JP2009023995A - 含フッ素カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】含フッ素エーテルから目的とする含フッ素カルボン酸エステルを一段の反応により得ることができ、かつ、複雑な工程と煩雑な操作を必要とせず、また、過剰のエネルギーを消費することのない製造方法を提供する。
【解決手段】一般式R1HCFCF2OR2(ただし、R1はフッ素原子または炭素数1
〜4のパーフルオロアルキル基、R2 は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エ
ーテルを、固体触媒の存在下に水と反応させることにより一般式R1HCFCOOR2で表される含フッ素カルボン酸エステルを製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】一般式R1HCFCF2OR2(ただし、R1はフッ素原子または炭素数1
〜4のパーフルオロアルキル基、R2 は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エ
ーテルを、固体触媒の存在下に水と反応させることにより一般式R1HCFCOOR2で表される含フッ素カルボン酸エステルを製造する。
【選択図】 なし
Description
含フッ素カルボン酸エステルは各種反応における触媒、医農薬の中間体または機能性材料の中間体等に用いられる有用な化合物である。本発明は、含フッ素カルボン酸エステルの製造方法に関する。
含フッ素カルボン酸エステルの製造方法としては、(1)含フッ素カルボン酸を酸触媒の存在下にエステル化する方法、(2)1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンと硫酸とシリカとを反応させる方法(非特許文献1)、(3)1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応させて得られるジフルオロ酢酸フルオリドをアルコールと反応させる方法(特許文献1)などが知られている。
(1)の方法においては、原料のジフルオロ酢酸が入手しにくいという問題がある。ジフルオロ酢酸の製造方法としては、(4)クロロトリフルオロエチレンを出発物質として、これをアルキルアミン類と反応させ、次いで加水分解してクロロフルオロ酢酸アミドを得て、さらにフッ素化しジフルオロ酢酸アミドに変換した後に加水分解する方法(非特許文献2) 、(5)テトラフルオロエチレンにアンモニアを付加して2,4,6−ジフルオロメチル−1,3,5−トリアジンとした後、加水分解する方法(特許文献2)などが報告されている。
しかし、(4)の方法では、クロロフルオロ酢酸アミドのフッ素化が長時間かつ高温の反応であり、またフッ素化後の後処理が煩雑であり、かつ、収率も低いという問題がある。また、(5)の方法では、テトラフルオロエチレンとアンモニアの付加がゲージ圧3.4MPa(34kgG/cm2)もの高圧反応であるため、工業的な実施は困難である。
また、(4)、(5)のいずれの方法においても加水分解工程を必要とする。硫酸を用いた加水分解工程を採用した際には、大量の硫酸廃液を生ずる問題がある。またアルカリ金属水酸化物の水溶液を用いた加水分解工程を採用する場合、ジフルオロ酢酸は、水と無機塩との混合物として得られるが、ジフルオロ酢酸は水より高沸点であるため、無機塩から蒸留で分離するのは困難であり、回収率が低いという問題がある。
また、(2)の方法は、反応の制御が困難であるうえに、反応器が腐食するおそれがある。また、(3)の方法は、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンから一旦ジフルオロ酢酸フルオリドを製造し、それにアルコールを反応させる二段反応で構成される。さらに詳しくは、一段目の反応によりアルコキシ基部分をアルコールとして脱離させ、二段目において再度アルコールを付加させるという複雑な工程からなっており、このような反応プロセスでは大規模な反応装置と煩雑な操作を必要とし、また、原料の一部を廃棄することにより資源を浪費し、さらに過剰のエネルギーを消費するおそれがある。
J.Am.Chem.Soc.,72,1860(1950) Collect.Czech.Chem.Comm.,42(8),2537(1977)、CS180697号 特開平8−92162号公報
米国特許第2442995号明細書
J.Am.Chem.Soc.,72,1860(1950) Collect.Czech.Chem.Comm.,42(8),2537(1977)、CS180697号
本発明は、含フッ素エーテルから目的とする含フッ素カルボン酸エステルを一段の反応により得ることができ、かつ、複雑な工程と煩雑な操作を必要とせず、また、過剰のエネルギーを消費することのない製造方法を提供する。
本発明者らは、上記の従来法に代わる有利な方法について鋭意検討を重ね、その結果、含フッ素カルボン酸エステルを高収率で工業的に製造する方法を見いだした。
すなわち、本発明は、一般式R1HCFCF2OR2 (ただし、R1はフッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、R2は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エーテルを、固体触媒の存在下に水と反応せしめることからなる一般式R1HCFCOOR2(ただし、R1、R2 は前記と同じ意味を表す。)で表される含フッ素カルボン酸エステルの製造方法である。
すなわち、本発明は、一般式R1HCFCF2OR2 (ただし、R1はフッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、R2は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エーテルを、固体触媒の存在下に水と反応せしめることからなる一般式R1HCFCOOR2(ただし、R1、R2 は前記と同じ意味を表す。)で表される含フッ素カルボン酸エステルの製造方法である。
本発明の明細書および特許請求の範囲において、含フッ素エーテルを「HFE」と表記することがある。
