JP2000200704A - 有機質正特性サ―ミスタ - Google Patents

有機質正特性サ―ミスタ

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JP2000200704A
JP2000200704A JP11020602A JP2060299A JP2000200704A JP 2000200704 A JP2000200704 A JP 2000200704A JP 11020602 A JP11020602 A JP 11020602A JP 2060299 A JP2060299 A JP 2060299A JP 2000200704 A JP2000200704 A JP 2000200704A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温抵抗が十分低く、動作時と非動作時の抵
抗変化率が大きく、温度−抵抗曲線のヒステリシスが小
さく、動作温度の調整が容易であり、しかも、特性安定
性が高い有機質正特性サーミスタを提供する。 【解決手段】 本発明の有機質正特性サーミスタは、少
なくとも2種の高分子マトリックス、低分子有機化合物
およびスパイク状の突起を有する導電性粒子を含む。高
分子マトリックスとしては、融点の異なる少なくとも2
種の熱可塑性高分子マトリックス、または、少なくとも
1種の熱可塑性高分子マトリックスと少なくとも1種の
熱硬化性高分子マトリックスとを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度センサーや過
電流保護素子として用いられ、温度上昇とともに抵抗値
が増大するPTC(positive temperature coefficient
of resistivity)特性を有する有機質正特性サーミス
タに関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性熱可塑性高分子に導電性粒子を分
散させた有機質正特性サーミスタはこの分野では公知で
あり、米国特許第3243753号明細書および同第3
351882号明細書等に開示されている。抵抗値の増
大は、結晶性高分子が融解に伴って膨張し、導電性微粒
子の導電経路を切断するためと考えられている。
【0003】有機質正特性サーミスタは、自己制御型発
熱体、過電流保護素子、温度センサー等に利用すること
ができる。これらに要求される特性としては、非動作時
の室温抵抗値が十分低いこと、室温抵抗値と動作時の抵
抗値の変化率が十分大きいこと、繰り返し動作による抵
抗値の変化が小さいことが挙げられる。
【0004】こうした要求特性を満足させるために、ワ
ックス等の低分子有機化合物を用い、バインダーとして
熱可塑性高分子をマトリックスとする有機質正特性サー
ミスタが提案されている。このような有機質正特性サー
ミスタとしては、例えば、ポリイソブチレン/パラフィ
ンワックス/カーボンブラック系(F.Bueche,J.Appl.Phy
s.,44,532,1973)、スチレン−ブタジエンラバー/パラ
フィンワックス/カーボンブラック系(F.Bueche,J.Poly
mer Sci.,11,1319,1973)、低密度ポリエチレン/パラフ
ィンワックス/カーボンブラック系(K.Ohe et al.,Jpn.
J.Appl.Phys.,10,99,1971)がある。また、特公昭62-165
23号、特公平7-109786号、同7-48396号、特開昭62-5118
4号、同62-51185号、同62-51186号、同62-51187号、特
開平1-231284号、同3-132001号、同9-27383号、同9-694
10号の各公報にも低分子有機化合物を使った有機質正特
性サーミスタを用いた自己温度制御発熱体、限流素子等
が開示されている。これらの場合は低分子有機化合物の
融解により抵抗値が増大すると考えられる。
【0005】低分子有機化合物を用いると、一般に高分
子に比べて結晶化度が高いため、昇温により抵抗が増大
する際の立ち上がりが急峻になるという利点がある。ま
た、高分子は過冷却状態を取りやすいため、通常、昇温
時に抵抗値が増大する温度より降温時に抵抗値が減少す
る温度の方が低くなるようなヒステリシスを示すが、低
分子有機化合物を用いることでこのヒステリシスを抑え
ることができる。さらには、融点の異なる低分子有機化
合物を用いれば、抵抗が増大する温度(動作温度)を簡
単に制御できる。高分子の場合、分子量や結晶化度の違
い、また、コモノマーと共重合することによって融点が
変化し、動作温度を変化させることができるが、その
際、結晶状態の変化を伴うために十分なPTC特性が得
られないことがある。これは、特に100℃以下に動作
温度を設定するときに、より顕著になる傾向がある。
【0006】しかし、上記文献に開示されている有機質
正特性サーミスタでは、導電性粒子としてカーボンブラ
ックや黒鉛が用いられているので、低い初期(室温)抵
抗と大きな抵抗変化率とを両立させていない。Jpn.J.Ap
pl.Phys.,10,99,1971には、比抵抗値(Ω・cm)が108
倍増加した例が示されているが、室温での比抵抗値は1
4Ω・cmで非常に高く、特に過電流保護素子や温度セ
ンサーに使うには実用的ではない。また、他の文献にお
ける抵抗値(Ω)あるいは比抵抗値(Ω・cm)の増加
は、いずれも10倍以下から104倍程度の範囲にあ
り、室温抵抗も十分低いものではない。
【0007】一方、低分子有機化合物と、マトリックス
として熱硬化性高分子を用いた有機質正特性サーミスタ
が、特開平2-156502号、同2-230684号、同3-132001号、
同3-205777号の各公報に開示されている。しかしなが
ら、これらも導電性粒子としてカーボンブラックや黒鉛
が用いられており、抵抗変化率はいずれも1桁以下と小
さく、室温抵抗も1Ω・cm前後で十分低いものではな
く、低い初期抵抗と大きな抵抗変化率とを両立させてい
ない。
【0008】また、低分子有機化合物を用いず、熱硬化
性高分子と導電性粒子のみで構成される有機質正特性サ
ーミスタが、特開昭55-68075号、同58-34901号、同63-1
70902号、特開平2-33881号、同9-9482号、同10-4002号
の各公報、米国特許4966729号明細書で提案されてい
る。これらにおいても、導電性粒子としてカーボンブラ
ックや黒鉛が用いられているので、0.1Ω・cm以下の
室温抵抗と5桁以上の抵抗変化率とを両立させた例はな
い。また、一般に、熱硬化性高分子と導電性粒子のみの
構成では明確な融点をもつ構成物がないため、温度−抵
抗特性における抵抗の立ち上がりが鈍くなり、特に過電
流保護素子や温度センサーの用途では満足な特性が得ら
れていないことが多い。
【0009】上記のものも含め、従来の有機質正特性サ
ーミスタでは導電性粒子としてカーボンブラックや黒鉛
が多く用いられてきたが、初期抵抗値を下げるためカー
ボンブラックの充填量を多くしたときに十分な抵抗変化
率が得られず、低い初期抵抗と大きな抵抗変化率とを両
立できないという欠点があった。また、一般の金属粒子
を導電性粒子に用いた例もあるが、同じように低い初期
抵抗と大きな抵抗変化率とを両立させることは困難であ
った。
【0010】本発明者らは、特願平9−350108号
公報において、熱可塑性高分子マトリックス、低分子有
機化合物およびスパイク状の突起を有する導電性粒子を
含む有機質正特性サーミスタを提案している。このもの
は、室温比抵抗が8×10-2Ω・cm以下で十分低く、動
作時と非動作時の抵抗変化率が11桁以上と大きく、さ
らには、温度−抵抗曲線のヒステリシスが小さい。しか
も、その動作温度は40〜100℃である。2次電池、
電気毛布、便座、車両用シート用のヒーター等の保護素
子としての用途を考えた場合、100℃超の動作温度で
は人体への危険性が大きい。人体に対しての安全性を考
えると、動作温度は100℃以下であることが必要であ
る。また、最近、有機質正特性サーミスタは、携帯電
話、パソコン等の過電流保護素子としての需要が高い
が、その使用温度は通常40〜90℃程度であり、この
面からも動作温度が40〜100℃のサーミスタが求め
られている。
【0011】しかし、このサーミスタは、特性安定性が
不十分であり、特に高温高湿下においたり、断続的に負
荷をかけると抵抗が顕著に増加する。これは、低分子有
機化合物の低い融点と低い溶融粘度(100℃で2〜1
0mm2/sec程度)とに起因し、動作時に溶融−凝固を繰
り返すうちに動作物質の低分子有機化合物の偏析等が起
こり、高分子マトリックス、低分子有機化合物および導
電性粒子の結晶状態や分散状態が変化したりして特性が
劣化すると思われる。このような特性安定性の問題は、
低分子有機化合物を動作物質にする上で重要な問題であ
る。前述のものも含めて低分子有機化合物を動作物質に
したサーミスタでは、現在のところ、十分な特性安定性
は得られておらず、また、素子が変形してしまうことも
多々ある。
【0012】なお、特開平5−47503号公報には、
結晶性重合体、具体的にはポリフッ化ビニリデンとスパ
イク状の突起を有する導電性粒子、具体的にはスパイク
状Niパウダーとからなる有機質正特性サーミスタが開
示されている。また、米国特許第5378407号明細
書にも、スパイク状の突起を有するフィラメント形状の
Niと、ポリオレフィン、オレフィン系コポリマーまた
はフルオロポリマーとからなる有機質正特性サーミスタ
が開示されている。しかしながら、これらのものでは、
低い初期抵抗と大きな抵抗変化を両立させる効果は向上
するものの、低分子有機化合物を動作物質に用いていな
いのでヒステリシスの点が不十分であり、特に温度セン
サーのような用途には適さない。また、動作時に抵抗が
増加した後さらに加熱すると、温度上昇とともに抵抗値
が減少するNTC特性(negativetemperature coeffici
ent of resistivity )を示すという問題がある。な
お、上記公報および上記明細書では、低分子有機化合物
を用いることは全く示唆されていない。しかも、これら
のものは、動作温度は100℃超である。動作温度が6
0〜70℃のものもあるが、これらは繰り返し動作によ
る特性が不安定であり、実用的でない。
【0013】また、特開平5−198403号、同5−
198404号公報には、熱硬化性樹脂とスパイク状の
