JP2007180411A - サーミスタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐電圧を向上できるサーミスタの製造方法を提供する。
【解決手段】このサーミスタの製造方法では、まず、樹脂及び導電性粒子を含むサーミスタ素体シート1aの一方の面4及び他方の面5の少なくとも一方に切り込み6を形成する。次に、切り込み6が形成されたサーミスタ素体シート1aを、一対の電極2及び電極3を用いて挟んで熱圧着する。
【選択図】図4

Description

本発明は、サーミスタの製造方法に関する。
ポリマー層及びこれに分散した導電性粒子で構成される材料をサーミスタ素体として用いたサーミスタは、一般に、有機質サーミスタ等と称されるものであり、特に、温度上昇とともに抵抗値が急激に増大するPTC(Positive Temperature Coefficient:正の温度係数)特性を有するものは、有機質正特性サーミスタと称される場合がある。このようなサーミスタは、過電流・加熱保護素子、自己制御型発熱体、温度センサー等のデバイスに用いられる。
有機質サーミスタとしては、例えば、樹脂に導電性粒子を分散させた材料からなるサーミスタ素体を備えたものが提案されている(特許文献1参照)。この有機質サーミスタを製造する際には、サーミスタ素体を成形すると同時にサーミスタ素体と電極との熱圧着を行う。
特開平5−21208号公報
上述の製造方法では、熱圧着時の加熱によりサーミスタ素体の表面の樹脂が酸化され、酸化膜が形成される。酸化物と金属との間の密着力は一般に弱いので、サーミスタ素体と電極との密着性は不十分となる。この場合、経時的に又は電圧を印加することによってサーミスタ素体が変形すると、電極がサーミスタ素体から剥離するおそれがある。このようなサーミスタ素体の内部において、ある場所が局所的に過熱されると、電位分布が変化し、局所的に電界強度が増大してしまう。その結果、サーミスタの耐電圧は低下してしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐電圧を向上できるサーミスタの製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明のサーミスタの製造方法は、樹脂及び導電性粒子を含むサーミスタ素体シートの少なくとも片面に切り込み及び穴の少なくとも一方を形成する工程と、前記切り込み及び穴の少なくとも一方が形成されたサーミスタ素体シートを、一対の電極を用いて挟んで熱圧着する工程とを含む。
本発明のサーミスタの製造方法では、熱圧着時の加熱によりサーミスタ素体シートの表面は酸化するが、加圧によりサーミスタ素体シート内部に存在する未酸化の樹脂が切り込み及び穴の少なくとも一方から流出する。これにより、サーミスタ素体シートと電極とが未酸化の樹脂によって接続されるので、サーミスタ素体シートと電極との密着性が向上する。したがって、サーミスタ素体シートの内部において、ある場所が局所的に過熱されても、電位分布の変化による電界強度の局所的な増大を防止することができる。その結果、サーミスタの耐電圧を向上できる。
また、前記切り込み及び穴の少なくとも一方を形成する工程では、互いに交差する第1及び第2の切り込みを形成することが好ましい。ここで、第1及び第2の切り込みは1本の繋がった切り込みであってもよいし、互いに異なる複数の切り込みであってもよい。
この場合、交差部分において第1の切り込みと第2の切り込みとが重ねて形成される。このため、サーミスタ素体シート内部に存在する未酸化の樹脂が、交差部分から流出し易くなる。その結果、短時間で熱圧着を終えることができるので、サーミスタ素体シートと電極との間に流入した樹脂の酸化を十分に防止できる。したがって、電極とサーミスタ素体シートとの密着性がより向上するので、サーミスタの耐電圧も更に向上する。
本発明によれば、耐電圧を向上できるサーミスタの製造方法が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[サーミスタ]
図1は、サーミスタの一例を模式的に示す斜視図である。図1に示すサーミスタ10は、互いに対向するように配置された一対の電極2及び電極3と、電極2及び電極3の間においてそれぞれ電極に密着して設けられた正の抵抗−温度特性を有するサーミスタ素体1と、から構成され、全体として略直方体状をなしている。サーミスタ10には、必要に応じて、電極2に電気的に接続されたリード(図示せず)と、電極3に電気的に接続されたリード(図示せず)とが更に設けられてもよい。このサーミスタ10は、過電流・加熱保護素子、自己制御型発熱体、温度センサ等として好適に用いることができる。
電極2及び電極3は、サーミスタの電極として機能する金属材料で形成されている。電極2及び電極3を構成する材料としては、ニッケル、銀、金、銅、アルミニウム等の金属、又はそれらの合金からなることが好ましい。更には、素子の低抵抗化と比較的低コストという点でNiが好ましい。また、その厚さは1〜100μmであることが好ましく、サーミスタの軽量化の点からは、1〜50μmであることがより好ましい。また、リードは、それぞれ電極2及び電極3から外部に電荷を放出又は注入することが可能な電気伝導性を有していれば、その形状や材質について特に限定されない。
