JPH1187106A - Ptc素子の製造方法 - Google Patents

Ptc素子の製造方法

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JPH1187106A
JPH1187106A JP9242360A JP24236097A JPH1187106A JP H1187106 A JPH1187106 A JP H1187106A JP 9242360 A JP9242360 A JP 9242360A JP 24236097 A JP24236097 A JP 24236097A JP H1187106 A JPH1187106 A JP H1187106A
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JP
Japan
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temperature
sheet
heating
crystalline polyolefin
ptc element
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JP9242360A
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Hiroshi Kajimaru
弘 梶丸
Akira Ito
顕 伊藤
Isao Tomioka
功 富岡
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 20℃においては極めて低い比抵抗を示し、
ピーク時には比抵抗が大きく、狭い温度範囲で比抵抗が
急激に上昇するPTC素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 結晶性ポリオレフィンと導電性フィラー
とを混合し、混合物を成形して導電性シートを形成し、
得られた導電性シートの両面に金属板の電極を形成し、
しかる後に、結晶性ポリオレフィンの融点−5℃より低
い温度に加熱し、次いで、該加熱温度より低い温度に冷
却する加熱・冷却処理を繰り返し施すPTC素子の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTC(Positive
Temperature Coefficient、正温度係数)素子の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PTC素子としては、従来、チタン酸バ
リウム系のものが最もよく知られている。しかし、最近
では、小形で低抵抗化ができるということから、高分子
物質中に導電性粒子を均一に分散させた導電性シートを
用いたPTC素子が開発されている。例えば、特開昭6
1−218117号公報、特開昭62−167358号
公報、特公昭64−3322号公報、特公平4−287
43号公報には、ポリオレフィン等の結晶性高分子と、
カーボンブラック、導電性ニッケル粒子等の導電性粒子
から成る導電性シートと電極から構成されるPTC素子
が開示されており、上記公報に開示されているPTC素
子は、いずれの場合にも、室温においては低い比抵抗を
示し、ピーク時においては高い比抵抗を示す。しかし、
低い比抵抗値から高い比抵抗値までに変化する温度の範
囲が広いので、過電流保護素子として用いる場合、比較
的低い電流値で素子が高抵抗状態に移行することにな
る。そのため、大電流の流れる回路に適用することが難
しく、使用範囲が狭いという欠点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この課題を解決するP
TC素子として、本発明者らは特開平8−298201
号公報において、20℃における比抵抗ρ20が1.8Ω
・cm以下であり、ピーク時の比抵抗ρP が2.0×1
6 Ω・cm以上であり、比抵抗が20℃における比抵
抗ρ20の106 倍になる温度Ta (℃)と比抵抗が20
℃における比抵抗ρ20の10倍になる温度Tb (℃)と
の差[Ta (℃)−Tb (℃)]が10℃以下であるP
TC素子を提案した。このようなPTC素子は20℃に
おける比抵抗が極めて低く、ピーク時の比抵抗が大き
く、狭い温度範囲で比抵抗が急激に上昇するので、大電
流の流れる回路にも好適に使用できる。しかしながら、
上記公報に開示されているPTC素子のうち、最もρ20
が低いものでも1.38Ω・cmであり、より小型で低
抵抗のPTC素子を開発するために、さらに比抵抗が低
いPTC素子の開発が望まれていた。
【0004】そこで、本発明の課題は、20℃において
は極めて低い比抵抗を示し、ピーク時には比抵抗が大き
く、しかも、狭い温度範囲で比抵抗が急激に上昇するP
TC素子の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、結晶性ポリオレフ
