としている。
D1>D2・・・(1)
上記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記複数の情報記録面の内、最も厚い光透過層の情報記録面と最も薄い光透過層の情報記録面との面間距離は、30μmを超えて構成してもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記対物レンズを駆動するアクチュエータの可動部に固定され、前記対物レンズと一体で駆動されてもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、入射光束が略平行光である場合に、出射光が略平行光となるアフォーカルレンズであってもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面が正のパワーを持ち、前記対物レンズに対向する面が負のパワーを持つ屈折型レンズであってもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面と、前記対物レンズに対向する面とのうち、少なくとも一つの面が非球面形状を有してもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記光源の波長の変動に伴って発生する前記対物レンズの色収差を補正する色収差補正機能を備えてもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面が正のパワーを持つ回折面で、前記対物レンズに対向する面が負のパワーを持つ屈折面であってもよい。
前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面が凸面であり、前記対物レンズに対向する面が凹面である屈折型レンズであり、前記光源の波長変動に伴って発生する前記対物レンズの色収差を補正する色収差補正機能を前記凸面又は前記凹面に備えることもできる。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、2枚のレンズを貼り合わせてなるレンズであり、前記カップリングレンズに対向する側が正のパワーを持つ第1のレンズ、前記対物レンズに対向する側が負のパワーを持つ第2のレンズで、かつ前記第1のレンズの硝材のアッベ数ν1、および、前記第2のレンズの硝材のアッベ数ν2が、式(2)を満たすように構成してもよい。
ν1>ν2・・・(2)
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記第1のレンズの硝材のアッベ数ν1、および、前記第2のレンズの硝材のアッベ数ν2が、式(3)および式(4)を満たすように構成してもよい。
ν1≧50・・・(3)
ν2≦35・・・(4)
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材は、前記カップリングレンズに対向する面と、前記対物レンズに対向する面と、2枚のレンズの貼り合わせ面とのうち、少なくとも一つの面が非球面形状を有してもよい。
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記発散収束度拡大部材に入射する光束の直径D1、および、発散収束度拡大部材から出射される光束の直径D2が、式(5)を満たすように構成してもよい。
D1×0.99≧D2≧D1×0.8・・・(5)
また、本発明の第1態様における光学ヘッドにおいて、前記カップリングレンズを光軸方向に移動させる駆動手段をさらに具備し、前記カップリングレンズの光軸方向の位置を変化させることで、前記光源から出射された光束の発散度および/または収束度を変化させてもよい。
前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記光源とは別設される第2光源と、
前記対物レンズに隣接して配置され、前記第2光源から出射された光束を前記光情報記録媒体とは異なる第2光情報記録媒体に集光させる第2対物レンズと、をさらに備えることもできる。
前記第2対物レンズは、前記対物レンズを駆動するアクチュエータの可動部に固定され、前記対物レンズと一体で駆動されるように構成してもよい。
また、本発明の第2態様における光ディスク装置は、光学ヘッドと、光ディスクを回転駆動するための光ディスク駆動部と、前記光学ヘッド及び前記光ディスク駆動部を制御する制御部とを具備した光ディスク装置であって、前記光学ヘッドが前記第1態様のいずれか一つに規定される光学ヘッドであることを特徴としている。
本発明の第1態様における光学ヘッドおよび第2態様における光ディスク装置によれば、例えば、情報記録面の多層化により光透過層の厚さ変化が大きい光ディスクに用いる光学ヘッドにおいても、よりコンパクトなサイズを実現できるという優れた効果が得られる。
また、光源の波長の変動に伴って発生する対物レンズの色収差を補正する色収差補正機能を、さらに備えることができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施形態である光学ヘッドおよび光ディスク装置について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態について、図1から図7を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。図1において、1は光源の一例に相当する半導体レーザ、2は偏光ビームスプリッタ、3は1/4波長板、4はカップリングレンズの一例に相当するコリメートレンズ、5は反射ミラー、6は対物レンズ、7は検出レンズ、8は受光素子、9は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ、20は発散収束度拡大部材の一例に相当する入射角変換レンズ、16はコリメートレンズ4を駆動するステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はコリメートレンズ4を保持するレンズホルダであり、これらが光学ヘッド10を構成している。
