JP2006291234A - 微結晶合金薄帯 - Google Patents

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義継 藤本
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Abstract

【課題】 Fe-Cu-M´-B-Si系の微結晶合金薄帯の磁歪により生じた共振を低く抑え、高飽和磁束密度で、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´は24000≦μ´≦35000で、かつ低磁歪の微結晶合金薄帯を得る。
【解決手段】 Fe-Cu-M´-B-Si系(ただし、M´はNb、W、Ta、Zr、Hf、Zr、Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素)の微結晶合金薄帯であり、前記微結晶合金薄帯表層におけるSiO2とSiの測定値が9.0≦SiO2/Si≦13.0であることを特徴とする微結晶合金薄帯である。飽和磁束密度B800が1.45T≦B800≦1.60Tであり、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´は20000≦μ´≦40000であり、磁歪率χがχ≦40%の微結晶合金薄帯が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁歪が低く高い飽和磁束密度を有するFe-Cu-M´-B-Si系の微結晶合金薄帯であり、磁心、トランスやリアクトルに特に有用な微結晶合金薄帯に関するものである。
近年、省エネルギーに関する技術の進歩は著しく、高効率化のために、損失を低く抑えるためのトランスやリアクトルの開発が進められている。しかしながら、現在世の中で使用され始めた珪素鋼板やFe-Si系非晶質合金をヨークやコアに用いたトランスやリアクトルでは、従来のパーマロイと比較すると低損失ではあるが、発熱の問題が依然として残り、そのため水冷などの機構が必要となり、装置が大きくなる。また発熱の問題があることからも、効率は充分とはいえない。
そこで、より損失の低い従来のFe-Cu-Nb-B-Si系合金を使用したトランスやリアクトルが開発されているが、珪素鋼板やFe-Si系非結晶合金よりも飽和磁束密度が低いために、同総磁束を必要とするトランスやリアクトルを製造した場合、使用する非結晶合金を多く使用せねばならず、装置が大きくなる。そこで、損失は低く、かつ飽和磁束密度を高くしたFe-Cu-M´-B-Si系合金の要求がある。
Fe-Cu-M´-B-Si合金には、一例として特許2573606号に記載されているようなFe73.5Cu1Nb3B5Si17.5(at%)で表せる合金のように、磁歪が0又はほとんど0のものが含まれる。しかしこの化学量論比で得られる合金の飽和磁束密度B800は、1.15T≦B800≦1.25Tであり、さらに飽和磁束密度を増やすために組成を変更させると、磁歪が増加してしまい、比透磁率の低下、損失が増えることによる発熱や騒音の上昇という問題が発生する。さらに特許2573606号には、磁歪を低下させる方法としてV、Cr、Mn、Al、白金属元素、Sc、Y、希土類元素、Au、Zn、Sn、Re等の元素を添加することが記載されている。
特許第2573606号公報(第6頁左欄30行目〜右欄27行目、第1表、第6図)
しかし、特許文献1のように、これらV、Cr、Mn、Al、白金属元素、Sc、Y、希土類元素、Au、Zn、Sn、Re等の元素を添加すると、組成に占めるFe量が減少するとともに飽和磁束密度が減少してしまう。よって、化学量論比や添加物だけを頼りに、軟磁気特性の向上と高飽和磁束密度を有するFe-Cu-M´-B-Si系微結晶合金薄帯を得ることは非常に困難であった。
そこで本発明の目的は、Fe-Cu-M´-B-Si系微結晶合金薄帯の磁歪により生じた共振を低く抑えつつ、高飽和磁束密度B800を1.45T≦B800≦1.60Tを実現しつつ、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´は24000≦μ´≦35000で、磁歪率χはχ≦40%を有する、従来にはなかった良好な軟磁気特性を有するFe-Cu-Nb-B-Si系微結晶合金薄帯を提供することである。
本発明者らは、Fe-Cu-M´-B-Si系微結晶合金薄帯の薄帯表面に生ずる酸化物や主成分の濃縮に関して種々の検討を行った結果、SiO2とSiの比をある範囲に抑えることにより、高飽和磁束密度を高める組成を有するFe-Cu-M´-B-Si微結晶合金薄帯であっても低磁歪を実現できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、微結晶合金薄帯の表層におけるESCAによる測定値が9.0≦SiO2/Si≦13.0であることを特徴とするFe-Cu-M´-B-Si系の微結晶合金薄帯である。これらは、Fe-Cu-M´-B-Si系の溶湯を急冷することにより得られる。また、熱処理を加えることにより、Fe-Cu-Nb-B-Si系微結晶合金薄帯の組織が、少なくとも50%が微細な結晶粒からなり、その結晶粒が、その最大寸法で測定した場合50nm以下の平均粒径を有する、Fe-Cu-M´-B-Si系微結晶合金薄帯を得ることが可能となる。
本発明により、低損失で高飽和磁束密度のFe-Cu-M´-B-Si系の微結晶合金薄帯を提供でき、低損失により高効率、高比透磁率、低騒音性、さらには高飽和磁束密度により小型化ができ安価なFe-Cu-M´-B-Si系微結晶合金磁心、Fe-Cu-Nb-B-Si系微結晶合金使用トランスならびにFe-Cu-M´-B-Si系微結晶合金使用リアクトルを提供できることになる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
本発明における最大の特徴は、Fe-Cu-M´-B-Si系微結晶合金薄帯の表層において、主成分に起因する酸化物を適切な量に析出制御することで、磁歪率χをχ≦40%に低減でき、高飽和磁束密度B800は、1.45T≦B800≦1.60T有しながらも、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´は、20000≦μ´≦40000を有する、画期的な軟磁気性材料を見いだしたことである。
