JP4283803B2 - Ptc素子 - Google Patents

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Description

本発明は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子に関する。
PTC素子は、ある特定の温度領域に達すると抵抗値の正温度係数が急激に増大する素子である。従来、このPTC素子として、結晶性高分子からなるマトリックス樹脂(高分子マトリックス)及び金属粉末を含有するサーミスタ素体を備えたPTC素子が知られている(特許文献1)。
特開2002−164251号公報
しかし、従来のPTC素子は、製造後に長期間経過した後に熱履歴を受けると、PTC素体が劣化して室温抵抗値が大きく増大してしまうという問題があった。室温抵抗値が大きくなると非動作時と動作時との抵抗変化率が小さくなるため、PTC素子として正常に機能しない状態となり得る。
そこで、本発明は、製造後に長期間経過した後に熱履歴を受けたときのPTC素体の劣化が十分に抑制されたPTC素子を提供することを目的とする。
本発明のPTC素子は、樹脂及び導電性粒子を含んでいるPTC素体と、当該PTC素体と接している1対の電極と、エポキシ樹脂及びチオール系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物からなり、当該PTC素体が密封されるように当該PTC素体を覆っている保護層と、を備える。
従来のPTC素子においては、製造後に長期間経過すると、PTC素体中に周囲から酸素が侵入すると考えられる。そして、その状態でPTC素子が熱履歴を受けると、PTC素体中の樹脂や導電性粒子が侵入した酸素によって酸化され、この酸化によってPTC素体が劣化して室温抵抗値の増大が引き起こされると考えられる。本発明のPTC素子は、PTC素体が特定組成の保護層によって覆われて外表面に露出しないものとなっている。これによりPTC素体中への酸素の侵入が減少し、熱履歴を受けたときの樹脂や導電性粒子の酸化が防止され、その結果PTC素体の熱履歴による劣化が抑制される。そして、本発明者らの知見によれば、チオール系硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物を保護層として用いることにより、長期間経過後に熱履歴を受けたときのPTC素体の劣化が特に顕著に抑制される。
上記保護層は、PTC素体を覆うとともに1対の電極の少なくとも一部も覆うように一体的に形成されていることが好ましい。
この場合、保護層が電極とPTC素体とにまたがって形成されていることにより、電極とPTC素体との界面からの酸素の侵入が抑制されて、PTC素体の劣化防止の効果がより顕著となる。また、保護層がチオール系硬化剤を用いて形成されていることにより電極との密着性が良好であり、電極がPTC素体から剥がれることを防止する効果も奏される。
保護層の硬化物を形成しているエポキシ樹脂組成物は、アミン化合物を更に含有することが好ましい。これにより、保護層の酸素バリア性が更に向上する。
本発明のPTC素子は、製造後に長期間経過した後に熱履歴を受けたときのPTC素体の劣化が十分に抑制される。また、長期間経過後に熱履歴を受けたときの室温抵抗値の増大が十分に抑制される。
更に、本発明のPTC素子における保護層は電極との密着性に優れており、保護層がPTC素体を覆うとともに1対の電極の少なくとも一部も覆うように一体的に形成されている場合には、電極のPTC素体からの剥がれが防止される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係るPTC素子の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿った断面図である。図1、2に示すPTC素子1はポリマーPTC素子であり、PTC素体10と、PTC素体10と接しながら対向する1対の電極12,14と、PTC素体10が密封されるようにPTC素体10を覆っている保護層20とから構成されている。
保護層20は、PTC素体10の表面のうち1対の電極12,14と接している部分以外の部分を覆っている。これにより、PTC素体10はその表面が露出しないように覆われている。そして、保護層20はPTC素体10の表面を覆うとともに1対の電極12,14の表面の一部も覆うように一体的に形成されている。
保護層20は、エポキシ樹脂及びチオール系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物で形成されている。PTC素体10と接している部分の保護層10の厚さは、5〜500μmであることが好ましい。
保護層20の硬化物を形成しているエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂としては、一段法、二段法、酸化法等の方法で得られるもの等を、特に制限なく用いることができるが、芳香族アミンのグリシジルエーテルや、極性基を有するか又は硬化時に極性基を生成するものが好ましい。好適なエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂や、テトラグリシジルm−キシレンジアミンのような脂肪族アミンのグリリジル化物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのような芳香族アミンのグリリジ化物、アミノフェノール型エポキシ樹脂がある。