突起を有する導電性粒子とを混合してなる有機質正特性
サーミスタが開示されており、9桁以上の抵抗変化率が
得られている。しかしながら、フィラー充填量を多くし
て室温抵抗値を下げると十分な抵抗変化率が得られず、
低い初期抵抗と大きな抵抗変化を両立させることは困難
である。また、熱硬化性樹脂と導電性粒子とから構成さ
れているので、抵抗増加の立ち上がりも十分急峻なもの
ではない。なお、上記公報でも、低分子有機化合物を用
いることは全く示唆されていない。
【0014】以上の通り、特に動作温度100℃以下で
良好な特性を示し、特性の安定な有機正特性サーミスタ
は、現在のところ得られていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、室温
抵抗が十分低く、動作時と非動作時の抵抗変化率が大き
く、温度−抵抗曲線のヒステリシスが小さく、動作温度
の調整が容易であり、しかも、特性安定性が高い有機質
正特性サーミスタ、さらには、100℃以下で動作する
有機質正特性サーミスタを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明により達成される。 (1) 少なくとも2種の高分子マトリックス、低分子
有機化合物およびスパイク状の突起を有する導電性粒子
を含む有機質正特性サーミスタ。 (2) 前記少なくとも2種の高分子マトリックスが、
少なくとも1種の熱可塑性高分子マトリックスと、少な
くとも1種の熱硬化性高分子マトリックスとである導電
性粒子を含む上記(1)の有機質正特性サーミスタ。 (3) 前記熱硬化性高分子マトリックスが、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレ
タン、フェノール樹脂またはシリコーン樹脂のいずれか
である上記(2)の有機質正特性サーミスタ。 (4) 前記少なくとも2種の高分子マトリックスが、
融点の異なる少なくとも2種の熱可塑性高分子マトリッ
クスである上記(1)の有機質正特性サーミスタ。 (5) 前記熱可塑性高分子マトリックスのうち、最も
融点の低いものの融点が、前記低分子有機化合物の融点
よりも15℃以上高い上記(2)〜(4)のいずれかの
有機質正特性サーミスタ。 (6) 前記熱可塑性高分子マトリックスのうち、最も
融点の低いもののメルトフローレートが1〜20g/1
0minである上記(2)〜(5)のいずれかの有機質正
特性サーミスタ。 (7) 前記熱可塑性高分子マトリックスがポリオレフ
ィンである上記(2)〜(6)のいずれかの有機質正特
性サーミスタ。 (8) 前記熱可塑性高分子マトリックスのうち、最も
融点の低いものが低密度ポリエチレンである上記(2)
〜(7)のいずれかの有機質正特性サーミスタ。 (9) 前記熱可塑性高分子マトリックスが高密度ポリ
エチレンを含む上記(4)〜(8)のいずれかの有機質
正特性サーミスタ。 (10) 前記熱可塑性高分子マトリックスのうち、最
も融点の低いものを除く熱可塑性高分子マトリックスと
最も融点の低いものとの重量比が1:4〜9:1である
上記(4)〜(9)のいずれかの有機質正特性サーミス
タ。 (11) 前記熱硬化性高分子マトリックスと前記熱可
塑性高分子マトリックスとの重量比が1:4〜9:1で
ある上記(2)、(3)または(5)〜(8)のいずれ
かの有機質正特性サーミスタ。 (12) 前記低分子有機化合物の融点が40〜200
℃である上記(1)〜(11)のいずれかの有機質正特
性サーミスタ。 (13) 前記低分子有機化合物の分子量が2,000
以下である上記(1)〜(12)のいずれかの有機質正
特性サーミスタ。 (14) 前記低分子有機化合物が石油系ワックスであ
る上記(1)〜(13)のいずれかの有機質正特性サー
ミスタ。 (15) 前記低分子有機化合物の重量が、前記高分子
マトリックスの合計重量の0.2〜2.5倍である上記
(1)〜(14)のいずれかの有機質正特性サーミス
タ。 (16) 前記スパイク状の突起を有する導電性粒子が
鎖状に連なっている上記(1)〜(15)のいずれかの
有機質正特性サーミスタ。 (17) 前記高分子マトリックス、前記低分子有機化
合物および前記スパイク状の突起を有する導電性粒子の
混合物を、ビニル基または(メタ)アクリロイル基と、
アルコキシ基とを有するシラン系カップリング剤で架橋
処理した上記(1)〜(16)のいずれかの有機質正特
性サーミスタ。 (18) 前記シラン系カップリング剤がビニルトリメ
トキシシランまたはビニルトリエトキシシランである上
記(17)の有機質正特性サーミスタ。 (19) 動作温度が100℃以下である上記(1)〜
(18)のいずれかの有機質正特性サーミスタ。
【0017】
【作用】本発明の有機質正特性サーミスタは、少なくと
も2種の高分子マトリックス、低分子有機化合物および
スパイク状の突起を有する導電性粒子を含むものであ
る。高分子マトリックスとしては、融点の異なる少なく
とも2種の熱可塑性高分子マトリックスを用いる。また
は、少なくとも1種の熱可塑性高分子マトリックスと少
なくとも1種の熱硬化性高分子マトリックスとを用い
る。
【0018】本発明では、スパイク状の突起を有する導
電性粒子を用いているので、その形状によりトンネル電
流が流れやすくなり、球状の導電性粒子と比較して低い
室温抵抗が得られる。また、導電性粒子間の間隔が球状
のものと比較して大きいため、動作時にはより大きな抵
抗変化が得られる。
【0019】また、低分子有機化合物を含有させ、この
低分子有機化合物の融解によって温度上昇とともに抵抗
値が増大するPTC特性を発現させているので、熱可塑
性高分子を動作物質とする場合に比べて温度−抵抗曲線
のヒステリシスが小さくなる。また、高分子の融点変化
を利用して動作温度を調整する場合に比べ、融点の異な
る低分子有機化合物を用いることで容易に動作温度を調
整することができる。しかも、本発明では、融点が40
〜200℃、さらに好ましくは40〜100℃の低分子
有機化合物を動作物質に用いることによって、動作温度
を200℃以下、さらに好ましくは100℃以下にする
ことができる。また、熱硬化性高分子を動作物質とする
場合と違って、動作時における抵抗の立ち上がりが急峻
である。
【0020】さらに、本発明では、少なくとも2種の高
分子マトリックスを用いる。低分子有機化合物と導電性
粒子のみの構成では、前述の通り、低分子有機化合物の
溶融粘度が低いために、動作すると素子の形状が保てな
い。高分子マトリックスを用いることにより、動作時の
低分子有機化合物の融解による流動、素子の変形等を防
ぐことができる。また、高分子マトリックスを2種以
上、具体的には、融点の異なる熱可塑性高分子マトリッ
クスを2種以上、または、1種以上の熱可塑性高分子マ
トリックスと1種以上の熱硬化性高分子マトリックスと
を用いると、特性安定性が非常に向上し、低い室温抵抗
と動作時の大きな抵抗変化とが安定して長期に渡って維
持される。特に、高温高湿加速試験や断続負荷試験にお
いて、その効果は顕著である。
【0021】本発明では、低分子有機化合物の融解に伴
う大きな体積膨張を利用して動作時の大きな抵抗変化を
得ているが、高分子マトリックスなしでは、低分子有機
化合物の溶融粘度が非常に低いために容易に流動し、一
度の動作でも素子が大きく変形してしまう。そのため、
低分子有機化合物より高い融点を有する、または、不溶
不融の架橋高分子マトリックスに低分子有機化合物を分
散して熱変形を抑制する。
【0022】ここで、素子の電気的特性は高分子マトリ
ックスの熱的な物性に大きく影響される。例えば、本発
明において高融点の熱可塑性高分子マトリックスとして
好適な高密度ポリエチレンと、低分子有機化合物と、導
電性粒子とを用いた系では、低い室温抵抗と大きな抵抗
変化が得られ、動作を繰り返してもその室温抵抗は低い
まま保たれる。しかしながら、このものは、抵抗が増加
した後さらに加熱すると、温度上昇とともに抵抗値が減
少するNTC現象を示す。また、冷却時には低分子有機
化合物の融点よりも高い温度から抵抗が減少し、温度−
抵抗曲線のヒステリシスが大きい。設定温度よりも高い
温度で抵抗値が復帰することは、特に保護素子として用
いるときに大きな問題になりうる。NTC現象は、熱可
塑性高分子と導電性粒子とを用いた系でも見られる現象
で、抵抗が増加した後電流を流し続けることにより、導
電性粒子が溶融状態のマトリックス中で再配列し、抵抗
が減少すると考えられる。冷却時に、加熱時の動作温度
よりも高い温度から抵抗値が減少するのも同じ理由と考
えられる。低分子有機化合物は高密度ポリエチレンに分
散しているが、動作時に低分子有機化合物が溶融する
と、その粘度が低いために低分子有機化合物に分散して
いた導電性粒子の再配列は容易に起こりうると思われ
る。
【0023】一方、低分子有機化合物の融点に比較的近
い低融点のポリオレフィン、例えば低密度ポリエチレン
等と、低分子有機化合物と、導電性粒子とを用いた系で
は、動作を繰り返すと室温抵抗の顕著な増加が見られ
る。低融点のポリオレフィンは、低分子有機化合物が融
解する動作時に、低分子有機化合物と融点が近いために
一部溶融してしまう。低融点ポリオレフィンは側鎖を多
く含み、また、共重合体であるため、側鎖を含まないホ
モポリマーと比較すると結晶化に要する時間が長い。そ
のため、一度溶融した後に凝固すると十分結晶化するこ
とができず、アモルファス部分を多く含み、系全体が膨
張したままになるので、動作を繰り返すと室温抵抗が徐
々に増加していくと考えられる。
【0024】本発明者らは、融点の異なる熱可塑性高分
子マトリックスを2種以上併用する、または、1種以上
の熱可塑性高分子マトリックスと1種以上の熱硬化性高
分子マトリックスとを併用することで、上記の欠点、つ
まり、抵抗増大後のNTC現象、温度−抵抗曲線のヒス
テリシス、不安定な室温抵抗が大幅に改善されることを
見いだし、特性とその安定性に優れた本発明の有機質正
特性サーミスタの発明に至った。低分子有機化合物の融
点に比較的近い低融点をもつ熱可塑性高分子マトリック
スは低分子有機化合物が溶融した直後に融解を始めるた
め、溶融成分の粘度が高くなり、導電性粒子の再配列が
抑制され、その結果、抵抗増大後のNTC現象、温度−
抵抗曲線のヒステリシスは小さくなると考えられる。ま
た、高融点の熱可塑性高分子マトリックス、または、熱
硬化性高分子マトリックスを用いることで、系全体が膨
張することが抑制されるので、長期に渡って安定して低
