JP4894703B2 - エレクトロウエッティング装置とこれを用いた可変焦点レンズ、光ピックアップ装置、光記録再生装置、液滴操作装置、光学素子、ズームレンズ、撮像装置、光変調装置及び表示装置 - Google Patents

エレクトロウエッティング装置とこれを用いた可変焦点レンズ、光ピックアップ装置、光記録再生装置、液滴操作装置、光学素子、ズームレンズ、撮像装置、光変調装置及び表示装置 Download PDF

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本発明は、エレクトロウエッティング(電気毛管)現象を利用したエレクトロウエッティング装置とこれを用いた可変焦点レンズ、光ピックアップ装置、光記録再生装置、液滴操作装置、光学素子、ズームレンズ、撮像装置、光変調装置及び表示装置に関する。
エレクトロウエッティング現象を利用したエレクトロウエッティング装置として、例えば可変焦点レンズデバイスが、フランスのバリオプティック社やオランダのフィリップス社によって発表されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照。)。
上記各文献に記載された可変焦点レンズを図18A及びBの概略断面構成図を参照して説明する。
この可変焦点レンズは、基本的に、円筒形等の容器310の中に導電性液体材料部301と、これと混合しない材料より成る絶縁性液体材料部302が充填されて構成される。導電性液体材料部301及び絶縁性液体材料部302は共に光透過性を有し、異なる屈折率をもち、且つ同じ密度(比重)を有する材料とされる。この例では、容器の内壁から一方の端部を覆って外側にかけて第1の電極305が形成され、その内側に、誘電体膜304が形成される。容器310の第1の電極305が覆う側の端部は、ガラス又は光透過性の樹脂等より成る光透過性材料部309が液密に封止され、この光透過性材料部309より成るいわば底面と、容器310の内壁の誘電体膜304を覆って撥水性材料部303、いわゆる撥水コートが被着される。
そして、導電性液体材料部301と接する容器310の一方の端部であるいわば蓋側の端部には、リング状等の第2の電極307が配置され、親水性材料部306、いわゆる親水コートを介してガラス又は光透過性樹脂等より成る光透過性材料部308が液密に封止される。この場合、上述のリング状の第2の電極307の縁部が、この光透過性材料部308の外周面を覆うように延在して形成される。
なお、第1の電極305は、第2の電極307とは離間するように、容器310の内面側の端部が形成される。図示の例では、誘電体膜304も同様に形成した場合を示す。
このような構成とする場合、第1の電極305と第2の電極307との間に電圧印加部311により適切な電圧を印加することによって、導電性液体材料部301と絶縁性液体材料部302との界面の曲率が変化する。これにより、光透過性材料部309の外側からの矢印Liで示す入射光に対するレンズ作用を変化させ、焦点距離を変化させることができる。
これについて説明すると、先ず、第1及び第2の電極305及び307に電圧を印加しない場合、充填されている導電性液体材料部301及び絶縁性液体材料部302と、容器310の内壁面の表面張力の釣り合いによって、これらの液体材料部301及び302の界面は、図18Aに示すように、ある半径の球面の一部になる。例えば、導電性液体材料部301に塩を加えた水を用い、絶縁性液体材料部302にシリコーンオイルを用いた場合、図18Aの例のように塩水すなわち導電性液体材料部301が凸になるような界面になる。このときの導電性液体材料部301の接触角をθ(0)とする。
そして、第1及び第2の電極305及び307の間に電圧印加部311によって電圧を印加すると、容器310の内壁面において、導電性液体材料部301の「ぬれ性」が向上したかのようになり(この現象をエレクトロウエッティングという)、各液体材料部301及び302の界面は、図18Bに示すように、例えば界面の曲率半径が大となるように変化し、接触角θ(V)が小さくなる。
光透過性材料部309から矢印Liで示すように光を入射させ、もう一方の光透過性材料部308から出射させると、液体材料部301及び302の間の屈折率差と界面曲率によりレンズ効果があり、且つ電圧を印加すると、エレクトロウエッティングにより液体界面曲率が変化するため、その焦点距離が変化する。
このようなエレクトロウエッティング現象を利用した可変焦点レンズは、本質的に放電するとき以外は電流が流れず、消費電力がきわめて小さいこと、また機械的可動部がないので、モータ等によりレンズを移動させている従来の可変焦点レンズと比較して寿命が長いという利点を有する。更に、モータが不要となるため省スペース化を図り、簡単な構成でオートフォーカス機構を提供することが可能である。
特表2001−519539号公報 S. Kuiperet al., "Variable-focus liquid lens for miniature cameras", Applied Physics Letters, Vol.85, No.7, 16 August 2004, pp.1128-1130
ところで、前記各文献に開示の可変焦点レンズでは、駆動電圧がいまだ100V程度以上であり、実用上利用しにくいものである。これは、可変焦点レンズを構成する液体を収容する容器に成膜する誘電体膜を一様に薄く成膜することが難しいことによる。以下これについて説明する。
導電性又は有極性を有する液体と絶縁性液体の界面変化は、下記の式(1)により示される(上記非特許文献1参照。)。
cosθ=(γSO−γSL)/γ+ε×ε0×V/(2lγ) ・・・(1)
ただし、
θ:導電性液体材料と容器内壁の接触角
γSO:絶縁性液体材料と容器内壁面の界面張力
γSL:導電性液体材料と容器内壁面の界面張力
γ:導電性液体材料と絶縁性液体材料の界面張力
ε:容器内壁に構成される誘電体膜の比誘電率
ε0:真空中の誘電率
l:誘電体膜の膜厚
V:印加電圧
である。
上記式(1)を図19の模式図を参照して説明すると、電極401上に誘電体膜402及び撥水性材料部403が成膜され、その上に導電性又は有極性を有する液体材料部404の液滴が載置され、その接触角をθ0とする。電極401と液体材料部404との間に電圧印加部405によって電圧Vを印加すると、液体材料部404の接触角はθ(V)<θ0となるθ(V)に変化する。
図20に、上記式(1)で表される電圧印加時の界面張力及び表面張力を模式的に示す。
すなわち、上記式(1)から、エレクトロウエッティング現象により生じる液体材料と容器内壁の接触角θの変化は、誘電体膜の誘電率εと駆動電圧Vの2乗に比例し、誘電体膜の膜厚lに反比例して生じる。したがって、誘電体膜の誘電率εを高く、膜厚lを薄くできれば、同じ焦点距離の変化を起こす駆動電圧を低減できることがわかる。
しかしながら、実際に誘電体膜を成膜するにあたっては、絶縁破壊強度が高く、均一なサブミクロン(1μm未満)の厚さの高誘電体薄膜を、ピンホールを生じることなく円筒形等の容器の内壁に形成するのは困難である。
従来の可変焦点レンズにおいて焦点変化させる駆動電圧が高い原因は、誘電体膜の誘電率εが3程度と低く、誘電体膜の膜厚lが数μm程度と比較的厚いことが挙げられるが、これらは上述したような理由により誘電体薄膜の形成に苦心している結果でもある。
このため、可変焦点レンズをはじめこのようなエレクトロウエッティング現象を利用する各種のエレクトロウエッティング装置、例えば可変焦点レンズを利用したズームレンズや光スイッチ素子等において、駆動電圧が高いことが問題となっている。実用の際には昇圧回路が必要であり、駆動電圧の低減化が強く望まれている。
これに対し、本出願人は特願2005−106524号出願(出願日平成17年4月1日)において、誘電体膜として電極を陽極酸化した陽極酸化膜を用いる可変焦点レンズ及びこれを用いた光学装置を提案した。この可変焦点レンズ及び光学装置によれば、誘電体膜としてタンタル、ニオブなどの金属を陽極酸化した陽極酸化膜を用いることにより、誘電体膜の膜厚を極めて薄く形成することができ、またその比誘電率が極めて高いので、駆動電圧を低減化することができ、また膜厚のばらつきを抑えて成膜することができるため、高精度に界面の接触角の変化を制御することができるという利点を有する。
このような陽極酸化膜を誘電体膜として用いる各種のエレクトロウエッティング装置において、より実用的な駆動制御を行うために、交流駆動を可能とすることが望まれている。
以上の問題に鑑みて、本発明は、エレクトロウエッティング現象を利用するに際し、陽極酸化による金属酸化物を誘電体膜として用いて低駆動電圧化を図ると共に、交流駆動を可能とすることを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明によるエレクトロウエッティング装置は、導電性又は有極性を有する液体材料部と、この液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する電極とを備え、誘電体層を、電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部として構成する。更に、電極と液体材料部との間に、この電極と液体材料部との間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとを配置して構成する。
また、本発明による可変焦点レンズは、一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性の第2の液体材料部とが収容され、第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する。そして、誘電体層は、第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部として構成する。更に、第1の電極と第2の電極との間に、これら第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとを配置して構成する。
本発明による光ピックアップ装置は、光源部と、受光部と、光記録媒体と対向する対物レンズと、対物レンズに光源部からの出射光を導く機能と対物レンズからの光を集光レンズにより受光部に集光する機能をもつ光学系とを備える。そして光学系には可変焦点レンズが設けられ、この可変焦点レンズとして、上述の本発明構成の可変焦点レンズを用いる構成とする。
更に、本発明による光記録再生装置は、上述の本発明構成の光ピックアップ装置を備えるものである。
また、本発明による液滴操作装置は、基板上に、電極アレイが形成され、この電極アレイはそれぞれ誘電体層により覆われて成る。誘電体層上に液滴が被着され、液滴に導通する共通電極が電極アレイに対向して設けられる。共通電極と電極アレイとの間に印加する電圧を制御して、液滴を電極アレイの配列方向に移動させる電圧制御部を備える。そして電極アレイを覆う誘電体層は、アレイ電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部として構成する。更に、電極アレイと共通電極との間に、電圧印加部とコンデンサとを配置して構成する。
本発明による光学素子は、一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性の第1の液体材料部と絶縁性の第2の液体材料部が収容され、第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、第1の液体材料部に導通する第2の電極とが設けられる。そして、第1及び第2の液体材料部のいずれか一方が他方に比して光透過性を低い材料より構成する。第1及び第2の液体材料部の界面の形状を第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して変化することにより、第1及び第2の液体材料部を透過する光の光量が制御される。誘電体層を、第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部として構成する。更に、第1の電極と第2の電極との間に、電圧印加部とコンデンサとを配置して構成する。
本発明によるズームレンズは、一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性の第1の液体材料部及び絶縁性の第2の液体材料部が収容され、第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する可変焦点レンズを1以上備える。この1以上の可変焦点レンズに、第1及び第2の液体材料部の界面を少なくとも2つ設ける。第1及び第2の液体材料部の界面の形状を第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して変化することにより、焦点距離を変化させて倍率が制御される。可変焦点レンズの誘電体層を、第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部として構成する。更に、第1の電極と第2の電極との間に、電圧印加部とコンデンサとを配置して構成する。
