JPWO2011077647A1 - 光学ヘッド、光ディスク装置、情報処理装置及び対物レンズ - Google Patents

光学ヘッド、光ディスク装置、情報処理装置及び対物レンズ Download PDF

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Abstract

複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる光学ヘッド、光ディスク装置、情報処理装置及び対物レンズを提供する。光学ヘッド(40)は、青紫レーザ光を出射する青紫レーザ光源(1)と、輪帯状の回折構造を有し、青紫レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、多層光ディスク(60)の所定の情報記録面に収束させる対物レンズ(8)と、所定の情報記録面で反射した青紫レーザ光を受光する受光素子(23)とを備え、回折構造は、n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加する。

Description

本発明は、光ディスク等の情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する光学ヘッド、当該光学ヘッドを具備した光ディスク装置、当該光ディスク装置を具備した情報処理装置、及び当該光学ヘッドに用いられる対物レンズに関する。
青紫半導体レーザの実用化に伴い、Compact Disc(CD)及びDVDと同じサイズで、高密度かつ大容量の光情報記録媒体(以下、光ディスクとも言う)であるBlu−ray Disc(以下、BD)が実用化されている。
BDは、波長405nm程度の青紫レーザ光を出射する青紫レーザ光源と、開口数(NA)が約0.85である対物レンズとを用いて、光透過層の厚さが約100μmである情報記録面に対して情報を記録又は再生するための光ディスクである。BDは情報記録面が1面の単層ディスクと、情報記録面が2面の2層ディスクが実用化されており、1層の記録容量は約25GByteである。
短波長の青紫レーザ光と高NAの対物レンズとを用いるBD等の高密度光ディスクでは、記録と再生との切替えに伴うレーザ光の出射パワーの急激な変化に伴って、光源から出射されるレーザ光の波長が変化する。その結果、対物レンズの屈折率が変化し、対物レンズのフォーカス点の位置ずれ(デフォーカス)が発生する。この波長変化によるデフォーカスは軸上色収差と呼ばれる。
例えば特許文献1には、軸上色収差を抑制するために、回折構造を備えた光学素子又は図26に示すような回折構造を備えた対物レンズを用いた光学ヘッドが開示されている。図26は、従来の対物レンズの形状を模式的に示す図である。これらの光学素子又は対物レンズには、同心円上の回折構造が形成されており、当該回折構造は、回折光に凸レンズの(正の)パワー成分を与える。
レーザ光の波長が長くなった場合には、回折面での回折角が大きくなって凸のパワーが強くなり、レーザ光の波長が短くなった場合には、回折面での回折角が小さくなって凸のパワーが弱くなる。これらは、波長変化に伴う対物レンズの屈折率変化によって発生するデフォーカスを相殺するように機能し、軸上色収差を補正する。
ここで、回折構造を備えた光学素子又は回折構造を備えた対物レンズを用いた場合、記録又は再生を行うための光スポットを形成するn次(nは自然数)の回折光が発生するのと同時に、隣接する次数(例えばn+1次、n+2次、n−1次、n−2次等)の不要な回折光が発生する。これらの不要な回折光は、n次の回折光とは異なる位置に光スポットを形成し、記録又は再生の対象となる情報記録面、記録又は再生の対象となる情報記録面以外の情報記録面、あるいは光ディスクの表面で反射される。
このように、記録又は再生の対象となる情報記録面、記録又は再生の対象となる情報記録面以外の情報記録面、あるいは光ディスクの表面で反射された不要な回折光が、信号光(すなわち記録又は再生の対象となる情報記録面で反射したn次の回折光)と受光素子上で重なると干渉が発生し、情報信号及びサーボ信号の品質が低下することが知られている。
そこで、例えば特許文献2には、不要な回折光が受光素子上で大きく焦点ずれを起こすよう、不要な回折光による光スポットの位置を規定した光学ヘッドが開示されている。
ところで、近年、光ディスクのさらなる大容量化に向けて、BD等の高密度光ディスクの情報記録面を3層以上の多層構造とした、多層光ディスクが考えられている。
多層光ディスクは、記録又は再生の対象となる情報記録面の数が、従来の光ディスクよりも多い。図27は、従来の多層光ディスクの概略構成を示す図である。下記の表1は、従来の多層光ディスクにおいて、光ディスクの表面と情報記録面との間隔を示す表である。
図27において、光ディスクの表面161と情報記録面L0との間隔t0は、100μmであり、光ディスクの表面161と情報記録面L1との間隔t1は、84μmであり、光ディスクの表面161と情報記録面L2との間隔t2は、61μmであり、光ディスクの表面161と情報記録面L3との間隔t3は、50μmである。
例えば、図27に示すような構造の多層光ディスク160では、下記の表1に示すように、情報記録面L0〜L3の記録又は再生時に、光ディスクの表面161及び他の情報記録面L0〜L3との間隔の取りうる値が、−50μmから+100μmの範囲に広く分布する。従って、回折構造を備えた光学素子又は回折構造を備えた対物レンズを用いた光学ヘッドにおいて、不要な回折光の光スポットの位置をどのように規定したとしても、光透過層の厚さのばらつき(例えば±5μm)まで鑑みた場合、不要な回折光が受光素子上に集光することが不可避となる場合がある。
Figure 2011077647
特開2001−319368号公報 特開平9−44856号公報
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる光学ヘッド、光ディスク装置、情報処理装置及び対物レンズを提供することを目的としている。
本発明の一局面に係る光学ヘッドは、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、情報を記録又は再生する光学ヘッドであって、レーザ光を出射する光源と、輪帯状の回折構造を有し、前記レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、前記情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる対物レンズと、前記所定の情報記録面で反射した前記レーザ光を受光する光検出器とを備え、前記回折構造は、前記n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加する。
この構成によれば、光源は、レーザ光を出射する。対物レンズは、輪帯状の回折構造を有し、レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる。光検出器は、所定の情報記録面で反射したレーザ光を受光する。そして、回折構造は、n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加する。
本発明によれば、n次の回折光に正のパワー成分が付加されるので、軸上色収差を補正することができ、かつn次の回折光に球面収差成分が付加されるので、所定の情報記録面以外の他の情報記録面によって反射した回折迷光が球面収差成分によって1点に集光しなくなり、信号光と回折迷光との干渉を低減することができ、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる。
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本発明の実施の形態1における光学ヘッドの概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態1における多層光ディスクの概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態1における対物レンズアクチュエータの概略構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1におけるコリメートレンズアクチュエータの概略構成を模式的に示す図である。 (A)は、コリメートレンズが基準位置にある場合の出射光を示す図であり、(B)は、コリメートレンズが光源側に移動した場合の出射光を示す図であり、(C)は、コリメートレンズが対物レンズ側に移動した場合の出射光を示す図である。 本発明の実施の形態1における対物レンズの形状を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1の対物レンズを用いて、多層光ディスクの情報記録面L2に青紫レーザ光が収束される様子を示す模式図である。 (A)〜(C)は、本発明の実施の形態1において、受光素子上の集光スポットの様子を示す図である。 本発明の実施の形態1において、+2次光が情報記録面に収束されずに受光素子上に集光スポットを形成する場合において、多層光ディスクに+1次光及び+2次光が収束する様子を示す模式図である。 本発明の実施の形態1において、回折レンズ構造による球面収差特性と、温度変化により発生する第3の球面収差及び第4の球面収差との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において、回折レンズ構造による球面収差特性と、光源波長の個体差によって発生する第5の球面収差との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において、回折レンズ構造による球面収差特性と、温度変化及び光源波長の個体差によって発生する、補正すべき球面収差量(トータル球面収差)との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において、軸上色収差特性を0.1μm/nmとしたときの、回折レンズ構造の輪帯パターンの最小ピッチと、温度変化及び光源波長の個体差によって発生する、補正すべき球面収差量(トータル球面収差)との関係を示す図である。 図13に対して、光源波長の個体差の許容範囲を拡大したときの回折レンズ構造の輪帯パターンの最小ピッチと、トータル球面収差との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1における対物レンズの具体的な実施例について説明するための図である。 実施例1の回折構造を有する対物レンズにおける光路を示す図である。 実施例1の回折構造を有する対物レンズにおいて、平行光が対物レンズに入射した場合の縦収差(球面収差)を表すグラフである。 実施例2の回折構造を有する対物レンズにおける光路を示す図である。 実施例2の構造を有する対物レンズにおいて、平行光が対物レンズに入射した場合の縦収差(球面収差)を表すグラフである。 実施例3の回折構造を有する対物レンズにおける光路を示す図である。 実施例3の回折構造を有する対物レンズにおいて、平行光が対物レンズに入射した場合の縦収差(球面収差)を表すグラフである。 本発明の実施の形態2における光ディスク装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態3におけるコンピュータの概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態4における光ディスクプレーヤの概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態5における光ディスクレコーダの概略構成を示す図である。 従来の対物レンズの形状を模式的に示す図である。 従来の多層光ディスクの概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る光学ヘッド、光ディスク装置及び対物レンズについて図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光学ヘッドの概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1における多層光ディスクの概略構成を示す図である。
図1において、光学ヘッド40は、青紫レーザ光源1、偏光ビームスプリッタ3、コリメートレンズ4、立ち上げミラー5、1/4波長板6、対物レンズ8、対物レンズアクチュエータ9、コリメートレンズアクチュエータ14、検出ホログラム21、検出レンズ22、受光素子23及びフロントモニタセンサ24を備える。
