JPWO2007069764A1 - 粉粒体の解砕整粒装置および粉粒体の解砕整粒方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、従来から使用されていた粉粒体の解砕整粒装置では、粒度のコントロールをスクリーンによって行なっていた。そのため、継続使用によってスクリーンが摩耗したり破損して、製品粉粒体中にスクリーンの摩耗粉や破損片が混入してしまう虞があった。また、湿潤材料の場合には、被処理物の物性によっては付着によるスクリーンの目詰まりが生じ、スクリーンの内部で被処理物を練ってしまうことが生じていた。また、造粒刃の衝撃力により適正粒度を有した粒子をも解砕してしまい、微粉を多量に発生して収率が悪くなってしまうと言う不都合も生じていた。
そこで、本件出願人は、先にスクリーンを使用しない粉粒体の解砕整粒装置を開発し、特許出願を行なった〔日本国特開2000−117131号公報(以下、特許文献1)およびWO 2004/085069A1号公報(以下、特許文献2)参照〕。
この粉粒体の解砕整粒装置は、材料投入口から供給された湿潤または乾燥材料を所定の滞留域を経て整粒する粉粒体の解砕整粒装置であって、該装置を構成するケーシング本体内に、回転体と該回転体に所定間隔を存して対向離間する対向面部とを設けて間隙領域を形成し、該間隙領域を、前記所定の間隙設定に適合した粒子の通過は許容するが、不適合な粒子の通過は不能とする粒度調整領域に構成し、前記間隙領域を通過不能な粒子は、前記間隙領域の入口部または面域部で、前記回転体の回動に連携して前記対向面部に接触せしめて間隙領域を通過可能に解砕し、排出口より排出するように構成したものである。
ここで、上記間隙領域には、上記回転体と上記対向面部とを最狭間隙部として設定した面域部または線域部が設けられ、上記最狭間隙部またはその近傍域で粒子の解砕を行なうように構成している。
具体的には、特許文献1に記載された粉粒体の解砕整粒装置は、上記回転体を垂直方向に回転軸を有する略円錐形状とし、上記ケーシング本体を略中空円錐形状に形成し、ケーシング本体の内壁と回転体の周面とによって上記粉粒体の滞留域を構成し、回転体の下端周縁とケーシング本体内壁とによって上記最狭間隙部を構成したものである。
また、特許文献2に記載された粉粒体の解砕整粒装置は、ケーシング本体内に水平な方向に配設された駆動軸と、該駆動軸に間隙をもって固定支持された複数枚の円板と、それらの円板の下方においてその周縁部の板面に対抗して配置され、かつ該円板の板面に対してその周縁に向かって間隙を小さくする傾斜面をもったステータとを備え、前記円板の板面と前記ステータの傾斜面とによって粉粒体が滞留する間隙部を構成すると共に、前記円板の周縁と前記ステータとの最狭間隙部によって解砕整粒部を構成したものである。
しかしながら、上記特許文献1に記載された粉粒体の解砕整粒装置では、略円錐形状の回転体の下部周縁とケーシング本体内壁とによって形成される最狭間隙部は、円形を成す1本の線状である。そのため、解砕整粒範囲をあまり大きく取れず、該解砕整粒範囲を大きくするには、回転体の下部径を大きくすることが必須となり、装置の大型化を来してしまうと言う課題があった。
また、上記特許文献2に記載された粉粒体の解砕整粒装置では、円板の下方のみにステータが配設されているため、円板の上方においては解砕整粒作用は行われず、効率が悪いものであった。また、処理する粉粒体は円板の上方から供給されるため、円板の遠心力により跳ね返され、入り難いものであった。さらに、高湿潤材料を処理する場合、解砕整粒部(最狭間隙部)、投入口付近、排出部付近等に処理物が付着し、安定した運転ができなくなるという課題もあった。
本発明は、上述した背景技術が有する課題に鑑み成されたものであって、その目的は、コンパクトで、解砕整粒範囲を十分に広くできると共に、整粒処理する粉粒体が高湿潤材料の場合であっても、装置の内面に付着を生ずることがなく、また仮に付着を生じても、初期の段階で取り除くことができ、長時間安定した運転が可能な粉粒体の解砕整粒装置、および粉粒体の解砕整粒方法を提供するにある。
また、上記した目的を達成するため、本発明に係る第2の粉粒体の解砕整粒装置では、ケーシング本体内に水平な方向に配設された駆動軸と、該駆動軸に間隔をもって固定支持された複数枚の円板と、それらの円板の周縁部の板面に対向して設置され、かつ該円板の板面に対してその周縁に向かって間隙を小さくする傾斜面をもったステータとを備え、前記円板の板面と前記ステータの傾斜面とによって粉粒体が滞留する間隙部を構成すると共に、前記円板の周縁と前記ステータとの最狭間隙部によって解砕整粒部を構成した粉粒体の解砕整粒装置において、上記ステータを上記円板の全周にわたって配設すると共に、上記ケーシング本体の駆動軸近傍の側壁、および隣合う上記円板間に位置する周壁に原料投入口を設けたことを特徴とする。
上記した本発明に係る第1および第2の粉粒体の解砕整粒装置によれば、共に、円板の全周に解砕整粒部が形成され、効率的に粉粒体の解砕整粒を行うことができるため、装置の更なるコンパクト化が可能となる。また、処理する粉粒体は円板の中心付近、或いは円板間に投入され、円板の遠心力により中心から外周方向に流れるため、粉粒体の供給がスムーズに行われると共に、円板の遠心力により飛ばされた処理物とぶつかることが無いため、ケーシング本体内における粉粒体の付着も軽減され、長時間安定した運転が可能となる。
ここで、上記第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置において、上記ケーシング本体の上部を駆動軸の軸芯と同芯の半円筒形状とし、かつこの上部の外周部全体にわたって軸方向に複数箇所、該上部と同芯の半リング状中空突出部を設け、該半リング状中空突出部に上記円板をそれぞれ配すると共に、該半リング状中空突出部間の周壁に上記原料投入口を設けた構成としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、円板間の原料投入口を、円板の中心付近に近づけて開口させることができ、原料の供給をよりスムーズに行なうことができる。
また、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置において、上記ケーシング本体の上部を駆動軸の軸芯と同芯の半円筒形状とし、少なくともその内周面の一部に表面が滑らかなシート状部材を内張りした構成としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、内張りされた表面が滑らかなシート状部材の存在により、ケーシング本体内における粉粒体の付着がさらに軽減され、より長時間の安定した運転が可能となる。
