以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
図1(a),(b)は本発明の実施形態1における収差補正用の光学ユニットの概略構成を示す図である。図1(a)には本実施形態1における収差補正用の光学ユニットの断面図を示す。図1(a)に示すように、固定レンズ16と液体レンズ15の2つのレンズを1ユニット化する保持部材18からなる。1ユニット化により、ユニットとして2つのレンズ間のアライメント調整を行っておけば、光ピックアップに2つのレンズを個別に取り付けるのに比べ、工数が煩雑化せずに済む特徴を有する。固定レンズ16は、ガラスあるいはプラスチックで形成したものである。液体レンズ15は、レンズ形状を形成する透明な導電性液体の小滴10、ガラス等の透明な基板12と、その両面に形成した透明電極13a,13b,14、さらに透明電極13a,13bの小滴10側には光学透明性を有する薄膜の絶縁層11を形成している。絶縁層11と小滴10の間には撥水コーティング(図示せず)をしている。透明電極13a,13b,14は制御回路(図示せず)と接続できるようにパターン配線を有している。
また、基板12の表裏両面に形成する透明電極14は光学有効径内においてベタ電極であるのに対し、透明電極13a,13bは図1(b)に示すように半円状の2つの分割した電極パターンとなっている。透明電極14のベタ電極に電圧(V0)の印加方法としては、グランドあるいは等電圧を印加する方法であればよい。そして透明電極13a,13bへの入力電圧のコントロールにより、小滴10の形状、具体的には曲率半径コントロールにより焦点距離、小滴10の光軸直交面内でX方向の位置を変化させる。本実施形態1の光学ユニットは、この液体レンズ15と固定レンズ16を1ユニット化しており、液体レンズ15の焦点距離を変化させることは固定レンズ16との組合せにおいて球面収差の補正に利用でき、液体レンズ15の光軸直交面内の移動は固定レンズ16の光軸ずれによりコマ収差の補正に利用できる。
ここで、本発明において、収差補正用の光学ユニットに利用している電気毛管現象について説明する。電気毛管現象とは、導電性液体の小滴と電極との間に電圧を印加して、小滴の接触角が変化する現象をいい、本発明は、この電気毛管現象を用いて、焦点距離、レンズ位置を移動することを可能とした公知技術(特許文献3参照)の原理構成に基づき、それを応用したものである。以下に、その概略を図2(a),(b)を用いて説明する。
図2(a)は液体レンズを説明する図である。液体レンズは、数ミクロンから数ミリメートルの直径を有する水のような透明な液体の小滴1からなる。小滴1は、透明な基板2の上に配置してなる。基板2は一般的に撥水性のものか、撥水性のコーティングをしている。また、小滴1と基板2は、使用範囲の波長の光束に対して透明であり、光路は参照光線3によって示している。液体レンズを透過した光束は、小滴1と基板2の間の接触面から焦点距離fの焦点4に集光する。
そして、図2(b)には、絶縁層6と小滴1の間の角度と、電気毛管現象を説明する図である。電極7は、絶縁層6を介して小滴1から絶縁している。
小滴1は、例えば水滴のような導電性液体であればよい。小滴1と電極7の間に電圧Vを印加すると、電気毛管現象に従って、導電性の小滴1の接触領域が広がり、このことによって、小滴1は破線のように変形する。当技術を用いると、電気エネルギーを直接レンズの形状変化に用いることができるため、レンズを機械的に移動させることなく焦点調節が可能となることが知られている。また、特許文献3においては電極7以外に、小滴1を光軸直交面内に移動させる電極を配する旨、記載されている。
次に、図3(a),(b)は本実施形態1における球面収差を補正する光学ユニットの概略構成を示す図である。小滴10と透明電極13a,13b,14の各電極間が等電位の場合、小滴10は光軸20の略中央位置にある。この初期状態を図3(a)では状態A(太い実線)としている。これに対し、透明電極13a,13bが等電位であり、小滴10との電位がずれた場合は、状態B(太い破線)のように小滴10は広がり、小滴10と絶縁層11との間のθ(θ1>θ2)が小さくなっている。図3(b)は状態A,Bを透明電極上面から小滴10を見た様子を示す。
θの変化は、液体レンズ15の曲率半径を変化させ、液体レンズ15の焦点距離を変化させる。液体レンズ15の曲率半径変化は、固定レンズ16を通過してきた光の透過波面に球面形状の変化を及ぼし、結果、光学ユニットとしての球面収差変化の発生をきたす。この球面収差変化を利用して、外乱などによって生じる球面収差の補正を行うことができる。すなわち、外乱による球面収差と逆極性の球面収差を光学ユニットにより付加させればよい。
次に、図4(a),(b)は本実施形態1におけるコマ収差を補正する光学ユニットの概略構成を示す図である。透明電極13a,13bを選択的にコントロールすることにより、小滴10がX方向に位置を変化できることを説明する図である。透明電極13aの電圧(V2)に比べ透明電極13bの電圧(V1)を大きくした場合は、図4(a)に示すような方向に移動する。図4(b)は小滴10の状態A,Bを透明電極上面から見た様子を示す。液体レンズ15のX方向移動は、固定レンズ16を通過してきた光束の透過波面に光軸からずれた球面形状の変化を及ぼし、結果、光学ユニットとしてのコマ収差変化の発生をきたす。このコマ収差変化を利用して、外乱などによって生じるコマ収差の補正を行うことができる。すなわち、外乱によるコマ収差と逆極性のコマ収差を光学ユニットで付加させればよい。
