JP5689881B2 - ジアルキルカーボネートを製造する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素イオンを生成することができる陽イオンとフッ素を含有する温度安定性の高い疎水性陰イオンを含有するイオン性液体、および金属酸化物触媒下で、尿素またはアルキルカルバメートとアルキルアルコールを反応させてジアルキルカーボネートを製造する方法に関する。
ジアルキルカーボネートとして代表的なジメチルカーボネート(DMC)は、無色、無臭であり、人体毒性がない親環境的な分子構造を有している。また、DMCは、多様な化学的な反応性を有しており、メトキシ、カルボニル基、メトキシカルボニル基などの反応性基を導入することができる機能があるため、このような反応性基を導入するための、例えば、ジメチルスルフェート、メチルハライドなどのような毒性と腐食性が強い化学薬品と代替されている。そして、DMCは、溶解性が非常に大きいため、クロロベンゼンなどのような溶媒と代替されて親環境溶媒として使用されることもあり、最近、ポリカーボネートの原料であるホスゲンの代替物質、自動車のオクタン価向上のための添加剤、2次電池の電解液等として使用されている。
ジアルキルカーボネートとして代表的な物質であるジメチルカーボネート(DMC)は、通常メタノールとホスゲンおよび高濃度の苛性ソーダ溶液で作ってきたが、この方法は有毒性であるホスゲンの使用と塩素イオンの腐食性によって産業界では高危険性で生産を忌避する実情である。
そこで、ジメチルカーボネートを製造する既存方法としては、エニケム(EniChem)の酸化カルボニル化工程があるが、これは一酸化炭素とメタノールを1価の塩化銅触媒を使用して空気中の酸素で酸化させて製造する方法である。しかし、エニケム工程を用いたジメチルカーボネートの製造方法は、有毒な一酸化炭素を原料で使用する問題があり、転換率が低く、反応していないメタノールと副産物である水によってエネルギー消費が多いという点があるばかりか、塩化銅(I)触媒が2価銅イオンに簡単に酸化されて触媒活性が低下する点と、腐食性による反応装置補完および爆発性に対する対処などの問題点がある。また、生成物にクロロイオンが微量検出されて電解液などとして使用する時に精製費用が急激に上昇する問題がある。
ジメチルカーボネートを製造する他の既存方法としてはウベ(Ube)工程がある。第1段階として、触媒がない状態でメタノールを一酸化窒素および酸素と反応させてメチルナイトレートと水を生成する。第2段階として、白金触媒下で気状のメチルナイトレートと一酸化炭素を反応させてDMCを製造する。第2段階で生成される酸化窒素はメチルナイトレートに再び再転換される。前記ウベ工程は、分離精製のためのエネルギー費用が相対的に少ないが、これも有毒で腐食性が強い一酸化炭素および酸化窒素を使用することによって、腐蝕防止のための反応装置、爆発防止のための安全装置と精密な濃度調節装置などを必要とし、反応物の漏出の危険などの問題点がある。ジメチルカーボネートを製造する他の既存方法としては、エチレンオキシド(またはプロピレンオキシド)と炭酸ガスを高圧で触媒下で反応させてエチレンカーボネート(プロピレンカーボネート)を作った後、メタノールでエステル交換反応させ、DMCとエチレングリコール(プロピレングリコール)を生産するテキサコ(Texaco)工程がある。この工程は一酸化炭素を使用しないため、上記の2つの工程よりも安全性の面で大きく良好になったが、依然として高温高圧で行われるところ、原料で使用されるエチレンオキシドの漏出による爆発問題がある。また、エステル交換反応は、高い温度で行われるにもかかわらず転換率が高くないため、未反応物質と生成物であるDMCおよびエチレングリコールの分離精製に多大なエネルギーが使用される問題点がある。
この他にも、ジメチルカーボネートを製造する方法は、炭酸ガスとメタノールを高温高圧の触媒下で直接合成する方法があるが、熱力学的な平衡状態で収率が極めて低いため、収率を高める技術開発が進められているが、研究が微々たる状況である。
最近、尿素(urea)とメタノールを触媒下で直接合成してジアルキルカーボネートを製造する方法とこれを用いた工程研究が活発に進められているが、この方法は、価格が低廉な尿素を原料で使用するばかりか、副産物として水が作られないため、メタノール−物−DMCのような3重共沸混合物を作らないため、分離と精製過程が簡単な長所がある。また、副産物として生成されるアンモニアは尿素工程へ送り炭酸ガスと合成させて再び尿素を作って再使用することができるところ、副産物の生成がない環境親和的な工程を作ることができる。
尿素とメタノールを用いてジメチルカーボネートを製造する既存の方法を紹介すれば以下の通りである。
(1)ジンクアセテート(Zinc acetate)触媒下で尿素とメタノールでジメチルカーボネートを合成する方法(S. Bowden., E. Buther、 J. Chem. Soc. 1939、 vol.78)があり、(2)尿素と1級脂肪族アルコールと有機金属化合物およびホスフィン系有機物、例に挙げるとマグネシウムメトキシド(Mg(OCH)とトリフェニルホスファン(PPh3)の触媒で多様なジアルキルカーボネートを合成する方法(Peter Ball、 Heinz Fullmann、and Walter Heintz、“Carbonates and Polycarbonates from Urea and Alcohol”、 Angrew. Chem. Int. Ed. Engl. 1980、 vol.19、
No.9、 pp718−720、WO95/17369)があるが、前記(1)、(2)の既存のジメチルカーボネート合成方法は収率が低い問題がある。
また、(3)ジメチルカーボネートを合成するための触媒として有機錫系化合物と高沸点の電子供与化合物、つまり、トリエチレングリコールジメチルエーテル(PGDE)のようなポリグリコールエーテル化合物を有機錫化合物である触媒を錯化剤として使用してジアルキルカーボネートを製造する方法(J. Yong Ryu、米国登録特許6、010、976)があり、この製造方法に基づいて多くの工程特許(米国登録特許6、392、078 B1、米国登録特許7、314、947 B2)があるが、提示された有機錫系触媒は、水に不安定であり、原料に不純物として含まれて入る水によって触媒の活性が急激に低下するという短所と生態系に対する毒性を有している。そして、助触媒として使用される高沸点酸素含有ポリグリコールエーテル化合物は、高温で分解または重合されて粘度の変化と炭化等によって助触媒の活性が低下するという短所がある。また、有機錫触媒と助触媒として使用されるポリグリコールエーテル化合物も再生が難しくて廃棄しなければならないため、環境に多くの負担を与えるようになる問題がある。