また、上記した本発明において、上記シート状部材を可撓性を有する材料で形成すると共に、該シート状部材に、例えばケーシング本体に設けたピンシリンダー等によって、ケーシング本体側から衝撃を与える構成としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、ケーシング本体内に粉粒体が付着しても、初期の段階で強制的に払い落とすことができ、付着物が成長することはないため、更なる長時間の安定した運転が可能となる。
また、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置において、上記ケーシング本体の原料投入口に連通するガス供給管を設けると共に、ガス排出経路をケーシング本体下部の排出口に連接した構成としてもよい
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、ガス供給管より熱風をケーシング本体内に吹き込むことにより、処理する粉粒体は熱風から直接、および熱風で加熱された装置の表面から間接的に熱を受け、粉粒体の表面から水分が蒸発(乾燥)するので、水分に起因する装置内面への付着を防止でき、長時間の安定した運転が可能となる。また、ガス供給管より冷風をケーシング本体内に吹き込んだ場合には、チョコレートのように軟化温度の低い材料の解砕整粒処理も可能な装置となる。
また、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置において、上記ステータの周縁に切り欠き部を形成し、該切り欠き部にアダプターを配設した構成としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、アダプターの厚さを調整することによって、解砕整粒部の間隙を容易に調整することができる。なお、この場合、スペーサを介して上記アダプターを切り欠き部に配設する構成としてもよい。
また、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置において、上記解砕整粒部を構成する上記円板と上記ステータの対向面の各々に、突起部を設けた構成としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、乾燥塊状物で全体が硬いもの、或いは硬い芯を有する粉粒体であっても、突起部によって効率的に解砕することができ、解砕整粒部における粉粒体の解砕整粒作用をより向上させることができる。なお、この場合、対向面に各々設ける突起部は、一方の面に設けた突起部が他方の面に設けた突起部の間を通過するように配置することが、解砕整粒効率の観点から好ましい。
また、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置において、上記ステータの傾斜面および/または上記円板の板面に、粉粒体を粗解砕する解砕ピンを設けた構成としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、粉粒体が円板の板面間などに滞留した場合においても、該粉粒体を粗解砕し、最狭間隙部等における解砕整粒作用を補助することができる。
また、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置において、上記間隙部を構成する上記円板の板面に、粉粒体を解砕整粒部方向に押圧する補助ピンを設けた構成としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置によれば、円板の板面に設けた補助ピンが、粉粒体を解砕整粒部に押し出す作用を果たすため、粉粒体が溜まり難いものとなり、処理量を増大させることができる。なお、この場合、上記円板の板面に設ける補助ピンは、平面視略三角形であって、その頂点の一つを円板の回転方向に向けて設けることが、粉粒体の押し出し作用の観点から好ましい。
また、上記した目的を達成するため、本発明に係る第1の粉粒体の解砕整粒方法では、上記本発明に係る第1または第2の粉粒体の解砕整粒装置を使用し、粉粒体を加熱、乾燥させながら解砕整粒することを特徴とする。
この第1の本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法によれば、粉粒体を加熱、乾燥させながら解砕整粒するため、装置内における粉粒体の付着を防止できると共に、後工程における処理物の乾燥工程の削除或いは簡略化を図ることができる。なお、この場合、粉粒体の加熱、乾燥は、装置内への熱風の供給、或いは装置内の適所に電気式のヒーター等を設置することにより行うことができる。
ここで、上記第1の本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法において、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置を、上記ケーシング本体の原料投入口に連通するガス供給管を設けると共に、ガス排出経路をケーシング本体下部の排出口に連接した構成とし、上記ガス供給管より熱風を供給する方法としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法によれば、熱風の供給によって粉粒体を加熱、乾燥させることができると共に、装置内に原料投入口から排出口に至る熱風の流れを形成でき、粉粒体を該熱風の流れに同伴させて解砕整粒部にスムーズに導くことができ、効率的な粉粒体の解砕整粒が可能となる。
また、上記本発明において、上記ガス供給管より供給する熱風よりも若干多い風量の熱風を、上記ガス排出経路より排出させる方法としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法によれば、装置内の吸気と排気の圧力バランスによって、粉粒体はさらにスムーズに解砕整粒部に導かれることとなり、より効率的な粉粒体の解砕整粒が可能となる。
また、上記した目的を達成するため、本発明に係る第2の粉粒体の解砕整粒方法では、上記本発明に係る第1または第2の粉粒体の解砕整粒装置を使用し、粉粒体を冷却しながら解砕整粒することを特徴とする。
この第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法によれば、粉粒体を冷却しながら解砕整粒するため、チョコレートのように軟化温度の低い材料の解砕整粒処理も可能となると共に、軟化溶融物の装置内における付着も防止できる。なお、この場合、粉粒体の冷却は、装置内への冷風の供給、或いは装置内の適所に冷却装置等を設置することにより行うことができる。
