JPH09202951A - 軟磁気特性に優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモルファス合金 - Google Patents
軟磁気特性に優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモルファス合金Info
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- JPH09202951A JPH09202951A JP1161996A JP1161996A JPH09202951A JP H09202951 A JPH09202951 A JP H09202951A JP 1161996 A JP1161996 A JP 1161996A JP 1161996 A JP1161996 A JP 1161996A JP H09202951 A JPH09202951 A JP H09202951A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 トランス用のFe−B−Si系アモルファス合金
において、製造コストの上で有利な低B域であっても、
高B含有Fe−B−Si系アモルファス合金と同程度の磁気
特性を有し、かつ加工性にも優れるFe−B−Si系アモル
ファス合金を提供する。 【解決手段】 化学式:Fea −Bb −Sic −Pd −Mne ただし、a〜eはat%でa+b+c+d+e=100 でか
つ、 76≦a≦80、 6≦b≦10、 8≦c≦17、 0.02≦d≦2、 0.2≦e≦1.0 で示される組成とする。
において、製造コストの上で有利な低B域であっても、
高B含有Fe−B−Si系アモルファス合金と同程度の磁気
特性を有し、かつ加工性にも優れるFe−B−Si系アモル
ファス合金を提供する。 【解決手段】 化学式:Fea −Bb −Sic −Pd −Mne ただし、a〜eはat%でa+b+c+d+e=100 でか
つ、 76≦a≦80、 6≦b≦10、 8≦c≦17、 0.02≦d≦2、 0.2≦e≦1.0 で示される組成とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、Fe−B−Si系ア
モルファス合金に関し、特にその軟磁気特性を、加工性
と共に改善しようとするものである。
モルファス合金に関し、特にその軟磁気特性を、加工性
と共に改善しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】軟磁気特性に優れたアモルファス合金と
しては、種々のFe−B−Si系合金組成が知られている。
例えば、米国特許第 4300950号明細書には、Fe:80〜84
at%、B:12〜15at%およびSi:1〜8at%の組成にな
るアモルファス合金が開示されている。また特開昭57−
116750号公報には、Fe:75〜78.5at%、B:12〜21at
%、Si:4〜10.5at%組成のアモルファス合金が開示さ
れている。このように、従来、Fe−B−Si系アモルファ
ス合金において軟磁気特性に優れるものは、いずれもB
を10at%以上含有するものであった。
しては、種々のFe−B−Si系合金組成が知られている。
例えば、米国特許第 4300950号明細書には、Fe:80〜84
at%、B:12〜15at%およびSi:1〜8at%の組成にな
るアモルファス合金が開示されている。また特開昭57−
116750号公報には、Fe:75〜78.5at%、B:12〜21at
%、Si:4〜10.5at%組成のアモルファス合金が開示さ
れている。このように、従来、Fe−B−Si系アモルファ
ス合金において軟磁気特性に優れるものは、いずれもB
を10at%以上含有するものであった。
【0003】これに対し、B含有量が10at%以下のFe−
B−Si系アモルファス合金については、特開昭57−1459
64号公報および特開昭58-42751号公報に、上記3成分の
他にCを経年変化の安定剤および非晶質形成能の改善剤
