JP2004030835A - 収差補正光学素子及び光学ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1群2枚の接合レンズからなり負の屈折力を有し光源1側に配置される前群8と、1群2枚の接合レンズからなり正の屈折力を有し光ディスク106側に配置される後群9とからなり、これら各群8,9を構成するレンズは、それぞれ光源1側が負の屈折力を有し光ディスク106側が正の屈折力を有しており、前群8と後群9との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを行う光学ピックアップ装置の光学系上に設置されてこの光学系における収差補正を行う収差補正光学素子及びこのような収差補正光学素子を備えて光記録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを行う光学ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開2000−131603公報、特開2000−19388公報、または、特開2002−40324公報に記載されているように、光源として青紫色レーザ(発振波長:405nm前後)を用い、高開口数(NA:0.85程度)の対物レンズを備えた光学ピックアップ装置が提案されている。そして、このような光学ピックアップ装置により情報信号の書き込みまたは読出しをなされる光記録媒体として、いわゆる相変化型光ディスクが提案されている。
【0003】
このような、青紫色レーザを光源として用い、高開口数の対物レンズを介して相変化型光ディスクに対して情報信号の書込みまたは読出しを行う光ディスクシステムにおいては、高開口数の対物レンズを使うため、従来より使用されているいわゆる「CD」(登録商標)や「DVD」(登録商標)などのディスクシステムとは異なり、光ディスクに対して、厚さ0.1mm程度のカバー層の側から情報信号の書込み及び読出しを行う。
【0004】
また、光ディスクにおける情報の記録容量を上げるため、図13に示すように、片面側に2層以上の記録層101,102が設けられた光ディスクも提案されている。片面側に複数層の記録層101,102が設けられた光ディスクにおいては、情報信号の書込み及び読出し中において、書込みまたは読出しを行う箇所は、頻繁に、各記録層101,102間を移動する必要がある。
【0005】
このような片面2層の光ディスクにおいては、カバー層(第1層)103の表面部より第1記録層101までの厚み(すなわち、カバー層103の厚み:90μm)と、カバー層103の表面部より第2記録層102までの厚み(すなわち、カバー層103及び第2層104の厚み:110μm)の差(すなわち、第2層104の厚み)は、20μmとなっている。なお、基板層105の厚みは、1.09mmとなっている。
【0006】
そして、このような光ディスクの製造上、カバー層、第2層とも、厚さのばらつきは避けられない。例えば、各層とも、±10μmの厚さのばらつきが生じるとすると、80μm乃至120μmの範囲の膜厚変動を考慮する必要がある。このような膜厚の変動が生ずると、光学ピックアップ装置の光学系において球面収差が発生するため、情報信号の良好な記録再生信号を得るためには、該光学系における球面収差の補正が必要になる。
【0007】
また、このようなディスクシステムにおいて光源として使用される半導体レーザは、駆動電流の強弱によって、僅かながら発振波長が変動する。また、このような半導体レーザにおいては、光記録媒体から半導体レーザへの戻り光により発生するノイズを低減させるため、情報信号の読出し時には、半導体レーザを高周波で変調させて駆動している(いわゆる高周波重畳)。さらに、半導体レーザにおいては、情報信号の書込み時には、記録する信号の長さに応じて、パルス光を発生させる。半導体レーザにおいては、このような高周波重畳やパルス発光により、発振波長に数nm程度の変動が生じる可能性がある。
【0008】
半導体レーザにおける発振波長に変動が生ずると、光学ピックアップ装置の光学系において色収差が発生するため、良好な記録再生信号を得るためには、該光学系における色収差の補正が必要になる。
【0009】
つまり、カバー層及び第2層の厚さが80μm乃至120μm(設計中心100μm、±20μm)の範囲、光源の発振波長が403nm乃至407nm(設計中心405nm、±2nm)の範囲において、情報信号の良好な書込み及び読出しを行うためには、これらの変動により発生する球面収差及び色収差を補正する必要がある。
【0010】