サーミスタ素体1は、樹脂(高分子マトリックスともいう)及びこれに分散している導電性粒子(導電性フィラーともいう)を含有する。樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。
サーミスタ素体1の厚さは、0.2〜1.0mmであることが好ましい。サーミスタ素体1の厚さが1.0mmを超えると、厚さが上記範囲内にある場合に比べて初期室温抵抗値のばらつきが大きくなる傾向にある。また、サーミスタ素体1の厚さが0.2mm未満であると、厚さが上記範囲内にある場合に比べてショートが発生して正常な室温抵抗値が得られなくなる傾向にある。
熱可塑性樹脂の具体例としては、(1)ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、(2)少なくとも1種のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン)と、少なくとも1種の極性基を含有するオレフィン性不飽和モノマ−に基づく繰り返し単位で構成されたコポリマ−(例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマ−)、(3)ハロゲン化ビニルおよびビニリデンポリマ−(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド)、(4)ポリアミド(例えば12−ナイロン)、(5)ポリスチレン、(6)ポリアクリロニトリル、(7)熱可塑性エラストマ−、(8)ポリエチレンオキサイド、ポリアセタ−ル、(9)熱可塑性変性セルロ−ス、(10)ポリスルホン類、(11)ポリメチル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
より具体的には、(1)高密度ポリエチレン[例えば、商品名:ハイゼックス2100JP(三井化学社製)、Marlex6003(フィリップ社製)等]、(2)低密度ポリエチレン[例えば、商品名:LC500(日本ポリケム社製)、DYMH−1(ユニオン−カ−バイド社製)等]、(3)中密度ポリエチレン[例えば、商品名:2604M(ガルフ社製)等]、(4)エチレン−エチルアクリレ−トコポリマ−[例えば、商品名:DPD6169(ユニオン−カ−バイド社製)等]、(5)エチレン−アクリル酸コポリマ−[例えば、商品名:EAA455(ダウケミカル社製)等]、(6)ヘキサフルオエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマ−[例えば、商品名:FEP100(デュポン社製)等]、(7)ポリビニリデンフルオライド[例えば、商品名:Kynar461(ペンバルト社製)等]等が挙げられる。
このような熱可塑性樹脂の分子量は重量平均分子量Mwが10000〜5000000であることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用してもよく、異なる種類の熱可塑性樹脂同士が架橋された構造を有するものを用いてもよい。また、熱可塑性樹脂の融点は、70〜200℃であることが好ましい。
導電性粒子は、電気伝導性を有する粒子であれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック、グラファイト、各形状の金属粒子若しくはセラミック系導電性粒子を用いることができる。金属粒子の金属材料としては、銅、アルミニウム、ニッケル、タングステン、モリブデン、銀、亜鉛、コバルト、及び銅紛にニッケルめっきを施したもの等が挙げられる。セラミック系導電性粒子の材料としては、TiC及びWC等が挙げられる。これら導電性粒子は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
導電性粒子としては、特に、金属粒子が好ましい。導電性粒子として金属粒子を用いると、サーミスタの抵抗変化率を十分に大きく維持しつつ、室温抵抗値をより低下させることができ、例えば、サーミスタ10を過電流保護素子として用いる場合に好適である。さらに、金属粒子の中でも、酸化され難い等、化学的安定性の観点から、ニッケル粒子が特に好ましい。
導電性粒子の形状は特に限定されず、球状、フレーク状、繊維状及び棒状等が挙げられるが、粒子の表面にスパイク状の突起を有するものが好ましい。スパイク状の突起を有する導電性粒子を用いることにより、隣接する粒子間におけるトンネル電流が流れやすくなるため、サーミスタの抵抗変化率を十分に確保したまま、室温抵抗値をより低くすることができる。また、真球状の粒子に比べて、粒子同士の中心間距離を大きくすることができるため、さらに大きな抵抗変化率を得ることができる。さらに、繊維状の粒子を用いた場合に比べて、サーミスタの室温抵抗値のばらつきを低減することができる。
