JPH11214203A - Ptc素子及びその製造方法 - Google Patents

Ptc素子及びその製造方法

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JPH11214203A
JPH11214203A JP1662898A JP1662898A JPH11214203A JP H11214203 A JPH11214203 A JP H11214203A JP 1662898 A JP1662898 A JP 1662898A JP 1662898 A JP1662898 A JP 1662898A JP H11214203 A JPH11214203 A JP H11214203A
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JP
Japan
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specific resistance
conductive sheet
temperature
electrode
ptc element
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JP1662898A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kajimaru
弘 梶丸
Akira Ito
顕 伊藤
Kazuyo Wada
和代 和田
Isao Tomioka
功 富岡
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 20℃においては極めて低い比抵抗を示し、
ピーク時には比抵抗が大きく、しかも狭い温度範囲で比
抵抗が急激に上昇するとともに、電極と導電性シートと
の密着性に優れたPTC素子を提供する。 【解決手段】 結晶性ポリマーのマトリックスと導電性
フィラーとからなる導電性シートの両面に金属板の電極
が設けられたPTC素子であって、前記導電性シートと
前記電極との間に有機ポリマーの接着層が介在されてな
り、前記電極と前記導電性シートとの剥離強度が0.5
Kg/25mm以上であり、かつ、20℃における比抵抗ρ
20が5.0Ω・cm以下、ピーク時の比抵抗ρP が1.
0×104Ω・cm以上、比抵抗が20℃における比抵
抗ρ20の103 倍になる温度Ta (℃)と比抵抗が20
℃における比抵抗ρ20の10倍になる温度Tb (℃)と
の差[Ta (℃)−Tb (℃)]が30℃以下であるこ
とを特徴とするPTC素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTC(Positive
Temperature Coefficient:正温度係数)素子及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PTC素子としては、従来、チタン酸バ
リウム系のものが最もよく知られている。しかし、最近
では、小形で低抵抗化ができるということから、高分子
物質中に導電性粒子を均一に分散させた導電性シートを
用いたPTC素子が開発されている。例えば、特開昭6
1−218117号公報、特開昭62−167358号
公報、特公昭64−3322号公報、特公平4−287
43号公報等には、ポリオレフィン等の結晶性高分子と
カーボンブラック、導電性ニッケル粒子等の導電性粒子
とからなる導電性シートと電極から構成されるPTC素
子が開示されている。また、PTC素子の電極に関する
技術として網状金属を熱融着したもの(特開昭55−1
59507号公報)、ニッケル箔等の金属箔を圧着した
もの(米国特許第4426633号明細書)などが知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開昭61−2
18117号公報、特開昭62−167358号公報、
特公昭64−3322号公報、特公平4−28743号
公報等に開示されているPTC素子は、いずれも、室温
においては低い比抵抗を示し、ピーク時においては高い
比抵抗を示す。しかし、低い比抵抗値から高い比抵抗値
までに変化する温度の範囲が広いので、過電流保護素子
として用いる場合、比較的低い電流値でPTC素子が高
抵抗状態に移行することになる。そのため、大電流の流
れる回路に適用することが難しく、適用範囲が狭いとい
う欠点を有していた。また、PTC素子の電極に関する
技術において、電極として網状金属を使用した場合、導
