JP5217927B2 - ジフルオロ酢酸エステルの製造方法 - Google Patents

ジフルオロ酢酸エステルの製造方法 Download PDF

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本発明は、医農薬中間体、反応試剤として使用されるジフルオロ酢酸エステルの製造方法に関し、より詳しくは、ジフルオロ酢酸エステル生成工程等で混入するフッ化水素を除去する方法に関する。
ジフルオロ酢酸エステルは、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応させて得られるジフルオロ酢酸フルオリドをアルコールと反応させることで製造できる(特許文献1)。
CHF2COF + ROH → CHF2COOR + HF
特開平8−92162号公報
前記反応式から明らかなようにこの反応は副生成物としてフッ化水素が等モル発生するため、生成物からフッ化水素を除く精製処理が必要であるが、一般に生成物からフッ化水素を除去する最も簡便な方法である水洗浄を行うとジフルオロ酢酸エステルは加水分解するという問題があり、単純にこの方法を適用することはできない。
本発明は、水洗浄においてジフルオロ酢酸エステルの加水分解が進行しない方法を提供することを課題とする。
フッ素化反応や分解反応により得られた生成物に伴われるフッ化水素を水や塩基性水溶液と接触させてフッ化水素を除去する精製方法はフッ素化学の分野で一般的に行われている。しかし、ジフルオロ酢酸エステルは塩基や酸を触媒として容易に加水分解してジフルオロ酢酸とアルコールを生成し、また、ジフルオロ酢酸エステルを豊富に含む層と水槽との界面の分離が明瞭でないため分離操作が煩雑になることもあり、フッ化水素を含むジフルオロ酢酸エステルからフッ化水素を除去するために水洗浄を採用することは困難である。また、前記ジフルオロ酢酸エステルの製造方法では生成物に通常未反応のアルコールを含むが、フッ化水素とアルコールの混合物はガラスだけでなくステンレススチールも腐食するので、汎用的な分離方法である蒸留によることも困難である。
そこで、本発明者らは、フッ化水素を含むジフルオロ酢酸エステルを水洗浄してフッ化水素を除去する方法について検討したところ、炭化水素溶媒の存在下に水洗浄するとジフルオロ酢酸エステルの加水分解が著しく少ないことを見出し本発明の製造方法を完成させた。
本発明は次の通りである。
[1]フッ化水素を含有するCHF2COOR(Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるジフルオロ酢酸エステルを水と接触させてフッ化水素を含まないジフルオロ酢酸エステルを製造する方法であって、水と接触させる際に炭素数5〜8の炭化水素を存在させる製造方法。
[2]フッ化水素を含有するジフルオロ酢酸エステルがCHF2CF2OR’(R’は、一価の有機基を表す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの熱分解生成物とROH(Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるアルコールの反応生成物として得られたジフルオロ酢酸エステルである[1]の製造方法。
[3]熱分解生成物が、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンをリン酸アルミニウム触媒存在下に熱分解して得られた熱分解生成物である[2]の製造方法。
[4]1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの熱分解生成物とアルコールの反応生成物を得る際にアルコールが炭化水素に溶解されている[2]または[3]の製造方法。
[5]フッ化水素を含有するCHF2COOR(Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるジフルオロ酢酸エステルを炭素数5〜8の炭化水素の存在下、水と接触させて二層を形成させ、そのうちジフルオロ酢酸エステルの豊富な層を取得することからなるジフルオロ酢酸エステルの精製方法。
ジフルオロ酢酸エステルは酸性条件下で容易に加水分解するので通常はジフルオロ酢酸エステルに含まれるフッ化水素を水で洗浄して除くことはできないが、本発明の方法では、加水分解が著しく抑制されるため水との接触によりフッ化水素を除去することができる。
<ジフルオロ酢酸フルオリドの製造>
本発明にかかるジフルオロ酢酸フルオリドは、どのような方法で製造されたものであってもよい。例えば、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、触媒存在下に反応させて製造できる。この反応は、以下の式で表わされる。
CHF2CF2OR’ → CHF2COF + R’F
