JPH0690964B2 - Ptc素子の製造法 - Google Patents

Ptc素子の製造法

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JPH0690964B2 JP61073728A JP7372886A JPH0690964B2 JP H0690964 B2 JPH0690964 B2 JP H0690964B2 JP 61073728 A JP61073728 A JP 61073728A JP 7372886 A JP7372886 A JP 7372886A JP H0690964 B2 JPH0690964 B2 JP H0690964B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、電気抵抗素子の製造法に関し、より詳細に
は温度上昇に伴って比較的狭い温度領域で電気抵抗が急
増する性質〔PTC特性(Positive temperature coeffici
ent)〕を有する抵抗素子すなわち、PTC素子の製造法に
関する。
(従来技術) PTC特性を有する物質は、一定の温度に上昇すると発熱
が止まるヒータ、正特性サーミスタ(PTC thermiste
r)、感熱センサ、乾電池などで短絡したとき電流が増
大するためにジュール熱で自己発熱し、それによって抵
抗を増大させ電流を所定値以下に制限し、他方その短絡
が取り除かれたとき回路が復帰する保護素子などに利用
することができる。したがって、PTC特性を有する物質
の開発が従来から進められ、現在BaTiO3に1価または3
価の金属酸化物を添加したもの、ポリエチレンなどの結
晶性重合体に電導性物質が分散されたものなどがある。
PTC特性を有する抵抗素子(以下、PTC素子と略す)は、
第3図に示すようにPTC特性を有する物質2と、これを
挟持する電極板3aおよび3bと、電極板に接続されたリー
ド板4aおよび4bとからなる。
従来のPTC素子の製造法は、次のとおりである。PTC特性
を有する物質(組成物)をまず調製し、このPTC組成物
をフィルム状に成形し、フィルムの上下に金属箔の電極
を熱圧着して積層体を形成する。この積層体を所定の寸
法に切断し、この積層体の電極表面にリード板を半田付
けなどで溶接してPTC素子を製造する。
PTC素子として好ましい特性は、高温で抵抗値(ピーク
抵抗)が大きいことと共に、室温で100mΩ以下の低い抵
抗値(室温抵抗)を有することである。室温での低抵抗
化のために、PTC組成物中のカーボンブラック(導電性
粒子)の充填量を増量することが考えられるが、充分な
ピーク抵抗/室温抵抗の比を得ることができない。ま
た、PTC組成物を電極との接触抵抗、電極とリード板と
の接触抵抗を低減する方法が種々提案されている(米国
特許第4,238,812号明細書、および特開昭53-95298号公
報)。
(発明が解決しようとする問題点) PTC素子の電極板にリード板を半田付けなどで溶接する
際にPTC素子全体が加熱され、この熱によってPTC組成物
の一部が熱分解して、ガス発生、熱劣化、PTC組成物と
電極板との剥離などの熱損傷が起こる。この熱損傷のた
めにPTC組成物と電極板との接触抵抗が増大するという
問題がある。
この発明は上述の背景にもとずいてなされたものであ
り、その目的とするところはPTC素子の電極板とリード
板との溶接時における熱損傷を軽減し、接触抵抗を低減
して、低い室温抵抗値を有する優れたPTC素子を製造す
る方法を提供することである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上述の目的達成のために種々の試験・研
究の結果、電極板とリード板との接触面積を小さくして
スポット溶接すれば、熱損傷が以外と少ないことを見出
しこの発明を完成するに到った。
すなわち、この発明のPTC素子の製造法は、PTC特性を有
する物質(PTC組成物)とこの物質を挟持する2枚の電
極板とからなる積層体の一方の電極板でありかつ溶接電
極と電気的に接続された電極板面と、他の溶接電極と電
気的に接続されたリード板面とを狭い面積で接触させ、
各溶接電極に通電して電極板とリード板とを溶接するこ
とを含むものである。
この発明の好ましい態様として、溶接と同時にリード板
に圧力を電極板側にかけることができる。
別の態様として、溶接前にリード板表面に溶接用突起を
形成することができる。
さらに他の好ましい態様として、溶接前電極板表面に溶
接用突起を形成することができる。
この発明において用いることのできるPTC特性を有する
物質としては、例えば、重合体と導電性粒子との混合物
がある。この重合体として、ポリエチレン、ポリエチレ
ンオキシド、t-4-ポリブタジエン、ポリエチレンアクリ
レート、エチレン‐エチルアクリレート共重合体、エチ
レン‐アクリル酸共重合体、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリエーテル、ポリカプロラクタム、フッ素化エチ