本発明による撮像装置は、ズームレンズと、可変焦点レンズと、絞り又はシャッター機能を有する光学素子と、固体撮像素子とを備える。ズームレンズ、可変焦点レンズ及び光学素子のうち少なくとも1つは、一対の光透過性材料部の間に導電性又は有極性の第1の液体材料部と絶縁性の第2の液体材料部とを収容し、第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する構成とする。そしてその誘電体層を、第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部として構成する。更に、第1の電極と第2の電極との間に、電圧印加部とコンデンサとを配置して構成する。
本発明による光変調装置は、一対の光透過性材料部の間に導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性を有する第2の液体材料部とを収容し、第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、第1の液体材料部に導通する第2の電極とをそれぞれ設ける。第1及び第2の液体材料部のいずれか一方を他方に比して光透過性が低い材料より構成し、第1及び第2の液体材料部の界面の形状を第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して変化することにより、入力される情報信号に対応して第1及び第2の液体材料部を透過する光の光量が制御される光変調素子として構成する。そして誘電体層を、第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とする。更に、第1の電極と第2の電極との間に、電圧印加部とコンデンサとを配置して構成する。
本発明による表示装置は、上述の本発明構成による光変調装置と、光変調装置に光を入力する光源装置とを備える構成とし、光変調素子を画素に対応して設ける構成とする。
上述したように、本発明のエレクトロウエッティング装置及びこれを用いた可変焦点レンズ、光ピックアップ装置、光記録再生装置、液滴操作装置、光学素子、ズームレンズ、光変調装置及び表示装置においては、導電性又は有極性を有する液体材料部と電極との間に設ける誘電体膜として、電極を陽極酸化して形成した金属酸化物を用いるものである。この金属酸化物より成る陽極酸化部は、陽極酸化時に印加する電圧を調整することによって、その膜厚を容易に精度良く調整することができる。
具体的には、例えばアルミニウム、タンタル等のバルブ金属を陽極酸化し生成するアルミナ、5酸化タンタル皮膜等など、陽極酸化により比較的高い誘電率の酸化物が得られる各種の材料を用いることができる。このように、高絶縁、高誘電率を有し、また膜厚の低減化が容易な陽極酸化部を誘電体膜として用いることにより、液体材料部の接触角を変化させる駆動電圧の低減化を図ることができる。
そして本発明においては、特に電極と電圧印加部との間に、電圧印加部に加えてコンデンサを配置する構成とするものであり、これにより交流駆動を行うことが可能となる。
エレクトロウエッティング装置はそれ自体を一つのコンデンサとみなすことができる。またエレクトロウエッティング装置を直流電圧で駆動すると誘電体層内に電荷が徐々に注入され、エレクトロウエッティング現象による接触角の変化が減じられてしまう。これを防ぐためには交流電源で駆動すればよいことが知られている。しかし、陽極酸化部より成る誘電体膜は弁効果をもつため、これを用いたエレクトロウエッティング装置は有極性コンデンサとして機能することとなり、このままでは交流駆動はできない。
これに対し、本発明構成とする場合は、電極と液体材料部との間に電圧印加部に加えてコンデンサを挿入して配置することから、装置全体として無極性化することができるので、交流駆動を行うことが可能となる。交流駆動することによって、直流駆動ではエレクトロウエッティング現象が徐々に減じられてしまう現象を回避できる。
本発明のエレクトロウエッティング装置によれば、陽極酸化による金属酸化物を誘電体膜として用いて低駆動電圧化を図ると共に、交流駆動を行うことが可能となる。
本発明の可変焦点レンズとこれを用いる光ピックアップ装置及び光記録再生装置においては、可変焦点レンズの駆動電圧を低減化すると共に、交流駆動を行うことができる。
本発明の液滴操作装置によれば、液滴を操作する駆動電圧の低減化を図ると共に、交流駆動を行うことができる。
また、本発明の光学素子及びズームレンズによれば、光学素子及びズームレンズの駆動電圧を低減化すると共に、交流駆動を行うことができる。
同様に、本発明の光変調装置及び表示装置においても、その駆動電圧の低減化を図ると共に、交流駆動を行うことができる。
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1は、本発明のエレクトロウエッティング装置の駆動原理の説明図である。電極1上に、この電極1を陽極酸化して形成された金属酸化物より成る陽極酸化部2が誘電体膜として形成される。この陽極酸化部2の上に、撥水性材料部3を介して導電性又は有極性を有する液体材料部4a、4bが被着される。電圧印加部5による電圧を印加しない状態での導電性材料部4aの接触角をθ0とする。電圧印加部5により電圧を印加すると、液体材料部4bの接触角はθ(V)<θ0なるθ(V)に変化する。
この場合、誘電体膜として陽極酸化部2を設けることによって、後述するようにその膜厚を容易に極めて薄くすることが可能であり、また比較的高い誘電率とすることができるので、駆動電圧を格段に低減化することができる。また、膜厚の均一化を図ることができるので、制御精度のばらつきを抑えることが可能となる。
従来のエレクトロウエッティング装置においては、直流電圧で駆動すると電極と液体との間に配置する誘電体膜内に電荷が徐々に注入され、エレクトロウエッティング現象が減じられてしまう。これを防ぐためには交流電源で駆動すればよいことが知られている(例えば特開2001−249261号公報参照)。
金属酸化物より成る陽極酸化部は上述したように弁効果があり、絶縁性を示す方向と導電性を示す方向がある。一般にアルミニウムやタンタルコンデンサに極性があるのはこのためである。よって、陽極酸化部を誘電体膜として用いる場合、誘電体膜内すなわち陽極酸化部内に電荷が徐々に注入されるのを防ぐための交流駆動を行うことはできない。
陽極酸化部を誘電体膜として用いたエレクトロウエッティング装置は、電極1が陽極、液体材料部4a、4b側が陰極の有極性コンデンサとみなせる。有極性コンデンサを無極性化する手段としては、有極性コンデンサの陰極に別の無極性コンデンサを直列につなぐ、又は有極性コンデンサの陰極に別の有極性コンデンサの陰極を直列につなぐことが有効である。そこで有極性コンデンサとみなせるこのエレクトロウエッティング装置に、駆動電源である電圧印加部に加えて無極性コンデンサ又は有極性コンデンサを挿入することで無極性化し、交流駆動が可能となる。交流駆動を行うことによって、結果として陽極酸化部内に電荷が徐々に注入されてエレクトロウエッティング効果が低減されることを防ぐことができる。
ここで、挿入するコンデンサの静電容量をCadd、エレクトロウエッティング装置の静電容量をCewとし、駆動電圧をV、エレクトロウエッティング装置に印加する電圧をVewとすると、
Vew=Cadd/(Cadd+Cew)×V
となる。
すなわち、コンデンサ6を挿入することにより、電圧印加部5によって印加する駆動電圧Vより低い電圧がエレクトロウエッティング装置に印加される。しかしながら、コンデンサの静電容量のエレクトロウエッティング装置の静電容量に対する比Cadd/Cewが十分大きければ、この損失分は無視できる。
このように、陽極酸化部2を誘電体膜として設けると共に、コンデンサ6を例えば電極1と電圧印加部5との間に配置することによって、従来のエレクトロウエッティング装置において課題であった低駆動電圧化が可能となる。なお、コンデンサ6として有極性コンデンサを用いる場合は、図1において(+)として示すように、陽極側を電圧印加部5側に接続すればよい。また、交流駆動により、誘電体膜として設ける陽極酸化部内に電荷が徐々に注入されてエレクトロウエッティング現象の効果が低減されることを回避できるので、制御精度のばらつきを抑え、高精度の制御が可能となる。
また、このような陽極酸化部及びコンデンサを設ける構成は、エレクトロウエッティング現象を用いた装置全般に容易に適用することができ、低駆動電圧化、制御の高精度化を図ることができる。
次に、このエレクトロウエッティング装置を適用した可変焦点レンズ等の実施形態例について説明する。
〔1〕第1の実施形態例
先ず、本発明のエレクトロウエッティング装置を可変焦点レンズに適用した可変焦点レンズの一実施形態例を図2A及びBの概略断面構成図を参照して説明する。
この可変焦点レンズ10は、円筒形等の絶縁性材料より成る容器9の内部に導電性又は有極性を有する第1の液体材料部11と、絶縁性の第2の液体材料部12とを収容する構成とする。容器9の形状は円筒形に限定されるものではなく、その他後述する直方体、または円錐形の先端(頂点を)切除した形状等とすることもできる。この第1及び第2の液体材料部11及び12としては、共に光透過性で異なる屈折率を有し、互いに混合しない材料が選定される。なお、可変焦点レンズを構成する場合は第1及び第2の液体材料部11及び12の比重差が小さいことが望ましい。比重差が小さい場合は、振動や重力による界面形状の変化を抑制できる。なお、容器9のサイズが1mm未満程度と極めて小さい場合や、その他の理由により振動や重力による影響を無視できる場合はこの限りではない。
容器9の開口端である端部9A及び9Bには例えば円形のガラス又は光透過性樹脂より成る光透過性材料部18及び19が液密にエポキシ樹脂等によって封止される。すなわち第1及び第2の液体材料部11はこれらの光透過性材料部18及び19の間に収容され、例えば第1の液体材料部11が容器9の一方の端部9A側の光透過性材料部18側に、第2の液体材料部12が容器9の他方の端部9B側の光透過性材料部19側に配置するように収められる。この例においては光透過性材料部18の外側の面を、屈折力を有する曲面形状とした例を示すが、平面形状としてもよい。光透過性材料部19の外側の面に同様に屈折力を有する曲面を設けてもよく、また光透過性材料部18及び/又は19の内面に曲面を設けてもよい。また必要に応じて回折作用や偏光作用等を有する構造又は薄膜を例えば外側の面に設けてもよい。
入射光の通過する方向は第1の液体材料部11側からでも、第2の液体材料部12側からでもよく、用途に応じて適宜選定することができる。
そして、容器9の内壁から第2の液体材料部12を収容する側の一方の端部9Bを覆って外周面にかけて、第1の電極15が形成される。本発明においては、その表面に陽極酸化により形成した金属酸化物より成る陽極酸化部14が、所定の誘電率を有する誘電体膜として設けられる。図示の例では、容器9の内壁側の表面のみが陽極酸化部14とされる例を示す。
第1の電極15及び陽極酸化部14の容器9の内面の端部は、容器9の他方の端部9Aから距離dをもって離間する形状として形成される。そしてこれら第1の電極15及び陽極酸化部14を含む容器9の内面及び光透過性材料部19の内面を覆って撥水性材料部13、いわゆる撥水コートが被着される。
容器9の端部9A側に配置した光透過性材料部18の内面には、例えばリング状の第2の電極17が容器9の端部9Aとの間に介在して配置される。第2の電極17は、光透過性材料部18の外周面にわたって延在する形状として形成される。第2の電極17を光透過性の導電性材料より構成する場合は、リング状でなく例えば円形状としてもよい。また、この第2の電極17及び光透過性材料部18の内面を覆って導電性材料より成る親水性材料部16、いわゆる親水コートが被着される。光透過性材料部18をガラスより構成し、その内側表面を清浄にして親水性を保持する場合は、親水性材料部16を介在させなくてもよい。
そして容器9の端部9B側の外周面に延在する第1の電極15と、光透過性材料部18の外周面に延在する第2の電極17との間に、これらに電圧を印加する電圧印加部8が接続される。更に、第1と第2の電極15及び17の間、この場合第2の電極17と電圧印加部8との間にコンデンサ6が配置される。なお、コンデンサ6として有極性コンデンサを用いる場合は、図2A及びBにおいて(+)として示すように、陽極側を電圧印加部8側に接続する。
このような構成とすると、例えば第1の液体材料部11の表面張力が第2の液体材料部12の表面張力より大きい場合、電圧印加部8により印加する電圧を比較的低い電圧Vaから比較的高い電圧Vb(すなわちVa<Vb、例えばVa=0)とすることにより、図2Aに示す状態から図2Bに示す状態に変化させることができる。図2Aに示す状態では、第1の液体材料部11の接触角θ(Va)が比較的大きく、図2Bに示す状態では、第1の液体材料部11の接触角θ(Vb)が比較的小さくなり、第1及び第2の液体材料部11及び12の界面の曲率を制御することができ、これにより、焦点距離を変化させることが可能となる。例えば第1の液体材料部11の屈折率を第2の液体材料部12と比較して大きい材料に選定すると、第1の液体材料部11の接触角を図2Aから図2Bに示すように小さくすることによって、焦点距離を大とすることができる。
本発明の実施形態例に係る可変焦点レンズ10において、第1の電極15としては、例えばアルミニウム、タンタルなどの陽極酸化による金属酸化物の形成が可能ないわゆるバルブ金属を用いる。そしてこの第1の電極15を陽極酸化してアルミナ(Al)、5酸化タンタル(Ta)膜等の陽極酸化部14を形成し、これを従来の可変焦点レンズにおける誘電体膜として構成する。これにより、高誘電率で、且つきわめて薄い皮膜で高絶縁性を実現することができる。