スパイク状の突起を有する導電性粒子は、一次粒子が個別に分散した粉体であってもよいが、10〜1000個程度の一次粒子が鎖状に連なりフィラメント状の二次粒子を形成しているものが好ましい。また、その材質は金属が好ましく、ニッケルを主成分とするものがより好ましい。さらに、導電性粒子は、比表面積が0.3〜3.0m/gであって、見かけ密度が3.0g/cm以下であることが好ましい。ここで、「比表面積」とは、BET一点法に基づく窒素ガス吸着法により求められる比表面積のことを意味する。
また、導電性粒子の一次粒子の平均粒径は、0.1〜7.0μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。ここで、一次粒子の平均粒径はフィッシャー・サブシーブ法で測定される値とする。
商業的に入手可能なスパイク状の突起を有する導電性粒子としては、例えば、「INCO Type210」、「INCO Type255」、「INCO Type270」、「INCO Type287」(いずれもINCO社製、商品名)等が挙げられる。
サーミスタ素体1における導電性粒子の含有割合は、サーミスタ素体1全体を基準として5〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。導電性粒子の含有割合が50質量%未満であると、低い室温抵抗値が得られ難くなる傾向にあり、90質量%を超えると、大きな抵抗変化率を得ることが困難になる傾向にある。
サーミスタ素体1は、低分子有機化合物を更に含有してもよい。この場合、サーミスタ10の動作温度を調整することができる。この低分子有機化合物は、重量平均分子量Mwが100〜2000であると好ましく、また、結晶性ポリマーであると好ましい。さらに、低分子有機化合物は、20〜70℃において固体の状態をとるものであると好ましい。
低分子有機化合物の具体例としては、例えば、ワックス、油脂、脂肪酸、高級アルコ−ル等から選択されるものである。これらの低分子有機化合物は、市販されており、市販品をそのまま用いることもできる。低分子有機化合物は、これらのうち、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
より具体的には、ワックスとしては、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックスをはじめとする植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックスのような天然ワックス等がある。油脂としては、脂肪または固体脂と称されるものなどが挙げられる。
ワックスや油脂の成分は、炭化水素(具体的には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素等)、脂肪酸(具体的には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素の脂肪酸等)、脂肪酸エステル(具体的には、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコール等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチルエステル等)、脂肪酸アミド(具体的には、炭素数10以下の飽和脂肪酸第1アミドやオレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド等)、脂肪族アミン(具体的には、炭素数16以上の脂肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素数16以上のn−アルキルアルコール)などが挙げられる。
更に具体的には、低分子有機化合物として、例えば、パラフィンワックス(例えば、テトラコサンC2450;融点(mp)49〜52℃、ヘキサトリアコンタンC3674;mp73℃、商品名HNP−10(日本精蝋社製);mp75℃、HNP−3(日本精蝋社製);mp66℃など)、マイクロクリスタリンワックス(例えば、商品名Hi−Mic−1080(日本精蝋社製);mp83℃、Hi−Mic−1045(日本精蝋社製);mp70℃、Hi−Mic2045(日本精蝋社製);mp64℃、Hi−Mic3090(日本精蝋社製);mp89℃、セラッタ104(日本石油精製社製);mp96℃、155マイクロワックス(日本石油精製社製);mp70℃など)、脂肪酸(例えば、ベヘン酸(日本精化社製);mp81℃、ステアリン酸(日本精化社製);mp72℃、パルミチン酸(日本精化社製);mp64℃など)、脂肪酸エステル(例えば、アラキン酸メチルエステル(東京化成社製);mp48℃など)、脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド(日本精化社製);mp76℃)がある。この低分子有機化合物は、動作温度等によって1種あるいは2種以上を選択して用いることができる。
[サーミスタの製造方法]