従来、光学ピックアップ装置の光学系における球面収差補正や色収差補正については、特開2000−131603公報、特開2000−19388公報及び特開2002−40324公報等に記載されている。
【0011】
特開2000−131603公報には、主に球面収差の補正を行う光学素子が記載されている。この公報では、色収差の補正についても言及されてはいるが(〔課題を解決するための手段〕の〔0040〕)、これは、2群2枚以上で構成された対物レンズの群間の間隔を変えることで色収差を補正するというものであり、収差補正用の光学素子のみでは、対物レンズによって発生する色収差を補正することはできない。また、あらかじめ光源の波長に合わせた調整を必要とするため、光ディスクからの情報信号の読出しや書込みの動作中に生じる光源の波長変動には対応できない。
【0012】
また、特開2000−19388公報には、色収差の補正を行う光学素子が記載されているが、この光学素子では、球面収差の補正はできない。また、この公報においては、収差補正用の光学素子は、対物レンズとともにアクチュエータに搭載され、トラッキング方向に駆動されると記述されている(〔課題を解決するための手段〕の〔0019〕乃至〔0021〕)。対物レンズと収差補正光学素子とを一体的にアクチュエータに搭載した場合、光学ピックアップ装置における可動部が大きく重くなり、さらに、この可動部を制御駆動する制御駆動装置も大型化する。このため、光学ピックアップ装置全体の小型化が困難になる。
【0013】
そして、特開2002−40324公報には、2群4枚の構成で、主に光源の波長の変動、広がりによる色収差を補正する光学素子が記載されている。この光学素子では、膜厚(ディスク厚)の変動によって発生する球面収差や、2層以上の記録層を持つディスクのカバー層の厚さの違いによる球面収差を補正することはできない。すなわち、この光学素子は、第1群、第2群ともに、ほとんど屈折力を持たず、第1群と第2群との間隔が固定されているからである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来の光学ピックアップ装置の光学系においては、球面収差と色収差との両方を同時に補正できる収差補正光学素子については提案されていない。
【0015】
したがって、上述のような従来の収差補正光学素子によって、光学ピックアップ装置の光学系における球面収差及び色収差の両方を補正しようとすると、図14に示すように、図示しない光源から対物レンズ107に至る光学系上に、球面収差補正光学素子109及び色収差補正光学素子110をそれぞれ別体として配置しなければならない。
【0016】
そして、この光学ピックアップ装置を備えて構成される光ディスク装置の薄型化、小型化のためには、光学ピックアップ装置の光学系は、光源からの光路を光ディスク106に平行なものとし、対物レンズ107の直前で、立ち上げミラー108等の光学素子によって90°偏向させる光学系とする必要がある。そのため、立ち上げミラー108等の光学素子を配置できるように、球面収差補正光学素子109と対物レンズ107との間の間隔が十分に確保されるようになっている。
【0017】
すなわち、球面収差補正光学素子109は、立ち上げミラー108よりも光源側に配置されており、固定して支持されている。そして、対物レンズ107は、2軸アクチュエータ111により、2軸方向、すなわち、対物レンズ107の光軸方向(フォーカス方向)及び光ディスク106の径方向(トラッキング方向)に移動操作可能に支持される。
【0018】
ところが、色収差補正光学素子110については、対物レンズ107とともに移動操作されるように、アクチュエータ111に搭載されていなければならなかった。すなわち、色収差補正光学素子110については、対物レンズ107と別体にしてアクチュエータ111を薄型化し、光学ピックアップ装置全体の小型化を図ることができず、そのため、光ディスク装置の薄型化、小型化を図ることもできなかった。
【0019】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、膜厚の変動によって発生する球面収差のみならず、多層ディスクにおける各記録層間でのカバー層の厚さの違いによって生じる大きな球面収差及び色収差の両方を同時に補正でき、かつ、対物レンズと別体にして装置の小型化を図ることができる収差補正光学素子及びこのような収差補正光学素子を用いて構成される光学ピックアップ装置を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係る収差補正光学素子は、光記録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを行う光学ピックアップ装置の光学系上に設置されてこの光学系における収差補正を行う収差補正光学素子であって、1群2枚の接合レンズからなり負の屈折力を有し光源側に配置される前群と、1群2枚の接合レンズからなり正の屈折力を有し光記録媒体側に配置される後群とからなり、これら各群を構成するレンズは、それぞれ光源側が負の屈折力を有し光記録媒体側が正の屈折力を有しており、前群と後群との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行うことを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る収差補正光学素子においては、前群と後群との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行うことができる。また、これら前群及び後群は、光学ピックアップ装置の他の光学素子、例えば、対物レンズと一体的に配置される必要がない。
【0022】
また、本発明に係る光学ピックアップ装置は、光源と、アクチュエータによって移動操作可能に支持され光源の発する光束を光記録媒体の信号記録面上に集光させる対物レンズと、光源の発する光束を対物レンズに入射させる前に略々90°偏向させて該対物レンズに導く光学系を構成する光学素子と、この光学素子が構成する光学系上に設置されこの光学系における収差補正を行う収差補正光学素子とを備え、収差補正光学素子は、1群2枚の接合レンズからなり負の屈折力を有し光源側に配置される前群と、1群2枚の接合レンズからなり正の屈折力を有し光記録媒体側に配置される後群とからなり、これら各群を構成するレンズがそれぞれ光源側が負の屈折力を有し光記録媒体側が正の屈折力を有しており、前群と後群との間隔を変えることにより球面収差及び色収差の補正を同時に行うことを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る光学ピックアップ装置においては、収差補正光学素子の前群と後群との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行うことができる。また、これら前群及び後群は、対物レンズと一体的に配置される必要がない。そのため、アクチュエータは、対物レンズのみを支持すればよいので、大型化を招来せずに、この対物レンズを高速に移動操作できるものとすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0025】
本発明に係る収差補正光学素子は、図1及び図2に示すように、光記録媒体となる光ディスク106に対する情報信号の書込みまたは読出しを行う光学ピックアップ装置の光学系上に設置され、この光学系における収差補正を行う収差補正光学素子である。
【0026】
光学ピックアップ装置は、光源となる半導体レーザ1を有している。この半導体レーザ1から発せられた拡散光束は、コリメータレンズ2に入射され、平行光束となされる。コリメータレンズ2を経た平行光束は、回折格子3及び波長板4を経て、ビームスプリッタ5に入射される。このビームスプリッタ5において、図2に示すように、光束の一部は反射されて偏向し、光量モニタ用受光素子6に入射し、光束の残部は透過する。ビームスプリッタ5を透過した光束は、収差補正光学素子7に入射する。
【0027】
この収差補正光学素子7は、1群2枚の接合レンズからなり負の屈折力を有し光源側に配置される前群8と、1群2枚の接合レンズからなり正の屈折力を有し光記録媒体側に配置される後群9とから構成されている。
【0028】
各群8,9を構成するレンズは、それぞれ、光源側のレンズ8a,9aが負の屈折力を有し、光記録媒体側のレンズ8b,9bが正の屈折力を有している。そして、この収差補正光学素子7においては、前群8と後群9との間隔を変えることにより、この光学系における球面収差及び色収差の補正を同時に行うことができる。
【0029】
なお、この収差補正光学素子7においては、後群9は固定して支持されており、前群8が光軸方向に移動操作可能となっていることにより、これら前群及び後群8,9間の距離が調整できるようになっている。
【0030】
収差補正光学素子7を透過した光束は、波長板10を透過し、図1に示すように、立ち上げミラー11によって反射されて90°偏向され、対物レンズ12に入射する。この対物レンズ12は、2軸アクチュエータ13によって、移動操作可能に支持されている。2軸アクチュエータ13は、対物レンズ12を保持しているレンズ枠を移動可能に支持するとともに、磁気回路部を有し、この磁気回路部が発生する駆動力によって、対物レンズ12を、2軸方向、すなわち、対物レンズ12の光軸方向(フォーカス方向)及び光ディスク106の径方向(トラッキング方向)に、後述するフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて移動操作する。
