JPH1010308A - ホログラム、ホログラムを用いた集光光学系及びその集光光学系を有する光ヘッド装置及び光ディスク装置 - Google Patents

ホログラム、ホログラムを用いた集光光学系及びその集光光学系を有する光ヘッド装置及び光ディスク装置

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JPH1010308A
JPH1010308A JP8162216A JP16221696A JPH1010308A JP H1010308 A JPH1010308 A JP H1010308A JP 8162216 A JP8162216 A JP 8162216A JP 16221696 A JP16221696 A JP 16221696A JP H1010308 A JPH1010308 A JP H1010308A
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JP
Japan
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hologram
diffracted light
order diffracted
lens
light
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Application number
JP8162216A
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English (en)
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Yoshiaki Kaneuma
慶明 金馬
Hideki Aiko
秀樹 愛甲
Kenichirou Urairi
賢一郎 浦入
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板の厚さのそれぞれ異なる複数種類の情報
記憶媒体に対して情報の記録、再生及び消去を行う光デ
ィスク装置及びその光ヘッド装置において、不要な高次
回折光による影響を低減する。 【解決手段】 対物レンズ4とホログラムレンズ107
で集光光学系を構成し、0次回折光と+1次回折光を用
いて、基板厚さがそれぞれ異なる2つの情報記録媒体
5、51の情報記録面に回折限界の集光スポットする。
ホログラムレンズ107の格子パターン107aを、回
折格子の1周期内で少なくとも2つの山を有するように
複数の斜面で構成し、不要な−1次回折光及び+2次回
折光の回折効率を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクや光カ
ード等の光媒体又は光磁気媒体(情報記録媒体)上に情
報を記録し、再生し、消去するための光ヘッド装置、そ
れを用いた光ディスク装置、光ヘッド装置に適する集光
光学系及びその構成部品であるホログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】ピット状パターンを有する光ディスク上
に微小に絞られた光ビームを用いて情報を記録し再生す
る光メモリ技術は、その高密度性及び大容量性により、
ディジタルオーディオディスク、ビデオディスク、文書
ファイルディスク、さらにはデータファイル等に応用さ
れ、実用化されいる。しかしながら、光ディスクへの情
報の記録及び再生の信頼性は、光ディスク装置の光学系
の性能によるところが大きい。一般に、光ディスク装置
の光学系の主要部である光ヘッド装置の基本的な機能
は、回折限界の微小スポットを形成する集光性、光学系
の焦点制御及びトラッキング制御、及びピット信号の検
出に大別される。これらの機能は、光ディスク装置の目
的及び用途に応じて、各種の光学系及び光電変換検出方
式の組合せにより実現されている。
【0003】近年、光学系設計技術の進歩及び光源であ
る半導体レーザの短波長化により、従来以上の高密度の
記憶容量を持つ光ディスクの開発が進み、光ディスク上
へ光ビームを微小に絞る集光光学系の光ディスク側開口
数(以下、NAと称する)を大きくすることが検討され
ている。NAを大きくした場合、光軸の傾き(いわゆる
チルト)により収差の発生量が増大するという問題が生
じる。これを防止するためには、光ディスクの基板の厚
み(基材厚)を薄くすれば良い。例えば、NA=0.
5、基板の厚みt1=1.2mmの場合と同じ量のチル
ト許容度を得るためには、NA=0.6の時には基板の
厚みt2=0.6mmにすれば良い。なお、本明細書中
では、基板厚みとは光ディスク(または情報記録媒体)
に光ビームの入射する面から情報記録面までの厚みを指
す。
【0004】上記理由により、高密度の光ディスクでは
基板の厚みを薄くすることが望ましい。従って、次世代
の高密度光ディスクの基板の厚さは、既に市販されてい
るコンパクトディスク(CD)を初めとした多くの在来
の光ディスクよりも薄くなると考えられる。当然のこと
ながら、在来の光ディスクと次世代の高密度光ディスク
の両方を記録再生できる光ディスク装置が必要になる。
そのため、基板の厚さが異なる複数種類の光ディスク上
に回折限界まで光ビームを集光することのできる集光光
学系を備えた光ヘッド装置が必要となる。
【0005】次に、例えば特開平7−098431号公
報に記載された従来の2焦点光ヘッド装置を、図21を
用いて説明する。図21に示すように、従来の2焦点光
ヘッド装置は、例えば半導体レーザー等の放射光源2
と、放射光源2から出射された光ビーム3を平行光束に
変換するコリメートレンズ122と、コリメートPレン
ズ122により平行光化された光束を透過し、また情報
記録媒体5又は51からの反射光を所定方向に反射する
偏光ビームスプリッタ42と、偏光ビームスプリッタ4
2を透過した光束を円偏光に変換する1/4波長板15
と、1/4波長板15を透過した光束を情報記録媒体5
又は51の記録面上に集光させるための対物レンズ4及
びホログラムレンズ107で構成された集光光学系と、
集光光学系を駆動する駆動機構110と、偏光ビームス
プリッタ42により反射された情報記録媒体5又は51
からの反射光を光検出器71上に集光する集束レンズ1
21と、集束レンズ121により集束された光束の波面
をフォーカスサーボ信号やトラッキングエラー信号を得
るために波面変換するシリンドリカルレンズ131等で
構成されている。なお、以下本明細書中におて、「集
光」とは「発散光または平行光を回折限界の微小スポッ
トにまで収束すること」と定義する。
【0006】放射光源2から出射された光ビーム3はコ
リメートレンズ122により略平行光化され、さらに、
偏光ビームスプリッター42を透過し、1/4波長板1
5により円偏光に変換され、ホログラムレンズ107に
入射する。ホログラムレンズ107に入射した光ビーム
3は、ホログラムレンズ107により回折される。(ホ
ログラムレンズ107による回折を受けなかった)0次
回折光61は、対物レンズ4により、基板厚さt2が薄
い情報記録媒体51の記録面38aの位置に集光され
る。一方、+1次回折光64は、対物レンズ4により、
基板厚さt1が厚い情報記録媒体5の記録面38bの位
置に集光される。情報記録媒体5又は51により反射さ
れた光ビ−ムは、それぞれ元の光路を逆に辿り、0次回
折光61は、図中実線で示すようにホログラムレンズ1
07を再び透過する。また、+1次回折光64は、図中
点線で示すようにホログラムレンズ107により再び+
1次回折光として回折される。0次回折光61及び+1
次回折光64は、共に偏光ビームスプリッター42によ
り反射され、収束レンズ121により集光され、シリン
ドリカルレンズ131により波面を変換され、光検出器
71に入射する。光検出器71の出力を演算することに
より、サーボ信号(フォーカスエラー信号とトラッキン
グエラー信号)及び情報信号が得られる。
【0007】すなわち、同一の放射光源2から出射さ
れ、異なる2つの焦点(記録面)38a及び38bによ
り反射されてきた光ビームは、それぞれ光検出器71側
の同じ集光点39に集光される。従って、放射光源2の
出射点と光検出器71の集光点39は鏡像関係にある。
このため、同一のサーボ信号検出手段(図示せず)及び
光検出器71を用いて、基板厚さの異なる2種類の情報
記録媒体5及び51に対して情報の記録、再生及び消去
が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の光ヘッド装
置は、0次回折光61と+1次回折光64を利用してい
るが、周知のようにホログラムでは−1次回折光や+2
次回折光も発生する。これらの不要な回折光の振る舞い
について、図22を用いて説明する。なお、上記従来例
におけるホログラムレンズ107の格子パターン107
aは、図23に示すように等段差及び等段幅の階段状で
ある。図22において実線で示すように、略平面波の光
ビーム3が対物レンズ4及びホログラムレンズ107で
構成された集光光学系に入射すると、ホログラムレンズ
107の格子パターン107aにより回折された+1次
回折光64は、厚さt1の基板37を透過して情報記録
媒体5の情報記録面上に集光される。情報記録媒体5に
より反射され、ホログラムレンズ107で回折された復
路の+1次回折光64aは、はじめに入射した光ビーム
3と同様に略平面波になるので、これを図21に示す光
検出器71で受光し、サーボ信号や情報信号が得られ
る。図22から明らかなように、ホログラムレンズ10
7は+1次回折光64に対しては、凹レンズ作用を行
う。
【0009】ここで、往路の0次回折光61bを考える
と、+1次回折光に比べて凹レンズ作用を受けていない
ので、情報記録媒体5により反射されて返ってきたとき
には、より発散度合いの小さな波面となっている。とこ
ろが、+2次回折光は+1次回折光のほぼ倍の凹レンズ
作用を受けるので、この往路の0次回折光61bが、ホ
ログラムレンズ107に入射したときに復路の+2次回
折光61cが発生すると、図22において点線で示すよ
うに、復路の+2路回折光61cもやはり略平行光にな
って返ってくる。往路と復路に1倍の凹レンズ作用を受
ける場合と、復路にのみ2倍の凹レンズ作用を受ける場
合では、若干総合的なレンズ作用が異なる為、復路の+
2次回折光61cは多少非平行になる。このため、例え
ば図21に示すように収束レンズ121とシリンドリカ
ルレンズ131を用いて復路の+1次回折光64aを光
検出器71上で最小錯乱円にしたときに、復路の+2次
回折光61cはやや大きく広がる。しかし、上記従来の
光ヘッド装置及びその集光光学系では、このような不要
な回折光の影響を受け、サーボ信号品質を劣化させるお
それがあるという問題点を有していた。
【0010】本発明では上記従来例の問題点を解決する
ためになされたものであり、ホログラムを構成する格子
の位相変調プロファイルを工夫することにより、不要な
回折光の光量を低減し、このホログラムを用いて、基板
厚さの異なる複数種類の情報記録媒体(光ディスク)上
に回折限界まで光ビームを集光することのできる光ヘッ
ド装置及びその集光光学系(対物レンズ)を提供するこ
と、さらに、それらを用いて、より安定して情報の記
録、再生及び消去が可能な光ディスク装置を提供するこ
とを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1のホログラムは、0次回折光と+1次
回折光の回折効率が他のいずれの次数の回折光の回折効
率よりも大きく、0次回折光と+1次回折光の回折効率
がいずれも30%以上であり、+2次回折光及び−1次
回折光のいずれか一方の回折効率が2%以下である。
【0012】上記構成において、+1次回折光に対して
凹レンズ作用を有し、+2次回折光の回折効率が2%以
下であることが好ましい。また、+2次回折光の回折効
率が−3次回折光の回折効率より小さいことが好まし
い。
【0013】本発明の第2のホログラムは、0次回折光
及び+1次回折光の回折効率が他のいずれの次数の回折
光の回折効率よりも大きく、+1次回折光に対して凹レ
ンズ作用を有し、+2次回折光の回折効率が−1次回折
光の回折効率よりも小さい。
【0014】上記第1のホログラムにおいて、+1次回
折光に対して凸レンズ作用を有し、0次回折光と+1次
回折光の回折効率はいずれも30%以上であり、−1次
回折光の回折効率が2%以下であることが好ましい。
【0015】また、−1次回折光の回折効率が+3次回
折光の回折効率より小さいことが好ましい。
【0016】本発明の第3のホログラムは、0次回折光
及び+1次回折光の回折効率は他のいずれの次数の回折
光の回折効率よりも大きく、+1次回折光に対して凸レ
ンズ作用を有し、+2次回折光の回折効率が−1次回折
光の回折効率よりも小さい。
【0017】上記各構成において、−1次回折光及び+
2次回折光のうち、その回折効率が2%以下のものが、
他方の回折効率の1/3以下であることが好ましい。
【0018】本発明の第4のホログラムは、+1次回折
光の回折効率が50%以上であり、0次の回折効率が1
5%以上であり、−1次回折光の回折効率が1%以下で
あり、+1次回折光に対して凸レンズ作用を有する。
【0019】本発明の第5のホログラムは、ホログラム
を構成する格子の1周期内において、前記ホログラムに
より受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位
置又は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグラ
フ化した場合に、前記グラフの形状は少なくとも2つの
山を有しており、前記2つの山のうち一方の前記ホログ
ラム上の位置方向における幅が他方の幅よりも狭く、前
記光学的位相変調量方向における高さが他方の光学的位
相変調量方向の高さも低く、前記光学的位相変調量方向
における高さの高い方の山の1つの斜面の前記ホログラ
ム上の位置方向における幅が前記1周期の略1/2以上
であり、前記光学的位相変調量方向における高さの低い
方の山の位置方向の幅が前記1周期の略1/3以下であ
る。