ここで、上記第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法において、上記第1または第2の本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置を、上記ケーシング本体の原料投入口に連通するガス供給管を設けると共に、ガス排出経路をケーシング本体下部の排出口に連接した構成とし、上記ガス供給管より冷風を供給する方法としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法によれば、冷風の供給によって粉粒体を冷却することができると共に、装置内に原料投入口から排出口に至る冷風の流れを形成でき、粉粒体を該冷風の流れに同伴させて解砕整粒部にスムーズに導くことができ、効率的な粉粒体の解砕整粒が可能となる。
また、上記本発明において、上記ガス供給管より供給する冷風よりも若干多い風量の冷風を、上記ガス排出経路より排出させる方法としてもよい。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒方法によれば、装置内の吸気と排気の圧力バランスによって、粉粒体はさらにスムーズに解砕整粒部に導かれることとなり、より効率的な粉粒体の解砕整粒が可能となる。
先ず、第1図〜第8図に示した本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置について説明する。
この図面に示した本発明の第1の実施の形態に係る粉粒体の解砕整粒装置1は、ケーシング本体2が、矩形の下部ケーシング本体2aと、半円筒形状の上部ケーシング本体2bとから構成されている。そして、下部ケーシング本体2aと上部ケーシング本体2bの一側部には、蝶番3が設けられ、該蝶番3を支点として、上部ケーシング本体2bが、下部ケーシング本体2aの上面において開閉自在に取り付けられている。
上記ケーシング本体2内には、駆動軸4が水平方向に配置され、該駆動軸4の両端部は、第2図に示したように、ケーシング本体2を貫通して外部まで延設され、軸受5,5によって各々支持されている。また、駆動軸4の一端部には、プーリ6が配設され、該プーリ6は、図示しないベルトを介してモータのプーリに連繋されている。
下部ケーシング本体2a内には、断面が略二等辺三角形状をなす1個または複数個(図示した実施の形態に係る装置では1個)の半円弧状のステータ7と、断面が略直角三角形状をなし、前記ステータ7と同一内径を有する左右一対の半円弧状のステータ8,8とが、その頂部を各々上記駆動軸4に向けて配設されている。
上記ステータ7,8は、各々半径方向に等距離で、かつ円周方向等間隔に設けられた複数の貫通孔の各々に固定軸9が挿通され、第3図に詳細に示したように、スペーサ10を介して等間隔に配置されたうえで、左右一対のステータ8,8の側面からキャップスクリュー11,11によって固定され、一体化されている。下部ケーシング本体2aの上記駆動軸4が貫通する側の内部両側面には、左右一対の断面矩形(内部は空洞)の半リング状のプレート12,12、および左右一対の断面矩形の半リング状のステータガイド13,13が、各々キャップスクリュー14,15によって取り付けられている。そして、上記一体化されたステータ7,8は、上記プレート12,12の側面にそって上記ステータガイド13,13の内面を滑らすことによって、下部ケーシング本体2a内に挿入され、下部ケーシング本体2aに設けられたノブ16を締め付けると共に、第1図に示したように、下部ケーシング本体2aの上面に設けられたフランジ17上に載置されたステータプレータ18に、一体化されたステータ7,8の両端部がボルト19,19によって取り付けられることにより、下部ケーシング本体2a内に配設されている。
上記ステータプレート18の上面には、上記一体化されたステータ7,8とは別個に形成された同形状、同組み合わせのステータ7,8が、上下方向を反対にして載置され、セットピス20によって位置決めされることにより、下部と上部とから成るケーシング本体2内に、リング状のステータ7,8が配設された構成となっている。
上記ステータ7,8の周縁には、第3図に示したように、切り欠き部7a,8aが各々形成され、該切り欠き部7a,8aに、断面が略台形のアダプター21が、各々キャップスクリュー22によって固定されている。なお、図示は省略したが、スペーサを介して上記アダプター21を、各々切り欠き部7a,8aに固定した構成としてもよい。
上記駆動軸4には、第1図および第2図に示したように、複数枚(図示した実施の形態に係る装置では2枚)の円板23が、上記ステータ7,8の間に、該駆動軸4に外嵌されたスペーサ24によって所定の間隔を保ち、かつキー25によって固定されている。なお、この円板23の最外周軌道面と上部ケーシング本体2bの内周面との間隔は、処理された粉粒体による付着を防止する観点から、広めに取ることが好ましい。また、上記円板23の中央部の適所には、複数の切り欠き部26が形成され、円板23の軽量化が図られていると共に、該切り欠き部26を通って隣の処理室に粉粒体が移動し得るように構成されている。
上記のように配置された円板23の全周においては、その周縁部を挟むようにしてステータ7,8および該ステータ7,8に取付けられたアダプター21,21が配置され、ケーシング本体2内において、第4図に詳細に示したように、円板23の外周縁とステータ7,8の傾斜面7b,8bおよびアダプター21,21の傾斜面21a,21aによってホッパー27が画成される。そして、このホッパー27を画成するステータ7,8の傾斜面7b,8bおよびアダプター21,21の傾斜面21a,21aと円板23の板面23a,23aとの間に、円板23の周縁に向かって間隙が徐々に狭くなる間隙部A,Aが形成される。そして更に、円板23の最外周縁とアダプター21,21の垂直面21b,21bとの間、即ち、間隙部A,Aの最狭間隙部に、粉粒体の解砕整粒部B,Bが形成される。
上記解砕整粒部(最狭間隙部)Bの間隙は、処理する粉粒体の目標最大粒径によって任意に設定される。そして、通常は、処理する粉粒体の目標最大粒径の1.5〜3倍程度に設定される。この解砕整粒部Bの間隙調整は、上記アダプター21の厚みを変えることにより調整することができる。即ち、厚みの異なるアダプター21を複数用意しておき、厚みの厚いアダプター21に交換することによって、解砕整粒部Bの間隙を狭くすることができる。また、周縁部の厚みが厚い円板23に交換することによっても、解砕整粒部Bの間隙を狭くすることができる。
