JP2004172181A - ポリマー正特性サーミスタ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い室温抵抗値が得られると共に、動作時と比動作時との間の抵抗変化率が大きく、かつ繰り返し動作による抵抗値の変化が小さく、品質安定性に優れているポリマー正特性サーミスタ素子を提供する。
【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂と導電性フィラーとしての金属粉とを含んで素体を構成する。金属粉は、その構成粒子が、粒子の繋がった鎖状構造のものからなり、かつ比表面積が10〜50m/gである。また、熱可塑性樹脂と金属粉との混合物でなるシート化された素体の比抵抗値が0.001〜0.1Ω・cmである。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度センサーや過電流保護素子として用いられ、温度上昇により抵抗値が増大するPTC特性を有するポリマー正特性サーミスタ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の回路保護を目的に用いられる正特性サーミスタ素子としては、セラミックス材料よりなるものが一般的であった。セラミックス材料よりなる正特性サーミスタ素子は、素子の発熱温度が高く、小型、軽量、低コスト化が困難な側面を持っている。近年、これらの問題を解決するために、熱可塑性樹脂に導電性フィラーを用いたポリマー正特性サーミスタ素子(以下P−PTC)が開発された。
【0003】
結晶性ポリマーに導電性フィラーを分散させたP−PTCは、例えば特許文献1、2に記載されており、温度上昇に伴う抵抗値の増大は、結晶性ポリマーが溶解に伴い膨張し、導電性フィラーの導電経路を切断するためと考えられている。
【0004】
また、従来のP−PTCにおいては、導電性フィラーとしてカーボンブラックが用いられてきた(例えば特許文献3参照。)。また、導電性フィラーとして金属粉を用いたものがある(例えば特許文献4、5参照。)。また、その金属粉としてスパイク状のNi粉を用いたものも開示されている(例えば特許文献6、7参照。)。また、結晶性ポリマー内に導電性フィラーの他に低分子の有機化合物を含有するものも開示されている(例えば特許文献8参照。)。
【0005】
【特許文献1】
米国特許弟3243753号公報
【特許文献2】
米国特許弟3351882号公報
【特許文献3】
特公平6−88350号公報
【特許文献4】
特開平5−47503号公報
【特許文献5】
特開平11−168005号公報
【特許文献6】
米国特許弟5378407号公報
【特許文献7】
特開平5−470503号公報
【特許文献8】
特公昭62−16523号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のP−PTCのうち、導電性フィラーとしてカーボンブラックを用いたものは、カーボンブラックの比抵抗が金属粉に比較して約2桁程度高いため、室温抵抗値が高く、かつ温度上昇に伴う抵抗変化率が小さいという問題点があった。
【0007】
一方、導電性フィラーとして例えば球状金属粒子からなる粉を用いたものは、カーボンブラックに比較し、低い室温抵抗値が得られ、かつ大きな抵抗変化率が得られるものの、繰り返し動作による抵抗値の増大が起こり易いという問題点があった。
【0008】
また、導電性フィラーとしてスパイク状の導電性フィラーからなるニッケル粉を用いたものは、結晶性ポリマー中にこのニッケル粉を含有させるための分散制御が困難なため、PTC特性のばらつきが大きく、実用化に至っていないのが実情である。
【0009】
また、前記低分子有機化合物を含ませたものは、自己温度制御発熱体、限流素子として開示され、温度上昇に伴う低分子有機化合物の融解により抵抗値が増大するものと考えられている。低分子有機化合物を用いる場合の利点は、低分子有機化合物は一般の高分子と比較すると結晶化度が高いため、昇温により抵抗値が増大する際の立ち上がり特性が急峻になることが挙げられる。また、高分子は過冷却状態をとりやすいため、通常、昇温時に抵抗値が増大する温度よりも降温時に抵抗が減少する温度の方が低下するようなヒステリシスを示すが、低分子有機化合物を含ませれば、このヒステリシスを小さく抑えることができる。また、融点の異なる低分子有機化合物を用いれば、抵抗値が増大する温度(以下動作温度)を簡単に制御することができる。
【0010】