30は複数の透明基板(光透過層)を有し光情報記録媒体に相当する光ディスクである。光ディスク30は、図2に示すように、光入射面側(対物レンズ6側)から情報記録面31、32、33、34が形成されており、前記光入射面からそれぞれの情報記録面までの光透過層の厚さが、d1、d2、d3、d4となっている。尚、光ディスク30は、上述した多層構造の光ディスクに相当することから、最も厚い光透過層の情報記録面34と最も薄い光透過層の情報記録面31との面間距離は、バラツキも含めると30μmを超える。又、本実施形態では、光ディスク30は、4つの情報記録面を有するが、これに限定するものではなく、3つ以上の情報記録面を有する光ディスクである。
次に、光ディスク30に対して情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド10の動作について詳細に説明する。半導体レーザ1から出射された直線偏光のレーザ光は、偏光ビームスプリッタ2を透過し、1/4波長板3で円偏光に変換された後、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、反射ミラー5で反射して、入射角変換レンズ20を透過し、対物レンズ6によって、光透過層越しに光ディスク30の情報記録面31〜34の何れかに光スポットとして集光される。
情報記録面31〜34の何れかで反射したレーザ光は、再び対物レンズ6、入射角変換レンズ20を透過し、反射ミラー5で反射され、コリメートレンズ4を透過し、1/4波長板3で往路とは異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ2で反射され、検出レンズ7によって、受光素子8に導かれる。受光素子8で検出されたレーザ光は、光電変換された後演算されて、光ディスク30の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と偏心に追従するためのトラッキング誤差信号を生成する。2軸アクチュエータ9は、このフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号によって、回転する光ディスク30の情報トラックに光スポットが追従するよう対物レンズ6を2軸方向に駆動する。
コリメートレンズ4はレンズホルダ18に保持され、レーザ光の光軸に沿って移動可能となっている。情報記録面31〜34の光透過層の厚さに応じて、さらにそれらの光透過層の厚さが規定値から外れている場合に、光透過層の厚さ変化に伴う球面収差を補正するように、コリメートレンズ4によって対物レンズ6に入射するレーザ光は発散光あるいは収束光とされ、対物レンズ6で逆極性の球面収差を発生させ、球面収差の補正を行う。
図3A及び図3Bは、コリメートレンズ4を光軸方向に駆動する機構の概略構成図である。図3A及び図3Bにおいて、16はステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はレンズホルダ、19はガイドである。図3Bに示すように、ステッピングモータ16を駆動してスクリューシャフト17を回転させることにより、コリメートレンズ4とコリメートレンズ4を保持するレンズホルダ18がガイド19に沿ってコリメートレンズ4の光軸方向に移動可能となっている。
図4A〜図4Cは、コリメートレンズ4を光軸方向に駆動した時の光束の状態を示す図である。光ディスク30の光透過層の厚みの違いによって発生する球面収差は、対物レンズ6に入射するレーザ光の発散収束度を変え、光透過層の厚みの違いによって発生する球面収差と逆極性の球面収差を発生させることで、補正することが可能である。
従って、例えばコリメートレンズ4の出射光が略平行光となる図4Aを基準として、図4Bのように、コリメートレンズ4を光源側に移動することによって、コリメートレンズ4の出射光は発散光となり、光ディスク30の光透過層が厚くなった場合に発生する球面収差を補正できる。一方、図4Cのように、コリメートレンズ4を対物レンズ6側に移動することによって、コリメートレンズ4の出射光は収束光となり、光ディスク30の光透過層が薄くなった場合に発生する球面収差を補正できる。
ここで、コリメートレンズ4を光軸方向に移動する手段としては、上述のステッピングモータ16を使用する方法に限らず、例えば磁気回路や圧電素子の駆動によるアクチュエータ等、いかなる手段によるものでも可能であり、上記の方法に限定されるものではない。
なお、ステッピングモータを用いた場合は、コリメートレンズの光軸方向の位置をモニタする必要がないため、システムを簡素化できるというメリットがあり、一方、磁気回路や圧電素子の駆動によるアクチュエータは駆動部分が小さいため、光学ヘッドの小型化に適しているというメリットがある。