電性シートの低い比抵抗の割にはPTC素子の抵抗が高
くなるという問題がある。また、金属箔を使用した場合
は導電性シートと電極との密着性が十分でないため、P
TC素子を回路部品として用いる場合外部端子によって
挟持される際に、外部端子とPTC素子との接触によっ
てPTC素子の電極が導電性シートから浮き上がり、P
TC素子の抵抗が高くなるという問題も起きている。
【0004】そこで、本発明の課題は、20℃において
は極めて低い比抵抗を示し、ピーク時には比抵抗が大き
く、狭い温度範囲で比抵抗が急激に上昇し、しかも導電
性シートと電極との密着性に優れたPTC素子及びその
製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、結晶性ポリマーの
マトリックスと導電性フィラーとからなる導電性シート
と電極との間に、有機ポリマーの接着層を介在させ、か
つ、比抵抗が20℃における比抵抗ρ20の103 倍にな
る温度Ta (℃)と比抵抗が20℃における比抵抗ρ20
の10倍になる温度Tb (℃)との差が特定の範囲にあ
るPTC素子により上記目的を達成できることを見い出
し、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、結晶性ポリマ
ーのマトリックスと導電性フィラーとからなる導電性シ
ートの両面に金属板の電極が設けられたPTC素子であ
って、前記導電性シートと前記電極との間に有機ポリマ
ーの接着層が介在されてなり、前記電極と前記導電性シ
ートとの剥離強度が0.5Kg/25mm以上であり、か
つ、20℃における比抵抗ρ20が5.0Ω・cm以下、
ピーク時の比抵抗ρP が1.0×104 Ω・cm以上、
比抵抗が20℃における比抵抗ρ20の103 倍になる温
度Ta (℃)と比抵抗が20℃における比抵抗ρ20の1
0倍になる温度Tb (℃)との差[Ta (℃)−T
b (℃)]が30℃以下であることを特徴とするPTC
素子である。そして、このようなPTC素子は、導電性
シートと金属板との間に有機ポリマーの接着層を介在さ
せ、次いで加熱加圧成形して導電性シートの両面に金属
板の電極を形成することにより製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるPTC素子の20℃における比抵抗ρ20
は、5.0Ω・cm以下、好ましくは4.0Ω・cm以
下、より好ましくは3.0Ω・cm以下である。ρ20
小さい程好ましいが、実用的な下限は0.1Ω・cm程
度である。ρ20が5.0Ω・cmより大きい場合は、小
形で低抵抗のPTC素子の作製が困難となる傾向があ
る。
【0008】本発明のPTC素子のピーク時の比抵抗ρ
P は1.0×104 Ω・cm以上、好ましくは5.0×
104 Ω・cm以上、より好ましくは1.0×105 Ω
・cm以上である。ρP は大きい程好ましいが、実用的
な上限は1.0×1010Ω・cm程度である。ρP
1.0×104 Ω・cm未満の場合は、高い電圧のかか
る回路に使用することが難しくなる。
【0009】本発明においては、比抵抗が20℃におけ
る比抵抗ρ20の103 倍になる温度Ta (℃)と比抵抗
が20℃における比抵抗ρ20の10倍になる温度T
b (℃)との差[Ta (℃)−Tb (℃)]が30℃以
下である。この温度差は20℃以下が好ましく、10℃
以下がより好ましい。この温度差は小さい程好ましい
が、実用的な下限は1℃程度である。[Ta (℃)−T
b (℃)]が30℃より大きい場合は、大電流の流れる
回路に適用することが難しくなる。
【0010】本発明におけるPTC素子の比抵抗は、P
TC素子の抵抗値と次式(1)を用いて算出することが
できる。 ρ=R(A/t) (1) ρ;PTC素子の比抵抗(Ω・cm) R;PTC素子の抵抗値(Ω) A;PTC素子の電極面積(cm2 ) t;PTC素子の電極間で電流の流れる平均行程長(電
極を含めた厚み)(cm) したがって、20℃における比抵抗ρ20はPTC素子の
20℃での抵抗値から式(1)を用いて求められる。ま
た、PTC素子を外部加熱して20℃から1℃おきに昇
温し(昇温速度は約1℃/分)、昇温後各温度で約3分
間保持した後抵抗値を測定し、この抵抗値と式(1)か
ら、温度に対する比抵抗の値が求められ、この結果か
ら、ρP 、Ta 、Tb が容易に求められる。なお、上記
の抵抗測定に際しては、2万Ωまでの抵抗値はミリオー
ムハイテスタ(HIOKI3220、日置電気社製)を
用いて測定し、2万Ωを超える抵抗値についてはデジタ