ここで、上記ステータ7,8の傾斜面7b,8bと、該傾斜面7b,8bに対向する円板23の板面23aとのいずれか或いは両者に、粉粒体を粗解砕する解砕ピン28を複数植設した構成とすれば、該解砕ピン28によって、粉粒体の解砕効率をより高めることができる。また、円板23の最外周縁と、アダプター21の各々対向する面を、溝,突起部等を有する凹凸面に形成した場合には、解砕整粒機能は勿論、加えて粉粒体を排出側へスムーズに押しやる機能、或いは逆に粉粒体を間隙部Aに滞留させる機能を果たし、粉粒体の解砕・整粒をより精度よく行うことができる。
即ち、第5図に示したように、円板23の最外周縁の板面に、スパイク状の突起部29を、半径方向と円周方向に所定間隔を存して回転軸芯を中心に半径方向に2列形成する。また、該円板23の最外周縁の板面に対向するアダプター21の面にも、スパイク状の突起部30を、第6図に示したように、アダプター21の傾斜面21aに連なる垂直面21bに、円周方向に所定間隔を存して1列形成する。そして、第7図に示したように、上記円板23の最外周縁の板面に形成した2列の突起部29,29が、アダプター21の垂直面21bに形成した突起部30を挟むようにして通過するように、両突起部29,30を配置する。
上記のように解砕整粒部Bを構成する円板23とアダプター21の対向面の各々に突起部29,30を形成することにより、該円板23の板面23aとステータ7,8の傾斜面7b,8bおよびアダプター21,21の傾斜面21a,21aとの間に形成される間隙部Aを経て該解砕整粒部Bに達した粉粒体は、例え乾燥塊状物で全体が硬いもの、或いは硬い芯を有するものであっても、該突起部29,30によって効率的に解砕・整粒され、該解砕整粒部Bに滞留することなく、外方へ排出処理されることとなる。
上記突起部29,30は、具体的には、例えば円板23の直径が26cmの場合、該円板23の最外周縁に1条当たり36個の突起部29が形成され、各突起部29の円周方向の長さは約11mm、隣り合う突起部29,29間の距離も約11mm(各々5度ずつ等間隔)、半径方向の幅は2mm、高さは1mm、また隣の列の突起部29との距離は4mmであり、この2列の突起部29,29は、円周方向に位相をずらさず同じ位置(並行)に形成してある。一方、アダプター21の対向面に形成された上記突起部30の各寸法も、上記突起部29のそれと略同じに形成されているが、該突起部30の平面視形状を、両突起部29,30間を通過する粉粒体の流れを遮る形状(例えば、粉粒体の通過を遮る方向に傾斜する略平行四辺形)に形成してもよい。
なお、上記突起部29,30の形状、寸法などは、上記に限らず、任意に設定できることは言うまでもない。ただ、突起部を形成する場合には、円板23とアダプター21の対向面の各々に突起部29,30を設けていることが必要であり、例えば一方の面が平面である場合には、ショートパスが発生して良好な解砕・整粒は期待できない。また、解砕整粒処理される粉粒体の物性にもよるが、上記突起部29,30のない円板23、アダプター21を使用してもよい。
上記円板23の最外周縁と、アダプター21の対向する面間に形成される解砕整粒部Bの最狭間隙距離は、上記のように突起部29,30を形成した場合には、上記一方の対向面に形成された突起部の先端と他方の対向面との距離となる。そして、この最狭間隙距離は、処理する粉粒体の目標最大粒子径(なお、平均粒子径は、最狭間隙距離だけでなく、円板の回転数、粉粒体の供給量などにも依存する。)によって任意に設定される。但し、この最狭間隙距離を0.5mm以下に設定することは、円板23を高速回転させること、また突起部29,30の存在を考慮した場合、危険であるために好ましくない。
第4図等において、28は上記したように解砕ピンである。該解砕ピン28は、例えば供給材料が乾燥材料である場合に、該供給材料を粗解砕するためのものであり、図示したように、粉粒体の滞留域となる間隙部Aの少し上方に位置する円板23の板面23aに、所定間隔を存して着脱自在に設けられている。具体的には、上記解砕ピン28は、第5図に示したように、円板23の両側板面23aに、周方向に120度等間隔をあけて3個取り付けられている。
また、第4図等において、31は粉粒体の滞留域となる間隙部Aに位置する円板23の板面23aに取り付けられた補助ピンである。この補助ピン31は、円板23の回転に伴う遠心力によって粉粒体の滞留域となる間隙部Aに移動してきた粉粒体を、該間隙部Aに滞留させることなく、速やかに解砕整粒部Bに押し出す作用を果たすものである。この補助ピン31の形状は、平面視円形、長方形、正方形、三角形等適宜その形状を変更すると共に、その取付け角度も適宜変更して粉粒体の押出効果を確認したところ、平面視略三角形で、その三角形の一つの頂点が、円板23の回転方向を向くように取り付けられていることが好ましいものであった。
一方、上記上部ケーシング本体2bの上部中央には、第1図および第2図に示したように、原料投入用ケーシング32が設けられている。そして、この原料投入用ケーシング32の下部は、上部ケーシング本体2bの駆動軸4が貫通する側の両側面に形成された原料投入口33,33と連通されている。また、上記原料投入用ケーシング32の内部には、粉粒体を上記両原料投入口33,33に均等配分するために、分散手段34が配設されている。この分散手段34は、原料投入用ケーシング32の幅方向全幅にわたって、断面二等辺三角形の傘状(屋根状)分散部材34a,34bを、頂部を上にして二段重ねで取り付けた構成となっている。
また、上記上部ケーシング本体2bの最外周近傍の両側面内側には、第2図に示したように、断面矩形の半リング状部材35,35が、キャップスクリュー36によって固定されている。この半リング状部材35,35は、処理された粉粒体が付着するのを防止する観点から、表面が滑らかな材料、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を用いて形成されている。そして、半リング状部材35,35の対向する側面には、半径方向に等間隔で、かつ一定の深さを有する切り込み部37,37が各々形成され、該切り込み部37,37には、可撓性を有するシート状部材38が装着されている。このシート状部材38は、上部ケーシング本体2bの内周面に内張りされるだけではなく、第1図に示したように、下部ケーシング本体2aの内面をも覆うように、その両端部は下方に垂れ下げられている。そして、このシート状部材38も、処理された粉粒体が付着しないよう、表面が滑らかな材料、例えばゴムおよび/またはPTFE製であり、2枚重ねて使用する場合には、PTFE製のものが内側に配置されている。