Fe-Cu-M´-B-Si系微結晶薄帯の磁歪が0又はほとんど0のFe73.5Cu1Nb3B5Si17.5 (at%)化学量論組成から、組成を変化させて飽和磁束密度を増やした場合、磁歪が大きくなることにより、比透磁率の低下、発熱量の上昇、高騒音という軟磁気特性の劣化が顕著に現れる。渦電流を低下させる手法として、公知のMgOやAl2O3やSiO2の粒子、コロイダルシリカ等を薄帯表面に付着させ、絶縁処理を行う手法が知られている。しかし、磁歪がある組成の薄帯にこのような手法で絶縁を行った場合、薄帯に張力がかかるため、絶縁膜付着の薄帯は比透磁率が低下したりするなどの悪影響がでる。
そこで、薄帯表層に酸化物等を析出させることは考えられてきたが、前記組成域の薄帯については、その析出量については具体的な数値はしめされていなかった。本発明者らは、組成がFe73.5Cu1Nb3B5Si17.5 (at%)からずれたことにより発生した渦電流損失を抑えて、損失を少しでも低くしたいと考え、所定の酸化物を薄帯表面に析出させ、その析出量と損失低下の関係を誠意検討した結果、理論的にはまだ解明できてはいないが、SiO2とSiの濃度を制御することで、低磁歪を実現できることを見いだしたのである。高飽和磁束密度の組成を有する薄帯において、その薄帯自身を低磁歪化できる酸化物量や主成分量を所定の範囲とすることで磁歪を低下させることができ、比透磁率向上、低発熱、低騒音という軟磁気特性の向上にも大きく起因する。
薄帯表面に酸化物を析出させる方法としては、急冷薄帯を製造する際に所定の酸素が存在する大気中でおこなったり、組織を微結晶化させる際に20〜2000ppm、好ましくは50〜1000ppmの酸素濃度を有する不活性ガスと酸素の混合ガス中で熱処理をおこなったり、新たに薄帯表面を酸化させる工程を導入して、酸化層を析出させてもよい。薄帯表層におけるESCAによる測定値が9.0≦SiO2/Si≦13.0になるように調整すれば好ましい。
単にSiO2、C、Cu量を制御するために、熱処理条件などは変えずに、薄帯の組成を調整して行う手法があるが、薄帯の組成は、(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBZαM″βXγ(at%)(ただし、MはCo及び又はNiであり、M´はNb、W、Ta、Zr、Hf、Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV、Cr、Mn、Al、白金元素、Sc、Y、希土類元素、Au、Zn、Sn、Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはC、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z、α、β及びγはそれぞれ0≦a<0.5、0.1≦x≦3、8≦y≦15、0≦z≦9.5、0.1≦α≦30、0≦β≦10及び0≦γ≦10を満たす。) の組成域を超えた場合、表面酸化層ができたとしてもそれによる共振低下の効果が小さくなったり、または印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´が低くなり、優れた軟磁気特性を有する薄帯を得ることができなくなるため、薄帯の組成は前記組成域内におさえたほうが低磁歪と高比透磁率の両立には好ましい。このように、酸化物相と主成分の成分比と薄帯組成に相関を見いだしたことも、本発明の成果である。
本発明に用いられる合金において、Cuは必須元素であり、その含有量xは0.1〜3原子%の範囲である。0.1原子%より少ないとCuの添加によるコア損失低下、比透磁率上昇の効果がほとんどなく、一方3原子%より多いとコア損失が未添加のものよりかえって大きくなることがあり、比透磁率も劣化する。本発明において特に好ましいCuの含有量xは0.5〜2原子%であり、この範囲ではコア損失が特に小さい。Cuのコア損失低下、比透磁率上昇作用の原因は明らかではないが次のように考えられる。CuとFeの相互作用パラメータは正であり、固溶度が低く、分離する傾向があるため非晶質状態の合金を加熱するとFe原子同志またはCu原子同志が寄り集まりクラスターを形成するため組成ゆらぎが生じる。このため部分的に結晶化しやすい領域が多数でき、そこを核とした微細な結晶粒が生成される。この結晶はFeを主成分とするものであり、FeとCuの固溶度はほとんどないため結晶化によりCuは微細結晶粒の周囲にはき出され、結晶粒周辺のCu濃度が高くなる。このため結晶粒は成長しにくいと考えられる。Cu添加により結晶核が多数できることと結晶粒が成長しにくいため結晶粒微細化が起こると考えられるが、この作用はNb,Ta,W,Mo,Zr,Hf,Ti等の存在により特に著しくなると考えられる。
Nb,Ta,W,Mo,Zr,Hf,Ti等が存在しない場合は結晶粒があまり微細化されず軟磁気特性も悪い。Nb,Moは特に効果が大きいが、これらの元素の中でNbを添加した場合特に結晶粒が細くなりやすく、軟磁気特性も優れたものが得られる。またFeを主成分とする微細結晶相が生ずるためFe基非晶質合金に比べ磁歪が小さくなり、内部応力−歪による磁気異方性が小さくなることも軟磁気特性が改善される理由と考えられる。Cuを添加しない場合は結晶粒が微細化されにくく、化合物相が形成しやすいため結晶化により磁気特性は劣化する。V,Cr,Mn,Al,白金属元素、Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Re等の元素は耐食性を改善したり、磁気特性を改善する、又は磁歪を調整する、等の効果を有するものである。その含有量はせいぜい10原子%以下である。含有量が10原子%を超えると著しい飽和磁束密度の低下を招くためであり、特に好ましい含有量は8原子%以下である。これらの中でRu,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Au,Cr,Vから選ばれる少なくとも1種の元素を添加した合金からなる場合は特に耐食性、耐摩耗性に優れた磁心となる。