チオール系硬化剤としては、チオール基を2個以上有しているチオール化合物であれば、特に制限なく用いることができる。好適なチオール系硬化剤の具体例としては、ペンタエリストールテトラチオグリコレート及びトリメチロールプロパントリスチオプロピオートのような脂肪族ポリチオエステルや、脂肪族ポリチオエーテル、芳香環含有ポリチオエーテルがある。エポキシ樹脂組成物中のチオール系硬化剤の量は、当業者には理解されるように、エポキシ樹脂との当量比等を考慮して適宜決定される。
エポキシ樹脂組成物は、2級アミノ基又は3級アミノ基を有するアミン化合物を更に含有することが好ましい。このアミン化合物としては、芳香族アミン及び脂肪族アミン、アミンーエポキシアダクト、イミダゾール、イミダゾールアダクト等が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂組成物は、上記の成分の他、シリカ、マイカ、タルク粒子等のフィラーや、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機塩、カルボン酸及びフェノール等の他の硬化剤又は硬化促進剤、樹脂組成物の粘度調整を目的とした溶剤を更に含有していてもよい。
サーミスタ素体10においては、高分子マトリックス中に導電性粒子が分散している。高分子マトリックスは熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂の硬化物であってもよいが、結晶性又は非晶性の熱可塑性樹脂であるときに本発明による効果がより顕著に得られる。なお、本明細書において、「熱可塑性樹脂」は、熱可塑性樹脂中の高分子鎖同士が架橋された状態のものも含むこととする。
サーミスタ素体10が後述する低分子有機化合物を含有している場合、動作時の低分子有機化合物の融解による流動やサーミスタ素体10の変形を防止するため、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点は低分子化合物の融点よりも高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましく、30℃以上110℃以下の範囲で高いことが更に好ましい。また、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点は70℃〜200℃であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の分子量は重量平均分子量Mwが1万〜500万程度であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂のASTM D1238で定義されるメルトフローレートは0.1〜30g/10分であることが好ましい。
高分子マトリックスとして好適に適用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン)、1種又は2種以上のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン)と極性基を含有する1種又は2種以上のオレフィン性不飽和モノマーとのコポリマー(例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー)、ポリハロゲン化ビニル又はポリハロゲン化ビニリデン(例えばポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド)、ポリアミド(例えば12−ナイロン)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンオキサイド、ポリアセタール、熱可塑性変性セルロース、ポリスルホン類、ポリメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でもポリオレフィンが好ましく、ポリオレフィンの中でもポリエチレンが特に好ましい。
熱可塑性樹脂のより具体的な例としては、高密度ポリエチレン(例えば、「ハイゼックス2100JP」(商品名、三井石油化学製)、「Marlex6003」(商品名、フィリップ社製))、低密度ポリエチレン(例えば、LC500(商品名、日本ポリケム製)、「DYNH−1」(商品名、ユニオンカーバイド社製))及び中密度ポリエチレン(例えば、「2604M」(商品名、ガルフ社製))、エチレン−エチルアクリレートコポリマー(例えば、「DPD6169」(商品名、ユニオンカーバイド社製))、エチレン−アクリル酸コポリマー(例えば、「EAA455」(商品名、ダウケミカル社製))、ヘキサフルオロエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(例えば、「FEP100」(商品名、デュポン社製))、ポリビニリデンフルオライド(例えば、「Kynar461」(商品名、ペンバルト社製))が挙げられる。