さらに、上記上部ケーシング本体2bの外周面および下部ケーシング本体2aの外周面には、第1図に示したように、ほぼ等間隔をあけて複数個のエアー作動のピンシリンダー39が取り付けられている。そして、該ピンシリンダー39のピン39aは、上記各ケーシング本体2a,2bに穿設された孔に挿通され、その先端は、上記内張りされたシート状部材38に当接するよう配置されている。
また、上記下部ケーシング本体2aの側面上部と上記半リング状のプレート12との角部には、第2図に示したように、断面直角三角形の半リング状の補助プレート40,40が、駆動軸4と同芯にキャップスクリュー41,41によって取り付けられている。この補助プレート40によって、投入された粉粒体をこの角部に堆積させることなく、間隙部Aへと誘導するように構成されている。
また、上記原料投入用ケーシング32の両側面の下部には、上部ケーシング本体2bに形成された原料投入口33,33に連通するガス供給管42,42が連結されている。また、該原料投入用ケーシング32の他の側面にも、上部ケーシング本体2bの上面と上記傘状分散部材34bとの間に連通するガス供給管43が連結され、傘状分散部材34bの頂部には、ガスを噴出させる切り欠き部44が形成されている。そして、ガス供給管42,43の他端には、図示しないエアーフィルター、吸気ブロワー、エアーヒーターが連接されている。
また、上記下部ケーシング本体2aの下端開口(排出口)は、第8図に示したように、開口部を有する共通ベース45上に固定されており、該共通ベース45の下方には、下部に排出口を有する排出用ケーシング46が連設されている。また、上記共通ベース45の上には、バグコレクター47も固定されており、該バグコレクター47は配管を介して排気ブロワー(図示せず)に連接されている。そして、上記バグコレクター47の下部に位置する共通ベース45にも開口が設けられており、該開口から粉粒体(微粉)を含む熱風がバグコレクター47へと排出されると共に、該バグコレクター47のバグフィルター48から払い落とされた粉粒体(微粉)も、この開口を通って上記排出用ケーシング46を経て排出口から系外に排出される構成になっている。
上記のように構成された本発明の第1の実施の形態に係る粉粒体の解砕整粒装置1は、次のようにして運転される。
先ず、図示しないモーター等によって駆動軸4を回転させ、それによって駆動軸4に固設された円板23を回転させる。次に、排気ブロワー、吸気ブロワー、エアーヒーター(いずれも図示せず)の順番で起動し、ガス供給管42,43を介してケーシング本体2内に所定温度に昇温された熱風を供給すると共に、ケーシング本体2の下部から排気する。この際、装置内部がマイナス圧になるように、供給風量よりも排気風量を若干多めにすることが好ましい。
上記ガス供給管43から供給された熱風は、傘状分散部材34bの頂部切り欠き部44から上方の傘状分散部材34aに向かって噴出され、両傘状分散部材34a,34bの間隙を経て、原料投入用ケーシング32、原料投入口33を経て装置内部に流入する。このとき、熱風は両傘状分散部材34a,34b、そして原料投入用ケーシング32を加熱する。一方、ガス供給管42から供給された熱風は、直接上部ケーシング本体2bの原料投入口33から装置内部に流入する。そして、両ガス供給管42,43から供給された熱風は、ここで合体して装置内部の中央部から円板23の回転に伴って外周(半径)方向に移動し、また一部の熱風は円板23の切り欠き部26から隣の処理室に流入し、同様に円板23の回転に伴って外周(半径)方向に移動して、解砕整粒部Bを経て、本体内部に内張りされたシート状部材38の内面に到達する。この間に、駆動軸4に外嵌されたスペーサ24,円板23、該円板23に取り付けられた解砕ピン28、補助ピン31、ステータ7,8、両ケーシング本体2a,2b、およびシート状部材38等を順次加熱する。その後熱風は、下部ケーシング2aの下部開口部から共通ベース45の開口部を通り、排出用ケーシング46を経てバグコレクター47に入り、図示しない排気ブロワーから系外に排出される。装置内部の温度が一定になったところで、必要に応じてピンシリンダー39を作動させると共に、バグコレクター47の逆洗を始める。
次に、原料投入用ケーシング32から、各種装置で造粒または形成された湿潤凝集物等の粉粒体原料を定量的に供給する。供給された粉粒体原料は、先ず傘状分散部材34aの頂部において左右に均等に分割され、傘状分散部材34a,34bの傾斜面、原料投入用ケーシング32の側面を伝って流下し、原料投入口33,33から装置内部に流入する。そして、装置内部に流入した粉粒体原料は、補助プレート40の傾斜面を経て、先ず解砕ピン28によって粗粉砕される。そして、円板23とステータ7,8との間隙部Aに達した粉粒体は、円板23の回転による遠心力、補助ピン31の作用による押出力、および図示しない吸気と排気の両ブロワーのバランスによる吸引力により、間隙部Aに滞留することなく、速やかに解砕整粒部Bに押し出される。また、円板23の切り欠き部26から隣の処理室に移動した粉粒体も解砕ピン28によって粗粉砕された後、左右の円板23,23とその間のステータ7,8との間隙部Aに達し、上記と同じ作用を受けて間隙部Aに滞留することなく、速やかに解砕整粒部Bに押し出される。解砕整粒部Bに押し出された粉粒体は、間隙設定に適合した粒子はそのまま通過が許容されるが、不適合の粒子は、例えそれが乾燥塊状物で全体が硬いもの、或いは硬い芯を有するものであっても、解砕整粒部Bに設けられた突起部29,30によって効率的に解砕・整粒され、解砕整粒部Bに滞留することなく、両ケーシング本体2a,2bの方向に排出され、両ケーシング本体2a,2bの内面に内張りされたシート状部材38に達する。
上記のような解砕・整粒作用にあたって、本発明に係る装置においては、装置内部に熱風が供給されており、また該熱風によって粉粒体が接触する解砕整粒装置1の各部位が加熱されているので、装置内部に投入された粉粒体は、この熱風によって直接、また接触した装置の各部位から間接的に加熱され、その表面が瞬時に乾燥されるので、粉粒体がその表面に持つ水分に起因する付着を防止することができる。また、両ケーシング本体2a,2bの内面には、粉粒体が付着し難いシート状部材38が内張りされているので、両ケーシング本体2a,2b内面への付着を防止することができる。さらに、仮にこのシート状部材38に粉粒体が付着したとしても、ピンシリンダー39のピン39aの衝撃作用により、該付着を瞬時に払い落とすことができる。そして、シート状部材38に達した粉粒体は、その表面を伝わって下方に移動し、下部ケーシング本体2aの開口部、共通ベース45の開口部を経て、排出用ケーシング46下部の排出口から系外に排出される。このとき、解砕されて生じた粒子の新生表面も、熱風によって瞬時に乾燥されるので、解砕整粒後の粉粒体が解砕整粒装置1内部の各部位に付着することもない。一方、解砕整粒作用によって生じた微粉は、上記熱風の流れに同伴して、排出用ケーシング46からバグコレクター47に流入し、バグフィルター48の表面で捕集される。