本発明の含フッ素カルボン酸エステルの製造方法は、きわめて高い反応率と選択率を示す反応からなり高純度の含フッ素カルボン酸エステルが得られる。また、本発明の方法は、工業的に入手できる原料から目的とする含フッ素カルボン酸エステルを一段階の反応で製造できる方法である。さらに、本発明の方法は、本質的に脱フッ化水素と分子内での転移反応であるため、原料であるエーテル化合物のすべての炭素を生成物として有効に利用できる方法である。したがって、本発明の方法は、工業的に極めて優れた方法である。
本発明の原料である一般式R1HCFCF2OR2 (ただし、R1はフッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、R2は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エーテルにおける炭素数1〜4のパーフロロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、n−ノナフルオロブチル基、s−ノナフルオロブチル基、t−ノナフルオロブチル基を挙げることができる。R1としてはフッ素原子、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
また、一価の有機基としては、分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基、アルキル基を置換基をして有することもあるシクロアルキル基、含フッ素アルキル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができ、これらのうちアルキル基または含フッ素アルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、低級アルキル基がさらに好ましい。低級アルキル基とは、炭素数1〜4のアルキル基をいう。
分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基を例として挙げることができる。
アルキル基を置換基をして有することもあるシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、2−エチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、3−エチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチルシクロヘプチル基、3−メチルシクロヘプチル基、3−メチルシクロヘプチル基、4−メチルシクロヘプチル基などを挙げることができる。
アリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などを例として挙げることができる。
アリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などを例として挙げることができる。
含フッ素アルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロ
メチル基、クロロフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、、n−ヘキサフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを例として挙げることができる。
メチル基、クロロフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、、n−ヘキサフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを例として挙げることができる。
アラルキル基としては、フェネチル基、、2−メチルフェニルメチル基、3−メチルフェニルメチル基、4−メチルフェニルメチル基、2,3−ジメチルフェニルメチル基、2,4−ジメチルフェニルメチル基、2,5−ジメチルフェニルメチル基、2,6−ジメチルフェニルメチル基、3,4−ジメチルフェニルメチル基、3,5−ジメチルフェニルメチル基、3,6−ジメチルフェニルメチル基、、4−エチルフェニルメチル基、4−(n−プロピル)メチルフェニルメチル基、4−(n−ブチル)メチルフェニルメチル基などを例として挙げることができる。
本発明の原料である一般式R1HCFCF2OR2(ただし、R1はフッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、R2は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エーテルは、公知の製造方法で得ることができる。
例えば、アルコール化合物(R2OH)とテトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロペンなどの二重結合を有する含フッ素化合物を塩基の存在下に反応させる方法で合成できる。
具体的には、メタノールとテトラフルオロエチレンとを水酸化カリウムの存在下に反応させる方法により1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンが合成できる(J.Am.Chem.Soc.,73,1329(1951))。
また、ヘキサフルオロイソプロパノールとヘキサフルオロプロペンとを水酸化カリウムの存在下に反応させる方法で1−ヘキサフルオロイソプロピル1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンが合成できる(米国特許第3557294号明細書)。