また、多層光ディスク60は、図2に示すように、光透過層の厚さt0〜t3が100μm〜50μmである4つの情報記録面L0〜L3を備える。情報記録面L0の光透過層の厚さt0は、例えば100μmであり、情報記録面L1の光透過層の厚さt1は、例えば83μmであり、情報記録面L2の光透過層の厚さt2は、例えば59μmであり、情報記録面L3の光透過層の厚さt3は、例えば50μmである。
なお、本明細書において、光透過層とは、情報記録面から多層光ディスク60の表面(光入射面)61までの間の層を表している。そのため、情報記録面の光透過層の厚さとは、情報記録面から多層光ディスク60の表面61までの距離を表している。各情報記録面の間には中間層が配置され、多層光ディスク60の表面61に最も近い情報記録面の光入射面側にはカバー層が配置され、多層光ディスク60の表面61から最も離れた情報記録面の光入射面の反対側には基板が配置されている。
光学ヘッド40は、光透過層の厚さがそれぞれ異なる複数の情報記録面を有する多層光ディスク(情報記録媒体)60に対して、情報を記録又は再生する。青紫レーザ光源1は、約405nmの波長を有する青紫レーザ光を出射する。対物レンズ8は、輪帯状の回折構造を有し、青紫レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、多層光ディスク60の所定の情報記録面に収束させる。
受光素子(光検出器)23は、所定の情報記録面で反射した青紫レーザ光を受光する。コリメートレンズ(カップリングレンズ)4は、青紫レーザ光源1と対物レンズ8との間に配置される。コリメートレンズアクチュエータ(球面収差補正部)14は、多層光ディスク60の光入射面から情報記録面までの距離に応じて発生する球面収差を、コリメートレンズ4を光軸方向に移動させることにより補正する。
次に、多層光ディスク60に情報を記録又は再生する場合の光学ヘッド40の動作について述べる。青紫レーザ光源1から出射された約405nmの波長を有する青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ3にS偏光で入射する。偏光ビームスプリッタ3で反射された青紫レーザ光は、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、立ち上げミラー5に入射する。立ち上げミラー5に入射した青紫レーザ光の一部は、1/4波長板6の方向に反射される。
立ち上げミラー5に入射したレーザ光の他部は、立ち上げミラー5を透過してフロントモニタセンサ24に入射する。そして、フロントモニタセンサ24の出力に基づいて青紫レーザ光源1の出力が制御される。一方、立ち上げミラー5で反射した青紫レーザ光は、1/4波長板6で円偏光に変換された後、対物レンズ8によって、多層光ディスク60の情報記録面L0〜L3の何れかに光スポットとして収束される。
多層光ディスク60の所定の情報記録面で反射した青紫レーザ光は、再び対物レンズ8を透過し、1/4波長板6で往路とは異なる直線偏光に変換された後、立ち上げミラー5で反射される。立ち上げミラー5で反射された青紫レーザ光は、コリメートレンズ4を透過した後、偏光ビームスプリッタ3にP偏光で入射する。偏光ビームスプリッタ3を透過した青紫レーザ光は、検出ホログラム21及び検出レンズ22を介して、受光素子23に導かれる。受光素子23で検出された青紫レーザ光は、光電変換される。光電変換により生成された信号は、制御部(不図示)で演算され、多層光ディスク60の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、多層光ディスク60の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号と、再生信号とが生成される。
次に、本実施の形態1の光学ヘッドにおけるフォーカス誤差信号の検出及びトラッキング誤差信号の検出について説明する。
多層光ディスク60の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号は、検出レンズ22によって非点収差を与えられた集光スポットを受光素子23内の4分割受光パターンで検出する、いわゆる非点収差法等を用いて検出される。
一方、多層光ディスク60の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号は、検出ホログラム21を透過する際に生成された0次光と1次回折光とを、受光素子23の所定の受光領域で検出することにより生成される。これにより、多層光ディスク60に形成される情報トラックの溝の位置、幅及び深さにばらつきがある場合に生じるトラッキング誤差信号の変動と、情報トラックに情報が記録され、反射率が変わることで生じるトラッキング誤差信号の変動とを抑制することが可能である。
なお、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の検出は、これらの検出方法に限定されるものではなく、例えば、トラッキング誤差信号は、回折格子によって生成されたメインビームとサブビームとを用いた、いわゆる差動プッシュプル法(DPP法)等を用いることが可能である。
次に、本実施の形態における対物レンズアクチュエータについて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における対物レンズアクチュエータの概略構成を模式的に示す図である。
図3に示すように、複数のサスペンションワイヤ9aは、対物レンズホルダ(可動部)9bを支持している。対物レンズアクチュエータ9は、回転する多層光ディスク60の情報トラックに光スポットが追従するように、フォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とに基づいて、対物レンズ8を2軸方向(フォーカス方向FCD及びトラッキング方向TDに駆動する。なお、対物レンズアクチュエータ9は、フォーカス方向FCD及びトラッキング方向TDの変位に加えて、多層光ディスク60の半径方向RDに対物レンズ8を傾けることが可能な構造であってもよい。
次に、本実施の形態1におけるコリメートレンズアクチュエータについて説明する。コリメートレンズ4は、コリメートレンズアクチュエータ14によって、コリメートレンズ4の光軸方向に移動可能となっている。
図4は、本発明の実施の形態1におけるコリメートレンズアクチュエータ14の概略構成を模式的に示す図である。
図4において、コリメートレンズアクチュエータ14は、ステッピングモータ72、スクリューシャフト73、主軸74、副軸75及びレンズホルダ76を備える。ステッピングモータ72が駆動されてスクリューシャフト73が回転されることで、コリメートレンズ4を保持するレンズホルダ76は、主軸74及び副軸75に沿ってコリメートレンズ4を光軸方向ADに移動する。
図5(A)は、コリメートレンズが基準位置にある場合の出射光を示す図であり、図5(B)は、コリメートレンズが光源側に移動した場合の出射光を示す図であり、図5(C)は、コリメートレンズが対物レンズ側に移動した場合の出射光を示す図である。
図5(A)に示すように、コリメートレンズ4が基準位置にある場合、コリメートレンズ4の出射光は略平行光となる。これに対して、図5(B)に示すように、コリメートレンズ4を基準位置から光源側に移動させることによって、コリメートレンズ4の出射光は発散光となり、多層光ディスク60の光透過層が厚くなった場合に発生する球面収差を補正することができる。
一方、図5(C)に示すように、コリメートレンズ4を基準位置から対物レンズ側に移動させることによって、コリメートレンズ4の出射光は収束光となり、多層光ディスク60の光透過層が薄くなった場合に発生する球面収差を補正することができる。すなわち、複数の情報記録面を備えた多層光ディスク60において、それぞれの情報記録面の光透過層の厚さに応じてコリメートレンズ4を移動させることにより、球面収差を補正することができる。
なお、コリメートレンズ4を光軸方向に移動させるコリメートレンズアクチュエータ14の構成は、図4のようなステッピングモータ72を用いた構成に限定されるものではなく、例えば、磁気回路又は圧電素子の駆動によるアクチュエータ等のいかなる構成であっても良い。ステッピングモータ72を用いた構成では、コリメートレンズ4の光軸方向の位置をモニタする必要がなくシステムを簡素化することができる。一方、磁気回路又は圧電素子の駆動によるアクチュエータは駆動部分が小さいため、光学ヘッドの小型化に適している。
次に、本実施の形態1の対物レンズ8について、詳細に説明する。対物レンズ8は、例えば以下のように設計されている。なお、設計光透過層厚は、対物レンズ8に平行光が入射したときに球面収差が最小(略ゼロ)となる光透過層の厚さを表す。
設計波長 :405nm
設計温度 :40℃
設計光透過層厚 :75μm
焦点距離 :1.3mm
開口数(NA) :0.85
作動距離 :0.3mm
屈折率(nd) :1.51
アッベ数(νd):57
対物レンズ8は、樹脂製の単レンズである。そのため、ガラス製の対物レンズと比較して比重が小さく、フォーカスサーボ又はトラッキングサーボを行う対物レンズアクチュエータ9の負担を軽減できる。また、射出成形により高精度に大量生産することが可能であり、低コスト化に適している。
対物レンズ8は、設計光透過層厚が75μmである。従って、光透過層の厚さが100μmの情報記録面L0及び光透過層の厚さが83μmの情報記録面L1に青紫レーザ光を集光させる場合、コリメートレンズ4を光源側に移動させることにより、対物レンズ8に発散光を入射させる。これにより、光透過層の厚さが設計光透過層厚からずれていることによって発生する球面収差が補正される。一方、光透過層の厚さが59μmの情報記録面L2及び光透過層の厚さが50μmの情報記録面L3に青紫レーザ光を集光させる場合、コリメートレンズ4を対物レンズ側に移動させることにより、対物レンズ8に収束光を入射させる。これにより、光透過層の厚さが設計光透過層厚からずれていることによって発生する球面収差が補正される。
図6は、本発明の実施の形態1における対物レンズの形状を模式的に示す図である。対物レンズ8は、青紫レーザ光が入射する第1面(入射面)81と、青紫レーザ光が出射する第2面(出射面)82とを有する。
対物レンズ8は、図6に示すように、第1面(入射面)81に、光軸を中心とした輪帯状の回折レンズ構造が形成されている。この回折レンズ構造は、各輪帯の境界で光軸方向の段差δを有し、青紫レーザ光源1からの波長405nmを有する青紫レーザ光において、+1次光(+1次回折光)の回折効率が最大となるように構成されている。ただし、+1次光以外の回折次数の光、例えば0次光、−1次光及び±2次光などの回折効率をゼロにすることはできないため、これらの光は回折迷光と呼ばれる不要光となる。このような回折迷光は、光軸上において+1次光とは異なる位置に収束され、光スポットを形成する。
対物レンズ8の回折レンズ構造によって、凸レンズの(正の)パワー成分を有する+1次光が生成される。このように凸レンズのパワー成分を有する回折光は、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合には、回折面での回折角が大きくなって凸のパワーが強くなる。一方、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長が短波長側にシフトした場合には、回折面での回折角が小さくなって凸のパワーが弱くなる。これらは、対物レンズ8において、波長変化に伴う対物レンズの屈折率変化によって発生するフォーカス点の位置ずれ、すなわちデフォーカスを相殺するように機能し、いわゆる軸上色収差補正の効果を持つ。
本実施の形態1の対物レンズ8の軸上色収差特性は0.1μm/nmである。すなわち、1nmの波長変化に対するデフォーカス量が0.1μmとなっている。
従って、記録パワーと再生パワーとの切り替え時又は周囲温度の変化時などにおける青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長変動によって生じるデフォーカスを良好に補正できる。
例えば、高出力の青紫レーザ光源1の最大出力を300mW(パルス)とし、青紫レーザ光源1の出力変化に伴う波長変化を0.01nm/mWとすると、再生時と記録時との出射パワー変化に伴う青紫レーザ光源1からの青紫レーザの波長変化量は、300×1/2×0.01=1.5[nm]となる。許容されるデフォーカス量は、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長と開口数(NA)とによって決まる。許容されるデフォーカス量が例えば0.15μmとすると、軸上色収差特性は、0.15/1.5=0.1[μm/nm]となる。
