JPWO2003085150A1 - 軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯、それを用いて製造した鉄心およびそれらに用いる急冷凝固薄帯製造用母合金 - Google Patents

軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯、それを用いて製造した鉄心およびそれらに用いる急冷凝固薄帯製造用母合金 Download PDF

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Abstract

本発明は、軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯、それを用いて製造した鉄心およびそれらに用いる急冷凝固後薄帯製造用母合金を提供するもので、移動する冷却基板上に、スロット状の開口部を有する注湯ノズルを介して溶融金属を噴出させ、急冷凝固させて得られる金属薄帯であって、0.2原子%以上12原子%以下のPを含有する非晶質母相の少なくとも片側の薄帯表面に、厚みが5nm以上20nm以下の極薄酸化層を有することを特徴とするFe基非晶質合金薄帯である。

Description

技術分野
本発明は、電力用トランス、高周波トランスなどの鉄心材に用いられる軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯、それを用いて製造した鉄心およびそれらに用いる急冷凝固薄帯製造用母合金に関するものである。
背景技術
非晶質合金薄帯は、合金を溶融状態から急冷することによって得られる。薄帯を製造する方法としては、遠心急冷法、単ロール法、双ロール法等が知られている。これらの方法は、高速回転する金属製ドラムの内周面または外周面に溶融金属をオリフィス等から噴出させることによって急速に凝固させ、薄帯や細線を製造するものである。さらに合金組成を適正に選ぶことによって、磁気的性質、機械的性質、あるいは耐食性に優れた非晶質合金を得ることができる。
この非晶質合金薄帯は、その優れた特性から、多くの用途において工業材料として有望視されている。なかでも電力トランスや高周波トランス等の鉄心材料用としては、鉄損が低く、かつ飽和磁束密度および透磁率が高いこと等の理由から、Fe基非晶質合金薄帯、例えばFe−Si−B系非晶質合金薄帯などが採用されている。
Fe基非晶質合金薄帯を鉄心材料として用いる場合、磁気特性向上を目的として薄帯表面に酸化物等の絶縁被膜を形成したものが知られている。絶縁被膜は、薄帯を巻き回し、あるいは積層して作られるトランス磁心において、層間の絶縁性を高め、渡り磁束によって生じる渦電流損失を減少させる効果をもつ。
本発明者らは、特開平11−300450号公報に、急冷凝固させて得られる薄帯の少なくとも片側の表面に適正な厚みの極薄酸化層を有するFe基非晶質合金薄帯、および該酸化層の下部にPおよびSの少なくとも1種を含む偏析層を有する薄帯を開示している。
また特開2000−309860号公報では、極薄酸化層と非晶質母相との界面近傍にAs,Sb,Bi,Se,Teの少なくとも1種以上の元素を含む偏析層を有するFe基非晶質合金薄帯を開示している。さらに特開2000−313946号公報では、2層構造の極薄酸化層を有するFe基非晶質合金薄帯、および該酸化層の母相側の第2層にP,As,Sb,Bi,S,Se,Teの少なくとも1種以上の元素が偏析している薄帯を開示している。
これらの非晶質合金薄帯を用いて巻鉄心トランスあるいは積鉄心トランスを組立てる場合には、通常、薄帯をトロイダルに巻回して巻鉄心とし、または多数枚の薄帯片を積層して積鉄心とした後、磁気回路方向に直流磁場を印加しながらアニールを施す処理を行う。アニールの目的は、印加磁場方向に磁気異方性を出現させて磁束密度を上げること、および薄帯内に存在しているひずみを低減させて鉄損を下げることにある。
この処理において、アニール温度が低い場合には、磁気異方性が生じ難く磁束密度が大きくならないばかりか、ひずみも取り除かれないため鉄損も低くならない。しかし、アニール温度が低い場合には、アニールによって生じる薄帯の脆化は軽減される。
一方、アニール温度が高い場合には、磁束密度が大きくなるとともに、十分にひずみが取り除かれるため鉄損も低減するが、薄帯の脆化が大きくなってしまう。このアニールによって生じる脆化の原因は明確にはなっていないが、急冷凝固によって比較的ランダムに配置していた各原子が局部的に秩序構造をとる結果生じるものと考えられる。さらにアニール温度が高い場合には、薄帯が結晶化してしまい、もはや非晶質特有の優れた軟磁気特性が消失してしまう。
したがって、鉄心のアニールには最適温度が存在する。しかしこのアニール処理では、鉄心の重量が重く体積が大きくなる程、熱処理炉に装入後の加熱中、鉄心の各部位に温度むらが生じ易くなる。温度むらを低減するには、昇温過程および降温過程において十分な時間をかければよいが、時間をかければ生産性が低下してしまう。
従来、このアニール工程の改善策として、鉄心の内外周面に断熱材を取付け、冷却時における鉄心内の温度差を極力低減する方法(特開昭63−45318号公報)等が提案されているが、温度むらがあっても問題ないように薄帯そのものを改善するのが望ましい。しかし、アニール工程における鉄心各部位の温度むらに起因する性能劣化を低減したFe基非晶質合金薄帯は、従来存在しなかった。
そこで本発明者らは、Fe,Si,B,Cの限られた組成範囲において特定範囲のPを添加することにより、アニール中の鉄心各部位に温度むらが生じた場合でも、またより低温度でアニールした場合においても優れた軟磁気特性を発現でき、かつ薄帯の脆化を抑制可能なFe基非晶質合金薄帯を発明し、特願2001−123359(以下、先願発明という)により出願している。
上記各公報で開示しているFe基非晶質合金薄帯の望ましい組成は、特開平11−300450号公報では、PとSの1種以上を0.0003質量%以上0.1%以下の範囲で、特開2000−309860号公報では、As,Sb,Bi,Se,Teの少なくとも1種以上を0.0003質量%以上0.15質量%以下の範囲で、特開2000−313946号公報では、P,As,Sb,Bi,S,Se,Teの少なくとも1種以上を0.0003質量%以上0.15質量%以下の範囲で、それぞれ含有している。
Pを添加したFe基非晶質合金薄帯は、上記先願発明の明細書で述べているように、特開昭57−185957号公報、特開平8−193252号公報、特開平9−202946号公報、特開平9−202951号公報、特開平9−268354号公報、特開平11−293427号公報に記載されている。しかし、いずれも先願発明とは組成が異なり、上記温度むら起因による性能劣化を低減するものではない。
また、このようなFe系非晶質合金薄帯を鋳造する場合、不純物元素が含まれていると低い鉄損が得られない等の理由から、鉄源には電解鉄等の高純度鉄が用いられていたが、本発明者らは特開平9−202946号公報において、質量%で、0.008%≦P≦0.1%、0.15%≦Mn≦0.5%、0.004%≦S≦0.05%の不純物を含有する特定組成のFe−Si−B−C系非晶質合金薄帯を開示している。この薄帯では、微量のP含有(0.1質量%は約0.16原子%に相当する)により、鉄損が改善されるとともに、不純物としてのMnとSの許容量が増加するので、通常の鉄鋼プロセスで生産される安価な鋼を鉄源として使用できるというものである。
通常の鉄鋼プロセス用で生産される鋼には、不純物元素として上記MnおよびSのほか、各種脱酸剤、耐火物あるいは製鋼容器に付着した異鋼種等に起因する各種元素が存在する。その中でも、O,NあるいはCと結合して析出物を形成しやすいAl,Ti,Zr等の元素は、薄帯鋳造時に結晶化を促進するので、これら元素を極力低減したものが従来使用されていた。
AlについてはProc.4th Int.Conf.Rapidly Quenched Metals,957(1981)に、Tiについては日本金属学会誌、第52巻、第7号、733(1988)に、いずれも微量添加で薄帯表層部が結晶化して鉄損が劣化することが記載されている。
また特開平4−329846号公報には、0.01質量%以上のAl,Ti,Zrの少なくとも1種を含む低純度原料を用いる場合、0.1〜1.0質量%のSn、あるいは0.01〜0.05質量%のSのいずれか1種または2種を添加して特性劣化を抑制することが開示されている。しかし、Sn,S添加によって脆性が劣化すると記載されている。また上記公報の実施例に記載されているように、Sn添加材においても鉄損はW13/50で0.15W/kg以上と低いレベルにある。
発明の開示
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電力用トランス、高周波トランスなどの鉄心材に用いられるFe基非晶質合金薄帯において、従来は好ましくないとされていたPを積極的に添加し、その添加量を適正にすることで、薄帯の非晶質母相の特性をより向上させるとともに、表面に形成される極薄酸化層及びこの極薄酸化層と非晶質母相との間の偏析層を含めた総合的な軟磁気特性に優れた薄帯を提供することである。
また、本発明は、特定範囲のP添加により、薄帯を重ね合わせて鉄心としたのちアニールする際、鉄心各部位に温度むらが生じた場合でも、またより低温度でアニールした場合においても優れた軟磁気特性を発現でき、かつ薄帯の脆化を抑制可能なFe基非晶質合金薄帯において、Si含有量の下限を明確にし組成範囲を拡大することである。
さらに、本発明は、Fe基非晶質合金薄帯において、Al,Tiなど薄帯鋳造時に結晶化を促進するとされていた不純物元素を含んでいても結晶化を顕著に抑制し、鉄損等の特性を劣化させないことにより、通常の鉄鋼プロセスで生産される汎用鋼を鉄源として使用可能にすることである。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その要旨は次のとおりである。
(1)移動する冷却基板上に、スロット状の開口部を有する注湯ノズルを介して溶融金属を噴出させ、急冷凝固させて得られる金属薄帯であって、0.2原子%以上12原子%以下のPを含有する非晶質母相の少なくとも片側の薄帯表面に、厚みが5nm以上20nm以下の極薄酸化層を有することを特徴とするFe基非晶質合金薄帯。
(2)前記極薄酸化層と前記非晶質母相の間にPおよびSの少なくとも1種を含む偏析層を有することを特徴とする(1)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(3)前記極薄酸化層が2層構造を有することを特徴とする(1)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(4)前記薄帯表面の少なくとも冷却基板に接触しない側に極薄酸化層を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(5)前記偏析層の厚みが0.2nm以上であることを特徴とする(2)または(4)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(6)前記2層構造を有する極薄酸化層の2つの層がともに非晶質酸化物層であることを特徴とする(3)または(4)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(7)前記2層構造を有する極薄酸化層の、薄帯最表面にある第1酸化層が結晶質酸化物と非晶質酸化物の混合層であり、該第1酸化層と非晶質母相の間にある第2酸化層が非晶質酸化物層であることを特徴とする(3)または(4)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(8)前記2層構造を有する極薄酸化層の、薄帯最表面にある第1酸化層が結晶質酸化物層であり、該第1酸化層と非晶質母相の間にある第2酸化層が非晶質酸化物層であることを特徴とする(3)または(4)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(9)前記極薄酸化層がFe系、Si系、B系、あるいはそれらの複合体から構成されることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(10)前記極薄酸化層を構成する結晶質酸化物がスピネル構造を持つFe系酸化物であることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(11)前記2層構造を有する極薄酸化層の全体の厚みが5nm以上20nm以下であり、前記第1酸化層の厚みが3nm以上15nm以下、前記第2酸化層の厚みが2nm以上10nm以下であることを特徴とする(3),(4)、または(6)〜(10)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(12)前記第2酸化層に、P,As,Sb,Bi,S,Se,Teの少なくとも1種以上の元素が偏析していることを特徴とする(3),(4)、または(6)〜(10)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(13)前記薄帯の板厚が10μm以上100μm以下であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(14)Fe,Co,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe1−XCo:78%以上86%以下(0.05≦X≦0.4)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(15)Fe1−XCoの組成が、原子%にて、Fe1−XCo:80%超82%以下(0.05≦X≦0.4)であることを特徴とする(14)記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(16)アニール後のB80が1.37T以上で、かつ該B80の標準偏差が0.1未満の軟磁気特性を有するとともに、該軟磁気特性を確保するアニールにおけるアニール温度の最大値をTmax、最小値をTminとしたとき、ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃のアニール温度特性を有することを特徴とする(14)または(15)に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(17)Fe,Ni,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe1−YNi:78%以上86%以下(0.05≦Y≦0.2)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(18)Fe1−YNiの組成が、原子%にて、Fe1−YNi:80%超82%以下(0.05≦Y≦0.2)であることを特徴とする(17)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(19)アニール後のB80が1.35T以上で、かつ該B80の標準偏差が0.1未満の軟磁気特性を有するとともに、該軟磁気特性を確保するアニールにおけるアニール温度の最大値をTmax、最小値をTminとしたとき、ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃のアニール温度特性を有し、さらに、アニール後の薄帯の180°曲げ試験において、薄帯の板厚をt、破壊したときの曲げ直径をDとするとき、薄帯破壊ひずみε=t/(D−t)が0.015以上の優れた耐脆化特性を有することを特徴とする(17)または(18)に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(20)移動する冷却基板の上にスロット状開口部を有する注湯ノズルを介して溶融合金を噴出させ、急冷凝固させて得られ、Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯であって、組成が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、さらに薄帯幅方向の各部位におけるアニール後の鉄損の最大値をWmax、最小値をWminとした場合、(Wmax−Wmin)/Wminが0.4以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(21)移動する冷却基板の上にスロット状開口部を有する注湯ノズルを介して溶融合金を噴出させ、急冷凝固させて得られ、Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯であって、組成が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、さらに薄帯が冷却基板に接触する面に不可避的に形成される長さ500μm以上または幅50μm以上の粗大エアポケットの個数が10個/cm以下である領域が面積率で80%以上の良好な薄帯形状性を有していることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(22)移動する冷却基板の上にスロット状開口部を有する注湯ノズルを介して溶融合金を噴出させ、急冷凝固させて得られ、Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯であって、組成が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、さらに薄帯幅方向の任意の位置における板厚の最大値をtmax、最小値をtminとした場合、Δt=tmax−tminが5μm以下の良好な薄帯形状性を有していることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(23)前記Δtが3μm以下であることを特徴とする(22)記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(24)Fe,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(25)Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上2%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(26)Pの組成が、原子%にて、P:1%以上12%以下であることを特徴とする(14)〜(25)のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(27)As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を記号Mで表し、Fe,Si,B,C,Mの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、M:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(28)As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を記号Mで表し、Fe,Si,B,C,P+Mの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P+M:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(29)Mの組成が、原子%にて、M:1%以上12%以下であることを特徴とする(27)記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(30)P+Mの組成が、原子%にて、P+M:1%以上12%以下であることを特徴とする(28)記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(31)アニール後のB80が1.35T以上で、かつB80の標準偏差が0.1未満の軟磁気特性を有するとともに、該軟磁気特性を確保するアニールにおける最高温度をTmax、最低温度をTminとしたときのアニール温度幅ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃であることを特徴とする(24),(25),(27)〜(30)のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(32)アニール後の鉄損が0.12W/kg以下の鉄損特性を有するとともに、該鉄損特性を確保するアニールにおけるアニール温度の最大値をTmax、最小値をTminとしたとき、ΔT=Tmax−Tminが少なくとも60℃のアニール温度特性を有することを特徴とする(14)〜(19),(24),(25),(27)〜(30)記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(33)アニール後の鉄損が0.12W/kg以下の鉄損特性を有することを特徴とする(20)〜(23)のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(34)アニール後の薄帯の180°曲げ試験において、薄帯の板厚をt、破壊したときの曲げ直径をDとするとき、薄帯破壊ひずみε=t/(D−t)が0.01以上の優れた耐脆化特性を有することを特徴とする(14)〜(16),(24),(25),(27)〜(30)のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(35)Bの組成が、原子%にて、B:5%超14%未満であることを特徴とする(14)〜(34)のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(36)Feの組成が、原子%にて、Fe:80%超82%以下、であることを特徴とする(20)〜(35)のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
(37)Fe,B,C、および、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上からなる主要元素と、O,NまたはCとの析出物形成元素を含む不純物元素とで構成され、該析出物形成元素の含有量が、質量%にて合計2.5%以下の範囲であることを特徴とするFe基非晶質合金薄帯。
(38)Fe,Si,B,C、および、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上からなる主要元素と、O,NまたはCとの析出物形成元素を含む不純物元素とで構成され、該析出物形成元素の含有量が、質量%にて合計2.5%以下の範囲であることを特徴とするFe基非晶質合金薄帯。
(39)前記析出物形成元素としてAlとTiの一方または双方を含み、その含有量が質量%にて、Al:0.01%以上1%以下、Ti:0.01%以上1.5%以下であることを特徴とする(37)または(38)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(40)前記主要元素の組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上:合計0.2%以上12%以下であることを特徴とする(37)または(39)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(41)前記主要元素の組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上:合計0.2%以上12%以下であることを特徴とする(38)または(39)記載のFe基非晶質合金薄帯。
(42)Alの含有量が、質量%にて、0.01%以上0.2%以下であることを特徴とする(37)〜(41)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(43)Tiの含有量が、質量%にて、0.01%以上0.4%以下であることを特徴とする(37)〜(42)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(44)P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上の含有量が、原子%にて、1%以上12%以下であることを特徴とする(37)〜(43)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
(45)(14)〜(44)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯をトロイダルに巻回し、アニールしたことを特徴とする交流における軟磁気特性に優れた巻鉄心。
(46)(14)〜(44)のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯を所定形状に打ち抜き、積層し、アニールしたことを特徴とする交流における軟磁気特性に優れた積鉄心。
(47)合金元素が原子%にて、Fe:77%以上86%以下、Si:1.5%以上4.5%以下、B:5%以上19%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上16%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
(48)合金元素が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
(49)合金元素が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
(50)合金元素が原子%にてFe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上2%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
(51)合金元素が原子%にてFe1−XCo:78%以上86%以下(0.05≦X≦0.4)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
(52)合金元素が原子%にてFe1−YNi:78%以上86%以下(0.05≦Y≦0.2)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
(53)合金元素が原子%にてFe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、M:0.2%以上12%以下ただし、MはAs,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上、であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
(54)AlとTiの一方または双方を含み、その含有量が質量%にて、Al:0.01%以上1%以下、Ti:0.01%以上1.5%以下であることを特徴とする(47)〜(53)のいずれか1項に記載の安価な急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
発明を実施するための最良の実施形態
本発明のFe基非晶質合金薄帯は、移動する冷却基板上に、スロット状の開口部を有する注湯ノズルを介して溶融金属を噴出させ、急冷凝固させて得られる金属薄帯であって、単ロール法や双ロール法等によって鋳造される。そして、非晶質母相には0.2原子%以上12原子%以下のPを含有し、非晶質母相の少なくとも片側の薄帯表面に、厚みが5nm以上20nm以下の極薄酸化層を有する。
非晶質母相のPは、不純物として含まれる範囲を超え、主要な合金元素として積極的に添加したものである。このP添加によって、薄帯のアニールの際、応力緩和効果が増大し、優れた軟磁気特性が発現する最適温度範囲が拡大する。またこの応力緩和効果により、磁壁移動がより容易になってヒステリシス損失が低減する。
母相のP含有量が0.2原子%未満では、この最適アニール温度範囲拡大効果は得られず、12原子%超含有させた場合は、それ以上の添加効果が得られないばかりか磁束密度が低下する。Pが1〜12原子%であれば、P添加効果がより効果的に発現し、1〜10原子%であれば磁束密度の低下もより抑制され、より一層の効果を発現させることができる。
非晶質母相の少なくとも片側の薄帯表面に有する極薄酸化層は、5nm以上20nm以下の適正な厚みである。非晶質合金薄帯を大気中で鋳造する過程で薄帯表面には酸化層が形成され、その厚みは薄帯の温度や薄帯近傍の雰囲気によって変化する。本発明者らの実験結果、この酸化層が5〜20nmの極めて薄い極薄酸化層である場合に非晶質母相の磁区細分化効果により優れた低鉄損化の効果が認められた。
極薄酸化層の厚みが5nm未満では、均一な酸化層を形成することが困難で、磁区細分化が行われないためと考えられる。磁区細分化は、極薄酸化層によって薄帯に張力が作用したことによると推定される。極薄酸化層は薄帯の表面に外部から酸素が侵入して形成されるので、体積膨張によって薄帯に張力が作用すると考えられ、極薄酸化層を厚くすれば張力が大きくなり鉄損が低下する。しかし、厚みが20nmを超えると鉄損低下効果は認められなかった。
また、本発明のFe基非晶質合金薄帯は、極薄酸化層と非晶質母相の間にPおよびSの少なくとも1種を含む偏析層を有する薄帯である。このような偏析層を有すると、極薄酸化層のみの場合よりもさらに低鉄損となる。また極薄酸化層の厚み増加に伴ってヒステリシス損失も減少する。このヒステリシス損失の低減は、PおよびSの少なくとも1種を含む偏析層が非晶質母相と極薄酸化層の間に形成されることによって、両者の界面を滑らかにし、磁壁の移動をより容易にするためと推定される。この効果は、偏析層の厚みが0.2nm以上で顕著となり、15nm超になってもさらなる向上は期待できない。偏析層がある場合、極薄酸化層の厚みが100nm程度まで鉄損低減効果がみられる。