【0031】
対物レンズ12に入射された光束は、光ディスク106の信号記録面上に集光される。そして、この対物レンズ12が2軸アクチュエータ13によって移動操作されることにより、この対物レンズ12から出射された光束の集光点は、常に、光ディスク106の信号記録面上の記録トラック上に位置することとなる。
【0032】
そして、光ディスク106の信号記録面において反射された光束は、対物レンズ12、立ち上げミラー11、波長板10及び収差補正光学素子7の順に元の光路を戻り、ビームスプリッタ5まで戻る。
【0033】
このビームスプリッタ5に戻った光束は、図2に示すように、このビームスプリッタ5において反射されて偏向し、折返しミラー14によって反射されて偏向し、集光レンズ15を経て、各種信号用受光素子16によって受光される。この各種信号用受光素子16からは、上述のフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及び読出し信号等が出力される。フォーカスエラー信号とは、対物レンズ12による集光点から信号記録面までの、対物レンズ12の光軸に平行な方向の距離に対応した信号である。また、トラッキングエラー信号とは、対物レンズ12による集光点から信号記録面上の記録トラックまでの、光ディスク106の径方向に平行な方向の距離に対応した信号である。
【0034】
ここで、収差補正光学素子7を構成するレンズの設計例を示す。すなわち、第1の設計例におけるレンズデータを、〔表1〕及び〔表2〕に示し、第2の設計例におけるレンズデータを、〔表3〕乃至〔表4〕に示し、第3の設計例におけるレンズデータを、〔表5〕乃至〔表6〕に示す。なお、第1乃至第3の3つの設計例ともにおいて、対物レンズ12は、共通のものを用いている。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
そして、〔表2〕、〔表4〕及び〔表6〕中の非球面係数は以下の式により非球面形状を表現する。
【0042】
X=(Y2/R)/(1+(1−(1+K)(Y/R)2)1/2)+AY4+BY6+CY8+DY10
ただし、X、Y、R、K、A、B、C、Dは、以下の量を示している。
【0043】
X:面頂点からの深さ
Y:光軸からの高さ
R:曲率半径
K:円錐定数
A:Y4項の非球面係数
B:Y6項の非球面係数
C:Y8項の非球面係数
D:Y10項の非球面係数
そして、以下の〔表7〕に、収差補正光学素子7の第1の設計例乃至第3の設計例における、前群8の負の屈折力を有するレンズ8aのd線におけるアッベ数νdfn、前群8の正の屈折力を有するレンズ8bのd線におけるアッベ数νdfp、後群9の負の屈折力を有するレンズ9aのd線におけるアッベ数νdrn、後群9の正の屈折力を有するレンズ9bのd線におけるアッベ数νdrp、前群8における各レンズ8a,8bのアッベ数の比νdfn/νdfp、後群9における各レンズ9a,9bのアッベ数の比νdrn/νdrp、及び、前群8における各レンズ8a,8bのアッベ数の和と後群9における各レンズ9a,9bのアッベ数の和との比(νdfn+νdfp)/(νdrn+νdrp)を示す。
【0044】
【表7】
【0045】
第1の設計例における収差補正光学素子7及び対物レンズ12の形状は、図3に示す形状となる。第2の設計例における収差補正光学素子7及び対物レンズ12の形状は、図4に示す形状となる。また、第3の設計例における収差補正光学素子7及び対物レンズ12の形状は、図5に示す形状となる。なお、これら図3乃至図5においては、波長板や立ち上げミラー等の光学素子は省略して示している。
【0046】
そして、これら第1乃至で第3の設計例に共通の対物レンズ12の収差図を、図6に示す。非点収差、歪曲収差の図6中における最大像高は、0.03mmである。
【0047】
以下、上述のような本発明に係る収差補正光学素子及びこの収差補正光学素子を備えた光学ピックアップ装置の動作及び作用について説明する。
【0048】
図3、図4及び図5に示すように、本発明に係る収差補正光学素子7は、2群4枚のレンズ8a,8b,9a,9bで構成される。前群8は、光源側から順に、光源側に凸面を向けた負メニスカスレンズ8aと光源側に凸面を向けた正メニスカスレンズ8bとからなる接合レンズ群であり、後群9は、対物レンズ12側に強い屈折面を向けた負レンズ9aと両凸正レンズ9bとからなる接合レンズ群である。
【0049】
