JP4729800B2 - 正抵抗温度特性抵抗体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己温度制御発熱体、温度センサー、過電流保護装置などに用いられる正抵抗温度特性を有する抵抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の抵抗体としては、例えば、特開昭51−32984号公報及び特開昭52−50596号公報に記載されるようなものがあった。特開昭51−32984号公報では、樹脂を結合剤とし、これに導電粉末あるいは導電粉末と充填剤粉末との混合体を分散させたものを、有機過酸化物あるいは電離性放射線によって架橋し、これを粉砕し、他の樹脂結着剤に分散させることによって形成するものであった。また、特開昭52−50596号公報では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、あるいはこれらの材料の共重合体に導電性粉末を分散させた後粉砕し、この粉体と親和性を示す液体を含有する非結晶性重合体溶液に混合分散させて得たペーストを支持基材に塗布乾燥して形成するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では、正抵抗温度特性を得るために、樹脂としては結晶化度の高い重合体を選定する必要があり、また、十分な導電率を得るために、樹脂に多量の導電粉末を添加する必要があった。このため、樹脂に導電粉末を分散した材料は硬く、脆い物性であった。この材料を架橋したとしても強靭になることはあっても、その硬く、脆い物性に変わりはなかった。この材料を粉砕し、他の樹脂結着剤あるいは非結晶性樹脂に分散することによって、初めて、通常の抵抗体に要求される塗膜としての基本物性を確保することができるものであった。このような構成の抵抗体であるから、例えば、伸縮性のある基材上に抵抗体を形成した場合、基材が伸縮しても抵抗体の伸縮性が十分ではなく、過度な応力が抵抗体に加わり、抵抗体が破断することや、導電粉末の導電連鎖が破壊して、抵抗値が大きく変化することを避けることができなかった。抵抗体に伸縮性を付与するためには、樹脂結着剤あるいは非結晶性樹脂を増量する方法も考えられるが、これらの樹脂を増量すると、正抵抗温度特性を妨げるとともに、比抵抗値が増大し、正抵抗温度特性抵抗体としての基本機能を損なうという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、基材の伸縮に対応できるだけの柔軟性を附加すると共に、優れた正抵抗温度特性を保持する抵抗体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の抵抗体は、結晶性重合体と非結晶性重合体と導電性微粉末とを主成分とするとともに、有機過酸化物または電離性放射線で熱可塑性を失わない水準の架橋をされてなる架橋重合体組成物を、前記架橋重合体組成物に対して親和性を示す親和性溶剤と前記架橋重合体組成物に対して結着性を示す結着性重合体と共に細分化し、分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥してなり、熱可塑性を失わない水準の架橋は、大気中で、架橋重合体組成物の比表面積が10cm −1 以上の形態にて架橋されることによる。
【0006】
このことによって、架橋重合体組成物の中で非結晶性重合体が架橋され、柔軟性組織を形成するために、架橋重合体組成物は柔軟性に富んだものとなる。また、結晶性重合体自身、あるいは非結晶性重合体との間での架橋、さらには導電性微粉末とのグラフト結合など、架橋重合体組成物の電気、物理、化学特性が飛躍的に改善される。さらに、この架橋重合体組成物が細分化された粒子の周辺に結着性重合体が形成されるために、柔軟性に富み、伸縮可能な抵抗体を形成することができる。この抵抗体は伸縮性に優れた基材上に形成しても、抵抗体が破断することがないために、伸縮性に極めて優れた面状抵抗体を製造できるようになる。また、この抵抗体は細分化された架橋重合体組成物の柔軟性が高いために、結着性重合体の添加量を増量する必要がなく、結着性重合体が正抵抗温度特性を妨げることや、比抵抗値を増大させることもない。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、結晶性重合体と導電性微粉末を主成分とするとともに有機過酸化物または電離性放射線によって熱可塑性を失わない水準で架橋された架橋重合体組成物を、前記架橋重合体組成物に対して親和性を示す親和性溶剤と前記架橋重合体組成物に対して結着性を示す結着性重合体と共に細分化し、分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥してなり、熱可塑性を失わない水準の架橋は、大気中で、架橋重合体組成物の比表面積が10cm −1 以上の形態にて架橋されることによる。このことにより、架橋重合体組成物は架橋による高分子化が制限されるために熱可塑性を失わず、柔軟性を保持している。この架橋重合体組成物を結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0008】
気中で架橋処理を行なうと、その表面では、架橋反応を引き起こすラジカルが大気中の酸素によって阻害され、重合体の主鎖間を結合するような架橋反応が生じず、導電性微粉末の表面を活性化させ、導電性微粉末と重合体間のグラフト結合をするに留まる。比表面積が大きいと酸素にさらされる部分が大きく、熱可塑性を失うような架橋に至らない。この条件で架橋された架橋重合体組成物は柔軟性を保持している。この架橋重合体組成物を結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0009】
請求項に記載の発明は、結晶性重合体と非結晶性重合体と導電性微粉末とを主成分とするとともに、有機過酸化物または電離性放射線で熱可塑性を失わない水準の架橋をされてなる架橋重合体組成物を、前記架橋重合体組成物に対して親和性を示す親和性溶剤と前記架橋重合体組成物に対して結着性を示す結着性重合体と共に細分化し、分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥してなり、熱可塑性を失わない水準で架橋される条件が、有機過酸化物による架橋であって、大気中で1分半減温度以上の温度で混練することによりなされるものである。有機過酸化物を添加した重合体組成物を大気中で1分半減温度以上の温度で混練すると、架橋剤は反応開始するが、架橋反応を引き起こすラジカルが大気中の酸素によって阻害され、重合体の主鎖間を結合するような架橋反応が生じず、導電性微粉末の表面を活性化させ、導電性微粉末と重合体間のグラフト結合をするような反応が生じ、熱可塑性を失うような架橋に至らない。この条件で架橋された架橋重合体組成物は柔軟性を保持している。この架橋重合体組成物を結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0010】