以上のような熱可塑性樹脂は1種で又は2種以上を組合わせて用いられる。また、高分子マトリックスは熱可塑性樹脂のみで構成されることが好ましいが、場合によってはエラストマー、熱硬化性樹脂の硬化物又はそれらの混合物を含んでいてもよい。
導電性粒子は、高分子マトリックスと組合わせたときにPTC特性が発現するようなものであれば特に制限はないが、その材質としては、Niが特に好ましい。Ni粒子を用いた場合、酸化によってPTC素体の劣化を生じ易い傾向があり、保護層20を導入した本実施形態が特に有用となる。
導電性粒子は、スパイク状の突起を有するものであることが好ましい。スパイク状の突起を有する導電性粒子は、その表面にスパイク状突起(典型的には粒径の1/3〜1/50の高さの突起)が複数(通常10〜500個)形成されている導電性粒子である。
導電性粒子は、一次粒子が個別に存在する紛体であってもよいが、一次粒子が10〜1000個程度連なった鎖状の二次粒子を形成していることが好ましい。前者の例としては、スパイク状の突起をもつ球状のNi粒子である「INCOType 123ニッケルパウダ」(商品名、インコ社製)がある。このNi粒子の平均粒径は3〜7μm程度、見かけの密度は1.8〜2.7g/cm程度、比表面積は0.34〜0.44m/g程度である。
鎖状の二次粒子を形成しているNi粒子の例としては、フィラメント状Ni粒子である「INCOType 255ニッケルパウダ」、「INCOType270ニッケルパウダ」、「INCO Type287ニッケルパウダ」又は「INCO Type 210ニッケルパウダ」(以上商品名、インコ社製)として市販されているものがある。このうちINCOType 255、277及び287が好ましい。これらフィラメント状のNi粒子の見かけの密度は0.3〜1.0g/cm程度であり、比表面積は0.4〜2.5m/g程度である。
フィラメント状Ni粒子の一次粒子の平均粒径(フィッシュー・サブシーブ法で測定される値)は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上4.0μm以下がより好ましく、1.0μm以上4.0μm以下が更に好ましい。更に、一次粒子の平均粒径が1.0μm以上4.0μm以下であるフィラメント状Ni粒子に、一次粒子の平均粒径が0.1μm以上1.0μm未満であるフィラメント状のNi粒子を導電性粒子全体の50質量%以下の割合で組合わせてもよい。
サーミスタ素体10における導電性粒子の含有割合は、PTC特性が発現するように適宜決めることができる。具体的には、この導電性粒子の含有割合はサーミスタ素体10の全体体積に対して20〜50体積%であることが好ましい。
サーミスタ素体10は、高分子マトリックス及び導電性粒子に加えて、低分子有機化合物を更に含有していることが好ましい。この場合の低分子有機化合物としては、分子量1000以下の結晶性化合物が好ましく用いられる。この低分子有機化合物は、常温(25℃程度)で固体であることが好ましい。また、低分子有機化合物は融点(mp)が40〜100℃であることが好ましい。
低分子有機化合物の好適な具体例としては、炭化水素(例えば、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素)、脂肪酸(例えば、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素の脂肪酸)、脂肪酸エステル(例えば、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコール等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチルエステル)、脂肪酸アミド(例えば、炭素数10以下の飽和脂肪酸第1アミドやオレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド)、脂肪族アミン(例えば、炭素数16以上の脂肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素数16以上のn−アルキルアルコール)が挙げられる。低分子有機化合物は、動作温度等に応じて1種で2種以上を適宜組合わせて用いられる。なお、低分子有機化合物は、これらを成分として含むワックス又は油脂の状態で用いることができる。
これら低分子有機化合物を含むワックスとしては、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックスをはじめとする植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックスのような天然ワックスが挙げられる。また、これら低分子有機化合物を含む油脂としては、脂肪又は固体脂と称されるものが挙げられる。
