JPH11322645A - シクロアルケンの塩素化方法 - Google Patents
シクロアルケンの塩素化方法Info
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- JPH11322645A JPH11322645A JP10133706A JP13370698A JPH11322645A JP H11322645 A JPH11322645 A JP H11322645A JP 10133706 A JP10133706 A JP 10133706A JP 13370698 A JP13370698 A JP 13370698A JP H11322645 A JPH11322645 A JP H11322645A
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Abstract
活性雰囲気下シクロヘキセンを塩素に対して過剰量用
い、70℃以上500℃以下の温度で反応させる。 【効果】 分離困難な異性体である4−クロルシクロヘ
キセンの含有量が極めて少ない3−クロルシクロヘキセ
ンを容易に安定に得ることができる。
Description
ンの原料として好適な3−クロルシクロアルケンを得る
方法に関するものである。特に1,3−シクロヘキサジ
エンの原料として好適な3−クロルシクロヘキセンを得
るシクロヘキセンの塩素化方法に関するものである。
リビングアニオン重合により高耐熱性、高剛性ポリマー
が得られることが知られており、工業的に重要なモノマ
ーである。1,3−シクロヘキサジエンから高重合物を
得るにあたっては、不純物としてシクロヘキセン、ベン
ゼン、メチルシクロペンテンが含まれていても重合に支
障のないことが知られている(特開平7−19673
7)。しかし、本発明者らが検討したところ、1,3−
シクロヘキサジエンの異性体である1,4−シクロヘキ
サジエンが不純物として含まれる場合、重合が円滑に進
まず、低分子量体のみ得られたり、重合が全く進まなく
なることが明らかになった。目的とする高分子量体を得
るためには、1,4−シクロヘキサジエンの含有量は、
少なくとも2%以下であることが必要であることを見出
した。
法としては、種々の方法が提案されているが、高収率か
つ高純度の1,3−シクロヘキサジエンを得る方法の一
つは、3−ヒドロキシシクロヘキセンを硫酸などの酸
類、イオン交換樹脂等の酸触媒を用いて脱水する方法で
ある。この3−ヒドロキシシクロヘキセンは、3−クロ
ルシクロヘキセンの加水分解により容易に得ることがで
きる。従って、3−クロルシクロヘキセンは、1,3−
シクロヘキサジエンを得る有用な原料である。
クロヘキサジエンへの製造ルートを以下に示す。
ロルシクロヘキセンが得られることは既に報告されてお
り、下に示すtrans−1,2−ジクロルシクロヘキ
サン(1)、3−クロルシクロヘキセン(2)、4−ク
ロルシクロヘキセン(3)が主に生成することが知られ
ている。
センに暗所、25℃で塩素を反応させるとtrans−
1,2−ジクロルシクヘキサン、3−クロルシクロヘキ
セン及び4−クロルシクロヘキセンが1.95:1.0
0:0.60の比率で生成することを報告している。さ
らに彼らは、この塩素化反応は、光照射下での塩素化が
暗所での塩素化と同じ生成物比を与えると報告している
(J.Am.Chem.Soc.,87(10) P.
2161(1965))。彼らは、反応速度について詳
細な検討を行い、trans−1,2−ジクロルシクロ
ヘキサンがシクロヘキセンの2重結合への塩素の付加反
応により生じ、3−クロルシクロヘキセンが2重結合へ
の塩素の協奏的付加・脱離反応及び、ラジカル反応によ
り生じ、4−クロルシクロヘキセンが、塩素のシクロヘ
キセンへのラジカル反応から生じることを明らかにして
いる。本発明者等が、この文献条件でシクロヘキセンの
塩素化を行った試験結果によれば、原料シクロヘキセン
の転化率が約70%以下の場合trans−1,2−ジ
クロルシクロヘキサン、3−クロルシクロヘキセン、4
−クロルシクロヘキセンの比率は、シクロヘキセンの転
化率にほぼ無関係に文献に示されている比率で一定であ
った。すなわち目的とする3−クロルシクロヘキセンの
選択率は28%であり、収率は20%を越えることがな
い。また、4−クロルシクロヘキセンの選択率は、17
%であり、3−クロルシクロヘキセンの約1/2量の4
−クロルシクロヘキセンが副生した。
うちtrans−1,2−ジクロルシクロヘキサンの沸
点は、189℃/760mmHgであり、3−クロルシ
