JPWO2008069302A1 - 光学ヘッド、回折素子、対物レンズ、及び光ディスク装置 - Google Patents

光学ヘッド、回折素子、対物レンズ、及び光ディスク装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、情報記録面に対して表面の反射率が大きい光ディスクを記録または再生する際に、記録または再生に寄与しない不要な回折光がディスク表面で反射して受光素子に入射する迷光の影響を低減することを目的とする。第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、集光レンズによって集光される位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される位置が、異なることを特徴とする。

Description

本発明は、複数種類の光ディスク等の情報記録媒体に対して、光学的に情報の記録または再生を行う光学ヘッドおよび光学ヘッドに用いられる回折素子と対物レンズ、光学ヘッドを具備した光ディスク装置、この光ディスク装置を具備したコンピュータ、光ディスクプレーヤ、光ディスクレコーダに関するものである。
近年、青紫半導体レーザの実用化に伴い、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)と同じ大きさで、高密度・大容量の光情報記録媒体(以下、光ディスクともいう)であるBlu−ray Disc(以下、BD)が実用化されている。このBDは、波長400nm程度の青紫レーザ光源と、開口数(Numerical Aperture、NA)を0.85まで高めた対物レンズを用いて記録または再生を行う、保護基板厚約0.1mmの光ディスクである。
一方、同じく波長400nm程度の青紫レーザ光源と、開口数0.65の対物レンズを用いた、保護基板厚0.6mmのHD DVDも実用化されている。
そこで以上のような、それぞれ保護基板厚が異なる光ディスクの情報記録面に対し、レーザ光を一つの対物レンズを用いて収束させて情報の記録または再生を行う、互換性を有する光学ヘッドが提案されている。
異なる保護基板厚の光ディスク上に、回折限界までレーザ光を収束することのできる集光光学系を備えた光学ヘッドが、特許文献1および特許文献2に示されている。
特許文献1に示されている従来の光学ヘッドの構成例を図33に示す。図33において、101は赤色レーザ光を出射する光源、103はビームスプリッタ、104はコリメートレンズ、105はホログラムレンズ、106は対物レンズ、108は検出レンズ、109は受光素子であり、これらが光学ヘッド130を構成している。また、70は保護基板厚0.6mmの光ディスクであるDVDである。
DVD70に対して、情報の記録または再生を行う光学ヘッド130の動作について述べる。光源101から出射された赤色レーザ光は、ビームスプリッタ103を透過し、コリメートレンズ104で略平行光に変換され、ホログラムレンズ105を透過し、対物レンズ106によって、保護基板越しにDVD70の情報記録面に光スポットとして収束される。DVD70の情報記録面で反射した復路の赤色レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ106、ホログラムレンズ105、コリメートレンズ104を透過する。そして、ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で所定の非点収差を与えられて、受光素子109に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に図34を用いて、保護基板厚1.2mmの光ディスクであるCD80の記録または再生を行う場合の光学ヘッド130の動作について述べる。光源101から出射された赤色レーザ光は、ビームスプリッタ103を透過し、コリメートレンズ104で略平行光に変換され、ホログラムレンズ105で回折された後、対物レンズ106によって、保護基板越しにCD80の情報記録面に光スポットとして収束される。CD80の情報記録面で反射した復路の赤色レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ106、ホログラム105、コリメートレンズ104を通過する。そして、ビームスプリッタ103で反射され、検
出レンズ108で所定の非点収差を与えられて、受光素子109に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
DVD70およびCD80を記録または再生するためのフォーカス誤差信号は、検出レンズ108によって非点収差を与えられた集光スポットを受光素子109内の4分割受光パターンで検出する、いわゆる非点収差法等を用いることが可能である。またトラッキング誤差信号は、回折格子(図示せず)によって生成されたメインビームとサブビームを用いた、いわゆる3ビーム法や差動プッシュプル法(DPP法)等を用いることが可能である。
次にホログラムレンズ105と対物レンズ106の機能について、図35と図36を用いて詳細に説明する。
ホログラムレンズ105には、DVD70およびCD80に対して、それぞれ微小な光スポットとして収束させるため、図35に示すような格子パターン105aを備えている。ホログラムレンズ105の+1次回折光の回折効率は100%未満であり、透過光(以下、本願では回折しない透過光を0次回折光とも表現する場合があり、透過光を回折光の一つとして扱う)も充分な強度を有するように設計されている。なお、ホログラムレンズ105はブレーズ化することによって、0次回折光と+1次回折光の光量和を大きくすることができ、光の利用効率を高くできる。
対物レンズ106は、開口数NAが0.6で、図36Aに示すように、ホログラムレンズ105を回折されずに透過したレーザ光(すなわち0次回折光)が入射したときに、保護基板厚0.6mmのDVD70上に回折限界の集光スポットを形成できるよう設計されている。
一方、図36Bに示すように、ホログラムレンズ105で回折された+1次回折光は対物レンズ106によってCD80上に収束される。ここで+1次回折光は保護基板厚1.2mmのCD80上に回折限界の集光スポットを形成できるよう収差補正を施されている。
このように入射光の一部を回折するホログラムレンズ105と対物レンズ106を組み合わせることによって異なる基板厚の光ディスク上にそれぞれ回折限界にまで収束される集光スポットを形成することができる2焦点レンズを実現できる。
なお、ホログラムレンズ105はレンズ作用を有するので2つの焦点の光軸方向の位置は異なっている。従って、一方の焦点に形成された光スポットを用いて情報の記録または再生をしているとき、他方の焦点に形成された光スポットは大きく広がり、情報の記録または再生に影響を与えない。
以上、このような光学ヘッド130を用いることで、それぞれ異なる種類の光ディスクに対して、一つの対物レンズを用いて情報の記録または再生を行うことができる。
特開平7−98431号公報 特開平10−10308号公報
特許文献1および特許文献2には、ホログラムを用いた2焦点レンズを用いて、例えばDVDとCDのような、保護基板厚の異なる複数種類の光ディスクに対して互換可能な光学ヘッドの構成が示されている。
しかしながら、これらの従来例には、情報記録面に対する表面の反射率が比較的大きい、例えば複数の情報記録面を備えた光ディスクを記録または再生する際に、記録または再生に寄与しない不要な回折光がディスク表面で反射して受光素子に入射する、いわゆる迷光の影響についてはなんら言及されていない。
本発明では、ホログラムに与えるレンズパワーを規定することで、記録または再生に用いる所定次数の回折光が、所定の情報記録面で反射されて受光素子で得られる信号と、記録または再生に寄与しない次数の回折光が、ディスク表面で反射されて受光素子で得られる信号との干渉を低減し、安定な情報信号検出およびサーボ信号検出を行うことを目的としている。
本発明の第1態様における光学ヘッドは、光源と、前記光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折素子と、nとmを整数として、前記回折素子で発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズと、前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズと、前記集光レンズで集光されたレーザ光を受光し、それぞれフォーカス誤差信号を生成する受光部と、を具備し、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なることを特徴としている。
本発明の第2態様における光学ヘッドは、光源と、前記光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折素子と、nとmをそれぞれ異なる整数として、前記回折素子で発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、かつ前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光する対物レンズと、前記対物レンズで集光されたレーザ光を受光し、それぞれフォーカス誤差信号を生成する受光部と、を具備し、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置が、異なることを特徴としている。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記nとmとはそれぞれ異なる整数であり、前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに前記光源から出射された同じ波長のレーザ光を収束させることもできる。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記nとmとは同じ整数であり、前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに前記光源から出射された異なる波長のレーザ光を収束させることもできる。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記nとmとはそれぞれ異なる整数であり、前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに前記光源から出射された異なる波長のレーザ光を収束させることもできる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様における光学ヘッドにおいて、前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がm次かつ復路がm次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第2の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がm次とは異なる回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なるようにしてもよい。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドにおいて、前記第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、前記第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2として、t1<t2であって、前記対物レンズは、0次回折光を前記第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、+1次回折光を前記第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させるようにしてもよい。
本発明の前記第1態様の光学ヘッドにおいて、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が0次かつ復路が0次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路のうち片方が0次でもう片方が−1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置が、異なるようにしてもよい。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2、基板の屈折率をn、第1の情報記録媒体の情報記録面の第1保護基板厚:t1_L1、第1の情報記録媒体の情報記録面の第2保護基板厚:t1_L2、第1の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD1、第2の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD2、±1次回折光の焦点位置隔差k、として、WD1−WD2≠(t2−t1−2×t1_L1)/n−kおよびWD1−WD2≠(t2−t1−2×t1_L2)/n−kを満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、さらに、WD1−WD2<(t2−t1−2×t1_L1)/n−kを満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が+1次かつ復路が+1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第2の情報記録媒体の表面で反射した、往路が−1次かつ復路が−1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置が、異なるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2、基板の屈折率をn、第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚:t2_ra、第1の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD1、第2の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD2、±1次回折光の焦点位置隔差k、として、WD1−WD2≠(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k を満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、さらに、WD1−WD2>(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−kを満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、前記第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2として、t1<t2であって、前記対物レンズは、+1次回折光を前記第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、0次回折光を前記第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させるように構成することができる。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が+1次かつ復路が+1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路のうち片方が+1次でもう片方が+2次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記対物レンズは、前記回折素子が一体化された回折構造を備えた対物レンズであるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記対物レンズの有効領域は、回折構造を備えた第1の領域と回折構造を備えない第2の領域とを有するように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の領域は前記対物レンズの光軸を含む内周領域であり、前記第2の領域は、前記第1の領域の周辺の領域であるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記対物レンズの有効領域は、所定の回折構造を前記対物レンズの光軸を含む内周領域に形成した第1の回折領域と、前記第1の回折領域の回折構造とは異なる回折構造を前記第1の領域の周辺に形成した第2の回折領域とを有するように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第2の回折領域は、+1次回折光の回折効率が最大となるように形成されるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドにおいて、前記回折素子と前記対物レンズは、別体であるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面の反射率R1rと表面反射率R1sとして、0.5≦R1r/R1s≦3.0 を満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面は、複数の情報記録面を備えてもよい。
本発明の第3態様における対物レンズは、光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折構造を備え、nとmを整数として、前記回折構造によって発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズであって、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズによって集光される位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が前記集光レンズによって集光される位置とが、異なることを特徴としている。
本発明の第4態様における回折素子は、光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折構造を備え、nとmを整数として、対物レンズによって、前記回折構造によって発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる回折素子であって、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズによって集光される位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される位置が、異なることを特徴としている。
本発明の第5態様における光ディスク装置は、光学ヘッドと情報記録媒体を回転駆動するためのモータと、前記光学ヘッドと前記モータを制御する制御部とを備えた光ディスク装置であって、前記光学ヘッドが前記第1態様又は前記第2態様に規定される光学ヘッドであることを特徴としている。
本発明の第6態様における光ディスク装置は、光源、前記光源から出射されたレーザ光を情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズ、前記情報記録面で反射されたレーザ光を受光しフォーカス誤差信号を生成する受光部、及び、前記対物レンズをフォーカス方向へ移動するアクチュエータを有する光学ヘッドと、前記光学ヘッドを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記アクチュエータへ供給する電流又は電圧と前記対物レンズの移動量との関係であるフォーカス感度を元に前記対物レンズの移動量を求め、かつ前記情報記録媒体へ近づく方向への前記対物レンズの移動に伴い得られるフォーカスエラー信号が閾値を超えたときにフォーカス制御を開始することを特徴としている。
前記第6態様において、当該光ディスク装置は、前記フォーカス感度を記憶したメモリをさらに備え、上記制御部は、前記メモリから前記フォーカス感度を読み出すようにしても良い。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記光学ヘッドは、前記フォーカス感度を記憶したメモリをさらに備え、前記制御部は、前記メモリから前記フォーカス感度を読み出すように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、電源投入時又は前記光ディスクを装填したときに、前記フォーカス感度を測定するように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、前記フォーカスエラー信号を利用して前記フォーカス感度を測定するように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、利用する前記フォーカスエラー信号は、前記フォーカス制御に使用するフォーカスエラー信号よりも以前に出現するフォーカスエラー信号であってもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、前記光ディスクを静止させて前記フォーカス感度の測定を行うように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、前記光ディスクへ近づく方向への前記対物レンズの移動を、最初は高速にて行い、その後、前記高速よりも低い低速にて行うように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記光学ヘッドは、球面収差補正機構をさらに備え、前記フォーカス制御を開始する前に、球面収差を光ディスクの保護基板厚に一致させておくようにしてもよい。
本発明の第7態様のコンピュータは、前記第6態様に規定される光ディスク装置と、情報を入力するための入力手段と、前記光ディスク装置から再生された情報および/または前記入力手段から入力された情報に基づいて演算を行う演算手段と、前記光ディスク装置から再生された情報および/または前記入力手段から入力された情報および/または前記演算手段によって演算された結果を出力するための出力手段を備えたことを特徴としている。
本発明の第8態様の光ディスクプレーヤは、前記第6態様に規定される光ディスク装置と、前記光ディスク装置から得られる情報信号を画像情報に変換するデコーダを備えたことを特徴としている。
本発明の第9態様の光ディスクレコーダは、前記第6態様に規定される光ディスク装置と、画像情報を前記光ディスク装置によって記録するための情報信号に変換するエンコーダを備えたことを特徴としている。
本発明の光学ヘッドは、それぞれ異なる複数の光ディスクに対して、良好に記録または再生が可能である。
本発明の実施の形態1において、第1の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態1において、第2の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態1のホログラムレンズの構成を模式的に示す図 本発明の実施の形態1のホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図 本発明の実施の形態1のホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図 本発明におけるホログラムレンズおよびホログラム一体型対物レンズの回折効率と、信号光量および迷光量の関係を示す図 本発明の実施の形態1における、第1の光ディスクの記録または再生時の+1次回折光と0次回折光と−1次回折光の関係を模式的に示す図 本発明において、第1の光ディスクの記録または再生時のフォーカス誤差信号、いわゆるS字信号を模式的に示した図 本発明の実施の形態1における、第2の光ディスクの記録または再生時の+1次回折光と0次回折光と−1次回折光の関係を模式的に示す図 本発明において、第2の光ディスクの記録または再生時のフォーカス誤差信号、いわゆるS字信号を模式的に示した図 本発明の実施の形態2において、第1の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態2において、第2の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態2のホログラム一体型対物レンズの構成を模式的に示す図 本発明の実施の形態2のホログラム一体型対物レンズの機能を示す図 本発明の実施の形態2のホログラム一体型対物レンズの機能を示す図 本発明の実施の形態4における光ディスク装置の概略構成図 本発明の実施の形態5におけるコンピュータの概略構成図 本発明の実施の形態6における光ディスクプレーヤの概略構成図 本発明の実施の形態7における光ディスクレコーダの概略構成図 図1に示す光学ヘッドに備わる構成部分の概略の配置状態の一例を示す斜視図 図6に示す第1の光ディスクにおける+1次回折光、0次回折光、及び−1次回折光の焦点位置付近を示す拡大図 図6に示す第1の光ディスク、及び図8に示す第2の光ディスクに対する0次回折光の焦点位置と+1次回折光の焦点位置との差を説明するための図 図8に示す第2の光ディスクにおける+1次回折光、0次回折光、及び−1次回折光の焦点位置付近を示す拡大図 図6に示す+1次回折光、0次回折光、及び−1次回折光のそれぞれの焦点位置の概略を示す図 図8に示す第2の光ディスクにおいて、高次回折光の焦点位置が光ディスク表面に一致する状態を説明するための図 本発明の実施の形態3における、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドの概略構成図であって、光ディスクがBDの場合を示す図 本発明の実施の形態3における、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドの概略構成図であって、光ディスクがDVDである場合の図 本発明の実施の形態3における、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドの概略構成図であって、光ディスクがCDである場合の図 図26に示す光学ヘッドにおいて、+1次回折光の焦点位置が光ディスクの表面に近づくことを説明する図 図14に示す光ディスク装置に備わる制御部が実行するフォーカス制御動作を示すフローチャート 第1の光ディスクに対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合において、0次回折光が前記光ディスクの情報記録面に収束することを示す図 第1の光ディスクによって出現するフォーカスエラー信号に対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合を説明するための図 第2の光ディスクに対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合において、+1次回折光が前記光ディスクの情報記録面に収束することを示す図 第2の光ディスクによって出現するフォーカスエラー信号に対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合を説明するための図 従来の光学ヘッドにおいて、DVDを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 従来の光学ヘッドにおいて、CDを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 従来の光学ヘッドのホログラムレンズの構成を模式的に示す図 従来の光学ヘッドのホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図 従来の光学ヘッドのホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図
