JP2002353002A - 有機正特性サーミスタ組成物および有機正特性サーミスタ素子 - Google Patents
有機正特性サーミスタ組成物および有機正特性サーミスタ素子Info
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- JP2002353002A JP2002353002A JP2001155661A JP2001155661A JP2002353002A JP 2002353002 A JP2002353002 A JP 2002353002A JP 2001155661 A JP2001155661 A JP 2001155661A JP 2001155661 A JP2001155661 A JP 2001155661A JP 2002353002 A JP2002353002 A JP 2002353002A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低比抵抗であり酸化および変形による抵抗変
化を抑制した有機正特性サーミスタ素子を提供する。 【解決手段】 有機正特性サーミスタ素子10は、板状
の素体12を含む。素体12は、有機正特性サーミスタ
組成物からなる。有機正特性サーミスタ組成物は、結晶
性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に多数の突部
を有する球状の金属粉末を添加含有させてなる。金属粉
末は、有機系カップリング剤で表面処理されている。素
体12の両主面には、電極14a、14bがそれぞれ形
成される。
化を抑制した有機正特性サーミスタ素子を提供する。 【解決手段】 有機正特性サーミスタ素子10は、板状
の素体12を含む。素体12は、有機正特性サーミスタ
組成物からなる。有機正特性サーミスタ組成物は、結晶
性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に多数の突部
を有する球状の金属粉末を添加含有させてなる。金属粉
末は、有機系カップリング剤で表面処理されている。素
体12の両主面には、電極14a、14bがそれぞれ形
成される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は有機正特性サーミ
スタ組成物および有機正特性サーミスタ素子に関し、特
にたとえば電子回路の過電流保護用のチップ型の有機正
特性サーミスタ素子に用いられる有機正特性サーミスタ
組成物などに関する。
スタ組成物および有機正特性サーミスタ素子に関し、特
にたとえば電子回路の過電流保護用のチップ型の有機正
特性サーミスタ素子に用いられる有機正特性サーミスタ
組成物などに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機正特性サーミスタ素子の素体
となる有機正特性サーミスタ組成物の高分子樹脂材料に
混合する導電性粉末としては、一般にカーボンブラック
が多く用いられてきた。このような有機正特性サーミス
タ組成物を用いた有機正特性サーミスタ素子では、室温
において高分子樹脂材料中に分散したカーボンブラック
が導電パスを形成し、低い抵抗値を示すが、高温になる
と高分子樹脂の融点近傍で急激な結晶融解が起こり、そ
の結果として生じる急激な体積膨張のため、導電パスが
切断され、抵抗値が高くなる。そのため、この有機正特
性サーミスタ素子は、過電流保護用として使用すること
かできる。
となる有機正特性サーミスタ組成物の高分子樹脂材料に
混合する導電性粉末としては、一般にカーボンブラック
が多く用いられてきた。このような有機正特性サーミス
タ組成物を用いた有機正特性サーミスタ素子では、室温
において高分子樹脂材料中に分散したカーボンブラック
が導電パスを形成し、低い抵抗値を示すが、高温になる
と高分子樹脂の融点近傍で急激な結晶融解が起こり、そ
の結果として生じる急激な体積膨張のため、導電パスが
切断され、抵抗値が高くなる。そのため、この有機正特
性サーミスタ素子は、過電流保護用として使用すること
かできる。
【0003】ところが、USBやIEEE1394など
のインターフェイス市場で、過電流保護用として低抵抗
のチップ型の有機正特性サーミスタ素子の需要が急増す
ると予想される中、カーボンブラックより低比抵抗の金
属粉末を使用する動きが高まりつつある。導電性の金属
粉末として代表的なものに銀粉末があるが、高価である
というデメリットがある。比較的安価なニッケル粉末や
銅粉末も考えられるが、耐酸化性が低いため、熱履歴を
受けることにより表面が酸化され、比抵抗が増大すると
いう欠点がある。
のインターフェイス市場で、過電流保護用として低抵抗
のチップ型の有機正特性サーミスタ素子の需要が急増す
ると予想される中、カーボンブラックより低比抵抗の金
属粉末を使用する動きが高まりつつある。導電性の金属
粉末として代表的なものに銀粉末があるが、高価である
というデメリットがある。比較的安価なニッケル粉末や
銅粉末も考えられるが、耐酸化性が低いため、熱履歴を
受けることにより表面が酸化され、比抵抗が増大すると
いう欠点がある。
【0004】そこで、特開平8−88106号公報に開
示されているように、ニッケル粉末を耐酸化性および導
電性を有する金属材料(パラジウム)で被覆するという
方法をとり、比較的低コストで耐酸化性を満足するに至
った。また、特開平10−303003号公報に開示さ
れているように、金属表面をカップリング処理するとい
う方法をとり、より低コストで同等の効果を得ている。
示されているように、ニッケル粉末を耐酸化性および導
電性を有する金属材料(パラジウム)で被覆するという
方法をとり、比較的低コストで耐酸化性を満足するに至
った。また、特開平10−303003号公報に開示さ
れているように、金属表面をカップリング処理するとい
う方法をとり、より低コストで同等の効果を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平8−
88106号公報および特開平10−303003号公
報に開示されているこれらの方法で作製された素子の欠
点として、マトリックス樹脂が溶融したときの保形性の
低さが指摘される。保形性が低いと溶融、固定を繰り返
すうちに変形していき、それが原因で抵抗が増大するこ
とになる。
88106号公報および特開平10−303003号公
報に開示されているこれらの方法で作製された素子の欠
点として、マトリックス樹脂が溶融したときの保形性の
低さが指摘される。保形性が低いと溶融、固定を繰り返
すうちに変形していき、それが原因で抵抗が増大するこ
とになる。
【0006】保形性を高くする手段として、マトリック
ス樹脂である結晶性高分子の架橋度を上げるという方法
がある。ところが、架橋度を上げることで結晶性高分子
の結晶化度が低下し、有機正特性サーミスタ素子のサー
ミスタ特性に悪影響を与えるというデメリットもある。
ス樹脂である結晶性高分子の架橋度を上げるという方法
がある。ところが、架橋度を上げることで結晶性高分子
の結晶化度が低下し、有機正特性サーミスタ素子のサー
ミスタ特性に悪影響を与えるというデメリットもある。
【0007】また、導電成分としてカーボンブラックを
同時に添加するという方法もある。これはマトリックス
樹脂中でストラクチャー(凝集形態)を形成するという
カーボンブラックの特性を生かし、有機正特性サーミス
タ組成物に凝似的な架橋を施すのが目的である。ところ
が、前述のように、カーボンブラックは、金属粉末と比
較して比抵抗が高いため、多量に混合すると、室温比抵
抗の増大を招く。したがって、カーボンブラックの混合
量は必要最小限に限定する必要がある。
