JPWO2005122190A1 - ポリマーptc素子 - Google Patents

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Abstract

より向上した性能を有するポリマーPTC素子を提供する。そのようなPTC素子は、(A)(a1)導電性フィラー、及び(a2)ポリマー材料を含んで成るポリマーPTC要素、ならびに(B)ポリマーPTC要素の少なくとも1つの表面に配置された金属電極を有して成り、導電性フィラーは、高温・乾燥条件下における耐酸化性を有するNi合金フィラーであり、ポリマー材料は熱可塑性の結晶性ポリマーである。

Description

本発明は、導電性フィラーとして、高温・乾燥条件下における耐酸化性を有するNi合金フィラー(例えばニッケル−コバルト合金の粒状物または粉末)を含むPTC要素を有して成るポリマーPTC素子、特に回路保護装置として使用できる素子、およびそれが組み込まれた電気装置に関する。
PTC(positive temperature coefficient)素子は、例えば電気回路を保護する回路保護素子として種々の電気・電子機器のような電気装置で使用されている。そのようなPTC素子は、その電気抵抗が温度と共に変化する。通常、PTC素子の温度が室温から上昇してトリップ温度(trip temperature)とも呼ばれる特定の閾温度を越えると、PTC素子の抵抗が急激に増加する性質を有する。このように温度が上昇すると抵抗が増加する、好ましくは急激に増加する性質をPTC特性と呼び、このように抵抗が急激に増加することをトリップすると呼ぶ。尚、後述するようなPTC素子のスイッチング機能に着目した場合、トリップ温度はスイッチング温度とも呼ばれる。
PTC素子は、上述のように、電気・電子機器の電気回路に組み込まれて使用される。例えば、機器の使用中、何らかの理由によってPTC素子を含む電気回路に過剰電流が流れてPTC素子の温度自体が閾温度に達した場合、または機器の環境温度が上昇してPTC素子が閾温度に達した場合、PTC素子は急激に高抵抗となる、即ち、トリップする。PTC素子が特に電子機器の保護回路として使用される場合は、この閾温度の前後における抵抗変化は少なくとも100倍、好ましくは1000倍以上の急激な変化であることが必要とされ、このような急激な変化を示すPTC素子の機能は特に「スイッチング機能」と呼ばれる。
尚、実際、PTC素子の温度−抵抗曲線において、閾温度の前後における抵抗変化は、ステップ状の変化(即ち、曲線の勾配が実質的に90°となる変化)ではなく、ある温度領域における抵抗の急激な変化である。従って、本明細書において用いる「閾温度の前後における抵抗変化」とは、そのような急激な変化が生じる前の抵抗に対する後の抵抗の割合を意味する。通常、抵抗の変化が非常に大きいので、急激な変化が生じる前の抵抗は、室温時における抵抗に等しいとしても実用上問題はない。
例えば、後述する図2に示す実測データを参照すると、実施例1の素子の場合、約100℃〜約130℃の間で抵抗値が急激に増加している。従って、この場合、抵抗変化とは、20℃の抵抗値に対する130℃における抵抗値の割合であり、その抵抗変化の割合は約10〜10である。
このようなPTC素子を組み込んだ電気回路において、PTC素子が電源ラインに配置されている場合、高抵抗になったPTC素子が電流を実質的に遮断して(即ち、スイッチオフして)機器が故障することを未然に防止する。別の態様において、PTC素子が機器内で保護回路を構成する場合、PTC素子の周囲の異常昇温によってPTC素子は高抵抗となり、その結果PTC素子は、保護回路中で電圧印加を停止するスイッチングを行い、機器が故障することを未然に防止する。このようなPTC素子の「スイッチング機能」は周知であり、種々のタイプのものが使用されている。例えば、このような「スイッチング機能」を有するPTC素子は、携帯電話の2次電池の電気回路の保護回路に組み込まれる。そして2次電池の充電中及び放電中に過剰電流が流れた場合、PTC素子は電流を遮断して携帯電話、例えばその2次電池を保護する。
尚、上述のトリップまたはスイッチング温度およびスイッチング機能は、例えば後述の特許文献1および特許文献2においても説明されている。本発明に関連してこれらの文献を参照でき、ここでこれらを引用することによってこれらの文献に開示されている内容は本明細書の一部を構成する。
従来のPTC素子の一例として、導電性粒子としての分散した導電性フィラーを含む、ベース材料としての熱可塑性の結晶性ポリマー材料から作られた層状のポリマーPTC要素を有するポリマーPTC素子が知られている(例えば、特許文献3参照)。層状のポリマーPTC要素は、例えばカーボンブラックのような導電性フィラーを分散状態で含む例えば高密度ポリエチレンを押出成形することによって製造することができる。ポリマーPTC要素の両側の主表面に適当な電極を配置してポリマーPTC素子が得られる。そのような電極として、例えば金属箔電極が使用される。金属箔電極は、例えば熱圧着することによって、層状のポリマーPTC要素に接着される。
ポリマーPTC素子が上述のようなスイッチング機能を示すのは、図1(a)および図1(b)を参照して以下のように説明できる。図1(a)および図1(b)は、ポリマーPTC要素の導電性粒子(例えばカーボンブラック粉末)が熱可塑性の結晶性ポリマー中に分散している、トリップ前(常温(もしくは室温)時または通常時)およびトリップ時の様子をそれぞれ模式的に示す。熱可塑性の結晶性ポリマーは、ポリマー鎖が規則正しく密に整列している部分である結晶部およびポリマー鎖がランダムで疎な部分である非晶部を有する。その結果、図1(a)に示すように、密に整列した結晶部内には導電性粒子は物理的に入り込むことが容易でなく、非晶部に集中して存在することとなる。このことは、導電性粒子同士が非晶部において密に接触状態で存在することとなり、ポリマーPTC要素の電気抵抗は低い状態となると考えられる。
他方、ポリマーPTC要素の温度が上昇すると、常温時においては規則正しく密に整列されていた結晶が、温度上昇と共に大きくなる分子運動によって、次第に疎である非晶状態へと変化する。そして、結晶性ポリマーの融点近傍のトリップ温度になると、結晶部が溶融を始めるため、非晶部が増加する。このような状態を図1(b)に模式的に示す。この状態では、常温時には結晶状態のために制限されていた導電性粒子の移動が可能になり、その結果、相当な割合の導電粒子同士が離間し、そのために、ポリマーPTC要素の電気抵抗は大きくなると考えられる。
上述のような電気抵抗の増加は、結晶部の溶融に代えて、あるいはそれに加えてポリマーの体積膨張によって導電性粒子が離間する現象を利用して達成することも可能である。しかしながら、より大きい電気抵抗値変化率(トリップ時抵抗値/トリップ前(または常温時)抵抗値)を達成するには、そのような体積膨張の代わりに、好ましくは体積膨張に加えて、結晶状態が非晶状態となる性質を有するポリマーをポリマーPTC要素に用いることが好ましい。従って、熱硬化性樹脂のような非結晶性ポリマーを用いてPTC要素を製造する場合には、ガラス転移点等の変移点による電気抵抗の若干の変化(通常数倍〜数十倍)を達成することは可能であるが、回路保護素子として使用する場合に要求されるスイッチング機能を示す抵抗変化率(一般的には少なくとも1000倍)を達成することは不可能である。