符号の説明
1 光源
3 ビームスプリッタ
4 コリメートレンズ
5 ホログラムレンズ
6 対物レンズ
8 検出レンズ
9 受光素子
16 ホログラム一体型対物レンズ
30,40 光学ヘッド
50 第1の光ディスク
60 第2の光ディスク
70 DVD
80 CD
101 光源
103 ビームスプリッタ
104 コリメートレンズ
105 ホログラムレンズ
106 対物レンズ
108 検出レンズ
109 受光素子
400 光ディスク装置
401 光ディスク駆動部
402 制御部
403 光学ヘッド
500 コンピュータ
501 入力装置
502 演算装置
503 出力装置
600 光ディスクプレーヤ
601 デコーダ
602 表示装置
700 光ディスクレコーダ
701 エンコーダ
702 デコーダ
703 出力装置
以下、本発明の光学ヘッドおよび回折素子、対物レンズ、光ディスク装置、コンピュータ、光ディスクプレーヤ、光ディスクレコーダの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は本発明の一実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。
図1および図2において、1は青紫レーザ光を出射する光源、3はビームスプリッタ、4はコリメートレンズ、5はホログラムレンズ、6は対物レンズ、8は検出レンズ、9はレーザ光を受光する受光素子であり、これらが光学ヘッド30を構成している。また、50は保護基板厚約0.075mm〜0.1mmの光ディスクである第1の光ディスクであり、60は保護基板厚約0.6mmの光ディスクである第2の光ディスクである。
図1を用いて、第1の光ディスク50に対して、情報の記録または再生を行う光学ヘッド30の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラムレンズ5を透過し、対物レンズ6によって、保護基板越しに第1の光ディスク50の情報記録面に光スポットとして収束される。第1の光ディスク50の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ6、ホログラムレンズ5、コリメートレンズ4を透過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に図2を用いて、第2の光ディスク60に対して、情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド30の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラムレンズ5で回折された後、対物レンズ6によって、保護基板越しに第2の光ディスク60の情報記録面に光スポットとして収束される。第2の光ディスク60の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ6、ホログラムレンズ5、コリメートレンズ4を通過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
第1の光ディスク50および第2の光ディスク60を記録または再生するためのフォーカス誤差信号は、検出レンズ8によって非点収差を与えられた集光スポットを受光素子9内の4分割受光パターンで検出する、いわゆる非点収差法等を用いることで検出が可能である。またトラッキング誤差信号は、回折格子(図示せず)によって生成されたメインビームとサブビームを用いた、いわゆる3ビーム法や差動プッシュプル法(DPP法)等を用いることで検出が可能である。
次に、ホログラムレンズ5と対物レンズ6の機能について、図3と図4を用いて詳細に説明する。尚、図1及び図2に示す光学ヘッド30において、ホログラムレンズ5及び対物レンズ6は、図18に示すようにユニット化されて構成され、互いの位置関係を変化することなく、アクチュエータ31にてフォーカス方向31a及びトラッキング方向31bに一体として駆動可能である。アクチュエータ31は、受光素子9にて生成されるサーボ信号が供給される制御部402にて動作制御される。尚、制御部402は、当該光学ヘッド30を備えた、後述の実施の形態4として説明する光ディスク装置に備わる。
ホログラムレンズ5は、同心円状の格子パターン5aが形成されており、その中心すなわち光軸は対物レンズ6と組立誤差内で一致している。また、ホログラムレンズ5の格子
パターンは対物レンズ6によって決まる開口よりも小さな径の中にだけ形成されている。従ってホログラムレンズ5の格子パターンの形成されていない部分では回折が全く起こらない。
なお、格子パターン5aの0次回折光(透過光)の位相は格子パターン5aによって与えられる位相変調量の平均値となる。これに対して、格子パターンのない領域5bの透過光の位相を同じぐらいに合わせることによって収束性能を向上させることが望ましい。例えば、ホログラムレンズ5の格子パターンをレリーフ型にする場合は、図3に示すように、格子パターン5a部の凹凸の平均ぐらいのレベルに格子パターンのない領域5bの表面の高さを合わせることが望ましい。
ホログラムレンズ5の+1次回折光の回折効率は100%未満であり、透過光(0次回折光)も充分な強度を有するように設計されている。なお、ホログラムレンズ5はブレーズ化することによって、0次回折光と+1次回折光の光量和を大きくすることができ、光の利用効率を高くできる。
ここで、例えば第1の光ディスク50および第2の光ディスク60に対して、どちらも再生専用の光学ヘッドとしてホログラムレンズ5を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%〜70%程度にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、第1の光ディスク50と第2の光ディスク60が同程度の光量を用いて情報の再生を行うことができるという効果が得られ、光源の出力を低減することができる。
一方、第2の光ディスク60に対しては再生のみを行い、第1の光ディスク50に対しては記録および再生が可能な光学ヘッドとしてホログラムレンズ5を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%以下にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、ホログラムレンズ5の透過率(0次回折光の回折効率)を大きくすることができるため、記録を行う第1の光ディスク50に対する光利用効率を高くすることができるという効果が得られ、記録時の光源の出力を低減することができる。
対物レンズ6は、開口数NAが0.85で、図4Aに示すように、ホログラムレンズ5を回折されずに透過したレーザ光(すなわち0次回折光)が入射したときに、保護基板厚約0.1mmの第1の光ディスク50上に回折限界の集光スポットを形成できるよう設計されている。
一方、図4Bに示すように、ホログラムレンズ5で回折された+1次回折光は対物レンズ6によって第2の光ディスク60上に収束される。ここで+1次回折光は保護基板厚約0.6mmの第2の光ディスク60上に回折限界の集光スポットを形成できるよう収差補正を施されている。
このように入射光の一部を回折するホログラムレンズ5と対物レンズ6を組み合わせることによって異なる基板厚の光ディスク上にそれぞれ回折限界にまで収束される集光スポットを形成することができる2焦点レンズを実現できる。
なお、本実施の形態のホログラムレンズ5は、0次回折光に対して+1次回折光に凹レンズのパワーを付加させる効果を備えているので、対物レンズ6に対する+1次回折光の焦点位置は0次回折光の焦点位置よりも遠くになり、第1の光ディスク50よりも保護基板厚の大きい第2の光ディスク60の情報記録面に+1次回折光を収束させる場合に、第2の光ディスク60と対物レンズ6の間隔である作動距離(Working Distance:WD)を十分確保することができる。
このように、ホログラムレンズ5は+1次回折光に対して凹レンズ作用を持たせているので、第1の光ディスク50を記録または再生するための0次回折光と、第2の光ディスク60を記録または再生するための+1次回折光の2つの焦点の光軸方向の位置は異なっている。従って、一方の焦点に形成された光スポットを用いて情報の記録または再生をしているときには、他方の焦点に形成された光スポットは大きく広がるため、情報の記録または再生に影響を与えない。
なお、ホログラムレンズ5によって所望の+1次回折光を発生させるような格子パターンを形成した場合、0次回折光と+1次回折光に加えて、+1次回折光と共役となる−1次回折光および、さらに高次の回折光が発生する。例えば、本実施の形態のホログラムレンズ5の場合、0次回折光の回折効率(透過効率)を65%程度、+1次回折光の回折効率を15%程度とした場合、−1次回折光の回折効率は10%程度である。
ここで図5に示すように、第1の光ディスクの記録再生に用いるのは、往路のレーザ光がホログラムレンズ5を透過し(往路の0次回折光)、情報記録面で反射された復路のレーザ光が再びホログラムレンズ5を透過し(復路の0次回折光)て、受光素子で検出される光スポットである(図中、「信号光B」)。
一方、第2の光ディスクの記録再生に用いるのは、往路のレーザ光がホログラムレンズ5で回折され(往路の+1次回折光)、情報記録面で反射された復路のレーザ光が再びホログラムレンズ5で回折され(復路の+1次回折光)て、受光素子で検出される光スポットである(図中、「信号光H」)。
しかしながら受光素子で検出されるその他の光スポット(すなわち迷光)は、0次回折光および±1次回折光の組み合わせに限っても、
迷光(1)(往路:透過による 0次回折光 → 復路:回折による+1次回折光)
迷光(2)(往路:回折による+1次回折光 → 復路:透過による 0次回折光)
迷光(3)(往路:回折による−1次回折光 → 復路:回折による+1次回折光)
迷光(4)(往路:回折による+1次回折光 → 復路:回折による−1次回折光)
迷光(5)(往路:回折による−1次回折光 → 復路:透過による 0次回折光)
迷光(6)(往路:透過による 0次回折光 → 復路:回折による−1次回折光)
迷光(7)(往路:回折による−1次回折光 → 復路:回折による−1次回折光)
と、7パターンの迷光が存在する。
なお図5において、信号光および迷光の下に記載した数字は、往路と復路を合わせた効率を示している。なお第1の光ディスクの記録再生に用いる信号光Bにおいて、実際の記録または再生に寄与する光量としては、格子パターンのない領域を透過した光量も含まれるが、図5に示す効率には格子パターンのない領域を透過した光量は含んでいない。
第1の光ディスクおよび第2の光ディスクの記録または再生時、これらの記録再生に寄与しない不要な回折光(迷光(1)〜(7))は情報記録面に対しては大きく焦点ずれ(デフォーカス)しているため、受光素子上では非常に大きな光スポットとなり、実質的に問題ない。
一方、図6に示すように、凹レンズパワーを備えた+1次回折光と共役関係にある−1次回折光は凸レンズパワーを備えているため、−1次回折光の焦点位置は0次回折光の焦点位置よりも対物レンズ6に近くなる。
ホログラムレンズ5で形成された凸レンズパワーを備えた−1次回折光の焦点位置が光ディスク表面50aと一致した場合に、迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)は受光素子上に集光される。
一方、−1次回折光の焦点位置が光ディスク表面50aよりも対物レンズ6側にある場合でも、所定の条件下で、迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)や迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)が、受光素子上で小さな光スポットとして集光される場合がある。
即ち、本実施の形態における対物レンズ6を用いた場合、図19(図6の焦点位置付近の拡大図)に示すように、第1の光ディスク50の情報記録面50bの近傍で、実際にレーザ光が収束する点は、0次回折光の焦点位置(a)、+1次回折光の焦点位置(b)、−1次回折光の焦点位置(c)の3点である。これらの焦点位置(a)〜(c)は、それぞれ、受光素子9上に集光される前記「信号光B」(往路:透過による0次回折光 → 復路:透過による0次回折光)、前記迷光(3)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による+1次回折光)、前記迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)の、光ディスク側の共役点である。
一方、上述のように、受光素子9上で小さなスポットとして集光される前記迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)および前記迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)の、光ディスク側の共役点は、(d)の位置となる。該位置(d)では、実際には前記迷光(5)および前記迷光(6)は収束していないが、受光素子9上で小さなスポットとして集光されることから受光素子9から見ると、仮想焦点位置と見なすことができる。
従って、図19に示すように、0次回折光の焦点位置(a)と、第1の光ディスク50の情報記録面50bとが一致しているとき、−1次回折光の焦点位置(c)が、図19に示すような位置にあるとすると、前記迷光(5)および前記迷光(6)の仮想焦点位置(d)が第1の光ディスク50の表面50aと一致し、その反射光は受光素子上に集光する。
ここで、0次回折光および±1次回折光の回折効率を図5のように設定した場合には、迷光(5)と迷光(6)による集光スポットは、迷光(7)による集光スポットよりも大きな光量となる。さらに迷光(5)及び迷光(6)は、ほぼ同じ光路を通って受光素子9上で重なるため、実質的に記録再生に用いる光スポットである、例えば前記信号光Bに対して、光量比において約30%にもなる。よって、サーボ信号および情報信号の安定化の観点から、これらの迷光と信号光との干渉の影響は、無視できない。
なお、+1次回折光と共役の関係にある−1次回折光は、+1次回折光の設計により一意に決定される。従って不要な回折光による迷光が、受光素子上で小さな光スポットを形成しないよう、+1次回折光と0次回折光の位置関係を適切に設定する必要がある。具体的には以下に説明するように、第1及び第2の光ディスク50,60に対するWD1,WD2が適切に設定されるよう、ホログラムレンズ5と対物レンズ6とが設計される。
ここで、図20を参照する。
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2
第1の光ディスクの作動距離 :WD1
第2の光ディスクの作動距離 :WD2
保護基板の屈折率 :n
とする。屈折率nの保護基板厚tの中での光路長は、t/nとなることから、図20から明らかなように、+1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0は、(t1/n)+WD1+Δf0 = (t2/n)+WD2 であるので、
△f0=((t2/n)+(WD2))−((t1/n)+(WD1)) ・・・(式1)
で表される。
一方、+1次回折光と共役の関係にある−1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置の差(空気換算長)△f0’は、以下のように考える。
凸レンズのパワーを持つ対物レンズ6の焦点距離f_ol、凹レンズのパワーを持つホログラムレンズ5の+1次回折光の焦点距離をf_doe(<0)とすると、+1次回折光と共役の関係にあり凸レンズのパワーを持つ−1次回折光の焦点距離は、−f_doe(>0)となる。対物レンズ6とホログラムレンズ5との+1次回折光の合成焦点距離fsおよび−1次回折光の合成焦点距離fs_inv(−1次回折光)は、レンズ間隔dとすると、
fs=f_ol×f_doe/(f_ol+f_doe+d) ・・・(式2)
fs_inv=−(f_ol×f_doe)/(f_ol−f_doe+d)
・・・(式3)で表される。+1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0と、−1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0’とは、等しくならず、
△f0’=f0−k ・・・(式4)
(kは対物レンズ6とホログラムレンズ5とによって構成される光学系により一意に決まる±1次回折光の焦点位置隔差)
とすると、
△f0’=(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k ・・・(式5)
となる。
ここで、保護基板厚が小さい光ディスク(第1の光ディスク50)を記録再生する前記信号光B(往路:透過による0次回折光→復路:透過による0次回折光)と、前記迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)または前記迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)とが受光素子9上で重なる条件は、上記焦点位置の差△f’0の略1/2が、光ディスクの情報記録面と表面との間隔の空気換算長△d1_airに一致する場合である。
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2
とすると、その空気換算長△d1_air_L1および△d1_air_L2は、
△d1_air_L1=t1_L1/n ・・・(式6)
△d1_air_L2=t1_L2/n ・・・(式7)
である。尚、前記第1保護基板厚及び前記第2保護基板厚は、情報記録面が2層存在するときの各層における実際の保護基板厚であり、それぞれに厚さ誤差を含む。一方、上述した設計保護基板厚t1、t2は、対物レンズを設計する際に用いる保護基板厚であり、前記第1保護基板厚及び前記第2保護基板厚とは概念が異なる。
又、図19に示すΔf0’に着目すると、Δf0’/2が前記第1保護基板厚:t1_L1、あるいは第2保護基板厚:t1_L2と一致すると、前記信号光Bと、前記迷光(5)または前記迷光(6)とが受光素子9上で重なることになる。即ち、この重なる条件を式で表すと下記式10、11となる。
Δf0’=2×t1_L1/n 、又はΔf0’=2×t1_L2/nとなるので、
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L1/n
・・・(式8)
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L2/n
・・・(式9)より、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式10)
および、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式11)
である。
ここで、一具体例を示す。
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1=0.1±0.005mm (第1層)
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2=0.075±0.005mm (第2層)
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=−0.03mm
とすると、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)とが受光素子9上で重なる条件は、
WD1−WD2=0.223±0.007mm
または、
WD1−WD2=0.254±0.007mm
となる。従って、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスク60の作動距離WD2を、0.277mmおよび0.246mm近傍には設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式12)
および
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式13)
とすることが望ましい。
ここで、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)が受光素子上で重なるということは、すなわち、それぞれのフォーカス誤差信号が重なって出現するということである。
図7は、本実施の形態の光学ヘッド30において、第1の光ディスク50の記録再生時のフォーカス誤差信号(いわゆるS字信号)を模式的に示したものである。図7において、横軸は、焦点ずれ(デフォーカス)量を示しており、右側が対物レンズ6と光ディスク50とが遠ざかる方向、左側が対物レンズ6と光ディスク50とが近づく方向である。また、縦軸は、フォーカス誤差信号レベルを表している。なお、実際のフォーカス誤差信号は、球面収差の影響により非対称形状となるが、図7ではそれを考慮せずに模式的に示している。
図7において、
A1:前記信号光Bが保護基板厚0.100mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
A2:前記信号光Bが保護基板厚0.075mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
A3:前記信号光Bがディスク表面で反射して得られるS字信号
B1:前記迷光(1)と前記迷光(2)とが保護基板厚0.100mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
B2:前記迷光(1)と前記迷光(2)とが保護基板厚0.075mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
B3:前記迷光(1)と前記迷光(2)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
C1:前記迷光(5)と前記迷光(6)とが保護基板厚0.100mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
C2:前記迷光(5)と前記迷光(6)とが保護基板厚0.075mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
C3:前記迷光(5)と前記迷光(6)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
である。
すなわち、一つの情報記録面または表面に着目すると、ディスクに近づくにつれて、
・迷光(1)と迷光(2)とが反射して得られるS字信号
・信号光Bが反射して得られるS字信号
・迷光(5)と迷光(6)とが反射して得られるS字信号
の順にS字信号が出現することを示している。
迷光(3)と迷光(4)によるS字信号は、実質的に信号光BによるS字信号(A1、A2、A3)と重なるが、相対的な光量が小さいため、ここでは問題としない。また迷光(7)によるS字信号も相対的な光量が小さい上、迷光(5)および迷光(6)によるS字信号(C1、C2、C3)よりも、信号光Bに対して遠い位置に出現するため、こちらも問題としない。
なお前記信号光H(図5)も、第1の光ディスク50の記録再生時には迷光となるが、こちらも相対的な光量が小さい上、迷光(1)および迷光(2)によるS字信号(B1、B2、B3)よりも、信号光Bに対して遠い位置に出現するため問題としない。
ここで上述の条件、
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式12)
および
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式13)
は、すなわちS字信号A1およびS字信号A2と、S字信号C3とのゼロクロス点が一致しないための条件である。しかしながら、S字信号A1およびS字信号A2に対して、S字信号C3の影響を十分に低減するためには、(式12)の条件以上にS字信号A1とS字信号C3との間隔を拡げればよい。
具体的には、S字信号A1の出現する範囲(例えばS字信号A1のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)と、S字信号C3の出現する範囲(例えばS字信号C1のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)とが重ならなければよい。このマージン量Xとすると、
WD1−WD2<(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k−X ・・・(式14)とすればよい。このマージン量Xは、例えばS字信号A1のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲と、S字信号C1のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲とが重ならないように設定するのであれば、X≧10μmとする。なお、S字信号の重なりに対するマージン量Xは、光学倍率等に応じて適切に設定することが望ましい。
例えば、X=0.01mmとした場合、
WD1−WD2<0.207mm
とすることが望ましい。例えば、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスク60の作動距離WD2>0.293mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、S字信号A1およびS字信号A2と、他のS字信号(B1〜B3、C1〜C3)とが完全に分離されるため、実質的にS字信号A1およびS字信号A2に対する迷光の影響を十分に低減できる。
一方、図8に示すように、第2の光ディスク60の再生時において、凹レンズパワーを備えた+1次回折光と共役関係にある−1次回折光は、凸レンズパワーを備えているため、−1次回折光の焦点位置は、0次回折光の焦点位置よりも対物レンズ6に近くなる。ここで、ホログラムレンズ5で形成された凸レンズパワーを備えた−1次回折光の焦点位置が光ディスク表面60aと一致した場合は、前記迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)は、受光素子9上に集光される。
図9は本実施の形態の光学ヘッド30において、第2の光ディスク60の再生時のフォーカス誤差信号(いわゆるS字信号)を模式的に示したものである。図9において、横軸は、焦点ずれ(デフォーカス)量を示しており、右側が対物レンズ6と光ディスク60とが遠ざかる方向、左側が対物レンズ6と光ディスク60とが近づく方向である。また、縦軸は、フォーカス誤差信号レベルを表している。なお、実際のフォーカス誤差信号は、球面収差の影響により非対称形状となるが、図9ではそれを考慮せずに模式的に示している。
図9において、