請求項に記載の発明は、結晶性重合体と非結晶性重合体と導電性微粉末とを主成分とするとともに、有機過酸化物または電離性放射線で熱可塑性を失わない水準の架橋をされてなる架橋重合体組成物を、前記架橋重合体組成物に対して親和性を示す親和性溶剤と前記架橋重合体組成物に対して結着性を示す結着性重合体と共に細分化し、分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥してなり、熱可塑性を失わない水準で架橋される条件が、有機過酸化物による架橋であって、有機過酸化物の1分半減温度以下の温度で架橋剤を重合体組成物中に分散し、この組成物を大気中で比表面積10cm−1以上の形態で、有機過酸化物の1分半減温度以上で熱処理されることによりなされるものである。有機過酸化物を添加した重合体組成物を1分半減温度以下の温度で混練すると、架橋剤が殆ど反応しない状態で分散される。これを比表面積10cm−1以上の形態で、大気中で有機過酸化物の1分半減温度以上で熱処理すると、その表面では、架橋剤は反応を開始するが、架橋反応を引き起こすラジカルが大気中の酸素によって阻害され、重合体の主鎖間を結合するような架橋反応が生じず、導電性微粉末の表面を活性化させ、導電性微粉末と重合体間のグラフト結合をするような反応が生じ、熱可塑性を失うような架橋に至らない。この条件で架橋された架橋重合体組成物は柔軟性を保持している。この架橋重合体組成物を結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0011】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1記載の非結晶性重合体に未架橋エラストマを用いるものである。未架橋のエラストマは混練性が極めて良好であり、架橋後には極めて優れた柔軟性を発揮する材料であることから、架橋重合体組成物の柔軟性を効果的に改善することができる。これを細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0012】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1記載の結晶性重合体にポリオレフィンを用い、非結晶性重合体にエチレンプロピレンターポリマを用いるものである。ポリオレフィン結晶性重合体には高結晶化度の材料が多く、急峻な正抵抗温度特性を得ることができる。また、エチレンプロピレンターポリマは同じオレフィン系のエラストマであり、オレフィン結晶性重合体との混練が容易であり、架橋後には極めて優れた柔軟性を発揮することができる。これらの材料からなる架橋重合体組成物は優れた正抵抗温度特性と柔軟性を併せ持つために、細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、優れた正抵抗温度特性と柔軟性を併せ持つことができる。
【0013】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1記載の非結晶性重合体として、エラストマ中に結晶性重合体成分を散在した熱可塑性エラストマを用いるものである。熱可塑性エラストマは結晶性重合体と溶融混練が可能な半面、既に架橋されたエラストマを内包するために、低レベルでの架橋処理を施すだけで効果的に柔軟性を付加することができる。これを細分化して、結着性重合体中に分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0014】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1記載の結晶性重合体にポリオレフィン結晶性重合体を用い、非結晶性重合体に、エチレンプロピレンエラストマ中にポリプロピレンを散在させてなる熱可塑エラストマを用いるものである。ポリオレフィン結晶性重合体には高結晶化度の材料が多く、急峻な正抵抗温度特性を得ることができる。また、エチレンプロピレンエラストマ中にポリプロピレンを散在させてなる熱可塑性エラストマは同じオレフィン系のエラストマであり、オレフィン結晶性重合体と混練が容易である半面、既に架橋されたエラストマを内包するために、低レベルでの架橋処理を施すだけで効果的に柔軟性を得ることができる。また、ポリプロピレン部分が架橋によって高分子化しないという特有の特性があり、架橋後でも熱可塑性を保持することができるという利点がある。これらの材料からなる架橋重合体組成物を細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0015】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1記載の結晶性重合体に架橋分解型結晶性重合体を用い、非結晶性重合体に未架橋エラストマを用いるものである。架橋分解型結晶性重合体と未架橋エラストマと導電性微粉末からなる組成物は、架橋度を高めていくと、架橋分解型結晶性重合体部分は低分子化する一方で、未架橋エラストマ部分が高分子化し、導電性の熱可塑性エラストマが形成される。この材料は結晶性重合体とエラストマが混在し、正抵抗温度特性と柔軟性を両立する極めて有用な組成物となる。これらの材料からなる架橋重合体組成物を細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0016】
請求項に記載の発明は、特に、請求項記載の架橋分解型結晶性重合体はポリプロピレンを用い、非結晶性重合体はエチレンプロピレンターポリマを用いるものである。ポリプロピレンはその構造上、架橋反応させた時に分解反応が生じるために高分子化せず、熱可塑性を保持する。一方、エチレンプロピレンターポリマは架橋によって伸縮性に優れたエラストマとなる。ポリプロピレンとエチレンプロピレンターポリマは共にオレフィン系の重合体であるために両者の混合は容易であり、導電性微粉末の分散性も優れている。この組成物を架橋すると、熱可塑性の導電性エラストマが生成し、ポリプロピレンの結晶性による正抵抗温度特性と、エチレンプロピレンエラストマの柔軟性とを併せ持つ架橋重合体組成物が得られる。これらの材料からなる架橋重合体組成物は、架橋後でも熱可塑性を保持するために2次成形加工が可能であり、この組成物を細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、特に、請求項1記載の結晶性重合体を架橋高分子型結晶性重合体と架橋分解型結晶性重合体から構成するものである。架橋高分子型結晶性重合体は架橋によって融点以上での形状保持を可能し、架橋分解型結晶性重合体は架橋分解によって熱可塑性を保持するために、架橋度を高めた時の結晶性の低下が少なく、正抵抗温度特性を保持することが可能となる。架橋高分子型重合体と架橋分解型重合体と非結晶性重合体と導電性微粉末からなる重合体組成物を架橋した組成物は、急峻な正抵抗温度特性と柔軟性を併せ持つものであり、この組成物を細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、特に、請求項1記載の結晶性重合体を架橋高分子型結晶性重合体と架橋分解型結晶性重合体から構成し、非結晶性重合体には未架橋エラストマを用いるものである。