JP3911455B2 - 有機質正特性サーミスタおよびその製造方法 - Google Patents

有機質正特性サーミスタおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度センサーや過電流保護素子として用いられ、温度上昇とともに抵抗値が増大するPTC(positive temperature coefficient of resistivity )特性を有する有機質正特性サーミスタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
結晶性の高分子からなるマトリックス中に導電性粒子を分散させた有機質正特性サーミスタはこの分野では公知であり、米国特許第3,243,753号明細書および同第3,351,882号明細書等に開示されている。抵抗値の増大は、結晶性高分子が融解に伴って膨張することにより、連なった導電性粒子からなる導電経路が切断されるためと考えられている。
【0003】
有機質正特性サーミスタは、過電流・過熱保護素子、自己制御型発熱体、温度センサー等に利用することができる。これらに要求される特性としては、非動作時の抵抗値(室温抵抗値)が十分低いこと、室温抵抗値と動作時の抵抗値との比(抵抗変化率)が十分大きいこと、繰り返し動作による抵抗値の変化が小さいことが挙げられる。
【0004】
有機質正特性サーミスタの導電性粒子としては、カーボンブラックや黒鉛などの炭素系粒子が用いられることが多い。しかし、炭素系粒子を用いて非動作時の抵抗値を低くしようとすると、マトリックス中に大量の炭素系粒子を分散させなければならない。そのため、抵抗値の変化率を十分に大きくすることが困難となるので、過電流・過熱保護素子としての十分な特性が得られないという問題がある。
【0005】
ただし、この問題は、炭素系粒子よりも比抵抗の小さい金属粒子を用いることで解決できる。たとえば本発明者らは、スパイク状の突起をもつ金属粒子を用いることで低い室温抵抗と大きい抵抗変化率とが両立できることを、特開平5−47503号公報で提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、金属粒子を用いた有機質正特性サーミスタは、高温環境と低温環境とに交互に繰り返し曝す熱衝撃サイクル試験において、室温抵抗値が上昇してしまうという欠点がある。正特性サーミスタは繰り返し使用できる必要があり、そのためには、一度動作した後、過電流が除かれて温度が下がれば、抵抗値が初期値に復帰する必要がある。また、サーミスタ素子は、その使用に際して、動作温度に達しない温度まで繰り返し昇温されるが、その場合も、室温まで復帰した後に抵抗値が初期値に復帰する必要がある。したがって、熱衝撃サイクル試験において室温抵抗値が上昇してしまうということは、サーミスタ素子としての性能および信頼性が不十分であることを意味する。
【0007】
本発明の目的は、導電性粒子として金属粒子を用いることにより、室温抵抗を低くし、かつ、抵抗値の変化率を十分に大きくした有機質正特性サーミスタにおいて、熱衝撃の繰り返しによる室温抵抗値の上昇を抑えることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1) サーミスタ素体とこれを挟む一対の電極とを有し、
サーミスタ素体は、少なくとも高分子有機化合物を含むマトリックスと、少なくとも1種の金属元素から構成される金属粒子とを含有し、
金属粒子は、その表面の少なくとも一部が、金属粒子構成元素の少なくとも一種を含む水酸化物、ハロゲン化物、カルコゲン化物、炭酸塩又は有機酸塩からなる化合物層で被覆されており、
少なくとも他の金属粒子と接触している部分に化合物層が形成されて、隣り合う金属粒子間に化合物層が介在する有機質正特性サーミスタ。
(2) 化合物層の少なくとも一部が剥離して、隣り合う金属粒子間に、当該化合物層が介在する上記(1)の有機質正特性サーミスタ。
(3)上記(1)または(2)の有機質正特性サーミスタを製造する方法であって、
金属粒子をマトリックスと混練して成形するサーミスタ素体形成工程と、サーミスタ素体に一対の電極を圧着する電極形成工程とを有し、
サーミスタ素体形成工程の後に、金属粒子表面を改質することにより金属粒子構成元素の少なくとも一種を含む水酸化物、ハロゲン化物、カルコゲン化物、炭酸塩又は有機酸塩からなる化合物層を形成する表面改質工程を有する有機質正特性サーミスタの製造方法。
(4) 電極形成工程の後に、表面改質工程を有する上記(3)の有機質正特性サーミスタの製造方法。
(5) 表面改質工程において、大気圧より高い気圧下かつ水蒸気存在下でサーミスタ素体をマトリックスの融点の最低値以上の温度まで加熱することにより、金属粒子表面に水酸化物層を形成する上記(3)または(4)の有機質正特性サーミスタの製造方法。
(6) 表面改質工程において、それぞれマトリックスの融点の最低値より低い温度の温水中または60%RH以上の高湿度雰囲気中にサーミスタ素体を放置することにより、金属粒子表面に水酸化物層を形成する上記(3)または(4)の有機質正特性サーミスタの製造方法。
(7) 表面改質工程において、前記温水中または前記高湿度雰囲気中にサーミスタ素体を放置した後、大気圧より高い気圧下かつ水蒸気存在下でサーミスタ素体をマトリックスの融点の最低値以上の温度まで加熱する上記(6)の有機質正特性サーミスタの製造方法。
【0009】
【作用および効果】
有機質正特性サーミスタは、高分子有機化合物等の有機材料からなるマトリックス中に、導電性粒子が分散したサーミスタ素体を有し、このサーミスタ素体を一対の電極で挟んだ構造を有する。この構造のサーミスタは、通常、以下のようにして製造する。まず、導電性粒子をマトリックス材料と混練した後、混練物を押し出し成形等により加熱加圧成形してシート状成形体(サーミスタ素体)を得る。次いで、このシート状成形体の両面に電極を形成した後、所定の寸法に切断する。電極は、金属箔の熱圧着により形成する場合が多い。
【0010】
このようにして製造されるサーミスタにおいて、導電性粒子として金属粒子を用いた場合に、熱衝撃サイクル試験において室温抵抗値が上昇してしまうのは、以下の理由によると考えられる。
【0011】
サーミスタ素体は、成形工程および電極圧着工程において加熱しながら加圧される。その際、シート状のサーミスタ素体の主面に垂直な方向に強く力がかかるので、金属粒子が変形して互いに圧着しやすい。金属粒子同士の圧着は、特に高い圧力を受ける部分、すなわちサーミスタ素体主面に近い部分で著しく生じる。
【0012】