しかしながら、この低分子有機化合物を含ませたP−PTCにおいても、導電性フィラーとして前記カーボンブラックや金属粉を用いているので、前記した問題は避けられない。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、従来のものより低い室温抵抗値が得られると共に、動作時と比動作時との間の抵抗変化率が大きく、かつ繰り返し動作による抵抗値の変化が小さく、しかも特性が揃ったすなわち品質安定性に優れているポリマー正特性サーミスタ素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明によるポリマー正特性サーミスタ素子は、少なくとも熱可塑性樹脂と導電性フィラーとしての金属粉とを含むポリマー正特性サーミスタであって、
前記金属粉は、その金属粉を構成する個々の要素として、粒子が繋がった鎖状構造のものを含み、かつ比表面積が10〜50m/gであり、
前記熱可塑性樹脂と金属粉とを含む混合物でなるシート化された素体の比抵抗値が0.001〜0.1Ω・cmである
ことを特徴とする。
【0013】
このように、本発明は、粒子が繋がった鎖状構造を有する金属粒子を含む金属粉かつ比表面積が10〜50m/g(BET1点法による)のような細かい粉を用いるものであって、従来の金属粉ではこのような比表面積が大きいもの、すなわち細く、かつ鎖状構造のものは用いられていない。このような非常に細かい鎖状構造の粒子は、従来の金属粉の場合のようないわば点状導電体に対し、その点より細い線状導電体の形で樹脂中に分散されるから、同じ量だけ分散させた場合、緻密にかつ高分散状態で分散させることができ、これにより導電パス数を増大させることができ、室温における初期抵抗値を0.001Ω・cm程度の低い値にまで低下させることが可能になるのみならず、9桁程度の大きな抵抗変化率を得ることができる。
【0014】
また、球状の金属粒子を用いた場合に比較し、鎖状構造物は導電パス数が多いため、動作の繰り返しによっても接触、離反の再現性が良好であり、動作、非動作の繰り返しによって抵抗値が増大する度合いが減少する。
【0015】
このような非常に細かい金属の鎖状構造物は例えばCVD法やPVD法等により得ることができる。
【0016】
(2)本発明によるポリマー正特性サーミスタ素子においては、
前記素体の比抵抗値の最大、最小値の差をaとし、比抵抗値の平均値をbとしたとき、(a/b)×100%が10%以下である、すなわち特性の揃った品質安定性の高いものが得られる。
【0017】
(3)本発明のポリマー正特性サーミスタ素子において、
前記熱可塑性樹脂は、融点が70〜200℃の結晶性ポリマーからなり、かつ前記混合物は、前記熱可塑性樹脂と、前記金属粉と、低分子有機化合物とを含むことが好ましい。熱可塑性樹脂の融点を前記範囲に収めることにより、電子機器に組み込んだ場合に所望の過電流保護素子等としての働きを有するものが得られる。また、低分子有機化合物を加えることにより、前記した利点が得られる。
【0018】
(4)本発明のポリマー正特性サーミスタ素子において、前記混合物は、前記熱可塑性樹脂Aと、前記金属粉Bと、低分子有機化合物Cとを含み、かつA+B+C=100重量%としたとき、B=30〜70重量%であることが好ましい。前記金属粉の含有率が30重量%未満である場合は、初期抵抗値が高くなり、また70重量%を超えると抵抗変化率が小さくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(正特性サーミスタ素子の構造)
図1(A)は本発明によるポリマー正特性サーミスタ素子の一実施の形態を示す断面図である。1はそのサーミスタ素体であり、2はその両面に設けた電極である。電極2には端子を設ける場合もある。
【0020】
図1(B)は本発明によるポリマー正特性サーミスタ素子の他の実施の形態を示す断面図である。この実施の形態は、積層構造をなすもので、1a〜1eは前記素体、2a、2bは各素体間および外面に設けた内部電極、3a、3bはそれぞれ内部電極2a、2bの側面引き出し部に接続された外部電極であり、この例では外部電極3a、3bが表面実装型に構成された例を示す。
【0021】
本発明においては、前記サーミスタ素体1または1a〜1eとして、熱可塑性樹脂やこれにさらに低分子有機化合物を加えたものに混合する導電性フィラーとして、鎖状構造をなす金属粒子からなる金属粉を用いるものである。
【0022】
(金属粉)
本発明において、前記サーミスタ素体1または1a〜1e(以下これらをサーミスタ素体1で代表させる)に樹脂と混合または混練する金属粉は、図2(A)のSEM像である写真図に示すように、金属一次粒子が鎖状に連なったものからなり、CVD法あるいはPVD法により製造される。これらの金属粉はBET1点法により測定した比表面積が10〜50m/gの微粉末(粒径として換算した場合10〜70nm)である。図2(A)の例はNi粉を示す。図2(B)は比較例として示した球状金属粉のSEM像である。
【0023】