この反応の出発原料である1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンのアルコキシ基のRは一価の有機基である。具体的には、分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基、アルキル基を置換基をして有することもあるシクロアルキル基、含フッ素アルキル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができ、これらのうちアルキル基または含フッ素アルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、低級アルキル基がさらに好ましい。低級アルキル基とは、炭素数1〜4のアルキル基をいう。
分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基を例として挙げることができる。
アルキル基を置換基をして有することもあるシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、2−エチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、3−エチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチルシクロヘプチル基、3−メチルシクロヘプチル基、3−メチルシクロヘプチル基、4−メチルシクロヘプチル基などを挙げることができる。
アリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などを例として挙げることができる。
含フッ素アルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、n−ヘキサフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを例として挙げることができる。
アラルキル基としては、フェネチル基、2−メチルフェニルメチル基、3−メチルフェニルメチル基、4−メチルフェニルメチル基、2,3−ジメチルフェニルメチル基、2,4−ジメチルフェニルメチル基、2,5−ジメチルフェニルメチル基、2,6−ジメチルフェニルメチル基、3,4−ジメチルフェニルメチル基、3,5−ジメチルフェニルメチル基、3,6−ジメチルフェニルメチル基、4−エチルフェニルメチル基、4−(n−プロピル)メチルフェニルメチル基、4−(n−ブチル)メチルフェニルメチル基などを例として挙げることができる。
1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは、公知の製造方法で得ることができる。例えば、アルコール(R’OH)とテトラフルオロエチレンを塩基の存在下に反応させる方法で合成できる。
具体的には、メタノールとテトラフルオロエチレンとを水酸化カリウムの存在下に反応させる方法により1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンが合成できる(J.Am.Chem.Soc.,73,1329(1951))。
本発明において使用できる含フッ素エーテルの具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−プロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−イソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(s−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(t−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−トリフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ジフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ペンタフルオロエトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ヘキサフルオロイソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンなどを挙げることができる。
本発明にかかる熱分解に使用する触媒は固体触媒であり、特開平8−92162号公報に記載された金属酸化物、金属フッ素化酸化物並びにリン酸塩を触媒として使用できる。リン酸塩は、担体に担持されたものであってもよい。
リン酸としては、オルトリン酸、ポリリン酸、メタリン酸のいずれであってもよい。ポリリン酸としては、ピロリン酸などが挙げられる。リン酸塩は、これらのリン酸の金属塩である。取り扱いが容易であるのでオルトリン酸であるのが好ましい。リン酸塩とは、これらのリン酸の金属塩をいうが、本明細書では金属が水素原子に置換した酸をも金属塩というものとする。