低分子有機化合物又はこれらを含むワックスや油脂は、市販品として入手することが可能である。パラフィンワックスの市販品としては、例えば、「テトラコサンC2450」(mp49〜52℃)、「ヘキサトリアコンタンC3674」(mp73℃)、「HNP−10」(商品名、日本精蝋社製、mp75℃)、「HNP−3」(商品名、日本精蝋社製、mp66℃))がある。マイクロクリスタリンワックスの市販品としては、例えば、「Hi−Mic−1080」(商品名、日本精蝋社製、mp83℃)、「Hi−Mic−1045」(商品名、日本精蝋社製、mp70℃)、「Hi−Mic2045」(商品名、日本精蝋社製)、mp64℃)、「Hi−Mic3090」(商品名、日本精蝋社製、mp89℃)、「セラッタ104」(商品名、日本石油精製社製、mp96℃)、「155マイクロワックス」(商品名、日本石油精製社製、mp70℃)がある。脂肪酸の市販品としては、例えば、ベヘン酸(日本精化製、mp81℃)、ステアリン酸(日本精化製、mp72℃)、パルミチン酸(日本精化製、mp64℃)がある。脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、アラキン酸メチルエステル(東京化成製、mp48℃)がある。脂肪酸アミドの市販品としては、例えば、オレイン酸アミド(日本精化製、mp76℃)がある。
PTC素子1において、一対の電極12,14は、それぞれの一部が対向するように配置されている。電極12,13は金属等の導電性材料からなり、厚み0.1mm程度に成形されている。電極12,14を構成する導電性材料としてはNi又はNi合金が好ましい。電極12,14の表面のうち、少なくともサーミスタ素体10と接している部分は粗面化されていることが好ましい。電極12,14の表面が粗面化されていると、アンカー効果によってサーミスタ素体10に対して電極12,14がより強く固定される。
PTC素体10中の高分子マトリックスが熱可塑性樹脂を含むものである場合、PTC素子1は、例えば、熱可塑性樹脂及び導電性粒子を含有する混合物を混練してこれらを含有する混練物を得る工程と、混練物をシート状に成形して熱可塑性樹脂を含む高分子マトリックス中に導電性粒子が分散しているPTC素体10を形成させる工程と、PTC素体10に対して1対の電極12,14を熱圧着により固定する工程と、PTC素体10が密封されるようにPTC素体10を覆う保護層20を形成させる工程とを備える製造方法により得ることができる。
混練物を得る工程は、各成分を混合した混合物を、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点以上の温度(好ましくは融点又は軟化点よりも5〜40℃高い温度)に加熱しながら行うことができる。あるいは、熱可塑性樹脂を溶解する溶剤を加えて混合物を低粘度化した状態で混練することにより、加熱することなく熱可塑性樹脂中に導電性粒子を分散させることもできる。混練は、ミル、加圧ニーダ、二軸押出機等の公知の方法で行うことができる。
得られた混練物を熱プレス等の方法によってシート状に成形することにより、PTC素体10として形成される。この段階で打ち抜き等によりPTC素体10を所定のサイズに切り出してもよい。
PTC素体10を1対の電極12,14の間に挟んだ挟持体を熱プレスすることにより、PTC素体10に対して1対の電極12,14が固定される。電極12,14を固定した後、放射線照射等によって高分子マトリックス中の熱可塑性樹脂を架橋させることが好ましい。この架橋によりPTC素子1の熱に対する安定性がより良好になる。
保護層20は、上述のエポキシ樹脂組成物をサーミスタ素体10及び電極12,14の表面に付着し、付着しているエポキシ樹脂組成物を加熱してその硬化反応を進行させることにより形成される。エポキシ樹脂組成物を付着させる方法は特に制限されず、ディップ法、印刷法、スプレー法等の方法で行うことができる。なお、エポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散した状態でサーミスタ素体10等に付着させてから乾燥により溶媒を除去してもよい。この場合、乾燥及び硬化を同時に又は連続的に行うこともできる。
エポキシ樹脂組成物の硬化の条件は、チオール系硬化剤の種類やこれに組み合わせる硬化促進剤(3級アミン等)等に応じて適宜決定すればよいが、PTC素子の動作温度以下に加熱して保護層20を形成させることが好ましい。動作温度を超える温度での加熱による保護層20を形成させると、常温に戻したときのPTC素子の抵抗値が、エポキシ樹脂を硬化する前のPTC素子の抵抗値よりも上がってしまう場合がある。ここで、動作温度は、PTC素子を2℃/分の昇温速度で昇温したときの抵抗値の変化を示す抵抗−温度曲線において、PTC特性を示す領域よりも低い温度領域で抵抗値がほぼ一定である部分の接線と、抵抗値が温度上昇とともに急激に立ち上がる部分の接線との交点の温度のことをいう。具体的には、チオール系硬化剤を用いているエポキシ樹脂組成物の場合、50〜90℃に加熱して保護層20を形成することが好ましい。この場合、加熱時間は5〜120分が好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
高分子マトリックスとしての低密度ポリエチレン(融点122℃、密度0.92g/cm、)に、高分子マトリックス及び低密度ポリエチレンの合計体積に対して35体積%となる量のフィラメント状Ni粒子を加え、150℃に加熱しながらラボプラストミル中で30分間混練して、Ni粒子が分散した混練物を得た。得られた混練物を150℃の熱プレスによって厚さ0.8mmのシート状に成形し、3×4mmのサイズに切り出して、サーミスタ素体を得た。
次いで、このサーミスタ素体を片面が粗面化された2枚のNi箔で挟み、熱プレスにより全体を加熱及び加圧して、サーミスタ素体に電極としてのNi箔を固定した。その後、サーミスタ素体に放射線を照射して低密度ポリエチレンを架橋させた。