同時に添加するという方法もある。これはマトリックス
樹脂中でストラクチャー(凝集形態)を形成するという
カーボンブラックの特性を生かし、有機正特性サーミス
タ組成物に凝似的な架橋を施すのが目的である。ところ
が、前述のように、カーボンブラックは、金属粉末と比
較して比抵抗が高いため、多量に混合すると、室温比抵
抗の増大を招く。したがって、カーボンブラックの混合
量は必要最小限に限定する必要がある。
【0008】それゆえに、この発明の主たる目的は、低
比抵抗であり酸化および変形による抵抗変化を抑制した
有機正特性サーミスタ素子およびそれに用いられる有機
正特性サーミスタ組成物を提供することである。
比抵抗であり酸化および変形による抵抗変化を抑制した
有機正特性サーミスタ素子およびそれに用いられる有機
正特性サーミスタ組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる有機正
特性サーミスタ組成物は、結晶性高分子材料からなるマ
トリックス樹脂中に多数の突部を有する球状の金属粉末
を添加含有させてなる有機正特性サーミスタ組成物であ
って、金属粉末は、有機系カップリング剤で表面処理さ
れている、有機正特性サーミスタ組成物である。また、
この発明にかかる有機正特性サーミスタ組成物は、結晶
性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に多数の突部
を有する球状の金属粉末とカーボンブラックとを添加含
有させてなる有機正特性サーミスタ組成物であって、金
属粉末は、有機系カップリング剤で表面処理されてい
る、有機正特性サーミスタ組成物である。この発明にか
かる有機正特性サーミスタ組成物では、有機系カップリ
ング剤の処理量は、金属粉末全重量の2%以上10%以
下であることが好ましい。また、有機系カップリング剤
は、チタネート系カップリング剤であることが好まし
い。また、この発明にかかる有機正特性サーミスタ組成
物は、結晶性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に
多数の突部を有する球状の金属粉末を添加含有させてな
る有機正特性サーミスタ組成物であって、金属粉末の混
合量は、有機正特性サーミスタ組成物全体積の35体積
%以上65体積%以下である、有機正特性サーミスタ組
成物である。この有機正特性サーミスタ組成物では、金
属粉末は、金属粉末全重量の2%以上10%以下のチタ
ネート系カップリング剤で表面処理されることが好まし
い。また、この発明にかかる有機正特性サーミスタ組成
物は、結晶性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に
多数の突部を有する球状の金属粉末とカーボンブラック
とを添加含有させてなる有機正特性サーミスタ組成物で
あって、金属粉末およびカーボンブラックの混合量は、
有機正特性サーミスタ組成物全体積の35体積%以上6
5体積%以下であり、カーボンブラックの混合量は、金
属粉末およびカーボンブラックの混合量の30体積%以
下である、有機正特性サーミスタ組成物である。この有
機正特性サーミスタ組成物でも、金属粉末は、金属粉末
全重量の2%以上10%以下のチタネート系カップリン
グ剤で表面処理されることが好ましい。上述のこの発明
にかかる有機正特性サーミスタ組成物では、マトリック
ス樹脂は、メルトインデックスが5.0g/10min
以上である高密度ポリエチレンであることが好ましい。
この発明にかかる有機正特性サーミスタ素子は、この発
明にかかる有機正特性サーミスタ組成物からなる素体の
表面に電極を形成した、有機正特性サーミスタ素子であ
る。この発明にかかる有機正特性サーミスタ素子では、
素体は扁平形状に形成され、電極は素体の両主面にそれ
ぞれ形成され、電極間の距離d(m)と電極の実効面積
S(m2 )との間に、d/S1/2 ≦0.2の関係が成立
することが好ましい。また、この発明にかかる有機正特
性サーミスタ素子では、電極を形成した面以外の面の大
部分と電極を形成した面の一部分とが耐熱性樹脂で固定
されることが好ましい。
特性サーミスタ組成物は、結晶性高分子材料からなるマ
トリックス樹脂中に多数の突部を有する球状の金属粉末
を添加含有させてなる有機正特性サーミスタ組成物であ
って、金属粉末は、有機系カップリング剤で表面処理さ
れている、有機正特性サーミスタ組成物である。また、
この発明にかかる有機正特性サーミスタ組成物は、結晶
性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に多数の突部
を有する球状の金属粉末とカーボンブラックとを添加含
有させてなる有機正特性サーミスタ組成物であって、金
属粉末は、有機系カップリング剤で表面処理されてい
る、有機正特性サーミスタ組成物である。この発明にか
かる有機正特性サーミスタ組成物では、有機系カップリ
ング剤の処理量は、金属粉末全重量の2%以上10%以
下であることが好ましい。また、有機系カップリング剤
は、チタネート系カップリング剤であることが好まし
い。また、この発明にかかる有機正特性サーミスタ組成
物は、結晶性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に
多数の突部を有する球状の金属粉末を添加含有させてな
る有機正特性サーミスタ組成物であって、金属粉末の混
合量は、有機正特性サーミスタ組成物全体積の35体積
%以上65体積%以下である、有機正特性サーミスタ組
成物である。この有機正特性サーミスタ組成物では、金
属粉末は、金属粉末全重量の2%以上10%以下のチタ
ネート系カップリング剤で表面処理されることが好まし
い。また、この発明にかかる有機正特性サーミスタ組成
物は、結晶性高分子材料からなるマトリックス樹脂中に
多数の突部を有する球状の金属粉末とカーボンブラック
とを添加含有させてなる有機正特性サーミスタ組成物で
あって、金属粉末およびカーボンブラックの混合量は、
有機正特性サーミスタ組成物全体積の35体積%以上6
5体積%以下であり、カーボンブラックの混合量は、金
属粉末およびカーボンブラックの混合量の30体積%以
下である、有機正特性サーミスタ組成物である。この有
機正特性サーミスタ組成物でも、金属粉末は、金属粉末
全重量の2%以上10%以下のチタネート系カップリン
グ剤で表面処理されることが好ましい。上述のこの発明
にかかる有機正特性サーミスタ組成物では、マトリック
ス樹脂は、メルトインデックスが5.0g/10min
以上である高密度ポリエチレンであることが好ましい。
この発明にかかる有機正特性サーミスタ素子は、この発
明にかかる有機正特性サーミスタ組成物からなる素体の
表面に電極を形成した、有機正特性サーミスタ素子であ
る。この発明にかかる有機正特性サーミスタ素子では、
素体は扁平形状に形成され、電極は素体の両主面にそれ
ぞれ形成され、電極間の距離d(m)と電極の実効面積
S(m2 )との間に、d/S1/2 ≦0.2の関係が成立
することが好ましい。また、この発明にかかる有機正特
性サーミスタ素子では、電極を形成した面以外の面の大
部分と電極を形成した面の一部分とが耐熱性樹脂で固定
されることが好ましい。
【0010】本願発明者等は、有機正特性サーミスタ素
子において、低比抵抗と酸化および変形による抵抗変化
の抑制とを達成するために鋭意研究を進めた。その結
果、必要最小量のカーボンブラックとチタネート系カッ
プリング剤で表面処理された多数の突部を有する球状の
金属粉末とを、導電成分として従来例より高充填に混合
し、さらに高メルトインデックス(低溶融粘度)の高密
度ポリエチレンをマトリックス樹脂として使用し、さら