第1の電極15の材料としては、その他ニオブ、ハフニウム、チタンなど、陽極酸化によって高い誘電率の金属酸化物を形成することが可能な種々のバルブ金属を用いることができる。
一例として、電極材料としてタンタルを用いて、陽極酸化により5酸化タンタルより成る陽極酸化部14を作製する場合の本発明の可変焦点レンズの製造方法の一例について説明する。
まず、円筒状等の容器9の内壁から一方の端部9Bを覆って電極取り出し領域となる容器9の外周面の一部分にかけて、スパッタリング等によって例えばタンタル薄膜を、ピンホールの発生を回避できる程度の充分な厚さをもって成膜する。または、容器9をタンタルより作製してもよい。
次に、容器9の内壁のみを、りん酸などの電解液が浸るようにして陽極酸化を行う。
そしてこの後、例えば一方の光透過性材料部19を第1の電極15が被着されている側の容器9の端部9Bに例えばエポキシ樹脂等の接着剤を用いて液密に封止して、内面に撥水性材料部13を被着し、その内部に絶縁性の第2の液体材料部12、導電性又は有極性の第1の液体材料部11をこの順に注入する。導電性又は有極性を有する第1の液体材料部11としては例えば塩水、硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液等の電解質溶液、又はイオン性液体などを用いることができる。絶縁性の第2の液体材料部12としては、例えばシリコーンオイル等を用いることができる。この後、光透過性材料部18上に第2の電極17を上述の図2において説明した形状としてスパッタリング等により被着し、更に表面に親水性材料部16を被膜した後、容器9の他方の端部9Aに接着剤等により液密に封止して、本発明構成の可変焦点レンズを得ることができる。
従来の可変焦点レンズを始めとするエレクトロウエッティング装置においては、真空成膜法、すなわちスパッタリングや化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、またはスピンコートなどで誘電体膜を形成している。この場合、下地に電極を用意する必要がある。そのため、ピンホールなどの欠損があると絶縁破壊を起こすという問題がある。更に、容器の内壁に均一な膜厚で成膜する必要がある。しかしながら、下地すなわち電極の表面状態によってはピンホールが生じ易く、これを防ぐためには誘電体膜の厚さを大とする必要があり、上記式(1)より駆動電圧を低下することが難しい。
また、これらの方法により平面でない面、例えば円筒内壁等に成膜すると、膜厚ムラが生じ易くなるため、同様に上記式(1)から、導電性又は有極性の第1の液体材料部11と絶縁性の第2の液体材料部12との界面が球面状とならずに、レンズとしての良好な曲率が得られなくなり、光学的品質が低下する恐れがある。
これに対し、本発明のエレクトロウエッティング装置によれば、タンタル等の金属薄膜の全てを陽極酸化せず、一部を金属として保存するものであり、残った金属タンタル層はそのまま電極として利用することができる。つまり、電極になる金属の表面のみを陽極酸化して誘電体膜とすることから、理論的にピンホールの発生は生じず、絶縁破壊に強いという利点を有する。
陽極酸化部は、金属酸化物に変化する過程で体積が増えることから、陽極酸化部においては緻密な膜となり、ピンホールの発生を抑制することが可能である。
更に、タンタル等の金属材料を容器の内壁に成膜する際に、下地である容器の材料が絶縁性物質であれば、タンタル等の金属膜に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また、陽極酸化により形成した金属酸化物は化成電圧までは絶縁破壊しないので、得られる陽極酸化部は絶縁破壊強度も高いという効果がある。
なお、陽極酸化により形成する膜厚は、化成電圧に依存する。例えばタンタルを用いる場合は、理論値で化成電圧1Vあたり1.8nm程度である。また、液浸の陽極酸化であるので膜厚は均一となる。すなわち、最初に成膜したタンタル等の金属膜に膜厚ムラがあっても、できあがる陽極酸化部の膜厚は均一であるので、レンズの曲率を良好に球面状に保つことができ、収差の発生を抑制して高精度な操作が可能となり、良好な光学的特性をもって可変焦点レンズ等の光学装置を構成することができる。光学装置としては、後述する絞り又はシャッター機能を有する光学素子、ズームレンズ、光変調装置、表示装置などが挙げられ、その他液体材料部に光を通過させる種々のエレクトロウエッティング装置においても同様の効果が得られる。
また、このような陽極酸化による製造方法は、タンタルコンデンサ等で広く使われており、製造装置の装置構成も比較的簡易であり、製造技術も確立されているため、製造は極めて容易である。
したがって、本発明の可変焦点レンズをはじめとするエレクトロウエッティング装置は、従来の真空成膜法やスピンコートなどで誘電体膜を形成する場合と比較して、製造装置や製造方法が簡便で、且つ多量に製造することができる。
前述の非特許文献1に記載の可変焦点レンズにおいては、誘電体膜の比誘電率は3程度、膜厚は3μm程度である。
これに対し、本発明構成の可変焦点レンズにおいて、例えば金属タンタルを100Vで陽極酸化した場合、比誘電率はおよそ27、膜厚は約0.18μmとなる。上記式(1)における右辺第2項の成分ε/lは、約150倍になる。駆動電圧はこの平方根分の一になるから、前記特許文献1及び非特許文献1に記載の可変焦点レンズに比べ、本発明による場合は、駆動電圧がおよそ1/12になる。
例えば前記非特許文献1に記載の可変焦点レンズでは、導電性材料部として塩水を用い、絶縁性材料部としてシリコーンオイルを用いた場合、球面度数を−100D(ジオプトリ)から+50Dまでの変化を120V程度の駆動電圧で行っている。
これに対し、本発明によれば、導電性材料部及び絶縁性材料部を同様の材料を用いた場合に、同程度の球面度数の変化を10V程度の駆動電圧で達成できる。
すなわち、図2に示す本発明の可変焦点レンズにおいて、電圧印加部8によって、第1及び第2の電極15及び17の間に10Vの電圧を印加することによって、電圧を印加しない状態と比べて球面度数を150D程度変化させることができる。
更にこの場合、化成電圧が100Vなので絶縁破壊強度にも充分余裕がある。
なお、陽極酸化時の印加電圧を調整して陽極酸化部の膜厚を小さくすれば、更に駆動電圧を低減化して、5V、3V程度の駆動電圧で同程度の球面度数の変化を発生させることも可能である。
そしてこの可変焦点レンズ10においては、第2の電極17と電圧印加部8との間にコンデンサ6を配置する。コンデンサ6として有極性コンデンサを用いる場合は、上述したように陽極側を電圧印加部8側として配置する。このようにコンデンサ6を電極17と電圧印加部8との間に配置することによって、上述したようにエレクトロウエッティング装置すなわち可変焦点レンズ10を無極性化し、交流駆動が可能となる。これにより、誘電体膜として設ける陽極酸化部14内に電荷が徐々に注入されてエレクトロウエッティング減少が低減されることを回避できて、高精度に焦点を制御することが可能となる。
図3は、図2に示す可変焦点レンズにおいて、容器を第1の電極15の材料により構成し、第1の電極15と容器とを兼用する構成とするもので、容器と兼用する第1の電極15の全表面を陽極酸化して陽極酸化部14を設けた場合を示す。図3において、図2と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。なお、電圧印加部8と接続する部分においては、第1の電極15の一部の陽極酸化部14を除去してある。または、容器すなわち第1の電極15の一部に突起を設けて、この部分を陽極酸化液に浸漬しない状態で陽極酸化を行い、その後突起を除去した部分を電圧印加部8との接続領域としてもよい。
このような構成とする場合は、第1の電極15を円筒形状等の容器の表面に部分的にスパッタリング等による成膜を行う必要がなく、製造上有利となる。
図4は、上述の図3に示す例と同様に、第1の電極15と容器とを兼用する例で、第1の電極15の内面のみに陽極酸化部14を形成し、第1及び第2の電極15及び17の絶縁性を確実に確保するために、絶縁性材料より成る例えばリング状の絶縁性部材7を第1の電極15の端部15Aと第2の電極17との間に介在させる構成とするものである。図4において、図2及び図3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このような構成とすることによって、製造工程の簡易化を図り、また良好な特性をもって可変焦点レンズ10を構成することができる。
図3及び図4に示す構成とする場合においても、上述の図2に示す例と同様に、従来に比して駆動電圧の低減化を図ることができ、また絶縁破壊強度も充分得られるという効果がある。更に、コンデンサ6を設けることによって、交流駆動が可能となり、高精度の制御が可能となる。
また、このような可変焦点レンズを図5に示すように2次元状に併置配列して、レンズアレイ160として構成することも可能である。図5に示す例においては、一方向にn個の可変焦点レンズ(例えば可変焦点レンズ10a1,10b1,・・・10n1)を配列し、これとは例えば略直交する方向にm個(例えば可変焦点レンズ10a1,10a2,・・10am)の可変焦点レンズを配列して、全体としてn×m個の可変焦点レンズによるレンズアレイ160を構成した場合を示す。図5においては、可変焦点レンズ内の第1及び第2の液体材料部のみを示し、第1の液体材料部に電圧を印加する電極や陽極酸化部については図示を省略しているが、個々の可変焦点レンズは例えば図2、図3又は図4に示す構成とすることが可能である。
この場合においても、図示を省略するが、陽極酸化部を設けることによってレンズアレイ160全体の低駆動電圧化を図ることができ、また、コンデンサを配置することによって交流駆動が可能となり、高精度の制御が可能となる。
上述の単一又は複数の可変焦点レンズにおいて、容器又は容器を兼ねる電極の形状としては、円筒形状に限定されるものではない。例えば、図6に示すように直方体状とすることも可能である。図6においては、例えば直方体状とされる容器内に、円筒形の一部を構成するいわゆるかまぼこ型形状の界面を構成するように、第1及び第2の液体材料部151及び152を配置する例を示す。直方体状の容器の側面154、155、156、157のうち、例えば対向する側面154及び155に第1の液体材料部151に対する吸着性を図6のように円弧状にもたせ、他の側面156及び157の内面に図示しないが第1の電極、陽極酸化部及び撥水性材料部を被着し、底面158に必要であれば親水性材料部を介して、第1の電極と接触しない形状として第2の電極を形成することによって、第1の液体材料部の側面156及び157に接触する接触角のみを変化させるシリンドリカルタイプの可変焦点レンズ10を構成することが可能である。そして底面158側に設ける電極(図示せず)と側面156及び157側に設ける電極(図示せず)との間に電圧印加部161を設けると共に、底面158側に設ける電極(図示せず)とこの電圧印加部161との間にコンデンサ162を配置する。コンデンサ162として有極性コンデンサを用いる場合は、図6において(+)で示すように、陽極側を電圧印加部161側として接続して配置される。
更に、このようなシリンドリカルタイプの可変焦点レンズ10を図5に示すように併置配列することによって、レンチキュラーレンズタイプのレンズアレイとして構成することも可能である。
レンチキュラーレンズタイプの可変焦点レンズを構成することができれば、3次元画像を電圧制御により表示することが可能な表示装置に適用することが可能であり、小型で且つ実用的な駆動電圧とされた3次元表示装置を提供することができる。
この場合においても、図示を省略するが、陽極酸化部を設けることによって低駆動電圧化を図ることができ、また、コンデンサ162を電極(図示せず)と電圧印加部161との間に配置することによって、同様に交流駆動が可能となり、高精度の制御が可能となる。
また、可変焦点レンズの容器又は容器を兼ねる電極の形状としては、例えば上述したように円錐形状の頂部を切除した形状等とすることも可能であり、その他陽極酸化が可能であれば、種々の形状の容器が利用可能である。
以上説明したように、本発明の可変焦点レンズによれば、陽極酸化により形成する陽極酸化部を誘電体膜として用いることにより、製造方法の簡易化を図るとともに、膜厚を従来の真空薄膜形成方法による場合と比較して薄くすることができる。このため、誘電体膜の厚さを低減化することができ、またより高い誘電率の材料を容易に利用できることから、所望の焦点距離の変化(球面度数の変化)を得るための駆動電圧を、従来に比して格段に低減化することができる。また、従来に比して簡易な製造方法をもって、精度良く均一な膜厚をもって成膜することができることから、膜厚のばらつきに起因する光学的特性の低下を回避し、更にピンホールの発生を抑制するか、または容器を絶縁性材料とする場合はピンホールによる影響を回避することができる。
更に、上述したようにコンデンサを配置することにより交流駆動を可能とし、高精度の制御が可能となる。
これによって、良好な光学的特性をもって駆動電圧の低減化を図り、かつ制御性に優れた可変焦点レンズを提供することができる。
ところで、上述したバルブ金属の陽極酸化膜の特徴は、サブミクロン程度と比較的薄い膜厚と、10〜50程度の高誘電率が得られることである。ただし、表面エネルギーは比較的低くなく、高い撥水効果を得ることは難しい。このためエレクトロウエッティング装置に用いる場合は、陽極酸化部の表面を撥水処理する必要がある。しかしながら、陽極酸化部の膜厚が比較的薄く且つ高誘電率であるため、この撥水コート層に駆動電圧の大部分がかかってしまい、撥水コート層の絶縁破壊が起きやすくなる可能性がある。したがって、撥水コート層の絶縁破壊が起きない工夫をすることが望ましい。
