JP2010107908A - エレクトロウェッティング装置、可変焦点レンズ、光ピックアップ装置、光記録再生装置、液滴操作装置、光学素子、ズームレンズ、撮像装置、光変調装置、表示装置、ストロボ装置及びエレクトロウェッティング装置の駆動方法 - Google Patents
エレクトロウェッティング装置、可変焦点レンズ、光ピックアップ装置、光記録再生装置、液滴操作装置、光学素子、ズームレンズ、撮像装置、光変調装置、表示装置、ストロボ装置及びエレクトロウェッティング装置の駆動方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】低電圧で且つより広い電圧可変範囲で動作するエレクトロウェッティング装置、それを備えた各種装置及び駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明のエレクトロウェッティング装置は、導電性または有極性を有する液体と、液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、液体と第1電極との間に設けられた誘電体層と、電圧印加部とを備える構成とした。そして、本発明では、電圧印加部が0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号、すなわち、正極性の電圧範囲で変動する交流電圧を、第1及び第2電極間に印加するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のエレクトロウェッティング装置は、導電性または有極性を有する液体と、液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、液体と第1電極との間に設けられた誘電体層と、電圧印加部とを備える構成とした。そして、本発明では、電圧印加部が0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号、すなわち、正極性の電圧範囲で変動する交流電圧を、第1及び第2電極間に印加するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、エレクトロウェッティング現象を利用したエレクトロウェッティング装置に関する。また、本発明は、エレクトロウェッティング装置を用いた可変焦点レンズ、光ピックアップ装置、光記録再生装置、液滴操作装置、光学素子、ズームレンズ、撮像装置、光変調装置、表示装置及びストロボ装置に関する。さらに、本発明は、エレクトロウェッティング装置の駆動方法に関する。
従来、スチルカメラ、ビデオカメラなど光学装置の光学系では、フォーカス操作及びズーム操作を実現するために、レンズを光軸方向に繰り出す機構が採用されている。しかしながら、光学装置の小型化の要求に対応するためには、このような機構部を省略することが有効な手段として考えられる。
上述のような要求に応えるため、従来、エレクトロウェッティング現象(電気毛管現象)を利用した可変焦点レンズが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、従来、この可変焦点レンズを利用した光学装置及び駆動方法等も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特許文献1で提案されている可変焦点レンズでは、その内部に、導電性の第1液体と、第1液体と比重が同じであり、第1液体と混ざらない絶縁性の第2液体が封入されている。そして、可変焦点レンズに印加する交流電圧の振幅を調整することにより、第1及び第2液体間の界面形状の変形量を調整して、焦点距離を制御する。それゆえ、従来の光学レンズのように、フォーカス操作時及びズーム操作時のレンズの繰り出し動作を行う必要がない。すなわち、特許文献1で提案されている可変焦点レンズを用いることにより、レンズの繰り出し動作を行う機構を用いずに、フォーカス操作及びズーム操作を行うことができる。
しかしながら、特許文献1及び2で提案されている可変焦点レンズは、±100V程度の振幅を有する交流電圧を印加して駆動されるので、これらの技術を、電池動作が前提となる小型光学装置にそのまま適用すること難しい。それゆえ、エレクトロウェッティング現象を利用した可変焦点レンズでは、印加電圧を低くすることが望まれている。
上記要望に応えるため、従来、電極と導電性液体とを絶縁する絶縁膜として、金属の陽極酸化膜(誘電体膜)を使う技術が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3には、電極と導電性液体とを絶縁する絶縁膜として、例えば、金属タンタルを陽極酸化して生成した五酸化タンタル膜を用いている。そして、このような絶縁膜を用いることにより、±10V程度の交流電圧で十分な範囲で焦点距離を調整することができることが示されている。
ところで、エレクトロウェッティング現象を利用した装置では、陽極−陰極間に直流電圧を印加すると、陽極−陰極間に配置されている誘電体(絶縁体)に電荷が蓄積され、陽極と導電性液体との間に作用するエレクトロウェッティング効果が打ち消されてしまう。そのため、エレクトロウェッティング現象を利用した装置の陽極−陰極間に直流電圧を印加した場合には、エレクトロウェッティング現象による液体界面の変形を保持し続けることができない。この問題を解決するために、上述した特許文献1〜3では、エレクトロウェッティング現象による液体界面の変形を保持し続けるために、可変焦点レンズに印加する電圧として交流電圧を用いている。
ただし、特許文献3で提案されているように、絶縁膜として陽極酸化した金属酸化膜を用いると、可変焦点レンズの電気絶縁特性は、図27のようになる。図27の横軸は印加電圧値であり、縦軸は可変焦点レンズ(絶縁膜)に流れる電流値である。この電気絶縁特性は、一般のタンタルコンデンサ、アルミ電解コンデンサと同様になる。それゆえ、陽極の電位が陰極の電位より高くなる場合、すなわち正極性の電圧を印加した場合には、絶縁膜の正極性における耐電圧VEW+が十分大きいので、可変焦点レンズの絶縁膜はコンデンサとして動作する。
しかしながら、絶縁膜の負極性における耐電圧VEW−は正極性における耐電圧VEW+(例えば、数十V〜百数十V程度)に比べて非常に小さい(例えば、数V程度)。それゆえ、絶縁膜に負極性(逆極性)の電圧を印加すると、比較的小さな電圧値を印加しただけで絶縁膜が絶縁破壊し、通電してしまう。この場合、可変焦点レンズがエレクトロウェッティング現象を利用した素子として機能しなくなる。したがって、このような可変焦点レンズでは、電圧の可変範囲が負極性における耐電圧VEW−により制限されてしまうため、電圧可変範囲が狭くなるという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は低電圧で且つより広い電圧可変範囲で動作するエレクトロウェッティング装置及びそれを備えた各種装置、並びに、駆動方法を提供することである。
上記問題を解決するために、本発明のエレクトロウェッティング装置は、導電性または有極性を有する液体と、液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、液体と第1電極との間に設けられた誘電体層とを備える構成とした。そして、本発明では、さらに、電極と液体との間に印加する電圧印加部を備え、電圧印加部が0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第1及び第2電極間に印加するようにした。
また、本発明の可変焦点レンズは、一対の光透過性部材と、一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体とを備える。また、可変焦点レンズは、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体と混合せず、光透過性を有し、第1の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体を備える。さらに、可変焦点レンズは、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、第1電極の液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層とを備える。そして、可変焦点レンズは、0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第1及び第2電極間に印加する電圧印加部を備える。
本発明の光ピックアップ装置は、光源部と、受光部と、光記録媒体と対向する対物レンズと、対物レンズに光源部からの出射光を導く機能及び光記録媒体からの反射光を受光部に集光する機能を有する光学系とを備える。そして、光学系は、上述の本発明の可変焦点レンズを備える。
本発明の光記録再生装置は、上述の本発明の光ピックアップ装置と、光ピックアップ装置内の可変焦点レンズを駆動する駆動部と、光記録媒体を回転駆動する回転駆動部とを備える。
本発明の液滴操作装置は、基板と、基板上に、所定間隔で並列配置された複数の第1電極と、複数の第1電極の表面を酸化処理して形成された複数の誘電体層と、複数の誘電体層上に配置された導電性または有極性を有する液滴とを備える。また、液滴操作装置は、液滴を挟んで前記複数の第1電極と対向して設けられた液滴に導通する第2電極と、0V以上の第1電圧と第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第1及び第2電極間に印加する電圧印加部とを備える。
本発明の光学素子は、一対の光透過性部材と、一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体とを備える。また、光学素子は、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体と混合せず、第1の液体より低い光透過性を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体を備える。さらに、光学素子は、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、第1電極の液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層とを備える。そして、光学素子は、0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第1及び第2電極間に印加する電圧印加部を備える。
本発明のズームレンズは、第1可変焦点レンズ部と、第2可変焦点レンズ部とを備える。第1可変焦点レンズ部は、第1及び第2光透過性部材と、第1及び第2光透過性部材の間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体とを有する。また、第1可変焦点レンズ部は、第1及び第2光透過性部材の間に収容され、第1の液体と混合せず、光透過性を有し、第1の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体を備える。さらに、第1可変焦点レンズ部は、第1及び第2光透過性部材の間に収容され、第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、第1電極の液体側の表面を酸化処理して形成された第1誘電体層とを有する。そして、第1可変焦点レンズ部は、0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第1及び第2電極間に印加する第1電圧印加部を有する。一方、第2可変焦点レンズ部は、第3及び第4光透過性部材と、第3及び第4光透過性部材の間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第3の液体とを有する。また、第2可変焦点レンズ部は、第3及び第4光透過性部材の間に収容され、第3の液体と混合せず、光透過性を有し、第3の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第4の液体を有する。さらに、第2可変焦点レンズ部は、第3及び第4光透過性部材の間に収容され、第3の液体に電圧を印加する第3及び第4電極と、第3電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された第2誘電体層とを有する。そして、第2可変焦点レンズ部は、0V以上の第3電圧と、第3電圧より大きい第4電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第3及び第4電極間に印加する第2電圧印加部を有する。
本発明の撮像装置は、ズームレンズ、可変焦点レンズ及び絞りまたはシャッター機能を有する光学素子を含む光学系と、光学系を介して入射された光を電気信号に変換する撮像素子と、光学系を制御する制御部とを備える。ズームレンズ、可変焦点レンズ及び光学素子の少なくとも一つは、一対の光透過性部材と、一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体とを有する。また、ズームレンズ、可変焦点レンズ及び光学素子の少なくとも一つは、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体と混合しない絶縁性または無極性を有する第2の液体を有する。さらに、ズームレンズ、可変焦点レンズ及び光学素子の少なくとも一つは、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、第1電極の液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層とを有する。そして、ズームレンズ、可変焦点レンズ及び光学素子の少なくとも一つは、0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第1及び第2電極間に印加する電圧印加部を有する。
本発明の光変調装置は、複数の光変調素子と、各光変調素子を駆動する駆動部とを備える。各光変調素子は、一対の光透過性部材と、一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体とを有する。また、各光変調素子は、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体と混合せず、第1の液体より低い光透過性を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体を有する。さらに、各光変調素子は、一対の光透過性部材間に収容され、第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層とを有する。そして、各光変調素子は、0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、第1及び第2電極間に印加する電圧印加部を有する。
本発明の表示装置は、複数の光変調素子を含む光変調装置部と、光変調装置部に光を入射する光源とを備える。そして、光変調装置部には、上述の本発明の光変調装置を用いる。
本発明のストロボ装置は、複数の光学素子を含む光拡散素子と、光拡散素子に光を入射する光源と、光拡散素子と光源との間の光路の途中に設けられた光学プリズムとを備える。また、ストロボ装置は、光源を発光させるストロボ回路部と、光拡散素子及びストロボ回路部の駆動を制御する制御部とを備える。そして、光拡散素子内の各光学素子には、上述の本発明の光学素子を用いる。
また、上記問題を解決するために、本発明のエレクトロウェッティング装置の駆動方法は、次のような手順とした。まず、上述の本発明のエレクトロウェッティング装置内の第1及び第2電極間に、0V以上の第1電圧を所定時間印加する。次いで、第1電圧を前記所定時間が印加した後、第1電圧より大きい第2電圧を第1及び第2電極間に所定時間印加する。そして、第2電圧を所定時間が印加した後、第1電圧を所定時間印加するステップと第2電圧を所定時間印加するステップとを繰り返す。
上述のように、本発明のエレクトロウェッティング装置及びそれを用いた各種装置、並びに、エレクトロウェッティング装置の駆動方法では、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧により駆動する。
本発明では、正極性の電圧範囲で変動する交流電圧を印加して、エレクトロウェッティング装置及びそれを用いた各種装置を駆動する。誘電体層の正極性の耐電圧は、負極性(逆極性)の耐電圧より十分大きい。それゆえ、本発明では、低電圧で且つより広い電圧可変範囲で動作させることができる。
以下、本発明の種々の実施形態を、添付図面を参照しながら下記の順で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.エレクトロウェッティング装置の構成例
2.第1の実施形態:可変焦点レンズの構成例
3.第2の実施形態:光ピックアップ装置の構成例
4.第3の実施形態:液滴操作装置の構成例
5.第4の実施形態:絞り機能またはシャッター機能を備える光学素子の構成例
6.第5の実施形態:ズームレンズの構成例
7.第6の実施形態:撮像装置の構成例
8.第7の実施形態:光変調装置の構成例
9.第8の実施形態:表示装置の構成例
10.第9の実施形態:ストロボ装置の構成例
1.エレクトロウェッティング装置の構成例
2.第1の実施形態:可変焦点レンズの構成例
3.第2の実施形態:光ピックアップ装置の構成例
4.第3の実施形態:液滴操作装置の構成例
5.第4の実施形態:絞り機能またはシャッター機能を備える光学素子の構成例
6.第5の実施形態:ズームレンズの構成例
7.第6の実施形態:撮像装置の構成例
8.第7の実施形態:光変調装置の構成例
9.第8の実施形態:表示装置の構成例
10.第9の実施形態:ストロボ装置の構成例
<1.エレクトロウェッティング装置の構成例>
[エレクトロウェッティング装置の構成]
図1に、本発明の実施の形態にかかるエレクトロウェッティング装置の概略構成及び動作原理を示す。エレクトロウェッティング装置1は、第1及び第2電極2a及び2bと、第1電極2aの一方の表面に形成された誘電体層3と、誘電体層3上に形成された撥水膜4(撥液膜)と、撥水膜4上に滴下された導電性液体5とを備える。また、エレクトロウェッティング装置1は、第1及び第2電極2a,2b間に電圧印加する電圧印加部6を備える。電圧印加部6の一方の端部は第1電極2aに接続され、他方の端子は第2電極2bに接続される。第2電極2bは導電性液体5に接するように設けられる。なお、電圧印加部6他方の端子を第2電極2bとして直接導電性液体5に接するようにしてもよい。なお、図1中の導電性液体5aは、電圧を印加しない場合の撥水膜4に対する導電性液体5の付着状態を示したものであり、導電性液体5bは、電圧を印加した場合の撥水膜4に対する導電性液体5の付着状態を示したものである。
[エレクトロウェッティング装置の構成]