い室温抵抗が得られると考えられる。
【0025】なお、特開昭59-102940号、特公昭58-5879
3号、同62-25694号、特開昭54-16697号、特公平4-37557
号、同3-67322号、特開昭62-29085号、同62-181347号、
同63-307684号(特許番号第2586486号)、特公平8-12791
号、特開平4-306582号等の各公報に、2種以上の熱可塑
性高分子マトリックスを用いた有機質正特性サーミス
タ、これを用いた自己温度制御発熱体等が開示されてい
る。しかしながら、上記公報では、低分子有機化合物を
用いることは全く示唆されていない。これらのものは、
本発明と違って低分子有機化合物を動作物質に用いてい
ないので、ヒステリシスの点が不十分であり、特に温度
センサーのような用途には適さない。また、抵抗増大後
にNTC現象が見られる。しかも、導電性粒子としてカ
ーボンブラック等が用いられており、低い室温抵抗と大
きな抵抗変化率とを両立させていない。特開昭59-10294
0号では、長期に渡る抵抗安定性に優れ、繰り返し課電
による特性変化が小さいと記載されているが、室温抵抗
は高く、抵抗変化率の記載がなく、その繰り返し課電に
よる安定性も記載されていない。また、他のものも、本
発明のものと比べて、動作温度、初期(室温)抵抗、抵
抗変化率等の特性安定性、特に高温高湿試験や断続負荷
試験における特性安定性が低い。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の有機質正特性サーミスタは、融点の異な
る少なくとも2種の熱可塑性高分子マトリックス、好ま
しくは融点が40〜200℃の低分子有機化合物および
スパイク状の突起を有する導電性粒子を含むものであ
る。この明細書では、示差走査熱量測定法(DSC)に
おける吸熱ピークの終了温度を融点という。
【0027】熱可塑性高分子マトリックスは、結晶性で
も非晶性でも用いることができ、特に制限されないが、
ポリオレフィン(共重合体を含む)を用いると良好な特
性が得られるので好ましい。
【0028】本発明に用いられる熱可塑性高分子マトリ
ックスとしては、 i)ポリオレフィン(例えばポリエチレン) ii)1種または2種以上のオレフィン(例えばエチレ
ン、プロピレン)と、1種または2種以上の極性基を含
有するオレフィン性不飽和モノマーとから誘導されたモ
ノマー単位で構成されたコポリマー(例えばエチレン−
酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマ
ー)、 iii)ハロゲン系ポリマー(例えばポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロ
プロピレン、これらのコポリマー等のフッ素系ポリマ
ー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ
塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレ
ン、これらのコポリマー等の塩素系ポリマー)、 iv)ポリアミド(例えば12−ナイロン)、 v)ポリスチレン、 vi)ポリアクリロニトリル、 vii)熱可塑性エラストマー、 viii)ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イド、ポリアセタール、 ix)熱可塑性変性セルロース、 x)ポリスルホン類、 xi)ポリエチルアクリレート、ポリメチル(メタ)アク
リレート等が挙げられる。具体的には、高密度ポリエチ
レン[例えば、商品名ハイゼックス2100JP(三井
石油化学製)、商品名Marlex6003(フィリッ
プス社製)、商品名HY540(日本ポリケム製)
等]、低密度ポリエチレン[例えば、商品名LC500
(日本ポリケム製)、商品名DYNH−1(ユニオンカ
ーバイド社製)等]、中密度ポリエチレン[例えば、商
品名2604M(ガルフ社製)等]、エチレン−エチル
アクリレートコポリマー[例えば、商品名DPD616
9(ユニオンカーバイド社製)等]、エチレン−酢酸ビ
ニルコポリマー[例えば、商品名LV241(日本ポリ
ケム製)等]、エチレン−アクリル酸コポリマー[例え
ば、商品名EAA455(ダウケミカル社製)等]、ア
イオノマー[例えば、商品名ハイミラン1555(三井
・デュポンポリケミカル社製)等]、ポリフッ化ビニリ
デン[例えば、商品名Kynar461(エルフ・アト
ケム社製)等]、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエ
チレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー[例え
ば、商品名KynarADS(エルフ・アトケム社製)
等]などが挙げられる。
【0029】このような熱可塑性高分子の重量平均分子
量Mwは1万〜500万程度であることが好ましい。
【0030】本発明では、これらの熱可塑性高分子を2
種以上用いる。
【0031】熱可塑性高分子のうち、最も融点の低いも
の(低融点の熱可塑性高分子という)の融点は、低分子
有機化合物の融点よりも15℃以上、特に20〜30℃
高いことが好ましい。低融点熱可塑性高分子の融点がこ
れより高いと、低分子有機化合物の溶融時に高分子が溶
融しにくいので、溶融成分の粘度上昇の効果が低くなる
傾向がある。低融点熱可塑性高分子の融点がこれより低
いと、低分子有機化合物の融解による急激な抵抗の上昇
が鈍くなる傾向がある。高融点の熱可塑性高分子マトリ
ックス(最も融点の低いものを除く熱可塑性高分子のこ
とをいう)の融点は、低分子有機化合物の融点よりも3
0℃以上、特に40〜110℃高いことが好ましい。高
融点熱可塑性高分子の融点がこれより高いと、混練温度
が高くなるため低分子有機化合物の熱劣化が起こる可能
性がある。高融点熱可塑性高分子の融点がこれより低い
と、動作時の低分子有機化合物の融解による流動、素体
の変形等を防ぐことが難しくなる傾向がある。低融点熱
可塑性高分子の融点と高融点熱可塑性高分子の融点との
差は、20℃以上、特に20〜50℃であることが好ま
しい。また、低融点の熱可塑性高分子マトリックスの融
点は、通常、60〜130℃であることが好ましい。高
融点の熱可塑性高分子マトリックスの融点は、通常、好
ましくは80〜200℃、特に80〜150℃であるこ
とが好ましい。
【0032】また、低融点の熱可塑性高分子マトリック
スのASTM D1238で定義されるメルトフローレート(MF
R)は、1〜20g/10min、特に1〜10g/10m
inであることが好ましい。MFRが1〜20g/10mi
nの高分子を用いることによって、低分子有機化合物が
溶融するとき(動作時)の溶融成分の粘度を高くし、導
電性粒子の再配列を抑制するため、特性安定化の効果が
大きい。MFRがこれより大きいと、低分子有機化合物
の溶融時の溶融成分の粘度を十分高くすることが困難に
なり、高分子マトリックス、低分子有機化合物および導
電性粒子の分散状態等が変化しやすくなる傾向がある。
MFRがこれより小さいと、低分子有機化合物の溶融時
の溶融成分の粘度が高くなりすぎ、本発明の効果が失わ
れてくる他、高分子マトリックス、低分子有機化合物お
よび導電性粒子の分散が困難になる傾向がある。
【0033】低融点の熱可塑性高分子マトリックスとし
ては、低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニルコポ
リマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチル
アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のオ
レフィン系コポリマーが好ましく、特に低密度ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ア
クリル酸コポリマー、中でも低密度ポリエチレンが好ま
しい。
【0034】高融点の熱可塑性高分子マトリックスとし
ては、適当な融点、溶融粘度を有するので、高密度ポリ
エチレンを用いることが特に好ましい。
【0035】高密度ポリエチレンのASTM D1238で定義さ
れるメルトフローレート(MFR)は、3.0g/10
min以下、特に1.5g/10min以下が好ましい。MF
Rがこれより高いと、溶融粘度が低すぎて、特性の安定
性に劣る傾向が見られる。MFRの下限は特にないが、
通常0.1g/10min程度である。
【0036】密度が0.910〜0.929g/cm3
ものは低密度ポリエチレンといい、0.942g/cm3
以上のものは高密度ポリエチレンという。低密度ポリエ
チレンは、高圧法、すなわち1000気圧以上の高圧ラ
ジカル重合法で製造され、エチレン基等の短鎖分岐の
他、長鎖分岐を含む。高密度ポリエチレンは、数十気圧
以下の中・低圧下、遷移金属触媒を用いて配位アニオン
重合で製造され、直鎖状である。
【0037】本発明では、融点の異なる熱可塑性高分子
マトリックス3種以上を併用してもかまわないが、MF
R3.0g/10min以下の高密度ポリエチレンとMF
R1〜20g/10minの低密度ポリエチレンやオレフ
ィン系コポリマー、好ましくは低密度ポリエチレンを用
いることが好ましい。
【0038】高融点の熱可塑性高分子マトリックスと低
融点の熱可塑性高分子マトリックスの重量比、つまり、
最も融点の低いものを除く熱可塑性高分子マトリックス
と最も融点の低いものとの重量比は、1:4〜9:1、
特に1:3〜8:1であることが好ましい。低融点熱可
塑性高分子マトリックスがこれより多いと、初期抵抗の
安定性が低下する傾向がある。低融点熱可塑性高分子マ
トリックスがこれより少ないと、抵抗増加後のNTC現
象が見られたり、温度−抵抗曲線のヒステリシスが大き
くなる傾向がある。
【0039】または、本発明の有機質正特性サーミスタ
は、少なくとも1種の熱可塑性高分子マトリックス、少
なくとも1種の熱硬化性高分子マトリックス、好ましく
は融点が40〜200℃の低分子有機化合物およびスパ
イク状の突起を有する導電性粒子を含むものである。
【0040】熱可塑性高分子については、マトリックス
として融点の異なる少なくとも2種の熱可塑性高分子を
用いる場合に説明したものと同様であり、低融点の熱可
塑性高分子と同様のものが好ましい。つまり、熱可塑性
高分子の融点は、低分子有機化合物の融点よりも15℃