次に、本実施形態に係るサーミスタの製造方法として、サーミスタ10の製造方法について説明する。図2は、サーミスタ10の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。図3は、サーミスタ10の製造方法における一工程を模式的に示す平面図である。図4は、サーミスタ10の製造方法における各工程を模式的に示す断面図である。図4(a)は、図3に示されるIVa−IVa線に沿った断面図である。
(サーミスタ素体シート準備工程)
まず、図2に示されるように、サーミスタ素子1を形成するためのサーミスタ素子シート1aを準備する。サーミスタ素子シート1aは、上述の樹脂及び導電性粒子を含み、低分子有機化合物を更に含むことが好ましい。
サーミスタ素子シート1aは例えば以下のようにして得られる。まず、熱可塑性樹脂、導電性粒子及び低分子有機化合物を含む材料を、攪拌機を用いてドライブレンドした後、混練機を用いて加熱混練する。この混練の作業は、公知の混練技術を使用すればよく、ニ−ダ、押出機、ミル等の撹拌手段で、例えば、10〜120分程度行えばよい。具体的には、例えば、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)などを用いることができる。これらのなかでも連続的に混練できることから、押出機、特に二軸押出機を用いると好ましい。
その後、例えばプレス機、加圧ローラ等を用いて得られた混練物をシート状に成形する。さらに、得られたサーミスタ素子シートを必要に応じてチップ化してもよい。
(切り込み形成工程)
次に、図3及び図4(a)に示されるように、サーミスタ素体シート1aの一方の面4及び他方の面5(両面)にそれぞれ切り込み6を形成する。切り込み6は、例えばカッターを用いて形成される。本実施形態において、切り込み6は複数形成されているが、一つでもよい。また、切り込み6は面4及び面5のいずれか一方に形成されていてもよい。また、面4に形成される切り込み6の形状及び位置と、面5に形成される切り込み6の形状及び位置とは、同じでもよいし、異なってもよい。切り込み6の深さは、サーミスタ素体シート厚みの1〜99%であることが好ましい。
切り込み6は、互いに交差する第1の切り込み6aと第2の切り込み6bとからなることが好ましい。本実施形態において、切り込み6aの端部と切り込み6bの端部とは繋がっていないが、繋がっていてもよい。
切り込み6を形成した後、サーミスタ素体シート1aを必要に応じて所定の大きさに切断してもよい。
(熱圧着工程)
次に、図4(b)に示されるように、一対の電極2及び電極3を用いてサーミスタ素体シート1aを挟んで熱圧着する。電極2及び電極3は、凹凸表面2a及び凹凸表面3aをそれぞれ有することが好ましい。また、凹凸表面2aとサーミスタ素体シート1aの面4とが対向し、凹凸表面3aとサーミスタ素体シート1aの面5とが対向するように、サーミスタ素体シート1aを挟んで熱圧着することが好ましい。電極2は、サーミスタ素体シート1aの厚み方向における向き(矢印A)に押圧され、電極3は向きAとは反対側の向き(矢印B)に押圧される。
その後、サーミスタ素体シート1aに例えば電子線等のエネルギー線を照射して、樹脂を架橋させることにより、サーミスタ素体1を備えたサーミスタ10が得られる。
上述のサーミスタの製造方法では、熱圧着時の加熱によりサーミスタ素体シート1aの面4及び面5は酸化する。一方、熱圧着時の加圧によりサーミスタ素体シート1a内部に存在する未酸化の樹脂は切り込み6から流出する。この理由としては、例えば、切り込み6には加熱による酸化膜が形成され難いこと、酸化膜が形成されていたとしても構造的に酸化膜が破壊され易いこと等が考えられる。切り込み6から流出した未酸化の樹脂は、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との間に流入する。これにより、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3とが未酸化の樹脂によって接続されるので、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との密着性が向上する。したがって、サーミスタ素体1の内部において、ある場所が局所的に過熱されても、電位分布による電界強度の局所的な増大を防止することができるので、サーミスタ10の耐電圧を向上できる。
電極2及び電極3が凹凸表面2a及び凹凸表面3aをそれぞれ有する場合、熱圧着時にサーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との間には隙間が生じる。この隙間によって、切り込み6から流出した未酸化の樹脂は、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との間に流入し易くなる。これにより、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との密着性が更に向上する。したがって、サーミスタ10の耐電圧を更に向上できる。