として添加したものが、また特開昭61−136660号公報に
は、表面処理性の改善剤としてMnを添加したものが、さ
らに特開昭62−192561号公報には、加工性の改善剤とし
てCr, Mo, Ta, Mn, Ni, V, Nb, Wのうちから選んだ一
種または二種以上を添加したものが、またさらに特開昭
58−210154号公報には、鋳造性の改善剤としてCrを添加
したものが、それぞれ提案されている。
B−Si系アモルファス合金については、特開昭57−1459
64号公報および特開昭58-42751号公報に、上記3成分の
他にCを経年変化の安定剤および非晶質形成能の改善剤
として添加したものが、また特開昭61−136660号公報に
は、表面処理性の改善剤としてMnを添加したものが、さ
らに特開昭62−192561号公報には、加工性の改善剤とし
てCr, Mo, Ta, Mn, Ni, V, Nb, Wのうちから選んだ一
種または二種以上を添加したものが、またさらに特開昭
58−210154号公報には、鋳造性の改善剤としてCrを添加
したものが、それぞれ提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来報
告されているB含有量が10at%以下のFe−B−Si系アモ
ルファス合金の磁気特性は、W13/50 =0.2 〜0.3 W/k
g,B8 =1.4 〜1.45T程度であって、B含有量が10at
%以上の場合のW13/50 =0.1 W/kg, B8 =1.53T程度
という特性値に比べると、鉄損および磁束密度とも劣っ
ていた。この理由は、Bはこの種合金の非晶質化にとっ
て重要な元素であり、B量が高いほど合金のアモルファ
ス形成能が強く、また熱的安定性も改善されるからであ
る。このように、既知合金系の低B域における磁気特性
は、実用上十分な水準とはいい難かった。また、Fe−B
−Si系アモルファス合金は、一般に加工性が悪く、圧延
や曲げ加工等の加工処理が適用し難いところにも問題を
残していた。
告されているB含有量が10at%以下のFe−B−Si系アモ
ルファス合金の磁気特性は、W13/50 =0.2 〜0.3 W/k
g,B8 =1.4 〜1.45T程度であって、B含有量が10at
%以上の場合のW13/50 =0.1 W/kg, B8 =1.53T程度
という特性値に比べると、鉄損および磁束密度とも劣っ
ていた。この理由は、Bはこの種合金の非晶質化にとっ
て重要な元素であり、B量が高いほど合金のアモルファ
ス形成能が強く、また熱的安定性も改善されるからであ
る。このように、既知合金系の低B域における磁気特性
は、実用上十分な水準とはいい難かった。また、Fe−B
−Si系アモルファス合金は、一般に加工性が悪く、圧延
や曲げ加工等の加工処理が適用し難いところにも問題を
残していた。
【0005】この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、製造コストの上で有利な低B域であっても、軟
磁気特性に優れ、かつ加工性にも優れたトランス用のFe
−B−Si系アモルファス合金を提案することを目的とす
る。
もので、製造コストの上で有利な低B域であっても、軟
磁気特性に優れ、かつ加工性にも優れたトランス用のFe
−B−Si系アモルファス合金を提案することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、 化学式:Fea −Bb −Sic −Pd −Mne ただし、a〜eはat%でa+b+c+d+e=100 でか
つ、 76≦a≦80、 6≦b≦10、 8≦c≦17、 0.02≦d≦2、 0.2≦e≦1.0 で示される組成になることを特徴とする、軟磁気特性に
優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモル
ファス合金である。
つ、 76≦a≦80、 6≦b≦10、 8≦c≦17、 0.02≦d≦2、 0.2≦e≦1.0 で示される組成になることを特徴とする、軟磁気特性に