サーミスタに対し熱衝撃サイクル試験を行うと、金属粒子表面に酸化被膜が形成される。熱衝撃サイクル試験前に金属粒子同士が圧着していると、圧着していた金属粒子同士が、熱衝撃サイクル試験によって粒子表面に生じた酸化被膜を介して、固着してしまう。熱衝撃サイクル試験では、マトリックスが膨張および収縮を繰り返す。この試験の前後でサーミスタ特性がほとんど変化しないことが理想的であるが、固着している金属粒子同士はマトリックスが膨張しても離れないため、マトリックスの膨張および収縮の繰り返しに伴って、金属粒子の凝集が進んでしまう。すなわち、試験前には、金属粒子がマトリックス中に分散して金属粒子同士が接触していたために、導電経路が密に形成され低抵抗であったものが、試験後には、マトリックス中で金属粒子が凝集した塊状となってしまっているため、導電経路が疎となり高抵抗となってしまう。
【0013】
金属粒子同士の固着によって生じる上記問題を、本発明では、金属粒子表面を改質して化合物層を形成することにより解決する。化合物層は、水酸化物から構成されることが特に好ましい。加圧加熱成形によりサーミスタ素体を形成した後またはさらに電極を熱圧着した後に、金属粒子表面を改質して化合物層を形成すると、圧着部にも化合物層が形成される。この化合物層は酸化被膜と異なり、圧着部の機械的強度を低下させる。そのため、圧着した金属粒子同士がマトリックスの膨張に伴って離間しやすくなる。また、その後に酸化性雰囲気に曝されても、粒子同士が固着しにくくなる。その結果、熱衝撃サイクル試験において金属粒子の凝集が生じにくくなり、室温抵抗値の上昇が抑えられる。
【0014】
たとえば、金属粒子がニッケル粒子であり、化合物が水酸化ニッケルである場合について、作用効果を説明する。金属ニッケルの密度は8.85g/cm3、水酸化ニッケルの密度は3.65g/cm3であり、両者には大きな違いがある。したがって、金属ニッケル粒子表面に生成した水酸化ニッケル被膜は剥離しやすい。そのため、サーミスタ素体中において隣り合うニッケル粒子の間には、ニッケル粒子から剥離した水酸化ニッケル被膜が介在すると考えられる。表面が金属のニッケル粒子同士は圧着されているときの圧着強度が高く、さらに、圧着部に酸化被膜が生成すると固着してしまうが、本発明を適用すれば、剥離した水酸化ニッケル層が粒子間に介在する結果、ニッケル粒子同士の圧着強度が低くなり、また、粒子表面の酸化しても、それによる粒子同士の固着が抑制されると考えられる。また、水酸化ニッケル層の剥離により粒子表面に金属ニッケルが露出した場合、金属ニッケル表面には薄い酸化被膜が形成されると考えられるが、その場合でも、水酸化ニッケル層が粒子間に介在するため、ニッケル粒子同士の固着が抑制される。
【0015】
また、水酸化ニッケル層の生成前に、ニッケル粒子表面が酸化していた場合でも、同様と考えられる。酸化ニッケルの密度は6.96g/cm3であり、これも水酸化ニッケルの密度とは大きく異なる。したがって、酸化被膜の少なくとも一部が水酸化して水酸化ニッケル層が形成されたとき、水酸化ニッケル層は粒子表面から剥離しやすい。そのため、上記したメカニズムによって粒子同士の圧着強度が低下し、また、粒子同士の固着が抑制される。
【0016】
本発明において、金属粒子表面のうち圧着している部分にも水酸化物層を形成するためには、サーミスタ素体全体に水分を拡散させた状態で加熱することが有効である。
【0017】
有機質正特性サーミスタでは、スパイク状突起を有するもののように表面が複雑な形態をしている金属粒子を用いたほうが、球状の金属粒子を用いた場合よりも優れたPTC特性が得られる。しかし、上記した金属粒子同士の圧着および固着は、表面が複雑な形態をしている粒子のほうが顕著に生じる。したがって、表面が複雑な形態をしている金属粒子を用いた有機質正特性サーミスタに本発明を適用することにより、優れたPTC特性を有し、かつ、熱衝撃による室温抵抗値上昇が生じにくい有機質正特性サーミスタが実現する。
【0018】
ところで、有機PTCサーミスタにおいて、金属粒子表面に酸化防止膜を設けることは知られている。たとえば特開2000−167905号公報には、チタネート系、シラン系またはトリアゾール系のカップリング剤により酸化防止処理された金属粒子を用いた有機PTC組成物が記載されている。
【0019】
しかし、カップリング剤による金属粒子表面の処理は、金属粒子をマトリックス材料と混練する前に行う必要があり、また、カップリング剤の被膜は剥がれやすい。そのため、混練時および電極圧着時に加わる大きな力によりカップリング剤の被膜が破壊されてしまい、金属粒子同士が直接接することになる。したがって、カップリング剤処理では、熱衝撃試験による室温抵抗値上昇を抑えることは難しい。
【0020】
これに対し本発明では、金属粒子とマトリックス材料とを混練した後、または、さらに電極を圧着した後に、金属粒子表面を改質して化合物層を形成する。したがって、化合物層は剥離はしても破壊はされないと考えられ、そのため、金属粒子同士の固着を防ぐ効果がきわめて優れると考えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の有機質正特性サーミスタの構成例を図1に示す。このサーミスタは、サーミスタ素体2と、これを挟んで設けられた一対の電極3、3とを有する。図示例はサーミスタの断面形状の一例を示したものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、サーミスタの平面形状も特に限定されず、要求される特性や仕様に応じ、円形、四角形、その他最適な形状から適宜選択すればよい。
【0022】
本発明においてサーミスタ素体2は、有機高分子化合物を含むマトリックス中に、金属粒子が分散した構成をもつ。
【0023】
以下、本発明のサーミスタ各部の構成および製造方法について説明する。
【0024】
金属粒子
サーミスタ素体中に分散させる金属粒子の構成材料としては、銅、アルミニウム、ニッケル、タングステン、モリブデン、銀、亜鉛、コバルト、鉄等が用いられるが、中でもニッケル、銅、銀、鉄が好ましく、特にニッケルが好ましい。なお、金属粒子は合金であってもよい。
【0025】
サーミスタ素体中において金属粒子は、その表面の少なくとも一部が、金属粒子構成元素の少なくとも1種を含む化合物からなるか、この化合物を主成分として含有する化合物層で被覆されている。本発明は、酸化による金属粒子同士の固着を防ぐことを目的とするため、金属粒子表面に形成する化合物層は、酸化物以外の化合物から構成する。化合物層を構成する化合物としては、金属粒子同士の圧着強度を低下させる効果が特に高いことから水酸化物が好ましいが、このほか、ハロゲン化物、カルコゲン化物または炭酸塩であっても、また、シュウ酸塩等の有機酸塩であっても、圧着強度低下効果は実現する。
【0026】