上記式(1)より、エレクトロウエッティング現象は、誘電体膜の誘電率eと駆動電圧Vの2乗に比例し、膜厚lに反比例しておこる。これより誘電率eを高く、膜厚lを薄くできれば駆動電圧を低減できる。また、膜厚lが不均一だと場所によりエレクトロウエッティング現象が不均一になりこの現象による高精度の操作ができなくなる。つまり、膜厚のばらつきは精度に大きな影響を与える。
また、直流電圧で駆動すると誘電体膜内に電荷が徐々に注入され、エレクトロウエッティング現象が減じられてしまう。これを防ぐためには上述したように交流電源で駆動すればよい。タンタルを100Vで陽極酸化した誘電体膜の場合、膜厚は約180nm、比誘電率は約27である。撥水コートに用いられる材料は総じて誘電率が低い。特にフッ化化合物が撥水には好適であるが、誘電率は2程度である。誘電体膜上に撥水コート層がある状態は、誘電体と撥水層それぞれで構成されるコンデンサの直列接続とみなせる。
例えば誘電体膜としてパリレン(パラキシリレン系樹脂)を膜厚3μm、撥水コート層としてAF1600(デュポン(株)製、商品名)を膜厚10nmとして形成すると、撥水コート層にかかる電圧は全体の約0.5%になる。タンタルを100Vで陽極酸化した陽極酸化部の場合は、膜厚は約180nm、比誘電率は約27である。撥水性材料部として上記材料(AF1600、デュポン株式会社製、商品名)を用いると、撥水性材料部にかかる電圧は全体の約50%になる。しかも陽極酸化部と撥水性材料部を併せた見かけ上の比誘電率は約15になってしまい、高誘電率の材料である陽極酸化膜を用いる利点が損なわれてしまう。更に、高い電圧がかかる撥水性材料部が絶縁破壊を起こしてしまう恐れもある。
そこで、撥水性材料部としては、ナノレベルまで膜厚を薄く形成することが可能な材料を用いることが望ましい。撥水性材料部の膜厚を薄くすることにより、漏れ電流を増やし、いわば絶縁性を無視できる程度にすることが可能となる。
このように膜厚をナノレベル(1μm未満)にするためには、反応性の撥水コート材であるフッ素系シランカップリング剤が好適で、例えばオプツールDSX(ダイキン工業株式会社製、商品名)を用いることができる。オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製、商品名)などの反応性撥水コート材は加工方法によって10nm未満、例えば5nm程度以下の膜厚とすることができ、すなわち単分子膜に近い膜厚とすることが可能である。
このように撥水性材料部の膜厚を極めて薄くすると、漏れ電流により撥水性材料部の発熱が小さくなり絶縁破壊を回避できるとともに、撥水性材料部はコンデンサとして殆ど機能しない。したがって、陽極酸化部と撥水性材料部とはコンデンサの直列接合とみなされず、陽極酸化部のみのコンデンサとみなすことができる。このため、陽極酸化部及び撥水性材料部のトータルの誘電率は陽極酸化部のみの値となり、上述した低駆動電圧化の効果を損なうことを回避できる。
〔2〕第2の実施形態例
以上説明した本発明構成の可変焦点レンズは、駆動電圧を従来に比して格段に低減化することができるため、従来は不可能であった小型の可変焦点レンズを用いる種々の光学装置に適用することが可能となる。
例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc、登録商標)等に代表される各種の光ディスクの記録及び/又は再生を行う光記録再生装置及びその光ピックアップ装置において、収差補正素子や可変倍率とするコリメータレンズ等として用いることができる。
特に、これらの各種の光ディスクを互換とする多波長の光源を用いる光記録再生装置においては、コリメータレンズの焦点距離を可変とする必要があり、本発明による可変焦点レンズを用いる場合は、上述したように、駆動電圧を格段に低減化することができるので、これらの光記録再生装置や光ピックアップ装置への実用化が可能となる。
図7は、本発明の実施形態例による可変焦点レンズを用いた光ピックアップ装置を含む光記録再生装置の一例の要部の概略構成図を示す。
この光記録再生装置200は、2波長のレーザ光を出射する2波長レーザ型の半導体レーザより成る光源181と、光源181から出射される光を光記録媒体195、例えば光ディスクに入射させる光学系とを有する。この光学系は、この場合偏光ビームスプリッタ183、可変焦点レンズ10、4分の1波長板184、ミラー185、対物レンズ186より構成される。また、光記録媒体195から反射された光を受光部188に導く光学系を有し、この場合対物レンズ186、ミラー185、4分の1波長板184、可変焦点レンズ10、偏光ビームスプリッタ183より構成する。図示の例では、可変焦点レンズ内の第1及び第2の液体材料部のみを示し、第1の液体材料部に電圧を印加する電極や陽極酸化部については図示を省略しているが、可変焦点レンズ10の構成としては例えば上述の図2、図3又は図4に示す構成とすることが可能である。可変焦点レンズ10の第2の電極(図示せず)と電圧印加部8との間には、コンデンサ6が配置される。コンデンサ6として有極性コンデンサを用いる場合は、図7において(+)で示すように、陽極側を電圧印加部8側に接続して配置される。
対物レンズ186には、2軸アクチュエータ等のアクチュエータ187を有する対物レンズ駆動部190が接続される。また、光記録媒体195は、スピンドルモータ等の回転駆動部192上に載置固定されて、記録再生時には所定の速度で回転される。
受光部188において検出される信号は演算回路189に出力される。図7において、本発明の光ピックアップ装置180には破線を付して示す。
このような構成において、光源181から出射された例えばレーザ光は、偏光ビームスプリッタ183に入射され、その偏光面を通過して、可変焦点レンズ10によってコリメートされると共に焦点距離を調整され、4分の1波長板184を通過してミラー185で反射され、対物レンズ186を介して光記録媒体195の記録トラック上に入射される。
光記録媒体195から反射された光は、対物レンズ186、ミラー185を介して4分の1波長板184及び可変焦点レンズ10を通過する。4分の1波長板を2回通過した光は偏光方向が変換されて偏光ビームスプリッタ183において偏光面で反射され、受光部188の受光面上に入射される。
受光部188において検出された光出力は、演算回路189に出力され、演算回路189においてRF(高周波)信号、TE(トラッキングエラー)信号、FE(フォーカスエラー)信号がそれぞれ演算される。RF信号は例えば演算回路189においてアナログ/デジタル変換、エラー訂正などの処理がなされて記録再生信号として出力され、TE信号は光ヘッド駆動部191及び/又は対物レンズ駆動部190に、またFE信号は対物レンズ駆動部190に出力されて、フォーカスサーボ、トラッキングサーボがなされる。
上述したようにエレクトロウエッティング現象を利用した可変焦点レンズは、本質的に放電するとき以外は電流が流れず、消費電力はきわめて小さいこと、また機械的可動部がないので、モータ等によりレンズを移動させている従来の可変焦点レンズと比較して寿命が長く、モータが不要となるため省スペース化を図り、簡単な構成で例えばオートフォーカス機構をこのような光ピックアップ装置等の各種の光学装置に設けることができるという利点を有する。従来は駆動電圧が高いために実用的には昇圧回路を必要としていたが、本発明構成の可変焦点レンズを用いることにより、所望の球面度数の変化を得るための駆動電圧を低減化し、10V以下程度とすることができたので、昇圧回路を設けることなく各種の装置への適用が可能となり、比較的簡易な回路構成をもって上述の各種の利点を有する可変焦点レンズ等のエレクトロウエッティング装置を用いることが可能となる。
例えば2種類の光記録媒体195に対して記録及び/又は再生が可能な互換性を有する光記録再生装置や、または多層記録媒体などの記録及び/又は再生を行う光記録再生装置においては、2群レンズ等を用いて機械的にこのレンズの相対位置を変化させて焦点距離を制御しているが、このような2群レンズ等に換えて本発明構成の可変焦点レンズ10を用いることにより、昇圧回路を設けることなく、長寿命、省スペース化が可能で機械的駆動部が不要であり、小型化が可能な光ピックアップ装置180、光記録再生装置200を提供することができる。また、コンデンサ6を設けることによって、可変焦点レンズ10の交流駆動が可能となり、高精度の制御が可能となるので、光記録再生特性の劣化を抑制ないしは回避することができる。
〔3〕第3の実施形態例
本発明のエレクトロウエッティング装置は、上述した可変焦点レンズのように光を通過させる機能をもつ光学装置に限定されるものではなく、その他液体材料部の変形を利用した各種の装置に適用することが可能である。この一例として、次に液滴操作装置の一例について説明する。
現在、マイクロサイズの連続した液体フローに対して所定の処理を行うマイクロ流体システムが開発されつつある。特に、「ケミストリ・オン・チップ(chemistry-on-a-chip)」と呼ばれるセンサやアナライザを実現するマイクロ流体デバイスの開発が要請され、これらはラボ・オン・チップ(Labs-On-a-Chip:LoC)及びマイクロトータル分析システム(μ−TAS)としても知られている。マイクロ流体システムを利用して自動化されたチップ形式のデバイスとして構成することにより、高速動作及び携帯が可能であり、安価で信頼性の高い化学(又は生化学)実験機器を提供することができる。その適用範囲は、医療診断用、環境モニタ用、基礎科学研究用などが挙げられる。また例えばマイクロミキサー装置として、圧電素子等による振動や電気泳動を利用したものも提案されているが、エレクトロウエッティング現象を利用することにより、微小な液滴の移動の高精度な制御が可能となる。
図8は、このようなマイクロ流体デバイスを実現する本発明の実施形態例に係る液滴操作装置の一例の要部の概略断面構成図である。この液滴操作装置30は、絶縁性の材料より成る基板21上に、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタンなど、陽極酸化が可能なバルブ金属より成る電極23a、23b、23c、・・・、23i・・が配列形成されて電極アレイ23が構成される。そしてこの電極アレイ23の表面に、それぞれ各電極23a、23b、23c、・・・、23i・・を陽極酸化して形成した金属酸化物より成り、誘電体膜として機能する陽極酸化部24a、24b、24c、・・・、24i・・が形成される。陽極酸化部24a、24b、24c、・・・、24i・・の上を覆って全面的に撥水性材料部25が被着される。もう一方の基板22には、共通電極29と、この上に導電性の撥水性材料部28が全面的に被着される。
そして、これらの基体21及び22が、電極アレイ23及び共通電極29が形成されている側の面を内面側として対向配置され、その間に、導電性又は有極性の材料より成る液滴26が基板21上の撥水性材料部25及び28に接するように配置される。液滴26としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液等の電解質溶液、又はイオン性液体を用いることができる。液滴26の周囲はシリコーンオイル等の液体より成る絶縁性材料部27が充填されていてもよい。また、空気などの気体を充填してもよい。
電極アレイ23の各電極23a、23b、23c、・・・、23i・・と基板22上の共通電極29との間に、コンデンサ33、電圧印加部31及び電圧制御部32が接続され、また電圧制御部32と各電極23a、23b、23c、・・・、23i・・との間には、スイッチ部Sa、Sb、Sc、・・・Si、・・が配置される。この場合コンデンサ33は共通電極29と電圧印加部31との間に配置される。なお、コンデンサ33として有極性コンデンサを用いる場合は、図8において(+)で示すように、陽極側を電圧印加部31側に接続して配置される。スイッチ部Sa、・・Si、・・は電圧制御部32により制御されるか、または電圧制御部32内に組み込まれていてもよい。
このような構成において、電圧制御部32により、電極アレイ23の各電極23a、23b、23c、・・・、23i、・・に印加する電圧を順次変化させる制御を行うことによって、液滴26を矢印aで示すように移動させることができる。この様子を、図9A〜Cを参照して説明する。
先ず、図9Aに示すように、例えば電極23bに所定の電圧を印加する。共通電極29は例えば接地電位としてもよい。次に、図9Bに示すように隣接する他の電極23cにも同様に所定の電圧を印加すると、液滴26はエレクトロウエッティング現象によって電圧が印加された電極(この場合23b及び23c)との接触面積が広がり、図示のように電極24c上に底面が広がるような変形を起こす。その後図9Cに示すように、電極23bの電圧を低く、例えば0とすると、液滴26は電極23c上に移動する。このような電圧制御を行うことによって、液滴26を順次移動させる操作が可能となる。なお、このように連続的に隣接する電極に電圧を印加してスムーズに液滴26を移動させるためには、液滴26が安定な状態で、常に隣接する電極に底面が接触するように、液滴26の体積、基板21及び22の間の間隔、電極アレイ23の各電極の移動方向の長さを適切に選定することが必要である。