リン酸塩としては、特に限定されないが、水素、アルミニウム、ホウ素、アルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、ランタン、セリウム、イットリウム、希土類金属、バナジウム、ニオブ、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群より選ばれた、少なくとも1種の金属のリン酸塩が挙げれる。好ましくは、主成分であるリン酸塩はリン酸アルミニウム、リン酸セリウム、リン酸ホウ素、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸クロムなどである。これらは他の金属を含むことも好ましい。具体的にはセリウム、ランタン、イットリウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル等が好ましいが、セリウム、鉄、イットリウムがより好ましい。これらのうちで、さらに好ましくは、リン酸アルミニウム、リン酸セリウムおよびこれら二種からなるリン酸塩である。
触媒の調製方法に特に制限はなく、市販のリン酸塩をそのまま使っても良いし、一般的な沈殿方法でも良い。沈殿方法の具体的な調製方法としては、例えば、金属の硝酸塩(複数の原料塩の場合はそれぞれの原料塩の溶液を調製する)とリン酸の混合水溶液に、希釈アンモニア水を滴下してpHを調節して沈殿させ、必要に応じて熟成放置する。その後、水洗し、洗浄水の電導度などで十分に水洗したことを確認する。場合によっては、スラリーの一部を取り含有するアルカリ金属を測定する。次いで濾過し乾燥する。乾燥する温度に特に制限はない。好ましくは80℃〜150℃がよい。さらに好ましくは100℃〜130℃である。得られた乾燥体は粉砕し粒度を揃えるか、さらに粉砕し成型する。その後、200℃〜1500℃の条件で空気や窒素雰囲気で焼成する。好ましくは400〜1300℃、さらに好ましくは500℃〜900℃で焼成を行うことがよい。
焼成時間は温度にもよるが1時間〜50時間程度で、好ましくは2時間〜24時間程度である。焼成処理は、リン酸塩の安定化に必要な処理であるので、上記の温度範囲より低温で処理を行ったり、処理時間が短い場合は、反応初期において十分に触媒活性を示さないことがある。また、上記の温度範囲以上でまたは長時間焼成処理を行うことは、過剰な加熱エネルギーを要するだけでなく、触媒の結晶化を引き起こすことがあるので好ましくない。
主成分以外の金属成分の添加の操作は、金属塩で行うことが好ましく、前記金属の硝酸塩、塩化物、酸化物、リン酸塩などが好ましい。中でも、硝酸塩が調製しやすく好ましい。添加量に特に制限はないが、一般にはリン1グラム原子に対し1グラム原子以下であり、好ましくは0.5グラム原子以下である。より好ましくは0.3グラム原子以下である。これらの金属成分の添加は、触媒調製時に行っても良く、また、触媒焼成後のリン酸塩に行っても良い。得られた触媒は、塩の種類及び調製方法や条件により物性が異なる。触媒は、そのまま使用してよいが、担体に担持した状態で使用することも可能である。担体としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニア(ZrO(SO4))などの金属酸化物などの金属酸化物、炭化珪素、窒化珪素、活性炭等が挙げられるが、比表面積の大きい活性炭は特に好ましい。
リン酸またはリン酸塩を坦持した活性炭は、リン酸に浸漬して含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させたものを乾燥させて調製できる。化合物を担持させる場合、担持させる化合物の溶液を含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させたものを乾燥させて調製できる。また、その化合物の溶液を含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させた活性炭に対し第二の化合物を作用させて活性炭表面で沈殿反応等を生じさせることで最初の化合物と異なる化合物を担持することもできる。また、先に述べた、リン酸塩の調整方法を活性炭などの担体の存在下で行うことでもリン酸塩担持触媒を調製することができる。具体例として実施例にリン酸アルミニウム担持活性炭を示す。
活性炭は、木材、木炭、椰子殻炭、パーム核炭、素灰等を原料とする植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等を原料とする石炭系、石油残滓、オイルカーボン等を原料とする石油系または炭化ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂系等のいずれのものでもよい。これら市販の活性炭から選択し使用することができ、例えば、瀝青炭から製造された活性炭(東洋カルゴン製BPL粒状活性炭)、椰子殻炭(日本エンバイロケミカルズ製粒状白鷺GX、SX、CX、XRC、東洋カルゴン製PCB)等が挙げられるが、これらに限定されない。形状、大きさも通常粒状で用いられるが、球状、繊維状、粉体状、ハニカム状等反応器に適合すれば通常の知識範囲の中で使用することができる。