以上、特に20〜30℃高いことが好ましく、熱可塑性
高分子マトリックスのASTM D1238で定義されるメルトフ
ローレート(MFR)は、1〜20g/10min、特に
1〜10g/10minであることが好ましい。熱可塑性
高分子マトリックスとしては、低密度ポリエチレンやエ
チレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸
コポリマー、ポリエチルアクリレート、ポリメチル(メ
タ)アクリレート等のオレフィン系コポリマーが好まし
く、特に低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコ
ポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、中でも低
密度ポリエチレンが好ましい。
【0041】この場合、融点の異なる熱可塑性高分子マ
トリックス2種以上を併用してもかまわないが、MFR
1〜20g/10minの低密度ポリエチレンやオレフィ
ン系コポリマー、好ましくは低密度ポリエチレンのみを
用いることが好ましい。
【0042】熱硬化性高分子マトリックスとしては、特
に制限されないが、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、シ
リコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0043】エポキシ樹脂は、末端に反応性のエポキシ
基をもつオリゴマー(分子量数百から一万程度)を各種
硬化剤で硬化(架橋)したものであり、ビスフェノール
Aに代表されるグリシジルエーテル型、グリシジルエス
テル型、グリシジルアミン型、脂環型に分類される。用
途によっては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂も用い
ることができる。本発明では、これらの中でも、グリシ
ジルエーテル型、中でもビスフェノールA型を用いるこ
とが好ましい。用いるエポキシ樹脂のエポキシ当量は1
00〜500程度が好ましい。硬化剤は、反応機構によ
り、重付加型、触媒型、縮合型に分類される。重付加型
は、硬化剤自身がエポキシ基や水酸基に付加するもの
で、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメル
カプタン、イソシアネート等がある。触媒型は、エポキ
シ基同士の重合触媒となるもので、3級アミン類、イミ
ダゾール類等がある。縮合型は、水酸基との縮合で硬化
するもので、フェノール樹脂、メラミン樹脂等がある。
本発明では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化剤
としては、重付加型、特にポリアミン系および酸無水物
を用いることが好ましい。硬化条件は適宜決めればよ
い。
【0044】このようなエポキシ樹脂、硬化剤は市販さ
れており、例えば、油化シェルエポキシ社製エピコート
(樹脂)、エピキュア、エポメート(硬化剤)、チバガ
イギー社製アラルダイト等がある。
【0045】不飽和ポリエステル樹脂は、主に不飽和二
塩基酸もしくは二塩基酸と多価アルコールとを主体とし
たポリエステル(分子量1000〜5000程度)を架
橋の働きをするビニルモノマーに溶解したもので、過酸
化ベンゾイル等の有機過酸化物を重合開始剤として硬化
させて得られる。必要に応じて重合促進剤を併用して硬
化してもよい。本発明で用いる不飽和ポリエステルの原
料としては、不飽和二塩基酸としては無水マレイン酸、
フマル酸が好ましく、二塩基酸としては無水フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、多価アルコー
ルとしてはプロピレングリコール、エチレングリコール
が好ましい。ビニルモノマーとしてはスチレン、ジアリ
ルフタレート、ビニルトルエンが好ましい。ビニルモノ
マーの配合量は適宜決めればよいが、通常、フマル酸残
基1molに対して1.0〜3.0mol程度である。また、
合成工程におけるゲル化防止、硬化特性の調節等のため
にキノン類、ヒドロキノン類等の公知の重合禁止剤が添
加される。硬化条件は適宜決めればよい。
【0046】このような不飽和ポリエステル樹脂は市販
されており、例えば、日本触媒製エポラック、日立化成
製ポリセット、大日本インキ化学工業製ポリライト等が
ある。
【0047】ポリイミドは、製造方法により縮合型と付
加型とに大別されるが、付加重合型ポリイミドのビスマ
レイミド型ポリイミドが好ましい。ビスマレイミド型ポ
リイミドは、単独重合、他の不飽和結合との反応、芳香
族アミン類とのマイケル付加反応あるいはジエン類との
Diels-Alder反応等を利用して硬化できる。本発明で
は、特に、ビスマレイミドと芳香族ジアミン類との付加
反応によって得られるビスマレイミド系ポリイミド樹脂
が好ましい。芳香族ジアミン類としては、ジアミノジフ
ェニルメタン等が挙げられる。その合成・硬化条件は適
宜決めればよい。
【0048】このようなポリイミドは市販されており、
例えば、東芝ケミカル社製イミダロイ、チバガイギー社
製ケルイミド等がある。
【0049】ポリウレタンは、ポリイソシアネートとポ
リオールの重付加反応で得られる。ポリイソシアネート
としては、芳香族系と脂肪族系とがあるが、芳香族系が
好ましく、2,4−または2,6−トリレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタリ
ンジイソシアネート等が好ましく用いられる。ポリオー
ルには、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポ
リオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオー
ル等があるが、ポリプロピレングリコールが好ましい。
触媒には、アミン系(トリエチレンジアミン等の3級ア
ミン系とアミン塩)でもよいが、ジブチルチンジラウレ
ート、スタナスオクトエート等の有機金属系を用いるこ
とが好ましい。その他に、多価アルコール、多価アミン
等の架橋剤等を副資材として併用してもよい。合成・硬
化条件は適宜決めればよい。
【0050】このようなポリウレタンは市販されてお
り、例えば、住友バイエルウレタン社製スミジュール、
三井東圧化学社製NPシリーズ、日本ポリウレタン社製
コロネート等がある。
【0051】フェノール樹脂は、フェノールとホルムア
ルデヒド等のアルデヒドとを反応させて得られ、合成条
件によってノボラック型とレゾール型とに大別される。
酸性触媒下で生成するノボラック型はヘキサメチレンテ
トラミン等の架橋剤とともに加熱することで硬化し、塩
基性触媒下で生成するレゾール型はそれ単独で加熱また
は酸触媒存在下で硬化する。本発明では、どちらを用い
てもよい。合成・硬化条件は適宜決めればよい。
【0052】このようなフェノール樹脂は市販されてお
り、例えば、住友ベークライト社製スミコン、日立化成
製スタンドライト、東芝ケミカル社製テコライト等があ
る。
【0053】シリコーン樹脂は、シロキサン結合の繰り
返しからなり、主にオルガノハロシランの加水分解や重
縮合から得られるシリコーン樹脂、また、アルキッド変
性、ポリエステル変性、アクリル変性、エポキシ変性、
フェノール変性、ウレタン変性、メラミン変性等の各変
性シリコーン樹脂、線状のポリジメチルシロキサンやそ
の共重合体を有機過酸化物等で架橋したシリコーンゴ
ム、室温硬化(RTV)可能な縮合および付加型のシリ
コーンゴム等がある。
【0054】このようなシリコーン樹脂は市販されてお
り、例えば、信越化学製、東レダウコーニング製、東芝
シリコーン製の各種シリコーンゴム、シリコーンレジン
等がある。
【0055】用いる熱硬化製樹脂は、所望の性能、用途
に応じて適宜選択することができるが、中でも、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を用いることが好まし
い。また、2種以上を用いて相互に反応させた重合物で
あってもよい。
【0056】熱硬化性高分子マトリックスと熱可塑性高
分子マトリックスの重量比は、1:4〜9:1、特に
1:3〜8:1であることが好ましい。熱可塑性高分子
マトリックスがこれより多いと、初期抵抗の安定性が低
下する傾向がある。熱可塑性高分子マトリックスがこれ
より少ないと、高温高湿下での安定性が悪くなる傾向が
ある。
【0057】高分子マトリックスは上記のような熱可塑
性樹脂(架橋していてもよい)、熱硬化性樹脂で構成さ
れることが好ましいが、場合によってはエラストマーを
含んでいてもよい。
【0058】本発明に用いる低分子有機化合物は、分子
量が2000程度まで、好ましくは1000程度まで、
さらに好ましくは200〜800の結晶性物質であれば
特に制限はないが、常温(25℃程度の温度)で固体で
あるものが好ましい。
【0059】低分子有機化合物としては、ワックス(具
体的には、パラフィンワックスやマイクロクリスタリン
ワックス等の石油系ワックス、植物系ワックス、動物系
ワックス、鉱物系ワックスのような天然ワックス等)、
油脂(具体的には、脂肪または固体脂と称されるもの)
などがある。ワックスや油脂の成分は、炭化水素(具体
的には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素
等)、脂肪酸(具体的には、炭素数12以上のアルカン
系の直鎖炭化水素の脂肪酸等)、脂肪酸エステル(具体
的には、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコー
ル等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチ
ルエステル等)、脂肪酸アミド(具体的には、オレイン
酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド
等)、脂肪族アミン(具体的には、炭素数16以上の脂
肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素
数16以上のn−アルキルアルコール)、塩化パラフィ
ンなどであるが、これら自体を単独で、もしくは併用し
て低分子有機化合物として用いることができる。低分子
有機化合物は、各成分の分散を良好にするために、高分