なお、化合物層は酸化物以外の化合物を主成分とするが、酸化物が含まれていてもよい。たとえば、金属粒子表面に酸化被膜が生成しており、その酸化被膜を水酸化した場合には、形成された化合物層中に酸化物が残存することがある。その場合、酸化物以外の化合物が酸化物に対して20質量%以上存在すれば、本発明による効果は十分に実現する。また、実験によれば、比表面積が2m2/gのニッケル粉末に対し0.05質量%の水酸化ニッケルが生成すれば、十分な効果が得られた。
【0027】
金属粒子表面に生成した化合物の量は、たとえば以下の手法により測定する。まず、加熱したトルエン中でサーミスタ素体のマトリックス成分を溶解除去することにより、ニッケル粒子および化合物層からなるニッケル粉末を分離する。次いで、酸素分析装置(たとえばLEOTEC社製TC-600)、水素分析装置(たとえば堀場製作所製EMGA-621)、炭素分析装置(たとえば堀場製作所製EMIA-520)を用い、分離したニッケル粉末中の酸素量、水素量および炭素量を測定する。この測定値に基づき、測定対象物が金属ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケルおよび残留しているマトリックス成分からなるものとして、各成分の存在量を算出する。
【0028】
化合物層の厚さは特に限定されず、熱衝撃サイクル試験において十分な効果が実現するように適宜決定すればよい。具体的には、化合物層の厚さは10nm以上であることが好ましい。化合物層が薄すぎると、本発明の効果、すなわち金属粒子同士の圧着強度を低下させ、また、固着を防ぐ効果を十分に実現させることが困難となる。一方、著しく厚い化合物層を形成することは困難であり、また、化合物層が厚いと室温抵抗値が高くなってしまうため、化合物層の厚さは1000nm以下かつ金属粒子の粒径の20%以下であることが好ましい。なお、本明細書における化合物層の厚さとは、化合物層が粒子表面を完全に被覆していると仮定し、化合物量および金属粒子の比表面積から算出した値である。
【0029】
化合物層は、金属粒子表面の一部または全部を被覆していると考えられ、かつ、前述したように、少なくとも一部が粒子表面から剥離していると考えられる。一部だけ被覆する場合としては、たとえば以下の場合が考えられる。後述するように本発明では、スパイク状の突起を有する金属粒子を用いることが好ましいが、この金属粒子表面を化合物化する際に、化合物化の方法によっては、突起の先端部は化合物化されても突起の基部の化合物化は十分に進まないことがありうる。たとえば、後述する水酸化処理方法を用いる場合には、突起の先端部のほうが反応しやすい(水酸化されやすい)と考えられる。その場合、化合物層は金属粒子表面の一部だけを被覆することになる。突起を有する金属粒子では、他の金属粒子と接触するのは突起の先端部であるため、突起の少なくとも先端部に化合物層が形成されれば、本発明の効果は十分に実現する。換言すれば、金属粒子の表面の一部だけに化合物層を形成する場合には、少なくとも他の金属粒子と接触しうる部分に化合物層を形成することが好ましい。そして、このように形成された化合物層の少なくとも一部が剥離した場合でも、本発明の効果は実現する。
【0030】
化合物層は、サーミスタ素体を形成した後に形成し、好ましくは、サーミスタ素体の両面に熱圧着により電極を設けた後に形成する。このタイミングで化合物層を形成することにより、サーミスタ素体形成時および電極を熱圧着する際に生じた金属粒子同士の圧着を効果的に軽減することが可能となる。
【0031】
化合物層は、金属粒子表面を改質することにより形成する。改質する方法は特に限定されず、生成させる化合物の種類に応じ適宜選択すればよいが、基本的には、金属粒子構成元素と反応して所望の化合物を生成する物質(反応性物質)をサーミスタ素体中に拡散させて、反応性物質と金属粒子の表面付近とを反応させる方法が好ましい。反応性物質は気体として拡散させることが好ましいが、液体または溶液として拡散させてもよい。以下、反応性物質として水を用い、金属粒子の表面付近を水酸化物に改質して水酸化物層を形成する方法を例に挙げて説明する。
【0032】
水酸化物層を形成する第1の方法では、大気圧より高い気圧下かつ水蒸気存在下でサーミスタ素体を加熱することにより、サーミスタ素体中に水分を拡散させて金属粒子表面に水酸化物層を形成する。
【0033】
第1の方法においてサーミスタ素体の加熱温度は、マトリックスの融点をMmpで表したとき、Mmp以上の温度、好ましくはMmp+20℃以上の温度である。加熱温度が低すぎると、サーミスタ素体中における水分の拡散速度が遅くなり、また、水酸化物が生成しにくくなる。水分の拡散速度が遅くなると、水酸化物生成に長時間を要するほか、大面積の電極に挟まれたサーミスタ素体では、その中央付近に存在する粒子の水酸化が困難となる。ただし、加熱温度が高すぎると金属粒子が酸化しやすくなるので、加熱温度は好ましくはMmp+50℃以下の温度、より好ましくはMmp+40℃以下の温度とすることが望ましい。なお、マトリックスは、後述するように複数種の有機材料から構成されることがある。その場合におけるマトリックスの融点Mmpとは、融点の最低値、すなわち、構成材料それぞれの融点のうち最も低い温度である。
【0034】
第1の方法における雰囲気圧力は1気圧超、好ましくは1.2気圧以上である。雰囲気圧力が低すぎると、水分の拡散速度が遅くなる。ただし、加熱温度が融点以上であり、この温度ではサーミスタ素子が高圧で容易に変形するため、雰囲気圧力は5気圧を超えないことが好ましい。
【0035】
第1の方法における水蒸気存在下とは、湿度が50%RH以上の雰囲気であることが好ましい。この湿度が低すぎると、サーミスタ素体中に水分の拡散速度が遅くなる。
【0036】
第1の方法において、表面改質処理時間、すなわち高気圧・高温・高湿環境下に保持する時間は、表面改質による効果が十分に実現し、かつ、金属粒子に酸化などの劣化が生じにくいように適宜決定すればよいが、通常、1〜24時間、好ましくは3〜5時間である。
【0037】
水酸化物層を形成する第2の方法では、それぞれマトリックスの融点の最低値より低い温度の温水中または高湿度雰囲気中にサーミスタ素体を放置してサーミスタ素体中に水分を拡散させることにより、金属粒子表面に水酸化物層を形成する。
【0038】
第2の方法では、温水の温度または雰囲気温度までサーミスタ素体が加熱される。この加熱温度はマトリックスの融点より低いため、この温度において、サーミスタ素体中には金属粒子の連なりによる導電経路が形成されており、この導電経路に沿って水分が迅速に拡散することが期待できる。加熱温度は、マトリックスの融点の最低値Mmp未満であり、好ましくはMmp−60℃以上かつMmp−5℃以下である。加熱温度が高すぎると、導電経路に沿った水分拡散が期待できなくなる。一方、加熱温度が低すぎると、水分の拡散速度が遅くなってしまう。