クロヘキセンの沸点(145℃〜147℃/760mm
Hg)との沸点差が大きく、蒸留により容易に分離する
ことができる。しかしながら他の副生物である4−クロ
ルシクロヘキセンの沸点は、141℃/720mmHg
であり、3−クロルシクロヘキセンの沸点に非常に近い
ために蒸留分離が困難である。
は、加水分解とそれに続く脱水反応により1,3−シク
ロヘキサジエンに誘導されるが、4−クロルシクロヘキ
センが3−クロルシクロヘキセンに含まれていると、加
水分解により4−クロルシクロヘキセンは、4−ヒドロ
キシシクロヘキセンとなり、このものは、脱水すると
1,3−シクロヘキサジエンと同時に1,4−シクロヘ
キサジエンを副生する。前述したように1,4−シクロ
ヘキサジエンは、1,3−シクロヘキサジエンの重合阻
害物となるため、好ましくない不純物である。また、沸
点も非常に近く、蒸留分離は、困難である。
3−シクロヘキサジエン(6)及び、1,4−シクロヘ
キサジエン(7)が生成するルートを下に示す。
料として3−クロルシクロヘキセンを得るために、4−
クロルシクロヘキセンが副生しないシクロヘキセンの塩
素化方法が求められていた。オレフィンを塩素化してア
リル位に塩素を導入する方法としては、プロピレンを4
50℃〜530℃の温度で塩素化することにより、アリ
ルクロリドが選択的に得られることが知られている(I
nd.Eng.Chem.,31 P1530(193
9))。この反応は、高温で塩素がラジカル反応するこ
とにより、アリルクロリドが選択的に得られているもの
と考えられる。しかしながら、シクロアルケンの場合、
プロピレンと異なり、2重結合から2個離れたメチレン
基(ホモアリル位)を持っている。このため、通常この
文献からはシクロアルケンの塩素化の場合、前述したシ
クロヘキセンの25℃での塩素化の例から明らかなよう
に、ラジカル反応からは、3−クロルシクロヘキセンと
4−クロルシクロヘキセンが生じることが知られてお
り、高温での塩素化においても4−クロルシクロヘキセ
ンが副生することが予測される。
している例としては、G.F.Bloomfieldが
80℃で塩素化を行っている(J.Chem.Soc.
P.114(1944))。彼は、シクロヘキセンに
対して塩素を過剰量用いて塩素化を行い、生成物として
塩素が1個入ったモノクロルシクロヘキセン(収率19
%)と1,2−ジクロロヘキサン(収率28%)、トリ
クロルシクロヘキサン(収率11%)が得られたと報告
している。しかしながら、モノクロルシクロヘキセン中
の3−クロルシクロヘキセンと4−クロルシクロヘキセ
ンの比率については、何も述べていない。本発明者ら
が、この文献条件でシクロヘキセンの塩素化を行った試
験結果によれば、原料シクロヘキセンの転化率は、96
%で、生成物中のtrans−1,2−ジクロルシクロ
ヘキサン、3−クロルシクロヘキセン、4−クロルシク
ロヘキセン、トリクロルシクロヘキサンの比率は、それ
ぞれ、48%、27%、6%、19%であり、3−クロ
ルシクロヘキセンに対して4−クロルシクロヘキセンが
18%含まれており、1,3−シクロヘキサジエンの原
料とするには、不適であることがわかった。
法としては、tert−ブチルハイポクロリドを塩素化
剤に用い、ベンゾイルパーオキシド等のラジカル発生剤
存在下でシクロヘキセンを塩素化する方法が報告されて
いる(例えば、Helvetica Chemica
Acta, P.130(1957))。本方法は、前
記の塩素化に比較すると77%と高収率で3−クロルシ
クロヘキセンを得ることができ、かつ4−クロルシクロ
ヘキセンの副生が無いが、tert−ブチルハイポクロ
リドは、tert−ブチルアルコールと苛性ソーダ及
び、塩素から実験室的には合成されるが、このtert
−ブチルハイポクロリドの製造に際して、tert−ブ
チルハイポクロリドが爆発することがあることが知られ
ており、工業的に製造されておらず、安定して大量に得
ることができない。また、貯蔵等の取り扱いも容易でな
い。
クロルシクロアルケンの副生が極めて少ない、工業的に
実施可能なシクロアルケンの安定した塩素化方法を提供
することである。
発明者が鋭意検討した結果驚くべきことに、塩素に対し
てシクロヘキセンを過剰量用い、且つ塩素化の反応温度
を70℃以上の高温にすることにより、4−クロルシク
ロヘキセンの生成量を極めて低く抑えることができるこ
とを見出したものである。
ンを塩素を用いて塩素化するに際し、不活性ガス雰囲気
下、該シクロアルケンを塩素に対して過剰量用い、且つ
70℃以上500℃以下の温度で塩素化することを特徴
とするシクロアルケンの塩素化方法、[2] 0℃、常