本発明の磁心において、C,Ge,P,Ga,Sb,In等からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を10原子%以下含む合金を使用できる。これら元素は非晶質化に有効な元素であり、Si,Bと共に添加することにより合金の非晶質化を助けると共に、磁歪やキュリー温度調整に効果がある。
Si及びBは、本発明に係る合金の微細化に特に有用な元素である。本発明に係るFe基軟磁性合金は、好ましくは、一旦Si,Bの添加効果により非晶質合金とした後で熱処理により微細結晶粒を形成させることにより得られる。Si及びBの含有量y及びzの限定理由は、yが8原子%以上15原子%以下、zが9.5原子%以下でないと、所望の、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´20000≦μ´≦40000、および磁歪率χがχ≦40%である微結晶合金薄帯が得られないからである。
本発明において、M´はCuとの複合添加により析出する結晶粒を微細化する作用を有するものであり、Nb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素である。Nb等は合金の結晶化温度を上昇させる作用を有するが、クラスターを形成し結晶化温度を低下させる作用を有するCuとの相互作用により析出する結晶粒が微細化するものと考えられる。M´の含有量αは0.1〜30原子%であり、0.1原子%未満だと結晶粒微細化の効果が不十分であり、30原子%を超えると飽和磁束密度の著しい低下を招く。好ましいM´の含有量αは2〜8原子%である。なおM´としてNbが磁気特性の面で最も好ましい。またM´の添加によりCo基高比透磁率材料と同等の高い比透磁率を有するようになる。
残部は不純物を除いて実質的にFeが主体であるが、Feの一部は成分M(Co及び/又はNi)により置換されていてもよい。Mの含有量aは0≦a<0.5であるが、好ましくは、0≦a≦0.3である。αが0.3を超えると、コア損失が増加する場合があるためである。M″の添加により、耐食性の改善、磁気特性の改善、又は磁歪調整効果が得られる。M″が10原子%を超えると飽和磁束密度低下が著しい。
上記組成を有する本発明に係るFe基軟磁性合金はまた組織の少なくとも50%以上が微細な結晶粒からなる。この結晶粒はα−Feを主体とするものでSiやB等が固溶していると考えられる。この結晶粒は5nm以下と著しく小さな平均粒径を有することを特徴とし、合金組織中に均一に分布している。合金組織のうち微細結晶粒以外の部分は主に非晶質である。なお微細結晶粒の割合が実質的に100%になっても本発明の磁心は十分に優れた磁気特性を示す。なお、N,S等の不可避的不純物については所望の特性が劣化しない程度に含有していても本発明の磁心に用いられる合金組成と同一とみなすことができるのはもちろんである。
次に磁心の製造方法について説明する。まず上記所定の組成の溶湯から、片ロール法、双ロール法等の公知の液体急冷法によりリボン状の非晶質合金を形成する。通常、片ロール法等により製造される非晶質合金リボンの板厚は5〜100μm程度であるが、板厚が25μm以下のものが高周波において使用される磁心用薄帯として特に適している。この非晶質合金は結晶相を含んでいてもよいが、後の熱処理により微細な結晶粒を均一に生成するためには非晶質であるのが望ましい。非晶質リボンは熱処理の前に巻回、打ち抜き、エッチング等をして所定の形状に加工し磁心とする方が望ましい。この理由は非晶質の段階ではリボンは加工性が良いが、一旦結晶化すると加工性が著しく低下する場合が多いからである。しかしながら、熱処理後巻回する、エッチングする等の加工を行い、磁心を製造することも可能である。
平均粒径が5nm以下の微細な結晶粒を形成するための熱処理は所定の形状に加工した非晶質合金リボンを真空中または水素、窒素、Ar等の不活性ガス雰囲気中、又は大気中において一定時間保持し行う。冷却は空冷や炉冷等により、適宜行うことができる。また場合によっては多段の熱処理を行うこともできる。また熱処理の際磁心材に電流を流したり、高周波磁界を印加して磁心を発熱させることにより磁心を熱処理したりすることもできる。
(実施例1)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si9.2B8.5Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=12.6となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。SiO2とSiのESCA測定値については、103.5eVのピーク強度をSiO2の測定値とし、99.7eVでのピーク強度をSiの測定値とした。なお、両測定値とも、同強度のバックグラウンドを差し引いている。図2に示すように、800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tであった。また、図3に示すように、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=28900と高く、磁歪共振は確認されない、良好な軟磁性薄帯が得られた。
(実施例2)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si9.2B8.5Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=10.5となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tで、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=26100と高く、磁歪率χはχ=32.4%と小さい、良好な軟磁性薄帯が得られた。
この前記組成のFe-Cu-M´-B-Si系の微結晶合金薄帯では、磁歪共振のピークが80〜100kHzの周波数域における、1kHzの比透磁率に顕著に現れる。そこで本発明では、磁歪を示す尺度として、磁歪率χを(1)式のように定義する。
(%)