光ピックアップの場合、一般にコマ収差は、光記録媒体が半径方向に御椀のごとく沿った形状などに起因するものが支配的であるため、前記X軸を、光記録媒体の半径方向と一致させることによりコマ収差の補正が可能となる。
なお、前述した光学ユニットにおいては、透明電極13a,13bの分割電極は2分割であるが、希望のレンズ駆動に応じた電極数、電極パターン等からその組合せを決めればよく、例えば半径方向に加え、光記録媒体の回転方向のコマ収差も補正したい場合は、さらにY軸方向についても2分割して、全体としては4分割の電極パターンを用いればよい。
また、本実施形態1における収差補正用の光学ユニットの別の構成として、図5に示すように、液体レンズ15の構成としては1液に限定せずに、導電性液体である小滴10の周辺に絶縁性液体19をユニット内に充填した構成であってもよい。絶縁性液体19と導電性の小滴10は共に透明であり、互いに混合することなく、異なった屈折率を持ち、ほぼ等しい密度の値を持っていればよい。あるいは、図6に示すように導電性液体である小滴10の周辺を、絶縁性液体19を薄膜状に覆うような構成であってもよい。
以下、本実施形態1における光学ユニットおよび収差発生の様子についての具体的数値事例を示す。
まず、実施形態1の実施例1として、液体レンズと固定レンズからなる光学ユニットについて、図7(a),(b)、図8(a),(b)を用いて説明する。図7(a)に光学ユニットの概略図、図7(b)にその数値データを示し、図8(a),(b)は球面収差とコマ収差の発生を説明する図である。
本実施形態1の実施例1における光学ユニットは、使用波長:410nm 、NA :0.85 、焦点距離f :2.3529mmであり、図7(b)中の記号は、以下の通りである。「OBJ」は物点(光源としての半導体レーザ)を意味するが、光学ユニットへの入射ビームは「無限系」であり、曲率半径:RDYおよび厚さ:THI の「INFINITY (無限大)」は光源が無限遠にあることを意味する。なお、特に断らない限り、長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
また、「S1(STO)」は入射瞳面を表し、「S2」〜「S3」は固定レンズ31、「S4」〜「S6」は液体レンズ32を表し、「S2」は光学ユニットの光源側面、「S6」は集光側を意味する。「S2」の厚さ1.226mmが固定レンズ31の肉厚を意味する。「S3」の厚さ0.350mmは固定レンズ31と液体レンズ32の間の距離を表す。球面収差の補正時はこの間隔と、「S4」の液体レンズの曲率半径および厚みが中立位置0.714mmから変化させる。「S7」は同記録面に合致した面である。「WL:波長」は使用波長(410nm )を表す。
なお、固定レンズ面の非球面形状は、光軸方向の座標:X 、光軸直交方向の座標:Y、近軸曲率半径:R、円錐定数:K 、高次の係数:A,B,C,D,E,F,…を用いて、周知の非球面式を(数3)
このような光学ユニットにおいて、具体的に球面収差を変化させた場合を、図8(a)に示す。横軸に液体レンズ32の曲率半径を、縦軸に波面収差、光学ユニットの焦点距離を示す。曲率半径の変化により球面収差が増大している様子がわかる。また、コマ収差は変化しない。光学ユニットとしての焦点距離が変化していることもわかる。
一方、図8(b)は、コマ収差の変化事例を示しており、横軸に液体レンズ32のX方向の位置を、縦軸に波面収差、光学ユニットの焦点距離を示す。液体レンズ32のシフトによりコマ収差が増大している様子がわかる。しかし、球面収差は変化していない。また、光学ユニットとしての焦点距離の変化もない。
また、光学ユニットは実施形態1の実施例1のように光記録媒体に集光する構成に限るものでなく、例えば光源と対物レンズの間に配置し、中立状態においては殆どパワーを持たないような構成であってもよい。
次に実施形態1の実施例2として、その具体例を説明する。図9(a)に光学ユニットの概略図、図9(b)にその数値データを示し、また図10(a),(b)は球面収差とコマ収差の発生を説明する図である。
図9(a)のごとく、正の屈折力を有する液体レンズ42と負の屈折力を有する固定レンズ41からなる。このような構成においては、光学ユニット透過後の光束は平行光で対物レンズ(ここでは、理想レンズ)45に入射する構成が可能となる。図9(b)の表記の記号は、前述した実施形態1の実施例1における図7(b)の表記と同様であるため省略する。
このような光学ユニットにおいて、具体的に球面収差を変化させた場合を、図10(a)に示す。横軸に液体レンズ42の曲率半径を、縦軸に波面収差、光学ユニットの透過光束の発散角度を示す。光学ユニット透過後の光束は曲率半径の変化により、発散角度が変化し、球面収差が増大している様子がわかる。しかし、コマ収差は変化していない。
一方、図10(b)は、コマ収差の変化事例を示しており、横軸に液体レンズ42のX方向の位置を、縦軸に波面収差、光学ユニット透過後の光束主光線の傾角を示す。液体レンズ42のシフトにより傾角が付いた光束が対物レンズ(ここでは、理想レンズ)45に入射することとなり、コマ収差が増大している様子がわかる。しかし、球面収差は変化していない。
なお、前述した図7(a),図9(a)に示す実施形態1の実施例1,2における固定レンズ31,41の代わりに、図11に示すように液体レンズ15を用いてもよい。これにより高精度な補正が可能となる。また、図12に示すように、ガラス基板47とレンズ面48により形成した固定レンズ49と液体レンズ42を一体化してもよい。これにより小型な光学ユニットが実現できる。