【0020】本発明の第6のホログラムは、ホログラム
を構成する格子の1周期内において、前記ホログラムに
より受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位
置又は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグラ
フ化した場合に、前記グラフの形状は前記ホログラム上
の位置方向に順に配列された5段の階段状であり、第1
段から第4段までは順にその高さが高くなり、第5段は
前記第4段よりも高さが低く、前記第1段及び第5段の
前記ホログラム上の位置方向の幅が1周期の略1/10
である。
【0021】本発明の第7のホログラムは、ホログラム
を構成する格子の1周期内において、前記ホログラムに
より受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位
置又は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグラ
フ化した場合に、前記グラフの形状は同じ方向に傾斜し
た連続した第1及び第2の斜面を有しており、前記第2
の斜面の前記ホログラム上の位置方向における幅は1周
期の略90%であり、前記第1の斜面の傾斜は前記第2
の斜面の傾斜よりも急である。
【0022】本発明の第8のホログラムは、ホログラム
を構成する格子の1周期内において、前記ホログラムに
より受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位
置又は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグラ
フ化した場合に、前記グラフの形状は前記ホログラム上
の位置方向に順に配列された4段の階段状であり、第1
段から第4段まで順にその高さが高くなり、第1段と第
2段の段差及び第3段と第4段の段差はいずれも第2段
と第3段の段差よりも大きく、前記第1段と第2段の段
差により光に与える位相変調量φ2は略0.35πであ
り、前記第2段と第3段の段差により光に与える位相変
調量φ3と前記φ2の和が略0.98πである。
【0023】本発明の第9のホログラムは、ホログラム
を構成する格子の1周期内において、前記ホログラムに
より受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位
置又は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグラ
フ化した場合に、前記グラフの形状は前記ホログラム上
の位置方向に順に配列された連続する第1、第2及び第
3の3つの斜面を有し、第3の斜面の前記ホログラム上
の位置方向の幅は1周期の略2/3以上であり、前記第
1、第2及び第3の斜面はそれぞれ同じ方向に傾斜し、
前記第2の斜面の傾斜は前記第1及び第3の斜面の各傾
斜よりも急である。
【0024】本発明の第10のホログラムは、ホログラ
ムを構成する格子の1周期内において、前記ホログラム
により受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の
位置又は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグ
ラフ化した場合に、前記グラフの形状は同方向に傾斜し
た2つの不連続な斜面を有し、前記各斜面の前記ホログ
ラム上の位置方向における幅は、それぞれ1周期の略1
/2である。
【0025】本発明の第11のホログラムは、ホログラ
ムを構成する格子の1周期内において、前記ホログラム
により受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の
位置又は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグ
ラフ化した場合に、前記グラフの形状は前記ホログラム
上の位置方向に順に配列された4段の階段状であり、第
1段から第4段まで順にその高さが高くなり、第1段と
第2段の段差及び第3段と第4段の段差はいずれも第2
段と第3段の段差よりも大きく、前記第1段と第2段の
段差により光に与える位相変調量φ2は略0.45πで
あり、前記第2段と第3段の段差により光に与える位相
変調量φ3と前記φ2の和が略0.62πである。
【0026】本発明の第1の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、前記2つの焦点は前記ホログラムレンズによる0次
回折光及び+1次回折光の焦点であり、前記ホログラム
レンズは上記いずれかのホログラムを含む。
【0027】上記構成において、前記焦点は、それぞれ
基板表面から情報記録面までの厚さが異なる複数種類の
情報記録媒体の前記情報記録面上に収束するように設計
されていることが好ましい。
【0028】本発明の第2の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、前記屈折型レンズは前記ホログラムレンズによる0
次回折光を情報記録媒体の基板表面から厚さt2の位置
に設けられた第1の情報記録面上に光ビームを集光し、
前記ホログラムレンズは前記ホログラムレンズ自身によ
り回折される回折光が前記屈折型レンズを通過した後、
前記基板表面から前記厚さt2よりも厚いt1の位置に
設けられた第2の情報記録面上に光ビームを集光し、前
記ホログラムレンズは上記第1、第2、第5及び第6の
いずれかのホログラムを含む。
【0029】本発明の第3の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、前記屈折型レンズは前記ホログラムレンズによる0
次回折光を情報記録媒体の基板表面から厚さt1の位置
に設けられた第1の情報記録面上に光ビームを集光し、
前記ホログラムレンズは前記ホログラムレンズ自身によ
り回折される回折光が前記屈折型レンズを通過した後、
前記基板表面から前記厚さt1よりも薄いt2の位置に
設けられた第2の情報記録面上に光ビームを集光し、前
記ホログラムレンズは上記第1、第3、第4、第7から
第11のいずれかのホログラムを含む。
【0030】本発明の第4の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、前記2つの焦点はそれぞれ開口数が異なり、前記ホ
ログラムレンズは第1から第11のいずれかのホログラ
ムを含む。
【0031】本発明の第5の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、0次回折光が集光される焦点の開口数が+1次回折
光が集光される焦点の開口数よりも大きく、前記ホログ
ラムレンズは上記第1、第2、第5及び第6のいずれか
のホログラムを含む。
【0032】上記第5の集光光学系において、前記屈折
型レンズの有効径内に対応する前記ホログラムレンズを
内周部と外周部に分けた場合に、内周部は上記第1、第
2、第5及び第6のいずれかのホログラムであり、+1
次回折光の回折効率は内周部よりも外周部の方が小さい
ことが好ましい。
【0033】または、前記屈折型レンズの有効径内に対
応する前記ホログラムレンズを内周部と外周部に分けた
場合に、内周部は上記第1、第2、第5及び第6のいず
れかのホログラムであり、外周部は格子パターンが形成
されていない領域を有することが好ましい。
【0034】さらに、上記構成において、前記ホログラ
ムレンズの格子パターンが形成されていない領域の位相
と、格子パターン部の位相の平均値とがぼぼ等しいこと
が好ましい。
【0035】本発明の第6の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、0次回折光が集光される焦点の開口数が+1次回折
光が集光される焦点の開口数よりも小さく、前記ホログ
ラムレンズは上記第1、第3、第4、第7から第11の
いずれかのホログラムを含む。
【0036】上記第6の集光光学系において、前記屈折
型レンズの有効径内に対応する前記ホログラムレンズを
内周部と外周部に分けた場合に、内周部は請求項1、5
〜7、9及び12〜16のいずれかに記載されたホログ
ラムであり、0次回折光の回折効率は内周部よりも外周
部の方が小さいことが好ましい。
【0037】上記第1から第6の集光光学系において、
前記屈折型レンズ及び前記ホログラムレンズの相対位置
を固定したことが好ましい。また、前記屈折型レンズ表
面に前記ホログラムレンズを形成したことが好ましい。
【0038】また、前記屈折型レンズ面のうち、曲率の
大きな表面に、前記ホログラムレンズを形成したことが
好ましい。
【0039】本発明の光ヘッド装置は、放射光源と、前
記放射光源から出射される光ビームを情報記録媒体上へ
微小スポットとして収束させる集光光学系と、前記情報
記録媒体により反射された光ビームを受け、その光量に
応じて電気信号を出力する光検出器を具備し、前記集光
光学系は上記第1から第6のいずれかである。
【0040】本発明の光ディスク装置は、情報記録媒体
の駆動機構と、上記光ヘッド装置と、前記光ヘッド装置
より得られる信号を用いたフォーカスサーボ機構及びト
ラッキングサーボ機構と、前記サーボ機構を駆動するた
めの制御回路と、電源又は外部電源との接続部とを具備
する。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)本発明の第1の実施形態に係る光ヘ
ッド装置、それを用いた光ディスク装置、光ヘッド装置
に適する集光光学系及びその構成部品であるホログラム
について、図1から図6を参照しつつ説明する。図1は
第1の実施形態における光ディスク装置及びその光ヘッ
ド装置の構成を示す光路図である。また、図2の(a)
及び(b)はそれぞれ、上記光ヘッド装置の集光光学系
による基板厚さの異なる2種類の情報記録媒体に対する
光ビームの集光状態を示す光路図である。図1に示すよ
うに、本発明光ディスク装置及びその光ヘッド装置は、
例えば半導体レーザー等の放射光源2と、放射光源2か
ら出射された光ビーム3を平行光束に変換するコリメー
トレンズ122と、コリメートレンズ122の前方に設
けられた補正ホログラム1221と、補正ホログラム1
221を透過した光束を透過させ、また情報記録媒体5
又は51からの反射光を所定方向に反射する偏光ビーム
スプリッタ42と、偏光ビームスプリッタ42を透過し
た光束を円偏光に変換する1/4波長板15と、1/4
波長板15を透過した光束を情報記録媒体5又は51の
記録面上に集光させるための対物レンズ4及びホログラ
ムレンズ107で構成された集光光学系と、集光光学系
を駆動する駆動機構110と、偏光ビームスプリッタ4
2により反射された情報記録媒体5又は51からの反射
光を光検出器71上に集光する集束レンズ121と、集
束レンズ121により集束された光束の波面をフォーカ
スサーボ信号やトラッキングエラー信号を得るために波
面変換するシリンドリカルレンズ131等で構成されて
いる。
【0042】情報記録媒体5又は51(光ディスク)は
図示しない駆動機構により回転される。光ヘッド装置
は、情報記録媒体5又は51の所望のトラックのところ
まで、光ヘッド装置駆動装置により粗動される。光検出
器71は、光ヘッド装置の相対位置関係に対応して、フ
ォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を制御回
路(図示せず)に出力する。制御回路はこれらの信号に
対応して、光ヘッド装置の駆動機構110へ、集光光学
系(対物レンズ4及びホログラムレンズ107)を微動
させるための信号を送る。この信号により、光ヘッド装
置は、情報記録媒体5又は51に対してフォーカスサー
ボ及びトラッキングサーボを行い、情報記録媒体5又は
51に対して、情報の読出し、書込み、消去を行う。
【0043】ホログラムレンズ107は、光ビーム3に
対して透明な基板9に形成されている。ホログラムレン
ズ107の光軸方向から見た形状を図3に、光軸に直交
する断面を図4に示す。各図に示すように、格子パター
ン107aは光軸方向から見ると同心円状であり、ホロ
グラムレンズ107の中心部分の対物レンズ4により決
定される開口よりも小さな径の領域にのみ形成されてい
る。また、格子パターン107aの周囲の領域107b
には格子パターンは形成されていない。一方、補正ホロ
グラム1221は、図1に示すように、ホログラムレン
ズ107とは逆に、ホログラムレンズ107の格子パタ
ーン107aに対向する部分には格子パターンは形成さ
れておらず、格子パターンのない領域107bに対向す
る領域に同心円状の格子パターンが形成されている。
【0044】補正ホログラムの目的は、ホログラムレン
ズを利用することによって、異なる基板の厚みの情報媒
体(光ディスク)上に回折限界まで光ビームを集光する
ことのできる光ヘッド装置において、光ビームの外周部
の光強度が高くなることの影響を緩和して、より安定な
情報信号を得ることのできる光ヘッド装置を構成するで
ある。このため、補正ホログラムが光軸から離れた部分
の0次回折効率が光軸付近よりも低くなるよう設計され
ている。
【0045】ホログラムレンズ107の+1次回折光6
4の回折効率は100%未満であり、光ビーム3の0次
回折光(透過光)61についても充分な強度を有するよ
うに設計されている。例えばホログラムレンズ107の
格子パターン107aを図1に示すような凹凸形状に成
形する場合、格子パターン107aの凹凸の高さhを、
h<λ/(n−1)のように設定する。ここで、λは光
ビーム3の波長、nは透明基板9の屈折率である。すな
わち、格子パターン107aにより光ビーム3に与える
位相変化の振幅量を2πよりも小さくすることにより、
ホログラムレンズ107のどの位置においても0次回折
光61が充分な強度を有するホログラムレンズ107を
実現することができる。同時に、+1次回折光64及び
0次回折光61が充分な強度を有することにより、相対
的に情報媒体5又は51上に形成される集光ビームのサ
イドローブを低く抑えることができる。
【0046】ここで、サイドローブについて図5を用い
