JP3959681B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光ディスク等の記録媒体に対して半導体レーザなどの光源からの光束を照射し、記録媒体の記録面に情報を書込んで記録し、あるいは該記録媒体の記録面に書き込まれた情報を再生する光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録の分野においては、光学情報記録方式に関する研究が各所で進められている。この光学情報記録方式は、非接触で記録再生が行えること、再生専用型や追記型,書き換え可能型のそれぞれのメモリ形態に対応できること等の数々の利点を有し、安価な大容量メディアを実現し得るものとして、産業用から民生用まで幅広い用途が考えられている。
【0003】
これら光学情報記録方式では、ディスク状の記録媒体である光ディスクが採用され、テープ状の記録媒体のようなシーケンシャルなアクセスに限られず、ランダムアクセスが可能である利点も有している。光ディスク装置の最近の流れとしては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの120mm径ディスクのように既にデファクトスタンダードとなった形状の光ディスクにおいて単位面積当りの情報記録容量を増やす方向と、情報記録量を減らさずに(むしろ増やす方向に)光ディスク、ならびに光ディスク再生装置の大きさを小さくする方向との2つの座標軸が挙げられ、近年盛んに研究が行われている。
【0004】
単位面積当りの情報記録容量を増やす方向としては、光源の波長を短波長化したり、対物レンズの開口数NA(Numerical Aparture)を大きくするといった方法が挙げられる。光源の短波長化については、近年の青色レーザの出現により大きな飛躍を遂げたが、さらなる短波長化に際しては光学部品の吸収が問題となることなど頭打ちの状態にある。一方、レンズNAの増加についてはレンズ設計により高NAのレンズ設計は可能であるが、光ディスクの記録面を覆う光透過層の厚み誤差による球面収差、ならびにディスクのチルトによるコマ収差の影響が大きくなるなどの課題がある。なお、光透過層は必ずしもガラスを材料とはしていないけれども、本明細書では、「カバーガラス」と呼ぶこととする。
【0005】
後者のコマ収差の影響についてはカバーガラスの厚みを薄くすることで影響を逃れることができる。前者のカバーガラスの厚み誤差については、5μm程度の厚み誤差があると、対物レンズを光軸方向に移動させるアクチュエータによるフォーカスサーボだけではスポットが絞れなくなるため、別途、収差補償の手法を確立する必要がある。
【0006】
図11は、このような球面収差補償を行う従来例を示す。この従来例は、特開平11−259893号公報に図1として開示されているものに基づく。以後、この従来例を「従来例1」と呼ぶ。半導体レーザ1からの光は回折格子2と、光分岐素子3とを通過した後、コリメートレンズ4により平行光束化され、λ/4板5にて円偏光とされた後に、2枚組み対物レンズ6で集光されてカバーガラス7を有する記録媒体8上に集光される。なお、対物レンズ6には、フォーカスおよびトラッキングの調整用に、対物レンズ用2軸アクチュエータ9が設けられている。その後、記録媒体8から反射した信号光は光分岐素子3にて分岐され、反射光は入射側が円筒レンズで、出射側が凹レンズとなる複合レンズ10によって受光素子11上に集光され、記録信号ならびにサーボ信号が読取られる。ここではコリメートレンズ4を、コリメートレンズ用アクチュエータ12を用い、カバーガラス7の厚みに応じて光軸方向に移動させることで、カバーガラス7の厚み誤差に起因する球面収差を低く抑えることが可能となる。
【0007】
なお、従来例1の[0066]段落等には、対物レンズの開口数NAを、DVDに必要な0.65程度よりも大きくする旨が記載され、[0078]段落等には、対物レンズの開口数NAを0.85以上とすることが記載されている。
【0008】
図12は、従来例1とは別の従来例を示す。この従来例は、特開平5−266511号公報に図1として開示されているものに基づく。以後、この従来例を「従来例2」と呼ぶ。半導体レーザとコリメートレンズなどの組合わせにより平行化された光が2枚のレンズ14,15でビーム径を拡大するビーム拡大光学系を通る。光は、ビーム拡大光学系を通った後、4群のレンズからなる対物レンズ16によってカバーガラス7を有する記録媒体8上に集光される。なお、記録媒体7から反射された光は、従来例1と同様に、図示しない光分岐素子にて分岐され受光素子にて記録信号ならびにサーボ信号が読みとられるものと推察される。