また、実施形態1の実施例3として、図13(a)に示すように、液体レンズ15の一構成部品としてガラス基板22を有し、ガラス基板22の一面上に回折格子24を形成してもよい。回折格子24を上面から見たパターンは、図13(b)に示すような同心円状のパターンや、図13(c)に示すような線形状のパターンであり、いわゆるグレーティングパターンであってもよい。前者はレンズ機能として使用し、後者は例えば、後述する光ピックアップにおいて、1次回折光を用いてトラックエラー信号の生成等に使用する。回折格子24の断面形状は、図13(d)のような矩形状、図13(e)のような階段形状、図13(f)のような鋸歯形状のいずれでも形状でもよいが、矩形、階段、鋸歯の順に回折効率は大きくなることが一般に知られている。
また、図14に示すように、液体レンズ15の一構成部品として複屈折性基板25を用いてもよい。複屈折性基板25は1/2波長板や1/4波長板として使用され、後述する光ピックアップなどにおいては、これらの波長板が必要とされているため、この機能を光学ユニット内に集約でき、結果、これを用いる光ピックアップの部品点数削減,小型化,組付工数削減等の効果がある。
図15は本発明の実施形態2の実施例1における光ピックアップの概略構成を示す図である。本実施形態2の実施例1は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(BD)107aに記録および/または再生を行う光ピックアップについて説明する。
図15に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ103、1/4波長板104、対物レンズユニット106、検出レンズ108、光束分割素子109、受光素子110より構成している。ここで、対物レンズユニット106は光記録媒体(BD)107aの情報記録面にフォーカシングを行うために光軸方向、トラッキングを行うために光記録媒体の半径方向に可動できるようになっており、ガラスあるいはプラスチックの対物レンズ106aと、対物液体レンズ106bの2つのレンズを搭載している。これらの2つのレンズ1組で光記録媒体(BD)107aに対して、無限系で波面収差が最小になるように設計している。なお、光記録媒体(BD)107aは、図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103を透過し、1/4波長板104を通過し円偏光とされ、対物レンズユニット106に入射し、光記録媒体(BD)107a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体(BD)107aから反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズユニット106を経て再び略平行光とされ、波長板104を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で収束光とされ、光束分割素子109により複数の光束に分割され、各光束は複数の受光セグメントを有する受光素子110に至る。受光素子110からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
図15に示す対物レンズユニット106は、対物レンズとして、光源からの光束が入射する第1のレンズと、第1のレンズによって集光した光束が入射する第2のレンズとを備えている。そして、第1のレンズとしてはガラスやプラスチックの対物レンズ106a、また第2のレンズとして対物液体レンズ106bを用いた構成としている。対物レンズユニット106を用いて対物レンズを2群レンズとすることにより、高NA化することが容易になる。
また、この対物レンズユニット106は、対物レンズ106aおよび対物液体レンズ106bからなる対物レンズを移動操作する駆動手段として、2軸アクチュエータ(図示せず)を備えている。そして、この2軸アクチュエータによって、対物レンズユニット106を光軸方向(フォーカス方向)に移動操作させることでフォーカスサーボを行う。また、光軸に対して直交し、光記録媒体(BD)107aの半径方向(トラッキング方向)に移動操作させることでトラッキングサーボを行う。この対物レンズユニット106を移動操作するための2軸アクチュエータの機構およびその駆動方法等については、従来のレンズ駆動装置で使用している種々の方式がそのまま使用可能である。
また、本実施形態2の実施例1においては、対物液体レンズ106bとして前述の実施形態1の液体レンズを使用して、対物レンズユニット106を構成する。対物レンズ106aと対物液体レンズ106bの相対状態を変化させて収差コントロールが行える。すなわち対物液体レンズ106bの焦点距離をコントロールすることにより球面収差を変化させることが可能である。さらに、対物液体レンズ106bを対物レンズ106aの光軸に対してトラッキング方向に移動させることによりコマ収差を変化させることが可能である。
このように球面収差、コマ収差の変化により、発生する収差補正が可能である。この収差補正する対物レンズユニットの利用方法としては、光情報処理装置の工場出荷時に、光ピックアップ全体としての収差量の最小化を行う方法がある。例えば、対物レンズからの光束の集光スポットを観測しながら、スポットのサイドローブ成分およびスポットそのものの小径化を行う。あるいは、集光後の波面そのものを観測しながら、球面収差,コマ収差が最小となる位置を探す方法もある。そして予め最適な液体レンズ状態を記憶させておき、光情報処理装置の電源投入時にはその最適位置となるようにすればよい。