なお、再生と記録とを切り替える直前に、所定の電気的オフセットを与えることにより、許容されるデフォーカス量を多少拡大できる。従って、軸上色収差特性は0.15μm/nm以下であれば、実質的に問題とならないことが多い。一方、様々な誤差要因を鑑みても、軸上色収差特性は0.05μm/nmで十分である。軸上色収差特性を0.05μm/nm未満とする場合、回折レンズ構造による凸レンズの(正の)パワー成分をより大きくするために、輪帯状のパターンのピッチが小さくなり、回折効率は急激に低下する。
以上のように、多層光ディスク60に対して情報を記録する光学ヘッド40の軸上色収差特性は、0.05μm/nm以上、かつ、0.15μm/nm以下とすることが望ましい。すなわち、対物レンズは、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長変化に伴って発生する青紫レーザ光の収束位置の変化を低減し、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の単位波長変化に伴って発生する青紫レーザ光の収束位置の変化量D[μm/nm]は、0.05[μm/nm]≦D≦0.15[μm/nm]を満たすことが好ましい。
なお、この回折レンズ構造を備えた対物レンズ8を、回折レンズと、回折レンズを除いたベースの屈折レンズとに分けて考えた場合、ベースの屈折レンズが有する正の軸上色収差を、回折レンズが有する負の軸上色収差で補正している。
ここで、回折レンズを、正のパワー成分を持ちかつ負の分散値を持つ仮想的な屈折レンズと見なした場合、本実施の形態1の回折レンズ構造を備えた対物レンズ8は、当該仮想的な屈折レンズと、ベースの屈折レンズとの接合レンズ(合成レンズ)と考えることができる。この場合、2つの屈折レンズの焦点距離(パワー配分)の関係は、任意の合成焦点距離と軸上色収差特性の条件とで一意的に決定できる。
対物レンズ8における軸上色収差特性が0.05μm/nmである場合、回折レンズによる焦点距離は74mm、ベースの屈折レンズの焦点距離は1.319mmとなり、回折レンズとベースの屈折レンズとのパワー(焦点距離の逆数)の比は、約0.02である。また、対物レンズ8における軸上色収差特性が0.15μm/nmである場合、回折レンズによる焦点距離は303mm、ベースの屈折レンズの焦点距離は1.304mmとなり、回折レンズとベースの屈折レンズとのパワー(焦点距離の逆数)の比は、0.004となる。
すなわち、多層光ディスク60に対して情報を記録する光学ヘッド40に用いられる回折レンズ構造を備えた対物レンズ8において、回折レンズ構造による光路長の付加量を表す光路差関数Φ(h)が、
Φ(h)=P×h+P×h+P×h+・・・+P2k×h2k(ただし、kは自然数)
で表され、
回折レンズ構造によるレンズのパワーφが、
φ=−(2×P×n×λ)
で表されるとき、回折レンズ構造によるレンズのパワーφと、対物レンズ8において回折レンズ構造を除いたベースの屈折レンズのパワーφとは、下記の(1)式を満たすことが望ましい。
0.004≦φ/φ≦0.02・・・(1)
ここで、hは、光軸からの高さを表し、nは、回折次数を表し、P,P,P,・・・,P2kは、係数を表し、λは、レーザ光の波長を表す。
ここで、本実施の形態1の対物レンズ8は、回折光のパワー成分に、さらに球面収差成分が重畳されている。回折レンズ構造が付加する球面収差成分は、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足(アンダー)となる方向に変化する球面収差特性を有する。
図7は、本実施の形態1の対物レンズ8を用いて、多層光ディスク60の情報記録面L2に青紫レーザ光が収束される様子を示す模式図である。図7では、対物レンズ8の第1面(入射面)81に形成された回折レンズ構造による凸レンズのパワー成分及び球面収差成分と、対物レンズ8の第1面81と第2面82との形状によるパワー成分及び球面収差成分によって、+1次光が、情報記録面L2にほぼ無収差の状態で収束している。この+1次光を“往路の+1次光”と呼ぶ。この往路の+1次光は、情報記録面L2で反射された後、対物レンズ8の第1面81に形成された回折レンズ構造によってさらに回折されて、+1次光を生成する。この+1次光を“復路の+1次光”と呼ぶ。この復路の1次光が受光素子23上に集光されて信号光となる。
ところで、図7に示すように、多層光ディスク60の所定の情報記録面(例えば情報記録面L2)に対し、+1次光を用いて情報を記録又は再生する場合、他の次数の回折光(回折迷光)が、記録又は再生の対象となる情報記録面とは異なる別の情報記録面又は多層光ディスク60の表面61に集光する場合がある。
例えば、対物レンズ8は、回折レンズ構造によって+1次光に凸レンズのパワー成分を付加させている。この時、0次光は凸レンズパワーが小さいため、0次光が収束する位置FBは、+1次光が収束する位置FAよりも、対物レンズ8から見て遠くになる。一方、+2次光は凸レンズパワーが大きいため、+2次光が収束する位置FCは、+1次光が収束する位置FAよりも、対物レンズ8から見て近くになる。なお、対物レンズ8の回折レンズ構造によって付加される凸レンズのパワー成分は、対物レンズ8の軸上色収差性能によって一意に決定される。そのため、+1次光の収束する位置と、0次光及び+2次光の収束する位置との間隔は一意に決まる。
従って、例えば図7に示すように、情報記録面L2よりもディスクの表面61から見て奥側の情報記録面L1近傍に0次光が収束し、情報記録面L2よりもディスクの表面61から見て手前側の情報記録面L3近傍に+2次光が収束する場合がある。
この時、情報記録面L1近傍に収束された0次光(往路の0次光)は、情報記録面L1で反射された後、対物レンズ8に入射する。対物レンズ8の第1面81は、復路の0次光を生成し、生成された復路の0次光は、受光素子23に集光される。同様に、情報記録面L3近傍に収束された+2次光(往路の+2次光)は、情報記録面L3で反射された後、対物レンズ8に入射する。対物レンズ8の第1面81は、復路の+2次光を生成し、生成された復路の+2次光は、受光素子23に集光される。
このように、記録又は再生の対象である情報記録面とは別の情報記録面(あるいは多層光ディスクの表面)で反射した回折迷光は、受光素子23に集光されて、信号光と干渉し、情報信号を劣化させたり、サーボ信号(フォーカス誤差信号あるいはトラッキング誤差信号)にオフセットを生じさせる。
しかしながら、本実施の形態1の対物レンズ8は、回折光のパワー成分に、さらに球面収差成分が重畳されている。そのため、受光素子23上に集光される復路の0次光及び復路の+2次光(回折迷光)には球面収差成分が残存する。
図8(A)〜(C)は、本発明の実施の形態1において、受光素子上の集光スポットの様子を示す図である。集光スポットは、検出レンズ22によって45度方向の非点収差が与えられており、デフォーカスによって拡大される。
図8(A)は、往路の+1次光が情報記録面L2で反射し、復路の+1次光が受光素子上に集光して形成された集光スポット(信号光)を示す図である。図8(B)は、回折光に球面収差成分が重畳されていない、すなわちパワー成分のみを有する従来の対物レンズにおいて、往路の0次光が情報記録面L1で反射し、復路の0次光が受光素子上に集光して形成された集光スポット(回折迷光)を示す図である。図8(C)は、本実施の形態1の対物レンズ8において、往路の0次光が情報記録面L1で反射し、復路の0次光が受光素子上に集光して形成された集光スポット(回折迷光)を示す図である。
図8(B)に示すように、従来の対物レンズを用いた場合の回折迷光は、デフォーカスの状態によっては、信号光(図8(A))とほぼ同じサイズの集光スポットが形成される。そのため、回折迷光と信号光との干渉によって情報信号又はサーボ信号の品質が低下する。
一方、図8(C)に示すように、本実施の形態1の対物レンズ8の回折迷光は、球面収差成分によって、どのようなデフォーカス状態であっても1点に集光されない。そのため、回折迷光と信号光(図8(A))との干渉を大幅に低減することができ、情報信号又はサーボ信号の品質が向上する。
なお、+1次光以外の回折光が、記録又は再生の対象である情報記録面とは別の情報記録面あるいは多層光ディスクの表面に収束しない場合であっても、情報記録面での反射の前後、すなわち往路と復路とで異なる回折次数を経て、受光素子23上に集光スポットを形成する場合がある。
図9は、本発明の実施の形態1において、+2次光が情報記録面に収束されずに受光素子上に集光スポットを形成する場合において、多層光ディスクに+1次光及び+2次光が収束する様子を示す模式図である。
図9に示すように、例えば+2次光が、情報記録面L3よりもさらにディスクの表面61側に収束し、いずれの情報記録面にも収束しない場合であっても、往路の+2次光が、情報記録面L3で反射した後、対物レンズ8の第1面81で復路の+1次光が生成される。この場合、図9に示すように、+1次光が収束する位置FDと、+2次光が収束する位置FEとの中間に、仮想の収束位置FFがあると見なすことができる。
この仮想の収束位置FFが、他の情報記録面(例えば情報記録面L3)あるいは多層光ディスクの表面61と一致した場合には、従来の対物レンズでは、往路の+2次光と復路の+1次光(あるいは、往路の+1次光と復路の+2次光)によって受光素子23上に集光される回折迷光は、信号光(往路の+1次光と復路の+1次光)とほぼ同じサイズの集光スポットを形成する。したがって、干渉によって情報信号又はサーボ信号の品質が低下する。
しかしながら、このような場合であっても、本実施の形態1の対物レンズ8の回折迷光は、球面収差成分によって1点には集光されないため、上述のように、信号光との干渉を低減することができることは明らかである。
以上のように、多層光ディスクは情報記録面の数が多く、さらに情報記録面の間隔も小さい。そのため、それぞれの情報記録面で反射した全ての回折迷光が受光素子上に集光しないよう、回折レンズのパワー成分を規定し、パワー成分と軸上色収差性能とを両立させることは極めて困難である。
従って、回折光のパワー成分にさらに球面収差成分を重畳することで、信号光と回折迷光との干渉を大幅に低減した本実施の形態1の光学ヘッド40は、多層光ディスク60への情報の記録又は再生に非常に好適である。
ところで、本実施の形態1の対物レンズ8において、回折レンズ構造が付加する球面収差成分は、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足(アンダー)となる方向に変化する球面収差特性を有する場合について説明しているが、本発明はこのような球面収差特性に限定されるものではない。例えば、回折レンズ構造が付加する球面収差成分は、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正過剰(オーバー)となる方向に変化するような球面収差特性を有してもよい。この場合も、信号光と回折迷光との干渉を大幅に低減できることは明らかである。
しかしながら、本実施の形態1の対物レンズ8のように、回折レンズ構造が付加する球面収差成分が、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足(アンダー)となる方向に変化するような球面収差特性を有することで、温度上昇により補正過剰(オーバー)となる樹脂製の屈折レンズの球面収差の変化を、温度上昇による青紫レーザ光源1の波長シフトに伴って発生する球面収差の変化で打ち消すことができる。
この温度変化に伴って発生する球面収差の補正について、以下、詳細に説明する。
回折レンズ構造を持たない屈折レンズにおいて、温度変化に伴って発生する球面収差は、温度上昇により光源から出射されるレーザ光の波長が長波長側にシフトした際の硝材の屈折率変化によって補正過剰(オーバー)となる球面収差α[mλ/℃]と、温度上昇による硝材の屈折率変化によって補正過剰(オーバー)となる球面収差β[mλ/℃]との和(α+β)[mλ/℃]で表すことができる。
例えば、本実施の形態1の対物レンズ8と同等の仕様の回折レンズ構造を持たない屈折レンズにおいて、温度変化時の波長シフト量を0.06[nm/℃]とすると、球面収差α、球面収差β及び和(α+β)は、以下のようになる。
α=+0.3[mλ/℃]
β=+3.9[mλ/℃]
α+β=+4.2[mλ/℃]
一方、本実施の形態1の対物レンズ8は、回折レンズ構造によって、温度上昇により光源から出射されるレーザ光の波長が長波長側にシフトした際に、球面収差が補正不足(アンダー)となる方向に変化する球面収差特性を有している。その球面収差量γはγ=−0.3[mλ/℃]であり、γ=−α(α=−γ)を満たしている。
すなわち、本実施の形態1の対物レンズ8は、波長変化に対しては、球面収差が発生しないような設計となっている。回折構造が付加する球面収差成分は、下記の(2)式を満たす。
α≒−γ・・・(2)
ここで、αは、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、γは、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表す。