て簡単に説明する。図5は情報記録媒体5,51上での
集光スポットの光強度分布を示したものであり、光軸上
のメインローブ380が情報の記録及び再生に必要な光
量を表す。光軸に対して略対称に現れるサイドローブ3
80は、高次回折光等による不要な光量であり、記録ピ
ット形状や再生信号を劣化させる原因となる。
【0047】ホログラムレンズ107の格子パターン1
07aによる0次回折光(透過光)の位相は、格子パタ
ーン107aにより与えられる位相変調量の平均値とな
る。これに対して、格子パターンのない領域107bを
透過した光束の位相を、格子パターン107aによる0
次回折光とほぼ同じに合わせることにより、対物レンズ
4による集光性能を向上させることができる。例えば、
ホログラムレンズ107の格子パターン107aをレリ
ーフ型にする場合、図4に示すように、格子パターンの
ない領域107bの表面の高さを、格子パターン107
aの凹凸の平均レベルに合わせる。
【0048】次に、上記光ディスク装置及びその光ヘッ
ド装置の動作について説明する。放射光源2から出射さ
れた光ビーム3はコリメートレンズ122により略平行
光化され、さらに、補正ホログラム1221及び偏光ビ
ームスプリッター42を透過し、1/4波長板15によ
り円偏光に変換され、ホログラムレンズ107に入射す
る。ホログラムレンズ107に入射した光ビーム3は、
ホログラムレンズ107により回折される。0次回折光
61は、対物レンズ4により、基板厚さt2が薄い情報
記録媒体51の記録面38aの位置に集光される。一
方、+1次回折光64は、対物レンズ4により、基板厚
さt1が厚い情報記録媒体5の記録面38bの位置に集
光される。情報記録媒体5又は51により反射された光
ビ−ムは、それぞれ元の光路を逆に辿り、0次回折光6
1は、図1中実線で示すようにホログラムレンズ107
を再び透過する。また、+1次回折光64は、図中点線
で示すようにホログラムレンズ107により再び+1次
回折光として回折される。0次回折光61及び+1次回
折光64は、共に偏光ビームスプリッター42により反
射され、収束レンズ121により集光され、シリンドリ
カルレンズ131により波面を変換され、光検出器71
に入射する。光検出器71の出力を演算することによ
り、サーボ信号(フォーカスエラー信号とトラッキング
エラー信号)及び情報信号を得ることができる。なお、
ホログラムレンズ107と対物レンズ4は一体化されて
いることが好ましい。
【0049】最初に光ビーム3がホログラムレンズ10
7を通過する際、回折を受けずに透過した0次回折光
は、情報記録媒体51の記録面38aにより反射され、
再び対物レンズ4、ホログラムレンズ107、1/4波
長板15、偏光ビームスプリッタ42、集束レンズ12
1、シリンドリカルレンズ131を透過し、光検出器7
1の集光点39に集光される。一方、最初に光ビーム3
がホログラムレンズ107を光ビーム3が通過する際、
回折を受けた+1次回折光64は、情報記録媒体5の記
録面38bにより反射され、再び対物レンズ4、ホログ
ラムレンズ107、1/4波長板15、偏光ビームスプ
リッタ42、集束レンズ121、シリンドリカルレンズ
131を透過し、0次回折光61と同じ光検出器71の
集光点39に集光される。すなわち、同一の放射光源2
から出射され、異なる2つの焦点(記録面)38a及び
38bにより反射されてきた光ビームは、それぞれ光検
出器71側の同じ集光点39に集光される。従って、放
射光源2の出射点と光検出器71の集光点39は鏡像関
係にある。このため、基板厚さの異なる2種類の情報記
録媒体5及び51に対して、サーボ信号検出手段(図示
せず)及び光検出器71も単一のものを共通に用いるこ
とができる。
【0050】なお、実際の使用に際し、情報記録媒体は
基板厚さの異なる5及び51のいずれか一方のみを用い
る。例えば、基板厚さt1の情報記録媒体5が光ディス
ク装置に装着されている場合、ホログラムレンズ107
により回折された+1次回折光64は、対物レンズ4に
より情報記録媒体5上に集光される。ここで、+1次回
折光64は厚さt1の基板を通して回折限界まで絞られ
るように収差補正が施されている。一方、0次回折光6
1は対物レンズ4によっては情報記録媒体5上に集光さ
れず、また図1中点線で示すようには反射されない。そ
のため、0次回折光61の反射光は光検出器71の集光
点39には集光されない。逆に、基板厚さt2の情報記
録媒体51が光ディスク装置に装着されている場合、ホ
ログラムレンズ107による回折を受けなかった0次回
折光61は、対物レンズ4により情報記録媒体51上に
集光される。ここで、0次回折光61は厚さt2の基板
を通して回折限界まで絞られるように収差補正が施され
ている。一方、ホログラムレンズ107により回折され
た+1次回折光64は、対物レンズ4によっては情報記
録媒体51上に集光されず、また図1中実線で示すよう
には反射されない。そのため、+1次回折光64の反射
光は光検出器71の集光点39には集光されない。従っ
て、上記本発明の光ディスク装置及びその光ヘッド装置
によれば、基板厚さの異なる複数(2種類の)情報記録
媒体に対して情報の記録、再生及び消去が可能となる。
【0051】なお、フォーカスサーボ信号の検出方式と
しては、スポットサイズディテクション法(SSD法:
特開平2−185722号公報参照)や、非点収差法、
ナイフエッジ法等任意の方法を用いることができる。ま
た、トラッキングエラー信号の検出方式としては、プッ
シュプル法、ヘテロダイン法、3ビーム法等の任意の方
法を用いることができる。
【0052】次に、上記光ディスク装置及びその光ヘッ
ド装置に適するホログラムレンズ107について説明す
る。このような収差補正作用を有するホログラムレンズ
107の設計方法としては、例えば、集光スポット38
bから発散する球面波が厚さt1の基板を透過後、対物
レンズ4を透過した光ビームと、図1の光ビーム3の位
相の正負を反転した光ビームのホログラムレンズ107
を形成する面上での干渉パターン(ホログラムレンズの
格子パターン107a)を計算すればよい。そして、コ
ンピューター・ジェネレイティッド・ホログラム(CG
H)手法等を用いて容易にホログラムレンズ107を作
製することができる。
【0053】一般に、回折格子からは0次回折光及び+
1次回折光のみならず、高次の回折光も発生する。上記
本発明の光ディスク装置及びその光ヘッド装置では、放
射光源2から情報記録媒体5,51に至る往路及び情報
記録媒体5,51から光検出器71に至る復路の両方の
光路において、暇りビーム61,64がホログラムレン
ズ107を2度通る。そのため、光検出器71に光ビー
ム61,64が到達するまでに、回折が2度生じる。ま
た、情報記録媒体5又は51の基板厚さに応じて、2回
とも0次の回折をした(すなわち2回とも回折しなかっ
た)光ビーム61又は2回とも+1次の回折をした光ビ
ーム64を光検出器71で受光し、サーボ信号を得てい
る。一方、上記の2種の回折光とほぼ同じ回折効果を総
合的に受け、光検出器71上の集光点39とほぼ同じ位
置にほぼ同じ大きさで入射する高次回折光がサーボ信号
に悪影響を与える可能性が高い。以下に、信号に悪影響
を与える可能性が高い回折光について検討する。
【0054】2回とも0次の回折をした(すなわち2回
とも回折しなかった)光ビーム61を用いて信号を再生
する場合に悪影響を与える可能性の高い回折光は、往路
と復路の回折次数の和が0のもの、すなわち、Nを整数
として、往路のN次回折光であって、かつ復路の−N次
回折光である。ここで、光の利用効率を良くするために
0次と+1次の回折効率を高く設計することを前提とす
ると、不要な回折光の内、往路と復路の光利用効率の積
が比較的高くなる可能性のあるものは、往路の+1次回
折光で、かつ復路の−1次回折光、及び往路の−1次回
折光で、かつ復路の+1次回折光の2種の回折光であ
る。従って、このような不要な回折光の影響を低減する
ためには−1次回折光の回折効率を低減する必要があ
る。
【0055】同様に、2回とも+1次の回折をした光ビ
ームを用いて信号を再生する場合に悪影響を与える可能
性の高い回折光は、往路と復路の回折次数の和が+2の
もの、すなわち、Nを整数として、往路のN次回折光で
あって、かつ復路の(2−N)次回折光である。ここ
で、光の利用効率を良くするために0次と+1次の回折
効率を高く設計することを前提とすると、不要な回折光
のなかで往路と復路の光利用効率の積が比較的高くなる
可能性のあるものは、往路の0次回折光で、かつ復路の
+2次回折光、及び往路の+2次回折光で、かつ復路の
0次回折光の2種の回折光である。従って、このような
不要な回折光の影響を低減するためには+2次回折光の
回折効率を低減する必要がある。
【0056】上記理由により、高次回折光のうち−1次
回折光と+2次回折光を低減することが望ましいことが
わかる。以下、n次回折光の回折効率をE(n)と表記
する。+2次回折光の回折効率E(+2)と−1次回折
光の回折効率E(−1)を同時に0にすることが最も望
ましい。しかし、E(+2)とE(−1)を同時に0に
することができない場合に、これらを低減するにあたっ
ての指針について次に説明する。
【0057】例えば、+1次回折光を用いて基板厚さの
厚い情報記録媒体5の再生を行い、0次回折光を用いて
基板厚さの薄い情報記録媒体51の再生を行う場合は、
基板厚さの厚い情報記録媒体5に対しては集光光学系の
開口数(NA)を小さくする方が望ましい。そのため、
例えば、図2に示すようにホログラムレンズ107の有
効径のうち内周部にのみ、基板厚さの厚い情報記録媒体
5上で集光スポットを形成するための格子パターン10
7aを形成し、外周部の領域107bは図2に示すよう
に格子パターンをなくするか、又は外周部には内周部の
+1次回折光とは異なる位置に光が回折するような格子
パターンを形成して0次回折光の光量分布を補正する。
【0058】この時、情報記録媒体5,51の反射率を
100%と仮定し、ホログラムレンズ107の有効径内
への入射光量を1、外周部の格子パターンのない領域1
07bへの入射光量(外周部へも格子パターンを作製す
る場合には0次回折効率の2乗を乗ずる)をa、内周部
の格子パターン107aへの入射光量をbとして、ホロ
グラムレンズ107への入射光の内、ホログラムレンズ
107を往復2回通過して光検出器71へと至る信号光
の割合S(0)は、薄いディスクを再生する場合、以下
の式(1)で表される。
【0059】
【数1】 S(0)=a+b×(E(0))2 ・・・(1)
【0060】これに対して、往路が−1次回折光で、か
つ復路が+1次回折光は内周部のみで発生するので、そ
の割合N(−1)は以下の式(2)で表される。なお、
往路が+1次回折光で、かつ、復路が−1次回折光の場
合の割合も同様である。
【0061】
【数2】 N(−1)=b×E(−1)×E(+1) ・・・(2)
【0062】不要な−1次回折光による影響の大きさR
(−1)は、以下の式(3)で表される。
【0063】
【数3】 R(−1)=N(−1)/S(0) ・・・(3)
【0064】基板厚さの厚い情報記録媒体5を再生する
場合、信号光はホログラムレンズ107の内周部の格子
パターン107a部のみで発生するので、ホログラムレ
ンズ107への入射光の内、ホログラムレンズ107を
往復2回通過して光検出器71へと至る信号光の割合S
(+1)は、以下の式(4)で表される。
【0065】
【数4】 S(+1)=b×(E(+1))2 ・・・(4)
【0066】これに対して、往路が0次回折光で、かつ
復路が+2次回折光の割合N(+2)は、以下の式
(5)で表される。往路が+2次回折光で、かつ復路が
0次回折光の場合の割合も同様である。
【0067】
【数5】 N(+2)=b×E(0)×E(+2) ・・・(5)
【0068】不要な+2次回折光による影響の大きさR
(+2)は、以下の式(6)で表される。
【0069】
【数6】 R(+2)=N(+2)/S(+1) ・・・(6)
【0070】−1次回折光による影響の大きさR(−
1)と+2次回折光による影響の大きさR(+2)はど
ちらも低減する必要があるので、これらを同時に0にす
ることが望ましい。しかし、それができない場合は、R
(−1)とR(+2)をほぼ等しくすることにより、一
方が特に大きくなることによる問題点を避けることがで
きる。そして、上記式(1)と式(4)を比較すればわ
かるように、厚いディスクを再生する場合の信号光の方
が信号強度が小さくなりやすい。そのため、+1次回折
光を用いて厚いディスクの再生を行い、0次回折光を用
いて薄いディスクの再生を行う場合は、特に+2次回折
光の回折効率を低減する必要がある。
【0071】次に、ホログラムレンズ107の格子パタ
ーン107aの具体的形状について検討するが、最初に
参考例として、図6(a)に周知の鋸歯状回折格子の形
状をで示す。また、この従来の鋸歯状回折格子から得ら
れる回折効率及び不要な回折光による影響の大きさを図
6(b)に示す。図6(b)において、回折効率E(−
3)〜E(+3)の縦軸を左側に、不要な回折光の影響
R(+2)及びR(−1)の縦軸を右側に示す。横軸
は、山と谷の差が光に与える位相変調量φである。な
お、不要な回折光による影響の大きさR(J)とは、J
次の不要な回折に起因する不要光の光検出器71上にお
ける信号光に対する割合をいう。また、回折次数の正負
は、図6(a)に示すように、1次回折光の強い方を+
1次と定義する(以下同様)。
【0072】図6(a)は、周知の鋸歯状回折格子の形
状(ブレーズ)を光の位相変調量φとして表したもので
ある。図6(a)において、横軸は回折格子の一周期p
で規格化したホログラム上の位置を示す。正確には、横
軸は回折格子を格子ベクトル方向に進む波ととらえた場
合の位相である。換言すれば、0次回折光と+1次回折
光の位相差を2πで規格化したもの、又は回折格子を2
光束干渉法で設計又は作成する場合の参照光と物体光の
位相差を2πで規格化した値ともいえる。従って、回折
格子の周期pが場所によって異なる場合(チャーピング
している場合)、実物の距離としては横軸の0から0.