また、電源投入、光記録媒体のセット後に、この光記録媒体に集光スポットが最適となるように制御を行ってもよい。集光スポットの最適化は、読み出し信号が最良となるようにすればよく、例えば、トラッキングエラー信号振幅が最大、あるいはRF信号振幅が最大となるように制御すればよい。また、この制御は、光記録媒体への情報読み出し、書き込み動作の直前のみに行うか、所定の半径位置において定期的に行うか、あるいは記録動作中にリアルタイムで行うものであってもよい。また所定の半径位置で行うには、読み出し,書き込み動作前に光記録媒体の内周から外周で何点かを検出して、プロファイルを記憶しておき、このプロファイルの回帰情報に基づいて収差補正を行ってもよい。
そして、球面収差とコマ収差の補正順序は、フォーカス制御,トラック制御後に読み出しまたは書き込み動作が開始されるが、球面収差,コマ収差の補正はいずれの間で行われてもよく、あるいは粗調整後に微調整と段階的に収差補正を行ってもよい。
以上のごとく、対物レンズ106aと対物液体レンズ106bからなる対物レンズユニット106によれば、対物レンズの機能である光記録媒体の情報記録面への集光に加えて、
・光記録媒体の基板厚誤差によって生じる球面収差、光記録媒体の傾き誤差によって生じるコマ収差を補正
・光ピックアップの組付誤差、各光学部品の製造誤差によって生じる球面収差,コマ収差の補正
・光記録媒体(BD)107aとしては、2層光記録媒体であってもよく、この2層光記録媒体の情報記録面の間隔(中間層)に起因する球面収差を補正
できる。
そして、これらの収差補正は対物レンズ機能と兼用して行えるため、部品点数の増加、光ピックアップの大型化を招かずにできると共に、メカニカルな補正機構ではなく液体レンズにより実現しているため、発熱を伴わず静音化が可能となる。
図16は本発明の実施形態2の実施例2における光ピックアップの概略構成を示す図である。本実施形態2の実施例2は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(BD)107aと「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(HD)107bを共に記録および/または再生できる光ピックアップについて説明する。
図16に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ103、1/4波長板104、エキスパンダユニット105、対物レンズユニット106、検出レンズ108、光束分割素子109、受光素子110より構成している。ここで、対物レンズユニット106は情報記録面にフォーカシングを行うために光軸方向、トラッキングを行うために光記録媒体の半径方向に可動できるようになっており、ガラスあるいはプラスチックの対物レンズ106aを搭載してなり、光記録媒体(BD)107aに対し、無限系で波面収差が最小になるように設計している。
一般に対物レンズは高NAになるほど公差が厳しくなり、NA0.85と0.65で比べると、NA0.85で望ましい特性を出す方が難しくなることから、特に、NA0.85で収差を補正した非球面レンズを使う。また、エキスパンダユニット105は、エキスパンダ液体レンズ105aと、ガラスあるいはプラスチックからなるエキスパンダレンズ105bの2つのレンズを搭載している。なお、光記録媒体は、図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(BD)107aを記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103を透過し、1/4波長板104を通過し円偏光とされ、エキスパンダユニット105を透過し、対物レンズ106aに入射し、光記録媒体(BD)107a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体(BD)107aから反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板104を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で収束光とされ、光束分割素子109により複数の光束に分割され、各光束は複数の受光セグメントを有する受光素子110に至る。受光素子110からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(HD)107bを記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103を透過し、1/4波長板104を通過し円偏光とされ、エキスパンダユニット105により所定の発散光に変換され、対物レンズ106aに入射し、光記録媒体(HD)107b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体(HD)107bから反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板104を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で収束光とされ、光束分割素子109により複数の光束に分割され、各ビームは複数の受光セグメントを有する受光素子110に至る。受光素子110からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
