JP3632243B2 - ジフルオロ酢酸フルオリドおよびジフルオロ酢酸エステルの製造方法 - Google Patents
ジフルオロ酢酸フルオリドおよびジフルオロ酢酸エステルの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
ジフルオロ酢酸フルオリド、およびジフルオロ酢酸エステルは各種の触媒、医農薬の中間体および機能性材料の中間体等に用いられる有用な化合物である。本発明は、ジフルオロ酢酸フルオリドおよびジフルオロ酢酸エステルの製造方法および、原料である1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法としては、(1)ジフルオロ酢酸を五塩化リンや塩化チオニル等と反応させた後、フッ化カリウム等のフッ化金属と反応させる方法、(2)1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを三酸化硫黄およびフルオロ硫酸の存在下で分解させる方法(J.Fluorine Chem.,3,63(1973)) 、(3)1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンをハロゲン化アンチモン、ハロゲン化チタン等の触媒の存在下で反応させる方法(USP4357282)が知られている。
【0003】
ジフルオロ酢酸エステルの製造方法としては、(4)ジフルオロ酢酸とアルコールを酸触媒の存在下にエステル化する方法、(5)1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンと硫酸とシリカとを反応させる方法(J.Am.Chem.Soc.,72,1860(1950))が知られている。
【0004】
1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの製造方法としては、(6)テトラフルオロエチレンとエタノールとを水酸化カリウムの存在下に反応させる方法(J.Am.Chem.Soc.,72,1860(1950))が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
(1)および(4)の方法においては、原料のジフルオロ酢酸が入手しにくい問題がある。ジフルオロ酢酸の製造方法としては、(7)クロロトリフルオロエチレンを出発物質として、これをアルキルアミン類と反応させ、加水分解しクロロフルオロ酢酸アミドを得て、さらにフッ素化しジフルオロ酢酸アミドに変換した後に加水分解する方法(Collect.Czech.Chem.Comm.,42(8),2537(1977)、CS180697号) 、(8)テトラフルオロエチレンにアンモニアを付加し2,4,6−ジフルオロメチル−1,3,5−トリアジンとした後、加水分解する方法(USP2442995 、J.0rg.Chem.,14,751(1949)) 等が報告されている。
【0006】
しかし、(7)の方法では、クロロフルオロ酢酸アミドのフッ素化反応が長時間かつ高温の反応であり、またフッ素化後の後処理が煩雑であり、かつ、収率も低い問題がある。また、(8)の方法では、テトラフルオロエチレンとアンモニアの付加が34kgG/cm2 もの高圧反応であるため、工業的な実施は不可能である。
【0007】
また、(7)、(8)のいずれの方法においても加水分解工程を必要とする。硫酸を用いた加水分解工程を採用した際には、大量の硫酸廃液を生ずる問題がある。またアルカリ金属水酸化物の水溶液を用いた加水分解工程を採用した際には、ジフルオロ酢酸と無機塩を含んだ水との混合物が得られ、ジフルオロ酢酸は水より高沸であるため、無機塩の中より蒸留しなければならず、回収率が低い問題がある。
【0008】
また、(2)の方法は、反応副生成物であるアルキルフルオロサルフェートの毒性が高いため、その処理が問題となる。(3)の方法は、反応転化率が低く、触媒が取り扱いにくい問題がある。(5)の方法は、反応の制御が困難であるうえに、反応器が腐食する問題がある。(6)の方法は、テトラフルオロエチレンを反応初期に一括導入するため、反応初期の圧力が20kgG/cm2 もの高圧となることから、危険を伴う反応であるという欠点がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の従来法が有する欠点を克服するために鋭意検討を重ねた。その結果、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロ酢酸フルオリド、およびジフルオロ酢酸エステルを高収率かつ工業的に製造する方法を見いだした。
【0010】
すなわち、本発明は、一般式HCF2 CF2 OR1 (ただし、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応せしめることを特徴とするジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法を提供する。
【0011】
また、ジフルオロ酢酸フルオリドを一般式R2 OH(ただし、R2 は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるアルコール類と反応せしめることを特徴とする一般式HCF2 COOR2 で表されるジフルオロ酢酸エステルの製造方法を提供する。