なお、波長変化に対して球面収差が発生しないとは、厳密にγ=−α(α=−γ)である必要はなく、実質的に、回折構造が付加する球面収差成分は、下記の(3)式を満たせば十分である。
0.8×|α|≦|γ|≦1.2×|α|・・・(3)
ここで、αは、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、回折レンズ構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、γは、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表し、αとγとは逆極性である。
ここで、光学ヘッド40に樹脂製の対物レンズ8を用いる場合、以下の第1〜第5の球面収差を補正できるよう、コリメートレンズ4の可動範囲を確保しなければならない。
すなわち、光学ヘッド40は、情報記録面の光透過層厚が、設計光透過層厚からずれることによって発生する第1の球面収差、対物レンズ及びその他の光学素子に残存する第2の球面収差、温度変化により光源から出射されるレーザ光の波長がシフトした際に発生する第3の球面収差、温度変化による硝材の屈折率変化によって発生する第4の球面収差、及び光源波長の個体差によって生じる第5の球面収差を補正する。
第1の球面収差は、多層光ディスク60の規格、すなわち、光透過層の厚さが最も大きい情報記録面L0と光透過層の厚さが最も小さい情報記録面L3との光透過層厚の差(50μm)及びそれぞれの情報記録面の光透過層の厚さばらつき(例えば±5μm)に比例して一意に決まる。第2の球面収差は、光学ヘッド40に用いられる光学素子の収差規格(対物レンズであれば例えば0±20mλなど)によって決まる。
第3の球面収差と第4の球面収差とは、光学ヘッド40において考慮すべき温度補償範囲と、青紫レーザ光源1の温度変化時の波長シフト量とによって決まる。
例えば、対物レンズ8の使用温度範囲は、設計温度40℃に対して10℃から70℃、すなわち±30℃とする。また温度変化による青紫レーザ光源1の波長変化は、0.06nm/℃であり、±30℃の使用温度範囲に対応する波長変化は1.8nmである。
図10は、本発明の実施の形態1において、回折レンズ構造による球面収差特性と、温度変化により発生する第3の球面収差及び第4の球面収差との関係を示す図である。なお、図10では、上述の条件において、最大±30℃の温度変化により発生する第3の球面収差及び第4の球面収差を示している。また、図10において、縦軸は球面収差[mλ]を示し、横軸は球面収差特性を示す。また、白四角点は、第3の球面収差を示し、白菱形点は、第4の球面収差を示し、黒菱形点は、第3の球面収差と第4の球面収差との和(温度球面収差)を示す。
図10に示すように、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差が補正不足(アンダー)になるほど(図10で左に向かうほど)、第3の球面収差及び第4の球面収差は減少する。その結果、第3の球面収差と第4の球面収差との和である、温度変化によって発生する球面収差(温度球面収差)も減少し、図10の点Aにおいて、温度球面収差はほぼゼロとなる。すなわち、温度変化によって球面収差が発生しない。
図11は、本発明の実施の形態1において、回折レンズ構造による球面収差特性と、光源波長の個体差によって発生する第5の球面収差との関係を示す図である。なお、設計波長405nmに対する光源波長の個体差は、例えば±5nmであり、図11では、光源波長が400nm〜410nmまで変化した場合に発生する第5の球面収差を示している。また、図11において、縦軸は球面収差[mλ]を示し、横軸は球面収差特性を示す。また、黒三角点は、第5の球面収差を示す。
図11に示すように、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差が補正不足(アンダー)になるほど(図11で左に向かうほど)、第5の球面収差は減少する。第5の球面収差も、回折レンズ構造による球面収差特性によってその値が変化する。
ここで、コリメートレンズ4の可動範囲を決定する、補正すべき球面収差量は、図10の球面収差、すなわち温度球面収差(第3の球面収差+第4の球面収差)と、図11の光源波長の個体差で発生する第5の球面収差との絶対値の和で決まる。
図12は、本発明の実施の形態1において、回折レンズ構造による球面収差特性と、温度変化及び光源波長の個体差によって発生する、補正すべき球面収差量(トータル球面収差)との関係を示す図である。なお、図12では、最大±30℃の温度変化によって発生する第3の球面収差及び第4の球面収差と、最大±5nmの光源波長の個体差によって発生する第5の球面収差とを示している。また、図12において、縦軸は球面収差[mλ]を示し、横軸は球面収差特性を示す。また、黒三角点は、第5の球面収差を示し、黒菱形点は、第3の球面収差と第4の球面収差との和(温度球面収差)を示し、白丸点は、第3の球面収差と第4の球面収差と第5の球面収差との和(トータル球面収差)を示す。
図12に示すように、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差が補正不足(アンダー)になるほど(図12で左に向かうほど)、トータル球面収差は減少するが、図12中の点Bを境界として、ほとんど減少しなくなる。これは、図12より明らかなように、温度球面収差(第3の球面収差+第4の球面収差)と、光源波長の個体差で発生する第5の球面収差との絶対値が相殺することによるものである。
従って、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差特性を、図12の点Bを超えて補正不足(アンダー)にしても、補正すべきトータル球面収差、すなわちコリメートレンズ4の可動範囲は減少しない。
本実施の形態1の対物レンズ8は、上述のように、回折レンズ構造によって+1次光に凸レンズのパワー成分を付加させている。そのため、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差特性をより補正不足(アンダー)にすると、輪帯状のパターンのピッチがより小さくなる。その結果、金型の加工難易度が上がって射出成形の転写性が低下すると共に、狭ピッチ化により、さらに回折効率が低下するという課題が生じる。
図13は、本発明の実施の形態1において、軸上色収差特性を0.1μm/nmとしたときの、回折レンズ構造の輪帯パターンの最小ピッチと、温度変化及び光源波長の個体差によって発生する、補正すべき球面収差量(トータル球面収差)との関係を示す図である。なお、図13では、最大±30℃の温度変化によって発生する第3の球面収差及び第4の球面収差と、最大±5nmの光源波長の個体差によって発生する第5の球面収差とを示している。また、図13において、縦軸は球面収差[mλ]を示し、横軸は回折レンズ構造の最小ピッチ[μm]を示す。また、黒三角点は、第5の球面収差を示し、黒菱形点は、第3の球面収差と第4の球面収差との和(温度球面収差)を示し、白丸点は、第3の球面収差と第4の球面収差と第5の球面収差との和(トータル球面収差)を示す。
図13に示すように、輪帯パターンの最小ピッチを5μmより小さくしても、トータル球面収差がほとんど減少しないことがわかる。
本実施の形態1の対物レンズ8は、波長変化に対して球面収差が発生しないような設計となっている。すなわち、本実施の形態1の対物レンズ8は、図13の点Cの球面収差特性を備えている。このとき、最大±30℃の温度変化及び最大±5nmの光源波長の個体差により発生する、補正すべき球面収差量(トータル球面収差)は、ほぼ最小値となり、回折レンズ構造の輪帯パターンの最小ピッチも5μmである。したがって、射出成形の転写性の低下及び狭ピッチ化による回折効率の低下を抑制できる。
図14は、図13に対して、光源波長の個体差の許容範囲を拡大したときの回折レンズ構造の輪帯パターンの最小ピッチと、トータル球面収差との関係を示す図である。なお、図14では、光源波長の個体差の許容範囲を、最大±7nm(すなわち398nm〜412nm)に拡大している。図14では、最大±30℃の温度変化によって発生する第3の球面収差及び第4の球面収差と、最大±7nmの光源波長の個体差によって発生する第5の球面収差とを示している。また、図14において、縦軸は球面収差[mλ]を示し、横軸は回折レンズ構造の最小ピッチ[μm]を示す。また、黒三角点は、第5の球面収差を示し、黒菱形点は、第3の球面収差と第4の球面収差との和(温度球面収差)を示し、白丸点は、第3の球面収差と第4の球面収差と第5の球面収差との和(トータル球面収差)を示す。
図14において、最小ピッチが5μmである点C’におけるトータル球面収差は、図13の点Cにおけるトータル球面収差と等しくなっている。これは、光源波長の個体差の許容範囲を拡げても、すなわち、許容範囲を±5μmから±7μmに拡大しても、コリメートレンズ4の可動範囲を拡大する必要がないことを示しており、青紫レーザ光源1の波長規格緩和による更なる低コスト化が可能であることを示している。
なお、情報記録面の間隔の拡大に伴って、対物レンズの最適光透過層厚からのずれ量に比例して発生する球面収差量が非常に大きくなる多層光ディスク用の光学ヘッドでは、コリメートレンズ4の可動範囲を抑えることができるとともに、コンパクトな光学ヘッド40を実現できる本実施の形態1の対物レンズ8は非常に好適である。
なお、本実施の形態1の対物レンズ8を用いた光学ヘッド40は、温度変化に伴って所定量の球面収差が発生する。そのため、温度センサ等を用いて光学ヘッド40内の温度変化を検出し、例えば、情報信号やサーボ信号の振幅が最大となるよう、あるいは情報信号における所定の指標値(ジッタ等)が最小となるよう、コリメートレンズ4を移動させて、温度変化に伴って発生する球面収差を補正することが好ましい。
以上、本実施の形態1では、回折レンズ構造によって回折光に凸レンズのパワー成分を付加させた、軸上色収差補正効果を備える光学ヘッド40において、さらに波長変化に対して球面収差が発生しない球面収差特性となるよう、回折光に球面収差成分を重畳している。これにより、信号光と回折迷光との干渉を大幅に低減しつつ、コリメートレンズ4の可動範囲を抑えて、コンパクトな構成を実現できる。
しかしながら、軸上色収差補正効果が不要な(例えば再生専用の)光学ヘッドにおいても、波長変化に対して球面収差が発生しない球面収差特性となるよう、回折光に球面収差成分を付加することによって、コリメートレンズの可動範囲を抑えて、コンパクトな構成を実現できることは明らかである。したがって、本実施の形態1に係る光学ヘッドは、情報記録面の間隔の拡大に伴って、対物レンズの最適光透過層厚からのずれ量に比例して発生する球面収差量が非常に大きくなる多層光ディスク用の光学ヘッドに好適である。
なお、本実施の形態1において、多層光ディスクに対して情報を記録又は再生する光学ヘッドについて説明を行ったが、本発明はこのような光学ヘッドに限定されるものではない。例えば、多層光ディスクに加え、BD、DVD及びCDの少なくとも1つに対して情報を記録又は再生する互換型の光学ヘッドについても、適用可能であることは明らかである。
次に、本発明の実施の形態1における対物レンズの具体的な実施例について説明する。図15は、本発明の実施の形態1における対物レンズの具体的な実施例について説明するための図である。
対物レンズ8は、樹脂材料からなり、回折面からなる第1面81と、非球面からなる第2面82とから構成される。ここで、回折面は、光軸から半径方向に複数の輪帯領域に分割され、互いに隣接する領域の間に光軸に平行な段差を有している。当該段差は、設計波長及び設計温度に対応する材料屈折率において、レーザ光の波長の整数倍の位相差を与える深さとしている。
また、輪帯幅(ある段差と当該段差の最も近傍の段差との半径方向の距離)は、レンズの光軸から周辺に向かうに従い、単調に狭くなるよう構成される。
回折面は、凸のパワーを有し、レーザ光の波長が変化した場合に発生するデフォーカス及び3次の球面収差を補正する機能を有する。回折面を透過した光束2は、第2面82の非球面を透過し、多層光ディスク60の情報記録面に良好に集光される。
本実施の形態1の対物レンズ8では、波長変化時において、回折面で発生する3次の球面収差の量と、回折面以外のベースレンズで発生する3次の球面収差の量とがほとんど同じ量となり、2つの3次の球面収差が互いに逆方向に発生するよう設計されている。そのため、レンズ全体としては波長変化に対して3次の球面収差がほとんど発生しない。ここで、ベースレンズとは、ある回折レンズにおいて回折構造が配置された面から回折構造を除去して残る非球面のみからなるレンズを指す。