本発明において使用できる含フッ素エーテルの具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−プロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−イソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(s−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(t−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−トリフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ジフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ペンタフルオロエトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ヘキサフルオロイソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−メトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−エトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(n−プロポキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−イソプロポキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(n−ブトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(s−ブトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(t−ブトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−トリフルオロメトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−ジフルオロメトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−ペンタフルオロエトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(2,2,2,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンン、1−ヘキサフルオロイソプロポキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができる。
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−プロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−イソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(s−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(t−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−トリフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ジフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ペンタフルオロエトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ヘキサフルオロイソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−メトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−エトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(n−プロポキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−イソプロポキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(n−ブトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(s−ブトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(t−ブトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−トリフルオロメトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−ジフルオロメトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−ペンタフルオロエトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1−(2,2,2,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンン、1−ヘキサフルオロイソプロポキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができる。
本発明に用いる水は、特に限定されず、通常の上水(水道水)または蒸留水、イオン交換水その他の精製水であればよい。
本発明においては一般式R1HCFCF2OR2(ただし、R1はフッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、R2は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エーテルを、固体触媒の存在下に水と反応させて一般式R1HCFCOOR2で表される含フッ素カルボン酸エステルを製造する。この反応は、以下の式で表わされる。
R1HCFCF2OR2 + H20 → R1HCFCOOR2 + 2HF
固体触媒としては、上記の反応を効率的に進ませる触媒であれば、特に限定されない。固体触媒は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニア(ZrO(SO4))などの金属酸化物、硫酸もしくはリン酸などの無機酸を坦持した活性炭、金属化合物を坦持した活性炭、酸点を有する樹脂またはリン酸アルミニウムなど(AlPO4)の無機物質が使用できる。