に電極の実効面積Sに対して電極間の距離dが小さい偏
平形状の素体とし、さらに電極を形成した面以外の面の
大部分と電極を形成した面の一部とが耐熱性樹脂で固定
されることで、低比抵抗と酸化および変形による抵抗変
化の抑制とが達成されることを見出した。
子において、低比抵抗と酸化および変形による抵抗変化
の抑制とを達成するために鋭意研究を進めた。その結
果、必要最小量のカーボンブラックとチタネート系カッ
プリング剤で表面処理された多数の突部を有する球状の
金属粉末とを、導電成分として従来例より高充填に混合
し、さらに高メルトインデックス(低溶融粘度)の高密
度ポリエチレンをマトリックス樹脂として使用し、さら
に電極の実効面積Sに対して電極間の距離dが小さい偏
平形状の素体とし、さらに電極を形成した面以外の面の
大部分と電極を形成した面の一部とが耐熱性樹脂で固定
されることで、低比抵抗と酸化および変形による抵抗変
化の抑制とが達成されることを見出した。
【0011】前述の目的を達成するために、まず、金属
粉末の選定を行った。金属粉末としては、金粉末、銀粉
末、ニッケル粉末、銅粉末、マグネシウム粉末、アルミ
ニウム粉末、鉄粉末、タングステン粉末などが挙げられ
るが、コストおよび導電性などを考慮すると、ニッケル
粉末が適当である。次に、ニッケル粉末の形状について
選定を行った。平滑な表面の球状、多数の突部を有する
球状、フレーク状(扁平状)など様々な形状のニッケル
粉末について評価を行った結果、有機正特性サーミスタ
素子の導電成分として、多数の突部を有する球状のニッ
ケル粉末が素子の低抵抗化に効果的であることが判明し
た。これについては、特許第3022644号公報など
の従来例に開示されているとおりである。ところが、問
題点として、熱履歴を印加すると素子抵抗が著しく増大
していくことが明らかとなり、多数の突部を有する球状
のニッケル粉末を従来例のとおりに実施することは困難
であることが判明した。熱履歴を印加することにより素
子抵抗が増大する原因として、ニッケル粉末の表面酸化
が考えられる。そこで、ニッケル粉末の酸化防止処理方
法を検討した。金属めっき処理、カーボンコーティン
グ、有機物によるカップリング処理などが挙げられる
が、マトリックス樹脂とのぬれ性向上の効果も同時に期
待できることから特にチタネート系、アルミネート系、
シラネート系、トリアゾール系などの有機物によるカッ
プリング処理が望ましく、鋭意検討した結果、特に、チ
タネート系カップリング剤による処理が最適であること
が判明した。チタネート系カップリング剤の処理量は、
多数の突部を有する球状の金属粉末に対して、その重量
の2%以上10%以下であることが望ましい。すなわ
ち、2%未満という少量の処理量では、耐酸化性および
ぬれ性向上に対する効果が低く、反対に10%を超える
ような多量の処理量では、系の機械的強度の低下が見ら
れるばかりか、カップリング剤のブリードアウトを引き
起こし、実用には適さないからである。また、特許第3
022644号公報における実施例では、多数の突起が
形成された球状の金属粉末の混合量は、最大でも60重
量部であり、これは組成物全体の25体積%未満に相当
する。カーボンブラックのようなストラクチャー(擬似
的な架橋効果を示す)を形成しない金属粉末を導電成分
として使用する場合、その混合量が30体積%未満の組
成物は、マトリックス樹脂がリッチであるため溶融時の
保形性が低くなり、信頼性が低下することが判明した。
鋭意検討を積み重ねた結果、導電成分が金属粉末の場
合、35体積%以上の混合量が最低限必要であることが
判明した。また、混合量の上限は65体積%とすること
が好ましい。65体積%を超えると、混練および成形が
困難であるばかりか、正特性サーミスタ素子で最も重要
な特性の1つである抵抗のトリップが低下し、実用的で
ない。また、ここで使用する多数の突部を有する球状の
ニッケル粉末の平均粒径は、0.5μm以上10μm以
下が望ましい。0.5μm未満であると、粒子表面の酸
化絶縁被膜の影響が無視できなくなり抵抗値増大の原因
となるからである。反対に10μmを超える粒子は、素
体厚みを薄くする場合に厚みばらつきの原因となり不適
であるからである。
粉末の選定を行った。金属粉末としては、金粉末、銀粉
末、ニッケル粉末、銅粉末、マグネシウム粉末、アルミ
ニウム粉末、鉄粉末、タングステン粉末などが挙げられ
るが、コストおよび導電性などを考慮すると、ニッケル
粉末が適当である。次に、ニッケル粉末の形状について
選定を行った。平滑な表面の球状、多数の突部を有する
球状、フレーク状(扁平状)など様々な形状のニッケル
粉末について評価を行った結果、有機正特性サーミスタ
素子の導電成分として、多数の突部を有する球状のニッ
ケル粉末が素子の低抵抗化に効果的であることが判明し
た。これについては、特許第3022644号公報など
の従来例に開示されているとおりである。ところが、問
題点として、熱履歴を印加すると素子抵抗が著しく増大
していくことが明らかとなり、多数の突部を有する球状
のニッケル粉末を従来例のとおりに実施することは困難
であることが判明した。熱履歴を印加することにより素
子抵抗が増大する原因として、ニッケル粉末の表面酸化
が考えられる。そこで、ニッケル粉末の酸化防止処理方
法を検討した。金属めっき処理、カーボンコーティン
グ、有機物によるカップリング処理などが挙げられる
が、マトリックス樹脂とのぬれ性向上の効果も同時に期
待できることから特にチタネート系、アルミネート系、
シラネート系、トリアゾール系などの有機物によるカッ
プリング処理が望ましく、鋭意検討した結果、特に、チ
タネート系カップリング剤による処理が最適であること
が判明した。チタネート系カップリング剤の処理量は、
多数の突部を有する球状の金属粉末に対して、その重量
の2%以上10%以下であることが望ましい。すなわ
ち、2%未満という少量の処理量では、耐酸化性および
ぬれ性向上に対する効果が低く、反対に10%を超える
ような多量の処理量では、系の機械的強度の低下が見ら
れるばかりか、カップリング剤のブリードアウトを引き
起こし、実用には適さないからである。また、特許第3
022644号公報における実施例では、多数の突起が
形成された球状の金属粉末の混合量は、最大でも60重
量部であり、これは組成物全体の25体積%未満に相当
する。カーボンブラックのようなストラクチャー(擬似
的な架橋効果を示す)を形成しない金属粉末を導電成分
として使用する場合、その混合量が30体積%未満の組
成物は、マトリックス樹脂がリッチであるため溶融時の
保形性が低くなり、信頼性が低下することが判明した。
鋭意検討を積み重ねた結果、導電成分が金属粉末の場
合、35体積%以上の混合量が最低限必要であることが
判明した。また、混合量の上限は65体積%とすること
が好ましい。65体積%を超えると、混練および成形が
困難であるばかりか、正特性サーミスタ素子で最も重要
な特性の1つである抵抗のトリップが低下し、実用的で
ない。また、ここで使用する多数の突部を有する球状の
ニッケル粉末の平均粒径は、0.5μm以上10μm以
下が望ましい。0.5μm未満であると、粒子表面の酸
化絶縁被膜の影響が無視できなくなり抵抗値増大の原因
となるからである。反対に10μmを超える粒子は、素
体厚みを薄くする場合に厚みばらつきの原因となり不適
であるからである。
【0012】次に、熱履歴に対する素子抵抗の安定化効
果をよりいっそう高めるため、少量の混合量でも効率よ
く有機正特性サーミスタ組成物の保形性を高くするカー
ボンブラックの選定が必要となる。種々の検討を行った
結果、高ストラクチャータイプのカーボンブラックを使
用すると、好ましい結果が得られることが判明した。こ