図1に、本発明の実施の形態にかかるエレクトロウェッティング装置の概略構成及び動作原理を示す。エレクトロウェッティング装置1は、第1及び第2電極2a及び2bと、第1電極2aの一方の表面に形成された誘電体層3と、誘電体層3上に形成された撥水膜4(撥液膜)と、撥水膜4上に滴下された導電性液体5とを備える。また、エレクトロウェッティング装置1は、第1及び第2電極2a,2b間に電圧印加する電圧印加部6を備える。電圧印加部6の一方の端部は第1電極2aに接続され、他方の端子は第2電極2bに接続される。第2電極2bは導電性液体5に接するように設けられる。なお、電圧印加部6他方の端子を第2電極2bとして直接導電性液体5に接するようにしてもよい。なお、図1中の導電性液体5aは、電圧を印加しない場合の撥水膜4に対する導電性液体5の付着状態を示したものであり、導電性液体5bは、電圧を印加した場合の撥水膜4に対する導電性液体5の付着状態を示したものである。
第1電極2aは、例えば、タンタルやアルミニウムなどの板状金属製部材である。誘電体層3は、第1電極2aの導電性液体5側の表面を酸化処理(例えば、陽極酸化)して形成される。それゆえ、例えば、第1電極2aとしてタンタルを用いた場合には、誘電体層3は五酸化タンタル膜で形成されることになる。このように、金属酸化膜で誘電体層3を形成した場合には、その膜厚を容易に且つ極めて薄くすることが可能であり、また比較的高い誘電率とすることができるので、駆動電圧を格段に低減することができる。また、誘電体層3の膜厚も容易に均一にすることができるので、制御精度のばらつきを抑えることができる。
撥水膜4は、導電性液体5との親和性の低い(撥水性の高い)材料で形成する。例えば、導電性液体5として水を用いた場合には、撥水膜4はフッ素系樹脂等で形成する。なお、撥水膜4の形成材料としては、導電性液体5との親和性の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
導電性液体5(有極性液体)としては、導電性または有極性を有する液体であり、そのような性質を有する液体であれば、任意の液体を用いることができる。導電性液体5としては、例えば、水、水とエタノールとの混合液体、水とエタノールとエチレングリコールとの混合溶液、水及びエタノールの混合液体に食塩を加えた混合液体等を用いることができる。
また、電圧印加部6は、後述するように電圧値が正極性の電圧範囲(0[V]以上の電圧範囲)で変化する交流電圧を第1電極2a及び第2電極2b間に印加する。電圧印加部6内の構成は後で詳述する。
ここで、エレクトロウェッティング現象(電気毛管現象)について簡単に説明する。まず、電圧印加部6により電圧を印加しない状態での導電性液体5aの接触角をθ0とする。次いで、電圧印加部6により、第1電極2a及び第2電極2b間に電圧を印加すると、誘電体層3の一方の表面にプラス電荷が帯電し、他方の表面にマイナス電荷が帯電する。これにより、導電性液体5内のプラスイオンの分子またはマイナスイオンの分子に静電気力が作用し、導電性液体5が撥水膜4側に引き付けられる。この結果、電圧を印加しない場合(導電性液体5aの状態)に比べて、導電性液体5は、撥水膜4上により広がった状態で付着する(導電性液体5bの状態)。このときの導電性液体5の接触角θは、電圧を印加しない場合の接触角θ0より小さくなる。すなわち、電圧を印加することにより、導電性液体5の撥水膜4に対する濡れ性が大きくなり、電性液体5の表面形状が変形する。このような現象がエレクトロウェッティング現象とよばれるものである。
[電圧印加部の構成]
図2に、本実施の形態にかかるエレクトロウェッティング装置における電圧印加部6の内部構成を示す。また、図3に、電圧印加部6から出力される駆動電圧の信号波形の一例を示す。電圧印加部6は、主に、電源6aと、DC/DCコンバータ6bと、駆動部6cと、制御部6dとで構成される。なお、本発明は、これに限定されず、後述するように、本発明のエレクトロウェッティング装置1を各種用途の装置に適用する場合には、適用する装置内の電源及び制御部により、本発明のエレクトロウェッティング装置1を駆動してもよい。この場合には、電圧印加部6中の電源6a及び制御部6dは、エレクトロウェッティング装置1の外部に設けられる。
図2に、本実施の形態にかかるエレクトロウェッティング装置における電圧印加部6の内部構成を示す。また、図3に、電圧印加部6から出力される駆動電圧の信号波形の一例を示す。電圧印加部6は、主に、電源6aと、DC/DCコンバータ6bと、駆動部6cと、制御部6dとで構成される。なお、本発明は、これに限定されず、後述するように、本発明のエレクトロウェッティング装置1を各種用途の装置に適用する場合には、適用する装置内の電源及び制御部により、本発明のエレクトロウェッティング装置1を駆動してもよい。この場合には、電圧印加部6中の電源6a及び制御部6dは、エレクトロウェッティング装置1の外部に設けられる。
電源6aは、乾電池、充電池等の直流電源であり、そのプラス端子がDC/DCコンバータに接続され、マイナス端子が駆動部6cに接続される。
DC/DCコンバータ6bは、制御部6dの制御信号に基づいて、電源6bから入力された電圧値を所定の電圧値に昇圧する。また、DC/DCコンバータ6bは、駆動部6cに接続されており、DC/DCコンバータ6bで昇圧された電圧信号は駆動部6cに出力される。
駆動部6cは、制御部6dの制御信号に基づいて、所定周期で出力信号をオンオフ制御する。その結果、駆動部6cからは、図3に示すように、0[V](第1電圧)と所定の正電圧V[V](第2電圧)との間で、矩形状に電圧が変動する所定周期(2T)の交流電圧信号が出力される。
また、制御部6dは、主にCPU(Central Processing Unit)により構成され、上記各部の動作を制御する。
なお、図3の例では、電圧印加部6から出力される駆動電圧が、0[V]と所定の正電圧V[V]との間で所定周期で変動する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。図4に、別の駆動電圧信号の例を示す。本実施形態では、図4に示すように、電圧印加部6から出力される駆動電圧が、所定の正電圧V1[V](>0[V]:第1電圧)と、それより高い電圧V2[V](>V1:第2電圧)との間で所定周期で変動する交流電圧信号であってもよい。
また、図5に、上述した本実施の形態にかかるエレクトロウェッティング装置1を図3または図4に示すような交流電圧で駆動制御する際のフローチャートを示す。本発明では、まず、比較的低い正電圧(第1電圧:例えば、図3中のV=0[V]または図4中のV1)を所定期間T印加する(ステップS1)。次いで、第1電圧より高い電圧(第2電圧:例えば、図3中のVまたは図4中のV2)を所定期間T印加する(ステップS2)。その後は、ステップS1及びS2を繰り返す。なお、ここでは、第1電圧を印加するステップS1から駆動を開始する例を説明したが、ステップS2から駆動を開始してもよい。
本発明のエレクトロウェッティング装置1は、図3または図4に示すように正極性の電圧範囲内で電圧が変動する所定周期の交流電圧で駆動される。それゆえ、エレクトロウェッティング現象による導電性液体5の界面の変形を保持し続けることができる。
また、本発明では、駆動電圧を0[V]以上の電圧範囲で変化させるので、特許文献3の技術で見られた電圧の可変範囲が誘電体層の負極性(逆極性)における耐電圧VEW−により制限されてしまうという問題を解消することができる。さらに、本実施形態のように誘電体層3として金属酸化膜(陽極酸化膜)を用いた場合には、正極性における耐電圧VEW+は、例えば、数十V〜百数十Vとなる。それゆえ、本発明では、低電圧で且つより広い電圧可変範囲でエレクトロウェッティング装置1を駆動することができる。
[比較例1]
ここで、従来の一般的な電圧印加部(比較例)と本発明との構成の違いをより具体的に説明する。図6(a)及び(b)に、比較例1の電圧印加部の構成及び動作を示す。図6(a)は、比較例1の電圧印加部200の概略構成図であり、図6(b)は、比較例1の電圧印加部200から出力される駆動電圧の信号波形である。
ここで、従来の一般的な電圧印加部(比較例)と本発明との構成の違いをより具体的に説明する。図6(a)及び(b)に、比較例1の電圧印加部の構成及び動作を示す。図6(a)は、比較例1の電圧印加部200の概略構成図であり、図6(b)は、比較例1の電圧印加部200から出力される駆動電圧の信号波形である。
比較例1の電圧印加部200は、主に、電源201と、正極側のDC/DCコンバータ202と、負極側のDC/DCコンバータ203(反転用コンバータ)と、駆動部204と、制御部205とで構成される。電源202は、乾電池、充電池等の直流電源であり、そのプラス端子がDC/DCコンバータ202及び203に接続され、マイナス端子は駆動部204に接続される。
正極側のDC/DCコンバータ202は、制御部205の制御信号に基づいて、電源201から入力された電圧値を所定の電圧値に昇圧する。また、負極側のDC/DCコンバータ203は、制御部205の制御信号に基づいて、電源201から入力された電圧値の極性を反転させ、所定の電圧値に昇圧する。
そして、駆動部204は、正極側のDC/DCコンバータ202からの出力電圧信号と、負極側のDC/DCコンバータ203からの出力電圧信号とを位相調整及び和算する。その結果、図6(b)に示すように、駆動部204からは、−V[V]〜V[V]との間で、矩形状に電圧が変動する所定周期の交流電圧信号が出力される。
図2の構成と図6(a)の構成(比較例1)との比較から明らかなように、本発明では、電圧印加部の構成部品の点数を減らすことができ、低コストで製造することができる。
[比較例2]
次に、比較例2として、上述した特許文献3の可変焦点レンズにおける問題、すなわち、電圧の可変範囲が誘電体層の負極性における耐電圧VEW−により制限されてしまうため、電圧可変範囲が狭くなるという問題を解決する構成例について説明する。この問題を解決するには、可変焦点レンズとコンデンサとを直列接続し、その直列接続した構成の両端に、交流電圧を印加する駆動回路を接続する構成(比較例2)が考えられる。なお、比較例2のような構成では、可変焦点レンズに電圧を印加する駆動回路の電源回路部は、正負両電源が必要となる。
次に、比較例2として、上述した特許文献3の可変焦点レンズにおける問題、すなわち、電圧の可変範囲が誘電体層の負極性における耐電圧VEW−により制限されてしまうため、電圧可変範囲が狭くなるという問題を解決する構成例について説明する。この問題を解決するには、可変焦点レンズとコンデンサとを直列接続し、その直列接続した構成の両端に、交流電圧を印加する駆動回路を接続する構成(比較例2)が考えられる。なお、比較例2のような構成では、可変焦点レンズに電圧を印加する駆動回路の電源回路部は、正負両電源が必要となる。
ところで、可搬性が重視される、例えばカメラ、携帯電話等の小型撮像機器においては、充電池等による動作が前提となるので、可変焦点レンズを駆動する電気回路は、単電源で所望の動作を行えることが望ましい。それゆえ、このような観点で、本発明と比較例2を比較すると、本発明のエレクトロウェッティング装置においては、上述のように単電源で構成できるので、部品点数の削減が可能であるとともに、電圧変換効率の点でも有利な構成となる。
また、可変焦点レンズ内の導電性溶液、陽極酸化膜及び陽極(電極)の構成部分を等価回路で表すと、コンデンサで表される。ここで、比較例2の構成において、導電性溶液、陽極酸化膜及び陽極(電極)からなる構成部分の容量をCEWとし、可変焦点レンズに直列接続するコンデンサの容量をCEXTとする。そして、可変焦点レンズ全体に印加する電圧をVとすると、比較例2の構成において、導電性溶液、陽極酸化膜及び陽極(電極)からなる構成部分に掛かる電圧VEWは、下記数1で表される。
ここで、CEXT≫CEWとなるように、すなわち、十分大きな容量CEXTを有するコンデンサを用いると、導電性溶液、陽極酸化膜及び陽極(電極)からなる構成部分に掛かる電圧VEW≒Vとなる。この場合、この可変焦点レンズの電圧の可変範囲が陽極酸化膜の負極性における耐電圧VEW−により制限されてしまうため、電圧可変範囲が狭くなる。つまり、比較例2では、可変焦点レンズに直列接続するコンデンサの容量CEXTの選択が狭くなるという不利な点がある。それに対して、本発明では、正極性の電圧範囲内で電圧が変動する交流電圧を駆動電圧として用いるので、このような不利な点を解消することが可能である。
<2.第1の実施形態>
次に、上述したエレクトロウェッティング装置を可変焦点レンズに適用した例を図面を参照しながら説明する。図7(a)及び(b)に、本実施形態の可変焦点レンズの一実施形態の概略断面構成を示す。
次に、上述したエレクトロウェッティング装置を可変焦点レンズに適用した例を図面を参照しながら説明する。図7(a)及び(b)に、本実施形態の可変焦点レンズの一実施形態の概略断面構成を示す。
図7(a)及び(b)は、電圧印加部20により、例えば、図3や図4に示すような正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧を可変焦点レンズ10に印加した際の可変焦点レンズ10内部の状態を示した図である。図7(a)は、可変焦点レンズ10に印加される電圧が0[V]、または、比較的小さな電圧(例えば、図4中のV1)を印加した際の状態を示す図である。図7(b)は、図7(a)の場合より高い電圧(例えば、図3中のVまたは図4中のV2)を印加した際の状態を示す図である。
[可変焦点レンズの構成]
本実施形態の可変焦点レンズ10は、電圧印加部20と、レンズ本体部22とで構成される。電圧印加部20は、レンズ本体部22の後述する第1電極15及び第2電極17に接続され、両電極間に正極性の電圧範囲で電圧が所定周期で変動する交流電圧を出力する。また、電圧印加部20は、可変焦点レンズ10が装着されている、例えば、撮像装置等の本体駆動部21に接続されている。本体駆動部21は、電圧印加部20への電源供給及び電圧印加部20の動作制御を行う。なお、本体駆動部21は、可変焦点レンズ10内に含まれていてもよい。
本実施形態の可変焦点レンズ10は、電圧印加部20と、レンズ本体部22とで構成される。電圧印加部20は、レンズ本体部22の後述する第1電極15及び第2電極17に接続され、両電極間に正極性の電圧範囲で電圧が所定周期で変動する交流電圧を出力する。また、電圧印加部20は、可変焦点レンズ10が装着されている、例えば、撮像装置等の本体駆動部21に接続されている。本体駆動部21は、電圧印加部20への電源供給及び電圧印加部20の動作制御を行う。なお、本体駆動部21は、可変焦点レンズ10内に含まれていてもよい。
図8に、電圧印加部20及び本体駆動部21の概略構成を示す。電圧印加部20は、主に、DC/DCコンバータ20aと、駆動部20bとで構成される。また、本体駆動部21は、主に、電源21aと、制御部21bとで構成される。図8に示す電圧印加部20及び本体駆動部21の全体構成と、上記エレクトロウェッティング装置1で説明した図2に示す電圧印加部6の構成との比較から明らかなように、両者の構成は同じでる。本実施形態では、電源21a及び制御部21bを可変焦点レンズ10が装着されている撮像装置等のものを用いる。
また、レンズ本体部22は、円筒形等の絶縁性材料からなる容器9の内部に導電性または有極性を有する第1液体11(第1の液体)と、絶縁性の第2液体12(第2の液体)とを収容する構成とする。なお、容器9の形状は円筒形に限定されるものではなく、その他後述する直方体、または円錐形の先端(頂点を)切除した形状(いわゆる、すり鉢状)等とすることもできる。以下、レンズ本体部22を構成する各部について説明する。
第1液体11及び第2液体12としては、共に光透過性であり、互いに異なる屈折率を有し、そして互いに混合しない材料が選定される。第1液体11としては、導電性または有極性を有する任意の液体を用いることができる。例えば、第1液体11として、塩水、硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液等の電解質溶液またはイオン性液体などを用いることができる。また、第2液体12としては、絶縁性または無極性を有する任意の液体を用いることができる。例えば、第2液体12として、シリコーンオイル等を用いることができる。
なお、第1液体11及び第2液体12間の界面で可変焦点レンズを構成する場合、第1液体11及び第2液体12の比重差ができる限り小さいことが望ましい。比重差が小さい場合は、振動や重力による第1液体11及び第2液体12間の界面形状の変化を抑制できる。なお、容器9のサイズが1mm未満程度と極めて小さい場合や、その他の理由により振動や重力による影響を無視できる場合はこの限りではない。
容器9の開口端部9A及び9B上には、例えば、ガラスまたは光透過性樹脂で形成された円板状の第1光透過性部材19及び第2光透過性部材18がそれぞれ液密にエポキシ樹脂等によって接着される。そして、これにより、容器9内部が封止される。すなわち、第1液体11及び第2液体12は、第1光透過性部材19及び第2光透過性部材18の間に収容される。
なお、本実施形態では、第2光透過性部材18の外側(液体側とは反対側)の面を、入射光を屈折させるために曲面形状とした例を示すが、本発明はこれに限定されず、第2光透過性部材18の外側の面を平面形状としてもよい。一方、本実施形態では、第1光透過性部材19の外側の面を平面形状とした例を示すが、第1光透過性部材19の外側の面を、第2光透過性部材18と同様に、曲面形状にしてもよい。
また、本実施形態では、第1光透過性部材19及び第2光透過性部材18の内側(液体側)の面を平面形状としたが、第1光透過性部材19及び/または第2光透過性部材18の内側の面を曲面形状としてもよい。さらに、必要に応じて、例えば、第1光透過性部材19及び/または第2光透過性部材18の外側の面に、例えば、入射光に対して回折作用や偏光作用等を生じさせる構造または薄膜を設けてもよい。なお、入射光の入射側は、第2光透過性部材18(第1液体11)側及び第1光透過性部材19(第2液体12)側のいずれでもよく、用途に応じて適宜選定することができる。
本実施形態の可変焦点レンズ10では、容器9の内壁面、他方の開口端部9B及び外壁面の一部に渡った領域に第1電極15を設ける。容器9の外壁面上の一部に形成された第1電極15の電極領域は、電極取り出し領域となる。なお、第1電極15としては、例えばアルミニウム、タンタルなどの陽極酸化により金属酸化物の形成が可能な金属、いわゆるバルブ金属を用いる。また、第1電極15の材料としては、その他、ニオブ、ハフニウム、チタンなど、陽極酸化によって高い誘電率の金属酸化物を形成することができる種々のバルブ金属を用いることができる。
そして、本実施形態では、例えば容器9の内壁面上に形成された第1電極15の電極領域上に、金属酸化物からなり、所定の誘電率を有する誘電体層14(陽極酸化膜)を設ける。誘電体層14は、容器9の内壁面上の第1電極15の領域を陽極酸化することにより形成される。例えば、第1電極15として、アルミニウム、タンタル等を用いた場合には、誘電体層14はアルミナ(Al2O3)、五酸化タンタル(Ta2O5)膜等で形成される。これにより、高誘電率の誘電体層14を形成できるとともに、極めて薄い皮膜で高絶縁性を有する誘電体層14を形成することができる。なお、第1電極15及び誘電体層14は、その第2電極14側の端部が、容器9の一方の開口端部9Aから距離dで離間するように形成される(図7(a)参照)。
また、本実施形態では、誘電体層14、第1電極15及び第1光透過性部材19の液体側の面を覆うように、第1液体11より第2液体12との親和性の高い撥水膜13(撥液膜)、いわゆる撥水コートを設ける。