R1HCFCF2OR2 + H20 → R1HCFCOOR2 + 2HF
固体触媒としては、上記の反応を効率的に進ませる触媒であれば、特に限定されない。固体触媒は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニア(ZrO(SO4))などの金属酸化物、硫酸もしくはリン酸などの無機酸を坦持した活性炭、金属化合物を坦持した活性炭、酸点を有する樹脂またはリン酸アルミニウムなど(AlPO4)の無機物質が使用できる。
本発明に使用するアルミナは、特に限定されないが、通常、アルミニウム塩水溶液からアンモニアなどを用いて生じさせた沈殿を成型・脱水させて得られるアルミナであり、触媒担体用あるいは乾燥用として市販されているγ−アルミナを好ましく使用できる。
チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニアなどの金属酸化物も同様の方法または公知の方法で調製することができ、市販品も使用できる。また、これらの金属酸化物は共沈法などで調製した複合酸化物としても使用できる。また、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどを担体として、金属化合物を坦持することもできる。担持される金属の種類、量および担持の方法などは触媒の技術分野における知識に基づいて、後記する活性炭についての説明に準じて行うことができる。
チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニアなどの金属酸化物も同様の方法または公知の方法で調製することができ、市販品も使用できる。また、これらの金属酸化物は共沈法などで調製した複合酸化物としても使用できる。また、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどを担体として、金属化合物を坦持することもできる。担持される金属の種類、量および担持の方法などは触媒の技術分野における知識に基づいて、後記する活性炭についての説明に準じて行うことができる。
硫酸、リン酸または金属化合物を坦持した活性炭は、硫酸、リン酸に浸漬してまたは金属化合物を溶解した溶液に浸漬して含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させたものを乾燥させて調製できる。化合物を担持させる場合、その化合物の溶液を含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させたものを乾燥させて調製できる。また、その化合物の溶液を含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させた活性炭に対し第二の化合物を作用させて活性炭表面で沈殿反応等を生じさせることで最初の化合物と異なる化合物を担持することもできる。具体例として実施例にリン酸アルミ担持活性炭を示す。
活性炭は、木材、木炭、椰子殻炭、パーム核炭、素灰等を原料とする植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等を原料とする石炭系、石油残滓、オイルカーボン等を原料とする石油系または炭化ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂系等のいずれのものでもよい。これら市販の活性炭から選択し使用することができ、例えば、瀝青炭から製造された活性炭(東洋カルゴン製BPL粒状活性炭)、椰子殻炭(武田薬品工業製粒状白鷺GX、SX、CX、XRC、東洋カルゴン製PCB)等が挙げられるが、これらに限定されない。形状、大きさも通常粒状で用いられるが、球状、繊維状、粉体状、ハニカム状等反応器に適合すれば通常の知識範囲の中で使用することができる。
本発明において使用する活性炭は比表面積の大きな活性炭が好ましい。活性炭の比表面積ならびに細孔容積は、市販品の規格の範囲で十分であるが、それぞれ400m2/gより大きく、0.1cm3/gより大きいことが望ましい。またそれぞれ800〜3000m2/g、0.2〜1.0cm3/gであればよい。さらに活性炭を担体に用いる場合、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液に常温付近で10時間程度またはそれ以上の時間浸漬するか、活性炭を触媒担体に使用する際に通常行われる硝酸、塩酸、フッ酸等の酸による前処理を施し、予め担体表面の活性化ならびに灰分の除去を行うことが望ましい。
坦持する金属化合物としては、Al、Ti、Zr、Ce、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Sn、Sb、PbおよびBiの化合物が好ましく、塩化物、臭化物、硝酸塩などの水溶性の化合物であることが好ましい。またこれらは単独でもよく、二種以上を組み合わせて坦持してもよい。
また、固体酸触媒としてナフィオン(Nafion、デュポン社製品)などのパーフルオロスルフォン酸樹脂、アンバーライト、アンバージェット、アンバーリスト、アンバーライトXAD、アンバーライト CG50(いずれもローム・アンド・ハース株式会社の登録商標)などの陽イオン交換樹脂などの酸点を有する樹脂を使用できる。
また、本発明の固体触媒は、金属成分と酸素以外の他の原子を含んでいてもよく、他の原子としては、フッ素原子、塩素原子等が好ましい。たとえば、部分フッ素化アルミナ、部分塩素化アルミナ、部分フッ素化塩素化アルミナ、部分フッ素化ジルコニア、部分フッ素化チタニア等であってもよい。固体触媒中の塩素原子やフッ素原子の割合は、特に限定されない。
本明細書および特許請求の範囲においては、特に限定されない限り、前記のように部分的にフッ素化、塩素化などされたアルミナ、ジルコニアなどの酸化物を「アルミナ」、「ジルコニア」などの酸化物名称で表示する。