圧において0.01g/リットル以上2.9g/リット
ル以下の塩素濃度に調整した塩素−不活性ガス混合気体
を用いて塩素化することを特徴とする[1]に記載のシ
クロアルケンの塩素化方法、[3] 該シクロアルケン
がシクロヘキセンであることを特徴とする[1]及び
[2]に記載のシクロアルケンの塩素化方法に関係す
る。
於けるシクロアルケンは、好ましくは5員環から10員
環のシクロアルケンであり、さらに好ましくは5員環か
ら8員環のシクロアルケンである。特に好ましくはシク
ロヘキセンである。アルキル置換基がシクロアルケンの
2重結合炭素に結合していてもよい。
させるに際し、反応温度を所定の範囲内に保つことが重
要である。即ち70℃以上500℃以下に保つことが好
ましい。さらに好ましくは、75℃以上180℃以下で
ある。70℃未満では、4−クロルシクロヘキセン生成
量が増え、結果的に1,3−シクロヘキサジエン中の
1,4−シクロヘキサジエンの含有量が増え、好ましく
ない。また、500℃を越える温度では、生成した3−
クロルシクロヘキセンの分解が顕著となる。
点以下の場合、シクロアルケンは、液体であるから、液
体中に塩素ガスを吹き込んでもよいし、反応温度がシク
ロアルケンの沸点以上の温度の場合には気相で塩素と接
触させて、反応させることができる。反応は、不活性ガ
ス雰囲気下で行われる。不活性ガスとしては、窒素、ヘ
リウム、アルゴン等を用いることができる。不活性ガス
雰囲気下に保つ方法としては、塩素ガスを上記不活性ガ
スで希釈する方法が好ましい。さらに希釈率としては、
0℃、常圧において0.01g/リットル以上2.9g
/リットル以下の塩素濃度に調整することが好ましい。
希釈を行わないと塩素化反応における反応熱のために反
応温度が異常に上昇し、分解物が多くなることがある。
塩素化反応を安定に行うために不活性ガスで塩素を希釈
することが有効である。
設備の大型化が容易である点からゲージ圧が1気圧以上
10気圧以下が好ましい。さらに本発明では、シクロア
ルケンを塩素に対して過剰量用いて反応を行う。シクロ
アルケンと塩素のモル比は、好ましくは、10:1から
10:9.9であり、さらに好ましくは、10:3から
10:8である。モル比が10:1より少ないと十分な
転化率を得ることができず、反応混合物からの3−クロ
ルシクロアルケンの単離に多くのエネルギーを要するこ
ととなる。また塩素が過剰の状態で反応を行うと4−ク
ロルシクロヘキセンの生成量が増え、また、シクロアル
ケンが3個以上塩素化された化合物が生成し、目的物の
収量が低下する。
化を行う場合、原料のシクロアルケンは、無溶媒で反応
させても良いし、塩素に対して不活性の溶媒を用いて希
釈しても良い。溶媒としては、例えば四塩化炭素、クロ
ロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン系溶媒や
酢酸、二硫化炭素などを用いることができる。気相で反
応を行う場合にも、反応熱の除熱を助ける目的で窒素、
ヘリウム、アルゴン等の不活性気体で希釈した塩素を用
いることが好ましい。また、上記不活性溶媒を気相に同
伴させてもよい。
鉄、塩化鉄等の金属及び、金属塩を触媒として用いても
構わない。本発明においては、塩素化において塩化水素
が同時に生成するので反応器材質は、高温で耐塩酸性に
優れた材質を選定することが好ましく、例えば、グラス
ライニングを施した鉄系材料や、耐酸性のキュプロニッ
ケルを用いることができる。
に説明する。
回転子を備えた200mlジャケットつきガラス反応器
にシクロヘキセン82.0g(1mol)を仕込みジャ
ケットに90℃に制御した熱水を流し、シクロヘキセン
を還流温度に保った。反応器に塩素0.5g/minを
窒素250ml/minで希釈したガスを120分間導
入した。塩素導入量60g(0.846mol)。塩素
導入後反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した
ところ、シクロヘキセンの転化率は80%であり、生成
物中の3−クロルシクロヘキセンは、32%、tran
s−1,2−ジクロルシクロヘキサン64%、4−クロ
ルシクロヘキセン1%、その他は塩素が2個以上置換し
たポリ塩化シクロヘキサンであった。シクロヘキセンを
留去した後に3−クロルシクロヘキセンを65℃〜66
℃/40mmHgで減圧蒸留した。得られた3−クロル
シクロヘキセンの収率は、23%であり、4−クロルシ
クロヘキセンが3%含まれていた。反応は、安定してい
た。
minで希釈したガスを45分間導入した後に、ジャケ