一方、本実施形態では、第2光透過性部材18の液体側の面の外周近傍及び側壁面に渡って、例えばリング状の第2電極17を設ける。すなわち、第2電極17は、第2光透過性部材18と容器9の一方の開口端部9Aとの間に配置される。なお、第2電極17を光透過性の導電性材料で形成する場合には、リング状でなく、例えば円板状とし、第2光透過性部材18の液体側の面全体に渡って第2電極17を形成しもよい。
また、本実施形態では、第2透過性部材18及び第2電極17の液体側の面を覆うように、第2液体12より第1液体11との親和性の高い親水膜16、いわゆる親水コートが形成される。なお、第2光透過性部材18をガラスで形成し、その液体側の表面を清浄にして親水性を保持する場合には、親水膜16を設けなくてもよい。
上述のように、本実施形態では、第2透過性部材18の液体側には親水膜16を形成し、第1透過性部材19及び容器9の液体側には撥水膜13を形成する。また、第1液体11と第2液体とは互いに混合しない。それゆえ、本実施形態では、例えば、図7(a)に示すように、第1液体11が容器9内で第2光透過性部材18側に配置され、第2液体12が容器9内の第1光透過性部材19側に配置するように収容される。
[可変焦点レンズの作製方法]
ここで、第1電極15の形成材料としてタンタルを用いた場合の可変焦点レンズ10の作製方法の一例を説明する。
ここで、第1電極15の形成材料としてタンタルを用いた場合の可変焦点レンズ10の作製方法の一例を説明する。
まず、円筒状等の容器9を用意する。次いで、容器9の内壁面、容器9の他方の開口端部9B、及び、容器9の外壁面の一部分に渡ってスパッタリング等によりタンタル薄膜を成膜して、第1電極15を形成する。この際、膜内にピンホールが発生しない程度の充分な厚さで成膜する。なお、容器9をタンタルで形成してもよい。
次に、容器9の内壁面のみを、りん酸などの電解液が浸るようにして第1電極15を陽極酸化する。次いで、例えばエポキシ樹脂等の接着剤を用いて、第1光透過性部材19を第1電極15が形成されている容器9の他方の開口端部9Bに液密に封止する。次いで、容器9の誘電体層14及び第1電極15、並びに、第1光透過性部材19の液体側の面を覆うように、撥水膜13を形成する。
次に、撥水膜13により画成された収容空間に絶縁性の第2液体12、及び、導電性の第1液体材11をこの順に注入する。
また、上記作製工程の後または並行して、第2光透過性部材18上に、リング状の第2電極17をスパッタリング等により形成する。次いで、第2光透過性部材18及び第2電極17上に、親水膜16を形成する。
そして、親水膜16と撥水膜13とが対向するように、第2光透過性部材18を容器9の一方の開口端部9Aに接着剤等を用いて液密に封止する。本実施形態では、上述のようにして可変焦点レンズ10を作製する。
[可変焦点レンズの動作]
次に、本実施形態の可変焦点レンズ10の動作を説明する。ここでは、例えば、第1液体材11の表面張力が第2液体12の表面張力より大きい場合を考える。また、電圧印加部20により、第1電極15及び第2電極17間に印加される電圧が0[V]、または、比較的小さな電圧(例えば、図4中のV1)を印加した際の状態(図7(a)の状態)における、第1液体11の撥水膜13に対する接触角をθ0とする。
次に、本実施形態の可変焦点レンズ10の動作を説明する。ここでは、例えば、第1液体材11の表面張力が第2液体12の表面張力より大きい場合を考える。また、電圧印加部20により、第1電極15及び第2電極17間に印加される電圧が0[V]、または、比較的小さな電圧(例えば、図4中のV1)を印加した際の状態(図7(a)の状態)における、第1液体11の撥水膜13に対する接触角をθ0とする。
そこで、第1電極15及び第2電極17間に印加される電圧が図7(a)の場合より高く(例えば、図3中のVまたは図4中のV2)になると、エレクトロウェッティング現象により第1液体11の撥水膜13に対する濡れ性が向上する。この結果、第1液体11と撥水膜13との接触面積が大きくなるように、すなわち、第1液体11の撥水膜13に対する接触角θが大きくなるように、第1液体11及び第2液体12間の界面が変形する(図7(b)の状態)。なお、第1液体11の撥水膜13に対する接触角θは、印加する電圧の大きさにより調整することができる。
すなわち、本実施形態では、第1液体11及び第2液体12間の界面の曲率を、印加する電圧により制御することができ、これにより、焦点距離を変化させることが可能になる。例えば、第1液体11の屈折率が第2液体12の屈折率より大きくなるように、第1液体11及び第2液体12の材料を選定すると、印加する電圧を高くすることにより、第1液体11の接触角は図7(a)から図7(b)に示すように小さくなる。この結果、焦点距離を大きくすることができる。
本実施形態の可変焦点レンズ10は、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧により駆動するので、エレクトロウェッティング現象による第1液体11及び第2液体12の界面の変形を保持し続けることができる。
また、本実施形態では、駆動電圧を正極性の電圧範囲で変化させるので、その電圧可変範囲が誘電体層14は負極性における耐電圧VEW−により制限されるという問題を解消することができる。
さらに、本実施形態のように誘電体膜14として金属酸化膜を用いた場合には、正極性における耐電圧VEW+は、例えば、数十V〜百数十Vとなる。それゆえ、本実施形態では、低電圧で且つより広い電圧可変範囲で可変焦点レンズを駆動することができる。すなわち、低電圧で、より広い範囲で焦点距離の調整が可能になる。
また、本実施形態では、上述した比較例2のように、装置と電圧印加部との間に直列接続するコンデンサを用いる必要がないので、比較例2における上述した不利な点も克服することができる。具体的には、電圧の可変範囲が誘電体層14の負極性における耐電圧VEW−により制限されないだけでなく、装置の部品点数を減らすことができ、電圧変換効率の向上も図ることができる。
[陽極酸化により得られる効果]
ここで、上述したように、誘電体層14(陽極酸化膜)を陽極酸化により形成した場合の利点(効果)を以下に詳細に説明する。
ここで、上述したように、誘電体層14(陽極酸化膜)を陽極酸化により形成した場合の利点(効果)を以下に詳細に説明する。
従来、可変焦点レンズ等のエレクトロウェッティング現象を利用した装置では、真空成膜法、すなわちスパッタリングや化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、またはスピンコートなどで誘電体層14を電極上に形成する。この場合、誘電体層14にピンホールなどの欠損があると絶縁破壊を起こすので、そのような欠損が発生しないように誘電体層14を形成する必要がある。しかしながら、電極の表面状態によってはピンホールが生じ易く、これを防ぐためには誘電体層14の厚さを厚くする必要がある。この場合、例えば約100V以上の駆動電圧が必要となる。
さらに、誘電体層14は、容器9の内壁に均一な膜厚で成膜する必要がある。しかしながら、上記従来の手法により平面でない面、例えば円筒内壁等に誘電体層14を成膜すると、膜厚ムラが生じ易くなる。この場合には、第1液体11及び第2液体12間の界面が球面状とならずに、レンズとしての良好な曲率が得られなくなり、光学的品質が低下する恐れがある。
本実施形態では、電極となる金属薄膜の表面のみを陽極酸化して電極表面に金属酸化膜を形成し、その金属酸化膜を誘電体層とする。それゆえ、本実施形態の誘電体層14では、原理上、ピンホールは発生せず、絶縁破壊に強いという利点を有する。また、本実施形態では、電極となる金属薄膜の全てを陽極酸化せず、一部を金属として保存するので、残った金属領域はそのまま電極として利用することができる。
また、上述のように陽極酸化により誘電体層14を形成する場合、電極の金属が金属酸化物に変化する過程で体積が増えるので、誘電体層14は緻密な膜となり、ピンホールの発生を抑制することが可能である。更に、タンタル等の金属材料を容器の内壁に成膜する際に、下地である容器の材料が絶縁性物質であれば、タンタル等の金属膜に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また、陽極酸化により生成した金属酸化物は化成電圧までは絶縁破壊しないので、得られる誘電体層14の絶縁破壊強度も十分高くなる。
なお、陽極酸化により形成される誘電体層14の膜厚は、化成電圧に依存する。例えば、電極材料としてタンタルを用いる場合は、誘電体層14の増加率は、理論値で化成電圧1Vあたり1.8nm程度である。また、上述のように液浸の陽極酸化で誘電体層14を形成した場合には、誘電体層14の膜厚は均一となる。すなわち、最初に成膜したタンタル等の金属膜に膜厚ムラがあっても、その表面に形成される誘電体層14(陽極酸化膜)の膜厚は均一である。それゆえ、第1液体11及び第2液体12間の界面、すなわちレンズの曲率を良好に球面状に保つことができる。その結果、収差の発生を抑制して高精度な操作が可能となり、良好な光学的特性を有する可変焦点レンズ等の光学装置を得ることができる。なお、光学装置としては、後述する絞り機能またはシャッター機能を有する光学素子、ズームレンズ、光変調装置、表示装置などが挙げられ、その他、エレクトロウェッティング現象を利用する種々の光学装置においても同様の効果が得られる。
また、このような陽極酸化による製造方法は、タンタルコンデンサ等で広く使われており、製造装置の構成も比較的簡易であり、製造技術も確立されているため、製造は極めて容易である。したがって、本実施形態では、従来の真空成膜法やスピンコートなどで誘電体層を形成する場合と比較して、製造装置や製造方法が簡便で、且つ多量に製造することができる。
[誘電体層と撥水膜との関係]
ところで、上述したバルブ金属を陽極酸化して得られた誘電体層14の特徴は、サブミクロン程度と比較的薄い膜厚で形成できることと、10〜50程度の高誘電率が得られることである。ただし、誘電体層14の表面エネルギーは比較的高く、誘電体層14のみで高い撥水効果を得ることは難しい。このため、バルブ金属を陽極酸化して得られた誘電体層14をエレクトロウェッティング装置に用いる場合は、誘電体層14の表面を撥水処理する必要がある。すなわち、本実施形態のように誘電体層14上に撥水膜13を形成する必要がある。しかしながら、誘電体層14の膜厚が比較的薄く且つ高誘電率であるため、電圧印加時には撥水膜13に駆動電圧の大部分が印加され、撥水膜13の絶縁破壊が起きやすくなる可能性がある。それゆえ、撥水膜13の絶縁破壊が起きない工夫をすることが望ましい。この問題を以下により具体的に説明する。
ところで、上述したバルブ金属を陽極酸化して得られた誘電体層14の特徴は、サブミクロン程度と比較的薄い膜厚で形成できることと、10〜50程度の高誘電率が得られることである。ただし、誘電体層14の表面エネルギーは比較的高く、誘電体層14のみで高い撥水効果を得ることは難しい。このため、バルブ金属を陽極酸化して得られた誘電体層14をエレクトロウェッティング装置に用いる場合は、誘電体層14の表面を撥水処理する必要がある。すなわち、本実施形態のように誘電体層14上に撥水膜13を形成する必要がある。しかしながら、誘電体層14の膜厚が比較的薄く且つ高誘電率であるため、電圧印加時には撥水膜13に駆動電圧の大部分が印加され、撥水膜13の絶縁破壊が起きやすくなる可能性がある。それゆえ、撥水膜13の絶縁破壊が起きない工夫をすることが望ましい。この問題を以下により具体的に説明する。
誘電体層14上に撥水膜13を設けた場合には、その等価回路は、誘電体層14及び撥水膜13のそれぞれで構成されるコンデンサの直列接続とみなせる。なお、撥水膜13に用いられる材料は総じて誘電率が低い。特にフッ化化合物が撥水膜13として好適であるが、誘電率は2程度である。それゆえ、例えば、誘電体層14としてパリレン(パラキシリレン系樹脂)を膜厚3μm、撥水膜13としてAF1600(デュポン(株)製、商品名)を膜厚10nmとして形成すると、撥水膜13にかかる電圧は全体の約0.5%になる。
それに対して、本実施形態のように、例えばタンタルで形成された電極を100Vで陽極酸化して誘電体層14を形成した場合、その膜厚は例えば約180nmとなり、比誘電率は約27となる。そして、その上に、撥水膜13として上記材料(AF1600、デュポン株式会社製、商品名)を用いると、撥水膜13にかかる電圧は印加電圧全体の約50%になる。したがって、この場合、高い電圧がかかる撥水膜13が絶縁破壊を起こしてしまう恐れもある。さらに、この場合、誘電体層14及び撥水膜13を併せた見かけ上の比誘電率は約15になってしまい、高誘電率の材料である誘電体層14を用いる利点が損なわれてしまう。
上述した問題を解消するために、撥水膜13の形成材料としては、膜厚をナノレベルまで薄くして形成することができる材料を用いることが望ましい。撥水膜13の膜厚をナノレベル(1μm未満)にするためには、反応性の撥水コート材であるフッ素系シランカップリング剤が好適である。例えば、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製、商品名)を用いることができる。オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製、商品名)などの反応性撥水コート材は、加工方法によって10nm未満、例えば5nm程度以下の膜厚、すなわち単分子膜に近い膜厚にすることができる。
このように撥水膜13の膜厚を極めて薄くすると、漏れ電流が増え、撥水膜13の絶縁性を無視できる程度にすることができる。すなわち、撥水膜13の発熱が小さくなり絶縁破壊を回避できるとともに、撥水膜13はコンデンサとして殆ど機能しない。したがって、誘電体層14と撥水膜13とはコンデンサの直列接合とみなされず、誘電体層14のみのコンデンサとみなすことができる。これにより、誘電体層14及び撥水膜13のトータルの誘電率は誘電体層14のみの値となり、上述した低駆動電圧化の効果を損なうことを回避することができる。
[変形例1]
本発明のエレクトロウェッティング装置を可変焦点レンズに適用する場合、その可変焦点レンズの構成は、図7(a)及び(b)に示す第1の実施形態の構成に限定されない。図9に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した可変焦点レンズの別の構成例(変形例1)を示す。なお、図9の可変焦点レンズにおいて、図7の可変焦点レンズと対応する部分には同一符号を付して示す。
本発明のエレクトロウェッティング装置を可変焦点レンズに適用する場合、その可変焦点レンズの構成は、図7(a)及び(b)に示す第1の実施形態の構成に限定されない。図9に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した可変焦点レンズの別の構成例(変形例1)を示す。なお、図9の可変焦点レンズにおいて、図7の可変焦点レンズと対応する部分には同一符号を付して示す。
変形例1の可変焦点レンズ30は、第1光透過性部材19及び第2光透過性部材33を接続する容器32を金属材料で形成し、この容器32を第1電極として用いる(以下、容器32は第1電極32ともいう)。すなわち、変形例1の第1電極32は、図7(a)及び(b)に示す可変焦点レンズ10の容器9と第1電極15とを兼用した構成となる。
また、この例では、第1電極32の全表面を陽極酸化して誘電体層14を形成する。ただし、第1電極32の電圧印加部20と接続する部分(接続領域)は、金属面が露出するようにする。この接続領域は、例えば、第1電極32の全表面に誘電体層14を形成した後、電圧印加部20と接続する部分の誘電体層14を除去することにより形成してもよい。また、別の方法としては、第1電極32の一部に突起を設けて、この部分を陽極酸化液に浸漬しない状態で陽極酸化を行い、その後突起を除去して、電圧印加部20との接続領域を形成してもよい。
また、変形例1では、第2光透過性部材33の液体側とは反対側の面形状は平面とする。上記以外のレンズ本体部31の構成は、図7(a)及び(b)に示す可変焦点レンズ10のレンズ本体部22と同様である。
また、電圧印加部20は、レンズ本体部31の第1電極32及び第2電極17に接続され、両電極間に、例えば、図3または図4に示すような正極性の電圧範囲で電圧が所定周期で変動する交流電圧を出力する。また、電圧印加部20は、可変焦点レンズ30が装着される、例えば、撮像装置等の本体駆動部21に接続される。なお、電圧印加部20及び本体駆動部21は、図8で説明した構成である。また、本体駆動部21は、可変焦点レンズ30内に含まれていてもよい。
変形例1では、第1の実施形態と同様に、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧により可変焦点レンズ30を駆動するので、低電圧で且つより広い電圧可変範囲で可変焦点レンズ30を駆動することができる。すなわち、変形例1においても、低電圧で、より広い範囲で焦点距離の調整が可能になる。また、変形例1のような構成では、円筒形状等の容器の表面に部分的にスパッタリング等により第2電極を成膜する必要がなくなるので、製造の点で、第1の実施形態に比べて有利となる。
[変形例2]
図10に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した可変焦点レンズの別の構成例(変形例2)を示す。なお、図10の可変焦点レンズ35において、図9の可変焦点レンズ30と対応する部分には同一符号を付して示す。
図10に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した可変焦点レンズの別の構成例(変形例2)を示す。なお、図10の可変焦点レンズ35において、図9の可変焦点レンズ30と対応する部分には同一符号を付して示す。
変形例2の可変焦点レンズ35では、変形例1と同様に、容器を金属材料で形成し、この容器を第1電極32として用いる。また、変形例2では、第1電極32の内壁面のみを陽極酸化して誘電体層14を形成する。さらに、変形例2では、第1電極32と、第2電極17との絶縁性を確保するため、絶縁性材料からなる例えばリング状の絶縁性部材34を第1電極32と第2電極17との間に設ける。これら以外のレンズ本体部36の構成は、変形例1の可変焦点レンズ30(図9参照)のレンズ本体部31と同様である。
また、電圧印加部20は、レンズ本体部36の第1電極32及び第2電極17に接続され、両電極間に、例えば、図3または図4に示すような正極性の電圧範囲で電圧が所定周期で変動する交流電圧を出力する。また、電圧印加部20は、可変焦点レンズ35が装着される、例えば、撮像装置等の本体駆動部21に接続される。なお、電圧印加部20及び本体駆動部21は、図8で説明した構成である。また、本体駆動部21は、可変焦点レンズ35内に含まれていてもよい。
変形例2では、第1の実施形態と同様に、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧により可変焦点レンズ35を駆動するので、低電圧で且つより広い電圧可変範囲で可変焦点レンズ35を駆動することができる。すなわち、変形例2においても、低電圧で、より広い範囲で焦点距離の調整が可能になる。また、変形例2のような構成では、変形例1同様に、円筒形状等の容器の表面に部分的にスパッタリング等により第2電極を成膜する必要がなくなるので、製造の点で、第1の実施形態に比べて有利となる。