これらの固体触媒としては、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2 )、およびチタニア(TiO2 )および硫酸ジルコニアならびにこれらの部分フッ化酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物触媒が好ましく、アルミナおよび部分フッ素化アルミナが反応性および触媒寿命の点でさらに好ましい。
固体触媒は、通常は粒子または造粒体の形態で用いられる。粒子または造粒体の直径(いずれも、「粒径」ということがある。)は、特に限定されず、通常は、20μm〜10mm程度である。また、固体触媒が塩素原子やフッ素原子を含む場合、金属酸化物触媒の表面のみに塩素原子やフッ素原子が存在していてもよい。
何れの固体触媒も、使用の前に予めフッ化水素、フッ素化炭化水素またはフッ素化塩素化炭化水素などの含フッ素化合物と接触させて部分フッ素化または部分塩素化しておき、反応中の触媒の組成変化、短寿命化、異常反応などを防止することが有効である。
さらに、反応に先立って、活性化処理を施すのが好ましい。活性化処理としては、金属酸化物触媒をフッ素化反応に使用する際に適用される通常の手法が適用され、特に限定されない。好ましい活性化処理としては、250℃〜300℃程度の窒素気流中で充分に脱水し、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタンなどの有機フッ素化合物、またはフッ化水素、三フッ化塩素などの気体もしくは触媒処理状態で十分な蒸気圧を示すの無機フッ素化合物で活性化させるのが好ましい。この活性化処理によって、固体触媒の表面または全体に、金属成分および酸素以外の原子を含む活性な金属成分が生成すると考えられる。また、反応中に、塩素、フッ素化塩素化炭化水素または塩素化炭化水素などを反応器中に供給することは触媒寿命の延長、反応率、反応収率の向上に有効である。
固体触媒の存在下、含フッ素エーテルと水との反応は、含フッ素エーテル1モルに対し、水0.5〜20モルを用い、水1〜10モルが好ましい。水1モルが反応における当量である。水0.5モル未満では反応率が低く好ましくない。ただし、回収、再使用を前提とする製造プロセスではこれに限られない。20モルを超えて使用するのは製造における消費エネルギー、生成物の回収の点でそれぞれ好ましくない。
固体触媒の存在下、含フッ素エーテル(R1HCFCF2OR2) と水との反応は液相反応、気相反応のいずれでもよいが、気相反応で行うのが工業生産においては好ましい。以下、気相反応について条件等を説明する。これを液相反応の条件等に調節することは当業者にとって設計の変更に相当し、容易である。
この反応においては、不活性ガスを存在させてもよい。不活性ガスとしては、窒素または希ガス類が挙げられ、扱いやすさおよび入手しやすさ等の点から、窒素またはヘリウムが好ましい。不活性ガスを存在させる場合の量は、特に限定されないが、多すぎる場合には回収率が下がる恐れがあるため、通常の場合、原料の含フッ素エーテルの気化物との全量中に不活性ガス90体積%程度以下となるように存在させるのが好ましい。
固体触媒の存在下、含フッ素エーテルと水との反応をさせる反応器としては、固定床タイプまたは流動床タイプが好ましく、反応器の寸法・形状は、反応物の種類や量等に応じて適宜変更できる。
固体触媒の存在下、含フッ素エーテルと水との反応温度は、触媒の種類および原料によって異なる。通常80〜350℃であり、100〜300℃程度が好ましく、特に150〜250℃が好ましい。反応温度が低いと転化率が低くなる傾向がある。反応温度が350℃を超えると有機物の副生成物が生成することがある。反応時間(接触時間)は通常0.1〜300秒であり、1〜200秒が好ましく、2〜60秒がより好ましい。反応時間が短すぎる場合にも、転化率が低くなる恐れがあり、一方、長すぎると副生成物の生成が多くなる恐れがある。反応圧力は、特に限定されず、常圧、減圧、または加圧のいずれであってもよい。通常の場合は0.05〜0.5MPa(0.5〜5気圧)程度が好ましい。
本発明の固体触媒の存在下、含フッ素エーテルと水との反応においては、目的とする含フッ素カルボン酸エステルの他に、副生成物としてフッ化水素が生成し、未反応の水を伴うこともある。したがって、反応で得られた粗生成物は、通常の場合、精製処理をするのが好ましい。
粗生成物の処理は、他の処理をせず直接蒸留により分離する方法、生成物を水と接触させ分離した有機相を蒸留する方法などがあるが、目的生成物の含フッ素カルボン酸エステルは水への溶解度を持つので、水と接触させる方法では抽出操作を加えることが好ましい。
本発明の固体触媒の存在下、含フッ素エーテルと水との反応は、きわめて高い反応率を示し、反応収率の再現性にも優れる。また、気相流通連続系での反応であるため、効率的であり、生産性の点でも優れた反応である。
また、反応により生成した含フッ素カルボン酸エステル(R1HCFCOOR2 )には、フッ化水素のほかに対応するアルコール(R2OH)を含むことがあるが、水と接触させることで除去することができる。さらに、アルコール(R2OH)を含む含フッ素カルボン酸エステルに、本発明の方法と同一の反応装置、条件において含フッ素カルボン酸フルオリド(R1HCFCOF)を接触させてアルコール(R2OH)と反応させることによって、R2OHを除去することができる。
前記含フッ素カルボン酸フルオリドを接触させる方法は、特に、反応を工業的な大容量で連続的に実施する場合には好ましい。
本発明により得られる含フッ素カルボン酸エステルは、各種の触媒、医農薬の中間体、および機能性材料の中間体等に用いられるきわめて有用な化合物である
以下に本発明を例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。
以下に本発明を例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。
[実施例1]
〔触媒の調製〕
外部がニクロム線ヒーターと保温材で覆われた内径26mm、長さ1000mmのフッ素樹脂ライニングステンレス反応管にγ−アルミナ(粒径:3〜4mmφ)400ccを充填し、外温を220℃に保ちながら窒素ガスに同伴させたフッ化水素を6時間にわたり流通させ、部分フッ素化アルミナ触媒を調製した。
〔触媒の調製〕