架橋高分子型結晶性重合体は架橋によって融点以上での形状保持を可能し、架橋分解型結晶性重合体は架橋分解によって高分子化しないために、架橋度を高めた時の結晶性の低下が少なく、正抵抗温度特性を保持することが可能となる。未架橋エラストマは混練加工が容易で、架橋によって柔軟性や伸縮性の良好なエラストマとなる。これらの材料を内包する架橋重合体組成物は、急峻な正抵抗温度特性と柔軟性を併せ持つものであり、この組成物を細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、特に、請求項11記載の架橋高分子型結晶性重合体成分をポリオレフィン、架橋分解型結晶性重合体をポリプロピレンから構成し、未架橋エラストマにはエチレンプロピレンターポリマを用いるものである。架橋高分子型結晶性重合体であるポリオレフィン結晶性重合体には高結晶化度の材料が多く、急峻な正抵抗温度特性を得ることができるとともに、架橋によって融点以上での形状保持を可能する。架橋分解型結晶性重合体であるポリプロピレンは架橋分解によって高分子化しないために、架橋度を高めた時の結晶性の低下が少なく、正抵抗温度特性を保持する。未架橋エラストマであるエチレンプロピレンターポリマはポリオレフィン結晶性重合体やポリプロピレンとの相容性が良好で混練加工も容易である。そして、架橋によって柔軟性や伸縮性の良好なエラストマとなる。これらの材料を内包する架橋重合体組成物は、急峻な正抵抗温度特性と柔軟性を併せ持つものであり、この組成物を細分化して、結着性重合体中に分散することによりペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥して形成した抵抗体は、柔軟性と伸縮性に優れ、伸縮性の面状抵抗体を形成することを可能にする。
【0020】
【実施例】
以下本発明の実施例について、説明する。
【0021】
(実施例1)
結晶性重合体として高密度ポリエチレン(ハイゼックス2100J、三井化学製)60部、 非結晶性重合体としてエチレンプロピレンターポリマ(EPT1045、三井化学製)40部、導電性微粉末としてカーボンブラック(ファーネス系、平均粒子径500nm、ヒュルス・デグサ製)100部、架橋剤としてパーヘキシン25B(日本油脂製)1部を用意した。まず、155℃の加熱ミキシングロールで高密度ポリエチレンとエチレンプロピレンターポリマを混練して、次いで、カーボンブラック、架橋剤の順に添加し、均一に分散した。この混練物を窒素雰囲気中にて180℃で1時間熱処理し、架橋剤を完全に反応させて、架橋重合体組成物を得た。次に、この組成物の粗粉砕物100部、結着性重合体としてニトリルゴムワニス(G103、コニシ製)50部、溶剤として芳香族系混合溶剤を330部用意し、3本ロール機で、順次、溶剤を加えながらせん断力によって粗粉砕物を細分化しつつ、ペースト状にした。
【0022】
次いで、このペーストをエチレンプロピレン系エラストマで含浸した伸縮性繊維シートに塗布し、150℃の熱風乾燥炉で30分乾燥して抵抗体塗膜を形成した。さらに、その表面に常温乾燥の銀電極を塗布乾燥して抵抗値及び抵抗温度特性を測定した。20℃の面積抵抗値は300Ω近辺であり、抵抗温度特性の変化桁数は20℃と150℃で3桁を越える変化が見られた。また、このサンプルは伸縮性に富み、5%の伸縮を1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+15%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。
【0023】
以上のように構成された抵抗体において、高密度ポリエチレンは結晶化度の高い結晶性重合体であって、特に、その融点近傍において急峻な抵抗値の増大をもたらす。また、エチレンプロピレンターポリマは非結晶性重合体であって、架橋することによって良好なエラストマとなる。高密度ポリエチレンとエチレンプロピレンターポリマは共にオレフィン系の重合体であり、互いに、分離することなく溶融混合が可能である。エチレンプロピレンターポリマは高密度ポリエチレンとの相容性が高いため、結晶構造を破壊することも少なく、優れた正抵抗温度特性を可能にする。また、平均粒子径500nmのファーネス系のカーボンブラックは大きな正抵抗温度特性の変化桁数をもたらす導電性微粉末であり、高密度ポリエチレンの融点近傍での比容の急激な増大によって、抵抗値を大きく増大させる。これらの重合体と導電性微粉末からなる重合体組成物を架橋させるには、混練温度では容易に反応しない架橋剤を均一に分散し、その後に架橋反応を生ずる温度で熱処理することが望ましい。本実施例で使用した架橋剤は155℃では殆ど反応しないが、165℃以上では反応が徐々に進行する。180℃で1時間の熱処理を行なうことにより、反応を確実に完了させることができる。ここでは実施例でのデータを示しているが、この温度は正確には1分半減温度など、架橋剤毎に測定されている数値で定義できるものである。こうして架橋処理を終えた架橋重合体組成物は、高密度ポリエチレンとカーボンブラックだけであれば、硬く、強靭な組成物となるが、エチレンプロピレンターポリマが存在するために柔軟性が付与される。この組成物は、次工程で溶剤の存在下で結着性重合体と共に細分化され、塗布乾燥後に、その粒子間を別の重合体で結合することによって、さらに柔軟性を増大させて使用される。ニトリル系ゴムワニスは細分化された架橋重合体組成物間を接着するとともに柔軟性を付与する目的で添加される。また、芳香族系混合溶剤はオレフィン系重合体を高温時に溶解する性質があり、架橋された組成物を完全に溶解するには至らないが、十分な親和性を有する溶剤であり、ペーストとして望ましい粘度を可能にする。本実施例に示した抵抗体を構成する材料は以上に示したような作用を有するもので、その相乗作用によって、正抵抗温度特性の変化桁数が大きく、柔軟性並びに伸縮性に富んだ抵抗体が形成される。この抵抗体を伸縮性の基材上に形成することによって、伸縮可能な正抵抗温度特性面状抵抗体を構成できる。
【0024】
なお、本実施例において、非結晶性重合体であるエチレンプロピレンターポリマを添加しないで、全て高密度ポリエチレンに置き換えた抵抗体は、5%の伸縮繰返し試験において、10回以下で抵抗体が破断して、伸縮性に非常に乏しいことが確認された。
【0025】
以上のように、本実施例においては、高密度ポリエチレンとエチレンプロピレンターポリマとカーボンブラックからなる架橋重合体組成物を、ニトリル系ゴムワニスと芳香族系混合溶剤と共に細分化し、得られたペーストを基材に塗布乾燥するもので、エチレンプロピレンターポリマの添加によって架橋重合体組成物に柔軟性が付与されるため、これを細分化してニトリル系ゴムで結合した抵抗体は極めて柔軟であり、伸縮性に耐えることができるものである。
【0026】