【0009】
従来例2では、ビーム拡大光学系のレンズ14,15の一方を、移動機構17でカバーガラス7の厚みに応じて光軸方向に移動させることで、カバーガラス7の厚み誤差に起因する球面収差を低く抑えることが可能となる。移動機構17は、データ読取り手段18によって記録媒体8の表面から読取られるレンズ間補正間隔データに応答して、変換/駆動を行う手段19によって制御される。なお、図に見られるようにビーム拡大光学系のレンズ14,15の間隔は狭く、レンズ14、15による光束径の拡大率も小さいものとなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1の光学系は、コリメートレンズ4を用いて球面収差補償を行うために、従来部品の使用という点で部品点数削減といったメリットがある一方で、コリメートレンズ4はホルダを含めるとサイズならびに重量が非常に重くなってしまい、消費電力の点から図11のような電磁式の駆動には不向きであるというデメリットが考えられる。
【0011】
一方、従来例2の光学系は、図12に見られるようにビーム拡大率が小さいビーム拡大光学系を用いて球面収差補償を行う構成となっており、ビーム径拡光学系のレンズ14,15間の間隔が短いために光ピックアップ装置を小型化し易いというメリットがある一方で、実施例1において後述するように、拡大率の低いビーム拡大光学系では波面収差が使用するレンズ等の光学素子のシフト・チルト誤差に影響を受け易くなるので、実装精度が要求され、低コストでの量産が難しいというデメリットが考えられる。
【0012】
前述のように、記録媒体8である光ディスクは、記録面の保護などの理由によって光透過層としてのカバーガラス7を有しており、カバーガラス7を通して光を照射することにより記録・再生が行われる。ここでカバーガラス7に厚み誤差(δt)がある場合、次の関係式(1)で表されるような球面収差(W40)が生じる(なお、ここでnはカバーガラスの屈折率である)。
40=(n−1)/(8n)・δt・NA …(1)
【0013】
この(1)式より、カバーガラス7の厚み誤差に起因する球面収差は開口数NAの4乗に比例して増加することが判る。すなわち、開口数NAの大きい光学系の場合、カバーガラス7の厚み誤差を抑えることが重要である。しかし、カバーガラス7の厚み誤差を管理することは非常に難しく、単一ディスク内での厚みばらつきを管理することはできても、ディスク交換時の想定におけるディスク間の厚みバラツキを制御することは生産技術的に非常に難しく、量産性・他社製品との互換性を考えてもディスク厚を正確に管理することは得策ではない。
【0014】
本発明の目的は、高密度記録におけるこのような問題点を解決するためのものであり、開口数NAを大きくしても、ディスク間の厚みバラツキによる球面収差を充分に小さくすることができる調整機構を有する光ピックアップを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光源から出射される光束をコリメートレンズで平行光束化し、対物レンズで記録媒体上に集光するとともに、記録媒体からの反射光を対物レンズを通過させ、対物レンズとコリメートレンズとの間に配置される光分岐素子で分岐させて受光する光ピックアップ装置において、
光分岐素子と対物レンズとの間に、設けられ、光学素子を用いて構成され、該光分岐素子を透過した光束径を、拡大率(m)が1.2以上1.5以下となるように拡大するとともに、光学素子のチルトが±1deg以下であるビーム拡大光学系を含み、
対物レンズの開口数NAが0.85であることを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0016】
本発明に従えば、ビーム拡大光学系を構成する光学素子の光軸が光束の方向に対して傾斜するチルトが発生した場合に、該チルトの最大量が±1deg以下であれば、拡大率(m)を1.2以上とすることによって、開口数NAが0.85と大きくなっても、波面収差を0.05λ以下に抑えることができるので、記録媒体の記録トラック内に集光スポットを所定の大きさで集光させることができる。
【0017】
したがって、光ピックアップ装置にビーム拡大光学系を取り付ける際の実装精度を簡易化することができる。
【0019】
また、記録媒体のカバーガラスに厚み誤差が生じた場合に、該厚み誤差量が±30μm以下であれば、ビーム拡大光学系の拡大率(m)を1.5以下とすることによって発生収差量を0.05λ以下に抑えることができるので、記録媒体の記録トラック内に集光スポットを所定の大きさで集光させることができる。