【0039】
第2の方法において、前記高湿度雰囲気の湿度は、60%RH以上、好ましくは70〜100%RHである。この湿度が低すぎると、水分の拡散速度が遅くなる。
【0040】
第2の方法において、温水中または高温・高湿度雰囲気下に保持する時間は、表面改質による効果が十分に実現し、かつ、金属粒子に酸化などの劣化が生じにくいように適宜決定すればよいが、通常、3〜100時間、好ましくは10〜50時間である。
【0041】
第2の方法では、温水中または高温・高湿度雰囲気下にサーミスタ素体を放置した後、第1の方法と同様に、高気圧・高温・高湿環境下に保持する工程を設けることが好ましい。この工程における好ましい条件は、第1の方法において高気圧・高温・高湿環境下に保持する際と同様である。この工程を設けることにより、金属粒子表面をほぼ完全に水酸化物化することが容易となる。
【0042】
本発明で用いる金属粒子の形状は、球状、フレーク状、棒状、繊維状等のいずれであってもよいが、表面にスパイク状の突起を有する形状が特に好ましい。スパイク状の突起を有する金属粒子では、その表面形状によりトンネル電流が流れやすくなるため、突起のない球状の金属粒子よりも室温抵抗を低減できると考えられる。また、スパイク状の突起をもつ金属粒子は球状粒子に比べ、マトリックス中において隣接粒子間の距離が大きくなるため、抵抗変化率を大きくすることができる。
【0043】
スパイク状の突起を有する金属粒子は、1個、1個がスパイク状の鋭利な突起を複数もつ一次粒子から構成される。この突起は、円錐状であって、粒径の1/3〜1/50の高さをもち、粒子1個あたりの突起の数は、10〜500個であることが好ましい。このような金属粒子は、1個、1個が個別に存在する粉体であってもよいが、一次粒子が10〜1000個程度鎖状に連なって二次粒子を構成していることが好ましい。ただし、鎖状の二次粒子と一次粒子との混在物であってもよい。
【0044】
一次粒子からなる前者の例としては、スパイク状の突起をもつ球状のニッケルパウダがあり、商品名INCO Type 123ニッケルパウダ(インコ社製)として市販されており、その平均粒径は3〜7μm程度、嵩密度は1.8〜2.7g/cm3程度、比表面積は0.34〜0.44m2/g程度である。
【0045】
二次粒子を主体とする後者の例としては、フィラメント状ニッケルパウダがあり、商品名INCO Type 210、255、270、287ニッケルパウダ(インコ社製)として市販されており、このうちINCO Type 210,255が好ましい。そして、その一次粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上4.0μm以下程度である。これらのうち、一次粒子の平均粒径は0.5μm以上3.0μm以下が最も好ましく、これに平均粒径0.1μm以上0.4μm未満のものを50質量%以下混合してもよい。また、嵩密度は0.3〜1.0g/cm3程度、比表面積は0.4〜2.5m2/g程度である。前述したように、本発明は金属粒子の平均粒径が小さい場合に特に有効であり、上記フィラメント状ニッケルパウダの場合では、一次平均粒径が0.1〜3μmである場合に特に有効である。
【0046】
なお、上記した平均粒径は、フィッシャー・サブシーブ法で測定した値である。
【0047】
このような金属粒子については、特開平5−47503号公報、米国特許第5378407号明細書に記載されている。
【0048】
サーミスタ素体中における金属粒子の含有量は、25〜50体積%であることが好ましい。金属粒子の含有量が少なくなると、非動作時の室温抵抗を十分低くすることが困難となる。一方、金属粒子の含有量が多くなると、動作時の抵抗変化率を大きくすることが困難となり、また、マトリックス中に金属粒子を均一に分散させることが困難になって安定した特性が得られにくくなる。
【0049】
なお、金属粒子は、単一の材料からなるものに限らず、異種金属被覆金属(銀コートニッケル等)粒子であってもよい。また、サーミスタ素体は、金属粒子の他に、補助的に導電性を付与するための導電性粒子として、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、金属被覆カーボンブラック、グラファイト化カーボンブラック、金属被覆炭素繊維等の炭素系導電性粒子、炭化タングステン、窒化チタン、窒化ジルコニウム、炭化チタン、ホウ化チタン、ケイ化モリブデン等のセラミック系導電性粒子、また、特開平8−31554号公報、同9−27383号公報に記載されている導電性チタン酸カリウムウィスカー等を含有していてもよい。ただし、室温抵抗値を低くするためには、金属粒子以外の導電性粒子を、金属粒子の25質量%以下とすることが好ましい。
【0050】
高分子有機化合物(マトリックス)
マトリックスは高分子有機化合物からなるか、またはこれを主成分として含有する。この高分子有機化合物は、熱硬化性高分子であってもよいが、熱可塑性高分子であることが好ましい。
【0051】
マトリックスに使用可能な熱可塑性高分子としては、ポリオレフィン(たとえばポリエチレン)、オレフィン系コポリマー(たとえばエチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー)、ハロゲン系ポリマー、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリアセタール、熱可塑性変性セルロース、ポリスルホン類、熱可塑性ポリエステル(PET等)、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0052】
具体的には、高密度ポリエチレン[たとえば、商品名ハイゼックス2100JP(三井石油化学製)、商品名Marlex6003(フィリップス社製)、商品名HY540(日本ポリケム製)]、低密度ポリエチレン[たとえば、商品名LC500(日本ポリケム製)、商品名DYNH−1(ユニオンカーバイド社製)]、中密度ポリエチレン[たとえば、商品名2604M(ガルフ社製)]、エチレン−エチルアクリレートコポリマー[たとえば、商品名DPD6169(ユニオンカーバイド社製)]、エチレン−酢酸ビニルコポリマー[たとえば、商品名LV241(日本ポリケム製)]、エチレン−アクリル酸コポリマー[たとえば、商品名EAA455(ダウケミカル社製)]、アイオノマー[たとえば、商品名ハイミラン1555(三井・デュポンポリケミカル社製)]、ポリフッ化ビニリデン[たとえば、商品名Kynar461(エルフ・アトケム社製)]、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー[たとえば、商品名KynarADS(エルフ・アトケム社製)]などが挙げられる。