D1:前記信号光Hが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
D2:前記信号光Hがディスク表面で反射して得られるS字信号
E1:前記迷光(1)と前記迷光(2)とが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
E2:前記迷光(1)と前記迷光(2)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
F1:前記信号光Bが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
字信号
F2:前記信号光Bがディスク表面で反射して得られるS字信号
G1:前記迷光(5)と前記迷光(6)とが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
G2:前記迷光(5)と前記迷光(6)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
H1:前記迷光(7)が保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
H2:前記迷光(7)がディスク表面で反射して得られるS字信号
である。
すなわち、一つの情報記録面または表面に着目すると、ディスクに近づくにつれて、
・信号光Hが反射して得られるS字信号
・迷光(1)と迷光(2)が反射して得られるS字信号
・信号光Bが反射して得られるS字信号
・迷光(5)と迷光(6)が反射して得られるS字信号
・迷光(7)が反射して得られるS字信号
の順にS字信号が出現することを示している(例えば情報記録面については、図9中の波線内のS字信号)。
なお、迷光(3)と迷光(4)とによるS字信号は、実質的に信号光BによるS字信号(F1、F2)と重なっている。また、S字信号G1およびS字信号H1は、ディスクと対物レンズがこれ以上接近しない(衝突する)ため出現しない。
図9より、第2の光ディスク60の再生時に問題となるのは、S字信号D1と他のS字信号との干渉であり、これを回避するためには、S字信号D1とS字信号H2とが重ならなければよい。なお、0次回折光および±1次回折光の回折効率を図5のように設定した場合には、再生に用いる信号光Hに対する迷光(7)の光量比は40%以上になる。よって、サーボ信号および情報信号の安定化の観点からも、S字信号D1とS字信号H2との干渉は、許容できない。
上述のように、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2
第1の光ディスクの作動距離 :WD1
第2の光ディスクの作動距離 :WD2
保護基板の屈折率 :n
とすると、+1次回折光の焦点位置と−1次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f1は、+1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0と、−1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0’との和になると考えてよく、つまりΔf1=Δf0+Δf0’であり、前記式4から、Δf1=2×Δf0−kとなる。よって、前記式1より、
△f1={(t2/n+WD2)−(t1/n+WD1)}×2−k ・・・(式15)
で表される。
ここで、保護基板厚が大きい光ディスク(第2の光ディスク60)を再生する信号光H(往路:回折による+1次回折光→復路:回折による+1次回折光)と、迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)とが受光素子上で重なる条件は、上記焦点位置の差△f1が、光ディスクの情報記録面と表面との間隔の空気換算長△d2_airに一致する場合である。
第2の光ディスクの保護基板厚:t2_ra
とすると、その空気換算長△d2_air_ra は、
△d2_air_ra=t2_ra/n ・・・(式16)
である。ここで第2の光ディスクにおける実際の保護基板厚について、上述した第1の光ディスクの場合とは異なり、情報記録面の数によらず、例えば1層の情報記録面の保護基板厚のばらつきの範囲と、2層の情報記録面の保護基板厚のばらつきの範囲とがほぼ一致しており、いずれもt2_raの範囲である。したがって、前記信号光Hと迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、図21より明らかなように、Δf1がt2_ra/n(=△d2_air_ra)に一致したときである。よって、
{(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))}×2−k=t2_ra/n ・・・(式18)
より、
WD1−WD2=(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k
・・・(式20)
である。
ここで、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
第2の光ディスクの保護基板厚:0.57≦t2_ra≦0.63mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=−0.03mm
とすると、信号光Hと迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、
0.152mm≦WD1−WD2≦0.171mm
となる。従って、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスク60の作動距離WD2を、0.329mm≦WD2≦0.348mmには設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(2×t2−2×t1−t1_ra)/(2×n)−k
・・・(式22)
とすることが望ましい。
なおこれらの条件は、すなわちS字信号D1と、S字信号H2とのゼロクロス点が一致しないための条件である。しかしながら、S字信号D1に対して、S字信号H2の影響を十分に低減するためには、(式23)の条件以上に、S字信号A1とS字信号C3との間隔を縮められればよい。
具体的には、S字信号D1の出現する範囲(例えばS字信号D1のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)と、S字信号H2の出現する範囲(例えばS字信号H2のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)とが重ならなければよく、このマージン量X’とすると、
WD1−WD2>(2×t2−2×t1−(t1_ra))/(2×n)−k+X’
・・・(式24)とすればよい。このマージン量X’は、例えばS字信号D1のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲と、S字信号H2のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲とが重ならないように設定するのであれば、X’≧10μmとする。なお、S字信号の重なりに対するマージン量X’は、光学倍率等に応じて適切に設定することが望ましい。
例えば、X’=0.01mmとした場合、
WD1−WD2>0.181mm
とすることが望ましい。例えば、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスク60の作動距離WD2<0.319mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、S字信号D1と、他のS字信号(D2〜H2)とが完全に分離されるため、実質的にS字信号D1に対する迷光の影響を十分に低減できる。
なお、第2の光ディスク60が複数の情報記録面を備えている場合、図9におけるS字信号D1、E1、F1、G1、H1には、それぞれ情報記録面の数に応じた複数のS字信号が出現する。しかしながら、第2の光ディスク60が複数の情報記録面を備えている場合でも、それぞれのS字信号と他のS字信号との位置関係は変わらない。従って本実施の形態においては、第2の光ディスク60の情報記録面の数については、特に言及せず説明を行ったが、第2の光ディスク60が複数の情報記録面を備えたものであっても本発明の適用可能である。
(実施の形態2)
図10および図11は本発明の別の実施の形態における光学ヘッド40の概略構成図である。
図10および図11において、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、以下その説明を省略する。
図10および図11において、1は青紫レーザ光を出射する光源、3はビームスプリッタ、4はコリメートレンズ、16はホログラム一体型対物レンズ、8は検出レンズ、9はレーザ光を受光する受光素子であり、これらが光学ヘッド40を構成している。また、50は保護基板厚約0.075mm〜0.1mmの光ディスクである第1の光ディスクであり、60は保護基板厚約0.6mmの光ディスクである第2の光ディスクである。
図10を用いて、第1の光ディスク50に対して、情報の記録または再生を行う光学ヘッド40の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラム一体型対物レンズ16によって、保護基板越しに第1の光ディスク50の情報記録面に光スポットとして収束される。第1の光ディスク50の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路でホログラム一体型対物レンズ16、コリメートレンズ4を透過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に図11を用いて、第2の光ディスク60に対して、情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド40の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラム一体型対物レンズ16で回折および収束され、保護基板越しに第2の光ディスク60の情報記録面に光スポットとして収束される。第2の光ディスク60の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路でホログラム一体型対物レンズ16、コリメートレンズ4を通過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に、ホログラム一体型対物レンズ16の機能について、図12と図13を用いて詳細に説明する。尚、実施の形態1の場合と同様に、ホログラム一体型対物レンズ16は、上述の制御部402の制御により図18に示すアクチュエータ31にてフォーカス方向31a及びトラッキング方向31bに駆動可能である。
ホログラム一体型対物レンズ16は、同心円状の格子パターン16aが形成されており、その中心はホログラム一体型対物レンズ16の光軸と一致している。また、格子パターン16aはホログラム一体型対物レンズ16によって決まる開口よりも小さな径の中にだけ形成されている。従って格子パターン16aが形成されていない部分では回折が全く起こらない。
ホログラム一体型対物レンズ16の+1次回折光の回折効率は100%未満であり、透過光(0次回折光)も充分な強度を有するように設計されている。なお、ホログラム一体型対物レンズ16はブレーズ化することによって、0次回折光と+1次回折光の光量和を大きくすることができ、光の利用効率を高くできる。
ここで、例えば第1の光ディスク50および第2の光ディスク60に対して、どちらも再生専用の光学ヘッドとしてホログラム一体型対物レンズ16を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%〜70%程度にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、第1の光ディスク50と第2の光ディスク60が同程度の光量を用いて情報の再生を行うことができるという効果が得られ、光源の出力を低減することができる。
一方、第2の光ディスク60に対しては再生のみを行い、第1の光ディスク50に対しては記録および再生が可能な光学ヘッドとしてホログラム一体型対物レンズ16を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%以下にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、ホログラム一体型対物レンズ16の透過率(0次回折光の回折効率)を大きくすることができるため、記録を行う第1の光ディスク50に対する光利用効率を高くすることができるという効果が得られ、記録時の光源の出力を低減することができる。
ホログラム一体型対物レンズ16は、開口数NAが0.85で、図13(A)に示すように、ホログラム一体型対物レンズ16を回折されずに透過したレーザ光(すなわち0次回折光)が入射したときに、保護基板厚約0.1mmの第1の光ディスク50上に回折限界の集光スポットを形成できるよう設計されている。
一方、図13(B)に示すように、ホログラム一体型対物レンズ16で回折された+1次回折光は、第2の光ディスク60上に収束される。ここで+1次回折光は、保護基板厚約0.6mmの第2の光ディスク60上に回折限界の集光スポットを形成できるよう収差補正を施されている。
このように入射光の一部を回折するホログラム一体型対物レンズ16よって異なる基板厚の光ディスク上にそれぞれ回折限界にまで収束される集光スポットを形成することができる2焦点レンズを実現できる。
なお、本実施の形態のホログラム一体型対物レンズ16は、0次回折光に対して+1次回折光に凹レンズのパワーを付加させる効果を備えているので、ホログラム一体型対物レンズ16に対する+1次回折光の焦点位置は、0次回折光の焦点位置よりも遠くになり、第1の光ディスク50よりも保護基板厚の大きい第2の光ディスク60の情報記録面に+1次回折光を収束させる場合に、第2の光ディスク60とホログラム一体型対物レンズ16の間隔である作動距離(Working Distance:WD)を十分確保することができる。
このように、ホログラム一体型対物レンズ16は、+1次回折光に対して凹レンズ作用を持たせているので、第1の光ディスク50を記録または再生するための0次回折光と、第2の光ディスク60を記録または再生するための+1次回折光の2つの焦点の光軸方向の位置は異なっている。従って、一方の焦点に形成された光スポットを用いて情報の記録または再生をしているときには、他方の焦点に形成された光スポットは大きく広がるため、情報の記録または再生に影響を与えない。
なお、ホログラム一体型対物レンズ16によって所望の+1次回折光を発生させるような格子パターンを形成した場合、0次回折光と+1次回折光に加えて、+1次回折光と共役となる−1次回折光および、さらに高次の回折光が発生するため、実施の形態1と同様に、不要な回折光による迷光が、受光素子9上で小さな光スポットを形成しないよう、+1次回折光と0次回折光の関係を適切に設定する必要がある。即ち、上述した実施の形態1の場合と同様に、第1及び第2の光ディスク50,60に対するWD1,WD2が適切に設定されるよう、ホログラムレンズ5と対物レンズ6とが設計される。
実施の形態1に示したように、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2
第1の光ディスクの作動距離 :WD1
第2の光ディスクの作動距離 :WD2
保護基板の屈折率 :n
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2
とすると、図5に示す、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)とが受光素子9上で重なる条件は、
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L1/n
・・・(式8)
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L2/n
・・・(式9)より、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式10)
および、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式11)
である。
ここで、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1=0.1±0.005mm(第1層)
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2=0.075±0.005mm(第2層)
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=0.03mm
とすると、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)が受光素子上で重なる条件は、
WD1−WD2=0.163±0.007mm
または、
WD1−WD2=0.194±0.007mm
となる。従って、第1の光ディスクの作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスクの作動距離WD2を、0.337mmおよび0.306mm近傍には設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式12)
および
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式13)
とすることが望ましく、さらに、
WD1−WD2<(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k−X ・・・(式14)とすることが望ましい。例えば、X=0.01mmとした場合、
WD1−WD2<0.147mm
とすることが望ましい。尚、前記Xは、実施の形態1で述べたマージン量である。
例えば、第1の光ディスクの作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスクの作動距離WD2を、WD2>0.353mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、図7におけるS字信号A1およびS字信号A2と、他のS字信号(B1〜B3、C1〜C3)が完全に分離されるため、実質的にS字信号A1およびS字信号A2に対する迷光の影響を十分に低減できる。
一方、第2の光ディスク60の再生時においては、
第2の光ディスクの保護基板厚:t2_ra
とすると、図5に示す、信号光Hと迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、
{(t2/n+WD2)−(t1/n+WD1)}×2−k=t2_ra/n
・・・(式18)
より、
WD1−WD2=(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k
・・・(式20)
である。
ここで、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
第2の光ディスクの保護基板厚:0.57mm≦t2_ra≦0.63mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=0.03mm
とすると、前記信号光Hと前記迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、
0.092mm≦WD1−WD2≦0.111mm
となる。従って、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスク60の作動距離WD2を、0.389mm≦WD2≦0.408mmには設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k ・・・(式22)
とすることが望ましく、さらに、
WD1−WD2>(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k+X’ ・・・(式24)とすることが望ましい。
例えば、X’=0.01mmとした場合、
WD1−WD2>0.121mm
とすることが望ましい。尚、前記X’は、実施の形態1で述べたマージン量である。
例えば、第1の光ディスクの作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスクの作動距離WD2を、WD2<0.379mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、S字信号D1と、他のS字信号(D2〜H2)が完全に分離されるため、実質的にS字信号D1に対する迷光の影響を十分に低減できる。
尚、実施の形態1及び実施の形態2において、第1の光ディスク50は、第1保護基板厚t1_L1で示される情報記録面と、第2保護基板厚t1_L2で示される情報記録面とのそれぞれが所定の保護基板厚の誤差を有し、一方、第2のディスク60は、情報記録面の数によらず、保護基板厚t2_raで示される情報記録面が所定の保護基板厚の誤差を有する場合について、それぞれ信号光と迷光とが受光素子9上で重ならない条件について詳述した。
しかしながら、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、例えば、第1の光ディスク50が3層以上の情報記録面を有し、そのそれぞれが所定の保護基板厚の誤差を有する場合や、第2の光ディスク60がそれぞれの情報記録面毎に所定の保護基板厚の誤差を有する場合等にも適用可能である。
即ち、光ディスクの保護基板厚の取り得る範囲に対し、それぞれ情報記録面で反射された信号光と、当該光ディスクの対物レンズに近接する表面で反射された迷光とが受光素子9上で重ならないようにすることが本発明の思想である。よって、複数の次数の回折光を発生させる回折素子を備えた光学ヘッドに本発明は広く適用可能であることは言うまでもない。
以上、実施の形態1および実施の形態2において、0次回折光を第1の光ディスク50の記録または再生に用い、+1次回折光を第2の光ディスク60の記録または再生に用いる例を示したが、本発明は、+1次回折光を第1の光ディスク50の記録または再生に用い、0次回折光を第2の光ディスク60の記録または再生に用いる場合にも適用可能である。この場合、第1の光ディスク50の記録または再生を行う+1次回折光は、凸レンズのパワーを備えるため、対物レンズで発生する色収差をキャンセルできるというメリットがある。
この場合のホログラム素子およびホログラム一体型対物レンズは、第1の光ディスク用の開口よりも小さな径の中にだけ第1の格子パターンを形成し、その外側に第2の格子パターンを形成する。ここで、第1の格子パターンの0次回折光の回折効率(透過率)は、100%未満であり、+1次回折光も充分な強度を有するように設計し、第2の格子パターンの+1次回折光の回折効率は、最大となるように設計することが望ましい。
なお、+1次回折光を第1の光ディスク50の記録または再生に用い、0次回折光を第2の光ディスク60の記録または再生に用いる場合には、±2次以上の回折光による迷光(例えば、往路:回折による+1次回折光→復路:回折による+2次回折光)を考慮する必要がある。
さらに本発明は、例えば0次回折光と+2次回折光、+1次回折光と+2次回折光、あるいはさらに高次の回折光の組み合わせ等を用いて複数種類の光ディスクに対して互換を行う光学ヘッドにも同様に適用可能であり、いずれも、不要な回折光による迷光が、受光素子9上で小さな光スポットを形成しないような構成を実現できる。
なお、不要な回折光による迷光の影響は、光ディスクの情報記録面の反射率に対する光ディスク表面の反射率の比率が大きい場合に大きくなることは明らかである。従って、例えば情報記録面の反射率Rrと表面反射率Rsとして、
0.5≦Rr/Rs≦3.0 ・・・(式25)
を満たすような情報記録媒体に対して有効である。このような情報記録媒体としては、例えば2層以上の複数の情報記録面を備えた情報記録媒体があるが、このような情報記録媒体を記録または再生するための光学ヘッドにおいて特に有効である。
また、実施の形態1および実施の形態2では、コリメートレンズすなわち集光レンズを備えたいわゆる無限光学系の光学ヘッドについて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コリメートレンズすなわち集光レンズを備えないいわゆる有限光学系の光学ヘッドにも適用可能であることは明らかである。このような有限光学系の光学ヘッドでは、対物レンズが対物レンズ及び集光レンズとして機能する。
以上、実施の形態1および実施の形態2において、第1の光ディスク50に対して、光ディスク表面で反射した、図5に示す、前記迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)または前記迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子9上に集光する条件、および、第2の光ディスク60に対して、光ディスク表面で反射した前記迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子9上に集光する条件について詳細な説明を行った。
これらの迷光(5)〜(7)は、+1次回折光の凹レンズのパワーが非常に大きい場合、あるいは、非常に小さい場合には問題とならない。
例えば、+1次回折光の凹レンズのパワーが大きい場合、+1次回折光と共役関係にある−1次回折光の凸レンズのパワーも大きくなる。このとき、+1次回折光、0次回折光、−1次回折光のそれぞれの焦点位置の間隔も大きくなるため、図22に示すように、−1次回折光の焦点位置は、光ディスク表面50aから遠ざかり、迷光(5)、迷光(6)、迷光(7)は、受光素子9上では集光しない。すなわち実質的に問題とはならない。
しかしながら、このように+1次回折光の凹レンズのパワーを大きくするためには、ホログラムレンズ5の格子パターンのピッチを小さくする必要があり、ホログラムレンズ成形の難易度が高くなり、高コストになるという課題がある。尚、実質的に格子ピッチの下限は2μm程度である。よって、このようなホログラムレンズは、実際には採用できない。
一方、+1次回折光の凹レンズのパワーが小さい場合、+1次回折光と共役関係にある−1次回折光の凸レンズのパワーも小さくなる。このとき、+1次回折光、0次回折光、−1次回折光のそれぞれの焦点位置の間隔も小さくなるため、図23に示すように、焦点位置が光ディスク表面60aと一致するのは、高次回折光、例えば−2次回折光や−3次回折光となる。これら高次回折光の回折効率は、±1次回折光や0次光の回折効率よりも小さいため、光ディスク表面60aで反射したこれらの迷光が受光素子9上に集光しても、その影響は微小である。
しかしながら、回折効率の大きい0次回折光が、光ディスク表面ではなく情報記録面で反射して受光素子9上に集光する光スポットの影響が無視できなくなる。
以上のように、本発明は、実施の形態1および実施の形態2で述べた光学ヘッド30,40に限らず、光ディスクの情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、集光レンズによって集光される受光素子9上における位置と、この光ディスクの表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、集光レンズによって集光される受光素子9上における位置とが異なる光学ヘッドに対して広く適用可能である。