ここで、3種類の数値実施例で示す回折構造を有する対物レンズについて説明する。3種類の実施例は、共に軸上色収差は小さく抑えられているが、単位波長変化によって発生する球面収差の方向及び量が異なり、結果的に温度変化時に発生する3次の球面収差の量が異なるものである。
まず、実施例1の対物レンズは下記の表2〜表6で表される。表2は、実施例1における対物レンズの仕様を示す表であり、表3は、実施例1における対物レンズ及び多層光ディスクの面形状を示す表であり、表4は、実施例1における波長及び温度に対する対物レンズ及び光透過層の屈折率を示す表であり、表5は、実施例1における対物レンズの第1面の非球面係数及び位相関数を示す表であり、表6は、実施例1における対物レンズの第2面の非球面係数及び位相関数を示す表である。
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
なお、表3における面番号は、レーザ光が通過する面を順番に表しており、面番号“0”は、発光点を表し、面番号“1”は、対物レンズの入射面(第1面)を表し、面番号“2”は、対物レンズの出射面(第2面)を表し、面番号“3”は、多層光ディスクの表面を表し、面番号“4”は、多層光ディスクの情報記録面を表している。
実施例1の対物レンズの特徴は、レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に球面収差がオーバー側に発生することである。ベースレンズの温度上昇で発生する球面収差はオーバーであるため、波長変化を含めた温度変化時に発生する球面収差は加算され、オーバー側に大きく発生する。回折構造の最小ピッチは比較的大きい。
次に、実施例2の対物レンズは下記の表7〜表11で表される。表7は、実施例2における対物レンズの仕様を示す表であり、表8は、実施例2における対物レンズ及び多層光ディスクの面形状を示す表であり、表9は、実施例2における波長及び温度に対する対物レンズ及び光透過層の屈折率を示す表であり、表10は、実施例2における対物レンズの第1面の非球面係数及び位相関数を示す表であり、表11は、実施例2における対物レンズの第2面の非球面係数及び位相関数を示す表である。
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
なお、表8における面番号は、レーザ光が通過する面を順番に表しており、面番号“0”は、発光点を表し、面番号“1”は、対物レンズの入射面(第1面)を表し、面番号“2”は、対物レンズの出射面(第2面)を表し、面番号“3”は、多層光ディスクの表面を表し、面番号“4”は、多層光ディスクの情報記録面を表している。
実施例2の対物レンズの特徴は、レーザ光の波長がシフトした場合に発生する球面収差が非常に小さいことである。回折構造の最小ピッチは中程度である。
次に、実施例3の対物レンズは下記の表12〜表16で表される。表12は、実施例3における対物レンズの仕様を示す表であり、表13は、実施例3における対物レンズ及び多層光ディスクの面形状を示す表であり、表14は、実施例3における波長及び温度に対する対物レンズ及び光透過層の屈折率を示す表であり、表15は、実施例3における対物レンズの第1面の非球面係数及び位相関数を示す表であり、表16は、実施例3における対物レンズの第2面の非球面係数及び位相関数を示す表である。
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
Figure 2011077647
なお、表13における面番号は、レーザ光が通過する面を順番に表しており、面番号“0”は、発光点を表し、面番号“1”は、対物レンズの入射面(第1面)を表し、面番号“2”は、対物レンズの出射面(第2面)を表し、面番号“3”は、多層光ディスクの表面を表し、面番号“4”は、多層光ディスクの情報記録面を表している。
実施例3の対物レンズの特徴は、レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に球面収差がアンダー側に発生することである。ベースレンズの温度変化で発生する球面収差はオーバー側であるため、波長変化を含めた温度変化時で発生する球面収差の一部が相殺される。回折構造の最小ピッチは比較的小さい。
ここで、回折構造について、詳しく述べる。対物レンズの第1面は、光軸から半径方向に向かって輪帯状に複数の領域に分割されている。互いに隣接する領域の間には、光軸に平行な段差が設けられている。当該段差は、設計波長及び設計温度に対応する材料屈折率において、レーザ光の波長の整数倍の位相差を与える深さとしている。
具体的には、段差の深さは、λ/(nd−1)の整数倍としている。なお、λは、レーザ光の波長を表し、ndは、材料屈折率を表す。このため、この段差により与えられる光路差は、レーザ光の波長の整数倍になるため、設計波長及び設計温度の回折レンズを透過した波面は連続につながっており、収差のない波面となる。ここで、実使用上、温度が設計温度から上昇した場合、材料屈折率が低下するため段差による光路差は小さくなる。そのため、温度上昇時に発生する球面収差の波面形状において、位相段差の光路差変化量により、波面は不連続になる。しかしながら、当該波面は、波面形状のうねりを低減した形状となり、全体としての球面収差は低減される。
また、温度上昇と同時にレーザ光の波長が長波長側へ変動し、レーザ光の波長が設計波長から長くなった場合には、回折により与えられる光路差は小さくなる。
ここで、通常、段差構造のない非球面からなる対物レンズの色収差は、温度上昇時には、オーバーの球面収差を発生させる。しかしながら、回折構造の段差による温度変化時の光路差変化量を用いることでアンダーの球面収差を発生させることが可能である。こうすることで、実使用上において、温度変化時に発生する球面収差は、上記の作用により、通常の非球面レンズと比較して、著しく低減される。従って、本実施の形態の対物レンズの構成を用いることで、量産性に優れる樹脂材料を用いても、温度変化時に発生する収差が低減され、良好な情報の記録又は再生が可能となる。
また、回折面が凸のパワーを有することで、軸上色収差と共にレーザ光の波長がシフトした場合に発生する球面収差も補正している。
レーザ光の波長がシフトした場合に発生する球面収差に関して、回折のみで発生するアンダーの球面収差を大きくするほど、温度変化で発生するオーバーの球面収差を小さくすることができる。しかしながら、この場合、回折構造の輪帯幅が狭くなり、回折効率が低下するとともに、波長変化による収差劣化が激しくなるため好ましくない。
従って、回折のみで発生するアンダーの球面収差の量は、ベースレンズが発生するオーバーの球面収差の量とほぼ同じにすることが好ましい。つまり、回折レンズ全体で単位波長変化によって発生する球面収差の絶対値が小さいことが好ましく、例えば、実施例1〜3で示す回折構造を有する対物レンズのうち、実施例2の対物レンズを選択することが好ましい。
このような本実施の形態に係る対物レンズは、以下の構成をとる。
すなわち、対物レンズは、樹脂からなる単レンズであり、対物レンズの少なくとも一面に輪帯状の回折構造を備える。回折構造は、凸のパワーを有し、回折構造の輪帯幅は、対物レンズの中心から周辺にかけて単調に減少し、対物レンズの中心と周辺との位相差は、レーザ光の波長λのn倍である。そして、対物レンズは、下記の(4)〜(8)式を満たす。
λ<450[nm]・・・(4)
NA>0.8・・・(5)
n/f>30・・・(6)
ΔCA≦ΔCA0/2[μm/nm]・・・(7)
|ΔSA(λ)/f|<0.003[λ/(nm・mm)]・・・(8)
ここで、NAは、開口数を表し、fは、焦点距離を表し、ΔCAは、対物レンズの単位波長変化当たりの焦点位置変化量(軸上色収差)を表し、ΔCA0は、対物レンズの0次回折光の軸上色収差を表し、ΔSA(λ)は、対物レンズの単位波長変化当たりの3次の球面収差発生量を表す。
また、対物レンズは、下記の(9)式を満たす。
|ΔSA(t)/f|<0.003[λ/(℃・mm)]・・・(9)
ここで、ΔSA(t)は、単位温度変化当たりの3次の球面収差発生量を表す。
さらに、対物レンズは、下記の(10)式を満たす。
Δn>0.9×10−5・・・(10)
ここで、Δnは、対物レンズを構成する材料の単位温度変化当たりの屈折率変化率を表す。
さらにまた、対物レンズは、下記の(11)式を満たす。
νd<70・・・(11)
ここで、νdは、対物レンズを構成する材料の分散値を表す。
以下、本実施の形態の対物レンズについて、コンストラクションデータ及び収差図等を挙げてさらに具体的に説明する。なお、各実施例1〜3において、非球面係数が与えられた面は、非球面形状の屈折光学面又は非球面と等価な屈折作用を有する面(例えば回折面等)であることを示し、非球面の面形状を表す下記の(12)式で定義されるものとする。
Figure 2011077647
ここで、Xは、光軸からの高さがhである非球面状の点の非球面頂点の接平面からの距離を表し、hは、光軸からの高さを表し、Cは、レンズ第j面の非球面頂点の曲率(C=1/R)を表し、Kは、レンズ第j面の円錐定数を表し、Aj,nは、レンズ第j面のn次の非球面定数を表し、j=1、2、3、4・・・である。
また光学面に付加された回折構造によって生じる位相差は、下記の(13)式で与えられる。
Figure 2011077647
ここで、φ(h)は、位相関数を表し、hは、光軸からの高さを表し、Pj,mは、レンズ第j面の2m次の位相関数係数を表し、j=1、2、3、4・・・である。
ここで、実施例1の対物レンズについて、上記の表2〜表6を用いて説明する。
実施例1において、対物レンズ8の第1面81は回折面から構成され、第2面82は非球面から構成される。設計波長は405nmであり、設計温度は40℃であり、焦点距離は1.3mmであり、開口数(NA)は0.86であり、多層光ディスクの光透過層厚は0.0875mmである。対物レンズ8の第1面81は、全76の領域に分割され、それぞれ異なる非球面で表される。また、各領域間の位相段差は、設計波長に対して1倍の位相差に相当する深さとなっている。
図16は、実施例1の回折構造を有する対物レンズ8における光路を示す図である。図17は、実施例1の回折構造を有する対物レンズ8において、平行光が対物レンズ8に入射した場合の縦収差(球面収差)を表すグラフである。
図17において、実線は、レーザ光の波長が設計中心波長の405nmである場合の対物レンズの縦収差を示し、破線は、レーザ光の波長が404nmである場合の対物レンズの縦収差を示し、一点鎖線は、レーザ光の波長が406nmである場合の対物レンズの縦収差を示す。実施例1において、レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合、オーバー側の球面収差が発生する。
表17は、実施例1の対物レンズにおいて、温度及び波長が変化した場合に発生する3次球面収差SA3の量を示す表である。
Figure 2011077647
ここで、3次球面収差SA3の量は、プラスがアンダー側(補正不足)、マイナスがオーバー側(過剰補正)とする。
レーザ光の波長が設計中心から+2nm変化した場合、3次球面収差SA3は約−34mλ発生する。また、温度が+40℃変化した場合、3次球面収差SA3は−152mλ発生する。また、温度が+40℃変化すると共にレーザ光の波長が設計中心から+2nm変化した場合、3次球面収差SA3は−185mλ発生する。
ここで、レーザ光の温度に対する波長変化率を+0.05nm/℃としている。また、実施例1の対物レンズの回折最小ピッチは10μmであり、以下で述べる実施例2,3の対物レンズと比較して大きい。
続いて、実施例2の対物レンズについて、上記の表7〜表11を用いて説明する。
対物レンズ8の第1面81は回折面から構成され、第2面82は非球面から構成される。設計波長は405nmであり、設計温度は40℃であり、焦点距離は1.3mmであり、開口数(NA)は0.86であり、多層光ディスクの光透過層厚は0.0875mmである。対物レンズ8の第1面81は、全74の領域に分割され、それぞれ異なる非球面で表される。また、各領域間の位相段差は、設計波長に対して1倍の位相差に相当する深さとなっている。
図18は、実施例2の回折構造を有する対物レンズ8における光路を示す図である。図19は、実施例2の構造を有する対物レンズ8において、平行光が対物レンズ8に入射した場合の縦収差(球面収差)を表すグラフである。
図19において、実線は、レーザ光の波長が設計中心波長の405nmである場合の対物レンズの縦収差を示し、破線は、レーザ光の波長が404nmである場合の対物レンズの縦収差を示し、一点鎖線は、レーザ光の波長が406nmである場合の対物レンズの縦収差を示す。実施例2において、レーザ光の波長がシフトした場合に発生する球面収差量は小さい。
表18は、実施例2の対物レンズにおいて、温度及び波長が変化した場合に発生する3次球面収差SA3の量を示す表である。
Figure 2011077647