[変形例3]
図11に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した可変焦点レンズの別の構成例(変形例3)を示す。変形例3の可変焦点レンズ40は、すり鉢状(円錐形の頂部を切除した形状)の内壁面を有する容器43内に導電性の第1液体11と、絶縁性の第2液体12とを収容する構成例である。容器43の開口面積が大きい方の開口部の端面(以下、上端面ともいう)には第2光透過性部材49が配置され、開口面積が小さい方の開口部の端面(以下、下端面ともいう)には第1光透過性部材42が配置される。そして、容器43の開口部は、第1光透過性部材42及び第2光透過性部材49を接着剤等を用いて液密に封止される。
図11に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した可変焦点レンズの別の構成例(変形例3)を示す。変形例3の可変焦点レンズ40は、すり鉢状(円錐形の頂部を切除した形状)の内壁面を有する容器43内に導電性の第1液体11と、絶縁性の第2液体12とを収容する構成例である。容器43の開口面積が大きい方の開口部の端面(以下、上端面ともいう)には第2光透過性部材49が配置され、開口面積が小さい方の開口部の端面(以下、下端面ともいう)には第1光透過性部材42が配置される。そして、容器43の開口部は、第1光透過性部材42及び第2光透過性部材49を接着剤等を用いて液密に封止される。
第1電極44は、容器43の開口部の上端面から開口部の内壁面にかけて形成されており、その表面には陽極酸化により誘電体層45が形成される。また、誘電体層14の開口部の内壁面上に形成された領域上には、撥水膜47が形成される。
一方、第2電極48は、第2光透過性部材49の液体側の表面に形成され、その形状は例えばリング状とする。そして、容器43の上端面には、第1電極44と第2電極48との間の絶縁性を確保するために、誘電体層45と第2電極48との間に絶縁性部材46を設ける。なお、変形例3では、第2光透過性材料部49の液体側の表面を清浄にすることにより、親水性を保持する。また、変形例3では、第2光透過性部材49の液体側とは反対側の面形状は平面とする。
また、電圧印加部20は、レンズ本体部41の第1電極44及び第2電極48に接続され、両電極間に、例えば、図3または図4に示すような正極性の電圧範囲で電圧が所定周期で変動する交流電圧を出力する。また、電圧印加部20は、可変焦点レンズ40が装着される、例えば、撮像装置等の本体駆動部21に接続される。なお、電圧印加部20及び本体駆動部21は、図8で説明した構成である。また、本体駆動部21は、可変焦点レンズ35内に含まれていてもよい。
変形例3では、第1の実施形態と同様に、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧により可変焦点レンズ40を駆動するので、低電圧で且つより広い電圧可変範囲で可変焦点レンズ40を駆動することができる。すなわち、変形例3においても、低電圧で、より広い範囲で焦点距離の調整が可能になる。
[変形例4]
上述した本発明の可変焦点レンズを2次元状に並列配置(並置配列)して、レンズアレイを構成してもよい。図12に、その一構成例(変形例4)を示す。なお、図12の例では、可変焦点レンズ内の第1及び第2液体の部分(容器内部)のみを示し、その他の構成部分並びに電圧印加部及び本体駆動部は省略している。
上述した本発明の可変焦点レンズを2次元状に並列配置(並置配列)して、レンズアレイを構成してもよい。図12に、その一構成例(変形例4)を示す。なお、図12の例では、可変焦点レンズ内の第1及び第2液体の部分(容器内部)のみを示し、その他の構成部分並びに電圧印加部及び本体駆動部は省略している。
レンズアレイ50は、第1の方向(図12中のx方向)に配列されたn個の可変焦点レンズ(例えば可変焦点レンズ50a1〜50n1)を備える。また、レンズアレイ50は、第1の方向と例えば略直交する方向(図12中のy方向)に配列されたm個の可変焦点レンズ(例えば可変焦点レンズ50a1〜50am)を備える。すなわち、この例のレンズアレイ50は、全体としてn×m個の可変焦点レンズにより構成される。なお、個々の可変焦点レンズとしては、例えば図7〜11(第1の実施形態及び変形例1〜3)に示す構成の可変焦点レンズを用いることができる。それゆえ、変形例4のレンズアレイ50に本発明の可変焦点レンズを適用した場合には、低電圧で且つより広い電圧可変範囲でレンズアレイ50を駆動することができる。なお、可変焦点レンズの個数n及びmに関しては、n≠mでも、n=mでもよい。
[変形例5]
上述した第1の実施形態、変形例1〜4で説明した単一または複数の可変焦点レンズでは、容器または容器を兼ねる電極の形状として円筒形状の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。可変焦点レンズの容器または容器を兼ねる電極の形状としては、第1電極の陽極酸化が可能であれば、種々の形状の容器が利用可能である。例えば、容器の形状を直方体状にしてもよい。
上述した第1の実施形態、変形例1〜4で説明した単一または複数の可変焦点レンズでは、容器または容器を兼ねる電極の形状として円筒形状の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。可変焦点レンズの容器または容器を兼ねる電極の形状としては、第1電極の陽極酸化が可能であれば、種々の形状の容器が利用可能である。例えば、容器の形状を直方体状にしてもよい。
図13に、その一例(変形例5)を示す。なお、図13では、レンズ本体部63の構成として導電性の第1液体61と絶縁性の第2液体62と、それらを収容する直方体状の収容空間を画成する壁面を示し、各壁面の詳細な構成は省略する。また、この例では、直方体状とされる容器内で、第1液体61及び第2液体62間の界面の形状がかまぼこ型形状である例を説明する。
図13の例では、直方体状の収容空間を画成する側壁面64、65、66及び67のうち、例えば対向する側壁面64及び65において、第1液体61に対する吸着性の高い領域を略半円状で形成する。
また、他の側壁面66及び67の液体側の面には図示しないが液体側から撥水膜、誘電体層(陽極酸化膜)及び第1電極をこの順で配置する。そして、底面68には第2電極を設ける。なお、この際、第1電極と第2電極が接触しないように形成する。また、必要に応じて第2電極と第1液体61との間に親水膜を設けてもよい。このように構成にすることにより、第1液体61の側壁面66及び67に対する接触角のみを変化させるシリンドリカルタイプの可変焦点レンズ60を構成することができる。
そして、電圧印加部20は、レンズ本体部63の底面68に設けられた第2電極と、側壁面66及び67に設けられた第1電極とに接続され、両電極間に、例えば、図3または図4に示すような正極性の電圧範囲で電圧が所定周期で変動する交流電圧を出力する。また、電圧印加部20は、可変焦点レンズ60が装着される、例えば、撮像装置等の本体駆動部21に接続される。なお、電圧印加部20及び本体駆動部21は、図8で説明した構成である。また、本体駆動部21は、可変焦点レンズ35内に含まれていてもよい。
変形例5では、第1の実施形態と同様に、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧により可変焦点レンズ60を駆動するので、低電圧で且つより広い電圧可変範囲で可変焦点レンズ60を駆動することができる。すなわち、変形例6においても、低電圧で、より広い範囲で焦点距離の調整が可能になる。
なお、変形例5のシリンドリカルタイプの可変焦点レンズ60を並置配列して、レンチキュラーレンズタイプのレンズアレイを構成してもよい。レンチキュラーレンズタイプのレンズアレイを構成した場合には、3次元画像を電圧制御により表示することが可能な表示装置に適用することが可能であり、小型で且つ実用的な駆動電圧とされた3次元表示装置を提供することができる。
<3.第2の実施形態>
上述のように、本発明の可変焦点レンズは低電圧で駆動できるので、従来は不可能であった小型の可変焦点レンズを用いる種々の光学装置に、本発明の可変焦点レンズを適用することができる。例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)等に代表される各種の光ディスクの記録及び/または再生を行う光記録再生装置及びその光ピックアップ装置に本発明の可変焦点レンズを適用することができる。
上述のように、本発明の可変焦点レンズは低電圧で駆動できるので、従来は不可能であった小型の可変焦点レンズを用いる種々の光学装置に、本発明の可変焦点レンズを適用することができる。例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)等に代表される各種の光ディスクの記録及び/または再生を行う光記録再生装置及びその光ピックアップ装置に本発明の可変焦点レンズを適用することができる。
上述のような光記録再生装置及びその光ピックアップ装置では、本発明の可変焦点レンズを収差補正素子や可変倍率とするコリメータレンズ等として用いることができる。特に、各種の光ディスクを互換可能とする多波長の光源を用いる光記録再生装置では、コリメータレンズの焦点距離を可変とする必要があるので、本発明の可変焦点レンズはコリメータレンズとして好適である。
[光ピックアップ装置の構成]
図14に、本発明の可変焦点レンズを適用した光ピックアップ装置を含む光記録再生装置の構成の一例を示す。光記録再生装置70は、例えば、光記録媒体95(光ディスク等)を回転駆動するスピンドルモータ等からなる回転駆動部92と、光ピックアップ装置80(図14中の波線で囲まれた領域)と、光ピックアップ装置80を駆動する光ヘッド駆動部91とを有する。光記録媒体95は、回転駆動部92上に載置固定されて、記録再生時には所定の速度で回転される。
図14に、本発明の可変焦点レンズを適用した光ピックアップ装置を含む光記録再生装置の構成の一例を示す。光記録再生装置70は、例えば、光記録媒体95(光ディスク等)を回転駆動するスピンドルモータ等からなる回転駆動部92と、光ピックアップ装置80(図14中の波線で囲まれた領域)と、光ピックアップ装置80を駆動する光ヘッド駆動部91とを有する。光記録媒体95は、回転駆動部92上に載置固定されて、記録再生時には所定の速度で回転される。
光ピックアップ装置80は、主に、光源81(光源部)と、光学系82(図14中の一点鎖線で囲まれた領域)と、受光部88と、演算回路89と、対物レンズ86と、対物レンズ86を駆動するアクチュエータ87と、対物レンズ駆動部90とを備える。光源81は、例えば、2波長のレーザ光を出射する2波長レーザ型の半導体レーザで構成される。また、アクチュエータ87は、例えば2軸アクチュエータ等で構成され、対物レンズ駆動部90により制御される。
光ピックアップ装置80では、光源81から出射される光は、光学系82及び対物レンズ86を介して光記録媒体95に入射される。また、光記録媒体95から反射された光は、対物レンズ86及び光学系82を介して受光部88に導かれる。
光学系82は、主に、偏光ビームスプリッタ83と、可変焦点レンズ71と、4分の1波長板84と、ミラー85とで構成される。光学系82を構成する光学素子のうち、可変焦点レンズ71以外の素子は、従来の光ピックアップ装置で用いられている光学素子を用いることができる。
光学系82を構成する光学素子のうち、可変焦点レンズ71以外の素子は、従来の光ピックアップ装置で用いられている光学素子を用いることができる。
可変焦点レンズ71は、例えば、上述した第1の実施形態並びに変形例1〜3及び5で説明したエレクトロウェッティング現象を利用した可変焦点レンズを用いることができる。可変焦点レンズ71は、レンズ本体部72と、レンズ本体部72に電圧を印加する電圧印加部20とを備える。なお、図14では、レンズ本体部72の構成部材として、第1及び第2光透過性部材と、容器と、レンズ本体部72内部に収容された第1及び第2液体とを示し、電極、誘電体膜、撥水膜等は省略している。
レンズ本体部72は、例えば、図7、9、10、11及び13に示すような構成にすることができる。また、電圧印加部20は、第1の実施形態(図8参照)と同様の構成にすることができる。すなわち、本実施形態においても、可変焦点レンズ71は、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧(例えば、図3または図4の電圧信号)で駆動する。そして、これにより、レンズ本体部72に収容された第1及び第2液体間の界面形状(曲率)を変化させて入射光の焦点距離を調整する。
なお、図14では、本実施形態の可変焦点レンズ71の構成をより明確にするために、電圧印加部20を駆動する本体駆動部21を光ピックアップ装置180内に記載している。しかしながら、本実施形態では、本体駆動部21は光記録再生装置70内の構成部分であり、例えば、図14中の光ヘッド駆動部91等に含まれるものとする。ただし、本発明はこれに限定されず、本体駆動部21が、可変焦点レンズ71内に含まれていてもよい。
[光ピックアップ装置の動作]
次に、本実施形態の光ピックアップ装置80の動作例を説明する。光源81から出射された例えばレーザ光は、偏光ビームスプリッタ83に入射され、その偏光面を通過して、可変焦点レンズ71に入射される。可変焦点レンズ71では、電圧印加部20により正極性の電圧範囲内で変動する所定周期の交流電圧で駆動されており、これにより、入射光はコリメートされると共に焦点距離が調整される。
次に、本実施形態の光ピックアップ装置80の動作例を説明する。光源81から出射された例えばレーザ光は、偏光ビームスプリッタ83に入射され、その偏光面を通過して、可変焦点レンズ71に入射される。可変焦点レンズ71では、電圧印加部20により正極性の電圧範囲内で変動する所定周期の交流電圧で駆動されており、これにより、入射光はコリメートされると共に焦点距離が調整される。
次いで、可変焦点レンズ71を通過した光は、4分の1波長板84を通過し、ミラー85で反射され、そして、対物レンズ86を介して光記録媒体95の記録トラック上に入射される。
一方、光記録媒体95から反射された光は、対物レンズ86、ミラー85、4分の1波長板84及び可変焦点レンズ71を通過し、偏光ビームスプリッタ83に入射される。この際、この反射光は、4分の1波長板を2回通過しているので、光の偏光方向が変換されている。それゆえ、偏光ビームスプリッタ83に入射された反射光は、その偏光面で反射され、受光部88の受光面上に入射される。そして、受光部88で検出された光出力は、演算回路89に出力される。
次いで、演算回路189は、受光部88から入力された信号に基づいて、RF(高周波)信号、TE(トラッキングエラー)信号、FE(フォーカスエラー)信号をそれぞれ演算する。RF信号は、例えばアナログ/デジタル変換、エラー訂正などの処理が施され、記録再生信号として演算回路89から出力される。TE信号は、光ヘッド駆動部91及び/または対物レンズ駆動部90に出力される。また、FE信号は対物レンズ駆動部90に出力される。そして、対物レンズ駆動部90は、入力信号に基づいてフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行う。
上述のように、エレクトロウェッティング現象を利用した本発明の可変焦点レンズ71を光ピックアップ装置80等の各種の光学装置に適用することにより、次のような効果が得られる。
本実施形態では、可変焦点レンズ71を正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧で駆動するので、広い電圧可変範囲で駆動することができる。それゆえ、本実施形態の光ピックアップ装置80及び光記録再生装置70では、高精度の記録再生制御が可能となり、光記録再生特性の劣化を抑制ないしは回避することができる。
また、可変焦点レンズ71はエレクトロウェッティング現象を利用しているので、本質的に放電するとき以外は電流が流れず、消費電力はきわめて小さい。また、本実施形態の光ピックアップ装置80及び光記録再生装置70では、レンズの機械的可動部を設ける必要がないので、モータ等により駆動する従来の可変焦点レンズを備えるこれらの装置と比較して寿命が長くなる。さらに、本実施形態では、機械的可動部(モータ等)を設ける必要がないので、装置を小型にすることができるとともに、より簡易な構成で例えばオートフォーカス機構を構成することができる。
また、従来は駆動電圧が高いため、実用的には昇圧回路を必要としていたが、本実施形態では、本発明の可変焦点レンズ71を用いるので、所望の焦点距離の変化を得るための駆動電圧を低減することができる。例えば、駆動電圧を10V以下程度とすることができる。
さらに、従来、例えば2種類の光記録媒体95に対して記録再生が可能な(互換性を有する)光記録再生装置や多層記録媒体などの記録再生を行う光記録再生装置等では、2群レンズ等を用いて機械的にこのレンズの相対位置を変化させて焦点距離を制御する。しかしながら、本実施形態では、このような2群レンズ等に換えて本発明の可変焦点レンズを用いることができる。それゆえ、本実施形態では、昇圧回路を設けることなく、機械的駆動部も不要となるので、長寿命で小型(省スペース)の光ピックアップ装置80及び光記録再生装置70を提供することができる。
<4.第3の実施形態>
本発明のエレクトロウェッティング装置は、上述した可変焦点レンズのように光を通過させる機能を有する光学装置に限定されるものではなく、導電性液体の変形を利用した各種の装置に適用することができる。本実施形態では、その一例として、本発明のエレクトロウェッティング装置を液滴操作装置に適用した例について説明する。
本発明のエレクトロウェッティング装置は、上述した可変焦点レンズのように光を通過させる機能を有する光学装置に限定されるものではなく、導電性液体の変形を利用した各種の装置に適用することができる。本実施形態では、その一例として、本発明のエレクトロウェッティング装置を液滴操作装置に適用した例について説明する。
現在、マイクロサイズの連続した液体フローに対して所定の処理を行うマイクロ流体システムの開発が進んでいる。特に、「ケミストリ・オン・チップ(chemistry-on-a-chip)」と呼ばれるセンサやアナライザを実現するマイクロ流体デバイスの開発が要請されている。これらは、ラボ・オン・チップ(Labs-On-a-Chip:LoC)及びマイクロトータル分析システム(μ−TAS)としても知られている。マイクロ流体システムを利用して自動化されたチップ形式のデバイスを構成することにより、高速動作及び携帯が可能であり、安価で信頼性の高い化学(または生化学)実験機器を提供することができる。その適用範囲は、医療診断用、環境モニタ用、基礎科学研究用などが挙げられる。また、例えばマイクロミキサー装置として、圧電素子等による振動や電気泳動を利用したものも提案されているが、エレクトロウェッティング現象を利用することにより、微小な液滴の移動の高精度な制御が可能となる。
[液滴操作装置の構成]
図15に、上述したマイクロ流体デバイスを実現する本実施形態の液滴操作装置の構成の一例を示す。なお、図15には、液滴操作装置の要部の概略断面構成のみを示す。