【0012】
また、一般式R1OHで表されるアルコール化合物とテトラフルオロエチレンとを塩基の存在下に反応せしめて一般式HCF2CF2OR1で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンとせしめる反応において、テトラフルオロエチレンを3kgG/cm2以下で反応系に導入しながら反応させることを特徴とする1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの製造方法を提供する。
【0013】
本発明の原料である一般式HCF2 CF2 OR1 (ただし、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは、公知の化合物(J.Am.Chem.Soc.,73,1329(1951))であり、対応するアルコール化合物(R1 OH)とテトラフルオロエチレンとを塩基の存在下に反応させる方法で合成できる。
【0014】
本発明においては、テトラフルオロエチレンを3kgG/cm2 以下、特には0〜3kgG/cm2 で反応系に導入しながら反応させる方法を採用するのが好ましい。テトラフルオロエチレンを低圧力で導入する方法は、安全に反応が実施できる利点があるだけでなく、従来の方法よりも収率も高くなる利点がある。
【0015】
該反応における塩基としては、アルカリ金属水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましい。さらに該塩基としては、水で希釈したものを用いてもよく、安価な工業用の85%品等を用いることもできる。
【0016】
この方法で合成した1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは、従来の方法で合成したものよりも、高収率で得られ、副生成物も少ないことから反応生成物を水洗するだけの精製方法で高純度のものにできる。得られる1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−プロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−イソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン。
【0018】
本発明においては上記の1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応せしめる。この反応は、以下の式で表現できる。
【0019】
【化1】
HCF2 CF2 OR1 → HCF2 COF+R1 F
【0020】
金属酸化物触媒としては、上記の反応を効率的に進ませる金属酸化物であれば、特に限定されない。該金属酸化物における金属成分としては、アルミニウム、ジルコニウム、およびチタンが好ましい。金属酸化物触媒は、アルミナ(Al2 O3 )、ジルコニア(ZrO2 )、およびチタニア(TiO2 )からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物触媒が好ましく、特にアルミナが反応性および触媒寿命の点で好ましい。
【0021】
また、本発明の金属酸化物触媒は、金属成分と酸素以外の他の原子を含んでいてもよく、他の原子としては、フッ素原子、塩素原子等が好ましい。たとえば、部分フッ素化アルミナ、部分塩素化アルミナ、部分フッ素化塩素化アルミナ、部分フッ素化ジルコニア、部分フッ素化チタニア等であってもよい。金属酸化物触媒中の塩素原子やフッ素原子の割合は、特に限定されない。
【0022】
金属酸化物触媒は、通常は粒子の形態で用いられる。粒子径は、特に限定されず、通常は、20μm〜5mm程度である。また、金属酸化物触媒が塩素原子やフッ素原子を含む場合、金属酸化物触媒の表面のみに塩素原子やフッ素原子が存在していてもよい。
【0023】
金属酸化物触媒は、本発明の反応に先立って、活性化処理を施すのが好ましい。活性化処理としては、通常の手法が適用され、特に限定されない。好ましい活性化処理としては、250℃〜300℃程度の窒素気流中で充分に脱水し、ジクロロジフルオロメタン(以下、R12と記す)、クロロジフルオロメタン、またはフッ化水素等で活性化させるのが好ましい。該活性化処理によって、金属酸化物触媒の表面または全体に、金属成分および酸素以外の原子を含む金属酸化物触媒が生成すると考えられる。
【0024】
HCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒との反応は気相反応で実施する。さらに該反応においては、不活性ガスを存在させてもよい。該不活性ガスとしては、窒素または希ガス類が挙げられ、扱いやすさおよび入手しやすさ等の点から、窒素またはヘリウムが好ましい。不活性ガスを存在させる場合の量は、特に限定されないが、多すぎる場合には回収率が下がる恐れがあるため、通常の場合、原料の1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの気化物との合量中に不活性ガス50体積%程度以下となるように存在させるのが好ましい。
【0025】
HCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒の反応を実施する反応器としては、固定床タイプまたは流動床タイプが好ましく、該反応器は、反応物の種類や量等に応じて適宜変更できる。