【0053】
これらの中でも、ポリオレフィンが好ましく、特にポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、高密度、直鎖状低密度および低密度の各グレードを用いることができるが、中でも高密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0054】
熱可塑性高分子の好ましい融点は、サーミスタの動作温度に応じ、また、後述する低分子有機化合物の併用も考慮して適宜決定すればよく、特に限定されない。
【0055】
熱可塑性高分子は、メタロセン触媒、すなわち有機金属化合物のメタロセンを主成分にした触媒を用いて合成された結晶性高分子であることが好ましい。この結晶性高分子を用いることにより、昇温時と降温時においてヒステリシスの小さい温度特性を得ることができる。
【0056】
本発明でいうメタロセン触媒とは、サンドイッチ化合物の一種で、ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体系の触媒をいう。このようなメタロセン系触媒は、通常、たとえばシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第4、5、6族の遷移金属化合物からなるメタロセン触媒成分(a)、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)および微粒子状担体(c)と、必要に応じて添加される有機アルミニウム化合物触媒成分(d)およびイオン化イオン性化合物触媒成分(e)とから構成される。
【0057】
メタロセン触媒成分(a)としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第4、5、6族の遷移金属化合物が好ましく、具体的には、たとえば下記の一般式[I]で示される遷移金属化合物が好ましい。
【0058】
ML1x・・・[I]
式中、xは、遷移金属原子Mの原子価である。Mは、好ましくは周期律表第4族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタン、ハフニウムである。中でも、ジルコニウムおよびチタンが好ましい。
【0059】
L1は、遷移金属原子Mに配位する配位子であり、これらのうち、少なくとも1個の配位子L1は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。遷移金属原子Mに配位するシクロペンタジエニル骨格を有する配位子L1としては、具体的には、シクロペンタジエニル基等のアルキル置換シクロペンタジエニル基、あるいはインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0060】
上記一般式[I]で表わされる化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0061】
有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)としては、アルミノオキサンが好ましく用いられる。具体的には、式−Al(R)O−[ただし、Rはアルキル基である]で表わされる繰り返し単位が通常3〜50程度のメチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、メチルエチルアルミノオキサン等が用いられる。また、鎖状の化合物の他、環状の化合物も用いることができる。
【0062】
オレフィン重合用触媒の調製で用いられる微粒子状担体(c)は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が通常10〜300μm程度であり、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないし微粒子状の固体である。
【0063】
無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2等を例示することができる。オレフィン重合用触媒の調製において必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物触媒成分(d)としては、具体的には、トリメチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライドなどを例示することができる。
【0064】
イオン化イオン性化合物触媒成分(e)としては、たとえば米国特許第5,321,106号明細書に記載されたトリフェニルボロン、MgCl2、Al23、SiO2−Al23等のルイス酸;トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のイオン性化合物;ドデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート等のカルボラン化合物が挙げられる。
【0065】
上記メタロセン触媒を用いて熱可塑性高分子を製造するには、この触媒の存在下において、気相または液相(スラリー状もしくは溶液状)で原材料を重合させる。
【0066】
メタロセン触媒を用いて製造した熱可塑性高分子としては、エチレン系ポリマー(エチレンの単独重合体、エチレンと炭素数3〜20程度のα−オレフィンまたは環状オレフィンとの共重合体、プロピレンの単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体等)やスチレン系ポリマーが挙げられる。これらのなかではエチレン系ポリマーが好ましく、特に、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
【0067】
この直鎖状低密度ポリエチレンは、好ましくはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる。このα-オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。これらの中では、炭素原子数4〜10のα-オレフィン、特に炭素原子数4〜8のα-オレフィンが好ましい。上記のようなα-オレフィンは、単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
【0068】