また、本発明のFe基非晶質合金薄帯は、極薄酸化層が2層構造を有する薄帯である。薄帯鋳造時における雰囲気中の酸素濃度を高め、あるいは冷却ロールからの薄帯剥離温度を高くすることによって、極薄酸化層をただ厚くするだけでなく2層構造にすることで鉄損をより低めることができる。
極薄酸化層が2層構造を有する本発明の薄帯は、薄帯最表面の層を第1酸化層、該第1酸化層と非晶質母相の間にある層を第2酸化層とすると、第2酸化層は非晶質酸化物で構成され、第1酸化層は非晶質酸化物層、結晶質酸化物層の何れでもよく、非晶質酸化物と結晶質酸化物の混合層であってもよい。
第1酸化層は、鋳造条件により構造を変化させることができる。第1酸化層中のFe量を増加させるにつれて、第1酸化層は非晶質から非晶質と結晶質の混合層、さらには結晶質へと結晶化を進行させることができる。第1酸化層の結晶化が進行するほど、鉄損低減効果は大きくなる。第1酸化層中のFe量増加は、鋳造雰囲気の酸素濃度を増すこと、薄帯の剥離温度を高くすること、および後述の元素添加により行える。
第2酸化層は、鋳造条件に依存せず、非晶質酸化物の状態が変化しない。これは、第2酸化層は第1酸化層に比べてSi,Bが多いためと推定される。
2層構造をもつ極薄酸化層の全体の厚みが増すほど鉄損が低下する。これは、極薄酸化層が薄帯に張力を作用して磁区を細分化し渦電流損失を低減していくからであり、酸化層が厚くなるほど薄帯に作用する張力が大きくなり、磁区が細分化して鉄損が低下する。2層それぞれの役割は、酸素侵入の容易な第1酸化層が先に膨張して張力を及ぼし、第2酸化層はその張力を母相に伝えることと、母相から第1酸化層が剥離しないようにすることであると考えられる。
したがって、第1酸化層が厚くなるほど鉄損は低下する。しかし第2酸化層に比べて第1酸化層が厚くなりすぎると、鉄損低減効果は小さくなる。これは、張力が大きくなりすぎて極薄酸化層の一部が母相から剥離し、母相に張力が作用しなくなるためと考えられる。さらに第1酸化層の構造が、上記のように非晶質から結晶質へと変化するにしたがって鉄損が低下する傾向がある。これは結晶化した方がより剛性が強まり、より高い張力が作用するためと考えられる。
また2層構造を有する本発明薄帯において、P,As,Sb,Bi,S,Se,Teの少なくとも1種以上の元素を含有させた場合、これらの元素は第2酸化層に偏析する。偏析量は含有元素量、薄帯剥離温度、鋳造雰囲気の酸素濃度を制御することで変化させることができる。
第2酸化層に偏析したこれら元素の効果は、第1酸化層の成長を促進して薄帯の渦電流損失を低減させる作用による。酸化物中において、Feイオンは+2価または+3価であるのに対し、P,As,Sb,Biの5族元素は+5価、S,Se,Teの6族元素は+6価で、いずれもFeより多価である。
これらの元素がFeと置換して極薄酸化層の第2酸化層に入ると、電荷バランスが崩れ、それを緩和するために金属イオン欠陥(Feイオン欠陥)が増大する。すると、欠陥の増大した第2酸化層を通して、非晶質母相から第1酸化層へ金属イオンが拡散しやすくなり、第1酸化層の成長が促進されると考えられる。さらに第1酸化層中のFe量が増加する結果、第1酸化層は結晶化しやすくなる。
この結果、薄帯に作用する張力が大きくなり、磁区細分化がおこり、渦電流損失が低減する。さらに、P,As,Sb,Bi,S,Se,Teの少なくとも1種以上の元素は、ヒステリシス損失を低減させる効果もある。この効果は、第2酸化層と非晶質母相の界面が平滑化され、磁壁移動が容易になるためと推定している。
母相中のP含有量は、前記のとおり0.2原子%以上12原子%以下とするが、Pとともに、あるいはPに替えてAs,Sb,Bi,S,Se,Teの少なくとも1種を含有させることができ、それらの含有量は、合計で0.2原子%以上12原子%以下とすることができる。これら元素のうち、PとSの使用が、安価なことから特に好ましい。
また極薄酸化層を構成する結晶質酸化物はスピネル構造をもつFe系酸化物であるのが好ましい。結晶化が進行した第1酸化層の酸化物の構造を調べた結果、Feまたはγ−Feを主成分とするスピネル構造であった。このような酸化物によって母相に対し効果的に張力を作用させることができる。
なお、2層構造を有する極薄酸化層の厚みについても、全体で5nm以上20nm以下であるのが好ましい。5nm未満では酸化層が2層化し難いことがあり、20nmを超えてもそれ以上の鉄損低下効果が認められない。第1酸化層の厚みは3nm以上15nm以下が好ましい。3nm未満では鉄損低減効果がそれほど大きくなく、15nmを超えても鉄損低減効果は変わらなくなる。第2酸化層の厚みは2nm以上10nm以下が好ましい。2nm未満では鉄損低減効果がそれほど大きくなく、10nmを超えると第2酸化層を通り抜けるFe量が減少してくるため、大きな張力を生む第1酸化層の成長が妨げられる。
上記本発明の薄帯において、極薄酸化層および偏析層は、必ずしも薄帯の両面に存在しなくてもよく、どちらかの面に存在すれば鉄損低減の効果が得られる。しかし、薄帯鋳造時に極薄酸化層の厚みが制御しやすいこと、冷却基板に接触する面はエアポケットがあり極薄酸化層が均一になりにくいことから、少なくとも冷却基板に接触しない側の面に極薄酸化層を有するのが望ましい。
そして、極薄酸化層はFe系、Si系、B系の酸化物、あるいはそれらの複合酸化物から構成されているのが好ましい。なかでもFe系、Si系の酸化物を主体とするのがより好ましい。これら酸化物が室温以上の高温で薄帯表面に形成されることによって、非晶質母相に最適な張力を作用し、磁区細分化による鉄損低下を効果的にする。
本発明における薄帯の好ましい板厚は、10μm以上100μm以下である。10μm未満では薄帯を安定して鋳造するのが困難であり、100μmを越える場合も安定して鋳造するのが難しく、さらに薄帯が脆くなるからである。さらに好ましくは10μm以上70μmであり、この範囲ではより安定した鋳造を行うことができる。薄帯の幅は特に規定されないが、20mm以上が好ましい。
本発明におけるFe基非晶質合金薄帯およびこの基となる母合金の組成(組成は原子%。以下同じ)は、上述したように、Pを0.2%以上16%以下とする他、Feは70%以上86%以下、Siは19%以下、Bは2%以上20%以下、Cは0.02%以上8%以下とすることが好ましい。また、Pの一部をAs,Sb,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上で置換しても差し支えない。典型的な成分組成としては、高磁束密度を有する薄帯を得るにはFe−Co系合金を、薄帯の脆性改善を図るにはFe−Ni系合金を、薄帯の幅方向の鉄損特性の均一化、表面性状、板厚均一化を図るにはFe−(Si)−B−P系合金を用いることが好ましい。以下に具体的な成分組成を記述する。
1)Fe,Co,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe1−XCo:78%以上86%以下、好ましくは80%超82%以下(0.05≦X≦0.4)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下からなる組成であること。
2)Fe,Ni,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe1−YNi:78%以上86%以下、好ましくは80%超82%以下(0.05≦X≦0.2)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下からなる組成であること。
3)Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下からなる組成であること。
4)Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下、好ましくは1%以上12%以下からなる組成であること。
5)Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上2%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下、好ましくは1%以上12%以下からなる組成であること。
6)As,Sb,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を記号Mで表し、Fe,Si,B,C,Mの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、M:0.2%以上12%以下、好ましくは1%以上12%以下からなる組成であること。
7)As,Sb,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を記号Mで表し、Fe,Si,B,C,P+Mの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P+M:0.2%以上12%以下、好ましくは1%以上12%以下からなる組成であること。
8)Fe,B,CまたはFe,Si,B,C、およびAs,Sb,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上からなる主要元素と、O,NまたはCとの析出物形成元素とで構成され、該析出物形成元素の含有量が、質量%で、合計2.5%以下の範囲からなる組成であること。
9)8)記載の組成において、前記析出物形成元素として、更に、Al,Tiの一方または双方を含み、その含有量が、質量%で、Al:0.01%以上1%以下、好ましくは0.01%以上0.2%以下、Ti:0.01%以上1.5%以下、好ましくは0.01%以上0.4%以下からなる組成であること。
10)Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P,As,Sb,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を合計0.2%以上12%以下、好ましくは1%以上12%以下からなる組成であること。
11)Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P,As,Sb,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を合計0.2%以上12%以下、好ましくは1%以上12%以下からなる組成であること。
12)Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯および母合金が、Fe:77%以上86%以下、Si:1.5%以上4.5%未満、B:5%超19%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上16%以下、好ましくは1%以上12%以下からなる組成であること。
薄帯を鉄心に使用する場合、飽和磁束密度を1.5T以上の高い値にする必要があるので、Feは70原子%以上とし、86原子%を超えると非晶質形成が困難となる。
SiおよびBは非晶質形成能および熱安定性を向上させるための元素である。上記範囲未満では非晶質が安定して形成され難く、上記範囲を超えても原料コストが高くなるだけで、非晶質形成能や熱安定性のより向上は認められない。
Cは薄帯の鋳造性向上に効果のある元素である。Cを上記範囲含有させることにより溶湯と冷却基板の濡れ性が向上して良好な薄帯を鋳造することができる。
また、さらなる磁気特性の安定化をはかるには、Feを78〜86原子%、Siを2〜4原子%未満、Bを5超〜16原子%にするのが好ましい。さらにFeを80超〜82原子%、Bを5超〜14原子%の範囲とすることで、特に極薄酸化層による鉄損低減効果が大となる。
本発明の薄帯は、単ロール装置だけでなく、双ロール装置、ドラムの内壁を使う遠心急冷装置、エンドレスタイプのベルトを使う装置によっても製造することができる。
極薄酸化層の厚みおよび構造は、薄帯断面方向からのTEM観察により調べることができる。またGDS(グロー放電発光分光法)、SIMSなどの表面解析方法を用いて測定した各元素の深さ方向プロファイルより、酸化層中の各元素の状態および偏析状態を調べることができる。
本発明のFe基非晶質合金薄帯は、Fe,BおよびCを限定した組成範囲において、所定量のPを添加し、Siを添加しないか、または少量のSiを添加したものである。このような組成とすることにより、薄帯を重ね合わせて鉄心としたのちアニールする際、鉄心各部位に温度むらが生じた場合でもアニール後の磁束密度が顕著に向上し、かつ鉄心各部位の磁束密度のばらつきが小さい。また適正なアニール温度範囲を拡大でき、より低温度でアニールした場合においても優れた軟磁気特性を発現でき、アニールによる薄帯の脆化が抑制できる。
本発明において、アニール後の磁束密度は、周波数50Hz、最大印加磁場80A/mの交流磁場を印加した場合の最大磁束密度B80を測定し、アニールの際の温度むらによる鉄心各部位の磁束密度のばらつきをB80の標準偏差で評価するとともに、優れた軟磁気特性を確保するアニールにおける最高温度をTmax、最低温度をTminとしたときのアニール温度幅ΔT=Tmax−Tminで評価した。
またアニール後の鉄損を測定し、上記温度むらによる鉄心各部位の鉄損のばらつきを、優れた軟磁気特性を確保するアニールにおける最高温度をTmax、最低温度をTminとしたときのアニール温度幅ΔT=Tmax−Tminで評価した。
アニールによる薄帯の脆化特性は、アニール後の薄帯の180°曲げ試験において、薄帯の板厚をt、破壊したときの曲げ直径をDとするときの、薄帯破壊ひずみε=t/(D−t)で判定した。
以下に組成の限定理由について説明する。
Feは78原子%以上86原子%以下とする。Feが70%原子未満の場合には、鉄心としての十分な磁束密度が得られなくなり、86原子%超の場合には非晶質形成が困難になって、良好な磁気特性が得られなくなる。
またFeを80原子%超とすることで、より幅広いアニール温度範囲において、また低温側のアニールにおいて、B80≧1.35Tの優れた軟磁気特性がより安定的に得られる。さらにFeを82原子%以下とすることで、非晶質がより安定的に得られ、かつε≧0.01の優れた耐脆化特性がより安定的に得られる。
Siは、添加しないか、または0.02原子%以上4原子%未満添加する。添加する場合の下限0.02原子%は、不純物として不可避的に含有される量を超えた値として限定した。本発明の組成においては、P添加の効果により、Si無添加でも、または4原子%未満のSi添加でも、非晶質が安定して形成される。これは、下記範囲のC添加が、先願発明で述べたSi下限の効果をもたらし、良好な非晶質薄帯を安定して形成することができるからである。また、4原子%以上の場合には、主要元素としてP,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を添加したことによる上記効果が得られ難くなる。