優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモル
ファス合金である。
【0007】
【発明の実施の形態】図1(a), (b)にそれぞれ、単ロー
ル法で作製したB量が8at%のFe78−Si14−B8 (比較
例)アモルファス合金リボンおよびFe78Si13.3B8Mn0.5
P0.2 (発明例)アモルファス合金リボンの結晶化温度
の低下量(板厚:20μm のリボンを基準とする)および
結晶化熱量の板厚依存性について調べた結果を示す。こ
こに、結晶化温度は、示差走査熱分析(以下DSCとい
う)曲線の結晶化の発熱ピークの立ち上がりの最も勾配
の大きな点における接線と結晶直前のベースラインとの
交点で定義する。また、結晶化熱量とは、アモルファス
合金が結晶化の際に吐き出す熱量のことである。
ル法で作製したB量が8at%のFe78−Si14−B8 (比較
例)アモルファス合金リボンおよびFe78Si13.3B8Mn0.5
P0.2 (発明例)アモルファス合金リボンの結晶化温度
の低下量(板厚:20μm のリボンを基準とする)および
結晶化熱量の板厚依存性について調べた結果を示す。こ
こに、結晶化温度は、示差走査熱分析(以下DSCとい
う)曲線の結晶化の発熱ピークの立ち上がりの最も勾配
の大きな点における接線と結晶直前のベースラインとの
交点で定義する。また、結晶化熱量とは、アモルファス
合金が結晶化の際に吐き出す熱量のことである。
【0008】図1に示したように、Fe78−Si14−B8 ア
モルファス合金においては、板厚の増加に伴い、結晶化
熱量は急激に低下する。また、同様に、結晶化温度も板
厚の増加に伴って低下し、その低下率は極めて大きい。
この事実は、Fe78−Si14−B8 アモルファス合金におい
ては、アモルファス状態の劣化が板厚の変化に対してよ
り敏感であることを表しており、従ってFe78−Si14−B
8 アモルファス合金の特性安定化のためには、リボン板
厚の管理が極めて重要であることを示唆している。
モルファス合金においては、板厚の増加に伴い、結晶化
熱量は急激に低下する。また、同様に、結晶化温度も板
厚の増加に伴って低下し、その低下率は極めて大きい。
この事実は、Fe78−Si14−B8 アモルファス合金におい
ては、アモルファス状態の劣化が板厚の変化に対してよ
り敏感であることを表しており、従ってFe78−Si14−B
8 アモルファス合金の特性安定化のためには、リボン板
厚の管理が極めて重要であることを示唆している。
【0009】ところが、上記のFe78−Si14−B8 アモル
ファス合金に、0.5 at%のMnおよび0.2 at%のPを複合
添加すると、図1に示したように、結晶化温度の低下量
は勿論のこと、結晶化熱量の板厚依存性が大きく改善さ
れる。この理由は、次のとおりと考えられる。すなわ
ち、一般にアモルファス合金の組成を多元化すると結晶
化のプロセスが複雑になり、結晶格子を組み立てる場合
の再配列が困難となるため結晶化しにくくなることが知
られているが、Mn添加によってこの多元化による結晶化
の抑制作用が強化されると共に、Pの添加によって合金
のアモルファス形成能が向上し、より厚肉のアモルファ
スリボンの作製が可能となる作用が加わり、これらの相
乗効果によって単独添加の場合よりも格段に顕著な改善
効果が得られるものと考えられる。
ファス合金に、0.5 at%のMnおよび0.2 at%のPを複合
添加すると、図1に示したように、結晶化温度の低下量
は勿論のこと、結晶化熱量の板厚依存性が大きく改善さ
れる。この理由は、次のとおりと考えられる。すなわ
ち、一般にアモルファス合金の組成を多元化すると結晶
化のプロセスが複雑になり、結晶格子を組み立てる場合
の再配列が困難となるため結晶化しにくくなることが知
られているが、Mn添加によってこの多元化による結晶化
の抑制作用が強化されると共に、Pの添加によって合金
のアモルファス形成能が向上し、より厚肉のアモルファ
スリボンの作製が可能となる作用が加わり、これらの相
乗効果によって単独添加の場合よりも格段に顕著な改善
効果が得られるものと考えられる。