次に、入射角変換レンズ20の機能について詳細に説明する。入射角変換レンズ20は、図5に示すように、コリメートレンズ4側の面(第1面)が凸のパワーを持ち、対物レンズ6側の面(第2面)が凹のパワーを持ち、平行光が入射した場合に光束径の異なる平行光を出射する、いわゆるアフォーカルレンズとして機能する。又、入射角変換レンズ20が前記アフォーカルレンズとして機能することを他の方法にて表現すると、入射角変換レンズ20に入射する光束の直径をD1、入射角変換レンズ20から出射される光束の直径をD2としたとき、D1>D2の関係を有する、と言える。
本実施の形態における入射角変換レンズ20の仕様は、「表1」の通りである。
なお入射角変換レンズ20は、入射角変換レンズ自身で発生する球面収差を低減するため、上述の仕様の如く、入射面(第1面)と出射面(第2面)の少なくとも一つの面を非球面形状とすることが好ましい。
この入射角変換レンズ20の機能について、図6A〜図6Cを用いて説明する。
図6A〜図6Cは入射角変換レンズ20に、それぞれ平行光、発散光、収束光が入射した場合の、出射光の状態を示す図である。入射角変換レンズ20は平行光が入射した場合、図6Aに示すように光束径の異なる平行光を出射する。
しかし図6Bのように、入射角変換レンズ20に発散光が入射した場合、出射される発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ1は、入射した発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ2よりも大きくなる。一方、図6Cのように、入射角変換レンズ20に収束光が入射した場合、出射される収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ3は、入射した収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角θ4よりも大きくなる。
すなわち入射角変換レンズ20は、平行光が入射したときには入射光束径とは異なる出射光束径にて平行光を出射し、発散光が入射したときにはこれをより発散させて発散光として出射し、収束光が入射したときにはこれをより収束させて収束光として出射する。このように、入射角変換レンズ20は、入射光の発散収束度をより拡大して出射する機能を備える。
一方、上述のようにコリメートレンズ4を光軸方向に移動させることで、入射角変換レンズ20に対して、発散光、平行光、収束光を入射させることができる。又、対物レンズ6は、平行光が入射した場合を基準として、発散光が入射したときには、より遠い位置に焦点を結び、逆に、収束光が入射したときには、より近い位置に焦点を結ぶ特性を有する。
したがって、上述のように入射光の発散、収束度をより拡大する機能を有する入射角変換レンズ20を対物レンズ6の入射側に配置することで、コリメートレンズ4の移動により形成した発散光及び収束光は、さらに発散又は収束されて対物レンズ6に入射される。よって、コリメートレンズ4の移動量が従来と同じであっても、対物レンズ6の焦点距離を大きく変化させることができる。即ち、光ディスクにおける情報記録面間の距離が従来と同じであれば、本実施形態により、コリメートレンズ4の移動量を従来に比べて小さくすることができることがわかる。
図7は、本実施の形態における、補正すべき光透過層の厚さとコリメートレンズの移動量の関係を、計算によって求めた結果である。横軸に補正する光透過層の厚さをとり、縦軸はコリメートレンズ4の移動量を示している。なお、計算に用いた各パラメータの具体的な数値は以下の通りである。
半導体レーザ1の波長 λ=408nm
対物レンズ6のNA NA=0.85
対物レンズ6の焦点距離 fol=1.3mm
コリメートレンズ4の焦点距離置 fcl=19.0mm
情報記録面間の各光透過層の厚さ d1=50μm
d2=75μm
d3=100μm
d4=125μm
コリメートレンズ4の移動量は、対物レンズ6の最適基材厚(残存収差が最小となる光ディスク光透過層の厚さ)が85.5μmである場合を基準とし、対物レンズに近づく方向を正(+)とした。
図7より、光ディスク30のd1の光透過層の厚さを補正するのに、本実施の形態のコリメートレンズ4では+3.65mmの移動量が必要であり、d4の光透過層の厚さを補正するのに、本実施の形態のコリメートレンズ4では−3.47mmの移動量が必要となる。すなわち、コリメートレンズ4の移動範囲は約7.1mmとなり、波線で示した従来例に対して約1mm小さいことがわかる。これは、入射角変換レンズ20によって、対物レンズ6に入射する光線の発散収束度がより大きくなったため、コリメートレンズ4の単位移動量あたりに発生する球面収差量が大きくなったことを示している。
ここで光学ヘッド10のサイズをより小さくするために、図1に示すように、入射角変換レンズ20は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ9に搭載されることが好ましい。なお、入射角変換レンズ20はアフォーカルレンズであるため、対物レンズ6に対する光軸ずれによるコマ収差はほとんど発生せず、2軸アクチュエータ9に搭載する場合に位置調整が容易であり好適である。
以上のように、本実施の形態における光学ヘッド10は、入射角変換レンズ20を備えているので、コリメートレンズ4の可動範囲を小さくでき、コンパクトなサイズの光学ヘッドを実現できた。
(実施の形態2)
次に本発明の別の実施の形態について、図8と図9を用いて説明する。なお実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、以下その説明を省略する。