更に、サーミスタ素体の露出している表面を全て覆うとともにNi箔の表面の一部を覆うように、エポキシ樹脂及びチオール系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物(味の素ファインテクノ社製「AE−10」(商品名)の主剤/硬化剤混合物)をディッピングによって厚さ約20μmとなるように付着させた。付着しているエポキシ樹脂組成物を60℃で60分間加熱して、エポキシ樹脂組成物の硬化物(Tg40℃)からなる保護層を形成させた。以上のようにしてPTC素子を作製した。
(実施例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ製、商品名「850」)50重量部とビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ製、商品名「830」)50重量部の混合物にチオール系硬化剤であるペンタエリストールテトラチオグリコレートを当量配合した混合物100重量部に対して、イミダゾールアダクト(味の素ファインテクノ製、商品名「PN−23J」)を10重量部及びシリカ10重量部を添加し、ロールを用いて分散を行い、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を、実施例1と同様に、サーミスタ素体の露出している表面を全て覆うとともにNi箔の表面の一部を覆うように、ディッピングによって厚さ約20μmとなるように付着させた。付着しているエポキシ樹脂組成物を80℃で60分間加熱して、エポキシ樹脂組成物の硬化物(Tg55℃)からなる保護層を形成させた。以上のようにしてPTC素子を作製した。
(比較例1)
保護層を形成させなかった以外は実施例と同様にしてPTC素子を作製した。
(比較例2)
AE−10に代えて、エポキシ樹脂及びアミン系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物(三菱ガス化学社製「MAXIVE」(商品名)の主剤/硬化剤混合物)を用いた他は実施例1と同様にして、PTC素子を作製した。保護層のTgは106℃であった。
(PCT素子の抵抗値)
作製したPTC素子について、2℃/分の昇温速度で昇温した後冷却したときの抵抗値の変化を4端子法で測定して温度−抵抗曲線を得、この曲線から室温(25℃)抵抗値を求めた。更に、PTC素子を常温で180日放置してから乾燥機を用いて100℃で5時間加熱した後も同様にして室温抵抗値を求めた。なお、初期の温度−抵抗曲線から抵抗値が75Ωとなる温度を求めたところ、実施例及び比較例のいずれのサーミスタ素子の場合も100℃±8℃の範囲内にあり、100℃以下の動作温度で機能するPTC特性を示した。
(密着性)
実施例1、2又は比較例2で用いたエポキシ樹脂組成物を、Ni箔(福田金属社製、電解箔、厚さ25μm)のs面(電解箔のドラム面)に塗布し、60℃で60分間加熱して、Ni箔上に上記PTC素子の保護層に相当する樹脂層を形成させた。次いで、Ni箔上に樹脂層が形成された試験片をNi箔が表になるように基板上に固定し、Ni箔を幅10mmの短冊状の部分が残るように除去した。そして、短冊状のNi箔の短辺側の端部をツィザーに固定して、オートグラフを用いて50mm/分の速度でNi箔の主面と垂直な方向に引き剥がし、そのときの引き剥がし荷重を測定した。この値によって保護層の密着性を評価した。
Figure 0004283803
表1に示されるように、保護層を有しない比較例1のサーミスタ素体と、アミン系硬化剤のエポキシ樹脂組成物によって保護層を形成させた比較例2のサーミスタ素体は、常温放置後、熱履歴を受けたときに室温抵抗値が著しく増大した。これに対して、チオール系硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物によって保護層を形成させた実施例のサーミスタ素体は、そのような室温抵抗値の増大が十分に抑制されていた。また、実施例のPTC素子が有する保護層は、Ni箔に対する密着性の点でも比較例2における保護層よりも明らかに優れていた。
本発明に係るPTC素子の一実施形態を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。
符号の説明
1…PTC素子、10…PTC素体、12,14…電極、20…保護層。

Claims (3)

  1. 高分子マトリックス及び導電性粒子を含んでいるPTC素体と、
    当該PTC素体と接している1対の電極と、
    エポキシ樹脂及びチオール系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物を50〜90℃に加熱してその硬化反応を進行させることにより形成された、当該PTC素体が密封されるように当該PTC素体を覆っている保護層と、
    を備えるPTC素子。

  2. 前記保護層が、当該PTC素体を覆うとともに当該1対の電極の少なくとも一部も覆うように一体的に形成されている、請求項1記載のPTC素子。
  3. 前記エポキシ樹脂組成物がアミン化合物を更に含有する、請求項1又は2記載のPTC素子。
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