【0010】そこで、次にかかるPおよびMnの好適組成
範囲について検討した。図2に、この発明の要件を満足
するFe78Si12.8-XB9Mn0.2PX 合金と、比較例に当たる
Fe78Si12.9-XB9Mn0.1PX 合金およびFe78Si11-XB9Mn2
PX 合金の、鉄損のP量依存性について調べた結果を示
す。また、図3には、発明例であるFe78Si12.8-XB9Mn
0.2PX 合金と、比較例に当たるFe78Si11-XB9Mn2PX
合金の、磁束密度のP量依存性について調べた結果を示
す。
範囲について検討した。図2に、この発明の要件を満足
するFe78Si12.8-XB9Mn0.2PX 合金と、比較例に当たる
Fe78Si12.9-XB9Mn0.1PX 合金およびFe78Si11-XB9Mn2
PX 合金の、鉄損のP量依存性について調べた結果を示
す。また、図3には、発明例であるFe78Si12.8-XB9Mn
0.2PX 合金と、比較例に当たるFe78Si11-XB9Mn2PX
合金の、磁束密度のP量依存性について調べた結果を示
す。
【0011】図2に示したとおり、発明例であるFe78Si
12.8-XB9Mn0.2PX 合金は、P含有量が0.02〜2at%の
範囲で鉄損が大きく低下している。これはPの添加によ
り、アモルファス形成能が改善されたためであると考え
られる。これに対し、比較例であるMn量が 0.1at%,2
at%の、Fe78Si12.9-XB9Mn0.1PX 合金およびFe78Si
11-XB9Mn2PX 合金の場合には、このような鉄損の低減
挙動は見られない。この理由は、Mn:0.1 at%では結晶
化挙動におよぼす影響が小さいためであり、またMn:2
at%の場合は磁束密度の低下が甚だしいためであると考
えられる。また、図3に示したとおり、発明例はP含有
量が0.02〜2at%の範囲において磁束密度の低下はさほ
ど見られないが、比較例はもともとの磁束密度が低いだ
けでなくその劣化程度も著しい。
12.8-XB9Mn0.2PX 合金は、P含有量が0.02〜2at%の
範囲で鉄損が大きく低下している。これはPの添加によ
り、アモルファス形成能が改善されたためであると考え
られる。これに対し、比較例であるMn量が 0.1at%,2
at%の、Fe78Si12.9-XB9Mn0.1PX 合金およびFe78Si
11-XB9Mn2PX 合金の場合には、このような鉄損の低減
挙動は見られない。この理由は、Mn:0.1 at%では結晶
化挙動におよぼす影響が小さいためであり、またMn:2
at%の場合は磁束密度の低下が甚だしいためであると考
えられる。また、図3に示したとおり、発明例はP含有
量が0.02〜2at%の範囲において磁束密度の低下はさほ
ど見られないが、比較例はもともとの磁束密度が低いだ
けでなくその劣化程度も著しい。
【0012】次に、図4に、Fe78Si13-X-YB9Mn Y PX
合金リボンの密着曲げ可能組成範囲と鉄損良好範囲を、
Y量とX量との関係で示す。図中、○で表した点は、曲
げ試験を5回行って全て密着曲げが可能であった組成で
あり、×で表した点は、曲げ試験を5回行って全て密着
曲げが不可能であった組成である。また△で表した点
は、1〜4回の密着曲げか可能であった組成である。鉄
損W13/50 が 0.15 W/kg以下になるのはP含有量Xが0.
02at%以上でかつMn含有量Yが0.2 at%以上の場合であ
るが、密着曲げが可能な範囲はXが2.0 at%以下でかつ
Yが1.0 at%以下の範囲である。従って、鉄損特性およ
び曲げ加工性とも良好な組成範囲は、図中に斜線で示す
領域となる。
合金リボンの密着曲げ可能組成範囲と鉄損良好範囲を、
Y量とX量との関係で示す。図中、○で表した点は、曲
げ試験を5回行って全て密着曲げが可能であった組成で
あり、×で表した点は、曲げ試験を5回行って全て密着
曲げが不可能であった組成である。また△で表した点
は、1〜4回の密着曲げか可能であった組成である。鉄
損W13/50 が 0.15 W/kg以下になるのはP含有量Xが0.