図8は本発明の別の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。図8において、1は光源の一例に相当する半導体レーザ、2は偏光ビームスプリッタ、3は1/4波長板、4はカップリングレンズの一例に相当するコリメートレンズ、5は反射ミラー、6は対物レンズ、7は検出レンズ、8は受光素子、9は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ、21は発散収束度拡大部材の一例に相当する入射角変換ホログラム、16はコリメートレンズ4を駆動するステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はコリメートレンズ4を保持するレンズホルダであり、これらが光学ヘッド11を構成している。また、30は、複数の透明基板(光透過層)を有し光情報記録媒体に相当する光ディスクであり、最も厚い光透過層の情報記録面34と最も薄い光透過層の情報記録面31との面間距離が前記30μmを超える光ディスクである。
なお光ディスク30の情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド11の動作については、実施の形態1で示した光学ヘッド10の動作と同じであるため、詳細な説明については省略する。
実施の形態1の光学ヘッド10と本実施の形態の光学ヘッド11の違いは、入射角変換レンズ20と入射角変換ホログラム21の違いである。入射角変換ホログラム21は、図9に示すように、コリメートレンズ4側の面(第1面)が凸のパワーを持った回折面21a、対物レンズ6側の面(第2面)が凹のパワーを持った屈折面21bとなっている。回折面21aは同心円状の複数の輪帯からなる回折構造21cを有し、半導体レーザ1の波長において最大の回折効率が得られるように構成されている。
この入射角変換ホログラム21も、実施の形態1で示した入射角変換レンズ20と同様、入射角変換ホログラム21に発散光が入射した場合、出射される発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなり、入射角変換ホログラム21に収束光が入射した場合、出射される収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなる。
すなわち入射角変換ホログラム21は、入射光の発散収束度をより拡大して出射する機能を備え、コリメートレンズ4の単位移動量あたりに発生する球面収差量を大きくする効果がある。よって、入射角変換ホログラム21も、入射角変換ホログラム21に入射する光束の直径をD1、入射角変換ホログラム21から出射される光束の直径をD2としたとき、D1>D2の関係を有する。
したがって、入射角変換ホログラム21は、入射角変換レンズ20が有する上述した効果と同様の効果、つまりコリメートレンズ4の移動量を従来に比べて小さくすることができ、光学ヘッドの小型化に寄与することができる。
ところで記録パワーと再生パワーの切り替え時や周囲温度の変化などによって、レーザ光源の波長は変動する。ここで、レーザ光の波長が短いほど、波長変動に伴う対物レンズの材料の屈折率変動による、最良像点位置の変動による影響が大きくなる。従って、特に記録型の光学ヘッドにおいては、波長の変動によって生じる最良像点位置の変動を補正するための色収差補正機能を備えることが一般的である。
本実施の形態の入射角変換ホログラム21は、半導体レーザ1の基準波長408nmの平行光が入射した場合には、凸の回折パワーと凹の屈折パワーが等しく、アフォーカルレンズとして機能するが、レーザ光の波長が長くなった場合には、回折面21aでの回折角が大きくなって凸のパワーが強くなり、平行光が入射した場合に収束光を出射するレンズとして機能する。一方、レーザ光の波長が短くなった場合には、回折面21aでの回折角が小さくなって凹のパワーが強くなり、平行光が入射した場合に発散光を出射するレンズとして機能する。これは対物レンズ6で発生する最良像点位置の変動を相殺するように機能し、いわゆる色収差補正の効果を持つ。つまり、回折面21aに形成した前記回折構造21cが色収差補正機能を奏する。
尚、前記回折構造21cは、色収差補正機能を奏するための条件である凸のパワーを有し、その凸のパワー量は、対物レンズ6にて発生する色収差を打ち消すのに必要な量である。又、入射角変換ホログラム21は、図9に示すように、コリメートレンズ4側の面は平面であり、対物レンズ6側の面は凹面にて形成している。尚、仮に、凸のパワーを有する回折構造21cを対物レンズ6側の前記凹面に形成しても、回折構造21cによる色収差補正機能を得ることはできる。しかしながら、入射角変換ホログラム21に入射する光束の直径D1と出射される光束の直径D2とが等しくなるため、入射光の発散収束度を拡大する効果が得られなくなる。よって、図9に示すような片面が平面である入射角変換ホログラム21の形状では、コリメートレンズ4側の平面に回折構造21cを形成する必要がある。但し、後述するように、色収差補正機能を有する発散収束度拡大部材の形状は、入射角変換ホログラム21の形状に限定されるものではない。
以上のように、本実施の形態における光学ヘッド11は、入射角変換ホログラム21を備えているので、コリメートレンズ4の可動範囲を小さくでき、コンパクトなサイズの光学ヘッドを実現できる。また、入射角変換ホログラム21は色収差補正の機能も備えるため、記録または再生性能に優れた光学ヘッドを実現できる。
なお、本実施の形態における入射角変換ホログラム21は、実施の形態1における入射角変換レンズに比べて薄型かつ軽量に構成することが可能であるため、2軸アクチュエータ6の小型化および高速駆動により適しているという特徴を備える。