Cは0.02原子%以上8原子%以下とする。Cは薄帯の鋳造性に効果のある元素である。Cを0.02原子%以上含有させることによって溶湯と冷却基板の濡れ性が向上し、良好な非晶質薄帯を安定して形成させることができる。しかし8原子%超含有させてもこの効果の更なる向上は認められない。
なお、先願発明ではCを0.02原子%以上4原子%以下としているが、本発明ではSiを上記範囲としたので、本発明においては(Si+C)量を0.02原子%以上8原子%未満とすることができる。
Bは5原子%超16原子%以下とする。Bが5原子%以下では非晶質が安定して形成され難くなり、16原子%超としても更なる非晶質形成能の向上は認められなくなる。またBを14原子%未満とすることで、「P添加による最適アニール温度範囲の拡大効果」または「P添加によるアニール温度範囲の低温側への拡大効果」がより有効に発現される。すなわちBが5原子%超14原子%未満の範囲において、B80のばらつきがより少ない優れた軟磁気特性とε≧0.01のより優れた耐脆化特性を有する非晶質合金薄帯が得られる。
Pは0.2原子%以上12原子%以下とする。Pは本発明における最も重要な元素である。本発明者らは既に特開平9−202946号公報において、0.008質量%以上0.1質量%(0.16原子%)以下のP添加は、MnとSの許容含有量を増加させて、安価な鉄源の使用を可能にする効果のあることを開示したが、本発明は上記公報で開示した量を超えるPを適正量添加することで、鉄心のアニール工程において鉄心各部位に温度むらが生じた場合においても、該温度むらによる軟磁気特性の劣化を防止するものである。または、鉄心の脆化が生じる温度よりも低温側におけるアニールを容易にすることができる。
Pが0.2原子%未満では最適アニール温度範囲を拡大する効果、またはアニール温度範囲を低温側へ拡大する効果が得られなくなり、12原子%超含有してもPによるそれ以上の効果が得られないばかりか、磁束密度が低下してしまう。
またPを1原子%以上とすることで、Pの効果による磁束密度B80のバラツキがより一層抑制されるとともに、B80≧1.35Tとε≧0.01がより安定的に得られる。すなわちPが1原子%以上12原子%以下であれば磁束密度の低下も抑制され、より一層のP添加効果が発現する。
さらに本発明のFe基非晶質合金薄帯は、不可避的不純物として特開平9−202946号公報に開示したようなレベルのMn,S等の元素を含有していても特段の問題を生じない。
組成範囲の特定に関して重要なことは、本発明におけるPの効果はFe,Si,B,C系の限定された組成範囲に所定量のPを添加することによって成し得たものであり、特に低Siの範囲において初めてPの添加効果が発現し、Cが0.02原子%以上添加されていれば、Siが添加されてなくても、あるいはSiが2原子%未満であってもよいということである。
本発明薄帯は上記のように組成を限定したことで、巻鉄心や積鉄心を組立てる場合におけるアニールを行った後の鉄心各部位の磁束密度がB80≧1.35Tであり、磁束密度の向上効果が認められる。そしてB80の標準偏差が0.1未満の優れた軟磁気特性を有するとともに、上記アニール温度幅ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃である特性を有し、広い温度範囲の温度むらにも対処できる。
また、アニール後の鉄損が0.12W/kg以下の鉄損特性を有し、上記アニール温度幅ΔT=Tmax−Tminが少なくとも60℃である特性を有し、広い温度範囲の温度むらにも対処できる。
さらに、アニール後の薄帯は、薄帯破壊ひずみε=t/(D−t)が0.01以上の優れた耐脆化特性を有する。
そして、上記本発明薄帯をトロイダルに巻回してアニールした巻鉄心、および上記本発明薄帯を所定形状に打ち抜き、積層してアニールした積鉄心は、ともに交流における軟磁気特性に優れた鉄心である。
本発明のFe基非晶質合金薄帯は、主要元素と不純物元素で構成され、主要元素として、Fe−B−C系またはFe−B−C−Si系に、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を添加したことにより、不純物元素としてO,NまたはCとの析出物形成元素が合計2.5質量以下の範囲で含まれていても、薄帯鋳造時の結晶化を抑制し、鉄損等の特性を劣化させないようにしたものである。
上記析出物形成元素は、O,NあるいはCと結合して析出物を形成しやすい元素である。具体的にはAl,Ti,Zr,V,Nbなどを挙げることができるが、特にAlとTiの一方または双方とするのが、実用面で効果的である。通常の鉄鋼プロセスで生産される鋼には、近年、Al脱酸が多く採用され、Tiも脱酸剤や添加元素として採用されているので、これら元素を含む鋼を鉄源として使用できるのは、薄帯の素材コストを削減するうえで効果的である。これら元素が合計2.5質量%を超えて含まれると、鉄損が所定値を超えて劣化してしまうので、2.5質量%以下とした。
以下に好ましい組成の限定理由を述べる。
Alについては0.01質量%以上1質量%以下とするのが好ましい。Alが0.01質量%未満ではコスト削減効果が得られ難く、1質量%を超えてもそれ以上のコスト削減効果は得られ難い。また低鉄損値をより安定的に得るためには、0.2質量%以下とするのがさらに好ましい。
Tiについては0.01質量%以上1.5質量%以下とするのが好ましい。Tiが0.01質量%未満ではコスト削減効果が得られ難く、1.5質量%を超えてもそれ以上のコスト削減効果は得られ難い。また低鉄損値をより安定的に得るためには、0.4質量%以下とするのがさらに好ましい。
P,As,Bi,S,Se,Teは、本発明における主要元素として最も重要な元素であり、1種または2種以上で合計0.2原子%以上12原子%以下とするのが好ましく、1原子%以上とするのがより好ましい。
上記のように本発明者らは、特開平9−202946号公報において、0.008質量%以上0.1質量%(0.16原子%)以下の微量のPを不純物として含有していると、MnとSの許容含有量を増加させて、安価な鉄源の使用を可能にする効果のあることを開示したが、本発明においては、Pを主要元素として積極的に添加する。このP添加は、Al,Tiなどの上記析出物形成元素による鋳造時の結晶化を顕著に抑制する効果を有し、その効果はAs,Bi,S,Se,TeについてもPと同等である。そしてこれら元素の好ましい添加量は、上記公報におけるP含有量を超えるものである。
これら元素の1種または2種以上が合計0.2原子%未満では、上記結晶化抑制の顕著な効果が得られ難く、12原子%を超えても上記析出物形成元素の許容量を拡大する効果は得られないうえ、薄帯の磁束密度が低下するおそれが生じる。また1原子%以上とすることで、磁束密度のバラツキ抑制効果がより一層発現されるとともに、薄帯の脆化抑制効果がより安定的に得られる。
実施例
(実施例1)
Fe80.4Si2.59.46.41.3(原子%)の組成の非晶質薄帯を、単ロール法により鋳造した。鋳造は雰囲気制御可能なチャンバー内で行い、鋳造雰囲気の酸素濃度を変えて極薄酸化層の厚みを変化させた。冷却ロールは外径300mmのCu合金製で、薄帯の幅は25mmである。極薄酸化層の厚みはGDS(グロー放電発光分光法、スパッタ速度50nm/秒)によって得られる各元素の濃度プロファイルから求めた。
各薄帯を360℃で1時間、窒素雰囲気中、磁場中でアニールを行った後、SST(Single Strip Tester)により、周波数50Hz、最大磁束密度1.3Tにおける鉄損W13/50を測定した。極薄酸化層の厚みはアニール前後で殆ど変化しなかった。結果を表1に示す。
極薄酸化層の厚みが5nm未満の比較例No.1に対して、該厚みが5〜20nmの本発明例No.2〜No.8は鉄損が明瞭に低下している。比較例No.1は極低酸素雰囲気で鋳造したものである。該厚みが20nmを超える比較例No.9およびNo.10はNo.1と同程度に鉄損が上昇している。
本発明例のNo.2−aは、No.2の薄帯の自由面をマスキングしてエッチングしロール面の極薄酸化層を除去したもの、No.2−bは同様にして自由面の極薄酸化層を除去したものである。このNo.2、No.2−a、No.2−bの鉄損はほとんど変わらないことから、極薄酸化層は薄帯表面の片側にあればよいことがわかる。
Figure 2003085150
(実施例2)
Fe80.7Si2.615.7−X1.0(原子%)で、X=0〜15原子%に変化させた組成の非晶質薄帯を単ロール法により大気中で鋳造した。冷却ロールは外径600mmのCu合金製である。薄帯の幅は25mm、厚みは27μmである。極薄酸化層の厚みは実施例1と同様にして求めた。実施例1と同様にアニールし、同様にして鉄損を測定した。結果を表2に示す。
母相中にPを含有しない比較例No.11に対して、0.2〜12原子%のPを含有する本発明例No.12〜No.18は鉄損が明瞭に低下している。本発明範囲ではP量にあまり依存せず、9〜11nmのほぼ同じ厚みの極薄酸化層が得られた。Pが12原子%を超える比較例No.19およびNo.20は、磁束密度が低下した。なお母相中のP量は、母合金の添加P量に依存して変化した。
No.11およびNo.15について、各元素のGDSプロファイルを図1および図2に示す。O濃度の高い部分が極薄酸化層である。本発明範囲のPを含有するNo.15では、母相中にも高濃度のPが含まれているほか、極薄酸化層の母相側にPの偏析が見られることがわかる。
Figure 2003085150
(実施例3)
Fe80.4Si2.5106.1(原子%)に0.007質量%のSを添加した組成の非晶質薄帯を、実施例1と同様にして単ロール法により鋳造した。偏析層の厚みは、薄帯の冷却速度を変えて変化させた。極薄酸化層および偏析層の厚みは実施例1と同様にして求めた。実施例1と同様にアニールし、同様にして鉄損を測定した。結果を表3に示す。
GDSプロファイル(図示せず)から、極薄酸化層中のPおよびSは母相側に偏析していることを確認できた。また、酸素ピークと重なる位置にFe,Si,Bのピークが観察されたことから、Fe系、Si系、B系の酸化物を含む極薄酸化層が形成されていることが分った。極薄酸化層をエッチングで除去した後、母相中のPを分析した結果、全体分析値と同様の6.1原子%であった。これは、極薄酸化層中に含まれるP量が全体のP量に比べてごく僅かであるためである。
表3の結果から、偏析層の厚みが0.2nm未満の比較例No.21に対して、0.2nm以上の本発明例No.22〜No.27は鉄損が明瞭に低下していることがわかる。また極薄酸化層の厚みが20nmに近づくと鉄損が上昇しはじめるが、No.27と表1のNo.8を比較するとわかるように、偏析層を有する本発明例では上昇が抑制される。比較例No.28は、極薄酸化層が20nmを超え、鉄損が低下の効果がなくなっている。
またNo.23−aおよびNo.23−bは、実施例1のNo.2−aおよびNo.2−bと同様の方法で片面の極薄酸化層および偏析層を除去した例であり、極薄酸化層、偏析層とも薄帯の片面にあればよいことがわかる。
Figure 2003085150
(実施例4)
実施例3の組成について、実施例2と同様にして大気中で鋳造し、比較例として偏析層が形成されない冷却速度で冷却した。鋳造の際、薄帯の剥離位置を変え剥離温度を変えることで極薄酸化層の厚みおよび構造を変化させた。極薄酸化層の厚みを実施例1と同様にして測定するとともに、断面方向からのTEM観察によって構造を調べた。また同様にアニールし、同様にして鉄損を測定した。結果を表4に示す。
鋳造の際、冷却ロールからの薄帯剥離温度が高いほど極薄酸化層は厚くなり、それとともに鉄損が下がる傾向を示した。極薄酸化層が5nm未満の比較例No.29では酸化層が1層であり、鉄損が高かった。極薄酸化層の全体厚が5nm以上で2層化されている本発明例No.30〜No.35では、鉄損が低下している。2層化した極薄酸化層の母相側の第2層は全て非晶質、外面側の第1層は厚みが増すと非晶質から結晶質へと変化している。
Figure 2003085150
(実施例5)
Fe80.5Si2.615.10.8(原子%)にAs,Sb,Bi,S,Se,Teを加えた組成の薄帯を、実施例2と同様にして大気中で鋳造した。鋳造の際、薄帯の剥離位置を一定にし剥離温度を約180℃にした。母相には0.8原子%のPが含まれていることを確認した。実施例4と同様にして極薄酸化層の厚みを測定し構造を調べ、また鉄損を測定した。結果を表5に示す。
上記各元素の添加によって、いずれも極薄酸化層が2層化し、低鉄損が得られている。
Figure 2003085150
(実施例6)
実施例3の組成について、マルチスロットノズルを用いて種々の厚さの薄帯を大気中で鋳造した。冷却ロール外径は600mmである。鋳造の際、薄帯の剥離位置を変え剥離温度を変えることで極薄酸化層の厚みを変化させた。極薄酸化層の厚みを実施例1と同様にして測定した。また同様にアニールし、同様にして鉄損を測定した。結果を表6に示す。
極薄酸化層が5nm未満の比較例No.42および20nm超の比較例No.50では鉄損が高く、本発明例No.43〜No.49はいずれも鉄損が低かった。比較例No.42は薄帯に無数の穴があき、No.50は脆くて鋳造が困難であったが、本発明例はいずれも安定した鋳造を行うことができた。
Figure 2003085150
(実施例7)
Fe0.8Co0.2:80.3原子%、Si:2.5原子%、B:(16−Y)原子%、P:Y原子%、C:1原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、単ロール法により薄帯を鋳造した。本例の合金組成は、Fe1−XCoにおいてX=0.2としたものである。またB:16原子%をP:Y原子%置換し、表7に示すように、Yを、0,0.05(以上比較例)、0.5,1.2,3.1,6.4,9.4,10.7(以上本発明例)、13.5,16(以下比較例)とした。
まず所定の組成からなる合金を石英ルツボ中で高周波溶解し、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×25mmの矩形状スロットノズルを通して、溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。この鋳造によって、厚さ約27μm、幅25mmの薄帯を得ることができた。
鋳造した薄帯を120mmの長さに切断して、320℃、340℃、360℃、380℃、400℃の各温度で、窒素雰囲気中にて1時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて交流磁気特性を評価した。
評価項目は、測定の最大印加磁場が80A/mのときの最大磁束密度B80、および最大磁束密度1.3Tにおける鉄損である。なお測定周波数は50Hzである。結果を表7および表8に示す。