本発明において使用する活性炭は比表面積の大きな活性炭が好ましい。活性炭の比表面積は、市販品の規格の範囲で十分であるが、それぞれ400m2/g〜3000m2/gであり、800m2/g〜2000m2/gが好ましい。さらに活性炭を担体に用いる場合、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液に常温付近で10時間程度またはそれ以上の時間浸漬するか、活性炭を触媒担体に使用する際に通常行われる硝酸、塩酸、フッ酸等の酸による前処理を施し、予め担体表面の活性化ならびに灰分の除去を行うことが望ましい。
また、本発明の酸化物などの担体は、金属成分と酸素以外の他の原子を含んでいてもよく、他の原子としては、フッ素原子、塩素原子等が好ましい。たとえば、部分フッ素化アルミナ、部分塩素化アルミナ、部分フッ素化塩素化アルミナ、部分フッ素化ジルコニア、部分フッ素化チタニア等であってもよい。酸化物触媒中の塩素原子やフッ素原子の割合は、特に限定されない。
本明細書および特許請求の範囲においては、特に限定されない限り、前記のように部分的にフッ素化、塩素化などされたアルミナ、ジルコニアなどの酸化物を「アルミナ」、「ジルコニア」などの酸化物名称で表示する。
これらの担体としては、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2 )、およびチタニア(TiO2 )および硫酸ジルコニアならびにこれらの部分フッ素化酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物触媒が好ましく、アルミナおよび部分フッ素化アルミナが反応性および触媒寿命の点でさらに好ましい。
これらの部分フッ素化酸化物はジフルオロ酢酸フルオリド合成触媒の担体として使用できると共に、触媒として使用することもできる。触媒としての調製、前処置、使用等は、本明細書において担体としての調製、前処理、使用等についての説明がそのままあるいは技術常識に従って適宜変更して適用することができる。すなわち、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2 )、チタニア(TiO2 )などの金属酸化物を触媒として使用等する際には、金属化合物等が担持された担持触媒と同様に取り扱えばよい。
リン酸塩からなるまたはリン酸塩を担持した触媒は、通常は粒子または造粒体の形態で用いられる。粒子または造粒体の直径(いずれも、「粒径」ということがある。)は、特に限定されず、通常は、20μm〜10mm程度である。また、触媒が塩素原子やフッ素原子を含む場合、金属酸化物の表面のみに塩素原子やフッ素原子が存在していてもよい。
本発明のリン酸塩からなるまたはリン酸塩を担持した触媒も、使用の前に予めフッ化水素、フッ素化炭化水素またはフッ素化塩素化炭化水素などの含フッ素化合物と接触させて部分フッ素化しておき、反応中の触媒の組成変化、短寿命化、異常反応などを防止することが有効である。
特にフッ化水素で処理することで反応の活性を著しく高めることができる。フッ化水素によるフッ素化処理は、少なくとも本発明にかかる反応の反応温度よりも高い温度において、フッ化水素と接触させることで行うのが好ましい。
具体的には、リン酸塩単体の場合、200〜700℃程度であり、250〜600℃程度が好ましく、300〜550℃がより好ましい。一方、リン酸塩担持触媒の場合、200〜600℃程度であり、250〜500℃程度が好ましく、300〜400℃がより好ましい。いずれも200℃未満では処理に時間を要し、最高温度範囲を超えて処理を行うことは、過剰な加熱エネルギーを要するので好ましくない。また、処理時間は、処理温度とも関係するので限定できないが、1時間〜10日程度、好ましくは、3時間〜3日間程度である。
リン酸を担時しない活性炭の場合、フッ化水素処理を施しても、殆ど活性を示さないが、リン酸処理をした活性炭にフッ化水素処理を行うと、同じ反応条件で、転化率:96.1%、選択率:98.0%という触媒活性を示した。このことからも、フッ化水素処理の効果は容易に見て取ることができる。
さらに、反応に先立って、活性化処理を施すのが好ましい。活性化処理としては、250℃〜300℃程度の窒素気流中で充分に脱水し、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタンなどの有機フッ素化合物、またはフッ化水素、三フッ化塩素などの気体もしくは触媒処理状態で十分な蒸気圧を示す無機フッ素化合物で活性化させるのが好ましい。これらのうちフッ化水素が特に好ましい。この活性化処理によって、触媒の表面または全体に、フッ素原子を含むリン酸塩からなる活性な触媒が生成すると考えられる。