【0020】
また本発明で、前記ビーム拡大光学系は、
前記平行光束化される光束の方向に光軸を有し、光分岐素子側に配置される第1のレンズと、
第1のレンズと光軸を共有し、対物レンズ側に配置される第2のレンズとを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、第1のレンズと第2のレンズとの間隔を変化させて、光束を拡大するビーム拡大光学系の拡大率を容易に調整し、適切な収差補正を行うことができる。
【0022】
さらに本発明は、前記ビーム拡大光学系は、
平行光束化される光束の方向に光軸を有し、光分岐素子側に配置される光学素子としての第1のレンズと、
第1のレンズと光軸を共有し、対物レンズ側に配置される光学素子としての第2のレンズと
第2のレンズを光軸に沿って移動させる移動手段とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、2枚のレンズの組合わせからなるビーム拡大光学系のレンズのうち、記録媒体側となる対物レンズ側に配置されてチルトに対する波面収差の増加量が少ない第2のレンズを移動手段で移動させるので、光軸方向にレンズを移動する際に生じるレンズホルダとガイドレールとのいわゆる「ガタ」によって発生するチルトに対する影響を少なくすることができる。
【0024】
したがって、開口数NAを0.85と大きくする場合の収差補正のために、ビーム拡大光学系を構成するレンズの移動に起因したチルトが発生した場合においても、発生収差量をより小さくすることができるので、記録媒体の記録トラック内に集光スポットを所定の大きさで集光させることができる。
【0025】
なお、光束径の拡大率(m)を1.2以上に規定することにより、ビーム拡大光学系のレンズにチルトが発生した場合に、該チルトの最大量が±1deg以下であれば、波面収差を0.05λ以下に抑えることができるので、記録媒体の記録トラック内に集光スポットを所定の大きさで集光させることができる。
【0026】
また、光束径の拡大率(m)を1.5以下に規定することにより、記録媒体のカバーガラスに厚み誤差が生じた場合に、該厚み誤差量が±30μm以下であれば、発生収差量を0.05λ以下に抑えることができるので、記録媒体の記録トラック内に集光スポットを所定の大きさで集光させることができる。
【0027】
また本発明で、前記第1のレンズは両凹レンズであり、
前記第2のレンズは平凸レンズであることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、第1のレンズである両凹レンズの焦点距離を−f、第2のレンズである平凸レンズの焦点距離をfとすると、光束径の拡大率(m)は、m=f/fで導かれる。平凸レンズでは、焦点距離fが凸面側のレンズ半径で決定されるので、このレンズ半径によって拡大率を変化させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の第1形態における光ピックアップ装置20の光学系の概略的な構成を示す。半導体レーザ21からの光はコリメートレンズ22により平行光束化される。平行光束は、光分岐素子23を介して、第1のレンズである両凹レンズ24と、第2のレンズである平凸レンズ25とにより光束径を拡大された後で、2枚組の対物レンズ26に導かれた後に、カバーガラス27を介して光記録媒体28の記録面上に集光させる。光記録媒体28からの反射光は、入射光と逆の光路を辿った後に、光分岐素子23で反射され、スポットレンズ29で集光された後に円筒レンズ30を通って、同一平面上に多分割の受光部を持つ受光素子31に照射され、ここで記録信号、ならびにサーボ信号が検出される。なお、ここで対物レンズ26としては2枚組レンズに限定されるものではなく、単レンズを用いた光学系であっても良い。
【0030】
対物レンズ26に入射する光束径は、アパーチャ32の開口径よりも大きい必要がある。このため、光ピックアップ装置20では、半導体レーザ21からの光のビーム径を拡大する必要がある。本実施形態では、光分岐素子23の後に、光学素子である両凹レンズ24と平凸レンズ25とを配置してビーム拡大光学系33を構成して、光束径を拡大している。ビーム拡大光学系33をこの位置に配置しているのは、ビーム拡大光学系33を介した後に光分岐素子23を通ると、光分岐素子23でのビーム径が大きくなり、光分岐素子23の部品形状も大きくする必要があるためである。したがって、光ピックアップ装置20の省サイズ化を図るために、ビーム拡大光学系33の位置を、拡大する光束が光分岐素子23を通った後の位置に限定している。