上述のようなポリマーPTC素子の特性を改良するために、種々の新たな検討が継続的に行われている。例えば、PTC素子の室温での初期抵抗値を小さくし、温度−抵抗曲線の立ち上がりが急峻で大きな抵抗値の変化を得るための検討が行われており、その一例として、例えば導電性フィラーとしてニッケル粉を用いる検討が報告されている(例えば、特許文献3参照)。
特公平4−28743号公報 特開2001−85202号公報 特開平5−47503号公報
上述のようなポリマーPTC素子に一般的に求められる要件は、室温での抵抗がより小さいこと、そして、使用期間の経過に対してポリマーPTC素子としての性能が劣化しにくいことである。現在市販されているポリマーPTC素子は、これらの要件に関して電気装置における使用に際して許容できる性能を有するが、これらの性能がより向上することが求められる。そこで、本発明が解決しようとする課題は、より向上した性能を有するポリマーPTC素子を提供することである。
本発明者らは、種々のポリマーPTC素子について種々の検討を重ねた結果、導電性フィラーとしてニッケルフィラーを用いる場合、使用開始後の初期段階ではPTC素子の室温での抵抗値は小さいが、電気装置における使用期間が増加するにつれて抵抗値が増加するという長期の経時変化の問題があることを見出した。
電子機器部品の長期の経時変化について検討する場合、多くの場合、通常の寿命試験として高温・多湿条件下における加速試験が行われ、この試験に合格すれば通常の条件下における長時間の安定性が予測されることが一般常識となっている。しかしながら、本発明者らは、ニッケルフィラーを用いたPTC素子の場合、このような高温・多湿条件下における加速試験に合格するとしても、電気装置における使用期間が増加するにつれて抵抗値が増加するという長期の経時変化の問題があり、従って、そのような高温・多湿条件下における加速試験ではその抵抗値の長期安定性を予測できないことを発見した。即ち、本発明者らは、導電性フィラーとしてニッケルフィラーを用いる場合、PTC素子の抵抗値特性が経時劣化するので、ニッケルフィラーの使用はPTC素子にはそれほど好ましくなく、そのような経時変化に関する性能を向上させる必要があることを見出した。
そこで、本発明者らは、これまでに使用されたことがない導電性フィラーを用いてポリマーPTC要素を構成し、それを含んで成るPTC素子を提供することによって、PTC素子の性能を改良しながら上述の経時変化を抑制すると共に、可能な範囲でPTC特性を向上させた(例えば、PTC素子の室温での抵抗値が小さい、抵抗値の立ち上がりが急峻である、および/または大きな抵抗値の変化が得られる)PTC素子を提供することが必要であるとの考えに到った。
本発明者らは、種々の検討を更に重ねた結果、一般に行われている高温・多湿条件(代表的には85℃、相対湿度85%以上の条件)下の寿命試験ではなく、高温・乾燥条件(85℃、相対湿度10%以下の条件)下において加速試験を行うことによって、PTC素子の実用上の長期安定性を予測することが出来ることを見出すと共に、PTC要素が「特定の導電性フィラー」を含むことによって、発明者らが必要とされているとの考えに到ったPTC素子を提供できることを見出して、本発明を完成するに至った。ここで、「特定の導電性フィラー」とは、ニッケル合金のフィラーであって、後述する実施例において説明する高温・乾燥条件下での経時変化試験において、特定の範囲の電気抵抗上昇率(トリップ前)および特定の範囲の電気抵抗上昇率(トリップ後)をもたらすことができるフィラーを意味する。本明細書では、このようなフィラーを「高温・乾燥条件下における耐酸化性を有するNi合金フィラー」とも呼ぶ。
本発明は、第1の要旨において、新たなPTC素子を提供し、それは、
(A)(a1)導電性フィラー、及び
(a2)ポリマー材料
を含んで成るポリマーPTC要素、ならびに
(B)ポリマーPTC要素の少なくとも1つの表面に配置された金属電極
を有して成るPTC素子であって、
導電性フィラーは、高温・乾燥条件下における耐酸化性を有するNi合金フィラーであり、ポリマー材料は熱可塑性の結晶性ポリマーであることを特徴とする。本発明のPTC素子は、上述のスイッチング機能を有する。
従来から知られていたニッケル金属フィラーを用いたPTC素子は、従来の安定性試験の常識である高温・多湿条件下においては許容できる機能を示すものの、実際に長期間使用されると、抵抗値の大幅な上昇が見られ、場合によってはとうてい実用に耐え得ないという致命的欠陥を有するものであることが分かった。本発明者らは、この原因について鋭意検討した結果、長期の実用における抵抗値の安定性を推測する最適な試験方法として従来行われていた高温・多湿条件下での加速試験の代わりに、高温・乾燥条件下での加速試験によってPTC素子の長期の実用時の抵抗値の安定性を予見できることを見出した。
ニッケル金属フィラーを用いたPTC素子が有する致命的欠陥を解決する方法として、PTC素子において導電性フィラーとして本明細書にて説明する特定の導電性フィラーとしてニッケル合金フィラー、例えばニッケル−コバルト合金フィラーを用いることによって、ポリマーPTC素子の本来の性能を維持しながらも、実用面での問題である経時劣化による性能低下、特に高温・乾燥条件下における素子の抵抗値の経時的上昇を抑制できる。
PTC素子の温度−抵抗特性を説明するための模式図である。 実施例1ならびに比較例1および2として製造した素子のPTC特性を確認するグラフである。 実施例1ならびに比較例1および2として製造したPTC素子を高温・乾燥条件下で保存した場合の素子の抵抗値の変化を示すグラフである。 実施例1ならびに比較例1および2として製造したPTC素子を室温・通常湿度条件下で保存した場合の素子の抵抗値の変化を示すグラフである。 実施例2および比較例3として製造したPTC素子を高温・乾燥条件下で保存した場合の素子の抵抗値の変化を示すグラフである。尚、測定において、600時間経過時、12Vdc/30秒間、素子を電圧印加してトリップさせ、その後、再度85℃・乾燥条件下にて保存し、抵抗値を測定した。 実施例2および比較例3として製造したPTC素子を高温・高湿度条件下で保存した場合の素子の抵抗値の変化を示すグラフである。尚、測定において、600時間経過時、12Vdc/30秒間、素子を電圧印加してトリップさせ、その後、再度85℃・高湿度条件下にて保存し、抵抗値を測定した。
発明を実施するための形態
本発明に係るPTC素子が、優れた効果を奏する理由について完全に理由付けて説明することはできないが、現在までに本発明者らが見出した多くの事実に基づき、1つの可能性として次のような理由を考えることができる。