また、反応原料である1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CHF2CF2OR’)のR’が炭素数2以上の基である場合、生成したR’Fが反応領域において分解してフッ化水素を発生することが推定されるが、これが触媒の活性を高める効果を示すことがある。
本発明の方法は、気相流通連続方式が最も好ましい形式として推奨されるが、これに限定されない。反応器の形式は固定床タイプまたは流動床タイプが好ましく、反応器の寸法・形状は、反応物の量等に応じて適宜変更できる。
本発明にかかる反応においては、当該反応条件で不活性な不活性ガスを存在させてもよい。不活性ガスとしては、窒素または希ガス類が挙げられ、扱いやすさおよび入手しやすさ等の点から、窒素またはヘリウムが好ましい。不活性ガスを存在させる場合の量は、特に限定されないが、多すぎる場合には回収率が下がる恐れがあるため、通常の場合、原料の1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの供給速度よりも少ない量が好ましい。
本発明の方法おける反応温度は、触媒の種類および原料によって異なる。通常100〜400℃であり、150〜350℃程度が好ましく、180〜280℃がさらに好ましい。反応温度が100℃未満では転化率が低くなる傾向があり好ましくない。反応温度が400℃を超えると反応装置に過酷な耐熱性が必要となり、過剰な加熱エネルギーを要するので経済的に好ましくない。
反応時間(接触時間)は通常0.1〜300秒であり、0.5〜200秒が好ましく、1〜60秒がより好ましい。反応時間が短すぎる場合にも、転化率が低くなる恐れがあり、一方、長すぎると生産性が低下するのでそれぞれ好ましくない。反応圧力は、特に限定されず、常圧、減圧、または加圧のいずれであってもよい。0.05〜0.5MPa(0.5〜5気圧)程度が好ましく、通常は、操業が容易な大気圧近傍の圧力が好ましい。
本発明にかかる触媒は、経時的にコーキングが発生することがあり、触媒の活性が低下することがある。活性の低下した触媒は、200℃〜1200℃、好ましくは、400℃〜800℃において、酸素と接触させることで容易に活性を再生させることができる。酸素処理は反応管に装填したまま又は外部の装置に装填して行うのが簡便である。そこへ酸素を流通させて行う。酸素の流通方法としては他のガスが共存してもよく、酸素、空気、窒素希釈酸素などが使用できるが、窒素で希釈した空気または空気が経済的に好ましい。また、塩素、フッ素等の酸化力のある気体も使用できる。
本発明の方法にかかる反応においては、目的とするジフルオロ酢酸フルオリドの他に、副生成物としてフッ化アルキル(RF)やRFがさらに分解した化合物が生成する。例えば、RFとしてフッ化エチルが生成する場合、エチレンとフッ化水素となることがある。しかし、反応で得られた粗生成物は、精製処理をしないで他の反応の原料として使用することもできる。
<ジフルオロ酢酸エステルの製造>
ジフルオロ酢酸エステルは、ジフルオロ酢酸フルオリドとアルコール(ROH)と反応させることで製造できる。
CHF2COF + ROH → CHF2COOR + HF
アルコールとしては、特に限定されないが、Rが、分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基若しくは含フッ素アルキル基、アルキル基を置換基をして有することもあるシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができ、これらのうち炭素数1〜8のアルキル基または炭素数2〜8の含フッ素アルキル基が好ましい。さらに、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化アルキル基がより好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基を例として挙げることができる。炭素数2〜8の含フッ素アルキル基としては、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、n−ヘキサフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを例として挙げることができる。
アルコールの使用量はジフルオロ酢酸フルオリドに対して過剰量を用いても反応には問題はないが、過剰量は未反応で残存するので後処理が困難でありかつ無駄である。したがって、アルコールの使用量はジフルオロ酢酸フルオリドに対して0.5〜10当量でよく、0.7〜2当量が好ましく、0.8〜1.5当量がより好ましい。
このエステル化反応の温度は、特に制限されないので別段の加熱・冷却をしない状態でよく、通常0〜50℃程度でよい。反応圧力は、反応に特に影響を及ぼさないので加圧下または減圧下で行っても良いが、特に加圧・減圧をしない常圧付近で行えばよい。
<水洗浄>