【0031】
ここで、ビーム拡大光学系33は、カバーガラス27の厚み誤差に起因する球面収差を補償するために設けるものであり、図1のように入射側に少なくとも片面に凹面を有するレンズ(以降、L1とする)、出射側に少なくとも片面に凸面を有するレンズ(以降、L2とする)の組合わせからなる。なお、L1、L2は球面レンズでも良いし、軸外収差特性を向上させるために非球面レンズとしてもよい。
【0032】
ビーム拡大光学系33が無い場合、コリメートレンズ22から出た平行光を対物レンズ26によって光記録媒体28上に集光する際、カバーガラス27の厚み誤差に起因する球面収差が生じるが、コリメートレンズ22と対物レンズ26との間にビーム拡大光学系33の光学素子である両凹レンズ24および平凸レンズ25を配置し、レンズ間距離を調節することによりカバーガラス27の厚み誤差に起因する球面収差とは逆位相の球面収差を発生させ、球面収差補償を行うことができる。
【0033】
図2は、ビーム拡大光学系33を用いて球面収差補償を行うための具体的な光学配置の例を示す。入射側の光束径D1を2.27mmとし、出射側の光束径D2を3.4mmとするときに必要なビーム拡大率は、D2/D1=3.4/2.27=1.498である。出射側の光束径D2は、アパーチャ32の開口径D3、たとえば3mmよりも大きくしておく必要がある。アパーチャ32の開口径D3は、対物レンズ26の有効径に応じて設定される。また、両凹レンズ24のレンズ半径R11,R12は、それぞれ32.65mmおよび17.39mmである。両凹レンズ24で最も薄くなる中央部分の厚みt1は、1mmである。平凸レンズ25で最も厚くなる中央部分の厚みt2は、1.42mmである。両凹レンズ24と平凸レンズ25との間のレンズ間距離S1は、5.914mmである。
【0034】
コリメートレンズ22により平行光束化された光は、光分岐素子23を介した後に両凹レンズ24と平凸レンズ25とからなるビーム拡大光学系33により光束径を拡大された後、2枚組の対物レンズ26に導かれ、さらにカバーガラス27を介して光記録媒体28に集光される。光記録媒体28上のカバーガラス27の厚みt0は、0.1mmとする。
【0035】
図3は、カバーガラス27の厚み誤差に対して、ビーム拡大光学系33の光学素子である両凹レンズ24および平凸レンズ25により球面収差補正を行う際の集光スポット面での波面収差特性、ならびにビーム拡大光学系33でレンズ間距離特性を示す。なお、カバーガラス27の厚さの理想値を、図2に従って0.1mmとしている。
【0036】
カバーガラス27に厚み誤差がない場合、すなわち、0.1mmの場合には、波面収差は0.003λ程度であるが、カバーガラス27に厚み誤差が生じるとビーム拡大光学系33の両凹レンズ24および平凸レンズ25のレンズ間距離を変化させる補正を行わない、補正なし場合では、波面収差が非常に大きくなってしまう。一方、カバーガラス27の厚みに応じて、ビーム拡大光学系33の光学素子である両凹レンズ24と平凸レンズ25とのレンズ間距離を、図示した関係に従って変化させれば、波面収差を大幅に削減することが可能となる。
【0037】
ところで、カバーガラス27の厚み誤差は、現状の生産工程ではディスク面内で±2〜3μm以下、ディスク間で±5〜7μm以下であり、通常のディスクではトータル±10μmの厚み誤差を考えれば充分と考えられるが、DVDの2層記録等のように同一の光ピックアップ装置を用いて記録面を2層化したディスクへ対応する場合には20μm程度の層間厚での記録再生を行う必要があるため、全体としては±30μm程度のカバーガラス厚誤差に対応する必要がある。なお、各光学部品の設定パラメータは以下の通りであり、対物レンズ26の開口数NAは、DVDで必要な0.65よりも大きな0.85という値となっている。
光源波長:405nm
第1レンズ硝材:SF4
第2レンズ硝材:BK7
対物レンズ開口数:0.85
対物レンズ有効径:3.0mm
カバーガラス厚さ:0.1mm
【0038】
図4は、ビーム拡大光学系33の光学素子である両凹レンズ24と平凸レンズ25とを入れ替えることにより、光束径を縮小する具体的な光学配置を示す。この図ではコリメートレンズ22からの出射光以降について、平凸レンズ25と両凹レンズ24、ならびにその入射・出射方向を入れ替えた構成とする。平凸レンズ25へ入射する光束径D11を5.1mmとして、両凹レンズ24から出射する光束径D2を3.4mmすると、拡大率は0.667倍(=3.4/5.1)となって、光束径を縮小している。この光学系ではビーム拡大光学系33を構成する光学素子の配置順序を変えて光束径を縮小することになるため、対物レンズ26の有効径以上の光束径を確保する目的で、コリメート出射光の段階において光束径を1.5倍としている。