【0026】
HCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒の反応温度は、触媒の種類および原料によって異なる。通常100〜300℃程度が適当であり、特に150〜250℃が好ましい。この反応は吸熱反応であり、反応温度が低いと転化率が低くなる傾向がある。反応時間は通常0.1〜300秒であり、特に2〜60秒が好ましい。反応時間が短すぎる場合にも、転化率が低くなる恐れがあり、一方、長すぎると副生成物の生成が多くなる恐れがある。反応圧力は、特に限定されず、常圧、減圧、または加圧のいずれであってもよい。通常の場合は0.5〜5気圧程度が好ましい。
【0027】
本発明のHCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒の反応においては、通常、目的とするジフルオロ酢酸フルオリドの他に、副生成物として、フッ化アルキル、さらにその分解物であるオレフィンやフッ化水素が生成する。また、ジフルオロ酢酸アルキルエステルやジフルオロ酢酸が生成する場合もある。したがって、反応で得られた粗生成物は、通常の場合、精製処理するのが好ましい。
【0028】
ジフルオロ酢酸フルオリドの精製処理の方法としては、特に限定されない。たとえば、反応粗生成物を、第3アミンまたはフッ化ナトリウムペレット等と接触させ、フッ化水素を除いた後、蒸留することによりジフルオロ酢酸フルオリドを容易に精製できる。なおジフルオロ酢酸フルオリドを次の工程の原料として用いる場合には、該精製処理は必ずしも実施しなくてよい。
【0029】
本発明のHCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒との反応は、きわめて高い反応率であり、反応成績の再現性にも優れる。また、気相流通連続系での反応であるため、効率的であり、生産性の点でも優れた反応である。
【0030】
ジフルオロ酢酸フルオリドは、末端の−COF基と反応する他の化合物と反応させて他の有用な化合物へ導くことができる。たとえば、ジフルオロ酢酸フルオリドは、一般式R2 OHで表されるアルコール類と反応させて一般式HCF2 COOR2 (ただし、R2 は炭素数1から4のアルキル基を示す。)で表されるジフルオロ酢酸エステルとせしめことができる。該反応は下式で表現できる。
【0031】
【化2】
HCF2 COF+R2 OH → HCF2 COOR2 +HF
【0032】
一般式R2 OHで表されるアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
HCF2 COFとR2 OHとの反応は、気相反応であっても液相反応であっても実施できる。通常は液相反応で実施するのが好ましい。液相反応で実施する場合の反応装置としては、バッチ式の反応装置、または吸収塔式の反応装置が好ましい。反応温度は0〜50℃が好ましく、反応圧力は−1〜3kgG/cm2 程度が好ましく、通常は常圧で行うのが好ましい。
【0034】
HCF2 COFとR2 OHとの反応は、反応溶媒の存在下であっても不存在下であっても実施でき、不存在下に実施するのが好ましい。反応溶媒を存在させる場合には、非プロトン性の溶媒が好ましい。
【0035】
また、副生するフッ化水素、または、前段階のHCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒との反応から持ち込まれるフッ化水素を除去するために、反応系に第3アミン等を存在させてもよい。
【0036】
第3アミンとしては、R3R4R5N(R3、R4、R5は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基またはアリール基を示す。)が好ましく、トリアルキルアミン、(ジアルキル)(フェニル)アミンが特に好ましく、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。第3アミンの量は、HCF2CF2OR1の1モルに対して2モル以下が好ましい。第3アミン等を存在させることによって、反応転化率を大きくすることができる。
【0037】
HCF2 COFとR2 OHとの反応で生成するジフルオロ酢酸エステル(HCF2 COOR2 )は、反応に用いた対応するアルコール類(R2 OH)と共沸する性質がある。したがって、実質的にアルコール類を含まないジフルオロ酢酸エステルを得たい場合には、(a)R2 OHを含むジフルオロ酢酸エステルに、ジフルオロ酢酸フルオリドを接触させてR2 OHと反応させることによって、R2 OHを含まない高純度のジフルオロ酢酸エステルが得られる。あるいは、(b)水洗および蒸留等の方法を組み合わせてR2 OH等を除去してもよい。これらのうち、精製処理によって生じる廃液等の処理の問題がない点から、(a)の方法で実施するのが好ましい。
【0038】
(a)の方法は、吸収塔式の反応装置で実施するのが好ましく、特に、反応を工業的な大容量で連続的に実施する場合には、以下の方法で実施するのが好ましい。
【0039】