そして本発明においては、上述したように電極アレイ23の各電極上に形成する誘電体膜に変えて陽極酸化部を設けることによって、上述の可変焦点レンズと同様に、製造方法の簡易化を図るとともに、膜厚を従来の真空薄膜形成方法による場合と比較して薄くすることができる。このため、誘電体膜の厚さを低減化することができ、またより高い誘電率の材料を容易に利用できることから、所望の形状の変化を得るため、すなわち液滴の移動のための駆動電圧を、従来に比して格段に低減化することができる。また、従来に比して簡易な製造方法をもって、精度良く均一な膜厚をもって成膜することができることから、膜厚のばらつきに起因する液滴の変形のばらつきを抑制することができ、より高精度に液滴の移動を制御することが可能となる。更に、下地すなわち基板21が絶縁物質であればバルブ金属膜に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また化成電圧までは絶縁破壊しないので陽極酸化部の絶縁破壊強度は十分高いという利点を有する。
また本発明によれば、電極アレイ23と共通電極29との間、この場合共通電極29と電圧印加部31との間にコンデンサ33を配置することから、装置を無極性化して交流駆動を可能とし、これにより高精度の制御が可能となる。
なお、このような液滴操作装置においても、上述の可変焦点レンズと同様に、撥水性材料部の膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。薄く成膜するために、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
また上述の実施形態例においては、共通電極29の上に導電性の撥水性材料部28を被着した場合を示すが、この撥水性材料部28についても同様に、膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることによって、導通可能としてもよい。薄く成膜するためには同様に、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
〔4〕第4の実施形態例
更に、本発明のエレクトロウエッティング装置は、上述した光ピックアップ装置や光記録再生装置の他、各種の光学装置、例えばカメラ機能付き携帯電話、小型カメラなど、或いは撮像装置における小型の絞り又はシャッター機能を有する光学素子としても利用可能である。
図10A〜Cは、本発明の実施形態例に係る光学素子の一例の概略断面構成図である。この光学素子50は、例えば円筒形状で絶縁性の材料よりなる容器40の両方の開口端である端部40A及び40Bに一対の光透過性材料部48及び49が液密に封止され、これらの光透過性材料部48及び49の間に、導電性又は有極性を有する第1の液体材料部41と、絶縁性を有する第2の液体材料部42とが収容される。第1の液体材料部41としては例えば塩水、硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液等の電解質溶液、又はイオン性液体、第2の液体材料部42としては例えばシリコーンオイルを用いることができる。そして、容器40の内周面及び光透過性材料部49の内面には撥水性材料部43が被着される。容器40の内周面から光透過性材料部49側の一方の端部40Bにかけて第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極が形成される。第1の電極としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタン等の陽極酸化が可能なバルブ金属を用いることができる。そしてその表面の一部、図示の例では容器40の内周面には、陽極酸化により金属酸化物より成る陽極酸化部44が形成されて誘電体膜として機能する。第1の電極45の内周面側の端部は容器40の他方の端部40Aから離間して配置され、その表面に陽極酸化部44及び撥水性材料部43が覆うように形成される。
容器40の端部40A側に配置した光透過性材料部48の内面には、例えばリング状の第2の電極47が容器40の端部40Aとの間に介在して配置される。第2の電極47は、光透過性材料部48の外周面にわたって延在する形状として形成される。第2の電極47を光透過性の導電性材料より構成する場合は、リング状でなく例えば円形状としてもよい。また、この第2の電極47及び光透過性材料部48の内面を覆って親水性材料部46、いわゆる親水コートが被着される。光透過性材料部48をガラスより構成し、その内側表面を清浄にして親水性を保持する場合は、親水性材料部46を介在させなくてもよい。
そして容器40の端部40B側の外周面に延在する第1の電極45と、光透過性材料部48の外周面に延在する第2の電極47との間に、これらに電圧を印加する電圧印加部51が接続される。更に、第1の電極45と第2の電極47との間、この場合第2の電極47と電圧印加部51との間にコンデンサ53が配置される。この場合も、コンデンサ53として有極性コンデンサを用いる場合は、図10において(+)で示すように陽極側を電圧印加部51側に接続して配置される。
ここで、第1及び第2の液体材料部41及び42のいずれか一方が、他方に比して光透過性の低い材料より構成する。例えば、第2の液体材料部42の光透過率が第1の液体材料部41に比して低く、すなわち入射光Liの波長帯域において光吸収率又は光反射率が第1の液体材料部41に比して高い材料より構成する。例えば電圧が低い状態(例えばV=0)のとき、第1の液体材料部41の接触角θ0が大きく、図10Aに示す状態であるとする。このとき、光透過率の低い第2の液体材料部42が、図示のように、第1の液体材料部41に比して体積が小さく、光透過性材料部49側で容器40の内周面側に分離した状態となり、いわば開口窓52が形成されているとする。入射光Liのうちかなりの光量の出射光L01がこの光学素子50を通過できる。
この光学素子50に対し、所定の電圧を電圧印加部51から印加することにより、図10Bに示すように、第1の液体材料部41の接触角θ(v1)がθ0より小さくなり、第1の液体材料部41によって容器40の内周面側に押し付けられていた第2の液体材料部42の内径が縮小し、開口窓53も縮小する。入射光Liのうち通過する光量は減少し、出射光L02は光量が絞られた状態となる。更に電圧印加部51により高い電圧を印加すると、図10Cに示す状態となる。第1の液体材料部41の接触角θ(v2)は更に小さくなり、第1及び第2の液体材料部41及び42の界面が容器40の内部で球面の一部を構成する状態となり、開口窓が塞がれて入射光Liの通過を妨げ、いわばシャッターを閉めた状態となる。
このような構成とすることによって、第1の液体材料部41の本質的に回転対称となる変形を利用して、略真円に近い開口形状をもつ絞り又はシャッター機能を備える光学素子50を提供することができる。通常の絞りやシャッターのように、複数の羽状部材の移動により開口径を変化させる場合はこのように真円の開口形状とすることができず、六角形などの多角形となる。例えば意図的に焦点をずらしたいわゆるソフトフォーカス状態とする場合にはこの開口形状が反映されてしまうが、本発明構成の光学素子を用いることによって、極めて真円に近いソフトフォーカス状態を実現できることとなる。
そしてこの場合においても、上述の可変焦点レンズ、液滴操作装置と同様に、第1の電極45と第1の液体材料部41との間に介在させる誘電体膜として第1の電極45を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部44を設けることから、次の効果が得られる。すなわち、陽極酸化することによって、製造方法の簡易化を図るとともに、膜厚を従来の真空薄膜形成方法による場合と比較して薄くすることができる。このため、誘電体膜の厚さを低減化することができ、またより高い誘電率の材料を容易に利用できることから、所望の液体材料部の界面形状の変化を得るための駆動電圧を従来に比して格段に低減化することができる。また、従来に比して簡易な製造方法をもって、精度良く均一な膜厚をもって成膜することができることから、膜厚のばらつきに起因する界面形状の変形のばらつきを抑制することができ、より高精度に絞り又はシャッター機能を制御することが可能となる。更に、下地すなわち容器40が絶縁物質であればバルブ金属膜より成る第1の電極45に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また化成電圧までは絶縁破壊しないので陽極酸化部44の絶縁破壊強度は十分高いという利点を有する。
そして更に本発明によれば、第1の電極45と第2の電極47との間に、電圧印加部51に加えてコンデンサ53を設ける構成とすることから、光学素子50全体を無極性化し、交流駆動を可能とする。これにより、高精度の制御が可能となる。
なお、この光学素子においても、上述の可変焦点レンズ及び液滴操作装置と同様に、撥水性材料部の膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。薄く成膜するために、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
〔5〕第5の実施形態例
次に、上述の可変焦点レンズと同様の構成のレンズを利用して、ズームレンズを構成する例について説明する。
図11は、本発明の実施形態例に係るズームレンズの一例の概略断面構成図である。図11に示すように、このズームレンズ102は、例えば上述の図2〜図4において示す可変焦点レンズと同様の構成の2つの可変焦点レンズ70及び90を1組設ける構成とするものである。一方の可変焦点レンズ70は、例えば円筒形状の容器80の両側の開口端にガラス等の光透過性材料部78及び79が液密に封止されて、その内部に導電性又は有極性の第1の液体材料部71と、絶縁性の第2の液体材料部72とが収容される。そして、容器80の内周面及び光透過性材料部79の内面には撥水性材料部73が被着される。容器80の内周面から光透過性材料部79側の一方の端部80Bにかけて第1の液体材料部71に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極75が形成される。そしてその表面の一部、図示の例では容器80の内周面には、陽極酸化により金属酸化物より成る陽極酸化部74が形成されて誘電体膜として機能する。第1の電極75の内周面側の端部は容器80の他方の端部80Aから離間して配置され、その表面に陽極酸化部74及び撥水性材料部73が覆うように形成される。
容器80の端部80A側に配置した光透過性材料部78の内面には、例えばリング状の第2の電極77が容器80の端部80Aとの間に介在して配置される。第2の電極77は、光透過性材料部78の外周面にわたって延在する形状として形成される。第2の電極77を光透過性の導電性材料より構成する場合は、リング状でなく例えば円形状としてもよい。また、この第2の電極77及び光透過性材料部78の内側面を覆って親水性材料部76、いわゆる親水コートが被着される。光透過性材料部78をガラスより構成し、その内側表面を清浄にして親水性を保持する場合は、親水性材料部76を介在させなくてもよい。
そして容器80の端部80B側の外周面に延在する第1の電極75と、光透過性材料部78の外周面に延在する第2の電極77との間に、これらに電圧を印加する電圧印加部81が接続されて、可変焦点レンズ70が構成される。また、第1の電極75と第2の電極77との間、この場合、第2の電極77と電圧印加部81との間にコンデンサ82が配置される。コンデンサ82として有極性コンデンサを用いる場合は、図11において(+)で示すように、陽極側を電圧印加部81側に接続して配置される。
他方の可変焦点レンズ90は、例えば円筒形状の容器100の両側の開口端にガラス等の光透過性材料部98及び99が液密に封止されて、その内部に導電性又は有極性の第1の液体材料部91と、絶縁性の第2の液体材料部92とが収容される。そして、容器100の内周面及び光透過性材料部99の内面には撥水性材料部93が被着される。容器90の内周面から光透過性材料部99側の一方の端部100Bにかけて第1の液体材料部91に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極95が形成される。そしてその表面の一部、図示の例では容器100の内周面には、陽極酸化により金属酸化物より成る陽極酸化部94が形成されて誘電体膜として機能する。第1の電極95の内周面側の端部は容器100の他方の端部100Aから離間して配置され、その表面に陽極酸化部94及び撥水性材料部93が覆うように形成される。
容器100の端部100A側に配置した光透過性材料部98の内面には、例えばリング状の第2の電極97が容器100の端部100Aとの間に介在して配置される。第2の電極97は、光透過性材料部98の外周面にわたって延在する形状として形成される。第2の電極97を光透過性の導電性材料より構成する場合は、リング状でなく例えば円形状としてもよい。また、この第2の電極97及び光透過性材料部98の内面を覆って親水性材料部96、いわゆる親水コートが被着される。光透過性材料部98をガラスより構成し、その内側表面を清浄にして親水性を保持する場合は、親水性材料部96を介在させなくてもよい。
そして容器100の端部100B側の外周面に延在する第1の電極95と、光透過性材料部98の外周面に延在する第2の電極97との間に、これらに電圧を印加する電圧印加部101が接続されて、可変焦点レンズ90が構成される。更に、第1の電極95と第2の電極97との間、この場合第2の電極97と電圧印加部101との間にコンデンサ103が配置される。このコンデンサ103として有極性コンデンサを用いる場合も、図11において(+)で示すように陽極側を電圧印加部101側に接続して配置される。