こで、高ストラクチャータイプのカーボンブラックは、
平均粒径が50nm以下で、DBP吸油量は130ml
/100g以上である。ここで、DBP吸油量とは、カ
ーボンブラックのストラクチャーの程度を示す指標であ
り、この値が高いほど高ストラクチャーであると判断で
きる。組成物の比抵抗の増大を抑えるために、カーボン
ブラックの混合量は、多数の突部を有する球状の金属粉
末およびカーボンブラックの混合量の30体積%以下と
することが好ましい。
果をよりいっそう高めるため、少量の混合量でも効率よ
く有機正特性サーミスタ組成物の保形性を高くするカー
ボンブラックの選定が必要となる。種々の検討を行った
結果、高ストラクチャータイプのカーボンブラックを使
用すると、好ましい結果が得られることが判明した。こ
こで、高ストラクチャータイプのカーボンブラックは、
平均粒径が50nm以下で、DBP吸油量は130ml
/100g以上である。ここで、DBP吸油量とは、カ
ーボンブラックのストラクチャーの程度を示す指標であ
り、この値が高いほど高ストラクチャーであると判断で
きる。組成物の比抵抗の増大を抑えるために、カーボン
ブラックの混合量は、多数の突部を有する球状の金属粉
末およびカーボンブラックの混合量の30体積%以下と
することが好ましい。
【0013】さらに、マトリックス樹脂の選定を行っ
た。素子に過電流が流れた場合、素子温度は急激に上昇
し、マトリックス樹脂の融点以上になると、体積が大き
く膨張する。それによって、導電性粒子が形成していた
導電パスが切断され、急激に素子抵抗が増大する(トリ
ップ現象)。電流値が定常状態に回復すると、素子温度
も降下し、素体の体積は急激に元の状態まで収縮する。
トリップ前後の素体の急激な膨張収縮に伴い、素体およ
び電極の界面に剥離が生じやすくなるが、低溶融粘度の
マトリックス樹脂を使用することによって、この剥離を
最小限に抑制できることが判明した。その理由は、低溶
融粘度のため膨張収縮時の応力を効率的に緩和すること
ができるためである。メルトインデックスに換算する
と、5.0g/10min以上であることが望ましい。
樹脂の種類については、高密度ポリエチレンのほかに、
ポリフッ化ビニリデン、低密度ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどの結晶性高分子を使用できるが、コストと室
温比抵抗およびトリップ後の比抵抗の差(マトリックス
樹脂の結晶融解により急激な体積膨張が起こり、導電粒
子間の導電パスが切断され、その結果比抵抗が急増する
トリップが観測されること)とを考慮すると、低コスト
および高結晶化度の高密度ポリエチレン樹脂が最適であ
る。
た。素子に過電流が流れた場合、素子温度は急激に上昇
し、マトリックス樹脂の融点以上になると、体積が大き
く膨張する。それによって、導電性粒子が形成していた
導電パスが切断され、急激に素子抵抗が増大する(トリ
ップ現象)。電流値が定常状態に回復すると、素子温度
も降下し、素体の体積は急激に元の状態まで収縮する。
トリップ前後の素体の急激な膨張収縮に伴い、素体およ
び電極の界面に剥離が生じやすくなるが、低溶融粘度の
マトリックス樹脂を使用することによって、この剥離を
最小限に抑制できることが判明した。その理由は、低溶
融粘度のため膨張収縮時の応力を効率的に緩和すること
ができるためである。メルトインデックスに換算する
と、5.0g/10min以上であることが望ましい。
樹脂の種類については、高密度ポリエチレンのほかに、
ポリフッ化ビニリデン、低密度ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどの結晶性高分子を使用できるが、コストと室
温比抵抗およびトリップ後の比抵抗の差(マトリックス
樹脂の結晶融解により急激な体積膨張が起こり、導電粒
子間の導電パスが切断され、その結果比抵抗が急増する
トリップが観測されること)とを考慮すると、低コスト
および高結晶化度の高密度ポリエチレン樹脂が最適であ
る。
【0014】素子の形態については、素体を偏平形状と
し、電極を形成した面以外の面の大部分と電極を形成し
た面の一部分とを耐熱性樹脂で固定するなどの改良を施
した。電極間の距離d(m)と電極の実効面積S(m
2 )との間にd/S1/2 ≦0.2の関係が成立するよう
に素体を偏平形状とすることによって、素体を力学的に
保持できる範囲が広がる。また、電極が形成された面以
外の面の大部分と電極が形成された面の一部分とを耐熱
性樹脂で固定することによって、素子の保形性がさらに
向上される。ここで耐熱性樹脂としては、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が
使用できるほかに、マトリックス樹脂より高融点であれ
ば、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポ
リフェニレンオキシド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポ
リエステルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂な
どの熱可塑性樹脂も使用することができる。
し、電極を形成した面以外の面の大部分と電極を形成し
た面の一部分とを耐熱性樹脂で固定するなどの改良を施
した。電極間の距離d(m)と電極の実効面積S(m
2 )との間にd/S1/2 ≦0.2の関係が成立するよう
に素体を偏平形状とすることによって、素体を力学的に
保持できる範囲が広がる。また、電極が形成された面以
外の面の大部分と電極が形成された面の一部分とを耐熱
性樹脂で固定することによって、素子の保形性がさらに
向上される。ここで耐熱性樹脂としては、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が
使用できるほかに、マトリックス樹脂より高融点であれ
ば、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポ
リフェニレンオキシド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポ
リエステルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂な
どの熱可塑性樹脂も使用することができる。
【0015】以上の構成により、室温比抵抗が低く、熱
履歴を印加しても酸化による室温比抵抗の増大が抑制さ
れ、かつ、有機正特性サーミスタ組成物の保形性を高く
することができ、熱変形による室温比抵抗の増大が抑制
される。
履歴を印加しても酸化による室温比抵抗の増大が抑制さ
れ、かつ、有機正特性サーミスタ組成物の保形性を高く
することができ、熱変形による室温比抵抗の増大が抑制
される。
【0016】この発明の上述の目的、その他の目的、特
徴および利点は、以下の発明の実施の形態の詳細な説明
から一層明らかとなろう。
徴および利点は、以下の発明の実施の形態の詳細な説明
から一層明らかとなろう。
【0017】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態である有機
正特性サーミスタ組成物は、マトリックス樹脂として高
密度ポリエチレンと、導電性粉末としてチタネート系カ
ップリング剤で表面処理を施した多数の突部を有する球
状のニッケル粉末、必要最小量のカーボンブラックと、
マトリックス樹脂である高密度ポリエチレンの化学架橋
剤としてジクミルパーオキサイド(DCPO)とを混合
してなるものである。
正特性サーミスタ組成物は、マトリックス樹脂として高
密度ポリエチレンと、導電性粉末としてチタネート系カ