ット温度を110℃にして塩素ガスをさらに90分導入
した他は、実施例1と同様に塩素化反応を行った。合計
塩素導入量67.5g(0.95mol)。反応液をガ
スクロマトグラフィーにより分析したところ、シクロヘ
キセンの転化率は90%であり、生成物中の3−クロル
シクロヘキセンは、33%、trans−1,2−ジク
ロルシクロヘキサン65%、4−クロルシクロヘキセン
0.7%、その他は塩素が2個以上置換したポリ塩化シ
クロヘキサンであった。実施例1と同様にして3−クロ
ルシクロヘキセンを蒸留して得た。3−クロルシクロヘ
キセンの収率は、26%であり、4−クロルシクロヘキ
センが2%含まれていた。
ス製ガラス管に直径1mmのガラスビーズを長さ20c
mの高さで充填した。ガラス管を140℃に加熱し、あ
らかじめ140℃に加熱したシクロヘキセン(5g/h
r)と窒素(100ml/min)で希釈した塩素(3
g/hr)をガラスビーズ直下で混合しながら導入し
た。ガラス管出口の10℃に冷却したフラスコ及び、さ
らにその先に−20℃に冷却したトラップにより、反応
生成物及び、未反応シクロヘキセンを回収した。4時間
反応を行い、フラスコ及びトラップに貯まった生成物を
ガスクロマトグラフィーにより分析した。シクロヘキセ
ンの転化率は65%であり、生成物中の3−クロルシク
ロヘキセンは、42%、trans−1,2−ジクロル
シクロヘキサン52%、4−クロルシクロヘキセン0.
2%、その他は塩素が2個以上置換したポリ塩化シクロ
ヘキサンであった。実施例1と同様にして3−クロルシ
クロヘキセンを蒸留して得た。3−クロルシクロヘキセ
ンの収率は、25%であり、4−クロルシクロヘキセン
が0.5%含まれていた。
1と同様に塩素化反応を行った。その結果、シクロヘキ
センの転化率は、65%であり、生成物中の3−クロル
シクロヘキセンは26%、trans−1,2−ジクロ
ルシクロヘキサン61%、4−クロルシクロヘキセン1
3%であった。実施例1と同様に蒸留を行うと、3−ク
ロルシクロヘキセンと4−クロルシクロヘキセンが2:
1の比で混ざった混合物が22%の収率で得られただけ
であり、4−クロルシクロヘキセンを蒸留で除くことは
できなかった。
ロヘキセンに導入した他は、実施例1と同様に塩素化を
行った。その結果、シクロヘキセンの転化率は、100
%であり、生成物中の3−クロルシクロヘキセンは、5
%、trans−1,2−ジクロルシクロヘキサン31
%、4−クロルシクロヘキセン1%、その他は塩素が2
個以上置換したポリ塩化シクロヘキサンであった。シク
ロヘキセンを留去した後に3−クロルシクロヘキセンを
65℃〜66℃/40mmHgで減圧蒸留した。得られ
た3−クロルシクロヘキセンの収率は、3%にすぎなか
った。
(1.03mol)を不活性ガスで希釈することなくシ
クロヘキセンに導入した他は、実施例1と同様に反応を
行った。塩素化反応は、発熱が大きく反応温度の制御が
難しかった。反応液をガスクロマトグラフィーにより分
析したところ、シクロヘキセンの転化率は、96%であ
り、生成物中の3−クロルシクロヘキセンは、27%、
trans−1,2−ジクロルシクロヘキサン48%、
4−クロルシクロヘキセン6%、その他は塩素が2個以
上置換したポリ塩化シクロヘキサンであった。実施例1
と同様に蒸留を行ったところ、28%の収率で4−クロ
ルシクロヘキセンを18%含む3−クロルシクロヘキセ
ンが得られた。4−クロルシクロヘキセンを蒸留で分離
することは、できなかった。
温に保ち、シクロヘキセンを塩素より過剰量用いること
により、4−クロルシクロヘキセンの含有量が極めて少
なく、高純度の1,3−シクロヘキサジエンに誘導可能
な3−クロルシクロヘキセンを容易に安定して製造する
ことができるものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 シクロアルケンを塩素を用いて塩素化す
るに際し、不活性ガス雰囲気下、該シクロアルケンを塩
素に対して過剰量用い、且つ70℃以上500℃以下の
温度で塩素化することを特徴とするシクロアルケンの塩
素化方法。 - 【請求項2】 0℃、常圧において0.01g/リット
ル以上2.9g/リットル以下の塩素濃度に調整した塩
素−不活性ガス混合気体を用いて塩素化することを特徴
とする請求項1に記載のシクロアルケンの塩素化方法。 - 【請求項3】 該シクロアルケンがシクロヘキセンであ
ることを特徴とする請求項1及び2に記載のシクロアル
ケンの塩素化方法。
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