導電性フィラーとしてニッケル金属フィラーを使用したPTC素子は、高温・乾燥条件下で保存すると、本発明のニッケル合金フィラーを用いたPTC素子と比較して、抵抗がきわめて顕著に増加することを本発明者らが見いだした。
ニッケル金属フィラーを使用する場合、時間が経過するにつれて、空気中の酸素および湿気のために金属ニッケルの酸化が進行し、その結果、ニッケル金属フィラーの表面に、酸化物として例えば水酸化ニッケル(Ni(OH))が生成すると考えられる。この水酸化ニッケルの電気抵抗は大きいので、ニッケル金属フィラーの表面にこの水酸化ニッケルが層状に厚く形成されるか、又はニッケル金属フィラー表面上にこの水酸化ニッケルが広範囲に形成されると、ニッケル金属フィラーの導電性が低下することになると考えられる。
ところで、「他の金属(または「第2金属」と呼ぶ)」として、ニッケル(「第1金属」に相当)より卑な金属(即ち、ニッケルより標準電極電位が小さい金属)がニッケルと一緒にフィラーに存在する場合、そのような「他の金属」はニッケルよりも酸化され易いので、フィラーに含まれるニッケルよりも「他の金属」が優先的に酸化されると考えられる。このように「他の金属」が酸化されることによって生成する酸化物が、ニッケルが酸化されることによって生成する酸化物と比較して、より導電性である場合には、ニッケルが酸化されることによってもたらされるほどにフィラーの導電性は低下しないことになる。
ニッケルより卑である「他の金属」の一例としてコバルトを例示できるが、コバルトは、酸化されて例えば水酸化コバルト(Co(OH))、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)等を酸化物として生成する。水酸化コバルトおよびオキシ酸化コバルトは、水酸化ニッケルに比べて導電性であり、蓄電池において導電剤として使用されるほどである。特に、オキシ酸化コバルトは大きい導電性を有する(抵抗値:10−7〜10−1Ω−1・cm−1)。
従って、ニッケルより卑であって、かつ、(ニッケルと「他の金属」とを同じ環境にさらした場合に)生成する酸化物がニッケルから生成する酸化物より導電性である「他の金属」がニッケルと共存する場合、そのような「他の金属」の存在は、ニッケルの酸化によるフィラーの導電性の低下を補償することができる。そのような「他の金属」の酸化物がフィラーを構成する要素(例えば粒子)の表面上に、および/又はフィラーを構成する要素の内部に生成しても、フィラーによる導電性ネットワークが実質的に維持され、その結果、本発明に係るニッケル合金フィラーを含むPTC素子は、経時変化によって素子の劣化として現れる抵抗の著しい増加を示さないと考えられる。
尚、ニッケル合金フィラーにおいて、「他の金属」がフィラーを構成する要素の内部にも存在する場合、ポリマーPTC要素を製造する過程、例えば、混練、押出し、熱処理、放射線照射等の工程において、フィラーに加えられる様々なストレスによって、フィラーを構成する要素が機械的に粉砕、破壊等されたとしても、上述したような「他の金属」が要素の内部にも存在するので、「他の金属」によって、得られるポリマーPTC素子に安定した電導性を付与することができると考えられる。
他方、同じニッケル金属フィラーであっても、高温・多湿条件下では十分な長期安定性を示すのに対して、高温・乾燥条件下では急激に抵抗値の増大を示す1つの可能な理由としては、恐らくニッケルの酸化反応および酸化生成物の種類が高温・多湿条件下と高温・乾燥条件下では異なるためであると推測される。その結果として、高温・乾燥下では、より高抵抗を示すニッケル酸化物がより多く生成し、急激な抵抗値の上昇を示すのに対して、高温・多湿条件下ではそのような高抵抗ニッケル酸化物の生成がより少量であるため、急激な抵抗値上昇は見られないと考えられる。
尚、本発明に係るPTC素子が、優れた効果を奏する理由として上述の説明が可能であるが、これは、本発明者らが推定した可能な理由の一例であって、このような理由とは異なる理由であっても、本発明のニッケル合金フィラーを用いることによって本明細書にて説明するようなPTC素子の性能の向上を説明できる理由も有り得ると思われる。従って、優れた効果を奏する理由の適否は、特許請求の範囲によって規定される特許発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
上述のように、本発明において特定の導電性フィラーとは、上述および後述のようにニッケルと他の金属から本質的に成る合金(従って、不可避的に含まれ得る他の成分が不純物として存在してもよい)、即ち、ニッケル合金のフィラーであって、後述する実施例において説明する高温・乾燥条件下での経時変化試験において、特定の範囲の電気抵抗上昇率(トリップ前)および特定範囲の電気抵抗上昇率(トリップ後)をもたらすものであり、特に好ましいNi合金フィラーは、ニッケルとニッケルより卑である少なくとも1種の「他の金属」との合金のフィラーである。
そのような「他の金属」としては、例えばアルミニウム、マンガン、クロム、コバルト等を例示できる。このような「他の金属」の少なくとも1種とニッケルの合金のフィラーをNi合金フィラーとして使用する。好ましい「他の金属」または「第2金属」は、例えばコバルト、マンガン、クロムであり、Ni−Co合金フィラーが特に好ましい。このようなNi合金フィラーは、それを構成する要素の全体が上述のNi合金で構成されていてもよく、別の態様では、Ni合金フィラーを構成する要素は、Ni合金とは異なる材料(例えばニッケル)でできたコアおよびその周囲のNi合金(例えばニッケル合金層)から形成されていてもよい。従って、本発明において、導電性フィラーを構成する要素、例えば粒の少なくとも表面は、ニッケル合金を有する。
尚、上述および後述の本発明に関する説明から明らかなように、本発明は、その最も広い概念において、PTC素子のポリマーPTC要素の導電性フィラーとして、ニッケルおよび上述の他の金属(例えばコバルト)を含むフィラー(例えば粉末フィラー)を使用することを含む。そのようなフィラーは、「他の金属含有ニッケルフィラー」(例えば、「コバルト含有ニッケルフィラー」または「コバルト含有ニッケル粉末)」)と呼ぶことができる。即ち、本発明において、後述するように共析法によって得られるニッケル合金粉末を用いることが好ましいが、本発明の最も広い概念では、導電性フィラーとして用いる粉末は、そのような方法によって得られる粉末である必要は必ずしもなく、ニッケルがコバルトのような他の金属を含んでいる状態であれば、程度の相対的な違いがあるとしても、本発明がもたらす効果を期待できる。例えば、ニッケルの粒子の表面および/または中に非常に微細な他の金属の粒子が分散状態で存在してもよい。即ち、粉末を構成する要素(例えば粒)は、相対的に大きいニッケルの粒子が相対的に小さい他の金属の粒子を含む形態であってもよい。