ップリング剤で表面処理を施した多数の突部を有する球
状のニッケル粉末、必要最小量のカーボンブラックと、
マトリックス樹脂である高密度ポリエチレンの化学架橋
剤としてジクミルパーオキサイド(DCPO)とを混合
してなるものである。
【0018】マトリックス樹脂および導電性粉末の合計
を100体積%として、導電性粉末は、35〜65体積
%の範囲に設定されることが望ましい。導電性粉末の混
合量が、マトリックス樹脂および導電性粉末の合計であ
る100体積%に対して、35体積%未満であると、有
機正特性サーミスタ組成物の室温比抵抗を充分に低下さ
せることが困難となるばかりか、保形性が低いため、熱
履歴による信頼性が低くなるからである。反対に、それ
が65体積%を超えると、混練するのに非常に時間がか
かり非能率的であるばかりか、できた有機正特性サーミ
スタ組成物の機械的強度は極めて低い(脆い)ものとな
り、また、電極との密着性が低下し、抵抗値の増大を招
くからである。
を100体積%として、導電性粉末は、35〜65体積
%の範囲に設定されることが望ましい。導電性粉末の混
合量が、マトリックス樹脂および導電性粉末の合計であ
る100体積%に対して、35体積%未満であると、有
機正特性サーミスタ組成物の室温比抵抗を充分に低下さ
せることが困難となるばかりか、保形性が低いため、熱
履歴による信頼性が低くなるからである。反対に、それ
が65体積%を超えると、混練するのに非常に時間がか
かり非能率的であるばかりか、できた有機正特性サーミ
スタ組成物の機械的強度は極めて低い(脆い)ものとな
り、また、電極との密着性が低下し、抵抗値の増大を招
くからである。
【0019】また、マトリックス樹脂に対して導電性粉
末の混合量が充分に多い場合(マトリックス樹脂および
導電性粉末の合計を100体積%として、導電性粉末が
45〜65体積%の場合)、系の保形性は充分に高いも
のとなるため、前述したカーボンブラックの少量混合は
省略することが可能となる。
末の混合量が充分に多い場合(マトリックス樹脂および
導電性粉末の合計を100体積%として、導電性粉末が
45〜65体積%の場合)、系の保形性は充分に高いも
のとなるため、前述したカーボンブラックの少量混合は
省略することが可能となる。
【0020】
【実施例】(実施例1〜17)実施例1〜3では、有機
正特性サーミスタ素子の素体となる有機正特性サーミス
タ組成物のマトリックス樹脂成分に低溶融粘度の高密度
ポリエチレンA(密度:0.965g/cm3 、メルト
インデックス:13g/10min)を使用した。導電
性粉末には、金属粉末として多数の突部を有する球状の
ニッケル粉末A(平均粒径2.6〜3.3μm:インコ
社製)に4wt%のチタネート系カップリング剤で表面
処理したものを使用し、カーボンブラックとして東海カ
ーボン株式会社製のトーカブラック#4500(平均粒
径:40nm、DBP吸油量:168ml/100g、
密度:1.8g/cm3 )を使用した。配合比は、有機
正特性サーミスタ組成物全体を100体積%として、高
密度ポリエチレンを45体積%とし、導電性粉末を55
体積%とした。また、導電性粉末のうちチタネート系カ
ップリング剤で表面処理した多数の突部を有する球状の
ニッケル粉末とカーボンブラックとの体積比は、実施例
1では93:7とし、実施例2では85:15とし、実
施例3では100:0とした。実施例4、5、6では、
多数の突部を有する球状のニッケル粉末が、ニッケル粉
末B(平均粒径3〜7μm:インコ社製)であること以
外はそれぞれ実施例1、2、3と同じとした。実施例
7、8、9では、多数の突部を有する球状のニッケル粉
末が、ニッケル粉末C(平均粒径2.2〜2.8μm:
インコ社製)であること以外はそれぞれ実施例1、2、
3と同じとした。実施例10、11、12では、多数の
突部を有する球状のニッケル粉末が、ニッケル粉末D
(平均粒径2.5〜3.1μm:インコ社製)であるこ
と以外はそれぞれ実施例1、2、3と同じとした。実施
例13、14、15では、マトリックス樹脂成分に低溶
融粘度の高密度ポリエチレンB(密度:0.968g/
cm3 、メルトインデックス:5.3g/10min)
を使用した以外はそれぞれ実施例1、2、3と同じとし
た。実施例16では、多数の突部を有する球状のニッケ
ル粉末をチタネート系カップリング剤で表面処理しなか
ったこと以外は実施例3と同じとした。実施例17で
は、有機正特性サーミスタ組成物全体を100体積%と
して、高密度ポリエチレンを70体積%とし、導電性粉
末を30体積%とした以外は実施例3と同じとした。こ
こで実施例16および実施例17は、それぞれ、多数の
突部を有する球状の金属粉末を高充填(55体積%)す
ることにより低抵抗化と熱履歴に対する抵抗安定性の向
上とが得られる例および多数の突部を有する球状の金属
粉末の表面をカップリング処理することにより低抵抗化
と熱履歴に対する抵抗安定性の向上とが得られる例であ
り、これらの2例に対する比較例は後述の比較例8(低
充填およびカップリング処理なし)に相当する。配合
後、2本ロール混練機(日新科学株式会社製)によっ
て、150℃で10分間混練した。さらに、化学架橋の
目的でジクミルパーオキサイドを高密度ポリエチレンに
対して1wt%添加し、再度5分間混練した。混練終了
後、厚さ約0.7mmのシートとして取り出し、180
℃熱プレスにより0.5mmまで薄化した。シートの両
面には、片面を粗面化したニッケル箔(厚さ25μm)
を粗面がシート側になるようにセットした。この場合、
ニッケル箔は、4.0mm×3.0mmのサイズの電極
が多数配列した状態で得られるように、パターンエッチ
ングされている。また、シートの両面にセットされるニ
ッケル箔は、後述の有機正特性サーミスタ素子10の電
極14aおよび14bを得るために、パターンが上下方
向において反転されている。そして、これらのシートお
よびニッケル箔を180℃で10分間プレスした。この
場合、スペーサーの厚みは0.40mmとした。その
後、室温まで冷却し、厚さ0.40mmの試料を得た。
この試料は、図1に示すように、厚さ0.35mmのシ
ート11の両主面に、上述のようにパターンエッチング
された厚さ25μmのニッケル箔13をそれぞれ形成し
たものである。得られた試料の両主面には、ニッケル箔
13のパターンに沿って、UV樹脂としてのアクリル系
樹脂をスクリーン印刷した後にUV硬化炉に通して、図
2に示すように、UV樹脂層15をそれぞれ形成した。
次に、この試料を、図3に示すように、UV樹脂層15
の一回り外側で短冊状にカットした。その後、カットし
た試料の端部に、図4に示すように、電解めっきを施し
てめっき電極17を形成した。そして、めっき電極17
を形成した試料を、図5に示すように、エッチングパタ
ーンに沿ってシートカッタで4.5mm×3.2mmの
サイズにカットした。その後、電極を形成した面以外の
面の大部分と電極を形成した面の一部分とに、図6に示
すコ字形の耐熱性樹脂20を形成して、それらに部分を
耐熱性樹脂20で固定し、図7〜図9に示す有機正特性
サーミスタ素子10とした。
正特性サーミスタ素子の素体となる有機正特性サーミス
タ組成物のマトリックス樹脂成分に低溶融粘度の高密度
ポリエチレンA(密度:0.965g/cm3 、メルト
インデックス:13g/10min)を使用した。導電
性粉末には、金属粉末として多数の突部を有する球状の
ニッケル粉末A(平均粒径2.6〜3.3μm:インコ
社製)に4wt%のチタネート系カップリング剤で表面
処理したものを使用し、カーボンブラックとして東海カ
ーボン株式会社製のトーカブラック#4500(平均粒
径:40nm、DBP吸油量:168ml/100g、