02at%以上でかつMn含有量Yが0.2 at%以上の場合であ
るが、密着曲げが可能な範囲はXが2.0 at%以下でかつ
Yが1.0 at%以下の範囲である。従って、鉄損特性およ
び曲げ加工性とも良好な組成範囲は、図中に斜線で示す
領域となる。
【0013】以下、この発明において、合金の成分組成
を前記の範囲に限定した理由について説明する。 Fe:76〜80at% Feは、高い磁束密度を得るために添加するものである
が、含有量が76at%未満では満足いく磁束密度が得られ
ず、トランスの鉄心としては不充分であり、一方80at%
を超えると結晶化温度およびキュリー点が低下し、トラ
ンス作動温度における熱安定性が劣化するので、Fe量は
76〜80at%の範囲に限定した。
を前記の範囲に限定した理由について説明する。 Fe:76〜80at% Feは、高い磁束密度を得るために添加するものである
が、含有量が76at%未満では満足いく磁束密度が得られ
ず、トランスの鉄心としては不充分であり、一方80at%
を超えると結晶化温度およびキュリー点が低下し、トラ
ンス作動温度における熱安定性が劣化するので、Fe量は
76〜80at%の範囲に限定した。
【0014】Si:8〜17at% Siは、磁歪の低減および熱安定性の向上に有効に寄与す
るが、8at%未満ではその添加効果に乏しく、一方17at
%を超えるとリボンの脆化が問題となるので、Si量は8
〜17at%の範囲に限定した。
るが、8at%未満ではその添加効果に乏しく、一方17at
%を超えるとリボンの脆化が問題となるので、Si量は8
〜17at%の範囲に限定した。
【0015】B:6〜10at% Bは、アモルファス形成能を向上させる有用元素である
が、6at%未満では非晶質化が難しく、一方10at%を超
える添加は、低B化による低コスト化というこの発明の
趣旨にそぐわないので、B含有量は6〜10at%の範囲に
限定した。なお、商業生産を想定した場合には、実験機
に比べ冷却能力が劣ると考えられる工程機の能力とコス
トの観点から、 7.5〜9.5 at%程度の範囲が望ましい。
が、6at%未満では非晶質化が難しく、一方10at%を超
える添加は、低B化による低コスト化というこの発明の
趣旨にそぐわないので、B含有量は6〜10at%の範囲に
限定した。なお、商業生産を想定した場合には、実験機
に比べ冷却能力が劣ると考えられる工程機の能力とコス
トの観点から、 7.5〜9.5 at%程度の範囲が望ましい。
【0016】図5に、単ロール法で作製したFe78Si22-X
BX 組成のアモルファス合金リボンの鉄損W13/50 のB
量依存性を示す。同図から明らかなように、Fe78Si22-X
BX アモルファス合金リボンは、B量の減少に伴い鉄損
は劣化し、そのばらつきも大きくなっている。ところ
が、この合金に、0.5 at%のMnと0.2 at%のPを添加し
たFe78Si21.3-XBX Mn0.5 P0.2 アモルファス合金リボ
ンでは、図6に示すように、鉄損特性が大幅に改善され
ている。しかも、低ボロン域ほどその改善効果が大きい
ことが注目される。
BX 組成のアモルファス合金リボンの鉄損W13/50 のB
量依存性を示す。同図から明らかなように、Fe78Si22-X
BX アモルファス合金リボンは、B量の減少に伴い鉄損
は劣化し、そのばらつきも大きくなっている。ところ
が、この合金に、0.5 at%のMnと0.2 at%のPを添加し
たFe78Si21.3-XBX Mn0.5 P0.2 アモルファス合金リボ
ンでは、図6に示すように、鉄損特性が大幅に改善され
ている。しかも、低ボロン域ほどその改善効果が大きい
ことが注目される。
【0017】P:0.02〜2at% Pは、アモルファス形成能の強化に有効な元素である
が、0.2 at%より少ないとその効果が期待できず、その
結果、図2,3,4に示したように、良好な磁気特性が
得られない。一方2at%を超えると、図3,4に示した
ように、磁束密度が低下するだけでなく、リボンが脆化
して加工性の劣化を招くので、P量は0.02〜2at%の範
囲に限定した。なお、より脆化に対して厳しい要求があ
る場合には、0.02〜1at%の範囲が好適である。
が、0.2 at%より少ないとその効果が期待できず、その
結果、図2,3,4に示したように、良好な磁気特性が
得られない。一方2at%を超えると、図3,4に示した
ように、磁束密度が低下するだけでなく、リボンが脆化
して加工性の劣化を招くので、P量は0.02〜2at%の範
囲に限定した。なお、より脆化に対して厳しい要求があ
る場合には、0.02〜1at%の範囲が好適である。
【0018】Mn:0.2 〜1.0 at% Mnは、結晶化の抑制に有効に寄与するが、0.2 at%より
少ないとその抑制効果が小さいため、図4に示したよう
に、良好な磁気特性が得られず、一方0.7 at%を超える
と磁束密度の低下が大きくなるので、Mn量は 0.2〜1.0
at%の範囲に限定した。より望ましい範囲は 0.2〜0.7
at%の範囲である。
少ないとその抑制効果が小さいため、図4に示したよう
に、良好な磁気特性が得られず、一方0.7 at%を超える
と磁束密度の低下が大きくなるので、Mn量は 0.2〜1.0
at%の範囲に限定した。より望ましい範囲は 0.2〜0.7
at%の範囲である。
【0019】次に、この発明合金の製造方法について説