上述のニッケル合金フィラーの形態は、本発明が目的とする効果を奏する限り、特に制限されるものではなく、例えば粉末状、粒状およびフレーク状形態のいずれか、あるいはこれらのいずれかの組み合わせの形態であってもよい。より具体的には、フィラーを構成する要素が、例えば、球状、円柱状、円板状、針状、鱗片状等を例示することができる。このような種々の形態を総称して「粒子」なる用語を用いる。更に、粒子の表面が突起および/または窪みを有してよく、従って、粒子は表面に凹凸等を有していてもよい。このようなフィラーは、PTC要素においてはそのような粒子(即ち、一次粒子)が二次凝集した形態(例えばブドウ房状、デンドライト(樹枝状)、球状、フィラメント状)となっているのが好ましく、PTC要素を製造するに際して、ポリマーに加える時点で二次凝集状態(例えば後述するレーザー粒度分布による二次粒子平均粒径が約20μm程度)であるのが好ましい。
フィラーを構成する「粒子」の寸法についても、上述の特定の導電性フィラーをもたらす限り、特に限定されるものではないが、フィラーの平均粒子寸法は好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μm、例えば約20μm程度である。尚、ここで引用する平均粒子寸法とは、レーザー回折散乱法を測定原理とする測定方法によって測定される粒子寸法分布の平均粒子寸法、いわゆる平均粒径であり、JIS R−1629に準拠して測定される寸法を意味する。具体的には、後述の実施例にて説明するレーザー回折散乱法粒子径分布測定装置によって測定される寸法を意味する。
従って、上述の本発明のPTC素子の1つの好ましい態様において、Ni合金フィラー、例えばNi−Co合金フィラーは、粒状形態であり、その平均粒子寸法は5〜50μmである。
Ni合金フィラーにおける「他の金属」の割合は、上述の特定の導電性フィラーをもたらすものであれば特に限定されるものではないが、フィラー全体の重量基準で好ましくは2〜20重量%(または質量%)、より好ましくは3〜18重量%(または質量%)、特に好ましくは3〜11重量%(または質量%)、例えば4〜6重量%(または質量%)である。「他の金属」の割合が2重量%より小さい場合、「他の金属」が存在する効果が十分ではない可能性があり、逆に、「他の金属」の割合が20重量%より大きい場合、「他の金属」が存在する効果がそれほど顕著ではなく、コスト的にも有利ではないことがある。
従って、上述の本発明のPTC素子の1つの好ましい態様において、Ni合金フィラーは、「他の金属」、例えばコバルトを2〜20重量%、好ましくは3〜18重量%、より好ましくは3〜15重量%、例えば4〜6重量%および8〜12重量%、特に5重量%および10重量%含んで成る。
Ni合金フィラーは、上述の特定の導電性フィラーをもたらす限り、いずれの適当な既知の方法で製造されるものであってもよい。1つの態様では、ニッケルイオンおよび「他の金属」のイオンが共存する水溶液を準備し、これらのイオンを還元することによって金属を同時に析出させ、析出物を濾別して乾燥し、その後、必要に応じて焼成してフィラーを得ることができる。コアの周囲にNi合金が存在するNi合金フィラーの場合、コアを構成する金属粒子(例えばニッケル金属粒子)の周囲に、ニッケルおよび「他の金属」を化学的(または電気化学的に)析出させることにより、メッキすることにより、あるいは蒸着させることによって製造することができる。一例では、ニッケルイオンおよび「他の金属」のイオンが共存する水溶液中に、コアとしての粉末(例えばニッケル粉末)を分散させた状態で、これらのイオンを還元してコアの周囲にニッケルおよび「他の金属」を析出させ、その後、先と同様に濾別、乾燥および場合によって行う焼成によってフィラーを得ることができる。
より具体的には、例えば、他の金属、例えばコバルトの水酸化物とニッケルの水酸化物とを含む水溶液に還元剤を加えてコバルトとニッケルを含む粒子を共沈させる方法、あるいは最初にニッケル粒子を析出させて、その後、析出した粒子の表面にコバルトおよびニッケルを共沈させる方法等を例示することができる。前者の方法では、Ni合金フィラーを、ニッケルおよび他の金属、例えばコバルトを同時に析出させることによって得るので、この場合、粒子全体にわたって他の金属(例えばコバルト)がほぼ均一に存在する。後者の方法では、ニッケル粒子の周囲にニッケルおよび他の金属(例えばコバルト)がほぼ均一に存在する。
尚、最初にニッケルを析出させ、次に、ニッケルおよび他の金属(例えばコバルト)を、析出したニッケルの周囲に同時に析出させることによって粒子状のニッケル合金フィラーを得る場合、最初に析出するニッケルの粒子が緻密ではないので、最終的に得られる粒子の全体にわたって他の金属(例えばコバルト)が存在する。このような粒子では、その表面に近いほど他の金属(例えばコバルト)の存在割合が増加する、一種の傾斜合金のような粒子となる。いずれの場合であっても、最終的に得られる粒子の表面部分またはその付近においてコバルトを3〜40重量%(または質量%)、好ましくは8〜30重量%(または質量%)(または質量%)、より好ましくは8〜12重量%(または質量%)および18〜25重量%(または質量%)、例えば9〜12重量%(または質量%)および18〜23%重量%(または質量%)、特に10重量%(または質量%)および20重量%(または質量%)含むのが好ましい。
フィラーを製造する際の製造条件は、目的とする他の金属を含むニッケル合金フィラーに応じて適宜選択することができる。上述のように合金の粒子を析出させる場合、必要に応じて、析出した粒子を加熱して焼結してもよい。
析出に際しては、還元すべき金属イオンに対を還元するのに十分な量(従って、化学量論量より過剰な量)の還元剤を用いることによって、溶解して存在する金属イオンを実質的に全量還元できる。従って、十分量の還元剤を使用する場合、溶解している金属イオンの割合がニッケル合金におけるニッケルと他の金属との割合に対応する。
尚、本願に係る優先権主張日より後に公開された米国特許出願公開2005−072270号およびWO2005/023461には、他の金属としてのコバルトを含むニッケル粒子から成る粉末およびその製造方法が開示されており、本発明のPTC素子においても、そのような粉末を使用できる。本明細書においてこれらの特許文献を参照することによって、これらの特許文献の開示は本明細書に組み込まれ、その開示内容の一部を構成する。
上述のようにニッケルおよび他の金属(例えばコバルト)を共沈させることによってNi合金フィラーを得る方法以外の別のフィラーの製造方法としては、ニッケル粉末および他の金属の粉末を溶融して混合し、これを冷却し、その後、粉砕することによって微細な粒状とすることによってNi合金フィラーを製造できる。この製造方法は、酸素を遮断した条件下で実施するのが好ましい。
本発明のポリマーPTC素子において使用するポリマー材料は、先に説明したPTC特性をもたらす、常套のポリマーPTC素子に使用されている既知のポリマー材料であってよい。そのようなポリマー材料は、熱可塑性の結晶性ポリマーであり、例えば、ポリエチレン、エチレン共重合体、フッ素含有ポリマー、ポリアミドおよびポリエステルを例示でき、これらを単独で、または組み合わせて使用してよい。