1と0.1から0.2が異なる場合も有り得る。簡単の
ため、本明細書中では光の位相変調量の図の横軸を単に
ホログラム上の位置と呼ぶ。
【0073】光ディスク装置が読みとり専用のいわゆる
ROMディスクの再生だけを目的とする場合、情報記録
媒体(光ディスク)の基板厚さにかかわらず、反射率が
同じ程度になる。そのため、0次回折光と+1次回折光
の回折効率をほぼ同じに設計し、0次回折光の回折効率
E(0)と+1次回折光の回折効率E(+1)を共に3
0%以上、望ましくは35%以上にする。このとき、図
6(b)からわかるように、−1次回折光の回折効率E
(−1)と+2次回折光の回折効率E(+2)は共に4
%程度である。その結果、特に+2次回折光による影響
の大きさR(+2)が大きく、11.3%になる。ここ
で、我々の実験によれば、不要回折光が再生信号に及ぼ
す悪影響を無視できるのは+2次回折光による影響の大
きさR(+2)及び−1次回折光による影響の大きさR
(−1)が共に7%以下の場合である。製造誤差を考慮
すると、望ましくはこれらを5%以下に設計することが
望ましい。従って、周知の鋸歯状回折格子を用いると不
要回折光により、再生信号(例えばフォーカスエラー信
号)の品質が劣化する恐れがある。
【0074】さらに、基板厚さの薄い情報記録媒体に対
して情報の記録及び再生を行う場合、又は反射率の低い
情報記録媒体の再生を行う場合、記録パワーを確保する
ため、又は再生信号パワーを確保するために、0次の回
折効率E(0)をより大きくすることが望ましい。しか
し、この時、+1次回折光の回折効率E(+1)が減る
ため、+2次回折光による影響の大きさR(+2)はよ
り増大する。従って、不要な+2次回折光による影響の
大きさR(+2)がより深刻になる恐れがある。
【0075】次に、図7(a)に点線で示した従来の4
段の等段差、かつ等段幅の回折格子から得られる回折効
率及び不要な回折光による影響の大きさを図7(b)に
示す。図7(b)において、回折効率E(−3)〜E
(+3)の縦軸を左側に、不要な回折光の影響R(+
2)及びR(−1)の縦軸を右側に示す。横軸は、階段
(等段差)の一段当たりの段差が光に与える位相変調量
φ0を示す。基板厚さの薄い情報記録媒体に対しては、
記録密度を高くするために開口数(NA)を0.6程度
で、また、基板厚さの厚い情報記録媒体に対しては、情
報記録媒体(ディスク)の傾きの許容度を確保するため
に開口数(NA)を0.4程度で再生する場合につい
て、式(1)から式(6)に従って−1次回折光による
影響の大きさR(−1)と+2次回折光による影響の大
きさR(+2)を計算している。
【0076】一般に、情報記録媒体が読みとり専用のい
わゆるROMディスクである場合、基板厚さにかかわら
ず情報記録媒体の反射率が同じ程度になるので、0次回
折光と+1次回折光の回折効率をほぼ同じ程度に設計す
る。このとき、+2次回折光による影響の大きさR(+
2)が8%程度あり、等段差で、かつ等段幅の4段の階
段状回折格子を用いると、不要回折光により再生信号
(例えばフォーカスエラー信号)の品質が劣化する恐れ
がある。ただし、図6(a)に示した鋸歯状回折格子の
場合よりはR(+2)がやや少ないので、例えば図7
(a)に示す4段の階段状ブレーズの場合方が、周知の
鋸歯状ブレーズよりも望ましい。
【0077】ここで、4段の階段状ブレーズに場合の方
がR(+2)が減っている理由を考察すると、鋸歯状ブ
レーズの場合よりも−3次回折光の回折効率E(−3)
が増えて、逆に+2次回折光の回折効率E(+2)が3
%程度に減っていることがわかる。従って、−3次回折
光の回折効率E(−3)を大きくして、+2次回折光の
回折効率E(+2)の光量を移して減らすことが設計の
方向として望ましい。少なくとも、E(−3)をE(+
2)より大きくすることが好ましい。しかし、図7
(a)に示す4段の階段状の形状であっても、基板厚さ
の薄い情報記録媒体の記録再生を行う場合、又は反射率
の低い情報記録媒体の再生を行う場合には、0次回折光
の回折効率E(0)をより大きくすることが望ましいの
で、+1次回折光の回折効率E(+1)が減り、+2次
回折光による影響の大きさR(+2)がより増大する。
従って、この場合も、やはり不要な+2次回折光による
影響の大きさR(+2)がより深刻になる恐れがある。
上記考察に基づいて、本発明の光ディスク装置及びその
光ヘッド装置に適する集光光学系及びホログラムの具体
的実施形態を以下に説明する。
【0078】(第2の実施形態)−3次回折光の回折効
率E(−3)をより大きくし、+2次回折光の回折効率
E(+2)を減らすことをより一層進めた第2の実施形
態について、図8(a)及び(b)を参照しつつ説明す
る。
【0079】図8(a)はホログラム上の位置(格子ベ
クトルに沿った方向)と光束に与える位相変調量の関係
を、回折格子の一周期当たりで示したものである。図6
(a)との違いは、位置対位相変調量の形が1周期当た
り2つの山M1及びM2を形成していることである。ま
た、+1次回折光の回折効率E(+1)と0次回折光の
回折効率E(0)が等しくなるときの最も高い山M2と
最も低い谷V1の差φが、図6(a)に示す場合よりも
大きくなり、約1.3π(光路差では0.65λ、λは
波長)である。
【0080】回折格子の1周期は連続する第1〜第4の
斜面S1〜S4で構成され、第1及び第3の斜面S1及
びS3が登り(+1次回折光の回折方向を右側として、
右上がり)で、第2及び第4の斜面S2及びS4が下り
(右下がり)である。第1及び第4の斜面S1及びS4
の傾斜は第2及び第3の斜面S2及びS3の傾斜よりも
急である。各斜面S1〜S4の横軸方向に占める幅に関
しては、第1の斜面及び段2の斜面の幅がほぼ等しく、
最も狭い。第4の斜面S4の幅は次に狭く、第3の斜面
の幅が最も広い。各山の頂点M1及びM2と、谷の底V
1及びV2を(位置、位相)で表すと、各点の座標は、
V1(0、0)、M1(0.1、0.61π)、V2
(0.2、0.54π)、M2(0.8、1.3π)と
なる。このような形状の回折格子は、ダイヤモンドバイ
トを用いて金型を切削しこれを転写することにより製作
可能である。従って、屈折型対物レンズの曲面上にホロ
グラムを直接形成する場合などに望ましい形状である。
なお、左から2番目の斜面S2は右下がりではなく、ほ
ぼ水平であっても同様に不要な回折光を顕著に抑制する
ことができる。
【0081】各次数の回折光の回折効率は図8(b)の
ようになる。+1次回折光の回折効率E(+1)と0次
回折光の回折効率E(0)がほぼ等しいとき、−3次回
折光の回折効率E(−3)が−1次回折光の回折効率E
(−1)及び+2次回折光の回折効率E(+2)よりも
大きくなっており、その分+2次回折光の回折効率E
(+2)を減らして2%以下にすることができ、+2次
回折光による影響の大きさR(+2)を3.2%という
十分に小さな値にすることができる。
【0082】ここで、基板厚さの厚い情報記録媒体を+
1次回折光を用いて再生する場合において、回折効率の
設計指針の第2のポイントは、−1次回折光の回折効率
E(−1)よりも、特に基板厚さの厚い情報記録媒体を
再生する時に問題となる+2次回折光の回折効率E(+
2)を低くすることである。基板厚さの薄い情報記録媒
体を再生する場合の開口数(NA)を0.6程度とし、
基板厚さの厚い情報記録媒体を再生するときの開口数を
0.4程度とする場合、本実施形態のように、+2次回
折光の回折効率E(+2)を−1次回折光の回折効率E
(−1)の1/3以下にすることにより、+2次回折光
による影響の大きさR(+2)と−1次回折光による影
響の大きさR(−1)を共に小さく抑えることができ、
再生信号の品質を確保することができる。
【0083】(第3の実施形態)次に、+2次回折光の
回折効率E(+2)を2%以下に減らすための第3の実
施形態について、図9(a)及び(b)を参照しつつ説
明する。図9(a)は、ホログラム上の位置(格子ベク
トルに沿った方向)と光束に与える位相変調量の関係
を、回折格子の一周期当たりで示したものである。図9
(a)に示す位置対位相変調量の形は図7(a)に示す
場合と同様に階段状であるが、図7(a)に示す場合と
では、各階段の幅がそれぞれ異なっており、さらに、一
方向に上るだけでなく、下る段も含まれる点が異なる。
【0084】図9(a)に示す本実施形態の場合、回折
格子の1周期は5段の階段状であり、第1階段F1から
第4段F4までは順に高さが高くなり、最後の第5段F
5の高さは第3段F3の高さとほぼ同じであり、第4段
F4の高さよりも低い。また、各段F1〜F5の幅W1
〜W5は、左から右に順に0.1、0.23、0.3
1、0.26、0.1の割合である。+1次回折光の回
折効率E(+1)と0次回折光の回折効率E(0)が等
しくなるときの一段当たりの段差φ0は、図7(a)に
示す場合よりも大きくなり、約0.33π(光路差では
0.17λ、λは波長)である。回折効率は、図9
(b)に示すようになる。+1次回折光の回折効率E
(+1)と0次回折光の回折効率E(0)がほぼ等しい
とき、+2次回折光の回折効率E(+2)を2%以下に
減らすことができる。その結果、+2次回折光による影
響の大きさR(+2)を3.1%、−1次回折光による
影響の大きさR(−1)を5%という十分に小さな値に
することができる。−1次回折光による影響の大きさR
(−1)の方が+2次回折光による影響の大きさR(+
2)よりも大きいが、これは、作製誤差に対する増大の
しやすさを考慮すると望ましいバランスである。回折格
子のピッチが100μm以上である場合のように作製誤
差の制限をあまり受けない場合、図9(a)の横軸の
0.9から1.0迄の部分の幅を少し狭めることによ
り、−1次回折光による影響の大きさR(−1)をより
少なくすることができる。本実施形態も、+2次回折光
の回折効率E(+2)を−1次回折光の回折効率E(−
1)の1/3以下にすることにより、+2次回折光によ
る影響の大きさR(+2)及び−1次回折光による影響
の大きさR(−1)を共に小さく抑えることができ、再
生信号の品質を確保することができる。
【0085】(第4の実施形態)次に、ホログラムレン
ズを凸レンズ型に設計した第4の実施形態を、図10
(a)及び(b)を参照しつつ説明する。図10(a)
は、+1次回折効を基板厚さt2の薄い情報記録媒体5
1に対して集光する場合を示し、図10(b)は0次光
を基板厚さt1の厚い(t1>t2)情報記録媒体5に
対して集光する場合を示す。
【0086】ホログラムレンズ109の外周部の+1次
回折光の回折効率をほぼ100%になるように設計し、
内周部の回折効率を100%より小さくすることによ
り、基板厚さt1の厚い情報記録媒体5に対する開口数
NAを小さくすることができる。この構成では、屈折型
の対物レンズ4とホログラムレンズ109では、波長の
変化に対する光線の屈曲方向変化の方向(広義の分散
値)が反対方向であるので、基板厚さt2の薄い情報記
録媒体51に対して、色収差が低減される、あるいは、
発生しなくなるという効果を有する。特に、基板厚さt
2の薄い情報記録媒体51に対して記録再生を行う場
合、記録と再生の切り替え時に光源(特に半導体レーザ
ーの場合)の出力を切り替えるのに伴って波長が変化す
るので、色収差(特に焦点位置の移動)を低減させるこ
とは重要である。
【0087】上記構成において、ホログラムレンズ10
9の有効径内への入射光量を1、外周部への入射光量を
a、内周部への入射光量をbとし、情報記録媒体51の
反射率を100%と仮定して、ホログラムレンズ109
への入射光の内、ホログラムレンズ109を往復2回通
過して光検出器(例えば、図1の光検出器71)へ至る
信号光の割合S’(1)は、基板厚さt2の薄い情報記
録媒体51を再生する場合、以下の式(7)で表され
る。
【0088】
【数7】 S’(1)=a+b×(E(1))2 ...(7)
【0089】これに対して、往路が0次回折光で、かつ
復路が+2次回折光となる場合は、ホログラムレンズ1
09の内周部のみで発生し、その割合N’(+2)は以
下のしく(8)で表される。往路が+2次回折光で、か
つ復路が0次回折光となる場合の割合も同様である。
【0090】
【数8】 N’(+2)=b×E(0)×E(+2) ・・・(8)
【0091】不要な+2次回折光による影響の大きさ
R’(+2)は、以下の式(9)で表される。
【0092】
【数9】 R’(+2)=N’(+2)/S’(+1) ・・・(9)
【0093】基板厚さt1の厚い情報記録媒体5を再生
する場合、信号光はホログラムレンズ109の内周部の
みで発生するので、ホログラムレンズ109への入射光
の内、ホログラムレンズを往復2回通過して光検出器へ
と至る信号光の割合S’(0)は、以下の式(10)で
表される。
【0094】
【数10】 S’(0)=b×(E(0))2 ・・・(10)
【0095】これに対して、往路が+1次回折光で、か
つ復路が−1次回折光の割合N’(−1)は、以下の式
(11)で表される。往路が−1次回折光で、かつ復路
が+1次回折光の場合の割合も同様である。
【0096】
【数11】 N’(−1)=b×E(+1)×E(−1) ・・・(11)
【0097】不要な−1次回折光による影響の大きさ
R’(−1)は、以下の式(12)で表される。
【0098】
【数12】 R’(−1)=N’(−1)/S(0) ・・・(12)
【0099】−1次回折光による影響の大きさR’(−
1)と+2次回折光による影響の大きさR’(+2)は
どちらも低減する必要があるので、これらを同時に0に
することが望ましい。しかし、それができない場合は、
R’(−1)とR’(+2)をほぼ等しくすることによ
り、一方が特に大きくなることによる問題点を避けるこ
とができる。そして、式(7)と式(10)を比較すれ
ばわかるように、基板厚さt1の厚い情報記録媒体5を
再生する場合の信号光の方が信号強度が小さくなりやす
い。そのため、0次回折光を用いて基板厚さt1の厚い
情報記録媒体5の再生を行い、+1次回折光を用いて基
板厚さt2の薄い情報記録媒体51の再生を行う場合、
特に−1次回折光の回折効率を低減する必要がある。
【0100】第1の実施形態の場合と同様に、図11
(a)に示す周知の鋸歯状回折格子から得られる回折効
率及び不要な回折光による影響の大きさを図11(b)
に示す。図11(b)において、回折効率E(−3)〜
E(+3)の縦軸を左側に、不要な回折光の影響R’
(+2)及びR’(−1)の縦軸を右側に示す。横軸
は、山と谷の差が光に与える位相変調量φである。ま
た、回折次数の正負は、図11(a)に示すように、1
次回折光の強い方を+1次と定義する(以下同様)。回
折効率E(−3)〜E(+3)は図6(b)の場合と同
じであるが、図11(b)のR’(+2)及びR’(−
1)は図6(b)のR(+2)及びR(−1)とは異な
る。
【0101】光ディスク装置が読みとり専用のいわゆる
ROMディスクの再生だけを目的とする場合、情報記録
媒体(光ディスク)の基板厚さにかかわらず、反射率が
同じ程度になる。そのため、0次回折光と+1次回折光
の回折効率をほぼ同じに設計する。このとき、図11
(b)からわかるように、−1次回折光の回折効率E
(−1)と+2次回折光の回折効率E(+2)は共に4
%程度である。その結果、特に+2次回折光による影響
の大きさR’(+2)が大きく、11.3%になる。こ
こで、我々の実験によれば、不要回折光が再生信号に及
ぼす悪影響を無視できるのは+2次回折光による影響の
大きさR’(+2)及び−1次回折光による影響の大き
さR’(−1)が共に7%以下の場合である。製造誤差
を考慮すると、望ましくはこれらを5%以下に設計する
ことが望ましい。従って、周知の鋸歯状回折格子を用い
ると不要回折光により、再生信号(例えばフォーカスエ
ラー信号)の品質が劣化する恐れがある。
【0102】さらに、基板厚さの薄い情報記録媒体に対
して情報の記録及び再生を行う場合、又は反射率の低い
情報記録媒体の再生を行う場合、記録パワーを確保する
ため、又は再生信号パワーを確保するために、+1次の
回折効率E(1)をより大きくすることが望ましい。し
かし、この時、0次回折光の回折効率E(0)が減るた
め、−1次回折光による影響の大きさR’(−1)はよ
り増大する。従って、不要な−1次回折光による影響の
大きさR’(−1)がより深刻になる恐れがある。
【0103】次に、図12(a)に示す従来の4段の等
段差、かつ等段幅の回折格子から得られる回折効率及び
不要な回折光による影響の大きさを図12(b)に示
す。図12(b)において、回折効率E(−3)〜E
(+3)の縦軸を左側に、不要な回折光の影響R’(+
2)及びR’(−1)の縦軸を右側に示す。横軸は、階
段(等段差)の一段当たりの段差が光に与える位相変調
量φ0を示す。図12(b)において、回折効率E(−
3)〜E(+3)は図7(b)に示す場合と同じである
が、R’(+2)及びR’(−1)は図7(b)に示す
R(+2)及びR(−1)とは異なる。基板厚さの薄い
情報記録媒体に対しては、記録密度を高くするために開
口数(NA)を0.6程度で、また、基板厚さの厚い情
報記録媒体に対しては、情報記録媒体(ディスク)の傾
きの許容度を確保するために開口数(NA)を0.4程
度で再生する場合について、式(7)から式(12)に
従って−1次回折光による影響の大きさR’(−1)と
+2次回折光による影響の大きさR’(+2)を計算し
ている。
【0104】(第5の実施形態)一般に、情報記録媒体
が読みとり専用のいわゆるROMディスクである場合、
基板厚さにかかわらず情報記録媒体の反射率が同じ程度
になるので、0次回折光と+1次回折光の回折効率をほ
ぼ同じ程度に設計する。このとき、+2次回折光による
影響の大きさR’(+2)が12%程度あり、等段差
で、かつ等段幅の4段の階段状回折格子を用いると、不
要回折光により再生信号(例えばフォーカスエラー信
号)の品質が劣化する恐れがある。この問題点を解決す
るのに適する第5の実施形態を、図13(a)及び
(b)を参照しつつ説明する。
【0105】図13(a)はホログラム上の位置(格子
ベクトルに沿った方向)と光束に与える位相変調量の関
係を、回折格子の一周期当たりで示したものである。図
11(a)との違いは、位置対位相変調量の形が1周期
当たり第1の斜面S11及び第2の斜面S12の連続す
る2つの斜面で形成されていることである。また、+1
次回折光の回折効率E(+1)と0次回折光の回折効率
E(0)が等しくなるときの山M12と谷V11の差φ
が、図11(a)に示す場合よりも大きくなり、約1.