ル超高抵抗/微電流計(R8340、アドバンテスト社
製)を用いて測定する。
【0011】本発明のPTC素子は、結晶性ポリマーの
マトリックスと導電性フィラーとからなる導電性シート
の両面に金属板の電極が形成されたものである。ここ
で、結晶性ポリマーとは示差走査熱量解析(DSC)に
より測定した結晶化度が少なくとも10%のポリマーで
あり、好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%
以上である。かかる結晶性ポリマーとしては、低密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンのコポリマ
ー等のポリオレフィン、オレフィン系共重合体や各種の
ポリアミド、ポリエステル、フッ素系ポリマー等、さら
にはこれらの変性物等が挙げられ、この中で、ポリオレ
フィンが好ましく、ポリエチレンがより好ましく、高密
度ポリエチレンがさらに好ましい。また、結晶性ポリマ
ーのマトリックスには、1種又はそれ以上の上記結晶性
ポリマーを使用することもできる。
【0012】結晶性ポリマーとともに導電性シートを構
成する導電性フィラーとしては、NiやCu等の金属フ
ィラー、グラファイト、アセチレンブラック等のカーボ
ンブラック、フルフリルアルコール樹脂やフェノール樹
脂等の熱硬化性樹脂を不活性雰囲気中(真空含む)で炭
素化して得られるグラッシーカーボン等の炭素系の導電
性フィラー、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維又は
これらの混合物が使用できる。この中で、グラッシーカ
ーボンからなる導電性フィラーが好ましく、その中でも
特に、球状フェノール樹脂を不活性雰囲気中、1000
℃以上の温度で焼成して得られる粒状グラッシーカーボ
ンが好ましい。球状フェノール樹脂の製造方法は特公平
5−72924号公報に開示されており、市販品も入手
することができる。本発明で用いる粒状グラッシーカー
ボンの平均粒径は1〜50μmが好ましく、5〜20μ
mがより好ましい。平均粒径1μm未満の場合は、ピー
ク時の比抵抗が小さくなる傾向にあり、一方、50μm
より大きい場合は、粒子間で火花が発生し易くなる。本
発明において平均粒径とは100個以上の粒状グラッシ
ーカーボンを視野内にスケールを有する倍率200倍の
顕微鏡で観察し、その内の任意の100個の平均粒径を
いう。
【0013】本発明において電極としては金、銀、銅、
アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、鉄合金、銅
合金などの金属板が使用できるが、この中でも特に、
銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの電解箔
又は圧延箔、及びこれらの金属箔に異種金属をメッキし
たものが好ましく、熱圧着時における酸化により抵抗が
上昇しにくいニッケル箔又はニッケルメッキ箔を使用す
ることがより好ましい。また、粗面化処理を施してある
金属板も使用できる。
【0014】導電性シートを構成する結晶性ポリマーと
導電性フィラーの混合比は、重量比で20:80〜8
0:20が好ましく、30:70〜70:30がより好
ましい。結晶性ポリマーが20重量%未満では、導電性
シートの強度が弱くなる傾向にあり、80重量%を超え
ると十分な導電性が得られ難いことがある。また、導電
性シートには本発明の効果を損なわない範囲で、アルミ
ナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグ
ネシウム、タルク、ガラスビーズ等の無機フィラー又は
酸化防止剤、難燃剤等を添加することもできる。
【0015】本発明のPTC素子においては、導電性シ
ートと電極との間に有機ポリマーの接着層が介在されて
なる。導電性シートと電極との間に介在させる接着層を
形成する有機ポリマーとしては、例えばアクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、
エポキシフェノール、ブチラールフェノール、ニトリル
フェノールなどの有機ポリマーや、(1)エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−マレ
イン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸グラフト化
共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビ
ニル三元共重合体、アイオノマー共重合体などのよう
に、ポリオレフィンにα、β−不飽和カルボン酸、その
エステル、その無水物もしくはその金属塩又は飽和有機
カルボン酸を通常の共重合もしくはグラフト共重合させ
て得た共重合体、(2)ポリオレフィンと前記(1)の
共重合体の混合物、(3)ポリオレフィンに粘着付与剤
などを配合した接着性配合物などの有機ポリマーを挙げ
ることができる。この中でも特に、導電性シート及び金
属板の電極との接着性が良い前記(1)、(2)の有機
ポリマーが好ましい。有機ポリマーの形態としては、例
えばシート状、ペースト状、塊状、溶液状、エマルジョ
ン状などが挙げられる。
【0016】本発明における電極と導電性シートとの剥
離強度は0.5Kg/25mm以上、好ましくは0.8Kg/
25mm以上、より好ましくは1Kg/25mm以上である。
剥離強度が0.5Kg/25mm未満の場合は電極がはがれ
易く、素子の電気抵抗が高くなることがある。本発明に
おける剥離強度はJIS K 6854に従って求める
ことができる。
【0017】次に、本発明のPTC素子の製造方法につ
いて説明する。
【0018】まず、結晶性ポリマーと導電性フィラー
を、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、プラ
ストミル、押出機(単軸、多軸)などの溶融混練装置
や、ヘンシェルミキサー等のドライブレンド装置を用い
て予備混合し、次いで、上記混合物を加熱加圧成形、押
し出し成形、射出成形などの溶融成形法を用いて成形す
ることにより導電性シートを製造する。また、上記予備
混合工程を経ることなく、溶融成形することにより一段
階で導電性シートを製造することもできるが、結晶性ポ
リマーと導電性フィラーとがより均一に混合された導電
性シートを得るためには、予備混合を行うことが好まし
い。溶融成形(溶融混練を含む)時の成形温度として
は、結晶性ポリマーの融点〜融点+150℃が好まし
く、融点+10℃〜融点+100℃がより好ましい。融
点より低い温度の場合は均一な混合ができない傾向にあ
り、融点+150℃より高い温度では結晶性ポリマーが
劣化する傾向にある。
【0019】次に、導電性シート又は金属板、あるいは
その両方に接着層を形成する。接着層の形成方法として
は、ロールコーター、刷毛塗り、へら塗り、スプレー、
スクリーン印刷、加熱加圧成形などの方法が挙げられ、
接着層とする有機ポリマーの形態に合わせて任意に形成
方法を選ぶことができる。例えば、有機ポリマーが溶液
状のものであれば、刷毛塗り、スプレーによる形成方
法、有機ポリマーがペースト状、エマルジョン状のもの
であれば、刷毛塗り、へら塗り、スクリーン印刷による
形成方法、有機ポリマーが塊状のものであれば、ロール
コーターによる形成方法、有機ポリマーがシート状のも
のであれば加熱加圧成形による形成方法が好ましい。ま
た、有機ポリマーがシート状のものであれば導電性シー
トと金属板との間に該シートを挟み加熱加圧成形するこ
とにより、一段階で接着層の形成と電極の形成を行うこ
ともできる。
【0020】次に、上記のように接着層を形成した後、
接着層が導電性シートと金属板の間に介在するようにし
て導電性シートの両面を金属板で挟み、次いで加熱加圧
成形することにより導電性シートに金属板の電極を形成
する。この際の加熱温度は、結晶性ポリマーの融点〜融
点+150℃が好ましく、融点+10℃〜融点+100
℃がより好ましい。融点より低い温度の場合は、十分な
強度が得られない傾向にあり、融点+150℃より高い
温度では結晶性ポリマーが劣化する傾向にある。成形圧
力は、1〜3000Kg/cm2 が好ましく、2〜20
00Kg/cm2 がより好ましい。成形時間は、1〜3
600秒間が好ましく、10〜1800秒間がより好ま
しい。圧力が1Kg/cm2 より小さい場合や、成形時
間が1秒間より短い場合は、十分な接着強度が得られ難
くなる傾向にある。また、圧力が3000Kg/cm2
を超える場合や、成形時間が3600秒間を超える場合
は不経済である。
【0021】次に、両面に金属板の電極が形成された導
電性シートを、結晶性ポリマーの融点−5℃より低い温
度に加熱し、次いで該加熱温度より低い温度に冷却する
加熱・冷却処理を繰り返し施す。上記の加熱・冷却処理
は得られるPTC素子の抵抗値を低下させるために行わ
れるものである。加熱・冷却処理は通常導電性シートを
所望の大きさに切り出して行う。加熱・冷却処理におけ