外部がニクロム線ヒーターと保温材で覆われた内径26mm、長さ1000mmのフッ素樹脂ライニングステンレス反応管にγ−アルミナ(粒径:3〜4mmφ)400ccを充填し、外温を220℃に保ちながら窒素ガスに同伴させたフッ化水素を6時間にわたり流通させ、部分フッ素化アルミナ触媒を調製した。
〔反応〕
その後、反応管の温度を180℃として、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを入れたガラス容器に約20cc/分の窒素をバブリングさせて1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを10.6gr/Hrの流速で窒素とともに反応管へ導入した。また、同時に、イオン交換水をチューブポンプで7.2gr/Hrの流速で200℃に保った気化加熱器に送り、気化させて反応管に導入した。反応管からの流出物を氷水の入ったトラップおよびアセトン−ドライアイスで冷却したトラップにより反応開始後5時間にわたり捕集した。両方のトラップから回収した有機物と水層をジブチルエーテルで抽出し、有機物層を回収した。得られた回収有機物をガスクロマトグラフ(FID検出器)で定量したところ、原料の1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは検出されず、ジフルオロ酢酸メチルの選択率は99.2%であった。
その後、反応管の温度を180℃として、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを入れたガラス容器に約20cc/分の窒素をバブリングさせて1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを10.6gr/Hrの流速で窒素とともに反応管へ導入した。また、同時に、イオン交換水をチューブポンプで7.2gr/Hrの流速で200℃に保った気化加熱器に送り、気化させて反応管に導入した。反応管からの流出物を氷水の入ったトラップおよびアセトン−ドライアイスで冷却したトラップにより反応開始後5時間にわたり捕集した。両方のトラップから回収した有機物と水層をジブチルエーテルで抽出し、有機物層を回収した。得られた回収有機物をガスクロマトグラフ(FID検出器)で定量したところ、原料の1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは検出されず、ジフルオロ酢酸メチルの選択率は99.2%であった。
また、得られた回収有機物を精留して純度99.8%以上のジフルオロ酢酸メチル8.8g(収率94.5%)を得た。結果を表1に示す。
[実施例2]
窒素ガスの流量を約10cc/分に調節して原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの流量を5.3gr/Hrとし、また、水の流量を3.6gr/Hrとして実施例1と同一の手順で同様の反応を行った。5時間反応を継続した結果を表1に示す。
窒素ガスの流量を約10cc/分に調節して原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの流量を5.3gr/Hrとし、また、水の流量を3.6gr/Hrとして実施例1と同一の手順で同様の反応を行った。5時間反応を継続した結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同じ条件で245時間にわたり反応を継続した後、5時間にわたり生成物を回収して、原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの反応率、ジフルオロ酢酸メチルの選択率を求めた。結果を表1に示す。ほとんど触媒の活性低下は見られなかった。
実施例1と同じ条件で245時間にわたり反応を継続した後、5時間にわたり生成物を回収して、原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの反応率、ジフルオロ酢酸メチルの選択率を求めた。結果を表1に示す。ほとんど触媒の活性低下は見られなかった。
[実施例4]
実施例3の反応終了後、薄くコーキングした触媒を反応に用いた反応管から取出し、外部に電気炉を備えた内径4.2cm長さ60cmのSUS304製反応管に移し、空気を流しながら電気炉を600℃ まで昇温してその温度で5時間維持した。室温まで冷却後、再び触媒を実施例1で用いたフッ素樹脂ライニングの反応管に戻した。反応管の温度を220℃に変更してその温度を保ちながら、窒素ガスに同伴させたフッ化水素を20g/Hrの流速で2時間にわたり流通させることで、触媒の前処理を行った。
その後、実施例1と同一の条件で反応を行ったところ、実施例1とほとんど同一の結果が得られた。結果を表1に示す。
実施例3の反応終了後、薄くコーキングした触媒を反応に用いた反応管から取出し、外部に電気炉を備えた内径4.2cm長さ60cmのSUS304製反応管に移し、空気を流しながら電気炉を600℃ まで昇温してその温度で5時間維持した。室温まで冷却後、再び触媒を実施例1で用いたフッ素樹脂ライニングの反応管に戻した。反応管の温度を220℃に変更してその温度を保ちながら、窒素ガスに同伴させたフッ化水素を20g/Hrの流速で2時間にわたり流通させることで、触媒の前処理を行った。
その後、実施例1と同一の条件で反応を行ったところ、実施例1とほとんど同一の結果が得られた。結果を表1に示す。
[実施例5]
窒素ガスの流量を約14.5cc/分に調節して原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの流量を7.7gr/Hrとし、また、水の流量を3.1gr/Hrとして実施例1と同一の手順で同様の反応を行った。5時間反応を継続した結果を表1に示す。
窒素ガスの流量を約14.5cc/分に調節して原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの流量を7.7gr/Hrとし、また、水の流量を3.1gr/Hrとして実施例1と同一の手順で同様の反応を行った。5時間反応を継続した結果を表1に示す。
[実施例6]