3π(光路差では0.65λ、λは波長)である。第1
及び第2の斜面S11及びS12は、いずれも同じ方向
の斜面であり、+1次回折光の回折方向を右側として、
右上がりである。第1の斜面S11の傾斜は第2の斜面
S12の傾斜よりも急であり、第1の斜面S11の横軸
方向に占める幅は第2の斜面S12の幅よりも狭い。山
の頂点M11及びM12と、谷の底V11をそれぞれ
(位置、位相)で表すと、各点の座標は、V11(0、
0)、M11(0.1、0.6π)、M12(1.0、
1.4π)である。このような形状の回折格子は、ダイ
ヤモンドバイトを用いて金型を切削しこれを転写するこ
とにより製作可能である。従って、屈折型対物レンズの
曲面上にホログラムを直接形成する場合などに望ましい
形状である。
【0106】各次数の回折光の回折効率は図13(b)
のようになる。+1次回折光の回折効率E(+1)と0
次回折光の回折効率E(0)がほぼ等しいとき、+3次
回折光の回折効率E(+3)が−1次回折光の回折効率
E(−1)よりも大きくなっており、その分−1次回折
光の回折効率E(−1)は減り、−1次回折光による影
響の大きさR’(−1)及び+2次回折光による影響の
大きさR’(+2)を5.2%に抑制することができ
る。
【0107】ここで、基板厚さの厚い情報記録媒体を+
1次回折光を用いて再生する場合において、回折効率の
設計指針のポイントは、+2次回折光の回折効率E(+
2)よりも、特に基板厚さの厚い情報記録媒体を再生す
る時に問題となる−1次回折光の回折効率E(−1)を
低くすること、及び+3次回折光の回折効率E(+3)
を−1次回折光の回折効率E(−1)よりも大きく設計
することである。基板厚さの薄い情報記録媒体を再生す
る場合の開口数(NA)を0.6程度とし、基板厚さの
厚い情報記録媒体を再生するときの開口数を0.4程度
とする場合、本実施形態のように、−1次回折光の回折
効率E(−1)を+2次回折光の回折効率E(+2)の
1/3以下にすることにより、+2次回折光による影響
の大きさR’(+2)と−1次回折光による影響の大き
さR’(−1)を共に小さく抑えることができ、再生信
号の品質を確保することができる。
【0108】(第6の実施形態)光ディスク装置が、基
板厚さの異なる複数種類(2種類)の読みとり専用のい
わゆるROMディスクの再生だけを目的とする場合の第
6の実施形態を、図14(a)及び(b)を参照しつつ
説明する。図14(a)は、ホログラム上の位置(格子
ベクトルに沿った方向)と光束に与える位相変調量の関
係を、回折格子の一周期当たりで示したものである。図
14(a)に示す位置対位相変調量の形は図12(a)
に示す場合と同様に階段状であるが、図12(a)に示
す場合とでは、各階段間の段さがそれぞれ異なってい
る。
【0109】図14(a)に示すように、各階段F11
〜F14のそれぞれの段差により光に与える位相変調量
が順に、φ2、φ3、φ2となっている。例えば、図2
4に示す手順を用いてホログラムを作製すると、1回目
のエッチングの深さによりφ2+φ3が決まり、2回目
のエッチング深さによりφ2が決まる。そこで、φ1=
φ2+φ3と定義し、φ2=0.35πのときにφ1を
変えて回折効率を計算した。その結果を図14(b)に
示す。
【0110】図14(b)において、+1次回折光の回
折効率E(+1)と0次回折光の回折効率E(0)が等
しくなるときの段差により光に与える位相変調量φ1は
0.98π(光路差では0.49λ、λは波長)であ
る。E(+1)とE(0)がほぼ等しいとき、−1次回
折光の回折効率E(−1)が2%以下に減り、+2次回
折光による影響の大きさR’(+2)を4.1%、−1
次回折光による影響の大きさR’(−1)を6%という
小さな値にすることができる。本実施形態において、−
1次回折光の回折効率E(−1)を+2次回折光の回折
効率E(+2)のほぼ1/3以下にすることにより、+
2次回折光による影響の大きさR’(+2)及び−1次
回折光による影響の大きさR’(−1)を共に小さく抑
えることができ、再生信号の品質を確保することができ
るという効果を有する。
【0111】(第7の実施形態)次に、光ディスク装置
が、基板厚さの厚い情報記録媒体の再生のみを行い、基
板厚さの薄い情報記録媒体に対して情報の記録及び再生
を行うことを目的とする第7の実施形態を、図15
(a)及び(b)を参照しつつ説明する。図15(a)
は、ホログラム上の位置(格子ベクトルに沿った方向)
と光束に与える位相変調量の関係を、回折格子の一周期
当たりで示したものである。図15(a)に示す位置対
位相変調量の形は、3つの斜面により形成されている点
において、図13(a)に示す場合と異なっている。
【0112】基板厚さの薄い情報記録媒体に対して+1
次回折光を用いて記録再生を行うためには、光量を多く
する必要があり、+1次回折光の回折効率E(+1)を
50%以上、望ましくは55%以上にし、かつ、0次回
折光の回折効率E(0)も再生信号の信号対電気的雑音
の比を高くするため、15%以上、望ましくは20%以
上にする必要がある。E(+1)を60%としたときの
最も高い山M22と最も低い谷V21の差φは、約1.
58π(光路差では0.79λ、λは波長)である。第
1から第3の斜面S21〜S23はそれぞれ連続し、同
方向に傾斜している。+1次回折光の回折方向を右側と
して、各斜面は右上がりである。第2の斜面S22の傾
斜は第1の斜面S21の傾斜よりも急であり、第3の斜
面S23の傾斜は第2の斜面S22の傾斜よりも緩やか
である。また、第2の斜面S22の横軸方向に占める幅
は第1の斜面S21の幅とほぼ同じであるが、第3の斜
面S23の幅は第1及び第2の斜面S21及びS22の
幅よりも広い。山の頂点M21及びM22と、谷の底V
21及びV22をそれぞれ(位置、位相)で表すと、各
点の座標は、V21(0、0)、V22(0.1、0.
22π)、M21(0.18、0.74π)、M22
(1.0、1.58π)である。このような形状の回折
格子は、ダイヤモンドバイトを用いて金型を切削しこれ
を転写することにより製作可能である。従って、屈折型
対物レンズの曲面上にホログラムを直接形成する場合な
どに望ましい形状である。
【0113】各次数の回折光の回折効率は図15(b)
のようになる。+1次回折光の回折効率E(+1)が6
0%のとき、0次回折光の回折効率E(0)は約23%
であり、十分な回折効率が得られることがわかる。本実
施形態の場合、+1次回折光の回折効率E(+1)を0
次回折光の回折効率E(0)に比べて明らかに大きくし
ているので、+2次回折光の回折効率E(+2)は10
%程度あっても特に問題にならない。しかしながら、−
1次回折光の回折効率E(−1)が1%以下になるよう
に設計する必要がある。−1次回折光の回折効率E(−
1)を+2次回折光の回折効率E(+2)の1/10以
下にすることが好ましい。その結果、+2次回折光によ
る影響の大きさR’(+2)及び−1次回折光による影
響の大きさR’(−1)を共に小さく抑えることがで
き、再生信号の品質を確保することができる。
【0114】(第8の実施形態)同様に、光ディスク装
置が、基板厚さの厚い情報記録媒体の再生のみを行い、
基板厚さの薄い情報記録媒体に対して情報の記録及び再
生を行うことを目的とする第8の実施形態を、図16
(a)及び(b)を参照しつつ説明する。図16(a)
は、ホログラム上の位置(格子ベクトルに沿った方向)
と光束に与える位相変調量の関係を、回折格子の一周期
当たりで示したものである。図16(a)に示す位置対
位相変調量の形は、不連続な2つの斜面(垂直な部分は
位相が不連続に変化していることを表している)により
形成されている点において、図11(a)に示す場合と
異なっている。
【0115】基板厚さの薄い情報記録媒体に対して+1
次回折光を用いて記録再生を行うためには、光量を多く
する必要があり、+1次回折光の回折効率E(+1)を
50%以上、望ましくは55%以上にし、かつ、0次回
折光の回折効率E(0)も再生信号の信号対電気的雑音
の比を高くするため、15%以上、望ましくは20%以
上にする必要がある。E(+1)を60%としたときの
最も高い山M32と最も低い谷V31の差(φ1+φ
2)は、約1.38π(光路差では0.69λ、λは波
長)である。斜面S31及びS32は、共に同じ方向で
傾きもほぼ同じであるが、谷V32において位相がφ2
だけシフトしている。+1次回折光の回折方向を右側と
して、斜面S31及びS32はそれぞれ右上がりであ
る。横軸方向に占める幅は同じである。山の頂点M31
及び32と、谷の底V31及びV32を(位置、位相)
で表すと、各点の座標は、V31(0、0)、M31
(0.5、0.84π)、V32(0.5、0.54
π)、M32(1.0、1.38π)となる。このよう
な形状の回折格子は、やはりダイヤモンドバイトを用い
て金型を切削しこれを転写することにより製作可能であ
る。従って、屈折型対物レンズの曲面上にホログラムを
直接形成する場合などに望ましい形状である。
【0116】各次数の回折光の回折効率は図16(b)
のようになる。図16(b)は、低い方の山M31の高
さをφ1とし、山M31から不連続に下がった谷V32
の位相をφ2として、φ1=1.56×φ2の関係にあ
るとき、横軸φ2に対する各回折光の回折効率及び不要
な回折光による影響を示す。+1次回折光の回折効率E
(+1)が55%のとき、0次回折光の回折効率E
(0)は約23%である。本実施形態の場合も上記第7
の実施形態の場合と同様に、+1次回折光の回折効率E
(+1)を0次回折光の回折効率E(0)に比べて明ら
かに大きくしているので、+2次回折光の回折効率E
(+2)は10%程度あっても特に問題にならない。し
かしながら、−1次回折光の回折効率E(−1)が1%
以下になるように設計する必要がある。−1次回折光の
回折効率E(−1)を+2次回折光の回折効率E(+
2)の1/10以下にすることが好ましい。その結果、
+2次回折光による影響の大きさR’(+2)及び−1
次回折光による影響の大きさR’(−1)を共に小さく
抑えることができ、再生信号の品質を確保することがで
きる。
【0117】(第9の実施形態)さらに、光ディスク装
置が、基板厚さの厚い情報記録媒体の再生のみを行い、
基板厚さの薄い情報記録媒体に対して情報の記録及び再
生を行うことを目的とする第9の実施形態を、図17
(a)及び(b)を参照しつつ説明する。図17(a)
は、ホログラム上の位置(格子ベクトルに沿った方向)
と光束に与える位相変調量の関係を、回折格子の一周期
当たりで示したものである。図17(a)に示す位置対
位相変調量の形は図12(a)に示す場合と同様に階段
状であるが、図12(a)に示す場合とでは、各階段間
の段さがそれぞれ異なっている。
【0118】図17(a)に示すように、各階段F21
〜F24のそれぞれの段差が順に、φ2、φ3、φ2と
なっている。例えば、図24に示す手順を用いてホログ
ラムを作製すると、1回目のエッチングの深さによりφ
2+φ3が決まり、2回目のエッチング深さによりφ2
が決まる。そこで、φ1=φ2+φ3と定義し、φ2=
0.45πのときにφ1を変えて回折効率を計算した。
その結果を図17(b)に示す。+1次回折光の回折効
率E(+1)が55%のとき、0次回折光の回折効率E
(0)は約20%である。段差φ1は0.62π(光路
差では0.31λ、λは波長)である。
【0119】本実施形態においても、上記第7又は第8
の実施形態の場合と同様に、+1次回折光の回折効率E
(+1)を0次回折光の回折効率E(0)に比べて明ら
かに大きくしているので、+2次回折光の回折効率E
(+2)は10%程度あっても特に問題にならない。し
かしながら、−1次回折光の回折効率E(−1)が1%
以下になるように設計する必要がある。−1次回折光の
回折効率E(−1)を+2次回折光の回折効率E(+
2)の1/10以下にすることが好ましい。その結果、
+2次回折光による影響の大きさR’(+2)及び−1
次回折光による影響の大きさR’(−1)を共に小さく
抑えることができ、再生信号の品質を確保することがで
きる。本実施形態のような階段状の回折格子は、図24
に例示したようなフォトリソグラフィを用いた工程で容
易に作製できるので、図1や図10に例示したように、
平板上にホログラムレンズを作製し、屈折型レンズと組
み合わせて用いる場合等に便利である。
【0120】(第10の実施形態)上記各実施形態で
は、ホログラムの一周期あたりの位相変調量の形を例示
してきたが、「ホログラム上の位置」について再度詳し
く説明すると共に、ホログラムレンズの光の有効径内に
回折格子のない部分も存在する場合について説明を行
う。従って、本実施形態は上記第1〜9の各実施形態と
組み合わせて用いることができる。
【0121】図18は平板上にホログラムレンズ107
を作製する一例を示す。図18において、(a)回折格
子の無い部分または回折格子部の0次回折光の位相を決
める仮想的な面107cを示し、(b)は格子パターン
107a部を示し、(c)は(a)と(b)を組み合わ
せた図である。
【0122】まず、図18(b)を用いて、上記の第1
〜9の各実施形態で用いてきた、「ホログラム上の位
置」について説明する。前にも述べたように、「ホログ
ラム上の位置」とは正確には、回折格子を格子ベクトル
方向に進む波ととらえた場合の位相である。換言すれ
ば、0次回折光と+1次回折光の位相差を2πで規格化
したもの、又は回折格子を2光束干渉法で設計又は作成
する場合の参照光と物体光の位相差を2πで規格化した
値ともいえる。従って、回折格子の周期pが図18
(b)に示すように、場所によって異なる(p≠p’≠
p”)場合、実物の距離としては横軸の0から0.1の
幅と0.1から0.2の幅が異なる場合も有り得る。例
えば4段の階段状の回折格子において、段差の幅が等し
いという場合であっても、本明細書中ではあくまで回折
格子を格子ベクトル方向に進む波ととらえた場合の位相
の幅が等しいのであり、図18(b)のように実寸がp
≠p’≠p”となっている場合は一周期内の段差の幅p
1’/4と、p2’/4も実寸では異なることもある。