子マトリックスの極性を考慮して適宜選択すればよい。
低分子有機化合物としては石油系ワックスが好ましい。
【0060】これらの低分子有機化合物は、市販されて
おり、市販品をそのまま用いることができる。
【0061】本発明では、動作温度が好ましくは200
℃以下、さらに好ましくは100℃以下であるサーミス
タを目的としているため、低分子有機化合物としては、
融点mpが40〜200℃、さらに好ましくは40〜1
00℃であるものを用いることが好ましい。このような
ものとしては、パラフィンワックス(例えば、テトラコ
サンC2450;mp49〜52℃、ヘキサトリアコンタ
ンC3674;mp73℃、商品名HNP−10(日本精
蝋社製);mp75℃、HNP−3(日本精蝋社製);
mp66℃など)、マイクロクリスタリンワックス(例
えば、商品名Hi−Mic−1080(日本精蝋社
製);mp83℃、Hi−Mic−1045(日本精蝋
社製);mp70℃、Hi−Mic2045(日本精蝋
社製);mp64℃、Hi−Mic3090(日本精蝋
社製);mp89℃、セラッタ104(日本石油精製社
製);mp96℃、155マイクロワックス(日本石油
精製社製);mp70℃など)、脂肪酸(例えば、ベヘ
ン酸(日本精化製);mp81℃、ステアリン酸(日本
精化製);mp72℃、パルミチン酸(日本精化製);
mp64℃など)、脂肪酸エステル(例えば、アラキン
酸メチルエステル(東京化成製);mp48℃など)、
脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド(日本精化
製);mp76℃)などがある。また、ポリエチレンワ
ックス(例えば商品名三井ハイワックス110(三井石
油化学工業社製);mp100℃)、ステアリン酸アミ
ド(mp109℃)、ベヘン酸アミド(mp111
℃)、N−N’−エチレンビスラウリン酸アミド(mp
157℃)、N−N’−ジオレイルアジピン酸アミド
(mp119℃)、N−N’−ヘキサメチレンビス−1
2−ヒドロキシステアリン酸アミド(mp140℃)な
どもある。また、パラフィンワックスに樹脂類を配合し
た配合ワックスやこの配合ワックスにマイクロクリスタ
リンワックスを混合したものであって融点を40〜20
0℃にしたものも好ましく用いることができる。
【0062】低分子有機化合物は、動作温度等によって
1種あるいは2種以上を選択して用いることができる。
【0063】低分子有機化合物の重量は、高分子マトリ
ックス(硬化剤等も含む)の合計重量の0.2〜4倍、
特に0.2〜2.5倍であることが好ましい。この混合
比が小さくなって低分子有機化合物の量が少なくなる
と、抵抗変化率が十分得られにくくなってくる。反対に
混合比が大きくなって低分子有機化合物の量が多くなる
と、低分子化合物が溶融する際に素体が大きく変形する
他、導電性粒子との混合が困難になってくる。
【0064】本発明の有機質正特性サーミスタは、示差
走査熱量測定法(DSC)で、用いた熱可塑性高分子マ
トリックスそれぞれの融点付近と低分子有機化合物の融
点付近とに吸熱ピークが見られる。このことにより、高
融点熱可塑性高分子マトリックスと低融点熱可塑性高分
子マトリックスと低分子有機化合物とが、または、熱硬
化性高分子マトリックスと熱可塑性高分子マトリックス
と低分子有機化合物とが独立に分散して存在する海島構
造をしていると考えられる。
【0065】本発明に用いるスパイク状の突起を有する
導電性粒子は、1個、1個が鋭利な突起をもつ一次粒子
から形成されており、粒径の1/3〜1/50の高さの
円錘状のスパイク状の突起が1個の粒子に複数(通常1
0〜500個)存在するものである。その材質は金属、
特にNi等が好ましい。
【0066】このような導電性粒子は、1個、1個が個
別に存在する粉体であってもよいが、一次粒子が10〜
1000個程度鎖状に連なり二次粒子を形成しているこ
とが好ましい。鎖状のものには、一部一次粒子が存在し
てもよい。前者の例としては、スパイク状の突起をもつ
球状のニッケルパウダがあり、商品名INCO Typ
e 123ニッケルパウダ(インコ社製)として市販さ
れており、その平均粒径は3〜7μm 程度、見かけの密
度は1.8〜2.7g/cm3程度、比表面積は0.34
〜0.44m2/g程度である。
【0067】また、好ましく用いられる後者の例として
は、フィラメント状ニッケルパウダがあり、商品名IN
CO Type 210、255、270、287ニッ
ケルパウダ(インコ社製)として市販されており、この
うちINCO Type 255、287が好ましい。
そして、その一次粒子の平均粒径は、好ましくは0.1
μm 以上、より好ましくは0.5以上4.0μm以下程
度である。これらのうち、一次粒子の平均粒径は1.0
以上4.0μm以下が最も好ましく、これに平均粒径
0.1μm 以上1.0μm未満のものを50重量%以下
混合してもよい。また、見かけの密度は0.3〜1.0
g/cm3程度、比表面積は0.4〜2.5m 2/g程度で
ある。
【0068】なお、この場合の平均粒径はフィッシュー
・サブシーブ法で測定したものである。
【0069】このような導電性粒子については、特開平
5−47503号公報、米国特許第5378407号明
細書に記載されている。
【0070】また、スパイク状の突起を有する導電性粒
子の他に、補助的に導電性を付与するための導電性粒子
として、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、
金属被覆カーボンブラック、グラファイト化カーボンブ
ラック、金属被覆炭素繊維等の炭素系導電性粒子、球
状、フレーク状、繊維状等の金属粒子、異種金属被覆金
属(銀コートニッケル等)粒子、炭化タングステン、窒
化チタン、窒化ジルコニウム、炭化チタン、ホウ化チタ
ン、ケイ化モリブデン等のセラミック系導電性粒子、ま
た、特開平8−31554号、同9−27383号公報
に記載されている導電性チタン酸カリウムウィスカー等
を添加してもよい。このような導電性粒子は、スパイク
状の突起を有する導電性粒子の25重量%以下とするこ
とが好ましい。
【0071】導電性粒子の重量は、高分子マトリックス
と低分子有機化合物の合計重量(硬化剤等を含む有機成
分の合計重量)の1.5〜5倍であることが好ましい。
この混合比が小さくなって導電性粒子の量が少なくなる
と、非動作時の室温抵抗を十分低くすることができなく
なってくる。反対に導電性粒子の量が多くなると、大き
な抵抗変化率が得られにくくなり、また、均一な混合が
困難になって安定した特性が得られにくくなってくる。
【0072】次に、本発明の有機質正特性サーミスタの
製造方法について説明する。熱可塑性高分子マトリック
スと低分子有機化合物と導電性粒子との混練は公知の方
法により行えばよく、最も融点の高い熱可塑性高分子マ
トリックスの融点以上の温度、好ましくは融点より5〜
40℃高い温度で、ミルやロール等により5〜90分間
程度混練すればよい。また、あらかじめ熱可塑性高分子
と低分子有機化合物とを溶融混合または溶媒中で溶解し
混合してもよい。溶液法で熱可塑性高分子マトリックス
と低分子有機化合物と導電性粒子とを混合する場合、熱
可塑性高分子マトリックスおよび低分子有機化合物の1
種以上が溶解する溶媒を用い、残りの熱可塑性高分子マ
トリックスおよび低分子有機化合物と導電性粒子とをこ
の溶液中に分散させればよい。
【0073】混練物は、所定の厚さのシート形状にプレ
ス成型する。成型は、注入法、押し出し法等で行えばよ
い。成型後に、必要に応じて架橋処理を施してもよい。
架橋方法は、放射線架橋、有機過酸化物による化学架
橋、シラン系カップリング剤をグラフト化しシラノール
基を縮合反応する水架橋等があるが、水架橋を行うこと
が好ましい。最後に、Cu、Ni等の金属電極を熱圧着
したり、導電性ペースト等を塗布してサーミスタ素子と
する。また、プレス成型と電極形成とを同時に行っても
よい。
【0074】本発明では、熱可塑性高分子マトリックス
と低分子有機化合物と導電性粒子との混合物を、ビニル
基または(メタ)アクリロイル基と、アルコキシ基とを
有するシラン系カップリング剤で架橋処理することが好
ましい。これにより、保存時、繰り返し動作時の特性安
定性が著しく向上する。
【0075】高分子マトリックスと低分子有機化合物と
を架橋構造にすることにより、高分子マトリックスで形
状を保持し、動作時に溶融−凝固を繰り返す低分子有機
化合物の凝集、偏析を抑制し、有機質正特性サーミスタ
の特性安定性が向上すると考えられる。また、カップリ
ング剤は、上記の有機マトリックスの架橋だけではな
く、有機−無機材料の間に化学結合を形成し、その界面
の改質に大きな効果を示すと考えられている。高分子マ
トリックス、低分子有機化合物および導電性粒子の混合
物をシラン系カップリング剤で処理することにより、高
分子マトリックス−導電性粒子の界面、低分子有機化合
物−導電性粒子の界面、高分子マトリックス−金属電極
の界面、低分子有機化合物−金属電極の界面、低融点高
分子マトリックス−高融点高分子マトリックスの界面を
強固にし、さらに特性の安定性向上に寄与していると考
えられる。
【0076】本発明では、カップリング剤は、炭素の二
重結合(C=C)を有する基を介して高分子マトリック
スおよび低分子有機化合物にグラフト化され、その後、
水の存在下で脱アルコール、脱水縮合により架橋され
る。その反応式を下記に示す。
【0077】
【化1】
【0078】シラン系カップリング剤は、脱アルコール
および脱水により縮合可能であり、無機酸化物と化学結
合可能なアルコキシ基と、有機材料と親和性をもつか、
化学結合するビニル基または(メタ)アクリロイル基と
を分子中に有する。シラン系カップリング剤としては、
C=C結合含有トリアルコキシシランが好ましい。
【0079】アルコキシ基は炭素数が少ない方が好まし
く、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。C=C結
合を含有する基は、ビニル基または(メタ)アクリロイ
ル基であり、ビニル基が好ましい。これらの基は直接S
iに結合していても、炭素数1〜3の炭素鎖を介してS
iに結合していてもよい。
【0080】シラン系カップリング剤は、常温で液体で
あるものが好ましい。
【0081】シラン系カップリング剤としては、具体的
には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好まし