本発明で用いられる直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンから導かれる構成単位が50質量%以上100質量%未満、好ましくは75〜99質量%、さらに好ましくは80〜95質量%、特に好ましくは85〜95質量%の量で存在し、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位が50質量%以下、好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%の量で存在することが望ましい。また、この直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900〜0.940g/cm3、より好ましくは0.910〜0.930g/cm3である。また、この直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR;ASTMD1238,190℃、荷重2.16kg)は、好ましくは0.05〜20g/10分、より好ましくは0.1〜10g/10分である。この直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布は、狭いことが好ましく、分子量分布の尺度であるMw/Mnは6以下、さらに好ましくは4以下である。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法で測定される。また、この直鎖状低密度ポリエチレンの長鎖分岐数は、主鎖の炭素数に対して、5/1000炭素数以下、さらに1/1000炭素数以下が好ましい。長鎖分岐数は、13C−NMR法で測定される。
【0069】
低分子有機化合物(マトリックス)
マトリックス中には、低分子有機化合物が含有されていてもよい。通常の有機質正特性サーミスタは、昇温により高分子有機マトリックスの膨張すると素子が動作(抵抗値が上昇)する。結晶性高分子では、分子量や結晶化度を変更することによって、またコモノマーとの共重合によって、その融点を変化させることができ、これにより動作温度を変化させることができるが、その際、結晶状態の変化を伴うため、十分なPTC特性が得られないことがある。このことは、動作温度を100℃以下に設定する場合に特に顕著になる傾向がある。これに対し、高分子有機化合物と、これとは融点の異なる低分子有機化合物とを併用すれば、PTC特性に悪影響を与えずに動作温度を簡単に制御できる。
【0070】
また、低分子有機化合物は一般に高分子有機化合物に比べ結晶化度が高いため、低分子有機化合物を含有させれば、昇温により抵抗値が増大する際の立ち上がりが急峻になる。
【0071】
さらに、高分子有機化合物は過冷却状態をとりやすいため、降温時において抵抗値が復帰する温度が昇温時の動作温度より低くなるというヒステリシスを示すが、低分子有機化合物を用いることでこのヒステリシスを抑えることができる。
【0072】
本発明に用いる低分子有機化合物は、分子量が2000程度まで、好ましくは1000程度まで、さらに好ましくは200〜800の結晶性物質であれば特に制限はないが、常温(25℃程度の温度)で固体であるものが好ましい。
【0073】
動作温度が200℃以下の有機質正特性サーミスタを得ることを目的とする場合、低分子有機化合物の融点は好ましくは40〜200℃であり、動作温度が100℃以下の有機質正特性サーミスタを得ることを目的とする場合、低分子有機化合物の融点は好ましくは40〜100℃である。
【0074】
低分子有機化合物としては、ワックスまたは油脂が好ましく、特に、石油系ワックスが好ましい。ワックスとしては、たとえば、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックスのような天然ワックスが挙げられ、油脂としては、たとえば、脂肪または固体脂と称されるものが挙げられる。ワックスや油脂の成分は、炭化水素(具体的には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素等)、脂肪酸(具体的には、炭素数12以上のアルカン系の直鎖炭化水素の脂肪酸等)、脂肪酸エステル(具体的には、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコール等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチルエステル等)、脂肪酸アミド(具体的には、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド等)、脂肪族アミン(具体的には、炭素数16以上の脂肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素数16以上のn−アルキルアルコール)、塩化パラフィンなどである。これらの低分子有機化合物は、市販されており、市販品をそのまま用いることができる。
【0075】
低分子有機化合物としては、融点mpが40〜200℃、さらに好ましくは40〜100℃であるものを用いることが好ましい。このようなものとしては、パラフィンワックス(たとえば、テトラコサンC2450;mp49〜52℃、ヘキサトリアコンタンC3674;mp73℃、商品名HNP−10(日本精蝋社製);mp75℃、HNP−3(日本精蝋社製);mp66℃など)、マイクロクリスタリンワックス(たとえば、商品名Hi−Mic−1080(日本精蝋社製);mp83℃、Hi−Mic−1045(日本精蝋社製);mp70℃、Hi−Mic2045(日本精蝋社製);mp64℃、Hi−Mic3090(日本精蝋社製);mp89℃、セラッタ104(日本石油精製社製);mp96℃、155マイクロワックス(日本石油精製社製);mp70℃など)、脂肪酸(たとえば、ベヘン酸(日本精化製);mp81℃、ステアリン酸(日本精化製);mp72℃、パルミチン酸(日本精化製);mp64℃など)、脂肪酸エステル(たとえば、アラキン酸メチルエステル(東京化成製);mp48℃など)、脂肪酸アミド(たとえば、オレイン酸アミド(日本精化製);mp76℃)などがある。また、ポリエチレンワックス(たとえば商品名三井ハイワックス110(三井石油化学工業社製);mp100℃)、ステアリン酸アミド(mp109℃)、ベヘン酸アミド(mp111℃)、N−N’−エチレンビスラウリン酸アミド(mp157℃)、N−N’−ジオレイルアジピン酸アミド(mp119℃)、N−N’−ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(mp140℃)などもある。また、パラフィンワックスに樹脂類を配合した配合ワックスや、この配合ワックスにマイクロクリスタリンワックスを混合したものであって融点を40〜200℃にしたものも好ましく用いることができる。
【0076】
低分子有機化合物は、単独で、もしくは併用して用いることができる。低分子有機化合物は、各成分の分散を良好にするために、組み合わされる有機高分子化合物の極性を考慮して適宜選択すればよい。
【0077】
マトリックス中における低分子有機化合物の質量は、高分子有機化合物の質量の0.05〜4倍、特に0.1〜2.5倍であることが好ましい。マトリックス中における低分子有機化合物の含有量が少なくなると、抵抗変化率を十分に大きくすることが困難となる。一方、低分子有機化合物の含有量が多くなると、低分子有機化合物が溶融する際にサーミスタ素体が大きく変形するほか、金属粒子との混合が困難になってくる。
【0078】
高分子有機化合物と低分子有機化合物とを含有するサーミスタ素体では、示差走査熱量測定(DSC)において、高分子有機化合物の融点付近と低分子有機化合物の融点付近とに吸熱ピークが見られる。この結果から、高分子有機化合物と低分子有機化合物とは、独立に分散して存在する海島構造をしていると考えられる。
【0079】
その他
サーミスタ素体中には、金属粒子およびマトリックス以外に、必要に応じて他の物質が含有されていてもよい。
【0080】
たとえば、良熱導電性添加物として、特開昭57−12061号公報に記載されている窒化ケイ素、シリカ、アルミナ、粘土(雲母、タルク等)、特公平7−77161号公報に記載されているシリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ベリリア、セレン、特開平5−217711号公報に記載されている無機窒化物、酸化マグネシウム等を添加してもよい。
【0081】
耐久性向上のために、特開平5−226112号公報に記載されている酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、シリカ、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化クロム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化鉛、特開平6−68963号公報に記載されている高比誘電率の無機固体、具体的には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム等を添加してもよい。
【0082】
耐電圧改善のために、特開平4−74383号公報に記載されている炭化ホウ素等を添加してもよい。
【0083】
強度改善のために、特開平5−74603号公報に記載されている水和チタン酸アルカリ、特開平8−17563号公報に記載されている酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、シリカ等を添加してもよい。
【0084】
結晶核剤として、特公昭59−10553号公報に記載されているハロゲン化アルカリ、メラミン樹脂、特開平6−76511号公報に記載されている安息香酸、ジベンジリデンソルビトール、安息香酸金属塩、特開平7−6864号公報に記載されているタルク、ゼオライト、ジベンジリデンソルビトール、特開平7−263127号公報に記載されているソルビトール誘導体(ゲル化剤)、アスファルト、さらには、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を添加してもよい。
【0085】
アーク調節制御剤としては、特公平4−28744号公報に記載されているアルミナ、マグネシア水和物、特開昭61−250058号公報に記載されている金属水和物、炭化ケイ素等を添加してもよい。
【0086】
金属害防止剤として、特開平7−6864号公報に記載されているイルガノックスMD1024(チバガイギー製)等を添加してもよい。
【0087】
また、難燃剤として、特開昭61−239581号公報に記載されている三酸化二アンチモン、水酸化アルミニウム、特開平5−74603号公報に記載されている水酸化マグネシウム、さらには、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のハロゲンを含有する有機化合物(重合体を含む)、リン酸アンモニウム等のリン系化合物等を添加してもよい。
【0088】
これら以外にも、硫化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート粘土(雲母、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト等)、ガラス粉、ガラスフレーク、ガラス繊維、硫酸カルシウム等を添加してもよい。
【0089】
これらの添加剤は、マトリックス材料と金属粒子との合計質量の25質量%以下であることが好ましい。
【0090】
製造方法
次に、本発明の有機質正特性サーミスタを製造する方法の一例を説明する。
【0091】
まず、金属粒子とマトリックス材料とを混練して、金属粒子を分散する。混練は既知の方法によればよく、マトリックスとなる有機高分子化合物の融点以上の温度、好ましくは5〜40℃高い温度において5〜90分程度混練すればよい。また、低分子有機化合物を併用する場合、あらかじめ高分子有機化合物と低分子有機化合物とを溶融混合、または溶媒中で溶解し混合しておいてもよい。混練には、各種撹拌機、分散機、ミル、塗料用ロール機等が用いられる。混練中に気泡が混入した場合は真空脱泡を行う。混練物の粘度調整のために、芳香族炭化水素、ケトン類、アルコール類等の各種溶媒を用いてもよい。高分子有機化合物および低分子有機化合物の熱劣化を防止するために、フェノール類、有機イオウ類、フォスファイト類などの酸化防止剤を混入してもよい。
【0092】
得られた混練物に対し、必要に応じて架橋処理を施してもよい。具体的には、有機過酸化物を用いる化学架橋、放射線照射による架橋、シラン系カップリング剤をグラフト化させ水の存在下でシラノール基の縮合反応を用いるシラン架橋法を用いることができる。
【0093】
次に、混練物をプレス成形してシート状成形体を作製し、このシート状成形体の両面に電極を形成する。電極は、Ni、Cu等からなる金属板の熱圧着や、導電性ペーストの塗布により形成することができるが、金属板の熱圧着により形成する場合に本発明は特に有効である。次いで、電極を形成したシート状成形体(サーミスタ素体)を所望の形状に打ち抜いて、サーミスタ素子とする。
【0094】
次いで、サーミスタ素体中の金属粒子の表面を前述した方法で改質することにより、金属粒子表面の少なくとも一部を化合物層で被覆した状態とし、本発明のサーミスタ素子を得る。
【0095】
【実施例】
サーミスタ素子の作製