始めに定義したように、簡単のため本明細書中では光の
位相変調量の図の横軸を単にホログラム上の位置と呼ん
できた。
【0123】次に、格子パターン107a部と格子パタ
ーンのない領域107bの整合に付いて述べる。回折格
子(ホログラム)から生じる0次回折光の位相は、一周
期内で光が受ける位相変調量の平均になる。そこで、図
18(c)に示すように、格子パターンのない領域10
7bと一周期内で光が受ける位相変調量の平均を同じに
することにより、0次回折光の波面を揃えることができ
る。換言すれば、(a)の0次回折光の位相を決める面
107cを(b)の格子パターン107aにより変調す
ることになる。
【0124】なお、本発明で用いる集光光学系は屈折型
の対物レンズ4とホログラムレンズ107(又は10
9)の組み合わせより構成されている。そこで、ホログ
ラムレンズ107と対物レンズ4をパッケージ等を用い
て連結することにより、ホログラムレンズ107と対物
レンズ4の光軸ずれを小さくすることができ、ホログラ
ムレンズ107の+1次回折光の軸外収差をより小さく
することができる。
【0125】(第11の実施形態)また、図19に示す
ように対物レンズ4上にホログラムレンズの格子パター
ン107aを直接作製し、対物レンズとホログラムレン
ズを一体化しても良い。このような構成により、ホログ
ラムレンズと対物レンズの光軸ずれを小さくすることが
でき、ホログラムレンズの+1次回折光の軸外収差をよ
り小さくでき、かつ、一層の軽量化と低コスト化を図る
こともできるという効果がある。
【0126】さらに、設計上ホログラムレンズが光軸に
対して傾くと収差が発生するような場合は、図19に示
すように、ホログラムレンズの格子パターン107aを
対物レンズ4の曲率の大きな(曲率半径の小さな)面、
すなわち情報記録媒体(光ディスク)に対向する面のの
反対側に形成することにより、ホログラムレンズの光軸
に対する収差を抑制することができる。
【0127】図19に示す格子パターン107aの0次
回折光(透過光)の位相は、格子パターン107aによ
り与えられる位相変調量の平均値となる。従って、格子
パターン107aの格子の凹凸の高さの平均の面107
0(点線で表示)と格子パターンのない面1071の表
面を連続的につなぎ、かつ、格子パターン107aの格
子の平均面1070と格子パターンのない面1071の
表面を基板厚t2を通して光ビームをほぼ回折限界に集
光できるように設計する。レンズ面等の曲面上にホログ
ラムを作製する一例を、図20を用いて詳しく説明す
る。
【0128】図20において、(a)は格子パターンの
ない領域又は回折格子の0次回折光の位相を決める仮想
的な面107cを示し、(b)は格子パターン107a
を示し、(c)は(a)と(b)を組み合わせた図であ
る。回折格子(ホログラム)から生じる0次回折光の位
相は、一周期内で光が受ける位相変調量の平均になる。
そこで、図20(c)に示すように、格子パターンのな
い領域107bと一周期内で光が受ける位相変調量の平
均を同じにすることにより、0次回折光の波面を揃える
ことができる。換言すれば、(a)の0次回折光の位相
を決める面107cを(b)に示す格子パターン107
aにより変調することになる。このため、(a)と
(b)を合成した(c)の形は、見かけ上(b)とは異
なった形になる場合もある。本発明の主旨は、あくまで
一周期の中で光が受ける位相の変調量に関するものであ
る。本実施形態も、上記第1〜9の各実施形態と組み合
わせて用いることができる。
【0129】
【発明の効果】以上のように、本発明の第1のホログラ
ムは例えば第1の実施形態に対応し、0次回折光と+1
次回折光の回折効率が他のいずれの次数の回折光の回折
効率よりも大きく、0次回折光と+1次回折光の回折効
率がいずれも30%以上であり、+2次回折光及び−1
次回折光のいずれか一方の回折効率が2%以下である。
そのため、不要な回折光である+2次回折光又は−1次
回折光による影響を小さくすることができる。また、こ
のホログラムを用いて、基板厚さの異なる複数種類の情
報記録媒体(光ディスク)上に回折限界まで光ビームを
集光することのできる光ヘッド装置及びその集光光学系
を提供するが可能になる。さらに、それらを用いること
により、より安定して情報の記録、再生及び消去が可能
な光ディスク装置を提供することが可能になる。
【0130】上記構成において、+1次回折光に対して
凹レンズ作用を有し、+2次回折光の回折効率が2%以
下とすることにより、屈折型レンズと組合わせることに
より、0次回折光と+1次回折光をそれぞれ異なった2
つの焦点に集光させることができる。すなわち、このホ
ログラムを用いることにより、2焦点集光光学系を構成
することが可能となる。また、+2次回折光の回折効率
を−3次回折光の回折効率より小さくすることにより、
+2次回折光による影響を低減させることができる。
【0131】本発明の第2のホログラムは例えば第2の
実施形態に対応し、0次回折光及び+1次回折光の回折
効率が他のいずれの次数の回折光の回折効率よりも大き
く、+1次回折光に対して凹レンズ作用を有し、+2次
回折光の回折効率が−1次回折光の回折効率よりも小さ
い。そのため、例えば+2次回折光の回折効率E(+
2)を−1次回折光の回折効率E(−1)の1/3以下
にすることにより、+2次回折光による影響の大きさR
(+2)と−1次回折光による影響の大きさR(−1)
を共に小さく抑えることができる。
【0132】また、上記第1のホログラムにおいて、+
1次回折光に対して凸レンズ作用を有し、0次回折光と
+1次回折光の回折効率はいずれも30%以上であり、
−1次回折光の回折効率が2%以下とすることにより、
第4又は第5の実施形態に対応し、色収差、特に焦点位
置の変化を防止することができる。また、−1次回折光
の回折効率を+3次回折光の回折効率より小さくするこ
とにより、その分−1次回折光の回折効率E(−1)が
低下し、−1次回折光及び+2次回折光による影響R’
(−1)及びR’(+2)を抑制することができる。
【0133】本発明の第3のホログラムによれば、0次
回折光及び+1次回折光の回折効率は他のいずれの次数
の回折光の回折効率よりも大きく、+1次回折光に対し
て凸レンズ作用を有し、+2次回折光の回折効率が−1
次回折光の回折効率よりも小さいので、屈折型レンズと
組合わせることにより、0次回折光と+1次回折光をそ
れぞれ異なった焦点に集光させることができる。
【0134】また、−1次回折光及び+2次回折光のう
ち、その回折効率が2%以下のものを、他方の回折効率
の1/3以下とすることにより、+2次回折光による影
響の大きさR(+2)と−1次回折光による影響の大き
さR(−1)を共に小さく抑えることができる。
【0135】本発明の第4のホログラムは第7の実施形
態に対応し、+1次回折光の回折効率が50%以上であ
り、0次の回折効率が15%以上であり、−1次回折光
の回折効率が1%以下であり、+1次回折光に対して凸
レンズ作用を有する。すなわち、+1次回折光の回折効
率E(+1)を0次回折光の回折効率E(0)に比べて
明らかに大きくしているので、+2次回折光の回折効率
E(+2)は10%程度あっても特に問題にならない。
特に、−1次回折光の回折効率E(−1)を1%以下と
することにより、+2次回折光による影響の大きさR’
(+2)及び−1次回折光による影響の大きさR’(−
1)を共に小さく抑えることができる。
【0136】本発明の第5のホログラムは図8(a)に
示す第2の実施形態に対応し、ホログラムを構成する格
子の1周期内において、前記ホログラムにより受ける光
学的位相変調量を、前記ホログラム上の位置又は0次回
折光と+1次回折光の位相差に対してグラフ化した場合
に、前記グラフの形状は少なくとも2つの山を有してお
り、前記2つの山のうち一方の前記ホログラム上の位置
方向における幅が他方の幅よりも狭く、前記光学的位相
変調量方向における高さが他方の光学的位相変調量方向
の高さも低く、前記光学的位相変調量方向における高さ
の高い方の山の1つの斜面の前記ホログラム上の位置方
向における幅が前記1周期の略1/2以上であり、前記
光学的位相変調量方向における高さの低い方の山の位置
方向の幅が前記1周期の略1/3以下である。そのた
め、図8(b)に示すように、+1次回折光の回折効率
E(+1)と0次回折光の回折効率E(0)がほぼ等し
いとき、−3次回折光の回折効率E(−3)が−1次回
折光の回折効率E(−1)及び+2次回折光の回折効率
E(+2)よりも大きくなっており、その分+2次回折
光の回折効率E(+2)を減らして2%以下にすること
ができ、+2次回折光による影響の大きさR(+2)を
3.2%という十分に小さな値にすることができる。
【0137】本発明の第6のホログラムは図9(a)に
示す第3の実施形態に対応し、ホログラムを構成する格
子の1周期内において、前記ホログラムにより受ける光
学的位相変調量を、前記ホログラム上の位置又は0次回
折光と+1次回折光の位相差に対してグラフ化した場合
に、前記グラフの形状は前記ホログラム上の位置方向に
順に配列された5段の階段状であり、第1段から第4段
までは順にその高さが高くなり、第5段は前記第4段よ
りも高さが低く、前記第1段及び第5段の前記ホログラ
ム上の位置方向の幅が1周期の略1/10である。その
ため、図9(b)に示すように、+1次回折光の回折効
率E(+1)と0次回折光の回折効率E(0)がほぼ等
しいとき、+2次回折光の回折効率E(+2)を2%以
下に減らすことができる。その結果、+2次回折光によ
る影響の大きさR(+2)を3.1%、−1次回折光に
よる影響の大きさR(−1)を5%という十分に小さな
値にすることができる。
【0138】本発明の第7のホログラムは図13(a)
に示す第5の実施形態に対応し、ホログラムを構成する
格子の1周期内において、前記ホログラムにより受ける
光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位置又は0次
回折光と+1次回折光の位相差に対してグラフ化した場
合に、前記グラフの形状は同じ方向に傾斜した連続した
第1及び第2の斜面を有しており、前記第2の斜面の前
記ホログラム上の位置方向における幅は1周期の略90
%であり、前記第1の斜面の傾斜は前記第2の斜面の傾
斜よりも急である。そのため、図13(b)に示すよう
に、+1次回折光の回折効率E(+1)と0次回折光の
回折効率E(0)がほぼ等しいとき、+3次回折光の回
折効率E(+3)が−1次回折光の回折効率E(−1)
よりも大きくなっており、その分−1次回折光の回折効
率E(−1)は減り、−1次回折光による影響の大きさ
R’(−1)及び+2次回折光による影響の大きさR’
(+2)を5.2%に抑制することができる。
【0139】本発明の第8のホログラムは図14(a)
に示す第6の実施形態に対応し、ホログラムを構成する
格子の1周期内において、前記ホログラムにより受ける
光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位置又は0次
回折光と+1次回折光の位相差に対してグラフ化した場
合に、前記グラフの形状は前記ホログラム上の位置方向
に順に配列された4段の階段状であり、第1段から第4
段まで順にその高さが高くなり、第1段と第2段の段差
及び第3段と第4段の段差はいずれも第2段と第3段の
段差よりも大きく、前記第1段と第2段の段差により光
に与える位相変調量φ2は略0.35πであり、前記第
2段と第3段の段差により光に与える位相変調量φ3と
前記φ2の和が略0.98πである。そのため、図14
(b)に示すように、+1次回折光の回折効率E(+
1)と0次回折光の回折効率E(0)が等しくなるとき
の段差により光に与える位相変調量φ1は0.98π
(光路差では0.49λ、λは波長)である。E(+
1)とE(0)がほぼ等しいとき、−1次回折光の回折
効率E(−1)が2%以下に減り、+2次回折光による
影響の大きさR’(+2)を4.1%、−1次回折光に
よる影響の大きさR’(−1)を6%という小さな値に
することができる。本実施形態において、−1次回折光
の回折効率E(−1)を+2次回折光の回折効率E(+
2)のほぼ1/3以下にすることにより、+2次回折光
による影響の大きさR’(+2)及び−1次回折光によ
る影響の大きさR’(−1)を共に小さく抑えることが
できる。
【0140】本発明の第9のホログラムは図15(a)
に示す第7の実施形態に対応し、ホログラムを構成する
格子の1周期内において、前記ホログラムにより受ける
光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位置又は0次
回折光と+1次回折光の位相差に対してグラフ化した場
合に、前記グラフの形状は前記ホログラム上の位置方向
に順に配列された連続する第1、第2及び第3の3つの
斜面を有し、第3の斜面の前記ホログラム上の位置方向
の幅は1周期の略2/3以上であり、前記第1、第2及
び第3の斜面はそれぞれ同じ方向に傾斜し、前記第2の
斜面の傾斜は前記第1及び第3の斜面の各傾斜よりも急
である。そのため、図15(b)に示すように、+1次
回折光の回折効率E(+1)が60%のとき、0次回折
光の回折効率E(0)は約23%であり、十分な回折効
率が得られることがわかる。すなわち、+1次回折光の
回折効率E(+1)を0次回折光の回折効率E(0)に
比べて明らかに大きくしているので、+2次回折光の回
折効率E(+2)は10%程度あっても特に問題になら
ない。また、−1次回折光の回折効率E(−1)を+2
次回折光の回折効率E(+2)の1/10以下にするこ
とにより、+2次回折光による影響の大きさR’(+
2)及び−1次回折光による影響の大きさR’(−1)
を共に小さく抑えることができる。
【0141】本発明の第10のホログラムは図16
(a)に示す第8の実施形態に対応し、ホログラムを構
成する格子の1周期内において、前記ホログラムにより
受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位置又