特に、第1の光ディスクの表面で反射した迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)または迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子上に集光しないよう、あるいは、第2の光ディスクに対して、光ディスク表面で反射した迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子上に集光しないよう、回折光のレンズパワーを規定した光学ヘッドに、本発明を適用することがより好ましい。
(実施の形態3)
さらにまた、実施の形態1および実施の形態2では、異なる種類の光ディスクの情報記録面に、同一波長のn次の回折光とm次の回折光を収束させる対物レンズについて、光ディスクの情報記録面で反射される往路がn次かつ復路がn次の回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置と、光ディスクの表面で反射される往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置とが異なる光学ヘッドについて説明を行ったが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば本発明は、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドにも適用可能である。
ホログラムレンズのパワーを表す回折角θは、
n・λ=d・sinθ で決定される。ここで、
n:回折次数
λ:波長
d:格子ピッチ
これは、dはレンズに対する設定値であるので、レーザ光を異なる種類の光ディスクの情報記録面に収束させる場合には、回折次数nと波長λの少なくとも一つを変えればよいことを示している。
つまり、異なる種類の光ディスクに対して互換可能な光学ヘッドを実現する場合、同一波長で次数の異なる回折光を用いるか、同一次数で波長の異なる回折光を用いるか、さらには次数も波長も異なる回折光を用いるかは設計事項であって、所定の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置と、この情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置とが異なるように設計することは、いずれの場合においても有効であり、本発明の適用範囲内である。
例えばこのような光学ヘッドに本発明を適用する場合について、図24〜図27を用いて詳細に説明する。
図24から図27に示す対物レンズ26は、波長の差を利用して、青紫レーザ光の+3次回折光を保護基板厚0.1mmのBD50の情報記録面に収束させ、かつ赤色レーザ光の+2次回折光を保護基板厚0.6mmのDVD70の情報記録面に収束させ、かつ赤外レーザ光の+2次回折光を保護基板厚1.2mmのCD80の情報記録面に収束させるための回折構造を備えている。対物レンズ26は、例えば、青紫レーザ光の+3次回折光の回折効率が93%程度、赤色レーザ光の+2次回折光の回折効率が94%程度、赤外レーザ光の+2次回折光の回折効率が52%程度となるように設計されている。
対物レンズ26は、BD50、DVD70、及びCD80のそれぞれの情報記録面に、対応した波長の+1次回折光を収束させるため、+1次回折光が凹レンズのパワーを持つような回折構造を備えている。これは、波長の長い赤色レーザ光および赤外レーザ光を用いて、保護基板厚の大きいDVD70およびCD80の情報記録面にレーザ光を収束させるため、波長が長くなるにつれて、凹レンズのパワーが大きくなるようにするためである。
ここで図27に示すように、赤外レーザ光において、+2次回折光よりも凹レンズのパワーが小さい+1次回折光の焦点位置は、光ディスクの表面に近づく方向である。+1次回折光の回折効率は29%程度であるため、CD80の表面で反射して集光レンズによって受光素子9上に集光されないよう、凹レンズのパワーを決定することが好ましい。
(実施の形態4)
図14は本発明の一実施の形態における光ディスク装置の概略構成図である。
図14において、400は光ディスク装置を表しており、光ディスク装置400の内部に光ディスク駆動部401、制御部402、光学ヘッド403を備える。また50は第1の光ディスクであるが、第2の光ディスク60に交換可能である。
光ディスク駆動部401は、第1の光ディスク50、または第2の光ディスク60を回転駆動する機能を有し、光学ヘッド403は、実施の形態1から実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドである。制御部402は、光ディスク駆動部401と光学ヘッド403との駆動および制御を行う機能を有すると共に、光学ヘッド403で受光された制御信号、情報信号の信号処理を行う機能と、情報信号を光ディスク装置400の外部と内部でインタフェースさせる機能を有する。
光ディスク装置400は、実施の形態1から実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドを搭載しているので、本実施の形態における光ディスク装置400は、複数の光ディスクをそれぞれ良好に記録または再生を行なうことができる。
以下には、前記光ディスク装置400に備わる前記制御部402にて実行される、実施の形態1から実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドである光学ヘッド403に対して好適なフォーカス制御方法について説明する。尚、当該フォーカス制御方法は、実施の形態1〜3にて述べた光学ヘッドに限定されるものではない。
光ディスクの情報記録面上に情報を記録したり、光ディスクの情報記録面上に書かれた情報を再生するためには、対物レンズの光軸方向の位置を制御することにより、対物レンズを通過するレーザ光の収束スポットを情報記録面上に結ばせることが必要である。これをフォーカス制御と呼ぶ。フォーカス制御は、収束スポットが、情報記録面からどれだけ離れているか、つまり、焦点誤差量を示すフォーカスエラー信号を光学ヘッド装置によって検出し、そのフォーカスエラー信号を減らす方向へ対物レンズを移動する制御ループによって実現できる。この制御ループを動作させることを「フォーカス制御を開始する」という。尚、実施の形態1で説明したように、対物レンズを有するユニット部分がアクチュエータ31にてフォーカス方向31aに駆動されて、前記フォーカス制御が行われる。
フォーカスエラー信号が焦点誤差量にほぼ比例する範囲は、焦点誤差がある一定範囲にある場合に限られる。この範囲を制御可能範囲と呼ぶ。その量は、高々±10μm程度であり、設計によっては±1μm程度の場合もある。フォーカス制御を開始するためには、対物レンズを、アクチュエータ31にて光軸方向に移動させながら、焦点誤差量が十分小さくなり、制御可能範囲にあるときにフォーカス制御を開始する必要がある。このようなフォーカス制御の開始方法の一実施形態について、図28〜図32等を参照しながら説明する。又、光ディスク装置400に用いる電気回路には、このようなフォーカス制御の開始方法を記憶した集積回路を用いることが好ましい。
図28は、フォーカス制御の開始方法のアルゴリズムの一例を示している。尚、光ディスク装置400に備わる光学ヘッド403について、ここでは、実施の形態1で説明した光学ヘッド30を例に採る。
光ディスク装置400の電源を入れたとき、あるいは、光ディスク装置400に光ディスク、例えば実施形態1、2で説明した光ディスク50及び光ディスク60の一方を挿入したときに、電気回路から、再生指令が出される(ステップS1)。次のステップS2では、まず光源1を発光させながら対物レンズ6を光ディスクへ近づける方向に移動させる。対物レンズ6を光ディスクへ近づけるためには、アクチュエータ31へフォーカス駆動電流を流す。フォーカス駆動電流量を一定量にて増減することにより、対物レンズ6を光軸方向に移動する。このときの移動量は、設計時、あるいは製造時にアクチュエータ31の感度(フォーカス感度)を設計したり、測定したりしておいて、フォーカス駆動電流量の増減量を対物レンズ6が光ディスク表面に接触しないように決定し、フラッシュメモリなど、情報装置に具備される記憶部へ記憶しておくことが望ましい。
対物レンズ6を光ディスクへ近づけると、フォーカスエラー信号が変化する。光ディスクの透明な保護基板厚が薄い場合、例えば0.1mmのときには、図29に示すように、0次回折光が情報記録面に収束する場合、球面収差が70mλrms以下、すなわちマーシャルクライテリア以下になり、設計通りの状況であれば回折限界の収束スポットを得ることができる。この収束スポットを形成する光が情報記録面において反射して戻り、再びホログラムレンズ5を通過する。このときに発生する0次回折光が受光素子9上に入射することで形成されるフォーカスエラー信号が、図30に示すA1とA2である。図30は、光ディスクが2つの情報記録面を有する2層ディスクの場合を示しており、A2は、当該光ディスクの表面からほぼ0.1mm程の透明な保護基板を通した位置に存在する情報記録面に対応したフォーカスエラー信号である。ホログラムレンズ5の0次回折光の回折効率(透過効率)を65%程度、+1次回折光の回折効率を15%程度とした場合、0次回折光の強度が大きい上に収差も最小なため、前記A1及びA2は、顕著に大きな信号を形成する。
従って、表面から0.1mm程の位置に大きなフォーカスエラー信号が出現した場合には、当該光ディスク装置400に装填された光ディスクは、0.1mm程の透明な保護基板厚を有する光ディスクであると判別できる。さらに閾値LBを設けて、再び対物レンズ6を光ディスクから離れた位置から光ディスクに近づけ、フォーカスエラー信号が閾値LBを越えた時点にて、フォーカス制御を開始することができる。
このように、当該光ディスク装置400に装填された光ディスクが0.1mm程の透明な保護基板厚を有する光ディスクである場合には、速やかにフォーカス制御を開始することができる。
ここで閾値LBは、基準信号レベルからのフォーカスエラー信号の乖離量であり、正、負いずれの値でも可能である。閾値の大きさは、基準信号レベルからのフォーカスエラー信号の乖離量の絶対値と定義する。なお、このステップS2では、受光素子9に入射する光量PSもモニタし、その最大値FSMを測定することも可能である。そうすれば、フォーカスエラー信号をFSMによって規格化することにより、光ディスクの情報記録面の反射率は、光ディスク毎に異なることが多いが、それに関わらず、同じ形のフォーカスエラー信号を観測できる。
一方、光ディスク表面から0.1mm程の位置に大きなフォーカスエラー信号が出現しない場合には、0.6mmの透明な保護基板厚を有する光ディスクである可能性がある。このような場合、次のステップS3では、対物レンズ6をさらに光ディスクに近づける必要があるので、アクチュエータ31の感度を取得するための動作を行う。ここでアクチュエータ31の感度とは、アクチュエータ31に流す単位電流あたりの対物レンズ6の移動量である。電流量は、特定の抵抗に発生する電圧によって図ることもできるので、単位電圧あたりと定義することも可能である。尚、以下の説明ではアクチュエータ31の感度をフォーカス感度と呼ぶ場合もある。アクチュエータ31の感度は、光学ヘッドの製造時に、アクチュエータ31を実際に動かして、レーザー測長機などによって移動量を量り、その結果をフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに蓄えておけばよい。そして、この段階でそのメモリからアクチュエータのフォーカス感度を取得すればよい。
また、より精度の良いフォーカス感度を得るためには、次のような方法が有効である。光ディスクの透明な保護基板厚みがより厚い場合、例えば0.6mmのときには、図31に示すように、ホログラムレンズ5の+1次回折光が光ディスクの情報記録面に収束する場合、球面収差が70mλrms以下、すなわちマーシャルクライテリア以下になり、設計通りの状況であれば回折限界の収束スポットを得ることができる。この収束スポットを形成する光が情報記録面において反射して戻り、再びホログラムレンズ5を通過する。このときに発生する+1次回折光が受光素子9上に入射して形成されるフォーカスエラー信号が図32に示すD1である。尚、図32は、光ディスクが一つの情報記録面を有する単層ディスクの場合を示している。
そして閾値LCを設けて、再び対物レンズ6を光ディスクから離れた位置から光ディスクに近づけ、初めてフォーカスエラー信号が閾値LCを越えた時点から、次に閾値LCを越えるまでのアクチュエータ駆動電流量、あるいは電圧の差をモニタする。初めてフォーカスエラー信号が閾値LCを越えるのは、信号E2である。これは、ホログラムレンズ5における往路と復路のレーザ光の回折次数が、それぞれ0次と+1次、および+1次と0次のレーザ光が組み合わされて受光素子9に入射して得られる信号を重ね合わせた信号である。次に閾値LCを越えるのは、信号F2である。これは、往路と復路の回折次数がともに0次のレーザ光が受光素子9に入射して得られる信号である。さらにその次に閾値LCを越えるのは、信号G2である。これは、往路と復路の回折次数が、それぞれ0次と−1次、および−1次と0次のレーザ光が組み合わされて受光素子9に入射して得られる信号を重ね合わせた信号である。これらの信号の間隔は、ホログラムレンズ5の設計によって決定されるもので、種々の光ディスクにおける異なる保護基板厚には依存しない。
従って、このような特性を利用することで、当該光学ヘッド30における例えば周囲温度変化等に左右されることなく、正確に対物レンズ6の移動量dを計ることができる。上述の信号E2、F2等は、往路あるいは復路の一方のみ、ホログラムレンズ5の回折次数が1次だけ異なる光により得られるものであるので、dは、異なる次数によって光ディスク側に実際にできる複数の焦点間の距離の半分の距離である。このような距離dを、その間に変化させたアクチュエータ駆動電流量、あるいは電圧によって除算すればフォーカス感度を求めることができる。このようにフォーカス感度を測定する際には、光ディスクは回転しても良いが、光ディスクの面ぶれによる誤差を避けるため、回転しないで静止させておくことが望ましい。
上述のようにステップS3にてフォーカス感度を求めた後、次のステップS4では、一旦対物レンズ6を光ディスクから離す。そして光ディスクを回転しながら、再び対物レンズ6を光ディスクに近づける。そして次のステップS5では、受光素子9から得られる信号レベルが前記LCを越えた時点で、次のステップS6へ移る。
ステップS6では、一定量D0だけさらに対物レンズ6を光ディスクへ近づける。距離D0は、フォーカス制御範囲を存在させない範囲である。距離D0は、先に取得した距離dから決めることができる。光ディスクの保護基板厚をT、その屈折率をnとする。例えば波長が405nm、光ディスクの保護基板の材質がポリカーボネートであれば、nは1.6程度である。距離D0は、信号G2を検出したところからであれば、計算上では、D0=T/n−(3d)である。しかし距離D0を設ける目的は、前記信号G2の次に現れる信号H2に対して誤ってフォーカス制御を開始しないようにするためだけであるので、信号F2を検出したところからであってもよい。その場合、距離D0は、D0>2dとすればよい。以上から、D0は、
2d<D0<T/n−(3d)の範囲であればよい。
なお、信号H2にフォーカス制御を誤って行ったとしても、その後、一旦フォーカス制御を切って、さらに対物レンズ6を光ディスク側へ近づけるなどの対策も可能であるので、ステップS6を省略することも可能である。
次に、ステップS3において求めたフォーカス感度kを元に、ステップS7〜S10において、フォーカス制御を行う信号D1をサーチするための対物レンズ6の移動量の上限を決定する。サーチする距離DSは、信号E2を検出した位置からであれば、DS>T/n−(d)となる。尚、ここでT,n,dは、上述の通りである。また、信号G2を検出した位置からであれば、最低限、DS>T/n−(3d)となる。但し、光ディスクの面ぶれなど誤差要因もあるため、実際の距離DSは、計算値よりも僅かに大きく設定する必要がある。保護基板厚Tの光ディスクの再生時における、対物レンズ6の表面と、光ディスクの表面との間隔をワーキングディスタンスWDとすると、前記僅かに大きく設定する距離をWD未満に設定すれば、光ディスクと対物レンズ6との接触を避けることができる。つまり、距離DSは、最大限、DS<T/n−(d)+WDとなる。但し、実際には、上述の、光ディスクの面ぶれなどの誤差要因による光ディスクと対物レンズ6との接触を確実に避ける必要があるから、前記僅かに大きく設定する量は、WDの1/3程度が望ましいので、
DS<T/n−(3d)+WD/3とすることが望ましい。
以上より、フォーカス制御を行う信号D1をサーチして対物レンズ6を移動する移動量の上限の距離DSは、
T/n−(3d)<DS<T/n−d+WD
あるいはより狭い範囲で考えれば
T/n−d<DS<T/n−(3d)+WD/3
となる。
ステップS7〜S10では、対物レンズ6をディスクへ近づけながら(S7)、受光素子9から得られる信号レベルをモニタして、閾値LEを越えたときには(S8)、フォーカス制御を開始する(S9)。一方、ステップS8において、前記信号レベルが閾値LEに達しない場合には、受光素子9から得られる信号レベルが上述の閾値LCを超えた時点からの対物レンズ6の移動量を前記距離DSと比較する(S10)。該移動量が距離DSに達していなければ、再度、ステップS7へ戻る。一方、前記移動量が距離DSに達していれば、ステップS11へ移る。
ステップS11に移行するということは、距離DSを対物レンズ6が移動する間に、閾値LEを越える信号が検出できなかった場合である。よって、ステップS11では、閾値LEを低く設定する。例えば、従前の2/3程度に設定する。そしてステップS12に移行する。ステップS12に移行した段階では、対物レンズ6は、既に光ディスクの表面に近接している。よって、ステップS12では、それまでとは逆の方向に、つまり対物レンズ6を光ディスクから離す方向へ移動させながら、受光素子9から得られる信号レベルをモニタする。そしてステップS13において、モニタしている信号レベルが閾値LEを超えたか否かを判断し、超えた時点でフォーカス制御を開始する(S14)。一方、信号レベルが閾値LEに達していなければ、ステップS5へ戻る。
上述のようにして、対物レンズ6が光ディスクへ接触することを回避しながら、フォーカス制御を開始することができる。なお、ステップS6では、迅速にフォーカス制御を開始するために、対物レンズ6は高速に移動することが好ましいが、ステップS7以降では、前記信号レベルが高い状態を見逃さぬよう、対物レンズ6の移動速度を下げることが望ましい。
また、光学ヘッド30,40は、光ディスクの保護基板厚に応じて収束光学系の球面収差量を変化させるため、コリメートレンズ4を光軸方向へ移動させる機構を備えることが望ましい。その場合、上述のステップS2において、光ディスクの保護基板厚が0.1mmよりも厚いと判断してステップS3へ移る間にて、つまりステップS2とステップS3との間にて、+1次回折光の球面収差量が0.6mmに適するようにコリメートレンズ4を移動させることが望ましい。これによって、信号D1の振幅を最大にすることができ、より安定してフォーカス制御を開始することが可能になる。
(実施の形態5)
図15は本発明の一実施の形態におけるコンピュータの概略構成図である。
図15において、コンピュータ500は、実施の形態4の光ディスク装置400と、情報の入力を行うためのキーボードあるいはマウス、タッチパネルなどの入力装置501と、入力装置501から入力された情報や、光ディスク装置から読み出した情報などに基づいて演算を行う中央演算装置(CPU)などの演算装置502と、演算装置502によって演算された結果などの情報を表示するブラウン管や液晶表示装置、プリンタなどの出力装置503を備える。
コンピュータ500は、実施の形態4の光ディスク装置400を備えるので、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
(実施の形態6)
図16は本発明の一実施の形態における光ディスクプレーヤの概略構成図である。
図16において、光ディスクプレーヤ600は、実施の形態4の光ディスク装置400と、光ディスク装置400から得られる情報信号を画像信号に変換する情報から画像への変換装置(例えばデコーダ601)を備える。
なお、本光ディスクプレーヤ600は、GPS等の位置センサーや中央演算装置(CPU)を加えることによりカーナビゲーションシステムとしても利用可能である。また、また、液晶モニタなどの表示装置602を加えた形態も可能である。
光ディスクプレーヤ600は、実施の形態4の光ディスク装置400を備えるので、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
(実施の形態7)
図17は本発明の一実施の形態における光ディスクレコーダの概略構成図である。
図17において、光ディスクレコーダ700は、実施の形態4の光ディスク装置400と、画像情報を光ディスク装置400によって光ディスクへ記録する情報信号に変換する画像から情報への変換装置(例えばエンコーダ701)を備える。望ましくは、光ディスク装置400から得られる情報信号を画像情報に変換する情報から画像への変換装置(デコーダ702)も備えることにより、記録した画像を再生することも可能となる。なお情報を表示するブラウン管や液晶表示装置、プリンタなどの出力装置703を備えてもよい。
光ディスクレコーダ700は、実施の形態4の光ディスク装置400を備えるので、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
本発明の光学ヘッドは、それぞれ異なる複数の光ディスクに対して、良好に記録または再生が可能である。また本発明の光ディスク装置や、その光ディスク装置を備えたコンピュータ、光ディスクプレーヤ、光ディスクレコーダは、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
又、2006年12月8日に出願された、日本国特許出願No.特願2006−331534号、及び2006年12月29日に米国に出願された、米国仮特許出願No.60/877606号の明細書、図面、特許請求の範囲、及び要約書の開示内容の全ては、参考として本明細書中に編入されるものである。
本発明は、複数種類の光ディスク等の情報記録媒体に対して、光学的に情報の記録または再生を行う光学ヘッドおよび光学ヘッドに用いられる回折素子と対物レンズ、光学ヘッドを具備した光ディスク装置、この光ディスク装置を具備したコンピュータ、光ディスクプレーヤ、光ディスクレコーダに関するものである。
近年、青紫半導体レーザの実用化に伴い、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)と同じ大きさで、高密度・大容量の光情報記録媒体(以下、光ディスクともいう)であるBlu-ray Disc(以下、BD)が実用化されている。このBDは、波長400nm程度の青紫レーザ光源と、開口数(Numerical Aperture、NA)を0.85まで高めた対物レンズを用いて記録または再生を行う、保護基板厚約0.1mmの光ディスクである。
一方、同じく波長400nm程度の青紫レーザ光源と、開口数0.65の対物レンズを用いた、保護基板厚0.6mmのHD DVDも実用化されている。
そこで以上のような、それぞれ保護基板厚が異なる光ディスクの情報記録面に対し、レーザ光を一つの対物レンズを用いて収束させて情報の記録または再生を行う、互換性を有する光学ヘッドが提案されている。
異なる保護基板厚の光ディスク上に、回折限界までレーザ光を収束することのできる集光光学系を備えた光学ヘッドが、特許文献1および特許文献2に示されている。
特許文献1に示されている従来の光学ヘッドの構成例を図33に示す。図33において、101は赤色レーザ光を出射する光源、103はビームスプリッタ、104はコリメートレンズ、105はホログラムレンズ、106は対物レンズ、108は検出レンズ、109は受光素子であり、これらが光学ヘッド130を構成している。また、70は保護基板厚0.6mmの光ディスクであるDVDである。
DVD70に対して、情報の記録または再生を行う光学ヘッド130の動作について述べる。光源101から出射された赤色レーザ光は、ビームスプリッタ103を透過し、コリメートレンズ104で略平行光に変換され、ホログラムレンズ105を透過し、対物レンズ106によって、保護基板越しにDVD70の情報記録面に光スポットとして収束される。DVD70の情報記録面で反射した復路の赤色レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ106、ホログラムレンズ105、コリメートレンズ104を透過する。そして、ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で所定の非点収差を与えられて、受光素子109に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に図34を用いて、保護基板厚1.2mmの光ディスクであるCD80の記録または再生を行う場合の光学ヘッド130の動作について述べる。光源101から出射された赤色レーザ光は、ビームスプリッタ103を透過し、コリメートレンズ104で略平行光に変換され、ホログラムレンズ105で回折された後、対物レンズ106によって、保護基板越しにCD80の情報記録面に光スポットとして収束される。CD80の情報記録面で反射した復路の赤色レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ106、ホログラム105、コリメートレンズ104を通過する。そして、ビームスプリッタ103で反射され、検
出レンズ108で所定の非点収差を与えられて、受光素子109に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
DVD70およびCD80を記録または再生するためのフォーカス誤差信号は、検出レンズ108によって非点収差を与えられた集光スポットを受光素子109内の4分割受光パターンで検出する、いわゆる非点収差法等を用いることが可能である。またトラッキング誤差信号は、回折格子(図示せず)によって生成されたメインビームとサブビームを用いた、いわゆる3ビーム法や差動プッシュプル法(DPP法)等を用いることが可能である。
次にホログラムレンズ105と対物レンズ106の機能について、図35と図36を用いて詳細に説明する。
ホログラムレンズ105には、DVD70およびCD80に対して、それぞれ微小な光スポットとして収束させるため、図35に示すような格子パターン105aを備えている。ホログラムレンズ105の+1次回折光の回折効率は100%未満であり、透過光(以下、本願では回折しない透過光を0次回折光とも表現する場合があり、透過光を回折光の一つとして扱う)も充分な強度を有するように設計されている。なお、ホログラムレンズ105はブレーズ化することによって、0次回折光と+1次回折光の光量和を大きくすることができ、光の利用効率を高くできる。
対物レンズ106は、開口数NAが0.6で、図36Aに示すように、ホログラムレンズ105を回折されずに透過したレーザ光(すなわち0次回折光)が入射したときに、保護基板厚0.6mmのDVD70上に回折限界の集光スポットを形成できるよう設計されている。