図16に示すエキスパンダユニット105は、光源からの光束が入射し、正の屈折力を有する第1のレンズと、負の屈折力を有する第2のレンズとを備えている。そして、第1のレンズとしてはエキスパンダ液体レンズ105aを、一方の第2のレンズにガラスやプラスチックのエキスパンダレンズ105bを用いた構成としている。エキスパンダユニット105は、半導体レーザ101と対物レンズユニット106を結ぶ光軸上に配置してなる。
そして、本実施形態2の実施例2においては、エキスパンダ液体レンズ105aとして前述の実施形態1の液体レンズを使用しているため、エキスパンダ液体レンズ105aとエキスパンダレンズ105bの相対状態を変化させることにより、対物レンズ106aに入射する光束に収差を付加することが可能となる。すなわち、エキスパンダ液体レンズ105aの焦点距離をコントロールすることにより、対物レンズ106aへ入射する光の発散状態(倍率)を変更することが可能となり、これにより球面収差の補正が行える。
また、光軸上に配置したエキスパンダレンズ105bに対してエキスパンダ液体レンズ105aを光軸直交面内に移動させることにより、対物レンズ106aへ入射する光束の画角を変更することが可能となり、これによりコマ収差の補正が行える。
以下、本実施形態2の実施例2における収差補正するエキスパンダユニットの利用方法を示す。まず第1に、本実施例2においては、光記録媒体(BD)107aと光記録媒体(HD)107bの基板厚の異なる2種類の光記録媒体に1つの対物レンズで集光するために、エキスパンダユニット105を使用する。エキスパンダ液体レンズ105aの焦点距離をコントロールすることにより、対物レンズ106aへ入射する光束の発散状態(倍率)を変更することが可能となり、基板厚が異なる光記録媒体(BD)107a、光記録媒体(HD)107bのいずれにも最適な集光状態を適用できる。
また、対物レンズ106aはNA0.85で基板厚0.1mmの光記録媒体(BD)107aに無限系の構成により最適化されているため、基板厚0.6mmの光記録媒体(HD)107bにおいては球面収差が発生することが一般に知られるが、媒体判別結果に応じて、エキスパンダ液体レンズ105aの焦点距離をコントロールして、後述する通り発散状態の光束を対物レンズ106aに入射させることで球面収差を抑制した良好な集光特性が得られる。
ここで、媒体判別方法としては、光ピックアップに光記録媒体をセットすると、光記録媒体(BD)107a、光記録媒体(HD)107bいずれかを検出するための判別としては、
・光記録媒体をセットする段階に、LEDと受光素子からなる厚み検出用光学系を設けておき、その出力に基づき判別する。
・フォーカスエラー信号を検出し、その合焦付近でトラックエラー信号が検出されるか否かで判別する。
・光記録媒体のカートリッジ形状を異なるものとしておき、その差に基づいて判別する。
・光記録媒体のラベル上に記載されたバーコードに媒体種類を印刷しておき、その情報をバーコードリーダにて読み取ることにより判別する。
・合焦位置までの対物レンズアクチュエータの可動量に基づいて判別する。
などの方法が挙げられる。
また、図17は一般的な対物レンズの基板厚みと発散度の関係を示した図である。図17において、横軸は基板厚み、縦軸は対物レンズに入射する光束の発散度の関数であり使用状態における対物レンズの倍率である。対物レンズより基板側へ出射する光束は常に収斂光であるので、対物レンズに収斂光が入射するときの符号を「+」、発散光が入射するときの符号は「−」とする。また、この倍率が「0」のときは、対物レンズへは平行光が入射する。図17中の曲線は各基板厚に対して、波面収差を最小とする倍率を結んだものであり、例えばある基板厚の光記録媒体で平行光入射が最良の場合、基板厚が厚くなるほど「−」、すなわち発散光、薄くなるほど「+」、すなわち収斂光を入射させてやると収差が小さくなるということが一般に知られている。
第2に、光ピックアップの組付誤差、各光学部品の製造誤差によって生じる球面収差,コマ収差の補正に使用する。特に、光記録媒体(BD)107a、光記録媒体(HD)107bのそれぞれについて最適な状態を選ぶようにする。いま、製造工程において各光記録媒体(基板厚0.6mm,0.1mm)の収差最良となる対物レンズの光軸直交面内位置、焦点距離を記憶しておき、媒体判別結果に応じて最適状態を適用する。なお、工程における調整方法としては、例えば対物レンズからの光束の集光スポットを観測しながら、スポットのサイドローブ成分およびスポットそのものの小径化を行う。あるいは、集光後の波面そのものを観測しながら、球面収差,コマ収差が最小となる位置を探す方法もある。
第3に、光記録媒体の基板厚誤差によって生じる球面収差、光記録媒体の傾き誤差によって生じるコマ収差の補正に使用する。電源投入、光記録媒体のセット、媒体判別後に、読み出し信号が最良となるようにすればよく、例えばトラッキングエラー信号振幅が最大、あるいはRF信号振幅が最大となるように制御すればよい。また、この制御は、光記録媒体への情報読み出し,書き込み動作の直前のみに行うか、所定の半径位置に定期的に行うか、あるいは記録動作中にリアルタイムで行うものであってもよい。また、所定の半径位置で行うには、読み出し,書き込み動作前に光記録媒体の内周から外周で何点かを検出し、プロファイルを記憶しておき、このプロファイルの回帰情報に基づいて収差補正を行ってもよい。
第4として、前述の第3の方法において、光記録媒体に応じて一方を固定、他方を可動するようにしてもよい。すなわち、光記録媒体(BD)107aのセット時は、基板厚誤差による球面収差の補正のみを行い、コマ収差の補正は行わない(予め設定されている光軸直交面内の中立点位置となるようにする)。また反対に、光記録媒体(HD)107bや光記録媒体(DVD)107cのセット時は、コマ収差の補正のみを行ってもよい。