これらの2つの可変焦点レンズ70及び90の第1の液体材料部71及び91としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液等の電解質溶液、又はイオン性液体を用いることができ、第2の液体材料部72及び92としては、例えばシリコーンオイルを用いることができる。また、陽極酸化を行う第1の電極75及び95としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタン等の陽極酸化が可能なバルブ金属を用いることができる。
このように、2つの可変焦点レンズ70及び90を設けることにより、それぞれのレンズ70及び90内に、第1及び第2の液体材料部71及び72、91及び92の界面を1つずつ備え、全体として第1及び第2の液体材料部の界面を2つ備えた構成となっている。
この例では各可変焦点レンズ70及び90において、第1の液体材料部の屈折率は第2の液体材料部の屈折率に比して小さい材料に選定すると共に、各可変焦点レンズ70及び90の対向する内側にそれぞれ配置した場合を示す。ここで、図11においては、可変焦点レンズ70の第1の液体材料部71が凸レンズ状、可変焦点レンズ90の第1の液体材料部91が凹レンズ状となっている状態を示す。
これに対し、それぞれの可変焦点レンズ70及び90に印加する電圧を変化させた状態を図12に示す。図12において、図11と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図12は、可変焦点レンズ70の第1の液体材料部71は凹レンズ状に、可変焦点レンズ90の第1の液体材料部91は凸レンズ状となっている状態を示す。すなわちこの場合、図11に示す状態においては、可変焦点レンズ70では電圧印加部81から印加する電圧V11を比較的低く(例えばV=0)、可変焦点レンズ90では電圧印加部101から印加する電圧V21を比較的高く設定する。そして、図12に示す状態においては、可変焦点レンズ70では電圧印加部81から印加する電圧V12を比較的高く、可変焦点レンズ90では電圧印加部101から印加する電圧V21を比較的低く(例えばV=0)設定する。これにより、図11に示す状態では、可変焦点レンズ70の第1の液体材料部71の接触角θ(v11)が比較的大きく、図12に示す状態では、接触角θ(v12)は比較的小さくなる。一方、可変焦点レンズ90の第1の液体材料部91は、図11に示す状態では接触角θ(v21)が比較的大きく、図12に示す状態では、接触角θ(v22)が比較的小さくなる。
このような構成において、可変焦点レンズ70の光透過性材料部79側から入射光Liを入射すると、図11に示す状態では、可変焦点レンズ70は凹レンズであり光束を広げて出射され、可変焦点レンズ90は凸レンズで例えば幅広の平行光とされ、出射される。可変焦点レンズ90を出射した光はその出射側に設けられる光学レンズ105により撮像面106に結像される。一方、図12に示す状態では、可変焦点レンズ70は凸レンズであり、入射光Liが通過すると光束が収束され、凹レンズである可変焦点レンズ90を通過すると例えば幅狭の平行光とされて出射される。この場合も可変焦点レンズ90の出射側に設けられる光学レンズ105によって、撮像面106に結像される。
このようにして、それぞれの可変焦点レンズ70及び90の第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して各レンズの焦点距離を制御することによって、例えば図11に示す状態では広角レンズを、図12に示す状態では望遠レンズを構成することができ、すなわち倍率を精度よく制御することができる。
そしてこの場合においても、上述の可変焦点レンズ、液滴操作装置及び光学素子と同様に、第1の電極と第1の液体材料部との間に介在させる誘電体膜として第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部を設けることから、次の効果が得られる。すなわち、陽極酸化することによって、製造方法の簡易化を図るとともに、膜厚を従来の真空薄膜形成方法による場合と比較して薄くすることができる。このため、誘電体膜の厚さを低減化することができ、またより高い誘電率の材料を容易に利用できることから、所望の液体材料部の界面形状の変化を得るための駆動電圧を従来に比して格段に低減化することができる。また、従来に比して簡易な製造方法をもって、精度良く均一な膜厚をもって成膜することができることから、膜厚のばらつきに起因する界面形状の変形のばらつきを抑制することができ、より高精度に各可変焦点レンズの焦点距離を制御することが可能となる。更に、下地すなわち容器が絶縁物質であればバルブ金属膜より成る第1の電極に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また化成電圧までは絶縁破壊しないので陽極酸化部の絶縁破壊強度は十分高いという利点を有する。
また、本発明によれば、それぞれの可変焦点レンズ70及び90にコンデンサ82及び103を配置することから、可変焦点レンズ70及び90を無極性化して交流駆動を可能とし、これにより高精度の制御が可能となる。
なお、この光学素子においても、上述の可変焦点レンズ及び液滴操作装置と同様に、撥水性材料部の膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。薄く成膜するために、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
また、上述の例においては、ズームレンズとして本発明構成の可変焦点レンズを2つ組み合わせた例を示すが、3つ以上組み合わせることによって、第1及び第2の液体材料部の界面を2以上設ける構成としてもよい。また、後述するように、1つの容器内に、2つの界面を構成することも可能である。この場合は例えば円筒形状や、又は例えば上述した円錐形状の頂部を切除した形状等の容器の両方の開口端に、それぞれ導電性又は有極性の液体材料部を配置し、その間に絶縁性の液体材料部を介在させる構成とする。そして両端の導電性又は有極性の液体材料部に印加する電極を分離させ、それぞれ独別に電圧を制御可能な構成とすればよい。この場合においても、この導電性又は有極性を有する液体材料部と電極との間に介在させる誘電体膜として、電極の表面を陽極酸化して陽極酸化部を設けることによって、同様に低駆動電圧化、製造の簡易化、膜厚の均一化、欠損の発生の回避、絶縁破壊強度を高めるなどの効果を得ることが可能である。更に、コンデンサを設けることによって全体を無極性化し、交流駆動を可能として高精度の制御が可能となる。
〔6〕第6の実施形態例
次に、本発明の実施形態例に係る撮像装置の一例を図13の概略構成図を参照して説明する。この撮像装置170は、ズームレンズ171と、絞り172と、フォーカスレンズ173と、シャッター174と、固体撮像素子175を備える構成とする例を示す。固体撮像素子175としては、照射された光エネルギーを電荷に変換する複数の光電変換部、この電荷を蓄積する電荷蓄積部、電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部からなるCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)デバイス等を用いることが可能である。
ここで、ズームレンズ171、絞り172、フォーカスレンズ173、シャッター174のうち少なくとも1つを、上述の第1の実施形態例において説明した本発明構成の可変焦点レンズ、第3の実施形態例において説明した絞り又はシャッター機能を有する本発明構成の光学素子、第4の実施形態例において説明した本発明構成のズームレンズを用いて構成する。
すなわち、ズームレンズ171、絞り172、フォーカスレンズ173、シャッター174のうち少なくとも1つは、一対の光透過性材料部の間に導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と絶縁性を有する第2の液体材料部とを収容して、第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する構成とする。そして、誘電体層を、第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部として構成する。
このように、第1の電極と第1の液体材料部との間に介在させる誘電体膜として第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部を設けることから、各部の製造方法の簡易化を図るとともに、駆動電圧を従来に比して格段に低減化することができる。また、従来に比して高精度にズームレンズ、絞り、フォーカスレンズ、シャッターを制御することが可能となる。更に、第1の電極を形成する容器を絶縁性物質より構成することにより、ピンホール欠損の影響を回避し、また十分高い絶縁破壊強度をもって構成できる。
そして本発明においてはコンデンサを設けることによって、これらズームレンズ、絞り、フォーカスレンズ、シャッターを無極性化して交流駆動を可能とし、確実に、高精度の制御が可能となる。
なお、この場合においても、ズームレンズ、絞り、フォーカスレンズ、シャッターにおいて陽極酸化部の上に被着される撥水性材料部は、その膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。薄く成膜するために、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
〔7〕第7の実施形態例
次に、本発明のエレクトロウエッティング装置を適用して光変調装置を構成する実施形態例について説明する。図14は、本発明の実施形態例に係る光変調装置の一例の要部の概略断面構成図である。この光変調装置130は、上述したシャッター機能を有する本発明構成の光学素子と同様の構成の光変調素子120a、120b、・・・を例えば2次元状に並置配列して構成する例を示す。図14に示すように、この光変調装置130は、一対の平板状の光透過性材料部118及び119の間に、例えば円筒形状の容器を兼ね、1つ1つが光変調素子120a、120b、120c、120d、・・を構成する第1の電極115が複数配置される。図14においては、第1の電極115が一方向に配列された断面を示しているが、例えば図14の紙面に垂直な方向にも同様に配置され、2次元状に並置配列されていてもよい。この第1の電極115としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタン等の陽極酸化が可能なバルブ金属を用いることができる。なお、例えば円筒形状の絶縁性部材等よりなる容器を用いて、その一部に第1の電極115を被着形成してもよい。そしてその内部にそれぞれ導電性又は有極性を有する第1の液体材料部111と、絶縁性の第2の液体材料部112が収容される場合を示す。第1及び第2の液体材料部111及び112のうちいずれか一方、図示の例では第2の液体材料部112の光透過性が、第1の液体材料部111の光透過性に比して低い材料より構成し、第2の液体材料部112が光透過性材料部119側に配置されるように注入される。第1の液体材料部111としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液等の電解質溶液、又はイオン性液体を用いることができ、第2の液体材料部112としては、例えばシリコーンオイルを用いることができる。
第1の電極115の表面はこの場合全面的に陽極酸化により形成した金属酸化物より成る陽極酸化部114とされる。
そして例えば円筒形状とされる第1の電極115の一方の開口端に、光透過性材料部119がエポキシ樹脂等により封止され、第1の電極115の内面及び光透過性材料部119の内側の面に撥水性材料部113が被着される。第1の電極115の他方の開口端は、親水性材料部116及び例えばリング状の第2の電極117を介して光透過性材料部118が封止されて、内部が液密に保持される。すなわち、第1の液体材料部111に陽極酸化部114より成る誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極115が配置され、また第1の液体材料部111に導通する第2の電極117がそれぞれ設けられる。
そして、第1及び第2の電極に電圧を印加する電圧印加部121が例えば光透過性材料部118及び119の間、もしくは各電極115及び117から導通部材が引き出されて、光透過性材料部118及び119の外部に配置される。図示の例においては、光透過性材料部118及び119の間に電圧印加部121を設ける例を示す。第1の電極115と第2の電極117の間、この場合、第2の電極117とこれらの電圧印加部121との間には、コンデンサ123が配置される。コンデンサ123として有極性コンデンサを用いる場合は、図14において(+)で示すように、陽極側を電圧印加部121側に接続してそれぞれ配置される。