明する。上記の好適成分組成に調製した合金溶湯を、急
冷凝固法、好ましくは単ロール法により薄帯とする。こ
こに、単ロール法における好適製造条件は次のとおりで
ある。直径:200 〜300 mmの高速で回転する銅合金製の
ロール上に、石英製のノズルから噴出させて薄帯を作製
する。この時、射出圧力は 0.1〜0.3 kgf/cm2 、ノズル
−ロール間ギャップは 0.1〜0.2 mm、ノズルスリット厚
みは 0.5〜1.0 mm、幅は20mm、ロール周速は24〜35 m/s
程度が好ましく、かくして幅:20mm、板厚:15〜30μm
のリボンが得られる。ついで、得られたリボンを、真空
中または不活性雰囲気中にて 350〜420 ℃の温度範囲で
1〜2時間程度の磁場中焼鈍を施す。
明する。上記の好適成分組成に調製した合金溶湯を、急
冷凝固法、好ましくは単ロール法により薄帯とする。こ
こに、単ロール法における好適製造条件は次のとおりで
ある。直径:200 〜300 mmの高速で回転する銅合金製の
ロール上に、石英製のノズルから噴出させて薄帯を作製
する。この時、射出圧力は 0.1〜0.3 kgf/cm2 、ノズル
−ロール間ギャップは 0.1〜0.2 mm、ノズルスリット厚
みは 0.5〜1.0 mm、幅は20mm、ロール周速は24〜35 m/s
程度が好ましく、かくして幅:20mm、板厚:15〜30μm
のリボンが得られる。ついで、得られたリボンを、真空
中または不活性雰囲気中にて 350〜420 ℃の温度範囲で
1〜2時間程度の磁場中焼鈍を施す。
【0020】
【実施例】表1〜5に示す種々の組成になる合金溶湯を
調製し、単ロール法により、板厚が 20 μm 前後のアモ
ルファスリボンを作製した。製造条件は、ロール周速:
27 m/s、射出圧力:0.2 kgf/cm2 、ノズル−ロール間ギ
ャップ:0.2 mm、ノズルスリット寸法:0.5 mm×20 mm
である。ついで、得られたリボンを、真空雰囲気中にて
リボン長手方向に 20 Oeの磁場をかけながら、 360〜38
0 ℃、1時間の磁場中焼鈍を行った。かくして得られた
リボンの表面粗さ(Ra)、板厚、曲げ特性、鉄損W
13/50 および磁束密度B8 について調べた結果を、表1
〜5に併記する。なお、表1,2は適合例、表3〜5は
比較例である。
調製し、単ロール法により、板厚が 20 μm 前後のアモ
ルファスリボンを作製した。製造条件は、ロール周速:
27 m/s、射出圧力:0.2 kgf/cm2 、ノズル−ロール間ギ
ャップ:0.2 mm、ノズルスリット寸法:0.5 mm×20 mm
である。ついで、得られたリボンを、真空雰囲気中にて
リボン長手方向に 20 Oeの磁場をかけながら、 360〜38
0 ℃、1時間の磁場中焼鈍を行った。かくして得られた
リボンの表面粗さ(Ra)、板厚、曲げ特性、鉄損W
13/50 および磁束密度B8 について調べた結果を、表1
〜5に併記する。なお、表1,2は適合例、表3〜5は
比較例である。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】表1,2から明らかなように、この発明に
従うアモルファス合金薄帯はいずれも、優れた磁気特性
は勿論のこと、良好な曲げ特性が得られている。
従うアモルファス合金薄帯はいずれも、優れた磁気特性
は勿論のこと、良好な曲げ特性が得られている。
【0027】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、従来に比
べて少ないB量で、高B含有Fe−B−Siアモルファス合
金並の優れた磁気特性が得られるだけでなく、曲げ特性
にも優れたFe−B−Si系アモルファス合金を得ることが
できる。
べて少ないB量で、高B含有Fe−B−Siアモルファス合
金並の優れた磁気特性が得られるだけでなく、曲げ特性
にも優れたFe−B−Si系アモルファス合金を得ることが
できる。
【図1】Fe78−Si14−B8 (比較例)およびFe78Si13.3
B8Mn0.5P0.2 (発明例)アモルファス合金リボンの結
晶化温度の低下量および結晶化熱量の板厚依存性を示し
たグラフである。
B8Mn0.5P0.2 (発明例)アモルファス合金リボンの結
晶化温度の低下量および結晶化熱量の板厚依存性を示し
たグラフである。
【図2】Fe78Si12.8-XB9Mn0.2PX 合金(発明例)と、
Fe78Si12.9-XB9Mn0.1PX 合金(比較例)およびFe78Si
11-XB9Mn2PX 合金(比較例)の、鉄損のP量依存性を
示したグラフである。
Fe78Si12.9-XB9Mn0.1PX 合金(比較例)およびFe78Si
11-XB9Mn2PX 合金(比較例)の、鉄損のP量依存性を
示したグラフである。
【図3】Fe78Si12.8-XB9Mn0.2PX 合金(発明例)と、
Fe78Si11-XB9Mn2PX 合金(比較例)の、磁束密度のP
量依存性を示したグラフである。
Fe78Si11-XB9Mn2PX 合金(比較例)の、磁束密度のP
量依存性を示したグラフである。
【図4】Fe78Si13-X-YB9Mn Y PX 合金リボンの密着曲
げ可能組成範囲と鉄損良好範囲を、Mn含有量とP含有量
との関係で示した図である。
げ可能組成範囲と鉄損良好範囲を、Mn含有量とP含有量
との関係で示した図である。
【図5】Fe78Si22-XBX 組成(比較例)アモルファス合