図18(a),(b)は本発明の実施形態2の実施例3における光ピックアップの概略構成を示す図である。本実施形態2の実施例3は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(BD)107a、「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(HD)107b、「使用波長660nm、NA0.65で、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」光記録媒体(DVD)107c、および「使用波長785nm、NA0.50で、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」の光記録媒体(CD)107dを共に記録および/または再生できる光ピックアップについて説明する。
図18(a)に示す光ピックアップの要部は、図17に示す前記実施例2では青色のみ単一波長の発光に限られていた半導体レーザ101の代わりに、図18(b)に示すように波長405nmの青色レーザチップ121b、波長660nmの赤色レーザチップ121a、波長785nmの赤外レーザチップ121cの3つの半導体レーザチップが、1つのキャン(容器)の中に集積搭載された3波長レーザユニット121を用いている。その他の部品については、図17の実施例2と同一機能を示すが、3波長において高光利用効率、波面性能を確保した部品である。
なお、3波長レーザユニット121は、青色レーザチップ121bがコリメートレンズ102の光軸上に位置するように設置してなり、赤色,赤外の各レーザチップ121a,121cはコリメートレンズ102の光軸から数10μm〜数100μmずれた位置となる。これは、短波長ほど光学系の収差感度が高くなるためである。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(BD)107aを記録または再生する場合について説明する。波長405nmの青色レーザチップ121bから出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103を透過し、1/4波長板104を通過し円偏光とされ、エキスパンダユニット105を透過し、対物レンズ106aに入射し、光記録媒体(BD)107a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体(BD)107aから反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板104を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で収束光とされ、光束分割素子109により複数の光束に分割され、各ビームは複数の受光セグメントを有する受光素子110に至る。受光素子110からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体」の光記録媒体(HD)107bを記録または再生する場合について説明する。波長405nmの青色レーザチップ121bから出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103を透過し、1/4波長板104を通過し円偏光とされ、エキスパンダユニット105により所定の発散光に変換され、対物レンズ106aに入射し、光記録媒体(HD)107b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体(HD)107bから反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板104を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で収束光とされ、光束分割素子109により複数の光束に分割され、各光束は複数の受光セグメントを有する受光素子110に至る。受光素子110からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」の光記録媒体(DVD)107cを記録または再生する場合について説明する。波長660nmの赤色レーザチップ121aから出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103を透過し、1/4波長板104を通過し円偏光とされ、エキスパンダユニット105により光記録媒体(HD)107bのときより発散度合いの大きい所定の発散光に変換されると共に、所定のコマ収差が付与されて対物レンズ106aに入射し、光記録媒体(DVD)107c上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体(DVD)107cから反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板104を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で収束光とされ、光束分割素子109により複数の光束に分割され、各光束は複数の受光セグメントを有する受光素子110に至る。受光素子110からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD光記録媒体」の光記録媒体(CD)107dを記録または再生する場合について説明する。