金属粒子が図2(B)に示すような例えば球状である場合、本発明において用いる鎖状構造の粒子のような10m/g以上の比表面積は得られず、素体1の室温抵抗値は高いものとなる。また、金属粒子の比表面積が小さい(すなわち粒子が大きい)と熱可塑性樹脂内での金属粉の充填の緻密度を上げることができず、金属粉の凝集による抵抗値への影響が大きくなり、分散が悪くなる。しかし、金属粒子の比表面積があまり大きい(50m/gを超える)と、材料の表面酸化により抵抗値が増大する傾向にあるので、P−PTCの安定品質を確保するには、金属粉の比表面積は好ましくは50m/g以下である。金属粉の比表面積はより好ましくは12.1〜43.1m/gである。
【0024】
この鎖状構造の粒子からなる金属粉の材質としては、Ni、Ni−Fe合金等が、比抵抗等の点で好ましいが、カーボンブラックを少量添加して用いることができる。また、Ag、Al、Co、Feの1種または2種以上のものを併用することが可能である。
【0025】
(熱可塑性樹脂)
本発明において用いる熱可塑性樹脂は結晶性ポリマーであることが好ましい。また、熱可塑性樹脂樹脂にさらに低分子有機化合物を加えることが前記理由から好ましい。熱可塑性樹脂の融点は、低分子有機化合物の溶解による流動、素体1の変形等を防止するため、低分子有機化合物の融点よりも高いことが望ましく、30〜110℃高いことがさらに好ましい。また、電子機器での過電流保護素子等における要望から、熱可塑性樹脂の融点は70〜200℃であることが好ましい。
【0026】
本発明において用いる熱可塑性樹脂としては、
ポリオレフィン(例えばポリエチレン)
1種または2種以上のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン)と、1種または2種以上の極性基を含有するオレフィン性不飽和モノマーとから誘導されたモノマー単位で構成されたコポリマー(例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー)ハロゲン化ビニルおよびビニリデンポリマー(例えばポロビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド)
ポリアミド(例えば12−ナイロン)
ポリスチレン
ポリアクリロニトリル
熱可塑性エラストマー
ポリエチレンオキサイド、ポリアセタール
熱可塑性変性セルロース
ポリスルホン類
ポリメチル(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
【0027】
より具体的には、高密度ポリエチレン[例えば商品名:ハイゼックス2100JP(三井化学社製)、Marlex6003(フィリップ社製)]
低密度ポリエチレン[例えば商品名:LC500(日本ポリケム社製)、DYMH−1(ユニオン−カーバイト社製)等]
中密度ポリエチレン[例えば商品名:2604M(ガルフ社製)等]
エチレン−エチルアクリレートコポリマー[例えば商品名:DPD6169(ユニオン−カーバイト社製)等]
エチレン−アクリル酸コポリマー[例えば商品名:EAA455(ダウケミカル社製)等]
ヘキサフルオエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー[例えば商品名:FEP100(ジュポン社製)等]
ポリビニリデンフルオロライド[例えば商品名:Kynar461(ペンバルト社製)等]等が挙げられる。
【0028】
このような熱可塑性樹脂は、重量平均分子量Mwが1万〜500万程度の高分子であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂の融点は、前述の通り、70〜200℃であることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用しても良く、前記熱可塑性樹脂が架橋されたものを用いても良い。
【0029】
(低分子有機化合物)
低分子有機化合物としては、分子量1000程度までの結晶性のものであれば特に限定はないが、20〜30℃において固体であるものが好ましい。このようなものとしては、ワックス、油脂、高級アルコール等から選択されるものであるが、これら自体を低分子有機化合物として用いることができる。これらの低分子有機化合物は市販されており、市販品をそのまま用いることができる。これらは1種のみを用いても2種以上併用しても良い。
【0030】
(他の添加物)
本発明の素体1を構成する場合、熱可塑性樹脂の熱劣化を防止する目的で酸化防止剤を混入することもでき、この目的のためにフェノール類、有機イオウ類、フォスファイト類等が用いられる。
【0031】
(配合比)