また、図示しないが各電圧印加部121には、例えば画像、文字などの情報信号に対応して、各光変調素子120a、120b、・・に印加する電圧を変調する制御部が接続されて、印加する電圧の制御がなされる。例えば従来の液晶表示装置で用いられているTFT(Thin Film Transistor)のようなスイッチング用アクティブ素子とこれに接続される画素電極、走査線及び信号線がマトリクス状に配設されたアクティブ素子アレイ基板を光透過性材料部118として用いることができる。走査線及び信号線の選択によって、画像や文字情報等に対応して各電極に適切な電圧を印加することが可能である。
このような構成とすることにより、第1及び第2の液体材料部111及び112の界面の形状を、第1及び第2の電極115及び117に印加する電圧を制御して変化することにより、入力される情報信号に対応して第1及び第2の液体材料部111及び112を透過する光の光量が制御される光変調装置130を構成することができる。
これについて説明すると、第1及び第2の電極115及び117に比較的高い電圧を印加した状態では、第1の液体材料部111の接触角が比較的小さく、第1及び第2の液体材料部111及び112の界面が球面の一部形状を保持し、光透過性の低い第2の液体材料部112が光透過性材料部119側でいわば一枚の膜状となり、ここを通過する光は遮光される。この状態を光変調素子120a及び120dとして示す。
第1及び第2の電極115及び117に印加する電圧を比較的低くすると、第1の液体材料部111の接触角が大きくなるので、第1の液体材料部111の押圧によって第2の液体材料部112が縁部に押し付けられいわばリング状に変形し、中央に開口が生じて光の一部を通過させる。この状態を光変調素子120b及び120cとして示す。
このように、第1及び第2の電極115及び117に印加する電圧を調整することによって、第2の液体材料部112が側面すなわち第1の電極115の内面に押し付けられる度合い、すなわち開口の大きさを制御することができる。したがって、各光変調素子120a、120b、120c、・・に印加する電圧を情報に対応して制御することによって、これらの光変調素子を通過させる光の光量を制御することができる。各光変調素子120a、120b、120c、・・をそれぞれ一画素として構成することで、表示装置に適用可能な光変調装置130を構成することが可能である。
本発明の光変調装置においても、上述の各実施形態例において説明した可変焦点レンズ等のエレクトロウエッティング装置と同様に、第1の電極115上に被着する誘電体膜として陽極酸化部114を設けることによって、以下の効果が得られる。すなわち、誘電体膜の製造の簡易化を図るとともに、駆動電圧を従来に比して格段に低減化することができる。また、従来に比して高精度に光変調素子を制御することが可能となる。更に、上述したように第1の電極として容器を兼用して構成するか、または第1の電極を形成する容器を絶縁性物質より構成することにより、ピンホール欠損の影響を回避し、また十分高い絶縁破壊強度をもって構成できる。
そして特に第1の電極115と第2の電極117との間に、電圧印加部121に加えてコンデンサ123を配置することによって、各光変調素子120a、120b、・・を無極性化することができ、これにより交流駆動を可能とし、高精度の制御が可能となる。
なお、この場合においても陽極酸化部114の上に被着される撥水性材料部は、その膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。薄く成膜するために、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
〔8〕第8の実施形態例
次に、本発明の実施形態例に係る表示装置の一例について図15の概略分解斜視構成図を参照して説明する。図15に示すように、この場合、上述の第5の実施形態例において説明した構成の光変調装置130を用いて表示装置140を構成するもので、画素に対応して光変調素子122が配列された光変調装置130を用いる。そして例えば光変調装置130の背面側に光源装置132を配置し、また前面側にカラーフィルタ部131が配置される。カラーフィルタ131は、各画素すなわち各光変調素子122に対応した複数のセグメントに分割されている。例えば、3原色である赤色フィルタ(R)、緑色フィルタ(G)、青色フィルタ(B)の3つのセグメントに分割されている。光変調素子122に対応するカラーフィルタ131の配列パターンは、図15に示すような正方格子状の配列の他、図示しないがストライプ配列やデルタ配列などとしてもよい。また、光源装置132の光出射側の表面には図示しないが光波の位相差を補償して広視野角化や着色防止を図る機能、入射光を拡散させる機能、輝度向上を図る機能などを備えた光学シート群等を配置してもよい。
なお、カラーフィルタ131を設けることなく、白黒表示を行う表示装置140として構成してもよい。
このような構成とする本発明の表示装置によれば、光変調装置にエレクトロウエッティング装置を用い、且つその第1の液体材料部と第1の電極との間に設ける誘電体膜を陽極酸化部により構成することから、上述の各実施形態例と同様に、光変調装置の製造の簡易化、駆動電圧の大幅な低減化を図ることが可能である。そして、従来に比して高精度に光変調素子を制御することが可能となり、より諧調制御が精度良く行われ、表示特性の良好な表示装置を提供することが可能となる。更に、第1の電極として容器を兼用して構成するか、又は第1の電極を形成する容器を絶縁性物質より構成することにより、ピンホール欠損の影響を回避し、また十分高い絶縁破壊強度をもって構成できる。
そして更に、上述したように光変調素子にコンデンサを配置することによって、これらの交流駆動を可能とし、高精度の制御が可能となって、より諧調制御に優れた表示装置を提供することが可能となる。
なお、この場合においても陽極酸化部114の上に被着される撥水性材料部113は、その膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。薄く成膜するために、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
以上、本発明によるエレクトロウエッティング装置を適用した可変焦点レンズ、液滴装置、絞り又はシャッターの機能を備える光学素子、ズームレンズ、光変調装置、表示装置について説明したが、本発明によるエレクトロウエッティング装置は上述の各実施形態例において説明した例に限定されるものではなく、その他エレクトロウエッティング現象を利用する各種の装置に適用することが可能である。
例えば、可変焦点レンズを用いる種々の光学装置、例えば光学測定装置、光学読み取り装置などに適用可能である。また、第1又は第2の液体材料部のどちらか一方を光透過性材料とし、他方を反射率の高い材料を用いて構成することによって、光の偏向方向を制御する光スイッチ素子を構成する場合においても適用可能である。
また、液体材料部の表面形状の変化を利用して液体を噴出させる流体ジェット装置やこれを利用したインクジェット方式のプリンタ装置にも適用可能である。
更に、マイクロウエッティング現象を利用した微小な液滴のミキサー装置、またこれを利用した種々の化学測定装置や生化学測定装置にも本発明を適用することが可能である。
また、液滴の表面形状の変化による高さ(厚さ)の変化を利用して、この液滴の上面に載置する例えば板状部材の位置制御を行い、これにより例えばゴニオメーター(角度計)の機能を備える制御装置を実現することもできる。
これらのいずれのエレクトロウエッティング現象を利用した装置においても、本発明を適用することによって、上述の各実施形態例におけると同様の効果を得ることができる。すなわち、誘電体膜として陽極酸化により形成した陽極酸化部を用いることによって、製造の簡易化、駆動電圧の低減化を図ることができる。また、従来に比して高精度に液体材料部の界面形状を制御することが可能となる。更に、第1の電極として容器を兼用する構成とするか、または第1の電極を形成する容器を絶縁性物質より構成することにより、ピンホール欠損の影響を回避し、また十分高い絶縁破壊強度をもって構成できる。
そして特に電極と液体材料部との間に、電圧印加部に加えてコンデンサを配置することによって、交流駆動を可能とし、直流駆動する場合にエレクトロウエッティング現象が徐々に減じられてしまう現象を回避できるため、確実に高精度の制御が可能となるという利点を有する。
いずれの場合においても、陽極酸化部の上に被着される撥水性材料部は、その膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。薄く成膜するために、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
また、本発明の可変焦点レンズは、上述の各例に限定されるものではなく、図16に示すように、容器の形状を円錐形状とするとか、また、図17に示すように、1つの容器内に2つの界面を設ける構成とすることも可能である。
図16に示す可変焦点レンズ210は、円錐形の頂部を切除した形状の内側面を有する容器209内に導電性又は有極性の第1の液体材料部211と、絶縁性の第2の液体材料部212とを収容する構成とする例である。
容器215の開口端には例えば円形のガラス又は光透過性樹脂より成る光透過性材料部218及び219が液密にエポキシ樹脂等によって封止される。この例においては光透過性材料部218及び219を平面状としているが、その一部又は全ての面が屈折力を有する曲面形状としてもよい。また必要に応じて回折作用や偏光作用等を有する構造又は薄膜を例えば外側の面に設けてもよい。
そして、容器215の内壁から第2の液体材料部211を収容する側の一方の端部を覆って外周面にかけて、第1の電極215が形成される。そしてその表面に陽極酸化により形成した金属酸化物より成る陽極酸化部214が、所定の誘電率を有する誘電体膜として設けられる。陽極酸化部214上に撥水性材料部213、いわゆる撥水コートが被着される。
容器215の一端に配置した光透過性材料部218の内面には、例えばリング状の第2の電極217が第1の電極215と絶縁性材料部216を介して配置される。この例においては光透過性材料部218の内側表面を清浄にして親水性を保持させて、親水性材料部を介在させない例を示すが、光透過性材料部218と第1の液体材料部211との間に親水性材料部を介在させてもよい。
そして容器215の外周面に露出する第1の電極215と第2の電極217との間に、これらに電圧を印加する電圧印加部208が接続される。更に、第1と第2の電極215及び217の間、この場合第2の電極217と電圧印加部208との間にコンデンサ206が配置される。コンデンサ206として有極性コンデンサを用いる場合は、図16において(+)として示すように、陽極側を電圧印加部208側に接続する。
また、図17に示す可変焦点レンズ230では、例えば円筒形の容器240内に導電性又は有極性の第1及び第3の液体材料部231及び233と、これらの間に絶縁性の第2の液体材料部232を収容する構成とする。容器240の一端は第1の電極241が容器240の内側から端部を経て外側面に形成される。第1の電極241の内側面側、すなわち容器240の内側面上には陽極酸化により形成した金属酸化物より成る陽極酸化部242が形成され、所定の誘電率を有する誘電体膜として設けられる。陽極酸化部242上には撥水性材料部243が被着される。第1の電極241とは絶縁性材料部244を介してリング状等の第2の電極245が光透過性材料部246の内側に配置される。第1及び第2の電極241及び245には電圧印加部261が接続され、第2の電極245と電圧印加部261との間にコンデンサ262が配置される。コンデンサ262として有極性コンデンサを用いる場合は、図17において(+)として示すように、陽極側を電圧印加部261側に接続する。
一方、容器240の他方の端部側には、第3の電極251が容器240の内側から端部を経て外側面に形成される。またその容器240の内側面上には陽極酸化により形成した金属酸化物より成る陽極酸化部252が形成され、所定の誘電率を有する誘電体膜として設けられる。陽極酸化部252上には撥水性材料部253が被着される。第3の電極251とは絶縁性材料部254を介してリング状等の第4の電極255が光透過性材料部256の内側に配置される。第3及び第4の電極251及び255には電圧印加部263が接続され、第4の電極255と電圧印加部263との間にコンデンサ264が配置される。コンデンサ264として有極性コンデンサを用いる場合は、図17において(+)として示すように、陽極側を電圧印加部263側に接続する。
この場合、電圧印加部261により第1及び第2の電極241及び245の間に所定の電圧を印加することによって、第1の液体材料部231と第2の液体材料部232との界面の曲率を自由に制御することができる。一方、電圧印加部263により第3及び第4の電極251及び255の間に所定の電圧を印加することによって、第2の液体材料部232と第3の液体材料部233との間の界面の曲率を自由に制御することができる。したがって、1つの可変焦点レンズ230において、2つの変形可能な界面を有する構成となり、いわば1つの可変焦点レンズでズームレンズを構成することが可能となる。
このような構成とする可変焦点レンズ210、230においても、上述の例と同様の効果が得られる。すなわち、陽極酸化により形成する陽極酸化部を誘電体膜として用いることにより、製造方法の簡易化を図るとともに、膜厚を従来の真空薄膜形成方法による場合と比較して薄くすることができる。このため、誘電体膜の厚さを低減化することができ、またより高い誘電率の材料を容易に利用できることから、所望の焦点距離の変化(球面度数の変化)を得るための駆動電圧を、従来に比して格段に低減化することができる。また、従来に比して簡易な製造方法をもって、精度良く均一な膜厚をもって成膜することができることから、膜厚のばらつきに起因する光学的特性の低下を回避し、更にピンホールの発生を抑制するか、または容器を絶縁性材料とする場合はピンホールによる影響を回避することができる。