また、切り込み6aと切り込み6bとが互いに交差することにより、交差部分において切り込み6a及び切り込み6bが重ねて形成される。よって、交差部分においては切り込みがより確実に形成される。この場合、熱圧着時の加圧によって、サーミスタ素体シート1a内部に存在する未酸化の樹脂が、交差部分から特に流出し易くなる。よって、短時間で熱圧着を終えることができるので、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との間に流入した樹脂の酸化を十分に防止できる。したがって、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との密着性がより向上する。その結果、サーミスタ10の耐電圧を更に向上できる。
図5は、穴が形成されたサーミスタ素体シートの一例を模式的に示す平面図である。図3に示される切り込み6に代えて、サーミスタ素体シート1aの面4及び面5にそれぞれ穴12を形成してもよい。この場合でも、穴12から未酸化の樹脂が流出するので、サーミスタ素体シート1aと電極2及び電極3との密着性を向上できる。よって、得られるサーミスタ10の耐電圧を向上できる。穴12は、例えば針を用いて形成される。本実施形態において、穴12は複数形成されているが、一つでもよい。また、穴12は面4及び面5のいずれか一方に形成されていてもよい。穴12の深さは、切り込み6の深さと同様であることが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、サーミスタ素体シート1aの面4に切り込み6及び穴12の両方を形成してもよいし、サーミスタ素体シート1aの面5に切り込み6及び穴12の両方を形成してもよいし、サーミスタ素体シート1aの面4及び面5(両面)に切り込み6及び穴12の両方を形成してもよい。これらの場合でも、得られるサーミスタ10の耐電圧を向上できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてポリエチレン(商品名「SP2520」、三井化学社製)を準備し、導電性粒子としてニッケル粉末(INCO社製)を準備した。続いて、ポリエチレンが57体積%、ニッケル粉末が30体積%となるように混合し、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて、所定時間混練した。得られた混練物を、プレス機を用いてシート状に成形してサーミスタ素体シートを得た。
得られたサーミスタ素体シートの両面に、カッター(コクヨ社製)を用いて切り込み(深さの最小値が約200μm、最大値が約400μm)を形成した。その後、サーミスタ素体シートを所定の大きさに切断した。
一方、電極として、厚さ25μmの電解ニッケル凹凸箔(福田金属箔粉工業社製)を準備した。サーミスタ素体シートを、一対の電解ニッケル凹凸箔の間に挟んで熱圧着した。その後、サーミスタ素体シートに電子線を照射してポリエチレンを架橋させた。このようにして、厚さ0.7mmのサーミスタを製造した。
(比較例1)
切り込みを形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、サーミスタを製造した。
(サーミスタの評価)
実施例1及び比較例1のサーミスタの電極間に電圧を印加することにより、サーミスタの初期抵抗値及び耐電圧値を測定した。具体的には、まず、サーミスタに5Vの電圧を印加し、同時に20Aの電流を流してサーミスタを高抵抗状態で駆動させた。その後、電圧を5Vから徐々に上昇させ、サーミスタが破壊したときの電圧値を耐電圧値とした。結果を表1に示す。
Figure 2007180411
表1に示されるように、実施例1のサーミスタの耐電圧は、比較例1のサーミスタの耐電圧よりも大きいことが判明した。
サーミスタの一例を模式的に示す斜視図である。 実施形態に係るサーミスタの製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 実施形態に係るサーミスタの製造方法における一工程を模式的に示す平面図である。 実施形態に係るサーミスタの製造方法における各工程を模式的に示す断面図である。 穴が形成されたサーミスタ素体シートの一例を模式的に示す平面図である。
符号の説明
1a…サーミスタ素体シート、2,3…電極、2a,3a…凹凸表面、4,5…サーミスタ素体シートの面、6…切り込み、6a…第1の切り込み、6b…第2の切り込み、10…サーミスタ、12…穴。

Claims (2)

  1. 樹脂及び導電性粒子を含むサーミスタ素体シートの少なくとも片面に切り込み及び穴の少なくとも一方を形成する工程と、
    前記切り込み及び穴の少なくとも一方が形成されたサーミスタ素体シートを、一対の電極を用いて挟んで熱圧着する工程と、
    を含む、サーミスタの製造方法。
  2. 前記切り込み及び穴の少なくとも一方を形成する工程では、互いに交差する第1及び第2の切り込みを形成する、請求項1に記載のサーミスタの製造方法。
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