まず、直列に配置した吸収塔Aと吸収塔Bを準備する。吸収塔Aには、R2 OHまたはR2 OHを含むジフルオロ酢酸エステルを充填し、吸収塔Bには、R2 OHを充填する。第1工程として、吸収塔Aに、ジフルオロ酢酸フルオリドを導入して、ジフルオロ酢酸フルオリドとR2 OHとを反応させてジフルオロ酢酸エステルを生成させる。同時に、吸収塔AではR2 OHを減少させる。そして、未反応のジフルオロ酢酸フルオリドを吸収塔Bに導出する。
【0040】
R2 OHを充填した吸収塔Bには、吸収塔Aから導出されたジフルオロ酢酸フルオリドを導入して、R2 OHとジフルオロ酢酸フルオリドとを反応させてR2 OHを含むジフルオロ酢酸エステルを生成させる。吸収塔Aにおいて実質的にR2 OHを含まないジフルオロ酢酸エステルが生成したところで、ジフルオロ酢酸エステルを取り出す。
【0041】
第2工程は、第1工程におけるR2 OHを含むジフルオロ酢酸エステルが充填されている吸収塔Bを第2工程における吸収塔Aとする。第1工程における吸収塔Aには、R2 OHを充填して第2工程における吸収塔Bとする。そして、前記第1工程と同じ操作を行う。さらに該第1工程と第2工程と同じ操作を、順に繰り返すことよって、連続的に高純度のジフルオロ酢酸エステルが合成できる。
【0042】
上記の方法は、連続操業が可能である利点がある。また、廃液処理等の問題がないため、特に好ましい方法である。得られたジフルオロ酢酸エステルは、通常はフッ化水素および副生成物を蒸留により除去して製品とするのが好ましい。
【0043】
また、R2OHとジフルオロ酢酸フルオリドとの反応をバッチ式の反応装置で実施する場合は、(b)の方法で精製処理するのが好ましく、まず、ジフルオロ酢酸エステルを含む反応粗液を水洗してR2OHを除去して、その後に蒸留するのが好ましい。
【0044】
本発明のジフルオロ酢酸エステルの製造方法は、きわめて高い反応率で高純度のジフルオロ酢酸エステルが得られる優れた方法である。また、HCF2 CF2 OR1 のR1 、およびR2 OHのR2 が、同一のアルキル基である場合は、HCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒との反応において通常副生するジフルオロ酢酸アルキルエステル(HCF2 COOR1 )と、つぎの反応の目的物であるジフルオロ酢酸エステル(HCF2 COOR2 )とは同一化合物となる。したがって、HCF2 CF2 OR1 と金属酸化物触媒との反応後に精製処理を実施する必要性はなく、効率的であり、かつ、全体の収率も若干増加する利点がある。
【0045】
さらに、本発明においては、いずれの反応段階も反応成績の再現性に優れる。また、本発明の反応を組み合わせることによって、ジフルオロ酢酸フルオリドを連続的に生産して、つぎの反応に供給できるため、工業的な連続生産方法として採用できる。また、R2 OHを含まないジフルオロ酢酸エステルを製造する反応は、一度に大容量の反応を実施する工業的な生産方法として特に優れる。
【0046】
本発明により得られるジフルオロ酢酸フルオリドおよびジフルオロ酢酸エステルは、各種の触媒、医農薬の中間体、および機能性材料の中間体等に用いられるきわめて有用な化合物である。
【0047】
たとえば、ジフルオロ酢酸フルオリドは、−COF基と反応性の基を有する他の化合物との反応によって種々の有用な化合物へ変換されうる。該他の化合物としては、水酸基、第1アミノ基、第2アミノ基、イミン、または=NOH等の基を有する化合物、あるいは該化合物の塩が好ましい。
【0048】
たとえば、ジフルオロ酢酸フルオリドを対応するイミノ基を有する化合物と反応させることにより、下式で表されるイミノチアゾリン化合物を合成できる。該化合物はUSP5244863に除草剤として記載される有用な化合物である。
【0049】
【化3】
【0050】
ジフルオロ酢酸フルオリドと他の化合物とを反応させる場合にも、フッ化水素が発生するため、前記の第3アミン等を存在させるのが好ましい。
【0051】
【実施例】
以下に本発明を例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、例22は参考例である。
【0052】
[例1]1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの合成例
10リットルハステロイC製のオートクレーブに85%水酸化カリウム659g(10モル)とメタノール2260g(70.6モル)を仕込み、充分に窒素置換した。反応温度を40℃以下に保持し、反応器圧力が3kgG/cm2 を超えないように2〜3kgG/cm2 で調節しながらでテトラフルオロエチレンをフィードした。反応は発熱的に進行した。9時間後、テトラフルオロエチレンのフィード量が6139g(61.4モル)になったところで反応を終了させた。反応粗液を2kgの水で3回水洗することにより純度99.7%の1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン7296g(55.3モル、90%収率)を得た。
【0053】
[例2]1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの合成例
例1のメタノール量を2990gとすること以外は同様に反応を実施した。8時間後、テトラフルオロエチレンのフィード量が5465g(54.6モル)になったところで反応を終了させた。反応粗液を2kgの水で3回水洗することにより純度99.7%の1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン7378g(50.5モル、92.5%収率)を得た。