(4)Zn、Pb、Mn、La、Ceなどの金属酸化物とK、Na、Cs、Li、Ca、Mgなどのアルカリ酸化物を添着させたアルミナとシリカなどの固形物を反応触媒として使用した反応器あるいは蒸留塔を用いて尿素とメタノールを直接反応させてジメチルカーボネートを製造する反応蒸留方法によるジメチルカーボネートの製造方法が米国登録特許7、271、120 B2に掲載されている。この方法は、触媒と反応物を簡単に分離することができるため、向上した方法であるが、ジアルキルカーボネート、つまり、ジメチルカーボネートを合成するための反応温度がメタノールの沸騰点よりはるかに高い温度で行われるため、高い圧力で気−液平衡状態を維持しなければならず、生成されたアンモニアとジメチルカーボネートを排出しなければ反応収率の低下と中間生成物であるメチルカルバメートとジメチルカーボネートとの副反応によって、N−メチルカルバメート(NMC)、N,N−ジメチルカルバメート(NN−DMC)のような副産物が増加する問題がある。このように反応蒸留によりジメチルカーボネートを製造する時は、メタノールの沸点よりも高い反応温度とこの反応温度でメタノールの高い蒸気圧下でジメチルカーボネートの反応収率と蒸留効率を上げるために気液平衡をなす一定の温度と圧力維持およびアンモニアを排出しながら蒸留物を得なければならない。この時、得られる蒸留物は、ジメチルカーボネートとメタノールの共沸混合物で蒸留され、高い圧力での共沸混合物組成は、生成物であるジメチルカーボネートの濃度が低くなるため、生産性が低くなる短所がある。反応蒸留によるジメチルカーボネートの製造方法は、前記(3)の製造方法よりも不純物の生成は少ない方であるが、合成されたジメチルカーボネート(DMC)の高い反応性によって中間生成物であるメチルカルバメート(MC)と反応してN−メチルメチルカルバメート(N−MMC)、N,N−ジメチルカルバメート(NN−DMC)の副産物が使用された触媒と高い圧力で下記反応式のように進行して増加される。これはヨシオ・オノ(Yoshio Ono、“Dimethyl carbonate for environmentally benign reaction”、Pure and Appl. Chem., 1996、 Vol.68、 No.2、
pp367−375)が発表した論文のように公知の事実である。
Figure 0005689881
(5)大気圧と反応温度で安定な有機溶媒であるポリエチレングリコールジメチルエテール(PGDE;polyethylene glycol dimethyl ether、MW 250〜270)を使用して原料である尿素とMCの分解を抑制しながら多様な金属物質の触媒として反応を試みたジアルキルカーボネートの製造方法(Bolun Yang et al. “Synthesis of dimethyl carbonate from urea and methanol catalyzed by the metallic compounds at atmospheric pressure”、 Catalysis communications、 2006、 vol.7、 p.472−477)がある。この方法では、使用されたPGDEである有機溶媒として、単に大気圧で反応温度を維持するための媒体および電子供与体または原料の分解を抑制するための方法で利用されたが、反応中に分解または消耗されるため、使用されたPGDEと触媒を再活用し難く、時間当たり収率も低い。
また、(6)米国登録特許5、534、649に尿素またはアルキルカルバメートとアルキルアルコールをテトラメチルアンモニウムハイドロジェンカーボネートメチルエステル(Tetramethylammonium hydrogencarbonate methyl ester)、テトラメチルアンモニウムカルバメート(tetramethylammonium carbamate)のような4級アムモニウモル系イオン性液体と有機錫系触媒を使用して160℃、20気圧の反応条件でジアルキルカーボネートを製造する方法が掲載されているが、メチルカルバメートとメタノールおよび前記のイオン液体を使用してジメチルカーボネートを合成する方法でデメチルカーボネートの最大収率が4.13%であって非常に低調な問題がある。
一般に、アルキルアルコールと尿素を反応させてジアルキルカーボネートを合成する反応式は下記反応式1の通りである。
Figure 0005689881
前記反応式1から分かるように、生成されたジアルキルカーボネートとアンモニアを効果的に排出させると、平衡反応が正方向に移ることができるところ、反応速度と収率の増大をもたらすようになる。ジメチルカーボネートを合成する場合、反応物であるメチルアルコールの低い沸騰点によって、反応温度を維持するためには反応圧力(15〜25気圧)を高めなければならず、したがって、高い圧力で生成されたアンモニアの溶解度も高くなるため、平衡定数(Ke)が低くなり、反応速度と収率が低くなるようになる。また、高い圧力で生成されたジメチルカーボネートの溶解度も自然に高くなるようになるため、所望しない副反応物であるN−メチルカルバメート、N,N−ジメチルカルバメートのような副反応物の生成が増大する問題がある。
米国登録特許6,010,976 米国登録特許6,392,078 B1 米国登録特許7,314,947 B2 米国登録特許7,271,120 B2 米国登録特許5,534,649 WO95/17369
S. Bowden., E. Buther、 J. Chem. Soc. 1939、 vol.78 Peter Ball、 Heinz Fullmann、and Walter Heintz、"Carbonates and Polycarbonates from Urea and Alcohol"、 Angrew. Chem. Int. Ed. Engl. 1980、 vol.19、 No.9、 pp718−720、 Yoshio Ono、"Dimethyl carbonate for environmentally benign reaction"、Pure and Appl. Chem., 1996、 Vol.68、 No.2、 pp367−375 Bolun Yang et al "Synthesis of dimethyl carbonate from urea and methanol catalyzed by the metallic compound at atmospheric pressure", Catalysis communications, 2006, vol.7, p.472−477