密度:1.8g/cm3 )を使用した。配合比は、有機
正特性サーミスタ組成物全体を100体積%として、高
密度ポリエチレンを45体積%とし、導電性粉末を55
体積%とした。また、導電性粉末のうちチタネート系カ
ップリング剤で表面処理した多数の突部を有する球状の
ニッケル粉末とカーボンブラックとの体積比は、実施例
1では93:7とし、実施例2では85:15とし、実
施例3では100:0とした。実施例4、5、6では、
多数の突部を有する球状のニッケル粉末が、ニッケル粉
末B(平均粒径3〜7μm:インコ社製)であること以
外はそれぞれ実施例1、2、3と同じとした。実施例
7、8、9では、多数の突部を有する球状のニッケル粉
末が、ニッケル粉末C(平均粒径2.2〜2.8μm:
インコ社製)であること以外はそれぞれ実施例1、2、
3と同じとした。実施例10、11、12では、多数の
突部を有する球状のニッケル粉末が、ニッケル粉末D
(平均粒径2.5〜3.1μm:インコ社製)であるこ
と以外はそれぞれ実施例1、2、3と同じとした。実施
例13、14、15では、マトリックス樹脂成分に低溶
融粘度の高密度ポリエチレンB(密度:0.968g/
cm3 、メルトインデックス:5.3g/10min)
を使用した以外はそれぞれ実施例1、2、3と同じとし
た。実施例16では、多数の突部を有する球状のニッケ
ル粉末をチタネート系カップリング剤で表面処理しなか
ったこと以外は実施例3と同じとした。実施例17で
は、有機正特性サーミスタ組成物全体を100体積%と
して、高密度ポリエチレンを70体積%とし、導電性粉
末を30体積%とした以外は実施例3と同じとした。こ
こで実施例16および実施例17は、それぞれ、多数の
突部を有する球状の金属粉末を高充填(55体積%)す
ることにより低抵抗化と熱履歴に対する抵抗安定性の向
上とが得られる例および多数の突部を有する球状の金属
粉末の表面をカップリング処理することにより低抵抗化
と熱履歴に対する抵抗安定性の向上とが得られる例であ
り、これらの2例に対する比較例は後述の比較例8(低
充填およびカップリング処理なし)に相当する。配合
後、2本ロール混練機(日新科学株式会社製)によっ
て、150℃で10分間混練した。さらに、化学架橋の
目的でジクミルパーオキサイドを高密度ポリエチレンに
対して1wt%添加し、再度5分間混練した。混練終了
後、厚さ約0.7mmのシートとして取り出し、180
℃熱プレスにより0.5mmまで薄化した。シートの両
面には、片面を粗面化したニッケル箔(厚さ25μm)
を粗面がシート側になるようにセットした。この場合、
ニッケル箔は、4.0mm×3.0mmのサイズの電極
が多数配列した状態で得られるように、パターンエッチ
ングされている。また、シートの両面にセットされるニ
ッケル箔は、後述の有機正特性サーミスタ素子10の電
極14aおよび14bを得るために、パターンが上下方
向において反転されている。そして、これらのシートお
よびニッケル箔を180℃で10分間プレスした。この
場合、スペーサーの厚みは0.40mmとした。その
後、室温まで冷却し、厚さ0.40mmの試料を得た。
この試料は、図1に示すように、厚さ0.35mmのシ
ート11の両主面に、上述のようにパターンエッチング
された厚さ25μmのニッケル箔13をそれぞれ形成し
たものである。得られた試料の両主面には、ニッケル箔
13のパターンに沿って、UV樹脂としてのアクリル系
樹脂をスクリーン印刷した後にUV硬化炉に通して、図
2に示すように、UV樹脂層15をそれぞれ形成した。
次に、この試料を、図3に示すように、UV樹脂層15
の一回り外側で短冊状にカットした。その後、カットし
た試料の端部に、図4に示すように、電解めっきを施し
てめっき電極17を形成した。そして、めっき電極17
を形成した試料を、図5に示すように、エッチングパタ
ーンに沿ってシートカッタで4.5mm×3.2mmの
サイズにカットした。その後、電極を形成した面以外の
面の大部分と電極を形成した面の一部分とに、図6に示
すコ字形の耐熱性樹脂20を形成して、それらに部分を
耐熱性樹脂20で固定し、図7〜図9に示す有機正特性
サーミスタ素子10とした。
【0021】図7はこの発明が適用される有機正特性サ
ーミスタ素子の一例を示す斜視図であり、図8はその平
面図であり、図9は図8のIX−IXにおける断面図解
図である。図7〜図9に示す有機正特性サーミスタ素子
10は、上述のシート11からなる矩形板状の素体12
を含む。素体12の両主面には、上述のニッケル箔13
からなる電極14aおよび14bがそれぞれ形成され
る。この場合、素体12(シート11)の厚みが0.3
5mmであるため、電極14aおよび14b間の距離d
は、0.35mmとなる。また、この場合、一方の電極
14aは、素体12の一方主面の長手方向における一端
から中央にわたって形成される。他方の電極14bは、
素体12の他方主面の長手方向における他端から中央に
わたって形成される。さらに、電極14aおよび14b
は、3mm×3.5mmの部分が対向するように形成さ
れる。そのため、電極14aおよび14bの実効面積S
は、3mm×3.5mm=10.5mm2 となる。素体
12の両主面の中央には、上述のUV樹脂層15からな
る樹脂層16aおよび16bがそれぞれ形成される。ま
た、素体12の長手方向における両端部には、上述のめ
っき電極17からなる外部電極18aおよび18bがそ
れぞれ形成される。外部電極18aおよび18bは、電
極14aおよび14bにそれぞれ接続される。さらに、
素体12の幅方向における両端部分には、図6に示すコ
字形の耐熱性樹脂20がそれぞれ形成され、素体12の
幅方向における両端部分が耐熱性樹脂20で固定され
る。この有機正特性サーミスタ素子10では、電極14
aおよび14間の距離dが0.35mmで、電極14a
および14bの実効面積Sが3.5mm×3mm=1
0.5mm2 であるので、d/S1/2 =0.11<0.
2の関係が成立する。
ーミスタ素子の一例を示す斜視図であり、図8はその平
面図であり、図9は図8のIX−IXにおける断面図解
図である。図7〜図9に示す有機正特性サーミスタ素子
10は、上述のシート11からなる矩形板状の素体12
を含む。素体12の両主面には、上述のニッケル箔13
からなる電極14aおよび14bがそれぞれ形成され
る。この場合、素体12(シート11)の厚みが0.3
5mmであるため、電極14aおよび14b間の距離d
は、0.35mmとなる。また、この場合、一方の電極
14aは、素体12の一方主面の長手方向における一端
から中央にわたって形成される。他方の電極14bは、
素体12の他方主面の長手方向における他端から中央に
わたって形成される。さらに、電極14aおよび14b
は、3mm×3.5mmの部分が対向するように形成さ
れる。そのため、電極14aおよび14bの実効面積S
は、3mm×3.5mm=10.5mm2 となる。素体
12の両主面の中央には、上述のUV樹脂層15からな
る樹脂層16aおよび16bがそれぞれ形成される。ま
た、素体12の長手方向における両端部には、上述のめ
っき電極17からなる外部電極18aおよび18bがそ
れぞれ形成される。外部電極18aおよび18bは、電
極14aおよび14bにそれぞれ接続される。さらに、
素体12の幅方向における両端部分には、図6に示すコ
字形の耐熱性樹脂20がそれぞれ形成され、素体12の
幅方向における両端部分が耐熱性樹脂20で固定され
る。この有機正特性サーミスタ素子10では、電極14
aおよび14間の距離dが0.35mmで、電極14a
および14bの実効面積Sが3.5mm×3mm=1
0.5mm2 であるので、d/S1/2 =0.11<0.