レン‐プロピレン共重合体、塩素化ポリエレチン、クロ
ロスルホン化エチレン、エチレン‐酢酸ビニル共重合
体、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン‐アクリ
ロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタ
ール、ポリアルキレンオキシド、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリスルホン、フッ素樹脂、およびこれらのブレン
ドポリマーなどが、PTC特性を有する物質の調製に用い
ることができる。重合体の種類、組成比などは、所望の
性能、用途等に応じて適宜変更することができる。
また、重合体に分散される導電性粒子としては、カーボ
ンブラックの他、黒鉛、スズ、銀、金、銅などの導電性
物質の粒子を用いることができる。
PTC特性を有する物質の調製に際して、上記の重合体、
導電性粒子以外に、必要に応じて種々の添加剤を混合す
ることができる。添加できる物質として、例えばアンチ
モン化合物、リン化合物、塩素化合物および臭素化合物
などの難燃剤もしくは耐燃剤、酸化防止剤などがある。
この発明においてPTC特性を有する物質は、その原材
料、例えば重合体、導電性粒子、その他添加剤を所定の
割合で混合して調製される。
この発明のPTC素子の積層体は、上述のPTC特性を有する
物質と、この物質を挟持する電極板とからなっている。
ここで用いることのできる電極板としては、通常の電極
として用いることのできる材料である。ここで挟持する
方法としては、導電性接着剤を用いて電極板とPTC特性
を有する物質とを接合する方法、PTC特性を有する物質
を融点近くまで加熱しこれに電極板を熱圧着する方法な
どがある。
この発明において電極板とリード板との溶接は、溶接電
極と電気的に接続された積層体電極板面と、他の溶接電
極と電気的に接続されたリード板面とを狭い面積で接触
させ、この各溶接電極に通電し行なう。この発明におい
て、狭い面積での接触は、種々の態様が可能である。例
えば、リード板にポンチなどで1個またはそれ以上の突
起を形成しておき、この突起を電極板表面に接触させる
態様、逆に電極板に突起を形成しておき、この突起をリ
ード板表面に接触させる態様、さらに、電極板とリード
板との間に溶接材の小片を介在させる態様などがある。
この発明において、溶接と同時にリード板に圧力を電極
板側にかけることが望ましい。リード板と電極板との溶
接をより強固にするためである。
この発明における電極板とリード板との溶接を、第1図
および第2図を参照して、具体的に説明する。PTC組成
物2とこの組成物を挟持する2枚の電極板3aおよび3bと
からなる積層体を準備する。この積層体の上方の電極板
3aの表面に広い接触面積を持つ溶接電極6を接触する。
他方、リード板4bの下面にポンチなどで突起7を形成し
ておき、この突起7を電極板3aと接触させ、さらに上方
から溶接電極5で押す。このような状態で溶接電極5お
よび6に通電し、突起7に大電流(例えば、100〜2000
A)を短時間に流す。突起7は溶融し、第2図に示すよ
うに、電極板3aとリード板3bとにわたって溶融が形成さ
れ、溶融部分が凝固するとナゲット8が生じ、電極板3a
とリード板4aとが溶接される。
このように狭い接触面積で溶接されるので、この狭い箇
所に大電流が集中し、その部分のみ短時間で溶融する。
発生するジュール熱は、有効に溶接に用いられ、溶接後
すみやかに飛散する。従って、溶接による熱損傷を最少
にすることができる。
この発明のPTC素子の表面に必要に応じて樹脂膜を形成
させることができる。この発明において用いることので
きる樹脂の種類は、この発明の目的に反しない限り制限
されない。その樹脂の例として、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスレチン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フッ素樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセ
タール樹脂、ポリアルキレンオキシド、飽和ポリエステ
ル樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリ
p-キシリレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエ
ステルイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリフェニレ
ンスルフィド、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ
樹脂、ポリウレタン樹脂、これらのブレンドポリマー、
化学試薬との反応、放射線橋かけ、共重合体などの改質