原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの流量を10.6gr/Hrとし、また、水の流量を3.6gr/Hrとして実施例1と同一の手順で同様の反応を行った。5時間反応を継続した結果を表1に示す。水/1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンのモル比を低くした実施例6(モル比2.5)では、実施例1(モル比5)と比べ反応率の低下が認められるが、79.5%という高い収率を得た。
原料1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの流量を10.6gr/Hrとし、また、水の流量を3.6gr/Hrとして実施例1と同一の手順で同様の反応を行った。5時間反応を継続した結果を表1に示す。水/1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンのモル比を低くした実施例6(モル比2.5)では、実施例1(モル比5)と比べ反応率の低下が認められるが、79.5%という高い収率を得た。
[実施例7]
反応温度を220℃としたほかは実施例1の条件で同一の反応を行った。結果を表1に示す。ジフルオロ酢酸メチルの選択率が若干低かった。
反応温度を220℃としたほかは実施例1の条件で同一の反応を行った。結果を表1に示す。ジフルオロ酢酸メチルの選択率が若干低かった。
[実施例8](ジフルオロ酢酸エチルの合成)
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンに代えて1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(11.7gr/Hr)を原料とし、水の流量を7.2gr/Hrとして実施例1と同一の手順により表2に示す条件で反応を行った。結果を表2に示す。
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンに代えて1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(11.7gr/Hr)を原料とし、水の流量を7.2gr/Hrとして実施例1と同一の手順により表2に示す条件で反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例9]
反応温度を160℃としたほかは実施例8の条件で同一の反応を行った。結果を表2に示す。
反応温度を160℃としたほかは実施例8の条件で同一の反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例10]
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンに代えて1−メトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(14.6gr/Hr)を原料として、水の流量を7.2gr/Hrとして実施例1と同一の手順により表3に示す条件で反応を行った。結果を表3に示す。
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンに代えて1−メトキシ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(14.6gr/Hr)を原料として、水の流量を7.2gr/Hrとして実施例1と同一の手順により表3に示す条件で反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例11]
反応温度を220℃としたほかは実施例11の条件で同一の反応を行った。結果を表3に示す。
反応温度を220℃としたほかは実施例11の条件で同一の反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例12]
γ−アルミナ400ccの代わりにジルコニア400ccを用いたほかは実施例1と同様手順で前処理を行い、次いで200℃で実施例1と同じ手順で表4に示す条件で反応を行い、ジフルオロ酢酸メチルの生成を確認した。結果を表4に示す。
γ−アルミナ400ccの代わりにジルコニア400ccを用いたほかは実施例1と同様手順で前処理を行い、次いで200℃で実施例1と同じ手順で表4に示す条件で反応を行い、ジフルオロ酢酸メチルの生成を確認した。結果を表4に示す。
[実施例13]
反応温度を220℃としたほかは実施例12の条件で同一の反応を行った。結果を表4に示す。
反応温度を220℃としたほかは実施例12の条件で同一の反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例14、15]
触媒として、γ−アルミナの代わりに、文献(Applied Catalysis A: General 283(2005) 47−52)に記載の方法により得た粉末から成形した直径約3mmのリン酸アルミニウムタブレットを400cc用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。反応温度は、180℃と200℃で実施した。結果を、表5に示す。
触媒として、γ−アルミナの代わりに、文献(Applied Catalysis A: General 283(2005) 47−52)に記載の方法により得た粉末から成形した直径約3mmのリン酸アルミニウムタブレットを400cc用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。反応温度は、180℃と200℃で実施した。結果を、表5に示す。
[実施例16、17]
10質重量パーセントの硝酸アルミニウム水溶液に、400ccの白鷺G2C(4〜8メッシュ、武田薬品工業製品)を室温下に一晩浸漬して含浸させた後、当量の85%リン酸を加えて攪拌しながら、10%アンモニア水を滴下し、pH5で滴下を終了した。リン酸アルミニウムが沈殿した溶液から樹脂製の網で、活性炭を分離することで、リン酸アルミニウムを担持した活性炭を得た。これを120℃の乾燥機で大半の水分を除いた後に、400℃に設定した窒素雰囲気の焼成炉で2時間焼成して15重量パーセントのリン酸アルミニウムを担持したリン酸アルミニウム担持活性炭を調製した。