る加熱温度は、融点−5℃より低い温度であり、融点−
50℃〜融点−6℃が好ましく、融点−30℃〜融点−
10℃がより好ましい。加熱時間は1秒間〜1時間が好
ましく、5秒間〜30分間がより好ましく、10秒間〜
10分間がさらに好ましい。加熱温度、加熱時間が上記
以外の範囲であると、十分に抵抗値が低下しない傾向に
ある。また、冷却温度は、上記加熱温度より低い温度で
あり、加熱温度−20℃以下が好ましく、加熱温度−3
0℃以下がより好ましい。冷却時間については特に制限
は受けない。上記加熱・冷却処理の繰り返し数は、3回
以上が好ましく、5回以上がより好ましく、10回以上
がさらに好ましい。繰り返し数が3回より少ない場合
は、十分に抵抗値が低下しない傾向にある。なお、必要
に応じて、導電性シートに金属板の電極を形成した後、
上記加熱・冷却処理に先立って、導電性シートと電極と
の密着性をより強固にし、また、より安定したPTC特
性を得るために、熱処理をすることが好ましい。この際
の熱処理の温度は結晶性ポリマーの融点−40℃〜融点
+100℃が好ましく、融点−30℃〜融点+60℃が
より好ましく、融点−20℃〜融点+40℃がさらに好
ましい。また、熱処理時間は0.1〜20時間が好まし
く、0.2〜10時間がより好ましい。
【0022】本発明のPTC素子の大きさや厚さは、使
用される機器の回路により、あるいは使用される機器に
予定される過電圧や過電流の大きさにより異なるが、一
般的には電極面積が0.05cm2 〜10cm2 、厚み
0.1mm〜5mmの範囲である。また、その形状も円
筒状のもの、角形のもの、ドーナツ状のものなど種々の
形状にして使用される。本発明のPTC素子は、ノート
型パソコン、携帯電話、小型プリンタ等の電池を電源と
した小型電子機器等において、半導体メモリー、CPU
(中央演算素子)等を過電流から保護するための過電流
保護素子として好適に利用することができる。
【0023】本発明のPTC素子において導電性シート
と電極との密着性に優れるのは、導電性シート及び電極
のそれぞれの表面の微細な凹凸部に有機ポリマーが入り
込んで接着層が形成され、導電性シートと電極が強固に
密着するためと推定される。また、導電性シートと電極
との間に有機ポリマーの接着層が介在されているにもか
かわらず通電性が損なわれないのは、導電性シート及び
電極のそれぞれの表面の微細な凹凸部に有機ポリマーが
入り込み、両者の一部が相互に接触しているためと思わ
れる。
【0024】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0025】実施例1 メルトフローレートが6.0の高密度ポリエチレン粉末
(フローセンM、融点127℃、住友精化社製)4.8
Kg(48重量%)、球状フェノール樹脂を2000℃で
焼成した平均粒径15μmの粒状グラッシーカーボン
(GCP−30H、ユニチカ社製)5.2Kg(52重量
%)をヘンシェルミキサーを用いて5分間ドライブレン
ドした。この混合物を二軸押し出し機(成形温度200
℃)を用いてチップ状にし、次いでTダイスの接続され
た二軸押し出し機(成形温度200℃)を用いて、上記
チップから厚み0.35mmの導電性シートを作製し
た。別に、ペレット状のエチレン−酢酸ビニル共重合体
(ヒロダイン7521、ヒロダイン工業社製)を熱トル
エンに溶解し、3%の溶液を調製した。この溶液を電極
となる電解ニッケル箔(NiF−20、厚み20μm、
福田金属箔粉工業社製)にはけ塗りし、トルエンを留去
して接着層を形成した。導電性シートと上記のようにし
て接着層を形成した電解ニッケル箔を9cm×25cm
にカットし、導電性シートの両面を接着層を形成した電
解ニッケル箔の接着層が接する様にして挟み、成形温度
160℃、成形圧力10Kg/cm2 で5分間熱プレス
を行った後、加圧下で冷却して導電性シートの両面に金
属箔電極が形成された厚み0.33mmのシートを得
た。この電極が形成されたシートから直径15mmの円
盤を打ち抜いた後、この円盤に、110℃の温度で3分
間加熱、次いで50℃の温度で10分間冷却する加熱・
冷却処理を50回行ないPTC素子を作製した。このP
TC素子の20℃での抵抗値(R20)を調べたところ2
2.2mΩであった。この抵抗値から式(1)に従って
20℃での比抵抗(ρ20)を算出すると1.19Ω・c
mであった。また、PTC素子を外部加熱して20℃か
ら1℃/分で昇温していき、測定された抵抗値と式
(1)から温度に対する比抵抗の値が求められ、この結
果から、ρP が1.06×107 Ω・cm、ρP を示す