更に、上述したようにコンデンサを配置することにより交流駆動を可能とし、高精度の制御が可能となる。
これによって、良好な光学的特性をもって駆動電圧の低減化を図り、かつ制御性に優れた可変焦点レンズを提供することができる。
なお、本発明による可変焦点レンズは上述したような形状や構成以外の例えば各部の材料等においても、本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
本発明の実施形態例に係るエレクトロウエッティング装置の駆動原理の説明図である。 本発明の実施形態例に係る可変焦点レンズの一例の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係る可変焦点レンズの一例の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係る可変焦点レンズの一例の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係るレンズアレイ型の可変焦点レンズの一例の概略斜視構成図である。 本発明の実施形態例に係る可変焦点レンズの一例の概略構成図である。 本発明の実施形態例に係る光ピックアップ装置を含む光記録再生装置の一例の概略構成図である。 本発明の実施形態例に係る液滴操作装置の一例の概略断面構成図である。 A〜Cは本発明の実施形態例に係る液滴操作装置の一例の液滴操作を説明する概略断面構成図である。 A〜Cは本発明の実施形態例に係る光学素子の一例の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係るズームレンズの一例の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係るズームレンズの一例の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係る撮像装置の一例の概略構成図である。 本発明の実施形態例に係る光変調装置の一例の要部の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係る表示装置の一例の概略分解斜視構成図である。 本発明の実施形態例に係る可変焦点レンズの一例の概略断面構成図である。 本発明の実施形態例に係る可変焦点レンズの一例の概略断面構成図である。 A及びBは従来の可変焦点レンズの一例の概略断面構成図である。 エレクトロウエッティング現象の接触角の変化の説明図である。 エレクトロウエッティング現象の原理の説明図である。
符号の説明
1.電極、2.陽極酸化部、3.撥水性材料部、4.液体材料部、5.電圧印加部、6.コンデンサ、7.絶縁性部材、8.電圧印加部、9.容器、10.可変焦点レンズ、11.第1の液体材料部、12.第2の液体材料部、13.撥水性材料部、14.陽極酸化部、15.第1の電極、16.親水性材料部、17.第2の電極、18.光透過性材料部、19.光透過性材料部、21.基板、22.基板、23.電極アレイ、24a〜24i.陽極酸化部、25.撥水性材料部、26.液滴、27.絶縁性材料部、28.撥水性材料部、29.共通電極、30.液滴操作装置、33.コンデンサ、41.第1の液体材料部、42.第2の液体材料部、43.撥水性材料部、44.陽極酸化部、45.第1の電極、46.親水性材料部、47.第2の電極、48.光透過性材料部、49.光透過性材料部、50.光学素子、53.コンデンサ、70.可変焦点レンズ、82.コンデンサ、90.可変焦点レンズ、102.ズームレンズ、103.コンデンサ、111.第1の液体材料部、112.第2の液体材料部、113.撥水性材料部、114.陽極酸化部、115.第1の電極、116.親水性材料部、117.第2の電極、118.光透過性材料部、119.光透過性材料部、120a〜120d.光変調素子、121.電圧印加部、122a〜122d.画素、123.コンデンサ、130.光変調装置、131.カラーフィルタ、132.光源装置、140.表示装置、180.光ピックアップ装置、181.光源、183.偏光ビームスプリッタ、184.4分の1波長板、185.ミラー、186.対物レンズ、187.アクチュエータ、188.受光部、189.演算回路、190.対物レンズ駆動部、191.光ヘッド駆動部、192.回転駆動部、200.光記録再生装置

Claims (13)

  1. 導電性又は有極性を有する液体材料部と、前記液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する電極とを備え、
    前記誘電体層が、前記電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記電極と前記液体材料部との間に、前記電極及び前記液体材料部の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とするエレクトロウエッティング装置。
  2. 前記誘電体層と前記液体材料部との間に撥水性材料部とが設けられたことを特徴とする請求項1記載のエレクトロウエッティング装置。
  3. 一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性の第2の液体材料部とが収容され、
    前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有し、
    前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とする可変焦点レンズ。
  4. 前記一対の光透過性材料部のうち、少なくとも1つの光透過性材料部が、曲面を有する形状とされたことを特徴とする請求項3記載の可変焦点レンズ。
  5. 前記可変焦点レンズが複数設けられてアレイレンズとされたことを特徴とする請求項3記載の可変焦点レンズ。
  6. 光源部と、受光部と、光記録媒体と対向する対物レンズと、前記対物レンズに前記光源部からの出射光を導く機能と前記対物レンズからの光を集光レンズにより前記受光部に集光する機能をもつ光学系とを備え、
    前記光学系に、可変焦点レンズが設けられ、
    前記可変焦点レンズは、一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性の第2の液体材料部とが収容され、前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する構造とされ、
    前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  7. 光源部と、受光部と、光記録媒体と対向する対物レンズと、前記対物レンズに前記光源部からの出射光を導く機能と前記対物レンズからの光を集光レンズにより前記受光部に集光する機能をもつ光学系とを備え、
    前記光学系に、可変焦点レンズが設けられ、
    前記可変焦点レンズは、一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性を有する第2の液体材料部とが収容され、前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する構造とされ、
    前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とする光記録再生装置。
  8. 基板上に、電極アレイが形成され、前記電極アレイはそれぞれ誘電体層により覆われて成り、
    前記誘電体層上に導電性又は有極性を有する液滴が被着され、
    前記液滴に導通する共通電極が、前記電極アレイに対向して設けられ、
    前記共通電極と前記電極アレイとの間に印加する電圧を制御して、前記液滴を前記電極アレイの配列方向に移動させる電圧制御部とを備えて成り、
    前記電極アレイを覆う前記誘電体層は、前記アレイ電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記電極アレイと前記共通電極との間に、前記電極アレイ及び前記共通電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とする液滴操作装置。
  9. 一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性を有する第2の液体材料部とが収容され、
    前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とが設けられ、
    前記第1及び第2の液体材料部のいずれか一方が他方に比して光透過性が低い材料より成り、
    前記第1及び第2の液体材料部の界面の形状を、前記第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して変化することにより、前記第1及び第2の液体材料部を透過する光の光量が制御され、
    前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とする光学素子。
  10. 一対の光透過性材料部の間に、導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性の第2の液体材料部とが収容され、前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する可変焦点レンズを1以上備え、
    前記1以上の可変焦点レンズに、前記第1及び第2の液体材料部の界面が少なくとも2つ設けられ、
    前記第1及び第2の液体材料部の界面の形状を前記第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して変化することにより、前記1以上の可変焦点レンズの焦点距離を変化させて倍率が制御され、
    前記可変焦点レンズの前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とするズームレンズ。
  11. ズームレンズと、可変焦点レンズと、絞り又はシャッター機能を有する光学素子と、固体撮像素子とを備え、
    前記ズームレンズ、可変焦点レンズ及び光学素子のうち少なくとも1つは、一対の光透過性材料部の間に導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と絶縁性を有する第2の液体材料部とが収容され、前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とを有する構成とされ、
    前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とする撮像装置。
  12. 一対の光透過性材料部の間に導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性を有する第2の液体材料部とが収容され、
    前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とがそれぞれ設けられ、
    前記第1及び第2の液体材料部のいずれか一方が他方に比して光透過性が低い材料より成り、
    前記第1及び第2の液体材料部の界面の形状を前記第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して変化することにより、入力される情報信号に対応して前記第1及び第2の液体材料部を透過する光の光量が制御される光変調素子として構成され、
    前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成る
    ことを特徴とする光変調装置。
  13. 光変調装置と、前記光変調装置に光を入力する光源装置とを備え、
    前記光変調装置は、
    一対の光透過性材料部の間に導電性又は有極性を有する第1の液体材料部と、絶縁性を有する第2の液体材料部とが収容され、
    前記第1の液体材料部に誘電体層を介在して電圧を印加する第1の電極と、前記第1の液体材料部に導通する第2の電極とがそれぞれ設けられ、
    前記第1及び第2の液体材料部のいずれか一方が他方に比して光透過性が低い材料より成り、
    前記第1及び第2の液体材料部の界面の形状を前記第1及び第2の電極に印加する電圧を制御して変化することにより、入力される情報信号に対応して前記第1及び第2の液体材料部を透過する光の光量が制御される光変調素子として構成され、
    前記光変調装置に設けられる前記誘電体層が、前記第1の電極を陽極酸化して形成した金属酸化物より成る陽極酸化部とされ、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1及び第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、コンデンサとが配置されて成り、
    前記光変調素子が画素に対応して設けられた
    ことを特徴とする表示装置。
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