既存の方法の技術問題は、ホスゲン、一酸化炭素およびクロロイオンの腐食性によって大規模生産と応用が制限を受け、反応していないメタノールと副産物によって転換率が低くなりエネルギーを多く消耗することである。
一部方法においては、分離および精製することに使用されるエネルギー消耗が低いが、毒性と腐食性の高い一酸化炭素を使用し、反応物が漏れないように腐蝕に耐える反応器および爆発を防止する安全設備を必要とする欠陥がある。
二酸化炭素とメタノールを使用してDMCを直接合性する方法も、高温高圧下で熱動力学均衡状態がなされるためDMC収率が低い欠陥がある。
また、有機錫および高温有機溶媒と共触媒であるポリエチレングリコールジメチルエーテル(PGDE、MW250−270)を用いてDMCを製造する方法の欠陥は、水によって触媒の活性をはやく低下させ、毒性が高いということである。酸素を含む沸騰点の高いポリグリコールエーテルが高温で分解または重合されるので、前記共触媒の活性は熱分解による粘度変化によって減少する。
本発明の目的は、イオン性液体を用いて尿素またはアルキルカルバメートとアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを低圧条件下で製造する新たな方法を提供することにある。
本発明によれば、
ジアルキルカーボネートを製造する方法において、
水素イオン(H)を生成することができる陽イオンとフッ素を含有する疎水性陰イオンを含むイオン性液体;および
アルカリ土金属酸化物、遷移金属酸化物、希土類酸化物およびハイドロタルサイトの中で選択された1種以上を含む触媒下で
尿素またはアルキルカルバメートとアルキルアルコールを反応させてジアルキルカーボネートを製造する方法であって、
前記陽イオンは、4級アムモニウム系陽イオン、イミダゾリウム系陽イオン、アルキルピリジウム系陽イオン、ピラゾリウム系陽イオン、ピロリニウム系陽イオン、4級ホスホニウム系陽イオン、チアゾリウム系陽イオンまたはスルホニウム系陽イオンの主モイエティ(main moiety)を含み、
前記疎水性陰イオンは、ビス(トリフルオロメチルスルホニルイミドでり、
前記イオン性液体は、[エチルトリメチルアンモニウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]、[ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]、[1−ヒドロキシエチル−3−メチル−イミダゾリウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]および[1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]の中で選択された少なくとも1種以上を含んでいる
本発明のイオン性液体は、水および空気との接触時に優れた安定性を有するので、反応する間に反応生成物と共に流出しない。また、イオン性液体は、原料である尿素と反応中間体であるアルキルカルバメートを良好に溶解することができるため、高い温度で分解および昇華を抑制して高濃度を維持することができるところ、反応速度が高い。したがって、イオン性液体が高温および低い圧力でも金属酸化物触媒の作用を画期的に上昇させるところ、副産物の生成を抑制し、生産性を高めるため、エネルギーの使用を画期的に減少させることができ、廃棄物がほとんど発生しないため、親環境的な製造方法である。また、低い圧力の反応条件は共沸点での生成物濃度を高めるため、循環する原料であるアルキルアルコールの量を減少させて装置の縮小および生産性が向上する。また、本発明は、イオン性液体と触媒の再使用率が高く、ジアルキルカーボネートの収率が高い。
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明のジアルキルカーボネートを製造する方法は、水素イオン(H)を生成することができる陽イオンおよびフッ素を含有する疎水性陰イオンを含むイオン性液体、およびアルカリ土金属酸化物、遷移金属酸化物、希土類酸化物およびハイドロタルサイト(Hydrotalcite)の中で選択された1種以上を含有する触媒を用いて、尿素(urea)またはアルキルカルバメートとアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを製造することにその特徴がある。
そして、前記ジアルキルカーボネートを製造する方法は、大気圧下で、そして140〜240℃の温度で、より好ましくは150〜220℃の温度下で尿素とアルキルアルコールを反応させてジアルキルカーボネートを製造することにその特徴がある。この時、反応温度が140℃未満である場合、反応速度が顕著に低下する問題があり、240℃を超える場合、副反応物の生成が顕著に増加するため、前記範囲内で反応を行うことがよい。
また、前記ジアルキルカーボネートを製造する方法は、既存の製造方法で要求されていた反応温度でのアルキルアルコールの蒸気圧(メタノールの場合、15〜25atm)である高い圧力条件を要しないことに特徴がある。本発明のジアルキルカーボネート製造方法は、既存の製造方法とは異なり、高い圧力のみならず、低い圧力条件でも行うことができ、好ましくは0.1〜1.5atm下でも、より好ましくは大気圧下でも行うことができる。しかし、本発明では、既存の製造方法で反応温度によるアルキルアルコールの蒸気圧と関係なく、如何なる圧力条件でも製造が可能であるため、必ずしもこれに限定されるわけではない。
本発明で使用される前記イオン性液体は、[陽イオン][陰イオン]対の形態であって、本発明のイオン性液体は、尿素と中間生成物であるメチルカルバメートを高温および低圧でも液状に維持するようにできる溶媒と熱媒体として役割を果たす。また、水素イオンを発生させ、触媒の反応進行速度を増加させる役割を果たし、反応物である尿素を良好に溶解させるため、尿素の濃度を高めることができ、反応温度でも分解されないばかりか、反応物であるアルキルアルコールと反応性がない特徴がある。