波長785nmの赤外レーザチップ121cから出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103を透過し、1/4波長板104を通過し円偏光とされ、エキスパンダユニット105により光記録媒体(DVD)107cのときより所定の発散度合いの大きい発散光に変換されると共に、光記録媒体(DVD)107cとは逆極性の所定のコマ収差が付与されて対物レンズ106aに入射し、光記録媒体(CD)107d上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体(CD)107dから反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板104を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ108で収束光とされ、光束分割素子109により複数の光束に分割され、各光束は複数の受光セグメントを有する受光素子110に至る。受光素子110からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
図18に示すエキスパンダユニット105は、光源からの光束が入射し、正の屈折力を有する第1のレンズと、負の屈折力を有する第2のレンズとを備えている。そして、第1のレンズとしてはエキスパンダ液体レンズ105aを、一方の第2のレンズにガラスやプラスチックのエキスパンダレンズ105bを用いた構成としている。エキスパンダユニット105は、3波長レーザユニット121内の青色レーザチップ121bと対物レンズユニット106を結ぶ光軸上に配置してなる。
そして、本実施形態2の実施例3においては、エキスパンダ液体レンズ105aとして前述の実施形態1の液体レンズを使用しているため、エキスパンダ液体レンズ105aとエキスパンダレンズ105bの相対状態を変化させることにより、対物レンズ106aに入射する光束に収差付加することが可能となる。すなわち、エキスパンダ液体レンズ105aの焦点距離をコントロールすることにより、対物レンズ106aへ入射する光束の発散状態(倍率)を変更することが可能となり、これにより球面収差の補正が行える。
また、光軸上に配置したエキスパンダレンズ105bに対してエキスパンダ液体レンズ105aを光軸直交面内で移動させることにより、対物レンズ106aへ入射する光束の画角を変更することが可能となり、これによりコマ収差の補正が行える。
以下、本実施形態2の実施例3における収差補正するエキスパンダユニットの利用方法を示す。まず第1に、本実施例3においては、光記録媒体(BD,HD,DVD,CD)107の基板厚、使用波長の異なる4種類の光記録媒体に1つの対物レンズで集光するためにエキスパンダユニットを使用する。
エキスパンダ液体レンズ105aの焦点距離をコントロールすることにより、対物レンズ106aへ入射する光束の発散状態(倍率)を変更することが可能となり、基板厚が異なる光記録媒体(BD,HD,DVD,CD)107のいずれにも最適な集光状態を適用できる。本実施例3においては、対物レンズ106aはNA0.85で、基板厚0.1mmの光記録媒体(BD)107aに無限系の構成で最適化されているため、他の光記録媒体に対しては球面収差が発生することが一般に知られるが、前述した媒体判別結果に応じて、エキスパンダ液体レンズ105aの焦点距離をコントロールして、前述の図17で説明した発散状態の光束を対物レンズ106aに入射させることで球面収差を抑制した良好な集光特性が得られる。
また、3波長レーザユニット121は、青色,赤色,赤外レーザチップの3つの波長が1つのパッケージに集約されたレーザユニットである。1パッケージ化により部品点数の削減、とりわけ波長合成プリズムなどの削減が可能となる。しかしながら、赤色レーザチップと赤外レーザチップは、その配置のために光軸方向にずれを生じる。図18(b)に示すように収差劣化に最も感度の高い青色レーザチップ121bを中心に配置し、これをコリメートレンズ102の光軸上に配置した場合、赤色,赤外レーザチップ121a,121cはコリメートレンズ102の光軸からずれることになる。コリメートレンズ102に光軸からずれた状態で入射した光束は、コリメートレンズ102透過後、斜めに進行し、対物レンズ106aにも斜めに入射することとなる。
対物レンズ106aに光束が斜め入射した場合、コマ収差が発生してしまう。そこで、本実施形態2の実施例3においては、このコマ収差を補正するようにエキスパンダ液体レンズ105aを光軸直交面内で移動させる。移動は前述の球面収差と同様に媒体判別結果に応じて行えばよい。また、青色レーザチップ121bに対して赤色レーザチップ121aと赤外レーザチップ121cは対峙して配置しているため、エキスパンダ液体レンズ105aの移動方向はDVDとCDでは反対となる。
第2には、光ピックアップの組付誤差,各光学部品の製造誤差によって生じる球面収差,コマ収差の補正に使用する。特に、光記録媒体(BD)107a、光記録媒体(HD)107bのそれぞれについて最適な状態を選ぶようにする。製造工程において各光記録媒体(基板厚1.2mm,0.6mm,0.1mm)の収差最良となる対物レンズの光軸直交面内の位置,焦点距離を記憶しておき、媒体判別結果に応じて最適状態を適用する。なお、工程の調整方法としては、例えば対物レンズからの光束の集光スポットを観測しながら、スポットのサイドローブ成分およびスポットそのものの小径化を行う。あるいは、集光後の波面そのものを観測しながら、球面収差,コマ収差が最小となる位置を探す方法もある。