ジフルオロ酢酸フルオリドとアルコール(ROH)とを反応させて得られるジフルオロ酢酸エステルは当量のフッ化水素を含んでいるので、一般的にはこのフッ化水素を除去する。本発明に係る方法では、ジフルオロ酢酸エステルを水と接触させて洗浄することでフッ化水素を除去する。この場合、本発明においては炭化水素の存在下において行うことを特徴とする。
炭化水素は、炭素数5〜8の炭化水素である。炭化水素は、直鎖状、分岐状、環状の何れでもよく、飽和または不飽和であってもよい。このような飽和炭化水素を非制限的に例示すると、n-ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、nーオクタン、iso-ペンタン、iso−ヘキサン、3−メチルペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、iso−ヘプタン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、isoーオクタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘプタン、ジメチルシクロペンタン類、トリメチルシクロペンタン類、ジメチルシクロヘキサン類を挙げることができる。不飽和炭化水素としては、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられる。これらの炭化水素のうち飽和炭化水素が取り扱いが容易であり好ましい。また、飽和炭化水素のうちでは、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどが特に好ましい。これらの炭化水素は単独でもまたは2種以上を併せて使用することもできる。
炭化水素の使用量は任意であるが、ジフルオロ酢酸エステル1モルに対して1〜4モルが好ましく、1.5〜3モルがより好ましい。1モル未満では水層と有機層の分離が不十分となることがあり、また、4モルを超えるとエステル生成反応およびジフルオロ酢酸エステルと炭化水素の分離処理装置の大型化するため、それぞれ好ましくない。
本発明にかかる方法において、炭化水素の添加方法は限定されず、ジフルオロ酢酸エステルと水を実質的に接触させる前また同時にジフルオロ酢酸エステルに添加することができる。例えば、アルコールにジフルオロ酢酸ジフルオリドを吹き込みジフルオロ酢酸エステルを生成させた後、炭化水素を添加することもでき、アルコールに炭化水素を溶解させておき、そこへジフルオロ酢酸フロリドを吹き込みジフルオロ酢酸エステルを生成させた後、炭化水素を添加することもでき、その後、水と接触させることができる。また、アルコールにジフルオロ酢酸フルオリドを吹き込みジフルオロ酢酸エステルを生成させた後、水と炭化水素を実質的に同時に添加することもできるが、水との接触前に炭化水素を溶解させておくのがより好ましい。
水との接触は、有機物の水洗浄で行われている既知の方法が採用できる。例えば、攪拌機、ラインミキサー、ポンプ循環、スパージャーなどにより接触効率の向上を図ることができる。
水との接触の後、容器中の液体は静置して二層を形成させ、ジフルオロ酢酸エステルの豊富な層を水層から分離して採集する。
処理温度は特に限定されないが、−10℃以上炭化水素の沸点以下で行うのが好ましいが、通常、常温(特に冷却または加温をしない温度。)で行うのが簡便である。炭化水素の沸点と液温が接近する場合は冷却して炭化水素の沸点より20℃程度低い温度とするのが好ましい。−10℃程度でも固化することはないが、二層の分離が鮮明でなくなり操作に困難をきたすことがあり、特に−10℃のような低温とするメリットはない。
分離されたジフルオロ酢酸エステルを豊富に含む層の有機液体は、水洗浄を繰り返すこともでき、さらに塩基性水溶液で洗浄することもできる。塩基性水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水溶液が使用でき、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムが取り扱い、経済性の面から好ましい。このようにして水溶性の酸性成分を除去した有機液体は、、乾燥剤、例えば、ゼオライト、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水塩化カルシウムで乾燥するのが好ましい。その後、精密蒸留に供することで不純物を実質的に含まないジフルオロ酢酸エステルが得られる。
分離された水層には、主にフッ化水素が含まれているが、ジフルオロ酢酸が含まれることがある。この水溶液はジフルオロ酢酸を除去し、またはしないでフッ酸として使用することができる。
<多段工程>