前記[陽イオン]は、水素イオン(H)を生成することができる陽イオンを、好ましくはC〜C16のヒドロキシアルキル基、C〜C16のアルコキシ基およびC〜C16のアルキル基の中で選択された少なくとも1種以上の置換基を含有する水素イオン(H)を生成することができる陽イオンである。陽イオンは、4級アムモニウム系陽イオン(ammonium cation)、イミダゾリウム系陽イオン(imidazolium derivate cation)、ピリジウム系陽イオン(pyridium derivate cation)、ピラゾリウム系陽イオン(pyrazolium derivate cation)、ピロリニウム系陽イオン(pyrrolinium derivate cation)、4級ホスホニウム系陽イオン(phosphonium derivate cation)、チアゾリウム系陽イオン(N−alkyl thiazolium derivate cation)およびスルホニウム系陽イオン(sulfonium derivate cation)から選択された1種以上の主モイエティ(main moiety)を含むことができる。好ましくは、4級アムモニウム系陽イオン、イミダゾリウム系陽イオン、ピリジウム系陽イオン、またはピラゾリウム系陽イオンを使用することがよい。この時、前記置換基の炭素数が16を超える場合、陰イオンに関係なく反応温度よりも高い融点を有するイオン性液体であってもよいため、前記範囲内の炭素数を有することがよく、好ましくは反応温度よりも低い融点を有する炭素数を有するイオン性液体を、より好ましくは常温で液体であるイオン液(常温イオン液体)を使用することがよい。しかし、炭素数を特に限定するのではない。
前記[陽イオン]をより具体的に説明すると、前記4級アムモニウム陽イオンは、C〜C16のヒドロキシアルキル基、C〜C16のアルコキシ基およびC〜C16のアルキル基の中で選択された少なくとも1種以上の置換基を含む4級アムモニウム陽イオンを使用することが好ましく、より好ましくはC〜Cのヒドロキシアルキル基、C〜Cのアルコキシ基またはC〜Cのアルキル基を含む4級アムモニウム陽イオンを使用することがよい。そして、さらに好ましくはヒドロキシメチルトリメチルアンモニウム陽イオン(Hydroxymethyltrimethyl ammonium cation、(CHCHOH)、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム陽イオン(Hydroxyethyltrimethyl ammonium cation、(CHOH、choline)、ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウム陽イオン(Hydroxyethyl−triethyl−ammonium cation、(COH)、ヒドロキシエチルトリプロピルアンモニウム陽イオン(Hydroxyethyl−tripropyl−ammonium cation、(COH)、ヒドロキシエチルトリブチルアンモニウム陽イオン(Hydroxyethyl−tripropyl−ammonium cation、(COH)、テトラエチルアンモニウム陽イオン(tetraethylammonium cation、(C)またはテトラブチルアンモニウム陽イオン(tetrabutylammonium cation、(C)を使用することがよい。そして、前記イミダゾリウム系陽イオンは、C〜C16のヒドロキシアルキル基、C〜C16のアルコキシ基およびC〜C16のアルキル基の中で選択された少なくとも1種以上の置換基を含むイミダゾリウム系陽イオンを使用することが好ましく、より好ましくは1,3−ジ(C〜C)アルキル−イミダゾリウム系陽イオン(1,3−di(C〜C)alkyl−imidazolium derivate cation)または1−ヒドロキシ(C〜C)アルキル−3−(C〜C)アルキル−イミダゾリウム系陽イオン(1−hydroxy(C〜C)alkyl−3−(C〜C)alkyl imidazolium derivate cation)を使用することがよい。また、前記N−ヒドロキシアルキルピリジウム系陽イオンは、N−ヒドロキシ(C〜C16)アルキルピリジン系陽イオン(N−hydroxy(C〜C16)alkyl pyridium derivate cation)を使用することが好ましく、より好ましくはN−ヒドロキシ(C〜C)アルキルピリジン系陽イオンを使用することがよい。そして、前記ピラゾリウム系陽イオン(1−hydroxyalkyl−2−alkyl pyrazolium derivate cation)は、1−ヒドロキシ(C〜C16)アルキル−2−(C〜C16)アルキルピラゾリウム系陽イオンを使用することが好ましく、より好ましくは1−ヒドロキシ(C〜C)アルキル−2−(C〜C)アルキルピラゾリウム系陽イオンを使用することがよい。
前記イオン性液体の[陰イオン]は、温度安定性および水分に対する安定性のためにフッ素を含有する化合物を使用することがよい。このような陰イオンとして、ビス(トリフルオロメチルスルホニルイミド{bis(trifluoromethylsulfonylimide、NTf}、トリフルオロメタンスルホネート(Trifluoromethane sulfonate、OTf)、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド{Tris(trifluoromethyl sulfonyl)methanide、CTf}またはジシアンアミド{Dicyanamide、N(CN)}を使用することができる。しかし、前記陰イオンとして、ハロゲン陰イオン(F、Cl、Br、I)を使用する場合、イオン性液体の溶融点が過度に高くなり、熱安定性が低くなって、水に対する溶解性が高くなってイオン溶液の回収に問題点があり、熱によって簡単に分解され、金属酸化物触媒と反応して触媒の活性を阻害し得る。また、テトラフルオロボレート(Tetrafluoroborate、BF)またはヘキサフルオロホスフェート(Hexafluorophosphate、PF)の場合、反応物であるアルキルアルコールと反応し、トリアルコキシボロキサン(trialkoxyboroxane)またはアルコキシ系リン化合物などの副産物を生成したり、フッ酸(HF)を発生させて反応器の腐食を起こし得るため、前記で例示した陰イオンを使用することが好ましい。