レーザ光の波長が設計中心から+2nm変化した場合、3次球面収差SA3は約−1mλ発生する。また、温度が+40℃変化した場合、3次球面収差SA3は−103mλ発生する。また、温度が+40℃変化すると共にレーザ光の波長が設計中心から+2nm変化した場合、3次球面収差SA3は−103mλ発生する。
実施例2の対物レンズの回折最小ピッチは5μmであり、実施例1,3の対物レンズと比較して中程度である。
続いて、実施例3の対物レンズについて、上記の表12〜表16を用いて説明する。
対物レンズ8の第1面81は回折面から構成され、第2面82は非球面から構成される。設計波長は405nmであり、設計温度は40℃であり、焦点距離は1.3mmであり、開口数(NA)は0.86であり、多層光ディスクの光透過層厚は0.0875mmである。対物レンズ8の第1面81は、全79の領域に分割され、それぞれ異なる非球面で表される。また、各領域間の位相段差は、設計波長に対して1倍の位相差に相当する深さとなっている。
図20は、実施例3の回折構造を有する対物レンズ8における光路を示す図である。図21は、実施例3の回折構造を有する対物レンズ8において、平行光が対物レンズ8に入射した場合の縦収差(球面収差)を表すグラフである。
図21において、実線は、レーザ光の波長が設計中心波長の405nmである場合の対物レンズの縦収差を示し、破線は、レーザ光の波長が404nmである場合の対物レンズの縦収差を示し、一点鎖線は、レーザ光の波長が406nmである場合の対物レンズの縦収差を示す。実施例3において、レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合アンダー側の球面収差が発生する。
表19は、実施例3の対物レンズにおいて、温度及び波長が変化した場合に発生する3次球面収差SA3の量を示す表である。
Figure 2011077647
レーザ光の波長が設計中心から+2nm波長変化した場合、3次球面収差SA3は約+21mλ発生する。また、温度が+40℃変化した場合、3次球面収差SA3は−69mλ発生する。また、温度が+40℃変化すると共にレーザ光の波長が設計中心から+2nm変化した場合、3次球面収差SA3は−48mλ発生する。
実施例3の対物レンズの回折最小ピッチは3μmであり、実施例1,2の対物レンズと比較して小さい。
このように、本実施の形態1では、n次の回折光に正のパワー成分が付加されるので、軸上色収差を補正することができ、かつn次の回折光に球面収差成分が付加されるので、所定の情報記録面以外の他の情報記録面によって反射した回折迷光が球面収差成分によって1点に集光しなくなり、信号光と回折迷光との干渉を低減することができ、光透過層の厚さが異なる複数の情報記録面を有する多層光ディスクに対して、良好に情報を記録又は再生することができる。
なお、本実施の形態1では、多層光ディスクは、4つの情報記録面を有しているが、本発明は特にこれに限定されず、2つの情報記録面を有する多層光ディスクであってもよい。多層光ディスクが2つの情報記録面を有している場合であっても、上記と同様の効果が得られる。また、多層光ディスクは、3つの情報記録面を有してもよく、さらに5つ以上の情報記録面を有してもよい。多層光ディスクが3つ以上の情報記録面を有している場合、より高い効果が得られる。
(実施の形態2)
図22は、本発明の実施の形態2における光ディスク装置の概略構成を示す図である。
図22において、光ディスク装置50は、内部に光ディスク駆動部51、制御部52及び光学ヘッド53を備える。
光ディスク駆動部51は、多層光ディスク60を回転駆動する。光学ヘッド53は、実施の形態1で述べた光学ヘッドである。制御部52は、光ディスク駆動部51及び光学ヘッド53の駆動を制御すると共に、光学ヘッド53で光電変換された制御信号及び情報信号の信号処理を行う。また、制御部52は、情報信号を光ディスク装置50の外部と内部とでインタフェースさせる機能を有する。
本実施の形態2の光ディスク装置50は、実施の形態1で述べた光学ヘッドを搭載しているので、多層光ディスクへの情報の記録又は再生に好適であり、さらにコンパクトな構成を実現できる。
(実施の形態3)
図23は、本発明の実施の形態3におけるコンピュータの概略構成を示す図である。
図23において、コンピュータ500は、実施の形態2の光ディスク装置50と、情報を入力するためのキーボード、マウス又はタッチパネルなどの入力装置501と、入力装置501から入力された情報及び光ディスク装置50から読み出した情報などに基づいて演算を行う中央演算装置(CPU)などの演算装置502と、演算装置502によって演算された結果などの情報を表示するブラウン管又は液晶表示装置あるいは情報を印刷するプリンタなどの出力装置503とを備える。
なお、本実施の形態3において、コンピュータ500が情報処理装置の一例に相当し、演算装置502が情報処理部の一例に相当する。
コンピュータ500は、実施の形態2の光ディスク装置50を備えるので、多層光ディスクへの情報の記録又は再生に好適であり、さらにコンパクトな構成を実現できる。
(実施の形態4)
図24は、本発明の実施の形態4における光ディスクプレーヤの概略構成を示す図である。
図24において、光ディスクプレーヤ600は、実施の形態2の光ディスク装置50と、光ディスク装置50から得られる情報信号を画像信号に変換するデコーダ601とを備える。
なお、光ディスクプレーヤ600は、GPS等の位置センサ及び中央演算装置(CPU)を加えることによりカーナビゲーションシステムとしても利用可能である。また、光ディスクプレーヤ600は、液晶モニタなどの表示装置602を備えてもよい。
また、本実施の形態4において、光ディスクプレーヤ600が情報処理装置の一例に相当し、デコーダ601が情報処理部の一例に相当する。
光ディスクプレーヤ600は、実施の形態2の光ディスク装置50を備えるので、多層光ディスクへの情報の記録又は再生に好適であり、さらにコンパクトな構成を実現できる。
(実施の形態5)
図25は、本発明の実施の形態5における光ディスクレコーダの概略構成を示す図である。
図25において、光ディスクレコーダ700は、実施の形態2の光ディスク装置50と、光ディスク装置50によって光ディスクへ記録するための情報信号に画像情報を変換するエンコーダ701とを備える。望ましくは、光ディスク装置50から得られる情報信号を画像情報に変換するデコーダ702も備えることにより、記録した画像を再生することも可能となる。なお、光ディスクレコーダ700は、情報を表示するブラウン管又は液晶表示装置あるいは情報を印刷するプリンタなどの出力装置703を備えてもよい。
なお、本実施の形態5において、光ディスクレコーダ700が情報処理装置の一例に相当し、エンコーダ701及びデコーダ702が情報処理部の一例に相当する。
光ディスクレコーダ700は、実施の形態2の光ディスク装置50を備えるので、多層光ディスクへの情報の記録又は再生に好適であり、さらにコンパクトな構成を実現できる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光学ヘッドは、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、情報を記録又は再生する光学ヘッドであって、レーザ光を出射する光源と、輪帯状の回折構造を有し、前記レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、前記情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる対物レンズと、前記所定の情報記録面で反射した前記レーザ光を受光する光検出器とを備え、前記回折構造は、前記n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加する。
この構成によれば、光源は、レーザ光を出射する。対物レンズは、輪帯状の回折構造を有し、レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる。光検出器は、所定の情報記録面で反射したレーザ光を受光する。そして、回折構造は、n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加する。
したがって、n次の回折光に正のパワー成分が付加されるので、軸上色収差を補正することができ、かつn次の回折光に球面収差成分が付加されるので、所定の情報記録面以外の他の情報記録面によって反射した回折迷光が球面収差成分によって1点に集光しなくなり、信号光と回折迷光との干渉を低減することができ、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、前記光源から出射される前記レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有することが好ましい。
この構成によれば、回折構造が付加する球面収差成分は、光源から出射されるレーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有するので、温度上昇により補正過剰となる対物レンズの球面収差の変化を、温度上昇による光源の波長シフトに伴って発生する球面収差の変化で打ち消すことができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記情報記録媒体は、3つ以上の情報記録面を有し、前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(14)式を満たすことが好ましい。
SA1≒−SA2・・・(14)
ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表す。
この構成によれば、情報記録媒体は、3つ以上の情報記録面を有し、回折構造が付加する球面収差成分は、上記の(14)式を満たすので、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差と、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差とが相殺され、波長変化時に発生する球面収差を低減することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(15)式を満たすことが好ましい。
0.8×|SA1|≦|SA2|≦1.2×|SA1|・・・(15)
ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表し、SA1とSA2とは逆極性である。
この構成によれば、回折構造が付加する球面収差成分は、上記の(15)式を満たすので、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差と、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差とが実質的に相殺され、波長変化時に発生する球面収差を低減することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記対物レンズは、前記光源から出射される前記レーザ光の波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化を低減し、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化量D[μm/nm]は、下記の(16)式を満たすことが好ましい。
0.05[μm/nm]≦D≦0.15[μm/nm]・・・(16)
この構成によれば、対物レンズが有する軸上色収差補正機能によって、光源から出射されるレーザ光の波長変化に伴って発生するレーザ光の収束位置の変化が低減される。また、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴って発生するレーザ光の収束位置の変化量D[μm/nm]は、上記の(16)式を満たす。
したがって、記録パワーと再生パワーとの切り替え時又は周囲温度の変化時などにおける光源から出射されるレーザ光の波長変動によって生じる収束位置の変化を良好に補正できる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記回折構造による光路長の付加量を表す光路差関数Φ(h)が、Φ(h)=P×h+P×h+P×h+・・・+P2k×h2k(ただし、kは自然数)で表され、前記回折構造によるレンズのパワーφが、φ=−(2×P×n×λ)で表されるとき、前記回折構造によるレンズのパワーφと、前記対物レンズにおいて前記回折構造を除いたベースの屈折レンズのパワーφとは、下記の(17)式を満たすことが好ましい。
0.004≦φ/φ≦0.020・・・(17)