表8から明らかなように、本発明例のNo.3〜8は、320℃〜400℃のアニール温度範囲において、いずれもB80≧1.37Tの高い磁束密度が得られ、かつB80の標準偏差が0.1未満でばらつきが小さく、優れた軟磁気特性を有していることがわかる。そして、このような優れた軟磁気特性を確保できる温度の最大値Tmaxが400℃以上で、かつ該温度の最小値Tminが320℃以下、すなわちΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃の優れたアニール温度特性を有していることがわかる。
なお比較例のNo.2は、アニール温度420℃(追加実験)においてB80<1.37Tであり、ΔT≧80℃を満たしていなかった。
また、1原子%≦P≦12原子%としたNo.4〜8の本発明例では、B80の標準偏差が0.07以下となって、磁束密度のばらつきがより抑制された薄帯が得られていることがわかる。
さらに、5原子%<B<14原子%としたNo.5〜8の本発明例では、B80の標準偏差が0.05以下となって、磁束密度のばらつきがより一層抑制された薄帯が得られていることがわかる。
表9からは、本発明の組成範囲であるNo.3〜8は、320〜380℃のアニール温度において0.12W/kg以下の低鉄損を示すことがわかる。そして、このような低鉄損を確保できる温度の最大値Tmaxが380℃以上で、かつ該温度の最小値Tminが320℃以下、すなわちΔT=Tmax−Tminが少なくとも60℃の優れたアニール温度特性を有していることがわかる。
比較例のNo.9は、鉄損については上記と同様の優れた特性を有しているが、表8に示すように磁束密度B80が本発明レベルに達していない。比較例のNo.10は、400℃のアニール温度で1.3Tの磁束密度まで励磁できなかった。
Figure 2003085150
Figure 2003085150
Figure 2003085150
(実施例8)
Fe0.8Co0.2:80.3原子%、Si:Z原子%、B:(15.2−Z)原子%、P:3.3原子%、C:1原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、実施例7に示した方法で薄帯を鋳造した。本例の合金組成では、B:15.2原子%をSi:Z原子%で置換し、表10に示すように、Zを、1.8(比較例)2.3,3.0,3.5,3.9(以上本発明例)、4.4,5.6(以下比較例)とした。
薄帯の磁気特性も実施例7と同様の方法で評価した。結果を表11および表12に示す。
表11から明らかなように、本発明例のNo.12〜15は、320℃〜400℃のアニール温度範囲において、いずれもB80≧1.37Tの高い磁束密度が得られ、かつB80の標準偏差が0.1未満でばらつきが小さく、優れた軟磁気特性を有していることがわかる。そして、このような優れた軟磁気特性を確保できる温度の最大値Tmaxが400℃以上で、かつ該温度の最小値Tminが320℃以下、すなわちΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃の優れたアニール温度特性を有していることがわかる。
比較例のNo.11およびNo.17は標準偏差が0.1未満を満足せず、No.11、No.16およびNo.17は、アニール温度420℃(追加実験)においてB80<1.37Tであり、ΔT≧80℃を満たしていなかった。
表12からは、本発明の組成範囲であるNo.12〜15は、320〜380℃のアニール温度において0.12W/kg以下の低鉄損を示すことがわかる。そして、このような低鉄損を確保できる温度の最大値Tmaxが380℃以上で、かつ該温度の最小値Tminが320℃以下、すなわちΔT=Tmax−Tminが少なくとも60℃の優れたアニール温度特性を有していることがわかる。
比較例のNo.11は、鉄損については上記と同様の優れた特性を有しているが、表11に示すように磁束密度B80が本発明レベルに達していない。
この実施例から、Si≧4原子%になると本発明のP添加効果が発現しないことがわかる。
Figure 2003085150
Figure 2003085150
Figure 2003085150
(実施例9)
Fe0.9Co0.1,B,Cの組成を表13のように変化させ、Si:2.5原子%、P:3.3原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、実施例7に示した方法で薄帯を鋳造した。
薄帯の磁気特性も実施例7と同様の方法で評価した。アニール温度は280〜400℃の範囲とした。結果を表14および表15に示す。表14において標準偏差は、太線内のB80についての値である。
表14から明らかなように、本発明例のNo.19、No.20は280〜360℃のアニール温度範囲において、No.21は300〜380℃のアニール温度範囲において、No.22からNo.24は320℃〜400℃のアニール温度範囲において、いずれもB80≧1.37Tの高い磁束密度が得られ、かつB80の標準偏差が0.1未満でばらつきが小さく、優れた軟磁気特性を有していることがわかる。
そして、ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃の優れたアニール温度特性を有していることがわかる。
No.21およびNo.22は、80原子%<Fe0.9Co0.1≦82原子%であり、Tmin≦280℃となってΔTがより広い温度範囲となる。
比較例No.25は、アニール温度420℃(追加実験)においてB80<1.37Tであり、ΔT≧80℃を満たしていなかった。比較例No.26は、ΔT≧80℃を満たしていない。また比較例No.18はFe0.9Co0. が86原子%超であり、非晶質状態が得られず、B80<1であった。
表15からは、本発明例No.19〜24、比較例No.25およびNo.26において、従来技術には存在しない、ΔT=Tmax−Tmin≧60℃の幅広いアニール温度範囲で鉄損が0.12W/kg以下の低鉄損を示すことがわかる。ただしNo.25およびNo.26は、ΔT≧80℃を満たさなかったので比較例とした。
Figure 2003085150
Figure 2003085150
Figure 2003085150
(実施例10)
Fe1−XCo:80.1原子%、Si:2.5原子%、B:12.4原子%、P:3.8原子%、C:1原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、X=0.02(比較例)、0.1,0.18,0.26,0.38(以上本発明例)、0.47(比較例)とした。これら合金から実施例7に示した方法で薄帯を鋳造し、アニール温度320℃で実施例1と同様にアニールし、実施例7と同様の方法で評価した。
結果を表16に示す。表16から判るように、本発明例No.28〜No.31はB80≧1.37Tでかつ鉄損≦0.12W/kgの優れた特性を有する。Fe1−XCoが本発明範囲を外れた比較例No.27およびNo.32はB80<1.37Tとなってしまう。
Figure 2003085150
(実施例11)
表7の本発明例No.6の合金、および表10の比較例No.17の合金を用いて、幅50mmの非晶質薄帯を鋳造した。鋳造方法は実施例7と同様であるが、ノズル開口形状を0.4mm×50mmの矩形状スロットノズルに変えた。得られた薄帯の厚さは26μmである。これら薄帯を、巻き厚みが約50mmのトロイダル鉄心に巻回した。
巻回した鉄心について、室温から種々の昇温速度で400℃まで加熱し、その温度で2時間保定したのち炉冷するアニール処理を施した。処理中、鉄心の周方向に磁場を印加し、温度制御は雰囲気温度で行い、実際の試料の温度は、鉄心各部位に接触させた熱電対で測定した。
結果的に、昇温速度が速い程、炉の雰囲気温度と鉄心の温度差が大きくなり、かつ鉄心各部位の温度差も大きくなる傾向を示した。ただし、鉄心の温度は炉の雰囲気温度以下であった。
アニール後の鉄心に1次コイルと2次コイルを巻いて、B80を測定した。その結果、本発明例No.6の合金を使用したものは、鉄心各部位の温度差が80〜100℃と大きくなっても、B80=1.45Tと高い値を示すことを確認した。しかし、比較例No.17の合金を使用したものは、鉄心各部位の温度差が80〜100℃まで大きくなると、B80=1.33Tと低くなってしまうことがわかった。
(実施例12)
Fe0.93Ni0.07:80.5原子%、Si:2.4原子%、B:(15.9−Y)原子%、P:Y原子%、C:1原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、単ロール法により薄帯を鋳造した。本例の合金組成は、Fe1−XNiにおいてX=0.07としたものである。またB:15.9原子%をP:Y原子%置換し、表17に示すように、Yを、0,0.05(以上比較例)、0.6,1.3,3.3,6.3,9.3,10.5(以上本発明例)、13.2,15.9(以下比較例)とした。
まず所定の組成からなる合金を石英ルツボ中で高周波溶解し、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×25mmの矩形状スロットノズルを通して、溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。この鋳造によって、厚さ約26μm、幅25mmの薄帯を得ることができた。
鋳造した薄帯を120mmの長さに切断して、320℃、340℃、360℃、380℃、400℃の各温度で、窒素雰囲気中にて1時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて交流磁気特性を評価した。
評価項目は、測定の最大印加磁場が80A/mのときの最大磁束密度B80、および最大磁束密度1.3Tにおける鉄損である。なお測定周波数は50Hzである。結果を表17および表18に示す。
表17から明らかなように、本発明例のNo.3〜8は、320℃〜400℃のアニール温度範囲において、いずれもB80≧1.35Tの高い磁束密度が得られ、かつB80の標準偏差が0.1未満でばらつきが小さく、優れた軟磁気特性を有していることがわかる。そして、このような優れた軟磁気特性を確保できる温度の最大値Tmaxが400℃以上で、かつ該温度の最小値Tminが320℃以下、すなわちΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃の優れたアニール温度特性を有していることがわかる。
なお比較例のNo.2は、アニール温度420℃(追加実験)においてB80<1.35Tであり、ΔT≧80℃を満たしていなかった。
また、1原子%≦P≦12原子%としたNo.4〜8の本発明例では、B80の標準偏差が0.07以下となって、磁束密度のばらつきがより抑制された薄帯が得られていることがわかる。
さらに、5原子%<B<14原子%としたNo.5〜8の本発明例では、B80の標準偏差が0.05以下となって、磁束密度のばらつきがより一層抑制された薄帯が得られていることがわかる。
表18からは、本発明の組成範囲であるNo.3〜8は、320〜380℃のアニール温度において0.12W/kg以下の低鉄損を示すことがわかる。そして、このような低鉄損を確保できる温度の最大値Tmaxが380℃以上で、かつ該温度の最小値Tminが320℃以下、すなわちΔT=Tmax−Tminが少なくとも60℃の優れたアニール温度特性を有していることがわかる。
比較例のNo.9は、鉄損については上記と同様の優れた特性を有しているが、表17に示すように磁束密度B80が本発明レベルに達していない。比較例のNo.10は、400℃のアニール温度で1.3Tの磁束密度まで励磁できなかった。
Figure 2003085150
Figure 2003085150
(実施例13)
Fe0.9Ni0.1:80.4原子%、Si:2.6原子%、B:(16−Y)原子%、P:Y原子%、C:0.8原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、実施例12に示した方法により薄帯を鋳造した。本例の合金組成は、表19に示すように、Yを0,0.05(以上比較例)、0.5,1.3,3.5,5.8,8.2,9.6,11.7(以上本発明例)、13.8(比較例)とした。
鋳造した薄帯を切断して、360℃で、窒素雰囲気中にて1時間、磁場中でアニールした。その後、180°曲げ試験によりεを測定し、SST(単板磁気測定器)を用いて鉄損を測定した。結果を表19に示す。
本発明例No.13〜No.19は、いずれもε≧0.015であり、顕著な脆性改善効果が得られ、鉄損も0.12W/kg以下の優れた特性を示した。比較例No.11は、ε≧0.015であるが鉄損が劣り、比較例No.20はε<0.015で脆性改善効果が得られない。
Figure 2003085150
(実施例14)
Fe1−XNi:80.4原子%、Si:2.6原子%、B:12.4原子%、P:3.4原子%、C:1原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、表20に示すように、X=0(比較例)、0.05,0.08,0.14,0.18(以上本発明例)、0.24(比較例)とした。これら合金から実施例12に示した方法で薄帯を鋳造し、アニール温度360℃で実施例12と同様にアニールし、実施例13と同様にεおよび鉄損を測定した。結果を表20に示す。
表20から判るように、本発明例No.22〜No.25はε≧0.015でかつ鉄損≦0.12W/kgの優れた特性を有する。X<0.05の比較例No.21はε<0.015であり、X>0.2の比較例26は本発明例に優る改善効果が認められない。
Figure 2003085150
(実施例15)
Fe0.85Ni0.15:80.6原子%、Si:Z原子%、B:(15.1−Z)原子%、P:3.3原子%、C:0.8原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、実施例12に示した方法で薄帯を鋳造した。本例の合金組成では、B:15.1原子%をSi:Z原子%で置換し、表21に示すように、Zを1.8(比較例)、2.3,2.8,3.5(以上本発明例)、4.3(比較例)とした。
これら合金から実施例12に示した方法で薄帯を鋳造し、アニール温度360℃で実施例12と同様にアニールし、実施例13と同様にεおよび鉄損を測定した。
結果を表21に示す。本発明例No.28〜No.30はε≧0.015でかつ鉄損≦0.12W/kgの優れた特性を有する。比較例No.27およびNo.31はε<0.015である。
Figure 2003085150
(実施例16)
Fe0.9Ni0.1,B,Cの組成を変化させ、Si:2.4原子%、P:3.3原子%、およびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含む組成の合金を使用し、実施例12に示した方法で薄帯を鋳造した。