本発明において、前記触媒は、アルカリ土金属酸化物、遷移金属酸化物、希土類酸化物およびハイドロタルサイト(Hydrotalcite)の中で選択された1種以上を使用することができる。また、前記触媒は、シリカ、アルミナ、チタニアまたはセリアなどの担体に添着させて使用することができるばかりか、ハイドロタルサイト(Hydrotalcite)のような結晶性複合酸化物を有する混合酸化物も使用することができる。前記アルカリ土金属酸化物、遷移金属酸化物、希土類酸化物の具体的な例を挙げると、CaO、MgO、ZnO、CuO、PbO、La、Y、TiO、CeO、ZrO、SnO等を使用することができ、これを担体に添着させて使用することもできる。また、前記触媒のサイズを特に限定していないが、そのサイズがナノサイズであるほど反応速度が速く、収率が高くなる。前記触媒の使用量は、前記イオン性液体100重量部に対して1〜10重量部を使用することが好ましいが、この時、触媒の使用量が1重量部未満である場合、反応速度が落ちて収率が減少することができ、10重量部を超える場合、粘度の増加によって触媒使用量の増大による収率向上効果が落ちるところ、非経済的である。
前記ハイドロタルサイトは、MgAl(OH)2(x+y)(COy/2・mHOの構造を有する粉末を乾燥したり焼成した混合酸化物で使用することができ、前記ハイドロタルサイト構造において、x/yの比が3〜9であることが好ましく、mは結晶水を意味する。前記ハイドロタルサイトは、120℃以上の温度で完全に乾燥して使用することが尿素と水が反応してアンモニアと炭酸ガスに分解することを防止するために好ましく、より好ましくは400℃以上の温度で焼成してマグネシウムとアルミナの混合酸化物として使用することが尿素の分解を防止して収率を増加させる面で好ましい。
ジアルキルカーボネートを製造するための主原料である前記アルキルアルコールは、直鎖状、分岐状または環状アルキルアルコールであってもよく、特に限定しないが、C〜Cのアルキルアルコールを使用することが反応性の面で好ましいが、本発明がこれに限定されるわけではない。前記アルキルアルコールの投入は、イオン溶液100重量部に対して注入管を通じて0.1〜10ml/分の一定の流速で、より好ましくは0.1〜5ml/分の一定の流速で投入することがよいが、この時、前記アルキルアルコールの投入速度が0.1ml/分未満である場合、生産性が落ち、10ml/分を超えて投入する場合、アルキルアルコールの蒸発熱により反応温度を調節し難いばかりか、未反応尿素とアルキルアルコールの増加によって、生成物であるジアルキルカーボネートの濃度が低い凝縮物が得られるため、ジアルキルカーボネートの精製費用が増加するようになって商業的に不利になる問題があり得るが、反応器の形態とアルキルアルコールの分散器および攪拌速度などを調節してアルキルアルコールの流速を速めて反応収率を高めることもできるため、このような流速に制限されるのではない。
ジアルキルカーボネートを製造するための主原料である尿素(urea)またはアルキルカルバメートの使用量は、前記イオン性液体100重量部に対して1〜30重量部を使用することが好ましく、より好ましくは1〜25重量部を使用することがよい。また、原料であるアルキルアルコールの使用量は、尿素またはアルキルカルバメート:アルキルアルコール=1:5〜30モル比範囲の量で循環させて使用し、尿素またはアルキルカルバメートに対して、アルキルアルコールのモル比が5未満である場合、ジアルキルカーボネートの収率が落ち、30を超えて使用する場合、未反応尿素およびメチルカルバメートが多く蒸留されて出て選択度の減少をもたらし、アルキルアルコールの再循環使用量が多くてエネルギーが過度に増加する問題があり得るところ、前記範囲内で使用することがよく、好ましくは尿素またはアルキルカルバメートに対するアルキルアルコールのモル比が1:5〜25、より好ましくは5〜20を満たす量でアルキルアルコールを投入することがよい。アルキルアルコールの反応器への注入速度は、分散器と反応器の形態および攪拌速度によって差を示すことができるが、イオン性液体100重量部に対して0.1〜10ml/分の流速で注入し、好ましくは0.25〜5ml/分、より好ましくは0.25〜3ml/分がよい。アルキルアルコールの注入速度が0.1ml/分未満である場合、選択性は良好であるが反応速度が低下して生産性が落ち、注入速度が5mml/分を超える場合、選択性は減少するが反応速度は増加して生産性を高めることができる。しかし、分離蒸留に使用されるエネルギーの増加で経済的でなく、また、過剰なアルキルアルコールの注入は温度調節に問題点を生じさせ得るため好ましくない。
前記アルキルカルバメートのアルキルは、炭素数1〜6であることが、好ましくは炭素数1〜3であることが、アルキルアルコールとの反応時に立体障害がないため有利である。しかし、必ずしもこれに限定されるわけではない。
炭化した有機物質によって汚染されたイオン性液体は活性炭で脱色することができる。金属酸化物のような前記イオン性液体に溶解されている無機不純物は強酸で精製することができ、これによって上層の金属塩溶液を除去する。このように得た下層のイオン性液体は蒸留水で洗浄し、必要によってエーテルでさらに洗浄する。精製したイオン性液体を真空回転蒸発器で乾燥させて再使用することができるため、その他の廃棄物を排出せずにジアルキルカーボネートの製造が可能な環境親和的な方法である。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳しく説明する。しかし、本発明の権利範囲が下記の実施例により限定されるのではない。
(イオン性液体の合成)
<合成例:[Choline][NTf]形態のイオン性液体の合成>
コリンクロライド(2−hydroxyethyltrimethylammonium chloride、MW 139.62、mp 302〜305℃)1.0molである139.62gを250mlの蒸溜水に溶かした後、500mlの[Li][NTf](Lithium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide、MW 287.08)1.0mol水溶液を室温で1Lビーカーを使用して4時間攪拌して混合した後、精製させた。次に、2層に溶液が分離されると、上層は分離して除去し、下層であるイオン性液体を200ml蒸溜水で数回洗浄し、水層である洗浄液で硝酸銀試験方法で検査してクロライドイオン(Cl−)が検出されないまで反復精製する。精製が終わると水分を除去するために回転蒸発器(Rotary evaporator)に入れて120℃で6時間以上真空乾燥させる。乾燥後に得られた[Choline][NTf](C14、MW:384.02)であるイオン性液体は、312.59gであり、収率は81.4%であった。ここで、前記[Choline]は、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム陽イオンであり、NTfは、ビス(トリフルオロメチルスルホニルイミドである。