図15に、上述したマイクロ流体デバイスを実現する本実施形態の液滴操作装置の構成の一例を示す。なお、図15には、液滴操作装置の要部の概略断面構成のみを示す。
液滴操作装置100は、絶縁性材料で形成された一方の基板101と、基板101上に配列して形成された電極103a、103b、103c、…、103i…(第1電極)からなる電極アレイ103とを有する。なお、各電極は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタンなど陽極酸化が可能なバルブ金属で形成される。また、液滴操作装置100は、電極103a、103b、103c、…、103i…をそれぞれ陽極酸化して形成された金属酸化物からなる誘電体層(陽極酸化膜)104a、104b、104c、…、104i…を有する。さらに、液滴操作装置100は、誘電体層104a、104b、104c、…、104i…上を覆うように被着された撥水膜105(撥液膜)を有する。
また、液滴操作装置100は、絶縁性材料で形成された他方の基板102と、基板102上に形成された共通電極109(第2電極)と、共通電極109上に形成された導電性の撥水膜108とを有する。
なお、本実施形態においても、上述の可変焦点レンズと同様に、電極アレイ103側の撥水膜105の膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。また、共通電極109の上に形成する導電性の撥水膜108もまた、撥水膜105と同様に、膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とし、導通可能としてもよい。なお、撥水膜105及び108を薄く成膜するために、撥水膜105及び108の形成材料としては、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
液滴操作装置100では、基板101の電極アレイ103側の面と基板102の共通電極109側の面が対向するように基板101及び102が配置される。そして、基板101及び102の間に、導電性または有極性を有する液滴106が基板101上の撥水膜105及び基板102上の撥水膜108に接するように配置される。
液滴106としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液等の電解質溶液、またはイオン性液体を用いることができる。液滴106の周囲はシリコーンオイル等の絶縁性液体107が充填されていてもよい。また、液滴106の周囲に、空気などの気体を充填してもよい。
また、電極アレイ103の各電極103a、103b、103c、…、103i…と基板102上の共通電極109との間に、電圧印加部20及び電圧制御部110が接続される。なお、電圧印加部20は、液滴操作装置100内の本体駆動部21に接続される。
電圧印加部20及び本体駆動部21は、第1の実施形態(図8参照)と同様の構成にすることができる。すなわち、本実施形態では、液滴操作装置100を、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧(例えば、図3または図4の信号)により駆動する。
また、本実施形態では、電圧制御部110と各電極103a、103b、103c、…、103i…との間には、それぞれスイッチ部Sa、Sb、Sc、…Si、…を配置する。なお、スイッチ部Sa、…Si、…は、電圧制御部110により制御されてもよいし、また、電圧制御部110内に組み込まれていてもよい。また、図15中の矢印aは液滴106の移動方向を示している。
なお、本実施形態の液滴操作装置100では、電極アレイ103を一方向に配列した例を考える。それゆえ、本実施形態の液滴操作装置100は、後述の図16(b)(液滴操作装置100の上面図)に示すように、各電極(及び誘電体層)で構成されるセル(図16(b)中のCa、Cb…)が一方向に配列された構成となる。ただし、本発明はこれに限定されず、電極アレイ103(セル)を2次元に配列してもよい。
[液滴操作装置の動作]
次に、本実施形態の液滴操作装置100の動作例を図16〜18を参照しながら説明する。なお、下記動作説明では、液滴106の一つが、例えば、図16に示すように電極103b上付近に存在するような状態から説明する。
次に、本実施形態の液滴操作装置100の動作例を図16〜18を参照しながら説明する。なお、下記動作説明では、液滴106の一つが、例えば、図16に示すように電極103b上付近に存在するような状態から説明する。
まず、例えば、スイッチSbを閉じて、電極103b及び共通電極109間に所定の電圧を印加する。なお、共通電極109は例えば接地電位としてもよい。図16(a)及び(b)に、この際の液滴106の状態を示す。なお、図16(a)は、スイッチSbを閉じた際の液滴操作装置100の概略断面図であり、図16(b)は、その際の液滴操作装置100の概略上面図である。図16(b)中の液滴106を示す実線で囲まれた領域は、液滴106と撥水膜105との接触領域を示す。
スイッチSbを閉じると、エレクトロウェッティング現象により、液滴106は誘電体層104b(電極103b)上に引き付けられる。それゆえ、この場合には、図16(a)及び(b)に示すように、液滴106は、誘電体層104b(電極103b)上、すなわち、セルCb上に配置される。なお、本実施形態ではセルCa、Cb、Cc、Cd…の形状を正方形状としているが、本発明はこれに限定されず、任意の形状にすることができる。また、各セルの一辺は、例えば数mm以下のサイズで形成される。
次いで、スイッチSbだけでなくスイッチScを閉じて、電極103bに隣接する電極103cにも同様に所定電圧を印加する。図17(a)及び(b)に、この際の液滴106の状態を示す。なお、図17(a)は、スイッチSb及びScを閉じた際の液滴操作装置100の概略断面図であり、図17(b)は、その際の液滴操作装置100の概略上面図である。図17(b)中の液滴106を示す実線で囲まれた領域は、この動作段階における液滴106と撥水膜105との接触領域であり、実線で囲まれた領域は図16の動作段階における液滴106と撥水膜105との接触領域である。
スイッチSb及びScを閉じると、液滴106は、エレクトロウェッティング現象によって電圧が印加された電極(この場合103b及び103c)に引き付けられるので、電極アレイ103側の撥水膜105と液滴106との接触領域が広がる。この結果、液滴106と撥水膜105との接触領域が、図17(a)及び(b)に示すように、電極103bだけでなく電極103c上、すなわち、セルCbだけでなくセルCcにも広がるように、液滴106が変形する。
次いで、電極103bの電圧を低くする、例えば、スイッチSbを開けて0にする。図18(a)及び(b)に、この際の液滴106の状態を示す。なお、図18(a)は、スイッチSbを開けた際の液滴操作装置100の概略断面図であり、図18(b)は、その際の液滴操作装置100の概略上面図である。図18(b)中の液滴106を示す実線で囲まれた領域は、この動作段階における液滴106と撥水膜105との接触領域であり、実線で囲まれた領域は図16の動作段階における液滴106と撥水膜105との接触領域である。
スイッチSbを開けると、電極103b(セルCb)上における液滴106に対するエレクトロウェッティング現象が弱くなる。その結果、液滴106は、図18(a)及び(b)の実線に示すように、液滴106は電圧が印加されている電極103c(セルCc)上に移動する。
本実施形態では、上述のようにして電圧制御部110により、電極アレイ103の各電極103a、103b、103c、…、103i、…に印加する電圧を順次変化させることによって、液滴106を移動させることができる。なお、このように隣接する電極に順次電圧を印加してスムーズに液滴106を移動させるためには、液滴106が安定な状態で、常に隣接する電極に液滴106の底面の一部が接触するようにする必要がある。すなわち、液滴106の移動方向(図15では矢印aの方向)における液滴106の底面の幅が、電極アレイ103の各電極の移動方向の長さより大きくなるようにする必要がある。それゆえ、液滴操作装置100では、このようなことを考慮して、液滴106の体積、基板101及び102の間の間隔、電極アレイ103の各電極の移動方向の長さを適切に選定することが必要である。
上述のように、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した本実施形態の液滴操作装置100では、次のような効果が得られる。
本実施形態の液滴操作装置100は、電圧印加部20により、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧で駆動される。それゆえ、液滴操作装置100に印加する電圧の可変範囲が、電極上に形成する誘電体層の負極性(逆極性)における耐電圧により制限されず、より広い電圧可変範囲で液滴操作装置100を駆動することができる。
また、本実施形態では、電極上に設けられた誘電体層は、電極を陽極酸化することにより形成される。それゆえ、上述した本発明の可変焦点レンズと同様に、製造方法の簡易にすることができるとともに、その膜厚を従来の真空薄膜形成方法による場合と比較して薄くすることができる。また、誘電体層の厚さをより薄くすることができるとともに、より高い誘電率の材料を容易に利用することができる。それゆえ、液滴(導電性液体)の所望の形状変化を得るための駆動電圧、すなわち、本実施形態では液滴を移動させるための駆動電圧を、従来に比べて格段に低くすることができる。
さらに、本実施形態では、従来に比べて精度良く均一な膜厚で誘電体層を形成することができるので、膜厚のばらつきに起因する液滴の変形のばらつきを抑制することができ、より高精度に液滴の移動を制御することが可能となる。また、本実施形態では、下地すなわち基板101が絶縁物質であれば電極に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、ピンホール欠損は実用上問題にならない。また、本実施形態のように、陽極酸化により誘電体層を形成した場合には、誘電体層は化成電圧までは絶縁破壊しないので、誘電体層の絶縁破壊強度を十分高くすることができる。
<5.第4の実施形態>
本発明のエレクトロウェッティング装置は、上述した光ピックアップ装置や光記録再生装置の他、各種の光学装置、例えばカメラ機能付き携帯電話、小型カメラなどにも適用できる。また、本発明のエレクトロウェッティング装置を撮像装置に適用する場合、上述した可変焦点レンズ以外では、例えば、絞りまたはシャッター機能を有する光学素子に本発明は適用可能である。本実施形態では、このような用途に本発明を適用した例を説明する。
本発明のエレクトロウェッティング装置は、上述した光ピックアップ装置や光記録再生装置の他、各種の光学装置、例えばカメラ機能付き携帯電話、小型カメラなどにも適用できる。また、本発明のエレクトロウェッティング装置を撮像装置に適用する場合、上述した可変焦点レンズ以外では、例えば、絞りまたはシャッター機能を有する光学素子に本発明は適用可能である。本実施形態では、このような用途に本発明を適用した例を説明する。
[光学素子の構成]
図19(a)〜(c)に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した絞り機能またはシャッター機能を有する光学素子の構成及び動作の一例を示す。
図19(a)〜(c)に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した絞り機能またはシャッター機能を有する光学素子の構成及び動作の一例を示す。
光学素子130は、例えば絶縁性材料で形成された円筒形状の容器120と、その両方の開口端部120A及び120Bにそれぞれ設けられた第2光透過性部材128及び第1光透過性部材129とを備える。なお、容器120の開口端部120A及び120Bは、それぞれ第2光透過性部材128及び第1光透過性部材129により液密に封止される。
また、主に容器120、第2光透過性部材128及び第1光透過性部材129により画成された内部空間には、導電性または有極性を有する第1液体121と、絶縁性を有する第2液体122とが収容される。第1液体121としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液等の電解質溶液、またはイオン性液体を用いることができる。一方、第2液体122としては、例えばシリコーンオイルを用いることができる。
ただし、第1液体121及び第2液体122のいずれか一方が、他方に比べて光透過性の低い液体で構成する。本実施形態では、例えば、第2液体122の光透過率が第1液体121に比べて低く、すなわち、入射光Liの波長帯域において光吸収率または光反射率が第2液体122の方が第1液体121より高い液体を用いる場合を説明する。これは、例えば、第2液体122に所定の着色材を混合させることにより実現することができる。
また、本実施形態では、容器120の内壁面、一方の開口端部120B及び外壁面に渡って第1電極125が形成される。なお、第1電極125としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタン等の陽極酸化が可能なバルブ金属を用いることができる。また、この際、第1電極125の容器120の他方の開口端部120A側の端部が、該開口端部120Aから離間して配置されように第1電極125を形成する。
そして、容器120の内壁面上に形成された第1電極125の電極部分の表面には、陽極酸化により、金属酸化物からなる誘電体層124(陽極酸化膜)が設けられる。さらに、容器120の内壁面上に形成された誘電体層124及び第1光透過性部材129の液体側の面には撥水膜123(撥液膜)が被着される。なお、本実施形態においても、上述の可変焦点レンズと同様に、撥水膜123の膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。そのためには、撥水膜123の形成材料として、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
一方、容器120の他方の開口端部40A側に配置した第2光透過性部材128の液体側の面の外周部には、例えばリング状の第2電極127を設ける。すなわち、第2光透過性部材128と容器120の他方の開口端部120Aとの間に第2電極127が配置される。第2電極127は、例えば、第2光透過性部材128の液体側の外周近傍領域の面及び外周側面にわたって形成される。ただし、第2電極127を光透過性の導電性材料より構成する場合は、リング状でなく、例えば円形状とし、第2光透過性部材128の液体側の面全体に渡って形成してもよい。
また、本実施形態では、第2電極127及び第2光透過性部材128の液体側の面を覆って親水膜126、いわゆる親水コートが被着される。ただし、第2光透過性部材128をガラスで形成し、その液体側の表面を清浄にして親水性を保持する場合は、親水膜126を形成しなくてもよい。
そして、容器120の外壁面に露出する第1電極125と、第2光透過性部材128の外周付近に形成された第2電極127とが電圧印加部20に接続される。また、電圧印加部20は、光学素子130を備える撮像装置等の光学装置に含まれる本体駆動部21に接続されている。電圧印加部20及び本体駆動部21は、第1の実施形態(図8参照)と同様の構成にすることができ、光学素子130は、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧(例えば、図3または図4の電圧信号)により駆動される。なお、本体駆動部21は、光学素子130内に含まれていてもよい。
[光学素子の動作]
まず、例えば、印加電圧が低い場合(例えばV=0)に、容器120の内壁面の撥水膜123に対する第1液体121の接触角θ(V0)が大きく、第1液体121と第2液体122との界面が、例えば図19(a)に示すような状態であるとする。また、図19(a)の例では、光透過率の低い第2液体122が、第1液体121に比べて体積が小さく、光入射側の第1光透過性部材129の液体側の面と第1液体121が接触した状態を考える。この場合には、その接触領域が光を通過させる開口窓131となる。また、図19(a)の状態では、入射光Liのうち多くの光量が光学素子130を通過する場合を考える。すなわち、入射光Liの光量と出射光L01の光量の差が小さい場合を考える。
まず、例えば、印加電圧が低い場合(例えばV=0)に、容器120の内壁面の撥水膜123に対する第1液体121の接触角θ(V0)が大きく、第1液体121と第2液体122との界面が、例えば図19(a)に示すような状態であるとする。また、図19(a)の例では、光透過率の低い第2液体122が、第1液体121に比べて体積が小さく、光入射側の第1光透過性部材129の液体側の面と第1液体121が接触した状態を考える。この場合には、その接触領域が光を通過させる開口窓131となる。また、図19(a)の状態では、入射光Liのうち多くの光量が光学素子130を通過する場合を考える。すなわち、入射光Liの光量と出射光L01の光量の差が小さい場合を考える。
このような状態の光学素子130に所定の電圧V1を電圧印加部20から印加すると、エレクトロウェッティング現象により、第1液体121が容器120の内壁面の撥水膜123上に広がろうとする。そして、これにより、第2液体121が第1光透過性部材129側(光入射側)に押し出される。その結果、図19(b)に示すように、第1液体121の接触角θ(V1)はθ(V0)より小さくなり、第1液体121と第1光透過性部材129の液体側の面との接触領域、すなわち開口窓131の内径が小さくなる。この場合、入射光Liのうち光学素子130を通過する光量は減少し、光量が絞られた状態となる。すなわち、図19(b)の状態における光学素子130の出射光L02の光量は、図19(a)の状態における出射光L01の光量より小さくなる。
さらに、印加する電圧を高くすると、第1液体121により第2液体121がさらに第1光透過性部材129側(光入射側)に押し出され、第1液体121の接触角θ(V2)がさらに小さくなる。その結果、図19(c)に示すように、第2液体122が第1液体121と第1光透過性部材129との間に位置するようになり、第1液体121及び第2液体122間の界面形状が容器120内部で球面の一部を構成するような形状となる。このような状態では、開口窓131が塞がり、入射光Liは光学素子130を通過できない。すなわち、この状態はシャッターを閉めた状態となる。
光学素子130をシャッター機能を有する光学素子として用いる場合には、上述のようにして、印加電圧を制御して開口窓131の開閉を制御する。また、上述のように、本実施形態では、印加電圧を調整することにより、開口窓131の内径(開口径)を調整することができるので、図19に示す構成の光学素子130は、絞り機能を有する光学素子としても利用することができる。
上述のように、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した本実施形態の光学素子130では、次のような効果が得られる。
本実施形態の光学素子130は、電圧印加部20により、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧で駆動される。それゆえ、光学素子130に印加する電圧の可変範囲が、電極上に形成する誘電体層124の負極性における耐電圧により制限されず、より広い電圧可変範囲で光学素子130を駆動することができる。