また、本実施例では結晶性重合体に高密度ポリエチレンを用いたが、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート、アイオノマ、エチレン酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系の結晶性重合体でも同様の作用と効果がある。さらに、ポリ弗化ビニリデン、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、シリコン樹脂など、オレフィン系以外の結晶性重合体でも同様の作用を有する。
【0027】
また、非結晶性重合体としては、エチレンプロピレンターポリマ以外に、フッ素ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴムなどの未架橋エラストマでも同等の作用がある。さらに、共重合ポリエステル、共重合ナイロン、共重合ウレタンなど、結晶性重合体との相容性が多少ある非結晶性重合体でも同等の作用を有する。
【0028】
また、導電性微粉末については、平均粒子径が大きく、ストラクチャーの発達していないファーネス系のカーボンブラックが大きな正抵抗温度特性を得やすいが、分散方法などの加工条件によっては、これに限定されるものではなく、アセチレンブラックなどを含めた極めて多くのカーボンブラックの中から選定できる。また、さらに、カーボンブラックに限定されるものでなく、グラファイト、金属めっきグラファイト、金属粉末、無機導電性粉末などの導電性微粉末でも同様の作用を有する。
【0029】
また、架橋剤については、重合体の融点や加工温度を考慮して、反応温度の低いジクミールパーオキサイドなどの選定が可能である。また、有機過酸化物による架橋に限定されるものでなく、電子線などの電離性放射線でも架橋することができる。
【0030】
また、結着性重合体としては、ニトリル系ゴム以外に、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコンゴムなどのエラストマ、あるいは、エチレン酢酸ビニル系、アルキッド樹脂系、ポリアミド樹脂系などの樹脂材料など、接着性を示す材料であれば、同等の作用を有する。
【0031】
(実施例2)
実施例1において、非結晶性重合体として使用したエチレンプロピレンターポリマ(EPT1045、三井化学製)40部を、オレフィン系の熱可塑エラストマ(TPE1900、住友化学製)40部に置き換えた抵抗体を作製した。この熱可塑エラストマは、架橋されたエチレンプロピレンターポリマを内包する熱可塑性エラストマであるために、架橋剤の添加量を0.7部に減量した以外、すべて実施例1と同一の仕様で加工した。得られたサンプルの20℃の面積抵抗値は200Ω近辺であり、抵抗温度特性の変化桁数は20℃と150℃で3桁を越える変化が見られた。また、このサンプルは伸縮性に富み、5%の伸縮を1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+20%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。
【0032】
以上のように構成された抵抗体において、オレフィン系の熱可塑エラストマは、既に架橋されたエチレンプロピレンターポリマを主要成分とし、熱可塑性を付与するポリプロピレンが添加されている重合体であるために、実施例1のように、未架橋のエチレンプロピレンターポリマを混練して、後から架橋する手順を踏まなくても同様の作用と効果がある。本実施例での架橋は、高密度ポリエチレンに対するものであり、架橋重合体組成物の高温安定性を改善する作用がある。高密度ポリエチレンと熱可塑エラストマは共にオレフィン系の重合体であり、互いに、分離することなく溶融混合が可能である。熱可塑エラストマは高密度ポリエチレンとの相容性が高いため、結晶構造を破壊することも少なく、優れた正抵抗温度特性を可能にする。
【0033】
以上のように、本実施例においては、高密度ポリエチレンとオレフィン系の熱可塑エラストマとカーボンブラックからなる架橋重合体組成物を、ニトリル系ゴムワニスと芳香族系混合溶剤と共に細分化し、得られたペーストを基材に塗布乾燥するもので、オレフィン系の熱可塑エラストマの添加によって架橋重合体組成物に柔軟性が付与されるため、これを細分化してニトリル系ゴムで結合した抵抗体は極めて柔軟であり、伸縮性に耐えることができるものである。
【0034】
(実施例3)
結晶性重合体としてポリプロピレン(H501、住友化学製)50部、 非結晶性重合体としてエチレンプロピレンターポリマ(EPT1045、三井化学製)50部、導電性微粉末としてカーボンブラック(ファーネス系、平均粒子径500nm、ヒュルス・デグサ製)100部、架橋剤としてパーヘキシン25B(日本油脂製)1部を用意した。まず、165℃の加熱ミキシングロールでポリプロピレンとエチレンプロピレンターポリマを混合し、次いで、カーボンブラックを分散した後に、架橋剤を添加した。架橋剤の混練中に徐々に架橋反応が進行したが、溶融状態には大きな変化はなく、混練は十分に可能であった。この混練物を窒素雰囲気中にて180℃で1時間熱処理し、架橋剤を完全に反応させて、架橋重合体組成物を得た。次に、この組成物の粗粉砕物100部、結着性重合体としてニトリルゴムワニス(G103、コニシ製)50部、溶剤として芳香族系混合溶剤を330部用意し、3本ロール機で、順次、溶剤を加えながらせん断力によって粗粉砕物を細分化しつつ、ペースト状にした。
【0035】
次いで、このペーストを、エチレンプロピレン系エラストマを含浸した伸縮性繊維シートに塗布し、150℃の熱風乾燥炉で30分乾燥して抵抗体塗膜を形成した。さらに、その表面に常温乾燥の銀電極を塗布乾燥して抵抗体を完成した。
【0036】
この抵抗体の抵抗値及び抵抗温度特性を測定した結果、20℃の面積抵抗値は500Ω近辺であり、抵抗温度特性の変化桁数は20℃と170℃で3桁を越える変化が見られた。また、このサンプルは伸縮性に富み、5%の伸縮を1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+5%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。
【0037】