金の鉄損W13/50 のB量依存性を示したグラフである。
金の鉄損W13/50 のB量依存性を示したグラフである。
【図6】Fe78Si21.3-XBX Mn0.5 P0.2 (発明例)アモ
ルファス合金の鉄損W13/50 のB量依存性を示したグラ
フである。
ルファス合金の鉄損W13/50 のB量依存性を示したグラ
フである。
Claims (1)
- 【請求項1】 化学式:Fea −Bb −Sic −Pd −Mne ただし、a〜eはat%でa+b+c+d+e=100 でか
つ、 76≦a≦80、 6≦b≦10、 8≦c≦17、 0.02≦d≦2、 0.2≦e≦1.0 で示される組成になることを特徴とする、軟磁気特性に
優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモル
ファス合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1161996A JPH09202951A (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | 軟磁気特性に優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモルファス合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1161996A JPH09202951A (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | 軟磁気特性に優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモルファス合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09202951A true JPH09202951A (ja) | 1997-08-05 |
Family
ID=11782946
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1161996A Pending JPH09202951A (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | 軟磁気特性に優れ、かつ良好な加工性を有するトランス用鉄基アモルファス合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09202951A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6416879B1 (en) | 2000-11-27 | 2002-07-09 | Nippon Steel Corporation | Fe-based amorphous alloy thin strip and core produced using the same |
US7282103B2 (en) | 2002-04-05 | 2007-10-16 | Nippon Steel Corporation | Iron-base amorphous alloy thin strip excellent in soft magnetic properties, iron core manufactured by using said thin strip, and mother alloy for producing rapidly cooled and solidified thin strip |
JP2013209681A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Jfe Steel Corp | 鉄系非晶質合金薄帯 |
-
1996
- 1996-01-26 JP JP1161996A patent/JPH09202951A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6416879B1 (en) | 2000-11-27 | 2002-07-09 | Nippon Steel Corporation | Fe-based amorphous alloy thin strip and core produced using the same |
US7282103B2 (en) | 2002-04-05 | 2007-10-16 | Nippon Steel Corporation | Iron-base amorphous alloy thin strip excellent in soft magnetic properties, iron core manufactured by using said thin strip, and mother alloy for producing rapidly cooled and solidified thin strip |
JP2013209681A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Jfe Steel Corp | 鉄系非晶質合金薄帯 |
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