高分子有機化合物として、メタロセン触媒を用いて気相法合成された直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名エボリューsp2520、MFR:1.7g/10min、融点:121℃)を、低分子有機化合物としてパラフィンワックス(Baker Petrolite社製、商品名Poly Wax655、融点99℃)を、金属粉末としてフィラメント状ニッケルパウダ(INCO社製、商品名Type210ニッケルパウダ、平均粒径0.5〜1.0μm、嵩密度約0.8g/cm3、比表面積1.5〜2.5m2/g)を、それぞれ用意した。
【0096】
次に、高分子有機化合物44体積%と、低分子有機化合物30体積%と、金属粉末26体積%とを、ミル中で150℃で30分間混練した。
【0097】
次いで、混練物を150℃の熱プレスにより厚さ0.5mmのシート状に成形した後、シート状成形体の両面を厚さ約30μmのNi箔電極で挟んで、150℃の熱プレス機で圧着することにより、全厚を0.35mmとした。次いで、電極付き成形体の両面に20Mradの電子線を照射して架橋を行なった後、平面形状が直径10mmの円板となるように打ち抜き、有機質正特性サーミスタ素子とした。
【0098】
比較例
上記サーミスタ素子について、−40℃で30分間保持後に80℃で30分間保持する熱衝撃サイクルを200サイクル繰り返す熱衝撃サイクル試験を行った。この試験の前後において、初期室温抵抗値を4端子法により測定した。結果を表1に示す。
【0099】
実施例1
上記サーミスタ素子を、プレッシャークッカー装置を用いて、4.1気圧、145℃、100%RHの環境下に3時間保存し、水分をサーミスタ素体中に拡散させた。次いで、温度、圧力および湿度を室内環境に戻して、サーミスタ素体を24時間放置した。
【0100】
次いで、比較例と同様にして熱衝撃サイクル試験を行い、試験前後での初期室温抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0101】
実施例2
プレッシャークッカー装置における保存条件を、1.9気圧、120℃、100%RHにおいて24時間としたほかは実施例1と同様にして、熱衝撃サイクル試験前後における室温抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
実施例3
プレッシャークッカー装置における保存条件を、4.3気圧、160℃、70%RHにおいて3時間としたほかは実施例1と同様にして、熱衝撃サイクル試験前後における室温抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0103】
実施例4
上記サーミスタ素子を60℃の温水に72時間浸した後、実施例1と同様にして熱衝撃サイクル試験を行い、試験前後における室温抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0104】
実施例5
上記サーミスタ素子を60℃の温水に72時間浸した後、プレッシャークッカー装置を用いて、4.1気圧、145℃、100%RHの環境下に3時間保存し、水分をサーミスタ素体中に拡散させた。次いで、サイクル数を200としたほかは実施例1と同様にして熱衝撃サイクル試験を行い、試験前後における室温抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
Figure 0003911455
【0106】
表1から本発明の効果が明らかである。表面改質処理を施さなかった比較例では、熱衝撃サイクル試験により室温抵抗値が著しく上昇してしまったのに対し、表面改質処理を施した実施例では、熱衝撃サイクル試験による室温抵抗値の上昇はほとんど認められない。
【0107】
なお、上記各実施例で作製したサーミスタ素子について、ニッケルパウダに形成された水酸化物および酸化物を前記した手法により定量したところ、水酸化物層の厚さは10〜100nmであり、酸化物に対して20質量%以上の水酸化物の生成が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機質正特性サーミスタの構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 サーミスタ素体
3 電極

Claims (7)

  1. サーミスタ素体とこれを挟む一対の電極とを有し、
    サーミスタ素体は、少なくとも高分子有機化合物を含むマトリックスと、少なくとも1種の金属元素から構成される金属粒子とを含有し、
    前記金属粒子は、その表面の少なくとも一部が、前記金属粒子構成元素の少なくとも一種を含む水酸化物、ハロゲン化物、カルコゲン化物、炭酸塩又は有機酸塩からなる化合物層で被覆されており、
    少なくとも他の金属粒子と接触している部分に前記化合物層が形成されて、隣り合う金属粒子間に、前記化合物層が介在する有機質正特性サーミスタ。
  2. 前記化合物層の少なくとも一部が剥離して、隣り合う金属粒子間に、当該化合物層が介在する請求項1の有機質正特性サーミスタ。
  3. 請求項1または2の有機質正特性サーミスタを製造する方法であって、
    金属粒子をマトリックスと混練して成形するサーミスタ素体形成工程と、サーミスタ素体に一対の電極を圧着する電極形成工程とを有し、
    サーミスタ素体形成工程の後に、金属粒子表面を改質することにより前記金属粒子構成元素の少なくとも一種を含む水酸化物、ハロゲン化物、カルコゲン化物、炭酸塩又は有機酸塩からなる化合物層を形成する表面改質工程を有する有機質正特性サーミスタの製造方法。
  4. 電極形成工程の後に、表面改質工程を有する請求項3の有機質正特性サーミスタの製造方法。
  5. 表面改質工程において、大気圧より高い気圧下かつ水蒸気存在下でサーミスタ素体をマトリックスの融点の最低値以上の温度まで加熱することにより、金属粒子表面に水酸化物層を形成する請求項3または4の有機質正特性サーミスタの製造方法。
  6. 表面改質工程において、それぞれマトリックスの融点の最低値より低い温度の温水中または60%RH以上の高湿度雰囲気中にサーミスタ素体を放置することにより、金属粒子表面に水酸化物層を形成する請求項3または4の有機質正特性サーミスタの製造方法。
  7. 表面改質工程において、前記温水中または前記高湿度雰囲気中にサーミスタ素体を放置した後、大気圧より高い気圧下かつ水蒸気存在下でサーミスタ素体をマトリックスの融点の最低値以上の温度まで加熱する請求項6の有機質正特性サーミスタの製造方法。
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