以上のように構成された抵抗体において、ポリプロピレンは結晶化度の高い結晶性重合体であって、特に、その融点近傍において急峻な抵抗値の増大をもたらす。また、エチレンプロピレンターポリマは非結晶性重合体であって、架橋することによって良好なエラストマとなる。ポリプロピレンとエチレンプロピレンターポリマは共にオレフィン系の重合体であり、互いに、分離することなく溶融混合が可能である。エチレンプロピレンターポリマはポリプロピレンとの相容性が高いため、結晶構造を破壊することも少なく、優れた正抵抗温度特性を可能にする。また、平均粒子径500nmのファーネス系のカーボンブラックは、ポリプロピレンの融点近傍での比容の急激な増大によって、大きな正抵抗温度特性の変化桁数をもたらす。また、架橋剤は、ポリプロピレンとエチレンプロピレンターポリマと導電性微粉末からなる重合体組成物に対して架橋反応をするが、ポリプロピレンは特有の分子構造によって分解反応を生じるために高分子化しない。一方のエチレンプロピレンターポリマは、架橋反応によって高分子化し、エラストマとなる。その結果、架橋重合体組成物はポリプロピレンの熱可塑性成分の中にエチレンプロピレンターポリマのエラストマ成分を内包する組成となり、導電性を示す熱可塑性のエラストマが生成する。なお、本実施例で使用した架橋剤は、混練温度165℃では徐々に架橋反応が進行するが、ポリプロピレン成分が熱可塑性を維持するので混練は容易である。架橋反応は、混練の後の180℃で1時間の熱処理によって、完全に完了する。こうして架橋処理を終えた架橋重合体組成物は、正抵抗温度特性を示す一方で、エラストマと同様の柔軟性を得る。そして、熱可塑性であるために、ペレット成形が可能であるなど、以降の加工を極めて容易にする。この組成物は、次工程で溶剤の存在下で結着性重合体と共に細分化され、塗布乾燥後に、その粒子間を別の重合体で結合することによって、さらに柔軟性を増大させて使用される。ニトリル系ゴムワニスは細分化された架橋重合体組成物間を接着するとともに柔軟性を付与する作用がある。また、芳香族系混合溶剤はオレフィン系重合体を高温時に溶解する性質があり、架橋された組成物を完全に溶解するには至らないが、十分な親和性を有する溶剤であり、ペーストとして望ましい粘度を可能にする。
【0038】
本実施例に示した抵抗体を構成する材料は以上に示したような作用を有するもので、その相乗作用によって、正抵抗温度特性の変化桁数が大きく、柔軟性並びに伸縮性に富んだ抵抗体が形成される。この抵抗体を伸縮性の基材上に形成することによって、伸縮可能な正抵抗温度特性面状抵抗体を構成できる。
【0039】
また、本実施例では、結晶性重合体にポリプロピレンを、非結晶性重合体にエチレンプロピレンターポリマを使用したが、架橋反応によって熱分解反応を生じ、高分子化しない結晶性重合体と、架橋反応によってエラストマとなる非結晶性重合体の組合せであれば同等の作用が得られる。
【0040】
(実施例4)
結晶性重合体として、高密度ポリエチレン(ハイゼックス2100J、三井化学製)40部と、ポリプロピレン(H501、住友化学製)30部、非結晶性重合体としてエチレンプロピレンターポリマ(EPT1045、三井化学製)30部、導電性微粉末としてカーボンブラック(ファーネス系、平均粒子径500nm、ヒュルス・デグサ製)100部、架橋剤としてパーヘキシン25B(日本油脂製)1部を用意した。まず、165℃の加熱ミキシングロールで高密度ポリエチレンとポリプロピレンを混合し、次いで、エチレンプロピレンターポリマを混合した。この中に、カーボンブラックを分散した後に、架橋剤を添加した。架橋剤の混練中に徐々に架橋反応が進行したが、溶融状態には大きな変化はなく、混練は十分に可能であった。この混練物を窒素雰囲気中にて180℃で1時間熱処理し、架橋剤を完全に反応させて、架橋重合体組成物を得た。次に、この組成物の粗粉砕物100部、結着性重合体としてニトリルゴムワニス(G103、コニシ製)50部、溶剤として芳香族系混合溶剤を330部用意し、3本ロール機で、順次、溶剤を加えながらせん断力によって粗粉砕物を細分化しつつ、ペースト状にした。
【0041】
次いで、このペーストを、エチレンプロピレン系エラストマで含浸した伸縮性繊維シートに塗布し、150℃の熱風乾燥炉で30分乾燥して抵抗体塗膜を形成した。さらに、その表面に常温乾燥の銀電極を塗布乾燥して抵抗体を完成した。
【0042】
この抵抗体の抵抗値及び抵抗温度特性を測定した結果、20℃の面積抵抗値は270Ω近辺であり、抵抗温度特性の変化桁数は20℃と150℃で3桁を越える変化が見られた。また、このサンプルは伸縮性に富み、5%の伸縮を1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+10%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。
【0043】
以上のように構成された抵抗体において、実施例3と異なる点は、結晶性重合体として高密度ポリエチレンを追加したことである。高密度ポリエチレンは架橋によって高分子化し、耐熱性や高温時の物性を改善する。また、結晶化度が高く、架橋後にも大きな変化桁数の正抵抗温度特性を保持するなどの作用を有する。この作用は、架橋によって高分子化しないポリプロピレンに勝るものである。このことにより、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンターポリマ、導電性微粉末からなる架橋重合体組成物は、より急峻な抵抗値の増大が可能となり、耐熱性と高温物性も改善される。その他の構成材料の作用は実施例3と同等であり、本実施例の抵抗体は、その相乗作用によって、正抵抗温度特性の変化桁数が大きく、耐熱性、高温物性、柔軟性並びに伸縮性に富んだ抵抗体が形成される。この抵抗体を伸縮性の基材上に形成することによって、伸縮可能な正抵抗温度特性面状抵抗体を構成できる。
【0044】
また、本実施例では、結晶性重合体に高密度ポリエチレンとポリプロピレンを、非結晶性重合体にエチレンプロピレンターポリマを使用したが、架橋反応によって高分子化する架橋高分子型結晶性重合体と、架橋反応によって熱分解反応を生じ、高分子化しない架橋分解型結晶性重合体と、架橋反応によってエラストマとなる非結晶性重合体の組合せであれば同等の作用が得られるものである。
【0045】
(実施例5)
結晶性重合体として、高密度ポリエチレン(ハイゼックス2100J、三井化学製)50部と、エチレン酢酸ビニル共重合体(エバテートM5011、住友化学製)50部、 導電性微粉末としてカーボンブラック(ファーネス系、平均粒子径500nm、ヒュルス・デグサ製)110部、架橋剤としてパーヘキシン25B(日本油脂製)1部を用意した。まず、155℃の加熱ミキシングロールで高密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体を混合し、この中に、カーボンブラックを均一に分散した後に、架橋剤を添加した。この混練物を窒素雰囲気中にて180℃で1時間熱処理し、架橋剤を完全に反応させて、架橋重合体組成物を得た。次に、この組成物の粗粉砕物100部、結着性重合体としてニトリルゴムワニス(G103、コニシ製)50部、溶剤として芳香族系混合溶剤を330部用意し、3本ロール機で、順次、溶剤を加えながらせん断力によって粗粉砕物を細分化しつつ、ペースト状にした。
【0046】
次いで、このペーストを、エチレンプロピレン系エラストマで含浸した伸縮性繊維シートに塗布し、150℃の熱風乾燥炉で30分乾燥して抵抗体塗膜を形成した。さらに、その表面に常温乾燥の銀電極を塗布乾燥して抵抗体を完成した。
【0047】