一方、図36Bに示すように、ホログラムレンズ105で回折された+1次回折光は対物レンズ106によってCD80上に収束される。ここで+1次回折光は保護基板厚1.2mmのCD80上に回折限界の集光スポットを形成できるよう収差補正を施されている。
このように入射光の一部を回折するホログラムレンズ105と対物レンズ106を組み合わせることによって異なる基板厚の光ディスク上にそれぞれ回折限界にまで収束される集光スポットを形成することができる2焦点レンズを実現できる。
なお、ホログラムレンズ105はレンズ作用を有するので2つの焦点の光軸方向の位置は異なっている。従って、一方の焦点に形成された光スポットを用いて情報の記録または再生をしているとき、他方の焦点に形成された光スポットは大きく広がり、情報の記録または再生に影響を与えない。
以上、このような光学ヘッド130を用いることで、それぞれ異なる種類の光ディスクに対して、一つの対物レンズを用いて情報の記録または再生を行うことができる。
特開平7−98431号公報 特開平10−10308号公報
特許文献1および特許文献2には、ホログラムを用いた2焦点レンズを用いて、例えばDVDとCDのような、保護基板厚の異なる複数種類の光ディスクに対して互換可能な光学ヘッドの構成が示されている。
しかしながら、これらの従来例には、情報記録面に対する表面の反射率が比較的大きい、例えば複数の情報記録面を備えた光ディスクを記録または再生する際に、記録または再生に寄与しない不要な回折光がディスク表面で反射して受光素子に入射する、いわゆる迷光の影響についてはなんら言及されていない。
本発明では、ホログラムに与えるレンズパワーを規定することで、記録または再生に用いる所定次数の回折光が、所定の情報記録面で反射されて受光素子で得られる信号と、記録または再生に寄与しない次数の回折光が、ディスク表面で反射されて受光素子で得られる信号との干渉を低減し、安定な情報信号検出およびサーボ信号検出を行うことを目的としている。
本発明の第1態様における光学ヘッドは、光源と、前記光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折素子と、nとmを整数として、前記回折素子で発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズと、前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズと、前記集光レンズで集光されたレーザ光を受光し、それぞれフォーカス誤差信号を生成する受光部と、を具備し、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なることを特徴としている。
本発明の第2態様における光学ヘッドは、光源と、前記光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折素子と、nとmをそれぞれ異なる整数として、前記回折素子で発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、かつ前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光する対物レンズと、前記対物レンズで集光されたレーザ光を受光し、それぞれフォーカス誤差信号を生成する受光部と、を具備し、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置が、異なることを特徴としている。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記nとmとはそれぞれ異なる整数であり、前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに前記光源から出射された同じ波長のレーザ光を収束させることもできる。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記nとmとは同じ整数であり、前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに前記光源から出射された異なる波長のレーザ光を収束させることもできる。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドにおいて、前記nとmとはそれぞれ異なる整数であり、前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに前記光源から出射された異なる波長のレーザ光を収束させることもできる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様における光学ヘッドにおいて、前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がm次かつ復路がm次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第2の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がm次とは異なる回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なるようにしてもよい。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドにおいて、前記第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、前記第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2として、t1<t2であって、前記対物レンズは、0次回折光を前記第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、+1次回折光を前記第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させるようにしてもよい。
本発明の前記第1態様の光学ヘッドにおいて、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が0次かつ復路が0次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路のうち片方が0次でもう片方が−1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置が、異なるようにしてもよい。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2、基板の屈折率をn、第1の情報記録媒体の情報記録面の第1保護基板厚:t1_L1、第1の情報記録媒体の情報記録面の第2保護基板厚:t1_L2、第1の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD1、第2の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD2、±1次回折光の焦点位置隔差k、として、WD1−WD2≠(t2−t1−2×t1_L1)/n−kおよびWD1−WD2≠(t2−t1−2×t1_L2)/n−kを満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、さらに、WD1−WD2<(t2−t1−2×t1_L1)/n−kを満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が+1次かつ復路が+1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第2の情報記録媒体の表面で反射した、往路が−1次かつ復路が−1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置が、異なるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2、基板の屈折率をn、第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚:t2_ra、第1の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD1、第2の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD2、±1次回折光の焦点位置隔差k、として、WD1−WD2≠(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k を満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、さらに、WD1−WD2>(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−kを満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、前記第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2として、t1<t2であって、前記対物レンズは、+1次回折光を前記第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、0次回折光を前記第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させるように構成することができる。
本発明の前記第1態様における光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が+1次かつ復路が+1次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路のうち片方が+1次でもう片方が+2次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記対物レンズは、前記回折素子が一体化された回折構造を備えた対物レンズであるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記対物レンズの有効領域は、回折構造を備えた第1の領域と回折構造を備えない第2の領域とを有するように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の領域は前記対物レンズの光軸を含む内周領域であり、前記第2の領域は、前記第1の領域の周辺の領域であるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記対物レンズの有効領域は、所定の回折構造を前記対物レンズの光軸を含む内周領域に形成した第1の回折領域と、前記第1の回折領域の回折構造とは異なる回折構造を前記第1の領域の周辺に形成した第2の回折領域とを有するように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第2の回折領域は、+1次回折光の回折効率が最大となるように形成されるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドにおいて、前記回折素子と前記対物レンズは、別体であるように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面の反射率R1rと表面反射率R1sとして、0.5≦R1r/R1s≦3.0 を満たすように構成することができる。
本発明の前記第1態様及び前記第2態様の光学ヘッドは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面は、複数の情報記録面を備えてもよい。
本発明の第3態様における対物レンズは、光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折構造を備え、nとmを整数として、前記回折構造によって発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズであって、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズによって集光される位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が前記集光レンズによって集光される位置とが、異なることを特徴としている。
本発明の第4態様における回折素子は、光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折構造を備え、nとmを整数として、対物レンズによって、前記回折構造によって発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる回折素子であって、前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズによって集光される位置と、前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される位置が、異なることを特徴としている。
本発明の第5態様における光ディスク装置は、光学ヘッドと情報記録媒体を回転駆動するためのモータと、前記光学ヘッドと前記モータを制御する制御部とを備えた光ディスク装置であって、前記光学ヘッドが前記第1態様又は前記第2態様に規定される光学ヘッドであることを特徴としている。
本発明の第6態様における光ディスク装置は、光源、前記光源から出射されたレーザ光を情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズ、前記情報記録面で反射されたレーザ光を受光しフォーカス誤差信号を生成する受光部、及び、前記対物レンズをフォーカス方向へ移動するアクチュエータを有する光学ヘッドと、前記光学ヘッドを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記アクチュエータへ供給する電流又は電圧と前記対物レンズの移動量との関係であるフォーカス感度を元に前記対物レンズの移動量を求め、かつ前記情報記録媒体へ近づく方向への前記対物レンズの移動に伴い得られるフォーカスエラー信号が閾値を超えたときにフォーカス制御を開始することを特徴としている。
前記第6態様において、当該光ディスク装置は、前記フォーカス感度を記憶したメモリをさらに備え、上記制御部は、前記メモリから前記フォーカス感度を読み出すようにしても良い。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記光学ヘッドは、前記フォーカス感度を記憶したメモリをさらに備え、前記制御部は、前記メモリから前記フォーカス感度を読み出すように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、電源投入時又は前記光ディスクを装填したときに、前記フォーカス感度を測定するように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、前記フォーカスエラー信号を利用して前記フォーカス感度を測定するように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、利用する前記フォーカスエラー信号は、前記フォーカス制御に使用するフォーカスエラー信号よりも以前に出現するフォーカスエラー信号であってもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、前記光ディスクを静止させて前記フォーカス感度の測定を行うように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記制御部は、前記光ディスクへ近づく方向への前記対物レンズの移動を、最初は高速にて行い、その後、前記高速よりも低い低速にて行うように構成してもよい。
本発明の第6態様における光ディスク装置において、前記光学ヘッドは、球面収差補正機構をさらに備え、前記フォーカス制御を開始する前に、球面収差を光ディスクの保護基板厚に一致させておくようにしてもよい。
本発明の第7態様のコンピュータは、前記第6態様に規定される光ディスク装置と、情報を入力するための入力手段と、前記光ディスク装置から再生された情報および/または前記入力手段から入力された情報に基づいて演算を行う演算手段と、前記光ディスク装置から再生された情報および/または前記入力手段から入力された情報および/または前記演算手段によって演算された結果を出力するための出力手段を備えたことを特徴としている。
本発明の第8態様の光ディスクプレーヤは、前記第6態様に規定される光ディスク装置と、前記光ディスク装置から得られる情報信号を画像情報に変換するデコーダを備えたことを特徴としている。
本発明の第9態様の光ディスクレコーダは、前記第6態様に規定される光ディスク装置と、画像情報を前記光ディスク装置によって記録するための情報信号に変換するエンコーダを備えたことを特徴としている。
本発明の光学ヘッドは、それぞれ異なる複数の光ディスクに対して、良好に記録または再生が可能である。
本発明の実施の形態1において、第1の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態1において、第2の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態1のホログラムレンズの構成を模式的に示す図 本発明の実施の形態1のホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図 本発明の実施の形態1のホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図 本発明におけるホログラムレンズおよびホログラム一体型対物レンズの回折効率と、信号光量および迷光量の関係を示す図 本発明の実施の形態1における、第1の光ディスクの記録または再生時の+1次回折光と0次回折光と−1次回折光の関係を模式的に示す図 本発明において、第1の光ディスクの記録または再生時のフォーカス誤差信号、いわゆるS字信号を模式的に示した図 本発明の実施の形態1における、第2の光ディスクの記録または再生時の+1次回折光と0次回折光と−1次回折光の関係を模式的に示す図 本発明において、第2の光ディスクの記録または再生時のフォーカス誤差信号、いわゆるS字信号を模式的に示した図 本発明の実施の形態2において、第1の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態2において、第2の光ディスクを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 本発明の実施の形態2のホログラム一体型対物レンズの構成を模式的に示す図 本発明の実施の形態2のホログラム一体型対物レンズの機能を示す図 本発明の実施の形態2のホログラム一体型対物レンズの機能を示す図 本発明の実施の形態4における光ディスク装置の概略構成図 本発明の実施の形態5におけるコンピュータの概略構成図 本発明の実施の形態6における光ディスクプレーヤの概略構成図 本発明の実施の形態7における光ディスクレコーダの概略構成図 図1に示す光学ヘッドに備わる構成部分の概略の配置状態の一例を示す斜視図 図6に示す第1の光ディスクにおける+1次回折光、0次回折光、及び−1次回折光の焦点位置付近を示す拡大図 図6に示す第1の光ディスク、及び図8に示す第2の光ディスクに対する0次回折光の焦点位置と+1次回折光の焦点位置との差を説明するための図 図8に示す第2の光ディスクにおける+1次回折光、0次回折光、及び−1次回折光の焦点位置付近を示す拡大図 図6に示す+1次回折光、0次回折光、及び−1次回折光のそれぞれの焦点位置の概略を示す図 図8に示す第2の光ディスクにおいて、高次回折光の焦点位置が光ディスク表面に一致する状態を説明するための図 本発明の実施の形態3における、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドの概略構成図であって、光ディスクがBDの場合を示す図 本発明の実施の形態3における、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドの概略構成図であって、光ディスクがDVDである場合の図 本発明の実施の形態3における、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドの概略構成図であって、光ディスクがCDである場合の図 図26に示す光学ヘッドにおいて、+1次回折光の焦点位置が光ディスクの表面に近づくことを説明する図 図14に示す光ディスク装置に備わる制御部が実行するフォーカス制御動作を示すフローチャート 第1の光ディスクに対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合において、0次回折光が前記光ディスクの情報記録面に収束することを示す図 第1の光ディスクによって出現するフォーカスエラー信号に対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合を説明するための図 第2の光ディスクに対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合において、+1次回折光が前記光ディスクの情報記録面に収束することを示す図 第2の光ディスクによって出現するフォーカスエラー信号に対して図28に示すフォーカス制御動作を実行する場合を説明するための図 従来の光学ヘッドにおいて、DVDを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 従来の光学ヘッドにおいて、CDを記録または再生する場合の光学ヘッドの概略構成図 従来の光学ヘッドのホログラムレンズの構成を模式的に示す図 従来の光学ヘッドのホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図 従来の光学ヘッドのホログラムレンズと対物レンズの機能を示す図
以下、本発明の光学ヘッドおよび回折素子、対物レンズ、光ディスク装置、コンピュータ、光ディスクプレーヤ、光ディスクレコーダの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は本発明の一実施の形態における光学ヘッドの概略構成図である。
図1および図2において、1は青紫レーザ光を出射する光源、3はビームスプリッタ、4はコリメートレンズ、5はホログラムレンズ、6は対物レンズ、8は検出レンズ、9はレーザ光を受光する受光素子であり、これらが光学ヘッド30を構成している。また、50は保護基板厚約0.075mm〜0.1mmの光ディスクである第1の光ディスクであり、60は保護基板厚約0.6mmの光ディスクである第2の光ディスクである。
図1を用いて、第1の光ディスク50に対して、情報の記録または再生を行う光学ヘッド30の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラムレンズ5を透過し、対物レンズ6によって、保護基板越しに第1の光ディスク50の情報記録面に光スポットとして収束される。第1の光ディスク50の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ6、ホログラムレンズ5、コリメートレンズ4を透過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に図2を用いて、第2の光ディスク60に対して、情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド30の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラムレンズ5で回折された後、対物レンズ6によって、保護基板越しに第2の光ディスク60の情報記録面に光スポットとして収束される。第2の光ディスク60の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路で対物レンズ6、ホログラムレンズ5、コリメートレンズ4を通過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
第1の光ディスク50および第2の光ディスク60を記録または再生するためのフォーカス誤差信号は、検出レンズ8によって非点収差を与えられた集光スポットを受光素子9内の4分割受光パターンで検出する、いわゆる非点収差法等を用いることで検出が可能である。またトラッキング誤差信号は、回折格子(図示せず)によって生成されたメインビームとサブビームを用いた、いわゆる3ビーム法や差動プッシュプル法(DPP法)等を用いることで検出が可能である。
次に、ホログラムレンズ5と対物レンズ6の機能について、図3と図4を用いて詳細に説明する。尚、図1及び図2に示す光学ヘッド30において、ホログラムレンズ5及び対物レンズ6は、図18に示すようにユニット化されて構成され、互いの位置関係を変化することなく、アクチュエータ31にてフォーカス方向31a及びトラッキング方向31bに一体として駆動可能である。アクチュエータ31は、受光素子9にて生成されるサーボ信号が供給される制御部402にて動作制御される。尚、制御部402は、当該光学ヘッド30を備えた、後述の実施の形態4として説明する光ディスク装置に備わる。
ホログラムレンズ5は、同心円状の格子パターン5aが形成されており、その中心すなわち光軸は対物レンズ6と組立誤差内で一致している。また、ホログラムレンズ5の格子
パターンは対物レンズ6によって決まる開口よりも小さな径の中にだけ形成されている。従ってホログラムレンズ5の格子パターンの形成されていない部分では回折が全く起こらない。
なお、格子パターン5aの0次回折光(透過光)の位相は格子パターン5aによって与えられる位相変調量の平均値となる。これに対して、格子パターンのない領域5bの透過光の位相を同じぐらいに合わせることによって収束性能を向上させることが望ましい。例えば、ホログラムレンズ5の格子パターンをレリーフ型にする場合は、図3に示すように、格子パターン5a部の凹凸の平均ぐらいのレベルに格子パターンのない領域5bの表面の高さを合わせることが望ましい。
ホログラムレンズ5の+1次回折光の回折効率は100%未満であり、透過光(0次回折光)も充分な強度を有するように設計されている。なお、ホログラムレンズ5はブレーズ化することによって、0次回折光と+1次回折光の光量和を大きくすることができ、光の利用効率を高くできる。
ここで、例えば第1の光ディスク50および第2の光ディスク60に対して、どちらも再生専用の光学ヘッドとしてホログラムレンズ5を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%〜70%程度にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、第1の光ディスク50と第2の光ディスク60が同程度の光量を用いて情報の再生を行うことができるという効果が得られ、光源の出力を低減することができる。
一方、第2の光ディスク60に対しては再生のみを行い、第1の光ディスク50に対しては記録および再生が可能な光学ヘッドとしてホログラムレンズ5を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%以下にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、ホログラムレンズ5の透過率(0次回折光の回折効率)を大きくすることができるため、記録を行う第1の光ディスク50に対する光利用効率を高くすることができるという効果が得られ、記録時の光源の出力を低減することができる。