この収差補正光学素子7には、光源側から概ね平行な光束が入射する。光ディスクにおけるカバー層の膜厚が設計値通りの100μmであるときは、収差補正光学素子7からは、概ね平行な光束が出射し、対物レンズ12へ入射する。カバー層の膜厚の変動により生じる球面収差に対しては、後群9から対物レンズ12までの間隔を一定に保ったまま、前群8を、図3、図4及び図5中矢印で示すように、光軸上で前後に移動させて補正する。
【0050】
前群8と後群9との間隔を変えて収差補正光学素子7の合成焦点距離を変化させることで、対物レンズ12に入射する光束は、平行光束から、発散光束、もしくは集光光束となる。これにより、カバー層の膜厚の変動によって生じる球面収差に対して逆方向の球面収差が対物レンズ12において発生し、光学系全体としては球面収差が補正される。
【0051】
球面収差の発生量は、前群8の移動量で決まり、また、カバー層の膜厚の変動により生じる球面収差の発生量は、カバー層の膜厚によって決まるため、カバー層の膜厚変動量と前群8の移動量(前群8と後群9との間隔d3)とは、以下の〔表8〕、〔表9〕及び〔表10〕で示すような関係にある。第1の設計例における場合を〔表8〕に示し、第2の設計例における場合を〔表9〕に示し、第3の設計例における場合を〔表10〕に示している。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
光源の発光波長の変動によって対物レンズ12で発生する色収差に関しては、異なるアッベ数の硝材で構成した接合レンズにおいて、対物レンズ12とは逆の色収差を発生させることにより補正している。前群8は、負の屈折力を持つため、正、負レンズのアッベ数の差を小さくして色収差を補正している。後群9は、正の屈折力を持つため、正、負レンズのアッベ数の差が大きい組み合わせにして色収差を補正している。さらに、負の屈折力を有する前群8の平均のアッベ数が、正の屈折力を有する後群9の平均のアッベ数よりも小さくなるようにすることで、収差補正光学素子全体として、色収差を最適に補正している。
【0056】
前群8の負レンズ8aのd線におけるアッベ数をνdfn、前群8の正レンズ8bのd線におけるアッベ数をνdfp、後群9の負レンズ9aのd線におけるアッベ数をνdrn、後群9の正レンズ9bのd線におけるアッベ数をνdrpとしたとき、前群8については、νdfnとνdfpとの比(νdfn/νdfp)が上限値0.85を超えると色収差が補正不足となり、下限値0.61を下回ると色収差の補正が過剰になる。すなわち、以下の関係が必要となる。
【0057】
0.61<νdfn/νdfp<0.85
そして、後群9については、νdrnとνdrpとの比(νdrn/νdrp)が上限値0.48を超えると色収差が補正不足となり、下限値0.34を下回ると色収差の補正が過剰になる。すなわち、以下の関係が必要となる。
【0058】
0.34<νdrn/νdrp<0.48
前群8及び後群9については、各群8,9における各レンズ8a,8b、9a,9bのアッベ数の和の比((νdfn+νdfp)/(νdrn+νdrp))が上限値0.83を超えると色収差が補正不足となり、下限値0.67を下回ると色収差の補正が過剰になる。すなわち、以下の関係が必要となる。
【0059】
0.67<(νdfn+νdfp)/(νdrn+νdrp)<0.83
そして、第1乃至第3の設計例における収差補正光学素子7の有無による波面収差の違い、すなわち、収差補正光学素子7によって補正された波面収差の量を、図7乃至図12に示す。第1の設計例について図7及び図8が示し、第2の設計例について図9及び図10が示し、第3の設計例について図11及び図12が示している。また、図7、図9及び図11は、それぞれ第1の設計例、第2の設計例及び第3の設計例においてカバー層の膜厚変動によって発生する球面収差が補正された結果を示し、図8、図10及び図12は、それぞれ第1の設計例、第2の設計例及び第3の設計例において光源の発光波長の変動によって発生する色収差が補正された結果を示す。
【0060】
図7、図9及び図11において、一点鎖線は、対物レンズ12のみの状態でカバー層の膜厚変動が生じた場合の波面収差量で、実線が、本発明に係る収差補正光学素子7による収差補正を行った場合の波面収差量である。
【0061】
これら図7、図9及び図11に示すように、±20μmの膜厚変動に対して、対物レンズ12のみの場合には、波面収差が0.16λ(rms)を超えているのに対し、本発明に係る収差補正光学素子を用いて球面収差の補正を行った場合の波面収差は、0.02λ(rms)以下となっている。
【0062】