された上記樹脂などがある。これらのうち特に好ましい
ものはエポシキ樹脂およびフェノール樹脂である。
これらの樹脂には、種々の添加剤、例えば可塑剤、滑
剤、橋かけ剤、加硫剤、硬化剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、充てん剤、強化剤、補強剤、改質剤、帯電防止
剤、難燃剤、着色剤、熱安定剤、軟化剤、粘着性付与
剤、結合剤、粘着防止剤、表面処理剤、付香剤、防カビ
剤、白アリ防除剤、ネズミ忌避剤などを添加してもよ
い。
この発明において用いることのできる樹脂は、少なくと
も絶縁性を有しており、好ましくは電極表面、およびPT
C物質表面に対して密着性を有している。
樹脂膜の被覆法は、この発明において特に限定されず、
例えば噴霧、塗り付け、樹脂液への浸漬などである。樹
脂膜の被覆は、少なくとも、電極で覆われていないPTC
物質表面に行なわれると共に、電極間にわたって行なわ
れることが好ましい。しかし、それ以外の素子表面を被
覆してもよい。
樹脂の塗布後の硬化は、化学処理、加熱、放射線照射等
の樹脂に応じた通常の方法によって実施することができ
る。樹脂膜の厚さは、樹脂の種類、素子の用途および寸
法等に応じて適宜変更することができる。
得られたPTC素子は、所定の用途に供される。
〔発明の効果〕
この発明のPTC素子の製造法によって次の効果を得るこ
とができる。
リード板と電極板との溶接を、狭い接触面積で行なわれ
るので、溶接の大電流がその箇所に集中し、発熱を溶接
必要部分のみに限定する。従って、熱を有効に溶接に用
いることができ、PTC組成物に対する熱損傷を最少限に
抑えることができる。
さらに、溶接による熱損傷を最少限に抑えることができ
るので、PTC組成物と電極板との接触抵抗を低い値に抑
えることができ、PTC素子として優れた素子を製造する
ことができる。
(実施例) この発明を以下の例によってより具体的に説明する。
実施例1 下記組成のPTC特性を有する物質を調製した。
PTC組成 重量% 重合体:高密度ポリエチレン 60 (東洋曹達製、ニポロンハード5100) 導電性粒子:カーボンブラック 38 (キャボット社製、スターリングV) 添加剤:酸化防止剤 2 (イルガノツクス1010) この組成物を二本ロールミルで混練し、さらに押出し成
形機またはロール成形機で厚さ300μのフィルムを成形
した。フィルムの上下に厚さ60μのニッケル箔電極で熱
圧着し、積層体を形成した。好ましくは、電極表面を粗
面化しておく。得られた積層体を所定の寸法(10×10×
0.40mm)に切断した。
他方、約100μ厚のニッケル板を用意し、このニッケル
板にポンチでφ0.1〜φ0.2の突起を2個形成した。その
突起部をPTC電極上へ重ね、さらにリード板上に広い接
触面積を持つ溶接電極を載せた。また第1図に示すよう
に、PTC電極上に、広い接触面積を持つ溶接電極を、リ
ード板と接触しないように重ねる。このような状態で、
溶接電力の出力5w.s、電極圧力2kgf、通電時間0.5〜2.0
msの溶接条件で、溶接してPTC素子を得た。
溶接前のPTC素子の室温抵抗が50mΩであり、溶接後の室
温抵抗が55mΩであった。従って抵抗増を5mΩにとどめ
ることができた。
比較例 リード板と電極板との溶接を、半田付けにより行なった
こと以外、実施例1と同様に実施した。得られたPTC素
子の室温抵抗は、溶接の前後で50mΩから254mΩに大幅
に増大した。
【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明の方法を説明するための断面図、第2
図はこの発明の方法で得られたPTC素子の断面図、第3
図はPTC素子の斜視図である。 1……PTC素子、2……PTC組成物、3……電極板、4…
…リード板、5,6……溶接用電極、7……突起、8……
ナゲット。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】PTC特性を有する物質とこの物質を挟持す
    る2枚の電極板とからなる積層体の一方の電極板であり
    かつ溶接電極と電気的に接続された電極板面と、他の溶
    接電極と電気的に接続されたリード板面とを狭い面積で
    接触させ、各溶接電極に通電して電極板とリード板とを
    溶接することを含む、PTC素子の製造法。
  2. 【請求項2】溶接と同時にリード板に圧力を電極板側に
    かける、特許請求の範囲第1項記載のPTC素子の製造
    法。
  3. 【請求項3】溶接前にリード表面に溶接用突起を形成し
    ておく、特許請求の範囲第1項または第2項記載のPTC
    素子の製造法。
  4. 【請求項4】溶接前に電極板表面に溶接用突起を形成し
    ておく、特許請求の範囲第1項または第2項記載のPTC
    素子の製造法。
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