対物レンズ6は、開口数NAが0.85で、図4Aに示すように、ホログラムレンズ5を回折されずに透過したレーザ光(すなわち0次回折光)が入射したときに、保護基板厚約0.1mmの第1の光ディスク50上に回折限界の集光スポットを形成できるよう設計されている。
一方、図4Bに示すように、ホログラムレンズ5で回折された+1次回折光は対物レンズ6によって第2の光ディスク60上に収束される。ここで+1次回折光は保護基板厚約0.6mmの第2の光ディスク60上に回折限界の集光スポットを形成できるよう収差補正を施されている。
このように入射光の一部を回折するホログラムレンズ5と対物レンズ6を組み合わせることによって異なる基板厚の光ディスク上にそれぞれ回折限界にまで収束される集光スポットを形成することができる2焦点レンズを実現できる。
なお、本実施の形態のホログラムレンズ5は、0次回折光に対して+1次回折光に凹レンズのパワーを付加させる効果を備えているので、対物レンズ6に対する+1次回折光の焦点位置は0次回折光の焦点位置よりも遠くになり、第1の光ディスク50よりも保護基板厚の大きい第2の光ディスク60の情報記録面に+1次回折光を収束させる場合に、第2の光ディスク60と対物レンズ6の間隔である作動距離(Working Distance:WD)を十分確保することができる。
このように、ホログラムレンズ5は+1次回折光に対して凹レンズ作用を持たせているので、第1の光ディスク50を記録または再生するための0次回折光と、第2の光ディスク60を記録または再生するための+1次回折光の2つの焦点の光軸方向の位置は異なっている。従って、一方の焦点に形成された光スポットを用いて情報の記録または再生をしているときには、他方の焦点に形成された光スポットは大きく広がるため、情報の記録または再生に影響を与えない。
なお、ホログラムレンズ5によって所望の+1次回折光を発生させるような格子パターンを形成した場合、0次回折光と+1次回折光に加えて、+1次回折光と共役となる−1次回折光および、さらに高次の回折光が発生する。例えば、本実施の形態のホログラムレンズ5の場合、0次回折光の回折効率(透過効率)を65%程度、+1次回折光の回折効率を15%程度とした場合、−1次回折光の回折効率は10%程度である。
ここで図5に示すように、第1の光ディスクの記録再生に用いるのは、往路のレーザ光がホログラムレンズ5を透過し(往路の0次回折光)、情報記録面で反射された復路のレーザ光が再びホログラムレンズ5を透過し(復路の0次回折光)て、受光素子で検出される光スポットである(図中、「信号光B」)。
一方、第2の光ディスクの記録再生に用いるのは、往路のレーザ光がホログラムレンズ5で回折され(往路の+1次回折光)、情報記録面で反射された復路のレーザ光が再びホログラムレンズ5で回折され(復路の+1次回折光)て、受光素子で検出される光スポットである(図中、「信号光H」)。
しかしながら受光素子で検出されるその他の光スポット(すなわち迷光)は、0次回折光および±1次回折光の組み合わせに限っても、
迷光(1)(往路:透過による 0次回折光 → 復路:回折による+1次回折光)
迷光(2)(往路:回折による+1次回折光 → 復路:透過による 0次回折光)
迷光(3)(往路:回折による−1次回折光 → 復路:回折による+1次回折光)
迷光(4)(往路:回折による+1次回折光 → 復路:回折による−1次回折光)
迷光(5)(往路:回折による−1次回折光 → 復路:透過による 0次回折光)
迷光(6)(往路:透過による 0次回折光 → 復路:回折による−1次回折光)
迷光(7)(往路:回折による−1次回折光 → 復路:回折による−1次回折光)
と、7パターンの迷光が存在する。
なお図5において、信号光および迷光の下に記載した数字は、往路と復路を合わせた効率を示している。なお第1の光ディスクの記録再生に用いる信号光Bにおいて、実際の記録または再生に寄与する光量としては、格子パターンのない領域を透過した光量も含まれるが、図5に示す効率には格子パターンのない領域を透過した光量は含んでいない。
第1の光ディスクおよび第2の光ディスクの記録または再生時、これらの記録再生に寄与しない不要な回折光(迷光(1)〜(7))は情報記録面に対しては大きく焦点ずれ(デフォーカス)しているため、受光素子上では非常に大きな光スポットとなり、実質的に問題ない。
一方、図6に示すように、凹レンズパワーを備えた+1次回折光と共役関係にある−1次回折光は凸レンズパワーを備えているため、−1次回折光の焦点位置は0次回折光の焦点位置よりも対物レンズ6に近くなる。
ホログラムレンズ5で形成された凸レンズパワーを備えた−1次回折光の焦点位置が光ディスク表面50aと一致した場合に、迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)は受光素子上に集光される。
一方、−1次回折光の焦点位置が光ディスク表面50aよりも対物レンズ6側にある場合でも、所定の条件下で、迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)や迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)が、受光素子上で小さな光スポットとして集光される場合がある。
即ち、本実施の形態における対物レンズ6を用いた場合、図19(図6の焦点位置付近の拡大図)に示すように、第1の光ディスク50の情報記録面50bの近傍で、実際にレーザ光が収束する点は、0次回折光の焦点位置(a)、+1次回折光の焦点位置(b)、−1次回折光の焦点位置(c)の3点である。これらの焦点位置(a)〜(c)は、それぞれ、受光素子9上に集光される前記「信号光B」(往路:透過による0次回折光 → 復路:透過による0次回折光)、前記迷光(3)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による+1次回折光)、前記迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)の、光ディスク側の共役点である。
一方、上述のように、受光素子9上で小さなスポットとして集光される前記迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)および前記迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)の、光ディスク側の共役点は、(d)の位置となる。該位置(d)では、実際には前記迷光(5)および前記迷光(6)は収束していないが、受光素子9上で小さなスポットとして集光されることから受光素子9から見ると、仮想焦点位置と見なすことができる。
従って、図19に示すように、0次回折光の焦点位置(a)と、第1の光ディスク50の情報記録面50bとが一致しているとき、−1次回折光の焦点位置(c)が、図19に示すような位置にあるとすると、前記迷光(5)および前記迷光(6)の仮想焦点位置(d)が第1の光ディスク50の表面50aと一致し、その反射光は受光素子上に集光する。
ここで、0次回折光および±1次回折光の回折効率を図5のように設定した場合には、迷光(5)と迷光(6)による集光スポットは、迷光(7)による集光スポットよりも大きな光量となる。さらに迷光(5)及び迷光(6)は、ほぼ同じ光路を通って受光素子9上で重なるため、実質的に記録再生に用いる光スポットである、例えば前記信号光Bに対して、光量比において約30%にもなる。よって、サーボ信号および情報信号の安定化の観点から、これらの迷光と信号光との干渉の影響は、無視できない。
なお、+1次回折光と共役の関係にある−1次回折光は、+1次回折光の設計により一意に決定される。従って不要な回折光による迷光が、受光素子上で小さな光スポットを形成しないよう、+1次回折光と0次回折光の位置関係を適切に設定する必要がある。具体的には以下に説明するように、第1及び第2の光ディスク50,60に対するWD1,WD2が適切に設定されるよう、ホログラムレンズ5と対物レンズ6とが設計される。
ここで、図20を参照する。
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2
第1の光ディスクの作動距離 :WD1
第2の光ディスクの作動距離 :WD2
保護基板の屈折率 :n
とする。屈折率nの保護基板厚tの中での光路長は、t/nとなることから、図20から明らかなように、+1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0は、(t1/n)+WD1+Δf0 = (t2/n)+WD2 であるので、
△f0=((t2/n)+(WD2))−((t1/n)+(WD1)) ・・・(式1)
で表される。
一方、+1次回折光と共役の関係にある−1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置の差(空気換算長)△f0’は、以下のように考える。
凸レンズのパワーを持つ対物レンズ6の焦点距離f_ol、凹レンズのパワーを持つホログラムレンズ5の+1次回折光の焦点距離をf_doe(<0)とすると、+1次回折光と共役の関係にあり凸レンズのパワーを持つ−1次回折光の焦点距離は、−f_doe(>0)となる。対物レンズ6とホログラムレンズ5との+1次回折光の合成焦点距離fsおよび−1次回折光の合成焦点距離fs_inv(−1次回折光)は、レンズ間隔dとすると、
fs=f_ol×f_doe/(f_ol+f_doe+d) ・・・(式2)
fs_inv=−(f_ol×f_doe)/(f_ol−f_doe+d)
・・・(式3)で表される。+1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0と、−1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0’とは、等しくならず、
△f0’=f0−k ・・・(式4)
(kは対物レンズ6とホログラムレンズ5とによって構成される光学系により一意に決まる±1次回折光の焦点位置隔差)
とすると、
△f0’=(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k ・・・(式5)
となる。
ここで、保護基板厚が小さい光ディスク(第1の光ディスク50)を記録再生する前記信号光B(往路:透過による0次回折光→復路:透過による0次回折光)と、前記迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)または前記迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)とが受光素子9上で重なる条件は、上記焦点位置の差△f’0の略1/2が、光ディスクの情報記録面と表面との間隔の空気換算長△d1_airに一致する場合である。
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2
とすると、その空気換算長△d1_air_L1および△d1_air_L2は、
△d1_air_L1=t1_L1/n ・・・(式6)
△d1_air_L2=t1_L2/n ・・・(式7)
である。尚、前記第1保護基板厚及び前記第2保護基板厚は、情報記録面が2層存在するときの各層における実際の保護基板厚であり、それぞれに厚さ誤差を含む。一方、上述した設計保護基板厚t1、t2は、対物レンズを設計する際に用いる保護基板厚であり、前記第1保護基板厚及び前記第2保護基板厚とは概念が異なる。
又、図19に示すΔf0’に着目すると、Δf0’/2が前記第1保護基板厚:t1_L1、あるいは第2保護基板厚:t1_L2と一致すると、前記信号光Bと、前記迷光(5)または前記迷光(6)とが受光素子9上で重なることになる。即ち、この重なる条件を式で表すと下記式10、11となる。
Δf0’=2×t1_L1/n 、又はΔf0’=2×t1_L2/nとなるので、
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L1/n
・・・(式8)
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L2/n
・・・(式9)より、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式10)
および、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式11)
である。
ここで、一具体例を示す。
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1=0.1±0.005mm (第1層)
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2=0.075±0.005mm (第2層)
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=−0.03mm
とすると、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)とが受光素子9上で重なる条件は、
WD1−WD2=0.223±0.007mm
または、
WD1−WD2=0.254±0.007mm
となる。従って、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスク60の作動距離WD2を、0.277mmおよび0.246mm近傍には設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式12)
および
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式13)
とすることが望ましい。
ここで、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)が受光素子上で重なるということは、すなわち、それぞれのフォーカス誤差信号が重なって出現するということである。
図7は、本実施の形態の光学ヘッド30において、第1の光ディスク50の記録再生時のフォーカス誤差信号(いわゆるS字信号)を模式的に示したものである。図7において、横軸は、焦点ずれ(デフォーカス)量を示しており、右側が対物レンズ6と光ディスク50とが遠ざかる方向、左側が対物レンズ6と光ディスク50とが近づく方向である。また、縦軸は、フォーカス誤差信号レベルを表している。なお、実際のフォーカス誤差信号は、球面収差の影響により非対称形状となるが、図7ではそれを考慮せずに模式的に示している。
図7において、
A1:前記信号光Bが保護基板厚0.100mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
A2:前記信号光Bが保護基板厚0.075mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
A3:前記信号光Bがディスク表面で反射して得られるS字信号
B1:前記迷光(1)と前記迷光(2)とが保護基板厚0.100mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
B2:前記迷光(1)と前記迷光(2)とが保護基板厚0.075mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
B3:前記迷光(1)と前記迷光(2)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
C1:前記迷光(5)と前記迷光(6)とが保護基板厚0.100mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
C2:前記迷光(5)と前記迷光(6)とが保護基板厚0.075mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
C3:前記迷光(5)と前記迷光(6)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
である。
すなわち、一つの情報記録面または表面に着目すると、ディスクに近づくにつれて、
・迷光(1)と迷光(2)とが反射して得られるS字信号
・信号光Bが反射して得られるS字信号
・迷光(5)と迷光(6)とが反射して得られるS字信号
の順にS字信号が出現することを示している。
迷光(3)と迷光(4)によるS字信号は、実質的に信号光BによるS字信号(A1、A2、A3)と重なるが、相対的な光量が小さいため、ここでは問題としない。また迷光(7)によるS字信号も相対的な光量が小さい上、迷光(5)および迷光(6)によるS字信号(C1、C2、C3)よりも、信号光Bに対して遠い位置に出現するため、こちらも問題としない。
なお前記信号光H(図5)も、第1の光ディスク50の記録再生時には迷光となるが、こちらも相対的な光量が小さい上、迷光(1)および迷光(2)によるS字信号(B1、B2、B3)よりも、信号光Bに対して遠い位置に出現するため問題としない。
ここで上述の条件、
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式12)
および
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式13)
は、すなわちS字信号A1およびS字信号A2と、S字信号C3とのゼロクロス点が一致しないための条件である。しかしながら、S字信号A1およびS字信号A2に対して、S字信号C3の影響を十分に低減するためには、(式12)の条件以上にS字信号A1とS字信号C3との間隔を拡げればよい。
具体的には、S字信号A1の出現する範囲(例えばS字信号A1のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)と、S字信号C3の出現する範囲(例えばS字信号C1のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)とが重ならなければよい。このマージン量Xとすると、
WD1−WD2<(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k−X ・・・(式14)とすればよい。このマージン量Xは、例えばS字信号A1のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲と、S字信号C1のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲とが重ならないように設定するのであれば、X≧10μmとする。なお、S字信号の重なりに対するマージン量Xは、光学倍率等に応じて適切に設定することが望ましい。
例えば、X=0.01mmとした場合、
WD1−WD2<0.207mm
とすることが望ましい。例えば、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスク60の作動距離WD2>0.293mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、S字信号A1およびS字信号A2と、他のS字信号(B1〜B3、C1〜C3)とが完全に分離されるため、実質的にS字信号A1およびS字信号A2に対する迷光の影響を十分に低減できる。
一方、図8に示すように、第2の光ディスク60の再生時において、凹レンズパワーを備えた+1次回折光と共役関係にある−1次回折光は、凸レンズパワーを備えているため、−1次回折光の焦点位置は、0次回折光の焦点位置よりも対物レンズ6に近くなる。ここで、ホログラムレンズ5で形成された凸レンズパワーを備えた−1次回折光の焦点位置が光ディスク表面60aと一致した場合は、前記迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)は、受光素子9上に集光される。
図9は本実施の形態の光学ヘッド30において、第2の光ディスク60の再生時のフォーカス誤差信号(いわゆるS字信号)を模式的に示したものである。図9において、横軸は、焦点ずれ(デフォーカス)量を示しており、右側が対物レンズ6と光ディスク60とが遠ざかる方向、左側が対物レンズ6と光ディスク60とが近づく方向である。また、縦軸は、フォーカス誤差信号レベルを表している。なお、実際のフォーカス誤差信号は、球面収差の影響により非対称形状となるが、図9ではそれを考慮せずに模式的に示している。
図9において、
D1:前記信号光Hが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
D2:前記信号光Hがディスク表面で反射して得られるS字信号
E1:前記迷光(1)と前記迷光(2)とが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
E2:前記迷光(1)と前記迷光(2)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
F1:前記信号光Bが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
字信号
F2:前記信号光Bがディスク表面で反射して得られるS字信号
G1:前記迷光(5)と前記迷光(6)とが保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
G2:前記迷光(5)と前記迷光(6)とがディスク表面で反射して得られるS字信号
H1:前記迷光(7)が保護基板厚0.6mmの情報記録面で反射して得られるS字信号
H2:前記迷光(7)がディスク表面で反射して得られるS字信号
である。
すなわち、一つの情報記録面または表面に着目すると、ディスクに近づくにつれて、
・信号光Hが反射して得られるS字信号
・迷光(1)と迷光(2)が反射して得られるS字信号
・信号光Bが反射して得られるS字信号
・迷光(5)と迷光(6)が反射して得られるS字信号
・迷光(7)が反射して得られるS字信号
の順にS字信号が出現することを示している(例えば情報記録面については、図9中の波線内のS字信号)。
なお、迷光(3)と迷光(4)とによるS字信号は、実質的に信号光BによるS字信号(F1、F2)と重なっている。また、S字信号G1およびS字信号H1は、ディスクと対物レンズがこれ以上接近しない(衝突する)ため出現しない。
図9より、第2の光ディスク60の再生時に問題となるのは、S字信号D1と他のS字信号との干渉であり、これを回避するためには、S字信号D1とS字信号H2とが重ならなければよい。なお、0次回折光および±1次回折光の回折効率を図5のように設定した場合には、再生に用いる信号光Hに対する迷光(7)の光量比は40%以上になる。よって、サーボ信号および情報信号の安定化の観点からも、S字信号D1とS字信号H2との干渉は、許容できない。
上述のように、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2
第1の光ディスクの作動距離 :WD1
第2の光ディスクの作動距離 :WD2
保護基板の屈折率 :n
とすると、+1次回折光の焦点位置と−1次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f1は、+1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0と、−1次回折光の焦点位置と0次回折光の焦点位置との差(空気換算長)△f0’との和になると考えてよく、つまりΔf1=Δf0+Δf0’であり、前記式4から、Δf1=2×Δf0−kとなる。よって、前記式1より、
△f1={(t2/n+WD2)−(t1/n+WD1)}×2−k ・・・(式15)
で表される。
ここで、保護基板厚が大きい光ディスク(第2の光ディスク60)を再生する信号光H(往路:回折による+1次回折光→復路:回折による+1次回折光)と、迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)とが受光素子上で重なる条件は、上記焦点位置の差△f1が、光ディスクの情報記録面と表面との間隔の空気換算長△d2_airに一致する場合である。
第2の光ディスクの保護基板厚:t2_ra
とすると、その空気換算長△d2_air_ra は、
△d2_air_ra=t2_ra/n ・・・(式16)
である。ここで第2の光ディスクにおける実際の保護基板厚について、上述した第1の光ディスクの場合とは異なり、情報記録面の数によらず、例えば1層の情報記録面の保護基板厚のばらつきの範囲と、2層の情報記録面の保護基板厚のばらつきの範囲とがほぼ一致しており、いずれもt2_raの範囲である。したがって、前記信号光Hと迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、図21より明らかなように、Δf1がt2_ra/n(=△d2_air_ra)に一致したときである。よって、
{(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))}×2−k=t2_ra/n ・・・(式18)
より、
WD1−WD2=(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k
・・・(式20)
である。
ここで、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
第2の光ディスクの保護基板厚:0.57≦t2_ra≦0.63mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=−0.03mm
とすると、信号光Hと迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、
0.152mm≦WD1−WD2≦0.171mm
となる。従って、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスク60の作動距離WD2を、0.329mm≦WD2≦0.348mmには設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(2×t2−2×t1−t1_ra)/(2×n)−k
・・・(式22)
とすることが望ましい。
なおこれらの条件は、すなわちS字信号D1と、S字信号H2とのゼロクロス点が一致しないための条件である。しかしながら、S字信号D1に対して、S字信号H2の影響を十分に低減するためには、(式23)の条件以上に、S字信号A1とS字信号C3との間隔を縮められればよい。
具体的には、S字信号D1の出現する範囲(例えばS字信号D1のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)と、S字信号H2の出現する範囲(例えばS字信号H2のゼロクロス点に対して空気換算±5μm以上の範囲)とが重ならなければよく、このマージン量X’とすると、
WD1−WD2>(2×t2−2×t1−(t1_ra))/(2×n)−k+X’
・・・(式24)とすればよい。このマージン量X’は、例えばS字信号D1のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲と、S字信号H2のゼロクロス点に対する空気換算±5μm以上の範囲とが重ならないように設定するのであれば、X’≧10μmとする。なお、S字信号の重なりに対するマージン量X’は、光学倍率等に応じて適切に設定することが望ましい。