は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグラフ化
した場合に、前記グラフの形状は同方向に傾斜した2つ
の不連続な斜面を有し、前記各斜面の前記ホログラム上
の位置方向における幅は、それぞれ1周期の略1/2で
ある。そのため、図16(b)に示すように、+1次回
折光の回折効率E(+1)が55%のとき、0次回折光
の回折効率E(0)は約23%である。すなわち、+1
次回折光の回折効率E(+1)を0次回折光の回折効率
E(0)に比べて明らかに大きくしているので、+2次
回折光の回折効率E(+2)は10%程度あっても特に
問題にならない。また、−1次回折光の回折効率E(−
1)を+2次回折光の回折効率E(+2)の1/10以
下にすることにより、+2次回折光による影響の大きさ
R’(+2)及び−1次回折光による影響の大きさR’
(−1)を共に小さく抑えることができる。
【0142】本発明の第11のホログラムは図17
(a)に示す第9の実施形態に対応し、ホログラムを構
成する格子の1周期内において、前記ホログラムにより
受ける光学的位相変調量を、前記ホログラム上の位置又
は0次回折光と+1次回折光の位相差に対してグラフ化
した場合に、前記グラフの形状は前記ホログラム上の位
置方向に順に配列された4段の階段状であり、第1段か
ら第4段まで順にその高さが高くなり、第1段と第2段
の段差及び第3段と第4段の段差はいずれも第2段と第
3段の段差よりも大きく、前記第1段と第2段の段差に
より光に与える位相変調量φ2は略0.45πであり、
前記第2段と第3段の段差により光に与える位相変調量
φ3と前記φ2の和が略0.62πである。そのため、
図17(b)に示すように、+1次回折光の回折効率E
(+1)が55%のとき、0次回折光の回折効率E
(0)は約20%である。段差φ1は0.62π(光路
差では0.31λ、λは波長)である。すなわち、+1
次回折光の回折効率E(+1)を0次回折光の回折効率
E(0)に比べて明らかに大きくしているので、+2次
回折光の回折効率E(+2)は10%程度あっても特に
問題にならない。また、−1次回折光の回折効率E(−
1)を+2次回折光の回折効率E(+2)の1/10以
下にすることにより、+2次回折光による影響の大きさ
R’(+2)及び−1次回折光による影響の大きさR’
(−1)を共に小さく抑えることができる。
【0143】また、本発明の第1の集光光学系は、少な
くとも屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記
ホログラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側
で、かつ光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点
を作り出し、前記2つの焦点は前記ホログラムレンズに
よる0次回折光及び+1次回折光の焦点であり、前記ホ
ログラムレンズは上記いずれかのホログラムを含む。そ
のため、不要な−1次回折光及び+2次回折光による影
響を十分に抑制した2焦点集光光学系を構成することが
できる。
【0144】また、上記構成において、前記焦点を、そ
れぞれ基板表面から情報記録面までの厚さが異なる複数
種類の情報記録媒体の前記情報記録面上に収束するよう
に設計することにより、基板厚さの異なる複数種類の情
報記録媒体の記録再生が可能な光ディスク装置の光ヘッ
ド装置の光学系として用いることができる。
【0145】本発明の第2の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、前記屈折型レンズは前記ホログラムレンズによる0
次回折光を情報記録媒体の基板表面から厚さt2の位置
に設けられた第1の情報記録面上に光ビームを集光し、
前記ホログラムレンズは前記ホログラムレンズ自身によ
り回折される回折光が前記屈折型レンズを通過した後、
前記基板表面から前記厚さt2よりも厚いt1の位置に
設けられた第2の情報記録面上に光ビームを集光し、前
記ホログラムレンズは上記第1、第2、第5及び第6の
いずれかのホログラムを含む。そのため、上記第1の集
光光学系と同様に、基板厚さの異なる2種類の情報記録
媒体の記録再生が可能な光ディスク装置の光ヘッド装置
の光学系として用いることができる。
【0146】本発明の第3の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、前記屈折型レンズは前記ホログラムレンズによる0
次回折光を情報記録媒体の基板表面から厚さt1の位置
に設けられた第1の情報記録面上に光ビームを集光し、
前記ホログラムレンズは前記ホログラムレンズ自身によ
り回折される回折光が前記屈折型レンズを通過した後、
前記基板表面から前記厚さt1よりも薄いt2の位置に
設けられた第2の情報記録面上に光ビームを集光し、前
記ホログラムレンズは上記第1、第3、第4、第7から
第11のいずれかのホログラムを含む。そのため、上記
第1の集光光学系と同様に、基板厚さの異なる2種類の
情報記録媒体の記録再生が可能な光ディスク装置の光ヘ
ッド装置の光学系として用いることができる。
【0147】本発明の第4の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、前記2つの焦点はそれぞれ開口数が異なり、前記ホ
ログラムレンズは第1から第11のいずれかのホログラ
ムを含む。そのため、上記第1の集光光学系と同様に、
基板厚さの異なる2種類の情報記録媒体の記録再生が可
能な光ディスク装置の光ヘッド装置の光学系として用い
ることができる。特に、+1次回折光を用いて基板厚さ
の厚い情報記録媒体の再生を行い、0次回折光を用いて
基板厚さの薄い情報記録媒体の再生を行う場合に有効で
ある。
【0148】本発明の第5の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、0次回折光が集光される焦点の開口数が+1次回折
光が集光される焦点の開口数よりも大きく、前記ホログ
ラムレンズは上記第1、第2、第5及び第6のいずれか
のホログラムを含む。そのため、上記第4の集光光学系
と同様に、基板厚さの異なる2種類の情報記録媒体の記
録再生が可能な光ディスク装置の光ヘッド装置の光学系
として用いることができる。特に、+1次回折光を用い
て基板厚さの厚い情報記録媒体の再生を行い、0次回折
光を用いて基板厚さの薄い情報記録媒体の再生を行う場
合に有効である。
【0149】上記第5の集光光学系において、前記屈折
型レンズの有効径内に対応する前記ホログラムレンズを
内周部と外周部に分けた場合に、内周部は上記第1、第
2、第5及び第6のいずれかのホログラムであり、+1
次回折光の回折効率を内周部よりも外周部の方が小さく
なるようにすることにより、+1次回折光及び0次回折
光の光量及びそれらの分布を補正することができる。
【0150】または、前記屈折型レンズの有効径内に対
応する前記ホログラムレンズを内周部と外周部に分けた
場合に、内周部は上記第1、第2、第5及び第6のいず
れかのホログラムであり、外周部は格子パターンが形成
されていない領域を設けることにより、同様に、+1次
回折光及び0次回折光の光量及びそれらの分布を補正す
ることができる。
【0151】さらに、上記構成において、前記ホログラ
ムレンズの格子パターンが形成されていない領域の位相
と、格子パターン部の位相の平均値とをぼぼ等しくする
ことにより、格子パターン部を透過した0次回折光の位
相と格子パターンが形成されていない領域を透過した0
次回折光の位相をほぼ同じに合せることができ、屈折型
レンズによる集光性能を向上させることができる。
【0152】本発明の第6の集光光学系は、少なくとも
屈折型レンズとホログラムレンズを具備し、前記ホログ
ラムレンズは前記対物レンズに対して同一の側で、かつ
光軸方向の異なる位置に少なくとも2つの焦点を作り出
し、0次回折光が集光される焦点の開口数が+1次回折
光が集光される焦点の開口数よりも小さく、前記ホログ
ラムレンズは上記第1、第3、第4、第7から第11の
いずれかのホログラムを含む。そのため、上記第4又は
第5の集光光学系と同様に、基板厚さの異なる2種類の
情報記録媒体の記録再生が可能な光ディスク装置の光ヘ
ッド装置の光学系として用いることができる。特に、+
1次回折光を用いて基板厚さの厚い情報記録媒体の再生
を行い、0次回折光を用いて基板厚さの薄い情報記録媒
体の再生を行う場合に有効である。
【0153】上記第6の集光光学系において、前記屈折
型レンズの有効径内に対応する前記ホログラムレンズを
内周部と外周部に分けた場合に、内周部は請求項1、5
〜7、9及び12〜16のいずれかに記載されたホログ
ラムであり、0次回折光の回折効率を内周部よりも外周
部の方が小さなるようにするとにより、+1次回折光及
び0次回折光の光量及びそれらの分布を補正することが
できる。
【0154】上記第1から第6の集光光学系において、
前記屈折型レンズ及び前記ホログラムレンズの相対位置
を固定することにより、ホログラムレンズと屈折型レン
ズの光軸ずれを小さくすることができ、ホログラムレン
ズの+1次回折光の軸外収差をより小さくでき、かつ、
一層の軽量化と低コスト化を図ることもできる。
【0155】また、前記屈折型レンズ表面に前記ホログ
ラムレンズを形成することにより、設計上ホログラムレ
ンズが光軸に対して傾くと収差が発生するような場合
に、ホログラムレンズの光軸に対する収差を抑制するこ
とができる。特に、前記屈折型レンズ面のうち、曲率の
大きな表面に、前記ホログラムレンズを形成することが
有効である。
【0156】また、上記集光光学系を用いた光ヘッド装
置を構成することにより、−1次回折光及び+2次回折
光による影響を抑制した、それぞれ基板厚さの異なる複
数の情報記録媒体にコンパチブルな光ディスク装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光ディスク装
置及びその光ヘッド装置の構成を示す光路図
【図2】(a)はホログラムレンズを凹レンズ型に設計
した第1の実施形態において、+1次回折効を基板厚さ
t2の薄い情報記録媒体51に対して集光する場合を示
す図、(b)は0次光を基板厚さt1の厚い(t1>t
2)情報記録媒体5に対して集光する場合を示す図
【図3】第1の実施形態におけるホログラムレンズを光
軸方向から見た図
【図4】図3の第1の実施形態におけるホログラムレン
ズの光軸に直交する断面図
【図5】サイドローブを説明するための図
【図6】(a)は凹レンズ型ホログラムレンズに関する
従来の鋸歯状回折格子による光の位相変調量を示す図、
(b)は(a)に示す鋸歯状回折格子から得られる回折
効率及び不要な回折光による影響の大きさを示す図
【図7】(a)は凹レンズ型ホログラムレンズに関する
従来の等段差及び等段幅の階段状回折格子による光の位
相変調量を示す図、(b)は(a)に示す階段状回折格
子から得られる回折効率及び不要な回折光による影響の
大きさを示す図
【図8】(a)は第2の実施形態の4つの斜面で構成さ
れた回折格子による光の位相変調量を示す図、(b)は
(a)に示す斜面による回折格子から得られる回折効率
及び不要な回折光による影響の大きさを示す図
【図9】(a)は第3の実施形態の5段の階段状回折格
子による光の位相変調量を示す図、(b)は(a)に示
す階段状回折格子から得られる回折効率及び不要な回折
光による影響の大きさを示す図
【図10】(a)はホログラムレンズを凸レンズ型に設
計した第4の実施形態において、+1次回折効を基板厚
さt2の薄い情報記録媒体51に対して集光する場合を
示す図、(b)は0次光を基板厚さt1の厚い(t1>
t2)情報記録媒体5に対して集光する場合を示す図
【図11】(a)は凸レンズ型ホログラムレンズに関す
る従来の鋸歯状回折格子による光の位相変調量を示す
図、(b)は(a)に示す鋸歯状回折格子から得られる
回折効率及び不要な回折光による影響の大きさを示す図
【図12】(a)は凸レンズ型ホログラムレンズに関す
る従来の等段差及び等段幅の階段状回折格子による光の
位相変調量を示す図、(b)は(a)に示す階段状回折
格子から得られる回折効率及び不要な回折光による影響
の大きさを示す図
【図13】(a)は第5の実施形態の2つの斜面で構成
された回折格子による光の位相変調量を示す図、(b)
は(a)に示す斜面による回折格子から得られる回折効
率及び不要な回折光による影響の大きさを示す図
【図14】(a)は第6の実施形態の4段の階段状回折
格子による光の位相変調量を示す図、(b)は(a)に
示す階段状回折格子から得られる回折効率及び不要な回
折光による影響の大きさを示す図
【図15】(a)は第7の実施形態の3つの斜面で構成
された回折格子による光の位相変調量を示す図、(b)
は(a)に示す斜面による回折格子から得られる回折効
率及び不要な回折光による影響の大きさを示す図
【図16】(a)は第8の実施形態の2つの不連続な斜
面で構成された回折格子による光の位相変調量を示す
図、(b)は(a)に示す斜面による回折格子から得ら
れる回折効率及び不要な回折光による影響の大きさを示
す図
【図17】(a)は第9の実施形態の4段の階段状回折
格子による光の位相変調量を示す図、(b)は(a)に
示す階段状回折格子から得られる回折効率及び不要な回
折光の影響の大きさを示す図
【図18】第10の実施形態における平板上にホログラ
ムレンズを形成する一例を示し、(a)は回折格子の無
い部分または回折格子部の0次回折光の位相を決める仮
想的な面107cを示す図、(b)は格子パターン10
7a部を示す図、(c)は(a)と(b)を組み合わせ
を示す図
【図19】対物レンズ上に直接ホログラムレンズを形成
した第11の実施形態を示す図
【図20】第11の実施形態において、曲面上にホログ
ラムレンズを形成する一例を示し、(a)は回折格子の
無い部分または回折格子部の0次回折光の位相を決める
仮想的な面107cを示す図、(b)は格子パターン1
07a部を示す図、(c)は(a)と(b)を組み合わ
せを示す図
【図21】従来の光ディスク装置及びその光ヘッド装置
の構成を示す光路図