ィンと導電性フィラーとを含む導電性シートを結晶性ポ
リオレフィンの融点−5℃より低い温度に加熱し、次い
で、該加熱温度より低い温度に冷却する加熱・冷却処理
を繰り返し施すことにより上記課題が解決できることを
見い出し、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、結晶性ポリオ
レフィンと導電性フィラーとを混合し、混合物を成形し
て導電性シートを形成し、得られた導電性シートの両面
に金属板の電極を形成し、しかる後に、結晶性ポリオレ
フィンの融点−5℃より低い温度に加熱し、次いで、該
加熱温度より低い温度に冷却する加熱・冷却処理を繰り
返し施すことを特徴とするPTC素子の製造方法であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明においては、結晶性ポリオレフィンと導電
性フィラーとを混合し、混合物を成形して導電性シート
を形成する。本発明において、結晶性ポリオレフィンは
導電性フィラーのマトリックスとなるものであるが、か
かる結晶性ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレンとプロピレンのコポリマー等のポリ
オレフィンが挙げられ、その1種又はそれ以上の結晶性
ポリオレフィンが使用されるが、ポリエチレンが好まし
く、高密度ポリエチレンがより好ましい。また、かかる
結晶性ポリオレフィンは示差走査熱量解析(DSC)に
よって測定した結晶化度が少なくとも10%のものであ
り、好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以
上である。
【0008】結晶性ポリオレフィンのメルトフローレー
トは0.01〜15が好ましく、0.1〜12がより好
ましく、1〜8がさらに好ましい。メルトフローレート
が15を超える場合は、後述の[Ta (℃)−T
b (℃)]が10℃より大きくなる傾向にあり、大電流
の流れる回路に適用することが難しくなり、メルトフロ
ーレートが0.01未満の場合には、導電性シートの成
形性が低下し易くなる。
【0009】ここで、メルトフローレートとは、特定の
試験条件のもとで一定の時間内に押し出されるポリオレ
フィンの重量(g)のことであり、JIS K 721
0に規定されている方法で測定されるものである。本発
明においてポリエチレンの場合は、JIS K 721
0の試験条件(試験温度190℃、試験荷重2.16K
gf[21.18N])、ポリプロピレンの場合は、J
IS K 7210の試験条件(試験温度230℃、試
験荷重2.16Kgf[21.18N])を採用して測
定する。
【0010】また、導電性シートを製造するために使用
する結晶性ポリオレフィンの形状は粒子状、ペレット状
等いずれの形状でもよく、特に限定されない。
【0011】次に、上記結晶性ポリオレフィンと混合し
て導電性シートを形成する導電性フィラーとしては、N
i、Cu等の金属フィラー、グラファイト、アセチレン
ブラック等のカーボンブラック、フルフリルアルコール
樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を不活性雰囲気
中又は真空中で炭素化して得られるグラッシーカーボン
等の炭素系導電性フィラー、炭素繊維、金属繊維等の導
電性繊維及びこれらの混合物が使用できる。この中で
も、グラッシーカーボンからなる導電性フィラーが好ま
しい。その中でも特に、球状フェノール樹脂を不活性雰
囲気中又は真空中、1000℃以上の温度で焼成して得
られる粒状グラッシーカーボンが好ましい。球状フェノ
ール樹脂の製造方法は特公平5−72924号公報に開
示されており、また、市販品も入手することができる。
【0012】上記の粒状グラッシーカーボンの平均粒径
は1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好まし
い。平均粒径1μm未満の場合は、ピーク比抵抗ρP
小さくなる傾向にあり、一方、50μmより大きい場合
は、粒子間で火花が発生し易くなる。本発明において平
均粒径とは、100個以上の粒状グラッシーカーボンを
視野内にスケールを有する倍率200倍の顕微鏡で観察
し、その内の100個の平均粒径をいう。
【0013】結晶性ポリオレフィンと導電性フィラーの
混合比は、重量比で20:80〜80:20が好まし
く、30:70〜70:30がより好ましく、40:6
0〜50:50がさらに好ましい。結晶性ポリオフィン
が20重量%未満では、導電性シートの強度が弱くなる
傾向にあり、80重量%を超えると十分な導電性が得ら
れ難いこともある。また、導電性シートには本発明の効
果を損なわない範囲で10重量%以下で、アルミナ、水
酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウ
ム、タルク、ガラスビーズ等の無機フィラー及び酸化防