ここで、hは、光軸からの高さを表し、nは、回折次数を表し、P,P,P,・・・,P2kは、係数を表し、λは、前記レーザ光の波長を表す。
この構成によれば、回折構造によるレンズのパワーφと、対物レンズにおいて回折構造を除いたベースの屈折レンズのパワーφとは、上記の(17)式を満たすので、記録パワーと再生パワーとの切り替え時又は周囲温度の変化時などにおける光源から出射されるレーザ光の波長変動によって生じる収束位置の変化を良好に補正できる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源と前記対物レンズとの間に配置されるカップリングレンズと、前記カップリングレンズを光軸方向に移動させることにより、前記情報記録媒体の光入射面から情報記録面までの距離の長さに応じて発生する球面収差を補正する球面収差補正部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、カップリングレンズは、光源と対物レンズとの間に配置され、球面収差補正部は、カップリングレンズを光軸方向に移動させることにより、情報記録媒体の光入射面から情報記録面までの距離の長さに応じて発生する球面収差を補正する。したがって、情報記録媒体の光入射面から情報記録面までの距離の長さに応じて発生する球面収差を補正することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記対物レンズは、樹脂製の単レンズであることが好ましい。
この構成によれば、対物レンズは、樹脂製の単レンズであるので、ガラス製の対物レンズと比較して比重が小さく、フォーカスサーボ又はトラッキングサーボを行う対物レンズアクチュエータの負担を軽減することができる。また、射出成形により高精度に大量生産することが可能であり、低コスト化に適している。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記対物レンズの前記回折構造の最小ピッチが5μm以上であることが好ましい。
この構成によれば、対物レンズの回折構造の最小ピッチが5μm以上であるので、射出成形の転写性の低下及び狭ピッチ化による回折効率の低下を抑制できる。
本発明の他の局面に係る光ディスク装置は、上記のいずれかに記載の光学ヘッドと、情報記録媒体を回転駆動するための駆動部と、前記光学ヘッド及び前記駆動部を制御する制御部とを備える。この構成によれば、上記の光学ヘッドを光ディスク装置に適用することができる。
本発明の他の局面に係る情報処理装置は、上記の光ディスク装置と、前記光ディスク装置に記録する情報及び/又は前記光ディスク装置から再生された情報を処理する情報処理部とを備える。この構成によれば、上記の光学ヘッドを備える光ディスク装置を情報処理装置に適用することができる。
本発明の他の局面に係る対物レンズは、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、情報を記録又は再生する光学ヘッドに備わる対物レンズであって、レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、前記情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる輪帯状の回折構造を備え、前記回折構造は、前記n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加する。
この構成によれば、輪帯状の回折構造は、レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる。そして、回折構造は、n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加する。
したがって、n次の回折光に正のパワー成分が付加されるので、軸上色収差を補正することができ、かつn次の回折光に球面収差成分が付加されるので、所定の情報記録面以外の他の情報記録面によって反射した回折迷光が球面収差成分によって1点に集光しなくなり、信号光と回折迷光との干渉を低減することができる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、前記レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有することが好ましい。
この構成によれば、回折構造が付加する球面収差成分は、レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有するので、温度上昇により補正過剰となる対物レンズの球面収差の変化を、温度上昇による光源の波長シフトに伴って発生する球面収差の変化で打ち消すことができる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記情報記録媒体は、3つの情報記録面を有し、前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(18)式を満たすことが好ましい。
SA1≒−SA2・・・(18)
ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表す。
この構成によれば、情報記録媒体は、3つの情報記録面を有し、回折構造が付加する球面収差成分は、上記の(18)式を満たすので、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差と、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差とが相殺され、波長変化時に発生する球面収差を低減することができる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(19)式を満たすことが好ましい。
0.8×|SA1|≦|SA2|≦1.2×|SA1|・・・(19)
ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表し、SA1とSA2とは逆極性である。
この構成によれば、回折構造が付加する球面収差成分は、上記の(19)式を満たすので、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差と、光源から出射されるレーザ光の単位波長変化に伴い、対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差とが実質的に相殺され、波長変化時に発生する球面収差を低減することができる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記対物レンズは、前記レーザ光の波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化を低減し、前記レーザ光の単位波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化量D[μm/nm]は、下記の(20)式を満たすことが好ましい。
0.05[μm/nm]≦D≦0.15[μm/nm]・・・(20)
この構成によれば、軸上色収差補正機能によって、レーザ光の波長変化に伴って発生するレーザ光の収束位置の変化が低減される。また、レーザ光の単位波長変化に伴って発生するレーザ光の収束位置の変化量D[μm/nm]は、上記の(20)式を満たす。
したがって、記録パワーと再生パワーとの切り替え時又は周囲温度の変化時などにおける光源から出射されるレーザ光の波長変動によって生じる収束位置の変化を良好に補正できる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記回折構造による光路長の付加量を表す光路差関数Φ(h)が、Φ(h)=P×h+P×h+P×h+・・・+P2k×h2k(ただし、kは自然数)で表され、前記回折構造によるレンズのパワーφが、φ=−(2×P×n×λ)で表されるとき、前記回折構造によるレンズのパワーφと、前記回折構造を除いたベースの屈折レンズのパワーφとは、下記の(21)式を満たすことが好ましい。
0.004≦φ/φ≦0.020・・・(21)
ここで、hは、光軸からの高さを表し、nは、回折次数を表し、P,P,P,・・・,P2kは、係数を表し、λは、波長を表す。
この構成によれば、回折構造によるレンズのパワーφと、対物レンズにおいて回折構造を除いたベースの屈折レンズのパワーφとは、上記の(21)式を満たすので、記録パワーと再生パワーとの切り替え時又は周囲温度の変化時などにおける光源から出射されるレーザ光の波長変動によって生じる収束位置の変化を良好に補正できる。
本発明の他の局面に係る対物レンズは、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、情報を記録又は再生する光学ヘッドに備わる対物レンズであって、前記対物レンズは、樹脂からなる単レンズであり、前記対物レンズの少なくとも一面に輪帯状の回折構造を備え、前記回折構造は、凸のパワーを有し、前記回折構造の輪帯幅は、前記対物レンズの中心から周辺にかけて単調に減少し、前記対物レンズの中心と周辺との位相差は、レーザ光の波長λのn倍であり、前記対物レンズは、下記の(22)〜(26)式を満たす。
λ<450[nm]・・・(22)
NA>0.8・・・(23)
n/f>30・・・(24)
ΔCA≦ΔCA0/2[μm/nm]・・・(25)
|ΔSA(λ)/f|<0.003[λ/(nm・mm)]・・・(26)
ここで、NAは、開口数を表し、fは、焦点距離を表し、ΔCAは、前記対物レンズの単位波長変化当たりの軸上色収差を表し、ΔCA0は、前記対物レンズの0次回折光の軸上色収差を表し、ΔSA(λ)は、前記対物レンズの単位波長変化当たりの3次の球面収差発生量を表す。
この構成によれば、対物レンズは、樹脂からなる単レンズであり、対物レンズの少なくとも一面に輪帯状の回折構造を備える。回折構造は、凸のパワーを有し、回折構造の輪帯幅は、対物レンズの中心から周辺にかけて単調に減少し、対物レンズの中心と周辺との位相差は、レーザ光の波長λのn倍である。そして、対物レンズは、上記の(22)〜(26)式を満たす。
したがって、軸上色収差を補正することができるとともに、波長がシフトした場合に発生する球面収差を低減することができ、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記対物レンズは、下記の(27)式を満たすことが好ましい。
|ΔSA(t)/f|<0.003[λ/(℃・mm)]・・・(27)
ここで、ΔSA(t)は、単位温度変化当たりの3次の球面収差発生量を表す。
この構成によれば、対物レンズは、上記の(27)式を満たすことにより、軸上色収差を補正することができるとともに、波長がシフトした場合に発生する球面収差を低減することができ、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記対物レンズは、下記の(28)式を満たすことが好ましい。
Δn>0.9×10−5・・・(28)
ここで、Δnは、前記対物レンズを構成する材料の単位温度変化当たりの屈折率変化率を表す。
この構成によれば、対物レンズは、上記の(28)式を満たすことにより、軸上色収差を補正することができるとともに、波長がシフトした場合に発生する球面収差を低減することができ、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる。
また、上記の対物レンズにおいて、前記対物レンズは、下記の(29)式を満たすことが好ましい。
νd<70・・・(29)
ここで、νdは、前記対物レンズを構成する材料の分散値を表す。
この構成によれば、対物レンズは、上記の(29)式を満たすことにより、軸上色収差を補正することができるとともに、波長がシフトした場合に発生する球面収差を低減することができ、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができる。
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
本発明に係る光学ヘッド、光ディスク装置、情報処理装置及び対物レンズは、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、良好に情報を記録又は再生することができ、情報記録媒体に対して情報を記録又は再生する光学ヘッド、当該光学ヘッドを具備した光ディスク装置、当該光ディスク装置を具備した情報処理装置、及び当該光学ヘッドに用いられる対物レンズに好適である。
【0023】
ータル球面収差)を示す。
[0105]