このリン酸アルミニウム担持活性炭400ccをγ−アルミナの代わりに用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。反応温度は、180℃と200℃で実施した。結果を表6に示す。
10質重量パーセントの硝酸アルミニウム水溶液に、400ccの白鷺G2C(4〜8メッシュ、武田薬品工業製品)を室温下に一晩浸漬して含浸させた後、当量の85%リン酸を加えて攪拌しながら、10%アンモニア水を滴下し、pH5で滴下を終了した。リン酸アルミニウムが沈殿した溶液から樹脂製の網で、活性炭を分離することで、リン酸アルミニウムを担持した活性炭を得た。これを120℃の乾燥機で大半の水分を除いた後に、400℃に設定した窒素雰囲気の焼成炉で2時間焼成して15重量パーセントのリン酸アルミニウムを担持したリン酸アルミニウム担持活性炭を調製した。
このリン酸アルミニウム担持活性炭400ccをγ−アルミナの代わりに用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。反応温度は、180℃と200℃で実施した。結果を表6に示す。
[実施例18、19]
γ−アルミナの代わりに、7〜9メッシュのナフィオンNR50(デュポン社製品)400ccを用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。反応温度は、160℃と180℃で実施した。結果を表7に示す。
γ−アルミナの代わりに、7〜9メッシュのナフィオンNR50(デュポン社製品)400ccを用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。反応温度は、160℃と180℃で実施した。結果を表7に示す。
[実施例20、21]
2000mlのガラス製ビーカーに蒸留水700mlと硫酸アンモニウム302gを入れ、室温で攪拌し、無色透明の液を得た。これに水酸化ジルコニウム1367.6gを攪拌しながら加え、さらに1時間攪拌した。その後、反応混合物をホットプレートで蒸発乾固させ、得られたケーキを空気中、室温で20時間乾燥して白色の固体を得た。得られた白色固体を、550℃で3時間、空気中で焼成した。この焼成物を粉砕し篩で分別しいで4〜8メッシュの硫酸ジルコニアを調製した。
この硫酸ジルコニア400ccをγ−アルミナ400ccの代わりに用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。結果を、表8に示す。
2000mlのガラス製ビーカーに蒸留水700mlと硫酸アンモニウム302gを入れ、室温で攪拌し、無色透明の液を得た。これに水酸化ジルコニウム1367.6gを攪拌しながら加え、さらに1時間攪拌した。その後、反応混合物をホットプレートで蒸発乾固させ、得られたケーキを空気中、室温で20時間乾燥して白色の固体を得た。得られた白色固体を、550℃で3時間、空気中で焼成した。この焼成物を粉砕し篩で分別しいで4〜8メッシュの硫酸ジルコニアを調製した。
この硫酸ジルコニア400ccをγ−アルミナ400ccの代わりに用いたほかは、実施例1と同様の反応条件で実験を行った。結果を、表8に示す。
[実施例22]
800ccの活性炭(白鷺G2C、4〜8メッシュ)を98%濃硫酸400ccが入ったガラス製ビーカーに漬け一晩放置してから取出し、余分の硫酸を切った後実施例1で用いた反応管に装入した。窒素ガスを流しながら反応管の温度を200℃に昇温し、そのまま3時間維持して、硫酸担持活性炭を調製した。
反応管の温度を180℃として、実施例1と同一の条件で反応を実施した。結果を表9に示す。
800ccの活性炭(白鷺G2C、4〜8メッシュ)を98%濃硫酸400ccが入ったガラス製ビーカーに漬け一晩放置してから取出し、余分の硫酸を切った後実施例1で用いた反応管に装入した。窒素ガスを流しながら反応管の温度を200℃に昇温し、そのまま3時間維持して、硫酸担持活性炭を調製した。
反応管の温度を180℃として、実施例1と同一の条件で反応を実施した。結果を表9に示す。
本発明の反応は、きわめて高い反応率および選択率を示し、反応成績の再現性もよい優れた反応である。また、反応は、連続かつ定量的に実施できるため工業的な生産方法としても適当な方法である。さらに、本発明の反応は、安全な条件で実施できることから、実用性の高い方法である。
Claims (7)
- 一般式R1HCFCF2OR2(ただし、R1はフッ素原子または炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、R2は一価の有機基を表す。)で表される含フッ素エーテルを、固体触媒の存在下に水と反応させることからなる一般式R1HCFCOOR2(ただし、R1、R2 は前記と同じ意味を表す。)で表される含フッ素カルボン酸エステルの製造方法。
- 固体触媒が、金属酸化物、無機酸担持活性炭、金属化合物担持活性炭、酸点を有する樹脂からなる群およびリン酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
- 固体触媒が、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニア、硫酸担持活性炭、酸点を有する樹脂およびリン酸アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
- 固体触媒がアルミナである請求項1に記載の製造方法。
- 固体触媒が、反応開始前または反応中に金属酸化物に結合する酸素の一部または全部がフッ素に置換されている金属酸化物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 気相において行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- R1がフッ素原子またはトリフルオロメチル基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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