い。
【0082】カップリング処理は、熱可塑性高分子マト
リックス、低分子有機化合物、導電性粒子の混練物中
に、熱可塑性高分子と低分子有機化合物の合計重量の
0.1〜5重量%のシラン系カップリング剤を滴下し、
よく混合した後、水架橋する。カップリング剤がこれよ
り少量の場合は架橋処理の効果が小さくなり、多量の場
合はその効果に変化が見られなくなってくる。ビニル基
をもつシラン系カップリング剤を用いる場合は、カップ
リング剤の5〜20重量%の有機過酸化物、例えば、
2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミ
ルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等をともに混
入させ、ビニル基を介して有機物、つまり熱可塑性高分
子と低分子有機化合物とにグラフト化を行う。シラン系
カップリング剤の添加は、熱可塑性高分子と低分子有機
化合物と導電性粒子とが十分均一に混練された後に行
う。
【0083】そして、混練物をプレス成型した後、水の
存在下で架橋処理を行う。具体的には、触媒としてジブ
チルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、
酢酸すず、オクト酸すず、オクト酸亜鉛などの金属カル
ボキシレートを用い、温水中で6〜8時間成形体を浸積
して行う。また、触媒をサーミスタ素体に混練し、高温
高湿度下において架橋を行うこともできる。触媒として
は、中でもジブチルすずジラウレートを用いることが好
ましい。架橋温度は、繰り返し動作等の特性の安定性を
高めるために、低分子有機化合物の融点以下で行うこと
が好ましい。架橋処理した後、成形体を乾燥し、Cu、
Ni等の金属電極を熱圧着したり、導電性ペースト等を
塗布すればサーミスタ素子が得られる。
【0084】熱硬化性樹脂を用いる場合、まず、所定量
の硬化前の熱硬化性樹脂、硬化剤等、熱可塑性樹脂、低
分子有機化合物およびスパイク状の突起を有する導電性
粒子を混合、分散して塗料状とする。混合・分散は既知
の方法によればよく、各種撹拌機、分散機、ミル、塗料
用ロール機等が用いられる。混合中に気泡が混入した場
合は真空脱泡を行う。粘度の調製のために、芳香族炭化
水素、ケトン類、アルコール類等各種溶媒を用いてもよ
い。これをニッケルや銅等の金属箔電極間に流し込む、
または、スクリーン印刷等の塗布によりシート状にした
ものを熱硬化性樹脂の所定の熱処理条件で硬化する。こ
のとき、比較的低温で予備硬化を行った後、高温にして
本硬化を行う方法もある。また、混合物のみをシート状
に硬化したものに導電性ペースト等を塗布して電極とし
てもよい。得られたシート成形体は所望の形状に打ち抜
いてサーミスタ素子とする。
【0085】この場合も、必要に応じて架橋処理を施し
てもよい。
【0086】また、本発明の有機質サーミスタには、本
発明の特性を損なうものでなければ各種添加剤を混入し
てもよい。例えば、高分子マトリックス、低分子有機化
合物の熱劣化を防止するために酸化防止剤を混入するこ
ともでき、フェノール類、有機イオウ類、フォスファイ
ト類(有機リン系)などが用いられる。
【0087】また、良熱導電性添加物として、特開昭5
7−12061号公報に記載されている窒化ケイ素、シ
リカ、アルミナ、粘土(雲母、タルク等)、特公平7−
77161号公報に記載されているシリコン、炭化ケイ
素、窒化ケイ素、ベリリア、セレン、特開平5−217
711号公報に記載されている無機窒化物、酸化マグネ
シウム等を添加してもよい。
【0088】耐久性向上のために、特開平5−2261
12号公報に記載されている酸化チタン、酸化鉄、酸化
亜鉛、シリカ、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化クロ
ム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウ
ム、酸化鉛、特開平6−68963号公報に記載されて
いる高比誘電率の無機固体、具体的には、チタン酸バリ
ウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム等を
添加してもよい。
【0089】耐電圧改善のために、特開平4−7438
3号公報に記載されている炭化ホウ素等を添加してもよ
い。
【0090】強度改善のために、特開平5−74603
号公報に記載されている水和チタン酸アルカリ、特開平
8−17563号公報に記載されている酸化チタン、酸
化鉄、酸化亜鉛、シリカ等を添加してもよい。
【0091】結晶核剤として、特公昭59−10553
号公報に記載されているハロゲン化アルカリ、メラミン
樹脂、特開平6−76511号公報に記載されている安
息香酸、ジベンジリデンソルビトール、安息香酸金属
塩、特開平7−6864号公報に記載されているタル
ク、ゼオライト、ジベンジリデンソルビトール、特開平
7−263127号公報に記載されているソルビトール
誘導体(ゲル化剤)、アスファルト、さらには、リン酸
ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を添加し
てもよい。
【0092】ア−ク調節制御剤としては、特公平4−2
8744号公報に記載されているアルミナ、マグネシア
水和物、特開昭61−250058号公報に記載されて
いる金属水和物、炭化ケイ素等を添加してもよい。
【0093】金属害防止剤として、特開平7−6864
号公報に記載されているイルガノックスMD1024
(チバガイギー製)等を添加してもよい。
【0094】また、難燃剤として、特開昭61−239
581号公報に記載されている三酸化二アンチモン、水
酸化アルミニウム、特開平5−74603号公報に記載
されている水酸化マグネシウム、さらには、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロ
パン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のハロゲン
を含有する有機化合物(重合体を含む)、リン酸アンモ
ニウム等のリン系化合物等を添加してもよい。
【0095】これら以外にも、硫化亜鉛、塩基性炭酸マ
グネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケ
イ酸マグネシウム、アルミノシリケート粘土(雲母、タ
ルク、カオリナイト、モンモリロナイト等)、ガラス
粉、ガラスフレーク、ガラス繊維、硫酸カルシウム等を
添加してもよい。
【0096】これらの添加剤は、高分子マトリックス、
低分子有機化合物および導電性粒子の合計重量の25重
量%以下であることが好ましい。
【0097】本発明の有機質正特性サーミスタは、非動
作時における初期抵抗が低く、その室温比抵抗値は10
-3〜10-1Ω・cm程度であり、動作時における抵抗の立
ち上がりが急峻であり、非動作時から動作時にかけての
抵抗変化率が6桁以上と大きい。また、80℃80%R
Hで500時間(東京では20年以上、那覇では10年
以上の湿度寿命)以上経過しても、断続負荷試験によっ
てもその特性の劣化はわずかである。
【0098】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに示
し、本発明を具体的に説明する。 <実施例1>高融点熱可塑性高分子マトリックスとして
高密度ポリエチレン(日本ポリケム製、商品名HY54
0;MFR1.0g/10min、融点135℃)、低融
点熱可塑性高分子マトリックスとして低密度ポリエチレ
ン(日本ポリケム製、商品名LC500;MFR4.0
g/10min、融点106℃)、低分子有機化合物とし
てパラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名HNP−
10、融点75℃)、導電性粒子としてフィラメント状
ニッケルパウダ(INCO社製、商品名Type255
ニッケルパウダ)を用いた。導電性粒子の平均粒径は
2.2〜2.8μm 、見かけの密度は0.5〜0.65
g/cm3、比表面積は0.68m2/gである。
【0099】高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン
との重量比を4:1とし、その合計重量の4倍重量のニ
ッケルパウダを加え、この混合物をミル中、150℃で
5分間混練した。そして、高密度ポリエチレンと低密度
ポリエチレンの合計重量と等重量のパラフィンワックス
と、ワックスの4倍重量のニッケルパウダとをさらに加
えて混練した。そして、シラン系カップリング剤として
有機物の合計重量の0.5重量%のビニルトリエトキシ
シラン(信越化学工業製、製品名KBE1003)と、
有機過酸化物としてシラン系カップリング剤の20重量
%の2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン(化
薬アクゾ製、製品名トリゴノックスD−T50)とを混
練物中に滴下し、さらに60分間混練した。
【0100】この混練物を150℃で厚さ1.1mmのシ
ート状に熱プレス機で成形した。そして、このシートを
ジブチルすずジラウレート(東京化成製)20重量%乳
濁水液に浸積し、65℃で8時間架橋処理を行った。
【0101】この架橋処理したシートを真空乾燥後、両
面を厚さ30μm のNi箔電極で挟み、熱プレス機を用
いて150℃でシートにNi箔を圧着し、全体で厚さ1
mmの成型品を得た。そして、これを直径1cmの円盤状に
打ち抜き、サーミスタ素子を得た。このサーミスタ素子
の断面図を図1に示す。図1に示されるように、サーミ
スタ素子はNi箔から形成された電極11間に、低分子
有機化合物と融点の異なる2種の高分子マトリックスと
導電性粒子とを含む混練成型シートであるサーミスタ素
体12を挟み込んだものである。
【0102】この素子を恒温槽内で室温(25℃)から
120℃まで2℃/minで加熱、冷却し、所定の温度
で、4端子法で抵抗値を測定して温度−抵抗曲線を得
た。この結果を図2に示す。
【0103】室温抵抗値は1.7×10-3Ω(1.3×
10-2Ω・cm)で、パラフィンワックスの融点付近で抵
抗が急激に増加し、抵抗変化率は11桁以上であった。
抵抗が増加した後、さらに120℃まで加熱を続けて
も、抵抗の減少(NTC現象)は見られなかった。ま