また、本実施形態では、第1液体121は本質的に回転対称となる形状で変形するので、略真円に近い開口形状をもつ絞りまたはシャッター機能を備える光学素子130を提供することができる。通常の絞りやシャッターのように、複数の羽状部材の移動により開口径を変化させる場合は、このように真円の開口形状とすることができず、六角形などの多角形となる。例えば、意図的に焦点をずらしたいわゆるソフトフォーカス状態で撮影等を行った場合には、この開口形状が映像に反映されてしまうが、本実施形態の光学素子を用いることによって、極めて真円に近いソフトフォーカス状態を実現することができる。
また、本実施形態においても、上述の可変焦点レンズと同様に、第1電極125と第1液体121との間に介在させる誘電体層124として第1電極125を陽極酸化して形成した金属酸化物を用いるので、次の効果が得られる。誘電体層124の膜厚を従来の真空薄膜形成方法で作成した場合よりも薄くすることができる。これにより、より高い誘電率の材料を容易に利用できるので、第1液体121及び第2液体122間の界面形状を所望の形状に変化させるための駆動電圧を従来にくらべて格段に低減することができる。
さらに、本実施形態では、従来に比べて簡易な製造方法で誘電体層124を形成することができ、精度良く均一な膜厚で成膜することができる。これにより、誘電体層124の膜厚のばらつきに起因する界面形状の変形のばらつきを抑制することができ、より高精度に絞りまたはシャッター機能を制御することが可能となる。また、下地すなわち容器120を絶縁性材料で形成した場合には第1電極125に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また、陽極酸化により形成された誘電体層124は、化成電圧までは絶縁破壊しないので、誘電体層124の絶縁破壊強度を十分高くすることができる。
<6.第5の実施形態>
次に、第1の実施形態で説明した本発明の可変焦点レンズと同様の構成のレンズを利用して、ズームレンズを構成する例について説明する。
次に、第1の実施形態で説明した本発明の可変焦点レンズと同様の構成のレンズを利用して、ズームレンズを構成する例について説明する。
[ズームレンズの構成]
図20は、本実施形態のズームレンズの一例の概略断面構成図である。ズームレンズ135は、2つの可変焦点レンズ140及び160により構成される。可変焦点レンズ140及び160はともに、第1の実施形態で説明した構成、例えば、図7、9〜11及び13に示す構成の可変焦点レンズである。
図20は、本実施形態のズームレンズの一例の概略断面構成図である。ズームレンズ135は、2つの可変焦点レンズ140及び160により構成される。可変焦点レンズ140及び160はともに、第1の実施形態で説明した構成、例えば、図7、9〜11及び13に示す構成の可変焦点レンズである。
可変焦点レンズ140(第1可変焦点レンズ部)は、レンズ本体部140aと、電圧印加部20とで構成される。レンズ本体部140aは、例えば円筒形状の容器150の両側の開口端部150A及び150Bをそれぞれガラス等の第2光透過性部材148及び第1光透過性部材149を液密に封止することにより構成される。そして、その内部には導電性または有極性の第1液体141と、絶縁性の第2液体142とが収容される。
第1液体141としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液等の電解質溶液、またはイオン性液体を用いることができる。一方、第2液体142としては、例えばシリコーンオイルを用いることができる。また、本実施形態では、第1液体141の屈折率は第2液体142の屈折率よりに小さくなるように、各液体の材料を選定する。
また、容器150の内壁面、開口端部150B及び外壁面に渡って第1電極145が形成される。なお、第1電極145としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタン等の陽極酸化が可能なバルブ金属を用いることができる。この際、第1電極145の容器150の他方の開口端部150A側の端部は、該開口端部150Aから離間して配置される。そして、容器150の内壁面上に形成された第1電極145の電極部分の表面は、陽極酸化され、金属酸化物からなる誘電体層144(第1誘電体層)が形成される。
また、容器150の内壁面上に形成された誘電体層144及び第1光透過性部材149の液体側の面には撥水膜143(第1撥液膜)が被着される。なお、本実施形態においても、第1の実施形態の可変焦点レンズと同様に、撥水膜143の膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。このためには、撥水膜143の形成材料として、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
一方、容器150の開口端部150A側に配置した第2光透過性部材148の内面には、例えばリング状の第2電極147を形成する。すなわち、第2光透過性部材148と容器150の開口端部150Aとの間に第2電極147を配置する。第2電極147は、例えば、第2光透過性部材148の液体側の外周近傍領域の面及び外周側面にわたって形成される。ただし、第2電極147を光透過性の導電性材料より構成する場合は、リング状でなく、例えば円形状とし、第2光透過性部材148の液体側の面全体に渡って形成してもよい。
また、本実施形態では、第2電極147及び第2光透過性部材148の液体側の面を覆って親水膜146、いわゆる親水コートを被着する。ただし、第2光透過性部材148をガラスで形成し、その液体側の表面を清浄にして親水性を保持する場合は、親水膜146を形成しなくてもよい。
そして、電圧印加部20(第1電圧印加部)は、容器150の外壁面に形成された第1電極145と、第2光透過性部材148の外周付近に形成された第2電極147とに接続される。なお、電圧印加部20は、本実施形態のズームレンズ135を備える撮像装置等の光学装置に含まれる本体駆動部21に接続されている。電圧印加部20及び本体駆動部21は、第1の実施形態(図8参照)と同様の構成にすることができる。すなわち、可変焦点レンズ140は、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧(例えば、図3または図4の電圧信号)により駆動される。なお、本体駆動部21は、可変焦点レンズ140内に含まれていてもよい。
他方の可変焦点レンズ160(第2可変焦点レンズ部)は、レンズ本体部160aと、電圧印加部20とで構成される。レンズ本体部160aは、例えば円筒形状の容器170の両側の開口端部にガラス等の第4光透過性部材168及び第3光透過性部材169を液密に封止することにより構成される。そして、その内部には導電性または有極性の第3液体161と、絶縁性の第4液体162とが収容される。
第3液体161としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液等の電解質溶液、またはイオン性液体を用いることができる。一方、第4液体162としては、例えばシリコーンオイルを用いることができる。また、本実施形態では、第3液体161の屈折率は第4液体162の屈折率よりに小さくなるように、各液体の材料を選定する。
また、容器170の内壁面、開口端部170B及び外壁面に渡って第3電極165が形成される。なお、第3電極165としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタン等の陽極酸化が可能なバルブ金属を用いることができる。この際、第3電極165の容器170の他方の開口端部170A側の端部は、該開口端部170Aから離間して配置される。そして、容器170の内壁面上に形成された第3電極165の電極部分の表面は、陽極酸化され、金属酸化物からなる誘電体層164(第2誘電体層)が形成される。
また、容器170の内壁面上に形成された誘電体層164及び第3光透過性部材169の液体側の面には撥水膜163(第2撥液膜)が被着される。なお、本実施形態においても、第1の実施形態の可変焦点レンズと同様に、撥水膜163の膜厚を十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。このためには、撥水膜163の形成材料として、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
一方、容器170の開口端部170A側に配置した第4光透過性部材168の内面には、例えばリング状の第4電極167を形成する。すなわち、第4光透過性部材168と容器170の開口端部170Aとの間に第4電極167を配置する。第4電極167は、例えば、第4光透過性部材168の液体側の外周近傍領域の面及び外周側面にわたって形成される。ただし、第4電極167を光透過性の導電性材料より構成する場合は、リング状でなく、例えば円形状とし、第4光透過性部材168の液体側の面全体に渡って形成してもよい。
また、本実施形態では、第4電極167及び第4光透過性部材168の液体側の面を覆って親水膜166、いわゆる親水コートを被着する。ただし、第4光透過性部材168をガラスで形成し、その液体側の表面を清浄にして親水性を保持する場合は、親水膜166を形成しなくてもよい。なお、本実施形態では、可変焦点レンズ140の第2光透過性部材148と、可変焦点レンズ160の第4光透過性部材168とが対向するように、両可変焦点レンズを配置する例を示す。
そして、電圧印加部23(第2電圧印加部)は、容器170の外壁面に形成された第3電極165と、第4光透過性部材168の外周付近に形成された第4電極167とに接続される。なお、電圧印加部23は、本実施形態のズームレンズ135を備える撮像装置等の光学装置に含まれる本体駆動部24に接続されている。電圧印加部23及び本体駆動部24は、第1の実施形態(図8参照)と同様の構成にすることができる。すなわち、可変焦点レンズ160は、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧(例えば、図3または図4の電圧信号)により駆動される。なお、本体駆動部24は、可変焦点レンズ160内に含まれていてもよい。
上述のように、本実施形態のズームレンズ135は、2つの可変焦点レンズ140及び160で構成しているので、全体として、導電性液体(第1及び第3液体)と絶縁性液体(第2及び第4液体)との界面を2つ備えた構成となる。
[ズームレンズの動作]
まず、最初に、図20に示すように、可変焦点レンズ140の第1液体141が凸状になっており、可変焦点レンズ160の第3液体161が凹状となっている状態を考える。この状態は、例えば、可変焦点レンズ140に印加する電圧V11を比較的低い値(例えばV11=0)に設定し、可変焦点レンズ160に印加する電圧V21を比較的高い値に設定する(V21>V11)ことにより作りだすことができる。
まず、最初に、図20に示すように、可変焦点レンズ140の第1液体141が凸状になっており、可変焦点レンズ160の第3液体161が凹状となっている状態を考える。この状態は、例えば、可変焦点レンズ140に印加する電圧V11を比較的低い値(例えばV11=0)に設定し、可変焦点レンズ160に印加する電圧V21を比較的高い値に設定する(V21>V11)ことにより作りだすことができる。
この状態では、可変焦点レンズ140の容器150の撥水膜143上で発生するエレクトロウェッティング現象は比較的弱いので、可変焦点レンズ140内の第1液体141の撥水膜143に対する接触角θ(V11)は比較的大きくなる。一方、可変焦点レンズ160では、容器170の撥水膜163上で発生するエレクトロウェッティング現象は比較的強くなる。これにより、第3液体161の撥水膜163に対する濡れ性が大きくなるので、第3液体161の撥水膜163に対する接触角θ(V21)が比較的小さくなる。
このような状態において、可変焦点レンズ140の第1光透過性部材149側から光Liを入射すると、可変焦点レンズ140は凹レンズであるので、入射光の光束を広げて出射する。可変焦点レンズ140を通過した光は、光束を広げながら可変焦点レンズ160に入射される。そして、可変焦点レンズ160は凸レンズであるので、入射された光を例えば幅広の平行光にして出射する。次いで、可変焦点レンズ160から出射された光はその出射側に設けられる光学レンズ136により集光され、撮像面137に結像される。
次に、それぞれの可変焦点レンズ140及び160に印加する電圧を変化させて、各可変焦点レンズ内の導電性液体及び絶縁性液体間の界面形状を変化させる。具体的には、例えば、可変焦点レンズ140に印加する電圧V12を比較的高く設定し、可変焦点レンズ160では印加する電圧V22を比較的低く(例えばV22=0)設定する。この際の各可変焦点レンズ内における導電性液体及び絶縁性液体間の界面形状の状態を図21に示す。なお、図21のズームレンズの構成において、図20と対応する部分には同一符号を付して示す。
この場合、可変焦点レンズ140では、容器150の撥水膜143上で発生するエレクトロウェッティング現象は比較的強くなる。これにより、第1液体141の撥水膜143に対する濡れ性が大きくなるので、第1液体141の撥水膜143に対する接触角θ(V12)が比較的小さくなる。一方、可変焦点レンズ160では、容器170の撥水膜163上で発生するエレクトロウェッティング現象は比較的弱くなるので、第3液体161の撥水膜163に対する接触角θ(V22)が比較的大きくなる。その結果、図21の状態では、可変焦点レンズ140の第1液体141が凹状になり、可変焦点レンズ160の第3液体161は凸状となる。
このような状態において、可変焦点レンズ140の第1光透過性部材149側から光Liを入射すると、可変焦点レンズ140は凸レンズであるので、入射光の光束が収束して出射する。可変焦点レンズ140を通過した光は光束を狭くしながら可変焦点レンズ160に入射される。可変焦点レンズ160は凹レンズであるので、入射された光を例えば幅狭の平行光にして出射する。次いで、可変焦点レンズ160から出射された光はその出射側に設けられる光学レンズ136により集光され、撮像面137に結像される。
本実施形態では、上述のようにして、可変焦点レンズ140及び160に印加する電圧を制御して各レンズの焦点距離を制御する。これにより、例えば図20に示す状態では広角レンズを、図21に示す状態では望遠レンズを構成することができる。すなわち、電圧制御によりズームレンズ135の倍率を精度よく制御することができる。
上述のように、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した本実施形態のズームレンズ135では、次のような効果が得られる。
本実施形態のズームレンズ135内の2つの可変焦点レンズ140及び160は、それぞれ電圧印加部20および23により、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧で駆動される。それゆえ、可変焦点レンズ140及び160に印加する電圧の可変範囲が、電極上に形成する誘電体層の負極性における耐電圧により制限されず、より広い電圧可変範囲でズームレンズ135を駆動することができる。
また、本実施形態においても、上述した第1〜4の実施形態と同様に、各可変焦点レンズの電極と導電性液体との間に介在させる誘電体層として電極を陽極酸化して形成した金属酸化物を用いるので、次の効果が得られる。誘電体層の膜厚を従来の真空薄膜形成方法で作成した場合よりも薄くすることができる。これにより、誘電体層の厚さを低減することができ、より高い誘電率の材料を容易に利用できるので、導電性液体及び絶縁性液体間の界面形状を所望の形状に変化させるための駆動電圧を従来に比べて格段に低減することができる。
さらに、本実施形態では、従来に比べて簡易な製造方法で誘電体層を形成することができ、精度良く均一な膜厚で成膜することができる。これにより、誘電体層の膜厚のばらつきに起因する界面形状の変形のばらつきを抑制することができ、より高精度にズーム機能を制御することができる。また、下地すなわち容器を絶縁性材料で形成した場合にはその上に形成される電極に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また、陽極酸化により形成された誘電体層は、化成電圧までは絶縁破壊しないので、誘電体層の絶縁破壊強度を十分高くすることができる。
[変形例6]
図20及び21に示す例では、ズームレンズ135として本発明の可変焦点レンズを2つ組み合わせた例を示すが、3つ以上組み合わせることによって、導電性液体及び絶縁性液体間の界面を3つ以上設ける構成にしてもよい。また、2つの可変焦点レンズを一体化して、1つの容器内に2つの界面を構成することも可能である。変形例6では、1つの容器内に、2つの界面を形成してズームレンズを構成する例を説明する。
図20及び21に示す例では、ズームレンズ135として本発明の可変焦点レンズを2つ組み合わせた例を示すが、3つ以上組み合わせることによって、導電性液体及び絶縁性液体間の界面を3つ以上設ける構成にしてもよい。また、2つの可変焦点レンズを一体化して、1つの容器内に2つの界面を構成することも可能である。変形例6では、1つの容器内に、2つの界面を形成してズームレンズを構成する例を説明する。
1つの容器内に、導電性液体及び絶縁性液体間の界面を2つ設ける場合は、例えば円筒状やすり鉢状等の容器の両方の開口端側に、それぞれ導電性または有極性の液体を配置し、その間に絶縁性の液体を介在させる構成とする。そして、両端の導電性または有極性の液体に印加する電極を分離して、それぞれ個別に電圧制御を行う構成にすればよい。
図22に、変形例6のズームレンズの概略構成を示す。この例のズームレンズ180は、レンズ本体部180aと、2つの電圧印加部20及び23とで構成される。
レンズ本体部180aは、例えば円筒形状の容器151の両側の開口端部にガラス等の第1光透過性部材156及び第2光透過性部材177を液密に封止することにより構成される。また、この例では、レンズ本体部180aの内部には導電性または有極性の第1液体181及び第3液体183と、絶縁性の第2液体182とが収容される。そして、レンズ本体部180aの内部では、第2液体182が第1液体181及び第3液体183の間に配置される。
変形例6のズームレンズ180では、容器151の第1光透過性部材157側の内壁面の一部、開口端部及び外壁面の一部に渡って第1電極152が形成される。また、第1電極152の液体側の面、すなわち容器151の内壁面上の電極部分を陽極酸化して所定の誘電率を有する誘電体層153(第1誘電体層)を形成する。そして、誘電体層153上には撥水膜154(第1撥液膜)が被着される。
また、第1光透過性部材157の液体側の表面には、リング状等の第2電極156が形成されており、第1電極152と第2電極156との間には絶縁性部材155が設けられる。そして、第1電極152と第2電極156とが電圧印加部20(第1電圧印加部)に接続され、電圧印加部20は変形例6のズームレンズ180が装着された撮像装置等の光学装置の本体駆動部21に接続される。なお、本体駆動部21は、ズームレンズ180内に含まれていてもよい。