止剤等を添加することもできる。
【0014】結晶性ポリオレフィンと導電性フィラーと
を混合するに際しては、ニーダー、ロールミル、バンバ
リーミキサー、プラストミル、押出機(単軸、多軸)等
の溶融混練装置、又はヘンシェルミキサー等のドライブ
レンド装置が用いられる。
【0015】上記の混合物を成形して導電性シートを形
成するに際しては、例えば、加熱加圧成形、押出成形、
射出成形等の溶融成形法が用いられる。上記混合と成形
を溶融成形法により一段階で行い導電性シートを作製す
ることもできるが、より均一な導電性シートを得るため
に、まず結晶性ポリオレフィンと導電性フィラーとを混
合し、この混合を成形することが好ましい。溶融成形
(溶融混練を含む)時の成形温度としては、結晶性ポリ
オレフィンの融点〜融点+150℃が好ましく、融点+
10℃〜融点+100℃がより好ましい。融点より低い
温度の場合は均一な混合ができない傾向にあり、融点+
150℃より高い温度では結晶性ポリオレフィンが劣化
する傾向にある。
【0016】次に、本発明においては、上記の導電性シ
ートの両面に金属板の電極を形成する。電極としては、
銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、鉄合
金、銅合金等の金属板が挙げられる。この中でも特に、
銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の電解箔又
は圧延箔、及びこれらの金属箔に異種金属をメッキした
ものが好ましく、成形時における酸化により抵抗が上昇
しにくいニッケル箔又はニッケルメッキ箔を使用するこ
とが好ましい。また、粗面化処理を施してある金属箔も
使用できる。なお、金、銀等も使用できるがコストが高
くなる。
【0017】上記の電極の形成に際しては、具体的に
は、導電性シートの両面を金属板で挟んで、加熱加圧成
形、すなわち、加熱下に加圧する成形により金属板の電
極を形成する。加熱加圧成形時の加熱温度は、結晶性ポ
リオレフィンの融点〜融点+150℃が好ましく、融点
+10℃〜融点+100℃がより好ましい。融点より低
い温度の場合は、金属板と導電性シートとの接着強度が
十分でなく、融点+150℃より高い温度では、結晶性
ポリオレフィンが劣化する傾向にある。また、加熱加圧
成形時の圧力は、1〜3000Kg/cm2 が好まし
く、2〜2000Kg/cm2 がより好ましい。さら
に、成形時間は、1〜3600秒間が好ましく、10〜
1800秒間がより好ましい。圧力が1Kg/cm2
り小さい場合や、成形時間が1秒間より短い場合は、金
属板と導電性シートとの接着強度が十分でないことがあ
る。また、圧力が3000Kg/cm2 を超える場合
や、成形時間が3600秒間を超える場合は不経済であ
る。
【0018】次に、本発明においては、両面に電極が成
形された導電性シートを、結晶性ポリオレフィンの融点
−5℃より低い温度に加熱し、次いで、該加熱温度より
低い温度に冷却する加熱・冷却処理を繰り返し施す。こ
こで、融点とは示差走査熱量解析(DSC)により形成
される曲線のピークを示す温度のことである。2種類以
上の結晶性ポリオレフィンをマトリックスとして用いた
場合には、融点はピークの最小から取る。
【0019】上記の加熱・冷却処理は得られるPTC素
子の抵抗値を低下させるために行われるものである。加
熱・冷却処理は通常導電性シートを所望の大きさに切り
出して行う。加熱・冷却処理における加熱温度は、融点
−5℃より低い温度であり、融点−50℃〜融点−6℃
が好ましく、融点−30℃〜融点−10℃がより好まし
い。加熱時間は1秒〜1時間が好ましく、5秒〜30分
間がより好ましく、10秒〜10分がさらに好ましい。
加熱温度、加熱時間が上記以外の範囲であると、充分に
抵抗値が低下しない傾向にある。また、冷却温度は、上
記加熱温度より低い温度であり、加熱温度−20℃以下
が好ましく、加熱温度−30℃以下がより好ましい。冷
却時間は特に制限は受けない。上記加熱・冷却処理の繰
り返し数は、3回以上が好ましく、5回以上がより好ま
しく、10回以上がさらに好ましい。繰り返し数が3回
より少ない場合は、充分に抵抗値が低下しない傾向にあ
る。
【0020】なお、必要に応じて、導電性シートに金属
板の電極を形成した後上記加熱・冷却処理に先立って、
導電性シートと電極との密着性をより強固にし、また、
より安定したPTC特性を得るために、熱処理をするこ
とが好ましい。この際の熱処理の温度は結晶性ポリオレ
フィンの融点〜融点+100℃が好ましく、融点〜融点
+60℃がより好ましく、融点〜融点+40℃がさらに
好ましい。また、熱処理時間は、0.1〜20時間が好
ましく、0.2〜10時間がより好ましい。
【0021】かくして、本発明の製造方法によると、結
晶性ポリオレフィンのマトリックスと導電性フィラーか
らなる導電性シートの両面に金属板の電極が設けられた
PTC素子であって、20℃における比抵抗ρ20が1.