より具体的には、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を使用でき;エチレン共重合体としては、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−ポリオキシメチレン共重合体等を使用でき;フッ素含有ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン、2フッ化エチレン−4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体等を使用でき;ポリアミドとしては、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等を使用でき;また、ポリエステルとしてはポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を使用できる。
本発明のポリマーPTC素子のポリマーPTC要素において、ポリマー材料と導電性フィラーとの割合は、上述の特定の導電性フィラーをもたらす限り、いずれの適当な割合であってもよい。例えば、重量基準で導電性フィラーが65〜85重量%、好ましくは70〜80重量%である。
本発明のポリマーPTC素子のポリマーPTC要素は、いずれの常套の方法で製造してもよい。例えば、ポリマー材料と導電性フィラーを混練して得られる、PTC組成物としての混合物を押出成形してプレートまたはシート状のPTC要素を得ることができる。
本発明において、「ポリマーPTC要素」とは、上述の「導電性フィラー」と「ポリマー材料」を含んで成る賦形されたものを意味し、一般的に層状の形状を有する。
「ポリマーPTC要素」は、ポリマーPTC要素の製造方法として一般的に既知のいずれかの方法を用いて、上述の「導電性フィラー」と「ポリマー材料」から製造することができる。そのような製造方法として、例えば、押出成形法、型成形法、射出成形等を例示することができる。
本発明のポリマーPTC素子に用いる金属電極は、常套のポリマーPTC素子に使用されているいずれの既知の金属材料で構成されていてもよい。金属電極は、例えばプレートまたは箔の形態であってよい。本発明が目的とするPTC素子を得ることができる限り、金属電極は特に制限されるものではない。具体的には粗面化金属プレート、粗面化金属箔等を例示できる。粗面化されている金属電極を使用する場合、粗面化面がPTC要素に接触する。例えば市販の電着銅箔、ニッケルメッキ電着銅箔を使用することができる。
このような「金属電極」は、PTC要素の主表面の少なくとも1つに配置され、好ましくはPTC要素の対向する2つの主表面に配置される。金属電極の配置は、PTC素子の常套の製造方法と同様に実施してよい。例えば、押出成形により得られたプレート状またはシート状のPTC要素に金属電極を熱圧着することによって配置してよい。別の態様では、ポリマー材料と導電性フィラーの混合物金属電極上に押出成形してよい。その後、必要に応じて切断することによってより小さい形態のPTC素子としてもよい。
上述の第1の要旨に加えて、本発明は、上述および後述の本発明のPTC素子が組み込まれた電気・電子機器のような電気装置を提供する。ここで「電気装置」とは、一般にPTC素子が組み込まれるものであれば、特に制限されるものではなく、そのような電気装置として、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、テジタルカメラ、DVD装置、ゲーム機、種々のディスプレイ装置、オーディオ機器、自動車用電気・電子機器等の電気機器、ならびにこれらの電気機器に搭載される電気回路および電池類、コンデンサー、半導体保護部品等の電気部品を例示することができる。
更に、本発明は、上述および後述の本発明のPTC素子に使用する特定の導電性フィラーとしてのニッケル合金フィラー、特にニッケル−コバルト合金フィラーを提供し、また、そのようなニッケル合金フィラーを使用することによって、PTC素子の特性、特に高温・乾燥条件下の経時変化、特に素子の抵抗値の増加を抑制する方法を提供する。加えて、本発明は、上述および後述の本発明のPTC素子のPTC要素の製造に使用する、ポリマー材料、および導電性フィラーとしてのニッケル合金フィラーを含んで成る導電性ポリマー組成物を提供し、また、そのような導電性ポリマー組成物から、例えば押出成形法によって、得られるPTC要素を提供する。
上述のいずれの本発明においても、PTC素子が、特定の導電性フィラーとして、上述のニッケル合金フィラーを含むことを除いて、使用するポリマー材料及び金属電極、PTC要素の製造方法、PTC素子の製造方法、PTC素子を有する電気装置に関する種々の特徴は、基本的には従来から既知のポリマーPTC素子の場合と同じであってよい。
本発明のPTC素子において、PTC要素は、別の導電性フィラー、例えばカーボンブラック等の従来の導電性フィラーを適宜追加的に含んでもよい。
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、この実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこの実施例によって何ら制限されるものではない。
以下に説明するように、導電性フィラーとしてニッケル−コバルト合金フィラーを、ポリマー材料としてポリエチレンを、また、金属電極としてニッケル金属箔を用いてPTC素子を製造した。
(1)導電性フィラーの製造
酒石酸を含む水酸化ナトリウム水溶液(1125ml)を撹拌しながら85℃に加熱し、そこに金属Ni換算19.5gの塩化ニッケル水溶液を加え、その後、十分量の還元剤としてヒドラジン(89.1g)を加えてNi金属粉を還元析出させた。
次に、金属コバルトとして3.9gを含む塩化コバルト水溶液および金属ニッケルとして15.6gを含む塩化ニッケル水溶液を調製した。これらの溶液を混合し、先に得たNi金属粉を含む水溶液に添加し、先に析出したNi粉の周囲にニッケルおよびコバルトを、十分量の還元剤を用いて更に還元析出させてNi−Co合金粉末を含む溶液を得た。
得た溶液を濾過して粉末を濾別して水洗し、その後、80℃にて空気中で乾燥して導電性フィラーを得た。上記工程を数回繰り返すことにより、本実施例に使用した導電性フィラー(「実施例フィラー」と呼ぶ)としての粉末を得た。尚、このようにして得られる粉末の粒子は、全体を基準としてコバルトを10重量%含み、粒子の表面部分はコバルトを20重量%含む。また、比較例として導電性フィラーとしてニッケルフィラー(商品名:Inco255、INCO社製、「比較例フィラー」と呼ぶ)を用いた以外は同様にしてポリマーPTC要素を製造した。
使用したフィラーの物性を以下の表1に示す:
Figure 2005122190
バルク密度は、JIS R−1628に準拠することによって測定した。