次に、第9図〜第14図に示した本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置について説明する。
この第9図〜第13図に示した本発明の第2の実施の形態に係る粉粒体の解砕整粒装置51は、円板の間隔を広めにとり、左右の原料投入口の他に、円板間にも原料投入口を設け、円板に形成された切り欠き部に頼ることなく、各整粒部(間隙部Aおよび解砕整粒部B)に均一に原料を供給するようにしたことが上記第1の実施の形態に係る装置1と大きく相違する。従って、この相違部分を中心に、以下説明する。なお、第1の実施の形態に係る装置1と同一の部材については、同一を符号を付して、その説明を省略する場合がある。
この本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置51では、第9図および第10図に示したように、上部ケーシング本体2bは半円筒状で、かつこの上部ケーシング本体2bの外周部全体にわたって軸方向に2箇所、該上部ケーシング本体2bと同芯の半リング状中空突出部52,52が設けられている。
下部ケーシング本体2a内には、断面が略直角三角形状をなす左右一対の半円弧状のステータ8,8が二組、その頂部を各々駆動軸4に向けて配設されている。この各組のステータ8,8は、各々半径方向に等間隔で、かつ円周方向等間隔に設けられた複数の貫通孔の各々に固定軸9が挿通され、第11図に詳細に示したように、スペーサ10を介して等間隔に配置されたうえで、両ステータ8,8の側面からキャップスクリュー11,11によって固定され、一体化されている。下部ケーシング本体2aの駆動軸4が貫通する側の両側面内部には、左右一対の断面矩形の半リング状のプレート12,12および左右一対の断面矩形の半リング状のステータガイド13,13が、各々キャップスクリュー14,15によって取り付けられている。そして、さらに下部ケーシング本体2aの内部中央には、断面略コ字形の半リング状のステータガイド53が、下部ケーシング本体2aの他の両側面内側に固定された取付座54,54にボルト等によって取り付けられている。
そして、一体化された上記ステータ8,8は、各々上記プレート12の側面およびステータガイド53の側面に沿って、ステータガイド13の内面およびステータガイド53の鍔状突起部53aの内面を滑らすことによって、下部ケーシング本体2a内に挿入され、そして、下部ケーシング本体2aの両側面に設けられた左右のノブ16,16を締め付けると共に、第9図に示したように、下部ケーシング本体2aの上面に設けられたフランジ17上に載置されたステータプレート18に、一体化された半円弧状の各ステータ8,8の両端面をボルト19,19によって取り付けることにより、各ステータ8,8は下部ケーシング本体2a内に配設される。
そして、ステータプレート18の上面には、第14図に示したように、上記一体化されたステータ8,8とは別個に形成された同形状、同組合せのステータ8,8が二組、上下方向を反対にして載置され、ボルト55,55によってステータプレート18の上面に固定されることにより、下部と上部とから成るケーシング本体2内において、第10図に示したように、リング状の2組の対を成すステータ8,8が、上部ケーシング本体2bに設けられた上記半リング状中空突出部52,52に位置するように配設されている。
なお、上記したステータプレート18は、第13図に示したように、分割された3部材18a,18b,18cにより構成されている。
上記ステータ8,8の対向する側面には、第11図に示したように、切り欠き部8a,8aが各々形成され、該切り欠き部8a,8aに、断面が略台形の半円弧状のアダプター21が、各々キャップスクリュー22によって固定されている。
一方、駆動軸4には、第9図および第10図に示したように、2枚の円板23,23が、上記2組の対を成すステータ8,8のそれぞれの間に位置するように、該駆動軸4に外嵌されたスペーサ24によってその間隔を保ち、かつキー25によって固定されている。
なお、この円板23の中央部の適所には、上記した第1の実施の形態に係る装置1と同様に、複数の切り欠き部26が形成され、円板23の軽量化が図られているが、この切り欠き部26は、本実地の形態に係る装置51においては、必ずしも必要ではない。
上記のように配置された2枚の円板23,23の各々の全周においては、その周縁部を挟むようにしてステータ8,8および該ステータ8,8に取付けられたアダプター21,21が配置される。そして、ケーシング本体2内において、第12図に詳細に示したように、円板23の外周縁とアダプター21,21の傾斜面21a,21aによってホッパー27が画成されると共に、このホッパー27を画成するアダプター21,21の傾斜面21a,21aと円板23の板面23a,23aとの間に、円板23の周縁に向かって間隙が徐々に狭くなる間隙部A,Aが形成される。そして更に、円板23の最外周縁とアダプター21,21の垂直面21b,21bとの間、即ち、間隙部A,Aの最狭間隙部に、粉粒体の解砕整粒部B,Bが形成される。
そして、上記した円板23の板面23aには、上記した第1の実施の形態に係る装置1と同様に、粉粒体を粗解砕する解砕ピン28、および粉粒体を間隙部Aから速やかに解砕整粒部Bに押し出す作用を果たす補助ピン31が設けられている。また、解砕整粒部Bを構成する円板23とアダプター21の対向面に各々には、突起部29,30が形成されている。
また、上部ケーシング本体2bの上部中央には、第10図に示したように、原料投入用ケーシング32が設けられ、該原料投入用ケーシング32の下部には、上部ケーシング本体2bの両側面に形成された原料投入口33,33、および上部ケーシング本体2bに設けられた半リング状中空突出部52,52間に形成された原料投入口56と連通されている。そして、上記原料投入用ケーシング32の内部には、粉粒体を上記原料投入口33,33および56に均等に配分するために、分散手段34が配設されている。この分散手段34は、原料投入用ケーシング32の幅方向全幅にわたって二列、底辺の幅が上記半リング状中空突出部52の幅に等しい断面三角形の傘状の分散部材34cを、その頂部を上にして、その下部(底辺)を上記半リング状中空突出部52の外周面に取り付けた構成となっている。