図12に示すように、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差が補正不足(アンダー)になるほど(図12で左に向かうほど)、トータル球面収差は減少するが、図12中の点Bを境界として、ほとんど減少しなくなる。これは、図12より明らかなように、温度球面収差(第3の球面収差+第4の球面収差)と、光源波長の個体差で発生する第5の球面収差の絶対値との和が、ほぼ一定になることによるものである。
[0106]
従って、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差特性を、図12の点Bを超えて補正不足(アンダー)にしても、補正すべきトータル球面収差、すなわちコリメートレンズ4の可動範囲は減少しない。
[0107]
本実施の形態1の対物レンズ8は、上述のように、回折レンズ構造によって+1次光に凸レンズのパワー成分を付加させている。そのため、入射光の波長が長波長側にシフトした際の球面収差特性をより補正不足(アンダー)にすると、輪帯状のパターンのピッチがより小さくなる。その結果、金型の加工難易度が上がって射出成形の転写性が低下すると共に、狭ピッチ化により、さらに回折効率が低下するという課題が生じる。
[0108]
図13は、本発明の実施の形態1において、軸上色収差特性を0.1μm/nmとしたときの、回折レンズ構造の輪帯パターンの最小ピッチと、温度変化及び光源波長の個体差によって発生する、補正すべき球面収差量(トータル球面収差)との関係を示す図である。なお、図13では、最大±30℃の温度変化によって発生する第3の球面収差及び第4の球面収差と、最大±5nmの光源波長の個体差によって発生する第5の球面収差とを示している。また、図13において、縦軸は球面収差[mλ]を示し、横軸は回折レンズ構造の最小ピッチ[μm]を示す。また、黒三角点は、第5の球面収差を示し、黒菱形点は、第3の球面収差と第4の球面収差との和(温度球面収差)を示し、白丸点は、第3の球面収差と第4の球面収差と第5の球面収差との和(トータル球面収差)を示す。
[0109]
図13に示すように、輪帯パターンの最小ピッチを5μmより小さくして

Claims (21)

  1. 複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、情報を記録又は再生する光学ヘッドであって、
    レーザ光を出射する光源と、
    輪帯状の回折構造を有し、前記レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、前記情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる対物レンズと、
    前記所定の情報記録面で反射した前記レーザ光を受光する光検出器とを備え、
    前記回折構造は、前記n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加することを特徴とする光学ヘッド。
  2. 前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、前記光源から出射される前記レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有することを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
  3. 前記情報記録媒体は、3つ以上の情報記録面を有し、
    前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(1)式を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の光学ヘッド。
    SA1≒−SA2・・・(1)
    ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表す。
  4. 前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(2)式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学ヘッド。
    0.8×|SA1|≦|SA2|≦1.2×|SA1|・・・(2)
    ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表し、SA1とSA2とは逆極性である。
  5. 前記対物レンズは、前記光源から出射される前記レーザ光の波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化を低減し、
    前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化量D[μm/nm]は、下記の(3)式を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学ヘッド。
    0.05[μm/nm]≦D≦0.15[μm/nm]・・・(3)
  6. 前記回折構造による光路長の付加量を表す光路差関数Φ(h)が、
    Φ(h)=P×h+P×h+P×h+・・・+P2k×h2k(ただし、kは自然数)
    で表され、
    前記回折構造によるレンズのパワーφが、
    φ=−(2×P×n×λ)
    で表されるとき、
    前記回折構造によるレンズのパワーφと、前記対物レンズにおいて前記回折構造を除いたベースの屈折レンズのパワーφとは、下記の(4)式を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学ヘッド。
    0.004≦φ/φ≦0.020・・・(4)
    ここで、hは、光軸からの高さを表し、nは、回折次数を表し、P,P,P,・・・,P2kは、係数を表し、λは、前記レーザ光の波長を表す。
  7. 前記光源と前記対物レンズとの間に配置されるカップリングレンズと、
    前記カップリングレンズを光軸方向に移動させることにより、前記情報記録媒体の光入射面から情報記録面までの距離の長さに応じて発生する球面収差を補正する球面収差補正部とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学ヘッド。
  8. 前記対物レンズは、樹脂製の単レンズであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学ヘッド。
  9. 前記対物レンズの前記回折構造の最小ピッチが5μm以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学ヘッド。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光学ヘッドと、
    情報記録媒体を回転駆動するための駆動部と、
    前記光学ヘッド及び前記駆動部を制御する制御部とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
  11. 請求項10記載の光ディスク装置と、
    前記光ディスク装置に記録する情報及び/又は前記光ディスク装置から再生された情報を処理する情報処理部とを備えることを特徴とする情報処理装置。
  12. 複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、情報を記録又は再生する光学ヘッドに備わる対物レンズであって、
    レーザ光を回折させて生成したn次(nは自然数)の回折光を、前記情報記録媒体の所定の情報記録面に収束させる輪帯状の回折構造を備え、
    前記回折構造は、前記n次の回折光に、正のパワー成分及び球面収差成分を付加することを特徴とする対物レンズ。
  13. 前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、前記レーザ光の波長が長波長側にシフトした場合に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有することを特徴とする、請求項12記載の対物レンズ。
  14. 前記情報記録媒体は、3つの情報記録面を有し、
    前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(5)式を満たすことを特徴とする請求項12又は13記載の対物レンズ。
    SA1≒−SA2・・・(5)
    ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表す。
  15. 前記回折構造が付加する前記球面収差成分は、下記の(6)式を満たすことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の対物レンズ。
    0.8×|SA1|≦|SA2|≦1.2×|SA1|・・・(6)
    ここで、SA1は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記回折構造による回折角の変化によって発生する球面収差を表し、SA2は、前記光源から出射される前記レーザ光の単位波長変化に伴い、前記対物レンズの屈折率の変化によって発生する球面収差を表し、SA1とSA2とは逆極性である。
  16. 前記対物レンズは、前記レーザ光の波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化を低減し、
    前記レーザ光の単位波長変化に伴って発生する前記レーザ光の収束位置の変化量D[μm/nm]は、下記の(7)式を満たすことを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の対物レンズ。
    0.05[μm/nm]≦D≦0.15[μm/nm]・・・(7)
  17. 前記回折構造による光路長の付加量を表す光路差関数Φ(h)が、
    Φ(h)=P×h+P×h+P×h+・・・+P2k×h2k(ただし、kは自然数)
    で表され、
    前記回折構造によるレンズのパワーφが、
    φ=−(2×P×n×λ)
    で表されるとき、
    前記回折構造によるレンズのパワーφと、前記回折構造を除いたベースの屈折レンズのパワーφとは、下記の(8)式を満たすことを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の対物レンズ。
    0.004≦φ/φ≦0.020・・・(8)
    ここで、hは、光軸からの高さを表し、nは、回折次数を表し、P,P,P,・・・,P2kは、係数を表し、λは、波長を表す。
  18. 複数の情報記録面を有する情報記録媒体に対して、情報を記録又は再生する光学ヘッドに備わる対物レンズであって、
    前記対物レンズは、樹脂からなる単レンズであり、
    前記対物レンズの少なくとも一面に輪帯状の回折構造を備え、
    前記回折構造は、凸のパワーを有し、
    前記回折構造の輪帯幅は、前記対物レンズの中心から周辺にかけて単調に減少し、
    前記対物レンズの中心と周辺との位相差は、レーザ光の波長λのn倍であり、
    前記対物レンズは、下記の(9)〜(13)式を満たすことを特徴とする対物レンズ。
    λ<450[nm]・・・(9)
    NA>0.8・・・(10)
    n/f>30・・・(11)
    ΔCA≦ΔCA0/2[μm/nm]・・・(12)
    |ΔSA(λ)/f|<0.003[λ/(nm・mm)]・・・(13)
    ここで、NAは、開口数を表し、fは、焦点距離を表し、ΔCAは、前記対物レンズの単位波長変化当たりの軸上色収差を表し、ΔCA0は、前記対物レンズの0次回折光の軸上色収差を表し、ΔSA(λ)は、前記対物レンズの単位波長変化当たりの3次の球面収差発生量を表す。
  19. 前記対物レンズは、下記の(14)式を満たすことを特徴とする請求項18記載の対物レンズ。
    |ΔSA(t)/f|<0.003[λ/(℃・mm)]・・・(14)
    ここで、ΔSA(t)は、単位温度変化当たりの3次の球面収差発生量を表す。
  20. 前記対物レンズは、下記の(15)式を満たすことを特徴とする請求項18又は19記載の対物レンズ。
    Δn>0.9×10−5・・・(15)
    ここで、Δnは、前記対物レンズを構成する材料の単位温度変化当たりの屈折率変化率を表す。
  21. 前記対物レンズは、下記の(16)式を満たすことを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の対物レンズ。
    νd<70・・・(16)
    ここで、νdは、前記対物レンズを構成する材料の分散値を表す。
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