本発明において、熱可塑性樹脂をA、金属粉をB、低分子有機化合物をCとした場合、A+B+C=100重量%として、B=30〜70重量%の範囲であることが好ましい。金属粉Bの量が少なすぎると非動作時の室温での抵抗値を十分低くすることができない。一方、金属粉Bの量が多すぎると、材料凝集の影響も受けやすくなるため、大きな抵抗変化率が得られない。
【0032】
(製造工程)
図1(A)の素子を製造する場合には、熱可塑性樹脂と前記金属粉を混合した後、溶融、混練し、素子の複数個分のシート化して得られたものに電極を設け、これを個々の素子に切断することにより製造する。
【0033】
図1(A)の素子を製造する場合においては、前記混合工程の後、熱処理を行う。熱処理とは混練であり、熱可塑性樹脂の融点以上の温度(好ましくは融点よりも5〜40℃高い温度)で行う。具体的には、公知の方法によればよく、ニーダ、押し出し機、ミル等で10〜120分程度の混練を行えばよい。熱可塑性樹脂内での金属粉の分散度を向上させるためには、混練温度の調整や混練時間の調整を行う。また、同じ材料の溶融、混練を複数回行うこと等により、いわゆる適正な溶融、混練条件を見いだすことが必要となる。
【0034】
混練物は所定の厚さのシートになるようにロール成形あるいはプレス成形を行い、さらに、Cu、Ni、Au等の金属箔を熱圧着して金属電極を形成する。この時、必要に応じて熱可塑性樹脂の架橋処理を施してもよい。架橋方法としては、放射線架橋、有機過酸化物による化学架橋、シランカップリング剤をグラフト化してシラノール基の縮合反応を行わせることによる水架橋等、公知の方法を用いることができる。
【0035】
図1(B)のサーミスタ素子を製造する場合には、図3の工程図に示すように、金属粉、有機質バインダー、および溶剤を所定の比率に秤量、混合して積層に適した塗料を作製し、この塗料を印刷、乾燥して前記素体1a〜1eとなる単体シートを得る(ステップS1)。次にこれに内部電極2a、2bを形成し(ステップS2)、これらの内部電極2a、2bを形成したシートを積層し(ステップS3)、これを加熱圧着し(ステップS4)、これを個々のチップごとに切断し(ステップS5)、外部電極3a、3bを形成する(ステップS6)ことにより製造する。なお、図1(B)の最上層と最下層に絶縁樹脂でなる保護層を形成してもよい。
【0036】
(品質の安定化)
本発明のよるサーミスタ素子の場合、素体1の比抵抗値の最大、最小値の差をaとし、比抵抗値の平均値をbとしたとき、(a/b)×100%が10%以下と品質が安定している。また、動作時における抵抗値の立ち上がりが急峻であり、非動作時から動作時にかけての抵抗変化率が8〜9桁と大きく、かつ非動作から動作を行う10回の繰り返し試験においても、その抵抗値変化が小さい。
【0037】
【実施例】
(実施例1〜4)
図1(A)の構造のサーミスタ素子を実現するため、実施例1〜4、比較例1〜3として、表1に示す材料組成および混練条件により混練物を得た。すなわち、熱可塑性樹脂にポリエチレンを共通に用い、低分子有機化合物にパラフィンワックスを共通に用いた。実施例1においては、鎖状構造のNi粉で比表面積を本発明の範囲内に収めたものを用い、その金属粉の含有率も本発明の範囲内に収めたものを用いた。
【0038】
(比較例1〜3)
一方比較例1は、金属粉として鎖状構造のNi粉を用いるものの、比表面積が2.6m/gと小さい、すなわち粒子が大きいものであり、かつ所定の初期抵抗値を得るために、金属粉の含有率を85重量%と多くしたものであって、他の条件は実施例1〜4とほぼ同じである。
【0039】
比較例2は、導電性フィラーとして従来のカーボンブラックを用いたもので、比表面積は61.2m/gと大きいものであり、そのカーボンブラックの含有率を40重量%としたものであり、他の条件は実施例1〜4とほぼ同じである。
【0040】
比較例3は、導電性フィラーとして従来の球状Ni粉を用いたもので、比表面積は5.0m/gで、金属粉の含有率を90重量%としたものであり、他の条件は実施例1〜4とほぼ同じである。
【0041】
なお、混練はラボプラストミル(東洋製作所社製)を用いた。これらの混練物をシート化し、そのシートをその両面から当てた15μmの厚さのNi箔で挟み、150℃で各実施例、比較例の混練物でなるシートとNi箔とを熱圧着し、全体の厚みが0.3mmの素材を得た。この素材をシャーリングにより1mm×1mmの正方形に切り出し、さらに架橋処理を行って実施例1〜4、比較例1〜3のサンプルを得た。
【0042】
(抵抗−温度特性曲線)
これらのサンプルを高温槽内で加熱し、その後冷却し、所定温度ごとの抵抗値を4端子法を用いて測定した。その実施例1〜4についての測定結果を、抵抗−温度特性曲線として図4に示し、比較例1〜3の測定結果については図5に示す。
【0043】
(繰り返し特性)