アニール温度340℃で実施例12と同様にアニールし、実施例13と同様にεおよび鉄損を測定した。
結果を表22に示す。本発明例No.33〜No.36はε≧0.015でかつ鉄損≦0.12W/kgの優れた特性を有する。比較例No.32およびNo.37はε<0.015であり、No.32では鉄損も劣る。
Figure 2003085150
(実施例17)
Fe80.2Si2.716−X0.9の組成(B+P=16原子%)でXを変化させ、Mn,Sなどの不純物を0.2原子%含むFe基非晶質合金薄帯を単ロール法により鋳造した。単ロール法では、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×75mmの矩形状スロットノズルを通して、合金の溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。この鋳造によって、厚さ約25μm、幅75mmの薄帯を得ることができた。
薄帯を120mmの長さに切断し、さらに幅方向に25mm長さに3分割して、それらを320℃で、窒素雰囲気中にて2時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて50Hz、最大磁束密度1.3Tにおける鉄損を測定して、最大値Wmaxおよび最小値Wminを求め、(Wmax−Wmin)/Wminを算出した。結果を表23に示す。
P添加量の少ない比較例No.1およびNo.2では、Wmaxが高く、かつ(Wmax−Wmin)/Wminが 0.4を超え、高性能トランスが得られなかった。P添加量が過大な比較例No.9は、B量が2原子%未満であり、非晶質が不安定となって鉄損が劣化する部位が存在した。
本発明例のNo.3〜No.8では、Wmaxが0.12W/kg以下で、かつ(Wmax−Wmin)/Wminが0.4以下であり、いずれも高性能トランスが得られた。
Figure 2003085150
(実施例18)
Fe,Si,B,P,C量をそれぞれ変化させ、Mn,Sなどの不純物を0.2原子%含有するFe基非晶質合金薄帯を単ロール法により鋳造した。単ロール法では、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×125mmの矩形状スロットノズルを通して、合金の溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。この鋳造によって、厚さ約25μm、幅125mmの薄帯を得ることができた。
薄帯を120mmの長さに切断し、さらに幅方向に25mm長さに5分割して、それらを320℃で、窒素雰囲気中にて2時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて50Hz、最大磁束密度1.3Tにおける鉄損を測定して、最大値Wmaxおよび最小値Wminを求め、(Wmax−Wmin)/Wminを算出した。結果を表24に示す。
Fe,Si,B,P,CおよびB+Pが本発明範囲の組成である発明例No.12〜No.22は、(Wmax−Wmin)/Wminが0.4以下となって、薄帯の幅方向に均一な鉄損特性に優れた薄帯が得られた。これに対して、B+Pが12原子%未満の比較例No.23およびNo.24では、(Wmax−Wmin)/Wminが0.4を超え鉄損分布が劣化している。B+Pが20原子%超の比較例No.10およびNo.11では、B+Pが増えてもさらなる鉄損分布の改善は認められないばかりか、磁束密度が低下した。
Figure 2003085150
(実施例19)
Fe80.4Si2.415.8−X1.2の組成(B+P=15.8原子%)でXを変化させ、Mn,Sなどの不純物を0.2原子%含むFe基非晶質合金薄帯を単ロール法により鋳造した。単ロール法では、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×25mmの矩形状スロットノズルを通して、合金の溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。この鋳造によって、厚さ約25μm、幅25mmの薄帯を得ることができた。
薄帯全長にわたってエアポケットを観察し、長さ500μm以上または幅50μm以上の粗大エアポケット密度の平均値を求めた。また薄帯を120mmの長さに切断して、320℃で、窒素雰囲気中にて1時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて最大磁束密度1.3Tにおける鉄損を測定した。結果を表25に示す。
P添加量の少ない比較例No.1およびNo.2では粗大エアポケットの密度が高く、また鉄損が0.12W/kgを超え、優れた磁気特性が得られなかった。P添加量が過大な比較例No.9は、粗大エアポケットの密度は低かったが、B量が2原子%未満であるため非晶質が不安定になって、鉄損が高く優れた磁気特性が得られなかった。
本発明例のNo.3〜No.8では、粗大エアポケットの密度が低く、かつ鉄損が0.12W/kg以下の優れた磁気特性が得られた。本発明例はいずれも、粗大エアポケット数が10個/cm以下である領域の面積率が80%以上であった。これに対して比較例では該面積率が80%未満であった。
Figure 2003085150
(実施例20)
Fe80.6Si2.615.9−X0.7の組成(B+P=15.9原子%)でXを変化させ、Mn,Sなどの不純物を0.2原子%含むFe基非晶質合金薄帯を単ロール法により鋳造した。単ロール法では、ルツボ先端に取付けた開口形状0.6mm×140mmの矩形状スロットノズルを通して、合金の溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。この鋳造による薄帯の狙い板厚は25μm、狙い板幅は140mmである。
薄帯全長にわたって幅方向板厚偏差Δtを測定した。また薄帯を120mmの長さに切断して、320℃で、窒素雰囲気中にて2時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて、50Hz最大磁束密度1.3Tにおける鉄損を測定した。結果を表26に示す。板厚は、幅20mm、鋳造方向長さ100mmの切出材について重量を測定し、密度換算により求めた。占積率は外径100mmのボビンに見掛け厚み50mmまで巻回し、巻回した薄帯の重量と見掛けの体積から求めた。
P添加量の少ない比較例No.10およびNo.11ではΔtが5μmを超え、占積率が低く、また鉄損が0.12W/kgを超え、優れた磁気特性が得られなかった。P添加量が過大な比較例No.18は、板厚偏差Δtは減少しているが、B量が2原子%未満であるため非晶質が不安定になって鉄損が劣化した。
本発明のNo.12〜No.17では、占積率80%以上が得られ、かつ鉄損が0.12W/kg以下の優れた磁気特性が得られた。
Figure 2003085150
(実施例21)
Fe,Si,B,P,C量をそれぞれ変化させ、Mn,Sなどの不純物を0.2原子%含むFe基非晶質合金薄帯を、実施例20と同様にして鋳造した。薄帯の板厚は25μm、板幅は140mmであった。実施例19と同様に、薄帯全長にわたってエアポケットを観察し、長さ500μm以上または幅50μm以上の粗大エアポケット密度の平均値を求めた。また実施例20と同様に、薄帯全長にわたって幅方向板厚偏差Δtを測定し、アニールを行い、鉄損を測定した。結果を表27に示す。
Fe,Si,B,P,CおよびB+Pが本発明範囲の組成である発明例No.21〜No.31は、粗大エアポケット密度が10個/cm以下である領域の面積率がいずれも80%以上であった。また板厚偏差Δtが低減し、鉄損特性に優れた薄帯が得られた。
これに対して、B+Pが12原子%未満の比較例No.32およびNo.33は、粗大エアポケット密度が10個/cmを超え、鉄損が劣化している。B+Pが20原子%超の比較例No.19およびNo.20は、粗大エアポケット密度が10個/cm以下である領域の面積率は80%以上であったが、部分的に該密度が10個/cm超の領域が存在していた。これら比較例No.19およびNo.20では、B+Pが増してもさらなる改善は認められないばかりか、磁束密度が低下した。
Figure 2003085150
(実施例22)
所定組成の合金を石英ルツボ中で高周波溶解し、単ロール法により薄帯を鋳造した。合金組成は、電解鉄、フェロボロン、金属シリコン、グラファイト、フェロリンの配合によって変えた。単ロール法では、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×25mmの矩形状スロットノズルを通して、合金の溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。
本例ではFe,Pをほぼ一定とし、Siが分析限界未満で、BとCを変えた表28に示す組成の薄帯を鋳造した。この鋳造によって、厚さ約26μm、幅25mmの薄帯を得ることができた。
鋳造した薄帯を120mmの長さに切断して、320℃、340℃、360℃、380℃、400℃、420℃(一部試料)の各温度で、窒素雰囲気中にて1時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて交流磁気特性を評価し、また180°曲げ試験により脆化特性を評価した。
評価項目は、測定周波数50Hzで最大印加磁場が80A/mのときの最大磁束密度B80、該B80の標準偏差、最大磁束密度1.3Tにおける鉄損、前記アニール温度幅ΔTおよびΔT、薄帯破壊ひずみεである。結果を表28に示す。
表28中のB80および鉄損は、それぞれ表示したアニール温度範囲内の最小値〜最大値、B80の標準偏差は該温度幅内の値である。アニール温度幅ΔTはB80≧1.35Tで標準偏差が0.1未満となる温度幅、ΔTは鉄損≦0.12W/kgとなる温度幅であり、一部の試料については420℃アニール材の測定結果を付加して求めた。薄帯破壊ひずみεは、B80≧1.35Tでかつ鉄損≦0.12W/kgを満たすアニール温度で得られた最小値である。
No.2〜No.6の本発明例の結果からわかるように、P添加効果によって、Fe,B,Cが本発明範囲内のものは、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られている。さらに、ε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。比較例のNo.1は、Cが低くB80<1.35T、ΔT≦20℃、ΔT≦20℃であった。No.7は、Cが8原子%を超えてもそれ以上の向上は認められないことを示している。
Figure 2003085150
(実施例23)
Siを、不可避的に含まれる量を超え2原子%未満添加した組成について、実施例22と同様にして薄帯を鋳造し、同様に評価した結果を表29に示す。薄帯の板厚は25μmである。No.8〜No.11の本発明例は、いずれもB80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらに、ε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。
Figure 2003085150
(実施例24)
Fe,Siをほぼ一定とし、B,C,Pを変えた表30に示す組成について、実施例22と同様にして薄帯を鋳造し、同様に評価した結果を表30に示す。薄帯の板厚は26μmである。
P無添加の比較例No.12では、B80の標準偏差が0.1以上となって、磁束密度のばらつきが大きくなる。Pを本発明の範囲よりも多く含有させたNo.19では、B80が1.35T未満になってしまう。
本発明組成のNo.13〜No.18では、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらに、ε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。特に、Pが1原子%以上12原子%以下で、Bが5原子%超14原子%未満のNo.14〜No.18では、B80の標準偏差が0.04未満となってB80のばらつきがより一層抑制されている。
Figure 2003085150
(実施例25)
Si,C,Pをほぼ一定とし、Fe,Bを変えた表31に示す組成について、実施例22と同様にして薄帯を鋳造し、同様に評価した結果を表31に示す。薄帯の板厚は24μmである。
Feが86原子%超の比較例No.20では、もはや安定的に非晶質薄帯を鋳造することができなかったので、B80が低く鉄損が高かった。曲げ試験では容易に割れてしまいεを求めることができなかった。Feが78原子%未満の比較例No.27では、ΔT<80℃であった。
本発明組成のNo.21〜No.26では、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらに、ε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。特に、Feが80原子%超82原子%以下のNo.23およびNo.24では、B80の標準偏差が0.04未満となってB80のばらつきがより一層抑制されている。またFeが82原子%以下のNo.23〜No.26では、εが特に高く耐脆化特性がより向上している。
Figure 2003085150
(実施例26)
所定組成の合金を石英ルツボ中で高周波溶解し、単ロール法により薄帯を鋳造した。合金組成は、電解鉄、フェロボロン、金属シリコン、グラファイト、およびフェロリン等の配合によって変えた。単ロール法では、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×25mmの矩形状スロットノズルを通して、合金の溶湯をCu合金製冷却ロール上に噴出した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。
本例ではFe,Si,Cをほぼ一定とし、BおよびMとしてのSを変えた表32に示す組成の薄帯を鋳造した。この鋳造によって、厚さ約24μm、幅25mmの薄帯を得ることができた。いずれもMn等の不純物を0.2原子%含む。
鋳造した薄帯を120mmの長さに切断して、320℃、340℃、360℃、380℃、400℃、420℃(一部試料)の各温度で、窒素雰囲気中にて1時間、磁場中でアニールした。その後、SST(単板磁気測定器)を用いて交流磁気特性を評価し、また180°曲げ試験により脆化特性を評価した。
評価項目は、測定周波数50Hzで最大印加磁場が80A/mのときの最大磁束密度B80、該B80の標準偏差、最大磁束密度1.3Tにおける鉄損、前記アニール温度幅ΔTおよびT、薄帯破壊ひずみεである。結果を表32に示す。
表32中のB80および鉄損は、それぞれ表示したアニール温度範囲内の最小値〜最大値、B80の標準偏差は該温度幅内の値である。アニール温度幅ΔTはB80≧1.35Tで標準偏差が0.1未満となる温度幅、ΔTは鉄損≦0.12W/kgとなる温度幅であり、一部の試料については420℃アニール材の測定結果を付加して求めた。薄帯破壊ひずみεは、B80≧1.35Tでかつ鉄損≦0.12W/kgを満たすアニール温度で得られた最小値である。