た、冷却時の温度−抵抗曲線は、加熱時のものと大きく
変化することなく、ヒステリシスは十分小さいものであ
った。
【0104】この素子を80℃80%RHに設定した恒
温恒湿槽に放置して加速試験を行った。500時間放置
後の素子の温度−抵抗曲線をを図3に示す。室温抵抗値
は1.8×10-3Ω(1.4×10-2Ω・cm)でほとん
ど変化せず、抵抗変化率も11桁以上であり、十分なP
TC特性が保たれていた。また、抵抗増加後のNTC現
象は全く見られず、加熱時と冷却時のプロファイルの変
化が小さく、ヒステリシスは十分小さいことがわかる。
【0105】80℃80%RH、500時間の加速試験
は、絶対湿度換算で、東京では20年以上、那覇では1
0年以上の湿度寿命に相当する。絶対湿度換算につい
て、80℃80%RH条件下での寿命から25℃60%
RH条件下での寿命への計算を例にして説明する。80
℃80%RHの絶対湿度は232.5g/m3、25℃
60%RHの絶対湿度は13.8g/m3である。加速
定数は2として、次の計算式で求める。 (232.5/13.8)2≒283.85 この場合、80℃80%RH条件下での寿命が500hr
であれば、25℃60%RH条件下での寿命は 500hr×283.85=141925hr≒5914日
≒16.2年 となる。東京、那覇の湿度は、月々の平均相対湿度を絶
対湿度換算し、その合計を年間の湿度とした。
【0106】また、この素子に10A−5VDCの電流
を印加し、ジュール熱で10秒間動作させ(on状態)、
30秒間電流を切る(off状態)ことによって断続負荷
試験を行った。500回後の素子の温度−抵抗曲線をを
図4に示す。室温抵抗値は3.9×10-3Ω(3.1×
10-2Ω・cm)でほとんど変化せず、抵抗変化率も11
桁以上であり、十分なPTC特性が保たれていた。ま
た、抵抗増加後のNTC現象は全く見られず、加熱時と
冷却時のプロファイルの変化が小さく、ヒステリシスは
十分小さいものであった。
【0107】<実施例2>低融点熱可塑性高分子マトリ
ックスとしてエチレン−酢酸ビニルコポリマー(日本ポ
リケム製、商品名LV241;酢酸ビニル含有量8.0
wt%、MFR1.5g/10min、融点99℃)を用
い、高密度ポリエチレン:エチレン−酢酸ビニルコポリ
マー=7:3(重量比)とした他は実施例1と同様にし
てサーミスタ素子を得た。そして、実施例1と同様にし
て温度−抵抗曲線を得、加速試験、断続負荷試験を行っ
た。
【0108】この素子の初期の室温抵抗値は5.0×1
-3Ω(3.9×10-2Ω・cm)で、パラフィンワック
スの融点付近で抵抗が急激に増加し、抵抗変化率は11
桁以上であった。抵抗が増加した後、さらに120℃ま
で加熱を続けても、抵抗の減少(NTC現象)は見られ
なかった。また、冷却時の温度−抵抗曲線は、加熱時の
ものと大きく変化することなく、ヒステリシスは十分小
さいものであった。
【0109】80℃80%RH加速試験では、500時
間後の室温抵抗値は6.5×10-3Ω(5.1×10-2
Ω・cm)でほとんど変化せず、抵抗変化率も11桁以上
であり、十分なPTC特性が保たれていた。また、抵抗
増加後のNTC現象は全く見られず、ヒステリシスは十
分小さいものであった。
【0110】断続負荷試験では、500回後の室温抵抗
値は7.2×10-3Ω(5.7×10-2Ω・cm)でほと
んど変化せず、抵抗変化率も11桁以上であり、十分な
PTC特性が保たれていた。また、抵抗増加後のNTC
現象は全く見られず、ヒステリシスは十分小さいもので
あった。
【0111】<実施例3>低融点熱可塑性高分子マトリ
ックスとしてアイオノマー(三井・デュポンポリケミカ
ル社製、商品名ハイミラン1555;MFR10g/1
0min、融点96℃)を用いた他は実施例2と同様にし
てサーミスタ素子を得た。そして、実施例1と同様にし
て温度−抵抗曲線を得、加速試験、断続負荷試験を行っ
た。
【0112】この素子の初期の室温抵抗値は5.5×1
-3Ω(4.3×10-2Ω・cm)で、パラフィンワック
スの融点付近で抵抗が急激に増加し、抵抗変化率は11
桁以上であった。抵抗が増加した後、さらに120℃ま
で加熱を続けても、抵抗の減少(NTC現象)は見られ
なかった。また、冷却時の温度−抵抗曲線は、加熱時の
ものと大きく変化することなく、ヒステリシスは十分小
さいものであった。
【0113】80℃80%RH加速試験では、500時
間後の室温抵抗値は7.0×10-3Ω(5.5×10-2
Ω・cm)でほとんど変化せず、抵抗変化率も11桁以上
であり、十分なPTC特性が保たれていた。また、抵抗
増加後のNTC現象は全く見られず、ヒステリシスは十
分小さいものであった。
【0114】断続負荷試験では、500回後の室温抵抗
値は8.4×10-3Ω(6.6×10-2Ω・cm)でほと
んど変化せず、抵抗変化率も11桁以上であり、十分な
PTC特性が保たれていた。また、抵抗増加後のNTC
現象は全く見られず、ヒステリシスは十分小さいもので
あった。
【0115】<実施例4>低分子有機化合物としてマイ
クロクリスタリンワックス(日本精蝋社製、Hi−Mi
c−1080;融点83℃)を用い、高密度ポリエチレ
ンと低密度ポリエチレンの合計重量の1.5倍重量加え
た他は実施例1と同様にしてサーミスタ素子を得た。そ
して、実施例1と同様にして温度−抵抗曲線を得、加速
試験、断続負荷試験を行った。
【0116】この素子の初期の室温抵抗値は3.2×1
-3Ω(2.5×10-2Ω・cm)で、マイクロクリスタ
リンワックスの融点付近で抵抗が急激に増加し、抵抗変
化率は8.0桁であった。抵抗が増加した後、さらに1
20℃まで加熱を続けても、抵抗の減少(NTC現象)
は見られなかった。また、冷却時の温度−抵抗曲線は、
加熱時のものと大きく変化することなく、ヒステリシス
は十分小さいものであった。
【0117】80℃80%RH加速試験では、500時
間後の室温抵抗値は5.5×10-3Ω(4.3×10-2
Ω・cm)、抵抗変化率は7.5桁でほとんど変化せず、
十分なPTC特性が保たれていた。また、抵抗増加後の
NTC現象は全く見られず、ヒステリシスは十分小さい
ものであった。
【0118】断続負荷試験では、500回後の室温抵抗
値は6.2×10-3Ω(4.9×10-2Ω・cm)、抵抗
変化率は7.6桁でほとんど変化せず、十分なPTC特
性が保たれていた。また、抵抗増加後のNTC現象は全
く見られず、ヒステリシスは十分小さいものであった。
【0119】<比較例1>高密度ポリエチレンと、高密
度ポリエチレンの1.5倍重量のパラフィンワックス
と、高密度ポリエチレンとパラフィンワックスの合計重
量の4倍重量のニッケルパウダとを混練し、実施例1と
同様にしてサーミスタ素子を得た。そして、実施例1と
同様にして温度−抵抗曲線を得、加速試験、断続負荷試
験を行った。
【0120】この素子の温度−抵抗曲線を図5に示す。
初期の室温抵抗値は4.6×10-4Ω(3.6×10-3
Ω・cm)で、パラフィンワックスの融点付近で抵抗が急
激に増加し、抵抗変化率は約11桁であった。抵抗が増
加した後、さらに120℃まで加熱を続けたところ、大
きく抵抗が減少し、NTC現象が見られた。また、冷却
時には、加熱時の動作温度より約40℃高い温度から抵
抗の減少が起こり、大きなヒステリシスが見られた。
【0121】80℃80%RH加速試験では、室温抵抗
の増加は小さかったが、500時間後の抵抗変化率は約
3桁に減少し、大幅な特性劣化が見られた。
【0122】断続負荷試験では、室温抵抗の増加は小さ
かったが、500回後の抵抗変化率は約8桁に減少し、
大幅な特性劣化が見られた。
【0123】<比較例2>高密度ポリエチレンの代わり
に低密度ポリエチレンを用いた他は比較例1と同様にし
てサーミスタ素子を得た。そして、実施例1と同様にし
て温度−抵抗曲線を得、加速試験、断続負荷試験を行っ
た。
【0124】この素子の初期の室温抵抗値は3.0×1
-3Ω(2.4×10-2Ω・cm)で、パラフィンワック
スの融点付近で抵抗が急激に増加し、抵抗変化率は11
桁以上であった。
【0125】80℃80%RH加速試験では、100時
間後の室温抵抗値は7.0×10-1Ω(5.5Ω・cm)
に増加し、大幅な特性劣化が見られた。
【0126】実施例1〜4、比較例1、2の素子の初
期、加速試験後、断続負荷試験後の室温抵抗値、抵抗変
化率、初期のNTC現象およびヒステリシスの有無を表
1にまとめる。NTC現象およびヒステリシスは、 ○:NTC現象無し、ヒステリシス小さい、 ×:NTC現象有り、ヒステリシス大きい、 で評価した。
【0127】
【表1】
【0128】<実施例5>熱硬化性高分子マトリックス
としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエ
ポキシ社製、商品名エピコート801)、変性アミン系
硬化剤(油化シェルエポキシ社製、商品名エポメートB
002)、熱可塑性高分子マトリックスとして低密度ポ
リエチレン(日本ポリケム製、商品名LC500;MF
R4.0g/10min、融点106℃)、低分子有機化
合物としてパラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名
HNP−10、融点75℃)、導電性粒子としてフィラ
メント状ニッケルパウダ(INCO社製、商品名Typ
e255ニッケルパウダ)を用いた。導電性粒子の平均
粒径は2.2〜2.8μm 、見かけの密度は0.5〜
0.65g/cm3、比表面積は0.68m2/gである。
【0129】ビスフェノールA型エポキシ樹脂20g 、
変性アミン系硬化剤10g 、低密度ポリエチレン8g 、
パラフィンワックス38g 、ニッケルパウダ300g 、
トルエン30mlを遠心式分散機で約10分混合した。そ
して、得られた塗料状の混合物を厚さ30μm のNi箔
の電極の片面に塗布した後、もう一枚のNi箔電極で挟
み込み、真鍮板に挟んでスペーサーを用いて全体で厚さ
1mmとし、熱プレス機で加圧した状態で80℃で3時間
加熱硬化させた。この電極が熱圧着されたシート状硬化
物を直径1cmの円盤状に打ち抜き、有機質正特性サーミ
スタ素子を得た。そして、実施例1と同様にして温度−
抵抗曲線を得、加速試験、断続負荷試験を行った。
【0130】この素子の初期の室温抵抗値は8.2×1
-3Ω(6.9×10-2Ω・cm)で、パラフィンワック
スの融点付近で抵抗が急激に増加し、抵抗変化率は8.