カールフィッシャー水分測定により水分を測定した結果は0.493%であり、3300MHz H−NMR(d6−DMSO)で分析した結果、δ=3.099(3xCH)、3.38(O−CH−)、3.84(N−CH−)、5.25(−OH)であった。そして、13C−NMR(d6−DMSO)δ=53.51(CH−O)、55.50(3xCH)、67.42(N−CH−)、120(2xCF)であり、[Choline][NTf](C14、MW;384.02)の理論元素%は、C;21.88、H;3.67、N;7.29、S;16.69であり、元素分析結果は、C;21.78、H;3.71、N;7.83、S;17.58である。また、示差熱量分析(DSC)による氷点は−16℃、融点は1.0℃であり、29.3℃での液体比重は1.520g・cm−3であった。
<実施例1:大気圧および180℃でジメチルカーボネート(DMC)の製造>
本実施例では、混合物を攪拌することができるようにマグネチック攪拌機が装着された蒸留システムのような反応システムを使用する。温度計と制御器を備え、凝縮機、アンモニア吸収装置、定量ポンプが装着されたマントル式加熱器を使用する。そして、反応器は、イオン性液体と尿素が入っている反応液の中にアルキルアルコールを一定の流速で注入することができる定量ポンプが連結されており、注入されたアルキルアルコールを蒸気化させることができる予熱コイルが設置されており、このコイルを通じてアルキルアルコールが蒸気で分散されて反応に参加できるようになっている。反応準備が完了されると、前記合成例で合成した[Choline][NTf]イオン性液体100.08gと尿素7.5021g(0.125mol)を250mlの3口丸底フラスコ反応器に入れ、触媒として酸化亜鉛(ZnO)2.003gを混合する。次いで、窒素を反応器に流して空気を置換しながら反応器の温度を180±1.0℃に加熱する。加熱する間に冷却器の温度が5℃を維持するように冷却水を循環し、反応温度に到達すると窒素供給を中断しメタノール60g(1.873mol)を定量ポンプを用いて0.5ml/分の流速で注入する。
前記過程は、大気圧である約1atmで行い、メタノールの注入が終わった2.5時間後に凝縮機に集まった蒸留物を分析した結果、下記表1に示したように、DMC収率23.1%および選択率89.4%であった。その後、凝縮機に集まった蒸留物を再び定量ポンプで0.5ml/分の同一な流速で再循環して反応を続けると、反応6.5時間後にDMC収率26.3%および選択率94.9%であり、10.5時間後にはDMC収率38.8%および選択率97.4%、14.5時間後にDMC収率28.9%および選択率97.8%、反応18.5時間後にDMC収率22.1%、選択率97.6%であった。
反応を10.5時間まで進行した場合、凝縮物には不純物としてMCのみが現れたが、14.5時間からはN−メチルメチルカルバメート(N−MMC)のみが凝縮物に存在して収率が高くなってDMCの収率が次第に低くなり、いくつかの不純物が現れた。DMCの収率が低くなった理由は、DMCとN−MMCの副反応によることである。反応物と生成物はHP−5 capillary column(0.32mmφ×30m×1μm)とFID検出器を備えたGC(gas chromatography)を使用して分析した。また、収率と選択度は下記数式1と2によって求めた値である。ただし、ジアルキルカーボネートと総生成物は凝縮機から収集した製品を通じて計算した。そして、生成されたDMCの定量分析は、外部標準方式でヘプタノール(Heptanol)を使用して検量線を作成して分析した。また、下記表1の収率は、下記数式1により求めた値であり、選択度は、下記数式2により求めた値である。但し、ジアルキルカーボネートと総生成物は、凝縮機を通じて得られた生成物を分析して出た結果から計算した。
Figure 0005689881
Figure 0005689881
<実施例1−1>
前記実施例1と同一に実施し、尿素の代わりにメチルカルバメートを使用してジメチルカーボネートを製造した。
<実施例2〜9:大気圧および180℃でジメチルカーボネート(DMC)の製造>
前記実施例1と同一に実施し、触媒をZnOの代わりにCaO、MgO、PbO、ハイドロタルサイト{MgAl(OH)12(CO0.5・4HO}および20重量%ZnO/80重量%TiOを含有する添着触媒をそれぞれ使用してDMCを製造し、実施例2〜9を実施した。製造されたDMCの反応時間による収率および選択度は下記表1に示した。
Figure 0005689881
<実施例10〜15および比較例1〜4:イオン性液体を異にしたDMCの製造>
前記実施例1と同一な方法でDMCを製造し、イオン性液体の種類を異にして下記表2に示したようにDMCを製造して実施例9〜15を実施し、製造されたDMCの収率と選択度は下記表2に示した。
Figure 0005689881
前記比較例1の[Betain][NTf]は、カルボキシル陽イオンを有するイオン性液体として、水素イオン(H)を発生することはできるが、金属酸化物触媒を溶解して固体触媒の活性点を消滅させてDMCの低い収率と低い選択度を見せたと判断される。前記比較例2と比較例3、4のようにテトラフルオロボレート(tetraboricfluoride;BF)またはヘキサフルオロホスフェート(Hexafluorophosphate;PF)陰イオンを有するイオン性液体は、DMCの反応性が非常に低調であった。また、反応物であるメタノールと反応してトリメトキシボロキサン(trimethoxyboroxane)とメトキシ系リン化合物などの副産物を生成するところ、DMCに対する選択度が低いばかりか、フッ酸(HF)を発生させて反応器を腐食させる。
しかし、本発明が提示するイオン性液体を用いた実施例1、実施例9〜14は、DMCに対する収率と選択度が高いことを確認することができる。
<比較例5〜8:PDGE溶媒を用いたDMCの製造>
実施例1と同一に実施し、イオン性液体の代わりに電子供与高温有機溶媒であるPGDE(polyethylene glycol dimethyl ether、MW;250〜270)100gおよび触媒を異にして下記表3のようにDMCを製造し、DMCの収率と選択度を示した。