タップ密度は、25mlのメスシリンダーと株式会社蔵持科学機器製作所の振とう比重測定器KRS-409を用いてタップ高さ:20mm、タッピング回数:500回で測定することによって測定した。
粒子寸法は、日機装株式会社製の粒子径分布測定装置マイクロトラックHRAを用いてJIS R−1629に準拠することによって測定した平均粒子寸法(D50)である。
(2)ポリマー材料
市販の高密度ポリエチレン(密度:0.957〜0.964g/ml、メルトインデックス:0.23〜0.30g/10分、融点:135±3℃)を使用した。
(3)金属電極
ニッケル金属箔(福田金属箔粉工業製、電解ニッケル箔、厚さ:約25μm)を使用した。
(4)PTC素子の製造
(4−1)
粉末状のポリマー材料と導電性フィラーを、下記の表2に示す所定割合にて秤量し、それらをキッチンブレンダー(サン株式会社製、MILL MIXER MODEL FM−50)にて30秒間混合してブレンド混合物を得た。
Figure 2005122190
(4−2)PTC組成物の調製
その後、ミル(東洋精機製作所 ラボプラストミル型式50C150、ブレードR60B)に(4−1)にてブレンドされた混合物を45ml投入し、設定温度160℃およびブレード回転数:60RPMにて15分間混練してPTC組成物を得た。
(4−3)PTC要素の製造
(4−2)にて得られたPTC組成物を、鉄板/テフロンシート/厚み調整スペーサー(厚さ0.5mmのSUS製)+PTC組成物/テフロンシート/鉄板というサンドイッチ構造にしてこれらを重ね、熱圧力プレス機(東邦プレス製作所製、油圧成形機:型式T−1)にて180〜200℃、0.52MPaの圧力で3分間予備プレスした後、5.2MPaにて4分間本プレスを行った。その後、チラーにて設定温度22℃の水を循環させた冷却プレス機(東邦プレス製作所製、油圧成形機:型式T−1)を使用して5.2MPaにて4分間プレスを行い、シート状のポリマーPTC要素(PTC要素原板)を作製した。
(4−4)
次に、(4−3)にて作製したPTC要素原板と金属電極を使い、鉄板/テフロンシート/シリコンラバー/テフロンシート/金属電極/厚み調整スペーサー(厚さ0.5mmのSUS製)+PTC要素原板/金属電極/テフロンシート/シリコンラバー/テフロンシート/鉄板というサンドイッチ構造にしてこれらを重ね、上記熱圧力プレス機にて170〜210℃、プレス機付属の圧力ゲージ50kg/cm2で、5分間本プレスした。その後、チラーにて設定温度22℃の水を循環させた上記冷却プレス機を使用して50kg/cm2にて4分間プレスを行い、ポリマーPTC要素(PTC要素原板)の両側の主表面に金属電極を熱圧着したポリマーPTC素子プラック原板(切断前のPCT素子の集合体)を作製した。
(4−5)
(4−4)にて作製したポリマーPTC素子プラック原板に対して、500kGyのγ線を照射し、その後、1/4インチ直径円に手動パンチ器により打抜いてポリマーPTC素子の試験片を得た。
(4−6)PTC素子の製造
(4−5)にて打ち抜いた1/4インチ直径の円盤状試験片の両面に、厚さ0.125mm、硬度1/4H、3mm×15.5mmの純Niリード片をハンダ付けして、全体としてストラップ形状のPTC素子を試験サンプルとして得た。ハンダ付けには、ペースト半田(千住金属工業株式会社製、M705−444C)を片面に対して約2.0mg使用し、窒素雰囲気下でリフロー炉(日本アビオニクス社製、型式TCW−118N、補助ヒーター温調360℃、プリヒート温調250℃、リフロー温調(1)240℃、リフロー温調(2)370℃、ベルトスピード370mm/分)を用いた。その後、恒温オーブン(株式会社カトー製、型式SSP−47ML−A)により1サイクルが80℃〜−40℃、昇温速度2℃/分、各温度にて1時間保持の条件で6サイクルを行い、試験サンプルのPTC素子の抵抗値を安定化した。
(5)初期抵抗値の測定
得られた試験サンプルについて、抵抗値を測定した。この抵抗値は、PTC素子の初期抵抗値である。尚、初期抵抗値および後述するように種々の条件下におけるPTC素子の抵抗値の測定には、ミリオームメーター(HEWLETT PACKARD社製、4263A)を用いた。結果を、表3に示す。
Figure 2005122190
この結果から、本発明のPTC素子(実施例1)は、導電性フィラーの量が少ないにもかかわらず、ニッケルフィラーが85重量%の場合(比較例1)と同等の抵抗値を有する。従って、本発明のニッケル合金フィラーを用いると、より少ないフィラー添加量にて低抵抗値を得ることができる。
(6)PTC特性の確認
次に、実施例1および比較例1および2の試験サンプル5個について、抵抗−温度特性を測定した。試験温度範囲は20℃〜150℃までとし、試験サンプルの周囲湿度は、60%以下であった。試験サンプルの周囲温度を10℃ずつ上昇させ、その温度雰囲気で10分間保持した後、PTC素子抵抗値を測定した。各温度にて測定される抵抗値の初期温度(21℃)における抵抗値に対する比(即ち、抵抗変化の割合)を、図2および表4に示す。
Figure 2005122190
「測定不可」は、高抵抗のため測定できなかったことを意味する。
この結果から、実施例1および比較例1の素子については約110℃〜130℃の範囲に閾温度を有し、いずれの素子についても、そのような範囲の後の抵抗値は、前の抵抗値の約10以上となっており、比較例2の素子については約90℃〜110℃の範囲に閾温度を有し、そのような範囲の後の抵抗値は、前の抵抗値の約10以上となっている。従って、いずれのサンプルもスイッチング機能を有することが明らかである。
(7)高温・乾燥条件下での抵抗値の経時変化の測定
試験サンプル各30個を85℃±3℃、相対湿度10%以下の高温・乾燥条件下に管理された恒温オーブン(ヤマト製 恒温オーブンDK600)に入れ、280時間、490時間および1060時間経過後に、各サンプルを10個ずつ恒温オーブンより取り出して室温にて1時間放置後、ミリオームメーターにて抵抗値を測定した。抵抗値測定後、直流安定化電源(菊水電子工業製、PAD35−60L)を使用し、12V/50Aの設定にて30秒間の電圧印加を行い、素子をトリップさせた。その後、同じく室温にて1時間放置した後、ミリオームメーターにて素子の抵抗値を測定した。測定結果を以下の表5および図3に示す。尚、表5では、0時間における抵抗値に対する各時間経過後の抵抗値の割合、即ち、電気抵抗上昇率で示している。
Figure 2005122190
実施例1と比較例とを比べると、比較例の素子の電気抵抗上昇率(トリップ前)は経時と共に相当増加する傾向にあるが、実施例の素子は、それらに比べて遙かに低い変化率であることがわかる。また、各時間経過後にトリップさせた場合においても、比較例では、時間と共にトリップ後の電気抵抗上昇率も増加する傾向にあるが、実施例の素子では電気抵抗上昇率(トリップ後)の増加の割合が比較例に比べて相当小さく、良好な値となっている。