また、上記2組のステータ8,8の外周縁部に位置する上記半リング状中空突出部52,52の各々の内部両側面には、第10図に示したように、断面矩形の半リング状部材35,35が、キャップスクリュー(図示省略)によって固定されている。この半リング状部材35,35も、上記第1の実施の形態に係る装置1と同様に、処理された粉粒体が付着するのを防止する観点から、表面が滑らかな材質を用いて形成されている。また、該半リング状部材35,35の対向する側面には、半径方向に等間隔で、かつ一定の深さを有する切り込み部37,37が各々形成され、該切り込み部37,37には可撓性を有するシート状部材38が装着されている。但し、この実施の形態に係る装置51の場合は、第9図に示したように、上記シート状部材38は上部ケーシング本体2bの内周面に内張され、下部ケーシング本体2aには、他のシート状部材57が、別途ボルト58よって固定されている。
なお、上記上部ケーシング本体2bの外周面および下部ケーシング本体2aの外周面には、上記第1の実施の形態に係る装置1と同様に、上記内張りされたシート部材38,57を振動させるピンシリンダーを設けてもよいが、熱風を供給する構成の場合には、必ずしもピンシリンダーを設ける必要はない。
下部ケーシング本体2aの内部両側面上部と半リング状のプレート12,12との角部には、第10図に示したように、断面直角三角形の半リング状の補助プレート40,40が、駆動軸4と同芯にキャップスクリュー41,41によって取り付けられている。また、上記断面略コ字形のステータガイド53の内部突出部にも、第10図に示したように、断面二等辺三角形の半リング状の補助プレート59が、駆動軸4と同芯にキャップスクリュー60によって取り付けられている。そして、両補助プレート40,59によって、投入された粉粒体を、上記の角部およびステータガイド53の突出部に堆積させることなく、間隙部Aへと誘導するように構成されている。
また、上記原料投入用ケーシング32の両側面の下部には、上部ケーシング本体2bに形成された原料投入口33,33に連通するガス供給管42,42が連結され、また原料投入用ケーシング32の他の側面にも、上部ケーシング本体2bに設けられた半リング状中空突出部52,52間に形成された原料投入口56に連通するガス供給管43が連結されている。さらに、上部ケーシング本体2bには、半リング状中空突出部52,52間に直接開口するガス供給管61が連結されている。そして、ガス供給管42,43,61の他端には、図示しないエアーフィルター、吸気ブロワー、エアーヒーターが連接されている。
そして、上記した構造の第2の実施の形態に係る装置51は、第1の実施の形態に係る装置1と同様に、第8図に示した共通ベース45上に設置され、第1の実施の形態に係る装置1と同様の操作によって、粉粒体の解砕整粒に使用される。
この際、特に上記した第2の実施の形態に係る装置51の場合には、円板23,23間にも原料投入口56を設けたため、該円板間に設けた原料投入口56によって、円板23に形成された切り欠き部26に頼ることなく、各整粒部(間隙部Aおよび解砕整粒部B)に均一に原料を供給することができる。また、処理量を増やすために円板23の枚数を増やした場合、即ち整粒部の数を駆動軸4方向に増やした場合でも、同様に各円板23,23間に原料投入口56を設けることによって、各整粒部に均一に原料を供給することができる。
以上、本発明に係る粉粒体の解砕整粒装置の好適な実施の形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形および変更が可能であることは当然である。
例えば、上記実施の形態においては、ガス供給管を介して熱風を装置内に供給することにより、粉粒体の加熱、乾燥を行っているが、装置の外部をリボン式の電気ヒーターで覆ったり、または該装置の接粉部をジャケット構造として、該ジャケット内に温水や加熱蒸気を供給して加熱すること等によって、粉粒体を加熱、乾燥させる構成としてもよい。また逆に、ガス供給管を介して冷風を装置内に供給する等の方法により、解砕整粒する処理物を直接或いは間接的に冷却できる構成とすれば、チョコレートのように軟化温度の低い材料の解砕整粒処理も可能となると共に、軟化溶融物の装置内における付着も防止できる。また、装置内に内張りしたシート状部材に衝撃を与える手段として、上記実施の形態においてはピンシリンダーを示したが、何らこれに限定されず、バイブレータ等の種々の振動或いは衝撃発生手段を採用できる。さらに、上記実施の形態においては、本発明装置を単体として用いた場合の粉粒体の処理方法について説明したが、本発明装置の粉粒体投入用ケーシングに前段の各種造粒機または成形機の排出管に接続すると共に、本発明装置の排出用ケーシングを後段の各種装置の供給口に接続することにより、本発明装置を、一連のプラントの一部として使用することも可能である。
次に、本発明の試験例について記載する。
<粉粒体原料の調製>
逆流式高速混合機(日本アイリッヒ(株)製;アイリッヒ・インテンシブミキサー Type−R11)を用いて、セラミックス粉体(陶土)に加水して原料を調整した。各原料の粒子径および水分値を、表1および表2に示す。
<試験例>
従来装置との対比試験
−試験例1−
特許文献2(WO 2004/085069 A1)に記載された、下半分のみに処理部を有する従来装置を用い、下記の条件で上記調整した原料の解砕整粒操作を行った。
・円板の直径:260mm ・円板の枚数:3枚
・円板の回転数:3000rpm ・最狭間隙部:0.8mm
・原料投入量:1.7t/hr
−試験例2−
第1図乃至第8図に示した、本発明に係る装置を用い、下記の条件で上記調整した原料の解砕整粒操作を行った。
・円板の直径:260mm ・円板の枚数:2枚
・円板の回転数:3500rpm ・最狭間隙部:0.8mm
・熱風の温度:80℃ ・熱風の風量:3m3/min
・ピンシリンダー:不使用 ・原料投入量:2.0t/hr
−試験例3−
第1図乃至第8図に示した、本発明に係る装置を用い、下記の条件で上記調整した原料の解砕整粒操作を行った。
・円板の直径:260mm ・円板の枚数:2枚
・円板の回転数:2500rpm ・最狭間隙部:0.8mm
・熱風の温度:120℃ ・熱風の風量:9m3/min
・ピンシリンダー:不使用 ・原料投入量:2.0t/hr