【図22】従来の2焦点集光光学系における不要な回折
光の振る舞いを示す図
【図23】従来のホログラムレンズの回折格子の形状を
示す図
【図24】一般的な回折格子の形成方法を示す工程図
【符号の説明】
2 放射光源 3 光ビーム 4 対物レンズ 5、51 情報記録媒体 71 光検出器 36 ビームスプリッター 107 ホログラムレンズ 110 駆動手段 121 収束レンズ 122 コリメートレンズ

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0次回折光と+1次回折光の回折効率が
    他のいずれの次数の回折光の回折効率よりも大きく、0
    次回折光と+1次回折光の回折効率がいずれも30%以
    上であり、+2次回折光及び−1次回折光のいずれか一
    方の回折効率が2%以下であるホログラム。
  2. 【請求項2】 +1次回折光に対して凹レンズ作用を有
    し、+2次回折光の回折効率が2%以下である請求項1
    記載のホログラム。
  3. 【請求項3】 +2次回折光の回折効率が−3次回折光
    の回折効率より小さい請求項1又は2記載のホログラ
    ム。
  4. 【請求項4】 0次回折光及び+1次回折光の回折効率
    が他のいずれの次数の回折光の回折効率よりも大きく、
    +1次回折光に対して凹レンズ作用を有し、+2次回折
    光の回折効率が−1次回折光の回折効率よりも小さいホ
    ログラム。
  5. 【請求項5】 +1次回折光に対して凸レンズ作用を有
    し、0次回折光と+1次回折光の回折効率はいずれも3
    0%以上であり、−1次回折光の回折効率が2%以下で
    ある請求項1記載のホログラム。
  6. 【請求項6】 −1次回折光の回折効率が+3次回折光
    の回折効率より小さい請求項1又は5記載のホログラ
    ム。
  7. 【請求項7】 0次回折光及び+1次回折光の回折効率
    は他のいずれの次数の回折光の回折効率よりも大きく、
    +1次回折光に対して凸レンズ作用を有し、+2次回折
    光の回折効率が−1次回折光の回折効率よりも小さいホ
    ログラム。
  8. 【請求項8】 −1次回折光及び+2次回折光のうち、
    その回折効率が2%以下のものが、他方の回折効率の1
    /3以下である請求項1から7のいずれかに記載のホロ
    グラム。
  9. 【請求項9】 +1次回折光の回折効率が50%以上で
    あり、0次の回折効率が15%以上であり、−1次回折
    光の回折効率が1%以下であり、+1次回折光に対して
    凸レンズ作用を有するホログラム。
  10. 【請求項10】 ホログラムを構成する格子の1周期内
    において、前記ホログラムにより受ける光学的位相変調
    量を、前記ホログラム上の位置又は0次回折光と+1次
    回折光の位相差に対してグラフ化した場合に、前記グラ
    フの形状は少なくとも2つの山を有しており、前記2つ
    の山のうち一方の前記ホログラム上の位置方向における
    幅が他方の幅よりも狭く、前記光学的位相変調量方向に
    おける高さが他方の光学的位相変調量方向の高さも低
    く、前記光学的位相変調量方向における高さの高い方の
    山の1つの斜面の前記ホログラム上の位置方向における
    幅が前記1周期の略1/2以上であり、前記光学的位相
    変調量方向における高さの低い方の山の位置方向の幅が
    前記1周期の略1/3以下であるホログラム。
  11. 【請求項11】 ホログラムを構成する格子の1周期内
    において、前記ホログラムにより受ける光学的位相変調
    量を、前記ホログラム上の位置又は0次回折光と+1次
    回折光の位相差に対してグラフ化した場合に、前記グラ
    フの形状は前記ホログラム上の位置方向に順に配列され
    た5段の階段状であり、第1段から第4段までは順にそ
    の高さが高くなり、第5段は前記第4段よりも高さが低
    く、前記第1段及び第5段の前記ホログラム上の位置方
    向の幅が1周期の略1/10であるホログラム。
  12. 【請求項12】 ホログラムを構成する格子の1周期内
    において、前記ホログラムにより受ける光学的位相変調
    量を、前記ホログラム上の位置又は0次回折光と+1次
    回折光の位相差に対してグラフ化した場合に、前記グラ
    フの形状は同じ方向に傾斜した連続した第1及び第2の
    斜面を有しており、前記第2の斜面の前記ホログラム上
    の位置方向における幅は1周期の略90%であり、前記
    第1の斜面の傾斜は前記第2の斜面の傾斜よりも急であ
    るホログラム。
  13. 【請求項13】 ホログラムを構成する格子の1周期内
    において、前記ホログラムにより受ける光学的位相変調
    量を、前記ホログラム上の位置又は0次回折光と+1次
    回折光の位相差に対してグラフ化した場合に、前記グラ
    フの形状は前記ホログラム上の位置方向に順に配列され
    た4段の階段状であり、第1段から第4段まで順にその
    高さが高くなり、第1段と第2段の段差及び第3段と第
    4段の段差はいずれも第2段と第3段の段差よりも大き
    く、前記第1段と第2段の段差により光に与える位相変
    調量φ2は略0.35πであり、前記第2段と第3段の
    段差により光に与える位相変調量φ3と前記φ2の和が
    略0.98πであるホログラム。
  14. 【請求項14】 ホログラムを構成する格子の1周期内
    において、前記ホログラムにより受ける光学的位相変調
    量を、前記ホログラム上の位置又は0次回折光と+1次
    回折光の位相差に対してグラフ化した場合に、前記グラ
    フの形状は前記ホログラム上の位置方向に順に配列され
    た連続する第1、第2及び第3の3つの斜面を有し、第
    3の斜面の前記ホログラム上の位置方向の幅は1周期の
    略2/3以上であり、前記第1、第2及び第3の斜面は
    それぞれ同じ方向に傾斜し、前記第2の斜面の傾斜は前
    記第1及び第3の斜面の各傾斜よりも急であるホログラ
    ム。
  15. 【請求項15】 ホログラムを構成する格子の1周期内
    において、前記ホログラムにより受ける光学的位相変調
    量を、前記ホログラム上の位置又は0次回折光と+1次
    回折光の位相差に対してグラフ化した場合に、前記グラ
    フの形状は同方向に傾斜した2つの不連続な斜面を有
    し、前記各斜面の前記ホログラム上の位置方向における
    幅は、それぞれ1周期の略1/2であるホログラム。
  16. 【請求項16】 ホログラムを構成する格子の1周期内
    において、前記ホログラムにより受ける光学的位相変調
    量を、前記ホログラム上の位置又は0次回折光と+1次
    回折光の位相差に対してグラフ化した場合に、前記グラ
    フの形状は前記ホログラム上の位置方向に順に配列され
    た4段の階段状であり、第1段から第4段まで順にその
    高さが高くなり、第1段と第2段の段差及び第3段と第
    4段の段差はいずれも第2段と第3段の段差よりも大き
    く、前記第1段と第2段の段差により光に与える位相変
    調量φ2は略0.45πであり、前記第2段と第3段の
    段差により光に与える位相変調量φ3と前記φ2の和が
    略0.62πであるホログラム。
  17. 【請求項17】 少なくとも屈折型レンズとホログラム
    レンズを具備し、前記ホログラムレンズは前記対物レン
    ズに対して同一の側で、かつ光軸方向の異なる位置に少
    なくとも2つの焦点を作り出し、前記2つの焦点は前記
    ホログラムレンズによる0次回折光及び+1次回折光の
    焦点であり、前記ホログラムレンズは請求項1〜16の
    いずれかに記載されたホログラムを含む集光光学系。
  18. 【請求項18】 前記焦点は、それぞれ基板表面から情
    報記録面までの厚さが異なる複数種類の情報記録媒体の
    前記情報記録面上に収束するように設計されている請求
    項17記載の集光光学系。
  19. 【請求項19】 少なくとも屈折型レンズとホログラム
    レンズを具備し、前記ホログラムレンズは前記対物レン
    ズに対して同一の側で、かつ光軸方向の異なる位置に少
    なくとも2つの焦点を作り出し、前記屈折型レンズは前
    記ホログラムレンズによる0次回折光を情報記録媒体の
    基板表面から厚さt2の位置に設けられた第1の情報記
    録面上に光ビームを集光し、前記ホログラムレンズは前
    記ホログラムレンズ自身により回折される回折光が前記
    屈折型レンズを通過した後、前記基板表面から前記厚さ
    t2よりも厚いt1の位置に設けられた第2の情報記録
    面上に光ビームを集光し、前記ホログラムレンズは請求
    項1〜4、10及び11のいずれかに記載されたホログ
    ラムを含む集光光学系。
  20. 【請求項20】 少なくとも屈折型レンズとホログラム
    レンズを具備し、前記ホログラムレンズは前記対物レン
    ズに対して同一の側で、かつ光軸方向の異なる位置に少
    なくとも2つの焦点を作り出し、前記屈折型レンズは前
    記ホログラムレンズによる0次回折光を情報記録媒体の
    基板表面から厚さt1の位置に設けられた第1の情報記
    録面上に光ビームを集光し、前記ホログラムレンズは前
    記ホログラムレンズ自身により回折される回折光が前記
    屈折型レンズを通過した後、前記基板表面から前記厚さ
    t1よりも薄いt2の位置に設けられた第2の情報記録
    面上に光ビームを集光し、前記ホログラムレンズは請求
    項1、5〜7、9、及び12〜16のいずれかに記載さ
    れたホログラムを含む集光光学系。
  21. 【請求項21】 少なくとも屈折型レンズとホログラム
    レンズを具備し、前記ホログラムレンズは前記対物レン
    ズに対して同一の側で、かつ光軸方向の異なる位置に少
    なくとも2つの焦点を作り出し、前記2つの焦点はそれ
    ぞれ開口数が異なり、前記ホログラムレンズは請求項1
    〜16のいずれかに記載されたホログラムを含む集光光
    学系。
  22. 【請求項22】 少なくとも屈折型レンズとホログラム
    レンズを具備し、前記ホログラムレンズは前記対物レン
    ズに対して同一の側で、かつ光軸方向の異なる位置に少
    なくとも2つの焦点を作り出し、0次回折光が集光され
    る焦点の開口数が+1次回折光が集光される焦点の開口
    数よりも大きく、前記ホログラムレンズは請求項1〜
    4、10及び11のいずれかに記載されたホログラムを
    含む集光光学系。
  23. 【請求項23】 前記屈折型レンズの有効径内に対応す
    る前記ホログラムレンズを内周部と外周部に分けた場合
    に、内周部は請求項1〜4、10及び11のいずれかに
    記載されたホログラムであり、+1次回折光の回折効率
    は内周部よりも外周部の方が小さい請求項22記載の集
    光光学系。
  24. 【請求項24】 前記屈折型レンズの有効径内に対応す
    る前記ホログラムレンズを内周部と外周部に分けた場合
    に、内周部は請求項1〜4、10及び11のいずれかに
    記載されたホログラムであり、外周部は格子パターンが
    形成されていない領域を有する請求項22記載の集光光
    学系。
  25. 【請求項25】 前記ホログラムレンズの格子パターン
    が形成されていない領域の位相と、格子パターン部の位
    相の平均値とがぼぼ等しい請求項24記載の集光光学
    系。
  26. 【請求項26】 少なくとも屈折型レンズとホログラム
    レンズを具備し、前記ホログラムレンズは前記対物レン
    ズに対して同一の側で、かつ光軸方向の異なる位置に少
    なくとも2つの焦点を作り出し、0次回折光が集光され
    る焦点の開口数が+1次回折光が集光される焦点の開口
    数よりも小さく、前記ホログラムレンズは請求項1、5
    〜7、9及び12〜16のいずれかに記載されたホログ
    ラムを含む集光光学系。
  27. 【請求項27】 前記屈折型レンズの有効径内に対応す
    る前記ホログラムレンズを内周部と外周部に分けた場合
    に、内周部は請求項1、5〜7、9及び12〜16のい
    ずれかに記載されたホログラムであり、0次回折光の回
    折効率は内周部よりも外周部の方が小さい請求項26記
    載の集光光学系。
  28. 【請求項28】 前記屈折型レンズ及び前記ホログラム
    レンズの相対位置を固定した請求項17から27のいず
    れかに記載の集光光学系。
  29. 【請求項29】 前記屈折型レンズ表面に前記ホログラ
    ムレンズを形成した請求項28記載の集光光学系。
  30. 【請求項30】 前記屈折型レンズ面のうち、曲率の大
    きな表面に、前記ホログラムレンズを形成した請求項2
    9記載の集光光学系。
  31. 【請求項31】 放射光源と、前記放射光源から出射さ
    れる光ビームを情報記録媒体上へ微小スポットとして収
    束させる集光光学系と、前記情報記録媒体により反射さ
    れた光ビームを受け、その光量に応じて電気信号を出力
    する光検出器を具備し、前記集光光学系は請求項17〜
    29のいずれかに記載されたものである光ヘッド装置。
  32. 【請求項32】 情報記録媒体の駆動機構と、請求項3
    0記載の光ヘッド装置と、前記光ヘッド装置より得られ
    る信号を用いたフォーカスサーボ機構及びトラッキング
    サーボ機構と、前記サーボ機構を駆動するための制御回
    路と、電源又は外部電源との接続部とを具備する光ディ
    スク装置。
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