2桁であった。抵抗が増加した後、さらに120℃まで
加熱を続けても、抵抗の減少(NTC現象)は見られな
かった。また、冷却時の温度−抵抗曲線は、加熱時のも
のと大きく変化することなく、ヒステリシスは十分小さ
いものであった。
【0131】80℃80%RH加速試験では、500時
間後の室温抵抗値は8.8×10-3Ω(6.9×10-2
Ω・cm)でほとんど変化せず、抵抗変化率も7桁以上で
あり、十分なPTC特性が保たれていた。また、抵抗増
加後のNTC現象はほとんど見られず、ヒステリシスは
十分小さいものであった。
【0132】断続負荷試験では、500回後の室温抵抗
値は7.8×10-3Ω(6.1×10-2Ω・cm)でほと
んど変化せず、抵抗変化率も7桁以上であり、十分なP
TC特性が保たれていた。また、抵抗増加後のNTC現
象は全く見られず、ヒステリシスは十分小さいものであ
った。
【0133】<実施例6>実施例5において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、不飽和ポリエ
ステル樹脂(日本触媒製、商品名G−110AL)30
g 、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ
製、商品名カドックスB−75W)0.3g を用い、8
0℃で30分間加熱硬化させた他は、実施例5と同様に
してサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行ったとこ
ろ、実施例5のサーミスタ素子と同等の結果が得られ
た。
【0134】<実施例7>実施例5において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、ポリアミノビ
スマレイミドプレポリマー(チバガイギー製、商品名ケ
ルイミドB601)20g 、ジメチルホルムアミド10
g を用い、150℃で1時間、180℃で3時間硬化さ
せた他は、実施例5と同様にしてサーミスタ素子を作製
し、同様に評価を行ったところ、実施例5のサーミスタ
素子と同等の結果が得られた。
【0135】<実施例8>実施例5において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、ポリウレタン
(日本ポリウレタン工業製、商品名コロネート)30g
を用い、100℃で1時間硬化させた他は、実施例5と
同様にしてサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行っ
たところ、実施例5のサーミスタ素子と同等の結果が得
られた。
【0136】<実施例9>実施例5において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、フェノール樹
脂(住友ベークライト製、商品名スミコンPM)30g
を用い、120℃で3時間硬化させた他は、実施例5と
同様にしてサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行っ
たところ、実施例5のサーミスタ素子と同等の結果が得
られた。
【0137】<実施例10>実施例5において、熱硬化
性高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、シリコーン
ゴム(東芝シリコーン製、商品名TSE3221)30
g を用い、100℃で1時間硬化させた他は、実施例5
と同様にしてサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行
ったところ、実施例5のサーミスタ素子と同等の結果が
得られた。
【0138】<実施例11>実施例5において、熱可塑
性高分子マトリックスとして、低密度ポリエチレンの代
わりに、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(日本ポリケ
ム製、商品名LV241;酢酸ビニル含有量8.0wt
%、MFR1.5g/10min、融点99℃)8g を用
いた他は、実施例5と同様にしてサーミスタ素子を作製
し、同様に評価を行ったところ、実施例5のサーミスタ
素子と同様の結果が得られた。
【0139】<実施例12>実施例5において、熱可塑
性高分子マトリックスとして、低密度ポリエチレンの代
わりに、アイオノマー(三井・デュポンポリケミカル社
製、商品名ハイミラン1555;MFR10g/10mi
n、融点96℃)8g を用いた他は、実施例5と同様に
してサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行ったとこ
ろ、実施例5のサーミスタ素子と同様の結果が得られ
た。
【0140】
【発明の効果】本発明によれば、室温抵抗が十分低く、
動作時と非動作時の抵抗変化率が大きく、温度−抵抗曲
線のヒステリシスが小さく、動作温度の調整が容易であ
り、しかも、特性安定性が高い有機質正特性サーミス
タ、さらには、100℃以下で動作する有機質正特性サ
ーミスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機質正特性サーミスタ素子の概略断面図であ
る。
【図2】実施例1のサーミスタ素子の温度−抵抗曲線で
ある。
【図3】実施例1のサーミスタ素子の80℃80%RH
加速試験後の温度−抵抗曲線である。
【図4】実施例1のサーミスタ素子の断続負荷試験後の
温度−抵抗曲線である。
【図5】比較例1のサーミスタ素子の温度−抵抗曲線で
ある。
【符号の説明】
11 電極 12 サーミスタ素体

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種の高分子マトリックス、
    低分子有機化合物およびスパイク状の突起を有する導電
    性粒子を含む有機質正特性サーミスタ。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも2種の高分子マトリック
    スが、少なくとも1種の熱可塑性高分子マトリックス
    と、少なくとも1種の熱硬化性高分子マトリックスとで
    ある導電性粒子を含む請求項1の有機質正特性サーミス
    タ。
  3. 【請求項3】 前記熱硬化性高分子マトリックスが、エ
    ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポ
    リウレタン、フェノール樹脂またはシリコーン樹脂のい
    ずれかである請求項2の有機質正特性サーミスタ。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも2種の高分子マトリック
    スが、融点の異なる少なくとも2種の熱可塑性高分子マ
    トリックスである請求項1の有機質正特性サーミスタ。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性高分子マトリックスのう
    ち、最も融点の低いものの融点が、前記低分子有機化合
    物の融点よりも15℃以上高い請求項2〜4のいずれか
    の有機質正特性サーミスタ。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性高分子マトリックスのう
    ち、最も融点の低いもののメルトフローレートが1〜2
    0g/10minである請求項2〜5のいずれかの有機質
    正特性サーミスタ。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性高分子マトリックスがポリ
    オレフィンである請求項2〜6のいずれかの有機質正特
    性サーミスタ。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性高分子マトリックスのう
    ち、最も融点の低いものが低密度ポリエチレンである請
    求項2〜7のいずれかの有機質正特性サーミスタ。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性高分子マトリックスが高密
    度ポリエチレンを含む請求項4〜8のいずれかの有機質
    正特性サーミスタ。
  10. 【請求項10】 前記熱可塑性高分子マトリックスのう
    ち、最も融点の低いものを除く熱可塑性高分子マトリッ
    クスと最も融点の低いものとの重量比が1:4〜9:1
    である請求項4〜9のいずれかの有機質正特性サーミス
    タ。
  11. 【請求項11】 前記熱硬化性高分子マトリックスと前
    記熱可塑性高分子マトリックスとの重量比が1:4〜
    9:1である請求項2、3または5〜8のいずれかの有
    機質正特性サーミスタ。
  12. 【請求項12】 前記低分子有機化合物の融点が40〜
    200℃である請求項1〜11のいずれかの有機質正特
    性サーミスタ。
  13. 【請求項13】 前記低分子有機化合物の分子量が2,
    000以下である請求項1〜12のいずれかの有機質正
    特性サーミスタ。
  14. 【請求項14】 前記低分子有機化合物が石油系ワック
    スである請求項1〜13のいずれかの有機質正特性サー
    ミスタ。
  15. 【請求項15】 前記低分子有機化合物の重量が、前記
    高分子マトリックスの合計重量の0.2〜2.5倍であ
    る請求項1〜14のいずれかの有機質正特性サーミス
    タ。
  16. 【請求項16】 前記スパイク状の突起を有する導電性
    粒子が鎖状に連なっている請求項1〜15のいずれかの
    有機質正特性サーミスタ。
  17. 【請求項17】 前記高分子マトリックス、前記低分子
    有機化合物および前記スパイク状の突起を有する導電性
    粒子の混合物を、ビニル基または(メタ)アクリロイル
    基と、アルコキシ基とを有するシラン系カップリング剤
    で架橋処理した請求項1〜16のいずれかの有機質正特
    性サーミスタ。
  18. 【請求項18】 前記シラン系カップリング剤がビニル
    トリメトキシシランまたはビニルトリエトキシシランで
    ある請求項17の有機質正特性サーミスタ。
  19. 【請求項19】 動作温度が100℃以下である請求項
    1〜18のいずれかの有機質正特性サーミスタ。
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