また、図8、図10、図12において、一点鎖線は、対物レンズ12のみの状態で光源の発光波長の変動が生じた場合の波面収差量で、実線が、本発明に係る収差補正光学素子7による収差補正を行った場合の波面収差量である。
【0063】
これら図8、図10及び図12に示すように、±1nmの発光波長の変動に対して、対物レンズ12のみの場合には、波面収差が0.07λ(rms)程度であるのに対し、本発明に係る収差補正光学素子を用いて球面収差の補正を行った場合の波面収差は、0.02λ(rms)以下となっている。
【0064】
これらの結果から、本発明に係る収差補正光学素子は、光ディスクにおけるカバー層の膜厚変動で生じる球面収差と、光源の発光波長の変動により生じる色収差との両方を補正することができ、小型、かつ、薄型の2軸アクチュエータを有する光学ピックアップ装置の実現や、光ディスク装置の小型化を可能とするものである。すなわち、本発明に係る光学ピックアップ装置においては、図1に示すように、2軸アクチュエータ13には、対物レンズ12のみを搭載し、さらに、対物レンズ12と収差補正光学素子7との間に、立ち上げミラー11等の光学素子を配置することができるため、2軸アクチュエータ13や光ディスク装置の小型化、薄型化を実現できるものである。
【0065】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る収差補正光学素子においては、前群と後群との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行うことができるため、光学ピックアップ装置の光学系における部品点数の削減を図ることができる。
【0066】
また、本発明に係る光学ピックアップ装置においては、収差補正光学素子の前群と後群との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行うことができる。また、これら前群及び後群は、対物レンズと一体的に配置される必要がない。そのため、アクチュエータは、対物レンズのみを支持すればよいので、可動部が軽量化され、大型化を招来せずに、この対物レンズを高速に移動操作できるものとすることができ、高速の記録再生動作が可能となる。
【0067】
すなわち、本発明は、膜厚の変動によって発生する球面収差のみならず、多層ディスクにおける各記録層間でのカバー層の厚さの違いによって生じる大きな球面収差及び色収差の両方を同時に補正でき、かつ、対物レンズと別体にして装置の小型化を図ることができる収差補正光学素子及びこのような収差補正光学素子を用いて構成される光学ピックアップ装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る収差補正光学素子を備えた本発明に係る光学ピックアップ装置の光学系の構成を示す側面図である。
【図2】上記光学ピックアップ装置の光学系の構成を示す平面図である。
【図3】上記収差補正光学素子の第1の設計例における形状を示す側面図である。
【図4】上記収差補正光学素子の第2の設計例における形状を示す側面図である。
【図5】上記収差補正光学素子の第3の設計例における形状を示す側面図である。
【図6】上記光学ピックアップ装置の対物レンズの収差を示すグラフである。
【図7】上記収差補正光学素子の第1の設計例における球面収差の補正状態を示すグラフである。
【図8】上記収差補正光学素子の第1の設計例における色収差の補正状態を示すグラフである。
【図9】上記収差補正光学素子の第2の設計例における球面収差の補正状態を示すグラフである。
【図10】上記収差補正光学素子の第2の設計例における色収差の補正状態を示すグラフである。
【図11】上記収差補正光学素子の第3の設計例における球面収差の補正状態を示すグラフである。
【図12】上記収差補正光学素子の第3の設計例における色収差の補正状態を示すグラフである。
【図13】光記録媒体である光ディスクの構成を示す要部断面図である。
【図14】従来の収差補正光学素子を備えた光学ピックアップ装置の光学系の要部の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ、7 収差補正光学素子、8 前群、8a 光源側のレンズ、8b 光記録媒体側のレンズ、9 後群、9a 光源側のレンズ、9b 光記録媒体側のレンズ、11 立ち上げミラー、12 対物レンズ、13 2軸アクチュエータ、106 光ディスク
Claims (8)
- 光記録媒体に対する情報信号の書込みまたは読出しを行う光学ピックアップ装置の光学系上に設置されてこの光学系における収差補正を行う収差補正光学素子であって、