3Ω・cm以下であり、ピーク時の比抵抗ρP が2.0
×106 Ω・cm以上であり、比抵抗が20℃における
比抵抗ρ20の106 倍になる温度Ta (℃)と比抵抗が
20℃における比抵抗ρ20の10倍になる温度T
b (℃)との差[Ta (℃)−Tb (℃)]が10℃以
下のPTC素子を容易に得ることができる。
【0022】本発明の製造方法により製造されるPTC
素子の20℃における比抵抗ρ20は、1.3Ω・cm以
下、好ましくは1.2Ω・cm以下、より好ましくは
1.1Ω・cm以下である。ρ20は小さい程好ましい
が、実用的な下限は0.1Ω・cmである。ρ20が1.
3Ω・cmより大きい場合は、小形で低抵抗のPTC素
子の作製が困難となる。
【0023】また、上記PTC素子のピーク時の比抵抗
ρP は、2.0×106 Ω・cm以上、好ましくは5.
0×106 Ω・cm以上、より好ましくは1.0×10
7 Ω・cm以上である。ρP は大きい程好ましいが、実
用的な上限は1×1010Ω・cmである。ρP が2.0
×106 Ω・cm未満の場合は、高い電圧のかかる回路
に使用することが難しい。
【0024】さらに、PTC素子は、比抵抗が20℃に
おける比抵抗ρ20の106 倍になる温度Ta (℃)と比
抵抗が20℃における比抵抗ρ20の10倍になる温度T
b (℃)との差[Ta (℃)−Tb (℃)]は10℃以
下である。この温度差は8℃以下が好ましく、6℃以下
がより好ましい。この温度差は小さい程好ましいが、実
用的な下限は1℃である。[Ta (℃)−Tb (℃)]
が10℃より大きい場合は、大電流の流れる回路に適用
することが難しくなる。
【0025】本発明においてPTC素子の比抵抗は、P
TC素子の抵抗値と次式(1)を用いて算出することが
できる。 ρ=R(A/t) (1) ρ;PTC素子の比抵抗(Ω・cm) R;PTC素子の抵抗値(Ω) A;PTC素子の電極面積(cm2) t;PTC素子の電極間で電流の流れる平均行程長 (電極を含めた厚み)(cm) したがって、20℃における比抵抗ρ20はPTC素子の
20℃での抵抗値から式(1)を用いて求められる。ま
た、PTC素子を外部加熱して20℃から1℃/分で昇
温していき、測定された抵抗値と式(1)から温度に対
する比抵抗の値が求められ、この結果から、ρP
a 、Tb が容易に求められる。
【0026】本発明の製造方法により製造されるPTC
素子の厚み(電極を含めた厚み)(mm)は、0.1m
m〜5mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ま
しく、0.2mm〜0.4mmがさらに好ましい。厚み
が0.1mmより薄い場合はPTC素子の機械的強度が
弱くなる傾向にあり、厚みが5mmより厚い場合はPT
C素子の抵抗が高くなる傾向にある。
【0027】上記のようにして製造されたPTC素子の
大きさは、使用される機器の回路により、又は、過電圧
や過電流により異なるが、一般的には電極面積0.05
cm2 〜10cm2 の範囲で使用される。また、その形
状も円筒状のもの、角形のもの、ドーナツ状のものなど
種々の形状にして使用される。本発明の製造方法により
製造されるPTC素子は、ノート型パソコン、携帯電
話、小型プリンタ等の電池を電源とした小型電子機器等
において、半導体メモリー、CPU(中央演算素子)等
を過電流から保護するための過電流保護素子として好適
に利用することができる。
【0028】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。 実施例1 メルトフローレートが2.5の高密度ポリエチレン粉末
(融点135℃、ダウ社製)4.5Kg、球状フェノー
ル樹脂を2000℃で焼成した平均粒径15μmである
粒状グラッシーカーボン(GCP−30H、ユニチカ社
製)5.5Kgをヘンシェルミキサーを用いてドライブ
レンドした。この混合物を二軸押出機(成形温度200
℃)を用いてチップ状にし、次いで、Tダイスが接続さ
れた二軸押出機(成形温度200℃)を用いて、上記チ
ップから厚み0.35mmの導電性シートを作製した。
このようにして得られた導電性シートをニッケル箔(E
Ni−T、厚み25μm、福田金属箔粉工業社製)で挟
み、160℃、10Kg/cm2 で5分間加熱プレスを
行った後、加圧下で冷却して導電性シートの両面に金属
箔電極が形成された厚み0.33mmのシートを得た。
次いで、このシートに150℃で1時間の熱処理を施し
後、このシートから直径15mmの円盤を打ち抜き、こ
の円盤を110℃で3分間加熱し、次いで、50℃で1
0分間冷却する加熱・冷却処理を50回行いPTC素子
を作製した。
【0029】このPTC素子の20℃における抵抗値
(R20)を調べたところ、14.9mΩであった。この
抵抗値から式(1)に従いρ20を算出したところ、0.