【0054】
[例3]1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの合成例
例1のメタノール2260gの代わりにエタノール4300gとすること以外は同様に反応を実施した。8時間後、テトラフルオロエチレンのフィード量が5465g(54.6モル)になったところで反応を終了させた。反応粗液を2kgの水で3回水洗することにより純度99.7%の1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを94.5%収率で得た。
【0055】
[例4〜8]ジフルオロ酢酸フルオリドの合成例
γ−アルミナ300ccを充填した内径2.54cm、長さ100cmのインコネル600製U字型反応管を塩浴炉中に浸漬し、250℃とし、窒素気流中で12時間、R12気流中で12時間活性化させた。1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを予熱器で気化し、常圧で反応管に導入した。反応温度(塩浴炉温度)および反応管の滞留時間を表1に示す。反応開始後30分の反応粗ガスをNMR法によって分析した結果、ジフルオロ酢酸フルオリドの生成を確認した。ガスクロマトグラフ法(FID検出器。以下の例においても同様。)の分析結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
[例9〜11]ジフルオロ酢酸フルオリドの合成例
例4の1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの代わりに1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを用い、表2に示す反応温度と滞留時間で同様に反応を行い、ジフルオロ酢酸フルオリドの生成を確認した。反応生成物の分析結果を表2に示す。
【0058】
[例12]ジフルオロ酢酸フルオリドの合成例
1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの代わりに1−イソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを用いたこと以外は例4と同様に反応を行い、ジフルオロ酢酸フルオリドの生成を確認した。反応生成物の分析結果を表2に示す。
【0059】
[例13]ジフルオロ酢酸フルオリドの合成例
例4と同じ条件で反応を連続して継続し、280時間経過後の反応粗ガスを分析したところ、ジフルオロ酢酸フルオリドの生成を確認した。反応生成物の分析結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
[例14]ジフルオロ酢酸フルオリドの合成例
γ−アルミナ300ccの代わりにジルコニア300ccを用いたこと以外は例4と同様に反応を行い、ジフルオロ酢酸フルオリドの生成を確認した。反応生成物の分析結果を表3に示す。
【0062】
[例15〜17]ジフルオロ酢酸フルオリドの合成例
滞留時間を8秒としたこと(例15)、反応開始から50時間経過後の反応粗ガスを分析したこと(例16)、または、反応温度を220℃としたこと(例17)、以外は例14と同様に反応を行い、ジフルオロ酢酸フルオリドの生成を確認した。反応生成物の分析結果を表3に示す。
【0063】
[例18]ジフルオロ酢酸フルオリドの合成例
1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの代わりに1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを用い、反応温度を250℃としたこと以外は例14と同様に反応を行い、ジフルオロ酢酸フルオリドの生成を確認した。反応生成物の分析結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
[例19]ジフルオロ酢酸エチルの合成例
例4の反応粗ガス(主成分はジフルオロ酢酸フルオリドである)を、エタノール146g(3.0モル)およびトリエチルアミン303g(3.0モル)が仕込まれた2リットルのプラスチック製ビンに10℃でバブリングさせた。ジフルオロ酢酸フルオリド365g(2.5モル)を約75分かけてフィードした後、窒素を200cc/分の速度で気相反応器に20分間流した。プラスチック製ビンの反応粗液を2リットルの水で水洗し、有機層と水層に分離し、水層を300ccの塩化メチレンで抽出し、塩化メチレン層と有機層を合わせて蒸留したところ、純度99.5%以上のジフルオロ酢酸エチル(沸点:101℃)を285g(91.9%収率)得た。
【0066】
[例20]ジフルオロ酢酸エチルの合成例
例4の反応粗ガスの代わりに例14の反応粗ガスを用いた以外は例19と同様に行ったところ、純度99.5%以上のジフルオロ酢酸エチルを280g(90.3%収率)得た。
【0067】
[例21]ジフルオロ酢酸エチルの合成例
γ−アルミナ300ccを充填した内径2.54cm、長さ100cmのインコネル600製U字型反応管を200℃の塩浴炉中に浸漬し、毎分約4.5gの1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを予熱器で気化し、常圧で反応管に導入した。