上述したように、入射角変換ホログラム21では、コリメートレンズ4側の面は平面にて、対物レンズ6側の面は凹面にて形成され、色収差補正機能を発揮する回折構造21cは、コリメートレンズ4側の平面に形成されている。しかしながら、発散収束度拡大部材は、以下に説明するような形状を採ることもでき、そのような形状を採ることで、色収差補正機能を有し、かつ、アフォーカルレンズとしてのより大きなアフォーカル倍率を得ることが可能となる。
上述したように、色収差補正機能を発揮するための回折構造21cによる凸のパワー量は、使用される対物レンズにて発生する色収差量によって決定される。例えば、対物レンズにて発生する色収差量が0.5μm/nmであり、これを略ゼロとするために発散収束度拡大部材に形成する回折構造21cによる凸のパワーは、ほぼ一義に決定される。一方、上述したようにコリメートレンズ4の移動量を低減し光学ヘッドの小型化を図るために、当該発散収束度拡大部材がアフォーカルレンズとして機能するためには、当該発散収束度拡大部材における凸のパワーと凹のパワーとが等しくなければならない。ここで上述の例のように、色収差補正機能を発揮する回折構造21cが入射角変換ホログラム21のコリメートレンズ4側の平面に形成されている場合、入射角変換ホログラム21の厚さを1mm程度とすると、入射角変換ホログラム21に入射する光束の直径をD1、入射角変換ホログラム21から出射される光束の直径をD2としたとき、上述の値の色収差を打ち消すためのD2/D1の値は、0.95程度となる。
上述の観点からすれば、発散収束度拡大部材におけるD2/D1の値は、補正すべき色収差量にて決定されてしまうと思われるが、以下に説明するように発散収束度拡大部材を形成することで、D2/D1の値を適宜に設定して、コリメートレンズ4の移動量をさらに低減し光学ヘッドのさらなる小型化を図ることが可能となる。
即ち、コリメートレンズ4の移動量をさらに低減して光学ヘッドのさらなる小型化を図るためには、前記D2/D1の値をさらに小さくしなければならない。例えば、D2/D1の値が上述の値よりも小さい、例えばD2/D1=0.8である発散収束度拡大部材を形成したい場合、入射角変換ホログラム21の厚さは現実的な値を採らざるを得ないことから、上述の例のように補正すべき色収差量が0.5μm/nmであれば、回折構造21cによる凸のパワー量はほぼ一義的に決定される。よって、図12に示すように、コリメートレンズ4側の面を、所定の凸のパワー量を有するように凸面23aに形成する。そして、アフォーカルレンズとして機能させるため当該発散収束度拡大部材における凸のパワーと凹のパワーとは等しくなければならないことから、対物レンズ6側の面について、回折構造21cによる凸のパワーと凸面23aによる凸のパワーとの和に対してパワー量の絶対値でほぼ等しい凹のパワー量を有する凹面23bに形成する。このようにして、図12に示すような発散収束度拡大部材23が形成される。
尚、該発散収束度拡大部材23では、コリメートレンズ4側の凸面23aに回折構造21cを形成しているが、回折構造21cは、コリメートレンズ4側、対物レンズ6側のいずれに形成してもよい。例えば、上述の例にて、対物レンズ6側の面に回折構造21cを設けるとすると、対物レンズ6側の面は、回折構造21cによる凸のパワーを有することから、コリメートレンズ4側の面について、回折構造21cによる凸のパワーと凹面23bによる凹のパワーとの和に対してパワー量の絶対値でほぼ等しい凸のパワー量を有する凸面23aに形成する。即ち、発散収束度拡大部材における凹面による凹のパワー、凸面による凸のパワー、及び回折構造21cによる凸のパワーにより、結果的に当該発散収束度拡大部材がアフォーカルレンズとして機能する、つまり凹のパワーと凸のパワーとが等しくなるように、発散収束度拡大部材の形状を決めればよい。
尚、凸面と凹面とを比べると、凸面の方が有効領域の面積が大きいことから、回折構造21cの製作上の観点からは、凸面に回折構造21cを形成するのが容易であることから好ましい。
(実施の形態3)
次に本発明の別の実施の形態について、図10と図11を用いて説明する。なお実施の形態1および実施の形態2と同一の構成要素については、同一の符号を付して、以下その説明を省略する。
図10は本発明の別の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。図10において、1は光源の一例に相当する半導体レーザ、2は偏光ビームスプリッタ、3は1/4波長板、4はカップリングレンズの一例に相当するコリメートレンズ、5は反射ミラー、6は対物レンズ、7は検出レンズ、8は受光素子、9は対物レンズ6を駆動する2軸アクチュエータ、22は発散収束度拡大部材の一例に相当する入射角変換組レンズ、16はコリメートレンズ4を駆動するステッピングモータ、17はスクリューシャフト、18はコリメートレンズ4を保持するレンズホルダであり、これらが光学ヘッド12を構成している。また、30は複数の透明基板(光透過層)を有し光情報記録媒体に相当する光ディスクであり、最も厚い光透過層の情報記録面34と最も薄い光透過層の情報記録面31との面間距離が前記30μmを超える光ディスクである。
実施の形態1の光学ヘッド10、実施の形態2の光学ヘッド11と本実施の形態の光学ヘッド12の違いは、入射角変換組レンズ22である。入射角変換組レンズ22は、図11に示すように、コリメートレンズ4側(入射側)の凸レンズ22a(硝材:VC78、アッベ数55)と、対物レンズ6側(出射側)の凹レンズ22b(硝材:FD15、アッベ数30)とを貼り合わせて構成される。