80Ω・cmであった。このPTC素子を外部加熱して
20℃から1℃/分で昇温して測定した抵抗値を(1)
式を用いて換算し、温度に対する比抵抗の値を求めた。
その結果、ρP を示す温度(TρP )が130℃であ
り、ρP が1.5×107Ω・cmであり、Ta が12
9℃、Tb が124℃であり、[Ta −Tb ]は5℃で
あった。表1にこれらの物性値を示す。
【0030】実施例2 結晶性ポリオレフィンとしてメルトフローレートが6.
0の高密度ポリエチレン粉末(フローセンM、融点12
7℃、住友精化社製)を使用した以外は、実施例1と同
様にしてPTC素子を作製し、物性値を測定した。その
結果を表1に示す。
【0031】実施例3 結晶性ポリオレフィンと導電性フィラーの配合比を、メ
ルトフローレートが6.0の高密度ポリエチレン粉末
(フローセンM、融点127℃、住友精化社製)4.8
Kg、球状フェノール樹脂を2000℃で焼成した平均
粒径15μmである粒状グラッシーカーボン(GCP−
30H、ユニチカ社製)5.2Kgとした以外は、実施
例1と同様にしてPTC素子を作製し、物性値を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0032】比較例 実施例3において加熱・冷却処理条件を127℃で20
秒間加熱、20℃で5分間冷却に変更した以外は、実施
例3と同様にしてPTC素子を作製し、物性値を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかなように本発明の製造方法
により製造されたPTC素子は、20℃においては極め
て低い比抵抗を示し、且つピーク時の比抵抗が大きく、
さらに狭い温度範囲で比抵抗が急激に上昇することがわ
かる。
【0035】
【発明の効果】本発明の製造方法よると、20℃におけ
る比抵抗が極めて低く、ピーク時の比抵抗が大きく、狭
い温度範囲で比抵抗が急激に上昇しする低抵抗のPTC
素子を容易に製造することができる。そして、かかるP
TC素子は大電流の流れる電気デバイスにも好適に使用
できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリオレフィンと導電性フィラー
    とを混合し、混合物を成形して導電性シートを形成し、
    得られた導電性シートの両面に金属板の電極を形成し、
    しかる後に、結晶性ポリオレフィンの融点−5℃より低
    い温度に加熱し、次いで、該加熱温度より低い温度に冷
    却する加熱・冷却処理を繰り返し施すことを特徴とする
    PTC素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 導電性フィラーが平均粒径1〜50μm
    の粒状グラッシーカーボンであることを特徴とする請求
    項1記載のPTC素子の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010079845A (ko) * 1999-07-16 2001-08-22 하네타 유이치 정온도 계수 소자 및 그 제조 방법
JP2015506579A (ja) * 2011-12-31 2015-03-02 上海長園維安電子線路保護有限公司 高分子系導電性複合材料及びptc素子
CN114149630A (zh) * 2021-12-16 2022-03-08 四川大学 一种居里温度可调的聚合物基ptc复合材料及其制备

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