1群2枚の接合レンズからなり負の屈折力を有し光源側に配置される前群と、1群2枚の接合レンズからなり正の屈折力を有し光記録媒体側に配置される後群とからなり、
上記各群を構成するレンズは、それぞれ、光源側が負の屈折力を有し、光記録媒体側が正の屈折力を有しており、
上記前群と上記後群との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行う
ことを特徴とする収差補正光学素子。 - 上記前群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfn、上記前群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfpとしたとき、以下の関係が成立することを特徴とする請求項1記載の収差補正光学素子。
0.61<νdfn/νdfp<0.85 - 上記後群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrn、上記後群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrpとしたとき、以下の関係が成立することを特徴とする請求項1記載の収差補正光学素子。
0.34<νdrn/νdrp<0.48 - 上記前群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfn、上記前群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfp、上記後群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrn、上記後群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrpとしたとき、以下の関係が成立することを特徴とする請求項1記載の収差補正光学素子。
0.67<(νdfn+νdfp)/(νdrn+νdrp)<0.83 - 光源と、
アクチュエータによって移動操作可能に支持され、上記光源の発する光束を光記録媒体の信号記録面上に集光させる対物レンズと、
上記光源の発する光束を、上記対物レンズに入射させる前に略々90°偏向させて、該対物レンズに導く光学系を構成する光学素子と、
上記光学素子が構成する光学系上に設置され、この光学系における収差補正を行う収差補正光学素子と
を備え、
上記収差補正光学素子は、1群2枚の接合レンズからなり負の屈折力を有し光源側に配置される前群と、1群2枚の接合レンズからなり正の屈折力を有し光記録媒体側に配置される後群とからなり、これら各群を構成するレンズが、それぞれ、上記光源側が負の屈折力を有し、上記光記録媒体側が正の屈折力を有しており、上記前群と上記後群との間隔を変えることにより、球面収差及び色収差の補正を同時に行う
ことを特徴とする光学ピックアップ装置。 - 上記収差補正光学素子における前群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfn、上記前群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfpとしたとき、以下の関係が成立することを特徴とする請求項5記載の光学ピックアップ装置。
0.61<νdfn/νdfp<0.85 - 上記収差補正光学素子における後群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrn、上記後群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrpとしたとき、以下の関係が成立することを特徴とする請求項5記載の光学ピックアップ装置。
0.34<νdrn/νdrp<0.48 - 上記収差補正光学素子における前群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfn、上記前群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdfp、上記後群の負の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrn、上記後群の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数をνdrpとしたとき、以下の関係が成立することを特徴とする請求項5記載の光学ピックアップ装置。
0.67<(νdfn+νdfp)/(νdrn+νdrp)<0.83
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