例えば、X’=0.01mmとした場合、
WD1−WD2>0.181mm
とすることが望ましい。例えば、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスク60の作動距離WD2<0.319mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、S字信号D1と、他のS字信号(D2〜H2)とが完全に分離されるため、実質的にS字信号D1に対する迷光の影響を十分に低減できる。
なお、第2の光ディスク60が複数の情報記録面を備えている場合、図9におけるS字信号D1、E1、F1、G1、H1には、それぞれ情報記録面の数に応じた複数のS字信号が出現する。しかしながら、第2の光ディスク60が複数の情報記録面を備えている場合でも、それぞれのS字信号と他のS字信号との位置関係は変わらない。従って本実施の形態においては、第2の光ディスク60の情報記録面の数については、特に言及せず説明を行ったが、第2の光ディスク60が複数の情報記録面を備えたものであっても本発明の適用可能である。
(実施の形態2)
図10および図11は本発明の別の実施の形態における光学ヘッド40の概略構成図である。
図10および図11において、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、以下その説明を省略する。
図10および図11において、1は青紫レーザ光を出射する光源、3はビームスプリッタ、4はコリメートレンズ、16はホログラム一体型対物レンズ、8は検出レンズ、9はレーザ光を受光する受光素子であり、これらが光学ヘッド40を構成している。また、50は保護基板厚約0.075mm〜0.1mmの光ディスクである第1の光ディスクであり、60は保護基板厚約0.6mmの光ディスクである第2の光ディスクである。
図10を用いて、第1の光ディスク50に対して、情報の記録または再生を行う光学ヘッド40の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラム一体型対物レンズ16によって、保護基板越しに第1の光ディスク50の情報記録面に光スポットとして収束される。第1の光ディスク50の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路でホログラム一体型対物レンズ16、コリメートレンズ4を透過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に図11を用いて、第2の光ディスク60に対して、情報の記録または再生を行う場合の光学ヘッド40の動作について述べる。光源1から出射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ホログラム一体型対物レンズ16で回折および収束され、保護基板越しに第2の光ディスク60の情報記録面に光スポットとして収束される。第2の光ディスク60の情報記録面で反射した復路の青紫レーザ光は、往路と同じ光路でホログラム一体型対物レンズ16、コリメートレンズ4を通過する。そして、ビームスプリッタ3で反射され、検出レンズ8で所定の非点収差を与えられて、受光素子9に導かれ、情報信号およびサーボ信号を生成する。
次に、ホログラム一体型対物レンズ16の機能について、図12と図13を用いて詳細に説明する。尚、実施の形態1の場合と同様に、ホログラム一体型対物レンズ16は、上述の制御部402の制御により図18に示すアクチュエータ31にてフォーカス方向31a及びトラッキング方向31bに駆動可能である。
ホログラム一体型対物レンズ16は、同心円状の格子パターン16aが形成されており、その中心はホログラム一体型対物レンズ16の光軸と一致している。また、格子パターン16aはホログラム一体型対物レンズ16によって決まる開口よりも小さな径の中にだけ形成されている。従って格子パターン16aが形成されていない部分では回折が全く起こらない。
ホログラム一体型対物レンズ16の+1次回折光の回折効率は100%未満であり、透過光(0次回折光)も充分な強度を有するように設計されている。なお、ホログラム一体型対物レンズ16はブレーズ化することによって、0次回折光と+1次回折光の光量和を大きくすることができ、光の利用効率を高くできる。
ここで、例えば第1の光ディスク50および第2の光ディスク60に対して、どちらも再生専用の光学ヘッドとしてホログラム一体型対物レンズ16を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%〜70%程度にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、第1の光ディスク50と第2の光ディスク60が同程度の光量を用いて情報の再生を行うことができるという効果が得られ、光源の出力を低減することができる。
一方、第2の光ディスク60に対しては再生のみを行い、第1の光ディスク50に対しては記録および再生が可能な光学ヘッドとしてホログラム一体型対物レンズ16を用いる場合は、+1次回折光の回折効率を30%以下にすることが望ましい。このように回折効率を設定することによって、ホログラム一体型対物レンズ16の透過率(0次回折光の回折効率)を大きくすることができるため、記録を行う第1の光ディスク50に対する光利用効率を高くすることができるという効果が得られ、記録時の光源の出力を低減することができる。
ホログラム一体型対物レンズ16は、開口数NAが0.85で、図13(A)に示すように、ホログラム一体型対物レンズ16を回折されずに透過したレーザ光(すなわち0次回折光)が入射したときに、保護基板厚約0.1mmの第1の光ディスク50上に回折限界の集光スポットを形成できるよう設計されている。
一方、図13(B)に示すように、ホログラム一体型対物レンズ16で回折された+1次回折光は、第2の光ディスク60上に収束される。ここで+1次回折光は、保護基板厚約0.6mmの第2の光ディスク60上に回折限界の集光スポットを形成できるよう収差補正を施されている。
このように入射光の一部を回折するホログラム一体型対物レンズ16よって異なる基板厚の光ディスク上にそれぞれ回折限界にまで収束される集光スポットを形成することができる2焦点レンズを実現できる。
なお、本実施の形態のホログラム一体型対物レンズ16は、0次回折光に対して+1次回折光に凹レンズのパワーを付加させる効果を備えているので、ホログラム一体型対物レンズ16に対する+1次回折光の焦点位置は、0次回折光の焦点位置よりも遠くになり、第1の光ディスク50よりも保護基板厚の大きい第2の光ディスク60の情報記録面に+1次回折光を収束させる場合に、第2の光ディスク60とホログラム一体型対物レンズ16の間隔である作動距離(Working Distance:WD)を十分確保することができる。
このように、ホログラム一体型対物レンズ16は、+1次回折光に対して凹レンズ作用を持たせているので、第1の光ディスク50を記録または再生するための0次回折光と、第2の光ディスク60を記録または再生するための+1次回折光の2つの焦点の光軸方向の位置は異なっている。従って、一方の焦点に形成された光スポットを用いて情報の記録または再生をしているときには、他方の焦点に形成された光スポットは大きく広がるため、情報の記録または再生に影響を与えない。
なお、ホログラム一体型対物レンズ16によって所望の+1次回折光を発生させるような格子パターンを形成した場合、0次回折光と+1次回折光に加えて、+1次回折光と共役となる−1次回折光および、さらに高次の回折光が発生するため、実施の形態1と同様に、不要な回折光による迷光が、受光素子9上で小さな光スポットを形成しないよう、+1次回折光と0次回折光の関係を適切に設定する必要がある。即ち、上述した実施の形態1の場合と同様に、第1及び第2の光ディスク50,60に対するWD1,WD2が適切に設定されるよう、ホログラムレンズ5と対物レンズ6とが設計される。
実施の形態1に示したように、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2
第1の光ディスクの作動距離 :WD1
第2の光ディスクの作動距離 :WD2
保護基板の屈折率 :n
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2
とすると、図5に示す、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)とが受光素子9上で重なる条件は、
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L1/n
・・・(式8)
(t2/n+(WD2))−(t1/n+(WD1))−k=2×t1_L2/n
・・・(式9)より、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式10)
および、
WD1−WD2=(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式11)
である。
ここで、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第1の光ディスクの第1保護基板厚:t1_L1=0.1±0.005mm(第1層)
第1の光ディスクの第2保護基板厚:t1_L2=0.075±0.005mm(第2層)
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=0.03mm
とすると、信号光Bと、迷光(5)または迷光(6)が受光素子上で重なる条件は、
WD1−WD2=0.163±0.007mm
または、
WD1−WD2=0.194±0.007mm
となる。従って、第1の光ディスクの作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスクの作動距離WD2を、0.337mmおよび0.306mm近傍には設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k ・・・(式12)
および
WD1−WD2≠(t2−t1−(2×t1_L2))/n−k ・・・(式13)
とすることが望ましく、さらに、
WD1−WD2<(t2−t1−(2×t1_L1))/n−k−X ・・・(式14)とすることが望ましい。例えば、X=0.01mmとした場合、
WD1−WD2<0.147mm
とすることが望ましい。尚、前記Xは、実施の形態1で述べたマージン量である。
例えば、第1の光ディスクの作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスクの作動距離WD2を、WD2>0.353mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、図7におけるS字信号A1およびS字信号A2と、他のS字信号(B1〜B3、C1〜C3)が完全に分離されるため、実質的にS字信号A1およびS字信号A2に対する迷光の影響を十分に低減できる。
一方、第2の光ディスク60の再生時においては、
第2の光ディスクの保護基板厚:t2_ra
とすると、図5に示す、信号光Hと迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、
{(t2/n+WD2)−(t1/n+WD1)}×2−k=t2_ra/n
・・・(式18)
より、
WD1−WD2=(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k
・・・(式20)
である。
ここで、
第1の光ディスクの設計保護基板厚:t1=0.0875mm
第2の光ディスクの設計保護基板厚:t2=0.6mm
第2の光ディスクの保護基板厚:0.57mm≦t2_ra≦0.63mm
保護基板の屈折率 :n=1.6164
±1次回折光の焦点位置隔差 :k=0.03mm
とすると、前記信号光Hと前記迷光(7)とが受光素子上で重なる条件は、
0.092mm≦WD1−WD2≦0.111mm
となる。従って、第1の光ディスク50の作動距離WD1=0.5mmとした場合は、第2の光ディスク60の作動距離WD2を、0.389mm≦WD2≦0.408mmには設定すべきではない。すなわち、
WD1−WD2≠(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k ・・・(式22)
とすることが望ましく、さらに、
WD1−WD2>(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k+X’ ・・・(式24)とすることが望ましい。
例えば、X’=0.01mmとした場合、
WD1−WD2>0.121mm
とすることが望ましい。尚、前記X’は、実施の形態1で述べたマージン量である。
例えば、第1の光ディスクの作動距離WD1=0.5mmとすると、第2の光ディスクの作動距離WD2を、WD2<0.379mmとすることが望ましい。
以上のように設定することで、S字信号D1と、他のS字信号(D2〜H2)が完全に分離されるため、実質的にS字信号D1に対する迷光の影響を十分に低減できる。
尚、実施の形態1及び実施の形態2において、第1の光ディスク50は、第1保護基板厚t1_L1で示される情報記録面と、第2保護基板厚t1_L2で示される情報記録面とのそれぞれが所定の保護基板厚の誤差を有し、一方、第2のディスク60は、情報記録面の数によらず、保護基板厚t2_raで示される情報記録面が所定の保護基板厚の誤差を有する場合について、それぞれ信号光と迷光とが受光素子9上で重ならない条件について詳述した。
しかしながら、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、例えば、第1の光ディスク50が3層以上の情報記録面を有し、そのそれぞれが所定の保護基板厚の誤差を有する場合や、第2の光ディスク60がそれぞれの情報記録面毎に所定の保護基板厚の誤差を有する場合等にも適用可能である。
即ち、光ディスクの保護基板厚の取り得る範囲に対し、それぞれ情報記録面で反射された信号光と、当該光ディスクの対物レンズに近接する表面で反射された迷光とが受光素子9上で重ならないようにすることが本発明の思想である。よって、複数の次数の回折光を発生させる回折素子を備えた光学ヘッドに本発明は広く適用可能であることは言うまでもない。
以上、実施の形態1および実施の形態2において、0次回折光を第1の光ディスク50の記録または再生に用い、+1次回折光を第2の光ディスク60の記録または再生に用いる例を示したが、本発明は、+1次回折光を第1の光ディスク50の記録または再生に用い、0次回折光を第2の光ディスク60の記録または再生に用いる場合にも適用可能である。この場合、第1の光ディスク50の記録または再生を行う+1次回折光は、凸レンズのパワーを備えるため、対物レンズで発生する色収差をキャンセルできるというメリットがある。
この場合のホログラム素子およびホログラム一体型対物レンズは、第1の光ディスク用の開口よりも小さな径の中にだけ第1の格子パターンを形成し、その外側に第2の格子パターンを形成する。ここで、第1の格子パターンの0次回折光の回折効率(透過率)は、100%未満であり、+1次回折光も充分な強度を有するように設計し、第2の格子パターンの+1次回折光の回折効率は、最大となるように設計することが望ましい。
なお、+1次回折光を第1の光ディスク50の記録または再生に用い、0次回折光を第2の光ディスク60の記録または再生に用いる場合には、±2次以上の回折光による迷光(例えば、往路:回折による+1次回折光→復路:回折による+2次回折光)を考慮する必要がある。
さらに本発明は、例えば0次回折光と+2次回折光、+1次回折光と+2次回折光、あるいはさらに高次の回折光の組み合わせ等を用いて複数種類の光ディスクに対して互換を行う光学ヘッドにも同様に適用可能であり、いずれも、不要な回折光による迷光が、受光素子9上で小さな光スポットを形成しないような構成を実現できる。
なお、不要な回折光による迷光の影響は、光ディスクの情報記録面の反射率に対する光ディスク表面の反射率の比率が大きい場合に大きくなることは明らかである。従って、例えば情報記録面の反射率Rrと表面反射率Rsとして、
0.5≦Rr/Rs≦3.0 ・・・(式25)
を満たすような情報記録媒体に対して有効である。このような情報記録媒体としては、例えば2層以上の複数の情報記録面を備えた情報記録媒体があるが、このような情報記録媒体を記録または再生するための光学ヘッドにおいて特に有効である。
また、実施の形態1および実施の形態2では、コリメートレンズすなわち集光レンズを備えたいわゆる無限光学系の光学ヘッドについて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コリメートレンズすなわち集光レンズを備えないいわゆる有限光学系の光学ヘッドにも適用可能であることは明らかである。このような有限光学系の光学ヘッドでは、対物レンズが対物レンズ及び集光レンズとして機能する。
以上、実施の形態1および実施の形態2において、第1の光ディスク50に対して、光ディスク表面で反射した、図5に示す、前記迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)または前記迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子9上に集光する条件、および、第2の光ディスク60に対して、光ディスク表面で反射した前記迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子9上に集光する条件について詳細な説明を行った。
これらの迷光(5)〜(7)は、+1次回折光の凹レンズのパワーが非常に大きい場合、あるいは、非常に小さい場合には問題とならない。
例えば、+1次回折光の凹レンズのパワーが大きい場合、+1次回折光と共役関係にある−1次回折光の凸レンズのパワーも大きくなる。このとき、+1次回折光、0次回折光、−1次回折光のそれぞれの焦点位置の間隔も大きくなるため、図22に示すように、−1次回折光の焦点位置は、光ディスク表面50aから遠ざかり、迷光(5)、迷光(6)、迷光(7)は、受光素子9上では集光しない。すなわち実質的に問題とはならない。
しかしながら、このように+1次回折光の凹レンズのパワーを大きくするためには、ホログラムレンズ5の格子パターンのピッチを小さくする必要があり、ホログラムレンズ成形の難易度が高くなり、高コストになるという課題がある。尚、実質的に格子ピッチの下限は2μm程度である。よって、このようなホログラムレンズは、実際には採用できない。
一方、+1次回折光の凹レンズのパワーが小さい場合、+1次回折光と共役関係にある−1次回折光の凸レンズのパワーも小さくなる。このとき、+1次回折光、0次回折光、−1次回折光のそれぞれの焦点位置の間隔も小さくなるため、図23に示すように、焦点位置が光ディスク表面60aと一致するのは、高次回折光、例えば−2次回折光や−3次回折光となる。これら高次回折光の回折効率は、±1次回折光や0次光の回折効率よりも小さいため、光ディスク表面60aで反射したこれらの迷光が受光素子9上に集光しても、その影響は微小である。
しかしながら、回折効率の大きい0次回折光が、光ディスク表面ではなく情報記録面で反射して受光素子9上に集光する光スポットの影響が無視できなくなる。
以上のように、本発明は、実施の形態1および実施の形態2で述べた光学ヘッド30,40に限らず、光ディスクの情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、集光レンズによって集光される受光素子9上における位置と、この光ディスクの表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、集光レンズによって集光される受光素子9上における位置とが異なる光学ヘッドに対して広く適用可能である。
特に、第1の光ディスクの表面で反射した迷光(5)(往路:回折による−1次回折光→復路:透過による0次回折光)または迷光(6)(往路:透過による0次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子上に集光しないよう、あるいは、第2の光ディスクに対して、光ディスク表面で反射した迷光(7)(往路:回折による−1次回折光→復路:回折による−1次回折光)が受光素子上に集光しないよう、回折光のレンズパワーを規定した光学ヘッドに、本発明を適用することがより好ましい。
(実施の形態3)
さらにまた、実施の形態1および実施の形態2では、異なる種類の光ディスクの情報記録面に、同一波長のn次の回折光とm次の回折光を収束させる対物レンズについて、光ディスクの情報記録面で反射される往路がn次かつ復路がn次の回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置と、光ディスクの表面で反射される往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置とが異なる光学ヘッドについて説明を行ったが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば本発明は、それぞれ異なる波長のレーザ光を回折させて、それぞれ異なる種類の光ディスクの情報記録面にレーザ光を収束させる対物レンズを備えた光学ヘッドにも適用可能である。
ホログラムレンズのパワーを表す回折角θは、
n・λ=d・sinθ で決定される。ここで、
n:回折次数
λ:波長
d:格子ピッチ
これは、dはレンズに対する設定値であるので、レーザ光を異なる種類の光ディスクの情報記録面に収束させる場合には、回折次数nと波長λの少なくとも一つを変えればよいことを示している。
つまり、異なる種類の光ディスクに対して互換可能な光学ヘッドを実現する場合、同一波長で次数の異なる回折光を用いるか、同一次数で波長の異なる回折光を用いるか、さらには次数も波長も異なる回折光を用いるかは設計事項であって、所定の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置と、この情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、集光レンズによって集光される受光素子上における位置とが異なるように設計することは、いずれの場合においても有効であり、本発明の適用範囲内である。
例えばこのような光学ヘッドに本発明を適用する場合について、図24〜図27を用いて詳細に説明する。
図24から図27に示す対物レンズ26は、波長の差を利用して、青紫レーザ光の+3次回折光を保護基板厚0.1mmのBD50の情報記録面に収束させ、かつ赤色レーザ光の+2次回折光を保護基板厚0.6mmのDVD70の情報記録面に収束させ、かつ赤外レーザ光の+2次回折光を保護基板厚1.2mmのCD80の情報記録面に収束させるための回折構造を備えている。対物レンズ26は、例えば、青紫レーザ光の+3次回折光の回折効率が93%程度、赤色レーザ光の+2次回折光の回折効率が94%程度、赤外レーザ光の+2次回折光の回折効率が52%程度となるように設計されている。
対物レンズ26は、BD50、DVD70、及びCD80のそれぞれの情報記録面に、対応した波長の+1次回折光を収束させるため、+1次回折光が凹レンズのパワーを持つような回折構造を備えている。これは、波長の長い赤色レーザ光および赤外レーザ光を用いて、保護基板厚の大きいDVD70およびCD80の情報記録面にレーザ光を収束させるため、波長が長くなるにつれて、凹レンズのパワーが大きくなるようにするためである。
ここで図27に示すように、赤外レーザ光において、+2次回折光よりも凹レンズのパワーが小さい+1次回折光の焦点位置は、光ディスクの表面に近づく方向である。+1次回折光の回折効率は29%程度であるため、CD80の表面で反射して集光レンズによって受光素子9上に集光されないよう、凹レンズのパワーを決定することが好ましい。
(実施の形態4)
図14は本発明の一実施の形態における光ディスク装置の概略構成図である。
図14において、400は光ディスク装置を表しており、光ディスク装置400の内部に光ディスク駆動部401、制御部402、光学ヘッド403を備える。また50は第1の光ディスクであるが、第2の光ディスク60に交換可能である。
光ディスク駆動部401は、第1の光ディスク50、または第2の光ディスク60を回転駆動する機能を有し、光学ヘッド403は、実施の形態1から実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドである。制御部402は、光ディスク駆動部401と光学ヘッド403との駆動および制御を行う機能を有すると共に、光学ヘッド403で受光された制御信号、情報信号の信号処理を行う機能と、情報信号を光ディスク装置400の外部と内部でインタフェースさせる機能を有する。
光ディスク装置400は、実施の形態1から実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドを搭載しているので、本実施の形態における光ディスク装置400は、複数の光ディスクをそれぞれ良好に記録または再生を行なうことができる。
以下には、前記光ディスク装置400に備わる前記制御部402にて実行される、実施の形態1から実施の形態3で述べたいずれかの光学ヘッドである光学ヘッド403に対して好適なフォーカス制御方法について説明する。尚、当該フォーカス制御方法は、実施の形態1〜3にて述べた光学ヘッドに限定されるものではない。
光ディスクの情報記録面上に情報を記録したり、光ディスクの情報記録面上に書かれた情報を再生するためには、対物レンズの光軸方向の位置を制御することにより、対物レンズを通過するレーザ光の収束スポットを情報記録面上に結ばせることが必要である。これをフォーカス制御と呼ぶ。フォーカス制御は、収束スポットが、情報記録面からどれだけ離れているか、つまり、焦点誤差量を示すフォーカスエラー信号を光学ヘッド装置によって検出し、そのフォーカスエラー信号を減らす方向へ対物レンズを移動する制御ループによって実現できる。この制御ループを動作させることを「フォーカス制御を開始する」という。尚、実施の形態1で説明したように、対物レンズを有するユニット部分がアクチュエータ31にてフォーカス方向31aに駆動されて、前記フォーカス制御が行われる。
フォーカスエラー信号が焦点誤差量にほぼ比例する範囲は、焦点誤差がある一定範囲にある場合に限られる。この範囲を制御可能範囲と呼ぶ。その量は、高々±10μm程度であり、設計によっては±1μm程度の場合もある。フォーカス制御を開始するためには、対物レンズを、アクチュエータ31にて光軸方向に移動させながら、焦点誤差量が十分小さくなり、制御可能範囲にあるときにフォーカス制御を開始する必要がある。このようなフォーカス制御の開始方法の一実施形態について、図28〜図32等を参照しながら説明する。又、光ディスク装置400に用いる電気回路には、このようなフォーカス制御の開始方法を記憶した集積回路を用いることが好ましい。
図28は、フォーカス制御の開始方法のアルゴリズムの一例を示している。尚、光ディスク装置400に備わる光学ヘッド403について、ここでは、実施の形態1で説明した光学ヘッド30を例に採る。