2の関係が成立する。
【0022】その後、上述の有機正特性サーミスタ素子
について、温度可変の恒温槽内で4端子法による抵抗測
定を行い、電極間の厚みおよび電極の対向面積から比抵
抗を計算した。
について、温度可変の恒温槽内で4端子法による抵抗測
定を行い、電極間の厚みおよび電極の対向面積から比抵
抗を計算した。
【0023】測定の温度プロファイルは、30〜150
℃で、10℃ステップで、各測定温度での待ち時間は3
分とした。測定が終了した後、30℃まで放冷し、再度
同様の測定を行った。測定は5回繰り返した。
℃で、10℃ステップで、各測定温度での待ち時間は3
分とした。測定が終了した後、30℃まで放冷し、再度
同様の測定を行った。測定は5回繰り返した。
【0024】なお、比較のために次の比較例1〜8の試
料を作製した。試料の作製および測定は、実施例1〜1
7の方法に準じた。
料を作製した。試料の作製および測定は、実施例1〜1
7の方法に準じた。
【0025】(比較例1)比較例1では、導電性粉末の
うちチタネート系カップリング剤で表面処理した多数の
突部を有する球状のニッケル粉末とカーボンブラックと
の体積比を65:35とした以外は実施例1と同じとし
た。
うちチタネート系カップリング剤で表面処理した多数の
突部を有する球状のニッケル粉末とカーボンブラックと
の体積比を65:35とした以外は実施例1と同じとし
た。
【0026】(比較例2)比較例2では、多数の突部を
有する球状のニッケル粉末のチタネート系カップリング
剤による表面処理量を4wt%とする代わりに15wt
%とした以外は実施例1と同じとした。
有する球状のニッケル粉末のチタネート系カップリング
剤による表面処理量を4wt%とする代わりに15wt
%とした以外は実施例1と同じとした。
【0027】(比較例3)比較例3では、チタネート系
カップリング剤で表面処理した多数の突部を有する球状
のニッケル粉末の代わりに、チタネート系カップリング
剤で表面処理した平滑な表面の球状のニッケル粉末E
(平均粒径8〜9μm:インコ社製)を使用した以外は
実施例1と同じとした。
カップリング剤で表面処理した多数の突部を有する球状
のニッケル粉末の代わりに、チタネート系カップリング
剤で表面処理した平滑な表面の球状のニッケル粉末E
(平均粒径8〜9μm:インコ社製)を使用した以外は
実施例1と同じとした。
【0028】(比較例4)比較例4では、チタネート系
カップリング剤で表面処理した多数の突部を有する球状
のニッケル粉末の代わりに、チタネート系カップリング
剤で表面処理したフレーク状のニッケル粉末F(平均粒
径15〜20μm:インコ社製)を使用した以外は実施
例1と同じとした。
カップリング剤で表面処理した多数の突部を有する球状
のニッケル粉末の代わりに、チタネート系カップリング
剤で表面処理したフレーク状のニッケル粉末F(平均粒
径15〜20μm:インコ社製)を使用した以外は実施
例1と同じとした。
【0029】(比較例5)比較例5では、マトリックス
樹脂成分に低溶融粘度の高密度ポリエチレンAを使用す
る代わりに高溶融粘度の高密度ポリエチレンC(密度:
0.963g/cm3 、メルトインデックス:0.25
g/10min)を使用した以外は実施例1と同じとし
た。
樹脂成分に低溶融粘度の高密度ポリエチレンAを使用す
る代わりに高溶融粘度の高密度ポリエチレンC(密度:
0.963g/cm3 、メルトインデックス:0.25
g/10min)を使用した以外は実施例1と同じとし
た。
【0030】(比較例6)比較例6では、試料の厚さが
1.00mm(素体の厚さ:0.95mm)とした(d
/S1/2 =0.29>0.2)以外は実施例1と同じと
した。
1.00mm(素体の厚さ:0.95mm)とした(d
/S1/2 =0.29>0.2)以外は実施例1と同じと
した。
【0031】(比較例7)比較例7では、電極が形成さ
れた面以外の面の大部分と電極が形成された面の一部分
とをコ字形の耐熱性樹脂で固定しなかったこと以外は実
施例1と同じとした。
れた面以外の面の大部分と電極が形成された面の一部分
とをコ字形の耐熱性樹脂で固定しなかったこと以外は実
施例1と同じとした。
【0032】(比較例8)比較例8では、多数の突部を
有する球状のニッケル粉末をチタネート系カップリング
剤で表面処理を行わずに使用した以外は実施例17と同
じとした。
有する球状のニッケル粉末をチタネート系カップリング
剤で表面処理を行わずに使用した以外は実施例17と同
じとした。
【0033】上述の実施例1〜17と比較例1〜8との
初期の室温比抵抗、5回測定後の室温比抵抗および初期
から5回測定終了後までの室温比抵抗の変化率について
の測定結果を表1に示す。
初期の室温比抵抗、5回測定後の室温比抵抗および初期
から5回測定終了後までの室温比抵抗の変化率について
の測定結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】また、表1には、実施例1〜15と比較例
1〜7との合否判定も示した。この場合、合否判定は、
初期および熱履歴印加後の室温比抵抗について、初期の
室温比抵抗が0.070Ω・cm以下で、初期から5回
測定終了後までの室温比抵抗の変化率が150%以内の
ものを合格として「○」で示し、それ以外のものまたは
その他の理由で不適当なものを不合格として「×」で示
した。また、実施例16および実施例17については比
較例8との比較を行った。
1〜7との合否判定も示した。この場合、合否判定は、
初期および熱履歴印加後の室温比抵抗について、初期の
室温比抵抗が0.070Ω・cm以下で、初期から5回
測定終了後までの室温比抵抗の変化率が150%以内の
ものを合格として「○」で示し、それ以外のものまたは
その他の理由で不適当なものを不合格として「×」で示
した。また、実施例16および実施例17については比
較例8との比較を行った。
【0036】表1から、実施例1〜15では、初期の室
温比抵抗が低く、かつ熱履歴を印加された後も低い室温
比抵抗が維持されることがわかる。それに対して、比較
例1、4では、初期の室温比抵抗が高く、比較例3、
5、6、7では、室温比抵抗の変化率が大きいことがわ
かる。また、比較例2では、カップリング剤のブリード
アウトが顕著であり、実用に不適であった。また、実施
例16および実施例17は、比較例8と比較して室温比
抵抗の変化率が小さいことがわかる。
温比抵抗が低く、かつ熱履歴を印加された後も低い室温
比抵抗が維持されることがわかる。それに対して、比較
例1、4では、初期の室温比抵抗が高く、比較例3、
5、6、7では、室温比抵抗の変化率が大きいことがわ
かる。また、比較例2では、カップリング剤のブリード
アウトが顕著であり、実用に不適であった。また、実施
例16および実施例17は、比較例8と比較して室温比
抵抗の変化率が小さいことがわかる。
【0037】なお、この発明にかかる有機正特性サーミ
スタ組成物および有機正特性サーミスタ素子は、上述の
実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨
の範囲内で種々に変更されてもよい。
スタ組成物および有機正特性サーミスタ素子は、上述の
実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨
の範囲内で種々に変更されてもよい。
【0038】
【発明の効果】この発明によれば、低比抵抗であり酸化
および変形による抵抗変化を抑制した有機正特性サーミ
スタ素子およびそれに用いられる有機正特性サーミスタ
組成物が得られる。また、この発明によれば、有機正特
性サーミスタ組成物において、たとえば、導電成分とし
てチタネート系カップリング剤で表面処理されている多
数の突部を有する球状の金属粉末と少量のカーボンブラ
ックを従来例より高充填に混合しているので、保形性の
向上と、耐酸化性およびぬれ性の向上とにより、熱履歴
印加に対して室温比抵抗の増大を抑制し、低比抵抗に保
持することができる。さらに、この発明によれば、たと
えば、マトリックス樹脂として低溶融粘度(高メルトイ
ンデックス)の高密度ポリエチレンを使用しているの
で、熱履歴に対する電極と素体との剥離を抑制し、室温
比抵抗の増大を抑制することができる。また、この発明
にかかる有機正特性サーミスタ素子では、たとえば、素
体が偏平形状に形成され、電極を形成した面以外の面の
大部分と電極を形成した面の一部分とが耐熱性樹脂で固
定されている構造を有するため、保形性が高く、熱変形
による室温比抵抗の増大が抑制される。
および変形による抵抗変化を抑制した有機正特性サーミ
スタ素子およびそれに用いられる有機正特性サーミスタ
組成物が得られる。また、この発明によれば、有機正特
性サーミスタ組成物において、たとえば、導電成分とし
てチタネート系カップリング剤で表面処理されている多
数の突部を有する球状の金属粉末と少量のカーボンブラ
ックを従来例より高充填に混合しているので、保形性の
向上と、耐酸化性およびぬれ性の向上とにより、熱履歴
印加に対して室温比抵抗の増大を抑制し、低比抵抗に保
持することができる。さらに、この発明によれば、たと
えば、マトリックス樹脂として低溶融粘度(高メルトイ
ンデックス)の高密度ポリエチレンを使用しているの
で、熱履歴に対する電極と素体との剥離を抑制し、室温
比抵抗の増大を抑制することができる。また、この発明
にかかる有機正特性サーミスタ素子では、たとえば、素
体が偏平形状に形成され、電極を形成した面以外の面の
大部分と電極を形成した面の一部分とが耐熱性樹脂で固
定されている構造を有するため、保形性が高く、熱変形
による室温比抵抗の増大が抑制される。