f: 磁歪共振が現れる周波数
μf: 磁歪共振周波数での比透磁率
μ30: f=30kHzでの比透磁率
μ200: f=200kHzでの比透磁率
(実施例3)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si8.7B9.0Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=10.6となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tで、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=25300と高く、磁歪率χはχ=28.1%と小さい、良好な軟磁性薄帯が得られた。
(実施例4)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si8.7B9.0Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=9.5となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tであった。また、図4に示すように、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´が実施例3より若干高いμ´=27700であり、磁歪共振は確認されない、良好な軟磁性薄帯が得られた。
(比較例1)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si9.2B8.5Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、図1に示すように、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=8.7となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tで、磁歪率χはχ=28.7%と小さかったが、図6に示すように、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=19700と低くなった。
(比較例2)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si9.2B8.5Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=14.5となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.50Tで、磁歪率χはχ=15.4%と小さかったが、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=19800と低くなった。
(比較例3)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si8.7B9.0Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=6.0となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.50Tだが、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=10400と大幅に低下し、磁歪率χはχ=61.2%と大幅に大きくなった。
(比較例4)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si8.7B9.0Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=13.8となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tで、磁歪率χはχ=14.5%と低いが、図7にしめすように、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=12600と大幅に低下した。
(比較例5)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si8.7B9.0Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=7.6となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tで、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=27000と高いが、磁歪率χはχ=46.8%と大きくなった。
(比較例6)
溶湯を急冷して成分がFe79.0Si8.7B9.0Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=3.8となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.50Tと高いが、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=11000と低く、磁歪率χはχ=73.1%と大きくなった。
(比較例7)
溶湯を急冷して成分がFe78.9Si8.3B9.6Nb2.6Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=4.2となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tと高いが、図8に示すように、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=2400と大幅に低く、磁歪率χはχ=91.3%とかなり大きくなった。
(比較例8)
溶湯を急冷して成分がFe78.9Si8.3B9.6Nb2.6Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=7.2となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.51Tと高いが、図5に示すように、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=10000と低く、磁歪率χはχ=89.6%と大きくなった。