この抵抗体の抵抗値及び抵抗温度特性を測定した結果、20℃の面積抵抗値は1200Ω近辺であり、抵抗温度特性の変化桁数は20℃と150℃で3桁を越える変化が見られた。また、このサンプルは伸縮性に富み、5%の伸縮を1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+20%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。
【0048】
以上のように構成された抵抗体において、高密度ポリエチレン及びエチレン酢酸ビニル共重合体は、その実使用温度域が60℃近辺であることを想定して選定されたものである。高密度ポリエチレンは実使用温度域よりも高温に融点を持つ高結晶性の重合体として選定されたものであり、約130℃の融点近傍において急峻な抵抗値の増大をもたらす。酢酸ビニル含有量32%のエチレン酢酸ビニル共重合体は実使用温度域の近辺に融点を持つ重合体として選定されたもので、約63℃の融点近傍において急峻な抵抗値の増大もたらす。そして、結晶化度が低いために、柔軟性に富んだ重合体である。高密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体は共にオレフィン系の重合体であり、互いに、分離することなく溶融混合が可能である。これらの重合体の溶融混合体にカーボンブラックを分散させて、架橋処理を終えた架橋重合体組成物は、高密度ポリエチレンとカーボンブラックだけであれば、硬く、強靭な組成物となるが、エチレン酢酸ビニル共重合体が多量に存在するために柔軟性が付与される。また、双方の重合体は架橋反応によって結合しているために、融点範囲の広い単一の重合体のようなふるまいを示す。そのために、正抵抗温度特性を示す温度範囲が広くなり、130℃近辺で急峻な抵抗値増大を示すだけでなく、70℃近辺でも抵抗値が大きく増大する。この組成物は、次工程で溶剤の存在下で結着性重合体と共に細分化され、塗布乾燥後に、その粒子間を別の重合体で結合することによって、さらに柔軟性を増大させて使用される。ニトリル系ゴムワニスは細分化された架橋重合体組成物間を接着するとともに柔軟性を付与する目的で添加される。また、芳香族系混合溶剤はオレフィン系重合体を高温時に溶解する性質があり、架橋された組成物を完全に溶解するには至らないが、十分な親和性を有する溶剤であり、ペーストとして望ましい粘度を可能にする。
【0049】
本実施例に示した抵抗体を構成する材料は以上に示したような作用を有するもので、その相乗作用によって、正抵抗温度特性の変化温度域が広く、柔軟性並びに伸縮性に富んだ抵抗体が形成される。この抵抗体を伸縮性の基材上に形成することによって、伸縮可能な正抵抗温度特性面状抵抗体を構成できる。
【0050】
また、本実施例では、結晶性重合体に高密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体を使用したが、実使用温度よりも高温域に融点を持つ高結晶性重合体と、実使用温度近傍に融点を持つ低結晶性重合体の組合せであれば良く、上記重合体に限定されるものではない。高結晶性重合体としては低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレンなどのポリエチレンが、低結晶性重合体としては酢酸ビニル含有量の異なるエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレートなどのエチレン共重合体、アイオノマなどのオレフィン系重合体から選定された重合体でも同様の作用を有する。
【0051】
(実施例6)
結晶性重合体として、高密度ポリエチレン(ハイゼックス2100J、三井化学製)30部と、エチレン酢酸ビニル共重合体(エバテートM5011、住友化学製)40部、非結晶性重合体としてエチレンプロピレンターポリマ(EPT1045、三井化学製)、導電性微粉末としてカーボンブラック(ファーネス系、平均粒子径500nm、ヒュルス・デグサ製)110部、架橋剤としてパーヘキシン25B(日本油脂製)1部を用意した。まず、155℃の加熱ミキシングロールで高密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体を混合し、次いで、エチレンプロピレンターポリマを混合し、この中に、カーボンブラックを均一に分散した後に、架橋剤を添加した。この混練物を窒素雰囲気中にて180℃で1時間熱処理し、架橋剤を完全に反応させて、架橋重合体組成物を得た。次に、この組成物の粗粉砕物100部、結着性重合体としてニトリルゴムワニス(G103、コニシ製)50部、溶剤として芳香族系混合溶剤を330部用意し、3本ロール機で、順次、溶剤を加えながらせん断力によって粗粉砕物を細分化しつつ、ペースト状にした。
【0052】
次いで、このペーストをエチレンプロピレン系エラストマで含浸した伸縮性繊維シートに塗布し、150℃の熱風乾燥炉で30分乾燥して抵抗体塗膜を形成した。さらに、その表面に常温乾燥の銀電極を塗布乾燥して抵抗体を完成した。
【0053】
この抵抗体の抵抗値及び抵抗温度特性を測定した結果、20℃の面積抵抗値は700Ω近辺であり、抵抗温度特性の変化桁数は20℃と150℃で3桁を越える変化が見られた。また、このサンプルは伸縮性に富み、5%の伸縮を1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+15%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。
【0054】
以上のように構成された抵抗体において、実施例5と異なる点は、非結晶性重合体としてエチレンプロピレンターポリマを添加したことにある。エチレンプロピレンターポリマは非結晶性重合体であって、架橋することによって良好なエラストマとなる。高密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体とエチレンプロピレンターポリマは共にオレフィン系の重合体であり、互いに、分離することなく溶融混合が可能である。エチレンプロピレンターポリマは高密度ポリエチレンやエチレン酢酸ビニル共重合体との相容性が高いため、結晶構造を破壊することも少なく、優れた正抵抗温度特性を可能にする。これらの重合体の溶融混合体にカーボンブラックを分散させて、架橋処理を終えた架橋重合体組成物は、高密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体とカーボンブラックだけも柔軟性のある組成物であるが、エチレンプロピレンターポリマによって、一層の柔軟性の改善が図られる。また、双方の重合体は架橋反応によって結合しているために、融点範囲の広い単一の重合体のようなふるまいを示す。そのために、正抵抗温度特性を示す温度範囲が広くなり、130℃近辺で急峻な抵抗値増大を示すだけでなく、63℃近辺でも抵抗値が大きく増大する。この組成物は、次工程で溶剤の存在下で結着性重合体と共に細分化され、塗布乾燥後に、その粒子間を別の重合体で結合することによって、さらに柔軟性を増大させて使用される。ニトリル系ゴムワニスは細分化された架橋重合体組成物間を接着するとともに柔軟性を付与する目的で添加される。また、芳香族系混合溶剤はオレフィン系重合体を高温時に溶解する性質があり、架橋された組成物を完全に溶解するには至らないが、十分な親和性を有する溶剤であり、ペーストとして望ましい粘度を可能にする。