温度TρP が124℃であった。またTa は123℃、
b は116℃であり、[Ta −Tb ]は7℃であっ
た。また、金属箔の電極と導電性シートとの剥離強度は
1.9Kg/25mmであった。表に1これらの物性値を示
す。
【0026】実施例2 電極としてニッケルめっき電解銅箔(NiPL−CF−
18、厚み18μm、福田金属箔粉工業社製)を使用し
たこと以外は、実施例1と同様にしてPTC素子を作製
し、物性値を測定した。その結果を表1に示す。
【0027】実施例3 導電性シートの両面に実施例1と同様の接着層を形成
し、それぞれの接着層に電解ニッケル箔(NiF−2
0、厚み20μm、福田金属箔粉工業社製)の電極を形
成したこと以外は、実施例1と同様にしてPTC素子を
作製し、物性値を測定した。その結果を表1に示す。
【0028】比較例1 メルトフローレートが6.0の高密度ポリエチレン粉末
(フローセンM、融点127℃、住友精化社製)4.8
Kg(48重量%)、球状フェノール樹脂を2000℃で
焼成した平均粒径15μmの粒状グラッシーカーボン
(GCP−30H、ユニチカ社製)5.2Kg(52重量
%)をヘンシェルミキサーを用いて5分間ドライブレン
ドした。この混合物を二軸押し出し機(成形温度200
℃)を用いてチップ状にし、次いで、Tダイスの接続さ
れた二軸押し出し機(成形温度200℃)を用いて上記
チップから厚み0.35mmの導電性シートを作製し
た。上記導電性シートと電極となる電解ニッケル箔(N
iF−20、厚み20μm、福田金属箔粉工業社製)を
それぞれ9cm×25cmにカットし、導電性シートの
両面を上記電解ニッケル箔で挟み、成形温度160℃、
成形圧力10Kg/cm2 で5分間熱プレスを行った
後、加圧下で冷却して導電性シートの両面に金属箔の電
極が形成された厚み0.33mmのシートを得た。この
電極が形成されたシートから直径15mmの円盤を打ち
抜いた後、この円盤に110℃の温度で3分間加熱、次
いで50℃の温度で10分間冷却する加熱・冷却処理を
50回行なってPTC素子を作製し、実施例1と同様に
して物性値を測定した。その結果を表1に示す。
【0029】比較例2 電極としてニッケルめっき電解銅箔(NiPL−CF−
18,厚み18μm,福田金属箔粉工業社製)を使用し
たこと以外は、比較例1と同様にしてPTC素子を作製
し、物性値を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、本発明のPTC
素子は電極との密着性に優れ、20℃においては低い比
抵抗を示し、且つピーク時の比抵抗が大きく、さらに狭
い温度範囲で比抵抗が急激に上昇することが分かる。
【0032】
【発明の効果】本発明のPTC素子は電極と導電性シー
トとの密着性に優れ、かつ、20℃における比抵抗が低
く、ピーク時の比抵抗が大きいので、電子機器の過電流
保護素子として好適に使用できる。さらに、本発明のP
TC素子は狭い温度範囲で比抵抗が急激に上昇するの
で、大電流の流れる回路にも好適に使用でき、適用範囲
が広い。また、本発明の製造方法によると上記のような
PTC素子を容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富岡 功 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリマーのマトリックスと導電性
    フィラーとからなる導電性シートの両面に金属板の電極
    が設けられたPTC素子であって、前記導電性シートと
    前記電極との間に有機ポリマーの接着層が介在されてな
    り、前記電極と前記導電性シートとの剥離強度が0.5
    Kg/25mm以上であり、かつ、20℃における比抵抗ρ
    20が5.0Ω・cm以下、ピーク時の比抵抗ρP が1.
    0×104 Ω・cm以上、比抵抗が20℃における比抵
    抗ρ20の103 倍になる温度Ta (℃)と比抵抗が20
    ℃における比抵抗ρ20の10倍になる温度Tb (℃)と
    の差[Ta (℃)−Tb (℃)]が30℃以下であるこ
    とを特徴とするPTC素子。
  2. 【請求項2】 導電性シートと金属板との間に有機ポリ
    マーからなる接着層を介在させ、次いで加熱加圧成形し
    て導電性シートの両面に金属板の電極を形成することを
    特徴とする請求項1記載のPTC素子の製造方法。
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