この入射角変換組レンズ22も、発散光が入射した場合、出射される発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した発散光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなり、収束光が入射した場合、出射される収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角は、入射した収束光のマージナル光線の光軸に対する傾斜角よりも大きくなる。
すなわち入射角変換組レンズ22は、入射光の発散収束度をより拡大して出射する機能を備え、コリメートレンズ4の単位移動量あたりに発生する球面収差量を大きくする効果がある。よって、入射角変換組レンズ22も、入射角変換組レンズ22に入射する光束の直径をD1、入射角変換組レンズ22から出射される光束の直径をD2としたとき、D1>D2の関係を有する。
したがって、入射角変換組レンズ22は、入射角変換レンズ20が有する上述した効果と同様の効果、つまりコリメートレンズ4の移動量を従来に比べて小さくすることができ、光学ヘッドの小型化に寄与することができる。
また、本実施の形態の入射角変換組レンズ22は、半導体レーザ1の基準波長408nmの平行光が入射した場合には、凸レンズ22aのパワーと、凹レンズ22bのパワーが等しく、アフォーカルレンズとして機能するが、レーザ光の波長が長くなった場合には、分散の大きい(アッベ数の小さい)凹レンズのパワーがより小さくなり、平行光が入射した場合に収束光を出射するレンズとして機能する。一方、レーザ光の波長が短くなった場合には、分散の大きい(アッベ数が小さい)凹レンズのパワーがより大きくなり、平行光が入射した場合に発散光を出射するレンズとして機能する。これは対物レンズ6で発生する最良像点位置の変動を相殺するように機能し、いわゆる色収差補正の効果を持つ。
なお、入射角変換組レンズ22が色収差補正の機能を備えるためには、凹レンズ22bに用いる硝材の分散が、凸レンズ22aに用いる硝材の分散よりも大きいことが条件となる。具体的には、凸レンズ22aはアッベ数50以上の低分散材料、凹レンズ22bはアッベ数35以下の高分散材料を用いることが好ましい。
以上のように、本実施の形態における光学ヘッド12は、入射角変換組レンズ22を備えているので、コリメートレンズ4の可動範囲を小さくでき、コンパクトなサイズの光学ヘッドを実現できる。また、入射角変換組レンズ22は色収差補正の機能も備えるため、記録または再生性能に優れた光学ヘッドを実現できる。
なお、実施の形態1から実施の形態3においては、2軸アクチュエータ9の可動部に搭載した入射角変換レンズ20、入射角変換ホログラム21、入射角変換組レンズ22のいずれかを用いてコリメートレンズ4の可動範囲を低減した光学ヘッドの形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
すなわち本発明は、発散収束度拡大部材として、コリメートレンズと対物レンズの間に固定され、コリメートレンズから出射されて、対物レンズに入射する光束のマージナル光線の光軸に対する傾斜角を拡大する機能を有するものであれば適用可能である。例えば、入射面と出射面の両方に回折構造を備えていてもよい。また、これら発散収束度拡大部材が2軸アクチュエータ上ではなく、光学ヘッド上に固定されていてもよい。
なお、発散収束度拡大部材が、コリメートレンズから出射されて対物レンズに入射する光束のマージナル光線の光軸に対する傾斜角を拡大する機能を有する条件は、発散収束度拡大部材に入射する光束の直径をD1、発散収束度拡大部材から出射される光束の直径をD2とすると、
D1>D2
である。ただし、入射光束径D1と出射光束径D2の差が小さい場合は、傾斜角の拡大効果が小さいため、
D1×0.99≧D2
程度とすることが好ましい。一方、入射光束径D1に対する出射光束径D2が小さければ小さいほど、傾斜角の拡大効果は大きくなる。しかしながら、対物レンズと光ディスクの間隔(作動距離)を確保するために、対物レンズの焦点距離はある程度確保する必要があり、対物レンズの有効径は大幅に小さくすることはできない。すなわち、発散収束度拡大部材の出射光束径D2に対して入射光束径D1が大きいと、コリメートレンズ4の有効径及び外径が大きくなるため、逆に光学系全体が大きくなる。従って、実質的には、
D2≧D1×0.8
程度とすることが好ましい。以上のように、発散収束度拡大部材に入射する光束の直径D1および出射される光束の直径D2は、
D1×0.99≧D2≧D1×0.8
の範囲にあることが好ましい。
さらに、球面収差を補正するために駆動するカップリングレンズは、実施の形態1から実施の形態3に示したコリメートレンズ4をステッピングモータ16を用いて光軸方向に駆動する形態に限らず、例えば、2組のレンズ群の光軸方向の間隔を変えることにより、対物レンズに入射する光束の発散度および/または収束度を変化させる、いわゆるビームエキスパンダのような光学素子についても適用可能であることは明らかである。
(第4の実施の形態)
実施の形態1〜3にて説明したように、コリメートレンズ4と対物レンズ6との間に、例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を配置することで、コリメートレンズ4の移動量を低減し光学ヘッドの小型化を図ることができる。一方、発散収束度拡大部材を用いずにコリメートレンズ4の移動量を減少させる方法としては、対物レンズ6の焦点距離を大きくする方法がある。