また、変形例6のズームレンズ180では、容器151の第2光透過性部材177側の内壁面の一部、開口端部及び外壁面の一部に渡って第3電極172が形成される。また、第3電極172の液体側の面、すなわち容器151の内壁面上の電極部分を陽極酸化して所定の誘電率を有する誘電体層173(第2誘電体層)を形成する。そして、誘電体層173上には撥水膜174(第2撥液膜)が被着される。
また、第2光透過性部材177の液体側の表面には、リング状等の第4電極176が形成されており、第3電極172と第4電極177との間には絶縁性部材175が設けられる。そして、第3電極172と第4電極177とが電圧印加部23(第2電圧印加部)に接続され、電圧印加部23は変形例6のズームレンズ180が装着された撮像装置等の光学装置の本体駆動部24に接続される。なお、本体駆動部21は、ズームレンズ180内に含まれていてもよい。また、変形例6の電圧印加部20,23及び本体駆動部21,24はそれぞれ、図8で説明した電圧印加部20及び本体駆動部21と同様の構成である。
変形例6のズームレンズ180では、電圧印加部20により第1電極152と第2電極156との間に印加する電圧を制御することにより、第1液体181及び第2液体182間の界面の曲率を自由に制御することができる。一方、電圧印加部23により第3電極172と第4電極176との間に印加する電圧を制御することにより、第2液体182及び第3液体183間の界面の曲率を自由に制御することができる。この場合、1つのズームレンズ180において、2つの変形可能な界面を有する構成となり、いわば1つの可変焦点レンズでズームレンズを構成することが可能となる。
変形例6においても、電圧印加部20,23を備えているので、低電圧で且つより広い電圧可変範囲でズームレンズ180を駆動することができる。また、変形例6においても、この導電性または有極性を有する液体と電極との間に介在させる誘電体層を、電極の表面を陽極酸化して形成した金属酸化膜を用いる。それゆえ、上述した第5の実施形態と同様の効果が得られる。
<7.第6の実施形態>
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した撮像装置の一例を説明する。図23に、本実施形態の撮像装置の概略構成例を示す。
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した撮像装置の一例を説明する。図23に、本実施形態の撮像装置の概略構成例を示す。
撮像装置190は、主に、光学系191と、光学系191を介して入射された光を電気信号に変換して画像データを取得する固体撮像素子196と、取得した画像データに所定の処理を施す画像処理部198と、各部の動作を制御する制御部197とを備える。なお、固体撮像素子196は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)デバイス等で構成することができる。これらのデバイスは、照射された光エネルギーを電荷に変換する複数の光電変換部、この電荷を蓄積する電荷蓄積部、電荷を転送し、外部に送出する電荷転送部を有する。
また、本実施形態では、光学系171は、主に、ズームレンズ192と、絞り機構193と、フォーカスレンズ194と、シャッター195とを備え、光Liの入射側からこの順で配置される。本実施形態では、ズームレンズ192、絞り機構193、フォーカスレンズ194、シャッター195のうち少なくとも1つを、上述したエレクトロウェッティング現象を利用とした光学素子を用いる。
すなわち、ズームレンズ192、絞り機構193、フォーカスレンズ194、シャッター195のうち少なくとも1つ(光学素子)は、次のような構成にする。一対の光透過性部材の間に導電性または有極性を有する第1液体と絶縁性を有する第2液体とを収容する構成とする。また、第1液体に誘電体層を介在して電圧を印加する第1電極と、第1液体に導通する第2電極とを有する構成とする。そして、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧で光学素子を駆動する電圧印加部を備える構成とする。なお、誘電体層は、第1電極を陽極酸化して形成した金属酸化物で構成する。
より具体的には、ズームレンズ192としては、例えば、第5の実施形態(図20)及び変形例6(図22)で説明したズームレンズを用いることができる。絞り機構193及びシャッター195として、例えば、第4の実施形態(図19)で説明した光学素子を用いることができる。そして、フォーカスレンズ194としては、例えば、第1の実施形態(図7)、変形例1〜3(図9〜11)及び変形例5(図13)で説明した可変焦点レンズを用いることができる。
上述のように構成した本実施形態の撮像装置では、次のような効果が得られる。
本実施形態では、電圧印加部により、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧を、ズームレンズ192、絞り機構193、フォーカスレンズ194、シャッター195のうち少なくとも1つに印加して駆動する。それゆえ、これらの光学素子に印加する電圧の可変範囲が誘電体層の負極性における耐電圧により制限されず、より広い電圧可変範囲で駆動することができる。また、従来に比べて高精度にズームレンズ192、絞り機構193、フォーカスレンズ194、シャッター195のうち少なくとも1つを制御することができる。
また、ズームレンズ192、絞り機構193、フォーカスレンズ194、シャッター195のうち少なくとも1つでは、第1電極と第1液体との間に介在させる誘電体層として第1電極を陽極酸化して形成した金属酸化膜を用いる。それゆえ、より簡易に製造することができるとともに、駆動電圧を従来に比べて格段に低減することができる。さらに、第1電極を形成する容器を絶縁性物質より構成することにより、ピンホール欠損の影響を回避することができ、また、誘電体層の絶縁破壊強度を十分高くすることができる。
<8.第7の実施形態>
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した光変調装置の一例を説明する。
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した光変調装置の一例を説明する。
[光変調装置の構成]
図24に、本実施形態の光変調装置の要部の概略断面構成を示す。光変調装置210は、例えば第4の実施形態で説明したシャッター機能を有する光学素子(図19)と同様の構成を有する光変調素子を複数備える。なお、図24の例では、光変調素子220a、220b、220c、220d、…を一方向に配列した場合の断面を示しているが、例えば、図24の紙面に垂直な方向にも同様に複数の光変調素子を配置し、2次元状に光変調素子を並置配列してもよい。
図24に、本実施形態の光変調装置の要部の概略断面構成を示す。光変調装置210は、例えば第4の実施形態で説明したシャッター機能を有する光学素子(図19)と同様の構成を有する光変調素子を複数備える。なお、図24の例では、光変調素子220a、220b、220c、220d、…を一方向に配列した場合の断面を示しているが、例えば、図24の紙面に垂直な方向にも同様に複数の光変調素子を配置し、2次元状に光変調素子を並置配列してもよい。
光変調装置210は、主に、平板状の第1光透過性部材219と、平板状の第2光透過性部材218と、これらの光透過性部材間に配置された複数の光変調素子220a、220b、220c、220d、…とを備える。
各光変調素子の容器215は、例えば、円筒形状の金属製部材で形成される。そして、本実施形態では、容器215を、第1電極として用いる。第1電極215(容器)の形成材料としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、チタン等の陽極酸化が可能なバルブ金属を用いることができる。なお、本発明はこれに限定されず、例えば円筒形状の絶縁性部材等よりなる容器を用いて、その一部の表面に第1電極215を形成してもよい。
各光変調素子220a、220b、…の内部には、導電性または有極性を有する第1液体211と、絶縁性の第2液体212が収容される。第1液体211及び第2液体212のうちいずれか一方の光透過性が他方の光透過性より低くなるように材料を選択する。図24の例では第2液体212の光透過性が、第1液体211の光透過性により低くなるように、第1液体211及び第2液体212の材料を選択する。また、図24の例では、第2液体212が第1光透過性部材219側に配置されるように注入される。
第1液体211としては、例えば塩水、硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液等の電解質溶液、またはイオン性液体を用いることができ、第2液体212としては、例えばシリコーンオイルを用いることができる。
また、本実施形態では、各第1電極215の表面には、その全面に渡って陽極酸化により形成された金属酸化物からなる誘電体層214(陽極酸化膜)が設けられる。そして、第1電極215の一方の開口端部に、第1光透過性部材219がエポキシ樹脂等により封止される。
また、第1電極215の内壁面及び第1光透過性部材219の液体側の面に撥水膜213(撥液膜)が被着される。なお、撥水膜213の膜厚は、上述した実施形態と同様に十分薄く、例えば10nm以下の5nm程度とすることが望ましい。このためには、撥水膜213の形成材料として、反応性の撥水コート材である例えばフッ素系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
一方、第2光透過性部材218の表面の所定位置には、例えばリング状の第2電極217及び親水膜216が複数設けられる。そして、第1電極215の他方の開口端部は、親水膜116及び例えばリング状の第2電極117を介して第2光透過性部材218により封止されて、各光変調素子の内部が液密に保持される。上述のようにして、第1液体211に誘電体層214を介して電圧を印加する第1電極215、及び、第1液体211に導通する第2電極217が各光変調素子に設けられる。
そして、各光変調素子の第1電極215及び第2電極217が電圧印加部20に接続される。なお、電圧印加部20は、例えば第1光透過性部材219及び第2光透過性部材218の間、またはこれらの光透過性部材の外部に配置される。電圧印加部20を光透過性部材の外部に配置する場合、第1電極215及び第2電極217から導通部材を引き出して、その導通部材と電圧印加部20とを接続する。図24では、第1光透過性部材219及び第2光透過性部材218の間に電圧印加部20を設ける例を示す。
また、電圧印加部20は、本体駆動部21(駆動部)に接続されており、図24の例では、第1光透過性部材219及び第2光透過性部材218の外部に本体駆動部21を設ける。なお、電圧印加部20及び本体駆動部21は、第1の実施形態(図8)と同様の構成にすることができる。すなわち、光変調装置210内の各光変調素子は、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧(例えば、図3または図4の電圧信号)により駆動される。なお、各光変調素子の電圧制御は、それぞれ個別に行う。
なお、本体駆動部21は、例えば画像、文字などの情報信号に対応して、各光変調素子220a、220b、…に印加する電圧を変調することもできる。例えば、第2光透過性部材218としては、従来の液晶表示装置で用いられているアクティブ素子アレイ基板を用いた場合、走査線及び信号線を選択することによって、画像や文字情報等に対応して各電極に適切な電圧を印加することが可能である。なお、アクティブ素子アレイ基板は、TFT(Thin Film Transistor)のようなスイッチング用アクティブ素子とこれに接続される画素電極、走査線及び信号線とをマトリクス状に配設した基板である。
[光変調装置の動作]
本実施形態の光変調装置210では、入力される情報信号に対応して、各光変調素子の第1電極215及び第2電極217に印加する電圧を変化させ、各光変調素子内部の第1液体211及び第2液体212の界面形状を変形する。これにより、入力される情報信号に対応して、光変調素子毎に第1液体211及び第2液体212を透過する光の光量が制御される。
本実施形態の光変調装置210では、入力される情報信号に対応して、各光変調素子の第1電極215及び第2電極217に印加する電圧を変化させ、各光変調素子内部の第1液体211及び第2液体212の界面形状を変形する。これにより、入力される情報信号に対応して、光変調素子毎に第1液体211及び第2液体212を透過する光の光量が制御される。
より具体的に説明すると、第1電極215及び第2電極217間に比較的高い電圧を印加した状態では、第1電極215の内壁面上に形成された撥水膜213に対する第1液体211の接触角が比較的小さくなる。この結果、第1液体211と第1光透過性部材219側表面の撥水膜213との間に光透過性の低い第2液体212が配置された状態となる。すなわち、第1液体211及び第2液体212の界面が球面の一部形状を保持し、光透過性の低い第2液体212が第1光透過性部材219側でいわば一枚の光遮蔽膜となる。この場合、この光変調素子を通過する光は遮光される。図24の例では、光変調素子220a及び220dがこの状態になっている。
逆に、第1液体215及び第2電極217間に印加する電圧を比較的低くすると、第1電極215の内壁面上形成された撥水膜213に対する第1液体211の接触角が大きくなる。これにより、第1液体211から第2液体212に押圧力が働き、第2液体212が第1電極215側の内壁面に押し付けられる。この結果、第1液体211が第1光透過性部材219側表面の撥水膜213に接触し、光変調素子の中央に開口部が生成され、光の一部を通過させる。図24の例では、光変調素子220b及び220cがこの状態になっている。
このように、第1電圧215及び第2電極217間に印加する電圧を調整することにより、第2液体212が第1光透過性部材219の液体側の面に押し付けられる度合いが変化する。すなわち、第1電圧215及び第2電極217間に印加する電圧を制御することにより、光変調素子の第1光透過性部材219側に形成される開口部の大きさを制御することができる。したがって、本実施形態では、入力される情報信号に基づいて、各光変調素子220a、220b、220c、…に印加する電圧を制御することにより、各光変調素子を通過する光の光量を制御することができる。それゆえ、各光変調素子220a、220b、220c、…をそれぞれ一画素として構成することで、表示装置に適用可能な光変調装置210を構成することが可能である。
上述のように構成した本実施形態の光変調装置では、次のような効果が得られる。
本実施形態では、電圧印加部20により、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧を、光変調装置210内の各光変調素子に印加して駆動する。それゆえ、光変調装置210内の各光変調素子に印加する電圧の可変範囲が、誘電体層の負極性における耐電圧により制限されず、より広い電圧可変範囲で光変調装置210を駆動することができる。
また、光変調装置210内の各光変調素子では、第1電極215と第1液体211との間に介在させる誘電体層214として第1電極215を陽極酸化して形成した金属酸化膜を用いる。それゆえ、本実施形態では、製造方法をより簡易にすることができるとともに、誘電体層214の膜厚を従来の真空薄膜形成方法で作成した場合よりも薄くすることができる。これにより、誘電体層214としてより高い誘電率の材料を容易に利用できるので、第1液体211及び第2液体212間の界面形状を所望の形状に変化させるための駆動電圧を従来にくらべて格段に低減することができる。
さらに、本実施形態では、従来に比べて精度良く均一な膜厚で誘電体層214を成膜することができるので、膜厚のばらつきに起因する界面形状の変形のばらつきを抑制することができ、より高精度に各光変調素子を制御することができる。また、容器を絶縁性材料で形成し、その表面にバルブ金属膜より成る第1電極を形成した場合には、第1電極に多少のピンホール欠損があっても絶縁破壊は起こらず、欠損は実用上問題にならない。また、陽極酸化により形成された誘電体層214は、化成電圧までは絶縁破壊しないので、誘電体層214の絶縁破壊強度を十分高くすることができる。
<9.第8の実施形態>
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した表示装置の一例を説明する。なお、本実施形態では、上述した第7の実施形態例で説明した光変調装置210を用いて表示装置を構成する例を説明する。
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した表示装置の一例を説明する。なお、本実施形態では、上述した第7の実施形態例で説明した光変調装置210を用いて表示装置を構成する例を説明する。
図25に、本実施形態の表示装置の概略構成を示す。表示装置225は、主に、光変調装置210(光変調装置部)と、その一方の側(背面側)に配置された光源装置227(光源)と、他方の側(前面側)に配置されたカラーフィルタ226とで構成される。
光変調装置210は、複数の光変調素子220を有し、それらは、画素に対応して2次元状に配列される。カラーフィルタ226は、各画素すなわち各光変調素子220に対応した複数のセグメントで構成される。各セグメントは、例えば、3原色である赤色フィルタ(R)、緑色フィルタ(G)、青色フィルタ(B)のいずれかのセグメントに分類される。また、光変調素子220に対応するカラーフィルタ226のセグメントの配列パターンは、図25に示すような正方格子状の配列以外では、ストライプ配列やデルタ配列などとしてもよい。
なお、光源装置227の光出射側(光変調装置210側)の表面には光波の位相差を補償して広視野角化や着色防止を図る機能、入射光を拡散させる機能、輝度向上を図る機能などを備えた光学シート群等を配置してもよい。また、白黒表示を行う表示装置225の場合には、カラーフィルタ226を設けなくてもよい。
上述のように構成した本実施形態の表示装置225では、次のような利点が得られる。
本実施形態の表示装置225では、エレクトロウェッティング現象を利用した光変調装置210を用いているので、広い電圧可変範囲で駆動することができる。さらに、従来に比べて高精度に光変調素子を制御することが可能となり、より諧調制御が精度良く行われ、表示特性の良好な表示装置225を提供することができる。
本実施形態の表示装置225の光変調装置210では、一方の電極と導電性液体との間に介在させる誘電体層として該電極を陽極酸化して形成した金属酸化膜を用いる。それゆえ、本実施形態では、各部の製造方法をより簡易にすることができるとともに、駆動電圧を従来に比べて格段に低減することができる。また、一方の電極を形成する容器を絶縁性物質より構成することにより、ピンホール欠損の影響を回避することができ、また、誘電体層の絶縁破壊強度を十分高くすることができる。
<10.第9の実施形態>
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置をストロボ装置に適用した例について説明する。
次に、本発明のエレクトロウェッティング装置をストロボ装置に適用した例について説明する。
[ストロボ装置の構成]