【0068】
反応管から導出されたジフルオロ酢酸フルオリドを含む反応粗ガスが2本のテフロン製の吸収塔(A、B)を直列的に通過するように配列し、吸収塔Aから反応粗ガスを導入した。A、B各吸収塔に、エタノール920gを入れた。第1工程として、50℃で液とガスとの接触時間が5秒程度になるように循環させた。18時間後、吸収塔Aのエタノール量は、100ppm以下であり、吸収塔Bのエタノール量を、ガスクロマトグラフ法で分析したところ20.3面積%であった。吸収塔A中の反応液をステンレス製の蒸留塔で蒸留して、ジフルオロ酢酸エチル2580gを得た。
【0069】
さらに第2工程として、第1工程の吸収塔Bを吸収塔Aとし、ジフルオロ酢酸エチルを抜き出した第1工程の吸収塔Aにエタノール920gを入れて吸収塔Bとし、第1工程と同様に反応粗ガスを循環させた。吸収塔A中のエタノール量が100ppm以下となったところで反応を終了させた。このとき、吸収塔B中のエタノール量は20.4面積%であった。吸収塔A中の反応液をステンレス製の蒸留塔で蒸留して、ジフルオロ酢酸エチル2600gを得た。
【0070】
[例22]N,N−ジエチルジフルオロ酢酸アミドの合成例
γ−アルミナ300ccを充填した内径2.54cm、長さ100cmのインコネル600製U字型反応管を塩浴炉中に浸漬して、250℃とし、窒素気流中で12時間、つぎにR12気流中で12時間活性化させた。例3で合成した1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを予熱器で気化し、常圧で反応管に導入した。反応温度(塩浴炉温度)は200℃、反応管の滞留時間は15秒であった。
【0071】
反応粗ガスをジエチルアミン219g(3.0モル)とトリエチルアミン303g(3.0モル)と塩化メチレン300gが仕込んである2リットルプラスチック製ビンに10℃でバブリングさせた。1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン365g(2.5モル)を約75分かけてフィードした後、窒素を200cc/分の速度で気相反応器に20分間流した。反応粗液を2リットルの水で水洗し、水相を300gの塩化メチレンで抽出し、有機相を合わせて蒸留したところ、純度99.5%以上のN,N−ジエチルジフルオロ酢酸アミド(沸点:64℃/11torr)を353g(93.5%収率)得た。
【0072】
【発明の効果】
本発明の反応は、いずれも、きわめて高い反応率および選択率であり、反応成績の再現性もよい優れた反応である。また、反応は、連続かつ定量的に実施できるため工業的な生産方法としても適当な方法である。さらに、本発明の反応は、、安全な条件で実施できることから、実用性の高い方法である。
Claims (6)
- 一般式HCF2CF2OR1(ただし、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応せしめることを特徴とするジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
- 一般式HCF2CF2OR1(ただし、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応せしめてジフルオロ酢酸フルオリドとせしめ、該ジフルオロ酢酸フルオリドを一般式R2OH(ただし、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるアルコール類と反応せしめることを特徴とする一般式HCF2COOR2(ただし、R2は前記と同じ意味を示す。)で表されるジフルオロ酢酸エステルの製造方法。
- 一般式R2OH(ただし、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるアルコール類とともに第3アミンを存在させる請求項2に記載のジフルオロ酢酸エステルの製造方法。
- R2がエチル基である請求項2または3に記載のジフルオロ酢酸エステルの製造方法。
- R1とR2が同一のアルキル基である請求項2または3に記載のジフルオロ酢酸エステルの製造方法。
- 一般式HCF2CF2OR1(ただし、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応せしめてジフルオロ酢酸フルオリドとせしめ、該ジフルオロ酢酸フルオリドを一般式R2OH(ただし、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるアルコール類と反応せしめて該アルコール類を含む一般式HCF2COOR2(ただし、R2は前記と同じ意味を示す。)で表されるジフルオロ酢酸エステルを得て、該アルコール類を含むジフルオロ酢酸エステルに、ジフルオロ酢酸フルオリドを接触させてジフルオロ酢酸フルオリドと一般式R 2 OH(ただし、R 2 は前記と同じ意味を示す。)で表されるアルコール類とを反応させることを特徴とする、一般式R 2 OH(ただし、R 2 は前記と同じ意味を示す。)で表されるアルコール類を実質的に含まないジフルオロ酢酸エステルの製造方法。
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