しかしながら、焦点距離の大きい対物レンズ6は直径が大きいため、光学ヘッドの小型化に反するとともに、対物レンズの重量が増し対物レンズ等を駆動するアクチュエータの動作性能上、不利となる。したがって、上述のように例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設けることは、対物レンズ等を駆動するアクチュエータの動作性能上の観点からも有効である。特に、入射角変換ホログラム21や入射角変換組レンズ22のように、発散収束度拡大部材に色収差補正機能を持たせることで、別途、色収差補正用の光学素子を設ける必要がなくなり、さらに有効である。
さらにまた、本発明の第4の実施の形態として、図13に示すように、CD(コンパクトディスク)及びDVD(デジタルバーサタイルディスク)用の光学ヘッド13Aと、上述した第1〜第3の実施の形態におけるBD用の光学ヘッド13Bとを一体的に構成した2レンズ光学ヘッド13を構成することもできる。
図13に示す2レンズ光学ヘッド13では、CD/DVD用光学ヘッド13Aと、BD用光学ヘッド13Bとを別々に独立して配置し一体的に構成してもよいし、例えば、CD/DVD用光学ヘッド13Aに備わる対物レンズ、並びに、BD用光学ヘッド13Bに備わる対物レンズ6及び発散収束度拡大部材を駆動するアクチュエータを共用するようにして一つの可動部にて一体で駆動してもよい。
又、図13に示すCD/DVD用光学ヘッド13Aは、例えば図17に示す光学ヘッド220の構成を有することができる。この場合、光源201は第2光源に相当し、対物レンズ206は第2対物レンズに相当し、また、202は偏光ビームスプリッタ、203は1/4波長板、204はコリメートレンズ、207はマルチレンズ、208は受光素子、209は対物レンズ206を駆動する2軸アクチュエータである。又、230は光ディスク、231は光透過層である。
尚、図13では、2レンズ光学ヘッド13において光学ヘッド13Aを右側、光学ヘッド13Bを左側に図示しているが、便宜上そのように図示したまでであり、実際の配置とは無関係であり、又、図示の形状、サイズ等も実際とは相違する。
上述のように2レンズ光学ヘッドを構成することもできるが、例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設ける代わりに、コリメートレンズの移動量低減のために大きな直径を有する対物レンズを設けた、図14及び図15に示す2レンズ光学ヘッド14では、以下に説明するような問題が生じる。即ち、上述したように、大きな対物レンズによる重量増のため、対物レンズ駆動用アクチュエータの動作性能が低下する。さらに、CD/DVD用光学ヘッド14Aにおける対物レンズ14A−1と、BD用光学ヘッド14Bにおける対物レンズ14B−1との中心間距離L1は、図13に示す2レンズ光学ヘッド13における中心間距離Lよりも大きくなり、以下に説明するように、例えばトラッキング制御等、光ディスクに対する情報の読み書きに関して問題が生じる。
2レンズ光学ヘッド14において、CD/DVD用光学ヘッド14Aにおける対物レンズ14A−1、及び、BD用光学ヘッド14Bにおける対物レンズ14B−1の配置は、図14に示すように、光ディスク30のシーク中心線30aに沿ってそれらを並設する方法と、図15に示すように、対物レンズ14A−1を光ディスク30のシーク中心線30a上に配置し対物レンズ14B−1をシーク中心線30aに直交するタンジェンシャル方向30bに配置する方法とがある。図14に示す配置方法では、大きな前記中心間距離L1のために、2レンズ光学ヘッド14のサイズが大型化してしまう。よって、例えばBD用光学ヘッド14Bが光ディスク30の内周側トラックにアクセスしようとしたとき、CD/DVD用光学ヘッド14Aが光ディスク回転用のモータに干渉する恐れがある。又、図15に示す配置方法では、前記中心間距離L1が大きいため、対物レンズ14B−1はシーク中心線30aからの位置ズレが大きくなる。一方、光ディスク30のトラックの曲率は、外周側トラックでは比較的に緩やかであり、内周側トラックではきつくなる。よって、対物レンズ14B−1を有するBD用光学ヘッド14Bが外周側トラックにアクセスしたときと、内周側トラックにアクセスしたときとでは、トラック角度30cに差異が発生する。該トラック角度30cの相違に起因して、BD用光学ヘッド14Bに備わる光検出器で検出される光束パターンは変化することから、トラッキング性能が劣化してしまうという問題がある。
上述のように例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設けることで、コリメートレンズ4の移動量を低減して光学ヘッドの小型化を図れ、かつ対物レンズ6の直径を大きくする必要もなくなる。よって、第1〜第3の実施の形態におけるBD用の光学ヘッド13Bを備えた2レンズ光学ヘッド13では、前記中心間距離Lを、従来と同等若しくはそれ未満とすることができる。したがって、図14及び図15を参照して説明したような問題は、本実施形態の光学ヘッドでは発生しない。このように、例えば入射角変換レンズ20のような発散収束度拡大部材を設けることは、例えばトラッキング制御等、光ディスクに対する情報の読み書きに関する観点においても有効である。
(実施の形態5)
図16は本発明の一実施の形態における光ディスク装置の概略構成図である。
図16において、50は光ディスク装置全体を表しており、光ディスク装置50の内部に光ディスク駆動部35、制御部36、光学ヘッド40を備える。また30は透明基板を持つ光ディスクである。