試験結果
各試験の結果を、表1に併記する。
トップサイズ1mmの粒子を目標に、最狭間隙部の間隔を0.8mmとしたところ、何れの試験例においても、その目標をほぼ達成できた。しかし、試験例1では、運転開始から80秒で最狭間隙部に処理品が付着して運転不可能となってしまった。これに対し、試験例2では12分、試験例3ではさらに長時間処理しても付着物がなく、本発明に係る装置においては、連続運転が可能であることが確認できた。
ピンシリンダーの効果確認試験
−試験例4−
第1図乃至第8図に示した、本発明に係る装置を用い、下記の条件で上記調整した原料の解砕整粒操作を行った。
・円板の直径:260mm ・円板の枚数:2枚
・円板の回転数:3000rpm ・最狭間隙部:1.5mm
・熱風の風量:3m3/min(加熱しない、室温の空気)
・ピンシリンダー:不使用 ・原料投入量:1.17t/hr
−試験例5−
第1図乃至第8図に示した、本発明に係る装置を用い、下記の条件で上記調整した原料の解砕整粒操作を行った。
・円板の直径:260mm ・円板の枚数:2枚
・円板の回転数:2500rpm ・最狭間隙部:1.5mm
・熱風の風量:3m3/min(加熱しない、室温の空気)
・ピンシリンダー:使用 ・原料投入量:1.26t/hr
試験結果
各試験の結果を、表2に併記する。
試験例4では、運転開始から108秒で、整粒直後の処理品が装置内に堆積して排出することができなくなり、運転が困難となってしまった。しかし、試験例5では、より多い投入量を12分処理したが、上記の堆積もなく、連続運転が可能であることが確認できた。
Claims (16)
- ケーシング本体内に水平な方向に配設された駆動軸と、該駆動軸に間隔をもって固定支持された複数枚の円板と、それらの円板の周縁部の板面に対向して設置され、かつ該円板の板面に対してその周縁に向かって間隙を小さくする傾斜面をもったステータとを備え、前記円板の板面と前記ステータの傾斜面とによって粉粒体が滞留する間隙部を構成すると共に、前記円板の周縁と前記ステータとの最狭間隙部によって解砕整粒部を構成した粉粒体の解砕整粒装置において、上記ステータを上記円板の全周にわたって配設すると共に、上記ケーシング本体の駆動軸近傍の側壁に原料投入口を設け、かつ上記円板の板面に原料が通過する切り欠き部を形成したことを特徴とする、粉粒体の解砕整粒装置。
- ケーシング本体内に水平な方向に配設された駆動軸と、該駆動軸に間隔をもって固定支持された複数枚の円板と、それらの円板の周縁部の板面に対向して設置され、かつ該円板の板面に対してその周縁に向かって間隙を小さくする傾斜面をもったステータとを備え、前記円板の板面と前記ステータの傾斜面とによって粉粒体が滞留する間隙部を構成すると共に、前記円板の周縁と前記ステータとの最狭間隙部によって解砕整粒部を構成した粉粒体の解砕整粒装置において、上記ステータを上記円板の全周にわたって配設すると共に、上記ケーシング本体の駆動軸近傍の側壁、および隣合う円板間に位置する周壁に原料投入口を設けたことを特徴とする、粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記ケーシング本体の上部を駆動軸の軸芯と同芯の半円筒形状とし、かつこの上部の外周部全体にわたって軸方向に複数箇所、該上部と同芯の半リング状中空突出部を設け、該半リング状中空突出部に上記円板をそれぞれ配すると共に、該半リング状中空突出部間の周壁に上記原料投入口を設けたことを特徴とする、請求の範囲2に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記ケーシング本体の上部を駆動軸の軸芯と同芯の半円筒形状とし、少なくともその内周面の一部に表面が滑らかなシート状部材を内張りしたことを特徴とする、請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記シート状部材を可撓性を有する材料で形成すると共に、該シート状部材にケーシング本体側から衝撃を与えることを特徴とする、請求の範囲4に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記ケーシング本体の原料投入口に連通するガス供給管を設けると共に、ガス排出経路をケーシング本体下部の排出口に連接したことを特徴とする、請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記ステータの周縁に切り欠き部を形成し、該切り欠き部にアダプターを配設したことを特徴とする、請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記解砕整粒部を構成する上記円板と上記ステータの対向面の各々に、突起部を設けたことを特徴とする、請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記ステータの傾斜面および/または上記円板の板面に、粉粒体を粗解砕する解砕ピンを設けたことを特徴とする、請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記間隙部を構成する上記円板の板面に、粉粒体を解砕整粒部方向に押圧する補助ピンを設けたことを特徴とする、請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置。
- 上記請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置を使用し、粉粒体を加熱、乾燥させながら解砕整粒することを特徴とする、粉粒体の解砕整粒方法。
- 上記請求の範囲6に記載のガス供給管より熱風を供給することを特徴とする、請求の範囲11に記載の粉粒体の解砕整粒方法。
- 上記ガス供給管より供給する熱風よりも若干多い風量の熱風を、上記請求の範囲6に記載のガス排出経路より排出させることを特徴とする、請求の範囲12に記載の粉粒体の解砕整粒方法。
- 上記請求の範囲1または2に記載の粉粒体の解砕整粒装置を使用し、粉粒体を冷却しながら解砕整粒することを特徴とする、粉粒体の解砕整粒方法。
- 上記請求の範囲6に記載のガス供給管より冷風を供給することを特徴とする、請求の範囲14に記載の粉粒体の解砕整粒方法。
- 上記ガス供給管より供給する冷風よりも若干多い風量の冷風を、上記請求の範囲6に記載のガス排出経路より排出させることを特徴とする、請求の範囲15に記載の粉粒体の解砕整粒方法。
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