光ディスク装置400の電源を入れたとき、あるいは、光ディスク装置400に光ディスク、例えば実施形態1、2で説明した光ディスク50及び光ディスク60の一方を挿入したときに、電気回路から、再生指令が出される(ステップS1)。次のステップS2では、まず光源1を発光させながら対物レンズ6を光ディスクへ近づける方向に移動させる。対物レンズ6を光ディスクへ近づけるためには、アクチュエータ31へフォーカス駆動電流を流す。フォーカス駆動電流量を一定量にて増減することにより、対物レンズ6を光軸方向に移動する。このときの移動量は、設計時、あるいは製造時にアクチュエータ31の感度(フォーカス感度)を設計したり、測定したりしておいて、フォーカス駆動電流量の増減量を対物レンズ6が光ディスク表面に接触しないように決定し、フラッシュメモリなど、情報装置に具備される記憶部へ記憶しておくことが望ましい。
対物レンズ6を光ディスクへ近づけると、フォーカスエラー信号が変化する。光ディスクの透明な保護基板厚が薄い場合、例えば0.1mmのときには、図29に示すように、0次回折光が情報記録面に収束する場合、球面収差が70mλrms以下、すなわちマーシャルクライテリア以下になり、設計通りの状況であれば回折限界の収束スポットを得ることができる。この収束スポットを形成する光が情報記録面において反射して戻り、再びホログラムレンズ5を通過する。このときに発生する0次回折光が受光素子9上に入射することで形成されるフォーカスエラー信号が、図30に示すA1とA2である。図30は、光ディスクが2つの情報記録面を有する2層ディスクの場合を示しており、A2は、当該光ディスクの表面からほぼ0.1mm程の透明な保護基板を通した位置に存在する情報記録面に対応したフォーカスエラー信号である。ホログラムレンズ5の0次回折光の回折効率(透過効率)を65%程度、+1次回折光の回折効率を15%程度とした場合、0次回折光の強度が大きい上に収差も最小なため、前記A1及びA2は、顕著に大きな信号を形成する。
従って、表面から0.1mm程の位置に大きなフォーカスエラー信号が出現した場合には、当該光ディスク装置400に装填された光ディスクは、0.1mm程の透明な保護基板厚を有する光ディスクであると判別できる。さらに閾値LBを設けて、再び対物レンズ6を光ディスクから離れた位置から光ディスクに近づけ、フォーカスエラー信号が閾値LBを越えた時点にて、フォーカス制御を開始することができる。
このように、当該光ディスク装置400に装填された光ディスクが0.1mm程の透明な保護基板厚を有する光ディスクである場合には、速やかにフォーカス制御を開始することができる。
ここで閾値LBは、基準信号レベルからのフォーカスエラー信号の乖離量であり、正、負いずれの値でも可能である。閾値の大きさは、基準信号レベルからのフォーカスエラー信号の乖離量の絶対値と定義する。なお、このステップS2では、受光素子9に入射する光量PSもモニタし、その最大値FSMを測定することも可能である。そうすれば、フォーカスエラー信号をFSMによって規格化することにより、光ディスクの情報記録面の反射率は、光ディスク毎に異なることが多いが、それに関わらず、同じ形のフォーカスエラー信号を観測できる。
一方、光ディスク表面から0.1mm程の位置に大きなフォーカスエラー信号が出現しない場合には、0.6mmの透明な保護基板厚を有する光ディスクである可能性がある。このような場合、次のステップS3では、対物レンズ6をさらに光ディスクに近づける必要があるので、アクチュエータ31の感度を取得するための動作を行う。ここでアクチュエータ31の感度とは、アクチュエータ31に流す単位電流あたりの対物レンズ6の移動量である。電流量は、特定の抵抗に発生する電圧によって図ることもできるので、単位電圧あたりと定義することも可能である。尚、以下の説明ではアクチュエータ31の感度をフォーカス感度と呼ぶ場合もある。アクチュエータ31の感度は、光学ヘッドの製造時に、アクチュエータ31を実際に動かして、レーザー測長機などによって移動量を量り、その結果をフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに蓄えておけばよい。そして、この段階でそのメモリからアクチュエータのフォーカス感度を取得すればよい。
また、より精度の良いフォーカス感度を得るためには、次のような方法が有効である。光ディスクの透明な保護基板厚みがより厚い場合、例えば0.6mmのときには、図31に示すように、ホログラムレンズ5の+1次回折光が光ディスクの情報記録面に収束する場合、球面収差が70mλrms以下、すなわちマーシャルクライテリア以下になり、設計通りの状況であれば回折限界の収束スポットを得ることができる。この収束スポットを形成する光が情報記録面において反射して戻り、再びホログラムレンズ5を通過する。このときに発生する+1次回折光が受光素子9上に入射して形成されるフォーカスエラー信号が図32に示すD1である。尚、図32は、光ディスクが一つの情報記録面を有する単層ディスクの場合を示している。
そして閾値LCを設けて、再び対物レンズ6を光ディスクから離れた位置から光ディスクに近づけ、初めてフォーカスエラー信号が閾値LCを越えた時点から、次に閾値LCを越えるまでのアクチュエータ駆動電流量、あるいは電圧の差をモニタする。初めてフォーカスエラー信号が閾値LCを越えるのは、信号E2である。これは、ホログラムレンズ5における往路と復路のレーザ光の回折次数が、それぞれ0次と+1次、および+1次と0次のレーザ光が組み合わされて受光素子9に入射して得られる信号を重ね合わせた信号である。次に閾値LCを越えるのは、信号F2である。これは、往路と復路の回折次数がともに0次のレーザ光が受光素子9に入射して得られる信号である。さらにその次に閾値LCを越えるのは、信号G2である。これは、往路と復路の回折次数が、それぞれ0次と−1次、および−1次と0次のレーザ光が組み合わされて受光素子9に入射して得られる信号を重ね合わせた信号である。これらの信号の間隔は、ホログラムレンズ5の設計によって決定されるもので、種々の光ディスクにおける異なる保護基板厚には依存しない。
従って、このような特性を利用することで、当該光学ヘッド30における例えば周囲温度変化等に左右されることなく、正確に対物レンズ6の移動量dを計ることができる。上述の信号E2、F2等は、往路あるいは復路の一方のみ、ホログラムレンズ5の回折次数が1次だけ異なる光により得られるものであるので、dは、異なる次数によって光ディスク側に実際にできる複数の焦点間の距離の半分の距離である。このような距離dを、その間に変化させたアクチュエータ駆動電流量、あるいは電圧によって除算すればフォーカス感度を求めることができる。このようにフォーカス感度を測定する際には、光ディスクは回転しても良いが、光ディスクの面ぶれによる誤差を避けるため、回転しないで静止させておくことが望ましい。
上述のようにステップS3にてフォーカス感度を求めた後、次のステップS4では、一旦対物レンズ6を光ディスクから離す。そして光ディスクを回転しながら、再び対物レンズ6を光ディスクに近づける。そして次のステップS5では、受光素子9から得られる信号レベルが前記LCを越えた時点で、次のステップS6へ移る。
ステップS6では、一定量D0だけさらに対物レンズ6を光ディスクへ近づける。距離D0は、フォーカス制御範囲を存在させない範囲である。距離D0は、先に取得した距離dから決めることができる。光ディスクの保護基板厚をT、その屈折率をnとする。例えば波長が405nm、光ディスクの保護基板の材質がポリカーボネートであれば、nは1.6程度である。距離D0は、信号G2を検出したところからであれば、計算上では、D0=T/n−(3d)である。しかし距離D0を設ける目的は、前記信号G2の次に現れる信号H2に対して誤ってフォーカス制御を開始しないようにするためだけであるので、信号F2を検出したところからであってもよい。その場合、距離D0は、D0>2dとすればよい。以上から、D0は、
2d<D0<T/n−(3d)の範囲であればよい。
なお、信号H2にフォーカス制御を誤って行ったとしても、その後、一旦フォーカス制御を切って、さらに対物レンズ6を光ディスク側へ近づけるなどの対策も可能であるので、ステップS6を省略することも可能である。
次に、ステップS3において求めたフォーカス感度kを元に、ステップS7〜S10において、フォーカス制御を行う信号D1をサーチするための対物レンズ6の移動量の上限を決定する。サーチする距離DSは、信号E2を検出した位置からであれば、DS>T/n−(d)となる。尚、ここでT,n,dは、上述の通りである。また、信号G2を検出した位置からであれば、最低限、DS>T/n−(3d)となる。但し、光ディスクの面ぶれなど誤差要因もあるため、実際の距離DSは、計算値よりも僅かに大きく設定する必要がある。保護基板厚Tの光ディスクの再生時における、対物レンズ6の表面と、光ディスクの表面との間隔をワーキングディスタンスWDとすると、前記僅かに大きく設定する距離をWD未満に設定すれば、光ディスクと対物レンズ6との接触を避けることができる。つまり、距離DSは、最大限、DS<T/n−(d)+WDとなる。但し、実際には、上述の、光ディスクの面ぶれなどの誤差要因による光ディスクと対物レンズ6との接触を確実に避ける必要があるから、前記僅かに大きく設定する量は、WDの1/3程度が望ましいので、
DS<T/n−(3d)+WD/3とすることが望ましい。
以上より、フォーカス制御を行う信号D1をサーチして対物レンズ6を移動する移動量の上限の距離DSは、
T/n−(3d)<DS<T/n−d+WD
あるいはより狭い範囲で考えれば
T/n−d<DS<T/n−(3d)+WD/3
となる。
ステップS7〜S10では、対物レンズ6をディスクへ近づけながら(S7)、受光素子9から得られる信号レベルをモニタして、閾値LEを越えたときには(S8)、フォーカス制御を開始する(S9)。一方、ステップS8において、前記信号レベルが閾値LEに達しない場合には、受光素子9から得られる信号レベルが上述の閾値LCを超えた時点からの対物レンズ6の移動量を前記距離DSと比較する(S10)。該移動量が距離DSに達していなければ、再度、ステップS7へ戻る。一方、前記移動量が距離DSに達していれば、ステップS11へ移る。
ステップS11に移行するということは、距離DSを対物レンズ6が移動する間に、閾値LEを越える信号が検出できなかった場合である。よって、ステップS11では、閾値LEを低く設定する。例えば、従前の2/3程度に設定する。そしてステップS12に移行する。ステップS12に移行した段階では、対物レンズ6は、既に光ディスクの表面に近接している。よって、ステップS12では、それまでとは逆の方向に、つまり対物レンズ6を光ディスクから離す方向へ移動させながら、受光素子9から得られる信号レベルをモニタする。そしてステップS13において、モニタしている信号レベルが閾値LEを超えたか否かを判断し、超えた時点でフォーカス制御を開始する(S14)。一方、信号レベルが閾値LEに達していなければ、ステップS5へ戻る。
上述のようにして、対物レンズ6が光ディスクへ接触することを回避しながら、フォーカス制御を開始することができる。なお、ステップS6では、迅速にフォーカス制御を開始するために、対物レンズ6は高速に移動することが好ましいが、ステップS7以降では、前記信号レベルが高い状態を見逃さぬよう、対物レンズ6の移動速度を下げることが望ましい。
また、光学ヘッド30,40は、光ディスクの保護基板厚に応じて収束光学系の球面収差量を変化させるため、コリメートレンズ4を光軸方向へ移動させる機構を備えることが望ましい。その場合、上述のステップS2において、光ディスクの保護基板厚が0.1mmよりも厚いと判断してステップS3へ移る間にて、つまりステップS2とステップS3との間にて、+1次回折光の球面収差量が0.6mmに適するようにコリメートレンズ4を移動させることが望ましい。これによって、信号D1の振幅を最大にすることができ、より安定してフォーカス制御を開始することが可能になる。
(実施の形態5)
図15は本発明の一実施の形態におけるコンピュータの概略構成図である。
図15において、コンピュータ500は、実施の形態4の光ディスク装置400と、情報の入力を行うためのキーボードあるいはマウス、タッチパネルなどの入力装置501と、入力装置501から入力された情報や、光ディスク装置から読み出した情報などに基づいて演算を行う中央演算装置(CPU)などの演算装置502と、演算装置502によって演算された結果などの情報を表示するブラウン管や液晶表示装置、プリンタなどの出力装置503を備える。
コンピュータ500は、実施の形態4の光ディスク装置400を備えるので、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
(実施の形態6)
図16は本発明の一実施の形態における光ディスクプレーヤの概略構成図である。
図16において、光ディスクプレーヤ600は、実施の形態4の光ディスク装置400と、光ディスク装置400から得られる情報信号を画像信号に変換する情報から画像への変換装置(例えばデコーダ601)を備える。
なお、本光ディスクプレーヤ600は、GPS等の位置センサーや中央演算装置(CPU)を加えることによりカーナビゲーションシステムとしても利用可能である。また、また、液晶モニタなどの表示装置602を加えた形態も可能である。
光ディスクプレーヤ600は、実施の形態4の光ディスク装置400を備えるので、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
(実施の形態7)
図17は本発明の一実施の形態における光ディスクレコーダの概略構成図である。
図17において、光ディスクレコーダ700は、実施の形態4の光ディスク装置400と、画像情報を光ディスク装置400によって光ディスクへ記録する情報信号に変換する画像から情報への変換装置(例えばエンコーダ701)を備える。望ましくは、光ディスク装置400から得られる情報信号を画像情報に変換する情報から画像への変換装置(デコーダ702)も備えることにより、記録した画像を再生することも可能となる。なお情報を表示するブラウン管や液晶表示装置、プリンタなどの出力装置703を備えてもよい。
光ディスクレコーダ700は、実施の形態4の光ディスク装置400を備えるので、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
本発明の光学ヘッドは、それぞれ異なる複数の光ディスクに対して、良好に記録または再生が可能である。また本発明の光ディスク装置や、その光ディスク装置を備えたコンピュータ、光ディスクプレーヤ、光ディスクレコーダは、異なる種類の光ディスクを、それぞれ良好に記録または再生を行なうことができるため、広い用途に適用できる効果を有する。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
又、2006年12月8日に出願された、日本国特許出願No.特願2006−331534号、及び2006年12月29日に米国に出願された、米国仮特許出願No.60/877606号の明細書、図面、特許請求の範囲、及び要約書の開示内容の全ては、参考として本明細書中に編入されるものである。
1 光源
3 ビームスプリッタ
4 コリメートレンズ
5 ホログラムレンズ
6 対物レンズ
8 検出レンズ
9 受光素子
16 ホログラム一体型対物レンズ
30,40 光学ヘッド
50 第1の光ディスク
60 第2の光ディスク
70 DVD
80 CD
101 光源
103 ビームスプリッタ
104 コリメートレンズ
105 ホログラムレンズ
106 対物レンズ
108 検出レンズ
109 受光素子
400 光ディスク装置
401 光ディスク駆動部
402 制御部
403 光学ヘッド
500 コンピュータ
501 入力装置
502 演算装置
503 出力装置
600 光ディスクプレーヤ
601 デコーダ
602 表示装置
700 光ディスクレコーダ
701 エンコーダ
702 デコーダ
703 出力装置

Claims (25)

  1. 光源と、
    前記光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折素子と、
    nとmを整数として、
    前記回折素子で発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズと、
    前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズと、
    前記集光レンズで集光されたレーザ光を受光し、それぞれフォーカス誤差信号を生成する受光部と、を具備し、
    前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、
    前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、
    前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なる光学ヘッド。
  2. 前記nとmとはそれぞれ異なる整数であり、
    前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と、前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに、前記光源から出射された同じ波長のレーザ光を収束させる、請求項1記載の光学ヘッド。
  3. 前記nとmとは同じ整数であり、
    前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と、前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに、前記光源から出射された異なる波長のレーザ光を収束させる、請求項1記載の光学ヘッド。
  4. 前記nとmとはそれぞれ異なる整数であり、
    前記対物レンズは、前記第1の情報記録媒体の情報記録面と、前記第2の情報記録媒体の情報記録面とのそれぞれに、前記光源から出射された異なる波長のレーザ光を収束させる、請求項1記載の光学ヘッド。
  5. 前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がm次かつ復路がm次の回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、
    前記第2の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がm次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なる、請求項1記載の光学ヘッド。
  6. 前記第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、
    前記第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2として、t1<t2であって、
    前記対物レンズは、
    0次回折光を前記第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、
    +1次回折光を前記第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる、請求項2記載の光学ヘッド。
  7. 前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が0次かつ復路が0次の回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、
    前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路のうち片方が0次でもう片方が−1次の回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが、異なる請求項2記載の光学ヘッド。
  8. 第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、
    第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2、
    基板の屈折率をn、
    第1の情報記録媒体の情報記録面の第1保護基板厚:t1_L1
    第1の情報記録媒体の情報記録面の第2保護基板厚:t1_L2
    第1の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD1、
    第2の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD2、
    ±1次回折光の焦点位置隔差k、
    として、
    WD1−WD2≠(t2−t1−2×t1_L1)/n−k
    および
    WD1−WD2≠(t2−t1−2×t1_L2)/n−k
    を満たす、請求項7記載の光学ヘッド。
  9. さらに、
    WD1−WD2<(t2−t1−2×t1_L1)/n−k
    を満たす、請求項8記載の光学ヘッド。
  10. 前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路が+1次かつ復路が+1次の回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置と、
    前記第2の情報記録媒体の表面で反射した、往路が−1次かつ復路が−1次の回折光が、前記集光レンズによって集光される前記受光部における位置とが異なる、請求項2記載の光学ヘッド。
  11. 第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、
    第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2、
    基板の屈折率をn、
    第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚:t2_ra
    第1の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD1、
    第2の情報記録媒体を記録または再生する際の作動距離をWD2、
    ±1次回折光の焦点位置隔差k、
    として、
    WD1−WD2≠(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k
    を満たすことを特徴とする、請求項10記載の光学ヘッド。
  12. さらに、
    WD1−WD2>(2×t2−2×t1−t2_ra)/(2×n)−k
    を満たす、請求項11記載の光学ヘッド。
  13. 前記第1の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt1、
    前記第2の情報記録媒体の情報記録面の保護基板厚をt2として、t1<t2であって、
    前記対物レンズは、
    +1次回折光を前記第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、
    0次回折光を前記第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる、請求項2記載の光学ヘッド。
  14. 前記対物レンズは、前記回折素子が一体化された回折構造を備えた対物レンズである、請求項1記載の光学ヘッド。
  15. 前記対物レンズの有効領域は、回折構造を備えた第1の領域と回折構造を備えない第2の領域とを有する請求項14記載の光学ヘッド。
  16. 前記対物レンズの有効領域は、所定の回折構造を前記対物レンズの光軸を含む内周領域に形成した第1の回折領域と、前記第1の回折領域の回折構造とは異なる回折構造を前記第1の領域の周辺に形成した第2の回折領域とを有する請求項14記載の光学ヘッド。
  17. 前記回折素子と前記対物レンズは、別体である、請求項1記載の光学ヘッド。
  18. 前記第1の情報記録媒体の情報記録面の反射率R1rと表面反射率R1sとして、
    0.5≦R1r/R1s≦3.0
    を満たす、請求項1記載の光学ヘッド。
  19. 前記第1の情報記録媒体の情報記録面は、複数の情報記録面を備えた、請求項18記載の光学ヘッド。
  20. 光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折構造を備え、
    nとmを整数として、
    前記回折構造によって発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズであって、
    前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、
    前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズによって集光される位置と、
    前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される位置とが、異なる対物レンズ。
  21. 光源から出射されたレーザ光を回折させ、複数の次数の回折光を発生させる回折構造を備え、
    nとmを整数として、
    対物レンズによって、前記回折構造によって発生したn次の回折光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、m次の回折光を第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる回折素子であって、
    前記情報記録媒体で反射される前のレーザ光の光路を往路とし、前記情報記録媒体で反射された後のレーザ光の光路を復路として、
    前記第1の情報記録媒体の情報記録面で反射した、往路がn次かつ復路がn次の回折光が、前記第1の情報記録媒体の情報記録面または前記第2の情報記録媒体の情報記録面で反射されたレーザ光を集光させる集光レンズによって集光される位置と、
    前記第1の情報記録媒体の表面で反射した、往路と復路の少なくとも一方がn次とは異なる回折光が、前記集光レンズによって集光される位置とが、異なる回折素子。
  22. 光学ヘッドと、情報記録媒体を回転駆動するためのモータと、前記光学ヘッド及び前記モータを制御する制御部とを備えた光ディスク装置であって、
    前記光学ヘッドが請求項1に規定される光学ヘッドであることを特徴とする光ディスク装置。
  23. 光源と、前記光源から出射されたレーザ光を情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズと、前記情報記録面で反射されたレーザ光を受光しフォーカス誤差信号を生成する受光部と、前記対物レンズをフォーカス方向へ移動するアクチュエータとを有する光学ヘッドと、
    前記光学ヘッドを制御する制御部と、
    を備えた光ディスク装置であって、
    前記制御部は、前記アクチュエータへ供給する電流又は電圧と前記対物レンズの移動量との関係であるフォーカス感度を元に前記対物レンズの移動量を求め、かつ前記情報記録媒体へ近づく方向への前記対物レンズの移動に伴い得られるフォーカスエラー信号が閾値を超えたときにフォーカス制御を開始する、
    光ディスク装置。
  24. 当該光ディスク装置は、前記フォーカス感度を記憶したメモリをさらに備え、上記制御部は、前記メモリから前記フォーカス感度を読み出す、請求項23記載の光ディスク装置。
  25. 前記制御部は、前記フォーカスエラー信号を利用して前記フォーカス感度を測定する、請求項23記載の光ディスク装置。
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