【0039】
図5は、ビーム拡大光学系33の光学素子である両凹レンズ24と平凸レンズ25の各倍率における具体的な光学配置の例を示す。両凹レンズ24および平凸レンズ25のような凹レンズと凸レンズとを組合わせる光学系による光ビームの拡大率(m)は、凹レンズの焦点距離(−f)と、凸レンズの焦点距離(f)とによって、関係式m=(f/f)で導かれる。凸レンズの焦点距離fは、その逆数がレンズ半径の逆数に関連する。平凸レンズ25では、平面側のレンズ半径は無限大であって、その逆数は0であるので、凸面側のレンズ半径のみが焦点距離に関連する。したがって、両凹レンズ24と平凸レンズ25とを組合わせるビーム拡大光学系33では、両凹レンズ24は共通に使用し、平凸レンズ25の凸面側のレンズ半径Rと、レンズ間距離Sとを変えることによって、拡大率(m)を変化させるような設計変更を、比較的容易に行うことができる。
【0040】
図5の(a)では、拡大率m=1.35とするために、レンズ間距離S=3.841mmとし、平凸レンズ25の凸面側レンズ半径R=10.04mmとする。(b)では、拡大率m=1.20とするために、レンズ間距離S=1.777mmとし、平凸レンズ25の凸面側レンズ半径R=8.96mmとする。(c)では、拡大率m=1.10とするために、レンズ間距離S=0.411mmとし、平凸レンズ25の凸面側レンズ半径R=8.25mmとする。(d)では、拡大率m=0.667とするために、レンズ間距離S=5.916mmとし、平凸レンズ25の凸面側レンズ半径R=11.13mmとする。
【0041】
なお、図5においては、平凸レンズ25のレンズ半径R以外の光学部品パラメータは図3に示すm=1.5の場合と同じであるが、コリメート入射光の光束径(φ)をφ=(3.4/m)とすることで、ビーム拡大光学系33から出射される段階での光束径を3.4mmとしている。
【0042】
図6は、両凹レンズ24と平凸レンズ25とによるビーム拡大光学系33の各倍率において、カバーガラス厚に誤差を与え、球面収差補償を行ったときのビーム拡大光学系のレンズ間距離の変化特性の一例を示す。m=1.5は図2の光学配置に対応し、m=1.35、m=1.2およびm=1.2は、図5の(a)、(b)および(c)の光学配置にそれぞれ対応している。ビーム拡大光学系33の拡大率mが減少するにしたがってレンズ間距離は短くなり、カバーガラス27が厚くなるにしたがってビーム拡大光学系33でのレンズ間距離は短くなる。
【0043】
図7は、前述の各拡大率において、カバーガラス27に厚み誤差を与え、球面収差補償を行ったときの対物レンズ26の結合効率の一例を示す。m>1の拡大光学系については、カバーガラス厚変化±10μmで結合効率の変動率が±2%と安定している。m=0.667の縮小光学系では、結合効率の変動率が±5〜6%となり、カバーガラス厚が厚くなるにしたがって結合効率の差は更に大きくなる。このことは、球面収差補償をすることで対物レンズ出射光の光量が変動し、光記録媒体28からの反射光も変動することを意味する。したがって、信号光の安定化のためには、球面収差補償を行う光学系では、拡大光学系となるように、拡大率mは少なくともm>1を満たす必要がある。
【0044】
図8は、ビーム拡大光学系33の各拡大率mにおいて、入射側レンズ(L1)と出射側レンズ(L2)とに、光軸に対するチルトを与えたときの集光スポット面での波面収差を示す。この際に現れる収差の主成分はコマ収差であるが、ビーム拡大光学系33の拡大率が小さい方がチルトに対する収差発生量は小さく、また、L2よりもL1の方がチルトに対する収差発生量が大きいことが判る。
【0045】
通常の光ピックアップ装置を汎用実装機に実装することを想定する場合、実装時に最大で±1degのチルトが発生することが想定される。また、光記録媒体28の記録トラック内に集光スポットを絞り込むためには、発生収差量を0.05λ以下にする必要がある。m=1.1でL1側に1degのチルトがあると、波面収差は0.05λよりも大きくなってしまう。したがって、これら条件を満足するためにはビーム拡大光学系33の拡大率を、m≧1.2とする必要がある。
【0046】
なお、図6に見られるように、拡大率mが1.2以下になるとカバーガラス厚±30μmにおいてビーム拡大光学系33でのレンズ間距離が0以下となって、レンズ間距離を確保することができなくなる。したがって機構上の点からもm≧1.2を満たす必要がある。