(比較例9)
溶湯を急冷して成分がFe78.9Si8.3B9.6Nb2.6Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=10.3となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.52Tと高いが、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=12200と低く、磁歪率χはχ=40.6%と大きくなった。
(比較例10)
溶湯を急冷して成分がFe78.9Si8.3B9.6Nb2.6Cu0.6 (at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=14.5となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。800A/mの飽和磁束密度B800が1.52Tと高いが、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´がμ´=10000と低く、磁歪率χはχ=45.6%と大きくなった。
(比較例11〜13)
溶湯を急冷して成分がFe73.5Si17.5B5.0Nb3.0Cu1.0(at%)の薄帯を製造し巻回して、薄帯表面の酸化物量がESCA測定値にてSiO2/Si=6.8、11.3、14.4となるように熱処理を行い、トロイダルコアを得た。印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´は、それぞれμ´=1100000、100000、78000と高く、磁歪率は測定できないほど小さかったが、800A/mの飽和磁束密度B800が1.23Tと極めて小さい値を示した。
実施例1と3と比較例1のESCA測定結果である。 実施例1の直流B-H曲線である。 実施例1の、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´について、周波数1kHzから10MHzまでスイープした結果である。 実施例4の、印加電圧0.5Vでの比透磁率μ´について、周波数1kHzから10MHzまでスイープした結果である。 比較例8の、印加電圧0.5Vでの比透磁率μ´について、周波数1kHzから10MHzまでスイープした結果である。 Fe79.0Si9.2B8.5Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯から得た、SiO2/Si量と印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´の相関関係である。 Fe79.0Si8.7B9.0Nb2.7Cu0.6 (at%)の薄帯から得た、SiO2/Si量と印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´の相関関係である。 Fe78.9Si8.3B9.6Nb2.6Cu0.6 (at%)の薄帯から得た、SiO2/Si量と印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´の相関関係である。

Claims (5)

  1. Fe-Cu-M´-B-Si系(ただし、M´はNb、W、Ta、Zr、Hf、Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素)の微結晶合金薄帯であり、飽和磁束密度B800が1.45T≦B800≦1.60Tであり、印加電圧0.5Vで周波数1kHzでの比透磁率μ´は20000≦μ´≦40000であり、下記式により表される磁歪率χがχ≦40%であることを特徴とする微結晶合金薄帯。
    f: 磁歪共振が現れる周波数
    μf: 磁歪共振周波数での比透磁率
    μ30: f = 30kHzでの比透磁率
    μ200: f = 200kHzでの比透磁率
  2. Fe-Cu-M´-B-Si系(ただし、M´はNb、W、Ta、Zr、Hf、Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素)の微結晶合金薄帯であり、前記微結晶合金薄帯表層におけるSiO2とSiの測定値が9.0≦SiO2/Si≦13.0であることを特徴とする微結晶合金薄帯。
  3. 前記微結晶合金薄帯の組成式が、(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBZαM″βXγ(at%)(ただし、MはCo及び又はNiであり、M´はNb、W、Ta、Zr、Hf、Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV、Cr、Mn、Al、白金元素、Sc、Y、希土類元素、Au、Zn、Sn、Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはC、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z、α、β及びγはそれぞれ0≦a<0.5、0.1≦x≦3、8≦y≦15、0≦z≦9.5、0.1≦α≦30、0≦β≦10及び0≦γ≦10を満たす。)であることを特徴とする請求項1または2に記載の微結晶合金薄帯。
  4. 前記微結晶合金薄帯は組織の少なくとも50%が微細な結晶粒からなり、結晶粒が、その最大寸法で測定した場合50nm以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の微結晶合金薄帯。
  5. 前記微結晶合金薄帯は熱処理されたものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の微結晶合金薄帯。
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