光ディスク駆動部35は光ディスク30を回転駆動する機能を有し、光学ヘッド40は実施の形態1から実施の形態4で述べたいずれかの光学ヘッドである。制御部36は光ディスク駆動部35と光学ヘッド40の駆動および制御を行う機能を有すると共に、光学ヘッド40で受光された制御信号、情報信号の信号処理を行う機能と、情報信号を光ディスク装置50の外部と内部でインタフェースさせる機能を有する。
光ディスク装置50は、実施の形態1から実施の形態34で述べたいずれかの光学ヘッドを搭載しており、コリメートレンズの移動範囲が縮小されているので、本実施の形態における光ディスク装置50は、情報記録面の多層化により光透過層の厚さ変化が大きい光ディスクに用いる場合にも、よりコンパクトなサイズを実現できるという優れた効果が得られる。特に、実施の形態2と実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドを搭載している場合は、コリメートレンズの移動範囲が縮小されているという効果に加えて、色収差補正機能も備えるので、本実施の形態における光ディスク装置50は、コンパクトなサイズに加えて、記録または再生性能に優れるという顕著な効果が得られる。
なお、上述した様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
又、2006年3月20日に出願された、日本国特許出願No.特願2006−076315号の明細書、図面、特許請求の範囲、及び要約書の開示内容の全ては、参考として本明細書中に編入されるものである。
本発明の光学ヘッドは、情報記録面の多層化により光透過層の厚さ変化が大きい光ディスクに用いる場合でも、光学ヘッドをコンパクトに構成可能であり、また色収差補正機能も備えるので、光ディスク装置の小型化、軽量化および高精度化ができ、高性能な光ディスク装置を安価に提供できる。
本発明の第1の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図
図1に示す光学ヘッドにて情報の記録再生が行われる光ディスクの構造を模式的に示す図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動する機構の概略構成図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動する機構の概略構成図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動したときの光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動したときの光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わるコリメートレンズを光軸方向に駆動したときの光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズの構造を模式的に示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズから出射される光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズから出射される光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドに備わる入射角変換レンズから出射される光線の状態を示す図
図1に示す光学ヘッドにおける、光透過層の厚さとコリメートレンズ移動量の関係を示す図
本発明の第2の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図
図8に示す光学ヘッドにおける入射角変換ホログラムの構造を模式的に示す図
本発明の第3の実施の形態における光学ヘッドの概略構成図
図10に示す光学ヘッドにおける入射角変換組みレンズの構造を模式的に示す図
本発明の第2の実施の形態における光学ヘッドに備わる発散収束度拡大部材の変形例を示す図
本発明の第1〜第3の実施の形態における光学ヘッドと、CD/DVD用光学ヘッドとを一体的に構成した、本発明の第4の実施形態における2レンズ光学ヘッドを示す図
2レンズ光学ヘッドにおける各レンズを光ディスクのシーク中心線に沿って配置した図
2レンズ光学ヘッドにおける各レンズを光ディスクのシーク中心線に直交するタンジェンシャル方向上に配置した図
本発明の第5の実施の形態における光ディスク装置の概略構成図
図13に示すCD/DVD用光学ヘッドの構成を示す図
従来の光学ヘッドの概略構成図
従来の光学ヘッドにおける、光透過層の厚さとコリメートレンズ移動量の関係を示す図。
符号の説明
1 半導体レーザ、 2 偏光ビームスプリッタ、 3 1/4波長版、
4 コリメートレンズ、 5 反射ミラー、 6 対物レンズ、
7 検出レンズ、 8 受光素子、 9 2軸アクチュエータ、
10,11,12 光学ヘッド、 16 ステッピングモータ、
17 スクリューシャフト、 18 レンズホルダ、
19 ガイド、 20 入射角変換レンズ、
21 入射角変換ホログラム、 22 入射角変換組レンズ、
30 光ディスク、 31,32,33,34 情報記録面、
35 光ディスク駆動部、 36 制御部、 40 光学ヘッド、
50 光ディスク装置、 101 光源、
102 偏光ビームスプリッタ、 103 1/4波長板、
104 コリメートレンズ、 106 対物レンズ、
107 マルチレンズ、 108 受光素子、
109 2軸アクチュエータ、
110 コリメートレンズ用アクチュエータ、 120 光学ヘッド、
130 光ディスク、 131 光透過層。