また、実施例1〜4、比較例1〜3の非動作、動作の繰り返しによる抵抗値の変化を調べるため、各サンプルを高温槽内で加熱し、その後冷却し、所定温度ごとの抵抗値を4端子法を用いて測定する作業を10回繰り返し、そのときの抵抗変化の推移を確認した。その結果を図6に示す。
【0044】
(抵抗値のばらつき)
実施例1〜4、比較例1〜3につき、成形されたシートの両面に電極を形成して前記寸法にシャ−リングして細分化したときの、それぞれの素子の室温での抵抗値を、各例についてサンプル数を30として測定し、抵抗値のばらつきを調べた。その結果を表2に示す。
【0045】
[評価]
(初期抵抗値と抵抗変化率)
図4および図5に示される抵抗−温度特性曲線に示されるように、本発明の実施例1〜4においては、比較例2、3の場合(カーボンブラックや球状金属粒子を用いる)に比較し、試験前の初期抵抗値(室温抵抗値)が低くなる上、昇温に伴う大きな抵抗変化率が得られる。ただし、比表面積の小さい鎖状構造の金属粒子を用いる比較例1においは、実施例1〜4より高い抵抗変化率が得られている。
【0046】
(動作の繰り返しによる抵抗値の変化)
また、図6から分かるように、本発明の実施例1〜4においては、比表面積の小さい鎖状構造の金属粒子を用いる比較例1およびカーボンブラックを用いた比較例2に比較して動作の繰り返しに伴う抵抗変化率が小さくなり、実施例1〜4によれば、比較例1、2に比較して安定した特性を長期にわたり保つことができる。
【0047】
(特性のばらつき−品質の安定性)
また、表2から分かるように、本発明の実施例においては、前記(b/a)×100%を10%以下に抑えることができ、比較例に比べて品質が安定する。
【0048】
【表1】
Figure 2004172181
【0049】
【表2】
Figure 2004172181
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、室温抵抗値が低く、かつ抵抗変化率が大きい正特性サーミスタ素子を得ることができる。また、動作、非動作の繰り返しに伴う抵抗変化率を小さく抑えることができ長期使用が可能な正特性サーミスタ素子が得られる。また、品質の安定した正特性サーミスタ素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明による正特性サーミスタ素子の実施の形態を示す断面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ本発明、比較例において用いた金属粉のSEM像を示す写真図である。
【図3】本発明による積層型サーミスタ素子の製造工程を示す工程図である。
【図4】本発明の実施例の抵抗−温度特性曲線図である。
【図5】比較例の抵抗−温度特性曲線図である。
【図6】実施例と比較例の動作の繰り返しに伴う抵抗値の変化を示す図である。
【符号の説明】
1、1a〜1e:サーミスタ素体、2:電極、2a、2b:内部電極、3a、3b:外部電極

Claims (4)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂と導電性フィラーとしての金属粉とを含むポリマー正特性サーミスタであって、
    前記金属粉は、その金属粉を構成する個々の要素として、粒子が繋がった鎖状構造のものを含み、かつ比表面積が10〜50m/gであり、
    前記熱可塑性樹脂と金属粉とを含む混合物でなるシート化された素体の比抵抗値が0.001〜0.1Ω・cmである
    ことを特徴とするポリマー正特性サーミスタ素子。
  2. 請求項1に記載のポリマー正特性サーミスタ素子において、
    前記素体の比抵抗値の最大、最小値の差をaとし、比抵抗値の平均値をbとしたとき、(a/b)×100%が10%以下である
    ことを特徴とするポリマー正特性サーミスタ素子。
  3. 請求項1または2に記載のポリマー正特性サーミスタ素子において、
    前記熱可塑性樹脂は、融点が70〜200℃の結晶性ポリマーからなり、かつ前記混合物は、前記熱可塑性樹脂と、前記金属粉と、低分子有機化合物とを含む
    ことを特徴とするポリマー正特性サーミスタ素子。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載のポリマー正特性サーミスタ素子において、
    前記混合物は、前記熱可塑性樹脂Aと、前記金属粉Bと、低分子有機化合物Cとを含み、かつA+B+C=100重量%としたとき、B=30〜70重量%である
    ことを特徴とするポリマー正特性サーミスタ素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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