本発明を適用する例を非制限的に示す。高めれた温度の触媒上に1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを流通させて流出した生成ガスを、分離精製することなく、氷浴で冷却した炭化水素−アルコール(ROH)溶液を仕込んだ容器中にバブリングさせると、概ね定量的にジフルオロ酢酸エステル(CHF2COOR)とフッ化水素(HF)が生成する。そこへ水を添加し振盪してから静置すると水層と有機物層との二層の界面が速やかに形成される。有機層を回収するとともに、水層についてはさらに前記炭化水素と同一または異なる炭化水素で抽出することで水中に溶解したジフルオロ酢酸エステルを回収することもできる。このようにして回収した有機層はゼオライト、無水硫酸マグネシウム、無水塩化カルシウム等の脱水剤で脱水後、有機化学の分野で公知の蒸留手段で分離することによって、高純度のジフルオロ酢酸エステルを得ることができる。蒸留により回収された炭化水素は、必要に応じてさらに脱水やなどの精製操作を経て本発明の実施に再度使用することができる。
上に述べた本発明の適用例において好ましい具体例を挙げると、触媒としてリン酸アルミニウム触媒を使用し、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンとして1−メチル−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc、CHF2CF2OMe)を使用し、炭化水素としてn−ヘキサンを使用する。ここで、触媒として金属酸化物を使用することも好ましい。アルコールとしては、イソプロパノールは取り扱い易いが、前記説明したアルコールでもよい。
本発明は、CHF2CF2OR’(R’は一価の有機基を表す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの熱分解生成物とアルコールの反応生成物であるジフルオロ酢酸エステルにおけるフッ化水素の除去または分離に有効であるが、どのような経緯で混入したフッ化水素であるかは問題ではなく、一般的にジフルオロ酢酸エステル中に含まれる場合に応用可能である。例えば、精製されたジフルオロ酢酸エステルを長期保存したときに発生したフッ化水素の除去にも適用可能である。また、適用態様も特に限定されず、例えば、フッ化水素を含むジフルオロ酢酸エステルに炭化水素と水を添加して混合、振盪、静置、二層分離すること、必要に応じてさらに蒸留、乾燥等することで高純度のジフルオロ酢酸エステルとすることができる。
以下に、本発明を実施例をもって説明するが、本発明はこれらの実施例には限られない。
[実施例1]
各々予め氷浴で冷却したジフルオロ酢酸イソプロピル(CHF2COOCHMe2)(5g)、n−ヘキサン10g、7.8%フッ化水素(HF)水溶液10gを混合し、氷浴で冷却しながら5分間攪拌した。分取して得た水相1mLを100mLメスフラスコに採取して2mol/L-NaOH水溶液で中和し、イオン交換水で希釈し10000倍希釈液とした。この希釈液をイオンクロマトグラフィで定量した結果、CHF2COO-イオン濃度は0.4ppmであった。CHF2COO-イオン量を、ジフルオロ酢酸イソプロピル重量に換算し、試験前のジフルオロ酢酸イソプロピル重量5gで除して加水分解率を求めた。その結果、1.2%の分解率であった。
[調製例1]
アルドリッチ製リン酸アルミニウム(Aluminum phosphate)を5mmφ×5mmLのペレットに打錠成形し、窒素気流中700℃で5時間焼成して、リン酸アルミニウム触媒を調製した。
[ジフルオロ酢酸フルオリド(CHF2COF)合成例1]
外部に電気炉を備えたJIS呼び径32A(内径37.1mm)、長さ500mmのステンレス製反応管に調製例1で調製したリン酸アルミニウム触媒(200cc)を仕込み、窒素を50cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、徐々に気化器を通してHFの供給を始め、1.2g/分まで増加させた。そのままHFを1.2g/分で流通させたまま、350℃までゆっくりと昇温し、24時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CHF2CF2OCH3、HFE−254pc)を4g/分の速度で、気化器を通して導入すると共に窒素の供給を停止した。反応温度が210℃で定常状態になったときに、生成ガスをガスクロマトグラフィー(FID検出器)で分析した結果、転化率:99.6%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:99.8%(CH3Fなどのアルコキシ基に基づく副生成物を除外して求めた面積%。以下同じ。)であった。
[実施例2]