S無添加の比較例No.1では、B80の標準偏差が0.1以上となって、ばらつきが大きくなる。Sを本発明範囲を超えて含有させた比較例No.8では、B80が1.35T未満になってしまう。
No.2〜No.7の本発明組成範囲内のものでは、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらにε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。特にSが1原子%以上12原子%以下でBが5原子%超14原子%未満のNo.3〜No.7では、B80の標準偏差が0.04未満となって、B80のばらつきがより一層抑制されている。
Figure 2003085150
(実施例27)
Fe,Si,Cをほぼ一定とし、BおよびMを変えた表33に示す組成の薄帯を実施例26と同様にして鋳造した。いずれもMn等の不純物を0.2原子%含む。薄帯の板厚は25μmである。実施例と同様に評価した結果を表33に示す。
MとしてAs,Bi,S,Se,Teを本発明範囲内において組合せて添加したNo.9〜No.15の本発明例は、いずれも、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらにε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。
Figure 2003085150
(実施例28)
Fe,Si,Cをほぼ一定とし、BおよびP+Mを変えた表34に示す組成の薄帯を実施例26と同様にして鋳造した。いずれもMn等の不純物を0.2原子%含む。薄帯の板厚は25μmである。実施例と同様に評価した結果を表34に示す。
P+Mが0.2原子%未満の比較例No.16では、B80の標準偏差が0.1以上となって、磁束密度のばらつきが大きくなる。またP+Mが12原子%超の比較例No.23では、B80が1.35T未満になってしまう。
本発明範囲のNo.17〜No.22では、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらに、ε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。特に、P+Mが1原子%以上12原子%以下で、Bが5原子%超14原子%未満のNo.17〜No.22では、B80の標準偏差が0.04未満となってB80のばらつきがより一層抑制されている。
Figure 2003085150
(実施例29)
Fe,C,Mをほぼ一定とし、B,Siを変えた表35に示す組成の薄帯を実施例26と同様にして鋳造した。いずれもMn等の不純物を0.2原子%含む。薄帯の板厚は24μmである。前記実施例と同様に評価した結果を表35に示す。
Siが本発明範囲から外れる比較例No.24およびNo.28では、B80の標準偏差が0.1以上となって、ばらつきが大きくなる。
本発明組成のNo.25〜No.27では、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらにε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。
Figure 2003085150
(実施例30)
M,Siをほぼ一定とし、Fe,B,Cを変えた表36に示す組成の薄帯を実施例26と同様にして鋳造した。いずれもMn等の不純物を0.2原子%含む。薄帯の板厚は26μmである。実施例と同様に評価した結果を表36に示す。
Feが86原子%超の比較例No.29では、もはや安定的に非晶質薄帯を鋳造することができなかったので、B80が低く鉄損が高かった。曲げ試験では容易に割れてしまいεを求めることができなかった。Feが78原子%未満の比較例No.35では、ΔT<80℃であった。
本発明組成のNo.30〜No.34では、B80≧1.35T、B80の標準偏差0.1未満、鉄損≦0.12W/kgの優れた軟磁気特性が、ΔT≧80℃、ΔT≧60℃の幅広いアニール温度範囲で得られ、さらに、ε≧0.01の優れた耐脆化特性が得られている。特に、Feが80原子%超82原子%以下のNo.32およびNo.33では、B80の標準偏差が0.04未満となってB80のばらつきがより一層抑制されている。
Figure 2003085150
(実施例31)
原子%でFe80.2Si2.616−ZおよびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含有する組成の合金に対し、質量%でX%のAlを含有させ、XおよびZを表37のように変化させた組成の合金を使用して、単ロール法により薄帯を鋳造した。合金素材の鉄源にはAl脱酸した通常の鋼を使用した。
鉄源と、フェロボロン、金属シリコン、グラファイト、フェロリン、金属アルミニウムにより成分調整し、石英ルツボ中で高周波溶解した溶湯を、ルツボ先端に取り付けた0.4mm×25mmの矩形状スロットノズルを通してCu合金製冷却ロール上に噴出させて鋳造した。冷却ロールの直径は580mm、回転数は800rpmである。鋳造された薄帯の板厚は25μm、板幅は25mmである。
薄帯を360℃で1時間、窒素雰囲気中で磁場中アニールした後、25mm幅の単板試験片で上記条件にて鉄損を測定した結果を表37に示す。
Pを添加した本発明例No.1〜5は、Alを含有していても、いずれも鉄損が0.12W/kg以下の優れた特性を有し、Alによる結晶化が顕著に抑制されていることがわかる。Pを添加してない比較例No.6〜10は、いずれも鉄損が高い。
Figure 2003085150
(実施例32)
原子%でFe80.4Si2.516−ZおよびMn,S等の不純物を合計0.2原子%含有する組成の合金に対し、質量%でY%のTiを含有させ、YおよびZを表38のように変化させた組成の合金を使用して、実施例31と同様に薄帯を鋳造し、同様にアニールし、同様に鉄損を測定した結果を表37に示す。なお合金素材の鉄源にはSi脱酸した通常の鋼を使用し、フェロボロン、金属シリコン、グラファイト、フェロリン、金属チタンにより成分調整した。薄帯の板厚は25μmである。
Pを添加した本発明例No.11〜15は、Tiを含有していても、いずれも、鉄損が0.12W/kg以下の優れた特性を有し、Tiによる結晶化が顕著に抑制されていることがわかる。Pを添加してない比較例No.16〜20は、いずれも鉄損が高い。
Figure 2003085150
(実施例33)
Siが分析限界以下の表39に示す組成の薄帯を実施例31と同様に鋳造し、同様にアニールし、同様に鉄損を測定した結果を表39に示す。なお合金素材の鉄源には電解鉄を使用し、フェロボロン、グラファイト、フェロリン、金属アルミニウム、金属チタンにより成分調整した。薄帯の板厚は24μmである。
Pを添加した本発明例No.21およびNo.23は、AlまたはTiを含有していても、いずれも、鉄損が0.12W/kg以下の優れた特性を有し、AlやTiによる結晶化が顕著に抑制されていることがわかる。Pを添加してない比較例No.22およびNo.24は、いずれも鉄損が高い。
Figure 2003085150
(実施例34)
Fe,Si,Cをほぼ一定にし、M(P,As,Bi,S,Se,Teの組合せ)およびB量を変化させ、Mn,S等の不純物を合計0.2原子%含有する表40に示す組成の薄帯を実施例31と同様に鋳造し、同様にアニールし、同様に鉄損を測定した結果を表40に示す。なお合金素材の鉄源にはAl脱酸またはSi脱酸した通常の鋼を使用し、フェロボロン、金属シリコン、グラファイト、金属アルミニウム、金属チタン、およびM源により成分調整した。薄帯の板厚は24μmである。
Mを添加した本発明例No.25〜31は、AlまたはTiを含有していても、いずれも、鉄損が0.12W/kg以下の優れた特性を有し、AlやTiによる結晶化が顕著に抑制されていることがわかる。Mを添加してない比較例No.32およびNo.33は、いずれも鉄損が高い。
Figure 2003085150
(実施例35)
Fe,C,Mをほぼ一定とし、BおよびSi量を変化させ、Mn,S等の不純物を合計0.2原子%含有する表41に示す組成の薄帯を実施例31と同様に鋳造し、同様にアニールし、同様に鉄損を測定した結果を表41に示す。なお合金素材の鉄源にはAl脱酸した通常の鋼を使用し、フェロボロン、金属シリコン、グラファイト、金属アルミニウム、金属チタンおよびM源により成分調整した。薄帯の板厚は25μmである。
Mを添加した本発明例No.34〜36は、AlまたはTiを含有していても、いずれも、鉄損が0.12W/kg以下の優れた特性を有し、AlやTiによる結晶化が顕著に抑制されていることがわかる。
Figure 2003085150
(実施例36)
M,Siをほぼ一定とし、Fe,B,Cを変化させ、Mn,S等の不純物を合計0.2原子%含有する表42に示す組成の薄帯を実施例31と同様に鋳造し、同様にアニールし、同様に鉄損を測定した結果を表42に示す。なお合金素材の鉄源にはAl脱酸またはSi脱酸した通常の鋼を使用し、フェロボロン、金属シリコン、グラファイト、金属アルミニウム、金属チタンおよびM源により成分調整した。薄帯の板厚は25μmである。
Mを添加した本発明例No.37〜41は、AlまたはTiを含有していても、いずれも、鉄損が0.12W/kg以下の優れた特性を有し、AlやTiによる結晶化が顕著に抑制されていることがわかる。Mを添加してない比較例No.42およびNo.43は、いずれも鉄損が高い。
Figure 2003085150
(実施例37)
通常の製鋼プロセスで精錬された鋼を鉄源として、母合金を製造した。鉄源にはMn,Si,S,P等の不純物が0.3原子%程度含まれていた。B源にはフェロボロン、Si源には99.9質量%のメタリックシリコン、P源にはフェロリン、C源にはメタリックカーボンを使用した。これら原料を所定量配合して高周波誘導溶解炉で加熱し溶解して、直径10mmの石英管で吸い上げ、棒状の母合金を製造した。得られた母合金の成分組成を表43に示す。各母合金には、Mn,S等の不純物が合計0.2原子%程度含まれていた。
表43に示す各母合金を石英ルツボ中で高周波溶解し、ルツボ先端に取付けた開口形状0.4mm×25mmの矩形状スロットノズルを通して冷却ロール上に噴出し、単ロール法により薄帯を鋳造した。冷却ロールの材質はCu−0.5質量%Be、ロール外径は580mm、ロール表面速度は24.3m/s、ノズルとロール表面とのギャップは200μmである。鋳造された薄帯の成分は、表43の母合金とほぼ変わらないものであった。
得られた各薄帯について、長手方向中央部よりサンプリングし、窒素雰囲気中にて360℃で1時間、50エルステッドの磁場中でアニールした後、磁束密度および鉄損を測定し、曲げ試験により脆化特性を評価した。
表44に評価結果を示す。磁束密度は、測定の最大印加磁場が80A/mのときの最大磁束密度B80である。鉄損は、周波数50Hz、最大磁束密度1.3Tにおける値である。脆化特性は180°曲げ試験において、破壊したときの曲げ直径である。
全てのチャージで問題なく薄帯を鋳造できたが、比較例のNo.11およびNo.12では薄帯の性状が多少不良であった。
本発明例のNo.1〜No.9は、いずれも全ての特性で良好な値であった。しかし本発明の成分範囲を外れた比較例No.10〜No.16では、十分な非晶質となっていなかったり、Fe量の不足等から、磁気的特性と機械的特性の一方または双方で良好な特性が得られなかったりした。
Figure 2003085150
Figure 2003085150
産業上の利用可能性
本発明は、電力用トランス、高周波トランスなどの鉄心材に用いられるFe基非晶質合金薄帯において、従来は好ましくないとされていたPを積極的に添加し、その添加量を適正にすることで、薄帯の非晶質母相の特性をより向上させるとともに、表面に形成される極薄酸化層を含めた総合的な軟磁気特性に優れた薄帯及びこの薄帯を用いて製造した鉄心を提供することができる。また、本発明は上記Fe基非晶質合金薄帯を製造するために用いる急冷凝固薄帯製造用母合金を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、比較例のGDSプロファイルを示す図である。
図2は、本発明例のGDSプロファイルを示す図である。

Claims (54)

  1. 移動する冷却基板上に、スロット状の開口部を有する注湯ノズルを介して溶融金属を噴出させ、急冷凝固させて得られる金属薄帯であって、0.2原子%以上12原子%以下のPを含有する非晶質母相の少なくとも片側の薄帯表面に、厚みが5nm以上20nm以下の極薄酸化層を有することを特徴とするFe基非晶質合金薄帯。
  2. 前記極薄酸化層と前記非晶質母相の間にPおよびSの少なくとも1種を含む偏析層を有することを特徴とする請求項1記載のFe基非晶質合金薄帯。
  3. 前記極薄酸化層が2層構造を有することを特徴とする請求項1記載のFe基非晶質合金薄帯。
  4. 前記薄帯表面の少なくとも冷却基板に接触しない側に極薄酸化層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  5. 前記偏析層の厚みが0.2nm以上であることを特徴とする請求項2または4記載のFe基非晶質合金薄帯。
  6. 前記2層構造を有する極薄酸化層の2つの層がともに非晶質酸化物層であることを特徴とする請求項3または4記載のFe基非晶質合金薄帯。
  7. 前記2層構造を有する極薄酸化層の、薄帯最表面にある第1酸化層が結晶質酸化物と非晶質酸化物の混合層であり、該第1酸化層と非晶質母相の間にある第2酸化層が非晶質酸化物層であることを特徴とする請求項3または4記載のFe基非晶質合金薄帯。
  8. 前記2層構造を有する極薄酸化層の、薄帯最表面にある第1酸化層が結晶質酸化物層であり、該第1酸化層と非晶質母相の間にある第2酸化層が非晶質酸化物層であることを特徴とする請求項3または4記載のFe基非晶質合金薄帯。