【図1】シートの両主面にパターンエッチングされたニ
ッケル箔をそれぞれ形成した試料を示す平面図である。
ッケル箔をそれぞれ形成した試料を示す平面図である。
【図2】図1に示す試料の両主面にニッケル箔のパター
ンに沿ってUV樹脂層をそれぞれ形成した状態を示す平
面図である。
ンに沿ってUV樹脂層をそれぞれ形成した状態を示す平
面図である。
【図3】図2に示す試料をUV樹脂層の一回り外側でカ
ットした状態を示す平面図である。
ットした状態を示す平面図である。
【図4】図3に示す試料の端部にめっき電極を形成した
状態を示す平面図である。
状態を示す平面図である。
【図5】図4に示す試料をエッチングパターンに沿って
カットした状態を示す平面図である。
カットした状態を示す平面図である。
【図6】この発明が適用される有機正特性サーミスタ素
子に用いられる耐熱性樹脂の一例を示す斜視図である。
子に用いられる耐熱性樹脂の一例を示す斜視図である。
【図7】この発明が適用される有機正特性サーミスタ素
子の一例を示す斜視図である。
子の一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示す有機正特性サーミスタ素子の平面図
である。
である。
【図9】図8のIX−IXにおける断面図解図である。
10 有機正特性サーミスタ素子 11 シート 12 素体 13 ニッケル箔 14a、14b 電極 15 UV樹脂層 16a、16b 樹脂層 17 めっき電極 18a、18b 外部電極 20 耐熱性樹脂
Claims (14)
- 【請求項1】 結晶性高分子材料からなるマトリックス
樹脂中に多数の突部を有する球状の金属粉末を添加含有
させてなる有機正特性サーミスタ組成物であって、 前記金属粉末は、有機系カップリング剤で表面処理され
ている、有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項2】 前記有機系カップリング剤の処理量は、
前記金属粉末全重量の2%以上10%以下である、請求
項1に記載の有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項3】 前記有機系カップリング剤は、チタネー
ト系カップリング剤である、請求項1または請求項2に
記載の有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項4】 結晶性高分子材料からなるマトリックス
樹脂中に多数の突部を有する球状の金属粉末を添加含有
させてなる有機正特性サーミスタ組成物であって、 前記金属粉末の混合量は、前記有機正特性サーミスタ組
成物全体積の35体積%以上65体積%以下である、有
機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項5】 前記金属粉末は、前記金属粉末全重量の
2%以上10%以下のチタネート系カップリング剤で表
面処理される、請求項4に記載の有機正特性サーミスタ
組成物。 - 【請求項6】 結晶性高分子材料からなるマトリックス
樹脂中に多数の突部を有する球状の金属粉末とカーボン
ブラックとを添加含有させてなる有機正特性サーミスタ
組成物であって、 前記金属粉末は、有機系カップリング剤で表面処理され
ている、有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項7】 前記有機系カップリング剤の処理量は、
前記金属粉末全重量の2%以上10%以下である、請求
項6に記載の有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項8】 前記有機系カップリング剤は、チタネー
ト系カップリング剤である、請求項6または請求項7に
記載の有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項9】 結晶性高分子材料からなるマトリックス
樹脂中に多数の突部を有する球状の金属粉末とカーボン
ブラックとを添加含有させてなる有機正特性サーミスタ
組成物であって、 前記金属粉末および前記カーボンブラックの混合量は、
前記有機正特性サーミスタ組成物全体積の35体積%以
上65体積%以下であり、 前記カーボンブラックの混合量は、前記金属粉末および
前記カーボンブラックの混合量の30体積%以下であ
る、有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項10】 前記金属粉末は、前記金属粉末全重量
の2%以上10%以下のチタネート系カップリング剤で
表面処理される、請求項9に記載の有機正特性サーミス
タ組成物。 - 【請求項11】 前記マトリックス樹脂は、メルトイン
デックスが5.0g/10min以上である高密度ポリ
エチレンである、請求項1ないし請求項10のいずれか
に記載の有機正特性サーミスタ組成物。 - 【請求項12】 請求項1ないし請求項11のいずれか
に記載の有機正特性サーミスタ組成物からなる素体の表
面に電極を形成した、有機正特性サーミスタ素子。 - 【請求項13】 前記素体は扁平形状に形成され、前記
電極は前記素体の両主面にそれぞれ形成され、 前記電極間の距離d(m)と前記電極の実効面積S(m
2 )との間に、d/S 1/2 ≦0.2の関係が成立する、
請求項12に記載の有機正特性サーミスタ素子。 - 【請求項14】 前記電極を形成した面以外の面の大部
分と前記電極を形成した面の一部分とが耐熱性樹脂で固
定される、請求項12または請求項13に記載の有機正
特性サーミスタ素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001155661A JP2002353002A (ja) | 2001-05-24 | 2001-05-24 | 有機正特性サーミスタ組成物および有機正特性サーミスタ素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001155661A JP2002353002A (ja) | 2001-05-24 | 2001-05-24 | 有機正特性サーミスタ組成物および有機正特性サーミスタ素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002353002A true JP2002353002A (ja) | 2002-12-06 |
Family
ID=18999802
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001155661A Pending JP2002353002A (ja) | 2001-05-24 | 2001-05-24 | 有機正特性サーミスタ組成物および有機正特性サーミスタ素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002353002A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007027244A (ja) * | 2005-07-13 | 2007-02-01 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 抵抗器の製造方法 |
CN108877993A (zh) * | 2018-05-24 | 2018-11-23 | 江苏时瑞电子科技有限公司 | 一种高强度ptc高分子导电材料及其制备方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10303003A (ja) * | 1997-02-28 | 1998-11-13 | Mitsubishi Electric Corp | 有機ptc組成物及びそれを用いた回路保護装置 |
JPH11214203A (ja) * | 1998-01-29 | 1999-08-06 | Unitika Ltd | Ptc素子及びその製造方法 |
JP2000133502A (ja) * | 1999-11-08 | 2000-05-12 | Tdk Corp | 有機質正特性サ―ミスタ |
JP2000200704A (ja) * | 1998-11-02 | 2000-07-18 | Tdk Corp | 有機質正特性サ―ミスタ |
-
2001
- 2001-05-24 JP JP2001155661A patent/JP2002353002A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH10303003A (ja) * | 1997-02-28 | 1998-11-13 | Mitsubishi Electric Corp | 有機ptc組成物及びそれを用いた回路保護装置 |
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JP2007027244A (ja) * | 2005-07-13 | 2007-02-01 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 抵抗器の製造方法 |
JP4654805B2 (ja) * | 2005-07-13 | 2011-03-23 | パナソニック株式会社 | 抵抗器の製造方法 |
CN108877993A (zh) * | 2018-05-24 | 2018-11-23 | 江苏时瑞电子科技有限公司 | 一种高强度ptc高分子导电材料及其制备方法 |
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