第3に、光記録媒体の基板厚誤差によって生じる球面収差、光記録媒体の傾き誤差によって生じるコマ収差の補正に使用する。電源投入、光記録媒体セット、媒体判別後に、読み出し信号が最良となるようにすればよく、例えばトラッキングエラー信号振幅が最大、あるいはRF信号振幅が最大となるように制御すればよい。また、この制御は、光記録媒体への情報読み出し,書き込み動作の直前のみに行うか、所定の半径位置において定期的に行うか、あるいは記録動作中にリアルタイムで行うものであってもよい。また所定の半径位置で行う場合は、読み出し,書き込み動作前に光記録媒体の内周から外周で何点かを検出し、プロファイルを記憶しておき、このプロファイルの回帰情報に基づいて収差補正を行ってもよい。
また、実施形態2の実施例3における別の構成例として、図19に示すように、図18で説明したエキスパンダユニット104の機能を、コリメートレンズ機能を有するコリメートレンズユニット102’として形成してよい。
以上のように、複数の光記録媒体の互換が1つの対物レンズでき光ピックアップの小型化,部品点数削減ができ、また、光源として波長の異なるレーザチップを1つの容器に搭載でき、光ピックアップをさらに小型化することができる。
図20は本発明の実施形態3における光情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。この光情報処理装置は、前述した実施形態2の実施例1〜3の光ピックアップを用いて光記録媒体107に対して、情報信号の記録および/または再生を行う装置であり、前述した光ピックアップに相当する光ピックアップ51を備えて構成する。そして、光記録媒体107を回転駆動するスピンドルモータ58と、情報信号の記録,再生を行うに当たり使用する光ピックアップ51を光記録媒体107の内外周に移動操作するための送りモータ52と、所定の変調および復調処理を行う変復調回路54と、光ピックアップ51のサーボ制御などを行うサーボ制御回路53と、光情報処理装置の全体の制御を行うシステムコントローラ56とを備えている。
スピンドルモータ58は、サーボ制御回路53により駆動制御し、所定の回転数で回転駆動する。すなわち、記録再生の対象となる光記録媒体57は、スピンドルモータ58の駆動軸上にチャッキングして、サーボ制御回路53により駆動制御するスピンドルモータ58によって、所定の回転数で回転駆動する。
光ピックアップ51は、光記録媒体107に対する情報信号の記録および再生を行うとき、前述したように、回転駆動する光記録媒体107に対してレーザ光を照射し、その戻り光を検出する。この光ピックアップ51は、変復調回路54に接続されている。そして、情報信号の記録を行う際には、外部回路55から入力され変復調回路54によって所定の変調処理が施された信号が光ピックアップ51に供給される。光ピックアップ51は、変復調回路54から供給される信号に基づいて、光記録媒体107に対して、光強度変調が施されたレーザ光を照射する。また、情報信号の再生を行う際には、光ピックアップ51は、回転駆動される光記録媒体107に対して、一定出力のレーザ光を照射し、その戻り光から再生信号を生成し、この再生信号が変復調回路54に供給する。
また、この光ピックアップ51は、サーボ制御回路53にも接続している。そして、情報信号の記録再生時に、回転駆動する光記録媒体107によって反射した戻り光から、前述したように、フォーカスサーボ信号およびトラッキングサーボ信号を生成し、それらのサーボ信号をサーボ制御回路53に供給する。
変復調回路54は、システムコントローラ56および外部回路55に接続している。この変復調回路54は、情報信号を光記録媒体107に記録するときには、システムコントローラ56による制御のもとで、光記録媒体107に記録する信号を外部回路55から受け取り、この信号に対して所定の変調処理を施す。変復調回路54によって変調した信号は、光ピックアップ51に供給する。また、変復調回路54は、情報信号を光記録媒体107から再生するときには、システムコントローラ56による制御のもとで、光記録媒体107から再生した再生信号を光ピックアップ51から受け取り、この再生信号に対して所定の復調処理を施す。そして、変復調回路54によって復調した信号は、変復調回路54から外部回路55へ出力する。
送りモータ52は、情報信号の記録および再生を行うとき、光ピックアップ51を光記録媒体107の半径方向の所定位置に移動させるためのものであり、サーボ制御回路53からの制御信号に基づいて駆動する。すなわち、送りモータ52は、サーボ制御回路53に接続しており、サーボ制御回路53により制御する。
サーボ制御回路53は、システムコントローラ56による制御のもとで、光ピックアップ51が光記録媒体107に対向する所定の位置に移動するように、送りモータ52を制御する。また、サーボ制御回路53は、スピンドルモータ58にも接続しており、システムコントローラ56による制御のもとで、スピンドルモータ58の動作を制御する。すなわち、サーボ制御回路53は、光記録媒体107に対する情報信号の記録および再生時に、光記録媒体107が所定の回転数で回転駆動するように、スピンドルモータ58を制御する。
また、サーボ制御回路53は、光ピックアップ51にも接続しており、情報信号の記録および再生時には、光ピックアップ51から再生信号およびサーボ信号を受け取り、このサーボ信号に基づいて、光ピックアップ51に搭載した2軸アクチュエータ(図示せず)によるフォーカスサーボおよびトラッキングサーボの制御を行い、さらに、液体レンズ(図示せず)の駆動にも使用する。
これにより、収差が抑制された2層対応あるいは複数種類の光記録媒体に対して互換のある光情報処理装置を得ることができる。