【0055】
本実施例に示した抵抗体を構成する材料は以上に示したような作用を有するもので、その相乗作用によって、正抵抗温度特性の変化温度域が広く、柔軟性並びに伸縮性に富んだ抵抗体が形成される。この抵抗体を伸縮性の基材上に形成することによって、伸縮可能な正抵抗温度特性面状抵抗体を構成できる。
【0056】
また、本実施例では、結晶性重合体に高密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体を使用したが、実使用温度よりも高温域に融点を持つ高結晶性重合体と、実使用温度近傍に融点を持つ低結晶性重合体の組合せであれば良く、上記重合体に限定されるものではない。高結晶性重合体としては低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレンなどのポリエチレンが、低結晶性重合体としては酢酸ビニル含有量の異なるエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレートなどのエチレン共重合体、アイオノマなどのオレフィン系重合体から選定された重合体でも同様の作用が得られる。また、非結晶性重合体としては、エチレンプロピレンターポリマ以外に、フッ素ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴムなどの未加硫エラストマでも同等の作用が得られる。さらに、共重合ポリエステル、共重合ナイロン、共重合ウレタンなど、結晶性重合体との相容性が多少ある非結晶性重合体でも同等の作用が得られる。
【0057】
(実施例7)
結晶性重合体として高密度ポリエチレン(ハイゼックス2100J、三井化学製)80部、 非結晶性重合体としてエチレンプロピレンターポリマ(EPT1045、三井化学製)20部、導電性微粉末としてカーボンブラック(ファーネス系、平均粒子径500nm、ヒュルス・デグサ製)90部、架橋剤としてパーヘキシン25B(日本油脂製)2部を用意した。まず、155℃の加熱ミキシングロールで高密度ポリエチレンとエチレンプロピレンターポリマを混練して、次いで、カーボンブラック、架橋剤の順に添加し、均一に分散した。そして、1mm厚さのシート形状にしてロールから取り出した。この混練物を空気中にて180℃で1時間熱処理し、架橋剤を完全に反応させて、架橋重合体組成物を得た。次に、この組成物の粗粉砕物100部、結着性重合体としてニトリルゴムワニス(G103、コニシ製)50部、溶剤として芳香族系混合溶剤を330部用意し、3本ロール機で、順次、溶剤を加えながらせん断力によって粗粉砕物を細分化しつつ、ペースト状にした。
【0058】
次いで、このペーストをエチレンプロピレン系エラストマで含浸した伸縮性繊維シートに塗布し、150℃の熱風乾燥炉で30分乾燥して抵抗体塗膜を形成した。さらに、その表面に常温乾燥の銀電極を塗布乾燥して抵抗値及び抵抗温度特性を測定した。20℃の面積抵抗値は800Ω近辺であり、抵抗温度特性の変化桁数は20℃と150℃で4桁を越える変化が見られた。また、このサンプルは伸縮性に富み、5%の伸縮を1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+15%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。
【0059】
以上のように構成された抵抗体において、高密度ポリエチレンは結晶化度の高い結晶性重合体であって、特に、その融点近傍において急峻な抵抗値の増大をもたらす。また、エチレンプロピレンターポリマは非結晶性重合体であって、架橋することによって良好なエラストマとなる。高密度ポリエチレンとエチレンプロピレンターポリマは共にオレフィン系の重合体であり、互いに、分離することなく溶融混合が可能である。エチレンプロピレンターポリマは高密度ポリエチレンとの相容性が高いため、結晶構造を破壊することも少なく、優れた正抵抗温度特性を可能にする。また、平均粒子径500nmのファーネス系のカーボンブラックは大きな正抵抗温度特性の変化桁数をもたらす導電性微粉末であり、高密度ポリエチレンの融点近傍での比容の急激な増大によって、抵抗値を大きく増大させる。これらの重合体と導電性微粉末からなる重合体組成物を架橋させるには、混練温度では容易に反応しない架橋剤を均一に分散し、その後に架橋反応を生ずる温度で熱処理することが望ましい。本実施例で使用した架橋剤は155℃では殆ど反応しないが、165℃以上では反応が徐々に進行する。180℃で1時間の熱処理を行なうことにより、反応を確実に完了させることができる。本実施例では、架橋剤の添加量を他の実施例よりも多くし、1mm厚みのシートにして、空気中で架橋した。大気中で架橋処理を行なうと、その表面では、架橋反応を引き起こすラジカルが大気中の酸素によって阻害され、重合体の主鎖間を結合するような架橋反応が生じず、導電性微粉末の表面を活性化させ、導電性微粉末と重合体間のグラフト結合をするに留まる。比表面積が大きいと酸素にさらされる部分が大きく、熱可塑性を失うような架橋に至らない。この条件で架橋された架橋重合体組成物は特に柔軟性を高く保持している。こうして架橋処理を終えた架橋重合体組成物は、高密度ポリエチレンとカーボンブラックだけでも柔軟な組成物となるが、エチレンプロピレンターポリマが存在するために一層の柔軟性が付与される。この組成物は、次工程で溶剤の存在下で結着性重合体と共に細分化され、塗布乾燥後に、その粒子間を別の重合体で結合することによって、さらに柔軟性を増大させて使用される。ニトリル系ゴムワニスは細分化された架橋重合体組成物間を接着するとともに柔軟性を付与する目的で添加される。また、芳香族系混合溶剤はオレフィン系重合体を高温時に溶解する性質があり、架橋された組成物を完全に溶解するには至らないが、十分な親和性を有する溶剤であり、ペーストとして望ましい粘度を可能にする。本実施例に示した抵抗体を構成する材料は以上に示したような作用を有するもので、その相乗作用によって、正抵抗温度特性の変化桁数が大きく、柔軟性並びに伸縮性に富んだ抵抗体が形成される。この抵抗体を伸縮性の基材上に形成することによって、伸縮可能な正抵抗温度特性面状抵抗体を構成できる。
【0060】
以上のように、本実施例においては、高密度ポリエチレンとエチレンプロピレンターポリマとカーボンブラックからなる架橋重合体組成物を、ニトリル系ゴムワニスと芳香族系混合溶剤と共に細分化し、得られたペーストを基材に塗布乾燥するもので、新たな架橋条件を見出すことと、エチレンプロピレンターポリマの添加によって架橋重合体組成物に優れた柔軟性が付与されるため、これを細分化してニトリル系ゴムで結合した抵抗体は極めて柔軟であり、伸縮性に耐えることができるものである。
【0061】