  9. 前記極薄酸化層がFe系、Si系、B系、あるいはそれらの複合体から構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  10. 前記極薄酸化層を構成する結晶質酸化物がスピネル構造を持つFe系酸化物であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  11. 前記2層構造を有する極薄酸化層の全体の厚みが5nm以上20nm以下であり、前記第1酸化層の厚みが3nm以上15nm以下、前記第2酸化層の厚みが2nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項3,4、または6〜10のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  12. 前記第2酸化層に、P,As,Sb,Bi,S,Se,Teの少なくとも1種以上の元素が偏析していることを特徴とする請求項3,4、または6〜10のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  13. 前記薄帯の板厚が10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  14. Fe,Co,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe1−XCo:78%以上86%以下(0.05≦X≦0.4)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以下4%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  15. Fe1−XCoの組成が、原子%にて、Fe1−XCo:80%超82%以下(0.05≦X≦0.4)であることを特徴とする請求項14記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  16. アニール後のB80が1.37T以上で、かつ該B80の標準偏差が0.1未満の軟磁気特性を有するとともに、該軟磁気特性を確保するアニールにおけるアニール温度の最大値をTmax、最小値をTminとしたとき、ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃のアニール温度特性を有することを特徴とする請求項14または15に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  17. Fe,Ni,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe1−YNi:78%以上86%以下(0.05≦Y≦0.2)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  18. Fe1−YNiの組成が、原子%にて、Fe1−YNi:80%超82%以下(0.05≦Y≦0.2)であることを特徴とする請求項17記載のFe基非晶質合金薄帯。
  19. アニール後のB80が1.35T以上で、かつ該B80の標準偏差が0.1未満の軟磁気特性を有するとともに、該軟磁気特性を確保するアニールにおけるアニール温度の最大値をTmax、最小値をTminとしたとき、ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃のアニール温度特性を有し、さらに、アニール後の薄帯の180°曲げ試験において、薄帯の板厚をt、破壊したときの曲げ直径をDとするとき、薄帯破壊ひずみε=t/(D−t)が0.015以上の優れた耐脆化特性を有することを特徴とする請求項17または18に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  20. 移動する冷却基板の上にスロット状開口部を有する注湯ノズルを介して溶融合金を噴出させ、急冷凝固させて得られ、Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯であって、組成が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、さらに薄帯幅方向の各部位におけるアニール後の鉄損の最大値をWmax、最小値をWminとした場合、(Wmax−Wmin)/Wminが0.4以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  21. 移動する冷却基板の上にスロット状開口部を有する注湯ノズルを介して溶融合金を噴出させ、急冷凝固させて得られ、Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯であって、組成が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、さらに薄帯が冷却基板に接触する面に不可避的に形成される長さ500μm以上または幅50μm以上の粗大エアポケットの個数が10個/cm以下である領域が面積率で80%以上の良好な薄帯形状性を有していることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  22. 移動する冷却基板の上にスロット状開口部を有する注湯ノズルを介して溶融合金を噴出させ、急冷凝固させて得られ、Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成されるFe基非晶質合金薄帯であって、組成が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、さらに薄帯幅方向の任意の位置における板厚の最大値をtmax、最小値をtminとした場合、Δt=tmax−tminが5μm以下の良好な薄帯形状性を有していることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  23. 前記Δtが3μm以下であることを特徴とする請求項22記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  24. Fe,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  25. Fe,Si,B,C,Pの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上2%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  26. Pの組成が、原子%にて、P:1%以上12%以下であることを特徴とする請求項14〜25のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  27. As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を記号Mで表し、Fe,Si,B,C,Mの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、M:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  28. As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上を記号Mで表し、Fe,Si,B,C,P+Mの主要元素および不可避的不純物で構成される非晶質合金薄帯であって、組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P+M:0.2%以上12%以下であることを特徴とする交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  29. Mの組成が、原子%にて、M:1%以上12%以下であることを特徴とする請求項27記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  30. P+Mの組成が、原子%にて、P+M:1%以上12%以下であることを特徴とする請求項28記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  31. アニール後のB80が1.35T以上で、かつB80の標準偏差が0.1未満の軟磁気特性を有するとともに、該軟磁気特性を確保するアニールにおける最高温度をTmax、最低温度をTminとしたときのアニール温度幅ΔT=Tmax−Tminが少なくとも80℃であることを特徴とする請求項24,25,27〜30のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  32. アニール後の鉄損が0.12W/kg以下の鉄損特性を有するとともに、該鉄損特性を確保するアニールにおけるアニール温度の最大値をTmax、最小値をTminとしたとき、ΔT=Tmax−Tminが少なくとも60℃のアニール温度特性を有することを特徴とする請求項14〜19,24,25,27〜30記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  33. アニール後の鉄損が0.12W/kg以下の鉄損特性を有することを特徴とする請求項20〜23のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  34. アニール後の薄帯の180°曲げ試験において、薄帯の板厚をt、破壊したときの曲げ直径をDとするとき、薄帯破壊ひずみε=t/(D−t)が0.01以上の優れた耐脆化特性を有することを特徴とする請求項14〜16,24,25,27〜30のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  35. Bの組成が、原子%にて、B:5%超14%未満であることを特徴とする請求項14〜34のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  36. Feの組成が、原子%にて、Fe:80%超82%以下、であることを特徴とする請求項20〜35のいずれか1項に記載の交流における軟磁気特性に優れたFe基非晶質合金薄帯。
  37. Fe,B,C、および、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上からなる主要元素と、O,NまたはCとの析出物形成元素を含む不純物元素とで構成され、該析出物形成元素の含有量が、質量%にて合計2.5%以下の範囲であることを特徴とするFe基非晶質合金薄帯。
  38. Fe,Si,B,C、および、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上からなる主要元素と、O,NまたはCとの析出物形成元素を含む不純物元素とで構成され、該析出物形成元素の含有量が、質量%にて合計2.5%以下の範囲であることを特徴とするFe基非晶質合金薄帯。
  39. 前記析出物形成元素としてAlとTiの一方または双方を含み、その含有量が質量%にて、Al:0.01%以上1%以下、Ti:0.01%以上1.5%以下であることを特徴とする請求項37または38記載のFe基非晶質合金薄帯。
  40. 前記主要元素の組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上:合計0.2%以上12%以下であることを特徴とする請求項37または39記載のFe基非晶質合金薄帯。
  41. 前記主要元素の組成が、原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上:合計0.2%以上12%以下であることを特徴とする請求項38または39記載のFe基非晶質合金薄帯。
  42. Alの含有量が、質量%にて、0.01%以上0.2%以下であることを特徴とする請求項37〜41のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  43. Tiの含有量が、質量%にて、0.01%以上0.4%以下であることを特徴とする請求項37〜42のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  44. P,As,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上の含有量が、原子%にて、1%以上12%以下であることを特徴とする請求項37〜43のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯。
  45. 請求項14〜44のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯をトロイダルに巻回し、アニールしたことを特徴とする交流における軟磁気特性に優れた巻鉄心。
  46. 請求項14〜44のいずれか1項に記載のFe基非晶質合金薄帯を所定形状に打ち抜き、積層し、アニールしたことを特徴とする交流における軟磁気特性に優れた積鉄心。
  47. 合金元素が原子%にて、Fe:77%以上86%以下、Si:1.5%以上4.5%以下、B:5%以上19%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上16%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
  48. 合金元素が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:2%以上15%以下、C:0.02%以上4%以下、P:1%以上14%以下で、かつB+P:12%以上20%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
  49. 合金元素が原子%にて、Fe:78%以上86%以下、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
  50. 合金元素が原子%にてFe:78%以上86%以下、Si:0.02%以上2%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上8%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
  51. 合金元素が原子%にてFe1−XCo:78%以上86%以下(0.05≦X≦0.4)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
  52. 合金元素が原子%にてFe1−YNi:78%以上86%以下(0.05≦Y≦0.2)、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、P:0.2%以上12%以下であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
  53. 合金元素が原子%にてFe:78%以上86%以下、Si:2%以上4%未満、B:5%超16%以下、C:0.02%以上4%以下、M:0.2%以上12%以下ただし、MはAs,Bi,S,Se,Teの1種または2種以上、であり、残部が不可避不純物であることを特徴とする急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
  54. AlとTiの一方または双方を含み、その含有量が質量%にて、Al:0.01%以上1%以下、Ti:0.01%以上1.5%以下であることを特徴とする請求項47〜53のいずれか1項に記載の安価な急冷凝固薄帯製造用鉄系母合金。
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