尚、先に言及した本発明の導電性フィラーがもたらす「特定の範囲の電気抵抗上昇率(トリップ前)および特定範囲の電気抵抗上昇率(トリップ後)」とは、この試験結果に基づいて、電気抵抗上昇率(トリップ前)としての1000時間後における素子の電気抵抗値の上昇率(=1000時間経過後の抵抗値/試験前(0時間)の初期抵抗値)が1.8倍以下、好ましくは1.5倍以下である(本実施例では約1.2倍以下である)こと、および電気抵抗上昇率(トリップ後)としての1000時間後におけるトリップ後の素子の電気抵抗値の上昇率(=1000時間経過後にトリップさせた後の抵抗値/試験前(0時間)の初期抵抗値)が3.0倍以下、好ましくは2.0倍以下である(本実施例では約1.8倍以下である)ことを意味する。即ち、本発明のポリマーPTC素子に用いる導電性フィラーは、1.8倍以下、好ましくは1.5倍以下の1000時間後における素子の電気抵抗値の上昇率(トリップ前)、および3.0倍以下、好ましくは2.0倍以下の1000時間後におけるトリップ後の素子の電気抵抗値の上昇率(トリップ後)をもたらす。
上述のような高温・乾燥条件下条件下での抵抗値の経時変化の測定における、1.8倍以下、好ましくは1000時間後における1.5倍以下の電気抵抗上昇率(トリップ前)、および3.0倍以下、好ましくは2.0倍以下の電気抵抗上昇率(トリップ後)が、それぞれ本発明のPTC素子における特定の範囲の電気抵抗上昇率(トリップ前)および特定範囲の電気抵抗上昇率(トリップ後)である。
(8)室温・通常湿度条件下での抵抗値の経時変化の測定
試験サンプル各30個を、23±5℃、相対湿度20〜60%(湿度を制御しない場合の一般的な湿度に相当)に管理された室温内にて保存されたPTC素子に対して上記(7)と同様の試験を実施した。但し、使用したサンプル数は各20個であり、280時間、490時間そして1060時間後に各5個ずつ抜き取って抵抗値を測定した。また、トリップ後の抵抗値も同様に測定した。測定結果を以下の表6および図4に示す。尚、表6は、表5と同様に、0時間における抵抗値に対する各時間経過後の抵抗値の割合で示している。
Figure 2005122190
電気抵抗上昇率(トリップ前)については、いずれの素子の場合も抵抗上昇率に大きな差は認められない。しかし、電気抵抗上昇率(トリップ後)については、明らかな差異が認められる。特に、比較例2の素子では、実施例1の素子よりも抵抗上昇率は相当大きく、経時によって上昇率自体も大きくなっていることが分かる。他方、実施例1の素子では、上昇率の経時的な変化はほとんど認められない。
尚、上記試験と同様の試験を別途実施し、同様の環境下で約3700時間保存した後に、各素子5つのトリップ前抵抗値を測定し、その後、同様にトリップさせた後のトリップ後抵抗値を測定し、保存時間0時間の抵抗値に対する割合を求めた。その結果を表7に示す。この結果は、先の表6の結果と同様の傾向を示している。
Figure 2005122190
(9)高温・乾燥条件および高温・高湿度条件での抵抗値の経時変化の測定
85℃±3℃/相対湿度10%以下に管理された恒温オーブンにてPTC素子を保存し、また、85±3℃/相対湿度85%にて管理された恒温・恒湿度オーブン(ヤマト科学株式会社 Humidic Chamber IG43M)にてPTC素子を保存した。
尚、ここで試験した本発明の素子(実施例2の素子と呼ぶ)は、上記実施例1の素子において、導電性フィラーを75.4wt%含み、比較例3の素子は、上記比較例1の素子において、導電性フィラーを80.5重量%含んでいた点で異なる。また、リードとしては、22AWGのスズメッキ銅リードを使用し、これを素子の両側に配置してフラックス(千住金属工業株式会社製、スパークルフラックス ESR−250)内に3秒間浸漬し、その後、220℃に保温された6(スズ):4(鉛)共晶半田槽内に10秒間浸漬させて半田付けを行った。作製したサンプルを、恒温オーブン(株式会社カトー製、型式SSP−47ML−A)を用いて先と同様に抵抗値安定化を行った。
得られたサンプルに対して、抵抗値の経時変化に関する試験を実施した。各試験において実施例2サンプル及び比較例3サンプルとも各5個を使用し、21時間後、188時間後、356時間後および600時間後において抵抗値を測定した。いずれの抵抗値もオーブンから取り出して室温にて1時間放置後、ミリオームメーターにて保存試験後抵抗値を測定した。
600時間についての抵抗値測定後、直流安定化電源を使用し、12V/50Aの設定にて30秒間の電圧印加を行い、先と同様に素子をトリップさせた。その後、同じく室温にて1時間放置し同上ミリオームメーターにて抵抗値を測定した。
その後、再度、試験サンプルをオーブンに戻して、その1041時間後(累計1641時間)にオーブンより取り出して、同じく室温に1時間放置後、最終抵抗値を測定した。以下の表8および表9ならびに図5および図6に結果を示す。尚、図面では、トリップの影響の結果、600時間の前後でグラフが不連続になっている。
Figure 2005122190
Figure 2005122190
この結果から、85℃/相対湿度85%の高温・高湿条件下の保存においては、実施例2と比較例3との間で抵抗値変化挙動に大きな差異は見られないが、高温・乾燥条件下の保存試験においては大きな違いが見られる。特に、保存試験途中において素子をトリップ動作させることにより、抵抗値変化が促進されることがわかる。即ち、ニッケルフィラーまたはニッケル合金フィラーのような金属フィラーを使用したポリマーPTC素子の品質の良否判断の手段の一つとして上述のような高温・乾燥条件下の保存試験が有効であることが分かる。
(10)トリップ・サイクル試験
実施例2の素子のサンプル4個について、室温にてミリオームメーターを使用して試験前抵抗値を測定した。その後、これらのサンプルをトリップサイクル試験機にセットした。この試験機では、供給電源として菊水電子製MODEL PAD 35−60Lを使用し、電圧12.0Vdc、試験電流20A制限に設定した。
各サンプルには20Aの電流が6秒間印加され、その印加時間内にサンプルはトリップ動作する。サンプルがトリップすると印加電流は大幅に減少して実質的に遮断され、サンプル両端間にほぼ設定値である12Vdcに近い電圧が印加される。
6秒間の印加時間が終了すると電流・電圧印加は解除され、54秒間の無印加状態となる。この電流・電圧印加のOn/OFFはシーケンサーにて制御されており、これを1サイクルと定義し、各サンプルについてトリップを100サイクル実施した。
尚、所定数のサイクルが終了した後、試験機からサンプルを一旦外して、その所定数のサイクル終了後、1時間経過した後に、サンプルの抵抗値を測定し、その後、サンプルを再び試験機にセットしてトリップサイクル試験を継続した。尚、サイクルの所定数は、1サイクル、10サイクル、50サイクルおよび100サイクルとした。この抵抗値の測定結果を、表10に示す。
表10:トリップサイクル後の抵抗値(単位:Ω)
Figure 2005122190
この結果から、実施例2の素子は、ポリマーPTC素子として必要であると考えられる繰り返しのスイッチング機能を有していること、また、100サイクル終了時点においても非常に低い抵抗値を有していることが分かる。