図26に、本実施形態のストロボ装置の概略構成例を示す。ストロボ装置230(ストロボ回路部)は、主に、閃光放電管231(光源)と、反射傘232と、光学プリズム233と、光拡散素子234と、ストロボ回路235と、本体駆動部21とを備える。
図26に、本実施形態のストロボ装置の概略構成例を示す。ストロボ装置230(ストロボ回路部)は、主に、閃光放電管231(光源)と、反射傘232と、光学プリズム233と、光拡散素子234と、ストロボ回路235と、本体駆動部21とを備える。
光学プリズム233は閃光放電管231から発光された光の配光を制御する。ストロボ回路235は、閃光放電管231の発光を制御する。なお、ストロボ回路235の動作は、本体駆動部21の制御部(図8中の制御部21bに対応)により制御される。
光拡散素子234は、エレクトロウェッティング現象を利用した光学素子であり、光学プリズム233を介して入射された光Liを拡散して所定の照射角で光を出射する(図26中の出射光Lo)。光拡散素子234は、素子本体部234aと、電圧印加部20とで構成される。素子本体部234aは、アレイ状に配列された複数の光学素子140から構成される。なお、図26の例では、説明を簡略化するために光学素子140を3つのみ記載する。
なお、本実施形態では、光学素子140は、第5の実施形態で説明した可変焦点レンズ140(図20参照)と同じ構成の素子を用いる。それゆえ、ここでは、光学素子140の構成の説明は省略する。なお、本実施形態では、各光学素子140の第1電極145及び第2電極147(ともに図26では不図示)は、電圧印加部20に接続されている。
電圧印加部20及び本体駆動部21は、第1の実施形態(図8)と同様の構成にすることができる。すなわち、各光学素子140は、正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧(例えば、図3または図4の電圧信号)により駆動される。
[ストロボ装置の動作]
次に、本実施形態のストロボ装置230の動作を説明する。なお、以下の動作説明では、示す光学素子140の構成部の符号には、第5の実施形態の可変焦点レンズ140の構成部と同じ符号を付して説明する(図20参照)。
次に、本実施形態のストロボ装置230の動作を説明する。なお、以下の動作説明では、示す光学素子140の構成部の符号には、第5の実施形態の可変焦点レンズ140の構成部と同じ符号を付して説明する(図20参照)。
光拡散素子234内の各光学素子140内には、導電性または有極性の第1液体141と、絶縁性の第2液体142とが収容されている。そして、その収容室の第2光透過性部材148側の内壁には親水膜146(図26では不図示)が形成され、第1光透過性部材149及び容器150側の内壁には撥水膜143(図26では不図示)が形成されている。それゆえ、第1液体141及び第2液体142間の界面は、光入射側から見て凸状になる。
このような状態において、光拡散素子234に光Liを入射すると、第1液体141の屈折率は第2液体142の屈折率より小さいので、界面を通過した光はその光束を広げて出射される。本実施形態では、各光学素子140を同じ構造にしているので、各光学素子140から出射される光束の広がり度も同じとなる。
ここで、光拡散素子234に電圧印加部20から印加する電圧を変化させると、エレクトロウェッティング現象により、第1液体141の撥水膜143に対する接触角θが変化し、第1液体141及び第2液体142間の界面形状が変化する。そして、第1液体141及び第2液体142間の界面形状が変化すると、各光学素子70から出射される光束の広がり度が変化する。すなわち、光拡散素子234に印加する電圧を変化させることにより、ストロボ装置230から発光される光の照射角を変化させることができる。それゆえ、本実施形態のストロボ装置230では、電圧制御によりストロボ装置230から発光される光の照射角を精度よく制御することができる。
上述のように構成した本実施形態のストロボ装置230では、次のような効果が得られる。
本実施形態では、電圧印加部20により光拡散素子234に電圧を印加する際、図3または図4に示すような正極性の電圧範囲内で所定周期で変動する交流電圧を各光学素子140に印加する。それゆえ、本実施形態では、ストロボ装置230に印加する電圧の可変範囲が誘電体層の負極性における耐電圧により制限されず、より広い電圧可変範囲でストロボ装置230を駆動することができる。
また、本実施形態のストロボ装置230内の各光学素子140では、第1電極145と第1液体141との間に介在させる誘電体層144として第1電極145を陽極酸化して形成した金属酸化膜を用いる。それゆえ、光学素子140の製造方法をより簡易にすることができるとともに、駆動電圧を従来に比べて格段に低減することができる。また、第1電極145を形成する容器を絶縁性物質より構成することにより、ピンホール欠損の影響を回避することができ、また、誘電体層144の絶縁破壊強度を十分高くすることができる。
以上、上記実施形態では、本発明のエレクトロウェッティング装置を適用した可変焦点レンズ、液滴装置、絞り機能またはシャッターの機能を備える光学素子、ズームレンズ、光変調装置、表示装置及びストロボ装置について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。その他、エレクトロウェッティング現象を利用する各種の装置に適用することが可能である。
例えば、可変焦点レンズを用いる種々の光学装置、例えば光学測定装置、光学読み取り装置などにも適用可能である。また、第1液体または第2液体のどちらか一方を光透過性材料とし、他方を反射率の高い材料を用いて構成することによって、光の偏向方向を制御する光スイッチ素子を構成することも可能である。
また、本発明のエレクトロウェッティング装置は、液体の表面形状の変化を利用して液体を噴出させる流体ジェット装置やこれを利用したインクジェット方式のプリンタ装置にも適用可能である。
さらに、マイクロウエッティング現象を利用した微小な液滴のミキサー装置、またこれを利用した種々の化学測定装置や生化学測定装置にも本発明を適用することができる。
また、液滴の表面形状の変化による高さ(厚さ)の変化を利用して、この液滴の上面に載置する例えば板状部材の位置制御を行い、これにより例えばゴニオメーター(角度計)の機能を備える制御装置を実現することもできる。
このようないずれのエレクトロウェッティング現象を利用した装置においても、本発明を適用することによって、上述の各実施形態例と同様の効果を得ることができる。
1…エレクトロウェッティング装置、2a…第1電極、2b…第2電極、3…誘電体層、4…撥水膜(撥液膜)、5…導電性液体、6…電圧印加部、6a,21a…電源、6b,20a…DC/DCコンバータ、6c,20b…駆動部、6d,21b…制御部、9,43,120…容器、10,30,35,40,60,140,160…可変焦点レンズ、11,121,141,211…第1液体、12,122,142,212…第2液体、13,47,123,143,163,213…撥水膜、14,45,124,144,164,214…誘電体層、15,32,44,125,145,215…第1電極、16,126,146,166,216…親水膜、17,48,127,147,217…第2電極、18,33,49,128,148,218…第2光透過性部材、19,42,129,149,219…第1光透過性部材、20,23…電圧印加部、21,24…本体駆動部、34,46…絶縁性部材、50…レンズアレイ、70…光記録再生装置、71…可変焦点レンズ、80…光ピックアップ装置、81…光源(光源部)、82…光学系、86…対物レンズ、88…受光部、90…対物レンズ駆動部、91…光ヘッド駆動部、92…回転駆動部、95…光記録媒体、100…液滴操作装置、101,102…基板、103…電極アレイ、103a〜103i…電極(第1電極)、104a〜104i…誘電体層、105,108…撥水膜(撥液膜)、106…液滴、107…絶縁性液体、109…共通電極(第2電極)、130…光学素子、135…ズームレンズ、161…第3液体、164…第4液体、168…第4光透過性部材、169…第3光透過性部材、190…撮像装置、191…光学系、192…ズームレンズ、193…絞り機構、194…フォーカスレンズ(可変焦点レンズ)、195…シャッター、196…撮像素子、197…制御部、198…画像処理部、210…光変調装置、220,220a〜220d…光変調素子、225…表示装置、226…カラーフィルタ、227…光源装置(光源)、230…ストロボ装置、231…閃光放電管(光源)、232…反射傘、233…光学プリズム、234…光拡散素子、235…ストロボ回路
Claims (17)
- 導電性または有極性を有する液体と、
前記液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、
前記液体と前記第1電極との間に設けられた誘電体層と、
0V以上の第1電圧と、該第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部と
を備えるエレクトロウェッティング装置。 - 前記誘電体層が、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された金属酸化物であり、前記第2電極が前記液体に接して設けられている
請求項1に記載のエレクトロウェッティング装置。 - さらに、前記誘電体層と前記液体との間に設けられ、前記液体に対して撥液性を有する撥液膜を備える
請求項1に記載のエレクトロウェッティング装置。 - 一対の光透過性部材と、
前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、
前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合せず、光透過性を有し、第1の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、
前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、
前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、
0V以上の第1電圧と、該第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部と
を備える可変焦点レンズ。 - 少なくとも一方の前記光透過性部材の一方の表面が曲面である
請求項4に記載の可変焦点レンズ。 - 前記可変焦点レンズを複数有し、前記複数の前記可変焦点レンズが並列配置されている
請求項4記載の可変焦点レンズ。 - 光源部と、
受光部と、
光記録媒体と対向する対物レンズと、
一対の光透過性部材と、前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合せず、光透過性を有し、第1の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、0V以上の第1電圧と該第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部とを有する可変焦点レンズを含み、前記対物レンズに前記光源部からの出射光を導く機能及び前記光記録媒体からの反射光を前記受光部に集光する機能を有する光学系と
を備える光ピックアップ装置。 - 光源部と、
受光部と、
光記録媒体と対向する対物レンズと、
一対の光透過性部材と、前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合せず、光透過性を有し、第1の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、0V以上の第1電圧と該第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部とを有する可変焦点レンズを含み、前記対物レンズに前記光源部からの出射光を導く機能及び前記光記録媒体からの反射光を前記受光部に集光する機能を有する光学系と、
前記可変焦点レンズを駆動する駆動部と、
前記光記録媒体を回転駆動する回転駆動部と
を備える光記録再生装置。 - 基板と、
前記基板上に、所定間隔で並列配置された複数の第1電極と、
前記複数の第1電極の表面を酸化処理して形成された複数の誘電体層と、
前記複数の誘電体層上に配置された導電性または有極性を有する液滴と、
前記液滴を挟んで前記複数の第1電極と対向して設けられた前記液滴に導通する第2電極と、
0V以上の第1電圧と、該第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部と
を備える液滴操作装置。 - 一対の光透過性部材と、
前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、
前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合せず、前記第1の液体より低い光透過性を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、
前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、
前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、
0V以上の第1電圧と、第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部と
を備える光学素子。 - 第1及び第2光透過性部材と、前記第1及び第2光透過性部材の間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、前記第1及び第2光透過性部材の間に収容され、前記第1の液体と混合せず、光透過性を有し、第1の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、前記第1及び第2光透過性部材の間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された第1誘電体層と、0V以上の第1電圧と第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する第1電圧印加部とを有する第1可変焦点レンズ部と、
第3及び第4光透過性部材と、前記第3及び第4光透過性部材の間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第3の液体と、前記第3及び第4光透過性部材の間に収容され、前記第3の液体と混合せず、光透過性を有し、第3の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第4の液体と、前記第3及び第4光透過性部材の間に収容され、前記第3の液体に電圧を印加する第3及び第4電極と、前記第3電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された第2誘電体層と、0V以上の第3電圧と第1電圧より大きい第4電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第3及び第4電極間に印加する第2電圧印加部とを有する第2可変焦点レンズ部と
を備えるズームレンズ。 - 前記第1可変焦点レンズ部と前記第2可変焦点レンズ部とが一体的に形成されている
請求項10に記載のズームレンズ。 - ズームレンズ、可変焦点レンズ及び絞りまたはシャッター機能を有する光学素子を含み、前記ズームレンズ、前記可変焦点レンズ及び前記光学素子の少なくとも一つが、一対の光透過性部材と、前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合しない絶縁性または無極性を有する第2の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、0V以上の第1電圧と第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部とを有する光学系と、
前記光学系を介して入射された光を電気信号に変換する撮像素子と、
前記光学系を制御する制御部と
を備える撮像装置。 - 一対の光透過性部材と、前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合せず、前記第1の液体より低い光透過性を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、0V以上の第1電圧と該第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部とを有する複数の光変調素子と、
前記光変調素子を駆動する駆動部と
を備える光変調装置。 - 一対の光透過性部材と、前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合せず、前記第1の液体より低い光透過性を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、0V以上の第1電圧と第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部とを有する光変調素子を複数含む光変調装置部と、
前記光変調装置部に光を入射する光源と
を備える表示装置。 - 一対の光透過性部材と、前記一対の光透過性部材間に収容され、光透過性を有し且つ導電性または有極性を有する第1の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体と混合せず、光透過性を有し、第1の液体と異なる屈折率を有し且つ絶縁性または無極性を有する第2の液体と、前記一対の光透過性部材間に収容され、前記第1の液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層と、0V以上の第1電圧と第1電圧より大きい第2電圧との間で周期的に変化する電圧信号を、前記第1及び第2電極間に印加する電圧印加部とを有する光学素子を複数含む光拡散素子と、
前記光拡散素子に光を入射する光源と、
前記光拡散素子と前記光源との間の光路の途中に設けられた光学プリズムと、
前記光源を発光させるストロボ回路部と、
前記光拡散素子及び前記ストロボ回路部の駆動を制御する制御部と
を備えるストロボ装置。 - 導電性または有極性を有する液体と、前記液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記液体と前記第1電極との間に設けられ、前記第1電極の前記液体側の表面を酸化処理して形成された誘電体層とを備えるエレクトロウェッティング装置内の前記第1及び第2電極間に、0V以上の第1電圧を所定時間印加するステップと、
前記第1電圧を前記所定時間が印加した後、前記第1電圧より大きい第2電圧を前記第1及び第2電極間に前記所定時間印加するステップと、
前記第2電圧を前記所定時間が印加した後、前記第1電圧を前記所定時間印加するステップと前記第2電圧を前記所定時間印加するステップとを繰り返すステップと
を含むエレクトロウェッティング装置の駆動方法。
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