Figure 0005689881
表3を考察すると、反応原料である尿素投入量対比収率が酸化亜鉛(ZnO)を使用した触媒を除いては全て低いことを確認することができ、また、高沸点溶媒であるPGDEの熱分解により生成された不純物の増加によって選択度が非常に悪いことが分かる。これは高沸点溶媒であるPGDEは、反応温度である180℃で分解されて相当量の低分子溶液として凝縮物と共に得られることによって反応収率の低下およびPGDE溶媒の熱分解による低分子不純物によって選択度0.01%未満であって精製費用が画期的に増大して経済的な利点が全くないと判断される。
<実施例16〜17:大気圧および180℃でジエチルカーボネートとジ−n−プロピルカーボネートの製造>
前記実施例1と同一に実施し、メタノールの代わりにエチルアルコールと1−プロピルアルコールをそれぞれ使用してジエチルカーボネートとジ−n−プロピルカーボネートを製造して実施例12と実施例13を実施し、分析結果は下記表4に示した。この時、エタノール/尿素溶液のモル(mol)比が10:1である溶液を作って0.5ml/分の速度で定量注入した。
Figure 0005689881
表4を考察すると、エチルアルコールおよび1−プロピルアルコールを使用した反応でも、13%以上の良好な収率とエチルカルバメートとn−プロピルカルバメートのような中間生成物以外の他の不純物がない高純度のジアルキルカーボネート(dialkylcarbonate)を得ることができた。
<実施例18〜20:他の温度条件でのDMCの製造>
前記実施例4と同一な方法でDMCを製造し、PbO金属酸化物触媒を使用し、下記表5に示したように温度条件を異にしてDMCを製造して実施例14を実施した。
Figure 0005689881
反応温度が160℃である場合、ジメチルカーボネートの収率が低調であり、また、1段階反応で合成されたメチルカルバメート(MC)が共に蒸留されて出て選択度が低かったが、他の不純物が現れないことによって、DMCとメタノールの共沸蒸留後に再沸器に残っているMCとメタノールの再循環により収率を増大させることができる方法がある。しかし、反応温度が220℃である場合、2.5時間以降からジメチルカーボネートとメチルカルバメートが反応して作られた副生成物であるN−メチルメチルカルバメートが生成され、選択度が漸次に低くなっている。このような場合にも、生成されたDMCを共沸蒸留で収去した後、再沸器に残っているMCとメタノールを再循環すれば速い反応速度で生産性を高めることができる。
<実施例21〜24:大気圧および180℃で、触媒量を異にしたDMCの製造>
前記実施例3と同一に実施し、使用されるMgO触媒量を下記表6のように変化を与えてDMCを製造した。
Figure 0005689881
<実施例25〜29:大気圧および180℃で、触媒量を異にしたDMCの製造>
上記実施例1と同一に実施し、ZnO触媒を120℃で12時間乾燥させたものを使用し、尿素の使用量に変化を与えながらDMCを製造し、製造されたDMCの収率と選択度を下記表7に示した。
Figure 0005689881
イオン性液体100gに対してメタノールと尿素のモル比を変化させて上記の結果を得た。原料である尿素の量が5〜15g範囲内で収率の変化は大きい差を示していないが、尿素の量が多い場合、凝縮機で得られた反応物中に中間生成物であるメチルカルバメートの濃度が増加して選択性が低くなることが分かる。尿素の量が少ない場合、収率と選択性に大きい差を示していないが、生産性が低くなって経済的ではない。
<実施例30〜34:メタノールと尿素を同時に注入しながら、注入速度に変化を与えてDMCを製造>
前記実施例1と同一な方法で実施し、メタノール60gに尿素7.5gを溶かした溶液(メタノールのモル比/尿素のモル比=15:1)を下記表8のように反応器に注入する流速に変化を与えてDMCを製造した。すべての実験過程はメタノール/尿素溶液の注入速度を除いては実施例1のような同一な条件と手順により実施した。
Figure 0005689881
実施例30〜34のように、DMCの収率および選択度は流速に関連する。メタノールの流速が高くなる時、反応器内のメタノール蒸気の分散器の種類および反応物がイオン性溶液中での接触時間など要素と密接に関連するということを示す。したがって、収率と選択度の低下は次のような理由のためである。つまり、速い流速によって反応物のメタノール気状の分散が円滑ではなく、接触時間が短くてジメチルカーボネート(DMC)の収率が低くなり、1段階で合成されたメチルカルバメート(MC)が蒸留されて選択度が低下したと考えられる。
しかし、得られた蒸留物を再蒸留して62.7℃で30重量%DMC/70重量%MeOHの共沸混合物を得、再沸器にある残りのメタノールと未反応のメチルカルバメートを循環して再び反応させてジメチルカーボネートを合成する方法でジメチルカルバメートの収率の増大をもたらすことができる。
本発明では、流速が低い場合、イオン液体スラリー触媒システムを使用して収率を増加させることができるが、生産性が落ちる。反面、蒸留システムを使用してメタノールとMCを再循環させれば、流速が増加するときに収率が低くなるが、生産性が高まる。しかし、流速を非常に遅くあるいは非常に速くすることは、収率と生産力の低下をもたらすことがある。したがって、本発明では、アルキルアルコールを0.1〜10ml/分の流速で行うことが可能であり、好ましくは流速を0.1〜5ml/分、より好ましくは0.1〜3ml/分の流入速度で投入することができる。しかし、本発明が必ずしもこれに限定されるわけではない。
既存のジアルキルカーボネートを製造する方法は、高温高圧による副生成物の増加によって、生成物の分離精製による原料の循環で過度なエネルギー使用と、また反応蒸留による合成である場合、高圧での共沸点の移動で生成物であるDMCの濃度が大気圧でよりも組成比が低くなるため、生産性の低下および原料であるメタノールの再循環でエネルギー費用が増大する問題があった。また、反応圧力が高い場合、安全のための装置費用の増大と圧力調節のための調節装置の付着による固定費と運転費が上昇する問題点がある。このように反応収率が少なかったりN−メチルカルバメートのような副反応が多くて選択性が低く、また、装置費用の増大、工程の複雑性および高い圧力での作業で過度なエネルギーの使用などの問題点があった。しかし、本発明は前記実施例で確認した通り、大気圧下で高い収率と選択度でジアルキルカーボネートの製造が可能であることを確認することができる。したがって、本発明は、高い圧力を維持するための高価の周辺装置および圧力調節装置を要しないため、設置費用の増加を防止することができ、高い収率でジアルキルカーボネートの製造が可能であるところ、経済性に優れている。また、使用されたイオン性液体を廃棄する必要なく簡単に精製して再使用することができるばかりか、製造過程で廃棄物がほとんど発生しないため、親環境的な製造方法である。