また、本実施例において、非結晶性重合体であるエチレンプロピレンターポリマを添加しないで、全て高密度ポリエチレンに置き換えた抵抗体でも、5%の伸縮繰返し試験において、1000回繰り返した結果、抵抗体の破断はみられなかった。抵抗値の変化率も+30%以下であり、伸縮性の抵抗体として実用に耐える水準であった。これは、熱可塑性を失わないような架橋を加えれば、伸縮性を付加できることを示している。
【0062】
また、本実施例においては、1mm厚みのシート形状で、空気中で架橋処理を行ったが、シート厚みが2mmを超えると、架橋重合体組成物が急激に熱可塑性を示さなくなることがわかった。これは、シートの表裏面から1mm以内までは空気中の酸素が拡散し、重合体の主鎖が結合するような架橋を抑制する一方、カーボンブラックの表面を活性化し、重合体とカーボンブラックがグラフト結合する形態の架橋反応が生じる比率が高いためである。
【0063】
また、本実施例においては、1mm厚みのシート形状で、空気中で架橋処理を行ったが、混練中に架橋することも可能である。この場合、加熱ミキシングロール機などで、架橋剤が反応開始する温度以上で所定時間混練すると、架橋剤が反応する一方で、空気中の酸素が混練物の内部まで拡散するために、ラジカルが生成しても、重合体の主鎖が結合するような架橋には至らず、カーボンブラックの表面を活性化し、重合体とカーボンブラックがグラフト結合する形態の架橋反応がより多く生じる。
【0064】
また、本実施例では結晶性重合体に高密度ポリエチレンを用いたが、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート、アイオノマ、エチレン酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系の結晶性重合体でも同様の作用と効果がある。また、結晶性重合体は融点の異なるものなど、2種以上の組合せでも同等の作用が得られる。また、さらに、非結晶性重合体としては、エチレンプロピレンターポリマ以外にも、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムなどの結晶性重合体との相容性が多少あるエラストマでも同等の作用が得られる。さらに、共重合ポリエステル、共重合ナイロン、共重合ウレタンなど、結晶性重合体との相容性が多少ある非結晶性重合体でも同等の作用が得られる。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、結晶性重合体及び導電性微粉末に非結晶性重合体を加えることによって架橋重合体組成物には柔軟性が付与され、これを細分化して結着性重合体によって結合された抵抗体は、正抵抗温度特性の変化桁数が大きく、柔軟性並びに伸縮性に富んでいる。この抵抗体を伸縮性の基材上に形成することによって、伸縮可能な正抵抗温度特性面状抵抗体を構成できる。

Claims (12)

  1. 結晶性重合体と非結晶性重合体と導電性微粉末とを主成分とするとともに、有機過酸化物または電離性放射線で熱可塑性を失わない水準の架橋をされてなる架橋重合体組成物を、前記架橋重合体組成物に対して親和性を示す親和性溶剤と前記架橋重合体組成物に対して結着性を示す結着性重合体と共に細分化し、分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥してなり、
    熱可塑性を失わない水準の架橋は、大気中で、架橋重合体組成物の比表面積が10cm −1 以上の形態にて架橋されることによる、正抵抗温度特性抵抗体。
  2. 結晶性重合体と非結晶性重合体と導電性微粉末とを主成分とするとともに、有機過酸化物または電離性放射線で熱可塑性を失わない水準の架橋をされてなる架橋重合体組成物を、前記架橋重合体組成物に対して親和性を示す親和性溶剤と前記架橋重合体組成物に対して結着性を示す結着性重合体と共に細分化し、分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥してなり、
    架橋は有機過酸化物によるものであり、熱可塑性を失わない水準の架橋は、有機化酸化物の大気中で1分半減温度以上の温度で混練することによってなされた、正抵抗温度特性抵抗体。
  3. 結晶性重合体と非結晶性重合体と導電性微粉末とを主成分とするとともに、有機過酸化物または電離性放射線で熱可塑性を失わない水準の架橋をされてなる架橋重合体組成物を、前記架橋重合体組成物に対して親和性を示す親和性溶剤と前記架橋重合体組成物に対して結着性を示す結着性重合体と共に細分化し、分散することにより、ペーストを作製し、前記ペーストを基材に塗布乾燥してなり、
    架橋は有機過酸化物によるものであり、混練温度は前記有機過酸化物の1分半減温度以下であり、熱可塑性を失わない水準の架橋は、大気中で、架橋重合体組成物の比表面積が10cm−1以上の形態で前記有機過酸化物の1分半減温度以上で熱処理することによってなされた、正抵抗温度特性抵抗体。
  4. 非結晶性重合体は、未架橋エラストマである請求項1項記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  5. 結晶性重合体はポリオレフィンであり、非結晶性重合体はエチレンプロピレンターポリマである請求項1項記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  6. 非結晶性重合体は、エラストマ中に結晶性重合体成分を散在した熱可塑性エラストマである請求項1項記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  7. 結晶性重合体はポリオレフィンであり、非結晶性重合体はエチレンプロピレンエラストマ中にポリプロピレンを散在させてなる熱可塑性エラストマである請求項1項記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  8. 結晶性重合体は架橋分解型結晶性重合体であり、非結晶性重合体は未架橋エラストマである請求項1記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  9. 架橋分解型結晶性重合体はポリプロピレンであり、非結晶性重合体はエチレンプロピレンターポリマである請求項8記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  10. 結晶性重合体は架橋高分子型結晶性重合体と架橋分解型結晶性重合体からなる請求項1記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  11. 結晶性重合体は架橋高分子型結晶性重合体と架橋分解型結晶性重合体からなり、非結晶性重合体は未架橋エラストマからなる請求項1記載の正抵抗温度特性抵抗体。
  12. 架橋高分子型結晶性重合体成分はポリオレフィンであり、架橋分解型結晶性重合体はポリプロピレンであり、未架橋エラストマはエチレンプロピレンターポリマである請求項11記載の正抵抗温度特性抵抗体。
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