(11)別の本発明のPTC素子の製造およびその評価
先に説明した「(1)導電性フィラーの製造」と同様にして「別の実施例フィラー」としての導電性フィラーを製造した。
Ni金属粉を、上述の(1)と同様に還元析出させた溶液を得た後、金属コバルトとして1.95gを含む塩化コバルト水溶液および金属ニッケルとして17.55gを含む塩化ニッケル水溶液を、Ni金属粉を含む水溶液に添加し、十分量の還元剤を用いて、先に析出させたNi粉の周囲にニッケルおよびコバルトを還元析出させてNi−Co合金粉末を含む溶液を得た。先の説明と同様に後処理して、「別の実施例フィラー」としてのNi−Co合金粉末を得た。尚、このようにして得られる粉末の粒子は、全体を基準としてコバルトを5重量%含み、粒子の表面部分はコバルトを10重量%含む。
得られたフィラーの物性を以下に示す:
バルク密度: 0.96 g/ml
タップ密度: 1.42 g/ml
粒子寸法(D50): 20.6 μm
この粉末を用いて、上述の実施例1と同様に、本発明のPTC素子を製造し、実施例3のサンプルを得た。得られた実施例3のサンプルについて、上述の実施例1のサンプルについて実施した試験を、同様に実施した。その結果、実施例3のサンプルについて以下のことを確認した:
(a)閾温度は約110℃〜130℃の範囲にあり、トリップ前後における抵抗変化の割合は、10以上であった。尚、抵抗値の測定結果から算出した抵抗変化の割合を以下の表11に示す:
尚、初期抵抗値は、0.003344Ω(標準偏差0.000342)であった。
表11
Figure 2005122190
この結果から、実施例3の素子については約110℃〜130℃の範囲に閾温度を有し、そのような範囲の後の抵抗値は、前の抵抗値の約10以上となっており、スイッチング機能を有することが明らかである。
(b)高温・乾燥条件下での抵抗値の経時変化については、図3に示す結果と実質的に同様の結果を得た。その結果を表12に示す:
表12:電気抵抗上昇率−85℃・乾燥条件下
Figure 2005122190
1000時間後における素子のトリップ前の電気抵抗値の上昇率(=1000時間経過後の抵抗値/試験前(0時間)の初期抵抗値)が約1.2倍であり、トリップ後の電気抵抗値の上昇率(=1000時間経過後の抵抗値/試験前(0時間)の初期抵抗値)が約1.7倍であった。
この結果から、実施例3のPTC素子では、高温・乾燥条件下において、実施例1および実施例2のPTC素子と同様に、抵抗上昇率が小さいこと、また、上記「別の実施例フィラー」を用いてPTC素子を製造すると、本発明のPTC素子の特徴である特定の範囲の電気抵抗上昇率(トリップ前)および特定範囲の電気抵抗上昇率(トリップ後)がもたらされることが分かる。
(c)室温・通常湿度条件下での抵抗値の経時変化についても、図4に示す結果と実質的に同様の結果を得た。その結果を表13に示す:
表13:電気抵抗上昇率−室温・通常湿度条件下
Figure 2005122190
尚、実施例2のサンプルについて実施した場合と同様に、実施例3のサンプルについても高温・高湿度条件下での抵抗値の経時変化を測定したところ、図6に示す結果と実質的に同様の結果を得た。抵抗値は、600時間まで実質的に増加せず、600時間経過後にトリップさせると、若干増加した(約1.24倍に増加した)が、その後、更に1000時間測定を継続したが、抵抗値の更なる実質的な増加は認められなかった。その結果を表14に示す:
表14:高温・高湿度条件下での抵抗値
Figure 2005122190
この結果から、実施例3のPTC素子では、高温・高湿度条件下であっても、実施例1および実施例2のPTC素子と同様に、抵抗上昇率が小さいことが分かる。
本発明のPTC素子は、ニッケルフィラーを導電性フィラーとして用いるPTC素子と同等のスイッチング性能を有し、更に、長期の経時変化に対してはより向上した性能を示すので、従来のPTC素子と同様に電気装置等において幅広く、より長い期間にわたって使用できる。

尚、本願は、日本国特許出願2004−169804(出願日:2004年6月8日、発明の名称:ポリマーPTC素子)に基づくパリ条約に規定される優先権を主張する。この特許出願の開示内容は、これを引用することによって本願明細書に組み込まれる。

Claims (14)

  1. (A)(a1)導電性フィラー、及び
    (a2)ポリマー材料
    を含んで成るポリマーPTC要素、ならびに
    (B)ポリマーPTC要素の少なくとも1つの表面に配置された金属電極
    を有して成るPTC素子であって、
    導電性フィラーは、高温・乾燥条件下における耐酸化性を有するNi合金フィラーであり、ポリマー材料は熱可塑性の結晶性ポリマーであることを特徴とするPTC素子。
  2. Ni合金フィラーは、ニッケルとニッケルより卑である少なくとも1種の金属との合金製である請求項1に記載のPTC素子。
  3. Ni合金フィラーは、アルミニウム、マンガン、クロムおよびコバルトから成る群から選択される少なくとも1種の金属とニッケルとの合金製である請求項1または2に記載のPTC素子。
  4. Ni合金フィラーは、Ni−Co合金製である請求項1〜3のいずれかに記載のPTC素子。
  5. Ni合金フィラーは、フィラー全体の重量基準でコバルトを2〜20重量%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のPTC素子。
  6. Ni合金フィラーは、微粒子状であり、レーザー回折・散乱法を用いるJIS R−1629に基づく5〜50μmの平均粒子寸法を有する請求項1〜5のいずれかに記載のPTC素子。
  7. ポリマー材料は、ポリエチレン、エチレン共重合体、フッ化ビニリデンおよびポリアミドから成る群から選択される請求項1〜6のいずれかに記載のPTC素子。
  8. ポリマーPTC要素は、層状であり、その対向する2つの主表面に金属電極を有する請求項1〜7のいずれかに記載のPTC素子。
  9. 金属電極は、ポリマーPTC要素に接する面が粗面化されている請求項1〜8のいずれかに記載のPTC素子。
  10. Ni合金フィラーは、ニッケルおよび合金を構成するニッケル以外の他の金属との共沈によって調製されるものである請求項1〜9のいずれかに記載のPTC素子。
  11. Ni合金フィラーを構成する要素は、コア、およびその表面に存在し、ニッケルおよび合金を構成するニッケル以外の他の金属から本質的に成る、Ni合金から構成されている請求項1〜10のいずれかに記載のPTC素子。
  12. コアの表面に位置するNi合金は、9〜12重量%のコバルトを含む請求項11に記載のPTC素子。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のPTC素子が組み込まれた電気装置。
  14. PTC素子は、回路保護装置として機能する請求項13に記載の電気装置。
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