Claims (17)

  1. 水素イオン(H)を生成することができる陽イオンとフッ素を含有する疎水性陰イオンを含むイオン性液体;および
    アルカリ土金属酸化物、遷移金属酸化物、希土類酸化物およびハイドロタルサイトの中で選択された1種以上を含む触媒下で
    尿素またはアルキルカルバメートとアルキルアルコールを反応させてジアルキルカーボネートを製造する方法であって、
    前記陽イオンは、4級アムモニウム系陽イオン、イミダゾリウム系陽イオン、アルキルピリジウム系陽イオン、ピラゾリウム系陽イオン、ピロリニウム系陽イオン、4級ホスホニウム系陽イオン、チアゾリウム系陽イオンまたはスルホニウム系陽イオンの主モイエティ(main moiety)を含み、
    前記疎水性陰イオンは、ビス(トリフルオロメチルスルホニルイミドでり、
    前記イオン性液体は、[エチルトリメチルアンモニウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]、[ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]、[1−ヒドロキシエチル−3−メチル−イミダゾリウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]および[1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム][ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]の中で選択された少なくとも1種以上を含んでいることを特徴とするジアルキルカーボネートを製造する方法。
  2. 前記4級アムモニウム系陽イオンは、C〜Cのヒドロキシアルキル基、C〜Cのアルコキシ基およびC〜Cのアルキル基の中で選択された少なくとも1種以上の置換基を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記4級アムモニウム系陽イオンは、ヒドロキシメチルトリメチルアンモニウム陽イオン、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム陽イオン、ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウム陽イオン、ヒドロキシエチルトリプロピルアンモニウム陽イオン、テトラエチルアンモニウム陽イオン、テトラブチルアンモニウム陽イオンまたはヒドロキシエチルトリブチルアンモニウム陽イオンであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記イミダゾリウム系陽イオンは、1,3−ジ(C〜C)アルキル−イミダゾリウム系陽イオンまたは1−ヒドロキシ(C〜C)アルキル−3−(C〜C)アルキル−イミダゾリウム系陽イオンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記触媒は、CaO、MgO、ZnO、PbO、La、Yおよびハイドロタルサイトの中で選択された少なくとも1種以上を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ハイドロタルサイトは、MgAl(OH)2(x+y)(COy/2・mHOで表示される構造であって、x/y値が3〜9の範囲であり、乾燥して使用したりまたは前記ハイドロタルサイトを焼成した混合酸化物で使用することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  7. 前記触媒は、触媒の担体としてアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアおよびセリアの中で選択された少なくとも1種以上をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 前記イオン性液体100重量部に対して、前記触媒は1〜10重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 前記イオン性液体100重量部に対して、前記尿素またはアルキルカルバメートは1〜30重量部を、そして前記アルキルアルコールは前記尿素またはアルキルカルバメート1モルに対して、5〜25モル比で投入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 前記アルキルアルコールは、イオン性液体100重量部に対して0.1〜10ml/分の速度で注入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 140〜250℃の温度範囲下で行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の方法。
  12. 大気圧または反応温度に到達したアルキルアルコールの飽和蒸気圧以下で行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 反応圧力は、大気圧または大気圧未満で行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  14. 前記アルキルアルコールは、C〜Cのアルキルアルコールであることを特徴とする、請求項1、請求項または請求項10に記載の方法。
  15. 前記尿素またはアルキルカルバメートと前記アルキルアルコールを混合した混合物を0.1〜10ml/分の速度で注入することを特徴とする、請求項1または請求項に記載の方法。
  16. 前記ジアルキルカーボネートのアルキルは、C〜Cのアルキルであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記アルキルカルバメートのアルキルは、C〜Cのアルキルであることを特徴とする請求項1または請求項に記載の方法。
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