PFA製ガス洗浄瓶(500cc)に、イソプロパノール(IPA)(61.4g)とn−ヘキサン(173.3g)を仕込み、氷浴で冷却した。合成例1の生成ガスを精製することなく、このIPA−ヘキサン溶液にバブリングさせた。合成例1の反応器にHFE−254pcを180g供給した後、洗浄瓶の内容物を全量分液ロートに移し、氷水(262g)を加えて振盪した。静置後、二層に分離した水相から1mLを分取して100mLに希釈した後2mol/L-NaOH水溶液で中和し、さらにイオン交換水で希釈し10000倍希釈液とした。この希釈液をイオンクロマトグラフィで定量した結果、CHF2COO-イオン濃度は0.6ppmであった。CHF2COO-イオン量を、ジフルオロ酢酸イソプロピル重量に換算し、ジフルオロ酢酸イソプロピル重量188gからジフルオロ酢酸イソプロピルの加水分解率を求めたところ0.9%であった。また、有機相をガスクロマトグラフィ(FID検出器)で分析した結果、IPA:0.01面積%、n−ヘキサン:78.28面積%、ジフルオロ酢酸イソプロピル:21.4面積%、その他:0.31面積%であった。これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、蒸留して99.9面積%のジフルオロ酢酸イソプロピルを得た。蒸留には硝子製蒸留塔を用いたが、ガラス部分に失透は認められなかった。
[参考例1]
各々予め氷浴で冷却したジフルオロ酢酸メチル(CHF2COOCH3)(10g)とイオン交換水(20g)を混合し、氷浴で冷却しながら5分間攪拌した。分取して得た水相1mLを100mLメスフラスコに採取して2mol/L-NaOH水溶液で中和し、イオン交換水で希釈し10000倍希釈液とした。この希釈液をイオンクロマトグラフィで定量した結果、CHF2COO-イオン濃度は2.2ppmであった。CHF2COO-イオン量を、ジフルオロ酢酸メチル重量に換算し、試験前のジフルオロ酢酸イソプロピル重量10gで除して加水分解率を求めた。その結果、5.0%の分解率であった。
[参考例2]
各々予め氷浴で冷却したジフルオロ酢酸メチル(CHF2COOCH3)(10g)と38%HF水溶液(20g)を混合し、氷浴で冷却しながら5分間攪拌した。分取して得た水相1mLを100mLメスフラスコに採取して2mol/L-NaOH水溶液で中和し、イオン交換水で100mLまで希釈しイオン交換水で希釈し10000倍希釈液とした。この希釈液をイオンクロマトグラフィで定量した結果、CHF2COO-イオン濃度は18.57ppmであった。CHF2COO-イオン量を、ジフルオロ酢酸イソプロピル重量に換算し、試験前のジフルオロ酢酸メチル重量10gで除して加水分解率を求めた。その結果、43.0%の分解率であった。
[参考例3]
各々予め氷浴で冷却したジフルオロ酢酸イソプロピル(CHF2COO(CH32)(5g)と38%HF水溶液(10g)を混合し、氷浴で冷却しながら5分間攪拌した。分取して得た水相1mLを100mLメスフラスコに採取して2mol/L-NaOH水溶液で中和し、イオン交換水で100mLまで希釈しイオン交換水で希釈し10000倍希釈液とした。この希釈液をイオンクロマトグラフィで定量した結果、CHF2COO-イオン濃度は2.7ppmであった。CHF2COO-イオン量を、ジフルオロ酢酸イソプロピル重量に換算し、試験前のジフルオロ酢酸イソプロピル重量5gで除して加水分解率を求めた。その結果、8.0%の分解率であった。
ジフルオロ酢酸エステルの製造、貯蔵、運搬、回収などの工程または操作においてフッ化水素を含むジフルオロ酢酸エステルからフッ化水素を除去して精製することができる。

Claims (5)

  1. フッ化水素を含有するCHF2COOR(Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるジフルオロ酢酸エステルを水と接触させてフッ化水素を含まないジフルオロ酢酸エステルを製造する方法であって、水と接触させる際に炭素数5〜8の炭化水素を存在させる製造方法。
  2. フッ化水素を含有するジフルオロ酢酸エステルがCHF2CF2OR’(R’は、一価の有機基を表す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの熱分解生成物とROH(Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるアルコールの反応生成物として得られたジフルオロ酢酸エステルである請求項1に記載の製造方法。
  3. 熱分解生成物が、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンをリン酸アルミニウム触媒存在下に熱分解して得られた熱分解生成物である請求項2に記載の製造方法。
  4. 1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの熱分解生成物とアルコールの反応生成物を得る際にアルコールが炭化水素に溶解されている請求項2または3に記載の製造方法。
  5. フッ化水素を含有するCHF2COOR(Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるジフルオロ酢酸エステルを炭素数5〜8の炭化水素の存在下、水と接触させて二層を形成させ、そのうちジフルオロ酢酸エステルの豊富な層を取得することからなるジフルオロ酢酸エステルの精製方法。
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