【0047】
図9は、ビーム拡大光学系33に対し、各拡大率mにおいて、カバーガラス27に厚み誤差を与え、球面収差補償を行ったときの集光スポット面での波面収差の一例を示す。図に見られるように、ビーム拡大光学系33の拡大率mが増加するに従って球面収差が増加する。前述のカバーガラス厚み誤差±30μmにおいて発生収差量を0.05λ以下にするためには、拡大率m=1.6では波面収差が大きくなってしまい、拡大率をm≦1.5にする必要があることも判る。
【0048】
したがって、ビーム拡大光学系33でのレンズ間距離の確保、レンズ組立て誤差マージンの確保、ならびに集光スポットを充分に絞り込むために、ビーム拡大光学系33の拡大率は、1.2≦m≦1.5を満足する必要がある。
【0049】
図10は、本発明の実施の第2形態における光ピックアップ装置40の光学系の概略的な構成を示す。本実施形態で、図1の実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。本実施形態では、光分岐素子23と対物レンズ26との間に、基本的に図1のビーム拡大光学系33と同様なビーム拡大光学系43を配置する。ただし、第2レンズL2となる平凸レンズ25について光軸方向に移動可能とし、レンズ間距離を変更可能にする。任意の厚み誤差をもつ記録媒体28を入れ替えた場合、若しくは記録面を2層化したディスクへの記録再生を行う際に、ビーム拡大光学系43のレンズ間距離を変えれば、厚み誤差によって生じる球面収差を補償することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、出射側となる第2レンズL2について移動可能としている。これは、入射側となる第1レンズL1と第2レンズL2とを比較した場合、図8に見られるように、第2レンズL2の方がチルトに対する波面収差の増加量が少なくなるためである。光軸方向にレンズを移動可能にする際には、レンズホルダ44とガイドレール45との間に、いわゆる「ガタ」が発生することは不可避である。このような「ガタ」によって発生するチルトに対して、第1レンズL1よりも第2レンズL2のマージンの方が広くなるため、第2レンズL2の方を移動させる。
【0051】
一方、図12に示す従来例2では、入射側のレンズを移動可能としている。これは入射側のレンズの光束径が小さいために、レンズ外形、ならびにレンズ重量を小さくすることができることにより、アクチュエータによる高速駆動がやり易いことによると推察される。球面収差の補償を行う必要があるのは、ディスクの交換の際などに限られるため、必ずしも高速駆動を必要とするものではなく、レンズ重量の差は大きな影響を与えるものではないと考えられる。
【0052】
なお、本実施形態で第2レンズL2の移動手段としては、図に見られるように駆動モータ47を用いる方法の他に、図11に示す従来例1と同様に、電磁式アクチュエータを用いる方法なども使用可能であるが、手段はこれらに限定されるものではない。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ビーム拡大光学系を構成する光学素子にチルトが発生した場合に、該チルトの最大量が±1deg以下であれば、拡大率(m)を1.2以上とすることによって、開口数NAが0.85と大きくても波面収差を0.05λ以下に抑えることができるので、記録媒体の記録トラック内に集光スポットを所定の大きさで集光させることができる。したがって、光ピックアップ装置にビーム拡大光学系を取り付ける際のレンズ実装公差を拡げることができ、これにより、光ピックアップ装置の実装時におけるレンズ実装を簡易化することができるという効果を奏する。
【0054】
た、ビーム拡大光学系での光束径の拡大率(m)を1.5以下としているので、記録媒体のカバーガラスに厚み誤差が生じた場合に、該厚み誤差量が±30μm以下であれば、発生収差量を0.05λ以下に抑えることができ、記録媒体の記録トラック内に集光スポットを所定の大きさで集光させることができるという効果を奏する。
【0055】
また本発明によれば、ビーム拡大光学系で第1のレンズと第2のレンズとの間隔を変化させて、光束径の拡大率を容易に調整し、適切な収差補正を行うことができる。
【0056】
さらに本発明によれば、2枚のレンズの組合わせからなるビーム拡大光学系のレンズのうち、出射側のレンズを光軸方向に移動可能とすることによって、球面収差補正時においてレンズホルダとガイドレールとの「ガタ」によるチルトに対して発生する収差発生量を、開口数NAが0.85と大きくても、小さくすることができる。これにより、記録媒体上スポットの集光特性を劣化させることなく、光ピックアップ装置のディスク交換時などにおいて生じる球面収差をビーム拡大光学系により補償することができるという効果を奏する。
【0057】
また本発明によれば、平凸レンズの凸面側のレンズ半径によって、光束径の拡大率(m)を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の第1形態としての光ピックアップ装置20の概略的な光学系の構成を示す簡略化した断面図である。
【図2】図1のビーム拡大光学系33の構成を示す断面図である。
【図3】図1の光ピックアップ装置20で、カバーガラス厚さの変化に対するビーム拡大光学系33による球面収差補正の効果と、補正に必要なレンズ間距離を示すグラフである。
【図4】図1のビーム拡大光学系33で、第1レンズと第2レンズとの配置を逆にして、光束径を縮小する場合の具体的な光学配置を示す断面図である。
【図5】図1のビーム拡大光学系33で、レンズ間距離Sと平凸レンズ25のレンズ半径Rとを変えて、異なる拡大率mとする光学配置例を示す断面図である。
【図6】図1のビーム拡大光学系33で、各拡大率においてカバーガラス厚に誤差を与え、球面収差補償を行うときのレンズ間距離を示すグラフである。
【図7】図1の実施形態で、カバーガラス27の厚み誤差を与え、球面収差補償を行うときの対物レンズ26の結合効率を、拡大率mをパラメータとして示すグラフである。
【図8】図1の実施形態で、ビーム拡大光学系33の各拡大率において入射側レンズ(L1)と出射側レンズ(L2)とに、光軸に対するチルトをそれぞれ与えるときの集光スポット面での波面収差を示すグラフである。
【図9】図1の実施形態で、ビーム拡大光学系33により球面収差補正を行う際の集光スポット面での波面収差を、拡大率mをパラメータとして示すグラフである。
【図10】本発明の実施の第2形態としての光ピックアップ装置40の概略的な光学系の構成を示す簡略化した断面図である。
【図11】従来例1の概略的な光学系の構成を示す簡略化した断面図である。
【図12】従来例2の概略的な光学系の構成を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
20,40 光ピックアップ装置
21 半導体レーザ
22 コリメートレンズ
23 光分岐素子
24 両凹レンズ
25 平凸レンズ
26 対物レンズ
27 カバーガラス
28 光記録媒体
31 受光素子
32 アパーチャ
33,43 ビーム拡大光学系
45 レンズホルダ
46 ガイドレール
47 駆動モータ

Claims (4)

  1. 光源から出射される光束をコリメートレンズで平行光束化し、対物レンズで記録媒体上に集光するとともに、記録媒体からの反射光を対物レンズを通過させ、対物レンズとコリメートレンズとの間に配置される光分岐素子で分岐させて受光する光ピックアップ装置において、
    光分岐素子と対物レンズとの間に、設けられ、光学素子を用いて構成され、該光分岐素子を透過した光束径を、拡大率(m)が1.2以上1.5以下となるように拡大するとともに、光学素子のチルトが±1deg以下であるビーム拡大光学系を含み、
    対物レンズの開口数NAが0.85であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記ビーム拡大光学系は、
    前記平行光束化される光束の方向に光軸を有し、光分岐素子側に配置される第1のレンズと、
    第1のレンズと光軸を共有し、対物レンズ側に配置される第2のレンズとを含むことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記ビーム拡大光学系は、
    平行光束化される光束の方向に光軸を有し、光分岐素子側に配置される光学素子としての第1のレンズと、
    第1のレンズと光軸を共有し、対物レンズ側に配置される光学素子としての第2のレンズと
    第2のレンズを光軸に沿って移動させる移動手段とを有することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記第1のレンズは両凹レンズであり、
    前記第2のレンズは平凸レンズであることを特徴とする請求項3記載の光ピックアップ装置。
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